関連出願への相互参照
本出願は、米国仮出願62/303,151(2016年3月3日出願)に基づく優先権を主張するものであり、当該仮出願は参照によってここに含まれる。
本発明は、概略的には印刷に関するものであり、より詳しくは、長手軸を中心として円対称である非円筒状表面へのインクジェット印刷に関する。そうした非円筒状表面としては、コップ、ボトル、その他の容器の規則的な円錐状表面、非規則的な円錐状表面、および曲面(radiused surfaces)や、野球のバットが挙げられる。
デジタル印刷によって、市販のインクジェット印刷ヘッドを用いて、円筒状の物体に印刷する方法が、本技術分野で知られている。これらの方法は、印刷ドットを、円筒状の物体に、均一なラインスクリーン間隔および均一なドットサイズで、インクジェット印刷ヘッドから付着させて、任意の所望の網掛け色(screened color)またはベタ一色(solid color)を作るステップを含む。これらの従来の方法は、長手軸を中心として円対称である非円筒状表面(円対称である規則的な円錐状表面、非規則的な円錐状表面、および曲面を含む)への印刷用に用いられる場合、品質および効率性の問題を生じさせる。
本発明の目的のため、印刷対象の表面は非円筒状であり、その長手軸を中心として円対称である。こうした表面として、平らな底部と、直線である長手軸とを有する円錐状表面であって、当該長手軸を中心として円対称である円錐状表面が挙げられる。円錐状表面として、規則的な円錐状表面が挙げられる。これは、平らな円形底部から、当該底部から間隔を置き長手軸が通る点(頂点)へと、次第に細くなる三次元表面であって、当該軸を中心として円対称である。円錐状表面として、規則的な円錐台表面も挙げられる。これは、規則的な円錐状表面の頂点の下方を、底部に平行な平面で切断して、円錐台の上端を形成したものである。円錐状表面として、さらに、非規則的な円錐状表面も挙げられる。これは、平らな底部と、直線である長手軸とを有し、当該長手軸を中心として底部と円錐状表面が円対称となっている三次元表面であるが、これらの表面は底部から頂点へと次第に細くなるのではなく、長手軸に対して内向きにあるいは外向きに湾曲している。本明細書で扱う曲面も、中央の長手軸を中心として円対称である。円筒状表面に印刷する現在の方法は、そのような円対称である非円筒状表面への印刷には適していない。現在の方法は、歪みのない印刷画像を、そのような表面に沿って、一貫した網掛け色およびベタ一色で、画像の鮮明さや印刷効率をもって持続的に描くことができないからである。
デジタル印刷によって市販のインクジェット印刷ヘッドで円筒状表面に印刷する現在の装置および方法は、印刷対象の円筒状表面に対する印刷ヘッドの位置決めを、当該円筒状表面の回転運動、および、当該円筒状表面の長手軸に対する、当該円筒状表面に対して一定の間隔を置いた当該印刷ヘッドの軸運動に限定している。そのような円筒状印刷方法が、長手軸を中心として円対称である非円筒状表面での印刷に適用された場合、印刷ヘッドのインクジェットからそのような表面へのインクの噴射は不完全なものとなるであろう。印刷ヘッドがこれらの表面の長手軸に対して進むにつれて、インクジェットの間隔が、印刷ヘッドの軸運動により印刷が進む際の理想的または必要な間隔から広がるまたは狭まるからである。間隔の変化は画像の歪みをもたらす。この歪みは、機械的なドットゲインの変化(実際のインクドットサイズが、意図したドットサイズと異なる)、光学的ドットゲイン、またはベイリング(veiling)(ドットの外周が不鮮明になる)、ドットの伸び(意図していた円形のドットが伸びて、楕円形状のドットになる)、およびドットの誤配置(意図した画像上にドットがない)として現れうる。
図1は、そのような従来技術の円筒状印刷装置および方法を、三次元物体10(コップでよい)の規則的な円錐台表面12での印刷に適用したときにこれらの問題が生じる理由を示す。コップ10は、外周15を有する円形底部14と、外周17を有する円形上部16と、当該底部から当該上部へと伸びる中央長手軸18とを有する。印刷中、コップ10は、装置によって、軸18を中心として方向19へ回転させられる。装置の印刷ヘッド20を図1に概略的に示す。印刷ヘッド20は、インクジェットノズルの少なくとも1列が、印刷ヘッドの底部の線22に沿っている。印刷ヘッドは、インクジェットノズルの複数の列が平面に配置されていてもよい。印刷ヘッドノズルの線(または面)22は、コップ10の長手軸18に平行に配置されている。
印刷中、装置は印刷ヘッド20を、長手軸18に平行な直線26に沿って方向24に進める。表面12の外周17で印刷が始まったときの、インクジェットノズルの線(または面)22と表面12との間隔は、図示するように「A」である。印刷が進行し印刷ヘッドが方向24に進むにつれて、この間隔は広がり、最後に印刷ヘッドが表面12の外周15に到達する。ここで、印刷ヘッドと、外周15における円筒状表面との間隔は、より広い「B」である。印刷ヘッドが外周17から外周15へ進むにつれて表面12との間隔が広がるため、印刷画像の品質は、円錐状表面からの距離が大きいほど落ちることになり、これが最終的な印刷画像の歪みをもたらす。画像の歪みは、とりわけ、機械的ドットゲインの変化、光学的ドットゲインまたはベイリング(veiling)の増大、ドットの伸び、およびドットの誤配置から生じる。
さらに、網掛け色印刷は、ラインスクリーン(長さ単位当たりのドット数またはドット間隔)およびドットサイズの関数なので、網掛け画像が必要な場合に、そのような従来技術の円筒状印刷と同様に、直線距離当たりのドット数と決まったドットサイズとの決まった組み合わせを適用すると、非円筒状表面の直径の変化に伴って画質および画像の一貫性を劣化させることにもなる。せいぜい、非円筒状網掛け印刷表面のうちごく小さな領域のみが目指す網掛け色を正確に含み、一方、残りの印刷領域の網掛け画像は、インクジェットノズルの間隔の増大により変化し、望ましくない視覚的結果をもたらす可能性が高い。このことは、ベタ一色を得るのに必要なラインスクリーンとドットサイズの組み合わせに対しても、こうした色がいくつかの基本的な色(典型的には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の組み合わせで実現される限り、当てはまる。これらの欠点は、CIEラボ色空間などでの分光学的測定や、RGB色空間などでの比色分析測定や、単純目視検査を行えば明らかにわかる。
これらの欠点および他の欠点は、円筒状表面上のデジタルインクジェット印刷用の従来の装置および方法が、円対称である非円筒状表面や曲面に適用された場合に生じる。そのような従来技術のシステムでは、印刷対象の物体の表面と印刷ヘッドインクジェットノズルとの距離が、機械的に固定されているからである。サイズの異なる円筒状物体のために、印刷対象の物体の表面と印刷ヘッドとの距離が手動で変えられる場合でも、手動で調節可能な円筒状印刷システムは、円対称である非円筒状表面での印刷には適していない。インクジェットノズルの間隔を保つように、したがって非円筒状表面全体にわたって画質を保つようにして、印刷ヘッド位置決めを手動で調節することは、不可能でないにしても極めて困難だからである。
本発明を要約する目的で、本発明のいくつかの態様、利点、および新規な特徴を本明細書に記載した。本発明のいずれの特定の実施形態に関しても、そのような利点すべてが実現されるとは限らないことを理解されたい。したがって、本発明は、さまざまな実施形態の特徴を組み合わせ、なおかつ添付の請求項で検討した範囲内にあるように実現または実施してもよい。
本発明の実施形態は、長手軸を中心に円対称である非円筒状表面(規則的な円錐状表面、不規則的な円錐状表面、曲面を含む)に、効率的かつ正確に印刷する装置および方法を含む。すべての実施形態において、長手軸を中心に円対称であり、印刷中の非円筒状表面は、物体に沿った一点で終わり、円筒状印刷表面として、または、さらに類似のあるいは異なる、円対称の非円筒状表面として、当該物体に沿って延びてよいことを理解されたい。そのような長手軸を中心に円対称である非円筒状表面に対して円筒状印刷方法が適用される場合と異なり、本発明の実施形態は、印刷中の表面に、高品質を意図した網掛け色画像およびベタ一色画像を持続的に描く。本発明の実施形態はまた、印刷されている非円筒状表面の断面の変化に従って、目的の網掛け色を一貫して生成する。本発明の実施形態はまた、円筒形状表面用の印刷方法/装置が用いられたならば生じるだろう変化を最小限にするために、ライン印刷解像度および/またはドットサイズを変化させることにより、非円筒形状表面の断面直径の変化に沿って、色の掛け合わせ(color build)を通して、必要とされる場所に正確なベタ一色を持続的に描く。
本発明の方法および装置の実施形態によれば、印刷対象である、長手軸を中心に円対称である非円筒状表面の寸法および輪郭または形状は、印刷プロセスが始まる前に対応するデータセット内部で完全に測定され特徴付けられるか、または印刷が表面に沿って進行するにつれて全体的にあるいは部分的に測定され特徴付けられる。形状を特徴付けるデータを印刷エンジンコントローラが用いて、印刷対象の非円筒状表面と向かい合う印刷ヘッドの空間内での位置決めを行い、それにより、画像を作るようトリガされた印刷ヘッドのインクジェットノズルと表面とのあいだにできるだけ一定で均一な間隔を保つ。
インクジェットノズルの少なくとも一列が直線状に配置された印刷ヘッドが用いられるが、好ましくは、当該印刷ヘッドは、平面内に配置され長手方向に平行に並べられた複数のノズル列を有する。例えば、各列に500個のノズルが存在してよい。ノズル先端が平面内に配置されているノズル列が2本またはそれ以上ある場合、各列のノズルは互いに均一にずれていてよい。例えば、印刷ヘッドは500個のノズルから成る2本の平行な列を有し、各ノズルが互いに約140μmの間隔を有し、列同士の間隔は約4.8mmであり、各列のノズルは互いに均一にずれていてよい。
ノズル先端と、印刷中の非円筒状表面とのあいだの均一な間隔(「印刷ギャップ」)は、印刷中の表面の形状と、塗布中の画像とに基づいた所定の印刷ギャップであり、当該所定の印刷ギャップによって、印刷画像の品質が最高になる。印刷ギャップ範囲は、理想的には5mm以下であり、好ましくは約1〜2mmである。したがって、印刷ヘッドが、ノズル先端が直線状に配置されたインクジェットノズル一列のみを有する場合、または、ノズル先端が平面内に並べられたインクジェットノズルの隣接する列を有する場合、印刷ギャップ内にあるノズル先端を有するノズルだけがトリガされる。それゆえ、印刷プロセス中の任意の地点でトリガされるべく印刷エンジンコントローラによって選ばれる印刷ヘッドインクジェットノズルの数および位置は、とりわけ、印刷中の表面のうち、ノズル先端の線または平面に最も近い部分の曲率や位置によって変わる。
表面の形状のデータセットは、印刷中の物体の非円筒状表面の図から、例えば、コンピュータで生成した物体図(object drawings)から、得るか計算してよい。表面の形状はまた、全体的にまたは部分的に、インクジェット印刷ヘッドの前方に位置するセンサによって測定してもよく、当該センサは、印刷ヘッドが印刷中の表面に対して前進するのと同時に、非円筒状表面の寸法および輪郭を測定し、特徴データを提供する。そのようなセンサとしては、本技術分野で入手可能な光学近接センサやレーザ近接センサが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の実施形態によれば、長手軸を中心に円対称であり印刷対象である非円筒状表面を有する物体が、長手軸を中心に回転させる装置に取り付けられており、一方、デジタルインクジェット印刷ヘッドが取り付けられており、印刷ヘッドが回転物体の長手軸に平行に進んで印刷が進行するあいだ、当該デジタルインクジェット印刷ヘッドが必要に応じてX軸、Y軸、およびZ軸方向に動かされインクジェット印刷ヘッドノズルと表面とのあいだに均一な印刷ギャップまたは印刷ギャップ範囲を保つようにするシステムが提供される。以下に例示するように、実施形態において、このシステムは、物体がその長手軸を中心にして回転するあいだ、印刷ヘッドの位置決めを変化させて、印刷ギャップ内にある選択されたノズル先端と、当該物体の規則的な円錐状表面の対向部分とのあいだに一定の間隔を保つ。他の実施形態では、印刷エンジンは、印刷ヘッドの長手軸が表面の長手軸に対して垂直となるように当該印刷ヘッドを回転させ、それによって、不規則な円錐状表面および曲面内の、あるいは不規則な円錐状表面および曲面間の鋭い湾曲に対応しつつ、印刷ギャップ内にある選択されたノズル先端からの印刷を続ける。このようにしない場合、不規則な円錐状表面および曲面は、印刷プロセスのあいだ、印刷ヘッドの動きを妨げる可能性がある。
デジタルインクジェット印刷ヘッドの、X軸、Y軸、およびZ軸方向の空間的な動き(および印刷中の物体の空間的な動き)は、位置決め手段によって行ってよい。当該位置決め手段としては、例えば、印刷エンジンコントローラによってX方向、Y方向、およびZ方向に調節可能な、ロボット駆動システムまたはロボットアーム、リニアアクチュエータおよびリニアモータ、ロータリーエンコーダが挙げられる。実施形態では、印刷ヘッドは、そのような印刷ヘッド位置決め手段に結合されたカートリッジまたはアームに取り付けられてよい。
また、印刷中の物体の表面がその長手軸を中心に回転するがそれ以外では空間内に固定されており、一方で印刷ヘッドが空間内で動かされて非円筒状かつ円対称の表面との均一な印刷ギャップを保つことが好ましいが、代わりの実施形態では、物体(したがって、印刷対象である表面)を(当該物体を印刷表面の長手軸を中心に回転させているあいだ)空間内で動かしかつ印刷ヘッドを固定するか、あるいは物体と印刷ヘッドの両方を空間内で動かして、同じ相対的動きを実現してよい。すべての場合において、印刷エンジンコントローラは、上記の相対的動きを保ち、印刷ギャップ内にある印刷ヘッドノズル先端と、それら選択された印刷ヘッドノズルによって印刷中の表面とのあいだの均一な印刷ギャップ(またはギャップ範囲)にできるだけ近づこうとする。
実施形態において、印刷中の物体の非円筒状かつ円対称の表面に対する印刷ヘッドの動きは、印刷エンジンコントローラによって駆動される。印刷エンジンコントローラは、CPUコアと、記憶装置と、表面の形状を定めるデータセットを受け付けて用いる適切なソフトウェアおよびインターフェースとを備え、印刷プロセス中、印刷ヘッド位置決め手段を駆動して印刷ヘッドを操作する。このデータセットは、印刷が始まる前に入力してもよく、または、印刷ヘッドに結合した近接センサによって印刷エンジンへ提供された即時の表面形状情報を含んでもよい。
印刷エンジンコントローラは、表面の形状および印刷されるべき画像を定めるデータを入力として受け付け、この入力を用いて、非円筒状表面に置くべき画像カラードットの色、位置、およびサイズを、表面の形状に対してマッピングする。それから、印刷エンジンコントローラは、空間内の印刷ヘッドの位置決めや、インクジェットノズルからの噴射の選択およびタイミング調節を必要に応じて行って、高品質の画像を、所望のドットサイズ、所望のドット形状、所望のドット位置、および必要に応じて所望のライン印刷解像度で生成する。実施形態では、印刷ヘッドコントローラは、印刷中の非円筒状表面の断面直径の変化を考慮して印刷インクドットの数および位置の決定を行うだけでなく、印刷中の非円筒状表面の断面直径がインクジェット印刷ヘッドの前進により増大または減少するのに伴ってラインスクリーンおよびドットサイズを絶え間なく調節もする。
本発明の理解を助けるために、本発明を、例示的な実施形態と関連させて、添付の図面を参照しつつ説明する。添付の図面では、同じ特徴には同じ番号を振るものとする。
図1は、円筒状表面に印刷する従来技術のシステムの概略図である。
図2は、規則的な円筒台表面に印刷する本発明の方法および装置の一実施形態の各態様の概略図である。図2Aは、用いられた印刷ヘッドの一部分の部分底面図であり、平行かつ互いにずれた印刷ヘッドノズル先端の2本の列を示す。
図3A〜3Cは、円筒部分および湾曲した不規則な円錐部分を有するボトルへの印刷を示す、本発明の一実施形態の各態様の概略図である。図3Dは、用いられた印刷ヘッドの一部分の底面図であり、互いにずれた印刷ヘッドノズル先端の2本の列を示す。
図4は、円筒部分および異なる湾曲部分を有するボトルへの印刷を示す、本発明の一実施形態の各態様の概略図である。
図5A〜5Gは、円筒状表面および非円筒状表面が変化している物体の各表面への印刷を示す、本発明の一実施形態の各態様の概略図である。
本発明のさまざまな実施形態は、図2〜図5を参照することにより理解される。上記の図において、同じ番号は対応する特徴を表わす。本発明の実施形態は、本明細書に記載された本発明の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態を取り得る。本明細書に記載した実施形態は、限定的なものではない。
図2は、三次元物体30(コップでよい)の規則的な円筒台表面32に印刷するデジタル印刷装置の一実施形態を示す。コップ30は、外周36を有する切断底部(truncated base)34と、外周40を有する円形上部38と、上記底部から上記上部へと伸びる中央長手軸42とを有する。円錐状表面32は、軸42に対して角43を成している。印刷中、コップ30は、装置によって、長手軸42を中心として、方向44へと回転させられる。
装置の印刷ヘッド46を図2に概略的に示す。印刷ヘッド46は、当該印刷ヘッドの底部49の、図2の縁48に示した平面内にノズル先端を有するインクジェットノズルの複数の列を有している。その代わりに、インクジェットノズルの一列のみが、縁48に平行な印刷ヘッドの底部にあってもよい。印刷ヘッドの底部49の一部分を図2Aに示す。底部49の一部分は、ノズル先端平面49a(図2では縁48として示されている)内に、概略的に描かれた平行な各インクジェットノズル先端52の2本の平行な列50aおよび50bを有している。各インクジェットノズル先端52は、平面49a内のインクジェット構成中央線54からおおむね等間隔に配置されている。
図2の印刷ヘッド46は、印刷ヘッド位置決め手段57と結合している、装置のカートリッジ55に支持されている。印刷ヘッド位置決め手段57は、例えば、ロボット駆動システムやロボットアーム、リニアアクチュエータ/モーターやロータリーエンコーダから選ばれる。この図からわかるように、印刷ヘッド位置決め手段は、空間内でカートリッジを(したがって印刷ヘッドを)動かして、ノズル先端平面49aが軸42に対して角43を成すようにする。角43は、表面32がコップの長手軸42に対して成す角に対応する。平面49a(図2A)は同時に、中央線54の両側にある、互いに対応する各ノズル列の先端が、表面32から等距離になるような向きに向けられる。
印刷ヘッド46は、印刷エンジンコントローラ59によって駆動される。印刷エンジンコントローラは、CPUコアと、記憶装置と、コップ30の表面の形状およびコップ表面に塗布する画像を定める情報を受け付け保存するための適切なソフトウェアおよびインターフェースを備える。印刷エンジンコントローラは、コップ表面に置くべきカラードットの色、位置、およびサイズをマッピングし、印刷ヘッドを駆動して、それにより、非円筒状コップ表面に、所望の画像を、適切なインクドットサイズ、ドット形状、およびドット位置で形成する。
印刷中、印刷ヘッド46は、印刷エンジンコントローラによって、表面32に平行な直線60に沿って方向58に駆動される。表面32の外周40で印刷が開始したときの、インクジェット中央線と表面32との間隔または印刷ギャップは、図示されたように「C」である。印刷が進行し印刷ヘッドが線60に沿って方向58に進んでも、この印刷ギャップは、印刷ヘッドが表面32の外周36に到達するまで均一に保たれる。全印刷動作中、均一の間隔または印刷ギャップ「C」を保ち、一方で、印刷ヘッドによって塗布されるカラードットの色、位置、量、およびサイズを、印刷中の表面の輪郭にマッピングすることで、高品質で歪みのない色の正確な画像を確実に塗布することができる。
上記したように、印刷ヘッドノズル先端と、印刷中の非円筒状表面との印刷ギャップは、印刷中の表面の形状および塗布中の画像に基づいた所定の範囲となる。印刷ギャップは、印刷画像の品質を最高にするように選ばれるだろうし、あるいは選ばれている。図2は原寸に比例していないが、この図における印刷ギャップは1.5mmだと理解されたい。また、印刷プロセス中の任意の地点でトリガされるべく印刷エンジンコントローラによって選ばれるインクジェットノズルの数および位置は、表面のうち印刷中の部分の曲率に応じて変わる。図2の実施形態において、ノズル先端平面の全体が表面32に平行であり、したがって、任意の時点で印刷される表面に向かい合って位置するノズル先端平面のすべてのノズルが、必要に応じてトリガされて所望の画像を生成する。
図3Aから3Cは、長手軸42aを有し、円筒部分72と、当該長手軸を中心として円対称であり外向きに湾曲する不規則な円錐部分74とを含むボトル70に、印刷画像を塗布する実施形態を示す。図2で示したような印刷ヘッド46を、これらの図において概略的に示す。印刷ヘッドは、図2および図2Aに関して上記したように、平面内に配置し分布されたノズル先端を有するノズルの2本の列を有する。また、図2に関して述べたように、印刷ヘッド46は、印刷ヘッド位置決め手段57aと結合したカートリッジ55に支持されている。印刷ヘッド位置決め手段57aは、この場合、ロボットアームを備えており、印刷が進行するにつれて、図3Aから図3Cに示すように、当該ロボットアームが、カートリッジを、したがってノズル先端平面を、空間内で動かす。
印刷ヘッド位置決め手段57aは、概略的に描かれた印刷エンジン59によって制御される。この印刷エンジンは、ボトルの表面形状およびそこに印刷する画像を定める情報を有しており、当該表面に置くカラードットの色、位置、およびサイズをマッピングして、印刷ヘッドの空間内の位置と、インクジェットノズルからの噴射を制御するタイミングおよび他のパラメータとを必要に応じて調整して、ボトルに、高品質の画像を、所望のサイズ、形状、および位置で生成する。
まず図3Aを見ると、印刷ヘッドの底部(したがって、印刷ヘッドノズル先端平面49a(図3D))は、長手軸42aに平行な向きに向けられ、ノズル先端平面と円筒部分の表面とのあいだの印刷ギャップ「D」が1.0〜1.6mmとなっている。印刷ヘッドが部分72に沿って軸42aに平行に進みボトル70が軸42aを中心として回転するあいだ、適切なノズルが印刷エンジンコントローラによってトリガされる。この印刷ヘッドは、当該印刷ヘッドの前方に位置するセンサ82を有する。センサ82は、印刷ヘッドがボトル表面に対して前進するのと同時に、ボトル70の表面の寸法および輪郭を測定し、形状を特徴付けるデータを提供する。
ノズル先端平面の先頭のノズルが円筒部分72の遠位端の外周76に到達すると、印刷ヘッド位置決め手段は必要に応じて印刷ヘッドを軸42aに対して傾け、ノズル先端平面とボトルの外向きに湾曲した不規則な円錐部分74とのあいだの印刷ギャップ「D」を保つ。外向きに湾曲した不規則な円錐部分に沿った印刷ヘッドの中間部分を、図3Bおよび図3Cに示す。印刷ヘッドがボトルの遠位端78を過ぎると、印刷ヘッドは、円対称である同じ非円筒状表面または異なる非円筒状表面に印刷するのに適切な開始地点に戻る。
上記したように、印刷プロセス中の任意の地点でトリガされるべく印刷エンジンコントローラによって選ばれるインクジェットノズルの数および位置は、表面のうち印刷中の部分の曲率に応じて変わる。図3Aから図3Cの実施形態において、ボトルの部分74の印刷中、ノズル先端平面の一部分のみが、定められた1.0〜1.6mmの印刷ギャップに該当する。したがって、これらのノズル先端のみが、印刷エンジンコントローラによって選択されトリガされて、所望の画像を、ボトル70の、外向きに湾曲した不規則な円錐部分74に描く。図3Dの領域80中の各ノズル先端52が、選択されトリガされたノズルを有する。
図4は、一実施形態に係る、長手軸42bを有する、別の異なる形状を有する印刷用のボトル90を示す。ボトル90はその近位端に円筒部分92を有し、部分92の遠位側に、外向きに湾曲した不規則な円錐部分94を有し、当該外向きに湾曲した不規則な円錐部分の遠位側に、内向きに湾曲した不規則な円錐部分96を有し、円筒部分92より直径が実質的に小さい第2の円筒部分98を遠位端に有する。この図では、印刷ヘッド46は、ボトルの近位端から遠位端へ進む際の、ボトルの表面に沿った中間地点にあるように示されている。全印刷行程中、ボトルの表面に沿って印刷ギャップ「E」が保たれるので、高品質の印刷画像が確実に得られる。
本実施形態では、最適な印刷画像を確実に得るために、1.1〜1.6mmの印刷ギャップを選択した。印刷が進行すると、ノズル先端平面の一部分のみがこのギャップに該当するので、ノズル先端の選択されたグループのみが印刷コントローラによってトリガされる。また、印刷コントローラは、印刷中の表面に沿った別の地点においてノズル先端の別のグループが上記ギャップに該当したときは、当該別のグループを選択してもよい。
図5Aから図5Fは、円筒状表面、円錐状表面、内向きに湾曲した不規則な円錐状表面および曲面を有する物体110の複雑な表面を印刷する際の、本発明の動作を示す。物体110は長手軸42cを有し、第1円筒部分112、規則的な円錐部分114、第2円筒部分116、内向きに湾曲した不規則な円錐部分118、外向き曲面部分120、および第3円筒部分122を有する。図5Aでは、印刷ヘッド46は初期位置にあり、そのノズルヘッド49の平面は、第1円筒部分112から、印刷ギャップ「F」だけ間隔を置いており、当該印刷ギャップ「F」は1.3〜1.8mmの範囲に保たれる。図5A〜図5Cからわかるように、印刷ヘッドは、当該印刷ヘッドの延長方向の長手軸を物体の長手軸42cを含む平面内に置きながら、円筒部分112、円錐部分114、および円筒部分116に沿って進む。しかし、印刷ヘッドが部分118に到達すると、印刷ヘッドは図5Dに示すように90°回転し、それによって、印刷ヘッドは物体のこの部分の輪郭に沿ってより近接してコースをたどり印刷することができ(図5E)、それから、当該印刷ヘッドを横切るインクジェットノズルを印刷ギャップ内に保ったまま、曲面部分120に沿って印刷を続けることができる。最後に、印刷ヘッドが第3円筒部分122に到達すると、印刷ヘッドは90°反対に回転し、この領域での画像の印刷を完了する。
一実施形態の方法は、広くは、以下のステップ130〜144を含むと説明することができる。
ステップ132において測定された印刷表面の輪郭は、非円筒状表面の図から、例えば、コンピュータで生成した物体図(object drawings)から得るか計算してもよいし、あるいは、画像を印刷表面に印刷する前に表面の輪郭をマッピングする近接センサによって、輪郭を全体的にまたは部分的に測定してもよい。また、ステップ142における印刷表面と印刷ヘッドの動きを交換して、例えば、印刷表面が静止しており印刷ヘッドが印刷表面の長手軸を中心に回転もするようにしてもよい。また、ステップ144における印刷表面と印刷ヘッドの動きの交換を、印刷ヘッドを静止させ印刷表面を動かして同じ相対的な動きを達成することにより、行ってもよい。
本明細書で引用されたすべての文献(刊行物、特許公報、特許を含む)は、参照により本明細書に含まれるものであり、その効果は、各文献が、参照によって含まれると個別かつ具体的に示され、その全文が本明細書に提示された場合と同等である。
本発明の各実施形態を説明する文脈において(特に、以下の請求項の文脈において)、「一つの」や「前記」といったタームおよび類似の指示物の使用は、本明細書において特段の断りがない限り、あるいは文脈によって明確に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈される。本明細書における数値範囲の記載は、本明細書において特段の断りがない限り、当該範囲内にある個々の数値に個別に言及するのを省略したやり方を意図したものに過ぎず、個々の数値は、当該数値が本明細書に個別に記載されたものとして、本明細書に含まれるものである。本明細書に記載したすべての方法は、本明細書において特段の断りがない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で行いうる。本明細書に提示された各例およびすべての例の使用、または例示の言葉(「例えば」など)の使用は、本発明をよりよく例示するためのものに過ぎず、特段の請求がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書のいかなる語も、請求項にない要素が本発明の実施に不可欠だと示していると解するべきでない。
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に記載する。当該好ましい実施形態は、発明者らに知られている、本発明を実施するための最上の形態を含む。例示された実施形態はあくまでも例示であり、本発明の範囲を限定するものととらえられるべきではない。