JP2019506170A - オリゴヌクレオチド介在性遺伝子修復を利用した標的遺伝子修飾の効率を上昇させるための方法および組成物 - Google Patents

オリゴヌクレオチド介在性遺伝子修復を利用した標的遺伝子修飾の効率を上昇させるための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本明細書で提供されるものは、DNA配列への標的変化を作製するための方法および組成物を含む。様々な態様および実施形態において、細胞(植物、細菌、酵母、真菌、藻類、または哺乳動物細胞など)中のDNA配列を修飾するための方法および組成物が、提供される。幾つかの態様および実施形態において、DNAの修飾は、遺伝子修復オリゴヌクレオチドを、DNAカッターなどの標的細胞遺伝子修復機構の成分の利用可能性を増大するアプローチと組み合わせることを含む。
【選択図】図1

Description

本出願は、全ての表、図および特許請求の範囲をはじめとする全体が参照により本明細書に組み入れられ、優先権が主張されている、2016年2月9日出願の米国特許仮出願第62/293,278号の利益を主張するものである。
発明の分野
本開示は、少なくとも一部として、標的遺伝子突然変異および修飾を行うための方法および組成物を含む、そのような突然変異および修飾に関する。
背景
以下の議論は、単に読み手による本開示の理解を助けるために提供されており、本開示の先行技術を記載または構成することを承認するものではない。
米国特許第6,271,360号には、所定の変化をコードするオリゴデオキシヌクレオチドを導入することによる生存細胞の標的遺伝子における所定の遺伝子変化の導入のための方法および組成物が開示されている。該オリゴデオキシヌクレオチドは、哺乳動物、鳥類、植物および細菌細胞において効果的である。
米国特許第8,771,945号には、一部がCRISPR複合体の1種または複数の成分をコードする、ベクターおよびベクター系と、そのようなベクターの設計および使用のための方法が開示されている。
米国特許第8,470,973号では、「ポリペプチドによりDNA配列中の塩基対を選択的に認識するための方法、DNA配列中の1つまたは複数の塩基対を特異的に認識する修飾されたポリペプチド、ポリペプチドにより特異的に認識され得るように修飾されたDNA、ならびに特異的DNAを標的化する際のポリペプチドおよびDNAの使用に加え、細胞における標的遺伝子の発現をモジュレートする方法が参照される。」
概要
本明細書で提供されるものは、細胞中のDNAの標的遺伝子変化を実行するための方法および組成物を包含する。特定の態様および実施形態は、ゲノムまたは他のヌクレオチド配列における特異的位置への修飾の標的化の効率を改善することに関する。本明細書に記載された通り、ゲノムへの特異的変化を指導する核酸は、修飾の標的とされる細胞の中に存在する天然の修復系の成分の利用可能性を増大する様々なアプローチと組み合わせることができる。
第一の態様において、提供されるのは、遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)介在性突然変異を植物細胞中の標的デオキシリボ核酸(DNA)配列に導入するための方法である。特定の実施形態において、該方法は、特に、植物細胞へのGRONの送達の前および/もしくは送達と同時に1つまたは複数の細胞DNA修復工程を増加させる条件下で、該植物細胞を培養すること;ならびに/または植物細胞への、15塩基長よりも大きなGRONの送達、を含み得、該GRONは、標的DNAへの導入のために1つもしくは複数、または2つ以上の突然変異部位を場合により含む。
本明細書で用いられる「遺伝子修復オリゴヌクレオチド」または「GRON」は、特定の条件下でのDNA配列への1つの、または幾つかの実施形態において複数の、ヌクレオチド欠失、挿入または置換を指向し得るオリゴヌクレオベース(例えば、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド、非ヌクレオチド含有分子、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、二本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、および他の遺伝子修復分子)を意味する。ゲノムのこのオリゴヌクレオチド介在性遺伝子修復の編集は、非相同性に基づく修復系(例えば、非相同性末端結合)および相同性に基づく修復系(例えば、相同組換え修復)の両方を含み得る。該GRONは、典型的には設計されたミスマッチ(複数可)以外のゲノム標的と位置関係が合うように設計されている。これらのミスマッチは、細胞の内在性DNA修復系の1つまたは複数を利用することにより認識および修正され得る。幾つかの実施形態において、GRONまたはオリゴヌクレオチドは、生物体の標的配列と比較して、複数の差異を含むように設計され得る。これらの差異は、前記標的配列から翻訳されたタンパク質配列に影響を及ぼすとは限らず、1つまたは複数の例ではサイレント変化として知られる。GRON構造、化学的性質および機能の数多くの変異が、本明細書の他の箇所に記載される。様々な実施形態において、本明細書で用いられるGRONは、1つまたは複数の修飾を有し得る。例えば本明細書で用いられるGRONは、DNA修復機構を標的とする(ミスマッチ)部位に引きつけ、そして/または標的DNA配列のゲノムDNAへのGRON(所望の標的欠失(複数可)、挿入(複数可)、置換(複数可)以外など)の一部もしくは全ての組換えを防止し、そして/またはGRONの安定性を上昇させる、1つまたは複数の修飾を有し得る。
様々な実施形態において、GRONは、RNAおよびDNAの両ヌクレオチド、ならびに/またはヌクレオベースの他の型を有し得る。幾つかの実施形態において、DNAまたはRNAヌクレオチドの1つまたは複数は、修飾を含む。
一態様において、提供されるのは、植物細胞中で遺伝子変化を引き起こす方法であって、該細胞をDNAカッターおよびGRON、例えば本明細書で企図される通り修飾されたGRONに暴露することを含む、方法である。幾つかの実施形態において、該GRONは、Cy3基、3PS基、2’O−メチル基、または本明細書で企図されるような他の修飾で修飾され得る。別の態様において、提供されるのは、DNAカッターおよびGRO、例えばCy3基、3PS基、2’O−メチル基、または他の修飾で修飾されたGROを含む植物細胞である。幾つかの実施形態において、該DNAカッターは、CRISPR、TALEN、亜鉛フィンガー、メガヌクレアーゼ、およびDNA切断性抗生物質から選択される1つまたは複数である。幾つかの実施形態において、該DNAカッターは、CRISPRである。幾つかの実施形態において、該DNAカッターは、TALENである。幾つかの実施形態において、該GRONは、15〜60ヌクレオベース長の間、または30〜40ヌクレオベース長の間;または35〜45ヌクレオベース長の間;または20〜70ヌクレオベース長の間;または20〜200ヌクレオベース長の間;または30〜180ヌクレオベース長の間;または50〜160ヌクレオベース長の間;または70〜150ヌクレオベース長の間;または70〜210ヌクレオベース長;または80〜120ヌクレオベース長の間;または90〜110ヌクレオベース長の間;または95〜105ヌクレオベース長の間;または80〜300ヌクレオベース長の間;または90〜250ヌクレオベース長の間;または100〜150ヌクレオベース長の間;または100〜200ヌクレオベース長の間;または100〜210ヌクレオベース長の間;または100〜300ヌクレオベース長の間;または150〜200ヌクレオベース長の間;または200〜300ヌクレオベース長の間;または250〜350ヌクレオベース長の間;または50〜110ヌクレオベース長の間;または50〜200ヌクレオベース長の間;または150〜210ヌクレオベース長の間;または20〜1000ヌクレオベース長の間;または100〜1000ヌクレオベース長の間;または200〜1000ヌクレオベース長の間;または300〜1000ヌクレオベース長の間;または400〜1000ヌクレオベース長の間;または500〜1000ヌクレオベース長の間;または600〜1000ヌクレオベース長の間;または700〜1000ヌクレオベース長の間;または800〜1000ヌクレオベース長の間;または900〜1000ヌクレオベース長の間;または300〜800ヌクレオベース長の間;または400〜600ヌクレオベース長の間;または500〜700ヌクレオベース長の間;または600〜800ヌクレオベース長;または30を超えるヌクレオベース長;または35を超えるヌクレオベース長;または40を超えるヌクレオベース長;または50を超えるヌクレオベース長;または60を超えるヌクレオベース長;または65を超えるヌクレオベース長;または70を超えるヌクレオベース長;または75を超えるヌクレオベース長;または80を超えるヌクレオベース長;または85を超えるヌクレオベース長;または90を超えるヌクレオベース長;または95を超えるヌクレオベース長;または100を超えるヌクレオベース長;または110を超えるヌクレオベース長;または125を超えるヌクレオベース長;150を超えるヌクレオベース長;または165を超えるヌクレオベース長;または175を超えるヌクレオベース長;または200を超えるヌクレオベース長;または250を超えるヌクレオベース長;または300を超えるヌクレオベース長;または350を超えるヌクレオベース長;または400を超えるヌクレオベース長;または450を超えるヌクレオベース長;または500を超えるヌクレオベース長;または550を超えるヌクレオベース長;または600を超えるヌクレオベース長;または700を超えるヌクレオベース長;または800を超えるヌクレオベース長;または900を超えるヌクレオベース長である。
GRONは、標的遺伝子の非コード(NC)領域およびコード(C)領域の両方で標的にされ得る。例として図27および28はそれぞれ、ACCase遺伝子への以下のアミノ酸置換の1つまたは複数を導入するために、イネゲノム中に突然変異を導入するのに適したC−GRONおよびNC−GRONを表す。慣習では、ノスズメノテッポウ(アロペキュラス・ミオスロイデス;Am)由来のプラスチド型ACCaseのアミノ酸番号付けシステムを参照として使用する。本明細書で用いられるACCase番号付けは、ノスズメノテッポウ参照配列ACCaseタンパク質(SEQ ID NO:1)の、またはACCaseパラログ(V=CY3;H=3’DMT dC CPG)中の類似アミノ酸残基での、番号付けに基づく。以下の表は、アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ(clofop)、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェンチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−P、イソキサピリホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ−P、トリホップ、ピノキサデン、これらの除草剤のいずれかの農学的に許容できる塩およびエステル、ならびにそれらの抵抗性表現型の組み合わせのうちの1つまたは複数を生成するACCase突然変異を列挙している。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
同様に、図29および30はそれぞれ、EPSPS遺伝子(大腸菌AroAタンパク質(原核生物EPSPS均等物)のアミノ酸配列に比較して全ての番号付けを有する)への以下のアミノ酸置換の1つまたは複数を導入するためにアマゲノム中に突然変異を導入するのに適した(コード)C−GRONおよび(非コード)NC−GRONを表す(米国特許第8,268,622号に記載されるものなど)。(V=CY3;H=3’DMT dC CPG)。以下の表は、グリホサート、これらの除草剤のいずれかの農学的に許容できる塩およびエステル、ならびにそれらの抵抗性表現型の組み合わせを生成するEPSPS突然変異を列挙している。
Figure 2019506170
本明細書で用いられる用語「CRISPR」は、エレメント、即ちcas(CRISPR関連)遺伝子、転写産物(例えば、mRNA)またはタンパク質、および少なくとも1つのCRISPRスペーサー配列(クラスター化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)、SPISR:スペーサーが散在したダイレクトリピート(SPacer Interspersed Direct Repeats)としても知られる)を指し、細胞内で効率的に存在すれば、または発現されれば、例えばCong,L.et al.,Science,vol.339 no 6121 pp.819−823(2013);Jinek et al,Science,vol.337:816−821(2013);Wang et al.,RNA,vol.14,pp.903−913(2008);Zhang et al.,Plant Physiology,vol.161,pp.20−27(2013);Zhangら、PCT出願第PCT/US2013/074743号;およびCharpentierら、PCT出願第PCT/US2013/032589号に記載されるようなCRISPR/CAS細胞機構を介して標的DNA配列の切断を実行し得る。幾つかの実施形態において、例えば真核細胞中で使用されるCRISPRなど、本明細書で企図されるCRISPRは、1つまたは複数の機能的な核局在化シグナルのための配列を含むさらなるエレメントも含み得る。本明細書で企図されるCRISPRは、多くのやり方または表現(manifestations)のいずれでも細胞内で発現され得、細胞へ投与され得、そして/または細胞内に存在し得る。例えば本明細書で企図されるCRISPRは、以下のようなプラスミド上のCRISPR、プラスミド上のCRISPRニッカーゼ、プラスミド上のCRISPRa、またはプラスミド上のCRISPRiのうちの1つまたは複数を含み得る、または必要とし得る。
プラスミド上のCRISPR:
(i) a.標的DNA中の配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第一のセグメント(例えば、プロトスペーサー、スペーサー、またはcrRNA);および
b.部位特異的な修飾ポリペプチドと相互作用する第二のセグメント(例えば、トランス活性化crRNAまたはtracrRNA)、
を含むDNA標的化RNAをコードするヌクレオチド配列(例えば、ガイドRNA)と、
(ii) a.DNA標的化RNAと相互作用するRNA結合部分(例えば、RECローブ);および
b.標的DNA内で二本鎖切断を引き起こす活性部分(例えば、NUCローブ)であって、該標的DNA内の該二本鎖切断の部位がDNA標的化RNAにより決定される、活性部分、
を含む、該部位特異的な修飾ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、cas遺伝子)と、
を含む組換え発現ベクター。
プラスミド上のCRISPRニッカーゼ:
(i) a.標的DNA中の配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第一のセグメント(例えば、プロトスペーサー、スペーサー、またはcrRNA);および
b.部位特異的な修飾ポリペプチドと相互作用する第二のセグメント(例えば、トランス活性化crRNAまたはtracrRNA)、
を含むDNA標的化RNAをコードするヌクレオチド配列(例えば、ガイドRNA)と、
(ii) a.DNA標的化RNAと相互作用するRNA結合部分(例えば、RECローブ);および
b.標的DNA内で一本鎖切断を引き起こす活性部分(例えば、NUCローブ)であって、該標的DNA内の該一本鎖切断の部位がDNA標的化RNAにより決定される、活性部分、
を含む、該部位特異的な修飾ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、cas遺伝子)と、
を含む組換え発現ベクター。
プラスミド上のCRISPRa:
(i) a.標的DNA中の配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第一のセグメント(例えば、プロトスペーサー、スペーサー、またはcrRNA);および
b.部位特異的な修飾ポリペプチドと相互作用する第二のセグメント(例えば、トランス活性化crRNAまたはtracrRNA)、
を含むDNA標的化RNAをコードするヌクレオチド配列(例えば、ガイドRNA)と、
(ii) a.DNA標的化RNAと相互作用するRNA結合部分(例えば、RECローブ);および
b.標的DNA内で転写をモジュレートする活性部分(例えば、NUCローブ;特定の実施形態において、転写を増進する)であって、該標的DNA内の該転写モジュレーションの部位がDNA標的化RNAにより決定される、活性部分、
を含む、該部位特異的な修飾ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、cas遺伝子)と、
を含む組換え発現ベクター。
プラスミド上のCRISPRi:
(i) a.標的DNA中の配列に相補的なヌクレオチド配列を含む第一のセグメント(例えば、プロトスペーサー、スペーサー、またはcrRNA);および
b.部位特異的な修飾ポリペプチドと相互作用する第二のセグメント(例えば、トランス活性化crRNAまたはtracrRNA)、
を含むDNA標的化RNAをコードするヌクレオチド配列(例えば、ガイドRNA)と、
(ii) a.DNA標的化RNAと相互作用するRNA結合部分(例えば、RECローブ);および
b.標的DNA内で転写/翻訳をモジュレートする活性部分(例えば、NUCローブ;幾つかの実施形態において、転写/翻訳を低減する)であって、該標的DNA内の該転写/翻訳モジュレーションの部位がDNA標的化RNAにより決定される、活性部分、
を含む、該部位特異的な修飾ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(例えば、cas遺伝子)と、
を含む組換え発現ベクター。
プラスミド上のCRISPR、プラスミド上のCRISPRニッカーゼ、プラスミド上のCRISPRa、およびプラスミド上のCRISPRiのそれぞれは、幾つかの実施形態において、あるいはプラスミド上よりもむしろRNA(例えば、mRNA)またはタンパク質としての細胞中で投与、発現される、または存在する1つまたは複数の適当なエレメントを有し得る。保護されたmRNAの送達は、Karikoらの米国特許第8,278,036号に記載された通りであり得る。
幾つかの実施形態において、CRISPRiおよびCRISPRaのそれぞれは、失活されたcas9(dCas9)を含み得る。失活されたcas9は、依然として標的DNAに結合するが、切断活性を有さない。ヌクレアーゼ欠損cas9は、D10AおよびH840A点突然変異から生じ得、その2つの触媒ドメインを不活性化する。
幾つかの実施形態において、CRISPRiは、RNAポリメラーゼIIの立体障害を介して転写開始または伸長を阻害する。CRISPRiは、dCas9タンパク質のC末端への強力なレプレッサードメインの融合により場合により増強され得る(CRISPRei)。幾つかの実施形態において、リプレッサドメインは、クロマチン修飾因子を動員および利用する。幾つかの実施形態において、該リプレッサドメインは、Kagale,S.et al.,Epigenetics,vol.6 no 2 pp141−146(2011)に記載されたドメインを包含し得るが、これらに限定されない:
1.LDLNRPPPVEN − OsERF3リプレッサドメイン(LxLxPPモチーフ)
2.LRLFGVNM − AtBRDリプレッサドメイン(R/KLFGVモチーフ)
3.LKLFGVWL − AtHsfB1リプレッサドメイン(R/KLFGVモチーフ)
4.LDLELRLGFA − AtSUPリプレッサドメイン(EARモチーフ)
5.ERSNSIELRNSFYGRARTSPWSYGDYDNCQQDHDYLLGFSWPPRSYTCSFCKREFRSAQALGGHMNVHRRDRARLRLQQSPSSSSTPSPPYPNPNYSYSTMANSPPPHHSPLTLFPTLSPPSSPRYRAGLIRSLSPKSKHTPENACKTKKSSLLVEAGEATRFTSKDACKILRNDEIISLELEIGLINESEQDLDLELRLGFA* − 完全長AtSUP遺伝子含有リプレッサドメイン(EARモチーフ)。
幾つかの実施形態において、転写によるCRISPRa活性化は、融合されたC末端転写活性化因子を含有するdCas9タンパク質の利用により実現された。幾つかの実施形態において、活性化は、Cheng,AW et al.,Cell Research,pp1−9(2013);Perez−Pinera,P.et al.,Nature Methods,vol.10 pp913−976(2013);Maeder,ML.et al.,Nature Methods,vol.10 pp977−979(2013)、およびMali,P.,et al.,Nature Biotech.,vol.31 pp833−838(2013)に記載されるようなVP64(4X VP16)、AtERF98活性化ドメイン、またはAtERF98x4コンカテマーを包含し得るが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態において、該CRISPRは、ニッカーゼを含む。特定の実施形態において、2つ以上のCRISPRニッカーゼが、用いられる。幾つかの実施形態において、該2つ以上のニッカーゼは、標的核酸の相対する鎖を切断する。別の実施形態において、該2つ以上のニッカーゼは、標的核酸の同じ鎖を切断する。
本明細書で用いられる「リプレッサタンパク質」または「リプレッサ」は、それぞれDNAのオペレータに、またはRNAに結合して転写または翻訳を防止するタンパク質を指す。
本明細書で用いられる「リプレッサ」は、DNAまたはmRNA上の特異的部位へのリプレッサタンパク質の結合による転写または翻訳の阻害を指す。幾つかの実施形態において、リプレッサは、少なくとも1.5倍の、別の実施形態において少なくとも2倍の、別の実施形態において少なくとも5倍の転写または翻訳レベルにおける有意な変化を含む。
遺伝子転写および/または翻訳に関して本明細書で用いられる「活性化タンパク質」または「活性化因子」は、それぞれDNAのオペレータに、またはRNAに結合して転写または翻訳を増進または増加させるタンパク質を指す。
遺伝子転写および/または翻訳に関して本明細書で用いられる、遺伝子転写および/または翻訳に関する「活性化」は、DNAまたはmRNA上の特異的部位への活性化タンパク質の結合により転写または翻訳を増進または増加させることを指す。幾つかの実施形態において、活性化は、少なくとも1.5倍、幾つかの実施形態において少なくとも2倍、幾つかの実施形態において少なくとも5倍の転写または翻訳レベルにおける有意な変化を含む。
特定の実施形態において、1つまたは複数の細胞内DNA修復工程を増進する条件は、塩基除去修復のための標的であるGRONまたは植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導入、非相同性末端結合のための標的であるGRONまたは植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導入、マイクロホモロジー媒介末端結合のための標的であるGRONまたは植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導入、相同組換えのための標的であるGRONまたは植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導入、および修復を実行するための標的であるGRONまたは植物細胞DNAへの1つまたは複数の部位の導入(例えば、塩基除去修復(BER)、相同組換え修復(HR)、ミスマッチ修復(MMR)、古典的および代替的非相同性末端結合修復(NHEJ)をはじめとするNHEJ、およびヌクレオチド除去修復(NER))のうちの1つまたは複数を包含し得る。
本明細書に記載された通り、本明細書での使用のためのGRONは、従来のRNAおよびDNAヌクレオチドからの以下の改変のうちの1つまたは複数を含み得る:
1つまたは複数の脱塩基ヌクレオチド;
1つまたは複数の8’オキソdAおよび/または8’オキソdGヌクレオチド;
3’末端の逆塩基;
1つまたは複数の2’O−メチルヌクレオチド;
1つまたは複数のRNAヌクレオチド;
5’末端の1つまたは複数の、そして幾つかの実施形態において、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多いRNAヌクレオチド(該RNAヌクレオチドの1つまたは複数は、さらに修飾され得る);3’末端の1つまたは複数の、そして幾つかの実施形態において、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多いRNAヌクレオチド(該RNAヌクレオチドの1つまたは複数は、さらに修飾され得る);
5’末端の1つまたは複数の、そして幾つかの実施形態において、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはより多い2’O−メチルRNAヌクレオチド;
挿入色素;
5’末端キャップ;
ホスホチオアート修飾、リン酸メチル修飾、ロックド核酸(LNA)修飾、O−(2−メトキシエチル)(MOE)修飾、diPS修飾、およびペプチド核酸(PNA)修飾からなる群から選択される骨格修飾;
1つまたは複数の鎖内架橋;
コンジュゲートされていて、幾つかの実施形態においてGRONの5’または3’末端にある1つまたは複数の蛍光色素;ならびに
ハイブリダイゼーションエネルギーを増大する1つまたは複数の塩基。このリストは、限定を意味するものではない。
本明細書で用いられる用語「ゆらぎ塩基」は、参照ヌクレオチド配列の1つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化を指し、該変化は、参照配列に対してヌクレオチドによりコードされたアミノ酸の配列を変化させない。
本明細書で用いられる用語「非ヌクレオチド」または「脱塩基ヌクレオチド」は、糖および/またはリン酸塩置換基のいずれかを含む1つまたは複数のヌクレオチド単位の代わりに核酸のチェーンに組み込むことができ、残留する塩基に酵素活性を呈示させる、任意の基または化合物を指す。該基または化合物は、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンなどの一般に認識されたヌクレオチド塩基を含有しないという点で脱塩基である。それは、当該技術分野および本明細書に記載される通り、2’または3’HまたはOHへの置換を有し得る。
本明細書に記載される通り、特定の実施形態におけるGRONの品質および変換効率は、2量体、3量体、4量体などのヌクレオチド多量体を用いてGRONの全てまたは一部を合成し、その純度を改善することにより、改善され得る。
特定の実施形態において、該標的デオキシリボ核酸(DNA)配列は、植物細胞中にあり、例えば該標的DNA配列は、植物細胞ゲノム中にある。該植物細胞は、非トランスジェニックまたはトランスジェニックであり得、該標的DNA配列は、植物細胞のトランスジーンまたは内在性遺伝子であり得る。
特定の実施形態において、1つまたは複数の細胞DNA修復工程を増進する条件は、GRONを植物細胞中に送達する前、送達するのと同時、または送達した後に、一本鎖または二本鎖DNA切断を植物細胞中に誘導する1つまたは複数の化合物を導入することを含む。例示的な化合物が、本明細書に記載されている。
本明細書に記載された方法および組成物は、一般には植物に適用可能である。例にすぎないが、植物の種は、既に具体的に言及されていない限り、キャノーラ、ヒマワリ、コーン、タバコ、テンサイ、ワタ、トウモロコシ、コムギ(非限定的にトリチカム種、トリチカム・アエスチブム、トリチカム・デュラム、トリチカム・チモフェービ、トリチカム・モノコッカム、トリチカム・スペルタ、トリチカム・ズコフスキーおよびトリチカム・ウラルツ、ならびにそれらのハイブリッドなど)、オオムギ(非限定的にホルデウム・ブルガレ L、ホルデウム・コモサム、ホルデウム・デプレッサム、ホルデウム・インテルセデンス、ホルデウム・ジュバタム、ホルデウム・マリナム、ホルデウム・マリナム、ホルデウム・パロジ、ホルデウム・プシラム、ホルデウム・セカリナム、およびホルデウム・スポンタネウムなど)、イネ(非限定的に、オリザ・サティバ亜種インディカ、オリザ・サティバ亜種ジャポニカ、オリザ・サティバ亜種ジャバニカ、オリザ・サティバ亜種グルチノサ(もち米)、オリザ・サティバ・アロマチカ群(例えば、バスマティ)、およびオリザ・サティバ(浮稲群)など)、アルファルファ、オオムギ、モロコシ、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ナシ、イチゴ、バナナ、メロン、キャッサバ、ジャガイモ、ニンジン、レタス、タマネギ、ダイズ、ダイズ種、サトウキビ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、サヤエンドウ、ソラマメ、レンズマメ、カブ、ルタバガ、芽キャベツ、ルピナス、カリフラワー、ケール、フィールドビーン(field beans)、ポプラ、マツ、ユーカリ、ブドウ、カンキツ属、ライコムギ、アルファルファ、ライムギ(非限定的に、セカレ・シルベストレ、セカレ・ストリクタム、セカレ・セレアレ、セカレ・バビロビ、セカレ・アフリカナム、セカレ・シリアトグルム、セカレ・アンセストラレ、およびセカレ・モンタナムなど)、オートムギ、シバ(非限定的に、ゾイシア・ジャポニカ、アグロストリス・パルストリス、ポア・プラテンシス、ポア・アヌア、デジタリア・サンギナリス、シペルス・ロタンダス、キリンガ・ブレビフォリア、シペルス・アムリカス、エリゲロン・カナデンシス、ヒドロコチレ・シブトルピオイデス、クメロウィア・ストリアタ、ユーフォビア・フミフサ、およびビオラ・アルベンシスをはじめとするシバなど)、およびイネ科牧草、アマ、ナタネ、ワタ、カラシナ、キュウリ、アサガオ、ホウセンカ、コショウ、ナス、マリーゴールド、スイレン、キャベツ、ヒナギク、カーネーション、チューリップ、アイリス、ユリ、および堅果産生植物からなる群から選択され得る。これらはまた、全体または一部として、非限定的に細菌、酵母、真菌、藻類、および哺乳動物細胞、ならびにそれらのオルガネラ(例えば、ミトコンドリアおよびクロロプラスト)をはじめとする全ての他の生物系に適用され得る。幾つかの実施形態において、該生物体または細胞は、大腸菌、マイコバクテリウム・スメグマチス、枯草菌、クロレラ、バチルス・スリンギエンシス、サッカロマイセス・セレビシエ、ヤロウィア・リポリティカ、クラミドモナス・ラインハーディー、ピキア・パストリス、コリネバクテリウム、アスペルギルス・ニガー、およびネウロスポラ・クラッサからなる群から選択される種である。幾つかの実施形態において、該酵母は、ヤロウィア・リポリティカである。別の実施形態において、該酵母は、サッカロマイセス・セレビシエではない。幾つかの実施形態において、該植物または植物細胞は、アラブドプシス・サリアナ、ソラナム・ツベローサム、ソラナム・フレジャ、オリザ・サティバ、グリシンマックス、アマランサス・ツベルクラタス、リナム・ウシタチッシマム、およびジーメイズからなる群から選択される種である。該植物の種は、イネ科ポアケアの単子葉植物からなる群から選択され得る。該イネ科ポアケアは、2つの主なクレード、つまりタケ亜科、エールハルタ亜科、およびイチゴツナギ亜科を含むクレード(BEPクレード)と、キビ亜科、ダンチク亜科、ヒゲシバ亜科、ラッパグサ亜科、ミクライア亜科、アリスチドイデア(Aristidoideae)亜科、およびダントニオイデア(Danthonioideae)亜科を含むクレード(PACCMADクレード)に分別することができる。タケ亜科は、イネ連を包含する。該植物種は、BEPクレードの植物、詳細にはタケ亜科およびエールハルタ亜科の植物に関係し得る。BETクレードは、タケ亜科、エールハルタ亜科、およびコムギの群を包含し、他のイチゴツナギ亜科は包含しない。BETの作物は、BETサブクレードのメンバー、例えばオオムギ、コーンなどの食物または飼料のために生育された植物である。
特定の実施形態において、該方法は、植物細胞からのGRONにより導入された突然変異を有する植物を再生することをさらに含み、植物から種子を採取することを含み得る。
関連の態様において、本開示は、本明細書に記載された方法に従ってGRONにより導入されたゲノム修飾を含む植物細胞、本明細書に記載された方法に従ってGRONにより導入されたゲノム修飾を含む植物、もしくは本明細書に記載された方法に従ってGRONにより導入されたゲノム修飾を含む種子、または本明細書に記載された方法に従ってGRONにより導入されたゲノム修飾を含む種子の子孫に関する。
本開示の別の実施形態は、以下の詳細な記載、例示的実施形態、および特許請求の範囲から明白となろう。
ホスホチオアート(PS)標識GRON(GRONの各末端の3PS部分を有する)および5’Cy3/3’idC標識GRONにより媒介されるBFPからGFPへの変換を表す。 図2Aは、本明細書で「2’−O−メチルGRON」と称されるRNA/DNAを含むGRONを表す。図2Bは、本明細書で「2’−O−メチルGRON」と称されるRNA/DNAを含むGRONを表す。 BFP5 CRISPRが標的とするbfp遺伝子上の位置の略図である。 BFPトランスジェニックアラビドプシス・タリアナモデル系におけるBFPからGFPへの変換の割合%に及ぼす、様々な長さのCy3または3PS GRONのいずれかを導入されたCRISPRの影響の結果を示す。 BFPトランスジェニックアラビドプシス・タリアナモデル系におけるBFPからGFPへの変換の割合%に及ぼす、様々な長さの3PS GRONを導入されたCRISPRの影響の結果を示す。 実施例9で用いられたGRON「gcugcccgug」を開示している。 実施例9で用いられたGRON「gggcgagggc」を開示している。 71量体GRONからのフローサイトメトリーにより決定されたアラビドプシス・タリアナBFPトランスジェニックモデル系からのGFP陽性プロトプラストの平均割合%の測定を示す。 201量体GRONからのフローサイトメトリーにより決定されたアラビドプシス・タリアナBFPトランスジェニックモデル系からのGFP陽性プロトプラストの測定を示す。 BFPトランスジェニックアラビドプシス・タリアナモデル系のGFP養成細胞の平均割合%に及ぼす、コードおよび非コードGRONを導入されたCRISPRの影響を示す。 CRISPR/Cas複合体に一本鎖GRONまたは二本鎖DNAをつなぐことの略図である。 異なる長さのスペーサーのBFPトランスジェニックアラビドプシス・タリアナモデル系におけるBFPからGFPへの変換を媒介する際のCRISPRおよびGRONの影響の結果を示す。 プラスミド(gRNAプラスミド)上でコードされた、またはアンプリコン(gRNAアンプリコン)として使用された、スペーサーのBFPトランスジェニックアラビドプシス・タリアナモデル系におけるBFPからGFPへの変換を媒介する際のCRISPRおよびGRONの影響の結果を示す。 非修飾41量体GRONと3PS修飾された41量体GRONを対比させた、BFPトランスジェニックアラビドプシス・タリアナモデル系におけるBFPからGFPへの変換を媒介する際のCRISPRおよびGRONの影響の結果を示す。 T=0にCRISPRプラスミドで処置された茎頂プロトプラストPEGに由来する3週齢および6週齢リナム・ウシタチッシマム(アマ)マイクロカルスの次世代シークエンシングの結果を示す。 T=0にCRISPRプラスミドで処置された茎頂プロトプラストPEGに由来する3週齢および6週齢リナム・ウシタチッシマムマイクロカルスの次世代シークエンシングの結果を示す。 図16aは、送達後72時間目にCRISPR−Casプラスミド(BC−1)で処置されたプロトプラスト中のディーブシンクエンシングにより決定されたサイズに基づくインデルの分布を示す。インデルは、全ての読み出しの0.79%に相当する。図16bは、プラスミド(BC−1)およびGRON(CG−6)の送達後72時間目のフローサイトメトリーにより同定されたGFP蛍光プロトプラストの割合%により測定されたBFPからGFPへの編集を示す。表されたデータは、トランスフェクション効率に正規化されていない。エラーバーは、S.E.M.(n=9)である。 図17aは、プラスミド(BC−1)およびGRON(CG−1)または(CG−2)の送達後72時間目にフローサイトメトリーにより測定されたBFPからGFPへの遺伝子編集における3PSおよび非修飾GRONの比較を示す。図17bは、プラスミド(BC−2)およびGRON(CG−5)または(CG−8)の送達後72時間目にフローサイトメトリーにより測定されたBFPからGFPへの遺伝子編集におけるGRON長の比較を示す。図17cは、プラスミド(BC−1)およびGRON(CG−6)、(CG−9)または(CG−10)の送達後72時間目にフローサイトメトリーにより測定されたBFPからGFPへの遺伝子編集についての2’−O−Me GRONへの3PSの比較を示す。図17dは、プラスミド(BC−3)およびGRON(CG−3)または(CG−4)の送達後72時間目にフローサイトメトリーにより測定されたBFPからGFPへの遺伝子編集におけるCy3 GRONへの3PS GRONの比較を示す。エラーバーは、S.E.M.(n=3)である。(CG−1):非修飾のBFPアンチセンス41nb;(CG−2):修飾されたBFPアンチセンス41nb 3PS;(CG−3):修飾されたBFPセンス41nb 3PS;(CG−4):修飾されたBFPセンス41nb 3PS;(CG−5):修飾されたBFPセンス60nb 3PS;(CG−6):修飾されたBFPアンチセンス201nb 3PS;(CG−8):修飾されたBFPセンス201nb 3PS;(CG−9):最初の5’RNA塩基上のBFPアンチセンス201nb 2’−O−Me修飾;(CG−10):最初の5’RNA塩基上のBFPアンチセンス201nb 2’−O−Me修飾。 図18aは、送達後72時間目にTALENプラスミド(BT−1)で処置されたアラビドプシス・プロトプラスト中のディープシークエンシングにより決定されたサイズに基づくインデルの分布を示す。インデルは、全ての読み出しの0.51%に相当する。図18bは、プラスミド(BC−1)およびGRON(CG−7)の送達後48時間目のフローサイトメトリーにより測定されたBFPからGFPへの遺伝子編集を示す。図18cは、送達後7日目にEPSPS遺伝子を標的とするTALEN(LuET−1)で処置されたL.ウシタチッシマム・プロトプラスト中のbp長に基づくインデルの代表的な分布を示す。インデルの総頻度は、0.50%である。図18dは、プロトプラスト中へのプラスミド(LuET−1)およびGRON(CG−11)の送達後7日目にディープシークエンシングにより測定されたL.ウシタチッシマムEPSPS遺伝子編集を示す。全ての読み出しに対する割合%は、T97IおよびP101A編集の両方を含む読取の数を、全ての読み出しに対する割合%として表す。エラーバーは、S.E.M.(n=3)である。(CG−7):修飾されたBFPセンス201nb 3PS;(CG−11):修飾されたEPSPSセンス144nb Cy3; トランスジェニックA.サリアナ・プロトプラストにおけるBFPからGFPへの編集に及ぼす、抗生物質ゼオシンおよびフレオマイシンを誘導する二本鎖切断の影響を示す。プロトプラストは、GRON(CG2)のPEG導入前90分間に、ゼオシンまたはフレオマイシンで処置された。編集の成功により、GFP蛍光が得られた。緑色蛍光プロトプラストを、Attune Acoustic Focusing Cytometerを利用して定量した。 図20は、BFPからGFPへの変換を標的とするBFPトランスジェニックプロトプラストへのGRON送達後5日目の変換されたBFPトランスジェニックA.サリアナ細胞を示す。緑色蛍光は、BFP−GFP編集の指標である。A.明視野画像;B.青色光での同じ視野。エラーバーは、S.E.M.(n=4)である。(CG2):修飾されたBFPアンチセンス41nb 3PS;(CG12):修飾された非標的のBFPアンチセンス41nb 3PS;画像は、ImageXpress Microシステム(Molecular Devices、米国カリフォルニア州サニーベール所在)で取得した。スケールバー=20μm。 図21aは、CRISPR−Casプラスミドの略図を示す。マンノピンシンターゼ(Mas)プロモーターは、高級植物に最適化されたコドンであるCas9遺伝子の転写を駆動している。このCas9遺伝子は、遺伝子の末端および2X FLAGエピトープタグのいずれかに2つのSV40核局在化シグナル(NLS)を含む。A.サリアナ U6プロモーターは、gRNAスカフォールドの転写を駆動しており、転写は、ポリ(T)シグナルを利用して終結している。図21bは、TALENプラスミドの略図である。Masプロモーターは、2Aリボソームスキッピング配列と互いに連結された右および左のテールアーム(tale arm)の転写を駆動している。Fok1エンドヌクレアーゼが、各テールアームの3’末端に連結されている。左テールの5’末端は、核局在化シグナル(NLS)およびV5エピトープタグを含む。rbcTは、ピサム・サチバムRBCSE9遺伝子ターミネーターである。 図22aは、CRISPR−Casプロトスペーサー、BC−1、BC−2およびBC−3、ならびにTALEN BT−1、左および右テールアームのためのBFP遺伝子標的領域を示す。PAM配列が、赤色で示されている。TALEN結合部位は、太字であり下線が付されている。BFPからGFPへの編集CAC→TAC(H66Y)の部位は、太字の緑色である。図22bは、TALEN、LuET−1、左および右テールアームのためのEPSPS遺伝子標的領域を示す。EPSPS変換の部位ACA>ATAおよびCCG>GCG(T97IおよびP101A)が、緑色である。 アロペキュラス・ミオスロイデス(ノスズメノテッポウ)ACCase遺伝子産物のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)を示す。 大腸菌EPSPS遺伝子産物のアミノ酸配列(SEQ ID NO:2)を示す。 例示的な類似EPSPS位置を示す。 アロペキュラス・ミオスロイデス・プラスチド型ACCase cDNA配列を示す。 アロペキュラス・ミオスロイデス・プラスチド型ACCaseアミノ酸配列を示す。 オリザ・サティバ・プラスチド型ACCase cDNA配列を示す。 オリザ・サティバ・プラスチド型ACCaseアミノ酸配列を示す。 オリザ・サティバ・プラスチド型ACCase ゲノムDNA配列を示す。 オリザ・サティバ・プラスチド型ACCaseタンパク質配列を示す。 オリザ・サティバACCaseタンパク質配列を示す。 CRISPR−Casプラスミド、BFP_sgRNA−1の図解を示す。マンノピンシンターゼ(Mas)プロモーターは、N−およびC−末端の2つのSV40核局在化シグナル(NLS)と、N−末端の3X FLAGエピトープタグと、を含む植物コドン最適化Cas9遺伝子の転写を駆動する。AtU6−26プロモーターは、ポリ(T)で終結されたgRNAスカフォールドの転写を駆動する。 BFPトランスジーンの遺伝子座H66を標的とするために用いられるアプローチを表した図解を示す。BFP_sgRNA−1プロトスペーサー:黒色線;PAM:赤色線。編集されたヌクレオチド変化(C>T)は、それぞれ青色および緑色のフォントで示されたBFP蛍光からGFP蛍光への変換をもたらした。赤色フォントのヌクレオチドは、サイレント突然変異である。 ディープシークエンシング(n=1)により決定されたサイズに基づくインデルの分布を示す。 BFP_sgRNA−1のためのオフターゲット解析を示す。小文字の赤色フォントであるディープシークエンシング(n=1)により決定されたインデルは、ティール色のフォントであるBFP_sgRNA−1標的配列PAMへのミスマッチである。 フローサイトメトリーにより分析されたBFP_sgRNA−1およびBFP/41 GRONによるBFPからGFPへの編集を示す。R2ゲートは、GFP(+)事象と見なし、エラーバーは、平均±S.E.M.である(n=5)。 フローサイトメトリーにより分析されたBFPからGFPの精密遺伝子編集(precision gene editing)における3PS修飾(BFP/41/3PS)および非修飾(BFP/41)GRONの比較を示す。R2ゲートは、GFP(+)事象と見なし、エラーバーは、平均±S.E.M.である(n=5)。 フローサイトメトリーにより分析されたBFPからGFPへの精密遺伝子編集における3PS修飾を用いた、および用いない、2つのGRON長、41nbおよび101nbの比較を示し、エラーバーは、平均±S.E.M.である(n=3)。 この試験で用いられたCRISPR−Cas9プラスミドEPSPS_sgRNA−2の図解を示す(詳細は図1に記載)。 遺伝子編集のワークフローにおける組織ステージを示す:1−アマのプロトプラストでバーは10μm;2〜3週目のマイクロコロニーでバーは50μm;3〜7週目のミコカルス(micocalli)でバーは100μm;4−カルスからの発芽でバーは0.5c;5−再生された芽でバーは0.5cm;6−土壌中で再生された植物。 再生植物Y23およびZ15中で編集されたEPSPS対立遺伝子の配列確認を示す。囲まれた領域は、遺伝子特異的単一ヌクレオチド多形(SNP)およびACA>ATA;CCG>GCG編集を示す。クロマトグラムは、各芽からの複数のgDNA抽出の代表例である。 アマのカルスおよび再生植物への除草剤耐性を示す。(a)アマ野生型(wt)カルスと、EPSPS遺伝子中にT97IおよびP101A編集を含むカルスY23を、6ウェルプレート中のグリホサート含有培地で培養した。画像は、処置開始の6日後に取得した。(b)14日後にグリホサートで処置されたwtおよびY23カルスの平均新鮮重±S.E.M.(n=3)。(c)温室で強化されたwtおよびY23全植物を、スプレー塗布のみにより10.5または21.0mMグリホサートまたは界面活性剤で処置した。画像は、グリホサート塗布の6日後に取得した。この実験を複数回繰り返し、類似の結果が得られた。バー=2cm アラビドプシスにおけるBFPからGFPへの変換に適用されたRTDS技術を示す。(a)RTDS技術の代表例。(b)RTDSによる本発明者らのBFPトランスジェニック株におけるBFPからGFPへの変換を表す略図。遺伝子座H66(CAC)からY66(TAC)への変換により、トランスジーンの蛍光特性が青色から緑色へ変化する。 アラビドプシスにおけるRTDSが媒介したBFPからBFPへの変換に及ぼすフレオマイシンの前処置の影響を示す。(a)プロトプラストを、0、250または1000μg/mLフレオマイシンで90分間前処置し、その後、GRON BFP/41またはBFP/41/NTのいずれかを用いてRTDSに供した。エラーバーは、平均±S.E.M.である(n=4)。(b)GRON送達の5日後の変換されたA.サリアナ細胞。緑色蛍光は、BFPからGFPへの編集の指標である。A.明視野画像;B.青色光での同じ視野。画像は、ImageXpress Microシステム(Molecular Devices、米国カリフォルニア州サニーベール所在)で取得した。スケールバー=20μm。 BT−1 TALENの設計および標的領域を示す。(a)BT−1 TALENプラスミド。MAS− マンノピンシンターゼプロモータ;V5− V5エピトープタグ;NLS− SV40核局在化シグナル;Fok1エンドヌクレアーゼは、各テールアームの3’末端に連結されている;rbcT ピサム・サチバムRBCSE9遺伝子ターミネーター。(b)BFP遺伝子上のBT−1 TALEN標的部位を表す略図。(c)BT−1 TALENの設計および標的の図解。マンノピンシンターゼ(MAS)プロモーターは、TALEN単量体の発現を駆動する。rbcT(ピサム・サチバム)RBCSE9は、遺伝子ターミネーターとして働く。V5エピトープタグおよびSV40核局在化シグナル(NLS)は、N末端に存在する。BFP標的領域の略図。BT−1テール左および右結合ドメインに、下線が付されている。BFPからGFPへの変換(C>T)の部位は、青色になっている。BT−1活性は、NHEJにより、またはssODNを通して修復されて、それぞれ欠失および挿入、またはBFPからGFPへの精密編集を得ることができるDSBを生成する。赤色の塩基は、変換後にBT−1活性を防止するために用いられたサイレント置換である。 図34は、CRISPR/Cas9構築物の設計および標的領域の図解を示す。A.マンノピンシンターゼ(Mas)プロモーターは、N−およびC−末端の2つのSV40核局在化シグナル(NLS)と、N−末端の3X FLAGエピトープタグと、を含む植物コドン最適化Cas9遺伝子の転写を駆動する。rbcT(ピサム・サチバム)RBCSE9は、遺伝子ターミネーターとして働く。AtU6−26プロモーターは、ポリ(T)で終結されたgRNA足場の転写を駆動する。B.BC−1 CRISPR/Cas9を用いてBFPトランスジーンを標的とするために用いられたアプローチ。プロトスペーサーは、黒色の線として示され、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)は、赤色の線として示される。BFPからGFPへの変換をもたらす編集されたヌクレオチド変化(C>T)は、それぞれ青色および緑色フォントとして示される。赤色ヌクレオチドは、変換されたGFPトランスジーン上のBC−1活性を阻止するために用いられたサイレント突然変異である。 アラビドプシス・プロトプラスト中のBC−1 CRISPR/Cas9活性を示す。A.非精密NHEJは、アンプリコンディープサイレンシング(n=1)により決定された通りBC−1で処置されたプロトプラスト中の事象を修復する。B.非精密NHEJ事象の割合%により決定された、アラビドプシス・プロトプラスト中のCRISPR/Cas9 BC−1と対比させたTALEN BT−1の活性。C.BC−1 CRISPR/Cas9のためのオフターゲット分析。BC−1標的配列と相同性の5つの遺伝子座での非精密NHEJ事象を、アンプリコンディープシークエンシングにより測定した(n=1)。小文字の赤色フォントの塩基は、BC−1標的配列へのミスマッチである。D.ssODNは、BC−1で処置されたアラビドプシス・プロトプラスト中でのBFPからGFPへの編集を増進する。プロトプラストを、CRISPR/Cas9を用いて、および用いずにBFP/41もしくはBFP/101で、またはBC−1 CRISPR/Cas9のみで処置した。BFPからGFPへの編集は、送達の72h後にフローサイトメトリーにより測定した。データは、平均±S.E.M.(n=5)を表す。 アラビドプシス・プロトプラスト中のBT−1 TALEN活性を示す。(a)ディープシークエンシングにより測定された72時間のBT−1 TALENで処置されたアラビドプシス・プロトプラスト中の修復事象の分布。(b)bp長に関する合計欠失および挿入修復事象の割合%。(c)20bp長以下の合計欠失の割合%。(d)20bp長以下の合計挿入の割合%。エラーバーは、平均±S.E.M.である(n=4)。 アラビドプシス・プロトプラスト中でBFPをGFPに編集するためのBT−1 TALENと組み合わせたRTDSを示す。(a)RTDSによるBFPからGFPへの編集のためのBFP標的領域の略図。遺伝子座H66(青色フォント;CAC)からY66(緑色フォント;TAC)への変換により、トランスジーンの蛍光特性が青色から緑色へ変化する。赤色の塩基は、改良されたGFPトランスジーン上のBT−1 TALEN活性を阻止するために用いられたサイレント突然変異である。(b)導入の72時間後のBT−1 TALENと、BFP/41、BFP/101またはBFP/201 GRONのいずれかと、で処置されたアラビドプシス・プロトプラストにおける細胞数測定(cytomety)により決定されたBFPからGFPへの変換頻度。GFPゲートは、GFP(+)事象と見なし、エラーバーは、平均±S.E.M.である(n=3)。 アマ中のEPSPS遺伝子座を編集するためのLuET−1 TALENと組み合わせたRTDSを示す。(a)LuET−1 TALENプラスミドの設計。MAS− マンノピンシンターゼプロモータ;V5− V5エピトープタグ;NLS− SV40核局在化シグナル;Fok1エンドヌクレアーゼは、各テールアームの3’末端に連結されている;rbcT− ピサム・サチバムRBCSE9遺伝子ターミネーター。(b)2つのアマEPSPS遺伝子座の保存された配列上のLuET−1 TALEN標的部位を表す略図。遺伝子座T97(青色フォント;ACA)からI97(赤色フォント;ATA)への変換、およびP101(青色フォント;CCG)からA101(赤色フォント;GCG)への変換が、グリホサート耐性を付与する。(c)導入の6、24および48時間後のアマプロトプラストにおけるLuET−1 TALEN一過性発現のウエスタンブロット分析。ロード対照として用いられた可逆的染色。抗体は、V5エピトープに対するものであった。 アマプロトプラストにおけるLuET−1 TALEN活性を示す。(a)ディープシークエンシングにより測定された7日後のLuET−1 TALENで処置されたアマ・マイクロコロニーにおける修復事象の分布。(b)bp長に関する合計欠失および挿入修復事象の割合%。(c)20bp長以下の合計欠失の割合%。(d)20bp長以下の合計挿入の割合%。(n=1)。 ディープシークエンシング分析のためのアンプリコンを作製するために用いられたTALEN標的領域を表す図式(iagram)を示す。(a)BFPトランスジーン上のBT−1標的領域。BFPF−1およびBFPR−1プライマーが、BT−1 TALEN結合領域に隣接する206bp長の領域を増幅する。(b)LuET−1標的領域。LuEPF−1およびLuEPR−1は、EPSPS遺伝子1および2における保存された領域から増幅して、194bp長のTALEN結合領域に隣接するアンプリコンを生成する。アンプリコン内のSNPは、遺伝子1および2特異性を提供する。
詳細な記載
オリゴヌクレオチドに媒介された標的遺伝子異修飾は、欠失、短い挿入および点突然変異を作製するためにDNAの短い伸長の特異的改変に使用される貴重な技術である。これらの方法は、DNA対合/アニーリングと、その後のDNA修復/組換え事象を含む。最初、核酸が、細胞内タンパク質因子により媒介された工程で、二本鎖DNA中の相補鎖と共にアニーリングする。このアニーリングは、中心に配置されたミスマッチ塩基対(点突然変異の場合)を作製して、内在性タンパク質機構を刺激する可能性が最も高い構造摂動をもたらし、修復工程の第二のステップ:染色体配列の、および/またはオルガネラ(例えば、ミトコンドリアおよびクロロプラスト)内で、部位特異的な修復を開始する。この新たに導入されたミスマッチが、DNA修復機構を誘導して、第二の修復事象を実施し、標的部位の最終修正に導く。本明細書に開示された様々な態様および実施形態における本発明の方法および組成物は、DNA修復要素の利用可能性を増大する新規なアプローチを提供し、これにより標的核酸への遺伝子修復介在性修飾の効率および再現性を増大させることにより、該方法を改善し得る。
部位特異的なゲノム修飾のための効率的方法は、研究、臨床遺伝子療法、工業的微生物学、および農業に望ましい。1つのアプローチは、配列特異的手法でデュプレックスDNAに第三の鎖として結合するトリプレックス形成オリゴヌクレオチド(TFO)を利用して、特異的な突然変異誘発を媒介する。そのようなTFOは、ソラレンもしくはクロラムブシルなどのつながれた突然変異源を送達すること(Havre et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.90:7879−7883,1993;Havre et al.,J Virol 67:7323−7331,1993;Wang et al.,Mol Cell Biol 15:1759−1768,1995;Takasugi et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.88:5602−5606,1991;Belousov et al.,Nucleic Acids Res 25:3440−3444,1997)により、またはエラーを起こしやすい修復を先導するのに充分な親和性で結合すること(Wang et al.,Science 271:802−805,1996)により、作用し得る。
ゲノム修飾のための別の方策は、外因性DNAフラグメントと標的遺伝子の間の相同組換えの誘導を含む。このアプローチは、哺乳動物細胞内で選択された遺伝子を標的化および破壊するための使用に成功しており、特異的遺伝子ノックアウトを担うトランスジーンマウスの産生を可能にした(Capeechi et al.,Science 244:1288−1292,1989;Wagner、米国特許第4,873,191号)。このアプローチは、所望の組換え体の単離を可能にする選択可能なマーカの転位を含む。選択しなければ、典型的な遺伝子転位実験におけるトランスフェクトされたDNAの相同的組み込みと非相同的組み込みの比率は低く、通常は1:1000以下の範囲内である(Sedivy et al.,Gene Targeting,W.H.Freeman and Co.,New York,1992)。相同的組み込みのこの低い効率は、実験使用または遺伝子療法のための遺伝子転位の有用性を限定する。相同組換えの頻度は、UV照射および選択された発癌物質による標的部位への損傷により(Wang et al.,Mol Cell Biol 8:196−202,1988)、そして部位特異性エンドヌクレアーゼにより(Sedivy et al,Gene Targeting,W.H.Freeman and Co.,New York,1992;Rouet et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.91:6064−6068,1994;Segal et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.92:806−810,1995)増強され得る。加えて、トリプレックス指向性ソラレン光付加体により誘導されたDNA損傷が、染色体外ベクター内、および染色体外ベクター間の組換えを刺激し得る(Segal et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.92:806−810,1995;Faruqi et al.,Mol Cell Biol 16:6820−6828,1996;Glazer,米国特許第5,962,426号)。
直鎖状のドナーフラグメントは、円形の対応物よりも組換え誘導性である(Folger et al.,Mol Cell Biol 2:1372−1387,1982)。組換えは、特定の実施形態において、ドナーおよび標的部位の両方の間の非断続的な相同性の長さにより影響を受けることができ、短いフラグメントは多くの場合、無効な組換え基質になるようである(Rubnitz et al.,Mol Cell Biol 4:2253−2258,1984)。それにもかかわらず、遺伝子修正のためのDNAまたはDNA/RNAハイブリッドの短いフラグメントの使用が、様々な方策の中心になっている(Kunzelmann et al.,Gene Ther 3:859−867,1996)。
本明細書で用いられる「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド配列」は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびそれらのフラグメントまたな一部を指し、一本鎖または二本鎖であり得、センスまたはアンチセンス鎖を表し得る、ゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAを指す。
本明細書で用いられる用語「オリゴヌクレオチド」および「オリゴマー」は、少なくとも10ヌクレオベース、および約1000もの多量のヌクレオベースのポリマーを指す。
本明細書で用いられる用語「DNA修飾分子」および「DNA修飾試薬」は、細胞のゲノム内の核酸配列を認識してそれに特異的に結合することが可能であり、ゲノム内の標的ヌクレオチド配列を修飾することが可能である分子を指し、該DNA修飾分子の認識および核酸配列への特異的結合は、タンパク質非依存性である。DNA修飾分子に関連して本明細書で用いられる用語「タンパク質非依存性」は、DNA修飾分子が、核酸配列の認識および/または核酸配列への特異的結合のために、タンパク質および/または酵素の存在および/または活性を必要としないことを意味する。DNA修飾分子は、例示されており、トリプレックス形成オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、ポリアミド、および遺伝子変換を促進することを意図されたオリゴヌクレオチドに限定されない。本開示のDNA修飾分子は、特定の実施形態において、相同組換えに用いられる先行技術の核酸配列がタンパク質依存性であるという点で、相同組換えに用いられる先行技術の核酸配列と識別される(Wong & Capecchi,Molec.Cell.Biol.7:2294−2295,1987)。本明細書で分子に関連して用いられる用語「タンパク質依存性」は、DNA修飾分子が、核酸配列の認識および/または核酸配列への該分子の特異的結合のために、該分子がタンパク質および/または酵素の存在および/または活性を必要とすることを意味する。DNA修飾分子が、核酸配列の認識および/または核酸配列への特異的結合のために、タンパク質および/または酵素の存在および/または活性を必要とするか否かを決定する方法は、当該技術分野の技能に含まれる(例えば、Dennis et al.Nucl.Acids Res.27:4734−4742,1999参照)。例えば、該DNA修飾分子は、任意のタンパク質および/または酵素の非存在下で核酸配列と共にインビトロでインキュベートされ得る。該DNA修飾分子と該核酸配列の間の特異的結合の検出により、該DNA修飾分子がタンパク質非依存性であることが実証される。その一方で、該DNA修飾分子と該核酸配列の間の特異的結合に非存在により、DNA修飾分子がタンパク質依存性であること、および/またはさらなる因子を必要とすることが実証される。
「トリプレックス形成オリゴヌクレオチド」(TFO)は、デュプレックスDNAまたはRNAらせんの主溝(major grove)の中で結合して三重らせんを形成することが可能なDNAまたはRNAの配列と定義される。TFOは、任意の特定の長さに限定されないが、TFOの好ましい長さは、250ヌクレオチド以下、200ヌクレオチド以下、または100ヌクレオチド以下、または5〜50ヌクレオチド、または10〜25ヌクレオチド、または15〜25ヌクレオチドである。TFOとデュプレックスDNAの間の一定度合いの配列特異性が、三重らせんの形成に必要であるが、三重らせんが形成可能である限り、特定の度合いの特異性は必要でない。同様に、三重らせんが形成可能である限り、TFOとデュプレックスらせんの間に、特定の度合いの結合能または親和性は必要でない。TFOが特異的に結合するヌクレオチド配列の長さを限定する意図はないが、一実施形態において、TFOが特異的に結合するヌクレオチド配列は、1〜100、幾つかの実施形態において5〜50、別の実施形態において10〜25、別の実施形態において15〜25ヌクレオチドである。加えて、「三重らせん」は、二重らせん核酸内の標的配列に結合されたオリゴヌクレオチドを有する該二重らせん核酸と定義される。「二重らせん」核酸は、二本鎖DNA、二本鎖RNAおよびDNAとRNAの混合型デュプレックスを含む任意の二本鎖核酸であり得る。該二本鎖核酸は、任意の特定の長さに限定されない。しかし、好ましい実施形態において、それは、500bpを超える、幾つかの実施形態において1kbを超える、幾つかの実施形態において約5kbを超える長さを有する。多くの適用において、該二重らせん核酸は、細胞内ゲノム核酸である。該トリプレックス形成オリゴヌクレオチドは、平行的または非平行的方式で標的配列に結合し得る。
「ペプチド核酸」、「ポリアミド」または「PNA」は、リン酸骨格がN−アミノエチルグリシンに基づくポリアミド構造で置き換えられた核酸である。PNAは、ワトソン・クリック塩基対合則に従って天然の対応物よりも高い、相補的核酸への親和性を有する。PNAは、以下の化学量論:(PNA)2.DNAで、DNAと高度に安定した三重らせん構造を形成し得る。ペプチド核酸およびポリアミドは、任意の特定の長さに限定されないが、ペプチド核酸およびポリアミドの好ましい長さは、200ヌクレオチド以下、幾つかの実施形態において100ヌクレオチド以下、幾つかの実施形態において5〜50ヌクレオチド長である。ペプチド核酸およびポリアミドが特異的に結合するヌクレオチド配列の長さを限定する意図はないが、幾つかの実施形態において、ペプチド核酸およびポリアミドが特異的に結合するヌクレオチド配列は、1〜100、幾つかの実施形態において5〜50、さらに別の実施形態において5〜25、別の実施形態において5〜20ヌクレオチドである。
用語「細胞」は、単一細胞を指す。用語「細胞(複数)」は、細胞集団を指す。該集団は、1つの細胞型を含む純粋な集団であり得る。同様に該集団は、1つよりも多い細胞型を含み得る。本開示において、細胞集団が含み得る細胞型の数に限定はない。本明細書で用いられる細胞としては、植物カルス細胞、細胞壁を有する細胞、細胞壁を有さない細胞、原核細胞、および真核細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
細胞の試料を指す場合の用語「同調する」もしくは「同調された」、または「同調された細胞」もしくは「同調された細胞集団」は、細胞集団を細胞周期の同じ期間に入らせるように処置された複数の細胞を指す。試料中の細胞の全てが同調される必要はない。少しの割合の細胞が、試料中の細胞の大部分と同調していない場合がある。同調される細胞の好ましい範囲は、10〜100%の間である。より好ましい範囲は、30〜100%の間である。同じく、細胞が単一細胞型の純粋な集団である必要はない。1種よりも多くの細胞型が、試料に含まれる場合がある。これに関連して、1つの細胞型のみが、同調されてもよく、または試料中の別の細胞型に比較して、細胞周期の異なる期間にあってもよい。
単一細胞を参照した時の用語「同調された細胞」は、細胞が操作前の細胞の細胞周期期間と異なる細胞周期期間にあるように操作されていることを意味する。あるいは「同調された細胞」は、対照細胞(例えば、操作を行っていない細胞)に比較して、細胞が操作前であった細胞周期の持続時間を改変する(即ち、増加または減少させる)ように操作された細胞を指す。
用語「細胞周期」は、細胞が分裂している(即ち、増殖している)時に受ける生理学的および形態学的な変化の進行を指す。細胞周期は一般に、「間期」、「前期」、「中期」、「後期」、および「終期」と称される期間で構成されると認識されている。加えて、細胞周期の一部は、「M(有糸分裂)」、「S(合成)」、「G0」、「G1(ギャップ1)」および「G2(ギャップ2)」と称され得る。さらに細胞周期は、先の名称の期間の中間である進行時期を含む。
用語「細胞周期阻害」は、細胞または細胞集団における細胞周期進行の中断を指す。細胞周期阻害は通常、細胞生理学の態様と干渉して細胞周期の連続を妨害する物質(化学物質、タンパク質性物質、その他)に細胞を暴露することにより誘導される。
「増殖」または「細胞成長」は、2個の娘細胞に繰返し分裂し、それにより集団において細胞の全体的増加をもたらす親細胞の能力を指す。細胞集団は、生物体内または細胞装置内にあり得る。
用語「DNAを修飾することが可能」または「DNA修飾手段」は、DNAの標的セグメントのヌクレオチド配列への変化を誘導する能力を有する、または該変化の誘導を補助し得る、手順、ならびに内在性または外因性の物質または試薬を指す。そのような変化は、標的DNAセグメント上の1つまたは複数の塩基の欠失、付加または置換により行われ得る。DNA配列の変化が、標的配列によりコードされた任意の遺伝子に機能的変化を付与する必要はない。さらに、DNAへの変化が、細胞の任意の特定部分または割合に行われる必要はない。
用語「該当するヌクレオチド配列」は、操作が任意の理由で当業者に望ましいと思われ得る、任意のヌクレオチド配列を指す。そのようなヌクレオチド配列としては、構造遺伝子(例えば、レポータ遺伝子、選択マーカ遺伝子、発癌遺伝子、薬物耐性遺伝子、増殖因子など)のコード配列、mRNAまたはタンパク質生成物をコードしない非コード調節配列(例えば、プロモーター配列、エンハンサ配列、ポリアデニル化配列、集結配列、miRNAなどの調節RNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
「アミノ酸配列」、「ポリペプチド配列」、「ペプチド配列」および「ペプチド」は、アミノ酸の配列を指すために本明細書で互換的に用いられる。
本明細書で用いられる「標的配列」は、8ヌクレオチド長よりも大きく201ヌクレオチド長よりも小さい配列を含む二重らせん核酸を指す。幾つかの実施形態において、該標的配列は、8〜30塩基の間である。該標的配列は一般に、二重らせん核酸上の鎖の1つのヌクレオチド配列により定義される。
本明細書で用いられる、二重らせん核酸配列の鎖の1つのヌクレオチド配列に関連づけられた場合の「プリンリッチ配列」または「ポリプリン配列」は、標的配列のヌクレオチドの50%より多くがプリン塩基を含む、該ヌクレオチドの連続配列と定義される。しかし、プリンリッチ標的配列が60%より多くのプリンヌクレオチド、幾つかの実施形態において75%より多くのプリンヌクレオチド、別の実施形態において90%より多くのプリンヌクレオチド、さらに別の実施形態において100%のプリンヌクレオチドを含むことが、好ましい。
本明細書で用いられる、二重らせん核酸配列の鎖の1つのヌクレオチド配列に関連づけられた場合の「ピリミジンリッチ配列」または「ポリピリミジン配列」は、標的配列のヌクレオチドの60%より多くがピリミジン塩基を含む、該ヌクレオチドの連続配列と定義される。しかし、ピリミジンリッチ標的配列が、60%より多くのピリミジンヌクレオチド、幾つかの実施形態において75%より多くのプリンヌクレオチドを含むことが、好ましい。幾つかの実施形態において、該配列は、90%より多くのピリミジンヌクレオチドを含み、別の実施形態において100%のプリンヌクレオチドである。
第一のヌクレオチド配列の「バリアント」は、第一のヌクレオチド配列とは異なる(例えば、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて、またはDNAシークエンシングを用いて検出され得る1つまたは複数の欠失、挿入、または置換を有することによる)ヌクレオチド配列と定義される。この定義に含まれるのは、第一のヌクレオチド配列のゲノム配列への改変または修飾の検出である。例えばハイブリダイゼーションアッセイは、(1)ゲノムに含まれる場合の第一のヌクレオチド配列へのハイブリダイゼーションを可能にする制限酵素フラグメントのパターンの改変(即ち、RFLP分析)、(2)第一のヌクレオチド配列の選択された部分が、第一のヌクレオチド配列を含むゲノムDNAの試料にハイブリダイズする能力がないこと(例えば、対立遺伝子特異性オリゴヌクレオチドプローブを用いる)、(3)第一のヌクレオチド配列のための通常の染色体遺伝子座以外の遺伝子座へのハイブリダイゼーションなど、不適当な、または予想外のハイブリダイゼーション(例えば、中期染色体スプレッドなどへの蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を用いる)、を検出するために用いられ得る。バリアントの一例は、突然変異した野生型配列である。
本明細書で用いられる用語「核酸」および「非修飾核酸」は、公知の4種のデオキシリボ核酸塩基(即ち、グアニン、アデニン、シトシン、およびチミン)のうちの任意の1つを指す。用語「修飾された核酸」は、非修飾核酸の構造に比較して構造が改変された核酸を指す。そのような修飾の例示は、アミノ窒素および環窒素のアルキル化、ならびに二重結合の飽和など、塩基の置換共有結合修飾(replacement covalent modifications)である。
本明細書で用いられる、核酸配列に関連して用いられる場合の用語「突然変異」および「修飾」およびそれらの文法的均等物は、付加体の欠失、挿入、置換、鎖切断、および/または導入を指すために互換的に用いられる。「欠失」は、1つまたは複数のヌクレオチドが存在しない、核酸配列の変化と定義される。「挿入」または「付加」は、1つまたは複数のヌクレオチドの付加をもたらした核酸配列の変化である。「置換」は、交換された1つまたは複数のヌクレオチドと異なる分子である分子による1つまたは複数のヌクレオチドの交換から得られる。例えば、シトシン、アデニン、グアニン、またはウリジンによるチミンの交換により例示される通り、核酸は、異なる核酸により交換され得る。ピリミジンからピリミジンへ(例えば、CからT、またはTからCへのヌクレオチド置換)またはプリンからプリンへ(例えば、GからA、またはAからGへのヌクレオチド置換)は、転位と称されるが、ピリミジンからプリンへ、またはプリンからピリミジンへ(例えば、GからT、またはGからC、またはAからT、またはAからC)は、転換と称される。あるいはチミジングリコールによるチミジンの交換により例示される通り、核酸は、修飾された核酸により交換され得る。突然変異は、ミスマッチを生じ得る。用語「ミスマッチ」は、各核酸が異なるポリ核酸配列上に存在し、塩基対合則に従わない、2つの核酸の間の非共有結合性相互作用を指す。例えば一部が相補的な配列5’−AGT−3’および5’−AAT−3’の場合、G−Aミスマッチ(転位)が、存在する。用語「付加体の導入」または「付加体形成」は、連結によりDNA複製および/または転写のレベルの低下(幾つかの実施形態において10%〜100%、別の実施形態において50%〜100%、幾つかの実施形態において75%〜100%)が得られるように、DNA配列中の1つまたは複数のヌクレオチドへの分子の共有結合性または非共有結合性の連結を指す。
用語「DNAカッター」は、鎖切断を実行する部分を指す。非限定的例としては、メガヌクレアーゼ、TALE/TALEN、抗生物質、亜鉛フィンガーおよびCRISPRまたはCRISPR/cas系が挙げられる。
二本鎖核酸配列に関連づけられた場合の用語「鎖切断」は、一本鎖切断および/または二本鎖切断を包含する。一本鎖切断(ニック)は、二本鎖核酸配列の2つの鎖の一方の中断を指す。これは、平滑末端または付着末端をもたらし得る、二本鎖核酸配列の両方の鎖の中断を指す二本鎖切断とは対照的である。鎖切断は、直接的(例えば、電離放射線照射または特定の化学物質での処置による)または間接的(例えば、核酸塩基での酵素性切除による)のいずれかで二本鎖核酸配列に導入され得る。
用語「突然変異細胞」および「修飾細胞」は、細胞のゲノム配列に少なくとも1つの修飾を含む細胞を指す。
ヌクレオチド配列に関連して用いられる場合の用語「部分」は、そのヌクレオチド配列のフラグメントを指す。該フラグメントは、5つのヌクレオチド残基から(全ヌクレオチド配列−1核酸残基)までのサイズの範囲内であり得る。
1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸がホスホジエステル結合を介して一方向に隣接する3’酸素に付着するような手法で、モノヌクレオチドが反応してオリゴヌクレオチドを生成するため、DNA分子は、「5’末端」および「3’末端」を有すると言われる。それゆえ、5’リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に連結しない場合には、オリゴヌクレオチドの末端は、「5’末端」と称される。3’酸素が別のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸に連結しない場合には、オリゴヌクレオチドの末端は、「3’末端」と称される。本明細書で用いられる核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドの内部にあったとしても、5’および3’末端を有すると言うこともできる。直鎖状または環状DNA分子において、分離したエレメントは、「上流」または下流の5’側または3’エレメントであると称される。この用語法は、転写がDNA鎖に沿って5’から3’方向に進行することを反映している。連結された遺伝子の転写を指向するプロモーターおよびエンハンサエレメントは一般に、コード領域の5’側または上流に位置する。しかし、エンハンサエレメントは、プロモーラエレメントおよびコード領域の3’側に位置する場合でも、影響を発揮し得る。転写終結およびポリアデニル化シグナルは、コード領域の3’側または下流に位置する。
本明細書で用いられる用語「組換えDNA分子」は、分子生物学の技術を用いて互いに接合されたDNAのセグメントで構成されたDNA分子を指す。
本明細書で用いられる用語「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、組換えDNA分子を用いて発現されるタンパク質分子を指す。
本明細書で用いられる用語「ベクター」および「ビヒクル」は、DNAセグメント(複数可)を1つの細胞から別の細胞へ転位させる核酸分子に関連して互換的に用いられる。
本明細書で用いられる用語「動作可能な組み合わせ」、「動作可能な順序」および「動作可能に連結された」は、所与の遺伝子の転写および/または所望のタンパク質分子の合成を指導することが可能な核酸分子が生成されるような手法での核酸配列の連結を指す。この用語はまた、機能的タンパク質が生成されるような手法でのアミノ酸配列の連結を指す。
本明細書で用いられる用語「トランスフェクション」は、細胞への外来DNAの導入を指す。トランスフェクションは、リン酸カルシウム−DNA共沈、DEAEデキストラン介在性トランスフェクション、ポリブレン介在性トランスフェクション、電気穿孔、マイクロインジェクション、リポソーム融合、リポフェクチン、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染、バイオリスティック(即ち、粒子衝撃)などの当該技術分野で知られる種々の手段により遂行され得る。
本明細書で用いられる用語「相補的な」または「相補性」は、塩基対合則により関連する「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」(ヌクレオチドの配列を参照する互換的な用語である)を照会して用いられる。例えば配列「5’−CAGT−3’」は、配列「5’−ACTG−3’」と相補的である。相補性は、「部分的」または「全体的」であり得る。「部分的」相補性は、1つまたは複数の核酸塩基が塩基対合則に従ってマッチされない場合である。核酸の間の「全体的」または「完全な」相補性は、塩基対合則の下であらゆる核酸塩基が別の塩基とマッチする場合である。核酸鎖の間の相補性の度合いは、核酸鎖の間のハイブリダイゼーションの効率および強度への有意な影響を有し得る。これは、増幅反応、および核酸間の結合に依存する検出方法では特に重要になり得る。簡便にするために、用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオシドを含む分子を包含する。
ヌクレオチド配列に関連して本明細書で用いられる用語「相同性」および「相同性のある」は、他のヌクレオチド配列との相補性の度合いを指す。部分的相同性または完全相同性(即ち、同一性)があり得る。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関連して用いられる場合、用語「実質的に相同性のある」は、先に記載された通り低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列のいずれかまたは両方の鎖にハイブリダイズし得る任意の核酸配列(例えば、プローブ)を指す。核酸配列に部分的に相補的である、即ち「実質的に相同性の」ヌクレオチド配列は、完全に相補的な配列が標的核酸配列にハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害するものである。標的配列への、完全に相補的な配列のハイブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイゼーションアッセイ(サザンまたはノーザンブロット、溶液ハイブリダイゼーション(solution hybridization)など)を利用して検査され得る。実質的に相同性の配列またはプローブは、低ストリンジェンシーの条件下で標的配列への完全に相同性の配列の結合(即ち、ハイブリダイゼーション)と拮抗してそれを阻害する。これは、低ストリンジェンシーの条件が非特異的結合を許容するようにする、と言っているのではなく、低ストリンジェンシー条件は、2つの配列の互いへの結合が特異的(即ち、選択的な)相互作用であることを必要とする。非特異的結合が無いことは、相補的な部分的度合いさえも欠如した(例えば、約30%未満の同一性の)第二の標的配列の使用によりテストすることができ、非特異的結合の非存在下では、プローブが第二の非相補的標的にハイブリダイズしないであろう。
低ストリンジェンシー条件は、約100〜約1000ヌクレオチド長のプローブが用いられる場合には、5×SSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaHPO・HOおよび1.85g/l EDTA、NaOHでpH7.4に調整)、0.1% SDS、5×デンハルト試薬(50×デンハルト試薬は500mlあたりにFicoll(タイプ400、Pharmacia)5g、BSA(フラクションV;Sigma)5gを含有)および100μg/ml変性サケ精液DNAからなる溶液中、68℃で結合またはハイブリダイズした後、2.0×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、室温で洗浄するのと同等の条件を含む。
加えて、高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイゼーションを促進する条件(例えば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄ステップの温度を上昇させること、ハイブリダイゼーション溶液中でのホルムアミドの使用など)は、当該技術分野で周知である。核酸ハイブリダイゼーションに関連して用いられる場合の高ストリンジェンシーの条件は、約100〜約1000ヌクレオチド長のプローブが用いられる場合に、5×SSPE、1% SDS、5×デンハルト試薬および100μg/ml変性サケ精液DNAからなる溶液中、68℃で結合またはハイブリダイズした後、0.1×SSPEおよび0.1%SDSを含む溶液中、68℃で洗浄するのと同等の条件を含む。
数多くの同等条件が低ストリンジェンシー条件を含んで利用され得ることは、当該技術分野で周知であり、プローブの長さおよび性質(DNA、RNA、塩基組成)、標的の性質(溶液中に存在する、または固定された、DNA、RNA、塩基組成)、塩および他の成分の濃度(例えば、ホルムアミド、デキストラン硫酸、ポリエチレングリコールの有無)、ならびにハイブリダイゼーション溶液の成分などの因子は、先に列挙された条件と異なるが同等である低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションの条件を作製するために変動させ得る。
該当するハイブリダイゼーション条件に関係するためハイブリダイゼーション条件に関連づけられた場合の用語「同等の」は、ハイブリダイゼーション条件および該当するハイブリダイゼーション条件が、相同性率(%)の同じ範囲を有する核酸配列のハイブリダイゼーションをもたらすことを意味する。例えば、該当するハイブリダイゼーション条件が、第一の核酸配列と、第一の核酸配列への50%〜70%相同性を有する他の核酸配列と、のハイブリダイゼーションをもたらす場合、別のハイブリダイゼーション条件もまた、第一の核酸配列と、該第一の核酸配列への50%〜70%相同性を有する別の核酸配列と、のハイブリダイゼーションをもたらすのであれば、この別のハイブリダイゼーション条件は、該当するハイブリダイゼーション条件と均等であると言われる。
本明細書で用いられる用語「ハイブリダイゼーション」は、核酸の鎖が塩基対合を通して相補鎖と接合してハイブリダイゼーション複合体を形成する任意の工程を利用した、相補的核酸の対合に関連して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(即ち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の度合い、含まれる条件のストリンジェンシー、形成されたハイブリッドのTm、および核酸内のG:C比などの因子による影響を受ける。
本明細書で用いられる用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩基とC塩基の間、および相補的なA塩基とT塩基の間の水素結合の形成により2つの核酸配列の間に形成された複合体を指し、これらの水素結合は、塩基スタッキング相互作用によりさらに安定化され得る。該2つの相補的核酸配列は、逆平行の構成の水素結合である。ハイブリダイゼーション複合体は、溶液中で形成され得るか(例えば、CotまたはRot解析)、または溶液中に存在する1つの核酸と、固体担体(例えば、サザンおよびノーザンブロッティング、ドットブロッティングで用いられるナイロン膜もしくはニトロセルロースフィルター、またはFISH(蛍光インサイチュハイブリダイゼーション)などのインサイチュハイブリダイゼーションで用いられるガラススライド)に固定された別の核酸配列との間に形成され得る。
本明細書で用いられる用語「Tm」は、「融解温度」に関連して用いられる。該融解温度は、二本鎖核酸分子の集団が半分解離されて一本鎖になる温度である。核酸のTmを算出するための等式は、当該技術分野で周知である。標準参照に示される通り、核酸が1M NaClの水溶液中に存在する場合、Tm値の簡単な推定は、等式:Tm=81.5+0.41(%G+C)により算出され得る(例えば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization,in Nucleic Acid Hybridization,1985参照)。他の参照には、Tmの算出のために構造的および配列的特徴を考慮した、より洗練された計算が含まれる。
本明細書で用いられる用語「ストリンジェンシー」は、核酸ハイブリダイゼーションが実施される、温度、イオン強度、および有機溶媒などの他の化合物の存在の条件に関連して用いられる。「ストリンジェンシー」は、典型的には約Tm−5℃(プローブの融解温度の5℃下)からTmの約20℃〜25℃下までの範囲内で起こる。当業者に理解される通り、ストリンジェントハイブリダイゼーションは、同一ポリヌクレオチド配列を同定もしくは検出するため、または類似もしくは関連のポリヌクレオチド配列を同定もしくは検出するために用いられ得る。
第一のヌクレオチド配列を第二のヌクレオチド配列に結合させることに関連づけられた場合の用語「特異的結合」、「結合特異性」およびその文法的均等物は、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列の間の相互作用に比較した、第一のヌクレオチド配列と第二のヌクレオチド配列の間の優先的相互作用を指す。特異的結合は、結合の絶対的特異性を必要としない相対的用語であり、言い換えれば用語「特異的結合」は、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列の間の相互作用の非存在下で、第二のヌクレオチド配列が第一のヌクレオチド配列と相互作用することを必要としない。むしろ、第一のヌクレオチド配列と第二のヌクレオチド配列の間の相互作用のレベルが、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列の間の相互作用よりも大きければ十分である。第一のヌクレオチド配列と第二のヌクレオチド配列の「特異的結合」はまた、第一のヌクレオチド配列と第二のヌクレオチド配列の間の相互作用が第一のヌクレオチド配列上の、または第一のヌクレオチド配列内の特定構造の存在に依存すること、言い換えれば第二のヌクレオチド配列が一般的に核酸またはヌクレオチドよりもむしろ第一のヌクレオチド配列上、または第一のヌクレオチド配列内の特異的構造を認識し、それに結合することを意味する。例えば第二のヌクレオチド配列が、第一のヌクレオチド配列上または第一のヌクレオチド配列内にある構造「A」に特異的であれば、構造Aを含む第三のヌクレオチド配列の存在が、第一のヌクレオチド配列に結合された第二のヌクレオチド配列の量を低減するであろう。
本明細書で用いられる用語「増幅可能な核酸」は、任意の増幅方法により増幅され得る核酸に関連して用いられる。「増幅可能な核酸」が通常、「試料テンプレート」を含むことが、企図される。
用語「異種性核酸配列」または「異種性DNA」は、本質的にライゲートされない核酸配列、または本質的に異なる位置でライゲートされる核酸配列、にライゲートされるヌクレオチド配列を指すために互換的に用いられる。異種性DNAは、導入される細胞に内在性でなく、別の細胞から得られている。必ずではないが一般には、そのような異種性DNAは、発現される細胞により正常に生成されないRNAおよびタンパク質をコードする。異種性DNAの例としては、レポータ遺伝子、転写および翻訳調節配列、選択マーカタンパク質(例えば、薬物耐性を付与するタンパク質)などが挙げられる。
「増幅」は、核酸配列のさらなるコピーの生成と定義され、一般には当該技術分野で周知のポリメラーゼ連鎖反応技術を用いて実施される(Dieffenbach C W and G S Dveksler(1995) PCR Primer,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.)。本明細書で用いられる用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、クローニングまたは精製を行わずにゲノムDNA混合物中の標的配列のセグメント濃度を増加させるための方法を記載した、参照により本明細書に組み入れられるK.B.Mullisの米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号の方法を指す。所望の標的配列の増幅されたセグメントの長さは、互いに対する2つのオリゴヌクレオチドプライマーの相対的位置により決定され、それゆえこの長さは、制御可能なパラメータである。該工程の反復する態様により、該方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)と称される。標的配列の所望の増幅されたセグメントは、混合物中の主な(濃度に関して)配列になるため、それらは、「PCR増幅された」と言われる。
PCRを用いて、ゲノムDNA内の特異的な標的配列の単一コピーを、複数の異なる方法論(例えば、標識されたプローブでのハイブリダイゼーション;ビオチン化プライマーの取り込みと、続くアビジン−酵素コンジュゲート検出;増幅されたセグメントへの、dCTPまたはdATPなどの32P標識デオキシヌクレオチド三リン酸の取り込み)により検出可能なレベルまで増幅させることが可能である。ゲノムDNAに加えて、任意のオリゴヌクレオチド配列は、プライマー分子の適当なセットで増幅され得る。特に、PCR工程そのものにより作製された増幅セグメントは、それ自体が次のPCR増幅のための効率的なテンプレートになる。
特に商業的な適用のための、そのような好ましい方法の1つは、広く使用されているTaqMan(登録商標)リアルタイムPCR技術に基づいており、対立遺伝子特異的PCRをブロッキング試薬と組み合わせて(ASB−PCR)野生型対立遺伝子の増幅を抑制する。ASB−PCRは、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍標本など、任意のタイプの組織から抽出されたDNAまたはRNAのいずれかにおける生殖系または体細胞の突然変異の検出に用いられ得る。1000倍またはより大きな、野生型対立遺伝子のバックグランドに対する単一の点置換、挿入、または欠失の感度の高い選択的検出を可能にする、試薬セットの設計ルールが開発されている(Morlan J,Baker J,Sinicropi D Mutation Detection by Real−Time PCR:A Simple,Robust and Highly Selective Method.PLoS ONE 4(2):e4584,2009)。
用語「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」および「RT−PCR」は、cDNA配列の混合物を作製し、次にクローニングまたは精製を行わずに混合物中の転写されたcDNA配列の所望のセグメントの濃度を上昇させる、RNA配列の逆転写のための方法を指す。典型的にはRNAは、2種のプライマーを用いて転写DNAの所望のセグメントのPCR増幅前に単一プライマー(例えば、オリゴ−dTプライマー)を用いて逆転写される。
本明細書で用いられる用語「プライマー」は、精製された制限消化物中と同様に天然由来であるか、または合成で生成されるかのいずれに関わらず、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下に(即ち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの導入剤の存在下、ならびに適切な温度およびpHで)配置されると、合成の開始点として作用し得るオリゴヌクレオチドを指す。幾つかの実施形態において、該プライマーは、増幅における最大効率のために一本鎖であるが、あるいは二本鎖の場合もある。二本鎖であれば、該プライマーは、伸長産物を調製するために用いられる前に、最初は鎖を分離するために処置される。幾つかの実施形態において、該プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。該プライマーは、導入剤の存在下で伸長産物の合成を開始するのに十分、長くなければならない。プライマーの厳密な長さは、温度、プライマー源、および該方法の用途など、多くの因子に依存するであろう。
本明細書で用いられる用語「プローブ」は、精製された制限消化物中と同様に天然由来であるか、または合成、組換えもしくはPCR増幅により生成されるか、のいずれに関わらず、該当する別のオリゴヌクレオチドをハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチド(即ち、ヌクレオチドの配列)を指す。プローブは、一本鎖または二本鎖であり得る。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定および単離に有用である。本開示で用いられる任意のプローブが、任意の「レポータ分子」で標識され、それにより非限定的に酵素(例えば、ELISA、および酵素に基づく組織化学的アッセイ)、蛍光、放射性、および発光システムをはじめとする任意の検出システムで検出可能であることが企図される。本開示が任意の特定の検出システムまたは標識に限定されることは、意図していない。
本明細書で用いられる用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、それぞれが特異的ヌクレオチド配列、例えばIIS型制限エンドヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼドメインで、またはその付近で二本鎖または一本鎖DNAを切断する、または刻む、細菌酵素を指す(例えば、Kim et al.,1996,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,6:1 156−60により教示される通り、FokIが用いられ得る)。
本明細書で用いられる用語「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド」は、遺伝子のコード配列を含む核酸配列、即ち遺伝子産物をコードする核酸配列を意味する。該コード領域は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNA形態のいずれかで存在し得る。DNA形態で存在する場合、該オリゴヌクレオチドは、一本鎖(即ち、センス鎖)または二本鎖であり得る。加えて、「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド」は、必要に応じて、適当な転写開始を可能にし、そして/または一次RNA転写産物のプロセシングを修正するために、エンハンサ、プロモーター、スプライスジャンクション、ポリアデニル化シグナルなどの適切な制御エレメントを含み得る。さらに、本開示のコード領域は、内在性エンハンサ、スプライスジャンクション、介在配列、ポリアデニル化シグナルなどを含み得る。
真核生物内の転写制御シグナルは、「エンハンサ」エレメントを含む。エンハンサは、転写に関与する細胞内タンパク質と特異的に相互作用するDNA配列の短いアレイからなる(Maniatis,T.et al.,Science 236:1237,1987)。エンハンサエレメントは、植物、酵母、昆虫および哺乳動物細胞、ならびにウイルス中の遺伝子をはじめとする種々の真核生物供給源から単離された。特定のエンハンサの選択は、どの細胞型が該当するタンパク質を発現させるのに用いられるかに依存する。
発現ベクター上の「スプライシングシグナル」の存在は多くの場合、組換え体転写産物のより高レベルの発現をもたらす。スプライシングシグナルは、一次RNA転写産物からのイントロンの除去を媒介し、スプライスドナーおよびアクセプタ部位からなる(Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,pp.16.7−16.8,1989)。一般的に用いられるスプライスドナーおよびアクセプタ部位は、SV40の16S RNAからのスプライスジャンクションである。
真核細胞中の組換えDNA配列の効率的発現は、得られた転写産物の効率的終結およびポリアデニル化を指導するシグナルの発現を必要とする。転写終結シグナルは一般に、ポリアデニル化シグナルの下流に見出され、数百ヌクレオチド長である。本明細書で用いられる用語「ポリA部位」または「ポリA配列」は、新生RNA転写産物の終結およびポリアデニル化の両方を指導するDNA配列を表す。ポリAテールが欠如した転写産物は、不安定で急速に分解するため、組換え体転写産物の効率的なポリアデニル化が望ましい。発現ベクター中で用いられるポリAシグナルは、「異種性」または「内在性」であり得る。内在性ポリAシグナルは、天然にはゲノム内の所与の遺伝子のコード領域の3’末端で見出されるものである。異種性ポリAシグナルは、1つの遺伝子から単離されて、別の遺伝子の3’に配置されるものである。
本明細書で用いられる用語「プロモーター」、「プロモータエレメント」または「プロモーター配列」は、オリゴヌクレオチド配列の5’末端に配置されると(即ち、進行すると)、mRNAへのオリゴヌクレオチド配列の転写を制御することが可能になるDNA配列を指す。プロモーターは、典型的にはオリゴヌクレオチド配列の5’側(即ち、上流)に位置し、mRNAへの転写を制御し、RNAポリメラーゼによる特異的結合のため、そして転写開始のための部位を提供する。
核酸配列に関連づけられた場合の用語「プロモーター活性」は、mRNAへのオリゴヌクレオチド配列の転写を開始する核酸配列の能力を指す。
プロモーターに適用される場合の用語「組織特異性の」は、異なる型の組織における同じオリゴヌクレオチドの発現の相対的非存在下で、特異的型の組織へのオリゴヌクレオチド配列の選択的発現を指導することが可能なプロモーターを指す。プロモーターの組織特異性は、例えばレポータ遺伝子をプロモーター配列に動作可能に連結させてレポータ構築物を作製すること、レポータ構築物を植物または動物のゲノムに導入してレポータ構築物を得られたトランスジェニック動物の各組織に組み込むこと、およびトランスジェニック植物または動物の異なる組織中のレポータ遺伝子の発現を検出すること(例えば、レポータ遺伝子によりコードされたmRNA、タンパク質、またはタンパク質の活性を検出すること)、により評価され得る。選択性が、絶対的である必要はない。他の組織中のレポータ遺伝子の発現レベルに対して、1つまたは複数の組織でより大きなレベルのレポータ遺伝子発現が検出されれば、プロモーターがより大きなレベルの発現が検出された組織に特異的であることが示される。
プロモーターに適用される用語「細胞型特異性の」は、同じ組織内の異なる細胞型における同じオリゴヌクレオチド配列の発現の相対的非存在下で特異的な細胞型におけるオリゴヌクレオチド配列の選択的発現を指導することが可能なプロモーターを指す。プロモーターに適用される場合の用語「細胞型特異性の」はまた、単一組織内の領域においてオリゴヌクレオチドの選択的発現を促進することが可能なプロモーターを意味する。また選択性は、絶対的である必要ではない。プロモーターの細胞型特異性は、当業者に周知の方法、例えば本明細書に記載された免疫組織学的染色を利用して評定され得る。手短に述べると、組織切片をパラフィンに包埋し、パラフィン切片を、プロモーターにより発現が制御されるオリゴヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド生成物に特異的な一次抗体と反応させる。パラフィン切片法の別法として、試料を凍結切片にすることができる。例えば切片を切り出し前および切り出し中に凍結し、これにより残留するパラフィンによる潜在的干渉を回避することができる。一次抗体に特異的な標識された(例えば、ペルオキシダーゼでコンジュゲートされた)二次抗体を、切り出された組織に結合させることができ、顕微鏡検査により特異的結合が検出される(例えば、アビジン/ビオチンを用いる)。
用語「選択的発現」、「選択的に発現する」およびその文法的均等物は、該当する2つ以上の領域内での相対的発現レベルの比較を指す。例えば、組織に関連して用いられる場合の「選択的発現」は、それぞれ別の組織中の同じ遺伝子の発現レベル、および該同じ遺伝子を発現する細胞の数に比較して、特定の組織中の該当する遺伝子の実質的により大きな発現レベル、または該組織中で遺伝子を発現する実質的により多い細胞数を指す(即ち、選択的は、絶対的である必要はない)。選択的発現は、特定組織中の該当する遺伝子の発現および別の組織中の同じ遺伝子の発現の全体的な非存在を含む場合がある、必要とはしない。同様に、細胞型に関連して本明細書で用いられる「選択的発現」は、それぞれ別の組織中の同じ遺伝子の発現レベル、および該遺伝子を発現する細胞の数に比較して、特定の組織中の該当する遺伝子の実質的により大きな発現レベル、または該遺伝子を発現する実質的により多い細胞数を指す。
2つ以上のヌクレオチド配列に関連して用いられる場合の用語「連続した」は、1つまたは複数の制御エレメントを含まない介在配列の非存在下、または介在配列の存在下で、ヌクレオチド配列が縦列にライゲートされていることを意味する。
本明細書で用いられる用語「コードする核酸分子」、「コードするヌクレオチド」、「コードするDNA配列」および「コードするDNA」は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序が、ポリペプチド(タンパク質)チェーンに沿ったアミノ酸の順序を決定する。こうしてDNA配列は、アミノ酸配列をコードする。
「単離されたオリゴヌクレオチド」と同様に、核酸に関連して用いられる場合の用語「単離された」は、通常は天然供給源に会合された少なくとも1つの混入した核酸から分離された核酸配列を指す。単離された核酸は、天然に見出されるものと異なる形態または状況で存在する核酸である。対照的に非単離核酸は、天然に存在する状態で見出されるDNAおよびRNAなどの核酸である。例えば所与のDNA配列(例えば、遺伝子)は、隣接する遺伝子の付近の宿主細胞染色体上に見出され、特異的タンパク質をコードする特異的なmRNA配列などのRNA配列は、複数のタンパク質をコードする数多くの他のmRNAとの混合物として細胞中で見出される。しかし、該当するポリペプチドをコードする単離された核酸は、例として、核酸が天然細胞と異なる染色体内もしくは染色体外の位置にある、または他の方法で天然に見出されるものと異なる核酸配列に隣接されている、通常は該当するポリペプチドを発現する細胞中のそのような核酸を含む。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖形態で存在し得る。単離された核酸は、種々の技術(例えば、ハイブリダイゼーション、ドットブロッティングなど)により即座に同定され得る(所望なら)。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドが、タンパク質を発現するために用いられる場合、該オリゴヌクレオチドは、最小でもセンス鎖またはコード鎖を含む(即ち、該オリゴヌクレオチドは、一本鎖であり得る)。あるいはそれは、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含み得る(即ち、該オリゴヌクレオチドは、二本鎖であり得る)。
本明細書で用いられる用語「精製された」または「精製する」は、試料から1種または複数の(望ましくない)成分の除去を指す。例えば、組換えポリペプチドが、細菌宿主細胞中で発現される場合、該ポリペプチドは、宿主細胞タンパク質の除去により精製され、それにより試料中の組換えポリペプチドの割合%を増加させる。
本明細書で用いられる用語「実質的に精製された」は、自然環境から除去され、単離または分離されて、天然で会合された他の成分を少なくとも60%含まない、幾つかの実施形態において75%含まない、他の実施形態において90%含まない、核酸またはアミノ酸配列のいずれかの分子を指す。それゆえ「単離されたポリヌクレオチド」は、実質的に精製されたポリヌクレオチドである。
構造遺伝子を照会して用いられる場合の本明細書で用いられる用語「コード領域」は、mRNA分子の翻訳の結果、新生ポリペプチド中で見出されるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を指す。該コード領域は、真核生物において、一般にはイニシエータのメチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」により5’側に、そして終止コドンを特定する3種のトリプレット(即ち、TAA、TAG、TGA)のうちの1つにより3’側に、結合されている。
「コード配列」は、mRNA、および/またはそのポリペプチドもしくはフラグメントを生成するように転写および/または翻訳され得る核酸もしくはその相補体の配列、またはその一部を意味する。コード配列は、ゲノムDNAまたは未熟な一次RNA転写産物中にエキソンを含み、それが細胞の生化学的機構により互いに接合されて、成熟mRNAを提供する。アンチセンス鎖は、そのような各酸の相補体であり、該コード配列は、そこから推測され得る。
「非コード配列」は、インビボでアミノ酸に転写されない、またはtRNAがアミノ酸を配置するように相互作用しない、もしくは配置しようと試みない、核酸もしくはその相補体の配列、またはその一部を意味する。非コード配列は、ゲノムDNAもしくは未熟な一次RNA転写産物中のイントロン配列、およびプロモーター、エンハンサ、サイレンサなどの遺伝子関連配列の両方を含む。
本明細書で用いられる用語「構造遺伝子」または「構造ヌクレオチド配列」は、他の遺伝子の発現を制御しないRNAまたはタンパク質をコードするDNA配列を指す。対照的に「調節遺伝子」または「調節配列」は、他の遺伝子の発現を制御する生成物(例えば、転写因子)をコードする構造遺伝子である。
本明細書で用いられる用語「調節エレメント」は、核酸配列の発現の幾つかの態様を制御する遺伝子エレメントを指す。例えばプロモーターは、動作可能に連結されたコード領域の転写開始を容易にする調節エレメントである。他の調節エレメントとしては、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、終結シグナルなどが挙げられる。
本明細書で用いられる用語「ペプチド転写因子結合部位」または「転写因子結合部位」は、タンパク質転写因子に結合し、それにより核酸配列の発現の幾つかの態様を制御するヌクレオチド配列を指す。例えばSp−1およびAP1(活性化タンパク質1)結合部位が、ペプチド転写因子結合部位の例である。
本明細書で用いられる用語「遺伝子」は、構造遺伝子のコード領域を含むデオキシリボヌクレオチド配列を意味する。「遺伝子」はまた、該遺伝子が完全長mRNAの長さに対応するように、5’末端と3’末端の両方のコード領域に隣接した位置にある非翻訳配列を含み得る。コード領域の5’側に位置し、mRNA上に存在する配列は、5’非翻訳配列と称される。コード領域の3’側または下流に位置し、mRNA上に存在する配列は、3’非翻訳配列と称される。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNAおよびゲノム形態の両方を包含する。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と称される非コード配列で中断されたコード領域を含む。イントロンは、ヘテロ核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンは、エンハンサなどの調節エレメントを含み得る。イントロンは、核または一次転写産物から除去または「スプライスアウト」され、それゆえイントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中に存在しない。mRNAは、翻訳の間、新生ポリペプチド中のアミノ酸の配列または順序を特定するように機能する。遺伝子は、一般に単一遺伝子座である。通常の二倍体の生物体において、遺伝子は、2つの対立遺伝子を有する。しかし四倍体のジャガイモでは、各遺伝子が、4つの対立遺伝子を有する。十二倍体であるサトウキビでは、遺伝子あたりに12の対立遺伝子が存在し得る。詳細な例としては、それぞれが2つの対立遺伝子を有するEPSPS遺伝子座を2つ有するアマ、および2つの対立遺伝子を有する単一ホモマープラスチド型ACCaseを有するイネが挙げられる。
遺伝子のゲノム形態はまた、イントロンを含むことに加えて、RNA転写産物上に存在する配列の5’および3’末端の両方に位置する配列を含み得る。これらの配列は、「フランキング」配列または領域と称される(これらのフランキング配列は、mRNA転写産物上に存在する非翻訳配列に対して5’側または3’側に位置する)。5’フランキング領域は、遺伝子の転写を制御する、または該転写に影響を及ぼすプロモーターおよびエンハンサなどの調節配列を含み得る。3’フランキング領域は、転写の終結、転写後切断およびポリアデニル化を指導する配列を含み得る。
「非ヒト動物」は、ヒトでない任意の動物を指し、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、トリなどの脊椎動物が挙げられる。好ましい非ヒト動物は、げっ歯目から選択される。「非ヒト動物」は、追加として、両生類(例えば、アフリカツメガエル)、爬虫類、昆虫(例えば、ショウジョウバエ)および他の非哺乳動物種を指す。
本明細書で用いられる用語「トランスジェニック」は、別の生物体から得られて、植物または動物の体細胞および/または生殖系細胞のいずれかのゲノムに組み込まれるようになるDNAを有する生物体または細胞を指す。「トランスジーン」は、見出される植物もしくは動物に対して部分的もしくは全体的に異種性である(即ち、天然には存在しない)DNA配列、または内在性配列(即ち、天然の動物内に見出される配列)と相同性であり天然由来配列と異なる位置で植物もしくは動物ゲノムに挿入されるDNA配列を意味する。1つまたは複数のトランスジーンを含むトランスジェニック植物または動物は、この開示の範囲内である。加えて、本明細書で用いられる「トランスジェニック」は、本開示の方法により、相同組換えにより、TFO突然変異により、または類似の工程により、修飾および/または「ノックアウト」された(非機能的にされた、または低レベルで機能するように作製された、即ち「ノックアウト」突然変異)1つまたは複数の遺伝子を有した生物体を指す。例えば幾つかの実施形態において、トランスジェニック生物体または細胞は、外来プロモーターおよび/またはコード領域を含む挿入DNAを含む。
「形質転換細胞」は、複数の継代で細胞培養により生育する能力、軟寒天中で生育する能力、および/または細胞間接触により細胞生育を阻害させない能力を獲得した細胞または細胞株である。これに関して、形質転換は、細胞または生物体への外来遺伝子材料の導入を指す。形質転換は、細胞への核酸の導入を成功させ、導入された核酸の発現をもたらす、公知の任意方法により遂行され得る。「形質転換」としては、トランスフェクション、マイクロインジェクション、電気穿孔、ヌクレオフェクションおよびリポフェクション(リポソーム介在性遺伝子転位)のような方法が挙げられるが、これらに限定されない。形質転換は、任意の発現ベクターの使用を通して遂行され得る。例えば、外来核酸を昆虫細胞に導入するためのバクロウイルスの使用が、企図される。用語「形質転換」はまた、全昆虫のP因子介在性生殖系形質転換(P−element mediated germline transformation)などの方法を包含する。加えて、形質転換は、通常は遺伝子突然変異を通して、自然に形質転換された細胞を指す。
本明細書で用いられる「内在性」は、タンパク質をコードする遺伝子が細胞内で正常に発現されないことを意味する。加えて「外因性」は、その遺伝子の発現の正常(即ち、天然)レベルを上昇させる細胞内にトランスフェクトされた細胞を指す。
ペプチド配列およびヌクレオチド配列は、「内在性」または「異種性」(即ち、「外来性」)であり得る。用語「内在性」は、天然由来配列に対する幾つかの修飾を含まない限り、導入される細胞内で自然に見出される配列を指す。用語「異種性」は、導入される細胞にとって内在性でない配列を指す。例えば、異種性DNAは、天然ではライゲートされない核酸配列にライゲートされる、もしくはライゲートされるように操作されている、または天然では異なる位置でライゲートされる、ヌクレオチド配列を含む。異種性DNAはまた、導入される細胞に天然で見出され、天然由来配列に対して幾つかの修飾を含む、ヌクレオチド配列を含む。必ずではないが一般には、異種性DNAは、導入される細胞により正常に生成されない異種性RNAおよび異種性タンパク質をコードする。異種性DNAの例としては、レポータ遺伝子、転写および翻訳調節配列、選択マーカタンパク質(例えば、薬物耐性を付与するタンパク質)をコードするDNA配列が挙げられる。
構築物
本明細書に開示された核酸分子(例えば、部位特異性ヌクレアーゼ、またはCRISPRのためのガイドRNA)は、組換え核酸構築物の生成に用いられ得る。一実施形態において、本開示の核酸分子は、核酸構築物、例えば該当する植物、微生物、または動物中の発現のための発現カセット、の調製に用いられ得る。この発現は、例えば該構築物が宿主ゲノムに組み込まれない場合、または組み込まれるならば宿主ゲノム内のプロモーターおよび構築物の位置により提示される制御下で維持される場合には、一過性であり得る。
発現カセットは、本明細書に開示された部位特異性ヌクレアーゼまたはガイドRNA配列に動作可能に連結された調節配列を含み得る。該カセットは、生物体に同時形質転換される少なくとも1種の追加の遺伝子をさらに含み得る。あるいは該追加の遺伝子(複数可)は、複数の発現カセット上で提供され得る。
核酸構築物は、調節領域の転写調節下にある部位特異性ヌクレアーゼコード配列の挿入のための複数の制御部位と共に提供され得る。該核酸構築物は、選択マーカ遺伝子をコードする核酸分子をさらに含み得る。
任意のプロモーターが、核酸構築物の生成に用いられ得る。該プロモーターは、本明細書に開示された植物、微小生物もしくは動物宿主核酸配列にとってネイティブもしくは類似の、または外来もしくは異種性であり得る。加えて該プロモーターは、天然の配列、あるいは合成配列であり得る。該プロモーターが、植物、微小生物、または動物宿主にとって「外来性」または「異種性」である場合、該プロモーターは、プロモーターが導入されるネイティブ植物、微小生物、または動物中に見出されないものとする。本明細書で用いられるキメラ遺伝子は、コード配列にとって異種性である転写開始領域に動作可能に連結されたコード配列を含む。
本明細書に開示された部位特異性ヌクレアーゼ配列は、異種性プロモーターを用いて発現され得る。
植物、微小生物または動物における発現のための構成的プロモーター、組織好適性(tissue preffered)プロモーター、誘導性プロモーターまたは他のプロモーターを提供するプロモーターなど、任意のプロモーターが、部位特異性ヌクレアーゼ配列の発現を制御するための構築物の調製に用いられ得る。構成的プロモーターとしては、Rsyn7プロモーターのコアプロモータ、ならびにWO99/43838および米国特許第6,072,050号に開示された他の構成的プロモーター;コアCaMV 35Sプロモーター(Odell et al.Nature 313:810−812;1985);イネのアクチン(McElroy et al.,Plant Cell 2:163−171,1990);ユビキチン(Christensen et al.,Plant Mol.Biol.12:619−632,1989およびChristensen et al.,Plant Mol.Biol.18:675−689,1992);pEMU(Last et al.,Theor.Appl.Genet.81:581−588,1991);MAS(Velten et al.,EMBO J.3:2723−2730,1984);ALSプロモーター(米国特許第5,659,026号)などが挙げられる。他の構成的プロモーターとしては、例えば米国特許第5,608,149号;同第5,608,144号;同第5,604,121号;同第5,569,597号;同第5,466,785号;同第5,399,680号;同第5,268,463号;同第5,608,142号;および同第6,177,611号が挙げられる。
組織好適性プロモーターは、特定の植物組織中の部位特異性ヌクレアーゼ発現を指導するために用いられ得る。そのような組織好適性プロモーターとしては、葉好適性プロモーター、根好適性プロモーター、種子好適性プロモーター、および茎好適性プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。組織好適性プロモーターは、Yamamoto et al.,Plant J.12(2):255−265,1997;Kawamata et al.,Plant Cell Physiol.38(7):792−803,1997;Hansen et al.,Mol.Gen Genet.254(3):337−343,1997;Russell et al.,Transgenic Res.6(2):157−168,1997;Rinehart et al.,Plant Physiol.1 12(3):1331−1341,1996;Van Camp et al.,Plant Physiol.1 12(2):525−535,1996;Canevascini et al.,Plant Physiol.112(2):513−524,1996;Yamamoto et al.,Plant Cell Physiol.35(5):773−778,1994;Lam,Results Probl.Cell Differ.20:181−196,1994;Orozco et al.Plant Mol Biol.23(6):1129−1138,1993;Matsuoka et al.,Proc Nat’l.Acad.Sci.USA 90(20):9586−9590,1993;およびGuevara−Garcia et al.,Plant J.4(3):495−505,1993を包含する。
核酸構築物は、転写終結領域も含み得る。転写終結領域が、用いられる場合、任意の終結領域が、核酸構築物の調製に用いられ得る。例えば該終結領域は、別の供給源(即ち、プロモーターにとって外来性または異種性)に由来し得る。本開示の構築物中での使用のために利用可能な終結領域の例としては、オクトピンシンターゼおよびノパリンシンターゼ終結領域などのA.ツメファシエンスのTiプラスミド由来のものが挙げられる。Guerineau et al.,Mol.Gen.Genet.262:141−144,1991;Proudfoot,Cell 64:671−674,1991;Sanfacon et al.,Genes Dev.5:141−149,1991;Mogen et al.,Plant Cell 2:1261−1272,1990;Munroe et al.,Gene 91:151−158,1990;Ballas et al.,Nucleic Acids Res.17:7891−7903,1989;およびJoshi et al.,Nucleic Acid Res.15:9627−9639,1987も参照されたい。
本明細書に開示された態様、実施形態、方法および/または組成物のいずれかと合わせて、該核酸を、形質転換植物中の発現増加のために最適化されることができる。即ち、部位特異性ヌクレアーゼタンパク質をコードする核酸は、改善された発現のための植物好適性コドンを用いて合成され得る。例えば、宿主好適性コドン使用の議論に関するCampbellおよびGowri(Plant Physiol.92:1−11,1990)を参照されたい。植物好適性遺伝子を合成するための方法は、当該技術分野で入手可能である。例えば、米国特許第5,380,831号および同第5,436,391号、ならびにMurray et al.,Nucleic Acids Res.17:477−498,1989を参照されたい。同じく、例えばLanza et al.,BMC Systems Biology 8:33−43,2014;Burgess−Brown et al.,Protein Expr.Purif.59:94−102,2008;Gustafsson et al.,Trends Biotechnol 22:346−353,2004を参照されたい。
加えて、他の配列修飾が、本明細書に開示された核酸配列に施され得る。例えば、細胞宿主中の遺伝子発現を増強するためのさらなる配列修飾は、公知である。これらには、疑似ポリアデニル化シグナルをコードする配列、エキソン/イントロン・スプライス部位シグナル、トランスポゾン様リピート、および遺伝子発現に有害になり得る他のそのような特徴のはっきりした配列の排除がある。該配列のG−C量を、宿主細胞中で発現される既知の遺伝子を参照することにより算出される標的細胞宿主の平均レベルに適合させることもできる。加えて該配列は、予測されたヘアピン二次mRNA構造を回避するように修飾することができる。
他の核酸配列もまた、例えば部位特異性ヌクレアーゼコード配列の発現を増強するために、本開示の構築物の調製に用いられ得る。そのような核酸配列としては、トウモロコシAdhIのイントロンであるイントロン1遺伝子(Callis et al.,Genes and Development 1:1183−1200,1987)ならびにタバコモザイクウイルス(TMV)、トウモロコシ退緑斑紋ウイルスおよびアルファルファモザイクウイルス由来のリーダー配列(W配列)(Gallie et al.,Nucleic Acid Res.15:8693−8711,1987;およびSkuzeski et al.,Plant Mol.Biol.15:65−79,1990)が挙げられる。トウモロコシのシュランケン1遺伝子座由来の第一のイントロンが、キメラ遺伝子構築物中の遺伝子の発現を増加させることが示された。米国特許第5,424,412号および同第5,593,874号には、遺伝子発現構築物中の特異的イントロンの使用が開示されており、Gallieら(Plant Physiol.106:929−939,1994)はまた、イントロンが組織特異性の基板で遺伝子発現を調節するのに有用であることを示した。部位特異性ヌクレアーゼ遺伝子発現をさらに増強または最適化するために、本明細書に開示された植物発現ベクターはまた、マトリックス付着領域(MAR)を含有するDNA配列を含み得る。そのため、そのような修飾された発現系で形質転換された植物細胞は、本開示のヌクレオチド配列の過剰発現または構成的発現を示し得る。
本明細書に開示された発現構築物はまた、原核生物および真核生物の両方でクロロプラストまたは他のオルガネラおよび構造に部位特異性ヌクレアーゼ配列の発現を指導することが可能な核酸配列を含み得る。そのような核酸配列は、植物細胞クロロプラストに該当する遺伝子産物を指向するクロロプラストトランジットペプチドをコードするクロロプラスト標的配列を含む。そのようなトランジットペプチドは、当該技術分野で公知である。クロロプラスト標的配列に関して、「動作可能に連結された」は、トランジットペプチドをコードする核酸配列(即ち、クロロプラスト標的配列)が、本明細書に開示された部位特異性ヌクレアーゼ核酸分子に連結されることで、2つの配列が連続し、同じリーディングフレーム内になることを意味している。例えば、Von Heijne et al.,Plant Mol.Biol.Rep.9:104−126,1991;Clark et al.,J.Biol.Chem.264:17544−17550,1989;Della−Cioppa et al.,Plant Physiol.84:965−968,1987;Romer et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.196:1414−1421,1993;およびShah et al.,Science 233:478−481,1986を参照されたい。
クロロプラスト標的配列は、当該技術分野で公知であり、リブロース−1,5−ビスホスホン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)(de Castro Silva Filho et al.,Plant Mol.Biol.30:769−780,1996;Schnell et al.,J.Biol.Chem.266(5):3335−3342,1991);5−(エノールピルビル)シキマート−3−リン酸塩シンターゼ(EPSPS)(Archer et al.,J.Bioenerg.Biomemb.22(6):789−810,1990);トリプトファンシンターゼ(Zhao et al.,J.Biol.Chem.270(11):6081−6087,1995);プラストシアニン(Lawrence et al.,J.Biol.Chem.272(33):20357−20363,1997);コリスミ酸シンターゼ(Schmidt et al.,J.Biol.Chem.268(36):27447−27457,1993);および集光性クロロフィルa/b結合タンパク質(LHBP)(Lamppa et al.,J.Biol.Chem.263:14996−14999,1988)のクロロプラスト小サブユニット挙げられる。同じく、Von Heijne et al.,Plant Mol.Biol.Rep.9:104−126,1991;Clark et al.,J.Biol.Chem.264:17544−17550,1989;Della−Cioppa et al.,Plant Physiol.84:965−968,1987;Romer et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.196:1414−1421,1993;およびShah et al.,Science 233:478−481,1986を参照されたい。
本明細書に開示された態様、実施形態、方法および/または組成物のいずれかと合わせて、核酸構築物を、植物細胞クロロプラストからの突然変異体部位特異性ヌクレアーゼコード領域の発現を指導するように調製することができる。クロロプラストの形質転換のための方法は、当該技術分野で公知である。例えばSvab et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 87:8526−8530,1990;Svab and Maliga,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:913−917,1993;Svab and Maliga,EMBO J.12:601−606,1993を参照されたい。該方法は、選択マーカを含むDNAの粒子銃送達、および相同組換えを通したプラスミドゲノムへのDNAの標的化に依存する。加えて、プラスミド形質転換は、核コード化およびプラスミド指向性RNAポリメラーゼの組織好適性発現によるサイレント型プラスチド担持トランスジーン(silent plastid−borne transgene)のトランス活性化により遂行され得る。そのような系は、McBride et al.Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 91:7301−7305,1994に報告されている。
クロロプラストを標的とする該当する核酸は、植物の核およびこのオルガネラの間のコドン使用における差異の原因であるクロロプラスト中での発現のために最適化され得る。この手法では、該当する核酸は、クロロプラスト好適性コドンを利用して合成され得る。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,380,831号を参照されたい。
該核酸構築物は、植物細胞を形質転換して、部位特異性ヌクレアーゼコード配列を含むトランスジェニック植物を再生させるために用いることができる。数多くの植物形質転換ベクター、および植物を形質転換させるための方法が、利用可能である。例えば米国特許第6,753,458号、An,G.et al.,Plant Physiol.,81:301−305,1986;Fry,J.et al.,Plant Cell Rep.6:321−325,1987;Block,M.,Theor.Appl Genet.76:767−774,1988;Hinchee et al.,Stadler.Genet.Symp.203212.203−212,1990;Cousins et al.,Aust.J.Plant Physiol.18:481−494,1991;Chee,P.P.and Slightom,J.L.,Gene.118:255−260,1992;Christou et al.,Trends.Biotechnol.10:239−246,1992;D’Halluin et al.,Bio/Technol.10:309−3 14,1992;Dhir et al.,Plant Physiol.99:81−88,1992;Casas et al.,Proc.Nat’l.Acad Sci.USA 90:11212−11216,1993;Christou,P.,In Vitro Cell.Dev.Biol.−Plant 29P:1 19−124,1993;Davies,et al.,Plant Cell Rep.12:180−183,1993;Dong,J.A.and Mc Hughen,A.,Plant Sci.91:139−148,1993;Franklin,C.I.and Trieu,T.N.,Plant.Physiol.102:167,1993;Golovkin et al.,Plant Sci.90:41−52,1993;Guo Chin Sci.Bull.38:2072−2078;Asano,et al.,Plant Cell Rep.13,1994;Ayeres N.M.and Park,W.D.,Crit.Rev.Plant.Sci.13:219−239,1994;Barcelo et al.,Plant.J.5:583−592,1994;Becker,et al.,Plant.J.5:299−307,1994;Borkowska et al.,Acta.Physiol Plant.16:225− 230,1994;Christou,P.,Agro.Food.Ind.Hi Tech.5:17−27,1994;Eapen et al.,Plant Cell Rep.13:582−586,1994;Hartman et al.,Bio−Technology 12:919923,1994;Ritala et al.,Plant.Mol.Biol.24:317−325,1994;およびWan,Y.C.and Lemaux,P.G.,Plant Physiol.104:3748,1994を参照されたい。該構築物はまた、相同組換えを用いて植物細胞中に形質転換され得る。
ペプチド配列およびヌクレオチド配列に関連づけられた場合の用語「野生型」は、天然由来の供給源から単離された場合にペプチド配列およびヌクレオチド配列の特徴を有する、それぞれペプチド配列およびヌクレオチド配列(遺伝子座/遺伝子/対立遺伝子)を指す。野生型ペプチド配列およびヌクレオチド配列は、集団で最も頻繁に観察されるものであり、したがってそれぞれペプチド配列およびヌクレオチド配列の「正常な」または「野生型の」形態と恣意的に称される。「野生型」はまた、特定のヌクレオチド位置もしくは位置(複数)の配列、または特定のコドン位置もしくは位置(複数)の配列、または特定のアミノ酸位置もしくは位置(複数)の配列を指し得る。
「コンセンサス配列」は、配列の少なくとも25%について同一のアミノ酸もしくはヌクレオチド、または機能的に同等なアミノ酸もしくはヌクレオチドを含むアミノ酸またはヌクレオチドの配列と定義される。同一または機能的に同等なアミノ酸またはヌクレオチドは、連続である必要はない。
本明細書で用いられる用語「アブラナ」は、アブラナ属の植物を指す。例示的なアブラナの種としては、B.カリナタ、B.エロンゲータ(B.elongate)、B.フルチキュロサ(B.fruticulosa)、B.ジュンセア、B.ナプス、B.ナリノサ、B.ニグラ、B.オレラセア、B.ペルビリディス、B.ラパ(シンB.カンペストリス)、B.ルペストリス、B.セプチセプス、およびB.トルネフォルチイが挙げられるが、これらに限定されない。
ヌクレオベースは、塩基であり、特定の好ましい実施形態においてはプリン、ピリミジン、またはその誘導体もしくは類似体である。ヌクレオシドは、ペントースフラノシル部分、例えば場合により置換されたリボシドまたは2’−デオキシリボシドを含むヌクレオベースである。ヌクレオシドは、複数の連結部分の1つにより連結され得、リンを含む場合、または含まない場合がある。非置換ホスホジエステル結合により連結されたヌクレオシドは、ヌクレオチドと称される。本明細書で用いられる用語「ヌクレオベース」は、ペプチド核酸のサブユニットであるペプチドヌクレオベース、およびモルホリンヌクレオベースに加え、ヌクレオシドおよびヌクレオチドを包含する。
オリゴヌクレオベースは、ヌクレオベースを含むポリマーであり、幾つかの実施形態において、その少なくとも一部は、相補的配列を有するDNAへのワトソン・クリック塩基対合によりハイブリダイズし得る。オリゴヌクレオベースチェーンは、ポリマーの最終的なヌクレオベースである単一5’および3’末端を有し得る。特定のオリゴヌクレオベースチェーンは、全ての型のヌクレオベースを含有し得る。オリゴヌクレオベース化合物は、相補的でワトソン・クリック塩基対合によりハイブリダイズされ得る、1つまたは複数のオリゴヌクレオベースチェーンを含む化合物である。リボタイプヌクレオベースは、2’炭素がヒドロキシル、アルキルオキシ、またはハロゲンで置換されたメチレンである、ヌクレオベースを含むペントースフラノシルを含む。デオキシリボタイプヌクレオベースは、リボタイプヌクレオベース以外のヌクレオベースであり、ペントースフラノシル部分を含まない全てのヌクレオベースを包含する。
特定の実施形態において、オリゴヌクレオベース鎖は、オリゴヌクレオベースチェーンと、オリゴヌクレオベースチェーンのセグメントまたは領域と、の両方を包含し得る。オリゴヌクレオベース鎖は、3’末端および5’末端を含み得、オリゴヌクレオベース鎖が、チェーンと共に伸長する場合、該鎖の3’および5’末端は、該チェーンの3’および5’末端でもある。
本明細書で用いられる用語「コドン」は、タンパク質合成の際のポリペプチドチェーンにおける特異的アミノ酸の挿入、またはタンパク質合成を停止するシグナルを決定する遺伝子コードを構成する3つの隣接するヌクレオチド(RNAまたはDNAのいずれか)の配列を指す。用語「コドン」はまた、元のDNAが転写されるメッセンジャーRNAにおける3つのヌクレオチドの対応する(そして相補的な)配列を指すために用いられる。
本明細書で用いられる用語「相同性」は、タンパク質およびDNAの間の配列類似性を指す。用語「相同性」または「相同的な」は、同一性の度合いを指す。部分的な相同性または完全な相同性が存在し得る。部分的に相同的な配列は、別の配列と比較して100%未満の配列同一性を有するものである。
「ヘテロ接合性の」は、相同性染色体セグメント中の1つまたは複数の遺伝子座に異なる対立遺伝子を有することを指す。本明細書で用いられる「ヘテロ接合性の」はまた、1つまたは複数の遺伝子座で異なる対立遺伝子が検出され得る試料、細胞、細胞集団または生物体を指し得る。ヘテロ接合性の試料は、例えば核酸シークエンシングなど、当該技術分野で公知の方法を介して決定することもできる。例えばシークエンシング電気泳動図が、単一遺伝子座で2つのピークを示し、両方のピークが、概ね同じサイズである場合、試料は、ヘテロ接合性と特徴づけられ得る。または1つのピークが、他方よりも小さいが、大きなピークのサイズの少なくとも約25%である場合、試料は、ヘテロ接合性と特徴づけられ得る。幾つかの実施形態において、小さなピークが、大きなピークの少なくとも約15%である。別の実施形態において、小さなピークが、大きなピークの少なくとも約10%である。別の実施形態において、小さなピークが、大きなピークの少なくとも約5%である。別の実施形態において、小さなピークの最小限の量が、検出される。
本明細書で用いられる「ホモ接合性の」は、相同性染色体セグメント中の1つまたは複数の遺伝子座で同一の対立遺伝子を有することを指す。「ホモ接合性の」はまた、1つまたは複数の遺伝子座で同じ対立遺伝子が検出され得る試料、細胞、細胞集団または生物体を指し得る。ホモ接合性の試料は、例えば核酸シークエンシングなど、当該技術分野で公知の方法を介して決定することができる。例えばシークエンシング電気泳動図が、特定の遺伝子座で単一ピークを示す場合、その試料は、その遺伝子座に関して「ホモ接合性」と称され得る。
用語「ヘミ接合性の」は、第二の対立遺伝子が検出されるため、または相同性染色体セグメント上に存在しないため、細胞または生物体の遺伝子型に1回だけ存在する遺伝子または遺伝子セグメントを指す。本明細書で用いられる「ヘミ接合性の」は、1つまたは複数の遺伝子座の対立遺伝子が、遺伝子型で1回だけ検出され得る、試料、細胞、細胞集団、または生物体を指すこともできる。
本明細書で用いられる用語「接合状態」は、当該技術分野で公知の、そして本明細書に記載されたテスト方法ことにより決定される、ヘテロ接合性、ホモ接合性またはヘミ接合性と考えられる試料、細胞集団、または生物体を指す。用語「核酸の接合状態」は、核酸の供給源がヘテロ接合性、ホモ接合性またはヘミ接合性と考えられるか否かを決定することを意味する。「接合状態」は、配列内の単一ヌクレオチド位置の差異を指し得る。幾つかの方法において、単一突然変異に関する試料の接合状態は、ホモ接合性野生型、ヘテロ接合性(即ち、1つの野生型対立遺伝子および1つの突然変異体対立遺伝子)、ホモ接合性突然変異体、またはヘミ接合性(即ち、野生型または突然変異体対立遺伝子の単一コピー)と分類され得る。
本明細書で用いられる用語「RTDS」は、Cibusにより開発されたThe Rapid Trait Development System(商標)(RTDS)を指す。RTDSは、外来遺伝子または制御配列の取り込みを行わずに遺伝子配列の精密な変化を作製するのに効果的である部位特異的な遺伝子修飾システムである。
本明細書で用いられる用語「約」は、量的用語プラスまたはマイナス10%を意味する。例えば「約3%」は、2.7〜3.3%を包含し、「約10%」は、9〜11%を包含する。その上、「約」が、本明細書において量的用語と共に用いられている場合、その値プラスまたはマイナス10%に加えて、量的用語の厳密な値が企図および記載されることが、理解されなければならない。例えば用語「約3%」は、厳密に3%を明白に企図、記載および包含する。
RTDSおよび修復オリゴヌクレオチド(GRON)
本開示は一般に、ゲノムまたは他のヌクレオチド配列中の特異的位置に修飾を標的化させることの効率を改善する新規な方法に関する。加えて本開示は、本明細書に開示されたアプローチにより修飾、突然変異または標識された標的DNAに関する。本開示は、開示の方法により修飾された細胞、組織、および生物体にも関する。本開示は、一部が有効な変換システム:The Rapid Trait Development System(RTDS(商標)、Cibus US LLC)に関係する組成物および方法の開発に基づいている。
RTDSは、遺伝子配列をインサイチュで特異的に修飾し、外来DNAおよび遺伝子発現制御配列を挿入しない、細胞自身の遺伝子修復システムを利用することにより標的遺伝子を改変することに基づく。この手順は、遺伝子配列の精密な変化を実行するが、ゲノムの残りは、不変のままである。従来のトランジェニックGMOとは対照的に、外来遺伝子材料の組み込みはなく、植物中に残留する任意の外来遺伝子材料もない。RTDSにより導入された遺伝子配列の変化は、無作為に挿入されない。影響を受けた遺伝子が、ネイティブの位置に残っているため、発現の無作為な、非制御な、または有害なパターンが起こらない。
この変化を実行するRTDSは、DNAおよび修飾RNA塩基の両方、ならびに他の化学的部分で構成され得、標的遺伝子位置でハイブリダイズしてミスマッチ塩基対(複数可)を作製するように設計されている、本明細書に記載された化学合成オリゴヌクレオチド(GRON)である。このミスマッチ塩基対は、細胞自身の天然遺伝子修復システムをその部位に引き付けて、遺伝子内の指定されたヌクレオチド(複数可)を修正(交換、挿入または欠失)するためのシグナルとして作用する。修正工程が完了したら、RTDS分子が分解され、たった今修飾された、または修復された遺伝子が、遺伝子の正常な内在性制御機構の下で発現される。
本明細書に開示された方法および組成物は、本明細書および以下に詳細に記載されるコンフォメーションおよび化学的性質を有する「遺伝子修復オリゴヌクレオベース」(GRON)で実行または作製され得る。本明細書で企図される「遺伝子修復オリゴヌクレオベース」はまた、「組換え誘導性オリゴヌクレオベース」、「RNA/DNAキメラオリゴヌクレオチド」、「キメラオリゴヌクレオチド」、「混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド(MDON)」、「RNA DNAオリゴヌクレオチド(RDO)」、「遺伝子標的オリゴヌクレオチド」、「ジェノプラスト(genoplast)」、「一本鎖修飾オリゴヌクレオチド」、「一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド突然変異ベクター」(SSOMV)、「デュプレックス突然変異ベクター」および「ヘテロデュプレックス突然変異ベクター」などの他の名称を用いて、発表された科学文献および特許文献中に記載される。該遺伝子修復オリゴヌクレオベースは、非限定的にマイクロキャリア(バイオリスティック送達)、マイクロファイバー、ポリエチレングリコール(PEG)介在性の取り込み、電気穿孔、およびマイクロインジェクションをはじめとする、当該技術分野で一般に用いられる任意の方法を用いて植物細胞に導入され得る。
一実施形態において、該遺伝子修復オリゴヌクレオベースは、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドであり、該混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドのうちのRNAタイプのヌクレオチドは、2’−ヒドロキシルをフルオロ、クロロもしくはブロモ官能基で置き換えること、または2’−Oに置換基を置くことにより、RNase耐性にされる。適切な置換としては、Kmiec IIにより教示される置換基が挙げられる。別の置換としては、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,334,711号(Sproat)により教示される置換基、および特許公報EP629387およびEP679657(集合的にMartin出願)により教示される置換基を含む。本明細書で用いられる、リボヌクレオチドの2−フルオロ、クロロもしくはブロモ誘導体、またはMartin出願もしくはSproatに記載される置換基で置換されたT−OHを有するリボヌクレオチドは、「T−置換リボヌクレオチド」と称される。本明細書で用いられる用語「RNAタイプヌクレオチド」は、非置換のホスホジエステル結合またはKmiec IもしくはKmiec IIにより教示される非天然の結合のいずれかによって、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドの他のヌクレオチドに連結されたT−ヒドロキシルまたは2’−置換ヌクレオチドを意味する。本明細書で用いられる用語「デオキシリボタイプのヌクレオチド」は、非置換のホスホジエステル結合またはKmiec IもしくはKmiec IIにより教示される非天然の結合のいずれかによって、遺伝子修復オリゴヌクレオベースの他のヌクレオチドに連結され得るT−Hを有するヌクレオチドを意味する。
本開示の特定の実施形態において、該遺伝子修復オリゴヌクレオベースは、非置換ホスホジエステル結合のみにより連結された混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド(MDON)である。別の実施形態において、その結合は、Kmiec IIにより教示された通り、置換されたホスホジエステル、ホスホジエステル誘導体および非リンベースの結合によるものである。さらに別の実施形態において、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドにおける各RNAタイプのヌクレオチドは、2’−置換ヌクレオチドである。2’−置換リボヌクレオチドの詳細な好ましい実施形態は、2’−フルオロ、T−メトキシ、2’−プロピルオキシ、2’−アリルオキシ、2’−ヒドロキシルエチルオキシ、2’−メトキシエチルオキシ、T−フルオロプロピルオキシおよび2’−トリフルオロプロピルオキシで置換されたリボヌクレオチドである。2’−置換リボヌクレオチドのより好ましい実施形態は、2’−フルオロ、2’−メトキシ、2’−メトキシエチルオキシ、および2’−アリルオキシ置換ヌクレオチドである。別の実施形態において、該混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドは、非置換ホスホジエステル結合により連結される。
唯一の単一タイプの2’−置換RNAタイプのヌクレオチドを有する混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド(MDON)は、より簡便に合成されるが、本発明の方法は、2つ以上のタイプのRNAタイプヌクレオチドを有する混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドを用いて実践され得る。RNAセグメントの機能は、2つのRNAタイプのトリヌクレオチドの間にデオキシヌクレオチドを導入することにより生じる中断によっては影響を受けない場合があり、したがって用語RNAセグメントは、「中断されたRNAセグメント」などの用語を包含する。中断されていないRNAセグメントは、連続したRNAセグメントと称される。別の実施形態においては、RNAセグメントは、交互に並んだRNase耐性ヌクレオチドと非置換2’−OHヌクレオチドを含み得る。混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドは、幾つかの実施形態において100未満のヌクレオチド、別の実施形態において85未満のヌクレオチドであるが50を超えるヌクレオチドを有する。第一および第二の鎖は、ワトソン・クリック塩基対合される。一実施形態において、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドの鎖は、第一および第二の鎖が、1つの3’および1つの5’末端を有する1つのオリゴヌクレオチドチェーンのセグメントになるように、一本鎖のヘキサ、ペンタ、またはテトラヌクレオチドなどのリンカーにより共有結合される。3’および5’末端は「ヘアピンキャップ」の付加により保護され得、それにより3’および5’末端ヌクレオチドが隣接するヌクレオチドとワトソン・クリック対合される。第一および第二の鎖の間のワトソン・クリック対合が、安定されるように、第二のヘアピンキャップがさらに、3’および5’末端から離れた第一の鎖と第二の鎖の間の接合部に配置され得る。
第一および第二の鎖は、標的遺伝子/対立遺伝子の2つのフラグメントと相同的な、即ち標的遺伝子/対立遺伝子と同じ配列を有する、2つの領域を含む。相同的領域は、RNAセグメントのヌクレオチドを含み、連結するDNAセグメントの1つまたは複数のDNAタイプのヌクレオチドを含み得、介在するDNAセグメントの内部にないDNAタイプのヌクレオチドを含み得る。相同性を有する2つの領域は、標的遺伝子の配列と異なる配列を有する「非相同性領域」と称される領域により分離され、その領域に該2つの領域それぞれが隣接する。非相同性領域は、1、2または3個のミスマッチヌクレオチドを含み得る。ミスマッチヌクレオチドは、連続的であり得、あるいは標的遺伝子/対立遺伝子と相同的な1つまたは2つのヌクレオチドにより分離され得る。あるいは非相同性領域はまた、挿入、または1、2、3もしくは5つもしくはより少ないヌクレオチドを含み得る。あるいは混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドの配列は、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドからの1、2、3もしくは5個もしくはより少ないヌクレオチドの欠失によって、標的遺伝子/対立遺伝子と異なり得る。この場合、非相同性領域の長さおよび位置は、非相同性領域内に混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドのヌクレオチドが存在しない場合であっても、欠失の長さであると考えられる。置換または複数の置換が意図される場合に、2つの相同性領域に相補的な標的遺伝子のフラグメントの間の距離は、非相補的領域と同一である。非相同性領域が、挿入を含む場合、相同性領域は、それにより混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド中で、前記遺伝子/対立遺伝子中の相補的な相同性フラグメントよりもさらに遠くに分離され、非相同性領域が欠失をコードする場合には、逆のことがあてはまり得る。
混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドのRNAセグメントは、それぞれが相同性領域、即ち、標的遺伝子のフラグメントと配列が同一である領域の一部であり、幾つかの実施形態においてそれらのセグメントは、共に少なくとも13個のRNAタイプのヌクレオチド、幾つかの実施形態において16〜25個のRNAタイプのヌクレオチド、またはさらに別の実施形態において18〜22個のRNAタイプのヌクレオチド、または幾つかの実施形態において20個のヌクレオチドを含む。一実施形態において、相同性領域のRNAセグメントは、介在するDNAセグメントにより分離され、そして隣接される、即ち「連結される」。一実施形態において、非相同性領域の各ヌクレオチドは、介在するDNAセグメントのヌクレオチドである。混合型デュプレックスオリゴヌクレオチドの非相同性領域を含む介在するDNAセグメントは、「突然変異誘発セグメント」と称される。
本開示の別の実施形態において、遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)は、全体として参照により組み入れられる国際特許出願PCT/US00/23457、米国特許第6,271,360号、同第6,479,292号、および同第7,060,500号中に開示される通り、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド突然変異ベクター(SSOMV)である。SSOMVの配列は、米国特許第5,756,325号、同第5,871,984号、同第5,760,012号、同第5,888,983号、同第5,795,972号、同第5,780,296号、同第5,945,339号、同第6,004,804号、および同第6,010,907号ならびに国際出願WO98/49350、WO99/07865、WO99/58723、WO99/58702、およびWO99/40789中に記載される突然変異ベクターと同様の原理に基づく。SSOMVの配列は、突然変異誘発領域と称される所望の遺伝子改変を含む領域により分離された標的配列と相同的な2つの領域を含む。突然変異誘発領域は、標的配列中の相同性領域を分離する配列と同じ長さであるが、異なる配列を有する配列を有し得る。そのような突然変異誘発領域は、置換をもたらし得る。あるいは、SSOMV中の相同性領域は、互いに連続し得るが、同じ配列を有する標的遺伝子中の領域は、1、2、またはより多いヌクレオチドにより分離されている。そのようなSSOMVは、SSOMVに存在しないヌクレオチドの標的遺伝子からの欠失をもたらす。最後に、相同性領域と同一の標的遺伝子の配列は、標的遺伝子中で隣接し得るが、SSOMVの配列中では1、2、またはより多くのヌクレオチドにより分離され得る。そのようなSSOMVは、標的遺伝子の配列において挿入をもたらす。特定の実施形態において、SSOMVは、それ自身にアニーリングしない。
SSOMVのヌクレオチドは、3’末端および/または5’末端のヌクレオチド間結合、あるいは2つの3’末端および/または5’末端のヌクレオチド間結合が、ホスホロチオアートまたはホスホアミダートであり得る場合を除き、非修飾ホスホジエステル結合により連結されたデオキシリボヌクレオチドである。本明細書で用いられるヌクレオチド間結合は、SSOMVのヌクレオチド間の結合であり、3’末端ヌクレオチドまたは5’末端ヌクレオチドとブロック置換の間の結合を含まない。特定の実施形態において、SSOMVの長さは、21〜55の間のデオキシヌクレオチドであり、相同性領域の長さは、それに応じて全長で少なくとも20デオキシヌクレオチドであり、少なくとも2つの相同性領域は、それぞれ少なくとも8デオキシヌクレオチドの長さを有さなければならない。
SSOMVは、標的遺伝子のコード鎖または非コード鎖のいずれかに相補的であるよう設計することができる。所望の変異が、単独塩基の置換である場合、突然変異誘発ヌクレオチドおよび標的ヌクレオチドの両方がピリミジンであることが、好ましい。所望の機能的結果の実現に合致する程度に、相補鎖において突然変異誘発ヌクレオチドおよび標的ヌクレオチドの両方がピリミジンであることが、好ましい。特に好ましいのは、転換突然変異をコードするSSOMVであり、即ち、CまたはT突然変異誘発ヌクレオチドが、それぞれ相補鎖におけるCまたはTヌクレオチドとミスマッチしている。
岡崎フラグメント/2’−OME GRONの設計。様々な実施形態において、GRONは、RNAとDNAの両方のヌクレオチドならびに/または他の型のヌクレオベースを有し得る。幾つかの実施形態において、DNAまたはRNAヌクレオチドのうちの1つまたは複数が、修飾を含む。特定の実施形態において、最初の5’ヌクレオチドは、RNAヌクレオチドであり、残りのヌクレオチドは、DNAである。さらなる実施形態において、最初の5’RNAヌクレオチドは、2−O−Meで修飾されている。他の実施形態において、最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはより多くの5’ヌクレオチドは、RNAヌクレオチドであり、残りのヌクレオチドは、DNAである。さらなる実施形態において、最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはより多くの5’RNAヌクレオチドのうちの1つまたは複数は、2−O−Meで修飾されている。植物細胞においては、DNA中での二本鎖切断は、典型的にはNHEJ DNA修復経路によって修復される。この経路は、DNAを修復するためのテンプレートを必要とせず、したがって誤りがちである。植物細胞に関してDNAを修復するためにこの経路を使用する利点は、それが迅速で遍在的であり、最も重要なこととして細胞がDNA複製を受けていない時に起こり得るということである。植物細胞における複製フォークの外側の二本鎖切断を修復する際に機能する別のDNA修復経路は、相同組換え(HR)と呼ばれるが、NHEJ経路とは異なり、この型の修復は精密で、DNAテンプレート(GRON)の使用を必要とする。これらのGRONは、標的遺伝子のDNA複製フォークにおいて岡崎フラグメントを模倣するため、二本鎖DNAカッターと共にそれらを使用することは、当業者には自明ではない。
効率の改善
本開示は、修復オリゴヌクレオチドを使用する、標的遺伝子の変換の有効性を高めるための複数のアプローチを提供し、それらは単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。これらは以下を含む:
1.DNA修復機構を標的(ミスマッチ)部位に引きつける修復オリゴヌクレオチドに修飾を導入すること。
A.オリゴヌクレオチド(例えば、10塩基以内、幾つかの実施形態において所望ミスマッチ部位の5塩基)における1つまたは複数の脱塩基部位の導入により、塩基切除修復(BER)中の中間体である損傷が生じ、それによってBER機構を修復オリゴヌクレオチドによる変換の標的とされる部位の近辺に引きつける。dSpacer(脱塩基フラン)修飾オリゴヌクレオチドは、例えばTakeshita et al.,J.Biol.Chem.,262:10171−79,1987中に記載されたように調製することができる。
B.オリゴヌクレオチド中への、またはオリゴヌクレオチドと一緒のいずれかの、一本鎖または二本鎖切断を誘導する化合物の含有によって、NHEJ、マイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)、および相同組換えにより修復される損傷が生じる。例として、ブレオマイシンファミリーの抗生物質、亜鉛フィンガー、FokI(または任意のIIS型クラスの制限酵素)および他のヌクレアーゼは、修復オリゴヌクレオチドによる変換の標的とされる部位の近辺に二本鎖切断を導入するために、修復オリゴヌクレオチドの3’または5’末端に共有結合され得る。ブレオマイシンファミリーの抗生物質は、ブレオマイシン、ゼオシン、フレオマイシン、タリソマイシン、ペプレオマイシンなどを含むDNA切断性糖ペプチドである。
C.オリゴヌクレオチド(例えば、10塩基以内、および幾つかの実施形態において所望ミスマッチ部位の5塩基)に取り込まれる1つまたは複数の8’オキソdAまたはdGの導入によって、活性酸素種によって生成される損傷と類似した損傷が生じる。これらの損傷は、いわゆる「押込み修復(pushing repair)」系を誘導する。例えば、Kim et al.,J.Biochem.Mol.Biol.37:657−62,2004を参照されたい。
2.修復オリゴヌクレオチドの安定性の増大:
修復オリゴヌクレオチド上に3’ブロッキング末端を作製するためのオリゴヌクレオチドの3’末端における逆向き塩基(idC)の導入。
修復オリゴヌクレオチドの5’および/または3’末端におけるハイブリダイゼーションエネルギーを増大させる1つまたは複数の2’O−メチルヌクレオチドまたは塩基の導入(例えば、WO2007/073149参照)。
修復オリゴヌクレオチドの5’末端における1つまたは複数の2’O−メチルRNAヌクレオチドの導入により、所望のミスマッチ部位をもたらすDNA塩基が生じ、それによって岡崎フラグメント様核酸構造を生成する。
アクリジン、ソラレン、臭化エチジウムおよびSyber染色剤などのコンジュゲートされた(5’または3’)挿入色素。
T/Aクランプ、コレステロール部分、SIMA(HEX)、リボCおよびアミダイトなどの5’末端キャップの導入。
ホスホチオアート、2’O−メチル、メチルホスホナート、ロックド核酸(LNA)、MOE(メトキシエチル)、diPSおよびペプチド核酸(PNA)などの骨格修飾。
例えばシスプラチンおよびマイトマイシンCなどの鎖間架橋試薬による、修復オリゴヌクレオチドの架橋。
Cy3、DY547、Cy3.5、Cy3B、Cy5およびDY647などの蛍光色素とのコンジュゲーション。
3.ハイブリダイゼーションエネルギーを増大させる塩基の取り込みによる、修復オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションエネルギーの増大(例えば、WO2007/073149参照)。
4.合成用の構成単位としてヌクレオチド多量体(2量体、3量体、4量体など)を使用することによる、修復オリゴヌクレオチド合成の品質の向上。これによって、構成単位からの完全長産物のより少ないカップリングステップおよびより容易な分離をもたらす。
5.長鎖修復オリゴヌクレオチド(即ち、例えば1個もしくは複数の突然変異、または修復オリゴヌクレオチド中で標的化された2個以上の突然変異を有する、例えば本明細書に記載された長さなど、55ヌクレオチド長を超える)の使用。
前述のアプローチの例を、表1に提供する。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
前述の修飾は、メチル化、5’挿入色素、5’および3’末端への修飾、骨格修飾、架橋剤、環化、および「キャップ」、ならびにイノシンなどの類似体による1つまたは複数の天然由来ヌクレオチドの置換など、公知のヌクレオチド修飾も包含し得る。ヌクレオチドの修飾は、アクリジン、アミン、ビオチン、カスケードブルー、コレステロール、Cy3@、Cy5@、Cy5.5@、Daboyl、ジゴキシゲニン、ジニトロフェニル、Edans、6−FAM、フルオレセイン、3’−グリセリル、HEX、IRD−700、IRD−800、JOE、ホスファートソラレン、ローダミン、ROX、チオール(SH)、スペーサー、TAMRA、TET、AMCA−S’’、SE、BODIPY°、マリーナブルー@、パシフィックブルー@、オレゴングリーン@、ローダミングリーン@、ローダミンレッド@、ロドールグリーン@およびテキサスレッド@の付加を包含する。ポリヌクレオチド骨格修飾としては、メチルホスホナート、2’−OMeメチルホスホナートRNA、ホスホロチオラート、RNA、2’−OMeRNAが挙げられる。塩基修飾としては、2−アミノ−dA、2−アミノプリン、3’−(ddA)、3’dA(コルジセピン)、7−デアザ−dA、8−Br−dA、8−オキソ−dA、N6−Me−dA、脱塩基部位(dSpacer)、ビオチンdT、2’−OMe−5Me−C、2’−OMe−プロピニル−C、3’−(5−Me−dC)、3’−(ddC)、5−Br−dC、5−1−duc、5−Me−dC、5−F−dC、カルボキシ−dT、変換可能dA、変換可能dC、変換可能dG、変換可能dT、変換可能dU、7−デアザ−dG、8−Br−dG、8−オキソ−dG、O6−Me−dG、S6−DNP−dG、4−メチル−インドール、5−ニトロインドール、2’−OMe−イノシン、2’−dl、o6−フェニル−dl、4−メチル−インドール、2’−デオキシネブラリン、5−ニトロインドール、2−アミノプリン、dP(プリン類似体)、dK(ピリミジン類似体)、3−ニトロピロール、2−チオ−dT、4−チオ−dT、ビオチン−dT、カルボキシ−dT、04−Me−dT、04−トリアゾール−dT、2’−OMe−プロピニル−U、5−Br−dU、2’−dU、5−F−dU、5−l−dU、04−トリアゾール−dUが挙げられる。前記用語は、ペプチド核酸(PNA)、その骨格が糖ではなくN−(2−アミノエチル)−グリシン単位からなる擬似ペプチドであるDNA類似体も包含する。PNAは、DNAの挙動を模倣し、相補的核酸鎖と結合する。PNAの中性骨格は、通常得られるものより強い結合と高い特異性をもたらす。さらに、PNAの独自の化学的、物理的および生物学的性質が、強力な生体分子ツール、アンチセンスおよびアンチジーン物質、分子プローブ、ならびにバイオセンサーを生成するために活用されている。
オリゴヌクレオベースは、ニック(複数可)、ギャップ(複数可)、修飾オリゴヌクレオチド骨格、脱塩基ヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチド、または他の化学的部分を有し得る。さらなる実施形態において、オリゴヌクレオベースの少なくとも1本の鎖は、少なくとも1つのさらなる修飾ヌクレオチド、例えばMOE(メトキシエチル)などの2’−O−メチル修飾ヌクレオチド、5’−ホスホロチオアート基を有するヌクレオチド、コレステリル誘導体に連結された末端ヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチド、2’−デオキシ−修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド(ヌクレオベースが欠失状態であるか、またはその代わりにヒドロキシル基を有する)(例えば、Glen Research、http://www.glenresearch.com/GlenReports/GR21−14.html参照)、2’−アミノ修飾ヌクレオチド、2’−アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミダイト、および非天然塩基含有ヌクレオチドを含む。様々な塩、混合塩および遊離酸形態も含まれる。
好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格としては、例えばホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホナート、5’−アルキレンホスホナートおよびキラルホスホナートをはじめとするメチルおよび他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3’−アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダート、チオノホスホロアミダートをはじめとするホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、通常の3’−5’結合を有するセレノホスファートおよびボラノホスファート、これらの2’−5’結合類似体、ならびに反転極性(inverted polarity)を有し1つまたは複数のヌクレオチド間結合が3’−3’、5’−5’または2’−2’結合である骨格が挙げられる。反転極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、最も3’側のヌクレオチド間結合に1つの3’−3’結合、即ち脱塩基であり得る(ヌクレオベースが欠失状態であるか、またはその代わりにヒドロキシル基を有する)1つの反転ヌクレオシド残基を含む。結合反転(linkage inversion)の最も一般的な用途は、ホスホロチオアート骨格を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの末端に3’−3’結合を付加することである。3’−3’結合は、2個の5’−OH末端を有し3’−OH末端を有さないオリゴヌクレオチドを作製することによって、エキソヌクレアーゼ分解に対してアンチセンスオリゴヌクレオチドをさらに安定化させる。結合反転は、「逆ホスホロアミダイト」を使用することによって、オリゴヌクレオチド合成中に特定位置に導入され得る。これらの試薬は、5’−OH位置のホスホロアミダイト基、および3’−OH位置のジメトキシトリチル(DMT)保護基を有する。通常、DMT保護基は、5’−OH上にあり、ホスホロアミダイト基は、3’−OH上にある。
修飾塩基の例としては、2−アミノプリン、2’−アミノ−ブチリルピレン−ウリジン、2’−アミノウリジン、2’−デオキシウリジン、2’−フルオロ−シチジン、2’−フルオロ−ウリジン、2,6−ジアミノプリン、4−チオ−ウリジン、5−ブロモ−ウリジン、5−フルオロ−シチジン、5−フルオロウリジン、5−インド−ウリジン、5−メチル−シチジン、イノシン、N3−メチル−ウリジン、7−デアザ−グアニン、8−アミノヘキシル−アミノ−アデニン、6−チオ−グアニン、4−チオ−チミン、2−チオ−チミン、5−ヨード−ウリジン、5−ヨード−シチジン、8−ブロモ−グアニン、8−ブロモ−アデニン、7−デアザ−アデニン、7−ジアザ−グアニン、8−オキソ−グアニン、5,6−ジヒドロ−ウリジン、および5−ヒドロキシメチル−ウリジンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの合成単位は、市販されており(例えば、Glen Research Companyから購入可能)、化学合成によりDNAに組み込むことができる。
糖部分の修飾の例は、3’−デオキシ化(3’−deoxylation)、2’−フッ素化、およびアラビノシド化(arabanosidation)であるが、これらに限定されると解釈すべきでない。DNA中へのこれらの組み込みもまた、化学合成により可能である。
5’末端修飾の例は、5’−アミノ化、5’−ビオチン化、5’−フルオレセイン化、5’−テトラフルオロ−フルオレセイン化、5’−チオン化(5’−thionation)、および5’−ダブシル化であるが、これらに限定されると解釈すべきでない。
3’末端修飾の例は、3’−アミノ化、3’−ビオチニル化、2,3−ジデオキシ化、3’−チオン化、3’−ダブシル化、3’−カルボキシル化、および3’−コレステリル化であるが、これらに限定されると解釈すべきでない。
好ましい一実施形態において、該オリゴヌクレオベースは、リンカーを介して5’末端炭素に付着した5’ブロッキング置換基を含有し得る。該リンカーの化学的性質は、その長さ以外は重要ではなく、長さは幾つかの実施形態において、少なくとも6原子長でなければならず、リンカーは、柔軟性でなければならない。ビオチン、コレステロールもしくは他のステロイドなどの種々の非毒性置換基、または非挿入カチオン性蛍光色素を、使用することができる。オリゴヌクレオベースを作製するのに特に好ましい試薬は、Glen Research,Sterling Va.(現在GE Healthcare)によってCy3(商標)およびCy5(商標)として販売されている試薬であり、これらは、オリゴヌクレオチドへの組み込みによって、3,3,3’,3’−テトラメチルN,N’−イソプロピル置換インドモノカルボシアニンおよびインドジカルボシアニン色素をそれぞれ生成するブロックされたホスホロアミダイトである。Cy3が、特に好ましい。インドカルボシアニンが、N−オキシアルキル置換されている場合、それは、簡便には5’末端リン酸を有するホスホジエステルとしてオリゴデオキシヌクレオチドの5’末端に連結され得る。市販のCy3ホスホロアミダイトが、指導された通り用いられる場合、得られた5’修飾は、ブロッキング置換基とリンカーからなり、それらは一緒になってN−ヒドロキシプロピル,N’−ホスファチジルプロピル3,3,3’,3’−テトラメチルインドモノカルボシアニンになっている。企図される他の色素としては、ローダミン6G、テトラメチルローダミン、スルホローダミン101、メロシアニン540、Atto565、Atto55026、Cy3.5、Dy547、Dy548、Dy549、Dy554、Dy555、Dy556、Dy560、mStrawberryおよびmCherryが挙げられる。
好ましい実施形態において、該インドカルボシアニン色素は、インドール環の3および3’位で四置換されている。理論について限定されないが、これらの置換基は、色素が挿入色素になるのを防止する。これらの位置における該置換基の同一性は、重要ではない。
本明細書に記載されたオリゴ設計はまた、非限定的に亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、転写活性化様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)またはクラスター化され、規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)による部位特異的相同組換えを使用する遺伝子標的化をはじめとする他のDNA編集または組換え技術と組み合わせて、より効率的なドナーテンプレートとして用いられ得る。
本開示は、特定の態様および実施形態においては、一般に、ゲノム細胞DNAの効率的な修飾および/または細胞のゲノムDNAへのDNAの組換えのための方法に関する。任意の特定の使用に限定されないが、本明細書で提供する幾つかの方法は、特定の実施形態においては、例えば、細胞に及ぼす修飾の影響を決定する目的で細胞のゲノム中に修飾を導入する際に有用であり得る。例えば、酵素をコードするヌクレオチド配列に修飾を導入して、修飾が酵素の酵素活性を改変するか否かを決定すること、および/または酵素の触媒領域の位置を決定することができる。あるいは、DNA結合タンパク質のコード配列に修飾を導入して、タンパク質のDNA結合活性が改変されるか否かを決定することができ、したがってタンパク質内の特定DNA結合領域を描くことができる。さらに別の代替法は、非コード調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサ、調節RNA配列(miRNA)など)と動作可能に連結された第2の配列の発現レベルに及ぼす修飾の影響を決定するために、該非コード調節配列に修飾を導入することである。これは例えば、調節活性を有する特定配列を画定するのに望ましくなり得る。
DNAカッター
標的遺伝子破壊をもたらすための一方策は、部位特異性エンドヌクレアーゼなどのDNAカッターを使用する一本鎖または二本鎖DNA切断の発生によるものである。エンドヌクレアーゼは、藻類、植物、およびヒトをはじめとする大動物モデルなどの、より従来型の遺伝子標的法を伝統的に受けにくい生物体における標的遺伝子破壊に最も頻繁に使用される。例えば、HIV感染を処置および予防するための、亜鉛フィンガーヌクレアーゼを含む目下進行中のヒト臨床試験がある。さらに、エンドヌクレアーゼ操作は、作物中に望ましくない表現型をもたらす遺伝子を破壊する試みにおいて現在使用されている。
亜鉛フィンガー
人工エンドヌクレアーゼの1クラスが、亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼである。亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼは、典型的にはFokIエンドヌクレアーゼの、非特異的切断ドメインと、特異的DNA配列と結合するように操作された亜鉛フィンガータンパク質ドメインを組み合わせる。亜鉛フィンガーエンドヌクレアーゼのモジュラー構造によって、それらはゲノムに部位特異的二本鎖切断をもたらす用途の広い基盤となる。FokIエンドヌクレアーゼは、2量体として切断するため、オフターゲット切断事象を予防するための一方策は、隣接する9塩基対部位で結合する亜鉛フィンガードメインを設計することであった。それぞれが全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,285,416号;同第7,521,241号;同第7,361,635号;同第7,273,923号;同第7,262,054号;同第7,220,719号;同第7,070,934号;同第7,013,219号;同第6,979,539号;同第6,933,113号;同第6,824,978号も参照されたい。
TALEN
TALENは、特異的DNA部位に一本鎖および二本鎖切断を誘導し、その後、切断部位に配列改変を作製するのに活用され得るメカニズムにより修復されるために用いられる標的化可能なヌクレアーゼである。
TALENのDNA結合領域を操作するのに用いられる基本的なビルディングブロックは、キサントモナス種プロテオバクテリアによりコードされた天然由来のTALEから得られる高度に保存された反復ドメインである。TALENによるDNA結合は、反復単位のアミノ末端とカルボキシ末端でさらなるTALE由来ドメインと隣接した、高度に保存された33〜35アミノ酸反復単位のアレイによって媒介される。
これらのTALE反復単位は、DNAの一塩基と特異的に結合し、その同一性は、反復単位の位置12と13に典型的に見出される2つの超可変残基と、所望の標的核酸の長さに対応するアレイ中の反復単位の数、標的核酸配列とマッチするように選択された反復単位の同一性によって決定される。幾つかの実施形態において、該標的核酸は、標的部位の選択性を最大にするために、15〜20塩基対の間である。標的核酸の切断は、典型的にTALEN結合の50塩基対以内で起こる。TALEN認識部位設計に関するコンピュータプログラムは、当該技術分野で記載されている。例えば、Cermak et al.,Nucleic Acids Res.2011 July;39(12):e82を参照されたい。
所望の標的配列とマッチするよう設計されたら、TALENを組換え技術によって発現させ、外因性タンパク質としてプロトプラストに導入するか、またはプロトプラスト内でプラスミドから発現させるか、またはmRNAとして投与することが可能である。
メガヌクレアーゼ
メガヌクレアーゼとしても知られるホーミングエンドヌクレアーゼは、それらの大きな(例えば、14bpを超える)切断部位のため、高度の特異性でゲノムDNAにおいて二本鎖切断を発生させる配列特異性エンドヌクレアーゼである。それらの標的部位に対するホーミングエンドヌクレアーゼの特異性によって、誘導型DNA切断の精密な標的化が可能になるが、ホーミングエンドヌクレアーゼの切断部位は、希少であり、標的遺伝子中で天然由来の切断部位を見出す可能性は低い。
人工エンドヌクレアーゼの別のクラスが、操作型メガヌクレアーゼである。操作型ホーミングエンドヌクレアーゼは、既存のホーミングエンドヌクレアーゼの特異性を修飾することにより生成される。一アプローチでは、天然由来のホーミングエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列に変異を導入し、その後、得られた操作型ホーミングエンドヌクレアーゼをスクリーニングして、標的結合部位を切断する機能性タンパク質を選択する。別のアプローチでは、2つの異なるホーミングエンドヌクレアーゼの認識部位を組み合わせて、各ホーミングエンドヌクレアーゼの半分の部位で構成された新たな認識部位を作製することによって、キメラホーミングエンドヌクレアーゼを操作する。例えば、米国特許第8,338,157号を参照されたい。
CRISPRまたはCRISPR/cas系
CRISPR−Cas系は、3つの基本設計要素:1)Cas遺伝子、転写産物(例えば、mRNA)またはタンパク質;2)ガイドRNA(gRNA);ならびに3)外来DNA部位(例えば、内在性DNA標的領域)およびCRISPR反復単位の一部に相補的である「プロトスペーサー」領域を担持する、CRISPR反復単位アレイをコードするRNA転写産物からプロセシングされるRNAセグメントであるcrRNA(CRISPR RNA)を含有する。例えば、PCT出願WO/2014/093661およびWO/2013/176772を参照されたい。
Cas(CRISPR関連)遺伝子、転写産物(例えば、mRNA)またはタンパク質
プラスミドベクターからの一過性Cas発現は、Casタンパク質の送達を指導し、そして/または植物細胞へのCas mRNAの送達を指導する。Cas遺伝子は、高等植物、藻類または酵母における発現のためにコドン最適化され、適用可能ならば、構成的、誘導性、組織特異的または種特異的プロモーターのいずれかによって駆動される。Cas転写産物の終結およびポリアデニル化シグナルは、NosT、RBCT、HSP18.2Tまたは他の遺伝子特異性もしくは種特異性ターミネーターのいずれかである。Cas遺伝子カセットまたはmRNAは、イントロンをネイティブで、または遺伝子特異的プロモーターおよび/もしくは合成プロモーターと共に、含有し得る。Casタンパク質は、1つまたは複数の核局在化シグナル配列(NLS)、突然変異、欠失、改変またはトランケーションを含有し得る。一過性発現系では、Cas遺伝子カセットを、同じ一過性発現ベクター上のgRNAカセットなどのCRISPR−Cas系の他の成分と組み合わせることができる。あるいは、Cas遺伝子カセットを、gRNAカセットとは独立した構築物から、またはCRISPR−Cas系の他の成分から配置および発現させることができる。CRISPR関連(Cas)遺伝子は、ヌクレアーゼ、ヘリカーゼおよびポリメラーゼなどの種々の予測された核酸操作活性を有するタンパク質をコードする。Cas遺伝子は、cas9を含む。Cas9は、予測されたRuvC様およびHNHエンドヌクレアーゼドメインを含有する大きなタンパク質をコードする遺伝子であり、ほとんどの古細菌および多くの細菌中に存在するCRISPR適応免疫系と関連する。Cas9タンパク質は、2つのローブからなる:
1)認識(REC)ローブ−3つのドメイン:
a)BH(架橋らせん)
b)REC1−RNA先導型DNA標的化を容易にする
c)REC2−RNA先導型DNA標的化を容易にする
からなる;
2)ヌクレアーゼ(NUC)ローブ−3つのドメイン:
a)RuvC−RNA先導型DNA標的化を容易にする;エンドヌクレアーゼ活性
b)HNH−エンドヌクレアーゼ活性
c)PI−PAM相互作用
からなる。
他の実施形態において、cas遺伝子は、RuvC、HNH、RECおよびBHドメインが高度に保存されたcas9の相同体であり得る。幾つかの実施形態において、cas遺伝子は、以下の種に由来するものである。
ガイドRNA(gRNA)
gRNAまたはsgRNA(単一ガイドRNA)は、crRNAと、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)配列の一部との融合体として操作され、プロトスペーサー領域に相補的である特異的な標的DNA配列にCas9を先導する。ガイドRNAは、長いトレーサーRNAハイブリッド、短いtracrRNAハイブリッドまたはネイティブCRISPRアレイ+tracrRNAコンフォメーションを有するキメラRNA設計を含有する発現カセットを含み得る。キメラgRNAは、crRNAの標的化特異性と、単一転写産物へのtracrRNAの足場化特性とを組み合わせたものである。gRNAの一過性発現は、U6またはU3 snRNA遺伝子ファミリー(Wang et al 2008)に由来するものなどの種特異性高等植物RNAポリメラーゼIIIプロモーターにより制御される。gRNA転写産物の終結は、Wang et al 2008によりポリdTの6〜20ヌクレオチド域によって制御される。gRNA発現カセットは、CRISPR−Cas系の他の成分に由来する同一または異なる一過性発現ベクター上に位置する。gRNA転写産物は、インビトロで合成されて、gRNA一過性発現ベクターとは独立して、またはそれと共に、植物細胞中に直接送達することができる。
標的領域
ガイドRNAは、DNA標的領域に対する特異性を定義する2つの成分:プロトスペーサーおよびプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含有する。典型的には20ヌクレオチドであるがDNA標的に基づいて変動し得るプロトスペーサー配列は、CRISPR−Cas複合体へのDNA配列特異性を提供する。DNA標的はまた、NNGまたはNAGトリヌクレオチド配列(PAM)(ここでNは、プロトスペーサーのすぐ3’側または下流の任意のヌクレオチドを表す)も含有する。
一成分法
Le Congら(2013)などと同様に、CRISPR−Cas遺伝子編集の単純化された「一成分法」は、単一の一過性発現構築物がCRISPR−Cas複合体の全ての成分、即ちgRNAとCas発現カセットの両方を含有するものである。これにより、任意の所与の植物または作物において単一または複数の遺伝子座を標的にするための容易なモジュラー設計が可能になる。複数の遺伝子座の標的化は、単に標的特異性gRNAカセット中でスワップすることによって実現され得る。さらに、種特異性プロモーター、ターミネーターまたは他の発現強化エレメントを、「一成分法」の一過性ベクター中に、および該ベクターから容易にシャトルして、種特異的手法でgRNAとCasタンパク質の両方の最適な発現を可能にすることができる。
二成分法
二成分法においては、CasおよびgRNA発現カセットは、異なる一過性発現ベクター上に位置する。これにより、CRISPR−Cas編集成分の別々の送達が可能になり、同じ細胞内で異なるgRNA:Cas比が可能になる。一成分法と同様に、二成分法もまた、プロモーター、ターミネーターまたはCRISPR−Cas成分の発現に影響を及ぼす他のエレメントを容易に改変させ、種特異的手法でDNAの標的化を可能にする。
抗生物質
エンドヌクレアーゼの別のクラスは、ブレオマイシンファミリーの抗生物質などのDNA切断性糖ペプチドである抗生物質であり、ブレオマイシン、ゼオシン、フレオマイシン、タリソマイシン、ペプレオマイシンおよび本明細書にさらに記載される他のものを含むDNA切断性糖ペプチドである。
他のDNA修飾分子を、標的遺伝子組換えにおいて用いることができる。例えば、ペプチド核酸を使用して、標的細胞または複数の標的細胞のゲノムに対する修飾を誘導することができる(例えば、参照により本明細書に組み入れられるEckerの米国特許第5,986,053号参照)。手短に述べると、少なくとも部分的なペプチド骨格を含む合成ヌクレオチドを用いて、相同性ゲノムヌクレオチド配列を標的にする。二重らせんDNAとの結合によって、またはペプチド核酸にライゲートされた変異原性物質を介して、標的DNA配列の修飾および/または組換えが起こるよう誘導される。標的特異性は、標的配列とゲノム配列の間の配列相同性の度合いによって決定される。
さらに本開示は、ゲノム配列の修飾を実施するために本明細書で用いられる個々の方法に限定されない。実際には、複数の方法が企図される。例えば、三重らせん形成オリゴヌクレオチド(TFO)を使用して、遺伝子を標的にすることができる。TFOは合成により、例えばPCRにより、または遺伝子合成装置の使用により作製することができる。加えて、適切な天然配列が見出される場合、TFOをゲノムDNAから単離することができる。例えば、非限定的にソラレンまたはクロラムブシルなどの変異原性物質へつなぐことによるなど、TFOを複数の方法に使用することができる(例えば、Havre et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.90:7879−7883,1993;Havre et al.,J Virol67:7323−7331,1993;Wang et al.,Mol Cell Biol 15:1759−1768,1995;Takasugi et al.,Proc Nat’l Acad Sci,U.S.A.88:5602−5606,1991;Belousov et al.,Nucleic Acids Res25:3440−3444,1997参照)。さらに例えば、TFOは、ドナーデュプレックスDNAにつなぐことができる(例えば、Chan et al.,J Biol Chem 272:11541−11548,1999参照)。TFOは、謝りがちな修復を誘発するのに十分な親和性で結合することにより作用することもできる(Wang et al.,Science271:802−805,1996)。
本明細書に開示される方法は、使用されるDNA修復試薬の性質または型に必ずしも限定されない。例えば、そのようなDNA修復試薬は、ラジカルを放出して、DNA鎖切断をもたらす。あるいは、該試薬は、DNAをアルキル化して、複製および転写を遮断する付加体を形成する。別の代替法では、該試薬は、細胞酵素を阻害する架橋または分子をもたらし、鎖切断に導く。オリゴヌクレオチドに連結してTFOを形成したDNA修復試薬の例としては、インドロカルバゾール、ナフタレンジイミド(NDI)、トランスプラチン、ブレオマイシン、シクロプロパピロールインドールの類似体、およびフェナントジヒドロジオキシンが挙げられるが、これらに限定されない。特に、インドロカルバゾールは、トポイソメラーゼI阻害剤である。これらの酵素の阻害は、鎖切断およびDNAタンパク質付加体形成をもたらす(Arimondo et al.,Bioorganic and Medicinal Chem.8,777,2000)。NDIは、グアニンを酸化することができる光酸化剤であり、これはグアニン残基の部位に突然変異を引き起こす可能性がある(Nunez,et al.,Biochemistry,39,6190,2000)。TFOが該試薬に連結されると、トランスプラチンが、三本鎖標的中のDNAと反応することが示されている。この反応は、突然変異誘発性であるDNA付加体の形成を引き起こす(Columbier,et al.,Nucleic Acids Research,24:4519,1996)。ブレオマイシンは、放射線模倣体として広く使用されているDNA切断物質である。それは、オリゴヌクレオチドに連結し、その形式で切断物質として活性があることが示されている(Sergeyev,Nucleic Acids Research23,4400,1995;Kane,et al.,Biochemistry,34,16715,1995)。シクロプロパピロロインドールの類似体は、TFOに連結され、トリプレックス標的配列中のDNAをアルキル化することが示されている。したがって該アルキル化DNAは、突然変異誘発性である化学的付加体を含有する(Lukhtanov,et al.,Nucleic Acids Research,25,5077,1997)。フェナントジヒドロジオキシンは、光活性化によりラジカル種を放出するマスクドキノンである。それらはTFOに連結され、光活性化によりデュプレックスDNAに切断を導入することが示されている(Bendinskas et al.,Bioconjugate Chem.9,555,1998)。
修飾および/または組換えを誘導する他の方法が、本開示により企図される。例えば別の実施形態は、外因性DNAフラグメントと標的遺伝子の間の(例えば、Capecchi et al.,Science244:1288−1292,1989参照)、または標的部位への親和性を有するペプチド核酸(PNA)の使用による、相同組換えの誘導を含む。さらに他の方法は、ポリアミドによる配列特異的DNA認識および標的化(例えば、Dervan et al.,Curr Opin Chem Biol3:688−693,1999;Biochemistry38:2143−2151,1999参照)、ならびに部位特異的活性を有するヌクレアーゼ(例えば、亜鉛フィンガータンパク質、TALEN、メガヌクレアーゼおよび/またはCRISPR)の使用を含む。
本開示は、任意の特定の修飾および/または組換えの頻度に限定されない。幾つかの実施形態において、本明細書に開示された方法は、標的ヌクレオチド配列において0.2%〜3%の修飾頻度をもたらす。それでもなお、任意の(即ち、0%〜100%の間の)修飾および/または組換え頻度が、本開示の範囲内にあることが企図される。修飾および/または組換え頻度は、修飾および/または組換えを誘導するために用いられる方法、使用される細胞型、標的にされる特異的遺伝子、および存在する場合には使用されるDNA突然変異誘発試薬に依存する。加えて、修飾および/または組換えを検出するために用いられる方法は、検出法における制約のため、全ての修飾および/または組換えの出現を検出できるわけではない。その上、一部の修飾および/または組換え事象が、サイレントであり、修飾および/または組換えが生じたことの検出可能な指標を与えない場合がある。サイレントの修飾および/または組換え事象の検出不能は、修飾および/または組換えの人為的に低い推定値をもたらす。これらの理由などから、本開示は、任意の特定の修飾および/または組換え頻度に必ずしも限定されない。一実施形態において、修飾および/または組換え頻度は、0.01%〜100%の間である。別の実施形態において、修飾および/または組換え頻度は、0.01%〜50%の間である。さらに別の実施形態において、修飾および/または組換え頻度は、0.1%〜10%の間である。他のさらに別の実施形態において、修飾および/または組換え頻度は、0.1%〜5%の間である。
細胞のゲノム中の標的部位に突然変異を導入することが可能なDNA修飾分子で処置される細胞集団に関連して本明細書で用いられる用語「突然変異の頻度」は、DNA修飾分子で処置される細胞の総数と比較した、標的部位に突然変異を含有する処置集団中の細胞数を指す。例えば、細胞のゲノム中の標的部位に突然変異を導入するように設計されたソラレンにつながれたDNA修飾分子TFOで処置された細胞集団に関しては、5%の突然変異の頻度は、TFO−ソラレンで処置された細胞の合計100個のうち、5個が標的部位に突然変異を含有することを意味する。
本開示は、細胞中のDNAの修飾および/または組換えにおける任意の精度に必ずしも限定されないが、本開示の幾つかの実施形態は、所望の結果に応じてより高い精度を必要とすることが企図される。例えば、遺伝子修復に必要とされる特異的配列変化(例えば、特定塩基の変化)は、遺伝子破壊のみが必要な遺伝子ノックアウトの発生と比較して、より高い精度を必要とする。本開示の方法によれば、先行技術の方法を用いるより、高精度の修飾および/または相同組換え技法を得る可能性が高くなる。
植物細胞への遺伝子修復オリゴヌクレオベースの送達
植物細胞を形質転換するのに用いられる任意の一般に知られる方法を、遺伝子修復オリゴヌクレオベースの送達に使用することができる。例示的な方法を、以下に列挙する。本明細書の方法および組成物は、DNA修飾試薬または複数の該試薬で細胞をトランスフェクトするための任意の多くの方法を含み得る。細胞または複数の細胞にDNA修飾試薬を導入するための方法は、当該技術分野で周知であり、マイクロインジェクション、電気穿孔、受動吸着、リン酸カルシウム−DNA共沈、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、ポリブレン媒介トランスフェクション、リポソーム融合、リポフェクチン、ヌクレオフェクション、プロトプラスト融合、レトロウイルス感染、バイオリスティック(即ち、微粒子銃)などが挙げられるが、これらに限定されない。
投射浸透によりセルロース細胞壁を有する植物細胞に大きなDNAフラグメントを導入するための金属製マイクロキャリア(ミクロスフェア)の使用は、関連技術の当業者に周知である(以後、バイオリスティック送達)。米国特許第4,945,050号、同第5,100,792号および同第5,204,253号には、それらの投射用マイクロキャリアおよびデバイスを選択するための一般的な技術が記載される。
本明細書に開示された方法におけるマイクロキャリアの使用に関する具体的条件は、国際公開WO99/07865に記載された条件を含み得る。例示的一技法において、氷冷マイクロキャリア(60mg/mL)、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド(60mg/mL)、2.5M CaClおよび0.1M スペルミジンをこの順序で添加し、例えばボルテックスにより、混合物を穏やかに10分間撹拌し、その後、室温で10分間放置し、ここでマイクロキャリアを5倍容量のエタノールに希釈し、遠心分離して、100%エタノールに再懸濁させる。8〜10μg/μLマイクロキャリア、14〜17μg/mL混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド、1.1〜1.4MCaClおよび18〜22mMスペルミジンの接着溶液中濃度で良好な結果を得ることができる。8μg/μLマイクロキャリア、16.5μg/mL混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド、1.3MCaClおよび21mMスペルミジンの条件下で、最適な結果が観察された。
細胞壁および細胞膜を透過するマイクロファイバーを使用して、遺伝子修復オリゴヌクレオベースを植物細胞に導入することもできる。Coffeeらへの米国特許第5,302,523号には、ブラックメキシカンスイートトウモロコシの懸濁培養物の形質転換を容易にするための炭化ケイ素繊維の使用が記載される。マイクロファイバーを使用した植物細胞の形質転換のためのDNA導入に使用され得る任意の機械的技術を用いて、トランスミューテーション用の遺伝子修復オリゴヌクレオベースを送達することができる。
遺伝子修復オリゴヌクレオベースのマイクロファイバー送達に関する例示的な技術は、以下の通りである。滅菌マイクロファイバー(2μg)を、混合型デュプレックスオリゴヌクレオチド約10μgを含有する植物培養培地150μLに懸濁させる。懸濁培地を沈殿させ、同容量の充填細胞および滅菌ファイバー/ヌクレオチド懸濁液を10分間ボルテックスにかけて、播種する。個々の形質に適するように、選択培地を直後に、または最大約120時間遅延させて適用する。
代わりの実施形態において、植物の一部に由来するプロトプラストの電気穿孔により、遺伝子修復オリゴヌクレオベースを植物細胞に送達することができる。当業者に周知の技術に従い、プロトプラストを植物の一部、特に葉の酵素処置によって形成させる。例えば、Methods in Molecular Biology55:89−107,Humana Press,Totowa,N.J.の中のGallois et al,1996;Methods in Molecular Biology133:213−221,Humana Press,Totowa,NJの中のKipp et al.,1999を参照されたい。電気穿孔前に、プロトプラストを増殖培地中で培養する必要はない。電気穿孔に関する例示的な条件は、総容量0.3mL中に300,000プロトプラスト、および0.6〜4μg/mLの間の遺伝子修復オリゴヌクレオベース濃度である。
代わりの実施形態において、当業者に周知の技術に従い、核酸を膜修飾物質ポリエチレングリコールの存在下で、植物プロトプラストに取り込ませる。別の代わりの実施形態において、遺伝子修復オリゴヌクレオベースをマイクロキャピラリーで植物細胞またはプロトプラストに注入することにより、それを送達させ得る。
代わりの実施形態において、アルギン酸カルシウムで構成されるマイクロビーズ中に、核酸を包埋し、膜修飾物質ポリエチレングリコールの存在下で植物プロトプラストに取り込ませる(例えば、Sone et al.,2002、Liu et al.,2004参照)。
代わりの実施形態において、核酸を水中で凍結させ、微粒子の形態の衝撃により植物細胞に導入される(例えば、Gilmore,1991,米国特許第5,219,746号;Brinegar et al.参照)。
代わりの実施形態において、ナノ粒子を含有する懸濁液中での細胞のインキュベーションによって(例えば、Pasupathy et al.,2008参照)、または微粒子銃を介してインタクト細胞に、もしくはコインキュベーションによりプロトプラストに送達することにより(例えば、Torney et al.,2007を参照)、該ナノ粒子に付着された核酸が該インタクト植物細胞中に導入される。
代わりの実施形態において、核酸が、浸透ペプチドと複合体形成し、コインキュベーションにより細胞に送達される(例えば、Chugh et al.,2008,WO2008148223A1;Eudes and Chugh参照)。
代わりの実施形態において、核酸が、電気穿孔を介してインタクト細胞に導入される(例えば、He et al.,1998、US2003/0115641Al、Dobres et al.参照)。
代わりの実施形態において、核酸は、核酸を含む溶液中に乾燥胚の細胞を浸漬することにより、該細胞に送達されるか(例えば、Topfer et al.,1989、Senaratna et al.,1991参照)、または他の実施形態において、Cellsqueeze(SQZ Biotech)により導入される。
植物の選択
様々な実施形態において、本明細書で開示される植物は、高木もしくは低木として成長する任意の樹木植物種、任意の草本植物種、または食用果実、種子もしくは野菜を生成する任意の種、または有色もしくは芳香性品種の花を生成する任意の種をはじめとする、任意の種の双子葉植物、単子葉植物または裸子植物であり得る。例えば該植物は、それらが既に具体的に言及されていない限り、キャノーラ、ヒマワリ、コーン、タバコ、テンサイ、ワタ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、アルファルファ、オオムギ、モロコシ、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ナシ、イチゴ、バナナ、メロン、キャッサバ、ジャガイモ、ニンジン、レタス、タマネギ、ダイズ、ダイズ種、サトウキビ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、サヤエンドウ、ソラマメ、レンズマメ、カブ、ルタバガ、芽キャベツ、ルピナス、カリフラワー、ケール、フィールドビーン、ポプラ、マツ、ユーカリ、ブドウ、カンキツ属、ライコムギ、アルファルファ、ライムギ、オートムギ、シバと飼草、アマ、ナタネ、カラシナ、キュウリ、アサガオ、ホウセンカ、コショウ、ナス、マリーゴールド、スイレン、キャベツ、ヒナギク、カーネーション、チューリップ、アイリス、ユリ、および堅果産生植物からなる群の植物種から選択され得る。
植物および植物細胞は、当該技術分野で一般に知られる方法を使用して、例えば除草剤の存在下で植物または植物細胞を成長させ、除草剤の非存在下での成長速度と比較した成長速度を測定することにより、除草剤に対する抵抗性または耐性に関して試験され得る。
本明細書で用いられる、植物、植物器官、植物組織または植物細胞の実質的に正常な成長は、該当する野生型タンパク質を発現する対応する植物、植物器官、植物組織、または植物細胞における成長速度または細胞分裂速度の少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも75%である、植物、植物器官、植物組織または植物細胞の成長速度または細胞分裂速度と定義される。
本明細書で用いられる、植物、植物器官、植物組織または植物細胞の実質的に正常な発生は、野生型タンパク質を発現する対応する植物、植物器官、植物組織、または植物細胞で起こる事象と実質的に同一の植物、植物器官、植物組織または植物細胞における1つまたは複数の発生事象の出現と定義される。
特定の実施形態において、本明細書で提供する植物器官としては、葉、茎、根、枝芽、花芽、分裂組織、胚、子葉、内胚乳、がく片、花弁、めしべ、心皮、おしべ、やく、小胞子、花粉、花粉管、胚珠、子房および果実、またはこれらから得られる切片、薄片もしくは薄板が挙げられるが、これらに限定されない。植物組織としては、カルス組織、地下組織、脈管組織、貯蔵組織、分裂組織、葉組織、苗条組織、根組織、菌こぶ組織、植物腫瘍組織、および生殖組織が挙げられるが、これらに限定されない。植物細胞としては、細胞壁を有する単離細胞、様々なサイズのそれらの凝集体、およびプロトプラストが挙げられるが、これらに限定されない。
植物が、除草剤を施用されて、同様に施用された非耐性の類似植物によって与えられる曲線と比較して右に移動した用量/反応曲線を与えた場合、該植物は、関連除草剤に実質的に「耐性がある」。そのような用量/反応曲線は、X軸にプロットされた「用量」、およびY軸にプロットされた「殺傷率%」、「除草効果」などを有する。耐性植物は、所与の除草効果をもたらすのに、非耐性の類似植物より多量の除草剤を必要とする。除草剤に実質的に「抵抗性がある」植物は、原野の雑草を殺傷するため農薬散布地域により典型的に利用される濃度と割合で除草剤を施用すると、あるとしてもわずかな壊死、溶解、萎黄病または他の損傷を示す。除草剤に抵抗性がある植物は、除草剤耐性でもある。
植物の作製
植物種の様々な組織の組織培養、およびそこからの植物の再生は、公知である。例えば、組織培養によるキャノーラ品種の繁殖は、以下のいずれかに記載されるが、以下のいずれかに限定されるわけではない:Chuong et al.,“A Simple Culture Method for Brassica hypocotyls Protoplasts,” Plant Cell Reports 4:4−6,1985;Barsby,T.L.,et al.,“A Rapid and Efficient Alternative Procedure for the Regeneration of Plants from Hypocotyl Protoplasts of Brassica napus,” Plant Cell Reports(Spring,1996);Kartha,K.,et al.,“In vitro Plant Formation from Stem Explants of Rape,” Physiol.Plant,31:217−220,1974;Narasimhulu,S.,et al.,“Species Specific Shoot Regeneration Response of Cotyledonary Explants of Brassicas,” Plant Cell Reports(Spring 1988);Swanson,E.,“Microspore Culture in Brassica,” Methods in Molecular Biology,Vol.6,Chapter 17,p.159,1990。
変種のさらなる生殖は、組織培養および再生によって行うことができる。ダイズの様々な組織の組織培養およびそこからの植物の再生は、周知であり、広く発表されている。例えば、Komatsuda,T.et al.,“Genotype X Sucrose Interactions for Somatic Embryogenesis in Soybeans,” Crop Sci.31:333−337,1991;Stephens,P.A.,et al.,“Agronomic Evaluation of Tissue−Culture−Derived Soybean Plants,” Theor.Appl.Genet.82:633−635,1991;Komatsuda,T.et al.,“Maturation and Germination of Somatic Embryos as Affected by Sucrose and Plant Growth Regulators in Soybeans Glycine gracilis Skvortz and Glycine max(L.) Merr.” Plant Cell,Tissue and Organ Culture,28:103−113,1992;Dhir,S.et al.,“Regeneration of Fertile Plants from Protoplasts of Soybean(Glycine max L.Merr.);Genotypic Differences in Culture Response,” Plant Cell Reports 11:285−289,1992;Pandey,P.et al.,“Plant Regeneration from Leaf and Hypocotyl Explants of Glycine wightii(W.and A.) VERDC.var.longicauda,” Japan J.Breed.42:1−5,1992;およびShetty,K.,et al.,“Stimulation of In Vitro Shoot Organogenesis in Glycine max(Merrill.) by Allantoin and Amides,” Plant Science 81:245−251,1992を参照することができる。1991年6月18日に発行されたCollinsらへの米国特許第5,024,944号および1991年4月16日に発行されたRanchらへの米国特許第5,008,200号の開示は、全体として参照により本明細書に組み入れられる。
例示的実施形態
本開示の他の箇所に記載および提供される態様および実施形態に加えて、特定の実施形態の以下の非限定的リストが具体的に企図される。
1.細胞において遺伝子変化を引き起こす方法であって、細胞をDNAカッターおよび修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
2.DNAカッターおよびGRONを含む細胞。
3.前記細胞が植物、細菌、酵母、真菌、藻類、および哺乳動物からなる群から選択される1つまたは複数の種の細胞である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
4.前記細胞が大腸菌、マイコバクテリウム・スメグマチス、枯草菌、クロレラ、バチルス・スリンギエンシス、サッカロマイセス・セレビシエ、ヤロウィア・リポリティカ、クラミドモナス・ラインハーディー、ピキア・パストリス、コリネバクテリウム、アスペルギルス・ニガー、ネウロスポラ・クラッサ、アラブドプシス・サリアナ、ソラナム・ツベローサム、ソラナム・フレジャ、オリザ・サティバ、グリシンマックス、アマランサス・ツベルクラタス、リナム・ウシタチッシマム、およびジーメイズからなる群から選択される1つまたは複数の種の細胞である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
5.前記細胞が、ヤロウイア・リポリティカである、前記実施形態のいずれか記載の方法または細胞。
6.前記細胞が、サッカロマイセス・セレビシエではない酵母細胞である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
7.植物細胞において遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記細胞をDNAカッターおよび修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
8.DNAカッターおよび修飾されたGRONを含む植物細胞。
9.植物細胞において遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記細胞をDNAカッターと、DNAおよび/またはRNAを含むGRONと、に暴露することを含む、方法。
10.DNAおよび/またはRNAおよび/またはタンパク質を含むDNAカッターを含む植物細胞。
11.細胞においてアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子の遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記遺伝子変化が、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2078、2079、2080および2088からなる群から選択される1つもしくは複数のアミノ酸位置で、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基で、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)タンパク質の変化を引き起こし、前記方法が、前記細胞を修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
12.細胞においてアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子の遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記遺伝子変化が、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2078、2079、2080および2088からなる群から選択される1つもしくは複数のアミノ酸位置で、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基で、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)タンパク質の変化を引き起こし、前記方法が、前記細胞をDNAカッターおよび修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
13.植物または植物細胞を生成するための方法であって、植物細胞中に、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子に標的突然変異を有する遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)を導入して、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2078、2079、2080および2088からなる群から選択される位置に対応する1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むACCaseタンパク質を発現するACCase遺伝子を有する植物細胞を生成することを含む、方法。
14.植物または植物細胞を生成するための方法であって、植物細胞中に、DNAカッターと、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子に標的突然変異を有する遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)と、を導入して、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2078、2079、2080および2088からなる群から選択される位置に対応する1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むACCaseタンパク質を発現するACCase遺伝子を有する植物細胞を生成することを含む、方法。
15.ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位に、またはアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)パラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするACCase遺伝子を含む、稔性植物。
16.ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位に、またはアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)パラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするACCase遺伝子を含む、稔性イネ植物。
17.ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位に、またはアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)パラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするACCase遺伝子を含み、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2079、2080および2088からなる群から選択される1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするACCase遺伝子をさらに含む、植物細胞。
18.ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位に、またはアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)パラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするACCase遺伝子を含み、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2079、2080および2088からなる群から選択される1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)パラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするACCase遺伝子をさらに含む、稔性植物。
19.細胞においてアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子の遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記遺伝子変化が、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位で、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基で、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)タンパク質の変化を引き起こし、前記方法が、前記細胞を修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
20.細胞においてアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子の遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記遺伝子変化が、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位で、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基で、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)タンパク質の変化を引き起こし、前記方法が、前記細胞をDNAカッターおよび修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
21.アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子の前記突然変異または変化が、存在する場合、SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからアラニン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからロイシン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからメチオニン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからアスパラギン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからセリン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからトレオニン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからバリン;SEQ ID NO:1の1783位に対応する位置のグリシンからシステイン;SEQ ID NO:1の1786位に対応する位置のアラニンからプロリン;SEQ ID NO:1の2078位に対応する位置のアスパラギン酸からグリシン;SEQ ID NO:1の2078位に対応する位置のアスパラギン酸からリシン;SEQ ID NO:1の2078位に対応する位置のアスパラギン酸からトレオニン;SEQ ID NO:1の2079位に対応する位置のセリンからフェニルアラニン;SEQ ID NO:1の2080位に対応する位置のリシンからグルタミン酸;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからフェニルアラニン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからグリシン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからヒスチジン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからリシン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからロイシン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからアスパラギン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからプロリン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからグルタミン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからアルギニン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからセリン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからトレオニン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからバリン;およびSEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからトリプトファンからなる群から選択される1つまたは複数を含むアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)タンパク質をもたらす、前記実施形態のいずれかに記載の方法、植物または細胞。
22.前記植物または細胞が、SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからアラニン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからロイシン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからメチオニン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからアスパラギン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからセリン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからトレオニン;SEQ ID NO:1の1781位に対応する位置のイソロイシンからバリン;SEQ ID NO:1の1783位に対応する位置のグリシンからシステイン;SEQ ID NO:1の1786位に対応する位置のアラニンからプロリン;SEQ ID NO:1の2078位に対応する位置のアスパラギン酸からグリシン;SEQ ID NO:1の2078位に対応する位置のアスパラギン酸からリシン;SEQ ID NO:1の2078位に対応する位置のアスパラギン酸からトレオニン;SEQ ID NO:1の2079位に対応する位置のセリンからフェニルアラニン;SEQ ID NO:1の2080位に対応する位置のリシンからグルタミン酸;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからフェニルアラニン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからグリシン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからヒスチジン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからリシン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからロイシン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからアスパラギン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからプロリン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからグルタミン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからアルギニン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからセリン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからトレオニン;SEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからバリン;およびSEQ ID NO:1の2088位に対応する位置のシステインからトリプトファンからなる群から選択される1つまたは複数を含むアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)タンパク質を含む、前記実施形態のいずれかに記載の植物もしくは細胞、または前記実施形態に記載の方法のいずれかにより作製された植物もしくは植物細胞。
23.前記植物または植物細胞が、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2078、2079、2080および2088からなる群から選択される1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子を含む、前記実施形態のいずれかに記載の植物もしくは細胞、または前記実施形態に記載の方法のいずれかにより作製された植物もしくは細胞。
24.前記植物または細胞が、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく2078位に、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子を含み、ノスズメノテッポウ参照配列SEQ ID NO:1の番号付けに基づく1781、1783、1786、2078、2079、2080および2088からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸位置に、またはACCaseパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むタンパク質をコードするアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)遺伝子をさらに含む、前記実施形態のいずれかに記載の植物もしくは細胞、または前記実施形態に記載の方法のいずれかにより作製された植物もしくは細胞。
前記ACCaseの実施形態11〜24のそれぞれにおいて、方法、植物、細胞、または別のもののいずれでも、以下のものがその中での使用のための適切な突然変異である。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
代替的な突然変異としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019506170
実施形態11〜24に関して、ノスズメノテッポウ参照配列の番号付けに基づく1781m、1783、1786、2078、2079、および2080に対応する位置は、当該技術分野で周知であり、適切な配列データベースから即座に入手可能である。例として、以下の表は、イネACCase配列中の対応する位置を示す:
Figure 2019506170
Am:アロペキュラス・ミオスロイデス;OsI:オリザ・サティバ・インディカ変種;OsJ:オリザ・サティバ・ジャポニカ変種

25.突然変異EPSPS遺伝子を有する植物または植物細胞を生成する方法であって、植物細胞中に、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)遺伝子に標的突然変異を有する遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)を導入して、大腸菌参照配列SEQ ID NO:2のアミノ酸配列の番号付けに基づく96、97および101からなる群から選択される位置に対応する1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはEPSPSパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むEPSPSタンパク質を発現するEPSPS遺伝子を有する植物細胞を生成することを含む、方法。
26.突然変異EPSPS遺伝子を有する植物または植物細胞を生成する方法であって、植物細胞中に、DNAカッターと、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)遺伝子に標的突然変異を有する遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)と、を導入して、大腸菌参照配列SEQ ID NO:2のアミノ酸配列の番号付けに基づく96、97および101からなる群から選択される位置に対応する1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはEPSPSパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むEPSPSタンパク質を発現するEPSPS遺伝子を有する植物細胞を生成することを含む、方法。
27.突然変異EPSPS遺伝子を有する植物または細胞であって、植物細胞中に、DNAカッターと、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)遺伝子に標的突然変異を有する遺伝子修復オリゴヌクレオベース(GRON)と、を導入して、大腸菌参照配列SEQ ID NO:2のアミノ酸配列の番号付けに基づく96、97および101からなる群から選択される位置に対応する1つもしくは複数のアミノ酸位置に、またはEPSPSパラログ中の類似アミノ酸残基に、突然変異を含むEPSPSタンパク質を発現するEPSPS遺伝子を有する植物細胞を生成する方法により作製される、植物または細胞。
28.植物または植物細胞が、SEQ ID NO:2の96位に対応する位置のグリシンからアラニン;SEQ ID NO:2の97位に対応する位置のトレオニンからイソロイシン;SEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからアラニン;SEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからセリン;およびSEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからトレオニンからなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸位置の突然変異を含むEPSPSタンパク質を発現する、前記実施形態のいずれかに記載の植物もしくは細胞、または前記実施形態に記載の方法のいずれかにより作製された植物もしくは細胞。
29.植物または植物細胞が、SEQ ID NO:2の97位に対応する位置のトレオニンからイソロイシンと、SEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからアラニン;SEQ ID NO:2の97位に対応する位置のトレオニンからイソロイシンと、SEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからアラニン;SEQ ID NO:2の97位に対応する位置のトレオニンからイソロイシンと、SEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからセリン;およびSEQ ID NO:2の97位に対応する位置のトレオニンからイソロイシンと、SEQ ID NO:2の101位に対応する位置のプロリンからトレオニンからなる群から選択される突然変異の組み合わせを含むEPSPSタンパク質を発現する、前記実施形態のいずれかに記載の植物もしくは細胞、または前記実施形態に記載の方法のいずれかにより作製された植物もしくは細胞。
実施形態25〜30に関して、大腸菌参照配列SEQ ID NO:2の番号付けに基づく96、97および101に対応する位置は、当該技術分野で周知であり、適切な配列データベースから即座に入手可能である。例えば、米国特許第8,268,622号を参照されたい。例として、以下の表は、アマEPSPS配列中の対応する位置を示す:
Figure 2019506170
大腸菌EPSPS配列は、配列:
MESLTLQPIARVDGTINLPGSKTVSNRALLLAALAHGKTVLTNLLDSDDVRHMLNALTALGVSYTLSADRTRCEIIGNGGPLHAEGALELFLGNAGTAMRPLAAALCLGSNDIVLTGEPRMKERPIGHLVDALRLGGAKITYLEQENYPPLRLQGGFTGGNVDVDGSVSSQFLTALLMTAPLAPEDTVIRIKGDLVSKPYIDITLNLMKTFGVEIENQHYQQFVVKGGQSYQSPGTYLVEGDASSASYFLAAAAIKGGTVKVTGIGRNSMQGDIRFADVLEKMGATICWGDDYISCTRGELNAIDMDMNHIPDAAMTIATAALFAKGTTRLRNIYNWRVKETDRLFAMATELRKVGAEVEEGHDYIRITPPEKLNFAEIATYNDHRMAMCFSLVALSDTPVTILDPKCTAKTFPDYFEQLARISQAA
を有するAroAである。
アマ遺伝子1の配列は、配列:
MALVTKICGGANAVALPATFGTRRTKSISSSVSFRSSTSPPSLKQRRRSGNVAAAAAAPLRVSASLTTAAEKASTVPEEVVLQPIKDISGIVTLPGSKSLSNRILLLAALSEGTTVVDNLLNSDDVHYMLGALKTLGLNVEHSSEQKRAIVEGCGGVFPVGKLAKNDIELFLGNAGTAMRPLTAAVTAAGGNSSYILDGVPRMRERPIGDLVVGLKQLGADVTCSSTSCPPVHVNGQGGLPGGKVKLSGSISSQYLTALLMAAPLALGDVEIEIVDKLISVPYVDMTLKLMERFGVAVEHSGSWDRFFVKGGQKYKSPGNAYVEGDASSASYFLAGAAITGGTITVEGCGTSSLQGDVKFAEVLEKMGAKVIWTENSVTVTGPPRDASGRKHLRAVDVNMNKMPDVAMTLAVVALYADGPTAIRDVASWRVKETERMIAICTELRKLGATVEEGPDYCIITPPEKLNIAEIDTYDDHRMAMAFSLAACADVPVTIRDPGCTKKTFPDYFEVLERYTKH
を有するlcl−g41452_1333である。
アマ遺伝子2の配列は、配列:
MAQVTKICGGANAVALPATFGTRRTKSISSSVSFRSSTSPPSLKQRRLLGNVAAAAAAAPLRISASLATAAEKASTVPEEIVLQPIKDISGIVTLPGSKSLSNRILLLAALSEGKTVVDNLLNSDDVHYMLGALKTLGLNVEHSSEQKRAIVEGRGGVFPVGKLGKNDIELFLGNAGTAMRPLTAAVTAAGGNSSYILDGVPRMRERPIGDLVVGLKQLGADVSCSSTSCPPVHVNAKGGLPGGKVKLSGSISSQYLTALLMAAPLALGDVEIEIVDKLISVPYVDMTLKLMERFGVAVEHSGSWDRFFVKGGQKYKSPGNAYVEGDASSASYFLAGAAITGGTITVEGCGTSSLQGDVKFAEVLEKMGAKVTWTETSVTVTGPPRDASGKKHLRAVDVNMNKMPDVAMTLAVVALYADGPTAIRDVASWRVKETERMIAVCTELRKLGATVEEGPDYCIITPPEKLSIAEIDTYDDHRMAMAFSLAACADVPVTIRDPGCTKKTFPDYFEVLERYTKH
を有するlcl−g40547_1271である。
30.前記DNAカッターが、CRISPR、TALEN、亜鉛フィンガー、メガヌクレアーゼ、およびDNA切断性抗生物質から選択される1つまたは複数である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
31.前記DNAカッターが、CRISPRまたはTALENである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
32.前記DNAカッターが、CRISPRである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
33.前記DNAカッターが、TALENである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
34.前記DNAカッターが、ブレオマイシン、ゼオシン、フレオマイシン、タリソマイシンおよびペプレオマイシンからなる群から選択される1つまたは複数のDNA切断性抗生物質である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
35.前記DNAカッターが、ゼオシンである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
36.前記GRONが、一本鎖である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
37.該GRONが、化学的に保護されたオリゴヌクレオチドである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
38.該GRONが、5’末端で保護された、化学的に保護されたオリゴヌクレオチドを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
39.該GRONが、3’末端で保護された、化学的に保護されたオリゴヌクレオチドを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
40.該GRONが、5’および3’末端で保護された、化学的に保護されたオリゴヌクレオチドを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
41.該GRONが、Cy3基、3PS基、idC基、および2’−O−メチル基から選択される1つまたは複数を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
42.該GRONが、Cy3基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
43.該GRONが、2個以上のCy3基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
44.該GRONが、5’末端の第1の(最後の)塩基にCy3基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
45.該GRONが、5’末端の第1の(最後の)塩基にidC基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
46.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基にCy3基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
47.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基にidC基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
48.該GRONが、3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
49.該GRONが、2個以上の3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
50.該GRONが、3個以上の3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
51.該GRONが、5’末端の第1の(最後の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
52.該GRONが、5’末端の第2の(最後から2番目の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
53.該GRONが、5’末端の第3の(最後から3番目の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
54.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
55.該GRONが、3’末端の最後に対して第2の(最後から2番目の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
56.該GRONが、3’末端の最後に対して第3の(最後から3番目の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
57.該GRONが、5’および3’の両末端の第1の(最後の)塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
58.該GRONが、5’および3’の両末端の最初の2つの塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
59.該GRONが、5’および3’の両末端の最初の3つの塩基に3PS基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
60.該GRONが、2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
61.該GRONが、2つ以上の2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
62.該GRONが、5’末端の第1の(最後の)塩基に2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
63.該GRONが、5’末端の第1の塩基に2’−O−メチル基を有し、他のいずれの2’−O−メチル基も有さない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
64.該GRONが、5’末端の最初の2個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
65.該GRONが、5’末端の最初の3個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。。
66.該GRONが、5’末端の最初の4個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
67.該GRONが、5’末端の最初の5個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
68.該GRONが、5’末端の最初の6個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
69.該GRONが、5’末端の最初の7個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
70.該GRONが、5’末端の最初の8個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
71.該GRONが、5’末端の最初の9個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
72.該GRONが、5’末端の最初の10個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
73.該GRONが、5’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のRNA塩基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
74.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基に2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
75.該GRONが、3’末端の第1の塩基に2’−O−メチル基を有し、他のいずれの2’−O−メチル基も有さない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
76.該GRONが、3’末端の最初の2個(最後および最後から2番目)またはより多くの塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
77.該GRONが、3’末端の最初の3個(最後および最後から2番目および最後から3番目)またはより多くの塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
78.該GRONが、3’末端の最初の4個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
79.該GRONが、3’末端の最初の5個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
80.該GRONが、3’末端の最初の6個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
81.該GRONが、3’末端の最初の7個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
82.該GRONが、3’末端の最初の8個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
83.該GRONが、3’末端の最初の9個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
84.該GRONが、3’末端の最初の10個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
85.該GRONが、3’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のRNA塩基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
86.前記GRONが、遺伝子変化のための標的配列に対してゆらぎ塩基対を有する、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
87.前記GRONが、15〜60ヌクレオチド長の間である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
88.前記GRONが、41ヌクレオチド長である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
89.前記GRONが、50〜110ヌクレオチド長の間である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
90.前記GRONが、101ヌクレオチド長である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
91.前記GRONが、150〜210ヌクレオチド長の間である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
92.前記GRONが、201ヌクレオチド長である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
93.前記GRONが、70〜210ヌクレオチド長の間である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
94.前記GRONが、70ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
95.前記GRONが、100ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
96.前記GRONが、165ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
97.前記GRONが、175ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
98.前記GRONが、185ヌクレオチド長より長い前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
99.前記GRONが、195ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
100.前記GRONが、200ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
101.前記GRONが、210ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
102.前記GRONが、220ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
103.前記GRONが、230ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
104.前記GRONが、240ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
105.前記GRONが、250ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
106.前記GRONが、260ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
107.前記GRONが、270ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
108.前記GRONが、280ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
109.前記GRONが、290ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
110.前記GRONが、300ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
111.前記GRONが、400ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
112.前記GRONが、500ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
113.前記GRONが、600ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
114.前記GRONが、700ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
115.前記GRONが、800ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
116.前記GRONが、900ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
117.前記GRONが、1000ヌクレオチド長より長い、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
118.前記植物が、キャノーラ、ヒマワリ、コーン、タバコ、テンサイ、ワタ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、イネ、アルファルファ、オオムギ、モロコシ、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、ナシ、イチゴ、バナナ、メロン、キャッサバ、ジャガイモ、ニンジン、レタス、タマネギ、ダイズ、ダイズ種、サトウキビ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、サヤエンドウ、ソラマメ、レンズマメ、カブ、ルタバガ、芽キャベツ、ルピナス、カリフラワー、ケール、フィールドビーン、ポプラ、マツ、ユーカリ、ブドウ、カンキツ属、ライコムギ、アルファルファ、ライムギ、オートムギ、シバと飼草、アマ、ナタネ、カラシナ、キュウリ、アサガオ、ホウセンカ、コショウ、ナス、マリーゴールド、スイレン、キャベツ、ヒナギク、カーネーション、チューリップ、アイリス、およびユリからなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
119.前記植物が、キャノーラである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
120.前記植物が、コーンである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
121.前記植物が、トウモロコシである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
122.前記植物が、イネである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
123.前記植物が、モロコシである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
124.前記植物が、ジャガイモである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
125.前記植物が、ダイズである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
126.前記植物が、アマである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
127.前記植物が、ナタネである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
128.前記植物が、キャッサバである前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
129.前記植物が、ヒマワリである、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
130.植物細胞において遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記細胞をCRISPRおよび修飾されたGRONに暴露することを含む、方法。
131.複数の遺伝子変化が、生じる、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
132.2つ以上のガイドRNAが、使用される、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
133.1より多いガイドRNAのそれぞれが、遺伝子変化のための異なる標的と相補的である、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
134.該CRISPRが、ニッカーゼを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
135.該DNAカッターが、2つ以上のニッカーゼを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
136.2つ以上のニッカーゼが、標的核酸配列の相対する鎖上を切断する、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
137.2つ以上のニッカーゼが、標的核酸配列の同じ鎖上を切断する、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
138.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基に2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
139.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基に2’−O−メチル基を有し、他のいずれの2’−O−メチル基も有さない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
140.該GRONが、3’末端の最初の2個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
141.該GRONが、3’末端の最初の3個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
142.該GRONが、3’末端の最初の4個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
143.該GRONが、3’末端の最初の5個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
144.該GRONが、3’末端の最初の6個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
145.該GRONが、3’末端の最初の7個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
146.該GRONが、3’末端の最初の8個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
147.該GRONが、3’末端の最初の9個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
148.該GRONが、3’末端の最初の10個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
149.該GRONが、3’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のRNA塩基を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
150.該GRONが、3’末端の第1の(最後の)塩基に2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
151.該GRONが、3’末端の最初の2個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
152.該GRONが、3’末端の最初の3個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
153.該GRONが、3’末端の最初の4個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
154.該GRONが、3’末端の最初の5個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
155.該GRONが、3’末端の最初の6個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
156.該GRONが、3’末端の最初の7個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
157.該GRONが、3’末端の最初の8個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
158.該GRONが、3’末端の最初の9個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
159.該GRONが、3’末端の最初の10個以上の塩基のそれぞれに2’−O−メチル基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
160.該GRONが、3’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のRNA塩基を含まない、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞。
161.前記実施形態のいずれか1つに記載の方法により作製された、または細胞に由来する、非トランスジェニック除草剤抵抗性または耐性植物。
162.前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)の遺伝子変化または突然変異を有し、オオムギ、トウモロコシ、キビ、オートムギ、ライムギ、イネ、モロコシ、サトウキビ、シバ、およびコムギからなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
163.前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)の遺伝子変化または突然変異を有し、1種または複数の除草剤に対して抵抗性または耐性がある、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
164.前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)の遺伝子変化または突然変異を有し、1種または複数のACCase阻害性除草剤に対して抵抗性がある、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
165.前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCase)の遺伝子変化または突然変異を有し、アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェンチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−P、イソキサピリホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ−P、トリホップ、ピノキサデン、これらの除草剤のいずれかの農学的に許容できる塩およびエステル、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される1種または複数の除草剤に対して抵抗性がある、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
166.前記植物細胞が、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)の遺伝子変化または突然変異を有し、前記植物細胞が、コーン、コムギ、イネ、オオムギ、モロコシ、オートムギ、ライムギ、サトウキビ、ダイズ、ワタ、テンサイ、ナタネ、キャノーラ、アマ、キャッサバ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウマメ、レンズマメ、ブドウおよびシバからなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
167.前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)の遺伝子変化または突然変異を有し、植物または植物細胞が、少なくとも1種の除草剤に対して抵抗性がある、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
168.前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)の遺伝子変化または突然変異を有し、植物または植物細胞が、ホスホノメチルグリシンファミリーの除草剤に対して抵抗性がある、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
169.前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)の遺伝子変化または突然変異を有し、植物または植物細胞が、グリホサートに対して抵抗性がある、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
170.前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキマート−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)の遺伝子変化または突然変異を有し、植物または植物細胞が、コーン、コムギ、イネ、オオムギ、モロコシ、オートムギ、ライムギ、サトウキビ、ダイズ、ワタ、テンサイ、ナタネ、キャノーラ、アマ、キャッサバ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウマメ、レンズマメ、ブドウおよびシバからなる群から選択される、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
171.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1個の対立遺伝子で起こる、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
172.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の2個の対立遺伝子で起こる、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
173.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の3個の対立遺伝子で起こる、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
174.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の4個の対立遺伝子で起こる、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
175.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の対立遺伝子で起こる、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
176.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1個の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
177.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の2個の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
178.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の3個の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
179.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の4個の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
180.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
181.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1個の対立遺伝子で起こり、該遺伝子の第2の対立遺伝子が、該第2の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
182.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1個の対立遺伝子で起こり、該遺伝子の第2の対立遺伝子および第3の対立遺伝子が、前記第2の対立遺伝子および前記第3の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
183.該細胞における遺伝子変化または突然変異が、該遺伝子の1個の対立遺伝子で起こり、該遺伝子の第2の対立遺伝子、第3の対立遺伝子、および第4の対立遺伝子が、前記第2の対立遺伝子、前記第3の対立遺伝子、および前記第4の対立遺伝子のノックアウトをもたらす欠失または挿入を含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
184.該細胞における遺伝子変化が、1個の対立遺伝子での少なくとも1個の突然変異および別の対立遺伝子中の少なくとも1個のノックアウトを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
185.該細胞における遺伝子変化が、1個の対立遺伝子での少なくとも1個の突然変異および少なくとも1個の他の対立遺伝子中の少なくとも1個のノックアウトを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
186.該細胞における遺伝子変化が、1個の対立遺伝子での少なくとも1個の突然変異および少なくとも2個の他の対立遺伝子中の少なくとも1個のノックアウトを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
187.該細胞における遺伝子変化が、1個の対立遺伝子での少なくとも1個の突然変異および少なくとも3個の他の対立遺伝子中の少なくとも1個のノックアウトを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
188.該細胞における遺伝子変化が、1個の対立遺伝子での少なくとも1個の突然変異および他の全ての対立遺伝子中のノックアウトを含む、前記実施形態のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
実施例
以下のものは実施例であり、本明細書に記載される方法および組成物を実践する手順を説明するものである。これらの実施例は限定的なものであると解釈されるべきではない。
実施例1:GRONの長さ
Sommerら(Mol Biotechnol.33:115−22,2006)は、緑色蛍光タンパク質(GFP)バリアントの青色と緑色の蛍光を変換する単一ヌクレオチド変化に依存するvivoの遺伝子変換の検出のためのレポータ系について記載している。GRON媒介性変換の効率を評価するため、このレポータ系をシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)をモデル種に用いた以下の実験に適合させた。
簡潔に述べれば、この実施例およびそれに続く実施例のために、当業者に公知の方法(例えば、CloughおよびBrent,1998を参照されたい)により、複数コピーの青色蛍光タンパク質遺伝子を有するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)系列を作製した。この系列で根由来分裂組織の培養物を樹立し、これをプロトプラストの単離および培養に用いた(例えば、Mathurら,1995を参照されたい)。ポリエチレングリコール(PEG)を介するプロトプラスト内へのGRON取込みによりプロトプラスト内へのGRON送達を実施した。FujiwaraおよびKato(2007)により記載されているものと同様に96ウェルディッシュフォーマットからなる方法を用いた。そのプロトコルを以下で簡潔に説明する。記載される体積は、96ウェルディッシュの個々にウェルに適用されるものである。
1.GRON(80μM)6.25μlと5×10細胞/mlのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニック根分裂組織由来プロトプラスト25μlを96ウェルプレートの各ウェル内で混合する。
2.40%PEG溶液31.25μlを加え、プロトプラストをかき混ぜた。
3.処理した細胞を氷上で30分間インキュベートした。
4.各ウェルにW5溶液200μlを加え、細胞をかき混ぜた。
5.プレートを氷上で30分間インキュベートしてプロトプラストを各ウェルの底に沈降させた。
6.沈降したプロトプラストの上にある培地200μlを除去した。
7.培地(MSAP、Mathurら,1995を参照されたい)85μlを加えた。
8.プレートを室温、暗所にて48時間インキュベートした。培地添加後のGRONの最終濃度は8μMである。
一般に、緑色および黄色の蛍光がBFP標的DNAを変化させない非標的化GRONで処理される対照プロトプラストのものと異なるプロトプラストを検出するため、GRON送達から48時間後に試料をフローサイトメトリーにより解析した。標的化GRONで処理した試料には、遺伝子編集によりBFP遺伝子に導入するとGFPが合成される単一のC−T間のヌクレオチドの差(コード鎖)またはG−A間のヌクレオチドの差(非コード鎖)がみられる。
青色蛍光タンパク質(BFP)遺伝子から緑色蛍光への変換のために設計した例示的101量体および201量体BFP4/NC 5’−3PS/3’−3PS GRONの配列を表1に示す。「3PS」は、5’および3’オリゴ末端それぞれの3ホスホチオアート結合を表す。
Figure 2019506170
=PS結合(ホスホチオアート)
実施例2:5’Cy3/3’idC標識GRONを用いた変換率
この一連の実験の目的は、ホスホチオアート(PS)標識GRON(GRONの各末端に3PS部分を有する)と5’Cy3/3’idC標識GRONの効率を比較することである。5’Cy3/3’idC標識GRONは5’Cy3フルオロフォア(アミダイト)および3’idC逆塩基を有する。青色蛍光タンパク質(BFP)から緑色蛍光タンパク質(GFP)への変換を用いて効率を評価した。
個々のFalconチューブ(「Tubes」と標示)また96ウェルプレート(「96ウェルディッシュ」と標示)でプロトプラスト内へのGRONのPEG送達により実施した全3種類の実験では全般的に、特に96ウェルプレート法を用いた場合、サイトメトリーによる測定で、化学的性質の異なるGRON間にBFPからGFPへの変換効率の有意な差はみられなかった(図1)。
実施例3:41量体BFP4/NC 5’−3PS/3’−3PS GRONと2’−O−Me GRONとの間の比較
この一連の実験の目的は、GRONの各末端に3PS部分を有するホスホチオアート(PS)標識GRONと2’−O−Meまたは「2OMe」の変換効率を、ブレオマイシンファミリーのメンバーでありDNA切断を引き起こすZeocin(商標)の存在下および不在下で比較することである。これらのGRONの設計を図2に示す。PEG処理によりGRONをシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPプロトプラスト内に送達し、処理から24時間後、BFPからGFPへの変換をサイトメトリーにより求めた。Zeocin(1mg/ml)で処理する試料は、PEG処理の前に氷上で90分間、Zeocinとインキュベートした。
全般的に、Zeocin(1mg/ml)の存在により、サイトメトリーにより求められるBFPからGFPへの変換が増大した(表3)。Zeocinの存在下でも不在下でも、GRONの5’末端の1番目のRNA塩基に2’−OMe基を1つ含むNC 2OMe GRONの方が、最初の9つの5’RNA塩基にそれぞれ2’−OMe基を1つ含むNC 2OMe GRONと比較して、BFPからGFPに変換高する効果が高かった(図2および表3)。
いずれの実験でも、1mg/mlのZeocinの存在下、不在下ともに、41量体BFP4/NC 5’3PS/3’3PSと、1番目の5’RNA塩基に5’2’−OMe基を1つ含む71量体2OMe BFP4/NC GRON(BFP4 71量体(1)NCと表される)との間に、サイトメトリーにより求められるBFPからGFPへの変換の有意な差はみられなかった(図2および表3)。Zeocin(ならびにブレオマイシン、フレオマイシン、タリソマイシン、ペプレオマイシンおよびこの抗生物質ファミリーの他のメンバーで予想される)の存在下では、この変換が鎖依存性になる(つまり、上記の実験で試験した設計を有するコード(C)GRONと非コード(NC)GRONはともに活性がほぼ等しい)ことに留意することが重要である。
Figure 2019506170
実施例4:41量体、101量体および201量体のBFP4/NC 5’−3PS/3’−3PS GRONの比較
この一連の実験の目的は、異なる長さの、つまり、表2に示す41量体、101量体および201量体のGRONの各末端に3PS部分を有するホスホチオアート(PS)標識GRONの変換効率を(Zeocinの存在下および不在下で)比較することとした。ここでも、Zeocin(1mg/ml)の存在により、サイトメトリーにより求められるBFPからGFPへの変換率が増大した(表4)。全3種類の実験全体の傾向として、Zeocinの存在下、不在下ともにNC GRONの長さの増大との線形関係がみられた。Zeocin存在下でのBFP−4/NC/101およびBFP−4/C/101を除けば、これは、41量体NC GRONとほぼ等しいがこれより低い変換率であった。
Figure 2019506170
実施例5:植物内へのCas9タンパク質の送達
この実施例では、CRISPR−Cas発現プラスミドの送達に代わるものとして植物細胞への組換えCas9タンパク質の直接送達を利用する。この方法は、細胞透過性ペプチド(CPP)などの担体、トランスフェクションリポソーム試薬、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、エレクトロポレーションを単独で、または組み合わせて用い、細胞への活性な組換えCas9タンパク質の送達を可能にするものである。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×10細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。次いで、蛍光タグで標識した組換えCas9タンパク質(1μg)を20:1、10:1または5:1のCPPおよびその他のCPPとカーゴの比(例えば、TAT、ペネトラチン、Chariot(商標)、PEP−1またはその他のもの)でプレコートしたもの、あるいは同タンパク質をリポソーム試薬で封入したものを播種したプロトプラストと混合し、23℃で2〜6時間インキュベートして、Cas9/担体複合体を細胞に浸透させる。別の一連の処理では、PEGまたはエレクターポレーション(electorporation)法を用いて、蛍光タグで標識し上記のようにCPPでプレコートした組換えCas9タンパク質(1μg)またはコートしなかった同タンパク質をプロトプラストに導入する。次いで、処理から24〜72時間後、所与の処理内でのCas9陽性プロトプラストの割合を求めるため、プロトプラストをフローサイトメトリーにより解析した。
実施例6:CRISPRと201量体±ゆらぎ塩基GRON
この一連の実験の目的は、bfp遺伝子に標的化二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介する201量体GRONを用いて、本発明者らのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニックモデル系でのBFPからGFPへの変換を示すことである。BFP CRISPRはbfp遺伝子のコード鎖を標的とし、変換部位はPAM配列の27bp上流である(図3)。GRONは、CRISPRにより生じたbfp遺伝子の二本鎖切断を修復するための鋳型として用いられ、標的遺伝子をBFPからGFPに変換するとともに、BFP CRISPRのPAM配列に対応するbfp遺伝子にゆらぎ塩基を導入する。変換が起こった後、BFP CRISPRのPAM配列内のゆらぎ塩基がCRISPRによるbfp遺伝子の再切断を最小限に抑える。この一連の実験は、変換されたbfp遺伝子のBFP CRISPRのPAM配列内にゆらぎ塩基を導入することにより変換効率が増大するかどうかという問題に取り組む一助となる。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するマンノピン合成酵素(MAS)プロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナU6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。CRISPRプラスミドおよびGRONをそれぞれ最終濃度0.05μg/μlおよび0.16μMでPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている(図3)。BFPを標的とし、ゆらぎ塩基を有する、または有さない201量体GRONを用いて、それがBFPからGFPへの変換率に及ぼす効果を明らかにした。表5にGRONおよびそれに対応する配列のリストを記載する。
Figure 2019506170
結果
BFP CRISPRを用いると、ゆらぎ塩基を有するBFP4/C GRONは、ゆらぎ塩基のないBFP4/C GRONと比較してBFPからGFPへの変換に対する効果が最大3.5倍になる(表6)。ゆらぎ塩基を有するBFP4/NC GRONの代わりにゆらぎ塩基を有するBFP4/C GRONを用いると、BFPからGFPへの変換が最大5.9倍になる(表6)。したがって、ゆらぎ塩基を有するBFP4/C GRONは、BFP CRISPRとともに用いたときにBFPからGFPへの変換に対する効果が最大となる。
結論
変換された標的遺伝子のBFP CRISPRのPAM配列を変化させるGRONにゆらぎ塩基が含まれていると、BFPからGFPへの変換が増大する。BFP CRISPRとゆらぎ塩基GRONによるBFPからGFPへの変換が次世代シーケンシングにより確認された(データ不掲載)。さらに、BFP CRISPRはDNAを切断し、bfp遺伝子にインデルを生じさせることが可能であることが、次世代シーケンシングにより確認された(データ不掲載)。
Figure 2019506170
実施例7:CRISPRとCy3修飾GRON
この一連の実験の目的は、bfp遺伝子に標的化二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、本発明者らのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニックモデル系でのBFPからGFPへの変換を示すことである。これらの実施例に用いたBFP6 CRISPR(CR:BFP6)は、bfp遺伝子を標的とし、DNAの変換部位付近に二本鎖切断を引き起こす。BFP6 CRISPRとともに用いたGRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含み、5’末端がCy3で、また3’末端がidC逆塩基で標識されており、本明細書ではCy3 GRONと呼ばれる。これらのGRONを41量体、101量体および201量体の異なる長さで試験し、GRONの5’末端および3’末端の両方に3つのホスホチオアート結合を有する点でのみCy3 GRONと異なる3PS GRONと直接比較する。これらのGRONは本明細書では3PS GRONと呼ばれる。これらの実験に使用したGRONのリストについては表7を参照されたい。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、GRONについては41量体が8.0μM、101量体が0.32μM、201量体が0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。GRON処理単独では、PEG送達後の最終GRON濃度を41量体が8.0μM、101量体が5.0μM、201量体が2.5μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。この実験では、bfp遺伝子を標的とするBFP6 CRISPR(5’GGTGCCGCACGTCACGAAGTCGG3’)を用いた。GRONは変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含む。表7に、使用したGRONのリストを記載する。
Figure 2019506170
結果
BFP6 CRISPRを用いると、試験したいずれの長さのCy3 GRONも、全般的に3PS GRONと同等の効率でBFPからGFPへの変換を媒介することができる(図4)。全体的にみると、BFP6 CRISPRとGRONを含有する試料は、BFPからGFPへの変換のレベルがGRONのみの試料と比較して高く(図4)、CRISPRが変換率の増大に正の効果を及ぼすことがわかる。
実施例8:CRISPRと様々な大きさのGRON
この一連の実験の目的は、bfp遺伝子に標的化二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介する様々な長さのGRONを用いて、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニックモデル系でのBFPからGFPへの変換を示すことである。これらの実施例に用いたBFP CRISPRは、bfp遺伝子を標的とし、DNAの変換部位付近に二本鎖切断を引き起こす。BFP CRISPRとともに用いたGRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含み、5’末端および3’末端の両方が3つのホスホチオアート結合で標識されており、本明細書では3PS GRONと呼ばれる。これらのGRONを60量体、101量体および201量体の3つの異なる長さで試験し、GRON単独処理と直接比較する。これらの実施例に使用したGRONについては表8を参照されたい。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、GRONについては60量体が0.547μM、101量体が0.32μM、201量体が0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。GRON処理単独では、PEG送達後の最終GRON濃度を60量体が7.5μM、101量体が5.0μM、201量体が2.5μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメトリーにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。BFP CRISPRスペーサー配列は5’GTCGTGCTGCTTCATGTGGT3’である。この実施例では、bfp遺伝子を標的とするBFP CRISPRを用いた。GRONは変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含む。表8に、使用したGRONのリストを記載する。
Figure 2019506170
結果
BFP CRISPRを用いると、長さ101nt以上のGRONは、長さ60ntのGRONと直接比較した場合、BFPからGFPへの変換の仲介に優れている(図5)。全体的にみると、BFP CRISPRとGRONを含有する試料は、BFPからGFPへの変換のレベルがGRONのみの試料と比較して高く(図5)、CRISPRが変換率の増大に正の効果を及ぼすことがわかる。このデータからさらに、CRISPRとともに用いる場合、BFPからGFPへの変換を媒介する効果が最も高いGRONの長さを101nt以上の長さにする必要があることがわかる。
実施例9:CRISPRと2’−O−Me GRON
これらの実験の目的は、bfp遺伝子に標的化二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、本発明者らのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニックモデル系でのBFPからGFPへの変換を示すことである。この実施例に用いたBFP CRISPRは、bfp遺伝子を標的とし、DNAの変換部位付近に二本鎖切断を引き起こす。BFP CRISPRとともに用いたGRONは、変換部位のbfp遺伝子のコード配列または非コード配列を含み、GRONの最初の10個の5’塩基がDNA塩基の代わりにRNA塩基になっている。これらのRNAは、図6に示されるように、1番目の5’RNA塩基または最初の9つの5’RNA塩基が2’−O−Me基(1つまたは複数)で標識されている。これらのGRONは、本明細書では2’−O−Me GRONと呼ばれ、これらを、DNA塩基を含みGRONの5’末端および3’末端の両方に3つのホスホチオアートを有するほぼ同じ長さの3PS GRONと直接比較する。これらのGRONは、本明細書では3PS GRONと呼ばれる。これらの実施例に使用したGRONのリストについては表9を参照されたい。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナU6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、GRONについては71量体が0.5μM、201量体が0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。GRON処理単独では、PEG送達後の最終GRON濃度を71量体が5.0μM、201量体が2.5μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。BFP CRISPRスペーサー配列は5’CTCGTGACCACCTTCACCCA3’である。この実施例では、bfp遺伝子を標的とするBFP CRISPRを用いた。GRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列または非コード配列を含む。表9に、使用したGRONのリストを示す。
Figure 2019506170
結果
71量体および201量体の2’−O−Me GRONは、BFP CRISPRを用いて(0)、(1)または(9)の各種異なるタイプのGRON保護と比較したとき、BFPからGFPへの変換が同程度であった(図7および8)。2’−O−Me GRONは、BFP CRISPRを用いたBFPからGFPへの変換を媒介する効果が、その3PS GRON対応物より高い(図7および8)。
実施例10:CRISPRニッカーゼとGRON導入
この実施例の目的は、bfp遺伝子に標的化一本鎖ニックを生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、本発明者らのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニックモデル系でのBFPからGFPへの変換を示すことである。この実施例に用いるBFP1 CRISPR(CR:BFP1)は、bfp遺伝子を標的とし、ガイドRNAに相補的なDNA鎖または非相補的なDNA鎖それぞれのbfp遺伝子の変換部位付近のDNAに一本鎖ニックを引き起こす触媒残基の変異(RuvCのD10AおよびHNHのH840A)を含む。これらのCRISPRは、本明細書ではBFP1 CRISPRニッカーゼD10AおよびBFP1 CRISPRニッカーゼH840Aと呼ばれ、別個のプラスミド上で単独で、またはBFP5 sgRNAとともに使用される。この実施例で複数のCRISPRニッカーゼを一緒に用いると、それらは同じDNA鎖または反対側のDNA鎖にニックを入れ得る。ともにD10AまたはH840Aの同じ変異を含むCas9タンパク質を一緒に用いると、それらは同じ鎖のDNAにニックを入れる。これとは逆に、2種類のCas9タンパク質を一緒に用い、そのうちの一方がD10A変異を含み、他方がH840A変異を含む場合、それらはDNAの反対側の鎖にニックを入れる。ニッカーゼCRISPRとともに用いたGRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列または非コード配列を含み、BFP5 CRISPRのPAM配列内にゆらぎ塩基が1つある。これらのGRONは、5’末端および3’末端の両方に3つのホスホチオアート結合を有し、本明細書では3PS GRONと呼ばれる。これらの実験に使用するGRONのリストについては表10を参照されたい。ニッカーゼCRISPRを、bfp遺伝子のDNAに標的化二本鎖切断を引き起こすことができるそのCRISPR対応物と直接比較する。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。Cas9遺伝子は、触媒残基の変異であるRuvCのD10AまたはHNHのH840Aのいずれかを含む。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、201量体については0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入する。GRON処理単独では、201量体のPEG送達後の最終GRON濃度が2.5μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。この実施例では、bfp遺伝子の変換部位付近の異なる領域を標的とするBFP1 sgRNAおよびBFP5 sgRNAを用いた。BFP1スペーサー(5’CTCGTGACCACCTTCACCCA3’)はbfp遺伝子のコード鎖を標的とし、BFP5スペーサー(5’GTCGTGCTGCTTCATGTGGT3’)はbfp遺伝子の非コード鎖を標的とする。GRONは変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列または非コード配列を含む。表10に、使用したGRONのリストを示す。
Figure 2019506170
結果
両CRISPRニッカーゼ(D10AおよびH840A)とも、個別に用いる代わりにBFP1 CRISPRおよびBFP5 CRISPRと一緒に用いた場合の方が、BFPからGFPへの変換を媒介する効率が高い(図9)。さらに、BFP1 D10A CRISPRニッカーゼおよびBFP5 D10A CRISPRニッカーゼをC/201 1W GRONと一緒に用いると、これらのCRISPRニッカーゼをNC/201 1W GRONとともに用いた処理と比較してBFPからGFPへの変換が有意に高くなる(図9)。BFP1 H840A CRISPRニッカーゼおよびBFP5 H840A CRISPRニッカーゼを一緒に用いると、C/201 1W GRONまたはNC/201 1W GRONとほぼ同じレベルのBFPからGFPへの変換が観察される(図9)。これらのBFPからGFPへの変換のレベルは、BFP5 CRISPRを単独で用いた場合よりわずかに高く、BFP1 CRISPRを単独で用いた場合よりわずかに低い(図9)。
実施例11:CRISPRを用いた複数の遺伝子の標的化
この実施例の目的は、標的遺伝子に二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)モデル系に由来する所与のプロトプラスト集団で複数の遺伝子の変換を同時に示すことである。この実施例に用いたCRISPRは、Cas9遺伝子をコードするプラスミド(1つまたは複数)および上記の2つの異なる遺伝子を標的とする複数のsgRNAをプロトプラスト内に導入することにより、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ゲノムのBFPおよびアセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)の遺伝子をともに標的とする。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。これにより、BFP遺伝子およびAHAS遺伝子の両方の変換を媒介するGRONの存在下で、Cas9が両遺伝子に二本鎖切断を引き起こすことが可能になる。
方法
誘導した根組織に由来するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、また複数の異なるsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、201量体については0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入する。GRON処理単独では、201量体のPEG送達後の最終GRON濃度が2.5μMになるようにする。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内でBFPからGFPへの変換およびAHASの変換の両方が起こったプロトプラストの割合を求めるため、それぞれフローサイトメータおよびアレル特異的PCRアッセイにより解析した。
アレル特異的PCRアッセイでは、ゲノムDNAに相当する5,000ゲノムの10〜16の複製物を一次PCR反応に用いた。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じまたは複数のプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼを標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。この実施例では、異なるsgRNAおよびGRONを用いて複数の遺伝子の変換部位、すなわち、BFPスペーサー(5’CTCGTGACCACCTTCACCCA3’)およびAHASスペーサー(5’TGGTTATGCAATTGGAAGATCGC3’)を標的とする。使用したGRONを表11に記載する。
Figure 2019506170
結果
BFPおよびAHAS CRISPRプラスミドならびにBFP/C 201量体およびAHAS(W)574/NC 201量体GRONをシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニック系列内にPEG送達してから144時間後、BFPからGFPへの変換およびAHASの変換を求めた。フローサイトメトリーのデータから,処理1により0.20%のBFPからGFPへの変換が生じることがわかった(表12)。アレル特異的PCRアッセイでは、処理1により0.01%のAHAS変換プロトプラストが得られることがわかった(表12)。GRON単独処理は、両アッセイを用いて最小の変換がみられた(表12)。この実施例は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPモデル系に由来する所与のプロトプラスト集団内で、2つの独立した標的遺伝子(BFPおよびAHAS)を同時に変換することに成功を収めたことを示している。
Figure 2019506170
実施例12:植物細胞内へのCas9 mRNの送達
この実施例では、CRISPR−Cas発現プラスミドの送達に代わるものとして植物細胞内への組換えCas9 mRNAの直接送達を利用する。この方法は、(1)修飾mRNAのin vitro合成および(2)修飾mRNAの植物細胞内への送達を含む。
方法
Cas9 mRNAはin vitroで、T7、T3またはSP6などのRNAポリメラーゼを用いて、5’UTR、タンパク質のコード配列(CDS)および3’UTRの構成要素を含む直線化プラスミド鋳型から転写される。あるRNAポリメラーゼは、別のRNAポリメラーゼよりも特定の修飾ヌクレオシドの組込みに優れたものであり得る。5’UTRは、その安定性を向上させるエレメント、例えばC型肝炎ウイルスのMiR−122(Shimakamiら,2012)などを含み得る。in vitro合成では、保護機能があり標的植物細胞で良好に翻訳されるヌクレオシドが組み込まれる。組換えCas9 mRNAはキャップがあり、polyAテールを含む。
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。組換えCas9 mRNAを以下の手段(リストは包括的なものではない):細胞内への活性な組換えCas9 mRNAの送達を可能にする(単独の、または組み合わせた)細胞透過性ペプチド(CPP)、トランスフェクションリポソーム試薬、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはエレクトロポレーションのうちの1つを用いて植物細胞内に送達する。
実施例13:DNA、RNAまたはタンパク質を繋留するためのCRISPR−Cas。
この実施例では修飾一本鎖ガイドRNA(sgRNA)カセットを利用し、ここでは、下に示される例(図10)のように、tracrRNAの3’末端、RNAポリメラーゼIII終止シグナルの5’末端にリンカー配列(繋留配列と呼ばれることもある)が含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。リンカーの配置はtracerRNAの3’末端が好ましいが、これに限定されることはなく、sgRNAカセット内の複数の地点で検討される。リンカー配列は、様々なヌクレオチド長であってよく、あるいは、繋留を向上させるか三重鎖相互作用により繋留される分子数を増加させ得る二次構造を含んでよい。
リンカーにより、相補的配列を含むDNA、RNAまたはタンパク質とのワトソン・クリック型塩基対形成が可能になる(図10)。さらに、複数のDNA、RNAまたはタンパク質分子を繋留し得るさらに複雑な多面的相互作用領域を与える高度な二次構造および三次構造を含むようsgRNAカセット内のリンカー配列を設計する。
全体としての考え方は、CRISPR−Cas複合体が生体分子をヌクレアーゼ活性部位に繋留し、それにより遺伝子編集の可能性を増大させるというものである。これらの生体分子には、標的遺伝子(1つまたは複数)の変換を媒介するGRONが含まれる。単に、例えばGene Stringsまたはアニールしたオリゴヌクレオチドを用いることにより、sgRNAに繋留リンカーを付加することができる。
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。CRISPR−Cas繋留プラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またbfpを標的とする201量体編集GRON上にある15〜30bpのポリヌクレオチド地帯に相補的なリンカー配列を有するsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターが含まれている(図10に示される通り)。sgRNA繋留カセットはポリ−T10ターミネーターにより終止する。CRISPR−CasプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、201量体GRONについては0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入する。GRON処理単独では、201量体のPEG送達後の最終GRON濃度が2.5μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じまたは異なるプラスミドから発現する。sgRNAは、CRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)とリンカーの融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。この実施例では、bfp遺伝子を標的とするCRISPRを用いる。GRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列または非コード配列を含む。
実施例14:CRISPRと短縮gRNA。
この実施例の目的は、標的遺伝子に二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPモデル系に由来するプロトプラストでのBFPからGFPへの変換を示すことである。この実施例に用いたCRISPRは、Cas9 遺伝子をコードするプラスミド(1つまたは複数)および2つの異なる長さのsgRNA1つをプロトプラスト内に導入することにより、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ゲノムのbfp遺伝子を標的とする。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。Cas9を標的遺伝子に誘導するcrRNAはスペーサーと呼ばれ、通常、20ntの長さである(CR:BFP1 20−nt)が、これらの実施例では、これより短い17ntの長さのスペーサー(CR:BFP1 17−nt)をBFPからGFPへの変換の媒介に用いた場合の効果を試験した。
方法
誘導した根組織に由来するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、また複数の異なるsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、201量体については0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入する。GRON処理単独では、201量体のPEG送達後の最終GRON濃度が2.5μMになるようにする。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内でのGFPに対するBFPの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じまたは複数のプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼを標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。これらの実施例では、20nt(5’CTCGTGACCACCTTCACCCA3’)と17nt(5’GTGACCACCTTCACCCA3’)の2つの異なる長さのBFP1スペーサーを試験した。使用したGRONを表13に記載する。
Figure 2019506170
結果
BFP1プロトスペーサーの長さを20bpから17bpに減じたところ、プラスミドおよびGRONをシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPモデル系内にPEG送達してから72時間後のBFPからGFPへの変換のレベルはそれぞれ0.163%および0.177%でほぼ同じであった(図11)。
実施例15:CRISPRとアンプリコンgRNA。
この実施例の目的は、標的遺伝子に二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPモデル系に由来するプロトプラストでのBFPからGFPへの変換を示すことである。この実施例に用いたCRISPRは、Cas9遺伝子をコードするプラスミド(1つまたは複数)およびプラスミド上でコードされるか、アンプリコンとしてプロトプラスト内に導入されるsgRNA1つをプロトプラスト内に導入することにより、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のbfp遺伝子を標的とする。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNAはCas9を標的遺伝子に誘導し、そこでCas9が二本鎖切断を生じさせ、GRONは、部位指向性にBFPをGFPに変換するための鋳型として用いられる。
方法
誘導した根組織に由来するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種する。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、また複数の異なるsgRNAを駆動するシロイヌナズナU6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、201量体については0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入する。GRON処理単独では、201量体のPEG送達後の最終GRON濃度が2.5μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFPに対するBFPの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析する。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じまたは複数のプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼを標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。これらの実施例では、同じBFP6 gRNA(5’GGTGCCGCACGTCACGAAGTCGG3’)をアンプリコンとして、またはプラスミド上にコードさせる形でプロトプラスト内に導入した。使用したGRONを表14に記載する。
Figure 2019506170
結果
BFP6 gRNAをCas9のみが含まれるプラスミドとともにアンプリコン(CR:BFP6(gRNAアンプリコン))として送達すると、プラスミドおよびGRONをシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPモデル系内に送達してから72時間後、別個のプラスミド上にコードされるgRNA(gRNAプラスミド)およびCas9の両方で処理した場合と比較して同程度のBFPからGFPへの変換率が得られた(図12)。
実施例16:CRISPRと未修飾GRON。
この実施例の目的は、bfp遺伝子に標的化二本鎖切断を生じさせるCRISPRおよび変換を媒介するGRONを用いて、本発明者らのシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)BFPトランスジェニックモデル系でのBFPからGFPへの変換を示すことである。この実施例に用いたBFP CRISPRは、bfp遺伝子を標的とし、DNAの変換部位付近に二本鎖切断を引き起こす。3PS GRONは、GRONの5’末端および3’末端の両方に3つのホスホチオアート結合を有するDNA塩基を含み、本明細書では3PS GRONと呼ばれる。本発明者らのBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)モデル系にBFP CRISPRを用い、媒介されるBFPからGFPへの変換において、3PS GRONをその未修飾GRON対応物と直接比較した。これらの実施例に使用したGRONのリストについては表15を参照されたい。
Figure 2019506170
方法
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×107細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナU6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。CRISPRプラスミドおよびGRONを、CRISPRについては0.05μg/μl、41量体GRONについては0.16μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。GRON処理単独では、PEG送達後の41量体の最終GRON濃度が0.8μMになるようにした。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメータにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。BFP CRISPRスペーサー配列は5’CTCGTGACCACCTTCACCCA3’である。この実施例では、bfp遺伝子を標的とするBFP CRISPRを用いた。GRONは変換部位付近にbfp遺伝子の非コード配列を含む。使用したGRONのリストを表16に示す。
Figure 2019506170
結果
41量体3P GRONはその未修飾GRON対応物よりも、BFP CRISPRを用いたBFPからGFPへの変換を媒介する効果が高い(図13)。
実施例17:アマにおけるTALENおよびGRON。
この実施例の目的は、アマにTALENプラスミドおよびGRONを送達してから24時間後のプロトプラストおよび3週間後のマイクロカルスにおけるEPSPS変換を示すことである。この実施例に用いたTALENは、二本鎖切断を生じさせるTALENをコードするプラスミド(1つまたは複数)を茎頂由来プロトプラスト内に導入することによりアマ(Linum usitatissimum)ゲノムのepsps遺伝子を標的とし、GRONは、部位指向性にepsps遺伝子を変換するための鋳型として用いられる。
方法
in vitroで発芽させた実生から得た茎頂アマからプロトプラストを単離した。TALENプラスミドおよびGRONを、それぞれ0.05μg/μlおよび0.5μMの最終濃度になるようPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。プロトプラストを液体培地中で、またはアルギン酸ビーズに封入(5×10細胞/ml)して、25℃、暗所にて最大48時間インキュベートし、液体培地中で培養して細胞分裂およびマイクロカルス形成を誘導した。DNA送達から24時間後または3週間後に得たプロトプラストまたはマイクロカルスの試料をNGSにより解析して、所与の処理内の標的変異を有する細胞の割合(DNAリード)を求めた。不完全NHEJ媒介性DNA修復によるインデル形成のパーセントも推定した。
TALEN構築物には2本のアーム(左および右)が含まれており、各腕は、FokIの触媒性DNA切断ドメインと結合したTALエフェクター様DNA結合ドメインからなる。TALエフェクター様DNA結合ドメインはTALENアームをDNAの特異的部位に誘導し、これにより各アームのFokIエンドヌクレアーゼが一緒に二量体化し、二本鎖DNAを切断する。TALENがコードするプラスミドには、MasP::LuEPSPS_(左アーム)−T2A−LuEPSPS_(右アーム)がrbcSE9ターミネーターとともに含まれている。LuEPSPS_(左アーム)配列は5’TGGAACAGCTATGCGTCCG3’であり、LuEPSPS_(右アーム)配列は5’TGAGTTGCCTCCAGCGGCT3’である。LuEPSPSを標的とし、ゆらぎ塩基を含む、または含まないGRON(144量体)を用いて、その変換率に対する効果を明らかにした。
結果
次世代シーケンシングにより求めた24時間後のプロトプラストおよび3週齢のマイクロカルスのEPSPS変換率は、それぞれ0.067%および0.051%であった(図14)。さらに、これらのデータから,TALENが活性であり、アマ(Linum usitatissimum)のepsps標的遺伝子を切断することが可能であり、プロトプラストでは24時間後、マイクロカルスでは最大3週間でインデルをそれぞれ2.60%および1.84%形成することがわかる。さらに、EPSPS変換およびインデルは、TALENプラスミドおよびGRONを導入してから最大3週間維持される。
実施例18:アマにおけるCRISPRおよびGRON。
この実施例の目的は、Cas9プラスミドの送達から3週間後および6週間後のアママイクロカルスにおけるCas9の活性を示すことである。この実施例に用いたCRISPRは、Cas9遺伝子およびsgRNAをコードするプラスミド(1つまたは複数)を茎頂由来プロトプラスト内に導入することによりアマ(Linum usitatissimum)ゲノムのepsps遺伝子を標的とする。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNAはCas9を標的遺伝子に誘導し、そこでCas9が部位指向性にepsps遺伝子に二本鎖切断を生じさせる。epsps遺伝子内の二本鎖切断が遍在性のNHEJ経路により修復されると、切断部位付近にインデルが形成される。
方法
in vitroで発芽させた実生から得た茎頂からアマプロトプラストを単離した。CRISPRがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。CRISPRプラスミドをPEG媒介送達により最終濃度0.05μg/μlでプロトプラスト内に導入した。プロトプラストをアルギン酸ビーズに封入し(5×10細胞/ml)、液体培地中で培養し、25℃、暗所にて回転式振盪機(30rpm)でインキュベートした。CRISPRプラスミド送達から3週間後および6週間後、個々の細胞から発生したマイクロカルスをNGSにより解析して、誤りがちなNHEJ媒介性DNA修復経路により発生したインデルを有する細胞(DNAリード)の割合を求めた。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域は、Cas9ヌクレアーゼを標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列を含む。この実施例では、CRISPRはepsps遺伝子を標的とする。
結果
次世代シーケンシングにより求めた3週齢および6週齢のマイクロカルスのインデル形成は、それぞれ46.5%および54.7%である(図15)。これらのデータから,Cas9が活性であり、アマ(Linum usitatissimum)のEPSPS標的遺伝子を切断することが可能であり、インデルを形成することがわかる。さらに、これらのインデルは、CRISPRプラスミドを導入後してから最大6週間維持される。
実施例19:操作されたヌクレアーゼの構築
CRISPR−Cas
一過性CRISPR−Cas9発現プラスミドを構築するため、N末端およびC末端の両方にSV40 NLSと、N末端に2×FLAGタグとを含む高等植物にコドン最適化されたSpCas9遺伝子を一連のGeneArt(登録商標)Strings(商標)(Life Technology社、カールスバド、カリフォルニア州)として合成し、次いで、ギブソン法によりマンノピン合成酵素(MAS)プロモーターの下流、エンドウマメリブロース二リン酸カルボキシラーゼ(rbcsE9)ターミネーターの上流にクローン化した。次いで、シロイヌナズナU6プロモーターにより発現が駆動されるキメラgRNAからなるsgRNAカセットをGeneArt(登録商標)Strings(商標)として合成し、次いで、ギブソン法を用いてCas9含有構築物にシャトル化し、pBCRISPRを形成した。キメラgRNAをそれぞれの標的配列に対して指定するため、可変20nt sgRNA標的化配列をコードするDNAオリゴヌクレオチドの対をアニールさせて、4bpのオーバーハングを有する短い二本鎖フラグメントを作製した。このフラグメントをBbsIで消化したpBCrispr内にライゲートし、CRISPR−Cas構築物BC−1、BC−2およびBC−3を得た。
TALEN
TALEN発現構築物BT−1およびLuET−1の設計および構築は、Cermakら,Nucleic acids Res.39,e82(2011)に記載されている法則に基づくものとした。遺伝子編集部位ならびにNG、HD、NIおよびNNがそれぞれT、C、AおよびGを認識するという法則に従う反復可変i残基(RVD)に基づき標的配列を選択した。市販のサービス(GeneArt;Life Technologies社)により、ヘテロ二量体FokIドメインと結合したTALエフェクタードメインの組み立てを完了した。ギブソン法を用いて、MASプロモーターの下流、rbcE9ターミネーターの上流にTALENモノマーをクローン化し、2A結合単位として発現させた。
細胞培養およびプロトプラスト単離
表面滅菌したシロイヌナズナ種子を12時間の明暗サイクルの下、25℃で固形1/2MS培地(半分の濃度のミネラルおよびビタミン;87.7mMスクロースを含有するMS培地;MurashigeおよびSkoog,1962)上で発芽させた。2〜3週齢の実生の根材料を採取し、低光条件下、1/2MS培地で28℃にて維持した。プロトプラスト単離の3週間前、MSAR[0.22% 1/2MS、87.7mMスクロース、11.4μM IAA、2.3μM 2,4−D、1.5μM 2iP、pH5.8]に根培養物を移し維持した。根を約6mmのセグメントに切り、細胞壁消化酵素[1.25%セルラーゼRS、0.25%マセロザイムR−10、0.6Mマンニトール、5mM MES、0.1%BSA]を含有するMSAP溶液[0.22% 1/2MS、87.7mMスクロース、11.4μM IAA、2.3μM 2,4−D、1.5μM 2iPおよび400mMマンニトール、pH5.8]中、暗所で穏やかに振盪しながら3〜4時間インキュベートした。解離したプロトプラストを収集し、無菌の100μmフィルターおよび35μmフィルターに通した。プロトプラストろ液を0.8倍体積のOptiprep(商標)Density Gradient Medium(Sigma社)と混合し、穏やかにかき混ぜた。ろ液/Optiprep溶液上に60%W5[154mM NaCl、5mM KCl、125mM CaCl・2HO、5mMグルコース、10mM MES,(pH5.8)]/40%Optiprep溶液、次いで90%W5/10%Optiprep溶液を穏やかに重層して勾配を作り、それを198RCFで10分間遠心分離した。白色のプロトプラスト層を収集し、2倍体積のW5と混合した。プロトプラストを44RCFで10分間遠心分離し、1×10細胞/mlの密度でTM溶液[14.8mM MgCl・6HO、5mM MES、572mMマンニトール、(pH5.8)]中に再懸濁させた。Zeocin(商標)(Life Technologies社、カールスバド、カリフォルニア州)およびフレオマイシン(InvivoGen社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いた実験には、トランスフェクションの前にプロトプラストをpH7.0に調整したTM中、氷上で90分間保持した。
in vitroで発芽させた3週齢の実生から得た茎頂からアマプロトプラストを単離した。茎頂を解剖用メスで細切し、B培地[B5塩およびビタミン(Gamborgら,1968)、4mM CaCl、0.1Mグルコース、0.3Mマンニトール、0.1Mグリシン、250mg/lカゼイン加水分解物、10mg/l L−システイン−HCL、0.5%ポリビニルピロリドン(MW10,000)、0.1%BSA、1mg/l BAP、0.2mg/l NAAおよび0.5mg/l 2,4−D]中、室温で1時間、予め原形質分離させ、回転式振盪機(50rpm)上で0.66%セルラーゼYCおよび0.16%マクロザイムR−10を添加したB培地を含有する細胞壁消化酵素溶液中、25℃で5時間インキュベートした。解離したプロトプラストをふるいにかけ、Optiprep(Sigma)層を用いた密度勾配遠心分離により精製し、血球計数器でカウントし、暗所にてB培地中0.5×10プロトプラスト/mlの密度で一晩静置した。
プロトプラストのトランスフェクション
96ウェル平底プレートでPEG[270mMマンニトール、67.5mM Ca(NO、38.4%PEG1500、(pH5.8)]を用いて、1ウェル当たり2.5×10個の細胞に10pmol GRON、10pmol GRONと3.25μg CRISPR−CasもしくはTALEN発現構築物またはモックをトランスフェクトした。細胞およびDNAを氷上で30分間、PEGとインキュベートし、次いで、W5溶液200μlで洗浄した。最後に、MSAP++[50nMファイトスルフォカイン−αと20μM n−没食子酸プロピルとを含有するMSAP]85μlを加え、細胞を低光条件下、28℃で培養した。
約18時間培養した後、PEG媒介送達を用いてプロトプラストにTALENプラスミドとGRON(20μgプラスミドと0.2nmol GRON/10プロトプラスト)をトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、処理済みプロトプラストをB培地中で、またはアルギン酸ビーズに封入して、25℃、暗所にて最大48時間インキュベートし、V−KM液体培地中で培養して、細胞分裂およびマイクロカルス形成を誘導した。抗生物質実験には、上記のPEG溶液を用いて1ウェル当たり1.25×10個の細胞に8μM GRON CG13をトランスフェクトした。
サイトメトリー
トランスフェクションから72時間後、Attune(登録商標)Acoustic Focusingサイトメータ(Applied Biosystems(登録商標))を用いたサイトメトリーにより、必要に応じてGFP励起および発光検出を実施して、細胞を解析した。バックグラウンドレベルは、DNA送達を実施していないPEG処理プロトプラストに基づくものとした。抗生物質実験には、トランスフェクション前にZeocinまたはフレオマイシンで処理したプロトプラストをトランスフェクションから48時間後にサイトメトリーにより解析した。
シーケンシング解析
NucleoSpin(登録商標)Plant IIキットを製造業者の推奨(Machery−Nagel社、ベツレヘム、パレスチナ)通りに用いて、CRISPR−CasまたはTALENで処理したプロトプラストからゲノムDNAを抽出した。Phusion(登録商標)ポリメラーゼを100ngのゲノムDNAならびにシロイヌナズナCRISPRおよびTALENにプライマーBFPF−1(5’−GGACGACGGCAACTACAAGACC−3’)/BFPR−1(5’−TAAACGGCCACAAGTTCAGC−3’);またはアマ(L.usitatissimum)TALENにLuEPF−1(5’−GCATAGCAGTGAGCAGAAGC−3’)/LuEPR−1 5’−AGAAGCTGAAAGGCTGGAAG−3’とともに用いて、TALENまたはCRISPR標的領域に隣接するアンプリコンを作製した。Qiaquick MinEluteカラム(Qiagen社、バレンシア、カリフォルニア州)を用いてアンプリコンを精製し濃縮した。2×250bpのMiSeqラン(Illumina社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いて、GeneWiz(サウスプレーンフィールド、ニュージャージー州)によりアンプリコンのディープシーケンシングを実施した。データ解析には、リード1およびリード2のfastqファイルをCLC Genomics Workbench 7.0.4(CLCBio社、ボストン、マサチューセッツ州)にインポートした。ペアリードの配列がオーバーラップしている場合、それを単一配列にまとめた。アンプリコンの配列またはその逆配列および相補配列に順方向プライマー配列および逆方向プライマー配列がともに含まれている場合、それを特定した。試料中に固有の配列があれば、その存在量として記録した。編集またはインデルを有するリード数をシーケンシングされたリードの総数で除し、次いで100を乗じることにより、インデルまたは遺伝子編集のパーセントを算出した。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
TALEN結合ドメイン配列



Figure 2019506170
統計解析
両側分布のスチューデントt検定を用いて統計的有意性を決定した。p値<0.05を有意であると見なした。データは平均およびSEMで表す。
結果
シロイヌナズナ(A.thaliana)プロトプラストにおけるCRISPR−Casヌクレアーゼ活性および遺伝子編集。
操作されたヌクレアーゼ、例えばTALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連エンドヌクレアーゼCas9(CRISPR−Cas9)などは、二本鎖DNAを高い特異性で標的とし切断するようプログラムすることができる。TALENは2本のアームからなり、アームにはともに、FokIの触媒DNAヌクレアーゼドメインと結合したTALエフェクター様DNA結合ドメイン(TALE)を有する。TALEドメインはTALENアームをDNAの特異的部位に誘導し、これによりFokIエンドヌクレアーゼが二量体化し、次いで二本鎖切断(DSB)が起こる。CRISPR−Cas9系は2つの構成要素、すなわち、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9ヌクレアーゼ(SpCas9)と、操作された一本鎖ガイド(sgRNA)と呼ばれる2つのRNA(crRNAとtracrRNA)のキメラ融合物とからなる。sgRNAは、Cas9の最初の20の5’塩基とDNA標的との塩基対形成を介するCas9の標的核酸特異性を補助し、それにより部位特異的DSBが生じる。
植物では、DSBは通常、誤りがちな非相同末端結合(NHEJ)DNA修復経路によって修復され、それにより修復部位にランダムな欠失および/または挿入(インデル)が生じる。これに対し、高精度のゲノム編集は、標的変化付近のヌクレアーゼ誘導性DSBが相同組換え修復(HDR)によって修復されることに依存し、HDRは、相同な鋳型DNA(多くの場合、姉妹染色分体)を必要とするためNHEJよりも精度の高い修復経路である。HDR経路を利用することにより、ヌクレアーゼにより切断する場合はDNAを特異的に編集する修復鋳型として、あるいは二本鎖切断を誘導する抗生物質とともに使用する場合はDNAを非特異的に修復する修復鋳型として、操作されたオリゴヌクレオチドを用いることが可能となる。
図16に、H66をコードするコドンを編集(CAC→TAC H66Y)することにより、安定に組み込まれたBFP遺伝子をGFPに変換することができるBFPトランスジェニックモデル系に由来するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストにおけるCRISPR−Cas9ヌクレアーゼ活性を示す。細胞をCRISPR−Cas9(BC−1)で処理した場合、ディープシーケンシングによりBFP遺伝子のH66遺伝子座付近に0.79%の頻度でNHEJ誘導性インデルがみられた(図16a)。インデルの大部分は単一bpであり、9bpより長いものはみられなかった。これとは逆に、GRON単独で処理した細胞にもモック処理した細胞にもインデルはみられなかった(データ不掲載)。以上の結果から,CRISPR−Cas9ヌクレアーゼは、このトランスジェニックモデル系においてBFP遺伝子を能動的に標的とし得ることがわかる。
GRONと組み合わせたCRISPR−Cas9が本発明者らのトランスジェニックモデル系に由来するプロトプラストでBFPからGFPへの遺伝子編集を媒介する効果に関しては、CRISPR−Cas9とホスホロチオアート(PS)修飾GRON(CG6)の両方を同時に導入した場合、GRON単独またはCRISPR−Cas9単独処理と比較して、BFPからGFPへの編集が7.4倍改善された(図16b)。これらの結果は、CRISPR−Cas9をPS修飾GRONとともにシロイヌナズナプロトプラスト内に導入すると、BFPからGFPへの遺伝子編集の頻度が有意に増大することを示している。
5’末端および3’末端の両方に3つの隣接するPS修飾(本明細書では3PSと呼ぶ)を含むGRONは、未修飾GRONと比較してBFPからGFPへの編集に正の効果を及ぼす。3PS修飾GRON(CG2)をCRISPR−Cas9(BC−1)と組み合わせると、未修飾GRON鋳型と比較してBFPからGFPへの編集の効果が高くなる(CG1;図17a)。さらに、編集とGRONの長さとの間に正の相関(図17b)が認められた。以上の結果を考え合わせると、CRISPR−Cas9の存在下では、GRON修飾と長さの両方がシロイヌナズナなどの植物における遺伝子編集の頻度を大幅に改善し得ることがわかる。
1番目のRNA塩基または最初の9つのRNA塩基が2’−O−メチルで修飾されたRNAである最初の10の5’塩基からなる201核酸塩基(nb)の3PS修飾GRON(CG6)または201nbの2’−O−メチル修飾GRON(CG9)もしくは(CG10)をCRISPR−Cas9(BC−1)とともにシロイヌナズナプロトプラスト内に導入しても、それらの間にBFPからGFPへの編集の統計学的差は認められなかった(図17c)。同様に、5’Cy3と3’idC逆塩基とを含む201nbの3PS修飾GRON(CG3)または201nbのCy3修飾GRON(CG4)をCRISPR−Cas9(BC−3)とともにシロイヌナズナプロトプラスト内に導入しても、編集頻度に統計学的差は認められなかった(図17d)。以上のデータを全体的にみれば、CRISPR−Cas9の存在下では多様なGRON修飾が遺伝子編集の頻度を大幅に改善し得ることがわかる。
上記のCRISPR−Cas9および修飾GRONでの結果を踏まえ、BFP遺伝子を標的とするTALEN対を組み合わせた修飾GRONにより、BFPからGFPへの遺伝子編集が改善されるかどうかを明らかにした。最初に、BFP遺伝子座で効果的なヌクレアーゼ活性を明らかにするため、シロイヌナズナプロトプラストをTALEN(BT−1)で処理したところ、ディープシーケンシングにより、予測切断部位またはその付近に0.51%のインデルがみられ、このことは、TALENがこのモデル系でCRISPR−Cas9と同程度に活性であることを示している(図18a)。欠失の大部分は10bp超、50bp未満であり、挿入は欠失よりはるかに少なく、3bp以下であった。次に、修飾GRONと組み合わせたTALENがBFPからGFPに編集する効果を検討した。BFP TALEN(BT−1)と3PS GRON(CG7)の両方を導入した場合、3PS GRON単独と比較して、BFPからGFPへの編集の頻度に9.2倍の改善が認められた(図18b)。上記のCRISPR−Casの実験と同じく、以上の結果は、TALENを3PS修飾GRONとともにシロイヌナズナプロトプラスト内に導入した場合にもBFPからGFPへの遺伝子編集の頻度が有意に増大することを示している。
この系の標的としてアマ(Linum usitatissimum)のEPSPS(5’−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素)遺伝子座も用いた。EPSPS遺伝子は、芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンの生合成に関与するシキミ酸経路の酵素をコードする。植物では、EPSPSは除草剤グリホサートの標的であり、この場合、グリホサートはホスホエノールピルビン酸に対する結合部位の競合阻害剤として作用する。
編集した場合にEPSPSにグリホサート耐性を付与するアマ(L.usitatissimum)の2つの遺伝子座(T97IおよびP101A)の付近の部位を標的とするTALENを選択した。T97IおよびP101Aでの標的変化を含む144nbの5’Cy3修飾GRON(CG11)とともにTALEN(LuET−1)をプロトプラスト内に送達したところ、導入から7日後、両遺伝子座における0.19%の遺伝子編集頻度および0.5%のインデル頻度が認められた(図18c、18d)。インデルの大部分は10bp以下であった(図18c)。これらの結果は、TALENとCy3修飾GRONとともにアマ(L.usitatissimum)プロトプラスト内に導入することによりEPSPS遺伝子編集の頻度が有意に増大し、さらには、単一のGRONにより複数のヌクレオチド編集が実現可能であることを示している。
実施例20:抗生物質のブレオマイシンファミリーの2つのメンバーが変換に及ぼす効果。
この一連の実施例の目的は、変換効率に対する抗生物質の効果を評価することであった。
方法
複数コピーの青色蛍光タンパク質遺伝子を有するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)系列由来のプロトプラストを実施例1に記載した通りにGRONで処理し、その際、以下のような修正を施した:GRONを添加する前に、プロトプラストを0μg/ml、250μg/mlまたは1000μg/mlのZeocin(商標)またはフレオマイシンを添加したTM(14.8mM MgCl×6HO、5mM 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、572mMマンニトール)の溶液中、氷上で90分間保持した。溶液のpHを7.0に調整した。BFPからGFPへの変換により得られた緑色蛍光を発する細胞の割合を実施例1に記載した通りにフローサイトメトリーにより評価した。
結果
用いた両濃度(250μg/mlおよび1000μg/ml)のZeocinおよびフレオマイシンにより、BFPからGFPへの遺伝子編集が増大した(図19を参照されたい)。GRON送達から5日後、BFPからGFPへの遺伝子編集により得られた緑色蛍光を発する細胞が観察された(図20)。
参考文献
1.LeCong et al 2013 Science:vol.339 no.6121 pp.819−823.
2.Jinek et al 2012 Science.337:816−21
3.Wang et al 2008 RNA 14:903−913
4.Zhang et al 2013.Plant Physiol.161:20−27
実施例21:イネにおけるCRISPRおよびGRON。
この実験の目的は、CRISPR−CasプラスミドおよびGRONをプロトプラスト内にPEG送達してから120時間後のイネ(Oryza sativa)におけるACCアーゼ変換を示すことである。この実験に用いたCRISPR−Casは、Cas9遺伝子およびsgRNAをコードするプラスミド(1つまたは複数)をプロトプラスト内に導入することによりイネゲノムのaccアーゼ遺伝子を標的とする。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNAはCas9を標的遺伝子に誘導し、そこでCas9がaccアーゼ遺伝子に二本鎖切断を生じさせ、GRONは、部位指向性にaccアーゼ遺伝子を変換するための鋳型として用いられる。
方法
イネプロトプラストをカルスから単離した。CRISPR−Casがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するトウモロコシ(corn)ユビキチンプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するイネU6プロモータープロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。CRISPR−Casプラスミドを最終濃度0.05μg/μlでPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。以下の配列、すなわち、5’V C TGA CCT GAA CTT GAT CTC AAT TAA CCC TTG CGG TTC CAG AAC ATT GCC TTT TGC AGT CCT CTC AGC ATA GCA CTC AAT GCG GTC TGG GTT TAT CTT GCT TCC AAC GAC AAC CCA AGC CCC TCC TCG TAG CTC TGC AGC CAT GGG AAT GTA GAC AAA GGC AGG CTG ATT GTA TGT CCT AAG GTT CTC AAC AAT AGT CGA GCC H3’を有するGRONを最終濃度0.8μMで用いた。プロトプラストをアガロースに封入し(2.5×106細胞/ml)、液体培地中で培養し、28℃、暗所にて回転式振盪機(60rpm)でインキュベートした。CRISPR−Casプラスミドおよび/またはGRONの送達から120時間後、accアーゼ遺伝子にACCアーゼ変換を有しインデルを有する細胞(DNAリード)の割合を求めるため、個々の試料をNGSにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素とも同じプラスミドから発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域は、Cas9ヌクレアーゼを標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列(5’−ACGAGGAGGGGCTTGGGTTGTGG−3)を含む。この実験では、CRISPRはaccアーゼ遺伝子を標的とする。
結果
120時間後、イネプロトプラストは、次世代シーケンシングにより求めたACCアーゼ変換が0.026%であった。CRISPR−Casを含まないGRON単独対照には120時間後に最小限のAccアーゼ変換0.002%を示したものはなく、未処理対照に変換はみられなかった。さらに、これらのデータから,CRISPR−Casが活性であり、ACCアーゼ標的遺伝子を切断し8.0%のインデルを形成することが可能であることがわかる。
実施例22:イネにおけるCRISPRおよびGRON
概要:PCRおよびDNAシーケンシング解析により19週齢のカルスに標的化ACCアーゼ変異が確認された。
諸言
この実験の目的は、CRISPR−CasプラスミドおよびGRONをプロトプラスト内にPEG送達した後のイネ(Oryza sativa)カルスにおけるACCアーゼ変換を示すことである。この実験に用いたCRISPR−Casは、Cas9遺伝子およびsgRNAをコードするプラスミド(1つまたは複数)をプロトプラスト内に導入することによりイネゲノムのACCアーゼ遺伝子を標的とする。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNAはCas9を標的遺伝子に誘導し、そこでCas9がACCアーゼ遺伝子の標的位置に二本鎖切断またはニックを生じさせ、GRONは、部位指向性にACCアーゼ遺伝子を変換するための鋳型として用いられる。
結果
PCRおよびDNAシーケンシング解析により19週齢のカルスに下の表に記載する標的化OsACCアーゼ変異が確認された。
方法
成熟種子由来胚発生カルスから開始した浮遊培養からイネプロトプラストを単離した。CRISPR−CasプラスミドおよびGRONをPEG媒介送達法により、それぞれ0.05μg/μlおよび0.8μMの最終濃度でプロトプラスト内に導入した。CRISPR−Casプラスミドの最終濃度の例示的範囲としては、特に限定されないが、0.01〜0.2μg/μlが挙げられる。GRONの最終濃度の例示的範囲としては、特に限定されないが、0.01〜4μMが挙げられる。CRISPR−Casがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するトウモロコシ(corn)ユビキチンプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するイネU6プロモータープロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。GRONの配列に関する情報は表3に記載されている。PEG処理の後、プロトプラストをアガロースに封入し(1.25×10細胞/ml)、液体培地中で培養し、28℃、暗所にて回転式振盪機(60rpm)でインキュベートした。アガロースに封入するプロトプラストの例示的範囲としては、特に限定されないが、0.625×10〜2.5×10細胞/mlが挙げられる。CRISPR−Casプラスミドおよび/またはGRON処理から4週間後、ACCアーゼ変換を有する細胞(DNAリード)の割合を求めるため、各処理で得た試料を次世代シーケンシングにより解析した。変換された処理で得られたマイクロカルスをクレトジム(0.25〜0.5μM)またはセトキシジム(2.5μM)を含有する固形選択培地上に固形選択培地上に放出した。19週間培養した後、標的化ACCアーゼ変換を含む個々のカルスを特定するため、この選択培地で増殖した個々のカルス系を自社スクリーニング法およびDNAシーケンシングにより解析した。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)などのCas9とsgRNAとからなり、両要素ともプラスミド(1つまたは複数)から発現させた。Cas9およびsgRNAは、それぞれmRNA/RNAまたはタンパク質/RNAによって送達することもできる。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域は、表2に記載した配列を有するスペーサーを含み、これらを用いてCas9ヌクレアーゼを標的遺伝子に誘導した。この実験では、CRISPRはイネACCアーゼ遺伝子を標的とする。
遺伝子内の2つの異なる位置、部位1および部位2におけるOsACCアーゼの変換のリスト。各部位について変換事象のあらゆる組合せが可能である。
Figure 2019506170
この実験に用いたCRISPR−Cas gRNAスペーサー配列のリスト。スペーサーの長さには±20bpまでの幅があり得る。スペーサー配列内のミスマッチは10bpまで許容され得る。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
Figure 2019506170
この実験に用いるのに適したGRON配列のリストを下の表に記載する(V=CY3;H=3’DMT dC CPG)。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
実施例23:アマにおけるCRISPRおよびGRON
概要:PCRおよびDNAシーケンシング解析により4週齢のカルスに標的化LuEPSPS変異が確認された。
諸言
この実験の目的は、CRISPR−CasプラスミドおよびGRONのPEG媒介送達による茎頂由来プロトプラストのアマ(Linum usitatissimum)ゲノムにおけるEPSPS遺伝子の変換を示すことである。この実験に用いたCRISPR−CasおよびGRONはアマゲノムのEPSPS遺伝子を標的とする。CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)などのCas9とsgRNAとからなり、両要素ともプラスミド(1つまたは複数)から発現させる。Cas9およびsgRNAは、それぞれmRNA/RNAまたはタンパク質/RNAによって送達することもできる。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNAはCas9を標的遺伝子に誘導し、そこでCas9がEPSPS遺伝子に二本鎖切断またはニックを生じさせ、GRONは、部位指向性にEPSPS遺伝子を変換するための鋳型として用いられる。
結果
PCRおよびDNAシーケンシング解析により4週齢のカルスに標的化LuEPSPS(T97Iおよび/またはP101A、P101TもしくはP101Sおよび/またはG96A)変異が確認された。これらの変換されたカルスからシュートが再生した。
方法
in vitroで発芽させた実生から得た茎頂からアマプロトプラストを単離した。CRISPR−Casがコードするプラスミドには、Cas9コード配列を駆動するMASプロモーターがrbcSE9ターミネーターとともに、またsgRNAを駆動するシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)U6プロモーターがポリ−T10ターミネーターとともに含まれている。CRISPR−CasプラスミドをPEG媒介送達により最終濃度0.05μg/μlでプロトプラスト内に導入した。2つのアマLuEPSPS遺伝子をそれぞれ標的とするGRON(表2)を最終濃度4.0μMで用いた。CRISPR−Casプラスミドの最終濃度の例示的範囲としては、特に限定されないが、0.01〜0.2μg/μlが挙げられる。GRONの最終濃度の例示的範囲としては、特に限定されないが、0.01〜4μMが挙げられる。プロトプラストをアルギン酸ビーズに封入し(5×10細胞/ml)、液体培地中で培養し、25℃、暗所にて回転式振盪機(30rpm)でインキュベートした。アルギン酸ビーズに封入するプロトプラストの例示的範囲としては、特に限定されないが、3.0×10〜7.5×10細胞/mlが挙げられる。CRISPR−CasプラスミドおよびGRONの送達から3週間および7週間後、LuEPSPS遺伝子に標的化変異を有する細胞(DNAリード)の割合を求めるため、個々の細胞から発生したマイクロカルスを次世代シーケンシングにより解析した。固形再生培地に播いた8週齢の変換マイクロカルスからさらに大きいカルスが成長し、約4〜8週間後、再生したカルスからシュートが分化し始めた。PCRおよびDNAシーケンシング解析により標的化EPSPS遺伝子変異を有する変換カルスおよびシュートが確認された。
CRISPRは2つの構成要素、すなわち、植物コドン最適化化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素ともプラスミド(1つまたは複数)から発現させた。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域は、下の表に記載する配列を有するスペーサーを含み、これらを用いてCas9ヌクレアーゼをEPSPS標的遺伝子に誘導した。
この実験に用いたCRISPR−Cas gRNAスペーサー配列のリスト。スペーサーの長さには±20bpまでの幅があり得る。スペーサー配列内のミスマッチは10bpまで許容され得る。
Figure 2019506170
Figure 2019506170
この実験に用いるのに適したGRON配列のリストを下の表に記載する(V=CY3;H=3’DMT dC CPG)。
Figure 2019506170

Figure 2019506170
Figure 2019506170
実施例24:非トランスジェニック作物育種のための高精度のゲノム編集手段
以下の実施例では、操作されたヌクレアーゼであるcrispr−cas9とともにGRONを外来性に導入したシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストにおける効率的で高精度の遺伝子編集を示す。このゲノム編集技術はアマ(Linum usitatissimum)などの農業上重要な作物にも応用され、その場合、高精度のEPSPS遺伝子編集によりプロトプラストにグリホサート耐性形質がもたらされ;のちに再生したシュートには、選択を必要とせずにそれらの高精度の編集およびそれに付随する形質がみられる。
方法
CRISPS−Cas9プラスミドの構築
一過性CRISPR−Cas9発現プラスミドを構築するため、N末端およびC末端の両方にSV40 NLSと、N末端に3×FLAGタグとを含む高等植物にコドン最適化されたSpCas9遺伝子を一連のGeneArt(登録商標)Strings(商標)(Life Technology社、カールスバド、カリフォルニア州)として合成し、次いで、ギブソン法23によりマンノピン合成酵素(MAS)プロモーターの下流、エンドウマメリブロース二リン酸カルボキシラーゼ(rbcsE9)ターミネーターの上流にクローン化した(図27a)。次いで、シロイヌナズナU6プロモーターにより発現が駆動されるキメラgRNAからなるsgRNAカセットをGeneArt(登録商標)Strings(商標)として合成し、次いで、ギブソン法を用いてCas9含有構築物にシャトル化し、pBCRISPRを形成した。キメラsgRNAをそれぞれの標的配列に対して指定するため、以下の表に示すBFP_sgRNA−1およびEPSPS_sgRNA−29に対するプロトスペーサーをコードするDNAオリゴヌクレオチドの対をアニールさせて、4bpのオーバーハングを有する短い二本鎖フラグメントを作製した。
Figure 2019506170
上記の配列の参照図は以下の通りである:Off−1F〜BFPR−1−図27d;LuEPF−1およびLuEPR−1−図29d;CR−LuEPSPS2aおよびCR−LuEPSPS2b−図29a;CR−BFPa1およびCR−BFP1b−図27a。
フラグメントをBbsIで消化したpBCrispr内にライゲートしてCRISPR−Cas9構築物sgRNA(BFP)−1およびsgRNA(EPSPS)−2を得た。使用したsgRNAのプロトスペーサー配列を以下の表に示す:
Figure 2019506170
sgRNA配列中、赤文字のGはPolIIIプロモーターを適合させるために変化させたものである
遺伝子修復オリゴヌクレオ塩基(GRON)
GRONはいずれもTrilink Biotechnologies社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入した。使用したGRONSのリストは下表のとおりである:
Figure 2019506170
PS−ホスホロチオアート結合;idC−逆塩基;Cy3−シアニン染色
上記の配列の参照図は以下の通りである:BFP/41:図27e、28a、28b;BFP/41/3PS:図28b;BFP/101:図28b;BFP/101/3PF:図28b;EPSPS/144/Cy3:図29。
細胞培養およびプロトプラスト単離
シロイヌナズナ
表面滅菌したシロイヌナズナ種子を12時間の明暗サイクルの下、25℃で固形1/2MS培地(MSミネラルおよびビタミン24;1/2濃度;87.7mMスクロース)上で発芽させた。2〜3週齢の実生の根を採取し、25℃、低光量下にて1/2MS液体培地で維持した。プロトプラスト単離の3週間前、MSAR1.125(1/2×MS塩およびビタミン、スクロース87.7mM、IAA、11.4μM、2,4−D 4.6μM)に培養物を移して維持し、根分裂組織(RMT)を誘導した。RMTを小さいセグメントに切り、MSAR1.2酵素溶液(400mMマンニトール、1.25%セルラーゼRS、0.25%マセロザイムR−10、5mM MES、0.1%BSAを含有するMSAR1.1)中、暗所で穏やかに振盪しながら16時間インキュベートした。解離したプロトプラストを収集し、無菌の100μmフィルターおよび35μmフィルターに連続して通した。プロトプラストろ液を0.8倍体積のOptiprep(商標)Density Gradient Medium(Sigma社)に加え、穏やかにかき混ぜた。ろ液/Optiprep溶液上に60%W5(154mM NaCl、5mM KCl、125mM CaCl・2HO、5mMグルコース、10mM MES、pH5.8)/40%Optiprep溶液、次いで90%W5/10%Optiprep溶液を穏やかに重層して勾配を作り、それを198RCFで10分間遠心分離した。白色のプロトプラスト層を収集し、2倍体積のW5と混合した。プロトプラストを44RCFで10分間遠心分離し、1x10細胞/mlの密度でTM溶液(14.8mM MgCl・6HO、5mM MES、572mMマンニトール、pH5.8)中に再懸濁させた。
アマ(L.usitatissimum)
in vitroで発芽させた3週齢の実生からアマプロトプラストを単離した。植物組織を解剖用メスで細切し、B培地[B5塩およびビタミン26、4mM CaCl,0.1Mグルコース、0.3Mマンニトール、0.1Mグリシン、250mg/lカゼイン加水分解物、10mg/l L−システイン−HCL、0.5%ポリビニルピロリドン(MW10,000)、0.1%BSA、1mg/l BAP、0.2mg/l NAAおよび0.5mg/l 2,4−D]中、室温で1時間、予め原形質分離させ、0.66%セルラーゼYCおよび0.16%マクロザイムR−10を添加したB培地を含有する細胞壁消化酵素溶液中、25℃で5時間、回転式振盪機(50rpm)でインキュベートした。解離したプロトプラストをふるいにかけ、Optiprep層を用いた密度勾配遠心分離により精製し、血球計数器でカウントし、暗所にてB培地中0.5×10プロトプラスト/mlの密度で一晩静置した。
プロトプラストのトランスフェクション
シロイヌナズナ
96ウェル平底プレートでPEG媒介送達[270mMマンニトール、67.5mM Ca(NO、38.4%PEG1500]を用いて、1ウェル当たり2.5×10個のシロイヌナズナプロトプラストに2.5pmol GRON単独、2.5pmol GRONと5μg CRISPR−Cas9プラスミド(BFP_sgRNA−1)をトランスフェクトするか、またはモック処理を実施した。氷上で10分間トランスフェクションを実施し、次いでW5溶液200μlで洗浄した。最後に、MSAP(0.4Mマンニトールを含有するMSAR1.1)85μlを加え、細胞を低光条件下、25℃で培養した。
アマ(L.usitatissimum)
18時間培養した後、PEG媒介送達を用いて1×10個のアマプロトプラストに200pmolのGRONを20μgのCRISPR−Cas9プラスミド(EPSPS_sgRNA−2)とともにトランスフェクトした。処理済みプロトプラストをアルギン酸ビーズに0.5×10プロトプラスト/mlアルギン酸の密度で封入し27、B培地中、25℃、暗所にて最大24時間インキュベートし、0.02mg/lのチジアズロン(TDZ)および0.002mg/lのNAAを添加した基本V−KM液体培地28で培養した。トランスフェクションから3週間および7週間後、プロトプラストから得た約10,000個の微小コロニーからなるプールから抽出したgDNAのNGSにより、EPSPS遺伝子を標的とする配列編集を評価した。次いで、50mMクエン酸緩衝液中、マイクロカルスをアルギン酸から30分間解離させ、V−KM培地で2回洗浄し、沈殿細胞量0.5ml/プレートの密度で固化再生培地[MS塩25、MorelおよびWetmoreビタミン29[0.001mg/lビオチン、0.01mg/lニコチン酸、1mg/lパントテン酸カルシウム、1mg/lピリドキシン、1mg/lチアミン、100mg/lイノシトール)、3%スクロース、0.02mg/lチジアズロン(TDZ)、0.002mg/l NAA、pH5.8]に播いた。播種したマイクロカルスを16時間の光周期(270mol.m−2.s−1)下、25℃でインキュベートした。約3週間後、小さい個々のカルス(直径約0.5cm)を2つに分けた。一方を分子スクリーニングに用い、他方をシュート再生と同じ条件下、1ウェル当たり1カルスにて24ウェルプレートで維持した。約6週間後、カルスからシュートが発生し始めた。伸長したシュートをマイクロプロパゲーションにより増殖させ、MS培地(4.33g/L MS塩混合物、3%スクロースおよび0.1%MorelおよびWetmoreビタミン、0.3%Phytagel)中で根付かせ、根付いた植物を土壌に移し、植物体が十分に確立されるまで生育用チャンバ(Conviron社、ウィニペグ、マニトバ州)内で2〜4週間硬化させた。
シロイヌナズナのBFPからGFPへの編集の検出
トランスフェクションから72時間後、Attune(登録商標)Acoustic Focusingサイトメータ(Applied Biosystems(登録商標))を必要に応じてGFPの励起および発光検出の設定で用いたサイトメトリーによりシロイヌナズナプロトプラストを解析した。バックグラウンドレベルは、DNA送達を実施しないPEG処理プロトプラストに基づくものとした。
インデル解析
NucleoSpin(登録商標)Plant IIキットを製造業者の推奨(Machery−Nagel社、ベツレヘム、パレスチナ)通りに用いて、処理済みプロトプラストからゲノムDNAを抽出した。BFP_sgRNA−1標的領域に隣接するプライマー(BFPF−1およびBFPR−1)とともにPhusion(登録商標)ポリメラーゼおよび100ngのゲノムDNAを用いてアンプリコンを作製した。Qiaquick MinEluteカラム(Qiagen社、バレンシア、カリフォルニア州)を用いてアンプリコンを精製し濃縮した後、2×250bpのMiSeqラン(Illumina社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いてディープシーケンシングを実施した。データ解析には、リード1およびリード2のfastqファイルをCLC Genomics Workbench 7.0.4(CLCBio社、ボストン、マサチューセッツ州)にインポートした。ペアリードの配列がオーバーラップしている場合、それを単一配列にまとめた。アンプリコンの配列またはその逆配列および相補配列に順方向プライマー配列および逆方向プライマー配列がともに含まれている場合、それを特定した。試料中に固有の配列があれば、その存在量として記録した。編集またはインデルを有するリード数を総配列数で除し、次いで100を乗じることにより、インデルまたは標的化編集のパーセントを算出した。
アマ試料については、EvoPURE植物DNAキット(Aline Biosciences社、ウォバーン、マサチューセッツ州)を用いて微小コロニーまたはカルス試料のゲノムDNAを抽出し、ディープシーケンシングおよびアレル特異的qPCRによりスクリーニングした。次いで、陽性スコアのPCRフラグメントを製造業者のプロトコル通りにpCR2.1ベクター(Invitrogen社)にTOPO−TAクローン化した。次いで、通常10〜15個の形質転換細胞のPCRフラグメントにTempliPhiシーケンシング(GE Healthcare Life Sciences社)を実施して、単一の単離カルス由来の各EPSPSアレルのDNA配列を確認した。これと同様のPCRクローン化およびシーケンシング方法を再生シュートの葉試料のDNA配列の確認に用いた。
オフターゲット解析
Cas−OFFinderを用いて、シロイヌナズナゲノム内のBFP_sgRNA−1に対する潜在的オフターゲット遺伝子座を明らかにした。プロトスペーサー(シード配列)の塩基1〜12との配列同一性に基づく5つのオフターゲット部位の変異をスクリーニングした。既に記載した通りにシロイヌナズナプロトプラストにCRISPR−Cas9プラスミドBFP_sgRNA−1をトランスフェクトした。72時間後、gDNAを抽出し、潜在的オフターゲット部位に隣接するプライマーをPhusionポリメラーゼ(NEB社)とともに用いてアンプリコンを作製した(図27d)。次いで、2×250bpのMiSeqランを用いてアンプリコンにディープシーケンシングを実施した。編集またはインデルを有する配列数を総配列数で除し、次いで100を乗じることにより、インデルの割合を算出した。
アマ(L.usitatissimum)植物体材料の分子スクリーニング
EvoPURE植物DNAキット(Aline Biosciences社、ウォバーン、マサチューセッツ州)を用いて微小コロニーまたはマイクロカルス試料のゲノムDNAを抽出し、アレル特異的qPCRを用いてスクリーニングした。次いで、陽性スコアのPCRフラグメントを製造業者のプロトコル通りにpCR2.1ベクター(Invitrogen社)にTOPO−TAクローン化した。次いで、通常10〜15個の形質転換細胞のクローン化PCRフラグメントにTempliPhiシーケンシング(GE Healthcare Life Sciences社)を実施して、単一の単離カルス由来の各EPSPSアレルのDNA配列を確認した。これと同様のPCRクローン化およびシーケンシング方法を、得られたシュートのDNA配列の確認に用いた。
除草剤耐性試験
カルスおよび再生植物体のグリホサート耐性をそれぞれin vitroおよび温室で評価した。個々のカルスを新鮮な再生培地で小片に切り分けて培養し、カルス塊を増大させることによりクローン化した。野生型葉プロトプラスト由来のカルスを陰性対照として用いた。次いで、個々のカルス系の継代培養から得られたカルスをプールし、液体MS培地(4.33g/L MS塩、3%スクロースおよび0.1%MorelおよびWetmoreビタミン)中で混ぜ合わせることにより0.5〜1mmの小片に分割し、沈殿したカルス片0.25mlを0mM、0.125mM、0.25mM、0.5mM、1.0mMまたは2.0mMのグリホサートを含有する再生培地に接種した。3連で処理を実施し、実験を3回反復した。再生植物体には、噴霧試験の前に生育用チャンバ(Conviron社、ウィニペグ、マニトバ州)内で16時間の光周期下、日中および夜間の温度をそれぞれ21℃および18℃とする硬化期間を設けた。硬化した植物体を温室に移し、グリホサート処理を実施した。野生型対照およびEPSPS編集植物体に10.5mMまたは21.0mMのグリホサート(Roundup Pro、Monsanto社)を噴霧した。畑での条件を再現するため、処理速度を75.7ai/A(1エーカー当たりの有効成分)の噴霧体積に正規化した。界面活性剤単独のモック処理を対照として含めた。グリホサート処理から6日後、植物体の評価および写真撮影を実施して除草剤耐性を明らかにした。
統計解析
両側分布のスチューデントt検定を用いて統計的有意性を決定した。p値<0.05を有意であると見なした。データを平均±SEMで表す。
考察
GRON媒介性遺伝子編集を増強するため、この実施例にはCRISPR−Cas9系を用いた。CRISPR−Cas9系に関して例示したが、操作されたヌクレアーゼを二本鎖DNAを標的とし切断するようプログラムしてもよく、それによりGRON媒介性編集の増強に同等の機能を発揮することが予想される。このようなものとして、メガヌクレアーゼ、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)およびTALエフェクターヌクレアーゼ(TALEN)などのヌクレアーゼを挙げ得る。植物では、DNA二本鎖切断(DSB)は通常、誤りがちな非相同末端結合(NHEJ)DNA修復経路によって修復され、それにより修復部位にランダムな欠失、挿入(インデル)および/または置換が生じる。高精度のゲノム編集は、標的遺伝子座付近のヌクレアーゼ誘導性DSBが相同組換え修復(HDR)によって修復されることに依存し、HDRは、相同なDNA鋳型(多くの場合、姉妹染色分体)を必要とするためNHEJよりも精度の高い修復経路である。HDR経路を利用することにより、GRONを操作されたヌクレアーゼとともに用いて、標的DNAに傷跡を残さない高精度のカスタム編集を施すことが可能となる。
CRISPR−Cas9系は2つの構成要素、すなわち、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9ヌクレアーゼ(SpCas9)と、操作された一本鎖ガイドRNA(sgRNA)と呼ばれる2つのRNA(crRNAおよびtracrRNA)のキメラ融合物とからなる。sgRNAは、Cas9の最初の20の5’塩基とDNA標的との塩基対形成を介するCas9の標的核酸特異性を補助し、それにより部位特異的DSBが生じる。
BFPトランスジェニックモデルに由来するシロイヌナズナ(A.thaliana)プロトプラストにCRISPR−Cas9編集系の効果を用いて、この系の効果を明らかにした。このモデルでは、H66(AC)をコードするコドンをY66(AC)に編集することにより、aaが安定に組み込まれたBFP遺伝子をGFPに変換することができる(図27a、27b)。NHEJ修復事象が残したインデルの傷跡を確認することにより、BFP H66遺伝子座を標的とするCRISPR−Cas9プラスミドであるBFP_sgRNA−1の活性を明らかにした。プロトプラストをBFP_sgRNA−1で処理した場合、ディープシーケンシングによりインデルが14.5%の頻度で検出され、標的化効率が高いことが示された(図27c)。注目すべきなのは、欠失の数が挿入の数を上回り、いずれのタイプもインデルの大部分が単一の塩基対であったことである(図27c)。Cas9単独処理またはモック処理を実施したプロトプラストでは、H66標的部位に近接するインデルは検出されなかった(データ不掲載)。
このモデル系由来のプロトプラストでBFP_sgRNA−1の活性が確立されたため、Cas−OFFinderを用いてシロイヌナズナゲノム内にBFP_sgRNA−1標的配列との類似性が高い候補オフターゲット配列を探索することにより、BFP_sgRNA−1の潜在的オフターゲット活性を検討した17。ディープシーケンシングを用いて、探索に基づきBFP_sgRNA−1標的配列と最も相同性の高い5つの部位を検討した18,19。5つの被験部位のうち1つの遺伝子座Off−1にのみ、極めて低い頻度でインデル事象が検出された(図27d)。このレベルは検出可能なものではあるが、オンターゲット対照と比較して24倍弱いものであった。Off−1遺伝子座に認められた活性は、ミスマッチが1つのみ存在するPAM部位の近位にある配列との相同性に基づくものではないかと思われる。
次に、このモデル系を用いて、BFP_sgRNA−1と組み合わせたGRONがBFPからGFPへの高精度の遺伝子編集を促進する効果を検討した。GRONとBFP_sgRNA−1(BFP/41)の両方を同時に導入すると、フローサイトメトリーによる解析で、GRON単独処理と比較してBFPからGFPへの編集の著明な改善が確認された(図27e)。以上の結果をまとめると、CRISPR−Cas9プラスミドBFP sgRNA−1は、BFP遺伝子のH66遺伝子座を能動的に破壊し、オフターゲットの痕跡をほとんど残さないことが可能であることがわかる。さらに、GRONをBFP_sgRNA−1とともに導入すると、高精度で傷跡のないBFPからGFPへの編集の頻度が有意に増大する。
3つの隣接するPS修飾を含むGRON(BFP/41/3PS)をBFP_sgRNA−1と組み合わせて用いた場合、BFPからGFPへの高精度で傷跡のない編集が未修飾GRONと比較して多く確認された(BFP/41;図28a)。5’シアニン色素Cy3と3’iDc逆塩基とを含む第二のGRON修飾を試験した場合にも同様の結果がみられた(データ不掲載)。長さが41核酸塩基(nb)および101核酸塩基(nb)のGRONで3PS修飾を有するもの、または有さないものもBFP_sgRNA−1とともに試験した。複数の実験で、101nbのGRONは、これより短い41nbのGRONと比較して、3PS修飾とは無関係な編集効率の増大を一貫して示した(図28b)。注目すべきなのは、試験したいずれの長さのGRONも、3PS修飾の方がBFPからGFPへの編集が未修飾のものより優れていた。長さ201nbのGRONは101nbのGRONと同程度の編集効率を示す(データ不掲載)。以上のデータをまとめると、操作されたヌクレアーゼ、CRISPR−Cas9と組み合わせた場合、3PS修飾およびGRONの長さがシロイヌナズナ(A.thaliana)プロトプラストの遺伝子編集の頻度を大幅に改善し得ることがわかる。
GRONと操作されたヌクレアーゼが媒介する遺伝子編集の用途を他の植物系にも拡大するため、アマ(L.usitatissimum)の2つのEPSPS(5’−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素)遺伝子座も標的とした。EPSPS遺伝子は、芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンの生合成に関与するシキミ酸経路の酵素をコードする。植物では、EPSPSは除草剤グリホサートの標的であり、この場合、グリホサートはホスホエノールピルビン酸に対する結合部位の競合阻害剤として作用する。
標的化効率を改善するため、編集によりEPSPS酵素にグリホサートに対する耐性が付与される2つの遺伝子座(T97IおよびP101A)付近にある両EPSPS遺伝子で保存された配列を標的とするよう144nbのCy3修飾GRON(EPSPS/144/Cy3)とCRISPR−Cas9プラスミド(EPSPS_sgRNA−2)を設計した(図29)。標的とする変化を含む144nbのCy3修飾GRONをEPSPS_sgRNA−2とともにプロトプラスト内に送達し、次いで、処理済みプロトプラストから誘導された21日齢の微小コロニーの遺伝子編集およびインデル形成をディープシーケンシングにより測定した。3つの独立した実験で、高精度で傷跡のない遺伝子編集の頻度の範囲が0.09〜0.19%、インデルの範囲が19.2〜19.8%であった(表1)。いずれの実験でも、EPSPS遺伝子はともに、比例する数の編集およびインデルを示し(データ不掲載)、GRONとEPSPS_sgRNA−2が両遺伝子の編集に効果があることが示唆された。
Figure 2019506170

gDNAを約10,000個の微小コロニーからなるプールから単離し、次いでこれを鋳型に用いて標的領域を増幅した
T97I(ACA>ATA)およびP101A(CCG>GCG)変化のみのシーケンシング;データは遺伝子1と遺伝子2の合計
個々のカルスを最初にアレル特異的PCRでスクリーニングし、次いでサンガーシーケンシングにより確認した
5167個のカルスのうち、8(0.15%)個が少なくとも一方のEPSPS遺伝子にT97I変化とP101A変化の両方を保有することがわかった(表1)。この結果およびインデルの頻度は、21日齢の微小コロニーから得た最初のディープシーケンシングデータとよく相関していた。陽性カルス材料から非選択的条件下でシュートを再生させ、DNAクローン化およびサンガーシーケンシングによりT97IおよびP101Aの編集の存在を連続的に確認した(図29c)。以上のデータから,アマ(L.usitatissimum)プロトプラストに2つの内在性EPSPS遺伝子の高精度の標的化された編集およびインデルの傷跡を生じさせ、次いで、それをシュート再生の過程で確認し非選択的に維持することが可能であることがわかる。
高精度の編集のスクリーニングで陽性を示したカルスを用い、非選択的条件下で植物体全体を再生させたところ、その100%が、DNAクローン化およびサンガーシーケンシングによるスクリーニングで少なくとも一方のEPSPS遺伝子のT97I編集およびP101A編集の存在が陽性であった(図29b−6)。EPSPS_gRNA−2処理により再生植物体(Y23)に生じる潜在的オフターゲット変異を確認するため、EPSPS_sgRNA−2プロトスペーサーとの配列類似性を有する領域をPCRで増幅し、ディープシーケンシングによりNHEJの傷跡を測定した。これらの潜在的オフターゲット部位のいずれにも変異は確認されなかった:
Figure 2019506170
Phytozyme 10.2から得た足場または遺伝子座ID
足場内でのプロトスペーサーの位置
赤い小文字の塩基はEPSPS_sgRNAプロトスペーサーに対するミスマッチ数である
シーケンシングにより明らかになった変異;オフターゲット変異はT97IおよびP101Aである
T97IおよびP101Aの変異により与えられるグリホサート耐性を明らかにするため、EPSPS遺伝子2のT97IおよびP101A編集に対してヘテロ接合性であることが確認されたカルス系(Y23)ならびにこのカルスから再生した植物体全体をグリホサートに曝露した。試験したいずれのグリホサート濃度でも、T97IおよびP101A編集を保有するカルスの生重量の方が野生型カルスの生重量より有意(p<0.01)に大きかった(図30a、30b)。野生型植物体および編集を有する植物体を温室条件下で栽培し、10.5mMまたは21.0mMのグリホサートを含有する溶液を噴霧し、処理から6日後に評価した。野生型植物体にはいずれの塗布率でも、グリホサート中毒に典型的なしおれた壊死性の表現型がみられたのに対し、編集EPSPS遺伝子を保有する植物体の表現型の変化は最小限のものであった(図30c)、この結果から、編集EPSPS遺伝子が1つあれば、2つの比率のグリホサートで耐性レベルが対照植物体に観察されるレベルよりはるかに高くなることがわかる。以上のデータを考え合わせると、CRISPR−Cas9と組み合わせたRTDSにより、高精度の標的化された編集が十分な頻度で得られるため、これらの編集およびインデルの傷跡を分子スクリーニングにより検出し、非選択的培養条件下で維持し、効率的に植物体に再生させることが可能であることがわかる。
この解析ののち、GRONをCRISPR−Cas9と組み合わせて用い、除草剤抵抗性を与える遺伝子に高精度の編集を有するイネ(Oryza sativa)カルスも得られた。さらに、TALENと組み合わせたGRONをシロイヌナズナ(A.thaliana)に用い、CRISPR−Cas9と組み合わせたGRONをセイヨウアブラナ(Brassica napus)に用いて、BFPからGFPへの導入遺伝子の再現可能な編集が得られた。
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実施例24.アマにおける切断因子およびGRON
TALEN発現構築物BT−1およびLuET−1の設計および構築は、Cermekら(2011)に記載されている法則に基づくものとした。遺伝子編集部位ならびにNG、HD、NIおよびNNがそれぞれT、C、AおよびGを認識するという法則に従う反復可変i残基(RVD)に基づき標的配列を選択した。市販のサービス(GeneArt;Life Technologies社)により、ヘテロ二量体FokIドメインと結合したTALエフェクタードメインの組み立てを完了した。ギブソン法(Gibsonら,2009)を用いて、MASプロモーターとrbcE9ターミネーターの間にTALENモノマーをクローン化し、結合単位として発現させた(図33aおよび36a)。GRONはいずれもTrilink BioTechnologies社(サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入した。
Figure 2019506170
EPSPS/144は、それぞれがEPSPS遺伝子1および2のSNPに特異的な配列を含む2つのオリゴヌクレオチドの等モル混合物からなる。ともにT97I編集およびP101A編集を含む。
上記の配列の参照図は以下の通りである:BFP/41:図31b、32a、35b;BFP/41/NT:図32a;BFP/101:図31b、35b;BFP/201:図31b、35b;EPSPS/144:図36b。
TALE結合ドメインの配列:
Figure 2019506170
上記の配列の参照図は以下の通りである:BT−1:図33aおよび33b;LuET−1:図36aおよび36b。
この試験に使用したプライマー:
Figure 2019506170
上記の配列の参照図は以下の通りである:BFPF−1:図33d、33e、34aおよび34b;BFPR−1:図33d、33e、34aおよび34b;LuEPF−1:図37a、37b、37c、37d、38a;LuEPR−1:図37a、37b、37c、37d、38b。
シロイヌナズナ:表面滅菌したシロイヌナズナ種子を12時間の明暗サイクルの下、25℃で固形1/2MS培地(半分の濃度のミネラルおよびビタミン;87.7mMスクロースを含有するMS培地;MurashigeおよびSkoog,1962)上で発芽させた。2〜3週齢の実生の根を採取し、1/2MS液体培地中、25℃、暗所にて維持した。プロトプラスト単離の3週間前、培養物をMSAR1.1(11.4μM IAA、4.6μM 2,4−Dを含むMSAR;MathurおよびKoncz,1995)に移して維持し、根分裂組織(RMT)を維持した。RMTを小さいセグメントに切り、MSAR1.2酵素溶液(0.4 Mマンニトール、1.25%セルラーゼRS、0.25%マセロザイムR−10、5mM MES、0.1%BSAを含有するMSAR1.1)中、暗所で穏やかに振盪しながら16時間インキュベートした。解離したプロトプラストを収集し、無菌の100μmフィルターおよび35μmフィルターに連続して通した。プロトプラストろ液を密度遠心分離により精製した。プロトプラスト層を収集し、2倍体積のW5(154mM NaCl、5mM KCl、125mM CaCl・2HO、5mMグルコース、10mM MES、pH 5.8;Menczelら,1981)と混合した。プロトプラストを44RCFで10分間遠心分離し、1×10細胞/mlの密度でTM溶液(14.8mM MgCl・6HO、5mM MES、572mMマンニトール、pH5.8)中に再懸濁させた。フレオマイシン(InvivoGen社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いた実験には、トランスフェクションの前にプロトプラストをpH7.0に調整したTM中、氷上で90分間保持した。抗生物質の濃度については図31aを参照されたい。
96ウェル平底プレートでPEG媒介送達[270mMマンニトール、67.5mM Ca(NO、38.4%PEG1500]を用いて、1ウェル当たり2.5×10個のシロイヌナズナプロトプラストに1.2nmol GRONのみを、93pmol GRONと7.5μg BFP TALENプラスミド(BT−1)を、またはDNAなしでトランスフェクトした。トランスフェクションを氷上で10分間実施し、次いでW5溶液200μlで洗浄した。最後に、MSAP(0.4Mマンニトールを含有するMSAR1.1)85μlを加え、細胞を暗条件下、25℃で培養した。
アマ(L.usitatissimum):in vitroで発芽させた3週齢の実生からアマプロトプラストを単離した。植物組織を解剖用メスで細切し、B培地[B5塩およびビタミン、4mM CaCl、0.1Mグルコース、0.3Mマンニトール、0.1Mグリシン、250mg/lカゼイン加水分解物、10mg/l L−システイン−HCl、0.5%ポリビニルピロリドン(MW10,000)、0.1%BSA、1mg/l BAP、0.2mg/l NAAおよび0.5mg/l 2,4−D;Gamborgら,1968]中、室温で1時間、予め原形質分離させ、回転式振盪機(50rpm)上で0.66%セルラーゼYCおよび0.16%マセロザイムR−10を添加したB培地を含有する細胞壁消化酵素中、25℃で5時間インキュベートした。解離したプロトプラストをふるいにかけ、密度勾配遠心分離により精製し、暗所にてB培地中0.5×10プロトプラスト/mlの密度で一晩静置した。
18時間培養した後、PEG媒介性送達を用いて1×10個のアマプロトプラストに200pmolのGRONを20μgのEPSPS TALENプラスミド(LuET−1)とともにトランスフェクトした。処理済みプロトプラストをBアルギン酸ビーズ(Rogerら,1996)に0.5×10プロトプラスト/mlアルギン酸の密度で封入し、培地中、25℃、暗所にて最大24時間インキュベートし、0.02mg/lのチジアズロン(TDZ)および0.002mg/lのNAAを添加した基本V−KM液体培地(BindingおよびNehls、1977)で培養した。トランスフェクションから1週間後、約50,000個の細胞から抽出したgDNAのNGSEPSPS遺伝子を標的とする配列編集を評価した。
シロイヌナズナのBFPからGFPへの編集の検出:トランスフェクションから72時間後、Attune(登録商標)Acoustic Focusingサイトメータ(Life Technologies社、カールスバド、カリフォルニア州)を必要に応じてGFPの励起および発光検出の設定で用いたサイトメトリーによりシロイヌナズナプロトプラストを解析した。バックグラウンドレベルは、DNA送達を実施しないPEG処理プロトプラストに基づくものとした。抗生物質実験には、トランスフェクション前にフレオマイシンで処理したプロトプラストをトランスフェクションから24時間後にサイトメトリーにより解析した。
インデル解析:NucleoSpin(登録商標)Plant IIキットを製造業者の推奨(Machery−Nagel社、ベツレヘム、パレスチナ)通りに用いて、シロイヌナズナまたはアマの処理済みプロトプラストからゲノムDNAを抽出した。BT−1またはLuET−1 TALEN標的領域に隣接するプライマーとともにPhusion(登録商標)ポリメラーゼおよび100ngのゲノムDNAを用いてアンプリコンを作製した(図38)。Qiaquick MinEluteカラム(Qiagen社、バレンシア、カリフォルニア州)を用いてアンプリコンを精製し濃縮した後、2×250bpのMiSeqラン(Illumina社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を用いてディープシーケンシングを実施した。データ解析には、リード1およびリード2のFASTQファイルをCLC Genomics Workbench 7.0.4(CLCBio社、ボストン、マサチューセッツ州)にインポートした。ペアリードの配列がオーバーラップしている場合、それを単一配列にまとめた。アンプリコンの配列またはその逆配列および相補配列に順方向プライマー配列および逆方向プライマー配列がともに含まれている場合、それを特定した。試料中に固有の配列があれば、その存在量として記録した。編集またはインデルを有する配列の数を総配列数で除し、次いで100を乗じることにより、インデルまたは標的化編集のパーセントを算出した。
統計解析
両側分布のスチューデントt検定を用いて統計的有意性を決定した。p値<0.05を有意であると見なした。データは平均およびSEMで表す。
結果および考察
シロイヌナズナにおけるBFPからGFPへの変換へのRTDS技術の応用
Rapid Trait Development System(RTDS(商標))は、天然または固有のDNA修復系を利用して標的特異的に遺伝子の編集を可能にする先進のオリゴヌクレオチド誘発突然変異導入(ODM)技術である。真核細胞では、GRONが細胞膜を横断することにより細胞に侵入し、次いで核まで横断し、そこで標的配列に対して選択的かつ特異的に位置して結合し、その標的遺伝子に配列特異的変化1つまたは複数)を生じさせる。標的遺伝子が編集された後、細胞内のヌクレアーゼおよびその他の分解酵素がGRONを分解する(図31a)。シロイヌナズナにおけるRTDSの効果を明らかにするため、BFPトランスジェニック系列に由来するプロトプラスト(H66(CAC)をコードするコドンをY66(TAC)に編集することにより、安定に組み込まれたBFP遺伝子がGFPに変換され得る(図31b))を用いた。この系を用いて、フローサイトメトリーにより細胞の緑色蛍光に基づき遺伝子編集を判定し得る。この系列由来のプロトプラストを0μg/mL、250μg/mLまたは1000μg/mLのグリコペプチド系抗生物質フレオマイシンで90分間処理した。次いで、ssODN BFP/41またはBFP/41/NT(BFP/41/NTは陰性対照としての役割を果たし、BFPをGFPに変換するC→T編集を含まない)を導入し、送達から24時間後、サイトメトリーによりGFP蛍光をモニターした。BFP/41およびフレオマイシン前処理によりGFP陽性細胞の数が用量依存性に増加した(図32)。以上の結果は、シロイヌナズナプロトプラストでは、ssODNがフレオマイシンなどの非特異的DSB試薬に基づくゲノム編集の頻度および精度を増大させ得ることを示す証拠となる。
シロイヌナズナにおいてBFPをGFPに変換するためのRTDS技術とグリコペプチド系抗生物質の組合せ
低用量のグリコペプチド系抗生物質に曝露した哺乳動物細胞を所望の塩基変化を保有するオリゴヌクレオチドと組み合わせた場合、標的化遺伝子編集の増強がみられることが既に報告されている(Suzukiら,2003)。これらの試薬はDNAと結合して相互作用し、二重らせんの完全性を破壊し、DNA二本鎖切断を生じさせる。これらの抗生物質はDNA修復遺伝子の発現/活性を上昇さること、標的部位付近に二本鎖切断を引き起こすこと、または両者の組合せによりODMを増強するのではないかと考えられる。GRONと組み合わせた低用量グリコペプチド系抗生物質処理の効果を試験するため、シロイヌナズナプロトプラストを10μg/mL、250μg/mLおよび1000μg/mLのグリコペプチド系抗生物質フレオマイシンと90分間インキュベートし、次いで、GRON BFP/41またはC>T編集を含まない陰性対照GRON BFP/41/NTを導入し、24時間後、サイトメトリーによりプロトプラストのGFP蛍光をモニターした。プロトプラストを最低濃度のフレオマイシン(10μg/mL)で処理した場合、Suzukiらが用いた濃度より大幅に高い濃度の抗生物質を用いたにもかかわらず、BFP/41/NT対照と比較してGFP陽性細胞数の改善はみられなかった(2003;データ不掲載)。しかし、これより高い250μg/mLおよび1000μg/mLの濃度では、フレオマイシン前処理によりGFP陽性細胞が用量依存性に増加し、1000μg/mLでは変換頻度が0.14%に達した(図32a)。図32bに、GRON送達およびグリコペプチド系抗生物質処理から5日後の編集されたシロイヌナズナプロトプラストを示す。
植物細胞膜は抗生物質の透過性が低いため、シロイヌナズナでは哺乳動物細胞と比較して上記のような高レベルのフレオマイシン処理が必要とされるものと考えられる。例えば、SidikおよびSmerdon(1990)は、ヒト線維芽細胞では、ブレオマイシンで処理する前に膜透過促進剤のリゾホスファチジルコリンで前処理すると、DNA修復合成の量が透過促進剤で処理しない細胞と比較して有意に増大することを明らかにしている。同著者らは、この効果は細胞に侵入するブレオマイシンの量が少ないことに起因するものと考えた。シロイヌナズナの細胞膜がフレオマイシンに対する透過性が低いかどうかは明らかではないが、上記の結果は、高レベルのフレオマイシンで前処理することによりGRON媒介性遺伝子編集が有意に増大することを確かに示している。遺伝子編集に対するこのような正の効果が標的部位付近の二本鎖DNA切断の増大に基づくものなのか、DNA修復経路のアップレギュレーションに基づくものなのか、あるいは両者の組合せにもとづくものなのかは明らかではない。無差別的な性質により精度が低いNHEJ修復事象の結果としてフレオマイシンが他の非標的化変化を導入する可能性が考えられるが、そのようなランダムな変異があれば、後続する植物育種により排除されるものと思われる。このような変異は、従来の育種プログラムの一環として化学的突然変異誘発を用いて誘導される変異と同じようなものである。したがって、RTDSに基づく高精度の遺伝子変種を改善する方法としてフレオマイシンを使用することは、注目に値するものであり、DNA二本鎖切断の発生が植物での変換効率を改善するのに重要な因子となり得ることを示している。
シロイヌナズナにおいてBFPをGFPに変換するためのRTDS技術とTALENの組合せ
本発明者らのシロイヌナズナBFPトランスジェニック系列においてBFPをGFPに変換するのに必要なC>T編集のすぐ下流を標的とし切断するTALEN(BT−1)(図32aおよび32b)を以下の実験に用いた。BT−1 TALEN対は、12bpのスペーサー領域により隔てられた2つの17bp配列を認識し、Cermekら(2011)に概説されている構造仕様に従って設計されたものである。標的部位(C>T)は左TALENアーム内にあり、したがって、予測切断部位の上流にあることになる。ウエスタンブロットを用いることにより、シロイヌナズナプロトプラストに一過性のBT−1タンパク質発現が確認された(図33c)。次に、BT−1の切断効率を評価するため、TALEN導入から72時間後、BT−1をトランスフェクトしたプロトプラストのゲノムDNAを単離し、次いで、上に挙げたプライマーを用いて、TALEN結合部位付近の領域をPCRで増幅した(図38)。得られたアンプリコンをディープシーケンシングにより、TALEN切断部位付近の精度の低いNHEJ事象により生じたインデルの傷跡または置換について評価した。BT−1で処理したプロトプラストには、2.9%の頻度で挿入欠失変異がみられ、5.1%の頻度で置換がみられた(図34a)。欠失は大部分が≦20bp未満であり、挿入の数を大幅に上回っていた(図34b)。bpの長さで20bp以下のインデルの分布を図34cおよび34dに示す。
本発明者らのBFP導入遺伝子の標的化におけるBT−1の活性を確認した後、BT−1 TALENと組み合わせたGRONがBFPからGFPへの変換を媒介する際の組合せ効果を試験した。BT−1 TALENを、H66Yアミノ酸置換をコードするヌクレオチド変化を含むGRON BFP/41、GRON BFP/101またはGRON BFP/201とともにシロイヌナズナプロトプラスト内に導入した。BFP/101およびBFP/201には、修正されたGFP遺伝子上での不必要なTALEN活性を阻止する5つのサイレント変異が含まれている(図35a)。GRONおよびTALENの送達から72時間後、フローサイトメトリーによりGFP蛍光を測定した。GRONとTALENの両方で処理したプロトプラストでは、GRON単独処理(図31c)またはモック処理(図35b)と比較して有意に多い(25〜45倍)GFP蛍光細胞がみられた。この観察結果は、TALENと組み合わせた一本鎖オリゴにより哺乳動物細胞での遺伝子編集率が有意に増大したことを報告しているStrouseら(2014)らのものとほぼ同じである。GRONとTALENを組み合わせた処理では、遺伝子編集に対してGRONの長さに依存する同程度の正の効果が認められた(図35b)。以上の結果を考え合わせると、シロイヌナズナプロトプラストでは、RTDS媒介性遺伝子編集と標的化DNA二本鎖切断因子(TALEN)とを組み合わせた方法を用いることにより、GRONの長さに依存するようにBFPからGFPへの編集の頻度が有意に改善されることがわかる。
次に、ssODNが、より標的特異的な切断をもたらすDSB試薬が誘導するゲノム編集の結果にも正の影響を及ぼし得るかどうかを明らかにするため、本発明者らのシロイヌナズナトランスジェニック系列でのBFPからGFPへの変換に必要なC→T編集のすぐ下流を標的とし、そこにDSBを生じさせるTALEN発現構築物(BT−1)(図33C)を用いた。BT−1 TALEN構築物は2つのアームからなり、両アームとも、FokIの触媒性DNAヌクレアーゼドメインと結合したTALエフェクター様DNA結合ドメイン(TALE)を有する。TALEドメインはTALENアームをDNAの特異的部位に誘導し、これによりFokIエンドヌクレアーゼの二量体化が起こり、次いで、2つの結合部位の間にあるスペーサー領域に標的化DNA二本鎖切断が生じる(Cermakら,2011)。各BT−1 TALEは、14bpのスペーサーにより隔てられた19bp配列を認識し、短縮N152/C+63構造からなるものである(Millerら,2011)。
スペーサー領域に起こる精度の低いNHEJ修復事象を測定することによるBFP導入遺伝子の標的部位におけるBT−1活性を以下の通りに検討した。BT−1の導入から72時間後に処理済みプロトプラストから全ゲノムDNAを抽出し、PCRにより標的領域を増幅した。次いで、PCRアンプリコンに500,000リード超の深度までディープシーケンシングを実施した(追加の図S1Aおよび表S3)。解析から,欠失および挿入の頻度はそれぞれ平均2.6%および0.3%であることがわかった(図37A)。欠失は大部分が20bp以下であり、大きさの分布は挿入の方が均等であった(図37B)。BFP導入遺伝子上でのBT−1の標的化活性を確認した後、次に、ssODNとBT−1 TALENとを組み合わせてBFPをGFPに変換する効果を試験した。これらの実験では、3つの異なる長さのssODN(BFP/41、BFP/101またはBFP/201)を検討し、それぞれ独立にBT−1プラスミドとともに、またはBT−1プラスミドなしでシロイヌナズナプロトプラスト内に送達した。次いで送達から72時間後、生じたBFPからGFPへの編集をサイトメトリーにより定量化した。ssODNとBT−1 TALENの両方で処理したプロトプラストでは、緑色蛍光を発する細胞が、ssODN単独処理の25〜45倍みられ、TALENを単独で使用した場合の125倍みられた(図37C)。注目すべきなのは、BT−1 TALENと組み合わせた場合、単独で使用した場合を問わず、ssODNの長さがBFPからGFPへの編集の頻度に正の効果を及ぼしたことである。以上のデータを考え合わせると、ssODNを標的特異的DSB試薬と組み合わせた場合、高精度のゲノム編集の頻度が、非特異的DSB試薬で観察される頻度の約10倍になることがわかる。
CRISPR/Cas9と組み合わせたssODN
ssODNとTALENと組み合わせることにより、ゲノム編集の頻度がTALENまたはssODNを単独で使用した場合より有意に改善された。しかし、新たなDNA標的ごとにTALENタンパク質を再設計することの複雑さを考慮し、本発明者らは、さらに容易に設計および構築した操作されたヌクレアーゼCRISPR/Cas9でも、ssODNを補えばゲノム編集頻度の増大がみられるかどうかを問うた。CRISPR/Cas9系は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9ヌクレアーゼと、操作された一本鎖ガイド(sgRNA)と呼ばれる2つのRNA(crRNAとtracrRNA)のキメラ融合物とからなる。sgRNAは、Cas9の最初の20の5’塩基とDNA標的との塩基対形成を介するCas9の標的核酸特異性を補助し、それにより部位特異的DSBが生じる(Congら,2013)。TALENとは対照的に、CRISPR/Cas9タンパク質複合体の標的特異性を変化させるには、大がかりなタンパク質工学は必要とせず、sgRNAの最小限の操作だけで済む。以下の表に示すように、CRISPR/Cas9発現プラスミドであるBC−1(図34A)を、本発明者らのトランスジェニックモデルのBFP遺伝子の遺伝子座H66付近を標的とするよう設計した(図34B):
Figure 2019506170
sgRNA配列中、下線を施した文字のGはPol IIIプロモーターを適合させるため変化させたものである
本発明者らのTALENに関する研究と同様の実験方法論に従い、PAM配列の上流にみられる精度の低いNHEJ修復事象の頻度を測定することにより、BC−1がBFP遺伝子を標的とし切断することが可能かどうかを判定した。本発明者らはディープアンプリコンシーケンシングを用いて、BC−1で処理したプロトプラストに欠失および挿入をそれぞれ3.7%および2.4%の頻度で検出した(図35A)。挿入または欠失の最も代表的なインデルは単一塩基対であった(データ不掲載)。注目すべきなのは、BC−1(CRISPR/Cas9)のBFP導入遺伝子標的化効率が、BT−1(TALEN)を用いた同様の実験と比較してほぼ3倍高かったことである(図35B)。BC−1のオンターゲット活性が確認されたため、Cas−OFFinder(Baeら,2014)を用いてシロイヌナズナゲノムにBC−1標的配列と高い類似性を有する配列を検索することにより、潜在的オフターゲット切断を試験した。検索に基づき、BC−1標的配列と最も高い相同性を示した5つの潜在的オフターゲット部位(Hsuら,2013)を検討した。シロイヌナズナプロトプラストをBC−1で72時間処理し、そののち、5つの潜在的オフターゲット部位それぞれに隣接するプライマーを用いてアンプリコンを作製した:
Figure 2019506170
次いで、アンプリコンディープシーケンシングにより上記のアンプリコンのNHEJ変異を解析した:
Figure 2019506170
試験した5つの部位のうち、予測切断部位付近に変異がみられたのはOff−1のみであった(図35C)。このレベルは検出可能なものではあるが、オンターゲット対照の約13分の1である。Off−1でのこの弱い活性は、ミスマッチが1つのみ存在するPAM部位の近位にある配列との相同性に基づくものである可能性がある(図35C)(Hsuら,2013)。以上の結果をまとめると、BC−1は、BFP導入遺伝子を能動的に標的として破壊し、オフターゲットの痕跡をほとんど残さないことが可能であることがわかる。さらに、BC−1により生じた高精度の切断をssODNを用いて修正すると、シロイヌナズナプロトプラストの高精度で傷跡のないBFPからGFPへの編集の頻度が、BC−1またはssODNを単独で使用した場合と比較して高くなる。
アマにおけるssODNおよびCRISPR/Cas9を用いた高精度のEPSPS遺伝子編集の確立
ssODNを操作されたヌクレアーゼと組み合わせて用いるゲノム編集の用途を商業的に重要な農作物に拡大するため、アマ(Linum usitatissimum)の相同性の高い2つのEPSPS(5’−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素)遺伝子座を標的とする一連の実験を実施した。EPSPS遺伝子は、芳香族アミノ酸の生合成に関与するシキミ酸経路のタンパク質をコードする。植物では、EPSPSはグリホサートの標的であり、この除草剤はホスホエノールピルビン酸に対する結合部位の競合阻害剤として作用する(Schonbrunnら,2001)。ssODNをCRISPR/Cas9構成要素と組み合わせて用い、アマEPSPS遺伝子に高精度の編集を生じさせた。CRISPR/Cas9発現プラスミド(EC−2)は、2つの遺伝子座T178およびP182の付近にある両EPSPS遺伝子で保存された配列を標的とし、遺伝子座T178およびP182をI178およびA182に編集すると、EPSPS酵素にグリホサートに対する耐性が付与される(Gocalら,2007)。一方がPAM配列を破壊する2つの標的化変化を含むssODN EPSPS/144をEC−2とともにアマプロトプラスト内に導入した。次いで、処理済みプロトプラストを21日間、選択を用いずに分裂させて微小コロニーを形成させた(図7B)。
標的部位付近の領域をPCRで増幅し、アンプリコンをディープシーケンシングに供することにより、両EPSPS遺伝子座での高精度の編集およびインデルの傷跡を明らかにした。3つの独立した実験で、高精度のEPSPS編集の頻度は範囲が0.09%〜0.23%であり、インデルの頻度は範囲が19.2%〜19.8%であり、これらの編集およびインデルは2遺伝子座間で均等の分布していた:
Figure 2019506170
gDNAを約10,000個の微小コロニーからなるプールから単離し、次いでこれを鋳型に用いて標的領域を増幅した
T97I(ACA→ATA)およびP101A(CCG→GCG)を有する配列;データは遺伝子1と遺伝子2の合計
個々のカルスを最初にアレル特異的PCRでスクリーニングし、次いでサンガーシーケンシングにより確認した
NS−実験でスクリーニングを実施していない
微小コロニーにT178IおよびP182Aの編集の存在を確認した後、ここでも同じく選択薬剤を一切用いずにカルスを再生させ、次いで、アレル特異的PCRを用いて標的化編集およびインデルの傷跡の分子スクリーニングを実施した(Morlanら,2009)。実験1でスクリーニングしたカルス5167個および実験2でスクリーニングしたカルス4601個のうち、それぞれ8個(0.15%)および4個(0.08%)に、少なくとも一方のEPSPS遺伝子座のT178I変化とP182A変化の両方が含まれていた。この編集頻度は21日齢の微小コロニーの最初のシーケンシングと相関していた。ここで得られた高精度の編集のスクリーニングで陽性を示したカルスを用いて、非選択的条件下で植物体全体を再生させたところ、その100%が、DNAクローン化およびサンガーシーケンシングによるスクリーニングで少なくとも一方のEPSPS遺伝子のT178I編集およびP182A編集の存在が陽性であった。土壌に移した再生植物体はいずれも稔性であり、遺伝子1または遺伝子2の遺伝子座におけるT178I編集およびP182A編集に対してヘテロ接合性の遺伝子型であった。両方の遺伝子に対して両アレル性またはヘテロ接合性の植物体はなかった。次いで、単一カルス事象に由来する複数のA23系植物体のC1(変換世代1)子孫を編集されたEPSPSアレルの遺伝について評価した。配列解析から、編集されたEPSPSアレルが、メンデルの法則から予想される分離比1:2:1で生殖伝達されることがわかった:
Figure 2019506170
EC−2処理により再生植物体A23に生じる潜在的オフターゲット変異を確認するため、EC−2プロトスペーサーとの配列類似性を有するアマゲノムの8つの異なる領域を増幅した。精度の低いNHEJ事象により生じたNHEJ変異がアンプリコンディープシーケンシングにより確認された。植物体A23について試験した8つの潜在的オフターゲット部位のいずれにもEC−2活性を示す変異は検出されなかった:
Figure 2019506170

Phytozyme 10.2から得た足場または遺伝子座ID
足場内でのプロトスペーサーの位置
小文字の塩基はEC−2プロトスペーサーに対するミスマッチである
シーケンシングにより明なった変異;オンターゲット変異はT178IおよびP182Aである
編集されたカルスおよび植物体全体のグリホサート耐性
T178IおよびP182Aの変異により与えられるグリホサート耐性を明らかにするため、EPSPS遺伝子2のT178I編集およびP182A編集に対してヘテロ接合性であることが確認された系列であるカルス系A23ならびにこのカルス系から再生したC植物体全体をグリホサートに曝露した。A23カルスおよび対照野生型カルスを様々な濃度のグリホサートを含有する固形再生培地に播いた。21日後、試験したいずれのグリホサート濃度でも、T178I編集およびP182A編集を有するカルスの生重量の方が野生型カルスの生重量より有意(p<0.01)に大きかった(図9Aおよび9B)。再生した植物体全体については、野生型植物体およびEPSPS編集植物体をともに温室条件下、土壌で維持し、次いで、10.5mMまたは21.0mMのグリホサートを噴霧した。処理から6日後、野生型植物体にはいずれの塗布率でも、グリホサート中毒に典型的なしおれた壊死性の表現型がみられたのに対し、編集EPSPS遺伝子を有するA23植物体の表現型の変化は最小限のものであった(図9C)。この結果は、T178IおよびP182Aが編集されたEPSPS遺伝子が1つあれば、耐性レベルが対照植物体に観察されるレベルよりはるかに高くなることを示していることから、注目すべきものである。
以上のデータを考え合わせると、アマでは、CRISPR/Cas9と組み合わせたssODNにより、選択的培養条件を必要とせずに、分子スクリーニングにより検出するのに十分な頻度で高精度のEPSPS編集が得られ、これらの編集は次の世代に適切に伝達されることがわかる。
アマにおいてEPSPS遺伝子を編集するためのRTDS技術とTALENの組合せ
RTDSと操作されたヌクレアーゼが媒介する高精度の遺伝子編集の用途を他の植物系にも拡大するため、アマの2つのEPSPS(5’−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素)遺伝子座を標的とする同様の試験を実施した。EPSPS遺伝子座は、芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンの生合成に寄与するシキミ酸経路の酵素をコードする。植物では、EPSPSは除草剤グリホサートの標的であり、この場合、グリホサートはホスホエノールピルビン酸に対する結合部位の競合阻害剤として作用する(Schonbrunnら,2001)。大腸菌(E.coli)EPSPSホモログに関する変異の研究に基づけば、アマEPSPS遺伝子座のアミノ酸T97位およびP101位をI97位およびA101位に編集すれば、この酵素にグリホサートに対する耐性が付与されることが予想される(Gocalら,2007)。
これらのEPSPS遺伝子座に対するGRON媒介性標的化の効率を改善するため、BT−1に用いたのと同じ構築指針を用いて、T97およびP101遺伝子座(図38b)の付近にある両EPSPS遺伝子で保存された配列を標的とするTALEN LuET−1(図38a)を設計した。ウエスタンブロットを用いて、アマプロトプラストでのLuET−1タンパク質の一過性発現を確認した。導入から24時間後、TALENタンパク質が検出され、48時間後まで同レベルで維持された(図38c)。RTDS技術をアマに応用するため、標的化変化C>TおよびC>G(ACA>ATA T97I;CCG>GCG P101A)を含むTALEN LuET−1と144nb GRON(EPSPS/144)の組合せを用いた。これらをアマプロトプラスト内にトランスフェクトした後、トランスフェクションから7日後の高精度の遺伝子編集およびNHEJ誘導性変異をディープシーケンシングにより解析した。NHEJを利用した修復事象は合計1.41%であり、欠失および置換が最も頻繁にみられ、数のうえで挿入を大幅に上回っていた(図39a)。アマEPSPS遺伝子内の欠失の大部分が20bp以下であった(図39b)。2つのEPSPS遺伝子座間のSNPの差(図40)を用いたところ、2つのEPSPS遺伝子座それぞれのNHEJ事象が同程度であることが明らかになり、このことは、LuET−1 TALENが両遺伝子の切断に効果があることを示唆している。高精度の傷跡のない遺伝子編集を検討したところ、以下の表に示すように、0.19%にC>TおよびC>Gに標的化された二重の変化が含まれていた。
Figure 2019506170
導入から7日後に処理済み細胞由来のgDNAをNGSにより解析した
EPSPS/144GRON
同じリード内のT97I変異およびP101A変異の両方を表す
NHEJ修復事象と同じように、これらの高精度の編集は各EPSPS遺伝子座で同程度であり、GRON依存性の修復事象に偏りがないことを示している。これらの結果は、本発明者らのシロイヌナズナのBFPからGFPへの編集のデータとよく相関しており、アマプロトプラストにおけるGRONとTALENとを組み合わせた方法が、EPSPS遺伝子標的の傷跡のない編集の頻度を有意に増大させることを示している。単一のGRONで複数のヌクレオチド編集を実現することが可能である。
ヒト、動物、酵母、植物を含めた様々な属を用いた多数の研究でオリゴ指向性遺伝子修復の有効性が示されており(AlexeevおよびYoon,1998;Beethamら,1999;Krenら,(1998);Kuwayamaら,2008;Liら,2001;Randoら,1999;Riceら,2001;Xiangら,1997);Zhuら,1999)、多岐にわたる生物体の多数の遺伝子がRTDSに適していることが示唆される。
植物でのRTDSに基づく遺伝子編集は、DNA二本鎖切断を生じさせる様々な試薬と組み合わせると増強され得る。これらのデータは、2つの異なる植物系、シロイヌナズナ(A.thaliana)およびアマ(L.usitatissimum)において、GRONをフレオマイシンまたはTALENと組み合わせることにより、遺伝子編集の頻度がGRON単独と比較して著明に増大することを示している。この増強は、GRONの長さを変化させて、単一のGRONで複数の遺伝子座を標的にするという柔軟性を付加すると同時に、編集全体の頻度を増大させることによりさらに増大し得る。TALENと、より長いGRONとを組み合わせる方法を用いて、本発明者らはアマEPSPS遺伝子座に安定した高精度の遺伝子編集頻度をもたらし、グリホサート耐性形質を発現させることができた。
RTDSを用いて、標的遺伝子およびそこから生じるタンパク質にごくわずかな変化を有する植物に新たな非トランスジェニック育種形質を発現させることができる。上に記載した結果は、シロイヌナズナのBFP導入遺伝子およびアマのEPSPS遺伝子の両方におけるヌクレオチド置換を示している。さらに、この遺伝子編集技術は、あらゆる商業的に重要な作物の形質を改善するために迅速かつ正確に応用することができる。
実施例25.シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)におけるCas9タンパク質送達
この試験では、gRNA(BFP1)と複合体を形成したCas9タンパク質をGRONとともに送達することがBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)系列に由来するプロトプラストのBFPからGFPへの遺伝子編集を媒介する効果を検討する。Cas9 RNPとともに使用したGRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含み、DNA塩基の代わりにRNA塩基になっているGRONの1番目の5’塩基が2’−O−Me基で標識されている。このGRONを本明細書では2OMe GRONと呼ぶ。これらの実験に使用したGRONの説明については表1を参照されたい。
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×10細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。PEG媒介送達あるいはこれに代わる送達方法、例えばエレクトロポレーション、細胞透過性ペプチドおよび/または脂質に基づく送達技術などにより、CRISPR−Cas9をGRONとともにRNP複合体として送達した。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、フローサイトメトリーにより解析した。
CRISPR−Cas9は2つの構成要素、すなわち、組換え化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)タンパク質と、in vitroで転写されるsgRNAとからなる。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。これらの実験では、bfp遺伝子を標的とするBFP1 CRISPR−Cas9を用いた。GRONは変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含む。表1にGRONを記載し、表2に、これらの実験に使用したBFP gRNAを記載する。
結果
gRNA(BFP1)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達をGRON(2OMe;BFP4/NC 101量体)と組み合わせて用いることにより、3つの独立した実験から2.20〜3.10%のBFPからGFPへの遺伝子編集が得られた。GRONを用いない対照処理では、BFPからGFPへの遺伝子編集は検出されなかった。以上のデータは、高精度の遺伝子編集にGRONを用いることの利点を示している。
実施例26.セイヨウアブラナ(Brassica napus)におけるCas9タンパク質送達
この試験では、gRNA(BnEPSPS gRNA−1)と複合体を形成したCas9タンパク質をGRONとともに送達することがセイヨウアブラナ(Brassica napus)葉材料に由来するプロトプラストのEPSPS遺伝子編集を媒介する効果を検討する。Cas9 RNPとともに使用したGRONは、変換部位付近に標的epsps遺伝子のコード配列を含み、DNA塩基の代わりにRNA塩基になっているGRONの1番目の5’塩基が2’−O−Me基で標識されている。このGRONを本明細書では2OMe GRONと呼ぶ。
in vitroで繁殖させた節の挿し木の葉に由来するセイヨウアブラナ(Brassica napus)プロトプラストを50mlの遠心管に5×10細胞/mlの細胞密度で1管当たり2,000,000個播種した。PEG法を用いて、あるいはこれに代わる送達方法、例えばエレクトロポレーション、細胞透過性ペプチドおよび/または脂質に基づく送達技術により、EPSPS2−25遺伝子を標的とするCRISPR−Cas9をGRONとともにリボ核タンパク質複合体として送達した。プロトプラストを25℃、暗所にて3週間インキュベートし、次いで、所与の処理内の高精度のEPSPS編集の割合およびインデルの頻度を求めるため、ディープシーケンシングで解析した。
CRISPR−Cas9は2つの構成要素、すなわち、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)とsgRNAとからなり、両要素を混合するとRNP CRISPR−Cas9複合体を形成する。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをEPSPS標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。これらの実験では、EPSPS2−25遺伝子を標的とするRNP CRISPR−Cas9を用いた。GRONは、変換部位付近にEPSPS遺伝子のコード配列を含むほか、EPSPS遺伝子に所望の変化を生じさせるヌクレオチド変化も含む。
Figure 2019506170
結果
gRNA(BnEPSPS gRNA−1)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達をGRON(2’OMe;BnEPSPS−2−25/NC 101量体)と組み合わせて用いることにより、3つの独立した実験から0.07〜0.125%の遺伝子編集および27.1〜39.4%のインデル形成が得られた。GRONを用いない対照処理ではEPSPS遺伝子編集は検出されず、高精度の遺伝子編集にGRONを用いることの利点が示された。
実施例27.イネ(Oryza sativa)におけるCas9タンパク質送達
この試験では、gRNA(CR−OsACCアーゼ−4)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達が、イネ細胞懸濁液に由来するプロトプラストのaccアーゼ遺伝子のCas9 DNA切断部位付近での標的化インデル形成を媒介する効果を検討する。コレラの実験に使用したgRNAの説明については表1を参照されたい。
細胞懸濁液に由来するイネ(Oryza sativa)プロトプラストを0.4cmのキュベット中、1×10細胞/mlの細胞密度で1キュベット当たり1x10個処理した。Cas9タンパク質とin vitro合成gRNAとからなるリボ核タンパク質複合体をGRONとともにエレクトロポレーションによりプロトプラスト内に導入した。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、CRISPR−Cas9タンパク質の活性に由来するインデルの割合を求めるためT7E1アッセイにより解析した。
Figure 2019506170
結果
gRNA(CR−OsACCアーゼ−4)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達により、3つの独立した実験からaccアーゼ遺伝子のCas9切断部位付近にそれぞれ15.9〜23.3%のインデル形成が得られた。これらのデータは、Cas9をタンパク質としてプロトプラスト内に送達すると標的化DNA活性に機能することを示している。
実施例28.キャッサバにおけるCas9タンパク質送達
この試験では、gRNA(BFP1)と複合体を形成したCas9タンパク質をGRONとともに送達することが、キャッサバ細胞浮遊培養物に由来するプロトプラストのBFPからGFPへの遺伝子編集を媒介する効果を検討する。Cas9 RNPとともに使用したGRONは、変換部位付近に標的bfp遺伝子のコード配列を含み、DNA塩基の代わりにRNA塩基になっているGRONの1番目の5’塩基が2’−O−Me基で標識されている。このGRONを本明細書では2’OMe GRONと呼ぶ。これらの実験に使用したGRONの説明については表1を参照されたい。
BFPトランスジェニックFEC(脆弱な胚発生カルス)浮遊培養物に由来するキャッサバプロトプラストを14mlの遠心管に5×10細胞/mlの細胞密度で1管当たり4×10個播種した。CRISPR−Cas9 RNPを細胞100万個当たり25μgで加えた。GRONを(CRISPR−Cas9 RNPとともに)BFP4/NC 201量体GRON 0.5μMのPEG媒介送達によりプロトプラスト内に導入した。プロトプラストを25℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、それをフローサイトメトリーにより解析した。
結果
gRNA(BFP1)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達をGRON(2’OMe;BFP4/NC 201量体)と組み合わせて用いたところ、0.008〜0.009%のBFPからGFPへの遺伝子編集が得られた。GRONを用いない対照処理では、BFPからGFPへの遺伝子編集は検出されなかった。これらのデータは、高精度の遺伝子編集にGRONを用いることの利点を示している。
実施例29.ジャガイモ(Solanum tuberosum)におけるCas9タンパク質送達
この試験では、gRNA(PPX2またはPPX4)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達が、ジャガイモ葉材料に由来するプロトプラストのppx遺伝子のCas9 DNA切断部位付近での標的化インデル形成を媒介する効果を検討する。これらの実験に使用したgRNAの説明については表1を参照されたい。
バレイショ(Solanum tuberosum)ST−01植物体のプロトプラストを、ジャガイモプロトポルフィリノーゲン遺伝子の144(PPX2)位または220(PPX4)位に対して設計されたガイドRNAと複合体を形成したCas9タンパク質と混合した。プロトプラストをCas9/gRNA複合体と氷上で15分間インキュベートした後、トランスフェクション試薬であるポリエチレングリコールで処理した。全成分を混合してからチューブを氷上で30分間インキュベートした後、プロトプラストの安定性を維持するため、浸透圧を調整した塩溶液で希釈した。プロトプラストを44.16×gで10分間遠心分離し、培地1mlに懸濁させ、22℃でインキュベートした。トランスフェクションから24時間後、試料からゲノムDNAを単離し、NGS(次世代シーケンシング)解析に供した。
Figure 2019506170
結果
gRNA(PPX2またはPPX4)と複合体を形成したCas9タンパク質の送達により、それぞれppx遺伝子のCas9切断部位付近に最大24.4%および35.7%のインデル形成が得られた。これらのデータは、Cas9をタンパク質としてプロトプラスト内に送達すると標的化DNA活性に機能することを示している。
実施例30.シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)におけるCas9 mRNA送達
この試験では、Cas9 mRNAとgRNA(BFP1)をGRONとともに送達することが、BFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)系列に由来するプロトプラストのBFPからGFPへの遺伝子編集を媒介する効果を検討する。Cas9 RNPとともに使用したGRONは、変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含み、DNA塩基の代わりにRNA塩基になっているGRONの1番目の5’塩基が2’−O−Me基で標識されている。このGRONを本明細書では2OMe GRONと呼ぶ。
CRISPR−Cas9は2つの構成要素、すなわち、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(SpCas9)mRNAと、in vitroで転写されるsgRNAとからなる。sgRNAはCRISPR RNA(crRNA)とトランス活性化crRNA(tracrRNA)の融合物である。crRNA領域には、Cas9ヌクレアーゼをBFP標的遺伝子に誘導するのに用いられるスペーサー配列が含まれている。これらの実験では、bfp遺伝子を標的とするBFP1 CRISPR−Cas9を用いた。GRONは変換部位付近にbfp遺伝子のコード配列を含む。
誘導した根組織に由来するBFPトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)プロトプラストを平底96ウェルプレートに1×10細胞/mlの細胞密度で1ウェル当たり250,000個播種した。CRISPR−Cas9をRNA種(Cas9 mRNAおよびsgRNA)としてGRONとともにPEG媒介送達により、あるいはこれに代わる送達方法、例えばエレクトロポレーション、細胞透過性ペプチドおよび/または脂質に基づく送達技術により送達した。プロトプラストを23℃、暗所にて72時間インキュベートし、次いで、所与の処理内のGFP陽性プロトプラストの割合を求めるため、フローサイトメトリーにより解析した。
結果
Cas9 mRNAとgRNA(BFP1)の送達をGRON(2OMe;BFP4/NC 101量体)と組み合わせて用いることにより、3つの独立した実験から0.24〜1.51%のBFPからGFPへの遺伝子編集が得られた。GRONを用いない対照処理では、BFPからGFPへの遺伝子編集は検出されなかった。これらのデータは、高精度の遺伝子編集にGRONを用いることの利点を示している。
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当業者には、本開示が諸目的を遂行し、上記の目的および利点ならびに本明細書に固有の目的および利点を達成するのに十分適合していることが容易に理解される。本明細書に記載される実施例は、好ましい実施形態の代表的なものであり、また例示的なものであり、本開示の範囲を限定するものとして意図したものではない。
当業者には、本開示の範囲および趣旨を逸脱することなく、本明細書に開示される開示に様々な置換および修正を施し得ることが容易に理解されよう。
本明細書で適切に説明した本開示は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の限定の不在下でも実施され得る。したがって例えば、本明細書の各場合において、「〜を含む」、「〜から実質的になる」および「〜からなる」という用語はいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換え得る。使用する用語および表現は、限定ではなく説明のために使用するのであって、図示および記載されている特徴またはその一部の均等物を除外するために使用する意図はなく、特許請求される開示の範囲内で様々な修正が可能であることが理解される。したがって、本開示は、好ましい実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示される概念の修正形態および変形形態を当業者が用いてもよく、そのような修正形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲により定められる本開示の範囲内にあるものと見なされることを理解するべきである。
したがって、本開示は、好ましい実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示されているが、開示される本開示の修正、改善および変形を当業者が用いてもよく、そのような修飾、改善および変形は本開示の範囲内にあるものと見なされることを理解するべきである。本明細書に記載される材料、方法および実施例は、好ましい実施形態の代表的なものであり、また例示的なものであり、本開示の範囲を限定するものとして意図したものではない。
本開示は広範囲にわたって包括的に記載されている。包括的開示の範囲内に含まれるさらに狭い範囲の種および亜分類もそれぞれ本開示の一部を構成する。これには、削除された材料が本明細書に具体的に記載されているかどうかを問わず、属から任意の主題を排除する条件または消極的限定の付随する本開示の包括的記載が含まれる。
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、本開示がそのマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの観点からも記載されることが当業者には理解されよう。
本明細書に記載される刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、それぞれが個別に参照により組み込まれた場合と同じく明示的に、その全体が参照により組み込まれる。不一致が生じた場合には、定義を含めた本明細書が統制する。
のちの請求項には他の実施形態も記載される。

Claims (149)

  1. 植物細胞に遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記細胞をDNA切断剤および修飾GRONに曝露することを含む、方法。
  2. DNA切断剤と修飾GRONとを含む、植物細胞。
  3. 植物細胞に遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記細胞をDNA切断剤ならびにDNAおよび/またはRNAを含むGRONに曝露することを含む、方法。
  4. DNAおよび/またはRNAおよび/またはタンパク質を含むDNA切断剤を含む、植物細胞。
  5. 前記DNA切断剤が、CRISPR、TALEN、亜鉛フィンガー、メガヌクレアーゼおよびDNA切断抗生物質から選択される1つまたは複数のものである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法または細胞。
  6. 前記DNA切断剤がCRISPRまたはTALENである、請求項1〜5のいずれかに記載の方法または細胞。
  7. 前記DNA切断剤がCRISPRである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法または細胞。
  8. 前記DNA切断剤がTALENである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法または細胞。
  9. 前記DNA切断剤が、ブレオマイシン、Zeocin、フレオマイシン、タリソマイシンおよペプレオマイシンからなる群より選択される1つまたは複数のDNA切断抗生物質である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法または細胞。
  10. 前記DNA切断剤がZeocinである、請求項1〜9のいずれかに記載の方法または細胞。
  11. 前記GRONが一本鎖である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法または細胞。
  12. 前記GRONが、化学保護オリゴヌクレオチドである、請求項1〜11のいずれかに記載の方法または細胞。
  13. 前記GRONが、5’末端で保護された化学保護オリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法または細胞。
  14. 前記GRONが、3’末端で保護された化学保護オリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法または細胞。
  15. 前記GRONが、5’末端および3’末端で保護された化学保護オリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法または細胞。
  16. 前記GRONが、Cy3基、3PS基および2’−O−メチル基から選択される1つまたは複数のものを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法または細胞。
  17. 前記GRONがCy3基を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の方法または細胞。
  18. 前記GRONが、2つ以上のCy3基を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法または細胞。
  19. 前記GRONが、5’末端の1番目(最後)の塩基にCy3基を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の方法または細胞。
  20. 前記GRONが、5’末端の1番目(最後)の塩基にidC基を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の方法または細胞。
  21. 前記GRONが、3’末端の1番目(最後)の塩基にCy3基を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の方法または細胞。
  22. 前記GRONが、3’末端の1番目(最後)の塩基にidC基を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の方法または細胞。
  23. 前記GRONが3PS基を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法または細胞。
  24. 前記GRONが2つ以上の3PS基を含む、請求項1〜23のいずれかに記載の方法または細胞。
  25. 前記GRONが、5’末端の1番目(最後)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜24のいずれかに記載の方法または細胞。
  26. 前記GRONが、5’末端の2番目(最後から2番目)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法または細胞。
  27. 前記GRONが、5’末端の3番目(最後から3番目)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜26のいずれかに記載の方法または細胞。
  28. 前記GRONが、3’末端の1番目(最後)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜27のいずれかに記載の方法または細胞。
  29. 前記GRONが、3’末端の2番目(最後から2番目)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜28のいずれかに記載の方法または細胞。
  30. 前記GRONが、3’末端の3番目(最後から3番目)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜29のいずれかに記載の方法または細胞。
  31. 前記GRONが、5’末端および3’末端の両方の1番目(最後)の塩基に3PS基を含む、請求項1〜30のいずれかに記載の方法または細胞。
  32. 前記GRONが、5’末端および3’末端の両方の最初の2つ(最後および最後から2番目)の塩基に3PS基を含む、実施形態1〜31のいずれかに記載の方法または細胞。
  33. 前記GRONが、5’末端および3’末端の両方の最初の3つ(最後、最後から2番目および最後から3番目)の塩基に3PS基を含む、実施形態1〜32のいずれかに記載の方法または細胞。
  34. 前記GRONが2’−O−メチル基を含む、請求項1〜33のいずれかに記載の方法または細胞。
  35. 前記GRONが2つ以上の2’−O−メチル基を含む、請求項1〜34のいずれかに記載の方法または細胞。
  36. 前記GRONが、5’末端の1番目(最後)の塩基に2’−O−メチル基を含む、請求項1〜35のいずれかに記載の方法または細胞。
  37. 前記GRONが、5’末端の1番目の塩基に2’−O−メチル基を有するが、他には2’−O−メチル基を有さない、請求項1〜36のいずれかに記載の方法または細胞。
  38. 前記GRONが、5’末端の最初の2つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜37のいずれかに記載の方法または細胞。
  39. 前記GRONが、5’末端の最初の3つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜38のいずれかに記載の方法または細胞。
  40. 前記GRONが、5’末端の最初の4つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜39のいずれかに記載の方法または細胞。
  41. 前記GRONが、5’末端の最初の5つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜40のいずれかに記載の方法または細胞。
  42. 前記GRONが、5’末端の最初の6つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜41のいずれかに記載の方法または細胞。
  43. 前記GRONが、5’末端の最初の7つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜42のいずれかに記載の方法または細胞。
  44. 前記GRONが、5’末端の最初の8つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜43のいずれかに記載の方法または細胞。
  45. 前記GRONが、5’末端の最初の9つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜44のいずれかに記載の方法または細胞。
  46. 前記GRONが、5’末端の最初の10以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜45のいずれかに記載の方法または細胞。
  47. 前記GRONが、5’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のRNA塩基を含む、請求項1〜46のいずれかに記載の方法または細胞。
  48. 前記GRONが、前記遺伝子変化の標的配列に対してゆらぎ塩基対を有する、請求項1〜47のいずれかに記載の方法または細胞。
  49. 前記GRONが15〜60ヌクレオチド長である、請求項1〜48のいずれかに記載の方法または細胞。
  50. 前記GRONが41ヌクレオチド長である、請求項1〜49のいずれかに記載の方法または細胞。
  51. 前記GRONが50〜110ヌクレオチド長である、請求項1〜50のいずれかに記載の方法または細胞。
  52. 前記GRONが101ヌクレオチド長である、請求項1〜51のいずれかに記載の方法または細胞。
  53. 前記GRONが150〜210ヌクレオチド長である、請求項1〜52のいずれかに記載の方法または細胞。
  54. 前記GRONが201ヌクレオチド長である、請求項1〜53のいずれかに記載の方法または細胞。
  55. 前記GRONが70〜210ヌクレオチド長である、請求項1〜54のいずれかに記載の方法または細胞。
  56. 前記GRONが70ヌクレオチドより長い、請求項1〜55のいずれかに記載の方法または細胞。
  57. 前記GRONが165ヌクレオチド長より長い、請求項1〜56のいずれかに記載の方法または細胞。
  58. 前記GRONが175ヌクレオチド長より長い、請求項1〜57のいずれかに記載の方法または細胞。
  59. 前記GRONが185ヌクレオチド長より長い、請求項1〜58のいずれかに記載の方法または細胞。
  60. 前記GRONが195ヌクレオチド長より長い、請求項1〜59のいずれかに記載の方法または細胞。
  61. 前記GRONが200ヌクレオチド長より長い、請求項1〜60のいずれかに記載の方法または細胞。
  62. 前記GRONが210ヌクレオチド長より長い、請求項1〜61のいずれかに記載の方法または細胞。
  63. 前記GRONが220ヌクレオチド長より長い、請求項1〜62のいずれかに記載の方法または細胞。
  64. 前記GRONが230ヌクレオチド長より長い、請求項1〜63のいずれかに記載の方法または細胞。
  65. 前記GRONが240ヌクレオチド長より長い、請求項1〜64のいずれかに記載の方法または細胞。
  66. 前記GRONが250ヌクレオチド長より長い、請求項1〜65のいずれかに記載の方法または細胞。
  67. 前記GRONが260ヌクレオチド長より長い、請求項1〜66のいずれかに記載の方法または細胞。
  68. 前記GRONが270ヌクレオチド長より長い、請求項1〜67のいずれかに記載の方法または細胞。
  69. 前記GRONが280ヌクレオチド長より長い、請求項1〜68のいずれかに記載の方法または細胞。
  70. 前記GRONが290ヌクレオチド長より長い、請求項1〜69のいずれかに記載の方法または細胞。
  71. 前記GRONが300ヌクレオチド長より長い、請求項1〜70のいずれかに記載の方法または細胞。
  72. 前記GRONが400ヌクレオチド長より長い、請求項1〜71のいずれかに記載の方法または細胞。
  73. 前記GRONが500ヌクレオチド長より長い、請求項1〜72のいずれかに記載の方法または細胞。
  74. 前記GRONが600ヌクレオチド長より長い、請求項1〜73のいずれかに記載の方法または細胞。
  75. 前記GRONが700ヌクレオチド長より長い、請求項1〜74のいずれかに記載の方法または細胞。
  76. 前記GRONが800ヌクレオチド長より長い、請求項1〜75のいずれかに記載の方法または細胞。
  77. 前記GRONが900ヌクレオチド長より長い、請求項1〜76のいずれかに記載の方法または細胞。
  78. 前記GRONが1000ヌクレオチド長より長い、請求項1〜77のいずれかに記載の方法または細胞。
  79. 前記植物が、カノーラ、ヒマワリ、トウモロコシ(corn)、タバコ、サトウダイコン、ワタ、トウモロコシ(maize)、コムギ、オオムギ、イネ、アルファルファ、オオムギ、ソルガム、トマト、マンゴー、モモ、リンゴ、セイヨウナシ、イチゴ、バナナ、メロン、キャッサバ、ジャガイモ、ニンジン、レタス、タマネギ、ダイズ、ダイズ類、サトウキビ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、フィールドピー、ソラマメ、レンズマメ、カブ、ルタバガ、メキャベツ、ルピナス、カリフラワー、ケール、フィールドビーンズ、ポプラ、マツ、ユーカリ、ブドウ、カンキツ類、ライコムギ、アルファルファ、ライムギ、エンバク、芝草および飼料草、アマ、アブラナ、カラシナ、キュウリ、アサガオ、バルサムモミ、コショウ、ナス、マリーゴールド、ハス、キャベツ、デイジー、カーネーション、チューリップ、アヤメ、キャッサバならびにユリからなる群より選択される、請求項1〜78のいずれかに記載の方法または細胞。
  80. 前記植物がカノーラである、請求項1〜79のいずれかに記載の方法または細胞。
  81. 前記植物がトウモロコシ(corn)である、請求項1〜80のいずれかに記載の方法または細胞。
  82. 前記植物がトウモロコシ(maize)である、請求項1〜81のいずれかに記載の方法または細胞。
  83. 前記植物がイネである、請求項1〜82のいずれかに記載の方法または細胞。
  84. 前記植物がソルガムである、請求項1〜83のいずれかに記載の方法または細胞。
  85. 前記植物がジャガイモである、請求項1〜84のいずれかに記載の方法または細胞。
  86. 前記植物がダイズである、請求項1〜85のいずれかに記載の方法または細胞。
  87. 前記植物がアマである、請求項1〜86のいずれかに記載の方法または細胞。
  88. 前記植物がアブラナである、請求項1〜87のいずれかに記載の方法または細胞。
  89. 前記植物がキャッサバである、請求項1〜88のいずれかに記載の方法または細胞。
  90. 前記植物がヒマワリである、請求項1〜89のいずれかに記載の方法または細胞。
  91. 植物細胞に遺伝子変化を引き起こす方法であって、前記細胞をCRISPRおよび修飾GRONに曝露することを含む、方法。
  92. 複数の遺伝子変化が生じる、請求項1〜91のいずれかに記載の方法または細胞。
  93. 2つ以上のガイドRNを使用する、請求項1〜92のいずれかに記載の方法または細胞。
  94. 前記2つ以上のガイドRNAがそれぞれ、異なる遺伝子変化の標的に対して相補的である、請求項1〜93のいずれかに記載の方法または細胞。
  95. 前記CRISPRがニッカーゼを含む、請求項1〜94のいずれかに記載の方法または細胞。
  96. 前記DNA切断剤が2つ以上のニッカーゼを含む、請求項1〜95のいずれかに記載の方法または細胞。
  97. 2つ以上のニッカーゼが標的核酸配列の反対側の鎖を切断する、請求項1〜96のいずれかに記載の方法または細胞。
  98. 2つ以上のニッカーゼが前記標的核酸配列の同じ鎖を切断する、請求項1〜97のいずれかに記載の方法または細胞。
  99. 前記GRONが、3’末端の1番目(最後)の塩基に2’−O−メチル基を含む、請求項1〜98のいずれかに記載の方法または細胞。
  100. 前記GRONが、3’末端の1番目(最後)の塩基に2’−O−メチル基を含み、他には2’−O−メチル基を有さない、請求項1〜99のいずれかに記載の方法または細胞。
  101. 前記GRONが、3’末端の最初の2つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜100のいずれかに記載の方法または細胞。
  102. 前記GRONが、3’末端の最初の3つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜101のいずれかに記載の方法または細胞。
  103. 前記GRONが、3’末端の最初の4つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜102のいずれかに記載の方法または細胞。
  104. 前記GRONが、3’末端の最初の5つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜103のいずれかに記載の方法または細胞。
  105. 前記GRONが、3’末端の最初の6つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜104のいずれかに記載の方法または細胞。
  106. 前記GRONが、3’末端の最初の7つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜105のいずれかに記載の方法または細胞。
  107. 前記GRONが、3’末端の最初の8つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜106のいずれかに記載の方法または細胞。
  108. 前記GRONが、3’末端の最初の9つ以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜107のいずれかに記載の方法または細胞。
  109. 前記GRONが、3’末端の最初の10以上の塩基にそれぞれ2’−O−メチル基を含む、請求項1〜108のいずれかに記載の方法または細胞。
  110. 前記GRONが、3’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のRNA塩基を含む、請求項1〜109のいずれかに記載の方法または細胞。
  111. 前記GRONが、3’末端の1番目(最後)の塩基に2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98のいずれかに記載の方法または細胞。
  112. 前記GRONが、3’末端の最初の2つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111のいずれかに記載の方法または細胞。
  113. 前記GRONが、3’末端の最初の3つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜112のいずれかに記載の方法または細胞。
  114. 前記GRONが、3’末端の最初の4つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜113のいずれかに記載の方法または細胞。
  115. 前記GRONが、3’末端の最初の5つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜114のいずれかに記載の方法または細胞。
  116. 前記GRONが、3’末端の最初の6つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜115のいずれかに記載の方法または細胞。
  117. 前記GRONが、3’末端の最初の7つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜116のいずれかに記載の方法または細胞。
  118. 前記GRONが、3’末端の最初の8つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜117のいずれかに記載の方法または細胞。
  119. 前記GRONが、3’末端の最初の9つ以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜118のいずれかに記載の方法または細胞。
  120. 前記GRONが、3’末端の最初の10以上のいずれの塩基にも2’−O−メチル基を含まない、請求項1〜98および111〜119のいずれかに記載の方法または細胞。
  121. 前記GRONが、3’末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のRNA塩基を含まない、請求項1〜98および111〜120のいずれかに記載の方法または細胞。
  122. 請求項1〜121のいずれか1項に記載の方法により、または請求項1〜121のいずれか1項に記載の細胞から作製される、非トランスジェニック除草剤抵抗性または耐性植物。
  123. 前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)に遺伝子変化または変異を有し、オオムギ、トウモロコシ(maize)、キビ、エンバク、ライムギ、イネ、ソルガム、サトウキビ、芝草およびコムギからなる群より選択される、請求項1〜122のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  124. 前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)に遺伝子変化または変異を有し、1つまたは複数の除草剤に対して抵抗性または耐性である、請求項1〜123のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  125. 前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)に遺伝子変化または変異を有し、1つまたは複数のACCアーゼ阻害除草剤に対して抵抗性である、請求項1〜124のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  126. 前記植物細胞が、アセチルコエンザイムAカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)に遺伝子変化または変異を有し、アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップP、フェンチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップP、ハロキシホップ、ハロキシホップP、イソキサピリホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップP、トリホップ、ピノキサデン、上記のいずれかの除草剤の農学的に許容される塩およびエステルならびにそれらの組合せからなる群より選択される1つまたは複数の除草剤に対して抵抗性である、請求項1〜125のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  127. 前記植物細胞が、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)に遺伝子変化または変異を有し、前記植物細胞が、トウモロコシ(corn)、コムギ、イネ、オオムギ、ソルガム、エンバク、ライムギ、サトウキビ、ダイズ、ワタ、サトウダイコン、アブラナ、カノーラ、アマ、キャッサバ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウマメ、レンズマメ、ブドウおよび芝草からなる群より選択される、請求項1〜126のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  128. 前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)に遺伝子変化または変異を有し、植物または植物細胞が、少なくとも1つの除草剤に対して抵抗性である、請求項1〜127のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  129. 前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)に遺伝子変化または変異を有し、植物または植物細胞が、ホスホノメチルグリシンファミリーの除草剤に対して抵抗性である、請求項1〜128のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  130. 前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)に遺伝子変化または変異を有し、植物または植物細胞が、グリホサートに対して抵抗性である、請求項1〜129のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  131. 前記植物または植物細胞が、5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)に遺伝子変化または変異を有し、植物または植物細胞が、トウモロコシ(corn)、コムギ、イネ、オオムギ、ソルガム、エンバク、ライムギ、サトウキビ、ダイズ、ワタ、サトウダイコン、アブラナ、カノーラ、アマ、キャッサバ、ヒマワリ、ジャガイモ、タバコ、トマト、アルファルファ、ポプラ、マツ、ユーカリ、リンゴ、レタス、エンドウマメ、レンズマメ、ブドウおよび芝草からなる群より選択される、請求項1〜130のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  132. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1つのアレルに起こる、請求項1〜131のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  133. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の2つのアレルに起こる、請求項1〜132のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  134. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の3つのアレルに起こる、請求項1〜133のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  135. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の4つのアレルに起こる、請求項1〜134のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  136. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアレルに起こる、請求項1〜135のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  137. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1つのアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜136のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  138. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の2つのアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜137のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  139. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の3つのアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜138のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  140. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の4つのアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜139のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  141. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜140のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  142. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1つのアレルに起こり、前記遺伝子の第二のアレルが、前記第二のアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜141のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  143. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1つのアレルに起こり、前記遺伝子の第二のアレルおよび第三のアレルが、前記遺伝子の第二のアレルおよび第三のアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜142のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  144. 前記細胞の前記遺伝子変化または変異が、前記遺伝子の1つのアレルに起こり、前記遺伝子の第二のアレル、第三のアレルおよび第四のアレルが、前記遺伝子の第二のアレル、第三のアレルおよび第四のアレルのノックアウトを生じる欠失または挿入を含む、請求項1〜143のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  145. 前記細胞の前記遺伝子変化が、1つのアレルの少なくとも1つの変異と、別のアレルの少なくとも1つのノックアウトとを含む、請求項1〜144のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  146. 前記細胞の前記遺伝子変化が、1つのアレルの少なくとも1つの変異と、少なくとも1つの他のアレルの少なくとも1つのノックアウトとを含む、請求項1〜145のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  147. 前記細胞の前記遺伝子変化が、1つのアレルの少なくとも1つの変異と、少なくとも2つの他のアレルの少なくとも1つのノックアウトとを含む、請求項1〜146のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  148. 前記細胞の前記遺伝子変化が、1つのアレルの少なくとも1つの変異と、少なくとも3つの他のアレルの少なくとも1つのノックアウトとを含む、請求項1〜147のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
  149. 前記細胞の前記遺伝子変化が、1つのアレルの少なくとも1つの変異と、他のすべてのアレルのノックアウトとを含む、請求項1〜148のいずれかに記載の方法または細胞または植物。
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