JP2019507104A - 二重特異性抗体を用いる方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞又は細胞の集団が分泌する分泌可溶性物質(免疫グロブリンなどの)を細胞表面で捕捉することにより、細胞又は細胞の集団を同定する、分離する及び特徴付ける方法に関する。これは、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多重特異性タンパク質複合体上で、分泌された分子に対する結合特異性とその細胞又は細胞の集団に対して特異的な表面抗原に対する結合特異性を組み合わせることにより達成される。本方法は、病態及び/又は予後に関連している細胞集団を同定することにより臨床試験又は個別化療法の準備で患者の階層化などの研究及び実験目的で使用することができる。

Description

本開示は、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた多重特異性タンパク質複合体における2つの結合特異性を組み合わせて、可溶性分子をそれを生成した細胞へ細胞表面捕捉することによって、その細胞又は細胞の集団の同定、分離及び特徴付けを促進する方法、多重特異性タンパク質複合体のライブラリー/マルチプレックス、並びにそのキット及び組成物に関する。本開示は、例えば、病態及び/又は予後に関連している細胞集団を同定することにより患者集団を特徴付けるアッセイにおいて使用するためなどの、研究及び実験目的で使用するための、前記新規多重特異性タンパク質複合体にさらに関する。本開示は前記多重特異性複合体を調製する方法にも及ぶ。
分泌された可溶性分子は細胞機能のキーとなるメディエータであり、細胞系譜がどのような条件下で及びいつその可溶性分子を生成するのかを理解することは天然での及び疾患での複雑な細胞生物学の中心である。単一細胞からの分泌を研究する方法が存在するが、その方法はすべて限界がある。一部の方法は、単一細胞画像処理、又はマイクロエングレービング(Nat. Biotech. 2006. 24. 703-707; Clin. Immunol. 2008. 129. 10-18)などの複雑な技術を必要とする。二重特異性抗体捕捉(Eur. J.Immunol.1999. 29. 4053-4059)などのフローサイトメトリーによる使用のためのもっと簡単な方法が報告されており、いくつかの細胞/サイトカイン組合せで市販されている(Miltenyi biotech)が、これらの方法は、細胞表面マーカーと可溶性分子特異性の組合せが予め定義されている特注の試薬の作製が必要である。したがって、細胞機能及び系譜の研究のための任意の細胞表面マーカー特異性と任意の可溶性分子特異性を組み合わせる簡単なモジュラー方式の必要性が存在する。
既知の(従来の)多重特異性フォーマットの調製は時間がかかり労働集約的である。
典型的には、単一の二重特異性抗体構築物では、少なくとも2つの可変領域を発見ベクターの起源(例えば、ファージディスプレイ、ハイブリドーマ又は単一B細胞クローニング)から適切な二重特異性発現ベクターにサブクローニングする必要があり、二重特異性体のそれぞれのアームが発現され、こうして得られた二重特異性抗体は精製されなければならない。多数の機能的疑問を有する試料(単数又は複数)を調べようと試みて可変領域の多数の対を組み合わせようとすると、このクローニング及びそれに続く発現努力はすぐに著しい実施上の障害(significant practice bottleneck)になる。
例えば、50の独特の抗体が10の細胞表面標的のパネルに対して利用可能であり、50の独特の抗体が10の可溶性分子のパネルに対して利用可能であれば、総数で2500の二重特異性抗体が潜在的に産生されうる(X−Yグリッドとして想定される)。当技術分野で公知の二重特異性抗体フォーマットを使えば、これは少なくとも100の個々のクローニング反応(50−Xと50−Y)、その後の2500の抗体発現実験が必要になると考えられる。開始のモノクローナル抗体の数を100まで増やせば、クローニング反応の最小数は200(100−Xと100−Y)まで、発現数は10,000まで増えることになる。
一般的に、この「発現の障害(expression bottleneck)」の根本原因は、上記のフォーマットは、最終二重特異性構築物の「半分」を構成する両方のタンパク質鎖が同じ細胞において単一発現実験内で同時に発現される必要があることである。したがって、多くのフォーマットでは、2500の二重特異性抗体を産生するためには、2500の発現実験が必要になる。
二重特異性抗体フォーマットがモノシストロン性(すなわち、単鎖タンパク質としてクローニングされ発現される)、例えば、単鎖ダイアボディである場合、クローニング実験の数が上に与えられた数についてそれぞれ2500及び10,000になると考えられるので、「発現障害」はさらに悪化する。
さらに、発現後、所望の構築物を単離するためには大規模な精製が必要になる可能性がある。
一部の二重特異性アプローチはクローニングの量を減らすために二重特異性構築物に共通の軽鎖を用いるが、これでは発現実験の数は減らない。さらに、共通の軽鎖などの共通鎖を使用すれば、抗体は重鎖などの1つの鎖のみを通じて十分高い親和性でその抗原に結合する必要があるので開始抗体可変ドメインを見つけるのがより困難になるために、抗体発見という難問はさらに難しくなる。
DVD−Ig(Abbvie)、DuoBodies、(Genmab)、Knobs−in−Holes(Genentech)、Common light chain(Merus)を含む成功している治療薬として潜在的に機能することができると考えられる多くの有望な二重特異性抗体フォーマットが現在開発されている。しかし、それぞれの場合、これらのフォーマットは、例えば、大規模臨床試験において、患者由来の細胞集団の分析及び/又は特徴付けに理想的に適しているわけではない。
新しい医学的処置(新しい医薬)は多くの場合、患者の亜集団でのみ効果的である。しかし、そのような集団を同定するためには、いかなる根底にあるパターンでも同定可能であるように大量のデータを収集する必要がある。
多くの場合、データは、遺伝子のセットの上方調節及び下方調節に関する証拠を提供する転写情報の形態で収集される。この情報は価値があるが、これらの変化がタンパク質レベルでどのように反映されるのかはこの情報からでは分からない。
タンパク質レベルの変化は、遺伝子転写、エピジェネティック調節、タンパク質転写、タンパク質翻訳、タンパク質修飾、及び代謝機能の変化などの多くの入力の結果を反映しているので、その変化は細胞健康及び機能のより総合的な尺度を表す。したがって、タンパク質の分析は、指摘される理由により適しており、さらに、健康状態及び疾患状態で細胞集団と亜集団を感度良く区別するのに使用することが可能である。細胞サブセットの特徴付けは細胞表面タンパク質の定量化により決定可能であるが、現在、細胞分泌産物(タンパク質、脂質、核酸、等を含むことが可能であるが、これらに限定されない)は、細胞が固体又は半固体マトリックス中に保持されていなければ細胞識別子として使用することはできない。したがって、血液又は間質液などの水性環境において測定することも可能である分泌された細胞産物を捕捉する最適のシステムの必要性が存在する。さらに、複雑な細胞の混合物中で機能し、その産物を生成する細胞の分泌産物のみを捕捉し近接している他の細胞が生成する分泌産物は捕捉しないことが可能である技法の必要性も存在する。
我々は、可溶性分子を生成する細胞を同定する真の潜在力は、細胞標的及び可溶性標的上の所与のエピトープに結合する選択が限られている二重特異性又は多重特異性抗体を設計し試験するよりも、二重特異性若しくは多重特異性抗体又はタンパク質リガンドの大きく多様な組合せパネルを柔軟に組み合わせることができてはじめて達成することが可能であることを提案する。これを促進するためには、容易に構築され、その分子を生成する細胞の表面に分泌された分子を捕捉することで、その細胞を同定することができる能力についてスクリーニングすることが可能な多数の多様な多重特異性タンパク質の産生を可能にするフォーマット及び方法が必要とされる。このアプローチは、細胞の生物学的機構及び/又は下位集団についての新発見につながる同定をさらに可能にする。
したがって、特異性の組合せが異なる結合ドメインを有する多数の多重特異性タンパク質複合体を産生しスクリーニングすることができれば有用であると考えられる。特に、多数の異なる多重特異性タンパク質複合体で試料(単数又は複数)を迅速に効率的にスクリーニングすることができるのは有用だと考えられる。
カップリング及びコンジュゲーション技法は、抗体薬物コンジュゲートを作製すること及びin vivoターゲティング技術のために存在している。1つのそのような方法は化学的架橋であるが、関連したタンパク質をホモ二量体及び他の望ましくない副産物から精製する必要がある場合があるので、これは労働集約的である。さらに、化学修飾ステップはタンパク質の完全性を変化させ、したがって、安定性が不十分になる又は生物学的機能が変わってしまうことがある。その結果、化学的架橋結合による二重特異性抗体の産生は多くの場合非効率的であり、抗体活性も消失してしまうことがある。
二重特異性抗体を製造する別の方法は、工学的に操作された細胞が無作為に会合する2つの重抗体鎖及び2つの軽抗体鎖を発現する、細胞融合(例えば、ハイブリッドハイブリドーマ)によるものである。選択される4つの可変因子が存在するので、これにより10の可能な二重特異性抗体組合せが作製され、そのうちのいくつか(多くの場合に、1つのみ)の組合せのみが望ましいと考えられる。したがって、細胞融合による二重特異性抗体の産生は、生産収率が低く、産生されたその他の二重特異性抗体から所望の二重特異性抗体を単離するためには追加の精製ステップも必要になる。これらの短所のせいで時間も費用も増加する。
組換えDNA技法も二重特異性抗体を産生するために用いられてきた。例えば、組換えDNA技法を使用して「ノブイントゥホール(knob into hole)」二重特異性抗体も産生された。「ノブイントゥホール」技法は、CH3ドメインインターフェイスで多量体化ドメインに立体的に相補的な突然変異を工学的に作製する(例えば、Ridgway et al., Protein Eng. 9:617-621 (1996); Merchant et al., Nat. Biotechnol. 16(7): 677-81 (1998)参照; 米国特許第5,731,168号及び米国特許第7,183,076号も参照)。この戦略の1つの制約は、同じ細胞で発現される場合、誤対合並びに望ましくない及び/又は不活性な分子の形成を防ぐためには2つの親抗体の軽鎖は同一でなければならない点である。それぞれの二重特異性体(その重及び軽鎖)は単一細胞で発現されなければならず、タンパク質産物は一般に約20%のホモ二量体を含有しており、これはその後に精製により取り除かれる。
他のアプローチは、完全長IgG4分子における鎖の自然な交換に基づいている(Genmab Dubody)。しかし、このアプローチもFc領域なしでは構築物を調製することができないので困難を抱えている。Fc領域は生物活性に寄与することが可能なので、そのような分子が複雑な機能的アッセイにおいて試験される場合、観察される活性がFcを含む二重特異性分子での可変領域、Fc又は両方の組合せに基づいているのかどうかを確証するのは困難な場合がある。さらに、その交換は動的過程であり、これは所与の試料内で活性種が何であるのかに関して困難をもたらす場合がある。
したがって、上で考察された技術的課題に取り組み、その分泌産物物質に基づいて細胞集団を同定する最適化法を与える新しい方法の必要性が存在する。
したがって、式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を用いる、例えば、細胞により分泌される可溶性分子(単数又は複数)に関して細胞の集団を同定する又は特徴付けるための方法であって、
A−Xは第1の融合タンパク質であり;
Y−Bは第2の融合タンパク質であり;
X:Yはヘテロ二量体とする繋であり;
:はXとYの間の結合相互作用であり;
Aは、抗体若しくはその結合断片、又は抗原(例えば、タンパク質リガンドを含む)から選択される二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり;
Bは、抗体若しくは結合断片又は抗原(例えば、タンパク質リガンドを含む)から選択される多重特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり;
Xは、抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第1の結合パートナーであり;
Yは、抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第2の結合パートナーであり;
Aは細胞表面タンパク質、例えば、細胞表面マーカーに対して特異的であり、Bは細胞から分泌される目的の可溶性分子を捕捉し(例えば、結合する)、
ただし、Xが抗原である場合、YはXにより表される抗原に対して特異的な抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、XはYにより表される抗原に対して特異的な抗体又はその結合断片であり、
i)複合体形態ではない又はヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体形態の融合タンパク質A−XとB−Yの組合せを、分析しようとする細胞に導入するステップ、及び
ii)成分A又はBにより目的の可溶性分子の捕捉(例えば、結合)を検出するステップ
を含む上記方法が提供される。
本開示内では、融合タンパク質の用語「A−X」及び「Y−B」は「X−A」又は「B−Y」として相似的に示されることもある。同じことがヘテロ二量体繋「X:Y」を表す用語にも当てはまり、これは本明細書では「Y:X」として示すことも可能である。
一実施形態では、Bにより捕捉される目的の可溶性分子は、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、走化性因子、ロイコトリエン、プロスタグランジン、血管作動性アミン、酵素、補体及び補体の断片、脂質、スフィンゴ脂質、第二メッセンジャー成分(例えば、一酸化窒素、サイクリックAMP、等)、ビタミン、ミネラル、陽イオン、陰イオン、糖、凝固因子、急性期タンパク質、ガンマグロブリン(免疫グロブリンを含む)、アルブミン、可溶性細胞膜受容体、細胞発現タンパク質のスプライスバリアント、核酸、小さな膜小胞(エキソソーム、微小胞、リポソーム、等などの)、分泌ペプチド、免疫複合体並びに死んでいる又は死にかけている細胞由来の細胞内タンパク質からなる群から選択される。
細胞は1つ又は複数のサイトカインを分泌することがある。したがって、一実施形態では、サイトカインは、例えば、IL−1a、IL−1b、IL−1Ra、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15 IL−16、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17F、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−3、IL−34、IL−35、IL−36a、IL−36b、IL−36g、IL−37a、IL−37、IL−38、TNSF1、TNFSF2、TNFSF3、TNFSF4、TNFSF5、TNFSF6、TNFSF7、TNFSF8、TNFSF9、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF13b、TNFSF14、TNFSF15、TNFSF18、IFNa、IFNb、IFNe、IFNk、IFNw、IFNg、IFNl1、IFNl2、IFNl2、CSF1、CSF2、CSF3、TGFb1、TGFb2、TGFb3、CLC、CNTF、レプチン、OPG、LIF、ニューロポイエチン(Neuropoietin)、オンコステイン(Oncostain)M、NGF、BDNF、NT−3、PAI−1、RBP4、アディポネクチン、アペリン、キメリン、ビスファチン、スクレロスチン、及びDKK−1である。
本開示の二重特異性複合体は、単離、試験のため、中和、ターゲティングのため、及び/又は細胞機能若しくは健康の調節のために、サイトカイン産生細胞を検出する目的で用いることができる。これには多くの用途があり、例えば、一部のサイトカイン産生細胞は、例えば、IL−17、IL−13及びIL−5の群から選択される1つ又は複数のサイトカインを分泌することにより、喘息などの肺疾患において有害な機能を有すると考えられている。
一実施形態では、目的の可溶性分子は、例えば、CCL1、2、3、4、5、6、7、8、9/10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、CXCL1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、XCL1、XCL2及びCX3CL1を含む群から選択されるケモカインである。
一実施形態では、可溶性の分泌された分子は免疫グロブリン、例えば、免疫グロブリンの特定のアイソタイプであり、例えば、Bは細胞により分泌される免疫グロブリンの抗体軽鎖の定常領域又は抗体重鎖の定常領域に対して特異的である。したがって、一実施形態では、Bは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE、IgM及びその断片を含む群から選択される特定の抗体アイソタイプに対して特異的である。
一般に、Bが細胞から分泌される免疫グロブリンに対して特異的である場合、例えば、Bは分泌された免疫グロブリンの定常領域(CL又はCH1などの)のエピトープに対して特異的である抗体又は結合断片である場合、Aは一般に、その特定の免疫グロブリン以外の細胞表面マーカーに向けられる(又は対して特異的である)。
したがって、本開示の方法を使用すれば、分泌された免疫グロブリン又は重鎖若しくは軽鎖成分などのその断片のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のサブクラスを区別する)を検出する及び/又は定量化することが可能である。これにより、A−X:B−Y複合体を使用して形質細胞を列挙し検出することが可能になる。
したがって、本方法は、免疫グロブリンサブクラス特異的応答の単離、例えば、他のサブクラスのIgGを排除してIgG4の特異的捕捉に適用することが可能であり、これはIgG4関連疾患を有する患者集団の検出に有用になる可能性がある。
代わりに、Bは、細胞から分泌される免疫グロブリンの結合ドメインに特異的に結合することができる抗原であってもよく、例えば、Bは細胞から分泌される免疫グロブリンに特異的に結合する抗原である。一実施形態では、Bは、自己抗原、腫瘍抗原、感染病原体、ハプテン、又はこれらの全タンパク質若しくはそのペプチド断片を含む担体を含む群から選択される抗原であるが、これらに限定されない。
本方法は、単離、試験又はターゲティングのための抗体産生細胞、例えば、自己抗体又は病原体特異的抗体産生形質細胞の検出を目的に用いてもよい(特に、表面IgG陰性細胞の場合に)。
一実施形態では、Aは、安定的に発現される細胞系譜マーカー及び非系譜細胞(すなわち、系譜マーカーに対する抗原により染色されない細胞)上で安定的に発現されるマーカーを含む群から選択される細胞表面マーカーに結合する。
一実施形態では、細胞マーカーは、目的の細胞セット又はサブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3から選択される。
一実施形態では、細胞マーカーは抗体分泌細胞のマーカー(形質細胞を含むB細胞などの)又はT細胞マーカーから選択される。
一実施形態では、B細胞マーカーは、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD27、CD35、CD38、CD40、B220(CD45としても知られる)、CD43、CD81、CD138、CXCR4、BCMA及びIL−6Rを含む群から独立して選択され、例えば、CD38又はCD138などのCD38、CD138、CD45、CD27、CD19又はCD20である。
一実施形態では、B細胞の表面で発現される免疫グロブリンは抗体分泌細胞のマーカー(B細胞マーカー及び/又は形質細胞マーカーなどの)として用いられ、例えば、B細胞マーカーは、細胞の表面の免疫グロブリンの一部として発現される、抗体軽鎖の定常領域又は抗体重鎖の定常領域である。
したがって、一実施形態では、Aは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM及びその断片を含む群から選択される特定の抗体アイソタイプに対して特異的である。これらのマーカーはクラススイッチ抗体を同定するのに特に有用になる可能性がある。
一般に、AもBも、1つの二重特異性タンパク質複合体内で同時に免疫グロブリンに対して両方とも特異的であるわけではない。
したがって、一実施形態では、方法はA−Xを細胞表面マーカーにドッキングすることを用い、もう一方のアームB−Yは分泌された免疫グロブリンを捕捉するのに用いられる。
したがって、別の実施形態では、非系譜細胞上で安定的に発現される細胞表面マーカーは、例えば、CD45であり、タンパク質成分A−XはA部分を介してCD45に対して特異的であり、もう一方のアームB−Y中のBは分泌された免疫グロブリンを捕捉するのに用いられる。
一実施形態では、Aは、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD25、CD127、CD196(CCR6)、CD197(CCR7)、CD62L、CD69及びCD45を含む群から選択されるT細胞表面マーカーに対して特異的である。
T細胞は、表面マーカー、例えば、CD3、CD4、CD8、CD25、CD127及びCD196(CCR6)並びにその組合せの異なる発現レベルに基づいて異なる集団に分類することが可能である。しかし、T細胞状態に関する重要な情報は、マーカーCD197(CCR7)、CD62L、CD69及びCD45のうちの1つ又は複数の表面発現を分析することにより得ることが可能である。
Tリンパ球は一般に、CD45及びCD3について少なくとも陽性である。
細胞傷害性T細胞はマーカーCD45、CD3及びCD8について陽性である場合がある。
調節T細胞はマーカーCD4、CD25及びFoxp3について陽性である場合がある。
Tヘルパー細胞はCD45、CD3及びCD4について陽性である場合がある。
したがって、本開示では、第1の選択は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体(又はその成分)を用いて、例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD25、CD127、CD196(CCR6)、CD197(CCR7)、CD62L、CD69及びCDROから選択されるマーカーに対して特異的なAを用いて実施され、第2の選択は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体(又はその成分)を用いて、例えば、CD197(CCR7)、CD62L、CD69及びCD45から選択されるマーカーに対して特異的なAを用いて実施されることが想定される。
ナチュラルキラー細胞は、マーカー、CD16、CD56、CD31、CD30、CD38、CD94、CD96、CD158、CD159、CD162R、CD223、CD244について陽性であり、CD3について陰性である場合がある。
単球/骨髄細胞又は単球/骨髄細胞サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される単球/骨髄細胞又は単球/骨髄細胞サブセットの抗原は、CDw12、CD13、CD14、CD33、CD64、CD11、CD112、CD115、CD163、CD204等があり得るがこれらに限定されない。
樹状細胞又は樹状細胞サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される樹状細胞又は樹状細胞サブセットの抗原は、CD85、CD205、CD209等があり得るがこれらに限定されない。
好中球又は好中球サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される好中球又は好中球サブセットの原は、CD66a、CD66c、CD170等があり得るがこれらに限定されない。
好塩基球又は好塩基球サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される好塩基球又は好塩基球サブセットの抗原は、表面IgE、CD123、CD203e、FceR1a等があり得るがこれらに限定されない。
好酸球又は好酸球サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される好酸球又は好酸球サブセットの抗原は、シグレック−8、CD294等があり得るがこれらに限定されない。
マスト細胞又はマストサブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現されるマスト細胞又はマストサブセットの抗原は、表面IgE、FceR1a、CD117等があり得るがこれらに限定されない。
血小板/巨核球又は血小板/巨核球サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される血小板/巨核球又は血小板/巨核球サブセットの抗原は、CD41、CD42a/b/c/d、CD51、CD110等があり得るがこれらに限定されない。
造血前駆細胞又は造血前駆細胞サブセット上で全タンパク質若しくは全タンパク質のより小さなペプチドとして発現される造血前駆細胞又は造血前駆細胞サブセットの抗原は、CD34、CD46、CD55、CD90、CD100、CD117、CD123、CD127、CD243、CD338、SSEA−3、SSEA−5、TRA−1−81、TRA−2−49、TRA−2−54等があり得るがこれらに限定されない。
脳/神経系、内分泌系、血液/免疫系、肝臓、腎臓、心臓及び骨格筋、皮膚/骨/関節、消化管、肺、男性組織及び女性組織を含むあらゆる組織又は細胞サブセット上の表面マーカー。
細胞が、例えば、erbB−2、CEA、NCAM、GD2、CD33、CD44、CD70、EpCAM、CD19、CD20、KDR、Tag−72、等を含む一覧から選択される腫瘍抗原を発現している表面マーカー。
一実施形態では、2つよりも多い選択が用いられる。
一実施形態では、第1の選択は第2の選択が実施される前に実施される(すなわち、第2の選択は順次実施される)。
一実施形態では、第1の選択と第2の選択は、例えば、マルチプレックスとして同時に実施され、異なるフルオロフォアなどの異なる標識が2つ又はそれよりも多い選択に用いられる。有利なことに、選択がマルチプレックスとして実施される場合、細胞の所望の集団は本質的に1ステップで単離することが可能である。
したがって、一実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体はその分泌表現型に基づいて細胞集団の同定のために使用することが可能である。この例は、CD4陽性T細胞上のIL−17を捕捉して、自己免疫の発症及び維持に関連付けられてきたTヘルパー17細胞を同定する又は単離することである。
理論に縛られたくはないが、CD4及びCXCR3並びに/又はCD4及びCXCR5発現は自己免疫疾患では歪められることがある。CD4及びCCR6発現は器官特異的自己免疫疾患では歪められることがある。CD8発現はGVHDでは歪められることがある。CD4、CCR4、Crth2発現はアレルギー及び喘息では歪められることがある。
本開示の抗体フォーマットは、二重特異性タンパク質複合体が容易に会合可能であり、これらの複合体を使用して、患者(及び、血液試料などのそれ由来のex vivo試料)をスクリーニングし、疾患機序及び/若しくは予後についての洞察を得て並びに/又は患者サブグループを定義し及び/若しくは患者をサブグループに割り当てることが可能なような抗体フォーマットである。
本開示の抗体複合体は、
・細胞から分離された可溶性因子、又は
・抗原
に対して特異的なBとしてのさらなるsdAbと組み合わせて、必要な細胞の表面に複合体を固定するのに用いる細胞表面マーカーに対して特異的なAとしての単一ドメイン抗体sdAbを含むように迅速に調製することが可能である。
したがって、本開示に従った二重/多重特異性フォーマットは、細胞及び細胞集団の検出、同定、単離、分離特徴付け及び/又は定量化に有用である。
一実施形態では、Aは、抗原、リガンド、受容体、完全長抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、VH、VL及びscFvから独立して選択され、例えば、完全長抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、VH、VL及びscFv、特に、Fab、scFv又はsdAbである。
一実施形態では、タンパク質成分Aはタンパク質、例えば、細胞の表面で発現される受容体に対するリガンドである。
好ましくは、AはscFv又はFab断片である。
一実施形態では、タンパク質成分Bは、抗原、リガンド、受容体、完全長抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、VH、VL及びscFvから独立して選択され、例えば、完全長抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、VH、VL及びscFv、特に、Fab、scFv又はsdAbである。
本方法は、例えば、図3及び4に示されるように、タンパク質成分A又はBで表される抗体又は結合断片が、細胞により分泌される目的の可溶性分子にも結合する抗原に結合するような状況で用いることもできることは理解されるべきである。
好ましくは、BはscFv又はFab断片である。
一実施形態では、タンパク質成分Bはタンパク質、例えば、リガンド又は可溶性受容体である。
一実施形態では、成分Bは、例えば、図7に示されるように、目的の可溶性分子を直接捕捉することが可能な抗原である。
一実施形態では、Xは、タンパク質成分AのC末端に、任意選択でAにより表されるFab断片又はFab’断片中の重鎖のC末端などの抗体又はその結合断片の重鎖のC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、Xは、Aにより表されるFab断片又はFab’断片などの、抗体又はその結合断片の軽鎖のC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、Xはリンカー、特に本明細書に開示されるリンカーを介して接続されている。
一実施形態では、Yは、タンパク質成分BのC末端に、任意選択でBにより表されるFab断片又はFab’断片中の重鎖などの抗体又はその結合断片の重鎖のC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、Yは、Bにより表されるFab断片又はFab’断片中の抗軽鎖のC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、Xは、Aにより表されるのがどちらであろうと、scFvのN末端又はFab断片若しくはFab’断片中の重鎖のN末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、Yは、Bにより表されるscFvのN末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている。
一実施形態では、可変XはFab断片、Fab’断片、scFv、Fv、VH、VL又はsdAbなどの抗体結合断片(特に、Fab、scFv又はsdAb)であり、Y可変はペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、可変YはFab断片、Fab’断片、scFv、Fv、VH、VL又はsdAbなどの抗体結合断片(特に、Fab、scFv又はsdAb)であり、Xはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、可変X又はYはFab断片、Fab’断片、scFv、又はsdAbであり、もう一方の可変はペプチド、例えば、ペプチドGCN4(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38)に対して特異的なFab断片、Fab’断片、scFv、又はsdAbである。
一実施形態では、可変X又はYはscFv又はsdAbであり、もう一方の可変はペプチドである。
一実施形態では、X又はYはscFv 52SR4(表1Aに示される配列番号3又は配列番号3、99若しくは100のアミノ酸1から243)である。X又はYがGCN4に結合するFab又はFab’断片である場合、X又はYはscFv 52SR4由来のVH及びVL領域を含んでいてもよいことは認識されるであろう。
一実施形態では、XはscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、YはscFv又はsdAbなどの抗体又はその結合断片であり、XがscFv又はsdAbである場合、Yはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、YはscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、XはscFv又はsdAbなどの抗体又は結合断片であり、YがscFv又はsdAbである場合、Xはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、X又はYはペプチドGCN4(配列番号1又は配列番号1のアミノ酸1から38)又はそのエピトープ断片である。配列番号1に従ったGCN4ペプチドをコードするヌクレオチド配列は配列番号2として配列番号1Aに示されている(表1A)。
GCN4ペプチドの他の変異体は表1B(配列番号75〜97)に示されており、太字のアミノ酸は任意選択であり、斜字体のアミノ酸はリンカーの配列を形成する。
A−X及びY−B融合物は種々の配向で産生することができ、これはそのような融合物をコードするポリヌクレオチド構築物がX又はAを両方の配向(AのC末端がXのN末端に融合されているA−X又はXのC末端がAのN末端に融合されているX−A)で発現するように設計できることを意味すると理解されるべきである。同じことがY−B融合物に当てはまる。A、X、Y又はBが融合物のN末端にあるかどうかと無関係に、そのような融合物を産生するポリヌクレオチド配列は、細胞外放出を支援するために、融合物のちょうどN末端に、シグナルペプチド配列をコードするように設計されたヌクレオチド配列を含むことになる。シグナルペプチドは最終的には成熟融合物から切断される。好ましいシグナルペプチド配列は表1Aに配列番号101〜104で示されている。
一実施形態では、Xはリンカー、特に本明細書に開示されるリンカーを介して接続される。
一実施形態では、Yはリンカー、特に本明細書に開示されるリンカーを介して接続される。
一実施形態では、リンカーは、AAASGGG 配列番号74、ASGGG 配列番号73、ASGGGG 配列番号71、SGGGGSGGGGSGGGGS 配列番号18、及びSGGGGSGGGGSGGGGSGGGS 配列番号75から選択される。
A又はBはFabであり対応するX又はYがペプチドである場合、それぞれのX又はYにとってのリンカーは、例えば、ASGGG又はASGGGG又はAAASGGG 配列番号72でもよい。
A又はBはscFvであり対応するX又はYがペプチドである場合、リンカーは、例えば、ASGGG又はASGGGG又はAAASGGGでもよい。
A又はBはscFvであり対応するX又はYがscFv又はsdAbである場合、リンカーは、例えば、SGGGGSGGGGSGGGGS及びSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSから選択してもよい。
一実施形態では、X又はYは5から25アミノ酸長の範囲のペプチドである。
一実施形態では、XとYの間の結合親和性は5nM又はそれよりも強く、例えば、900pM又はそれよりも強く、例えば800、700、600、500、400、若しくは300pMなどである。
本開示の二重特異性タンパク質複合体は、ユニットA−X又はユニットB−Yを発現するのは難しくはないので、スクリーニングにおいて使用するのに適している。それぞれのユニット(A−X又はB−Y)の発現後に必要な精製の量は最小である又は実際不必要である。二重特異性複合体は、適切なユニットを混合するだけで、すなわち、コンジュゲーション及びカップリング化学反応に頼らなくても1対1のモル比で形成することが可能である。結合パートナーXとYは、必要なヘテロ二量体二重特異性複合体を形成するのに有利になるように平衡を動かす。さらに、ヘテロ二量体化の後の複合体形成後の精製はほとんど又は全く必要としない。したがって、多数のA−X及びB−Yを容易に調製し組み合わせることが可能である。
一実施形態では、A及び/又はBはFc領域を含む。
一実施形態では、本開示の構築物中のA及び/又はBはFc領域を欠く。
一実施形態では、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体で用いられる1つ又は複数のscFvはジスルフィド安定化されている。
Fc断片CH2−CH3を欠く二重特異性複合体を調製しスクリーニングする能力は、観察される生物活性が実際に複合体中の可変領域対のみに起因することも保証する。本発明の二重特異性複合体の単純さ及びそれを調製する方法の簡単さは、特徴付け、単離目的、等のための迅速で広範なスクリーニングという文脈では大きな利点となる。
一実施形態では、タンパク質成分Bによる目的の可溶性分子の捕捉は、標識されたタンパク質を用いて検出される。標識されたタンパク質は、抗原、完全長抗体などの抗体又はその結合断片でもよい。
一実施形態では、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体A−X:Y−Bは、複合体を、分析しようとする細胞に導入する前にA−XとB−Yをin vitroで混合することにより調製される。したがって、一実施形態では、方法はA−XとB−Yを接触させるin vitro混合ステップを含む。
一実施形態では、成分A−XとB−Yは、別々の融合タンパク質としてしかしほぼ同じ時間に、分析しようとする細胞に導入され、細胞の試料に添加後一体となって複合体A−X:Y−Bを形成する。
一実施形態では、A−X又はB−Yはまず、分析しようとする細胞に添加され、その後それぞれ対応する試薬B−Y及びA−Xが添加される。時間差は、例えば、15分から24時間であってもよい。第2の融合タンパク質を添加後にはじめて、複合体A−X:Y−Bが形成される。
一実施形態では、本開示に従った複数の二重特異性タンパク質複合体は並行して用いられ、例えば、Aは固定された特異性を有していてもよく、タンパク質成分Bにおいて異なる特異性を有する種々のB−Xが用いられる。代わりに、Bは固定された特異性を有していてもよく、Aの特異性は変化してもよい。代わりに、AとBは両方とも変化してもよい。
一実施形態では、本開示の方法はグリッドフォーマットで実施される。
一実施形態では、本開示の方法はマルチプレックスフォーマットで実施される。
一実施形態では、本開示の方法はex vivo/in vitroである。
したがって、一実施形態では、融合タンパク質A−X及びB−Yは同じ細胞で同時発現されることはない。これは、そのおかげで、例えば、100の融合タンパク質を発現し、場合によっては精製することが可能になり、100の融合タンパク質を種々の並べ替えで続いて混合すれば10,000のヘテロ二量体的に繋がれた二重特異性タンパク質複合体を提供することが可能になり、そのうちの5,000が類のない対であるので、有利である。
これとは対照的に、ある種の先行技術の方法では二重特異性の同時発現が必要であり、したがって、10,000の複合体では、10,000のトランスフェクション、発現及び精製が必要になる。
しかし、明白な代替物は、技術的にさらに難問であるが、同じ細胞でA−XとB−Yを発現させることを含む。
有利なことに、これは、融合タンパク質A−X及びY−YBは、その融合タンパク質を互いに混ぜ合わせるだけで容易に会合して二重特異性タンパク質複合体になることが可能であることを意味する。したがって、本開示の二重特異性タンパク質複合体は、抗原結合特異性の、例えば、グリッド状の様式での異なる組合せを有する二重特異性タンパク質複合体の並べ替えの大きなパネルを作製するために、2つの異なるタンパク質を容易に会合することを可能にするモジュラー構造を有する。これのおかげで、相加的、相乗的又は新規の生物学的機能を検出するための多数の二重特異性タンパク質複合体の効率的で系統的なスクリーニングが可能になる。
XとYが互いに対して特異的であることを考慮すると、このせいで、ホモ二量体を形成する能力が著しく減少する。本明細書ではXとYは合わせて結合対又は結合パートナーと呼ばれる。一実施形態では、Xは他のXに対して高い親和性を持たない。一実施形態では、Yは他のYに対して高い親和性を持たない。有利なことに、XとYがホモ二量体を形成せず、このことが望ましくない単一特異性タンパク質複合体の形成を妨げ、所望の二重特異性タンパク質複合体の収量を増やし、単一特異性タンパク質複合体を除去するための面倒な精製ステップの必要性をなくす。
これにより、大半の先行技術の方法では効率的に得ることができない収量及び/又は精度を持つ二重特異性タンパク質複合体の迅速な会合が可能になり、特に、先行技術の方法では一般に大規模な精製ステップが必要になる。本発明では二重特異性複合体の収量は典型的には75%又はそれよりも高い。
さらに、所与の抗原又はエピトープに対する複数の結合領域(可変領域などの)を生物学的機能における微妙な差異を同定するために平行に調べることが可能である。これにより、所与の抗原対に対する可変領域配列の組合せを調査し最適化することが可能になる。
有利なことに、X及びY成分のせいで、融合タンパク質の異なる並べ替えから構成される二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスを迅速に容易に会合させることができる。
本方法は、生物学的機能について予め考えられた着想に頼ってはいない。さらに、本方法は、目的の可溶性分子を捕捉すると、検出された細胞(単数又は複数)上で、細胞増殖の阻害又はアポトーシスの誘導などの、それに続く生物学的機能を誘導する又は妨げることができる。
ペプチド−Fab(図中Y−BはそれぞれFab−Yと標識されている)に複合体化したFab−scFv(図中A−XはそれぞれFab−Xと標識されている)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌された免疫グロブリンに結合しており(対して特異的であり)、検出システムは、例えば、細胞から分泌された免疫グロブリンの定常領域に結合する標識された抗体である。 scFv−Fab(図中Y−BはそれぞれFab−Yと標識されている)に複合体化したFab−ペプチド(図中A−XはそれぞれFab−Xと標識されている)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌された免疫グロブリンに結合しており(対して特異的であり)、検出システムは、例えば、細胞から分泌された免疫グロブリンの定常領域に結合する標識された抗体である。 ペプチド−Fab(図中Y−BはそれぞれFab−Yと標識されている)と複合体化しているFab−scFv(図中A−XはそれぞれFab−Xと標識されている)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌された免疫グロブリンにも結合している抗原に結合し(対して特異的であり)、検出システムは標識された抗体である。Fab B及び分泌された免疫グロブリンは抗原上の異なるエピトープに結合する。 scFv−Fab(それぞれY−B)に複合体化しているFab−ペプチド(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌された免疫グロブリンにも結合している抗原に結合し(対して特異的であり)、検出システムは標識された抗体である。Fab B及び分泌された免疫グロブリンは抗原上の異なるエピトープに結合する。 ペプチド−Fab(それぞれY−B)と複合体化しているFab−scFv(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌された免疫グロブリンに結合し(対して特異的であり)、検出システムは、細胞から分泌された免疫グロブリンにも結合している抗原(任意選択で標識もされる)に結合する標識された抗体である。すなわち、標識された抗体は分泌された免疫グロブリンを間接的に標識している。 scFv−Fab(それぞれY−B)に複合体化しているFab−ペプチド(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌された免疫グロブリンに結合し(対して特異的であり)、検出システムは細胞から分泌された免疫グロブリンにも結合している抗原(任意選択で標識もされる)に結合する標識された抗体である。すなわち、標識された抗体は分泌された免疫グロブリンを間接的に標識している。 ペプチド−抗原(それぞれY−B)と複合体化しているFab−scFv(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、抗原Bは細胞から分泌された免疫グロブリンが特異的に結合しており、検出システムは、例えば、分泌された免疫グロブリンの定常領域に結合している標識された抗体である。 scFv−抗原(それぞれY−B)と複合体化しているFab−ペプチド(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、抗原Bは細胞から分泌された免疫グロブリンが特異的に結合しており、検出システムは、例えば、分泌された免疫グロブリンの定常領域に結合している標識された抗体である。 ペプチド−Fab(それぞれY−B)と複合体化しているFab−scFv(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌される分子に特異的に結合し、検出システムは可溶性分子に結合する標識された抗体である。Fab B及び検出標識された抗体は可溶性分子上の異なるエピトープに結合する。 scFv−Fab(それぞれY−B)と複合体化しているFab−ペプチド(それぞれA−X)を示す図であり、Fab Aは細胞表面受容体に結合しており(対して特異的であり)、Fab Bは細胞から分泌される分子に特異的に結合し、検出システムは可溶性分子に結合する標識された抗体である。Fab B及び検出標識された抗体は可溶性分子上の異なるエピトープに結合する。 本発明による二重特異性タンパク質複合体の一般的構造及び会合の模式図である。 本発明による二重特異性タンパク質複合体の形成を示す図であり、AはそのC末端で52SR4 scFvにより表されるXを融合しているFabであり、BはそのC末端でGCN4ペプチド(7P14P)により表されるYを融合しているFabである。 抗体複合体結合のフローサイトメトリー検出を示すグラフである。 GCN4ペプチドに対する52SR4 scFvのSPR親和性決定を示す表とグラフである。 精製されたFab−X(VR4247)及び精製されたFab−Y(VR4248)のサイズ排除クロマトグラムである。 精製されたFab−X(VR4130)及びFab−Y(VR4131)を示すサイズ排除クロマトグラムである。 Fab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)1対1混合物の500μg/ml、50μg/ml及び5μg/ml濃度でのサイズ排除クロマトグラムである。 ヒトIgG結合を示すグラフである。 形質細胞に結合する抗CD138を示すグラフである。 偽トランスフェクト細胞は中黒バーであり、CD138のみトランスフェクト細胞は縦の黒線であり、IgGのみトランスフェクト細胞は横の黒線であり、二重トランスフェクト(CD138及びIgG)細胞は黒点のバーである。 CD138Fab−Yは中黒バーとして示され、CD45Fab−Yは斜め縞バーとして示されている。二次抗体のみは白バーとして示されている。 T細胞 IgG捕捉は白バーで示され、形質細胞捕捉は中黒バーで示されている。
検出が標識されたタンパク質、例えば、タンパク質成分A又はBの一部に結合する抗体である、これらの図の変形が想定されている。
検出が、例えば、図6にある標識されたタンパク質であり、標識された抗原が用いられ、次にさらなる標識された抗体が必ず用いられる、これらの図の変形が想定されている。
本明細書で使用される「二重特異性タンパク質複合体」とは、ヘテロ二量体繋により一緒に保持される2つのタンパク質を含む分子(本明細書で二重特異性成分と呼ばれるA及びBは本明細書では二重特異性のそれぞれ第1のタンパク質成分及び第2のタンパク質成分とも呼ばれる)のことである。一実施形態では、タンパク質のうちの1つ又は両方は結合ドメインを有しており、例えば、タンパク質のうちの1つ又は両方は抗体又はその断片である(特に、Fab又はFab’断片)。
本明細書で用いられる「融合タンパク質」は、結合パートナーX又はYに融合しているタンパク質成分A又はBを含む(必要に応じて)。一実施形態では、融合タンパク質は、遺伝子構築物から組換え技法により発現される、例えば、DNA構築物から宿主において発現される翻訳タンパク質である。本開示の文脈では、融合タンパク質の鍵となる特徴の1つは、このタンパク質が細胞から「単一タンパク質/ユニット」として発現することが可能であることである(当然のことながら、Fab/Fab’断片を含む融合タンパク質の場合では、2つの鎖が存在することになるが、これは本明細書の目的のために、1つの鎖、典型的には重鎖が、場合によって本明細書で下に記載されるリンカーを介して、必要に応じてそのC末端でX又はYに融合されている単一タンパク質と見なすことになる)。
ヘテロ二量体繋X:Yの機能は、AとBの相乗的機能をもたらす、又は例えば、本明細書に記載される方法を用いて、同定することができるように、タンパク質AとBを互いの近傍に保持することである。
本明細書で用いられる場合「ヘテロ二量体繋」とは、2つの結合パートナーを一緒に保持するのに十分である全体的親和性を有する互いの間の相互作用:(結合などの)を形成する2つの異なる結合パートナーXとYを含む繋のことである。一実施形態では、X及び/又はYはホモ二量体を形成するには不適切である。
ヘテロ二量体的に繋がれたヘテロ二量体繋は本明細書では互換的に使用される。
一実施形態では、本明細書で用いられる「ホモ二量体を形成するには不適切な」とは、ホモ二量体よりもX−Yのヘテロ二量体の形成のほうが好ましい、例えば、形成された後は、熱力学的に安定ななどのより安定している形態のことである。一実施形態では、XとYの間の結合相互作用は一価である。
一実施形態では、X−Y相互作用はX−X又はY−Y相互作用よりも都合がよい。このせいで、融合タンパク質A−XとB−Yが混合されると、ホモ二量体X−X又はY−Yの形成は減少する。典型的には、1対1モル比の混合に続いて75%を超えるヘテロ二量体が形成される。
例えば、本開示による融合タンパク質及び/又は二重特異性タンパク質複合体を精製するために、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーなどの精製ステップ(特に、1ステップ精製)を用いることができる。
一実施形態では、典型的には凝集体レベルは低いけれども、それぞれの融合タンパク質に発現後精製ステップが提供される。したがって、一実施形態では、in vitro混合に先立って、融合タンパク質(単数又は複数)は実質的に純粋な形態で提供される。本明細書で用いられる実質的に純粋な形態とは、融合タンパク質が90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%単量体である場合のことである。
一実施形態では、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。
一実施形態では、それぞれの融合タンパク質ユニットは異なる発現実験/実行で発現される。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体を産生するために混合前には、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。一実施形態では、混合前及び/又は後には、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体形成後には精製は必要ではない。一実施形態では、混合後及び一般には追加の精製なしで、組成物の少なくとも50%は所望の二重特異性タンパク質複合体であり、例えば、組成物の少なくとも60、65、70、75、80%は必要とされる二重特異性タンパク質複合体である。
一実施形態では、本方法のin vitro混合ステップにおいて用いられる融合タンパク質の比は、1.5対1又は2対1などのA−X対B−Yで0.8対1から3対1である。
一実施形態では、本方法のin vitro混合ステップにおいて用いられる融合タンパク質の比は、特にモル比で、1.5対1又は2対1などのB−Y対A−Xで0.8対1から3対1である。
一実施形態では、in vitro混合ステップにおいて用いられるA−X対B−Yの比は、1対1、特に1対1モル比である。
本開示は、融合タンパク質A−XとB−Yを、例えば、1対1モル比で混合することを含む、本開示に従った二重特異性複合体を調製する方法までにも及ぶ。
一実施形態では、混合はin vitroで起こる。
一実施形態では、混合は分析しようとする細胞を含有する試料中で起こり、すなわち、融合タンパク質A−XとB−Yは、個々の融合タンパク質を導入後互いに相互作用する。
一実施形態では、混合はin vivoで起こり、すなわち、融合タンパク質A−XとB−Yは対象の身体内で互いに相互作用してヘテロ二量体繋を、その結果、二重特異性タンパク質複合体を形成する。
一実施形態では、XとYは互いに完全に特異的であり、細胞内又は対象の身体内では他のいかなるペプチド/タンパク質とも結合しない。これは、例えば、XとYが標的細胞中にも標的対象身体中にも天然に存在しないことを保証することによって達成することが可能である。これは、例えば、対象にとっては異なっている種又は実体(例えば、酵母タンパク質)由来であるX又はYを選択し、それに対しもう1つの可変因子が特異的であることを保証することによって達成することが可能である。有利なことに、これにより融合タンパク質A−X及び/又はB−Yが望ましくない標的へ結合して、それによって望まれない非特異的な効果を生じるのが妨げられる。
一実施形態では、結合パートナーのうちの1つ(又は少なくとも1つ)はホモ二量体を形成することができず、例えば、結合パートナーのアミノ酸配列が突然変異してホモ二量体の形成を排除する又は最小化する。
一実施形態では、結合パートナーの両方がホモ二量体を形成することができず、例えば、ペプチド結合パートナーのアミノ酸配列が突然変異してホモ二量体の形成を排除する又は最小化し、それに特異的なsdAbが用いられる。
本明細書で用いられるホモ二量体も凝集体も形成することができないとは、ホモ二量体又は凝集体を形成する傾向が低い又はないことである。本明細書で用いられる低いとは、例えば、混合又は発現又は精製後、4、3、2、1、0.5%若しくはそれ未満の凝集体などの、5%又はそれ未満のことである。
融合タンパク質中の少量の凝集体又はヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体中に残存するものは一般に本開示のスクリーニング法に最小限の効果を及ぼす。したがって、一実施形態では、融合タンパク質(単数又は複数)及び/又は二重特異性タンパク質複合体(単数又は複数)の精製は方法においては、特に混合ステップ後には用いない。
一実施形態では、:は、水素結合及び静電気相互作用などの、引力、例えば、ファンデルワールス力に基づく、特に、抗原(ペプチドなどの)に対する抗体特異性に基づく結合相互作用である。
一実施形態では、:は、クリックケミストリーなどの特定の化学的相互作用から形成される共有結合である。一実施形態では、:は共有結合ではない。一実施形態では、コンジュゲーション/カップリング化学反応は本開示の二重特異性タンパク質複合体を調製するのに用いられない。
本明細書で用いられる「複合体を形成する」とは、結合相互作用又は化学反応を含む相互作用のことであり、この相互作用は複合体が会合し融合タンパク質が一緒に保持される適切な条件下で融合タンパク質成分A−X及びB−Yが接触するときには十分に特異的で強力である。
本明細書で用いられる「一緒に保持される」とは、X:Y結合後、複合体を1つの分子であるかのように取り扱うことができ、多くの場合に単一分子のように振る舞い機能するようにその成分(融合タンパク質)を互いに近傍に保持することである。一実施形態では、保持によって複合体は本明細書で開示される方法において使用するのに適したものになる、すなわち、少なくとも1つの機能スクリーニングにおいて使用するのに適したものになる。
本明細書で用いられる特異性とは、例えば、相互作用におけるパートナー、例えば、X:Y若しくはAと抗原若しくはBと抗原が互いのみを認識する又は非パートナーと比べて互いに対して有意に高い親和性、例えば、無関係の非パートナータンパク質への結合のバックグランドレベルと比べて、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10倍の親和性を有する場合のことである。
本明細書で用いられるXとYに関する特異性とは、相互作用にある結合パートナーXとYが互いのみを認識する又は非パートナーと比べて互いに対して有意に高い親和性、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10倍の親和性を有する場合のことである。
一実施形態では、結合相互作用は可逆的である。一実施形態では、結合相互作用は基本的に非可逆的である。
本明細書で用いられる基本的に非可逆的であるとは、抗体又は結合断片の遅いオフレート(解離定数)のことである。
一実施形態では、XとYの間の結合相互作用は低い解離定数を有する。低い解離定数の例には、1〜9×10−2−1又はそれよりも少ない、例えば、1〜9×10−3−1、1〜9×10−4−1、1〜9×10−5−1、1〜9×10−6−1、1〜9×10−7−1が含まれる。特に適した解離定数には、2×10−4−1又はそれよりも少ない、例えば、1×10−5−1、1×10−6−1又は1×10−7−1が含まれる。
理論に縛られたくはないが、低い解離定数(オフレートとも呼ばれる)であれば分子は、二重特異性タンパク質複合体が特に機能スクリーニングアッセイにおいて有用になるほど安定していることができると考えられる。
一実施形態では、XとYの互いに対する親和性は5nM又はそれよりも強く、例えば、900pM又はそれよりも強く、例えば800、700、600、500、400、300、200、100若しくは50pM又はそれよりも強い。
親和性は実体のオンレートとオフレートから計算される値である。本明細書で用いられる場合用語「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、ペプチド)の間の非共有結合的相互作用の総計の強さのことである。その結合パートナーに対する分子の親和性は一般に解離定数(KD)により表すことが可能である。親和性は、表面プラズモン共鳴法、特にBIAコアなどの本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的方法により測定することが可能である。
しかし、複合体を1つにまとめておく能力は親和性のことだけではない。理論に縛られたくはないが、実際に、3つの重大な成分:オンレート、オフレート及び親和性があると本発明者らは仮定している。親和性の計算はオンレートとオフレートに基づいている。したがって、オンレートが低くオフレートが速い場合には、親和性は低くなり、それでは二重特異性タンパク質複合体を1つにまとめておくのに十分ではなくなる。しかし、遅いオンレートは遅いオフレートにより埋め合わせされて、全体的に適切な親和性をもたらすことができると考えられる。
いくつかの実施形態では、高いオンレートは複合体を1つにまとめておくのに十分である場合がある。
複合体で用いられる結合パートナー(X及びY)が遅いオンレートを有する場合、成分を混合して複合体を形成させた後に追加の時間が必要になる可能性がある。
結合パートナー間の親和性が十分に高い場合、二重特異性タンパク質複合体のタンパク質(A及びB)の親和性がその標的に弱い結合しかしなくても、二重特異性タンパク質複合体は、その所望の生物学的機能を実施することが可能である場合がある。逆に、タンパク質(A及びB)がその標的に強く結合することができる場合、結合パートナー(X及びY)の互いに対する親和性がさらに低くても同じ生物学的機能を達成することが可能である場合がある。言い換えると、結合パートナー間のさらに高い親和性が標的に対するもっと低い親和性の埋め合わせができる及び逆も同じであるように「三位一体」の関係が存在する。
一実施形態では、CH1などの重鎖中の定常ドメインとCKappaなどの軽鎖中の定常ドメインの間の相互作用は、本開示に従った二重特異性複合体の形成及び/又は安定性に寄与する。したがって、本開示の二重特異性複合体のある特定の実施形態でFab又はFab’断片を用いることは有利である。
一実施形態では、本開示の二重特異性複合体はエフェクター機能のある成分を含まない、例えば、複合体はCH1及びCKappa又はCLambda以外の定常ドメインを含まない、特にCH2、CH3、CH4及びその組合せを含む群から独立して選択される定常ドメインを含まない。一実施形態では、本開示の二重特異性複合体はFc領域を欠く。
細胞表面マーカーは、実体、例えば、細胞を同定する及び/又は単離するために単独で又は他の表面マーカーと組み合わせて用いる細胞表面で発現されるタンパク質である。マーカーは細胞の系譜若しくは細胞の活性化状態、細胞により発現される分子又は同類の物と関連していることがある。
本明細書で用いられる目的の可溶性分子とは、細胞により分泌され、in vivoでの前記分子は分泌後沈殿しない分子のことである。細胞により分泌される可溶性分子の例は本明細書に提供されており、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、走化性因子、ロイコトリエン、プロスタグランジン、血管作動性アミン、酵素、補体及び補体の断片、脂質、スフィンゴ脂質、第二メッセンジャー成分(例えば、一酸化窒素、サイクリックAMP、等)、ビタミン、ミネラル、陽イオン、陰イオン、糖、凝固因子、急性期タンパク質、ガンマグロブリン(免疫グロブリンを含む)、アルブミン、可溶性細胞膜受容体、細胞発現タンパク質のスプライスバリアント、核酸、小さな膜小胞(エキソソーム、微小胞、リポソーム、等などの)、分泌ペプチド、免疫複合体並びに死んでいる又は死にかけている細胞由来の細胞内タンパク質を含む。
本明細書で用いられる「マルチプレックス」とは、本開示に従った複数の二重特異性タンパク質複合体を、例えば、同一物の分析からの読み出し情報の絡まりを解く必要があるように、同じポットで本質的に同時に組み合わせることである。
一実施形態では、同時にとは、シグナル出力が本質的に同じ時間に機器により分析される共存分析のことである。このシグナルは得られた結果を解釈するためには逆重畳積分が必要になることがある。
有利なことに、複数の二重特異性タンパク質複合体を試験すれば、分子を分泌している細胞の、したがって、新しい興味深い生物学的機構の同定を求めて多数の二重特異性タンパク質複合体をさらに効率よくスクリーニングすることが可能になる。
一実施形態では、マルチプレックスは、特に、グリッド2から100の第1及び第2の融合タンパク質(A−X及びB−Y)において混合することから作製される、2から数十万のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体、例えば、2から100,000又は2から10,000などの2から500,000の前記複合体を含む。一実施形態では、マルチプレックスは、例えば、2から900、2から800、2から700、2から600、2から500、2から400、2から300、2から200、2から100、2から90、3から80、4から70、5から60、6から50、7から40、8から30、9から25、10から20又は15などの2から1000の二重特異性タンパク質複合体を含む。
一実施形態では、このマルチプレックス中のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質の数はnであり、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれよりも多い。
一実施形態では、方法は、グリッド又はアレイ、例えば、マイクロタイタープレートで実施され、マイクロプレートのそれぞれのウェルは異なる二重特異性タンパク質複合体を含有することができる。二重特異性タンパク質複合体は固体基材表面、例えば、ビーズに繋ぎ留めることができる、又は二重特異性タンパク質複合体は、例えば、ウェル内で若しくは液滴内で液体(例えば、溶液又は培養液)の形態で懸濁されることもできる。
一実施形態では、マルチプレックス中のすべての「A」は異なるタンパク質であり、好ましくは標的抗原に結合する抗体若しくはその結合断片であり、すべての「B」は異なるタンパク質であり、好ましくは標的抗原に結合する抗体若しくはその結合断片である。
一実施形態では、マルチプレックスは下で考察されるグリッド、例えば、8×8、16×16又は16×20で提供され、これはそれぞれ64、256又は320試料に等しい。
本明細書で用いられる「グリッド」とは、タンパク質A(A−Xで)などの1つの可変因子はX軸(水平軸)などの1つの軸に沿って変え、タンパク質B(B−Yで)などの別の可変因子はY軸(垂直軸)などのもう1つの軸に沿って変える2次元プロット又はアレイのことである。この配置は可変因子の種々の組合せ(並べ替え)を系統的に評価することを支援する。
一実施形態では、アレイは96ウェルプレート上で提供され、分析される試料はその倍数、すなわち、96、192、384、等でもよい。
有利なことに、グリッド配置は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の生物学的機能を効率的にスクリーニングするのに特に有利である。図3はそのようなグリッドの例を示しており、4つの第1の融合タンパク質は4つの第2の融合タンパク質と容易に組み合わせて16の二重特異性タンパク質複合体を産生することが可能である。
スクリーニンググリッドの他の変動は当業者には明らかであり、例えば、第1の融合タンパク質(A−X)中の第1のタンパク質(A)は一定に保ち、第2の融合タンパク質(B−X)中の第2のタンパク質(B)は変化させる。これは、予め選択された第1のタンパク質との相乗的機能について多数の異なる第2のタンパク質を迅速にスクリーニングするために有用であり得る。
別の実施形態では、タンパク質Aは、それぞれの抗体変異体が同じ抗原に特異的であるが可変領域の異なる組合せを有するように、タンパク質Aの抗体可変領域を変えることにより1つの軸に沿って変化する。タンパク質Bは一定に保つことができる又は同じ様式で変化する若しくは抗原特異性がBタンパク質について変化する(グリッドを横切る又は下る)ように変化することもできる。
一実施形態では、本開示に従った「共通の」第1の融合タンパク質(A−X)がそれぞれのウェル内に存在することができる。次に、本開示に従った一定範囲の異なる第2の融合タンパク質(B−Y)をそれぞれのウェル内に分注することができる。それに続いて、2つの結合パートナー(X及びY)の特異的な結合相互作用は2つの融合タンパク質を物理的に近づけて二重特異性タンパク質複合体を形成させる。これにより、すべてが第1の標的細胞抗原に結合している(Aが結合している)がそれぞれの二重特異性タンパク質複合体に異なっていてもよい第2の可溶性標的抗原(Bが結合している)にも結合することができる二重特異性タンパク質複合体を含むアレイが得られる。
一実施形態では、A−X融合タンパク質は同じ細胞表面標的抗原に対して異なる可変領域を含み、A−X中の可変領域と組み合わされた場合、Bが結合する所与の標的抗原の可変領域及び/又はエピトープの最適化を可能にする。
一実施形態では、B−Y融合タンパク質は同じ可溶性標的抗原に対して異なる可変領域を含み、A−X中の可変領域と組み合わされた場合、Bが結合する所与の標的抗原の可変領域及び/又はエピトープの最適化を可能にする。
当業者であれば、マルチプレックス中のそれぞれの位置の二重特異性タンパク質複合体の所望の特異性を容易に制御することが可能であるように、上記の異なる変動も認識している。これにより、そのようなマルチプレックスが結合及び機能的アッセイにおいて使用された場合、二重特異性タンパク質複合体の異なる組合せの効率的なスクリーニングが可能になる。一実施形態では、要因計画を用いてグリッドで用いられる可変因子を定義する。
一実施形態では、本開示の方法はハイスループット分析に貢献する。
一実施形態では、複数の二重特異性タンパク質複合体は平行して又は基本的の同時に試験される。
本開示の方法により同定される細胞は、FACS、磁気ビーズ、マイクロ流体技術又は当技術分野で利用可能な別の方法などの技法を用いて選別することが可能である。
一実施形態では、結合対の第1の結合パートナーXと第2の結合パートナーYのうちの少なくとも1つは、独立してペプチド及びタンパク質から選択され、例えば、第1の結合パートナー又は第2の結合パートナーはペプチドである。
適切なペプチドには、GCN4、Fos/Jun(ヒト及びマウスFosはそれぞれUniprot番号P01100及びP01101を有し、ヒト及びマウスJunはそれぞれUniprot番号05412及び05627を有する)、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素のアミノ酸98から106に対応するHAタグ、ポリヒスチジン(His)、c−myc及びFLAGを含む群を含む。他のペプチドも本開示において使用するのに適切と予想されており、特に適切なペプチドはタンパク質精製のためのアフィニティータグである。なぜならば、そのようなペプチドはそのそれぞれの結合パートナーに高親和性で結合する傾向があるからである。
一実施形態では、ペプチドはE5B9ではない。
本明細書で用いられる場合用語「ペプチド」とは、ペプチド結合により連結されたアミノ酸の短いポリマーのことであり、ペプチドは2〜100の範囲で、例えば、6から98、7から97、8から96又は5から25などの5から99のアミノ酸を含有する。一実施形態では、本開示で用いられるペプチドは50アミノ酸残基又はそれよりも少ない、例えば、40、30、20、10又はそれよりも少ないアミノ酸配列である。
一実施形態では、タンパク質は抗体又は抗体断片である。
本明細書で用いられる場合用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位(本明細書では結合部位とも呼ばれる)を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド、ペプチド、等などの標的抗原への特異的結合ができる免疫グロブリン分子のことである。
本明細書で使用されるように、「抗体分子」には抗体及びその結合断片が含まれる。
本明細書で用いられる「抗体断片」又は抗体の「抗原結合断片」とは、天然に存在するものであれ人工的なものであれ、Fab、改変Fab、Fab’、改変Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体(sdAb)、scFv、二、三又は四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及び上記のいずれかのエピトープ結合断片を含むがこれらに限定されない抗体の断片のことである(例えば、Holliger and Hudson, 2005, Nature Biotech. 23(9):1126-1136; Adair and Lawson, 2005, Drug Design Reviews - Online 2(3), 209-217参照)。
これらの抗体断片を作製し製造するための方法は当技術分野では周知である(例えば、Verma et al., 1998, Journal of Immunological Methods, 216:165-181参照)。本開示で使用するための他の抗体断片には、国際特許出願WO05/003169、国際特許出願WO05/003170及び国際特許出願WO05/003171に記載されるFab及びFab’断片が含まれる。多価抗体は複数の特異性体、例えば、二重特異性体を含んでいてもよく又は単一特異性であってもよい(例えば、WO92/22853、WO05/113605、WO2009/040562、及びWO2010/035012参照)。
本明細書で用いられる「抗原結合断片」とは、ペプチド又は抗原に対して特異的な断片を特徴付けるのに十分な親和性で標的ペプチド又は抗原に結合することができる断片のことである。
本明細書で用いられる場合用語「Fab断片」とは、軽鎖(CL)のVL(可変軽)ドメイン及び定常ドメインを含む軽鎖断片並びに重鎖のVH(可変重)ドメイン及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片のことである。一例では、Fab断片の重鎖配列はCH1の鎖間システインで「終わる」。一実施形態では、A−X及び/又はB−Yなどの本開示の融合タンパク質で用いられるFab断片は一価である。
本明細書で用いられるFab’断片とは、ヒンジ領域のすべて又は一部をさらに含むFab断片のことである。一実施形態では、A−X及び/又はB−Yなどの本開示の融合タンパク質で用いられるFab’断片は一価である。
本明細書で用いられる場合用語「単鎖Fv」又は略記して「scFv」とは、(例えば、ペプチドリンカーにより)連結されたVHとVL抗体ドメインを含んだかたちで単一ポリペプチド鎖を形成する抗体断片のことである。重及び軽鎖の定常領域はこのフォーマットでは取り除かれている。本明細書で用いられる単鎖Fvには、そのジスルフィド安定化バージョンが含まれ、これはペプチドリンカーに加えてジスルフィド結合が可変領域間に存在する。
ジスルフィド安定化scFvは、可変領域が分離し再び一体となることに関係する動力学的に呼吸する一部の可変領域の傾向を取り除くことができる。本明細書で用いられる場合用語「単一ドメイン抗体」とは、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片のことである。単一ドメイン抗体の例には、VH又はVL又はsdAbが含まれる。
本明細書で用いられる場合用語「sdAb」又は「単一ドメイン抗体(単数又は複数)」とは、単一の抗原結合ドメインを含む分子のことである。sdAbは人工的に作られても天然に存在するものでもよく、VHのみ、VLのみ、ラクダ科VHH、ヒトドメイン抗体、IgNARなどのサメ由来抗体を含むがこれらに限定されない。
一実施形態では、抗体結合断片及び/又は二重特異性抗体複合体はFc領域を含まない。本明細書で用いられる「Fc領域を含まない」とは、非存在であるCH2、CH3及びCH4などのもっと低い定常ドメインのことである。しかし、CH1、CKappa/CLambdaなどの定常ドメインは存在する場合がある。
一実施形態では、抗体重鎖はCH1ドメインを含み、抗体軽鎖はCLドメイン、カッパ又はラムダのいずれかを含む。
一実施形態では、抗体重鎖はCH1ドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、抗体軽鎖はCLドメイン、カッパ又はラムダのいずれかを含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質A及び/又は第2のタンパク質Bは抗体又は抗体断片である。そのような二重特異性タンパク質複合体は二重特異性抗体複合体と呼ぶこともできる。
二重特異性タンパク質複合体は、XとYにより1つに繋ぎ合わされた、細胞表面に結合することができるタンパク質と細胞から分泌される可溶性分子に結合することができるタンパク質を含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は二重特異性抗体複合体である。
一実施形態では、本明細書で用いられる「二重特異性タンパク質複合体」とは、少なくとも2つの抗体結合部位を含み、成分抗体、断片又は両方がヘテロ二量体繋で1つに複合体化されている二重特異性タンパク質複合体のことである。
本明細書で用いられる複合体化されたとは一般に、A−XとB−Yが相互作用X:Yにより1つに繋ぎ合わされている場合のことである。
本明細書で用いられる複合体化されていないとは、A−XとB−Yが別々の分子の場合のことである。
一実施形態では、B及び検出のための標識された抗体(例えば、抗体、断片又は抗体と断片の組合せ)は同じ抗原を標的とし、例えば、同じ標的抗原上の2つの異なるエピトープに結合する。別の実施形態では、B及び検出のための標識された抗体(例えば、抗体、断片又は抗体と断片の組合せ)は異なる抗原特異性を有し、例えば、2つの異なる標的抗原に結合することがある。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体で用いられるそれぞれの抗体又は断片は1つの結合部位を含む、すなわち、それぞれの結合部位は標的抗原ごとに一価である。
本明細書で用いられる場合、抗原とは、適切な条件下では身体を刺激して自身に対する抗体を産生させる分子のことである。抗原は、通常、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖、脂質及び合成若しく天然に存在する化学化合物又はその組合せである。本明細書で使用されるように、用語「抗原」は好ましくは、糖タンパク質などのタンパク質又はタンパク質と膜脂質などの脂質の複合体、特にCD45及び免疫グロブリンのことである。融合タンパク質(A−X又はB−Y)で用いられる完全長抗体又は抗体断片は、単一特異性、一価、多価又は二重特異性でもよい。
有利なことに、2つの二重特異性抗体又は抗体断片を使用することにより、本開示の二重特異性抗体複合体は潜在的に最大4つの異なる抗原に特異的であることができる(すなわち、複合体は四重特異性であることができる)。これにより結合活性タイプ効果を調べることができる。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は、単一特異性抗体又は抗体断片、特に、一価Fab、Fab’、scFv、Fv、sdAb又は類似のものである。
一実施形態では、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は、単一特異性抗体又は抗体断片、特に、一価Fab、Fab’、scFv又は類似のものである。
本明細書で用いられる場合「単一特異性」とは、1つの標的抗原のみに結合する能力のことである。
本明細書で用いられる場合「一価」とは、単一の結合部位を有し、したがって、標的抗原に1回のみ結合するだけである抗体又は抗体断片のことである。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である、すなわち、2つ又はそれよりも多い結合ドメインを有する。
一実施形態では、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である、すなわち、2つ又はそれよりも多い結合ドメインを有する。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価であり、第2の融合タンパク質(B−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価であり、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は一価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である。
一実施形態では、A−X又はB−Yは、1つは抗原CD33に特異的であり1つは抗原CD3に特異的である2つのscFv又は代わりにこれら2つの抗原に特異的な二重特異性複合体フォーマットを含む融合タンパク質ではない。
一実施形態では、A−X又はB−Yは、ペプチドE5B9に連結されたCD3に特異的なscFv(又は代わりに別の抗体フォーマット)を含む融合タンパク質ではない。
本明細書で用いられる場合「結合ドメイン又は部位」は、抗体のうち抗原/エピトープに接触しそれとの結合相互作用に関与する部分である。一実施形態では、結合ドメインは少なくとも1つの可変ドメイン又はその誘導体、例えば、可変ドメイン又はその誘導体の同族対などの可変ドメイン又はその誘導体の対を含有する。
一実施形態では、結合ドメインは、特に、結合ドメインがVH、VL又はsdAbなどのドメイン抗体である場合には、3つのCDRを含む。一実施形態では、結合ドメインは2つの可変ドメイン及び6つのCDR及びフレームワークを含み、合わせてこれらのエレメントは、抗原/エピトープとの抗体又は結合断片の結合相互作用の特異性に寄与する。
本明細書で用いられる場合「同族対」とは、前もって形成されたカップルとして宿主から単離される重軽鎖対のことである。この定義は、宿主由来の初めの対合が保持されていないライブラリーから単離される可変ドメインを含まない。同族対は有利である可能性がある。なぜならば、同族対は宿主において成熟された親和性である場合が多く、したがって、その対が特異的である抗原に対して高い親和性を有する可能性があるからである。
本明細書で用いられる場合「天然に存在するドメインの誘導体」は、例えば、望ましくない特性を取り除くことなどによりドメインの特性を最適化するために、天然に存在する配列中の1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのアミノ酸が置き換えられている又は欠失しているが、ドメインの特徴的な特色(単数又は複数)は保持されていることを指すことを意図している。改変の例は、グリコシル化部位、GPIアンカー、又は溶媒曝露リシンを取り除く改変である。これらの改変は、関連するアミノ酸残基を保存的アミノ酸置換で置き換えることにより達成することが可能である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体又はその抗体/断片成分は処理されて、標的抗原(単数又は複数)に対する改善された親和性を提供する。そのような変異体は、CDRを突然変異する(Yang et al., J. Mol. Biol., 254, 392-403, 1995)、鎖シャフリング(Marks et al., Bio/Technology, 10, 779-783, 1992)、大腸菌(E.coli)の変異誘発菌種の使用(Low et al., J. Mol. Biol., 250, 359-368, 1996)、DNAシャフリング(Patten et al., Curr. Opin. Biotechnol., 8, 724-733, 1997)、ファージディスプレイ(Thompson et al., J. Mol. Biol., 256, 77-88, 1996)及び性的PCR(Crameri et al., Nature, 391, 288-291, 1998)を含むいくつかの親和性成熟プロトコールにより得ることが可能である。Vaughanら(上記)は親和性成熟のこれらの方法を考察している。
一実施形態では、第1の抗体又は抗体断片(A)は第1の抗原に対して特異的であり、第2の抗体又は抗体断片(B)は第2の抗原に対して特異的であり、一般に、第1と第2の抗原は異なっている。これにより、抗体複合体が、それぞれが異なる実体上に位置している2つの異なる抗原に結合し、それによって2つの実体を物理的に互いに近接させる可能性が提供される。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はFabであってよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はFab’であってよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はscFvでもよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1(A)若しくは第2(B)の抗体/断片又は第1と第2の抗体/断片の両方はsdAbである。
便宜上、本開示の二重特異性タンパク質複合体は本明細書ではA−X:Y−Bと呼ばれる。A及びB並びにX及びYは本技術の説明を支援するために言及される名目ラベルである。
本明細書で用いられる場合「付加されている(attached)」とは、その例が下で考察されるペプチドリンカーなどのリンカーを介して直接的に又は間接的に連結している又は結合していることである。直接的に連結しているには、一つに融合している(例えば、ペプチド結合)又は化学的にコンジュゲートしているが含まれる。
本明細書で用いられる場合「結合パートナー」とは、結合対の1つの成分部分のことである。
一実施形態では、結合パートナーの親和性は高く、900、800、700、600、500、400、300pM又はそれよりも強いなどの5nM又はそれよりも強い。
本明細書で用いられる場合「結合対」とは、互いに特異的に結合する二つの結合パートナーのことである。結合対の例には、ペプチドとそれに特異的な抗体若しくは結合断片、又は酵素とリガンド、又は酵素とその酵素の阻害剤が含まれる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は、完全長抗体、Fab、Fab’、Fv、dsFv、scFv及びsdAbを含む群から選択され、sdAbの例にはVH又はVL又はsdAbが含まれる。
Xが抗体又はその結合断片である場合、Yはタンパク質又はペプチド、特に、ペプチドである。
一実施形態では、第2のパートナー(Y)は、完全長抗体、Fab、Fab’、Fv、dsFv、scFv及びsdAbを含む群から選択され、sdAbの例にはVH又はVL又はsdAbが含まれる。
Yが抗体又はその結合断片である場合、Xはタンパク質又はペプチド、特に、ペプチドである。
一実施形態では、Aが抗体又はその断片である場合、第1の結合パートナー(X)は第1の抗体又は抗体断片の重又は軽鎖のC末端に付加されており、例えば、第1の結合パートナー(X)は第1の抗体又は抗体断片(A)の重鎖のC末端に付加されている。
別の実施形態では、Bが抗体又はその断片である場合、第2の結合パートナー(Y)は第2の抗体又は抗体断片の重又は軽鎖のC末端に付加されており、例えば、第2の結合パートナー(Y)は第2の抗体又は抗体断片(B)の重鎖のC末端に付加されている。
一実施形態では、Xは抗体又は断片(タンパク質A)の重鎖のC末端に付加されており、Yは抗体又は断片(タンパク質B)の重鎖のC末端に付加されている。
一実施形態では、Xは抗体若しくは断片(タンパク質A)の重鎖のC末端にリンカー(ASGGGG 配列番号71又はASGGGGSG 配列番号72又はASGGG 配列番号73又はAAASGGG 配列番号74などの)又は当技術分野で公知の若しくは本明細書の下に記載されている他の任意の適切なリンカーを介して結合しており、Yは抗体若しくは断片(タンパク質B)の重鎖のC末端にリンカー(ASGGGG 配列番号71又はASGGGGSG 配列番号72又はASGGG 配列番号73又はAAASGGG 配列番号74などの)を介して結合している。
適切な結合対(X又はY)の例は、GCN4(配列番号1又はHISタグを欠く、配列番号1のアミノ酸1〜38)又はその変異体(例えば、配列番号76〜98により示される配列のうちのいずれか)及びGCN4に対して特異的であるscFvである、52SR4(配列番号3又はHISタグを欠く、配列番号3のアミノ酸1から243)又はその変異体を含んでいてもよい。
一実施形態では、第1の結合パートナー(通常はX)はGCN4(例えば、配列番号1に示される)又はその断片若しくは変異体(例えば、Hisタグなし又は配列番号76〜98により示される配列のうちのいずれか)であり、第2の結合パートナー(通常はY)はGCN4に対して特異的なscFv若しくはsdAb(例えば、配列番号3、99又は100に示される)又はその変異体である。
一実施形態では、第1の結合パートナー(通常はX)はGCN4に対して特異的なscFv若しくはsdAb(例えば、配列番号3、99又は100に示される)又はその変異体であり、第2の結合パートナー(通常はY)はGCN4(例えば、配列番号1に示される)又はその断片若しくは変異体(例えば、配列番号76〜98により示される配列のうちのいずれか)である。
GCN4変異体には、配列番号1に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%又は98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。GCN4変異体には、ヌクレオチド配列配列番号2によりコードされる配列に、又は厳密な条件下で配列番号2にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる配列に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列も含まれる。
GCN4に特異的な適切なscFvは52SR4(配列番号3)又はその変異体(配列番号99又は100)である。52SR4の変異体には配列番号3に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。52SR4の変異体には、ヌクレオチド配列番号4によりコードされる配列に、又は厳密な条件下で配列番号4にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる配列に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列も含まれる。
本発明者らは、単鎖抗体52SR4及びペプチドGCN4は本開示の二重特異性タンパク質複合体において使用するのに適した結合対であることを見出していた。
代わりに、いかなる適切な抗体/断片及び抗原(ペプチドなどの)でもX及びYとして用いることができる。好ましくは、そのようなXとYの対からは、A−XとY−Bが1対1のモル比で組み合わされると75%よりも多くのヘテロ二量体が得られる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)及び第2の結合パートナー(Y)はタンパク質である。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は酵素若しくはその活性断片であり第2の結合パートナー(Y)はリガンドである又はその逆もまた同じである。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は酵素若しくはその活性断片であり第2の結合パートナー(Y)はその酵素の阻害剤である又はその逆もまた同じである。
本明細書で用いられる場合「活性断片」とは、アミノ酸断片のことであり、これは実体では全アミノ酸配列よりも少なく、基本的に同じ生物活性又は関連する生物活性、例えば、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%などの50%を超える活性を保持している。
別の実施形態では、第1の結合パートナーXはグルタチオン(GSH)であり第2の結合パートナーYはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)である又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、XはFosでありYはJunである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、XはHisでありYは抗Hisである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、結合対はカルモジュリン結合ペプチドでありYはカルモジュリンである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、Xはマルトース結合タンパク質でありYは抗マルトース結合タンパク質若しくはその断片である又はその逆もまた同じである。
他の酵素−リガンド組合せも結合パートナーにおいて使用するために想定している。タンパク質精製のための当技術分野で公知の親和性タグも適切である。なぜならば、これらのタグはそのそれぞれの結合パートナーに高親和性で結合する傾向があるからである。
「同一性」は、本明細書で使用されるように、整列させた配列中のいかなる特定の位置においてもアミノ酸残基が配列間で同一であることを示している。「類似性」は、本明細書で使用されるように、整列させた配列中のいかなる特定の位置においてもアミノ酸残基が配列間で類似する種類であることを示している。例えば、ロイシンはイソロイシン又はバリンの代わりに用いることができる。多くの場合互いに代わりに用いることが可能な他のアミノ酸には、
− フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸)
− リシン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸)
− アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸)
− アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);並びに
− システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)
が含まれるがこれらに限定されない。
同一性及び類似性の程度は容易に計算することが可能である(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing. Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987, Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991, the BLASTTM software available from NCBI (Altschul, S.F. et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410; Gish, W. & States, D.J. 1993, Nature Genet. 3:266-272. Madden, T.L. et al., 1996, Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F. et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J. & Madden, T.L. 1997, Genome Res. 7:649-656)。
一実施形態では、第1又は第2の結合パートナー(X又はY)はタンパク質又はペプチドである。
リンカーは、融合タンパク質を接続するのに有用であり可能である任意の構造成分であってもよい。一実施形態では、第1及び第2の融合タンパク質は1つ又は複数のペプチドリンカーを含む。リンカーは融合タンパク質中の種々の位置に取り込むことができる。例えば、リンカーは結合パートナーとそれに付加されているタンパク質の間に導入することができる。
一実施形態では、リンカーはペプチドリンカーであり;代替物は脂質又は糖リンカー又は化学化合物でもよい。
本明細書で使用される用語「ペプチドリンカー」とは、アミノ酸配列を有するペプチドのことである。一定範囲の適切なペプチドリンカーは当業者には公知であろう。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体の結合パートナーはペプチドリンカーを介してそのそれぞれのタンパク質に結合されている。
一実施形態では、融合タンパク質は翻訳融合であり、すなわち、融合タンパク質が発現されるもとの遺伝子構築物を含む宿主細胞において発現される融合タンパク質である。
一実施形態では、融合タンパク質は、場合によってはペプチドリンカーを介してAの重鎖をXに及び/又はBの重鎖をYに融合させることにより調製される。
一実施形態では、ペプチドリンカーは50アミノ酸長又はそれよりも少なく、例えば、20アミノ酸又はそれよりも少ない。
一般に、融合タンパク質を組換え的に発現させるほうが効率的であり、したがって、宿主細胞において発現させることが可能な直接ペプチド結合又はペプチドリンカーが有利である可能性がある。
一実施形態では、リンカーは、配列番号5から72に示される配列(表2、3及び4)又はPPPに一致する配列から選択される。


強固なリンカーの例には、ペプチド配列GAPAPAAPAPA(配列番号69)、PPPP(配列番号70)及びPPPが含まれる。
一態様では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を産生する方法であって、
(a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1のタンパク質(A)を含む、第1の融合タンパク質(A−X)を作製するステップと、
(b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2のタンパク質(B)を含む、第2の融合タンパク質(B−Y)を作製するステップと、
(c)ステップa)及びb)において調製された第1(A−X)と第2(B−Y)の融合タンパク質を一緒に混合するステップと
を含む上記方法が提供される。
典型的にはステップ(c)におけるA−XとB−Yの混合は1対1のモル比である。
一実施形態では、本開示の複合体中で用いられるそれぞれの融合タンパク質は、発現実験において宿主細胞(単数又は複数)での発現により産生される。
一態様では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を調製する方法であって、
(a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1のタンパク質(A)を含む、第1の融合タンパク質(A−X)を発現させるステップと、
(b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2のタンパク質(B)を含む、第2の融合タンパク質(B−Y)を発現させるステップと、
を含み、
融合タンパク質A−X及びB−Yが同じ宿主細胞又は異なる宿主細胞から発現される上記方法が提供される。
本明細書で用いられる場合、異なる宿主細胞とは、同じ種類(同じクローン種でさえ)の細胞を含む、個々の細胞のことである。
一実施形態では、発現は一過性発現である。一過性発現の使用は、精製に頼らずに二重特異性複合体を生成する能力と組み合わされると極めて有利である。これにより、一過性トランスフェクションは安定なトランスフェクションよりもはるかに簡単であり資源多消費ではないので、二重特異性タンパク質複合体を産生する迅速な方法が得られる。
一実施形態では、発現は安定な発現である、すなわち、そこでは問題になっている融合タンパク質をコードするDNAは宿主細胞ゲノム内に安定的に組み込まれている。
一実施形態では、同じ又は異なるポリヌクレオチド配列上のA−Xをコードするポリヌクレオチド及びB−Yをコードするポリヌクレオチドは機能アッセイの一部として細胞内にトランスフェクトされ、タンパク質が細胞内で発現される及び/又はそこから放出される。特に、ポリヌクレオチドは同じ又は異なるプラスミド上に一過性にトランスフェクトされる。
A−XとB−Yの混合は、一般的に、XとYが相互作用できる条件で成し遂げられる。一実施形態では、融合タンパク質は、細胞培養条件下で細胞培養培地においてインキュベートされ、例えば、融合タンパク質は37℃/5%CO環境において90分間インキュベートされる。
一実施形態では、本開示の融合タンパク質は水性環境で混合され、例えば、1つの融合タンパク質はビーズ又はプレートなどの固体表面に結合させることができ、もう一方の融合タンパク質は水溶液/懸濁液中でそれに対して導入することが可能である。固相であれば過剰な成分及び試薬は容易に洗い流すことができる。一実施形態では、どちらの融合物も固相に付加されておらず、液体/溶液/培養液中で混合しているだけである。したがって、一実施形態では、A−X及びB−Yは水性媒体中で遊離のタンパク質として混合している。
有利なことに、本開示の方法を用いれば、異種対間(すなわち、第1の融合タンパク質[A−X]と第2の融合タンパク質[B−Y]の間)で形成され、同種対間(すなわち、2つの第1の融合タンパク質[A−X]間又は2つの第2の融合タンパク質[B−Y]間)の相互作用が最小化されている複合体を調製することが可能である。したがって、本方法により、ホモ二量体複合体の混入を最小限にして又はなしで、多数の二重特異性タンパク質複合体を調製することが可能になる。本開示の構築物及び方法の利点は、A−XとB−Yの比がA−XとB−Yの特性により制御され、特に、モル比1対1を達成することが可能である点である。この制御の要素は、ある種に先行技術の方法よりも著しい改良点である。
存在する場合、本開示の二重特異性抗体複合体又は抗体分子の定常領域ドメインは、存在する場合、複合体又は抗体分子の提唱されている機能、特に、必要になる可能性のあるエフェクター機能を考慮して、選択することができる。例えば、定常領域ドメインはヒトIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMドメインであってよい。特に、抗体分子が治療的使用を意図されており抗体エフェクター機能が必要とされるときは、特に、IgG1及びIgG3アイソタイプのヒトIgG定常領域ドメインを使用することができる。代わりに、抗体分子が治療目的を意図されており抗体エフェクター機能が必要とされないときは、IgG2及びIgG4アイソタイプを使用することができる。これらの定常領域ドメインの配列変異体も使用できることは認識されるであろう。例えば、Angal et al., 1993, Molecular Immunology, 1993, 30:105-108に記載されている241位のセリンがプロリンに交換されているIgG4分子を使用することができる。したがって、抗体がIgG4抗体である実施形態では、抗体は変異S241Pを含むことができる。
抗体は種々の翻訳後修飾を受けることができることも当業者であれば理解するであろう。これらの修飾の種類及び程度は多くの場合、抗体を発現するのに使用される宿主細胞系並びに培養条件に依拠する。そのような修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化及びアスパラギン脱アミド化の変動が含まれる場合がある。頻繁な修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端塩基残基(リシン又はアルギニンなどの)の喪失である(Harris, RJ. Journal of Chromatography 705:129-134, 1995に記載されている)。したがって、抗体重鎖のC末端リシンは非存在でもよい。
本開示は、上記の1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む組成物であって、例えば、ホモ二量体複合体の混入を最小限にする又はなしで本開示に従ったヘテロ二量体二重特異性複合体を主に含む上記組成物も提供する。
一実施形態では、組成中の融合タンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は二重特異性タンパク質複合体形態である。
一実施形態では、組成中の融合タンパク質の少なくとも60%は二重特異性タンパク質複合体形態である。
一実施形態では、形成された複合体はさらなる精製ステップを必要とせず、したがって、組成物は未精製二重特異性複合体を含む。
一実施形態では、形成された複合体は1回の精製ステップ、例えば、カラムクロマトグラフィーを必要とする。
一実施形態では、方法は、例えば、本開示に従った融合タンパク質の発現後及び融合タンパク質を混合する前に、少なくとも1回の精製ステップをさらに含む。
一態様では、本開示は、本明細書で定義される融合タンパク質、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体、融合タンパク質又は前記二重特異性タンパク質複合体を含む組成物、マルチプレックス、アレイ、ライブラリーに関する。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は溶液又は懸濁液中にある。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は固体基材表面上に固定されている。
一実施形態では、マルチプレックスはアレイの形態、例えば、96又は384ウェルプレートなどのマイクロプレート中にある。そのようなアレイは、所望の機能性を備えた二重特異性タンパク質複合体を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて容易に実行することが可能である。
別の実施形態では、二重特異性タンパク質複合体はビーズにコンジュゲートされている。
上で定義される融合タンパク質は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の成分である。一態様では、本開示は本明細書に記載される融合タンパク質に関する。
追加の態様では、上で定義される2つ又はそれよりも多い融合タンパク質を含むライブラリーが提供される。
本明細書で使用される用語「ライブラリー」とは、組み合わせれば本開示に従った少なくとも2つの異なる二重特異性抗体複合体を形成することが可能な、本開示の2つ若しくはそれよりも多い二重特異性抗体複合体又は本開示の複数の融合タンパク質のことである。本明細書全体を通じて記載されるように、用語「ライブラリー」はその最も広い意味で使用され、サブライブラリーも包含することができる。
有利なことに、ライブラリーは、特定の結合対の第1の結合パートナー(X)又は第2の結合パートナー(Y)のいずれかが付加されている一定範囲の異なる融合タンパク質を含むことができる。一実施形態では、ライブラリーの一部は、それぞれが結合パートナーXに連結しているタンパク質/抗体/断片を含み、ライブラリーの残りはそれぞれが結合パートナーYに連結している同じタンパク質/抗体/断片を含む。したがって、これにより、1つの融合タンパク質に結合対の第1の結合パートナーが付加されておりもう一方の融合タンパク質に結合対の第2の結合パートナーが付加されている限り、任意の2つの融合タンパク質を容易に組み合わせて本開示の二重特異性タンパク質複合体を形成することが可能になる。
一実施形態では、本発明の二重特異性タンパク質複合体は治療応用に適しており、疾患の処置に新規の治療薬を提供することができる。したがって、追加の態様では、治療において使用するための上記の二重特異性タンパク質複合体が提供される。
一実施形態では、本開示の方法のために入手される又は入手可能な融合タンパク質が提供される。
一実施形態では、本開示の方法から入手される又は入手可能な二重特異性抗体複合体が提供される。
一実施形態では、本開示に従った方法により同定される可変領域組合せを含む二重特異性又は多特異性抗体分子が提供される。
一実施形態では、本開示の方法から得られる融合タンパク質、二重特異性抗体複合体又は二重特異性/多特異性抗体分子を含む医薬組成物などの組成物が提供される。
薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を含む、種々の異なる成分を組成物に含めることが可能である。組成物は、場合により、本発明の抗体の集団の特徴を変えることができる追加の分子を含み、それによって、例えば、抗体の機能を減少する、安定化する、遅らせる、調節する及び/又は活性化することができる。組成物は、固体又は液体形態でもよく、なかんずく、粉末、錠剤、溶液又はエアロゾルの形態でもよい。
本開示は、本発明の二重特異性タンパク質複合体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と組み合わせて含む医薬又は診断組成物も提供する。したがって、処置において使用するための及び病態又は障害の処置用の薬物の製造のための本発明の二重特異性タンパク質複合体の使用が提供される。
病態又は障害は、例えば、感染症(ウイルス性、細菌性、真菌性及び寄生性)、感染に関連するエンドトキシンショック、関節リウマチなどの関節炎、重症喘息などの喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病(Pilonidal disease)、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着(surgical adhesions)、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリトマトーデスなどの)及びギランバレー症候群などの中枢及び末梢神経系の免疫媒介炎症性疾患;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植片拒絶、心筋梗塞並びに粥状動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節炎、歯周炎、低酸症(hypochlorhydia)並びに乳がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、肝細胞がん、結腸がん、膵がん、食道がん、頭頸部がん、腎がんなどのがん、特に、腎細胞癌、前立腺がん、肝がん、メラノーマ、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸がん、及び甲状腺がん、並びにその転移型からなる群から選択することができる。
本開示は、本発明の二重特異性タンパク質複合体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と組み合わせて含む医薬又は診断組成物も提供する。したがって、処置において及び薬物の製造において使用するための本発明の二重特異性タンパク質複合体の使用が提供される。
組成物は、通常薬学的に許容される担体を含むことになる無菌の医薬組成物の一部として普通、供給されることになる。本発明の医薬組成物は薬学的に許容されるアジュバントをさらに含むことができる。
本発明は、本発明の抗体分子又は二重特異性抗体複合体を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と一緒に添加して混合することを含む、医薬又は診断組成物の調製のための工程も提供する。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される賦形剤」とは、本発明の組成物の所望の特徴を増強する薬学的に許容される製剤担体、溶液又は添加物のことである。賦形剤は当技術分野では周知であり、緩衝剤(例えば、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤及び炭酸水素緩衝剤)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールが含まれる。溶液又は懸濁液はリポソーム又は生分解性マイクロスフェアに被包することが可能である。製剤は、一般に、無菌の製造工程を用いて実質的に無菌の形態で提供されることになる。
これには、製剤のために使用される緩衝溶媒溶液の濾過による生産及び無菌化、無菌緩衝溶媒溶液中での抗体の無菌懸濁、並びに当業者によく知られている方法による製剤の無菌容器中への分注が含まれることがある。
薬学的に許容される担体はそれ自体が、組成物を受ける個体にとって有害な抗体の産生を誘導するべきではないし、毒性を持つべきではない。適切な担体は、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体及び不活性ウイルス粒子などの大きなゆっくり代謝される巨大分子であってよい。
薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩及び硫酸塩などの鉱酸塩、又は酢酸、プロピオン酸、マロン酸及び安息香酸などの有機酸の塩を使用することが可能である。
治療組成物中の薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールなどの液体をさらに含有することができる。そのような担体であれば、患者による摂取のために、医薬組成物を、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ジェル、シロップ、スラリー及び懸濁液として処方することができる。
本発明の二重特異性タンパク質複合体は溶媒中に分散させて、例えば、溶液又は懸濁液の形態で送達することが可能である。本発明の二重特異性タンパク質複合体は、適切な生理溶液、例えば、生理食塩水、薬学的に許容される溶媒又は緩衝液に懸濁することが可能である。当技術分野で公知の緩衝液は、約4.0から5.0のpHを達成するために1mlの水あたり0.05mgから0.15mgのエデト酸二ナトリウム、8.0mgから9.0mgのNaCl、0.15mgから0.25mgのポリソルベート、0.25mgから0.30mgの無水クエン酸、及び0.45mgから0.55mgのクエン酸ナトリウムを含有することができる。上記のように、懸濁液は、例えば、凍結乾燥した抗体から作ることが可能である。
薬学的に許容される担体の徹底的な検討はRemington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company, N.J. 1991)で入手可能である。
二重特異性抗体複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)は医薬又は診断組成物中で唯一の活性成分であってもよく、或いは他の抗体成分、例えば、抗TNF、抗IL−1β、抗T細胞、抗IFNγ若しくは抗LPS抗体、又はキサンチンなどの非抗体成分を含む他の活性成分を伴うことができる。他の適切な活性成分には、トレランスを誘導することができる抗体、例えば、抗CD3又は抗CD4抗体が含まれる。
追加の実施形態では、本開示に従った抗体、断片又は組成物は、追加の医薬活性剤、例えば、コルチコステロイド(フルチカゾンプロピオン酸エステルなどの)及び/若しくはベータ2アゴニスト(サルブタモール、サルメテロール又はホルモテロールなどの)又は細胞成長及び増殖阻害剤(ラパマイシン、シクロホスファミド(cyclophosphmide)、メトトレキサートなどの)又は代わりにCD28及び/若しくはCD40阻害剤と組み合わせて用いられる。一実施形態では、阻害剤は小分子である。別の実施形態では、阻害剤は標的に特異的な抗体である。
医薬組成物は治療的有効量の本発明の二重特異性抗体複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)を適切に含む。
本明細書で使用される用語「治療的有効量」とは、標的とされた疾患若しくは状態を処置する、寛解する若しくは予防する、又は検出可能な治療若しくは予防効果を示すのに必要な治療剤の量のことである。任意の抗体では、治療的有効量は、最初は細胞培養アッセイにおいて、又は動物モデルにおいて、通常、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタ若しくは霊長類においてのどちらかで推定することが可能である。動物モデルを使用して適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次に、そのような情報を使用すればヒトにおける有用な用量及び投与のための経路を決定することが可能である。
ヒト対象についての正確な治療的有効量は、疾病状態の重症度、対象の全般的健康、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与時間及び回数、薬物組合せ(単数又は複数)、反応感受性及び治療に対するトレランス/応答に依拠することになる。この量はルーチンな実験方法により決定することが可能であり、臨床医の判断の範囲内である。一般に、治療的有効量は0.01mg/kgから50mg/kg、例えば、0.1mg/kgから20mg/kgになる。代わりに、用量は1日あたり10から100、200、300又は400mgなどの1日あたり1から500mgであってよい。医薬組成物は、所定量の本発明の活性剤を含有する単位用量形態で都合よく提示することができる。
組成物は患者に独立して投与してもよいし、又は他の薬剤、薬物若しくはホルモンと組み合わせて(例えば、同時に、逐次又は別々に)投与してもよい。
本発明の抗体分子が投与される用量は、処置される状態の性質、存在する炎症の程度及び抗体分子が予防的に使用されているのか又は既存の状態を処置するために使用されているのかどうかに依拠する。投与回数は抗体分子の半減期及びその効果の持続時間に依拠することになる。抗体分子の半減期が短い(例えば、2から10時間)場合、1日あたり1又は複数用量を与える必要がある場合もある。代わりに、抗体分子の半減期が長い(例えば、2から15日)場合、1日あたり1回、1週間あたり1回又は1若しくは2か月ごとに1回でも用量を与えるだけでよい場合もある。
本開示では、最終製剤のpHは抗体又は断片の等電点の値に類似してはいない。なぜならば、製剤のpHが7である場合、8〜9又はそれよりも上のplが適切である場合があるからである。理論に縛られたくはないが、これは最終的に最終製剤に改善された安定性をもたらすことができる、例えば、抗体又は断片は溶液のままであると考えられる。
本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)(例えば、WO98/20734参照)、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所的、舌下、膣内又は直腸経路を含むがこれらに限定されないいかなる数の経路によっても投与することができる。皮下噴射器を使用して本発明の医薬組成物を投与することもできる。
組成物の直接送達は、一般的には、皮下に、腹腔内に、静脈内に若しくは筋肉内に注射により実現される、又は組織の間質腔に送達されることになる。組成物は対象の特定の組織にも投与することが可能である。投薬処置は単回服用予定でも複数回服用予定でもよい。
生成物が注射又は注入目的である場合、油性又は水性溶媒中の懸濁液、水溶液又は乳化液の形態を帯びることができ、生成物は懸濁剤、保存剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有することができる。代わりに、二重特異性タンパク質複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)は、適切な無菌液体と一緒に使用する前の復元のために乾燥形態でもよい。消化管を使用する経路により組成物を投与するつもりであれば、組成物は抗体を分解から保護ししかし消化管から吸収された後は二重特異性タンパク質複合体を放出する薬剤を含有する必要があることになる。
本開示に従った噴霧可能な製剤は、例えば、ホイル包みに充填された単回用量単位(例えば、密封されたプラスチック容器又はバイアル)として提供することができる。それぞれのバイアルは、容積が、例えば、2mlの溶媒/溶液緩衝液中に単位用量を含有する。
本明細書で使用される用語「変異体」とは、対応する野生型ペプチド又はタンパク質のアミノ酸又はヌクレオチド配列と比べた場合、少なくとも1つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列変化を含有するペプチド又はタンパク質のことである。変異体は対応する野生型ペプチド又はタンパク質に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%配列同一性を含むことができる。しかし、変異体は、対応する野生型ペプチド又はタンパク質に実質的に類似する機能を示すのであれば、80%未満の配列同一性を含むことが可能である。
抗原には、T細胞若しくはB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン若しくは酵素などの可溶性分子又はそのイオンチャネル、エピトープ、断片及び翻訳後修飾形態が含まれる。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は1つ又は2つの細胞表面受容体特異性を含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は1つ又は2つのサイトカイン又はケモカイン特異性を含む。
本開示に従った方法により同定される対になった標的に対する抗体又は断片は、実験用試薬、アッセイ用試薬又は治療薬として使用するのに適したいかなるフォーマットにも組み込むことができる。
したがって、一態様では、本開示は、任意のフォーマットの対としての抗体断片又はその組合せの使用に及び、その例は上に与えられている。
本開示は、特定の抗原特異性を備えた前記新規のフォーマットを含む医薬組成物などの組成物までも及ぶ。
追加の態様では、本開示は処置におけるフォーマット及び組成物の使用を含む。
一実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を使用すれば、対象の抗原(単数又は複数)の活性を機能的に変えることができる。例えば、二重特異性タンパク質複合体は前記抗原(単数又は複数)の活性を直接的に又は間接的に中和する、拮抗する又は刺激することができる。
本開示は、例えば、本開示の方法で使用するための、複合体化した形態の又は複合体化していない形態のA−X及びB−Yを含むキットにも及ぶ。
別の実施形態では、キットは使用のための説明書をさらに含む。
さらに別の実施形態では、キットは1つ又は複数の機能アッセイを実施するための1つ又は複数の試薬をさらに含む。
一実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質、二重特異性タンパク質複合体、マルチプレックス、グリッド、ライブラリー、組成物、等は実験用試薬としての使用を目的とする。
追加の態様では、ヌクレオチド配列、例えば、上で定義される融合タンパク質及び/又は二重特異性タンパク質複合体をコードするDNA配列が提供される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体をコードするDNA配列が提供される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば、本開示に従った二重特異性又は多特異性抗体分子をコードするDNA配列が提供される。
本明細書の開示は上で定義されるヌクレオチド配列を含むベクターにも及ぶ。
本明細書で使用される用語「ベクター」とは、それがすでに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子のことである。ベクターの例は「プラスミド」であり、これは追加のDNAセグメントをそこにライゲートすることができる環状二本鎖DNAループである。別の種類のベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる。ある種のベクターは、それが導入されている宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は宿主細胞のゲノムに組み込むことが可能であり、そこではベクターはそれに続いて宿主ゲノムと一緒に複製される。プラスミドはもっとも一般的に使用されている形態のベクターであるので、本明細書では、用語「プラスミド」と「ベクター」は互換的に使用することができる。
ベクターを構築することができる一般的な方法、すなわち、トランスフェクション法及び培養法は当業者には周知である。これに関しては、"Current Protocols in Molecular Biology", 1999, F. M. Ausubel (ed), Wiley Interscience, New York and the Maniatis Manual produced by Cold Spring Harbor Publishingを参照する。
本明細書で使用される用語「選択可能なマーカー」とは、その発現によってマーカー遺伝子を含有するベクターを形質転換されている又はトランスフェクトされている細胞を同定することができるようになるタンパク質のことである。広範囲の選択マーカーが当技術分野では公知である。例えば、典型的には選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞にG418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。選択可能マーカーは、例えば、蛍光マーカーなどの視覚的に同定可能なマーカーでも可能である。蛍光マーカーの例には、ローダミン、FITC、TRITC、Alexa Fluors及びその種々のコンジュゲートが含まれる。
本開示の抗体をコードする1つ又は複数のDNA配列を含む1つ又は複数のクローニング又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。本開示の抗体分子をコードするDNA配列の発現のためにはいかなる適切な宿主細胞/ベクター系でも使用することができる。細菌、例えば、大腸菌及び他の微生物系を使用してもよいし、又は真核生物、例えば、哺乳動物宿主細胞発現系を使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞にはCHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。
本開示は、本開示に従った融合タンパク質の産生のための工程であって、本開示のベクターを含有する宿主細胞を、本開示の分子をコードするDNAからタンパク質を発現するのに適した条件下で培養し、分子を単離することを含む上記工程も提供する。
本開示の二重特異性タンパク質複合体は診断/検出キット中で使用することができ、抗原特異性の特定の組合せを備えた二重特異性タンパク質複合体が使用される。例えば、キットは、両方が同じ細胞型上に存在している2つの抗原に対して特異的である二重特異性抗体複合体を含み、両方の抗原が首尾よく検出される場合にのみ確定診断を下すことができる。非複合体形態の2つの別々の抗体又は抗体断片よりもむしろ本開示の二重特異性抗体複合体を使用することにより、検出の特異性を大いに増強することが可能になる。
一実施形態では、二重特異性抗体複合体は固体表面に固定される。固体表面は例えば、チップ又はELISAプレートであってもよい。
試料中で第1と第2のペプチドの存在を検出するための本開示の二重特異性タンパク質複合体の使用がさらに提供され、二重特異性複合体は検出剤として使用される。
本開示の二重特異性抗体複合体は、例えば、結合した抗体−抗原複合体の検出を促進する蛍光マーカーにコンジュゲートすることができる。そのような二重特異性抗体複合体は免疫蛍光顕微鏡のために使用することが可能である。代わりに、二重特異性抗体複合体はウェスタンブロッティング又はELISAのためにも使用することができる。
一実施形態では、抗体(特に、本発明に従った抗体又は断片)を精製するための工程が提供される。
一実施形態では、本開示に従った融合タンパク質又は二重特異性タンパク質複合体を精製するための工程であって、不純物がカラム上に保持され抗体は非結合画分に維持されるように、アニオン交換クロマトグラフィーを非結合モードで実施するステップを含む、上記工程が提供される。ステップは、例えば、pH約6〜8で実施することができる。
工程は、例えば、pH約4〜5で実施される、カチオン交換クロマトグラフィーを用いる最初の捕捉ステップをさらに含むことができる。
工程は、生成物及び工程関連不純物が生成物ストリームから適切に分離されることを確実にする追加のクロマトグラフィーステップ(単数又は複数)をさらに含むことができる。
精製工程は、濃縮及びダイアフィルトレーションステップなどの1つ又は複数の限外濾過ステップも含むことができる。
上で使用される「精製された形態」は、91、92、93、94、95、96、97、98、99%w/w又はそれよりも多い純度などの少なくとも90%純度を指すことを意図されている。
本明細書の文脈では、「含む(comprising)」は「含む(including)」と解釈するべきである。
ある種の要素を含む開示の態様は、関連する要素「からなる」又は「基本的にからなる」別の実施形態に及ぶことも意図されている。
本明細書で用いられるプラスの実施形態は本開示の排除的なある種の態様の土台の役を果たすことができる。
二重特異性複合体に関係する方法の文脈における開示は、複合体それ自体に等しく当てはまり、逆もまた同じである。
(例1)
本開示の二重特異性抗体複合体FabB−GCN4(7P14P):52SR4−FabAの構築
図10及び11は本開示の代表的な二重特異性抗体複合体を示している。二重特異性抗体複合体は第1と第2の融合タンパク質で構成されている。
第1の融合タンパク質(A−X)は、Fab断片(可溶性抗原IL−6に対する特異性を有するFab A(Fab#1とも呼ばれる))を含み、このFab断片はペプチドリンカーASGGGG 配列番号71を介してX scFv(クローン52SR4 配列番号3)に結合しており、このリンカーはFab断片のCHドメインのC末端及びscFvのVドメインに連結されている。scFvそれ自体もそのVとVドメインの間に位置するペプチドリンカーを含有している。
第2の融合タンパク質(B−Y)はFab断片(細胞表面抗原CD3に対する特異性を有するFab B[Fab#2とも呼ばれる])を含む。しかし、第1のタンパク質と比べて、Fab断片はペプチドリンカーASGGG 配列番号73を介してY ペプチドGCN4(クローン7P14P配列番号1)に付加されており、このリンカーはFab断片のCHドメインに連結されている。
scFv、Xは結合パートナーY、GCN4に対して特異的であり相補的である。その結果、2つの融合タンパク質が互いに接触すると、scFvとGCN4ペプチドの間の非共有結合相互作用が起こり、それによって2つの融合タンパク質が二重特異性抗体複合体の形態で物理的に保持される。
一本鎖抗体(scFv)52SR4は、GCN4(7P14P)で免疫されたマウスの脾臓由来のリボソームディスプレイVL−リンカー−VH scFvライブラリーを構築しパニングすることにより導かれた(Hanes J, Jermutus L, Weber-Bornhauser S, Bosshard HR, Pluckthun A. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95, 14130-14135)。さらなる2004年の論文では、ランダム化されたライブラリーのリボソームディスプレイを再び使用して報告された5pMに対する52SR4の親和性成熟を記載している(Zhand C, Spinelli S, Luginbuhl B, Amstutz P, Cambillau C, Pluckthun A. (2004) J. Biol. Chem. 279, 18870-18877)。
Bergerら(Berger C, Weber-Bornhauser S, Eggenberger Y, Hanes J, Pluckthun A, Bosshard H. R. (1999) F.E.B.S. Letters 450, 149-153)により1999年論文に記載されている通り、GCN4ペプチドはプロリン残基の7及び14位での封入により酵母転写因子GCN4から導かれ、したがって、GCN4(7P14P)はscFv結合すると単量体状態のままである。
GCN4ペプチド及び52SR4 scFvをコードするヌクレオチド配列は、2つの別々のベクターの、CHを含有し抗体VH領域を受け入れるようにすでに設計されている社内重鎖Fab発現ベクターの下流にクローニングした。
次に、抗IL−6抗体及び抗CD3抗体由来のVH領域はこれら2つの重鎖ベクターに別々にクローニングされた。
GCN4ペプチド及び52SR4 scFvをコードするヌクレオチド配列は、それぞれ第1及び第2のベクターの、CKを含有し抗体VL領域を受け入れるように設計されている社内軽鎖Fab発現ベクターの下流に別々にクローニングした。
抗IL−6抗体及び抗CD3抗体由来のVL領域は、適切な重鎖ベクターと同時発現してFab−scFv及びFab−ペプチドタンパク質を発現するために社内軽鎖発現ベクターのCKを備えたフレームに別々にクローニングした。
次に、ベクターを配列決定して、クローニングが成功しており、それに続いて細胞が、それぞれ抗IL−6抗体及び抗CD3抗体由来のV領域を備えたFab−scFvとFab−ペプチドタンパク質を別々に発現したことを確認した。
(例2)
細胞表面及び可溶性抗原に同時に共会合することが可能である非共有結合二重特異性抗体を形成するscFv:ペプチド相互作用のフローサイトメトリー実証
図12は、scFv:ペプチド結合相互作用を使用して形成される2つの異なる二重特異性抗体複合体の抗原特異性を実証するフローサイトメトリー実験の結果を示している。
第1の二重特異的抗体複合体は、以下の2つの融合タンパク質:
1.抗CD3Fab−scFv(52SR4);及び
2.抗抗原IL−6Fab−ペプチド(GCN4)
を使用して構築した。
第2の二重特異的抗体複合体は、以下の2つの融合タンパク質:
1.抗CD3Fab−ペプチド(GCN4);及び
2.抗抗原IL−6Fab−scFv(52SR4)
を使用して構築した。
したがって、2つの二重特異性抗体複合体は同じFab断片及び同じ結合パートナー(すなわち、52SR4及びGCN4)を有していた。2つの二重特異性抗体複合体間の違いは、どのFab断片がどの結合パートナーに付加されているかにあった。
複合体を形成しない対照混合物は以下の融合タンパク質:
1.抗CD3Fab:GCN4;及び
2.抗IL−6Fab:GCN4
から作製した。
CD3に結合する二重特異性抗体複合体の能力を実証するため、複合体をCD3を発現するジャーカット細胞と一緒にインキュベートした。IL−6に結合する二重特異性抗体複合体の能力を実証するため、ジャーカット細胞上で一度CD3に結合した複合体をそれに続いてビオチン化抗原IL−6に接触させた。次に、ビオチン化抗原IL−6は蛍光的に標識されたストレプトアビジンを使用して検出した。
次に、ジャーカット細胞をFacscaliburフローサイトメトリー装置にかけた。ジャーカット細胞は、自身はIL−6に結合している二重特異性抗体複合体に結合しているときだけ標識され得、これによって、二重特異性抗体複合体が細胞表面CD3と可溶性抗原IL−6の両方に結合できることを示されるのであるが、このフローサイトメトリーでは、蛍光的に標識されたジャーカット細胞は、いずれも合体を形成することができないペプチドに融合されている2つの融合タンパク質と一緒にインキュベートされたジャーカット細胞から分離することが可能である。
図12のFACSプロットは、両方の二重特異性抗体複合体についての著しい移動(黒い背景の上の細い線及び太い線)を示しており、こうして二重特異性抗体複合体が両方の標的抗原に首尾よく結合できること、両方の標的抗原に結合する能力は、所与のFab断片がscFv又はペプチドに連結しているかどうかとは無関係に保持されることが実証されている。
抗IL−6FabにC末端で融合しているそれぞれペプチド又はscFvのそれに続く捕捉は、最終層において蛍光的に標識されたストレプトアビジンで検出されるビオチン化抗原IL−6のさらなる捕捉を可能にする。したがって、FACSプロットに示されている結果は、本開示の二重特異性抗体複合体が細胞表面及び可溶性抗原に同時に首尾よく結合できることを示している。
(例3)
scFv:ペプチド相互作用のビアコア実証
図13は、scFv:ペプチド(すなわち、52SR4:GCN4)相互作用の親和性を実証する表面プラズモン共鳴トレースを示している。表面プラズモン共鳴はビアコア3000(GE Healthcare)を使用して実施した。実験はすべて25℃で実施した。ストレプトアビジン(社内で作製)はアミンカップリング化学反応を介してCM5 Sensor Chip(GE Healthcare)上に固定し、最終レベルはおおよそ1750応答単位であった。HBS−N緩衝液(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl;GE Healthcare)は、固定化及びペプチド捕捉のためのランニング緩衝液として使用した。HBS−N中のビオチン−GCN4ペプチドの5μl注射液(10nM、M.W.4360)を使用して、固定化されたストレプトアビジン上でのおおよそ6RUの捕捉を達成した。ランニング緩衝液は、抗GCN4(52SR4)scFv結合動態学の測定のためにHBS−EP+緩衝液(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.05%(v/v)界面活性剤P20;GE Healthcare)に切り替えた。30nMからのFab−scFv(社内で作製)の3倍連続希釈、又はHBS−EP+緩衝液対照は、流速30μl/分で固定化GCN4ペプチド上に注入した(3分会合、15分解離)。表面は、2Mのグアニジン−HClの2回の連続60秒注入により流速10μl/分でそれぞれの注入後に再生した。標準手順に続いて、ダブル参照バックグランド減算結合曲線(Double referenced background subtracted binding curves)を3000 BIAEvalソフトウェア(バージョン4.1)を使用して解析した。動態学パラメータは、1対1結合モデルアルゴリズムをフィットさせることから決定した。データは、scFvがペプチドに対して516pMの親和性を有することを示している。
(例4)
結合アッセイのためのFab−A(Fab−scFv[A−X])及びFab−B(Fab−ペプチド[B−Y])の作製
クローニング戦略:DNA配列中に隣接する制限酵素部位のある抗体可変領域DNAは、PCR又は遺伝子合成により作製された。これらの部位は可変重鎖ではHindIII及びXholであり、可変軽鎖ではHindIII及びBsiWIであった。これにより重可変領域は2つの重鎖ベクター(FabB−Yを備えたpNAFH及びFabA−Xを備えたpNAFH)へのライゲーションを受け入れやすくなる。なぜならば、ベクターが相補的制限部位を有するからである。これにより、可変領域はマウス定常領域及びペプチドY(GCN4)又はscFv X(52SR4)の上流(又は5’)にライゲートされ、全リーディングフレームが作製される。軽鎖は、再び同じ相補的制限部位を使用する標準社内マウス定常カッパベクター(pMmCK又はpMmCK S171C)にクローニングした。pMmCK S171Cベクターは可変領域がウサギから単離された場合に使用する。クローニング事象は、全オープンリーディングフレームに隣接するプライマーを使用する配列決定により確認した。
CHOSを培養する:浮遊CHOS細胞を、2mM(100×)glutamxを補充したCDCHO培地(Invitrogen)に前順応させた。細胞は、振盪インキュベーター器(Kuner AG、Birsfelden、Switzerland)上、140rpmで撹拌して対数増殖期に維持し、8%COを補充して37℃で培養した。
電気穿孔トランスフェクション:トランスフェクションに先立って、細胞数及び生存率をCEDEX細胞計数器(Innovatis AG.Bielefeld、Germany)を使用して決定し、必要量の細胞(2×10細胞/ml)を遠心コニカルチューブに移して1400rpmで10分間回転させた。ペレット状細胞は無菌Earls平衡塩類溶液に再懸濁させ、1400rpmでさらに10分間回転させた。上澄みは捨てペレットは所望の細胞密度まで再懸濁した。
最終濃度2×10細胞/ml混合で400μg及び800μlのベクターDNAはキュベット(Biorad)にピペットを使って入れ、社内電気穿孔システムを使用して電気穿孔した。
Fab−A(Fab−scFv「A−X」)及びFab−B(Fab−ペプチド[B−Y])は別々にトランスフェクトした
トランスフェクトされた細胞は、2mM glutamx及び抗生物質有糸分裂阻害剤(100×)溶液(500中1)で強化したProCHO5培養液を含有する1×3Lエルレンマイヤーフラスコに直接移し、細胞は37℃、5%CO及び140rpmに設定したKuhner振盪インキュベーター器で振盪しながら培養した。栄養補助剤2g/LのASF(味の素)をトランスフェクションの24時間後に添加し、さらに13日間の培養のために温度を32℃まで下げた。4日目、3mMの酪酸ナトリウム(n−酪酸ナトリウム塩、Sigma B−5887)を培養物に添加した。
14日目、培養物はチューブに移し、4000rpmでの30分間の遠心分離後上澄みを細胞から分離した。保持した上澄みは0.22μmのSARTOBRAN(登録商標)P Millipore、続いて0.22μmのガンマゴールド濾過器を通してさらに濾過した。最終発現レベルはプロテインG−HPLCにより決定した。
大規模(1.0L)精製:Fab−A及びFab−Bは、AKTA Xpressシステム及びHisTrap Excel前充填ニッケルカラム(GE Healthcare)を使用して親和性捕捉により精製した。培養上澄みは0.22μmの無菌濾過を行い、pHは必要な場合にはカラムに充填する前に弱酸又は弱塩基で中性に調整した。15〜25mMイミダゾールを含有する二次洗浄ステップを使用して、弱い結合の宿主細胞タンパク質/非特異的His結合物をいずれもニッケル樹脂から移動させた。溶出は、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4+1M NaCl+250mMイミダゾールを用いて実施し、2mlの画分を収集した。1カラム容積を溶出に入れ、系は10分間休止させて、溶出ピークを締め、したがって、全溶出量は減少する。一番きれいな画分をプールし、PBS(Sigma)、pH7.4に緩衝液交換し0.22μmの濾過を行った。最終プールはA280 Scan、SE−HPLC(G3000法)、SDS−PAGE(還元された及び非還元の)により、内毒素についてはPTS Endosafeシステムを使用してアッセイした。
(例5)
二重特異性複合体特徴付け
Fab−X及びFab−Y試薬の精製:フォーマットFab−X(Fab−scFv−His)及びFab−Y(Fab−ペプチド−His)を標準CHO発現後以下の通りに精製した。浄化した細胞培養上澄みは1Lのステリカップを使用して0.22μm無菌濾過した。pHを測定し必要な場合にはpH7.4に調整した。調製された上澄みは、10mMのリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7.4に平衡化された5ml HisTrapニッケルエクセル(GE Healthcare)カラム上に5ml/分で充填した。カラムは15mMイミダゾール、10mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7.4で洗浄し、その後、250mMイミダゾール、10mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7.4で溶出した。溶出に続いて280nmでの吸光度及び溶出ピークを収集した。ピーク溶出液はTSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより分析され;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出した。十分な純度の試料は、10kDa分子量カットオフ膜付きのAmicon Ultra−15濃縮器を使用して>1m/mlまで濃縮し、PBS pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)中に透析濾過し、スイングアウトローターにおいて4000×gで遠心分離した。生成物品質が十分でない場合は、ニッケルカラム溶出液を濃縮し、PBS、pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)で平衡化されたXK16/60又はXK16/60 Superdex200(GE Healthcare)カラムのいずれかに適用した。カラムは、それぞれ1ml/分又は2.6ml/分で均一濃度勾配のPBS pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)を用いて展開させた。画分を収集し、TSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより分析され;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出した。選択した画分はプールし、10kDa分子量カットオフ膜付きのAmicon Ultra−15濃縮器を使用して>1mg/mlまで濃縮し、スイングアウトローターにおいて4000×gで遠心分離した。
溶液中の二重特異性製剤の分析
実験1
精製したFab−X(VR4247)及び精製したFab−Y(VR4248)を1対1モル比で混合し、全タンパク質濃度は500μg/mlにして、環境温度で一晩インキュベートした。対照は、混合している場合と同じ濃度の混合物の個々の部分からなっていた。100μlの試料及びそれぞれの対照をTSKgel G3000SWXL上に注入し;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させた。検出は280nmの吸光度によった(図14参照)。
図14のサイズ排除クロマトグラムは、Fab−X(VR4247)対照は全ピーク面積の92%の主ピークを有し、保持時間は8.610計量分であることを示している。Fab−Y(VR4248)対照は全ピーク面積の94%の主ピークを有し、保持時間は10.767計量分である。Fab−X及びFab−Y対照について測定された保持時間は、同じ条件下で実行したBioRadゲル濾過標準(151−1901)の保持時間から作成した標準曲線を使用することによりそれぞれ95kDa及び35kDaの見かけ分子量に変換された。これらの見かけ分子量は、Fab−scFv及びFab−ペプチド分子について予想される見かけ分子量と一致している。Fab−X(VR4247)/Fab−Y(VR4248)混合物の主ピークは9.289計量分の保持時間を有している。これは上記と同じく、187kDaの見かけ分子量に変換される。この見かけ分子量は1つのFab−X(VR4247)と1つのFab−Y(VR4248)の対合について予想される見かけの分子量と一致している。この主ピークは全ピーク面積の84%でもあり、Fab−X(VR4247)とFab−Y(VR4248)の大半が1対1の二重特異性タンパク質複合体を形成していることが示唆される。主ピークの後で溶出している小さな追加の肩部及びピークは、Fab−X(VR4247)及びFab−Y(VR4248)開始物質と一致している。
実験2
精製したFab−X(VR4130)とFab−Y(VR4131)を1対1モル比で混合し、全タンパク質濃度は500μg/mlにした。次に、この混合物のアリコートは、濃度50μg/mlと5μg/mlまでPBS pH7.4で希釈した。500μg/mlの混合物に混合している場合と同じ濃度の混合物の個々の部分からなる対照も設定した。混合物及び対照はすべて環境温度で一晩インキュベートした。100μlのすべての試料及び対照をTSKgel G3000SWXL上に注入し;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させた。検出は214nmの吸光度によった(図15、図16及び表1参照)。
図15のサイズ排除クロマトグラムは、Fab−X(VR4130)対照が全ピーク面積の91%の主ピークを有し、保持時間は8.634計量分であることを示している。Fab−Y(VR4131)対照は全ピーク面積の97%の主ピークを有し、保持時間は9.361計量分である。Fab−X及びFab−Y対照について測定された保持時間は、同じ条件下で実行したBioRadゲル濾過標準(151−1901)の保持時間から作成した標準曲線を使用することによりそれぞれ109kDa及び55kDaの見かけ分子量に変換された。これらの見かけ分子量は、Fab−scFv及びFab−ペプチド分子について予想される見かけ分子量と一致している。Fab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)混合物の主ピークは8.016計量分の保持時間を有している。これは上記と同じく、198kDaの見かけ分子量に変換された。この見かけ分子量は1つのFab−X(VR4130)と1つのFab−Y(VR4131)の対合について予想される見かけの分子量と一致している。この主ピークは全ピーク面積の82%でもあり、Fab−X(VR4130)とFab−Y(VR4131)の大半が1対1の複合体を形成していることが示唆される。主ピークの後で溶出している2つの小さなピークは、Fab−X(VR4130)及びFab−Y(VR4131)開始物質と一致している。
図16のサイズ排除クロマトグラムは、500μg/ml、50μg/ml及び5μg/ml濃度でのFab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)1対1混合物についてである。トレースはすべて、類似する保持時間並びに類似する相対的ピーク高及び面積を有する試料間で対応するピークについて類似している。パーセントピーク面積は表5で対照されており(500μg/ml、50μg/ml及び5μg/mlでの、Fab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)1対1モル比混合物についてのサイズ排除ピーク面積データ。ピークは吸光度214nmで検出された)、それぞれのピークの%は混合物を希釈するとかなり一定のままである。これは、Fab−X/Fab−Y1対1複合体が試験されたすべての濃度で複合体として残っていることを示している。Fab−XとFab−Yの75%は、複合体では40nMの濃度に相当する5μg/mlまで混合物を希釈した場合でも1対1複合体として存在している。
したがって、これらの実験の結果は、高割合のFab−XとFab−Yの融合タンパク質が所望の二重特異性複合体を形成しており、残存する単量体は最小限の割合であり、ホモ二量体形成の証拠はないことを示している。
(例6)
抗CD138及び抗CH1 Fab−X及びFab−Yの結合の実証
ヒト形質細胞上で発現されるCD138に対して特異的なV領域及び分泌されたヒトIgGを検出するためのヒトCH1に対するV領域を発現させ精製し、ヒト形質細胞へのヒトIgGの捕捉のための前複合体形成(pre-complex formation)の個々の結合活性について試験した。
B細胞培養及び単離による抗体発見
ウサギを、ヒトCD138を発現しているRab−9細胞又は精製ヒトFabタンパク質の3用量で免疫した。
B細胞培養物はZublerら(1985)により記載された方法に類似する方法を使用して調製した。手短に言えば、免疫化ウサギからの脾臓又はPBMC由来B細胞を、10%FCS(PAA laboratories ltd)、2%HEPES(Sigma Aldrich)、1%L−グルタミン(Gibco BRL)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Gibco BRL)、0.1%βメルカプトエタノール(Gibco BRL)、3%活性化脾細胞培養上澄み及びガンマ線照射突然変異EL4マウス胸腺腫細胞(5×10/ウェル)を補充した200μl/ウェル RPMI 1640培地(Gibco BRL)を備えたバーコード化96ウェル組織培養プレートにおいてウェル当たりおおよそ2000〜5000細胞の密度で、5%CO環境において37℃で7日間培養した。
B細胞培養上澄み中の抗原特異的抗体の存在は、CD138を発現しているHEK293細胞又は精製CD138又はFabタンパク質を使用する均一蛍光ベース結合アッセイを使用して判定された。スクリーニングでは、Matrix Platemate液体ハンドラーを使用して、バーコード化96ウェル組織培養プレート由来の10μlの上澄みを標的抗原又はタンパク質をトランスフェクトしたHEK293細胞を含有するバーコード化384ウェル黒壁アッセイプレートに移した。結合はヤギ抗ウサギIgG Fcγ特異的Cy−5コンジュゲート(Jackson)を用いて明らかにした。プレートはApplied Biosystems 8200細胞検出システム上で読み取った。
対象のウェルの選択からの抗体可変領域遺伝子の回収を可能にするために、デコンボリューションを実施してB細胞の不均一集団を含有する所与のウェルにおいて抗原特異的B細胞の同定を可能にした。これは蛍光フォーカス法(Clargo et al., 2014.Mabs 2014 Jan 1: 6(1) 143-159; EP1570267B1)を使用して達成した。手短に言えば、陽性ウェル由来の免疫グロブリン分泌B細胞を、標的抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞又はビオチン化標的抗原及びヤギ抗ウサギFcγ断片特異的FITCコンジュゲート(Jackson)の1対1200最終希釈で被覆したストレプトアビジンビーズ(New England Biolabs)のいずれかと混合した。37℃での1時間の静置インキュベーション後、抗原特異的B細胞はそのB細胞を取り囲んでいる蛍光ハローの存在のために同定することができた。いくつかのこれらの個々のB細胞クローンは、Olympus顕微鏡を使用して同定されたが、次に、Eppendorfマイクロマニュピレーターを用いて選び取り、PCRチューブ内に蓄積した。蛍光フォーカス法を使用して、直接免疫化ウサギの骨髄由来のB細胞の不均一集団からも抗原特異的B細胞を同定した。
抗体可変領域遺伝子は、重及び軽鎖可変領域特異的プライマーを使用して逆転写(RT)PCRにより単一細胞から回収した。2ラウンドのPCRを実施し、3’及び5’末端に制限部位を組み込んでいるネステッド二次PCRにより可変領域をマウスFab−X及びFab−Y(VH)又はマウスカッパ(VL)哺乳動物発現ベクターにクローニングすることができた。Fab−X及びFab−Y発現ベクターのための重及び軽鎖構築物は、Fectin293(Life Technologies)を使用してHEK293細胞に又はExpifectamine(Life Technologies)を使用してExpi293細胞に同時トランスフェクトし、組換え抗体が容積5mlの6ウェル組織培養プレートで発現された。発現の5〜7日後、上澄みを収穫した。上澄みは、抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞及び組換えタンパク質で被覆したSuperavidin(商標)ビーズ(Bangs Laboratories)又は抗原トランスフェクトHEK細胞上での均一蛍光ベースの結合アッセイにおいて試験した。これはクローン化された抗体の特異性を確認するために実行した。
小規模FabA−X及びFabB−Yの作製
Expi293細胞はExpi293(商標)発現培養液において、最終濃度0.5×10生細胞/mLまでルーチン的に継代し、軌道振盪インキュベーター(Multitron、Infors HT)において120rpmで8%CO及び37℃でインキュベートした。
トランスフェクションの日、自動細胞計測器(Vi−CELL、Beckman Coulter)を使用して細胞生存率及び濃度を測定した。最終細胞濃度2.5×10生細胞/mLを達成するため、適切な容積の細胞懸濁系を無菌250mLエルレンマイヤー振盪フラスコに添加し、50mLトランスフェクションごとに新鮮な予熱したExpi293(商標)発現培養液を添加することにより42.5mLの容積まで養育した。
トランスフェクションごとに脂質DNA複合体を調製するため、全体で50μgの重鎖及び軽鎖プラスミドDNAを全容積2.5mLまでOpti−MEM(登録商標)I培養液(Life Technologies)に希釈し、135μLのExpiFectamine(商標)293試薬(Life Technologies)を全容積2.5mLまでOpti−MEM(登録商標)I培養液に希釈した。すべての希釈物を穏やかに混合し室温で長くても5分間インキュベートし、その後それぞれのDNA溶液をそれぞれの希釈したExpiFectamine(商標)293試薬に添加して、全容積5mLを得た。DNA−ExpiFectamine(商標)293試薬混合物は穏やかに混合し、室温で20〜30分間インキュベートしてDNA−ExpiFectamine(商標)293試薬複合体を形成させた。
DNA−ExpiFectamine(商標)293試薬複合体インキュベーションを終わらせた後、5mLのDNA−ExpiFectamine(商標)293試薬複合体をそれぞれの振盪フラスコに添加した。振盪フラスコは軌道振盪インキュベーター(Multitron、Infors HT)において120rpmで8%CO及び37℃でインキュベートした。
トランスフェクションのおおよそ16〜18時間後、250μLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー1(Life Technologies)及び2.5mLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー2(Life Technologies)をそれぞれの振盪フラスコに添加した。
細胞培養物はトランスフェクション7日後に収穫した。細胞は50mL回転チューブ(Falcon)に移し、4000rpmで30分間回転させ、その後0.22μm Stericup(Merck Millipore)を通して無菌濾過した。浄化し無菌濾過した上澄みは4℃で保存した。最終発現レベルはプロテインG−HPLCにより判定した。
小規模(50ml)精製:Fab−XとFab−Yの両方を、小規模真空ベースの精製システムを使用する親和性捕捉により別々に精製した。手短に言えば、50mlの培養上澄みを0.22μm無菌濾過し、その後500μLのNiセファロースビーズ(GE Healthcare)を添加した。次に、上澄みビーズ混合物は約1時間転がし、その後上澄みは吸引を適用して取り除いた。次に、ビーズはWash1(50mMリン酸ナトリウム、1M NaCl pH6.2)及びWash2(0.5M NaCl)で洗浄した。溶出は50mM酢酸ナトリウム、pH4.0+1M NaClを用いて実施した。溶出画分はPBS(Sigma)、pH7.4に緩衝液交換し0.22μm濾過した。最終プールはA280スキャン、SE−UPLC(BEH200法)、SDS−PAGE(還元及び非還元)により、内毒素ではPTS Endosafeシステムを使用してアッセイした。
抗ヒトIgG結合アッセイ
全ヒトIgGを室温で一晩、PBS中1μg/mLでNunc ELISAプレート上に被覆した。いくつかのプレートはアッセイのための陰性対照として被覆せずにおいた。プレートはPBS0.01% Tweenで4回洗浄し、次にPBS1% BSA(1ウェル当たり200μL)で1時間ブロックした。プレートはPBS0.01% Tweenで4回洗浄した。抗CH1 Fab’Xds、抗CH1 Fab’Y及び抗CD138 Fab’Y(陰性対照として)をPBS1% BSAで1/3連続希釈により1μg/mLから滴定し、1ウェル当たり100μLでhIgG被覆プレートに添加した。プレートは2時間インキュベートした。プレートはPBS0.01% Tweenで4回洗浄した。過酸化水素コンジュゲート抗マウスIgGをPBS1% BSAで10000中1に希釈し、1ウェル当たり100μLで添加し、1時間インキュベートした。プレートはPBS0.01% Tweenで4回洗浄した。100μLのTMBをそれぞれのウェルに添加し、プレートは20分間発現させておき、その後50μLのTMB停止液で反応を停止させた。ウェル吸光度はSynergy2上、450nmで読み取った。
図17は、Fab−XとFab−Yフォーマットの両方で、抗ヒトCH1 V領域(VR388)がヒトIgGに結合可能であることを示している。
CD138結合アッセイ
高レベルのCD138を発現しているin vitroで分化した形質芽細胞を96ウェルUプレートに5×10/ウェルで沈着させ、FACSバッファー(PBS5%のFCS、2mMのアジ化ナトリウム)に希釈した抗ヒトCD138Fab’Yのそれぞれの1μg/mLと一緒に氷上で30分間インキュベートした。細胞はそれぞれのウェルに100μLのFACSバッファーを添加することにより洗浄し、500gで5分間回転させた。FACSバッファーは吸引し、第2の洗浄ステップはFACSバッファーの1ウェル当たり200μLを添加することにより実行し、続いて500gで5分間回転させた。FACSバッファーはもう1度吸引し、細胞ペレットは、プレートを1400rpmで10秒間プレート振盪機に置くことによりほぐした。FACSバッファーに1対200で希釈した二次検出抗体(FITCコンジュゲート抗マウスIgG Jackson ImmunoResearch 115−095−072)を1ウェル当たり100μLで細胞に添加した。細胞は検出Abと一緒に氷上で30分間インキュベートし、上記の通りもう1度洗浄した。細胞は直ちにiQue上に獲得した。FL−1の幾何平均はPrismにプロットした。
図18は、異なる抗CD138 V領域結合を有するFab−Y構築物のヒト形質細胞への結合を示している。
抗体分泌細胞の同定のための方法
A−Xは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−YはFc又はFab’のいずれかを介して分泌された抗体に結合する。分泌された抗体はXとYの間の相互作用により細胞表面に捕捉される。次に細胞捕捉された抗体は、Fc又はFab’のいずれかに標識された抗抗体試薬を付加することにより検出することが可能である。分泌された抗体上のB−Yが結合するエピトープは、添加された検出抗体が認識するエピトープとは異なっている。例えば、図1を参照されたい。
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45(すべてのアイソフォームを含む)、抗CD27、抗CD19、抗CD20から独立して選択してもよい(もっとも好ましくは、抗CD38及びCD138)。
Bは、抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例7)
全又はアイソタイプ特異的抗体産生細胞
A−Yは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−XはFc又はFab’のいずれかを介して分泌された抗体に結合する。分泌された抗体はXとYの間の相互作用により細胞表面に捕捉される。次に細胞捕捉された抗体は、Fc又はFabのいずれかに標識された抗抗体試薬を付加することにより検出することが可能である。分泌された抗体上のB−Xが結合するエピトープは、添加された検出抗体が認識するエピトープとは異なっている。例えば、図2を参照されたい。
特定の例:
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45(すべてのアイソフォームを含む)、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(例えば、抗CD38及びCD138)。
Bは、抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例8)
抗原特異的抗体産生細胞
A−Yは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Xは、分泌された抗体もそれに対して特異的である抗原に結合する。それによって抗原はXとYの間の相互作用によりまず第1に細胞表面に捕捉され、次に分泌された抗体は抗原に結合し、それ自体が細胞表面に捕捉される。この時点で細胞捕捉されている分泌された抗体は、次に、Fc又はFabのいずれかに標識された抗抗体試薬を付加することにより検出することが可能であり、汎又はアイソタイプ特異的であることが可能である。例えば、図3を参照されたい。
特定の例:
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(もっとも好ましくは、抗CD38及びCD138)。
Bは、目的のタグされた抗原から独立して選択してもよい。タグ=ビオチン、His、Myc。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
検出抗体は抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
(例9)
抗原特異的抗体産生細胞
A−Xは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは、分泌された抗体もそれに対して特異的である抗原に結合する。それによって抗原はXとYの間の相互作用によりまず第1に細胞表面に捕捉され、次に分泌された抗体は抗原に結合し、それ自体が細胞表面に捕捉される。この時点で細胞捕捉されている分泌された抗体は、次に、Fc又はFabのいずれかに標識された抗抗体試薬を付加することにより検出することが可能であり、汎又はアイソタイプ特異的であることが可能である。例えば、図4を参照されたい。
特定の例:
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(もっとも好ましくは、抗CD38及びCD138)。
Bは、目的のタグされた抗原から独立して選択してもよい。タグ=ビオチン、His、Myc。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
検出抗体=抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的。
(例10)
抗原特異的抗体産生細胞
A−Xは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−YはFc又はFab’のいずれかを介して分泌された抗体に結合する。分泌された抗体はXとYの間の相互作用により細胞表面に捕捉される。次に、抗原特異的細胞捕捉された抗体はタグ付の抗原、次に標識された抗タグ抗体試薬の付加により検出可能である。
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45 CD45(すべてのアイソフォームを含む)、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(もっとも好ましくは、抗CD38及びCD138)。
例えば、図5を参照されたい。
Bは、抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例11)
抗原特異的抗体産生細胞
A−Yは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−XはFc又はFab’のいずれかを介して分泌された抗体に結合する。分泌された抗体はXとYの間の相互作用により細胞表面に捕捉される。この抗原特異的細胞捕捉された抗体はタグ付の抗原、次に標識された抗タグ抗体試薬の付加により検出可能である。例えば、図6を参照されたい。
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45 CD45(すべてのアイソフォームを含む)、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(もっとも好ましくは、抗CD38及びCD138)。
Bは、抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例12)
抗原特異的抗体産生細胞
A−Xは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、抗原−Yは分泌された抗体に結合する。分泌された抗体はXとYの間の相互作用により細胞表面に捕捉される。次に、この抗原特異的細胞捕捉された抗体はFc又はFabのいずれかへの標識された抗抗体試薬の付加により検出可能であり、汎又はアイソタイプ特異的であることが可能である。例えば、図7を参照されたい。
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45 CD45(すべてのアイソフォームを含む)、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(例えば、抗CD38及びCD138)。
Bは抗原である。
検出抗体は、抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例13)
抗原特異的抗体産生細胞
A−Yは抗体産生細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、抗原−Xは分泌された抗体に結合する。分泌された抗体はXとYの間の相互作用により細胞表面に捕捉される。次に、この抗原特異的細胞捕捉された抗体はFc又はFabのいずれかへの標識された抗抗体試薬の付加により検出可能であり、汎又はアイソタイプ特異的であることが可能である。例えば、図8を参照されたい。
Aは、抗CD38、抗CD138、抗CD45 CD45(すべてのアイソフォームを含む)、抗CD27、抗CD19、及び抗CD20から独立して選択してもよい(もっとも好ましくは、抗CD38及びCD138)。
Bは抗原である。
検出抗体は、抗CH1、抗Cκ、抗Cλ、抗Fc汎アイソタイプ、抗Fc IgG1、2、3、4、IgE又はIgA特異的から独立して選択してもよい。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例14)
可溶性分子分泌細胞の同定
単離、試験又はターゲティングのための可溶性分子を生成する細胞の同定を目的とする本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の使用
A−Xは目的の可溶性分子を生成する細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは可溶性分子に結合する。分泌された可溶性分子はXとYの間の相互作用によりその細胞表面に捕捉される。次に、細胞捕捉された、分泌された分子(したがって、その分子を分泌した細胞)は、その可溶性分子に対して特異的な標識された抗体を添加することにより検出可能であり、この抗体はB−Yが標的とするエピトープとは異なるエピトープにおいて結合する必要があると考えられる。例えば、図9Aを参照されたい。
Aは、目的の細胞サブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3に対する抗体から独立して選択してもよい。
Bは、任意の可溶性分子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン等に対する抗体から独立して選択してもよい。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例15)
可溶性分子分泌細胞の同定
単離、試験又はターゲティングのための可溶性分子を生成する細胞の同定を目的とする本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の使用
A−Xは目的の可溶性分子を生成する細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは可溶性分子に結合する。分泌された可溶性分子はXとYの間の相互作用によりその細胞表面に捕捉される。次に、細胞捕捉された、分泌された分子(したがって、その分子を分泌した細胞)は、その可溶性分子に対して特異的な標識された抗体を添加することにより検出可能であり、この抗体はB−Yが標的とするエピトープとは異なるエピトープにおいて結合する必要があると考えられる。例えば、図9Bを参照されたい。
Aは、目的の細胞サブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3に対する抗体から独立して選択してもよい。
Bは、任意の可溶性分子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン等に対する抗体から独立して選択してもよい。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例16)
どの細胞型が特定の可溶性分子を生成するのかを確定するために細胞をスクリーニングする
混合細胞系においてどの細胞サブセットが目的の可溶性分子を生成するのかを同定するための本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の使用
A−Xは目的の可溶性分子を潜在的に生成する細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは可溶性分子に結合する。多数の異なるA−X細胞表面特異性を、異なるアッセイにおいて選択された可溶性分子に向けてB−Yと複合体化することが可能である。分泌された可溶性分子はXとYの間の相互作用によりその細胞表面に捕捉される。次に、細胞捕捉された、分泌された分子(したがって、その分子を分泌した細胞)は、その可溶性分子に対して特異的であるがB−Yが標的とするエピトープとは異なるエピトープにおいて結合する標識された抗体を添加することにより検出可能である。異なるA−X特異性を使用するこの能力はどの細胞が特定の可溶性分子を分泌するのかの同定を促進する。
Aは、目的の細胞サブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3に対する抗体から独立して選択してもよい。
Bは、任意の可溶性分子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン等に対する抗体から独立して選択してもよい。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例17)
どの細胞型が特定の可溶性分子を生成するのかを確定するために細胞をスクリーニングする
混合細胞系においてどの細胞サブセットが目的の可溶性分子を生成するのかを同定するための本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の使用
A−Xは目的の可溶性分子を潜在的に生成する細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは可溶性分子に結合する。多数の異なるA−X細胞表面特異性を、異なるアッセイにおいて選択された可溶性分子に向けてB−Yと複合体化することが可能である。分泌された可溶性分子はXとYの間の相互作用によりその細胞表面に捕捉される。次に、細胞捕捉された、分泌された分子(したがって、その分子を分泌した細胞)は、その可溶性分子に対して特異的であるがB−Yが標的とするエピトープとは異なるエピトープにおいて結合する標識された抗体を添加することにより検出可能である。異なるA−X特異性を使用するこの能力はどの細胞が特定の可溶性分子を分泌するのかの同定を促進する。
Aは、目的の細胞サブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3に対する抗体から独立して選択してもよい。
Bは、任意の可溶性分子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン等に対する抗体から独立して選択してもよい。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例18)
どの可溶性分子を特定の細胞型が産生するのかを確定するために細胞をスクリーニングする
混合細胞系においてどの可溶性分子を目的の特定の細胞サブセットが分泌するのかを同定するための本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の使用
A−Xは目的の可溶性分子を集団潜在的に生成する混合細胞中の細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは可溶性分子に結合する。多数の異なるB−Y可溶性分子特異性は選択された細胞表面分子に向けてA−Xと複合体化することが可能である。分泌された可溶性分子はXとYの間の相互作用によりその細胞表面に捕捉される。次に、細胞捕捉された、分泌された分子は、その可溶性分子に対して特異的であるがB−Yが標的とするエピトープとは異なるエピトープにおいて結合する標識された抗体を添加することにより検出可能である。異なるB−Y特異性を容易に使用するこの能力はどの可溶性分子を特定の細胞が分泌するのかの同定を促進する。
Aは、目的の細胞サブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3に対する抗体から独立して選択してもよい。
Bは、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン等の任意の可溶性分子に対する抗体から独立して選択してもよい。
Xは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
YはXに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例19)
どの可溶性分子を特定の細胞型が産生するのかを確定するために細胞をスクリーニングする
混合細胞系においてどの可溶性分子を目的の特定の細胞サブセットが分泌するのかを同定するための本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の使用
A−Xは目的の可溶性分子を集団潜在的に生成する混合細胞中の細胞上で発現される細胞表面受容体に結合し、B−Yは可溶性分子に結合する。多数の異なるB−Y可溶性分子特異性は選択された細胞表面分子に向けてA−Xと複合体化することが可能である。分泌された可溶性分子はXとYの間の相互作用によりその細胞表面に捕捉される。次に、細胞捕捉された、分泌された分子は、その可溶性分子に対して特異的であるがB−Yが標的とするエピトープとは異なるエピトープにおいて結合する標識された抗体を添加することにより検出可能である。異なるB−Y特異性を容易に使用するこの能力はどの可溶性分子を特定の細胞が分泌するのかの同定を促進する。
Aは、目的の細胞サブセットを特徴付ける任意の細胞表面受容体、例えば、CD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、Lin−1〜3に対する抗体から独立して選択してもよい。
Bは、任意の可溶性分子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン等に対する抗体から独立して選択してもよい。
Yは抗ペプチドscFv又はsdAb、例えば、52SR4でもよい。
XはYに結合するペプチド(例えば、GCN4)でもよい。
(例20)
抗体分泌細胞からのIgG捕捉
抗体分泌B細胞の特徴の1つは、急速な分裂細胞から非分裂細胞へのその転換である。この転換中、抗体分泌速度は桁外れに上昇する。B細胞から形質細胞へのこの転換の顕著な特徴は、細胞表面IgG(B細胞受容体(BcR)としても知られる)をすべて失うことである。細胞表面IgGは細胞が産生する免疫グロブリンの種類(例えば、IgG、IgA、IgE、等)だけではなくその抗原特異性も特徴付けるのに使用することが可能である。細胞表面IgGのこのような変化には、CD20、CD22及びCD19などの古典的B細胞分化マーカーの進行性の消失も伴い、同時にCD38及びCD138などの新しいマーカーが増加する。これらの変化の最終結果は、特に組織内では形質細胞は他の細胞との区別がはるかに難しくなることであり、細胞表面免疫グロブリンがなければ形質細胞の性質及び抗原特異性を確立するのがはるかに難しくなることがある。そのような細胞を同定するのに使用することが可能な現在の方法は、最善でも、細胞内IgGを測定するために細胞を固定し透過処理するプロトコルなどの、細胞の健康にとって有害である処置に頼っているくらいである。記載される方法は、特許請求されている技術を使用すれば、二重ターゲティング及び可溶性IgGを産生する細胞の細胞表面への可溶性IgGの捕捉を可能にし、細胞随伴性BcRを使用する適用に類似する適用を可能にする。これらには、表現型決定、抗原決定、細胞の分離及び選別が含まれる。さらに、この方法なら、分泌されたIgGを捕捉するのにいかなる細胞受容体でも使用することが可能になり、いかなる系譜マーカーよりも高い密度まで発現される受容体を利用する利点があり、それでも系譜マーカーを独立して検出することも可能である。これは、さらに多くの分泌されたIgGを細胞表面で捕捉することが可能であり、抗原に対する親和性がもっと弱い免疫グロブリンのさらに希なサブセットの同定が可能になることを意味する。さらに、この方法を使用すれば、すでに表面BcRを有する細胞表面への捕捉を増強することができる。この方法は、細胞表面結合パートナーと捕捉試薬の両方に関して柔軟性があり互換性がある。
抗CD138及び抗CH1(IgG重鎖定常領域1特異的)抗体は二重特異性抗体を形成するように設計されている特許請求されたフォーマットで発現された。抗CD138及び抗CH1が分泌されたIgGを捕捉できるかどうかを試験するため、まずモデル系を使用した。ヒトHEK293細胞に、脂質ベースのトランスフェクションプロトコルを使用してヒトCD138とヒトIgGの遺伝子を同時トランスフェクトした。対照として、HEK293細胞に、空のベクター、CD138単独、IgG単独のいずれかをトランスフェクトし、又はCD138とIgGを同時トランスフェクトした。二重特異性タンパク質複合体は、Fab−Yフォーマット(Yは本明細書に記載されるGCN4ペプチド又はその任意のアイソフォーム/誘導体)で発現される抗CD138抗体をFab−Xフォーマット(Xは本明細書に記載される52SR4)で発現される抗CH1抗体の等モル混合物と混合することにより作製した。これは滴定する前に1時間前インキュベートし、次に洗い落とす前のさらに1時間細胞と一緒にインキュベートした。CD138が細胞表面に結合しIgGを捕捉する(結合CH1を通じて)場合、これは、APCにコンジュゲートされたポリクローナルヤギ抗ヒト重及び軽(H+L)鎖(IgG)特異的抗体を用いて検出可能である。次に、この結合はフローサイトメーターを使用して検出可能である。図19は、CD138とIgGを同時トランスフェクトした細胞のみがポリクローナル抗IgG H+L鎖特異的抗体を使用して検出することが可能であり、単独のCD138又はIgGをトランスフェクトした細胞は検出できないことを示している。別々の実験では、市販の抗CD138抗体を使用して、トランスフェクトされたHEK293細胞上で発現されたCD138のレベルを決定した(データは示されず)。この方法が一次ヒト抗体分泌細胞に適用可能かどうかを判定するため、ヒト形質芽細胞を、Jourdan et al (Blood. 114(25).pp5173)から改作したプロトコルに従って作製した。この方法はCD138陽性でもある抗体分泌細胞(IgG ELISA により決定した場合)を産生した。さらにこれらの細胞は、形質細胞又は形質芽細胞のもう1つの顕著な特徴でもある表面免疫グロブリンのレベルが非常に低いことが測定された。図20は、培養されたヒト形質細胞に添加する前に抗CH1 Fab−Xと前複合体化されたCD138又はCD45 Fab−Yの使用を比較している。1時間後、細胞を洗浄し細胞結合IgGはポリクローナル抗H+L APC抗体を使用して検出することができ、細胞表面捕捉はフローサイトメーターを使用して検出された。図20のグラフは、試験された特定の構築物について、ヒト形質細胞の表面でのIgGの捕捉ではCD45のほうがCD138よりも成功していたことを示している。
この技法が形質細胞とT細胞の混合細胞培養物(形質細胞対T細胞1対1又は1対9比)において有用となり得るかどうかを判定するために、全細胞濃度を1×10細胞/mlに固定した。抗CD45−Y及び抗CH1−X組合せは1時間一緒に前インキュベートし、その後、前形成された二重特異性複合体を、形質細胞とT細胞の混合物を含有する培養物に洗い落とす前の5分間添加した。両方の細胞がほぼ等レベルのCD45を発現するので、T細胞も形質細胞も共にIgG(形質細胞のみが分泌することができる)を捕捉することができるはずである。細胞表面で捕捉されたIgGは抗H+L APCコンジュゲートされた抗体を使用して検出可能であり、形質細胞はそれぞれCD138及びCD3抗体を使用してT細胞から区別することが可能である。次に、細胞表面IgG結合はフローサイトメーターを使用して検出された。図21は、1対1(形質細胞対T細胞)の比でもT細胞は、形質細胞と比べてその細胞表面で捕捉したIgGは極めて少なかったことを示している。形質細胞に結合する相対比はT細胞への結合の少なくとも10倍であった。このデータは、特許請求された技術が、IgGを分泌する細胞により産生されバイスタンダー細胞によっては産生されないIgGを選択的に捕捉することが可能であることを示している。
配列番号1:<223>CN4(7P14P)配列
配列番号2:<223>コードするDNA
配列番号3:<223>52SR4 ds scFv配列
配列番号4:<223>コードするDNA
配列番号5〜13:<223>柔軟なペプチドリンカー
配列番号14〜21:<223>柔軟なリンカー
配列番号22:<223>柔軟なリンカー
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
配列番号23:<223>柔軟なリンカー
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
配列番号24:<223>柔軟なリンカー
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
配列番号25:<223>柔軟なリンカー
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
配列番号26:<223>柔軟なリンカー
<223>Xaaは天然に存在するいずれのアミノ酸であってもよい
配列番号27〜54:<223>柔軟なリンカー
配列番号55〜68:<223>リンカー
配列番号69〜70:<223>ペプチド配列
配列番号71〜75:<223>リンカー
配列番号76〜98:<223>GCN4ペプチド変異体
配列番号99〜100:<223>52SR4 scFV変異体
配列番号101〜104:<223>シグナル配列

Claims (48)

  1. 式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた(heterodimerically-tethered)二重特異性タンパク質複合体を用いる方法であって、
    A−Xは第1の融合タンパク質であり;
    Y−Bは第2の融合タンパク質であり;
    X:Yはヘテロ二量体とする繋であり;
    :はXとYの間の結合相互作用であり;
    Aは、抗体又はその結合断片、及び抗原(例えば、タンパク質リガンドを含む)から選択される二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり;
    Bは、抗体若しくは結合断片又は抗原(例えば、タンパク質リガンドを含む)から選択される多重特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり;
    Xは、抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第1の結合パートナーであり;
    Yは、抗原又は抗体若しくはその結合断片から独立して選択される結合対の第2の結合パートナーであり;
    Aは細胞表面タンパク質(すなわち、細胞表面マーカー)に対して特異的であり、Bは前記細胞から分泌される目的の可溶性分子を捕捉し(例えば、結合する)、
    ただし、Xが抗原である場合、YはXにより表される抗原に対して特異的な抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、XはYにより表される抗原に対して特異的な抗体又はその結合断片であり、
    i)複合体形態ではない又はヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体形態の融合タンパク質A−XとB−Yの組合せを、分析しようとする細胞に導入するステップ、及び
    ii)成分A又はBにより目的の可溶性分子の捕捉(例えば、結合)を検出するステップ
    を含む上記方法。
  2. 前記目的の可溶性分子が、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、走化性因子、ロイコトリエン、プロスタグランジン、血管作動性アミン、酵素、補体及び補体の断片、脂質、スフィンゴ脂質、第二メッセンジャー成分(例えば、一酸化窒素、サイクリックAMP、等)、ビタミン、ミネラル、陽イオン、陰イオン、糖、凝固因子、急性期タンパク質、ガンマグロブリン(免疫グロブリンを含む)、アルブミン、可溶性細胞膜受容体、細胞発現タンパク質のスプライスバリアント、核酸、小さな膜小胞(エキソソーム、微小胞、リポソーム、等などの)、分泌ペプチド、免疫複合体並びに死んでいる又は死にかけている細胞由来の細胞内タンパク質からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記目的の可溶性分子がサイトカインである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記サイトカインが、IL−1a、IL−1b、IL−1Ra、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15 IL−16、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17F、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−3、IL−34、IL−35、IL−36a、IL−36b、IL−36g、IL−37a、IL−37、IL−38、TNSF1、TNFSF2、TNFSF3、TNFSF4、TNFSF5、TNFSF6、TNFSF7、TNFSF8、TNFSF9、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF13b、TNFSF14、TNFSF15、TNFSF18、IFNa、IFNb、IFNe、IFNk、IFNw、IFNg、IFNl1、IFNl2、IFNl2、CSF1、CSF2、CSF3、TGFb1、TGFb2、TGFb3、CLC、CNTF、レプチン、OPG、LIF、ニューロポイエチン、オンコステインM、NGF、BDNF、NT−3、PAI−1、RBP4、アディポネクチン、アペリン、キメリン、ビスファチン、スクレロスチン、及びDKK−1を含む群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記目的の可溶性分子がケモカインである、請求項2に記載の方法。
  6. ケモカインが、CCL1、2、3、4、5、6、7、8、9/10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、CXCL1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、XCL1、XCL2及びCX3CL1を含む群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記目的の可溶性分子が免疫グロブリンである、請求項2に記載の方法。
  8. Bが、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE、IgM及びその断片を含む群から選択される特定の抗体アイソタイプに対して特異的である、請求項7に記載の方法。
  9. Aが免疫グロブリン中のマーカーに対して特異的ではない、請求項8に記載の方法。
  10. 前記細胞表面マーカーが、安定的に発現される細胞系譜マーカー(cell lineage marker)及び非系譜細胞(non-lineage cells)上で安定的に発現されるマーカーから選択され、例えば、系譜細胞マーカーがCD45、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD13、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD23、CD25、CD27、CD33、CD38、CD56、CD57、CD64、CD80、CD83、CD86、CD123、CD127、CD137、CD138、CD196、CD209、HLA−DR、及びLin−1〜3を含む群から選択される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
  11. Aが抗体分泌細胞(B細胞及び/又は形質細胞を含む)のマーカー又はT細胞マーカーに対して特異的である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
  12. Aが、CD38、CD138、CD45(及びそのすべてのアイソフォーム)、CD27、CD19又はCD20(CD38又はCD138などの)を含む群から選択されるB細胞/形質細胞マーカーに対して特異的である、請求項11に記載の方法。
  13. Aが、細胞の表面の免疫グロブリンの一部として発現される、抗体軽鎖の定常領域(その断片を含む)又は抗体重鎖の定常領域であるB細胞マーカーに対して特異的である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記マーカーが、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE、IgM及びその断片を含む群から選択される抗体アイソタイプに対して特異的である、請求項13に記載の方法。
  15. Bが抗体アイソタイプに対して特異的ではない、請求項14に記載の方法。
  16. 前記マーカーが、CD3、CD4、CD8、CD25、CD127、CD196(CCR6)、CD197(CCR7)、CD62L、CD69及びCD45(及びそのすべてのアイソフォーム)を含む群から選択されるT細胞表面マーカーである、請求項11に記載の方法。
  17. Aが、完全長抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、VH、VL及びscFvから独立して選択される、請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
  18. Aが、Fab断片又はFab’断片(Fab断片など)である、請求項17に記載の方法。
  19. Aが抗原、例えば、細胞の表面で発現される受容体に対するリガンドである、請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記細胞が前記抗原に対して特異的なその表面で免疫グロブリンを発現する、請求項19に記載の方法。
  21. Bが、抗体、Fab断片、Fab’断片、sdAb、VH、VL及びscFvから独立して選択される、請求項1から19までのいずれか一項に記載の方法。
  22. Bが、Fab断片又はFab’断片(Fab断片など)である、請求項21に記載の方法。
  23. Bがリガンドを含む抗原である、請求項1から19までのいずれか一項に記載の方法。
  24. Xが、タンパク質成分AのC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている、請求項1から23までのいずれか一項に記載の方法。
  25. Xが、抗体又はその結合断片の重鎖のC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている、請求項24に記載の方法。
  26. Yが、タンパク質成分BのC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている、請求項1から25までのいずれか一項に記載の方法。
  27. Yが、抗体又はその結合断片の重鎖のC末端に、任意選択でリンカーを介して融合されている、請求項26に記載の方法。
  28. Xが、scFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、YはscFv又はsdAbなどの抗体又はその結合断片であり、XがscFv又はsdAbである場合、Yはペプチドなどの抗原である、請求項1から27までのいずれか一項に記載の方法。
  29. YがscFv、sdAb及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはsdAbなどのその結合断片であり、YがscFv又はsdAbである場合、Xはペプチドなどの抗原である、請求項1から28までのいずれか一項に記載の方法。
  30. ペプチドが5から25アミノ酸長の範囲である、請求項28又は29に記載の方法。
  31. XとYの間の結合親和性が5nM又はそれよりも強い、請求項1から30までのいずれか一項に記載の方法。
  32. XとYの間の結合親和性が900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、請求項31に記載の方法。
  33. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号1、又は配列番号1のアミノ酸1〜38)に特異的であるscFv又はsdAbである、請求項1から31までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  34. scFvが52SR4(配列番号3、又は配列番号3のアミノ酸1〜243)である、請求項29に記載の方法。
  35. X又はYがペプチドGCN4(配列番号1、又は配列番号1のアミノ酸1〜38)である、請求項1から34までのいずれか一項に記載の方法。
  36. タンパク質成分Bによる可溶性分子の捕捉が標識されたタンパク質を用いて検出される、請求項1から35までのいずれか一項に記載の方法。
  37. 標識されたタンパク質が完全長抗体などの抗体又はその結合断片である、請求項36に記載の方法。
  38. ex vivi/in vitroである、請求項1から37までのいずれか一項に記載の方法。
  39. in vivoである、請求項1から37までのいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記複数の重特異性タンパク質複合体が並行して用いられる、請求項1から38までのいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記用いられる複数の二重特異性タンパク質複合体において、Aが固定された特異性を有しBの特異性が変動する、請求項40に記載の方法。
  42. 前記用いられる複数の二重特異性複合体において、Bが固定された特異性を有しAの特異性が変動する、請求項40に記載の方法。
  43. 前記二重特異性タンパク質複合体を並行して分析するためにグリッドフォーマットが用いられる、請求項40から42までのいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記二重特異性タンパク質複合体を並行して分析するためにマルチプレックスフォーマットが用いられる、請求項40から42までのいずれか一項に記載の方法。
  45. A−Xがまず、分析しようとする前記細胞に添加される、請求項1から44までのいずれか一項に記載の方法。
  46. B−Yがそれに続いて添加される、請求項45に記載の方法。
  47. A−X:B−Yが予め形成された複合体として、分析しようとする細胞に添加される、請求項1から46までのいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記捕捉が、検出された前記細胞上でさらなる生物学的機能を誘導する又は妨げる(例えば、細胞増殖の阻害又はアポトーシスの誘導)、請求項1から47までのいずれか一項に記載の方法。
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