JP2019512528A - 抑うつ、不安症、快感消失症、疲労、自殺念慮、および外傷後ストレス障害の治療における(2r,6r)−ヒドロキシノルケタミンおよび(2s,6s)−ヒドロキシノルケタミンの使用方法 - Google Patents

抑うつ、不安症、快感消失症、疲労、自殺念慮、および外傷後ストレス障害の治療における(2r,6r)−ヒドロキシノルケタミンおよび(2s,6s)−ヒドロキシノルケタミンの使用方法 Download PDF

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Abstract

精神病性抑うつ、自殺念慮、重篤気分調節障害、持続性抑うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、他の病状による抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害、特定不能の抑うつ障害、分離不安障害、選択性緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作(特定用語)、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬品誘発性不安障害、他の病状による不安障害、他の特定の不安障害、特定不能の不安障害、または疲労を治療する方法であって、精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン、またはこれらの組合せ、またはこれらの薬学的に許容される塩である活性剤の有効量を薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする方法が開示される。

Description

本発明は、抑うつ、不安症、快感消失症、疲労、自殺念慮、および外傷後ストレス障害の治療における(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンおよび(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミンの使用方法に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年3月25日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第62/313,317号の優先権を主張し、すべての利益は米国特許法第119条の下にその仮特許出願から獲得され、その仮出願の内容は参照によってその全体を本願に引用して援用するものとする。
(政府支援の記述)
本発明は、国立衛生研究所によって付与された認可番号NH099345号の下に政府支援を受けたものである。合衆国政府は本発明において特定の権利を有する。
ヒト用麻酔および獣医用医薬品において現在使用される薬物であるケタミンは、治療抵抗性の双極性抑うつ、大抑うつ性障害、快感消失症、疲労、および自殺念慮を含むいくつかの状態の治療に有効であることが臨床研究で示されてきた。
しかし、ケタミンは、麻酔薬としての使用にのみ承認されている。他の適応に関する薬物の使用は、望ましくない中枢神経系(CNS)効果によって制約される。約30%の患者集団はケタミン治療に応答しない。さらに、ケタミン治療は薬物の麻酔特性および乱用の可能性のために、重篤な副作用を伴う。抑うつにおけるケタミンの作用機序は知られておらず、抗うつ活性を保持するが、不所望の副作用は回避するケタミン類似体を生成するのが可能かどうかに関しては不確実である。
ケタミン類似体は、効果を得るために数週間を要する選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)およびさまざまな化学クラスの他の標準治療的抗うつ薬(例えば、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、三環系抗うつ薬、ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬とは異なり、ケタミンの効果発現時間は急速であり、かつ数時間または数分のうちに効果が得られるため、標準的な抗うつ薬を上回る潜在的な利点を有する。さらに、ケタミンの抗うつ効果に応答するが、SSRIまたは他の抗うつ薬に応答しない患者が存在する。
したがって、高い割合の患者で有効性、低い麻酔薬特性および低い乱用傾向を有するケタミンの治療的特性を示す療法が必要とされる。本開示はこの必要性を満たし、かつ本明細書において示す追加の利点を提供する。
本開示は、(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(2R,6R−HNK)および(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン(2S,6S−HNK)が、CNS障害および抑うつ、不安症、快感消失症、疲労、自殺念慮、および外傷後ストレス障害を含む状態の治療に使用できることを実証する。本開示は、上述の化合物を含む医薬調製剤の使用を含む治療方法を提供する。本開示は、精製(2R,6R)−HNKまたは(2S,6S)−HNKを、そのような治療を必要とする患者に投与することによって、さまざまなCNS障害を治療する方法を提供する。
第1の態様において、本開示は、精神病性抑うつ、大うつ障害、双極性抑うつ、自殺念慮、重篤気分調節障害、持続性抑うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、他の病状による抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害、特定不能の抑うつ障害、分離不安障害、選択性緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作(特定用語(Specifier))、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬品誘発性不安障害、他の病状による不安障害、他の特定の不安障害、快感消失症、外傷後ストレス障害、特定不能の不安障害、または精神または医薬状態と関連する疲労(例えば、慢性疲労症候群、癌もしくは他の医学的状態またはこれらの障害もしくは状態を治療するための医薬と関連する疲労)を含む疲労、ならびにDSM5、IC−10、およびIC−11、ならびに負誘意性システム(negative valence systems)、正誘意性システム(positive valence systems)、認知システム(cognitive systems)、社会プロセスのためのシステム(systems for social processes)、および覚醒/調節システム(arousal/regulatory systems)などのRDocドメインの順応不良な機能によって特定されるものと同等の障害または状態を治療する方法であって、精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン、これらのプロドラッグ、または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、または前述のいずれかの組合せである活性剤の有効量を、緩衝剤、張度調整剤および安定性調整剤を含む調節剤を含んでいてもよい薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする方法を提供する。
ケタミンの抗うつ作用におけるNMDA受容体の役割および代謝を示す図である。1a、(R,S)−ケタミン(KET)、デシプラミンおよび1b、MK−801に関しては、処置してから1時間および24時間後の強制水泳試験における、不動時間(秒)対用量(mg/kg)のグラフである。 1a、(R,S)−ケタミン(KET)、デシプラミンおよび1b、MK−801に関しては、処置してから1時間および24時間後の強制水泳試験における、不動時間(秒)対用量(mg/kg)のグラフである。 1cは、新奇環境摂食抑制に関する、摂取するまでの待ち時間(秒)対用量(mg/kg)のグラフである。 1dは、学習性無力感パラダイムに関する、逃亡失敗対用量(mg/kg)のグラフである。 1eは、MK−801およびR,S−ケタミン(ラセミ体)に関する、不動時間(秒)対用量(mg/kg)のグラフである。 1fは、(R,S)−KETの代謝の簡易図である。 1gは、投与してから1時間および24時間後の強制水泳試験における、(R,S)−KETおよびd−(R,S)−KETの効果を示す、不動時間(秒)対用量(mg/kg)のグラフである。 投与後の、1h、KET、1i、ノル−KETおよび1j(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)に関する、薬物脳レベル(μg/kg)対注射後の時間(分)のグラフである。この中のかつ以下の図のすべてのは、データが平均±S.E.Mであることを示す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。 投与後の、1h、KET、1i、ノル−KETおよび1j(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)に関する、薬物脳レベル(μg/kg)対注射後の時間(分)のグラフである。 投与後の、1h、KET、1i、ノル−KETおよび1j(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)に関する、薬物脳レベル(μg/kg)対注射後の時間(分)のグラフである。 ケタミンの代謝産物(2R,6R)−HNKの抗うつ作用が、非NMDA受容体依存性機序によって介在されることを示すグラフである。(2a〜2c)は、(R,S)−KETおよび6,6−ジジューテロケタミン((R,S)−d2−KET)を投与した後の、2a、KET、2b、ノル−KETおよび2c、(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の脳レベルを示す。 (2a〜2c)は、(R,S)−KETおよび6,6−ジジューテロケタミン((R,S)−d2−KET)を投与した後の、2a、KET、2b、ノル−KETおよび2c、(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の脳レベルを示す。 (2a〜2c)は、(R,S)−KETおよび6,6−ジジューテロケタミン((R,S)−d2−KET)を投与した後の、2a、KET、2b、ノル−KETおよび2c、(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の脳レベルを示す。 (2d〜2e)は、2d、1時間および24時間強制水泳試験および2e、学習性無力感試験における、(R,S)−KETおよび(R,S)−d2−KETの効果である。 (2d〜2e)は、2d、1時間および24時間強制水泳試験および2e、学習性無力感試験における、(R,S)−KETおよび(R,S)−d2−KETの効果である。 (2f〜2g)は、2f、強制水泳試験および2g、学習性無力感パラダイムにおける、優れた潜在力および長期的な抗うつ様効果を示した(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNKの比較である。 (2f〜2g)は、2f、強制水泳試験および2g、学習性無力感パラダイムにおける、優れた潜在力および長期的な抗うつ様効果を示した(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNKの比較である。 2hは、(2R,6R)−HNKが、慢性社会的敗北ストレスによって誘発される社会的相互作用障害を回復させることを示す。 AMPA受容体の活性化が(2R,6R)−HNKの抗うつ効果に必要であることを示す図である。3aは、(R,S)−ケタミンまたは(2R,6R)−HNKの投与(破線で示す)の10分前(ベースライン)および1時間後の代表的なスペクトログラムである。 3bは、(R,S)−KET、(2R,6R)−HNK、または媒体(3c、3d)を投与した後の正規化されたガンマ出力変化である。(R,S)−ケタミン(KET)および(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の10分前にAMPA受容体阻害剤NBQXであらかじめ処置すると、3d、1時間または3d、24時間強制水泳試験におけるこれらの抗うつ様作用は妨げられた。 3bは、(R,S)−KET、(2R,6R)−HNK、または媒体(3c、3d)を投与した後の正規化されたガンマ出力変化である。(R,S)−ケタミン(KET)および(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の10分前にAMPA受容体阻害剤NBQXであらかじめ処置すると、3d、1時間または3d、24時間強制水泳試験におけるこれらの抗うつ様作用は妨げられた。 3bは、(R,S)−KET、(2R,6R)−HNK、または媒体(3c、3d)を投与した後の正規化されたガンマ出力変化である。(R,S)−ケタミン(KET)および(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の10分前にAMPA受容体阻害剤NBQXであらかじめ処置すると、3d、1時間または3d、24時間強制水泳試験におけるこれらの抗うつ様作用は妨げられた。 (3e〜3f)は、(R,S)−KETおよび(2R,6R)−HNKの、処置してから3e、1時間および3f、24時間後の、海馬のシナプトニューロソームにおけるGluR1およびGluR2タンパク質レベルに対する効果を示す。 (3e〜3f)は、(R,S)−KETおよび(2R,6R)−HNKの、処置してから3e、1時間および3f、24時間後の、海馬のシナプトニューロソームにおけるGluR1およびGluR2タンパク質レベルに対する効果を示す。 (2R,6R)−HNKにはケタミン関連の副作用がないことを示すグラフである。(4a、4b)は、ベースライン活性を1時間記録した後に、マウスに薬物を与え(垂直な破線によって示される)、自発運動活性をさらに1時間モニターしたことを示す。4aは、(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)を投与すると、自発運動活性が用量依存的に変化するが、4b、(2R,6R)−HNKを投与すると変化しないことを示す。 4aは、(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)を投与すると、自発運動活性が用量依存的に変化するが、4b、(2R,6R)−HNKを投与すると変化しないことを示す。 4cは、(2S,6S)−HNKは、ロータロッドパラダイムにおいて運動失調を誘発するが、4d、(2R,6R)−HNKは誘発しないことを示す。(R,S)−KETとは異なり、(2R,6R)−HNKを投与すると、4e、プレパルス抑制障害、(4f、4g)、(R,S)−KET関連弁別刺激は誘導されない。データは平均±S.E.Mである。p<0.05、**、p<0.01、***p<0.001、KET対生理食塩水(SAL);パネル4cに関しては、(R,S)−KET、#(2S,6S)−HNK。 4cは、(2S,6S)−HNKは、ロータロッドパラダイムにおいて運動失調を誘発するが、4d、(2R,6R)−HNKは誘発しないことを示す。(R,S)−KETとは異なり、(2R,6R)−HNKを投与すると、4e、プレパルス抑制障害、(4f、4g)、(R,S)−KET関連弁別刺激は誘導されない。 4cは、(2S,6S)−HNKは、ロータロッドパラダイムにおいて運動失調を誘発するが、4d、(2R,6R)−HNKは誘発しないことを示す。(R,S)−KETとは異なり、(2R,6R)−HNKを投与すると、4e、プレパルス抑制障害、(4f、4g)、(R,S)−KET関連弁別刺激は誘導されない。 4cは、(2S,6S)−HNKは、ロータロッドパラダイムにおいて運動失調を誘発するが、4d、(2R,6R)−HNKは誘発しないことを示す。(R,S)−KETとは異なり、(2R,6R)−HNKを投与すると、4e、プレパルス抑制障害、(4f、4g)、(R,S)−KET関連弁別刺激は誘導されない。 4cは、(2S,6S)−HNKは、ロータロッドパラダイムにおいて運動失調を誘発するが、4d、(2R,6R)−HNKは誘発しないことを示す。(R,S)−KETとは異なり、(2R,6R)−HNKを投与すると、4e、プレパルス抑制障害、(4f、4g)、(R,S)−KET関連弁別刺激は誘導されない。 ケタミンのin vivoでの代謝的変換を示す図である。ケタミンは、in vivoでP450酵素変換を介して代謝される。(i)(R,S)−ケタミン(KET)を選択的に脱メチル化し、(R,S)−ノルケタミン(ノルKET)が得られる。(ii)次いで、ノルKETを脱水素化し、(R,S)−デヒドロノルケタミン(DHNK)を得ることができる。(iii)あるいは、ノルKETをヒドロキシル化し、ヒドロキシノルケタミン(HNK)を得ることができる。(iv)(R,S)−KETをまた6位でヒドロキシル化し、E−6−ヒドロキシケタミン((2S,6R;2R,6S)−HK))またはZ−6−ヒドロキシケタミン((2S,6S;2R,6R)−HK))のいずれかを得ることができる。(v)(2S,6R;2R,6S)−HKを脱メチル化すると、(2S,6R;2R,6S)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)が生成される。(vi)(2S,6S;2R,6R)−HKを脱メチル化すると、(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)がさらに得られる。 ケタミンのin vivoでの代謝的変換を示す図である。 マウスにおいてi.p.投与した後の、ケタミンおよびその代謝産物の血中濃度を示す図である。マウスにおいて(R,S)−KET(10mg/kg)を投与した後のケタミン(KET)およびその代謝産物の、6a、血漿レベルおよび6b、脳レベルを示す。 マウスにおいて(R,S)−KET(10mg/kg)を投与した後のケタミン(KET)およびその代謝産物の、6a、血漿レベルおよび6b、脳レベルを示す。 (6c〜6e)は、(S)−および(R)−KETを投与した後の、6c、KET、6d、ノルケタミン(ノルKET)および6e、ヒドロキシノルケタミン(HNK)の脳レベルである。 (6c〜6e)は、(S)−および(R)−KETを投与した後の、6c、KET、6d、ノルケタミン(ノルKET)および6e、ヒドロキシノルケタミン(HNK)の脳レベルである。 (6c〜6e)は、(S)−および(R)−KETを投与した後の、6c、KET、6d、ノルケタミン(ノルKET)および6e、ヒドロキシノルケタミン(HNK)の脳レベルである。 6fは、(R,S)−6,6−ジジューテロケタミン((R,S)−d2−KET)の化学構造である。 図3を延長したデータを示す図である。ケタミンは、社会的敗北ストレス誘発性の社会的回避を回復させるが、MK−801は回復させない。7aは、慢性社会的敗北ストレスおよび社会的相互作用/回避試験のスケジュールである。 (7b〜7c)は、(R,S)−ケタミン(KET)を単回注射すると、7d、自発運動活性またはe、社会的相互作用装置におけるコンパートメント横断の総数に影響を与えることなく、マウスにおける社会的敗北ストレス誘発性の社会的回避行動は回復するが、MK−801は回復しないことを示す。データは平均±S.E.Mである。***p<0.001。SAL、生理食塩水。 (7b〜7c)は、(R,S)−ケタミン(KET)を単回注射すると、7d、自発運動活性またはe、社会的相互作用装置におけるコンパートメント横断の総数に影響を与えることなく、マウスにおける社会的敗北ストレス誘発性の社会的回避行動は回復するが、MK−801は回復しないことを示す。 (7b〜7c)は、(R,S)−ケタミン(KET)を単回注射すると、7d、自発運動活性またはe、社会的相互作用装置におけるコンパートメント横断の総数に影響を与えることなく、マウスにおける社会的敗北ストレス誘発性の社会的回避行動は回復するが、MK−801は回復しないことを示す。 (7b〜7c)は、(R,S)−ケタミン(KET)を単回注射すると、7d、自発運動活性またはe、社会的相互作用装置におけるコンパートメント横断の総数に影響を与えることなく、マウスにおける社会的敗北ストレス誘発性の社会的回避行動は回復するが、MK−801は回復しないことを示す。 オープンフィールド試験における、(R,S)−ケタミン、(R,S)−6,6−ジジューテロケタミン、(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミンおよび(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンの自発運動効果を示すグラフである。ベースライン活性を60分間記録した後に、動物に薬物を与え(垂直な破線によって示される)、自発運動活性をさらに1時間モニターした。(8a、8b)は、(R,S)−ケタミン(KET)および(R,S)−6,6−ジジューテロケタミン((R,S)−d−KET)は、自発運動亢進反応を10mg/kgの用量で誘発する点において等しく強力であることを示す。 (8a、8b)は、(R,S)−ケタミン(KET)および(R,S)−6,6−ジジューテロケタミン((R,S)−d−KET)は、自発運動亢進反応を10mg/kgの用量で誘発する点において等しく強力であることを示す。 (8c、8d)は、(R,S)−KET(10mg/kg)を投与すると、雄および雌マウスの両方に等しく自発運動亢進反応が誘発されることを示す。データは平均±S.E.Mである。p<0.05、**p<0.01。SAL、生理食塩水。 (8c、8d)は、(R,S)−KET(10mg/kg)を投与すると、雄および雌マウスの両方に等しく自発運動亢進反応が誘発されることを示す。 (2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンの急性および持続性の抗うつ様および抗無快感効果を示すグラフである。9aは、(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)を単回注射すると、75mg/kgの用量で学習性無力感において抗うつ様効果が誘発されることを示す。 9bは、(2R,6R)−HNKを単回注射すると、5〜75mg/kgの用量で用量依存性抗うつ様反応が生じることを示す。 9cは、(2R,6R)−HNKの優れた抗うつ有効性にもかかわらず、(2S,6S)−HNK(HNK)を投与すると、(2R,6R)−HNKと比較して、ヒドロキシノルケタミンの脳レベルが高くなることを示す。 (9d〜9e)は、(2R,6R)−HNKが、9d、新奇環境摂食抑制および9e、注射してから1時間および24時間後の強制水泳試験において、用量依存性抗うつ様効果を表したことを示す。 (9d〜9e)は、(2R,6R)−HNKが、9d、新奇環境摂食抑制および9e、注射してから1時間および24時間後の強制水泳試験において、用量依存性抗うつ様効果を表したことを示す。 9fは、(R,S)−ケタミン(KET)と同様に、(2R,6R)−HNKの抗うつ様効果は、処置してから少なくとも3日間持続したことを示す。 9gは、(2R,6R)−HNKを単回投与すると、スクロース嗜好性における慢性コルチコステロン誘発性の低下が回復することを示す。 9hは、(2R,6R)−HNKを単回投与すると、雌尿においかぎ嗜好性における、特に無快感表現型を発症したマウスにおける慢性コルチコステロン誘発性の低下が回復することを示す。 (9i〜9j)は、(2R,6R)−HNKの投与は、9i、自発運動活性または9j、慢性社会的敗北ストレス後の社会的相互作用試験における全コンパートメント横断における変化と関連しなかったことを示す。SAL、生理食塩水。 (9i〜9j)は、(2R,6R)−HNKの投与は、9i、自発運動活性または9j、慢性社会的敗北ストレス後の社会的相互作用試験における全コンパートメント横断における変化と関連しなかったことを示す。 24時間強制水泳試験の30分前にAMPA受容体阻害剤NBQXを投与すると、(R,S)−KETと(2R,6R)−HNKの両方の抗うつ効果が妨げられたことを示すグラフである。データは平均±S.E.Mである。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。略語:NBQX、2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン;SAL、生理食塩水;SLM、網状分子層;SO、多形細胞層;SP、錐体細胞層;SR、放線状層。 AMPA受容体拮抗薬、NBQXを投与すると、ガンマ振動におけるin vivoでの(2R,6R)−HNK誘発性の増加が妨げられることを示すグラフである。11aは、(R,S)−ケタミン(KET)を投与すると、マウスの自発運動飼育ケージ活性が増加するが、(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)では増加しないことを示す。 (R,S)−KET、ノル(2R,6R)−HNKのどちらも、皮質の11b、アルファ振動、11c、ベータ振動、11d、デルタ振動または11e、シータ振動をin vivoで変化させない。 (R,S)−KET、ノル(2R,6R)−HNKのどちらも、皮質の11b、アルファ振動、11c、ベータ振動、11d、デルタ振動または11e、シータ振動をin vivoで変化させない。 (R,S)−KET、ノル(2R,6R)−HNKのどちらも、皮質の11b、アルファ振動、11c、ベータ振動、11d、デルタ振動または11e、シータ振動をin vivoで変化させない。 (R,S)−KET、ノル(2R,6R)−HNKのどちらも、皮質の11b、アルファ振動、11c、ベータ振動、11d、デルタ振動または11e、シータ振動をin vivoで変化させない。 (11f〜11k)は、AMPA受容体拮抗薬、NBQXであらかじめ処理すると、11f、自発運動活性、11g、アルファ振動、11h、ベータ振動、11j、デルタ振動または11k、シータ振動を変化させないことを示し、11iは、in vivoでのガンマ振動の(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられたことを示す。データは平均±S.E.Mである。NBQX、2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン;SAL、生理食塩水。 (11f〜11k)は、AMPA受容体拮抗薬、NBQXであらかじめ処理すると、11f、自発運動活性、11g、アルファ振動、11h、ベータ振動、11j、デルタ振動または11k、シータ振動を変化させないことを示し、11iは、in vivoでのガンマ振動の(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられたことを示す。 (11f〜11k)は、AMPA受容体拮抗薬、NBQXであらかじめ処理すると、11f、自発運動活性、11g、アルファ振動、11h、ベータ振動、11j、デルタ振動または11k、シータ振動を変化させないことを示し、11iは、in vivoでのガンマ振動の(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられたことを示す。 (11f〜11k)は、AMPA受容体拮抗薬、NBQXであらかじめ処理すると、11f、自発運動活性、11g、アルファ振動、11h、ベータ振動、11j、デルタ振動または11k、シータ振動を変化させないことを示し、11iは、in vivoでのガンマ振動の(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられたことを示す。 (11f〜11k)は、AMPA受容体拮抗薬、NBQXであらかじめ処理すると、11f、自発運動活性、11g、アルファ振動、11h、ベータ振動、11j、デルタ振動または11k、シータ振動を変化させないことを示し、11iは、in vivoでのガンマ振動の(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられたことを示す。 (11f〜11k)は、AMPA受容体拮抗薬、NBQXであらかじめ処理すると、11f、自発運動活性、11g、アルファ振動、11h、ベータ振動、11j、デルタ振動または11k、シータ振動を変化させないことを示し、11iは、in vivoでのガンマ振動の(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられたことを示す。 (2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンの、シナプトニューロソームタンパク質およびタンパク質リン酸化レベルに対する効果を示す図である。(R,S)−ケタミン(KET、10mg/kg)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK、10mg/kg)を単回投与すると、(12a、12b)では、注射してから1時間または24時間後のmTORまたはリン酸化mTORのシナプトニューロソームレベルは変化しないが、(12c、12d)では、注射してから1時間および24時間後のeEF2のリン酸化が減少し、かつ(12e、12f)では、マウスの海馬に投与してから24時間後のmBDNFレベルが増加した。 (R,S)−ケタミン(KET、10mg/kg)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK、10mg/kg)を単回投与すると、(12a、12b)では、注射してから1時間または24時間後のmTORまたはリン酸化mTORのシナプトニューロソームレベルは変化しないが、(12c、12d)では、注射してから1時間および24時間後のeEF2のリン酸化が減少し、かつ(12e、12f)では、マウスの海馬に投与してから24時間後のmBDNFレベルが増加した。 (R,S)−ケタミン(KET、10mg/kg)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK、10mg/kg)を単回投与すると、(12a、12b)では、注射してから1時間または24時間後のmTORまたはリン酸化mTORのシナプトニューロソームレベルは変化しないが、(12c、12d)では、注射してから1時間および24時間後のeEF2のリン酸化が減少し、かつ(12e、12f)では、マウスの海馬に投与してから24時間後のmBDNFレベルが増加した。 (R,S)−ケタミン(KET、10mg/kg)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK、10mg/kg)を単回投与すると、(12a、12b)では、注射してから1時間または24時間後のmTORまたはリン酸化mTORのシナプトニューロソームレベルは変化しないが、(12c、12d)では、注射してから1時間および24時間後のeEF2のリン酸化が減少し、かつ(12e、12f)では、マウスの海馬に投与してから24時間後のmBDNFレベルが増加した。 (R,S)−ケタミン(KET、10mg/kg)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK、10mg/kg)を単回投与すると、(12a、12b)では、注射してから1時間または24時間後のmTORまたはリン酸化mTORのシナプトニューロソームレベルは変化しないが、(12c、12d)では、注射してから1時間および24時間後のeEF2のリン酸化が減少し、かつ(12e、12f)では、マウスの海馬に投与してから24時間後のmBDNFレベルが増加した。 (R,S)−ケタミン(KET、10mg/kg)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK、10mg/kg)を単回投与すると、(12a、12b)では、注射してから1時間または24時間後のmTORまたはリン酸化mTORのシナプトニューロソームレベルは変化しないが、(12c、12d)では、注射してから1時間および24時間後のeEF2のリン酸化が減少し、かつ(12e、12f)では、マウスの海馬に投与してから24時間後のmBDNFレベルが増加した。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。リン酸化型タンパク質に関する値を、リン酸化非依存性の同一タンパク質のレベルに対して正規化した。リン酸化非依存性タンパク質のレベルをGAPDHに対して正規化した。データは平均±S.E.Mであり、かつ各タンパク質に関しては、生理食塩水で処理された対照群に対して正規化した。p<0.05。略語:eEF2、真核生物翻訳開始因子2;GAPDH、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素;mBDNF、成熟脳由来神経栄養因子;mTOR、ラパマイシンの哺乳類標的;proBDNF、プロ脳由来神経栄養因子;SAL、生理食塩水。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (R,S)−KETまたは(2R,6R)−HNKを投与すると、マウスの前頭葉前皮質において、(12g、12h)では、GluR1/GluR2のシナプトニューロソームレベル、(12i、12j)では、mTOR/リン酸化mTOR、(12k、12l)では、eEF2/リン酸化eEF2、または(12m、12n)では、プロBDNF/mBDNFは変化していない。 (2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン投与の、驚愕振幅および薬物弁別反応速度に対する効果を示すグラフである。13aは、プレパルス抑制課題における驚愕振幅が、(R,S)−ケタミン(KET)または(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)の投与によって影響されなかったことを示す。 (13b、13c)は、薬物弁別パラダイムにおける1秒あたりの総合的なレバー押しの反応速度が、13b、(R,S)−KET、(2R,6R)−HNKまたは13c、フェンサイクリジン(PCP)の投与によって変化しなかったことを示す。 (13b、13c)は、薬物弁別パラダイムにおける1秒あたりの総合的なレバー押しの反応速度が、13b、(R,S)−KET、(2R,6R)−HNKまたは13c、フェンサイクリジン(PCP)の投与によって変化しなかったことを示す。 (2S,6S)−(+)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩の単結晶X線構造を示す図である。 (2R,6R)−(−)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩の単結晶X線構造を示す図である。
[専門用語]
本明細書において開示される化合物は、標準的な命名法を使用して述べられる。別途定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術および科学用語は、本開示が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
「a」および「an」という用語は、量の限定を示すものではなく、むしろ言及される項目の少なくとも1つの存在を示す。
「キラル」という用語は、鏡像相手に重ね合わせることができない特性を有する分子を指す。
「立体異性体」は、同一の化学構成を有するが、空間中の原子または基の配置に関しては異なる化合物である。
「ジアステレオマ」は、2つ以上のキラリティ中心を有する立体異性体であり、その分子は互いの鏡像ではない。ジアステレオマは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。ジアステレオマ混合物は、電気泳動、結晶化、または例えばHPLCを使用したクロマトグラフィなどの高分解分析手順の下で分離してもよい。
「エナンチオマ」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。鏡像異性体の50:50の混合物はラセミ混合物またはラセミ体と称され、化学反応またはプロセスにおいて立体選択または立体特異性がなかった場合に生じることがある。
本明細書において使用される立体化学定義および慣例は一般的に、S.P.パーカー(Parker),Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York;およびエリール(Eliel),E.andウィラン(Wilen),S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在し、すなわち、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物の記述において、接頭辞DおよびLまたはRおよびSを使用し、そのキラル中心の周囲の分子の絶対配置を示す。接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)を用い、化合物による平面偏光の回転の記号を指定し、(−)または1は化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdが前に付いた化合物は右旋性である。
「ラセミ混合物」または「ラセミ体」は2つの鏡像異性体種の等モル(または50:50の)混合物であり、光学活性がない。化学反応またはプロセスにおいて立体選択または立体特異性がなかった場合に、ラセミ混合物が生じる場合がある。
化合物がさまざまな互変異性体で存在する場合、本発明は、特定の互変異性体のいずれか1つを限定するものではなく、むしろすべての互変異性体を含む。
本開示は、化合物に存在する原子の可能な同位体すべてを有する化合物を含む。同位体は、同じ原子番号を有するが、質量数が異なる原子を含む。一般的な例として、かつ限定するものではないが、水素同位体としては、トリチウムおよびジューテリウムがあり、かつ炭素同位体としては11C、13C、および14Cがある。
「活性剤」は、単独でまたは他の薬剤と組み合せて患者に投与したときに、直接的にまたは間接的に生理学的効果を患者に与える任意の化合物、元素、または混合物を意味する。活性剤が化合物、塩、遊離化合物または塩の溶媒和物(水和物を含む)である場合に、化合物の結晶および非結晶形態ならびにさまざまな多形体が含まれる。化合物がさまざまな立体異性形態で存在できるように、化合物は、立体中心、立体軸などの1つ以上の不斉元素、例えば不斉炭素原子を含んでいてもよい。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学活性形態とすることができる。
「抑うつ症状」としては、気分の落ち込み(low mood)、活動に対する興味の減退、精神運動性遅延または激越、食欲の変化、集中力不足もしくは優柔不断、または抑うつ、過度の罪悪感もしくは倦怠感、エネルギ不足または疲労と関連する他の認知的症状があり、自殺念慮は、抑うつ障害、双極性障害、一般的な医学的状態による気分障害、物質誘発性気分障害、他の特定不能の気分障害との関連において生じる場合があり、また、これらに限定されないが、精神障害、認知障害、摂食障害、不安障害、人格障害、および快感消失症などの症状を含むある範囲の他の精神障害と合併して存在する場合がある。障害の経時的経過、症状の経歴およびタイプ、ならびに病因因子は、気分障害のさまざまな型を互いに特定する助けとなる。
「抑うつ症状評価尺度」は、多数の規格化された質問表、医療機器、または抑うつの症状および症状の重症度を測定するために利用される症状診断表のいずれか1つを指す。このような評価尺度は、治療成果を定義するために、研究のエントリーポイントからエンドポイントまでの変化に基づいて臨床研究でしばしば使用される。このような抑うつ症評価尺度としては、これらに限定されるものではないが、自己記入式簡易抑うつ尺度(Quick Inventory of Depressive−Symptomatology Self−Report)(QIDS−SR16)、ベックうつ病診断表(Beck Depression Inventory)(BDI)、17項目ハミルトン抑うつ評価尺度(17−Item Hamilton Rating Scale of Depression)(HRSD17)、30項目抑うつ症状診断表(30−Item Inventory of Depressive Symptomatology)(IDS−C30)、またはモンゴメリ/アスベルグ抑うつ評価尺度(Montgomery−Asperg Depression Rating Scale)(MADRS)がある。このような評価尺度は、患者の自己報告を含んでいても臨床医による尺度であってもよい。臨床試験にわたる(スタートポイントからエンドポイントまでの)抑うつまたは不安評価尺度スコアにおける50%以上の低減は、典型的には、大部分の抑うつ症状評価尺度に関して好ましい応答と考えられる。抑うつの臨床研究における「退行」はしばしば、抑うつ症状評価尺度で特定の数値尺度スコア以下(例えば、HRSD17で7以下;またはQIDS−SR16で5以下;またはMADRSで10以下)に達することを指す。
「不安症状評価尺度」は、多数の規格化された質問表、医療機器、または不安症の症状および症状の重症度を測定するために利用される症状診断表のいずれか1つを指す。このような評価尺度は、治療成果を定義するために、研究のエントリーポイントからエンドポイントまでの変化に基づいて臨床研究でしばしば使用される。このような不安症状評価尺度としては、これらに限定されるものではないが、状態−特性不安診断表(State−Trait Anxiety Inventory(STAI)、ハミルトン不安評価尺度(Hamilton Anxiety Rating Scale)(HAM−A)、ベック不安診断表(Beck Anxiety Inventory)(BAI)、および病院不安および抑うつ不安尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale−Anxiety)(HADS−A)がある。このような評価尺度は、患者の自己報告を含んでいても臨床医による尺度であってもよい。臨床試験にわたる(スタートポイントからエンドポイントまでの)抑うつまたは不安評価尺度スコアにおける50%以上の低減は、典型的には、大部分の抑うつおよび不安症状評価尺度に関して好ましい応答と考えられる。抑うつの臨床研究における「退行」はしばしば、抑うつ症状評価尺度で特定の数値尺度スコア以下(例えば、STAIで39以下;またはBAIで9以下;またはHADS−Aで7以下)に達することを指す。
「快感消失症評価尺度」は、多数の規格化された質問表、医療機器、または快感消失症の重症度を測定するために利用される症状診断表のいずれか1つを指す。このような快感消失症症状評価尺度としては、これらに限定されるものではないが、スネイス−ハミルトン幸福感尺度(Shaith−Hamilton Pleasure Scale)(SHAPSおよびSHAPS−C)および幸福感尺度の時間的経験(Temporal Experience of Pleasure Scale)(TEPS)がある。
「疲労評価尺度」は、多数の規格化された質問表、医療機器、または疲労の存在および重症度を測定するために利用される症状診断表のいずれか1つを指す。このような疲労症状評価尺度としては、7項目NIH簡易疲労診断表(7 item NIH−Brief Fatigue Inventory)(NIH−BFI)、13項目慢性疾病治療による疲労の機能的評価(13 item Functional Assessment of Chronic Illness Therapy−Fatigue)(FACIT−F)、および7項目患者報告式アウトカム測定情報システム(7 item Patient Reported Outcomes Measurement Information System)(PROMIS)−疲労短縮版(fatigue short form)、および27項目多次元改訂版パイパー疲労尺度(27 item multidimensional revised Piper Fatigue Scale)(rPFS)がある。
「自殺念慮評価尺度」は、多数の規格化された質問表、医療機器、または自殺念慮の重症度を測定するために利用される症状診断表のいずれか1つを指す。このような自殺念慮症状評価尺度としては、これらに限定されるものではないが、自殺念慮尺度(Scale for Suicidal Ideation)(SSI)、自殺状態評価表(Suicide Status Form)(SSF)、またはコロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia Suicide Severity Rating Scale)(C−SSRS)がある。
「患者」は、内科的治療を必要とする任意のヒトまたは非ヒト動物を意味する。内科的治療としては、疾患または障害などの既存の状態の治療、不安症または抑うつの症状に罹患する危険性があることが既知の患者の予防的または防止的治療、または診断治療があり得る。いくつかの実施形態において患者はヒト患者である。
「医薬組成物」は、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグなどの少なくとも1つの活性剤、および担体などの少なくとも1つの他の物質を含む組成物である。
本発明の医薬組成物に適用される「担体」という用語は、活性化合物とともに投与される希釈剤、賦形剤、または媒体を指す。
「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物の調製において有用であり、一般的に安全であり、非毒性であり、かつ生物学的に好ましくないことも、別の点で望ましくないこともない賦形剤を意味し、かつ獣医用用途ならびにヒト医薬用途に許容される賦形剤が含まれる。
「薬学的に許容される塩」は、本開示の化合物の誘導体であり、親化合物は、これらの非毒性の酸または塩基付加塩を作製することによって修飾され、さらにそのような化合物およびそのような塩の水和物を含む薬学的に許容される溶媒和物を指す。薬学的に許容される塩の例としては、これらに限定されるものではないが、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸付加物塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機付加塩など;および前述の塩の1つ以上を含む組合せがある。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性塩、および無機または有機酸から形成された親化合物の第4級アンモニウム塩がある。例えば、非毒性酸塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など無機酸由来のものがあり;他の許容される無機塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;およびカルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、および前述の塩のうちの1つ以上を含む組合せがある。
薬学的に許容される有機塩としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4である)などの有機酸から調製された塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;およびアルギニン、アスパルテーム、グルタミン酸などのアミノ酸塩、および前述の塩のうちの1つ以上を含む組合せがある。
「プロドラッグ」は、哺乳動物対象に投与したときに、例えばプロドラッグの代謝処理時に本発明の化合物になる任意の化合物を意味する。プロドラッグの例としては、これらに限定されるものではないが、アセテート、ホルメートおよびベンゾエートならびに本発明の化合物における官能基(アルコールまたはアミン基などの)の誘導体のようなものがある。
「治療有効量」または「有効量」は、ヒトまたは非ヒト患者に投与したときに、任意の治療的利点を与えるのに有効な量を意味する。治療的利点は、症状の回復、例えば、抑うつ障害または疼痛の症状を低下させるのに有効な量であってもよい。化合物の治療有効量はまた、疾患、障害または状態の任意の徴候に有意なプラスの効果を与えるのに十分な量、例えば、抑うつ症状または疼痛の頻度および重症度を有意に低減するのに十分な量である。障害または状態の徴候への有意な効果には、スチューデントt検定などの標準的な統計的有意性のパラメトリック検定において統計的に有意p<0.05であることが含まれるが、ここでいくつかの実施形態において、効果は有意でなくともよい。
[化学的説明]
ケタミン代謝産物Z−6−ヒドロキシノルケタミン(2,6−HNK)は、ケタミンの抗うつ、抗不安、抗無快感、および他の行動的効果に重要であることが本明細書において開示される。(2R,6R)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシシクロヘキサノン((2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK))は、即効性および持続性の抗うつ、抗不安、および抗無快感効果をもたらす。この化合物は構造
を有する。
(2R,6R)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシシクロヘキサノン((2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK))はまた、抗うつ、抗不安、抗無快感効果を示す。この化合物は構造
を有する。
「精製HNK」、「精製2,6−HNK」、「精製2R,6R−HNK」、および「精製2S,6S−HNK」は、本明細書および特許請求の範囲において使用され、のちにその代謝によってHNKとなるケタミンではなく、むしろHNKが投与されることを示す。NMDA受容体阻害剤ではなく、むしろα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体活性が、この成果と関連すると考えられる。(2R,6R)−HNKは、精神異常作用効果、自発運動効果、非協調性、および習慣性の可能性がないことがさらに示される。これらの成果を支持する実験および結果の詳細は、実施例の項で見出すことができる。
プロドラッグ
2,6−HNKプロドラッグはまた、本明細書において開示される治療方法において有用である。2,6−HNKプロドラッグとしては、2,6−HNKの6−ヒドロキシ基のエステルコンジュゲートおよび2,6−HNKアミノ基のアミンコンジュゲートがある。
例えば、本開示としては、以下のプロドラッグおよびこれらの薬学的に許容される塩がある。
プロドラッグ(A)および(B)において、可変基RおよびRは以下の定義を有する。
は水素であり、かつRは−Aであるか、Rは−AでありかつRは水素である。
−Aは、Aが−(C=O)−、−(C=O)O−、−(C=O)NHR、−(C=O)NRR、−S(O)、−S(O)、−P(O)であり、かつBがC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(炭素環)C〜Cアルキルまたは(複素環)C〜Cアルキルであり、これらはそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエステル、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜4個の置換基で置換されている。
−Aは、Aが結合、−(C=O)−、−(C=O)O−、−(C=O)NHR、−(C=O)NRR、−S(O)、−S(O)、−P(O)であり、BがH、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルカノイル、(炭素環)C〜Cアルキル、(複素環)C〜Cアルキル、またはそのC−末端でAに共有結合しているアミノ酸またはジペプチドであり、これらはそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエステル、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜4個の置換基で置換されている。
Rは独立にそれぞれの出現において水素およびC〜Cアルキルから選択される。
特定の実施形態において、プロドラッグ(A)および(B)は以下の定義を有する。
(1)Rは−Aであり、Aが、単結合、−(C=O)O−、−S(O)−、−(S=O)NR−、または−(C=O)NR−である場合、BはC〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(フェニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(5−または6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、またはそのC−末端でAに共有結合しているアミノ酸であり、これらはそれぞれハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエステル、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜4個の置換基で置換されている。
(2)Aは結合または−(C=O)O−でありかつBはC〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、または(C〜Cアルキル)C〜Cアルキルであり、これらはそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、およびモノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノから独立に選択される0〜4個の置換基で置換されている。
(3)Aは−(C=O)−でありかつBはC〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5−または6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、これらはそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエステル、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0〜4個の置換基で置換されている。
(4)Aは−(C=O)−でありかつBはC〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、または(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、これらはそれぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、および(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルから独立に選択される0〜2個の置換基で置換されている。
2,6−HNKのエステルコンジュゲートプロドラッグは、以下のとおりに調製してもよい。この表に示すエステルコンジュゲートプロドラッグは、本明細書において開示される治療方法において使用してもよい。
[(2S,6S)−HNKおよび(2R,6R)−HNKの抗うつおよび抗不安活性]
本開示は、2,6−HNK、特に2R,6R−HNKの特有の抗うつ効果を実証し、かつ非NMDAR阻害依存性機序を示唆する。これらの発見によって、2,6−HNK、例えば、(2R,6R)−HNKは、AMPA受容体の活性化に必要な抗うつ様行動的効果をもたらすことが示される。副作用がないことおよびHNKの好ましい生理化学的特性を考慮すると、これらの発見は2,6−HNK、例えば、2R,6R−HNKの薬理学的効果を確立する。本開示はまた、不安症、快感消失症、自殺念慮、外傷後ストレス障害、強迫性障害、疲労、および抑うつのヒトおよびモデルにおける、2,6−HNK、例えば(2R,6R)−HNKの有効性を示す、ヒトおよびin vivoでの動物のデータを含む。
[動物を用いる方法]
雄CD−1マウス(8〜10週齢、Charles River Laboratories、MA、USA)を、1ケージあたり4〜5匹の群で、一定の12時間の明/暗サイクル(照明オン/オフ07:00/19:00)で飼育した。食餌および水を自由に摂取できるようにした。マウスを新しい環境に7日間馴化させてから、実験を開始した。全細胞NMDA電流の電気生理学的記録に関しては、雄Sprague−Dawleyラット(1ケージあたり3匹で飼育;Charles River、Wilmington、MA)を使用した。EPSC記録を、生後24〜25日のラットで行った。すべての実験手順は、メリーランドボルチモア大学動物実験委員会(University of Maryland,Baltimore Animal Care and Use Committee)によって承認されており、かつ実験動物の管理と使用に関する米国衛生研究所指針(National Institutes of Health Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に完全に従って実施した。
(強制水泳試験)
マウスは、注射してから1時間後および/または24時間後にFSTで試験を行った。FST中は、水(23±1℃)15cmで満たされた透明プレキシガラスシリンダー(高さ30cm×直径20cm)中で6分の水泳セッションをマウスに行った。FSTを普通光条件(800ルクス)で行った。セッションは、デジタルビデオカメラを使用して記録した。水面より上で動物の頭部を維持するのに必要なもの以外、余分な活性がない受動的浮遊として定義された不動時間を、処置を知らされていない訓練された観察者によって、6分の試験のうちの最後の4分に関してスコア化した。
(オープンフィールド試験)
マウスを、60分の馴化時間で個々のオープンフィールド領域(長さ50cm×幅50cm×高さ38cm;San Diego Instruments、SanDiego、CA、USA)に入れた。次いで、マウスにそれぞれの薬物を注射し、さらに60分間で自発運動活性を評価した。移動距離は、TopScan v2.0(CleverSys、Inc、Reston、VA、USA)を使用して分析した。
(新奇環境による摂食抑制)
マウスを単独で飼育し、かつ新しい飼育ケージで24時間絶食させた。2つの通常食餌ペレットを、オープンフィールド領域(40×40cm)の中心にある正方形の食事台(10×10cm)に入れた。薬物を投与してから30分後または60分後に、マウスを領域の隅に誘導した。マウスが食餌を一口摂取するのに必要とした時間を、処置を知らされていない訓練された観察者によって、10分間にわたって記録した。試験後に、マウスを、あらかじめ秤量された食餌ペレットを収容したその飼育ケージに戻し、食餌を摂取するまでの待ち時間ならびに摂取量を10分間記録した。
(学習性無力感)
LHパラダイムは3つの異なる相、すなわち、回避不可能なショック訓練、LHスクリーニング、およびLH試験からなる。試験の回避不可能なショックの部分(1日目)に関しては、動物を、2つに仕切られたシャトルボックス(高さ34cm×幅37cm×深さ18cm;CoulbournInstruments、PA、USA)の一方に入れ、チャンバ間の扉を閉じた。5分の適応時間後、120回の回避不可能なフットショック(0.45mA、15秒持続、45秒の無作為化された平均ショック間インターバル)を、グリッド床を通して与えた。スクリーニングセッションの間(2日目)に、マウスを装置の2つのチャンバのうちの1つに5分間入れた。次いで、ショック(0.45mA)を与え、2つのチャンバ間の扉を同時に上げた。第2のチャンバへ渡ったら、ショックを終了した。動物が渡らなかった場合、3秒後にショックを終了した。回避可能なショックの合計30回のスクリーニング試験を、各試験間で平均30秒遅らせながら各マウスに与えた。スクリーニングしてから24時間後(3日目)に、無力行動を発症したマウス(最後の10回のスクリーニングショック中に5回超の逃亡失敗)に各薬物を投与した。LH試験期の間(4日目)に、動物を5分の適応時間後シャトルボックスに入れ、最初の5回の試験に関しては扉を開けると同時に、続いて次の40回の試験に関しては2秒遅らせて0.45mAショックを与えた。第2のチャンバへ渡ったら、ショックを終了した。動物がもう一方のチャンバへ渡らなかった場合、24秒後にショックを終了した。合計で45回の回避可能なショック試験を30秒の試験間インターバルで各マウスに与えた。逃亡失敗の回数を各マウスに関して記録した。
(慢性社会的敗北ストレスおよび社会的相互作用)
雄C57BL/6Jマウスに10日の慢性社会的敗北ストレスパラダイムを与えた。簡潔には、実験マウスを先住の攻撃的退役CD−1種の飼育ケージ(長さ43cm×幅11cm×高さ20cm)に誘導し、攻撃的行動に関して10分間あらかじめスクリーニングした。この物理的攻撃相の後で、マウスをプレキシガラス有孔仕切り板によって分割された先住のケージの反対側に移動し、飼育して、連続的な感覚的接触を維持した。このプロセスを3日間繰り返した。実験用マウスを新しい攻撃的CD−1マウスに1日おきに出会わせた。11日目に、試験マウスを、社会的相互作用/回避選択試験における感受性に関してスクリーニングした。社会的相互作用装置は、2つの同じサイズの末端チャンバおよび小さな中心チャンバから構成される、長方形の3室ボックス(マウス条件付け場所嗜好性チャンバ;Stoelting Co.、Wood Dale、IL、USA)、図7bを参照のこと)からなる。社会的相互作用/回避選択試験は2つの5分の相からなる。馴化期相中、マウスは空の装置を探索した。試験相中、一方は「見慣れない」CD−1マウスを含み、他方は空の2つの小さなワイヤケージ(Galaxy Cup、Spectrum Diversified Designs、Inc.、Streetsboro、OH、USA)を、各チャンバの隅に離して置いた。「見慣れない」マウスとの相互作用に費やした(ケージの近くに鼻を入れた)時間対空のケージとの相互作用に費やした時間を、TopScanビデオトラッキングソフトウェア(CleverSys、Reston、Virginia)を使用して分析した。自発運動活性(5分かけて移動した総距離)および中心チャンバを出入りした全横断の数をまた、測定した。社会的相互作用比率を、「見慣れない」との相互作用に費やした時間を空のケージとの相互作用に費やした時間で割ることによって計算した。社会的相互作用比率1.0超を有するマウスは立ち直りが早いと考えられ、社会的相互作用比率1.0未満を有するマウスは感受性が強いと考えられた。13日目に、立ち直りが早いマウスおよび感受性が強いマウスに生理食塩水、(R,S)−KET(20mg/kg;C57BL/6Jマウスにすでに有効であった用量に基づいて選択された31)、MK−801(0.1mg/kg)または(2R,6R)−HNK(20mg/kg)のいずれかのi.p.注射を行った。15日目(処置から24時間後)に、マウスに、社会的相互作用/回避に関して再試験を行った。
(プレパルス抑制)
音響驚愕ボックス(SR−LAB、San Diego Instruments)中でマウスに個々に試験を行った。薬物投与後、マウスを、30分の馴化時間で驚愕チャンバに入れた。さらに5分の適応時間とともに実験を開始し、その間にマウスを、一定の背景雑音(67dB)、続いて5つの初期驚愕刺激(120dB、40m秒それぞれ持続)に曝露した。その後、動物を5つの異なる試験タイプ:パルス単独試験(120dB、40m秒持続)、76、81および86dBの白色雑音バーストの3つのプレパルス試験(20m秒持続)、その後120dBパルスで100m秒、および背景(67dB)非刺激試験に曝露した。これらの試験を無作為にそれぞれ5回与えた。ケタミンの用量選択(30mg/kg)は、先行研究で行われた用量反応研究に基づいた。百分率プレパルス抑制(%PPI)を、以下の式:[(パルス単独試験の大きさ−プレパルス+パルス試験の大きさ)/パルス単独試験の大きさ]×100を使用して計算した。
[慢性コルチコステロン誘発快感消失症試験]
(スクロース嗜好性試験)
ベースラインスクロース嗜好性を評価するために、マウスを単独で24時間飼育し、水道水または1%スクロース溶液のいずれかを含む2つの同一の瓶を与えた。ベースラインスクロース測定後、マウスを再編成して飼育し(1ケージあたりマウス5匹)、水の瓶に入れたコルチコステロン(25μg/mLに相当する)で4週間処理した。どの行動測定を開始する前にも、コルチコステロン12.5μg/mLを3日間、コルチコステロン6.25μg/mLを3日間、続いて薬物の完全な中止を1週間で、動物のコルチコステロン処置を中止した。その後、マウスを新しい飼育ケージで単独で飼育し、水道水または1%スクロース溶液のいずれかを含む2つの瓶を与えた。24時間後、快感消失症表現型を発症したマウス(<55%スクロース嗜好性)を、生理食塩水または(2R,6R)−HNK(10mg/kg)で処理し、さらに24時間後にスクロース嗜好性を測定した。
(雌尿においかぎ試験)
別のマウスのコホートを、上述のように慢性コルチコステロン投与パラダイムで同じく処理し、24時間後、快楽行動の測定のように雌尿においかぎ嗜好性を評価した。マウスを新しい飼育ケージで単独で飼育して、10分間馴化した。その後、1本のにおいのない綿棒をケージ壁の中心に固定し、30分間、マウスに綿棒のにおいをかがせ、馴化させた。次いで、においのない綿棒を取り出し、一方は新鮮な雌マウス発情期尿をしみ込ませ、もう一方は新鮮な雄マウス尿をしみ込ませた2つの綿棒アプリケーターと置き換えた。これらのアプリケーターを同時に与え、かつケージ壁の2カ所の隅に固定した。雌と雄の両方の尿に関するにおいかぎ時間を、訓練された観察者によって3分間の間にスコア化した。24時間後に、快感消失症表現型を発症したマウス(<55%雌尿嗜好性;感受性が強い表現型)ならびにマウス快感消失症表現型を発症しなかったマウス(>65%雌尿嗜好性;立ち直りが早い表現型)を生理食塩水または(2R,6R)−HNK(10mg/kg)のいずれかで処理し、24時間後に雌尿嗜好性に関して再テストを行った。
[ロータロッド]
ロータロッド試験を実施し、ケタミン、(2S,6S)−HNKおよび(2R,6R)−HNKの運動協調性に対する効果を比較した。実験は、2相:訓練相(4日間)および試験相(1日間)からなる。それぞれの訓練日に、5つの試験(試験時間:3分)を実施し、試験間インターバルを2分とした。マウスを個々にロータロッド装置(IITC Life Science;Woodland Hills、CA、USA)上に乗せ、ローター(直径3.75インチ)を3分にわたって5から20RPMに加速した。落下するまでの待ち時間を各試験に関して記録した。最後の訓練日の間に、落下するまでの待ち時間が平均100秒未満の動物を実験から除外した。試験日に(5日目)、マウスに生理食塩水、(R,S)−KET(10mg/kg)、(2S,6S)−HNK(25または125mg/kg)または(2R,6R)−HNK(25または125mg/kg)の注射(i.p.)を行い、注射してから5、10、15、20、30および60分後に、訓練日に関して述べた同様の手順を使用して回転ロッドで試験を行った。
[薬物弁別]
マウスに、その最初の体重の85%に達するまで食餌を制限し、実験期間にわたって85%を維持した。動物を、標準的な2レバーオペラント条件付けチャンバ(Coulbourn Instruments、Whitehall、PA、USA)中で、毎日30分のセッションにおいて定率強化5(FR5)で、食餌(20mgスクロースペレット;TestDiet、St.Luis、MO、USA)のためにレバーを押すように訓練した。安定な反応が3連続セッションにわたって成功したときに、(平均で40回の訓練セッション)、二重交替スケジュール(例えば、ケタミン、ケタミン、生理食塩水、生理食塩水)で、ケタミン(10mg/kg)と生理食塩水(7.5mL/kg)を弁別するようにマウスを訓練した。対象に、ケタミン(10mg/kg;i.p.)または生理食塩水(7.5mL/kg)のいずれかを与えてから15分で、30分のセッションを開始した。正しいレバーに反応すると、報酬を与えるが、間違いに反応すると、正しいレバー反応に関するFRをリセットした。マウスが以下の基準に達したときに、薬物弁別試験セッションを実施した。(1)初回FR5が正しいレバーで完了した、および(2)セッション全体にわたって正しいレバー反応が85%以上。試験セッションの間、マウスに生理食塩水(7.5mL/kg)、ケタミン(10mg/kg)、フェンサイクリジン(PCP;3mg/kg)または(2R,6R)−HNK(10および50mg/kg)を投与した。この段階で、いずれのレバーのFR5も完了させ、食餌報酬を与えた。反応およびペレット投与の記録を、自動コンピュータシステム(Graphic Statev3.1;Coulbourn Instruments、Whitehall、PA、USA)で管理し、計算した。
[脳波(EEG)実験]
(外科手術)
EEG実験を、レイバー(Raver)ら(Neuropsychopharmacology、38、2338−2347(2013))に従い、わずかに修正して行った。マウスをイソフルレンで麻酔にかけ、外科手術の間、麻酔を維持した。F20−EET無線遠隔測定送信機(Data Sciences International、Minneapolis、MN)を皮下に埋め込み、そのリードを、硬膜を越えて前頭皮質(ブレグマに対して1.7mm前方)および小脳(ブレグマに対して6.4mm後方)上に埋め込んだ。外科手術から7日間で動物を回復させてから、記録した。
(EEG記録)
マウスを単独で飼育し、行動部屋に24時間馴化させてから、EEGを記録した。EEGは、Dataquest A.R.T.収集システム(Data Sciences International)を使用して記録し、前頭EEG記録は小脳を参照した。ベースラインEEGを記録し(10分)、続いて、生理食塩水、ケタミン(10mg/kg)または(2R,6R)−HNK(10mg/kg)のi.p.注射を行い、注射後の40分を記録した。
(In Vivoデータ分析)
特注MATLABスクリプト(Version 2012a、Mathworks、MA)およびChronux Toolbox(http://chronux.org;ミスラ(Mitra)およびボキル(Bokil),2008)のmtspecgramcルーチンを使用してECoGを分析した。各帯域幅(δ=1〜3Hz;θ=4〜7Hz;α=8〜12Hz;β=13〜29Hz;γ=30〜80Hz)における振動力を、各動物に関するスペクトログラムから、10分のビンで、コンピュータで計算した。
[ケタミンおよび代謝産物の組織分布およびクリアランス測定]
薬物を投与してから10、30、60、240または480分後に、マウスを3%イソフルレンに30秒曝露することによって安楽死させ、断頭した。動脈血を、EDTAを含む管に収集し、8000rpmで6分間(4℃)遠心分離した。血漿を収集し、分析まで−80℃で保管した。全脳を同時に収集し、リン酸緩衝生理食塩水ですすぎ、ドライアイスでただちに凍結し、分析まで−80℃で保管した。
ケタミンおよびその代謝産物の、血漿および脳組織における濃度を、アキラル液体クロマトグラフィ−タンデムマススペクトロメトリーによって判定した。血漿試料に関しては、(R,S)−ケタミン、(R,S)−ノルケタミン、(2R,6R;2S,6S)−HNKおよび(R,S)−DHNKに関する校正基準は10,000ng/mL〜19ng/mLの範囲であった。(R,S)−ケタミン、(R,S)−ノルケタミン、(R,S)−DHNK、およびHNK立体異性体の定量化は、D−ケタミン(10μg/mL溶液10μL)を内部標準として使用した面積比率を計算することによって行われた。全脳を、水:メタノール(3:2、v/v)990μLに懸濁し、D−ケタミン(10μg/mL10μL)を添加し、得られた混合物を、氷上でポリトロンホモジナイザーを用いてホモジネートし、21,000×gで30分間遠心分離した。上清を収集し、1mLのOasis HLB固相抽出カートリッジ(Waters Corp.、Waltham、MA)を使用して処理した。カートリッジを、メタノール1mL、続いて水1mL、次いで酢酸アンモニウム[10mM、pH9.5].1mLを用いてプレコンディショニングした。上清、続いて水1mLをカートリッジに添加し、化合物をメタノール1mLで溶出した。溶出液を、分析用のオートサンプラーバイアルに移した。(R,S)−ケタミン、(R,S)−ノルケタミン、(R,S)−DHNKおよび(2R,6R;2S,6S)−HNKの分析に関するQC標準は、10,000ng/mL〜19ng/mLの範囲であり、定量化は、D4−(R,S)−ケタミンを内部標準として使用して行った。QC標準は、適切な標準溶液10μLおよび内部標準溶液(100ng/mL)10μLをメタノールへ添加することによって毎日調製した。
[化学的説明]
図1fおよび5で示すように、ケタミンは、in vivoでP450酵素変換を介して代謝される。(i)(R,S)−ケタミン(KET)を選択的に脱メチル化し、(R,S)−ノルケタミン(ノルKET)が得られる。(ii)次いで、ノルKETを脱水素化し、(R,S)−デヒドロキシノルケタミン(DHNK)を得ることができる。(iii)あるいは、ノルKETをヒドロキシル化し、ヒドロキシノルケタミン(HNK)を得ることができる。(iv)(R,S)−KETをまた6位でヒドロキシル化し、E−6−ヒドロキシケタミン((2S,6R;2R,6S)−HK))またはZ−6−ヒドロキシケタミン((2S,6S;2R,6R)−HK))のいずれかを得ることができる。(v)(2S,6S;2R,6R)−HKを脱メチル化すると、(2S,6S;2R,6S)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)が生成される。(vi)(2S,6S;2R,6R)−HKを脱メチル化すると、(2S,6S;2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン(HNK)がさらに得られる。略語:DHNK、デヒドロキシノルケタミン;HK、ヒドロキシケタミン;HNK、ヒドロキシノルケタミン;KET、ケタミン。
ラセミ(2,6)−ヒドロキシノルケタミンの構造は、ルーン(Leung)およびベイリー(Baillie)(J.Med.Chem.,(1986)29:2396−2399)によって報告された。この化合物は(Z)−6−ヒドロキシノルケタミンとしても知られている。
(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンの構造もIUPAC名、(2R,6R)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシシクロヘキサノンとして既知であり、
である。
(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミンの構造もそのIUPAC名(2S,6S)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシシクロヘキサノンとして既知であり、
である。
本開示は、ヒドロキシノルケタミンおよびジヒドロノルケタミンのすべての立体異性体を含む。
(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミンおよび(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンは以下の合成スキームに従って調製される。以下の考察において、(2R,6R−HNK)をもたらす中間体は、番号2A、3A、4A、5A、および6Aで示される。
(2S,6S)−HNKに関する合成経路
6,6−ジジューテロケタミン塩酸塩に関する合成経路
[2R,6R−HNKおよび2S,6S−HNKの合成]
((S)−)−ノルケタミン(2)のキラル分割)
ラセミノルケタミン(22.7グラム、101mmol)(Cayman Chemicals、AnnArbor、MI、USA、Hong、S.C.&Davisson、J.N.、J.Pharm.Sci.(1982)71:912−914に記載されているように調製した)をメタノール(58mL)に溶解し、メタノール(227mL)中の(2S,3S)−(D)−(−)−酒石酸(17.1グラム)を添加した。反応物を室温で16時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーションによって部分的に除去した。2−ブタノン(100mL)を添加し、溶媒をロータリーエバポレーションによってさらに除去し、固体ノルケタミンD−酒石酸塩を得た。固体材料を還流アセトン6.0Lに溶解した。反応混合物をろ過し、撹拌せずに室温で2日間冷却した。細針様低密度結晶を収集し、S−ノルケタミンD−酒石酸塩6.0グラムを得た。ろ液を、他の鏡像異性体を後で単離するために確保した。(S)−ノルケタミンD−酒石酸塩を、加温アセトンからさらに3回再結晶させ、エナンチオ純度を改善し、(S)−ノルケタミンD−酒石酸塩3.2グラムを得た。旋光度を測定し、文献値と比較し、絶対立体化学を確認し、同時に鏡像異性体過剰が97%超であることをキラルHPLCによって判定した。次いで、S−ノルケタミンD−酒石酸塩を、水酸化ナトリウム水溶液で処理することによって遊離塩基に変換し、酢酸エチルで抽出した。有機相を取り出し、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、(S)−ノルケタミン(2)を白色結晶質の固形物として得た。HNMRスペクトルは報告されたスペクトルと一致した。遊離塩基を、酒石酸塩を1N水酸化ナトリウム水溶液と処理することによって形成し、酢酸エチルで抽出し、ロータリーエバポレーションによって有機溶媒を除去した。
キラルHPLC:97%ee.(Chiralpak AD、ヘキサン中の60%エタノール、1mL/分、室温:5.01分)。
[α] 20:(+)−55°(c1.0、HO、D−酒石酸塩)、(+)−57度(c2.0、HO、D−酒石酸塩塩)と比較した。
((R)−ノルケタミン(2A)のキラル分割)
(R)−ノルケタミン(2A)を、(2S,3S)−(D)−(−)−酒石酸の代わりに(2R,3R)−(L)−(+)−酒石酸をキラル分割剤として使用したことを除いて、(S)−ノルケタミンのものと類似の方法で生成した。キラルHPLC:98%ee.(ChiralpakAD、ヘキサン中の60%エタノール、1mL/分、rt:6.83分)[α] 20:(−)−53°(c1.0、HO、L−酒石酸塩)
((S)−tert−ブチル(1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート(3)の合成)
トルエン(100mL)中の(S)−ノルケタミン(2)(1.85g、8.27mmol)の溶液へ、炭酸カリウム(3.43g、24.8mmol)およびBOC無水物(2.71g、12.4mmol)を添加した。反応物を80℃に加熱し、16時間撹拌した。次いで、反応物を冷却し、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄した。有機層を取り出し、溶媒を真空中で除去し、粗製生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン中の0%〜60%酢酸エチル)で精製し、最終生成物(3)を白色固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.42 - 7.28 (m, 2H), 7.28 - 7.13 (m, 1H), 6.59 (s, 1H), 3.83 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 2.45 - 2.36 (m, 1H), 2.36 - 2.25 (m, 1H), 2.04 (ddq, J = 11.5, 5.5, 3.0 Hz, 1H), 1.89 - 1.56 (m, 4H), 1.29 (s, 9H).
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 209.0, 153.4, 135.1, 133.7, 131.5, 130.9, 129.2, 126.2, 79.0, 67.1, 39.4, 38.4, 30.8, 28.2, 22.3.
HRMS (ESI+): 予想値346.1186 [M+Na]+ (C17H22ClNO3Na). 実測値346.1180.
[α]D 20: (+)-39.5°(C=1.0, CH2Cl2).
((R)−tert−ブチル(1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート(3A)の合成)
表題化合物を、(S)−ノルケタミンの代わりに(R)−ノルケタミンを利用して、(S)−tert−ブチル(1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート(3)と類似の方法で調製した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.85 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 8.0, 1.4 Hz, 2H), 7.30 - 7.21 (m, 1H), 6.61 (s, 1H), 3.84 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 2.47 - 2.37 (m, 1H), 2.38 - 2.29 (m, 1H), 2.09 - 2.02 (m, 1H), 1.86 - 1.62 (m, 4H), 1.31 (s, 9H).
13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 209.0, 153.4, 135.0, 133.7, 131.5, 130.8, 129.2, 126.2, 79.0, 67.1, 39.4, 38.4, 30.8, 28.2, 22.3.
HRMS (ESI+): 予想値346.1186 [M+Na]+ (C17H22ClNO3Na). 実測値346.1188.
[α]D 20: (-)-60.7°(c1.0, CH2Cl2).
(tert−ブチル((1S,3S)−1−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−オキソシクロヘキシル)カルバメートの合成)
THF(100mL)中の(S)−tert−ブチル(1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート3(6.5グラム、20.1mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミド(THF/ヘプタン/エチルベンゼン中2.0M、26mL、2.6eq.52.2mmol)を注射器で添加した。反応物を−78℃で1時間撹拌し、次いで、室温で5分間加温した。反応物を−78℃に冷却し、クロロトリメチルシラン(5.7グラム、2.6eq.、52.2mmol)を原液のまま注射器で添加した。反応物を−78℃で30分間撹拌し、次いで室温で30分にわたって加温した。次いで、反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れることによりクエンチした。酢酸エチルを得られた混合物へ添加し、有機相を分離し、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、粗製エノールエーテル4を固形物として得、これをさらに精製せずにただちに使用した。エノールエーテル4(7.8グラム)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、窒素雰囲気下で−15℃(氷−塩化リチウム)に冷却した。次いで、3−クロロペル安息香酸(5.0グラム、1.1eq.)を固形物のまま添加した。反応物を−15℃で1時間撹拌し、次いで温度を室温に上昇させ、さらにジクロロメタン100mLを添加した。反応物をさらに0.5時間撹拌した。次いで、反応物を、50/50の飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液および飽和重炭酸ナトリウム水溶液の混合物に注ぎ入れることによりクエンチした。反応物をジクロロメタン中に抽出し、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。次いで、テトラヒドロフラン(100mL)を粗製材料へ添加した。反応物を−5℃に冷却し、テトラブチルブチルアンモニウムフッ化物(THF中1.0M、25mL、1.2eq.)を添加した。反応物を2分間撹拌してから、飽和重炭酸ナトリウム水溶液へ添加することによりクエンチした。酢酸エチル中に抽出し、続いてロータリーエバポレーションによって溶媒を除去し、粗製最終生成物5を得た。シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン中の0%〜70%酢酸エチル)で精製し、精製最終生成物を固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.80 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.34 (ddd, J = 8.8, 7.1, 1.4 Hz, 2H), 7.29 - 7.18 (m, 1H), 6.60 (s, 1H), 4.12 (dd, J = 11.8, 6.7 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 3.38 (s, 1H), 2.36 (ddq, J = 13.1, 6.5, 3.2 Hz, 1H), 1.74 (ddt, J = 7.8, 5.7, 2.8 Hz, 2H), 1.69 - 1.59 (m, 1H), 1.59 - 1.40 (m, 1H), 1.30 (s, 9H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 209.9, 153.3, 134.1, 133.8, 131.4, 131.0, 129.7, 126.3, 79.4, 72.4, 66.7, 40.4, 38.8, 28.2, 19.6.
HRMS (ESI+): 予想値362.1135 [M+Na]+ (C17H22ClNO4Na). 実測値362.1134.
[α]D 20: (+)-60.7°(c 1.0, CHCl3).
(tert−ブチル((1R,3R)−1−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート(5A)の合成)
表題化合物を、S−鏡像異性体の代わりに(R)−tert−ブチル(1−(2−クロロフェニル)−2−オキソシクロヘキシル)カルバメートを利用して、(tert−ブチル((1S,3S)−1−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート5と類似の方法で調製した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.80 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 8.5, 6.9 Hz, 2H), 7.32 - 7.21 (m, 1H), 6.60 (s, 1H), 4.12 (ddd, J = 11.5, 8.9, 6.3 Hz, 1H), 3.92 - 3.83 (m, 1H), 3.37 (d, J = 6.5 Hz, 1H), 2.36 (ddq, J = 13.0, 6.5, 3.2 Hz, 1H), 1.74 (dq, J = 6.4, 3.2, 2.5 Hz, 2H), 1.63 (dq, J = 16.8, 9.2, 8.2 Hz, 1H), 1.59 - 1.40 (m, 1H), 1.30 (s, 9H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 209.9, 153.3, 134.1, 133.8, 131.4, 131.0, 129.7, 126.3, 79.4, 72.4, 66.7, 40.4, 38.8, 28.2, 19.5.
HRMS (ESI+): 予想値362.1135 [M+Na]+ (C17H22ClNO4Na). 実測値362.1134.
[α]D 20: (-)-63.7°(c1.0, CHCl3).
((2S,6S)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシシクロヘキサノン塩酸塩((2S,6S)−(+)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩)(6)の合成)
ジクロロメタン(10mL)中のtert−ブチル((1S,3S)−1−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−オキソシクロヘキシル)カルバメート5(4.85グラム)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(11.0mL、10eq.)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。次いで、溶媒およびトリフルオロ酢酸(TFA)をロータリーエバポレーションによって除去した。得られたTFA塩を水に溶解し、50/50の飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和炭酸カリウム水溶液の混合物で洗浄し、酢酸エチル(2×)で抽出し、遊離塩基を得た。酢酸エチルをロータリーエバポレーションによって除去した。酢酸エチル(4mL)を添加し、ジオキサン中のHCl(4.0M、6.0mL)を添加した。白色固形物がすぐに沈殿した。懸濁液を30秒間かき混ぜ、次いで、固形物をろ過除去し、真空下で乾燥し、所望の最終生成物を得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.92 - 7.81 (m, 1H), 7.66 - 7.50 (m, 3H), 4.28 (dd, J = 11.7, 6.6 Hz, 1H), 3.19 (dd, J = 14.0, 3.0 Hz, 1H), 2.30 (dddd, J = 12.2, 6.6, 4.1, 2.3 Hz, 1H), 1.80 - 1.70 (m, 2H), 1.68 - 1.52 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 206.8, 134.0, 132.1, 131.6, 130.5, 130.0, 128.3, 73.0, 67.0, 38.4, 37.1, 18.7.
キラルHPLC: 98.3% ee (Chiralpak ADカラム, ヘキサン中60%エタノール, 1.0 mL/分, rt = 6.0 分.)
HRMS (ESI+): 予想値240.0786 [M+H]+ (C12H15ClNO2). 実測値240.0782.
[α]D 20: (+)-95°(c 1.0, H2O).
((2R,6R)−2−アミノ−2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシシクロヘキサノン塩酸塩((2R,6R)−(−)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩)(6A)の合成)
表題化合物を、S,S−鏡像異性体の代わりにtert−ブチル((1R,3R)−1−(2−クロロフェニル)−3−ヒドロキシ−2−オキソシクロヘキシル)カルバメートを利用して、(2S,6S)−(+)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩(6)のものと類似の方法で調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 7.94 - 7.83 (m, 1H), 7.62 - 7.53 (m, 3H), 4.29 (dd, J = 11.6, 6.7 Hz, 1H), 3.19 (dd, J = 14.0, 3.0 Hz, 1H), 2.30 (dddd, J = 12.2, 6.6, 4.1, 2.3 Hz, 1H), 1.99 - 1.82 (m, 2H), 1.82 - 1.56 (m, 2H) ppm.
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 206.8, 134.0, 132.1, 131.6, 130.5, 130.1, 128.3, 73.3, 67.0, 38.4, 37.2, 18.7 ppm.
キラルHPLC: 98.3% ee (Chiralpak ADカラム, ヘキサン中60%エタノール, 1.0 mL/分, rt = 7.9 分)
HRMS (ESI+): 予想値262.0605 [M+Na]+ (C12H14ClNO2Na). 実測値262.0605
[α]D 20: (-)-92°(C=1.0, H2O).
[2−(2−クロロフェニル)−6,6−ジジューテロ−2−(メチルアミノ)シクロヘキサノン塩酸塩(6,6−ジジューテロケタミン塩酸塩)(8)の合成]
重水酸化ナトリウム(酸化ジューテリウム中30%、3.0mL)を、テトラヒドロフラン(8.0mL)および酸化ジューテリウム(3.0mL)の混合物中のケタミン塩酸塩のラセミ体(0.80グラム、2.9mmol)の溶液へ添加した。反応物を、密閉されたバイアル中、120℃で2時間マイクロ波照射することによって加熱した。反応物を冷却し、酢酸エチルで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を取り出し、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、粗製生成物を得た。逆相液体クロマトグラフィ(0.1%トリフルオロ酢酸を含む、水中の5%〜95%アセトニトリル)で精製して、精製TFA塩を得た。遊離塩基を形成し、TFA塩を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄することによって単離し、酢酸エチルで抽出した。HCl(ジオキサン中4.0M)を添加することによってHCl塩を形成し、得られた白色固形物をろ過し、表題化合物を白色固形物として得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 7.94-7.88 (m, 1H), 7.66-7.57 (m, 3H), 3.41-3.34 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 2.27-2.20 (m, 1H), 1.93-1.83 (m, 2H), 1.83-1.69 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 208.6, 136.1, 134.1, 133.6, 133.5, 129.9, 129.4, 73.8, 40.3 (七重線, JC-D = 21 Hz, 1C), 37.6, 31.2, 28.1, 23.0.
HRMS (ESI+): 予想値240.1119 [M+H]+, (C13H15D2ClNO). 実測値240.1120
[(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩のX線結晶学]
単結晶X線回折研究を、MoKα放射線(λ=0.71073Å)を備えたBruker Kappa APEX−IICCD回折計で行った。対象化合物の結晶を、50/50ジクロロエタン/メタノール溶液を緩徐蒸発させることによって成長させた。0.227×0.215×0.106mmの無色ブロック片を、パラトン油を含むCryoloopに取り付けた。窒素ガス流中、100(2)Kで、φおよびωスキャンを使用して、データを収集した。結晶から検出器の距離は40mmであり、曝露時間は2.0°の走査幅を使用して1フレーム当たり5秒であった。データ収集は25.00°θに対して100%完了であった。インデックス、−9≦h≦9、−9≦k≦9、−14≦l≦14を網羅する合計9466回の反射を収集した。2949回の反射によって、0.0376のRintを有し、対称性が独立であることが認められた。インデックス付け(Indexing)および単位格子精密化によって、基本的な単斜格子が示された。空間群はP2であることが認められた。データを、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを使用して積分し、SADABSソフトウェアプログラムを使用してスケール補正した(scaled)。直接法(SHELXT)による解から、提案された構造と一致する完全な相モデルを得た。
すべての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXL−2014)によって異方性的に精密化した。水素原子に結合しているすべての炭素を、ライディングモデルを使用して、配置した。これらの位置を、適切なHFIXコマンドを使用して、SHELXL−2014でこれらの親原子に対して制約した。すべての他の水素原子(H結合)を別のマップに示した。その相対的な位置を、DFIXコマンドを使用して拘束し、これらの熱を制限せずに精密化した。分子の絶対立体化学を、異常分散によって、パーソンズの方法を使用し、−0.001のFlackパラメータを用いて確立した。結晶構造の図を図14に示す。結晶学的データは表1〜6に要約する。
[(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン塩酸塩のX線結晶学]
単結晶X線回折研究を、MoKα放射線(λ=0.71073Å)を備えたBruker Kappa APEX−IICCD回折計で行った。対象化合物の結晶を、イソプロパノール溶液を緩徐蒸発させることによって成長させた。0.157×0.131×0.098mmの無色ブロック片を、パラトン油を含むCryoloopに取り付けた。窒素ガス流中、100(2)Kで、φおよびωスキャンを使用して、データを収集した。結晶から検出器の距離は40mmであり、曝露時間は2.0°の走査幅を使用して1フレーム当たり3秒であった。データ収集は25.00°θに対して100%完了であった。インデックス、−9≦h≦9、−9≦k≦9、−14≦l≦14を網羅する合計7618回の反射を収集した。2927回の反射によって、0.035のRintを有し、対称性が独立であることが認められた。インデックス付けおよび単位格子精密化によって、基本的な単斜格子が示された。空間群はP2であることが認められた。データを、Bruker SAINTソフトウェアプログラムを使用して積分し、SADABSソフトウェアプログラムを使用してスケール補正した。直接法(SHELXT)による解から、提案された構造と一致する完全な相モデルを得た。
すべての非水素原子を、完全行列最小二乗法(SHELXL−2014)によって異方性的に精密化した。水素原子に結合しているすべての炭素を、ライディングモデルを使用して、配置した。これらの位置を、適切なHFIXコマンドを使用して、SHELXL−2014でこれらの親原子に対して制約した。すべての他の水素原子(H結合)を別のマップに示した。その相対的な位置を、DFIXコマンドを使用して拘束し、これらの熱を制限せずに精密化した。分子の絶対立体化学を、異常分散によって、パーソンズの方法を使用し、0.023(32)のFlackパラメータを用いて確立した。結晶構造の図を図15に示す。結晶学的データは、表7〜12に要約する。
[医薬組成物]
本明細書において開示される化合物は、そのままの化学物質として投与することができるが、好ましくは医薬組成物として投与される。したがって、本開示は、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを唯一の活性剤として含んでいてもよいが、1つ以上の追加の活性剤を含んでいてもよい。特定の実施形態において、医薬組成物は、約1mg〜約5000mg、約10mg〜約1000mg、または約50mg〜約500mgの活性剤であって、精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン、またはこれらの組合せである活性剤、および任意選択で約0.1mg〜約2000mg、約10mg〜約1000mg、約100mg〜約800mg、または約200mg〜約600mgの追加の活性剤を含む、単位剤形としての経口剤形である。
本明細書において開示される化合物は、経口で、局所で、非経口で、吸入あるいは鼻腔用スプレによって、舌下で、経皮で、頬側投与を介して、直腸で、点眼薬として、または他の手段によって、従来の薬学的に許容される担体を含む投薬単位製剤として投与してもよい。医薬組成物は、任意の薬学的に有用な形態として、例えば、エアロゾル剤、クリーム剤、ゲル剤、ピル剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、経皮パッチ、または点眼薬として配合されていてもよい。錠剤およびカプセル剤などのいくつかの剤形は、適切な量、例えば、所望の目的に達するような有効量の活性構成成分を含む好適なサイズの単位用量にさらに分割される。
担体としては、賦形剤および希釈剤があり、治療する患者に投与するために好適となるよう、十分に高純度であり、かつ毒性が十分に低くなければならない。担体は不活性とすることができるか、それ自体が薬学的利点を有することができる。化合物と併用して用いられる担体の量は、化合物の単位用量によって投与するために、材料の実量を提供するのに十分である。
担体の種類としては、これらに限定されるものではないが、結合剤、緩衝化剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、流動化剤(glident)、滑沢剤、保存料、安定化剤、界面活性剤、錠剤化剤、および湿潤剤がある。いくつかの担体を、1種類を超えて挙げてもよく、例えば、植物油を、いくつかの製剤における滑沢剤、および他のものにおける希釈剤として使用してもよい。例示的な薬学的に許容される担体としては、糖、デンプン、セルロース、粉末トラガカント、モルト、ゼラチン;タルク、および植物油がある。本発明の化合物の活性を実質的に妨げない任意の活性剤が、医薬組成物に含まれていてもよい。
医薬組成物は、経口投与用に配合することができる。好ましい経口剤形は、1日1回または2回の投与用に配合される。これらの組成物は、0.1から99重量%(wt.%)の間の(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを含む。いくつかの実施形態は、約25wt.%〜約50wt.%または約5wt.%〜約75wt.%の(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを含む。
[治療方法]
治療方法は、特定の投薬量の(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを患者に提供することを含む。各活性剤の投薬量レベルである1日あたり体重1キログラムあたり約0.1mg〜約140mgは、上記に示す状態の治療において有用である(1日あたり患者1名あたり約0.5mg〜約7g)。担体材料と組み合わせ、単一単位剤形を製造してもよい活性成分の量は、治療する患者および個別の投与様式によって変わる。
特定の実施形態において、治療的有効量は、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグの血漿Cmax約0.25mcg/mL〜約125mcg/mL、または約1mcg/mL〜約50mcg/mLを提供する量である。本開示はまた、1用量あたり約0.2mg〜約500mgの(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを提供する静脈用医薬組成物を含み、末梢適応に関しては、約0.5mg〜約500mg/用量を提供する化合物が好ましい。
治療方法としては、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを、追加の活性剤または他の治療法と一緒に投与する併用方法を含む。追加の活性剤または他の治療法の投与の順序がHNKの投与の前後であってもよい場合、併用投与としては、同時投与、平行投与、および連続投与がある。
治療方法としては、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを、心理療法、認知行動療法、曝露療法、系統的脱感作、マインドフルネス、弁証法的行動療法、対人関係療法、眼球運動による脱感作と再処理、社会リズム療法、アクセプタンス&コミットメントセラピ(acceptance and commitment therapy)、家族焦点化療法、力学的精神療法、光療法、コンピュータ療法、認知療法、運動、または他のタイプの治療法と併用して投与する方法がある。
治療方法としては、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグを、電気痙攣療法、経頭蓋磁気刺激、脳深部電気刺激の使用、神経調節デバイス、または他の神経調節性療法の使用と併用して投与する方法がある。
(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグは、投与される唯一の活性剤であってもよく、または追加の活性剤と一緒に投与してもよい。例えば、HNK活性剤は、次のCNS活性剤:d−シクロセリン、デキストロメトルファン、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、デュロキセチン、セルトラリン、シタロプラム、ブプロピオン、ベンラファクシン、デュロキセチン、ナルトレキソン、ミルタザピン、ベンラファクシン、アトモキセチン、ブプロピオン、ドキセピン、アミトリプチリン、クロミプラミン、ノルトリプチリン、ボルチオキセチン、ビラゾドン(vilazadone)、ミルナシプラン、レボミルナシプラン(levomilacipran)、プラミペキソール、ブスピロン、リチウム、甲状腺もしくは他の種類のホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロ)、アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、カリプラジン、クロザピン、ロクサピン、ルラシドン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ガバペンチン、ラモトリジン、フェニトイン、プレガバリン、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、ミノサイクリン、リバスチグミン、リルゾール、トラミプロセート、ケタミン、またはこれらの薬学的活性塩もしくはプロドラッグ、または前述の組合せのいずれかから選択される他の活性剤と一緒に投与してもよい。
前に列挙する追加の活性剤は、完全な包含よりむしろ例示的であることを意味する。上記列挙に含まれない追加の活性剤を、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、またはこれらの塩、水和物、もしくはプロドラッグと組み合わせて投与してもよい。追加の活性剤は、その承認済みの添付文書に従って投薬されることになるが、いくつかの実施形態において、追加の活性剤は、典型的な処方用量よりも少なく、場合によっては承認済みの最小用量より少なく投薬されることになる。
本開示は、抑うつ障害を治療する方法であって、化合物の有効量が、抑うつ症状を低下させるために有効な量であり、抑うつ症状の低下が、抑うつ症状評価尺度で特定された症状の50%以上の低減、またはHRSD17でスコア7以下、またはQID−SR16で5以下、またはMADRSで10以下の達成であることを特徴とする方法を含む。同様に本開示はまた、本開示の化合物の有効量を投与することを含む、不安障害、快感消失症、疲労、および自殺念慮を治療する方法であって、化合物の有効量が、不安障害の症状を低下させるのに十分な量、または不安症、快感消失症、疲労もしくは自殺念慮に関する症状評価尺度で、不安障害、快感消失症、もしくは自殺念慮の症状を臨床的に有意に減少させるのに十分な量であることを特徴とする方法を提供する。
[一般的な方法]
(薬物)
(R,S)−ケタミン、(S)−ケタミン、デシプラミン、MK−801、フェンサイクリジン(PCP)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USA)、(R)−ケタミン(Cayman Chemicals、Ann Arbor、MI、USA)およびNBQX(National Institute of Mental Health Chemical Synthesis and Drug Supply Program)を0.9%生理食塩水に溶解した。(2S,6S)−HNKおよび(2R,6R)−HNKを、実施例で述べるように合成した。本開示において述べるように、(2S,6S)−HNK、(2R,6R)−HNK、および6,6−ジジューテロケタミン塩酸塩を、国立先進トランスレーショナル科学センタ(National Center for Advancing Translational Sciences)およびSRIインターナショナル(SRI International)(MenloPark、CA、USA)で、どちらも内部的に合成し特徴付けた。(2S,6S)−HNKおよび(2R,6R)−HNKに関する絶対および相対立体化学を、小分子x線結晶学によって、本開示において述べるように確認した。
すべての薬物を0.9%生理食塩水に溶解し、腹腔内(i.p.)で、7.5mL/kg体重の容量で投与した。コルチコステロン(4−プレグネン−11β、21−ジオール−3、20−ジオン21−ヘミスクシネート;Steraloids、Newport、RI、USA)を水道水に溶解した。電気生理学的記録に関しては、被験薬物を人工脳脊髄液(ACSF)で希釈した。
[化学的方法]
すべての市販されている試薬および溶媒を購入し、さらに精製せずに使用した。すべてのマイクロ波反応は、磁気撹拌子を備えた密閉マイクロ波用バイアル中で行い、Biotage Initiator Microwave Synthesizerで加熱した。HNMRおよび13CNMRスペクトルは、Varian 400 MHzまたはVarian 600 MHz分光器で、CDODまたはCDCl中で、表示されたとおりに記録した。CDODにおけるスペクトル記録に関しては、化学シフトを、HNMRスペクトルの参照としてCDOD(3.31MHz)および13CNMRスペクトルの参照としてCDOD(49.0MHz)を用いてppmで報告する。あるいはCDClにおけるスペクトル記録に関しては、化学シフトを、ジューテロクロロホルムに対するppmで報告する(HNMRに関しては7.26ppm、13CNMRに関しては77.23ppm)。カップリング定数(J値)は、ヘルツ(Hz)として報告する。ピーク分裂パターンは、シングレット(s);ダブレット(d);トリプレット(t);カルテット(q);マルチプレット(m)およびセプテット(セプテット)として述べた。試料は、純度に関しては、Luna C18(3mm×75mm、3μm)逆相カラムを備えたAgilent 1200系LC/MSで、λ=220nmおよびλ=254nmにおけるUV検出で分析した。移動相は、構成成分Aとして0.05%トリフルオロ酢酸を含む水、および構成成分Bとして0.025%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルからなる。直線勾配は、以下のとおりに流速0.8mL/分で流した。0分4%B;7分100%B;8分100%B。高分解マススペクトル(HRMS)は、Agilent 6210 Time−of−Flight(TOF)LC/MS系で記録した。旋光度は、PerkinElmerモデル341旋光計で10cmセルを使用して、589nMおよび室温で測定した。
キラル分析は、Agilent 1200系HPLCを用いて、分析用キラルパックADまたはOJカラム(4.6mm×250mm;5μm)を使用して行った。移動相は、構成成分Aとして0.1%ジエチルアミンを含むエタノール、および構成成分Bとして0.1%ジエチルアミンを含むヘキサンからなる。アイソクラチック勾配を0.4mL/分で60%Aを用いて流した。
[生物学的方法]
(MK−801置換結合)
結合を前述のように行った。被験化合物を、50mMトリスHClで、0.05nM〜50μMの範囲の連続希釈によって調製した。放射リガンド、[3H]−MK−801を、5nMの最終濃度に希釈した。放射リガンド50μLを、50mMトリスHCl(pH8.0)100μLおよび被験化合物を50μL含む96ウェルプレートのウェルへ分注した。ラット脳を、10mMエチレンジアミンテトラ酢酸、pH8.0を含む氷冷50mMトリスHCl緩衝剤50倍体積でホモジネートした。ホモジネートを35,000×gで15分間遠心分離した。得られたペレットを、冷却した50mMトリスHCl(pH8.0)に再懸濁し、26ゲージ針に数回通すことによってホモジネートした。得られた上清50μLを各ウェルへ分注した(最終反応体積:250μL)。反応物を室温で1.5時間インキュベートし、光曝露から遮蔽し、次いで、急速ろ過によって、0.3%ポリエチレンイミンにあらかじめ浸したWhatmanGF/Bガラス繊維フィルタ上に、96ウェルBrandel収集器を使用して収集した。非特異的結合を低減するために、冷却した標準的な結合緩衝液500μLで4回洗浄した。その後、フィルタを6mLのシンチレーション管に入れ、一晩乾燥し、次いでシンチレータをフィルタメイト(filter mate)上で融解し、フィルタに保持された放射能を、Microベータシンチレーションカウンタで計数した。すべてのアッセイを2回繰り返した。
[ウエスタンブロット]
シナプトニューロソームを精製するために、マウス前頭葉前皮質または海馬を切断し、Syn−PER試薬(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA、USA;カタログ番号87793)中で1×プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA、USA;カタログ番号78440)とともにホモジネートした。ホモジネートを、1,200×g、4℃で10分間遠心分離した。上清を、15,000×gで20分間遠心分離した。遠心分離後、上清のペレット(シナプトソーム分画)を再懸濁し、N−PER神経タンパク質抽出試薬(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA、USA;カタログ番号87792)中で超音波処理した。全均質組織溶解物に関しては、マウス前頭葉前皮質または海馬をホモジネートし、N−PER神経タンパク質抽出試薬中で、1×プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテルとともに超音波処理した。タンパク質濃度をBCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA、USA;カタログ番号23227)によって判定した。
ウエスタンブロットに関しては、等量のタンパク質(10〜40μg、各抗体に対して最適なように)を、試料ごとに、電気泳動用NuPage4〜12%ビストリスゲルにロードした。タンパク質を転写したニトロセルロース膜を、TBST(TBS+0.1%Tween20)中の5%乳で1時間ブロッキングし、一次抗体とともに4℃で一晩置いた。以下の一次抗体を使用した。ホスホ−eEF2(Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA;カタログ番号2331)、総eEF2(Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA;カタログ番号2332)、ホスホ−mTOR(Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA;カタログ番号2971)、総mTOR(Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA;カタログ番号2983)、GluR1(Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA;カタログ番号2983)、GluR2(Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA;カタログ番号13607)、BDNF(Santa Cruz Biotechnology、Dallas、Texas、USA;カタログ番号sc−546)、およびGAPDH(Abcam、Cambridge、MA、USA;カタログ番号ab8245)。翌日、ブロットをPBSTで3回洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート抗マウスまたは抗ウサギ二次抗体(1:5000〜1:10000)とともに1時間インキュベートした。最後にTBSTで3回洗浄した後、バンドを、増強化学発光(ECL)を使用してSyngene画像化システム(G:Box ChemiXX9)を用いて検出した。画像化した後、次いでブロットをストリッピング緩衝液(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA、USA;カタログ番号46430)中、室温で10〜15分間インキュベートし、続いてTBSTで3回洗浄した。ストリッピングしたブロットを、ブロッキング溶液中で1時間洗浄し、総レベルのそれぞれのタンパク質またはローディング対照用のGAPDHに対する一次抗体とともにインキュベートした。各タンパク質に関するホスホ免疫反応性および総免疫反応性バンドの濃度分析を、Syngene’s GenToolsソフトウェアを使用して実施した。免疫活性を、生理食塩水で処理された対照群に対してタンパク質ごとに正規化した。
[統計分析]
すべての統計分析を、StatisticaソフトウェアV10(StatSoft Inc.、Bedford、UK)を使用して行った。使用した特定の統計試験を延長したデータ表1で報告する。ANOVA、続いて有意性に達した場合に(すなわち、p<0.05)、Holm−sidak事後比較を行った。
<実施例1:抗うつモデルにおけるケタミン、ケタミン鏡像異性体、およびデシプラミン>
ケタミンおよび古典的三環系抗うつデシプラミンの抗うつ効果を、雄CD−1マウスにおいて、強制水泳試験(FST)の1時間(急性)および24時間(慢性)の時点で比較した(強制水泳試験;図1a)。10mg/kgの用量でケタミンを投与すると、FSTにおいて急性および持続性用量依存性抗うつ効果が生じるが、デシプラミンのみでは、注射から1時間後に不動時間が減少した。
NMDA阻害が、ケタミンの抗うつ効果の基本的な主機構であるかどうかを解明するために、ケタミンおよび非競合的NMDA受容体拮抗薬MK−801の効果をFSTで比較し、ケタミンとMK−801の両方の抗うつ反応が急性的に観察された。ケタミンのみが24時間後に持続性の効果を示した(図1e)。さらに、ケタミンの鏡像異性体(S)−および(R)−ケタミンの効果をFST(図1g)、新奇環境摂食抑制(NSF;図1c)および学習性無力感(LH;図1d)試験で評価した。
ケタミン作用のNMDA仮説によって、(S)−ケタミンの優れた有効性が予測されるが、それは(R)−ケタミンよりも約4倍強力なNMDA受容体阻害剤であるために、最新の発見と一致する本結果は、これらすべての抗うつ予測課題において(R)−ケタミンの優れた潜在力、(S)−ケタミンと比較して(R)−ケタミンの脳レベルが高くならない効果を実証する(図6c〜6e)。これらの発見によって、ケタミンの抗うつ反応の基礎となる好ましい非NMDA機構が示される。R−ケタミンの脳レベルが高いことが判定されると、活性代謝産物としての2R,6R−HNKが確立される。
この発見は、代替のNMDAR拮抗薬にはケタミンの頑強な、即効性の、または持続性の抗うつ特性がないことを示すヒト治療試験の結果と一致する(ニューポート(Newport)、DJら、Am.J.Psychiat.(2015)172:950−066.)。図1eは、ケタミンと異なり、ケタミンと同じ受容体部位に結合するNMDAR拮抗薬MK−801は、FSTにおいて持続性の(24時間)抗うつ様効果、または慢性社会的敗北ストレスによって誘発される社会的相互作用障害の回復を与えないことを示す(図7)。
<実施例2:ケタミンの代謝および運動実験>
ケタミンは、ノルケタミン、ヒドロキシケタミン(HK)、HNK、およびデヒドロノルケタミン(DHNK)を含む広範囲の代謝産物へ立体選択的に代謝される(図1f、図5)。ケタミン投与後は、(2S,6S;2R,6R)−HNKが、マウスの血漿および脳(図6a,6b)ならびにヒトの血漿で認められる主要代謝産物である。
ケタミンの(2S,6S;2R,6R)−HNKへの代謝が、その抗うつ作用に必須であるかどうかを直接判定するために、ケタミンを、C6位で重水素化した(6,6−ジジューテロケタミン)。重水素化によって、代謝産物、2S,6S−HNKおよび2R,6R−HNKへのケタミン代謝が阻止される。
実際に、6,6−ジジューテロケタミンは、NMDA−介在性運動亢進は変化させないが(図8c,8d)、脳におけるケタミンレベルを変化させずに、その(2S,6S;2R,6R)−HNKへの代謝を頑強に阻害する(図2a〜2c)。ケタミンとは異なり、6,6−ジジューテロケタミンを投与すると、投与から24時間後にFST(図2d)またはLH(図2e)で抗うつ作用は誘導されず、ケタミンの持続性抗うつ効果における(2S,6S;2R,6R)−HNKの重要な役割を示す。特に、ヒトデータによって、ケタミンの抗うつ反応と血漿(2S,6S;2R,6R)−HNK代謝産物レベルとの間に正の相関が示される。
<実施例3:抗うつモデルにおけるケタミン、ケタミン鏡像異性体、および(2S,6S;2R,6R)−HNK>
これらの性別依存性抗うつ差が、雄対雌におけるケタミンの異なる薬物動態プロファイルによって説明されるかどうかを調べるために、ケタミンが注射されたマウスの脳および血漿においてケタミンおよびその代謝産物のレベルを測定した。(2S,6S;2R,6R)−HNKは、マウスの血漿および脳(図6a,6b)、ならびにヒト血漿で認められる主要なHNK代謝産物である。図1gは、雌マウスにおけるケタミンの優れた抗うつ潜在力を示し、雌ラットにおけるケタミン抗うつ反応が、雄と比較して高められていることを示す先の根拠と類似している。これらの差は、ケタミン誘発性運動亢進における性差と関連せず、これはNMDAR阻害が介在すると推定される(図8a,8b)。
これらの性別依存性抗うつ差が、ケタミンの雄対雌での異なる薬物動態プロファイルによって予測されるかどうかを調べるために、ケタミンが投与された後のマウス脳においてケタミンおよびその代謝産物のレベルを評価した。ケタミンおよびノルケタミンは同レベルで認められたが、(2S,6S;2R,6R)−HNKは雄と比較して雌マウス脳において約3倍以上高く(図1h〜1j)、ケタミンの抗うつ効果における(2S,6S;2R,6R)−HNKの主要な役割が示唆された。本発見はヒトデータによって支持される。ケタミンの抗うつ反応と血漿(2S,6S;2R,6R)−HNK代謝産物レベルとの間の正の相関を示す。
(2S,6S)−または(2R,6R)−HNKが、ケタミン様抗うつ効果を与えるかどうかを直接判定するために、24時間FST、NSFおよびLHパラダイムにおけるこれらの行動的効果を評価した。図2f、2gおよび図9a、9bは、(R)−ケタミンのみに由来し、したがって(R)−ケタミンの(S)−ケタミンと比較して優れた抗うつ作用と一致する、(2R,6R)−HNK代謝産物を投与した後のより強力な抗うつ効果を示す(図1b〜1d)。(2R,6R)−HNKの優れた抗うつ効果は、(2S,6S)−HNKと比較して薬物の脳レベルが高いことに起因しない(図9c)。さらに、(2R,6R)−HNKを投与すると、LH、NSFおよびFST試験において用量依存性抗うつ作用が生じる(図9b,9d,9e)。無力感の発症は、重度のストレスに対する不適応な反応であるため、LHにおける結果は重要である。これは、同様の神経生物学的現象が発生すると考えられるヒト外傷後ストレス障害に匹敵する。NSFにおける結果は、SSRIの慢性投与に対してのみ感受性がある不安試験において急速な発現を示すために重要である。ケタミンと同様に、(2R,6R)−HNKを単回で投与すると、FSTにおいて持続的な抗うつ効果が誘発され、少なくとも3日間持続した(図9f)。特に、(2R,6R)−HNKを単回で投与すると、スクロース嗜好性および雌尿においかぎ行動課題で評価されたような慢性コルチコステロン誘発快感消失症(図9g,9h)、ならびに慢性社会的敗北ストレスによって誘発された社会的回避(図2h;図9i〜9j)が回復した。これらのデータは、快感消失症の改善を示すために重要であり、統合失調症において発症するもののような抑うつと潜在的に無関係である。さらに、ケタミンの後の自殺念慮の低減は、抑うつ症状自体よりはむしろ快感消失症の低減と関連があり、自殺企図の急速な治療に対する(2R,6R)−HNKの能力が示された。
<実施例4:AMPA活性>
ヒトと齧歯動物の両方におけるケタミン活性神経回路の評価に使用する非侵襲方法は、ガンマ帯出力の定量的脳波記録(qEEG)測定である。本開示は、ケタミンと同様に、(2R,6R)−HNKを投与すると、in vivoで表面電極によって測定されたガンマ出力は、急激に増加し(図3a,3b)、自発運動活性の変化と非依存的であり、かつアルファ振動、ベータ振動、デルタ振動またはシータ振動の変化を伴わない(図11a〜11e)ことを示す。ガンマ出力振動は、AMPA受容体を含む高速イオンチャネル型興奮性受容体(fast ionotropic excitatory receptors)の活性化を反映することが示された。重要なことには、AMPA受容体拮抗薬2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン(NBQX)をあらかじめ投与すると、ガンマ出力における(2R,6R)−HNK−誘発性の増加が妨げられ、したがって、AMPA受容体が(2R,6R)−HNK作用機構に関与することを示す(図11f〜11k)。(2R,6R)−HNKの行動抗うつ効果が、in vivoでのAMPA受容体活性化を必要とするかどうかを試験するために、ケタミンで先に示したものと同様に、マウスをNBQX、続いてケタミンまたは(2R,6R)−HNK(10分後)で前処理し、1時間後(図3c)または24時間(図3d)にFSTで試験を行った。NBQXを前処置すると、1時間と24時間の両方で、(2R,6R)−HNKの抗うつ効果が妨げられ、その効果はAMPA受容体の急激な活性化に依存することを示した。
AMPA受容体が関与するシナプス可塑性の変化によって、ケタミンの基礎となる長期抗うつ作用が示された。本開示は、ケタミンを投与しても、(2R,6R)−HNKも投与しても、処置してから1時間後の海馬シナプトニューロソームにおけるGluR1およびGluR2のレベルは変化しないと同時に(図3e)、これらは両方とも、処置してから24時間後のマウス海馬におけるGluR1およびGluR2レベルを高めるが(図3f)、前頭葉前皮質シナプトニューロソームにおいては高めない(図12g,12h)ことを示す。24時間FSTの30分前(抗うつ処置をしてから23.5時間後)にNBQXを投与すると、ケタミンと(2R,6R)−HNKの両方の抗うつ作用が妨げられ、持続性の、24時間、抗うつ作用に関与しているシナプスAMPA受容体における増加と一致する(図10)。総合的に、これらの発見は、(2R,6R)−HNKの抗うつ効果の基礎となるシナプス可塑性のAMPA受容体活性化−依存性の開始および維持を示唆する。
<実施例5:MTOR、EEF2、およびBDNFに対する効果>
根拠によって、mTORシグナル伝達、eEF2脱リン酸化を介したタンパク質合成、ならびにBDNFシグナル伝達は、ケタミンの抗うつ反応の基礎となることが示される。(2R,6R)−HNKの投与は、mTOR(Ser2448)およびeEF2のリン酸化、または海馬および前頭葉前皮質のシナプトニューロソーム分画におけるBDNFレベルに影響するかどうかを調べた。ケタミンまたは(2R,6R)−HNKをマウスの海馬または前頭葉前皮質に投与した後に、mTORのリン酸化の制御は観察されなかった(図12a,12b,12i,12j)。しかし、ケタミンは、注射してから1時間および24時間後に(前頭葉前皮質ではなく)海馬におけるeEF2リン酸化の減少、および24時間後に海馬BDNFの減少を誘発した。(2R,6R)−HNKの投与によってこれらの効果は繰り返された(図12c,12d,12k,12l,12e,12f,12m,12n)。
<実施例6:皮質ガンマ出力に対する効果>
ガンマ出力振動は、AMPA受容体を含む高速イオンチャネル型興奮性受容体の活性化を表すと仮定されてきた。ヒトと齧歯動物の両方におけるケタミンによる前頭葉前部回路の活性化を評価するために使用される非侵襲的方法は、ガンマ帯出力の定量的脳波記録(qEEG)測定である。ガンマ出力におけるケタミン誘発性の増加は、グルタミン酸放出、またはAMPA受容体活性化のいずれかを阻害した後に消失し、グルタミン酸−およびAMPA−依存性機序を示す。本実験は、ケタミンと同様に、(2R,6R)−HNKを投与すると、皮質ガンマ出力は急激に増加し(図4a〜4e)、ケタミンによって誘発される自発運動活性の変化と非依存的であり、かつアルファ振動、ベータ振動、デルタ振動またはシータ振動の変化を伴わない(図11a〜11k)ことを示す。
<実施例7:(2R,6R)−HNKは、ケタミンと比較して、自発運動活性または運動失調を増加させない>
(2S,6S)−HNKの投与(図4a)は、自発運動活性および運動失調の増加と関連するが(図4c)、(2R,6R)−HNKは、運動において任意の有意な変化を誘導せず、かつ加速ロータロッド試験における協調性に影響を与えない(図4b,4d)。本開示は、(2R,6R)−HNKの投与は、高用量(375mg/kg)でさえも、プレパルス抑制(図4e)または驚愕振幅(図13a)で評価されたように感覚運動ゲーティング(sensorimotor gating)に影響を与えないことを示す。ケタミンおよびフェンサイクリジンを含む非競合的NMDAR拮抗薬は、薬物弁別手順において弁別刺激効果を与え、かつ抗うつに関連する適切な用量範囲で交差薬物代替プロファイル(cross−drug substitution profiles)を示した。ケタミンで訓練したマウスにおいて、(2R,6R)−HNKの投与は、ケタミン関連弁別反応をもたらさないが、フェンサイクリジン(PCP)(図4f、4g;図13b、13c)は、乱用薬物ケタミンおよびPCPとは異なり、内受容性効果を含む(2R,6R)−HNK作用に関する非NMDAR機構をさらに支持する。総合的に、(2R,6R)−HNKを投与すると、ケタミンと比較して無害な副作用プロファイルが示された。
<実施例8:プレパルス阻害>
(2R,6R)−HNKが、音響驚愕反応のプレパルス抑制を阻害するかどうかの試験を行うために実験を行った。本実験は、(2R,6R)−HNK投与は、高用量(375mg/kg)でさえも、プレパルス抑制(図4e)または驚愕振幅(図13a)に影響を与えないことを示す。ケタミンを含む非競合的NMDA受容体拮抗薬は、薬物弁別手順において弁別刺激効果を与え、かつ抗うつに関連する適切な用量範囲で交差薬物代替プロファイルを示した。ここで、(2R,6R)−HNK投与は弁別刺激行動を与えないが、PCP投与は、ケタミン様弁別特性を与えることが示された(図4g;図13b、13c)。さらに、(2R,6R)−HNKは、刺激様運動亢進をまったく誘導せず、この代謝産物に関する安全な副作用プロファイルを示す。
[具体的な実施形態]
本開示は、以下の具体的な実施形態を含む。
実施形態1.精神病性抑うつ、自殺念慮、重篤気分調節障害、持続性抑うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、他の病状による抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害、特定不能の抑うつ障害、分離不安障害、選択性緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作(特定用語)、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬品誘発性不安障害、他の病状による不安障害、他の特定の不安障害、快感消失症、外傷後ストレス障害、特定不能の不安障害、および精神または医薬状態と関連する疲労(例えば、慢性疲労症候群、癌もしくは他の医学的状態またはこれらの障害または状態を治療するための医薬と関連する疲労)を治療する方法であって、精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン、これらのプロドラッグ、前述のいずれかの薬学的に許容される塩、または前述のいずれかの組合せである活性剤の有効量を含む医薬組成物を投与することを含むことを特徴とする方法。
実施形態2.実施形態1の方法であって、活性剤が、精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンまたはその塩であることを特徴とする方法。
実施形態3.実施形態1の方法であって、活性剤が、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミンまたはその塩であることを特徴とする方法。
実施形態4.実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法であって、患者に活性剤を追加の活性剤、心理療法、話し合い療法、認知行動療法、曝露療法、系統的脱感作、マインドフルネス、弁証法的行動療法、対人関係療法、眼球運動による脱感作と再処理、社会リズム療法、アクセプタンス&コミットメントセラピ、家族焦点化療法、力学的精神療法、光療法、コンピュータ療法、認知療法、運動、または他のタイプの治療法と一緒に投与することを特徴とする方法。
実施形態5.実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法であって、医薬組成物が、経口、静脈内、腹腔内、鼻腔内皮下、舌下、髄腔内、経皮、頬側、膣内、または直腸剤形である剤形で投与されることを特徴とする方法。
実施形態6.実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法であって、単位剤形が、1mg〜5000mg、1mg〜2000mg、1mg〜1000mg、1mg〜500mg、1mg〜50mg、10mg〜200mg、10mg〜500mg、または10mg〜200mgの活性剤の量を含むことを特徴とする方法。
実施形態7.実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法であって、0.005mg/kg〜50mg/kg、0.01mg/kg〜10mg/kg、0.05mg/kg〜10mg/kg、または0.1mg/kg〜5mg/kgの活性剤が、患者に24時間周期で投与されることを特徴とする方法。
実施形態8.実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法であって、剤形が、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回で患者に投与されることを特徴とする方法。
実施形態9.実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法であって、剤形が、点滴として10分〜24時間、30分〜12時間、10分〜10時間、10分〜4時間、または30分〜4時間にわたって患者に投与されることを特徴とする方法。
実施形態10.精神病性抑うつ、自殺念慮、重篤気分調節障害、持続性抑うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、他の病状による抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害、特定不能の抑うつ障害を治療する実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法であって、化合物の有効量が抑うつ症状を低下させるのに有効な量であり、抑うつ症状の低下が、
抑うつ症状評価尺度で特定された症状の50%以上の低減、または
HRSD17でスコア7以下、または
QID−SR16で5以下、または
MADRSで10以下
の達成であることを特徴とする方法。
実施形態11.疲労を治療するための実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法であって、化合物の有効量が、疲労症状を低下させるのに有効な量であり、疲労症状の低下が、疲労症状評価尺度で特定された疲労症状の50%以上の低減の達成であることを特徴とする方法。
実施形態12.分離不安障害、選択性緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作(特定用語)、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬品誘発性不安障害、他の病状による不安障害、他の特定の不安障害、および特定不能の不安障害を治療する実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法であって、有効量が、 不安症状を低下させるのに有効な量であり、不安症状の低下が
不安症状評価尺度で50%以上の不安症状の低減、または
STAIaスコアで39以下、または
BAIで9以下、または
HADS−Aで7以下
の達成であることを特徴とする方法。
実施形態13.快感消失症を治療する実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法であって、有効量が、快感消失症を低下させるのに有効な量であり、快感消失症の低下が、快感消失症評価尺度で快感消失症の臨床的に有意な低下の達成であり、快感消失症評価尺度が、スネイス−ハミルトン幸福感尺度(SHAPSおよびSHAPS−C)または幸福感尺度の時間的経験(TEPS)であることを特徴とする方法。
実施形態14.自殺念慮を治療する実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法であって、有効量が、自殺念慮を低下させるのに有効な量であり、自殺念慮の低下が、自殺念慮評価尺度で自殺念慮の臨床的に有意な低下の達成であり、自殺念慮評価尺度が、自殺念慮尺度(SSI)、自殺状態評価表(SSF)、またはコロンビア自殺重症度評価尺度(C−SSRS)であることを特徴とする方法。
実施形態15.実施形態1から14のいずれか1つに記載の方法であって、患者がヒトであることを特徴とする方法。特定の実施形態において、患者は、家畜動物などの非ヒト動物またはネコまたはイヌなどのコンパニオンアニマルであってもよい。
実施形態16.実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法であって、患者が、ケタミン不応答者であるかまたはケタミン応答者であるかを判定すること、およびケタミン不応答者またはケタミン応答者である患者の状態に基づいて効果的な量の活性剤を投与することをさらに含むことを特徴とする方法。さらなる実施形態は、実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法であって、請求項1で挙げられる障害のうちのいずれか1つが実施形態で挙げられる唯一の障害であることを特徴とする方法を含む。

Claims (16)

  1. 精神病性抑うつ、自殺念慮、重篤気分調節障害、持続性抑うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、他の病状による抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害、特定不能の抑うつ障害、分離不安障害、選択性緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作(特定用語)、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬品誘発性不安障害、他の病状による不安障害、他の特定の不安障害、快感消失症、外傷後ストレス障害、特定不能の不安障害、または疲労を治療する方法であって、
    精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミン、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミン、これらのプロドラッグ、これらの前述のもののいずれかの薬学的に許容される塩またはこれらの組合せである活性剤の有効量を薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記活性剤が、精製(2R,6R)−ヒドロキシノルケタミンまたはその塩であることを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    前記活性剤が、精製(2S,6S)−ヒドロキシノルケタミンまたはその塩であることを特徴とする方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記患者に、前記活性剤を追加の活性剤と一緒に投与する、または心理療法、話し合い療法、認知行動療法、曝露療法、系統的脱感作、マインドフルネス、弁証法的行動療法、対人関係療法、眼球運動による脱感作と再処理、社会リズム療法、アクセプタンス&コミットメントセラピ、家族焦点化療法、力学的精神療法、光療法、コンピュータ療法、認知療法、運動、または他のタイプの治療法と一緒に投与することを特徴とする方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記医薬組成物が、経口、静脈内、腹腔内、鼻腔内、皮下、舌下、髄腔内、経皮、頬側、膣内、または直腸剤形である剤形で投与されることを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、
    前記剤形の単位投薬量が、1mg〜5000mg、1mg〜1000mg、1mg〜500mg、または10mg〜200mgの前記活性剤の量を含むことを特徴とする方法。
  7. 請求項5に記載の方法であって、
    0.005mg/kg〜50mg/kg、0.05mg/kg〜10mg/kg、または0.1mg/kg〜5mg/kgの前記活性剤が、前記患者に24時間周期で投与されることを特徴とする方法。
  8. 請求項5または6に記載の方法であって、
    前記剤形が、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回で前記患者に投与されることを特徴とする方法。
  9. 請求項5から8のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記剤形が、点滴として10分〜24時間、または30分〜12時間、または30分〜4時間にわたって前記患者に投与されることを特徴とする方法。
  10. 精神病性抑うつ、自殺念慮、重篤気分調節障害、持続性抑うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/医薬品誘発性抑うつ障害、他の病状による抑うつ障害、他の特定の抑うつ障害、特定不能の抑うつ障害、または疲労を治療する請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記化合物の有効量が抑うつ症状を低下させるのに有効な量であり、抑うつ症状の低下が、
    抑うつ症状評価尺度で特定された症状の50%以上の低減、または
    HRSD17でスコア7以下、または
    QID−SR16で5以下、または
    MADRSで10以下
    の達成であることを特徴とする方法。
  11. 疲労を治療するための請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記化合物の有効量が、疲労症状を低下させるのに有効な量であり、疲労症状の低下が、疲労症状評価尺度で特定された疲労症状の50%以上の低減の達成であることを特徴とする方法。
  12. 分離不安障害、選択性緘黙症、特定恐怖症、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、パニック発作(特定用語)、広場恐怖症、全般性不安障害、物質/医薬品誘発性不安障害、他の病状による不安障害、他の特定の不安障害、および特定不能の不安障害を治療する請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
    有効量が、不安症状を低下させるのに有効な量であり、不安症状の低下が
    不安症状評価尺度で50%以上の不安症状の低減、または
    STAIaスコアで39以下、または
    BAIで9以下、または
    HADS−Aで7以下
    の達成であることを特徴とする方法。
  13. 快感消失症を治療する請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
    有効量が、快感消失症を低下させるのに有効な量であり、快感消失症の低下が、快感消失症評価尺度で快感消失症の臨床的に有意な低下の達成であり、前記快感消失症評価尺度が、スネイス−ハミルトン幸福感尺度(SHAPSおよびSHAPS−C)または幸福感尺度の時間的経験(TEPS)であることを特徴とする方法。
  14. 自殺念慮を治療する請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、
    有効量が、自殺念慮を低下させるのに有効な量であり、自殺念慮の低下が、自殺念慮評価尺度で自殺念慮の臨床的に有意な低下の達成であり、前記自殺念慮評価尺度が、自殺念慮尺度(SSI)、自殺状態評価表(SSF)、またはコロンビア自殺重症度評価尺度(C−SSRS)であることを特徴とする方法。
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記患者がヒトであることを特徴とする方法。
  16. 請求項1から13のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記患者が、ケタミン不応答者であるかまたはケタミン応答者であるかを判定すること、およびケタミン不応答者またはケタミン応答者である前記患者の状態に基づいて効果的な量の活性剤を投与することをさらに含むことを特徴とする方法。
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