JP2019511511A - カルボン酸を水素化してアルコールにするための方法 - Google Patents

カルボン酸を水素化してアルコールにするための方法 Download PDF

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Abstract

炭素原子数を維持しながら、カルボン酸又はそれらの混合物をアルコールに、100〜300℃の温度及び10〜33MPa(絶対圧)の圧力で、反応管中に固定されたRe、Co及びCuの群からの元素少なくとも1つを含む固定床触媒を有する軸方向に流れる反応管中で、水素により連続水素化するための方法であって、水素化されるカルボン酸(I)が、カルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含む液体混合物(III)中に存在し、該混合物(III)が、0.2〜25mg KOH/gの酸価を有し、少なくとも15質量%の水を含み、少なくとも20質量%のアルコール(II)を含み、かつ触媒を含まない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速が10〜50m/hであることを特徴とする、前記方法。

Description

本発明は、一般式(I)
Figure 2019511511
[式中、X1は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)又は−CH=CH−基であり、かつY1は、H−、HOOC−又はHO−CH2−である]のカルボン酸又はそれらの混合物を、炭素原子数を維持しながら、一般式(II)
Figure 2019511511
[式中、X2は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)であり、かつY2は、H−又はHO−CH2−である]のアルコールに、100〜300℃の温度及び10〜33MPa(絶対圧)の圧力で、反応管中に固定されたRe、Co及びCuの群からの元素少なくとも1つを含む固定床触媒を有する軸方向に流れる反応管中で、水素により連続水素化するための方法に関する。
アルコールは、広い使用スペクトルを有する重要な化合物類である。したがって、それらは、例えば、高価な化合物の合成における溶媒として又は中間体として使用される。多くのアルコールの可能な合成経路は、炭化水素をカルボン酸に触媒酸化し、続いてそれらを触媒水素化することである。1,4−ブタンジオールは、したがって、n−ブタンを無水マレイン酸に酸化し、これを加水分解してマレイン酸を形成すること、及び/又はそれらのエステル化によりマレイン酸ジアルキルを形成して、続いて水素化する(ここで、コハク酸及び4−ヒドロキシブチル酸が中間体として形成される)ことにより工業的に得られる。1,6−ヘキサンジオールは、アジピン酸及び6−ヒドロキシカプロン酸の水素化により工業的に製造され、その際双方の酸は、シクロヘキサンのシクロヘキサノン及びシクロヘキサノールへの工業的酸化における副生成物として生じる。さらに、アジピン酸は、シクロヘキサノールの硝酸酸化による純物質としても得られる。1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールは、ポリマーの製造において重要な中間体である。
米国特許第5,698,749号(US 5,698,749)は、Re、W及びMoの群からの元素少なくとも1つを含む触媒上での出発材料としてマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、無水コハク酸、コハク酸ジメチルエステル又はガンマ−ブチロラクトンの水素化による1,4−ブタンジオールの製造を記載している。水素化は、不連続にオートクレーブ中で又は連続して固定床反応器中で単一パスで、50質量%までの出発材料の含有量を有する比較的高濃縮の水溶液を使用して実施される。
この操作方法の欠点は、未反応のカルボン酸の残量であり、これは、所望の生成物の収率の低下及び残留する酸に基づく生成物の品質の低下を導く。
米国特許第3,478,112号(US 3,478,112)は、Co、並びにCu、Cr及びMnの群からの元素少なくとも1つを含む触媒上で、カルボン酸を対応するアルコールに水素化することを記載している。水素化されるべきカルボン酸は、水溶液としても使用されてよい。さらに、該米国特許は、生成物アルコールによって希釈されたカルボン酸溶液の使用を教示している。水素化は、不連続にオートクレーブ中で又は連続して固定床反応器中で単一パスで実施される。
米国特許第3,478,112号において使用されるカルボン酸の希釈が教示されているにもかかわらず、出発溶液のカルボン酸含有量は、実施例から概算してカルボン酸約25〜50質量%の範囲と比較的高い。したがって、米国特許第5,698,749号の認知において挙げられるように、存在する残留酸による所望の生成物の収率の低下及び生成物の品質の低下の欠点は、米国特許第3,478,112号による方法にも適用される。
米国公開特許第2011/0,124,926号(US 2011/0,124,926)は、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンの導入下でのCo含有固定床触媒上での対応するカルボン酸、無水カルボン酸又はラクトンの水素化によるジオールの製造を教示している。水素化されるカルボン酸は、純物質で又は例えば水中又はアルコール中での溶液として使用されてよい。対応する希釈にもかかわらず、カルボン酸溶液の酸含有量は比較的高く、例えば実施例1において36質量%超である。水素化で発生される熱を除去するために、該US文献は、水素化産出物の部分返送を教示している。
この操作方法の欠点は、存在する残留酸による所望の生成物の収率の低下及び生成物の品質の低下を導く、反応器産出物中の比較的高い量の未反応カルボン酸である。したがって、実施例2には、NaOHの添加下でのアジピン酸及び6−ヒドロキシカプロン酸を含む混合物の水素化において、6−ヒドロキシカプロン酸1.4〜2.3質量%に加えて1,6−ヘキサンジオール27〜28質量%を含む反応器産出物を開示している。
独国特許第2,321,101号(DE 2,321,101)は、Co、Cu及びMn並びにMoを含む触媒上でカルボン酸を対応するアルコール水素化することを開示している。この水素化は、触媒固定床上で、又は水溶液及び/又はアルコール溶液中の懸濁液中で実施される。このDE公開公報は、希釈剤として生成物アルコールの使用も教示している。
独国特許第2,321,101号において教示される使用されるカルボン酸の希釈及び実施例1aにおいて得られる水素化混合物の部分返送にもかかわらず、反応器供給物のカルボン酸含有量は比較的高い。したがって、実施例1aにおける供給混合物は、62mg KOH/gの酸価を有し、かつ反応器産出物は、1.8mg KOH/gの酸価を有する。したがって、相当量の水素化されていない残留する酸が、反応器産出物に存在する。したがって、米国特許第5,698,749号の評価において挙げられる、存在する残留酸による所望の生成物の収率の低下及び製品の品質の低下の欠点は、独国特許第2,321,101号による方法にも適用される。
米国特許第4,940,805号(US 4,940,805)は、Coと、Cu、P及びMoからの群からの少なくとも1つの元素とを含む触媒上でのマレイン酸又はコハク酸及びそれらの無水物及びエステルの水素化による、1,4−ブタンジオール、テトラヒドロフラン及びガンマ−ブチロラクトンの製造が記載されている。水素化される出発材料は、溶融物として存在するか、又はアルコール中で溶解され、加えて水を含んでいてよい。水素化産出物を部分返送して潅液操作方法(Rieselfahrweise)又は液相操作方法(Sumpffahrweise)における触媒固定床上での連続水素化が、好ましい操作方法として挙げられる。
したがって、米国特許第4,940,805号における実施例1は、200g/hの前記溶液の新鮮な供給物及び9l/hの返送速度を有する潅液操作方法で、H3PO4、CoO、CuO、Mn34及びMoO3を含む固定床触媒上でのマレイン酸40質量%を含有する水溶液の水素化を記載している。これらの条件下で、使用したマレイン酸に対して29.6〜38.8%のみの1,4−ブタンジオールの収率に達した。
米国特許第4,940,805号に記載された方法の欠点は、相当量のテトラヒドロフラン及びガンマ−ブチロラクトンを含有する混合物の形成、及びしたがってこれに伴う1,4−ブタンジオールの低い収率である。
本発明の課題は、飽和又は不飽和カルボン酸の対応するアルコールへの連続水素化のための方法であって、前記欠点を有さないか又は大いに低減された欠点のみを有し、かつ特にカルボン酸の対応するアルコールへの実質的に完全な水素化を可能にし、同時にアルコールの顕著な過水素化を回避する方法を見出すことである。それに応じて、前記新規の方法は、対応するアルコールへの高い選択性で高いカルボン酸変換率を有すべきである。さらに、前記方法は、実施するために技術的に単純であり、かつジオール、例えば1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールの工業的製造からのカルボン酸をまだ含んでいる、比較的高い濃度のカルボン酸溶液の事前水素化により得られた蒸気の後水素化に適している。
驚くべきことに、一般式(I)
Figure 2019511511
[式中、X1は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)又は−CH=CH−基であり、かつY1は、H−、HOOC−又はHO−CH2−である]のカルボン酸又はそれらの混合物を、炭素原子数を維持しながら、一般式(II)
Figure 2019511511
[式中、X2は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)であり、かつY2は、H−又はHO−CH2−である]のアルコールに、100〜300℃の温度及び10〜33MPa(絶対圧)の圧力で、反応管中に固定されたRe、Co及びCuの群からの元素少なくとも1つを含む固定床触媒を有する軸方向に流れる反応管中で、水素により連続水素化するための方法であって、
水素化されるカルボン酸(I)が、カルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含む液体混合物(III)中に存在し、該混合物(III)が、
a)0.2〜25mg KOH/gの酸価を有し、
b)少なくとも15質量%の水を含み、
c)少なくとも20質量%のアルコール(II)を含み、かつ
d)触媒を含まない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速が10〜50m/hである
ことを特徴とする、前記方法を見出した。
本発明による方法のための出発材料は、水素化されるカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含む混合物(III)である。
カルボン酸(I)は、一般式(I)
Figure 2019511511
[式中、X1は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)又は−CH=CH−基であり、かつY1は、H−、HOOC−又はHO−CH2−である]のカルボン酸である。具体的に、水素化されるカルボン酸(I)の群は、
CH3−COOH (酢酸)、
CH3−CH2−COOH (プロピオン酸)、
CH3−(CH22−COOH (酪酸)、
CH3−(CH23−COOH (吉草酸)、
CH3−(CH24−COOH (カプロン酸)、
CH3−(CH25−COOH (エナント酸)、
CH3−(CH26−COOH (カプリル酸)、
CH3−(CH27−COOH (ペラルゴン酸)、
CH3−(CH28−COOH (カプリン酸)、
CH3−(CH29−COOH (ウンデカン酸)、
CH2=CH−COOH (アクリル酸)、
HOOC−CH2−COOH (マロン酸)、
HOOC−(CH22−COOH (コハク酸)、
HOOC−(CH23−COOH (グルタル酸)、
HOOC−(CH24−COOH (アジピン酸)、
HOOC−(CH25−COOH (ピメリン酸)
HOOC−(CH26−COOH (スベリン酸)、
HOOC−(CH27−COOH (アゼライン酸)、
HOOC−(CH28−COOH (セバシン酸)、
HOOC−(CH29−COOH (ウンデカン二酸)、
HOOC−(CH210−COOH (ドデカン二酸)、
シス HOOC−CH=CH−COOH (マレイン酸)、
トランス HOOC−CH=CH−COOH (フマル酸)、
HO−CH2−CH2−COOH (3−ヒドロキシプロピオン酸)、
HO−CH2−(CH22−COOH (4−ヒドロキシ酪酸)、
HO−CH2−(CH23−COOH (5−ヒドロキシ吉草酸)、
HO−CH2−(CH24−COOH (6−ヒドロキシカプロン酸)、
HO−CH2−(CH25−COOH (7−ヒドロキシエナント酸)、
HO−CH2−(CH26−COOH (8−ヒドロキシカプリル酸)、
HO−CH2−(CH27−COOH (9−ヒドロキシペラルゴン酸)、
HO−CH2−(CH28−COOH (10−ヒドロキシカプリン酸)、
HO−CH2−(CH29−COOH (11−ヒドロキシウンデカン酸)、
HO−CH2−(CH210−COOH (12−ヒドロキシドデカン酸)、
シス HO−CH2−CH=CH−COOH (4−ヒドロキシイソクロトン酸) 及び
トランス HO−CH2−CH=CH−COOH (4−ヒドロキシクロトン酸)
を含む。もちろん、言及したカルボン酸の混合物も可能である。
好ましくは、X1は、−(CH2n−基(nは1〜4に等しい)又は−CH=CH−基である。本明細書において好ましいカルボン酸(I)は、とりわけ、酢酸、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、5−ヒドロキシ吉草酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸及びそれらの混合物が好ましい。
特に、X1は、−(CH2n−基(nは2〜4に等しい)又は−CH=CH−基が好ましい。それらと独立して、Y1は、特に好ましくはHOOC−又はHO−CH2−基である。X1及びY1について特に好ましい基を考慮して、水素化されるカルボン酸(I)は、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、5−ヒドロキシ吉草酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸及びそれらの混合物である。
より特に好ましくは、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、マレイン酸、グルタル酸、5−ヒドロキシ吉草酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸及びそれらの混合物であり、殊にコハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、マレイン酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸及びそれらの混合物である。
前記カルボン酸(I)は、炭素原子数を維持しながら、一般式(II)
Figure 2019511511
[式中、X2は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)であり、かつY2は、H−又はHO−CH2−である]のアルコールに触媒により水素化される。−COOH基から、水素化によりそれぞれCH2OH基が形成される。カルボン酸(I)がさらに−CH=CH−基を含む場合に、−CH2−CH2−基がそれらから形成される。
使用されるカルボン酸(I)に応じて、それらから形成されるアルコール(II)のX2は、好ましくはnが1〜4に等しい−(CH2n−基である。これにより好ましいアルコールは、とりわけ、エタノール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びそれらの混合物が好ましい。
特に好ましくは、X2は、−(CH2n−基(nは2〜4に等しい)である。それらに独立して、Y2は、特に好ましくはHO−CH2−基である。X2及びY2について特に好ましい基を考慮して、アルコール(II)は、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びそれらの混合物であり、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びそれらの混合物である。
したがって、例えば、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、マレイン酸及びフマル酸が水素化されて1,4−ブタンジオールになり、グルタル酸及び5−ヒドロキシ吉草酸が水素化されて1,5−ペンタンジオールになり、アジピン酸及び6−ヒドロキシカプロン酸が水素化されて1,6−ヘキサンジオールになる。
既に言及しているように、アルコールの相当な過水素化を回避すると同時にカルボン酸の対応するアルコールへの実質的に完全な水素化が望ましい。驚くべきことに、これらの目的は、カルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含む液体混合物(III)であって、
a)0.2〜25mg KOH/gの酸価を有し、
b)少なくとも15質量%の水を含み、かつ
c)少なくとも20質量%のアルコール(II)を含む
液体混合物(III)を使用し、
水素化が、軸方向に流れる反応管中に固定されたRe、Co及びCuの群からの元素少なくとも1つを含む固定床触媒を有し、
d)触媒を含まない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速が10〜50m/hである
軸方向に流れる反応管中で100〜300℃の温度及び10〜33MPa(絶対圧)の圧力で、実施する場合に達せられることを見出した。
水素化されるカルボン酸(I)の含有量は、混合物(III)の酸価により定義される。酸価は、混合物中の酸性構成物の特徴付けのための化学的値である。それは、混合物1g中に含まれる酸を中和するために必要である水酸化カルシウムの質量(mgで)である。酸価は、
(i)20℃の温度で試験される混合物1.5gを、ピリジン10mL、テトラヒドロフラン50mL、水5mL、及びエタノール中でフェノールフタレイン0.1質量%を含む溶液10滴と混合すること、
(ii)前記混合物を、エタノール中で水酸化カリウム0.1mol%を含む溶液で滴定すること、
(iii)無色からピンクへ終点に達するまで添加した水酸化カリウムの量を測定すること、及び
(iv)測定した水酸化カリウムの量を混合物1gあたりの単位mg KOHに変換すること
により決定される。
本発明の方法において、水素化される混合物(III)の酸価は0.2〜25mg KOH/gである。この範囲に対応するカルボン酸(I)の量は、カルボン酸のモル質量に依存し、酸基の数にも依存する。したがって、水、アルコール及び一塩基カルボン酸の6−ヒドロキシカプロン酸(モル質量132.16g/mol)を含む混合物の場合に、この範囲は、6−ヒドロキシカプロン酸の0.047〜5.89質量%の含有量に対応する。二塩基のコハク酸を有する対応する混合物の場合に、この範囲は、コハク酸の0.021〜2.63質量%の含有量に対応する。
水素化される混合物(III)の酸価は、好ましくは≧0.5mg KOH/g、及び特に好ましくは≧1mg KOH/gであり、かつ好ましくは≦20mg KOH/g、特に好ましくは≦15mg KOH/g、及びより特に好ましくは≦10mg KOH/gである。
使用される混合物(III)中の水の含有量は、少なくとも15質量%であるが、混合物(III)において含まれるカルボン酸(I)の量を差し引いて多くても80質量%である。水の含有量は、好ましくは少なくとも20質量%、特に好ましくは少なくとも30質量%、及びより特に好ましくは少なくとも50質量%である。
使用される混合物(III)中のアルコール(II)の含有量は、少なくとも20質量%であるが、混合物(III)において含まれるカルボン酸(I)の量を差し引いて多くても85質量%である。アルコール(II)の含有量は、好ましくは少なくとも25質量%、特に好ましくは少なくとも30質量%、及びより特に好ましくは少なくとも45質量%である。
使用される混合物(III)中の水とアルコール(II)の含有量の合計は、好ましくは少なくとも60質量%、及び特に好ましくは少なくとも85質量%である。
水素化されるカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)に加えて、使用される混合物(III)は、種々の量でさらなる成分を含むことができる。したがって、混合物(III)中のカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)の含有量の合計は、≦100質量%である。混合物(III)が他の成分を含まない場合に、前記合計は100質量%である。混合物(III)が他の成分を含む場合に、前記合計は<100質量%である。混合物(III)中のカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)の含有量の合計は、好ましくは40〜100質量%である。
本発明の方法により使用される混合物(III)は、種々の起源であってよい。したがって、例えば個々の成分を混合することによって混合物(III)を製造することができる。しかしながら、カルボン酸(I)及び水を含む溶液の触媒による事前水素化により混合物(III)を得ることも可能であり、かつそれが一般にさらに有利である。これにより、確かにカルボン酸(I)はまず第一にアルコール(II)に水素化されるが、カルボン酸(I)のある程度の残留量が残っており、その結果得られた混合物はカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含んでいる。
反応器として、本発明の方法により、1つ以上の並列反応管を含む装置を使用する。反応管は、断面積CSA及び長さLにより特徴付けられる。一般に長さと断面積の平方根とからの比率は、以下である。
Figure 2019511511
L/√CSAは、好ましくは≧2、特に好ましくは≧5及びより特に好ましくは≧10であり、並びに好ましくは≦750、特に好ましくは≦500及びより特に好ましくは≦100である。複数の反応管を直列に接続した場合に、前記比率の計算のために、長さを加算し、長さを加重した断面積に関する平均値を使用する。絶対長、又は直列に接続した反応管の場合にそれらの合計は、通常0.5m〜50m、好ましくは≧1m、特に好ましくは≧4m、並びに好ましくは≦8m及び特に好ましくは≦10mである。
適した反応器の例として、シャフト反応器及び管束反応器が挙げられる。管束反応器は、複数の並列反応管の使用により特徴付けられる。たとえ定義により既に2つの並列に連結された反応管が管束反応器を形成していても、通常の1つの管束反応器における並列な管の数は50〜22000である。
通常、反応管は垂直に並べられる。それらは、軸方向に貫流し、上向きの操作方法(すなわち下から上に)でも、下向きの操作方法(すなわち上から下に)でも、液体混合物(III)と一緒に貫流してよい。気体状の水素の供給は、並流でも向流でも実施してよい。好ましくは、水素の供給は、並流で実施される。
水素化触媒として、本発明の方法によって、反応管に固定される固定床触媒が使用される。固定床触媒の固定は、通常、当業者に公知の方法による実施される。したがって、固定床触媒は、例えば、支持体床上に、又は積み重ねた内部球、例えばステアタイト球上にある。
本発明の方法により使用される固定床触媒は、レニウム(Re)、コバルト(Co)及び銅(Cu)の群から少なくとも1つの元素を含む。Re及びCoの群から1つの元素を含む触媒が好ましい。原則として、触媒は、前記元素に加えてさらなる金属及び非金属元素を含んでよい。
使用される固定床触媒は通常の技術知識を使用して種々の方法で製造されてよい。したがって、固定床触媒は、例えば、担体の浸漬又は含浸により、担体上での沈澱により、全材料の沈澱により、又は当業者に公知の他の方法により製造されてよい。
Re含有固定床触媒を使用する場合に、一般に、還元された固定床触媒に対して0.1〜10質量%のReを含む。Reに加えて、触媒は、任意に、さらなる金属を触媒有効成分として含んでよい。例えばPd、Ru、Pt、Sn、Co、Cu及びFeが挙げられる。さらなる金属を触媒有効成分として使用する場合に、それらの含有量は、通常、還元された固定床触媒に対して、微量〜15質量%の範囲である。
Re含有固定床触媒は、好ましくは担持触媒である。これらは、好ましくは、適したRe塩で適した担体を浸漬又は含浸することにより、又は適した担体上でReに適したRe塩を堆積することにより製造される。適した及び同時に好ましい担体は、炭素、例えばグラファイト又は活性炭、ZrO2、Al23、SiO2、TiO2又はそれらの混合物、並びにそれらとゼオライト又は粘土との化合物である。担体として活性炭が特に好ましい。担体は、予め製造された成形体としても、又は例えば、浸漬、含浸もしくは沈殿のために粉末形としても使用されてよい。浸漬、含浸又は沈澱に適したRe塩として、例えば水溶液の形で存在する、例えばNH4ReO4又はRe27が挙げられてよい。沈澱の場合に、例えば水溶液として存在するRe塩は、還元物質、例えば水素又はヒドラジンで還元され、したがってReが沈澱する。続いて、得られた触媒前駆体を、通常、乾燥させる。乾燥は、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃で実施される。粉末状の担体を使用する場合に、例えばタブレット化による成形を乾燥後に実施する。すぐに使用できる固定床触媒のためのさらなる加工を含むRe含有担持触媒を製造するための適切な方法は、当業者に公知である。Re含有固定床触媒の製造は、例えば、米国公開特許第2003/0,114,719号(US 2003/0,114,719)及びそれらに引用されている文献において記載されている。
Co又はCu含有固定触媒は、好ましくは沈澱触媒である。しかしながら、それらは、浸漬、含浸又は当業者に公知の他の方法により製造されてもよい。
Co含有固定触媒の場合に、一般に、還元された固定床触媒に対して、1〜90質量%、好ましくは10〜85質量%及び特に好ましくは25〜80質量%のCoを含む。沈澱のために、適したCo塩の溶液が使用される。適したCo塩は、例えばCo(NO32、酢酸Co又は塩化Coである。それらは、通常水中で溶解されて、pH値<7を有する酸性溶液を形成する。沈澱のために、溶液は、通常、混合容器、例えば撹拌容器中に置かれ、そして適した塩基性溶液を沈澱剤として導入してpH値を上げる。適した塩基性溶液は、例えばNa2CO3水溶液(ソーダ溶液)である。結果として、pH値が上昇し、形成された塩基性Co塩が沈澱する。沈澱剤としてのソーダ溶液の場合に、例えば炭酸Coが形成される。
Cu含有固定触媒の場合に、一般に、還元された固定床触媒に対して、0.5〜60質量%、好ましくは2〜55質量%及び特に好ましくは5〜50質量%のCuを含む。Cu含有固定床触媒の沈澱は、Co含有固定床触媒の場合と同様の方法で実施される。適したCu塩の溶液は沈澱のために使用される。適したCu塩は、例えばCu(NO32、酢酸Cu又は塩化Cuである。それらは、通常水中で溶解されて、pH値<7を有する酸性溶液を形成する。沈澱のために、溶液は、通常、混合容器、例えば撹拌容器中に置かれ、そして適した塩基性溶液を沈澱剤として導入してpHとを上げる。適した塩基性溶液は、例えばNa2CO3水溶液(ソーダ溶液)である。結果として、pH値が上昇し、形成された塩基性Cu塩が沈澱する。沈澱剤としてのソーダ溶液の場合に、例えば炭酸Cuが形成される。
Co及びCu含有固定床触媒を製造するための前記記載と同様にCo塩とCu塩を一緒に沈澱することも可能であり、かつそれが有利であってよい。さらに、適した溶液からCO及び/又はCu塩と一緒にさらなる金属塩を沈澱することも可能であってよい。さらなる金属として、例えばMo、Ti、Zr、Sn又はMnが挙げられる。Mo、Ti、Zr、Sn及びMnの場合に、硝酸塩の水溶液も本明細書において適した出発材料である。
沈澱を完了するために、一般に、さらなる混合下で、数時間、例えば10分〜24時間、好ましくは1〜5時間新たに沈澱した懸濁液を放置し、pH値がpH6未満に降下する場合にはさらに塩基性沈澱剤を導入することが有利である。
続いて、得られた懸濁液を濾過し、そしてその固体を、例えば水で洗浄して、乾燥させる。乾燥は、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃で実施される。続いて、酸化物を得るために、乾燥させた濾過ケークを空気流でか焼する。か焼は、好ましくは250〜700℃、特に好ましくは300〜600℃、及びより特に好ましくは400〜600℃で実施される。か焼時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.3〜5時間である。
成形を実施するために、か焼した酸化物を水又は水溶液と混合して、混練する。混合してペーストを形成するために適した水溶液は、例えば助触媒金属のアンモニア性溶液を挙げられる。続いて、混練した組成物を押出機で押し出して、押出物を得る。得られた押出物を乾燥させ、続いてか焼する。乾燥は、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃で実施される。か焼は、好ましくは300〜700℃及び特に好ましくは400〜600℃で実施される。
押出による成形の代わりとして、か焼した酸化物をタブレット化することも可能である。この目的のために、か焼した酸化物を、一般にタブレット化助剤、例えばグラファイト粉末又はCu粉末と混和し、そして成形してペレットを得る。
さらに、固定床触媒は、アルカリ金属及びアルカリ金属を、通常イオンの形で含んでもよい。ここで、明示的にNa、K、MgおよびCaが挙げられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計含有量は、一般に、還元された固定床触媒に対して、0〜5質量%、及び好ましくは0〜2質量%である。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の存在は、Co又はCu含有固定床触媒の場合に特に有利である。Co又はCu含有沈澱触媒の場合に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の添加は、通常、沈澱中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む溶液の添加により実施される。理論的には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属は沈澱剤により導入される。したがって、例えば、ソーダ溶液の使用は、続いてNaを含有する沈殿触媒を導く。
本発明の方法の好ましい実施形態において、還元された固定床触媒に対して30〜85質量%のCo並びに0.1〜2質量%のNa及び/又はKを含む固定床触媒が使用される。
Co又はCu含有固定床触媒の製造は、例えば独国公開特許第23 21 101号(DE−A 23 21 101)において記載されている。
本発明による方法によって、それぞれの場合に還元された固定床触媒に対して、
− グラファイト、活性炭、ZrO2、Al23、SiO2及びTiO2を含む群からの担体上で0.1〜10質量%のReを含む担持触媒、
− 1〜90質量%のCoを含む沈澱触媒、
− 0.5〜60質量%のCuを含む沈澱触媒、又は
− Co及びCuの含有量の合計が100質量%を超えないように、15〜85質量%のCo及び5〜20質量%のCuを含む沈澱触媒
を使用することが好ましい。
本発明による方法において使用されるRe、Co及び/又はCu含有固定床触媒は、一般に成形体からなる。通常、同一のタイプ及び同一のサイズの成形体が使用される。しかしながら、種々のタイプの成形体と種々のサイズの成形体の混合物を使用することも可能である。適したタイプの成形体は、特に、ペレット、球体及び押出物であり、その際断面の形状も中実円から逸脱してよい。したがって、例えば星型の形状のペレット又は押出物、及び例えば孔を有するペレットの場合に完全に貫通する中空空間も可能である。ペレット及び棒状体が好ましい。成形体の寸法は、一般に2mm〜5cmの範囲である。ペレット、球体及び押出物の場合に、好ましい直径は2〜10mmである。ペレット場合に、それらの高さは、好ましくは2〜6mmである。押出物の場合に、それらの長さは、好ましくは3〜20mmである。
好ましくは、Re、Co及び/又はCu含有固定床触媒は、カルボン酸(I)の触媒水素化において使用される前に、水素により活性化される。活性化は、水素化反応器内で又は水素化反応器外で実施されてよい。活性化が水素化反応器外で実施される場合に、固定床触媒は、この目的のために、通常、水素を通過させることが可能な管に導入される。Re含有固定床触媒の場合に、活性化は、有利には200〜350℃の温度及び0.1〜1MPa(絶対圧)の圧力で0.5〜24時間水素を通過させることにより実施される。Co及び/又はCu含有固定床触媒の場合に、活性化は、有利には130〜330℃の温度及び0.1〜1MPa(絶対圧)の圧力で3〜72時間水素を通過させることにより実施される。固定床触媒を水素化容器外で活性化させる場合には、固定床触媒は、水素化反応器に移す前に酸化ガス、好ましくは窒素含有流及び酸素含有流を注意深く通過させることにより不動態化されるべきである。Re又はCo及び/又はCu含有固定床触媒を活性化及び不動態化する方法は、一般に当業者に公知である。
本発明の方法において使用される水素は、未希釈で又は不活性ガス、例えば窒素で希釈した形で供給されてよい。非常に多い水素含有量を有する水素含有ガスの導入が有利である。水素の含有率は≧80体積%が好ましく、特に好ましくは≧90体積%、及びより特に好ましくは≧95体積%である。
使用される水素の量は、少なくとも少量部が反応器出口で消費されないままである量であるべきである。供給される水素の量は、導入された水素の好ましくは≧5%、特に好ましくは≧10%及びより特に好ましくは≧15%が反応器出口で消費されないままである。導入された水素の量の好ましくは≦90%及び特に好ましくは≦80%が反応器出口で存在する。
本発明の方法は、100〜300℃、好ましくは≧130℃及び特に好ましくは≧150℃で、かつ好ましくは≦250℃及び特に好ましくは≦240℃で実施される。圧力は、10〜33MPa(絶対圧)、好ましくは≧15MPa(絶対圧)及び特に好ましくは≧20MPa(絶対圧)であり、かつ好ましくは≦30MPa(絶対圧)及び特に好ましくは≦28MPa(絶対圧)である。
本発明の重要な特徴は、触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出された流動液体の流速の規定10〜50m/hである。この驚くべき手段によってのみ、カルボン酸の対応するアルコールへの実質的に完全な水素化が、アルコールの相当の過剰水素化の回避と同時に達成される。
触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速は、触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積CSA(m2)に対する流動液体の流速V(m3/h)の算出された割合ν(m/h)
Figure 2019511511
である。算出されたパラメータとしての触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積CSAは、使用した固定床触媒の量及び幾何学に依存していない。例えば、内部直径IDを有する反応管は、幾何学的断面積
Figure 2019511511
を有する。
触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速が約50m/hを超える値まで増加する場合に、水素化産出物でのカルボン酸の残量は増加する。したがって、カルボン酸の対応するアルコールへの実質的に完全な水素化は、もはや達成されない。したがって、所望のアルコールは、所望でないカルボン酸がまだ混入している。触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速が10m/h未満の値まで降下する場合に、所望のアルコールの含有量も、過剰水素化又はエーテル形成の結果として減少する。この結果は、最終的に、所望の生成物の損失及び収率における低減である。
触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速は、好ましくは≧15m/h及び特に好ましくは≧20m/hであり、かつ好ましくは≦45m/h及び特に好ましくは≦40m/hである。
触媒容量(Katalysatorbelastung)は、本発明の方法において、一般に、使用した固定床の床体積1m3及び1時間あたり液体混合物(III)0.1〜50m3の範囲で、又は略して0.1〜50m3/m3hである。触媒容量は、好ましくは≧0.5m3/m3h、及び特に好ましくは≧1m3/m3hであり、かつ好ましくは≦20m3/m3h及び特に好ましくは≦10m3/m3hである。
液体混合物(III)の0.2〜25mg KOH/gの比較的低い酸価に基づく水素化における熱の発生は同様に比較的低いため、冷却した反応器を使用することも当然可能であるが反応器の冷却は必要がない。通常、本発明による水素化は、断熱的に実施される。断熱温度の増加は、通常、1〜30℃の範囲、好ましくは1.5〜20℃の範囲、及び特に好ましくは2〜10℃の範囲である。
本発明の方法は、水素化混合物を返送して又は返送せずに実施してよい。本発明の方法を返送して実施する場合に、75質量%まで及び任意に50質量%までの水素化混合物を、一般に水素化される混合物(III)に添加する。反応器を通過する液体の体積流量における増加とは別に、水素化されるカルボン酸(I)の濃度も返送によって減少する。相応して、操作の断熱形式の場合における断熱温度も、したがって低下する。これは、液体混合物(III)の酸価が比較的低いため、返送なしであっても既に酸価が比較的低いことから、再循環は一般的に省略することができる。
この理由のために、本発明の方法は、好ましくは水素化混合物を返送せずに実施される。
固定床触媒の前記記載について既に述べているように、この触媒は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属も含んでよい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、選択性増加効果を有する。それらは、カルボン酸(I)のアルコール(II)への所望の水素化を促進し、かつ所望でないアルコールの過剰水素化を低減する。しかしながら、固定床触媒は、ブリーディングにより水素化中にアルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンを損失する。この効果に反し、かつ操作中に高い選択性を確実にするために、操作中に混合物(III)に可溶な塩の形でアルカリ金属又はアルカリ土類金属を導入することが有利である。ナトリウム及びカリウムは特に容易に入手できるため、これらの金属を対応する塩の形で導入することが好ましい。しかしながら、これらの塩の対応する酸のpKaは、ギ酸のpKaよりも小さくあるべきである。特に容易に入手できるNa又はKの水酸化物又はカルボン酸塩が特に好ましい。
水素化される混合物(III)は、好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属10〜1000質量ppm、特に好ましくは≧20質量ppm、特に≧50質量ppm、及び特に好ましくは≦500質量ppm、特に≦400質量ppmを含む。
特に好ましい実施形態において、混合物(III)は、Na及びKの群からのアルカリ金属10〜1000質量ppmを含む。
本発明による水素化は、使用される混合物(III)よりも著しく低い酸価を有する水素化混合物を得る。25mg KOH/gのもともとの酸価を有する混合物(III)を使用する場合でさえ、酸価<0.5mg KOH/gを有する水素化混合物が可能である。
所望のアルコール(II)は、例えば、その後水素化混合物から単離されてよい。単離は、一般に、当業者の一般知識にしたがって、例えば蒸留によって実施されてよい。このようにして、所望のアルコール(II)は、高純度で得られる。したがって、純度≧99質量%及び好ましくは≧99.5質量%が可能である。
前記したように、カルボン酸(I)及び水を含む溶液の触媒水素化による本発明の方法において水素化される混合物(III)を得ることが可能であり、かつ一般に必要でさえある。かかる溶液は、例えば、アルコール(II)の標的溶液における中間体として形成される。したがって、例えば1,4−ブタンジオールは、n−ブタンの無水マレイン酸への触媒酸化及び続く加水分解による公知の方法にしたがって順に得られる、マレイン酸の水素化により得られてよい。1,5−ペンタンジオールは、例えば、シクロペンタノンの酸化により順に得られるグルタル酸又は5−ヒドロキシ吉草酸の水素化により得られてよい。1,6−ヘキサンジオールは、例えば、シクロヘキサンのシクロヘキサノン及びシクロヘキサノールへの触媒酸化における副生成物として得られるアジピン酸又は6−ヒドロキシカプロン酸の水素化により得られてよい。酸化により得られるかかる溶液は、時に高濃度で対応するカルボン酸(I)を含む。したがって、かかる溶液の酸価は、通常50〜900mg KOH/gの範囲、好ましくは100〜900mg KOH/gの範囲である。
前記溶液は、当業者に公知の方法により水素化されてよい。適切な方法は、例えば、不均一系水素化触媒の存在下で連続的に実施される。適した水素化触媒は、例えば、周期表の第7〜11族、好ましくはRe、Ru、Co、Pd、Pt、Cuからの1以上の元素を含む。適した方法は、例えば、米国公開特許第2011/0,124,926号又は米国特許第5,698,749号において記載されている。カルボン酸(I)はまず第一にこれらの水素化においてアルコール(II)に水素化されるが、カルボン酸(I)のある程度の残留量が残っており、その結果得られた混合物は、通常、カルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含んでおり、混合物(III)と同様の組成を有する。
この理由のため、水素化される混合物(III)は、本発明の方法の好ましい実施形態において、カルボン酸(I)及び水を含む溶液を酸価50〜900mg KOH/gを有する溶液で連続事前水素化することにより得られる。
比較的高い酸価により、水素化で遊離した熱も比較的高い。したがって、事前水素化される溶液の返送で事前水素化を実施して熱の良好な除去を得ることが有利である。50〜98質量%の水素化溶液を事前水素化に返送することが有利である。
コハク酸の1,4−ブタンジオールへの水素化のための好ましい実施形態において、コハク酸、水及び1,4−ブタンジオールを含有し、酸価0.2〜10mg KOH/gを有し、少なくとも15質量%の水及び少なくとも20質量%の1,4−ブタンジオールを含む混合物(III)は、返送せずに一工程で、130〜250℃の温度及び15〜28MPa(絶対圧)の圧力で、Re、Co及び/又はCuを含む固定床触媒の存在下で、触媒を含まない反応管の幾何学的断面積に基づいて算出された流動液体の流速10〜50m/hで生じる軸流を通す反応管中で、10〜1000質量ppmのNaイオンの存在下で、水素化される。本発明による水素化において使用される混合物(III)は、好ましくは、マレイン酸を含み、酸価100〜900mg KOH/gを有する溶液のRe、Ru、Co、Pd、Pt及び/又はCuを含む固定床触媒上での事前水素化により製造され、その際、事前水素化は、事前水素化した溶液の50〜98質量%の返送で実施される。本発明による水素化から得られる混合物は、コハク酸を含み、極微量だけ酸価<0.5mg KOH/gを有する。
6−ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸の1,6−ヘキサンジオールへの水素化のための好ましい実施形態において、6−ヒドロキシカプロン酸、アジピン酸、水及び1,6−ヘキサンジオールを含有し、酸価0.2〜10mg KOH/gを有し、少なくとも15質量%の水及び少なくとも20質量%の1,6−ヘキサンジオールを含む混合物(III)は、返送せずに一工程で、130〜250℃の温度及び15〜28MPa(絶対圧)の圧力で、Re、Co及び/又はCuを含む固定床触媒の存在下で、触媒を含まない反応管の幾何学的断面積に基づいて算出された流動液体の流速10〜50m/hで生じる軸流を通す反応管中で、10〜1000質量ppmのNaイオンの存在下で、水素化される。本発明による水素化において使用される混合物(III)は、好ましくは、6−ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸を含み、酸価100〜900mg KOH/gを有する溶液のRe、Ru、Co、Pd、Pt及び/又はCuを含む固定床触媒上での事前水素化により製造され、その際、事前水素化は、事前水素化した溶液の50〜98質量%の返送で実施される。本発明による水素化から得られる混合物は、6−ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸を含み、極微量のみの酸価<0.5mg KOH/gを有する。
本発明の方法は、カルボン酸の対応するアルコールへ実質的に完全に水素化し、同時にアルコールの顕著な過水素化を回避する、飽和又は不飽和カルボン酸の対応するアルコールへの連続水素化を可能にする。対応するアルコールに対して高い選択性で高いカルボン酸変換率を得ることが可能になる。さらに、技術的に単純に実施される。前記方法は、比較的高い濃度のカルボン酸溶液の事前水素化により得られるジオール、例えば1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールの工業的製造からカルボン酸をまだ含んでいる蒸気の後水素化に特に適している。
実施例
実施例1〜4(コハク酸の1,4−ブタンジオールへの水素化)
Re/Pd触媒の製造
(酸化活性炭上でRe5%、Pd5%)
それぞれ、粒径30×70メッシュの活性炭500gを、濃硝酸(69〜71%濃度HNO3)の過剰量(上澄み溶液)と混和し、80℃で約18時間撹拌した。冷却後、その生成物を濾過により単離し、過剰な水で数回洗浄し、そして120℃で乾燥させた。
そして、前記により製造した酸化活性炭1.5kgを、NH4ReO4 114g及びPd含有量7.26質量%を有するPd(NO32水溶液1.09kgを含む水溶液7.2kgとそれぞれ混合し、そして得られた懸濁液を、蒸発させて乾燥させ、続いて120℃で乾燥させ、3×3mmのタブレットにタブレット化した。
マレイン酸の水素化による事前水素化供給物の製造
前記方法により製造されたRe/Pd触媒タブレット3.00リットルを、続いて内部直径2cmを有する10mの長い反応管に導入し、その中で最初に活性化させた。このために、触媒を1分あたり1℃で、200℃まで水素蒸気で加熱し、そして200℃で5時間水素蒸気で維持した。
そして、これらの触媒上で、水中で33質量%溶液のマレイン酸0.5kg/hの流れを、20MPa(絶対圧)で、150〜170℃で及び水素250NL/hの導入下で5kg/hの生成物返送速度で連続法で水素化し、そして反応産出物を収集した。連続操作の4週間後に、前記方法を停止し、そして収集した反応産出物を分析した。
この事前水素化した供給物は、約75質量%の含水率を有していた。有機成分として、ガスクロマトグラフィー分析により、水を含まず計算して、1,4−ブタノール約90.7質量%、テトラヒドロフラン約2.4質量%、n−ブタノール約2.5質量%、ガンマ−ブチロラクトン約0.5質量%及びマレイン酸の他の反応生成物を含んでいた。事前水素化された供給物の酸価は、3.8mg KOH/gであり、これは主にコハク酸に起因した。
事前水素化した供給物中のコハク酸の1,4−ブタンジオールへの水素化
コハク酸の水素化のために、前記方法により製造されたRe/Pd触媒タブレット3.00リットルを、内部直径2cmを有する10mの長い反応管に導入し、最初に活性化させた。このために、触媒を1分あたり1℃で、200℃まで水素蒸気で加熱し、そして200℃で5時間水素蒸気で維持した。
続いて、事前水素化した供給物を、連続して、170℃の反応器入口温度で、20MPa(絶対圧)で、及び事前水素化した供給物1kgあたり水素70NL/hで、流れ操作で触媒上を通過させる。本発明の一連の実験において、事前水素化した供給物の供給量を徐々に増加させ、供給量の調整後にサンプリングをそれぞれ約24時間で実施した。
結果を表1において示す。含水量は、Karl−Fischerにより算出し、1,4−ブタンジオールの含有量をガスクロマトグラフで算出した。
実施例1〜4は、反応管中の液体の流速に対する標的アルコールの酸価及び含有量の依存を示す。
5m/hだけの遅い流速(実施例1)で、存在するカルボン酸は、0.5mg KOH/g未満の非常に小さい酸価で示されるように、大半が完全に水素化されるが、しかしながら、相当量の標的アルコール1,4−ブタンジオールも水素化により消失する。したがって、1,4−ブタンジオールの含有量は、それぞれ水を含まず計算して、もともとの90.7質量%から88.0質量%まで減少する。
60m/hの速い流速(実施例4)は、反応器を介して速い計算上の流量をもたらすが、存在するカルボン酸の部分水素化のみを可能にする。したがって、産出物は依然として1.5mg KOH/gの酸価を有し、これは存在するカルボン酸の約60%の水素化に相当する。
それに対して、10m/h乃至30m/hの流速での実施例2及び3は、それぞれ、産出物における0.5mg KOH/g未満の酸価により、存在するカルボン酸の実質的に完全な水素化を示し、同様に、それぞれ94.5質量%乃至94.3質量%の1,4−ブタンジオールの明らかに増加した含有量により標的アルコール1,4−ブタンジオールにおける明らかな増加も示す。
本発明による水素化は、実質的にカルボン酸を含まない生成物流が得られ、アルコール及びカルボン酸を含む供給流からの標的アルコールの明らかな増加が得られた。
実施例5〜8(6−ヒドロキシカプロン酸の1,6−ヘキサンジオールへの水素化)
Co/Cu/Mn/Mo触媒の製造
(CoO 66%、CuO 20%、Mn34 7.3%、MoO3 3.6%、Na2O 0.15%、H3PO4 3%)
Co/Cu/Mn触媒前駆体を、コバルト12.6質量%を含む硝酸コバルト水溶液38.3kg、銅15.3質量%を含む硝酸銅水溶液6.53kg、マンガン12.6質量%を含む硝酸マンガン水溶液2.78kg、及び75.3質量%濃度のリン酸0.199kgからの出発混合物を20質量%濃度のソーダ溶液で二工程で沈澱することにより製造した。出発混合物を、連続して1時間あたり金属酸化物1.5kgに対応する量で第一の撹拌容器(有効容量6L)に50℃で供給し、そして撹拌しながらソーダ溶液のpH値8.5を維持するために(ガラス電極を使用して測定)要求される量と混和した。不完全沈澱混合物を、第二の容器にその全体を移し、そして、pH6.5〜7.5で(任意にさらなるソーダ溶液を添加しながら)2時間にわたって後沈澱する。得られた懸濁液を濾過し、そしてその固体を洗浄して、乾燥させた。
これは、BET表面積約120m2/gを有する塩基性炭酸塩を得た。この炭酸塩を、空気流で420〜540℃の範囲の温度で酸化物に分解し、そして脱イオン水でアルカリ性の残留物が無くなるように洗浄する。そして、洗浄し乾燥させた酸化物4kgと、工業用酸化モリブデン水和物をアンモニア水溶液中で溶解することによって製造した計算してMoO3含有量25.5質量%を有するアンモニア性Mo溶液652gとを、ニーダーで混合し、混練した。混練中、洗浄プロセスによって排出されたリンを、新たなリン酸に置き換え、そして65.3質量%濃度の硝酸285g及び脱イオン水1300gを導入し、その混合物を2.5時間激しく混練した。そして混練した組成物を成形して、直径4mm及び長さ3〜9mmを有する押出物を得て、それを乾燥し、そして500℃で6時間か焼した。押出物は嵩密度1700g/lを有していた。
6−ヒドロキシカプロン酸の1,6−ヘキサンジオールへの水素化
前記Co/Cu/Mn/Mo触媒3.00リットルを、続いて内部直径2cmを有する10mの長い反応管に導入した。水素化させる供給物を、アジピン酸17質量%、6−ヒドロキシカプロン酸16質量%、グルタル酸2質量%、5−ヒドロキシペンタン酸1.5質量%、ギ酸1質量%、1,4−シクロヘキサンジオール1質量%、1,2−シクロヘキサンジオール1質量%、シクロヘキサンのシクロヘキサノール/シクロヘキサノンへの酸価における副生成物として形成され水洗浄により得られたシクロヘキサノール/シクロヘキサノン0.3質量%を含む混合物を、前記Co/Cu/Mn/Mo触媒上での事前水素化により得た。この事前水素化した供給物は、約52.5質量%の含水率を有していた。有機成分として、ガスクロマトグラフィー分析により、水を含まず計算して、1,6−ヘキサンジオール61.1質量%及び前記副生成物流のさらなる反応生成物を含んでいた。事前水素化された供給物の酸価は、6.5mg KOH/gであり、これは主に6−ヒドロキシカプロン酸及び極微量のアジピン酸に起因した。事前水素化した供給物におけるさらなる成分は、とりわけ、1−ヘキサノール、1−ペンタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1.3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1−ペンタノール及び1,4−ブタンジオールであった。
6−ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸の水素化を実施するために、事前水素化した供給物を、連続して、230℃の反応器入口温度で、25MPa(絶対圧)で、及び事前水素化した供給物1kgあたり水素50NL/hで、流れ操作で触媒上を通過させる。本発明の一連の実験において、事前水素化した供給物の供給量を徐々に増加させ、供給量の調整後にサンプリングをそれぞれ約24時間で実施した。
結果を表2において示す。含水量は、Karl−Fischerにより算出し、1,4−ブタンジオールの含有量をガスクロマトグラフで算出した。
5m/hだけの遅い流速(実施例5)で、存在するカルボン酸は、0.5mg KOH/g未満の非常に小さい酸価により示されるように、大半が完全に水素化されるが、しかしながら、相当量の標的アルコール1,6−ヘキサンジオールも水素化により消失する。したがって、1,6−ヘキサンジオールの含有量は、それぞれ水を含まず計算して、もともとの61.1質量%から60.2質量%まで減少する。
60m/hの速い流速(実施例8)は、反応器を介して高い計算された流量を与えるが、存在するカルボン酸の部分水素化のみを可能にする。したがって、産出物は依然として2.3mg KOH/gの酸価を有し、これは存在するカルボン酸の約65%の水素化に相当する。
それに対して、10m/h乃至30m/hの流速での実施例6及び7は、それぞれ、産出物における0.5mg KOH/g未満の酸価により、存在するカルボン酸の実質的に完全な水素化を示し、同様に、それぞれ64.0質量%乃至64.1質量%の1,6−ヘキサンジオールの明らかに増加した含有量により標的アルコール1,6−ヘキサンジオールにおける明らかな増加も双方共に示す。
本発明による水素化によって、アルコール及びカルボン酸を含む供給流から、標的アルコールの明らかな増加と同時に実質的にカルボン酸を含まない生成物流が得られた。
実施例9
実施例9(比較例)において、6−ヒドロキシカプロン酸の1,6−ヘキサンジオールへの水素化の長期挙動を、触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出された流動液体の流速60m/hで試験した。このために、実施例8を最初に繰り返し、そして1000時間これらの条件下で放置した。その際に、産出物における酸価は、2.3〜4.5mg KOH/gにゆっくりと増加した。相応して、カルボン酸変換率は、約65〜約30%に減少した。同時に、全体で10質量ppmまでの少量のCo及びMnを産出物中で見出した。
比較例9は、わずか1000時間で性能が著しく低下することを示している。
実施例10
実施例10において、6−ヒドロキシカプロン酸の1,6−ヘキサンジオールへの水素化の長期挙動を、触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出された流動液体の流速30m/hで試験した。このために、実施例7を最初に繰り返し、そして3000時間これらの条件下で放置した。その際に、産出物における酸価は、0.5mg KOH/g未満からちょうど0.6mg KOH/gにゆっくりと増加した。したがって、3000時間後のカルボン酸の変換率は、未だ約90%であった。Co及びMnを、合計で<4質量ppmの非常に少量のみで検出した。
実施例10は、30m/hの流速で3000時間の操作後でさえも、産出物中の酸価における並びにCo及びの含有量における僅かな増加のみを示した。
Figure 2019511511
Figure 2019511511

Claims (11)

  1. 一般式(I)
    Figure 2019511511
    [式中、X1は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)又は−CH=CH−基であり、かつY1は、H−、HOOC−又はHO−CH2−である]のカルボン酸又はそれらの混合物を、炭素原子数を維持しながら、一般式(II)
    Figure 2019511511
    [式中、X2は、−(CH2n−基(nは1〜10に等しい)であり、かつY2は、H−又はHO−CH2−である]のアルコールに、100〜300℃の温度及び10〜33MPa(絶対圧)の圧力で、反応管中に固定されたRe、Co及びCuの群からの元素少なくとも1つを含む固定床触媒を有する軸方向に流れる反応管中で、水素により連続水素化するための方法であって、
    水素化されるカルボン酸(I)が、カルボン酸(I)、水及びアルコール(II)を含む液体混合物(III)中に存在し、該混合物(III)が、
    a)0.2〜25mg KOH/gの酸価を有し、
    b)少なくとも15質量%の水を含み、
    c)少なくとも20質量%のアルコール(II)を含み、かつ
    d)触媒を含まない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出される流動液体の流速が10〜50m/hである
    ことを特徴とする、前記方法。
  2. 前記混合物(III)が、0.5〜10mg KOH/gの酸価を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記混合物(III)中のカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)の含有量の合計が、≦100質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記混合物(III)中のカルボン酸(I)、水及びアルコール(II)の含有量の合計が、40〜100質量%であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記触媒を有さない空の反応管の幾何学的断面積に基づいて算出された流動液体の流速が、20〜40m/hであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記方法を水素化した混合物を返送せずに実施することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記混合物(III)が、Na及びKの群からのアルカリ金属10〜1000質量ppmを含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. カルボン酸(I)として、コハク酸、4−ヒドロキシ酪酸、マレイン酸、グルタル酸、5−ヒドロキシ吉草酸、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸又はそれらの混合物を使用することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 固定床触媒として、
    − グラファイト、活性炭、ZrO2、Al23、SiO2及びTiO2を含む群からの担体上でRe 0.1〜10質量%を含む担持触媒、
    − Co 1〜90質量%を含む沈澱触媒、
    − Cu 0.5〜60質量%を含む沈澱触媒、又は
    − Co及びCuの含有量の合計が100質量%を超えないように、Co 15〜85質量%及びCu 5〜20質量%を含む沈澱触媒
    を使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記混合物(III)が、カルボン酸(I)及び水を含む酸価50〜900mg KOH/gを有する溶液を連続して事前水素化することにより得られることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記事前水素化を返送して実施し、かつ事前水素化した溶液の50〜98質量%を事前水素化に返送することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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