JP2019501225A - B細胞リンパ腫2(bcl−2)及び関連タンパク質の阻害 - Google Patents

B細胞リンパ腫2(bcl−2)及び関連タンパク質の阻害 Download PDF

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Abstract

本明細書で開示されている式(I)及び式(II)の化合物を含む、抗アポトーシスタンパク質であるB細胞リンパ腫2(Bcl-2)及びBcl-XLを阻害する新規な化合物、並びに、Bcl-2阻害化合物を含むリポソーム組成物。これらの組成物は、癌の処置に有用である。

Description

関連出願
本出願は、2016年1月11日に出願した米国仮特許出願第62/277248号、及び2017年1月9日に出願した米国仮特許出願第62/444168号に対する優先権を主張し、そのいずれも、参照によりその全体が、また、いかなる目的でも、本出願に組み込まれるものである。
本開示は、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)及び関連タンパク質を阻害する化合物、関連した方法に関し、癌の処置に有用な方法及び化合物を含む。
アポトーシスは、すべての生存種の組織恒常性に関して、不可欠な生物学的プロセスとして認識される。哺乳動物では、特に、早期胚発生を調節することが示されている。成長のそれ以降においては、細胞死は、潜在的に危険な細胞(例えば、癌に関わる欠陥を保有する細胞)が除去されることによるデフォルト機構である。いくつかのアポトーシス経路が明らかになっており、最も重要なものの1つには、アポトーシスのミトコンドリア(「内因性」とも呼ばれる)経路の重要な制御因子であるタンパク質のB細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリーが関与する。Danial, N. N.及びKorsmeyer, S. J. Cell(2004年)116、205〜219頁を参照されたい。標的癌治療の研究は、プログラムされた細胞死の中心的な制御因子であるBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーに対して、報告されている。例えば、アポトーシス促進性タンパク質(Bax、Bad、Bid、Bim、Bik、Puma、Noxa等)と、抗アポトーシスタンパク質(Bcl-2ファミリー:Bcl-2、Bcl-XL、Mcl-1等)との相互作用は、細胞生存及び死亡において役割を果たすと考えられている。
Bcl-2は、血液癌での優れた標的であるが、Bcl-XLは、固形腫瘍に対する標的と考えられている。観察された血小板減少が、Bcl-XLの阻害によって引き起こされたとも推測された(Cell、2007年、128、1173〜1186頁)。アポトーシスを阻害するBcl-2ファミリーメンバーは、癌で過剰発現し、腫瘍形成に寄与する。Bcl-2発現は、癌治療耐性と強く相関し、生存率を低下させる。タンパク質のBcl-2ファミリーは、各タンパク質が相同ドメインをいくつ含有するか、及びその生物学的活性(すなわち、アポトーシス促進機能を有するか、又は抗アポトーシス機能を有するか)に応じて、3つのサブファミリーに更に分類できる。第1のサブグループは、全4種の相同ドメイン、すなわち、BH1、BH2、BH3及びBH4を有するタンパク質を含有する。その一般的な効果は、抗アポトーシス、すなわち、細胞死プロセスの開始から細胞を保存することである。タンパク質、例えば、Bcl-2、Bcl-XL及びMcl-1は、この第1のサブグループのメンバーである。
米国特許第8,147,867号
Danial, N. N.及びKorsmeyer, S. J. Cell(2004年)116、205〜219頁 Cell、2007年、128、1173〜1186頁 Tseら(2008年)、Cancer Research 68:3421〜3428頁 Bajwaら(2012年)、Expert Opin. Ther. Patents 22:37〜55頁 Lasic D. Liposomes: From physics to applications、Elsevier、Amsterdam、1993年 G. Greroriadis(編)、Liposome Technology、第3版、第1〜3巻、CRC Press、Boca Raton、2006年 Tao, Z.-F.ら、Apoptosis-inducing agents for the treatment of cancer and immune and autoimmune diseases、2011年、Abbott Laboratories Zhang, H.ら、Anal Biochem、2002年、307(1):70〜5頁 Leverson、J.D.ら、Cell Death Dis、2015年、6:e1590頁 Du、Y.ら、ssay Drug Dev. Technol、2011年、9(4):382〜93頁 Vogler Mら、Blood、第117巻、7145〜7154頁、2011年 Male R.、Vannier W.E、Baldeschwieler J.D.、Proc. Natl Acad. Sci. USA、第89巻、9191〜9195頁、1992年 Cheol-Min Parkら、J. Med. Chem. 2008年、第51巻、6902〜6915頁及びその参考文献
癌を処置するために、単一の作用剤として、又は併用療法(例えば、化学療法及び/又は放射線療法と組み合わせて)の一部として、Bcl-2ファミリー(例えば、Bcl-2及びBcl-XLの両方の阻害剤)の阻害化合物を送達する治療法を開発する必要性は、依然としてある。特に、血小板減少を限定する投与を伴わず(例えば、対象に投与した後での許容できる多さの血小板数)、腫瘍崩壊症候群又は他の許容できない副作用を誘導しない、治療的に有効なBcl-2ファミリー阻害組成物の必要性は、依然としてある。
出願者らは、タンパク質のB細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリーの阻害、及び癌の処置に有用な新規な化合物、並びにBcl-2及びBcl-XLの両方を阻害する新規な化合物を含む望ましい性質(例えば、血液循環中の半減期を延長し、腫瘍の処置における有効性を増大する)を有する、Bcl-2のある阻害剤のリポソーム製剤を発見した。本発明は、タンパク質のB細胞リンパ腫2(Bcl-2)ファミリーを阻害するための、ある新規な化合物の発見に部分的に基づき、また、Bcl-2阻害化合物のあるリポソーム製剤の血漿半減期を延長させ、抗腫瘍性の有効性を向上させる。化合物は、実施例1(「Bcl-2/Bcl-XL阻害剤」)の標的活性アッセイにより測定されるように、Bcl-2に対し約100nM未満、Bcl-XLに対し約100nM未満のIC50値により測定される活性を有するBcl-2及びBcl-XLの両方を阻害できる。本明細書では、別段指示がない限り、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物の活性は、実施例1のアッセイにより測定されるように、約0.1〜1.0のBcl-2のBcl-XL活性に対する比を有する。
第1の実施形態では、新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物が提供される。Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、本明細書で開示されている式(I)又は式(II)の化学構造、並びに、実施例1のアッセイにより測定されるように、Bcl-2及びBcl-XLの両方に対して、約100nM未満のIC50値を有することができる。Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物の代表例は、実施例8で開示されている化合物を含む。
一部の例では、新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、式(I):
Figure 2019501225
の化学構造、又はその薬学的に許容される塩を有する(式中、Rは、実施例1のアッセイにより測定されるように、Bcl-2に対して約100nM未満のIC50値、及びBcl-XLに対して約100nM未満のIC50値を有する式(I)の化合物を得るよう選択される、pKaが7.0超(好ましくは8.0超、最も好ましくは少なくとも約9.5)のアミン部分を含む部分である)。式(I)の化合物は、Rを、N又はCHとして、及びR1を、アルキル置換アミン、好ましくは第三級アルキル置換アミンを含む部分として含み得る。一部の例では、Rは、N又はCHであってよく、R1は、-N(Ra)(Rb)又は-(A)-N(Ra)(Rb)であってよい(式中、-(A)-は、(C1〜C4)脂肪族部分(例えば、メチレン又はエチレン)であり、Ra及びRbは、独立して、低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチル)であり、Ra若しくはRbの一方は水素であり、もう一方はC1〜C4アルキルであり、又はRa及びRbは、環式環(例えば、窒素含有ヘテロ環式環)を一緒に形成する)。他の例では、Ra及びRbは、1個又は複数のヘテロ原子を含むヘテロ環式環を一緒に形成する。更に他の例では、R1は、アルキル置換(例えば、メチル置換)第三級窒素を含むヘテロシクロアルキル部分であってよい。
特に、式(I)の化合物は、化合物1〜4:
Figure 2019501225
及びその薬学的に許容される塩を含む。
追加の新規なBcl-2阻害化合物は、式(II):
Figure 2019501225
の化学構造、又はその薬学的に許容される塩を有する(式中、R'及びR1'は、実施例1のアッセイにより測定されるように、Bcl-2に対して約100nM未満のIC50値、及びBcl-XLに対して約100nM未満のIC50値を有する式(I)の化合物を得るよう選択される、pKaが7.0超(好ましくは8.0超、最も好ましくは少なくとも約9.5)のアミンを含む部分を一緒に形成する)。式(II)の化合物は、R'を、N又はCHとして、及びR1'を、第三級アルキル置換アミンを含む部分として含み得る。一部の例では、R1'は、-N(Ra')(Rb')又は-(A')-N(Ra')(Rb')であってよい(式中、-(A')-は、(C1〜C4)脂肪族部分(例えば、メチレン又はエチレン)であり、Ra'及びRb'は、独立して、低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチル)であり、Ra'若しくはRb'の一方は水素であり、もう一方はC1〜C4アルキルであり、又はRa'及びRb'は、環式環(例えば、窒素含有ヘテロ環式環)を一緒に形成する)。更に他の例では、R1'は、アルキル置換(例えば、メチル置換)第三級窒素を含むヘテロシクロアルキル部分であってよい。他の例では、R1'は、R'がNである場合、ヘテロアリール、例えばピロリジン又はピペリジンであってよい。特に、式(II)の化合物は、化合物5〜8:
Figure 2019501225
及びその薬学的に許容できる塩を含む。
本明細書で提供される追加の化合物は、化合物9及び化合物10:
Figure 2019501225
を含み、化合物9及び化合物10は、遊離塩基の形態、又は薬学的に許容される塩の形態であってよい。
第2の実施形態では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物のリポソーム製剤が提供される。リポソーム製剤は、リポソーム小胞中の第1の実施形態の化合物を含むBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を被包(封入、カプセル化)できる。あるBcl-2/Bcl-XL阻害化合物のリポソーム製剤の代表例は、実施例4で示されている。リポソーム製剤は、リポソーム製剤中に、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物の少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%を被包するリポソームを含み得る。被包されていないBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物がリポソーム内に被包された後で、リポソーム製剤から除去してよい。好ましくは、リポソームは、Bcl-2/Bcl-XL阻害剤の循環時間を延長するように、及び/又は血漿中におけるBcl-2/Bcl-XL阻害化合物のリポソームからの放出を抑制するように製剤される。一態様では、リポソームは、図3及び実施例5に記載されているように、マウス血漿中におけるBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の濃度の上昇に有効な条件下で、アルブミン(例えば、BSA)と、少なくとも4時間超、好ましくは少なくとも48時間超接触させる。別の態様では、Bcl-2/Bcl-XL阻害剤は、阻害剤の望ましくない血小板減少の効果を低下させるために、リポソームとして製剤される。
リポソームに被包されている式(I)及び/又は式(II)の1つ又は複数の化合物を含む、新規なリポソーム製剤は、Bcl-2及びBcl-XL阻害及び癌の処置に有用である。特に好ましい例は、化合物1、2、3、4、5、6、7又は8からなる群から選択される化合物を含むリポソームを含む。リポソーム製剤は、式(I)及び/又は式(II)の新規な化合物を被包した後で、血清アルブミン(例えば、BSA)で処理してよい。好ましくは、リポソーム製剤は、式(II)の化合物を被包した後で、及び患者に投与する前に、血清アルブミンで処理したリポソームに被包されている式(II)の化合物を含む。一例では、新規なリポソーム製剤は、アルブミン処理リポソーム中に化合物6を含む。リポソームは、リポソーム表面の外側に、1つ又は複数の血清アルブミンであるタンパク質を含み得る。
リポソーム製剤は、1つ又は複数のリポソーム形成脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC))、コレステロール及び親水性ポリマー複合脂質(例えば、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)-1,2-ジステアリル-sn-グリセリル(PEG2000-DSG))から形成される単一膜小胞に被包されている、式(I)及び/又は式(II)の化合物を含み得る。リポソーム形成脂質は、好ましくは、1つ又は複数のリン脂質、及び任意選択でステロール、例えばコレステロールを含み、リン脂質及びコレステロールの比は、望ましい量のリポソームの膜に強固さを付与しつつ、リポソームから漏出する式(I)の化合物の量が十分に抑制されることを維持するように選択される。ポリマー複合脂質のタイプ及び量は、血流中で望ましいレベルのタンパク質合、リポソーム安定性及び循環時間を得るように選択できる。一部の例では、リポソーム小胞は、DSPC及びコレステロールを、3:2のモル比で含む。特に、リポソームは、DSPC、コレステロール及びPEG2000-DSGからなる小胞を、3:2:0.3のモル比で含み得る。Bcl-2阻害化合物(例えば、式(I)又は式(II)の化合物)は、リポソーム内に封入され得る。好ましい一例は、化合物6を被包するDSPC、コレステロール及びPEG2000-DSGから、3:2:0.3のモル比で形成される小胞を有するリポソームを含む組成物である。
リポソーム製剤は、1つ又は複数のリポソーム形成脂質、親水性ポリマー複合脂質(例えば、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)-オキシカルボニル-1,2-ジステアロイル-sn-ホスファチジルエタノールアミン(PEG2000DSPE)から形成され、コレステロールを本質的に含有しない単一膜小胞に被包されている式(I)及び/又は式(II)の化合物を含み得る。リポソーム形成脂質は、好ましくは、中性リン脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC))、アニオン性脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG))を含み、リン脂質の比は、リポソームの大きさを小さく(70〜120nm)し、安定させ、被包されている式(II)の化合物の存在下での、凝集及び融合に対するリポソームの耐性を向上させるように選択される。ポリマー複合脂質のタイプ及び量は、血流中で望ましいレベルのタンパク結合、リポソーム安定性及び循環時間を得るように選択できる。一部の例では、リポソーム小胞は、DSPC及びDSPGを、2:1のモル比で含む。特に、リポソームは、DSPC、DSPG及びPEG2000-DSPE又はPEG2000-DSGから、2:1:0.2のモル比でなる小胞を含み得る。リポソームは、任意選択で、脂質蛍光標識、例えばDiIC18(3)-DS(Life Technologies、USA)を、リン脂質に対して0.05〜0.3mol%の量で含み得る。Bcl-2阻害化合物(例えば、式(I)又は式(II)の化合物)は、トリエチルアンモニウムスクロースオクタスルフェートグラジエント、又は硫酸アンモニウムグラジエントにより、300g/mol未満、好ましくは250g/mol未満、より好ましくは100〜200g/molの薬物/リン脂質比で、リポソーム内に封入され得る。好ましい一例は、化合物2を硫酸塩又はスクロースオクタスルフェート塩の形態で、150g/molの薬物/リン脂質比で被包するDSPC、DSPG、PEG2000-DSPE及びDiIC18(3)-DSから、2:1:0.2:0.002のモル比で形成される小胞を有するリポソームを含む組成物である。
図1Aは、実施例1のアッセイを使用して得られる、式(I)の化合物を含む、あるBcl-2阻害化合物の、ある癌細胞株に対する細胞活性を示すグラフである。図1Bは、実施例1のアッセイを使用して得られる、式(II)の化合物を含む、あるBcl-2阻害化合物の、ある癌細胞株に対する細胞活性を示すグラフである。 図1Cは、実施例1のアッセイを使用して得られる、式(I)及び式(II)の化合物を含む、あるBcl-2阻害化合物の、ある癌細胞株に対する細胞活性を示す表である。 図2A及び2Bは、3つの異なる濃度で試験したあるBcl-2阻害化合物と組み合わせた場合の、MDA-MB231乳癌細胞におけるドセタキセルの用量応答を示すグラフである。 図2C及び2Dは、3つの異なる濃度で試験したあるBcl-2阻害化合物と組み合わせた場合の、MDA-MB231乳癌細胞におけるドセタキセルの用量応答を示すグラフである。 図3は、化合物6を含まない(リポソーム中に含まない)、化合物6の第1のリポソーム製剤(アルブミンで前処理していない)、及び化合物6の第2のリポソーム製剤(アルブミンで前処理した)の薬物動態を示すグラフである。 図4は、化合物6の第1のリポソーム製剤(アルブミンで前処理していない)、及び化合物6の第2のリポソーム製剤(アルブミンで前処理した)を投与した後の、通常のPLTレベル(破線)と比較した、マウスにおける血小板(PLT)数(マイクロリットル当たり1000個のPLT単位)を示す棒グラフである。 図5A、5B、及び5Cは、マウスにおいて測定した体重に対する、化合物6の第1のリポソーム製剤(アルブミンで前処理していない)及び化合物6の第2のリポソーム製剤(アルブミンで前処理した)の用量を漸増した効果を示すグラフである。 図6A、6B、及び6Cは、マウスにおける血小板数に対する、化合物6の第1のリポソーム製剤(アルブミンで前処理していない)及び化合物6の第2のリポソーム製剤(アルブミンで前処理した)の用量を漸増した効果を示すグラフである。 図7A、7B、及び7Cは、マウスにおける血小板数に対して、1mg/kg(図7A)、2mg/kg(図7B)、及び5mg/kg(図7C)の式(I)の化合物2対式(II)の化合物6の用量を漸増した効果を示すグラフである。 図8は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図9は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図10は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図11は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図12は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図13は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図14は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図15は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図16は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図17は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図18は、本明細書の実施例に記載されているように、開示されているBcl-2阻害剤の合成に有用な化学反応スキームを示す図である。 図18Aは、実施例1のアッセイの開発で使用される、複数のタンパク質濃度での蛍光性ペプチドの滴定を示すグラフである。 図18Bは、実施例1のアッセイの開発で使用される、複数のタンパク質濃度での蛍光性ペプチドの滴定を示すグラフである。 図18Cは、実施例1のアッセイの開発で使用される、複数のタンパク質濃度での蛍光性ペプチドの滴定を示すグラフである。 図18Dは、実施例1のアッセイの開発で使用される、複数のタンパク質濃度での蛍光性ペプチドの滴定を示すグラフである。 図19A及び19Bは、実施例1のアッセイの開発で使用される、2つのf-ペプチド濃度でのタンパク質の滴定を示すグラフである。 図19C及び19Dは、実施例1のアッセイの開発で使用される、2つのf-ペプチド濃度でのタンパク質の滴定を示すグラフである。 図20A及び20Bは、実施例1のアッセイの開発で使用される、単一のf-ペプチド濃度での、範囲を拡大したタンパク質の滴定を示すグラフである。 図20C及び20Dは、実施例1のアッセイの開発で使用される、単一のf-ペプチド濃度での、範囲を拡大したタンパク質の滴定を示すグラフである。 図21A及び21Bは、実施例1のアッセイの開発で使用される、経時的なシグナル安定性を示すグラフである。 図21C及び21Dは、実施例1のアッセイの開発で使用される、経時的なシグナル安定性を示すグラフである。 図22A及び22Bは、実施例1のアッセイの開発で使用される、EC50測定に使用した約60分のインキュベーションからのデータを示すグラフである。 図22C及び22Dは、実施例1のアッセイの開発で使用される、EC50測定に使用した約60分のインキュベーションからのデータを示すグラフである。 図22E及び22Fは、実施例1のアッセイの開発で使用される、EC50測定に使用した約60分のインキュベーションからのデータを示すグラフである。 図23は、化合物6を含まない生理食塩水ビヒクル(ナイーブ対照)、又はリポソーム製剤した10mg/kgの化合物6を静脈内投与した後で、通常の血小板レベル(破線)と比較した、マウスにおける血小板数(マイクロリットル当たり1000個の血小板(PTL)単位)を示す棒グラフである。
新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例に記載されている方法により得られる。本明細書で使用されているように、また、別段指示がない限り、「Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物」という用語は、実施例1のアッセイにおいてBcl-2及びBcl-XLの両方で約100nM未満のIC50値を有する化合物を指す。好ましくは、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例1のアッセイにより測定した約0.1から10.0の、Bcl-2及びBcl-XLに対するIC50値の比を有する(例えば、約0.2から5.0の比、及びその間の比を含む)。
式(Ia):
Figure 2019501225
の化学構造を有する新規な化合物、又はその薬学的に許容できる塩が本明細書で提供される(式中、Rは、pKaが7.0超(好ましくは8.0超、最も好ましくは少なくとも約9.5)のアミンを含む部分である)。式(Ia)の化合物は、Rを、N又はCHとして、及びR1を、第三級アルキル置換アミンを含む部分として含み得る。一部の例では、Rは、N又はCHであってよく、R1は、-N(Ra)(Rb)又は-(A)-N(Ra)(Rb)であってよい(式中、-(A)-は、(C1〜C4)脂肪族部分(例えば、メチレン又はエチレン)であり、Ra及びRbは、独立して、低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチル)であり、又は、Ra若しくはRbの一方は水素であり、もう一方はC1〜C4アルキルであり、又はRa及びRbは、環式環(例えば、窒素含有ヘテロ環式環)を一緒に形成する。他の例では、Ra及びRbは、1個又は複数のヘテロ原子を含むヘテロ環式環を一緒に形成する。更に他の例では、R1は、アルキル置換(例えば、メチル置換)第三級窒素を含むヘテロシクロアルキル部分であってよい。特に、式(Ia)の化合物は、化合物1a〜4a:
Figure 2019501225
及びその薬学的に許容できる塩を含む。
一実施形態では、化合物は、式(I):
Figure 2019501225
の化学構造を有する(式中、Rは、実施例1のアッセイにより測定されるように、Bcl-2に対して約100nM未満のIC50値、及びBcl-XLに対して約100nM未満のIC50値を有する式(I)の化合物を得るよう選択される、pKaが7.0超(好ましくは8.0超、最も好ましくは少なくとも約9.5)のアミンを含む部分である)。
Table 1(表1)に示されている、Bcl-2及びBcl-XLに対する式(I)の化合物の代表例の活性は、実施例1のアッセイ(活性アッセイ)を使用して測定した。とりわけ、式(I)の化合物の活性は、コンパレーターA化合物(比較化合物A):
Figure 2019501225
におけるR-R1の位置での、モルホリン部分の置換に感受性である。例えば、Bcl-2に対する式(I)の化合物の活性は、コンパレーターAより5倍高い効能(例えば、化合物2及び化合物3)から、コンパレーターAより10倍低い効能(例えば、化合物4)の範囲であった。同様に、Bcl-XLに対する式(I)の化合物の活性は、コンパレーターAの5倍高い効能(例えば、化合物2及び化合物3)から、コンパレーターAの30倍低い効能(例えば、化合物4)の範囲であった。式(I)の化合物は、コンパレーターAでの比較可能なBcl-2/Bcl-XL活性比の、約70〜105%のBcl-2/Bcl-XLの活性比を有する化合物(例えば、化合物1、化合物2及び化合物3)を含む。
一部の例では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例1により測定したBcl-2に対するIC50値が、コンパレーターAで測定したものよりも低い(すなわち、約0.1〜2.46及び約0.4〜2.46、及び約0.1〜0.5を含む2.46未満)式(I)の化合物である。一部の例では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例1により測定したBcl-XLに対するIC50値が、コンパレーターAで測定したものより低い(すなわち、約0.1〜47.88、及び約0.25〜47.88及び約0.1〜47.88を含む47.88未満)式(I)の化合物である。
Table 1(表1)におけるBcl-2及びBcl-XL活性は、新規なBcl-2/Bcl-XL活性化合物の選択例である。更に、他の新規な化合物は、この情報に基づいて同定され得る。特に、様々な新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、R-R1結合部位において、Table 1(表1)に示されている例と比較可能な大きさ及び形状を備える、類似した化学構造の代替構造を有する。そのような化合物の同定は、R-R1結合部位が、Bcl-2/Bcl-XL活性に不可欠な要素になり得るという発見に部分的に基づいており、これは、分子におけるその位置が、生物学的標的部位でのタンパク質間相互作用の疎水性が高い接触面から離れていることを考慮すると、予想外である。Table 1(表1)におけるデータを検討すると、よりかさ高く、より強固な置換基を有する化合物、例えば、化合物1及び化合物4は、より小さい置換基を有する化合物、例えば、化合物2及び化合物3と比較してはるかに効能が低いことは明らかである。この情報により、当業者は、本明細書で開示されているアッセイで同定されているように、Bcl-2及び/又はBcl-XL部位において、望ましい活性を備える一群の追加の化合物を構想できる。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、第一級又は第二級置換アミン(例えば、1つ又は複数のアルキル部分で置換されているアミノ部分)を含むR-R1位置の置換アミンを含み、R-R1部分は、望ましいリポソームローディング特性(例えば、7〜10、8〜10又は9〜10のpKa値を含む7、8又は9超のpKaを有する置換アミノ部分)を得るように選択される。いくつかの実施形態では、化合物は、式(I)におけるR-R1において、1つ又は2つの第三級アルキル置換アミン部分を有する構造を有し得:
Figure 2019501225
からなる群から選択されるR-R1部分を含む。
Figure 2019501225
式(IIa):
Figure 2019501225
の化学構造を有する新規な化合物、又はその薬学的に許容できる塩も本明細書で提供される(式中、R'及びR1'はpKaが7.0超(好ましくは8.0超、最も好ましくは少なくとも約9.5)のアミンを含む部分を一緒に形成する)。
式(IIa)の化合物は、R'を、N又はCHとして、及びR1'を、第三級アルキル置換アミンを含む部分として含み得る。一部の例では、R1'は、-N(Ra')(Rb')又は-(A')-N(Ra')(Rb')であってよい(式中、-(A')-は、(C1〜C4)脂肪族部分(例えば、メチレン又はエチレン)であり、Ra'及びRb'は、独立して、低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチル)、Ra'若しくはRb'の一方は水素であり、もう一方はC1〜Cアルキルであり、又はRa'及びRb'は、環式環(例えば、窒素含有ヘテロ環式環)を一緒に形成する)。更に他の例では、R1'は、アルキル置換(例えば、メチル置換)第三級窒素を含むヘテロシクロアルキル部分であってよい。他の例では、R1'は、R'がNである場合、ヘテロアリール、例えばピロリジン又はピペリジンであってよい。特に、式(IIa):
Figure 2019501225
の化合物は、化合物5a〜8a、及びその薬学的に許容できる塩を含む。
追加の新規なBcl-2阻害化合物は、式(II):
Figure 2019501225
の化学構造を有する(式中、R'は、実施例1のアッセイにより測定されるように、Bcl-2に対して約100nM未満のIC50値、及びBcl-XLに対して約100nM未満のIC50値を有する式(I)の化合物を得るよう選択される、pKaが7.0超(好ましくは8.0超、最も好ましくは少なくとも約9.5)のアミンを含む部分であり、R'はN又はCHであり、R1'はアルキル置換アミン、好ましくは第三級アルキル置換アミンを含む部分である)。一部の例では、R1'は、-N(Ra')(Rb')又は-(A')-N(Ra')(Rb')であってよい(式中、-(A')-は、(C1〜C4)脂肪族部分(例えば、メチレン又はエチレン)であり、Ra'及びRb'は、独立して、低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチル)であり、Ra'若しくはRb'の一方は水素であり、もう一方はC1〜C4アルキルであり、又はRa'及びRb'は、環式環(例えば、窒素含有ヘテロ環式環)を一緒に形成し、式(II)におけるR'-R1'部分は、実施例1で測定したBcl-2及びBcl-XLの両方で約100nM未満の値として測定した阻害活性を得るように選択される)。一部の例では、式(II)の化合物は、R'をCHとして、及びR1'を第三級アルキル置換アミンを含む部分として含み得る。一部の例では、R'はCHであり、R1'は、-N(Ra')(Rb')又は-(A')-N(Ra')(Rb')であってよい(式中、-(A')-は、(C1〜C4)脂肪族部分(例えば、メチレン又はエチレン)であり、Ra'及びRb'は、独立して、低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル、好ましくはメチル又はエチル)である)。他の例では、R'はN又はCHであり、R1'はアルキル置換(例えば、メチル置換)第三級窒素を含むヘテロシクロアルキル部分であってよい。
一部の例では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例1により測定したBcl-2のIC50値が、コンパレーターBで測定したものよりも低い(すなわち、約0.1〜0.32及び約0.2〜0.32を含む0.32未満)式(II)の化合物である。一部の例では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例1により測定したBcl-XLのIC50値が、コンパレーターBで測定したものよりも低い(すなわち、約0.1〜0.23及び約0.18〜0.23を含む0.23未満)式(I)の化合物である。
Table 2(表2)で示されている、Bcl-2及びBcl-XLに対する式(II)の化合物の代表例(例えば、化合物5、6、7及び8)の活性は、実施例1のアッセイ(活性アッセイ)を使用して測定した。とりわけ、式(II)の化合物の活性は、式(II)の化合物におけるR'-R1'位置を含有する環により占められる位置での、ジメチルアミノ部分の置換に感受性である。Table 2(表2)におけるBcl-2及びBcl-XL活性は、新規なBcl-2/Bcl-XL活性化合物の選択例である。更に、他の新規な化合物は、この情報に基づいて同定され得る。特に、様々な新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、R'-R1'結合部位において、Table 2(表2)で示されている例と比較可能な大きさ及び形状を備える、類似した化学構造を有する代替構造である。そのような化合物の同定は、R'-R1'結合部位が、Bcl-2/Bcl-XL活性に不可欠な要素になり得るという発見に部分的に基づいており、これは、分子におけるその位置が、生物学的標的部位でのタンパク質間相互作用の疎水性が高い接触面から離れていることを考慮すると、予想外である。Table 2(表2)におけるデータを検討すると、よりかさ高く、より強固な置換基を有する化合物、例えば、化合物5及び化合物8は、小さい置換基を有する化合物、例えば、化合物6及び化合物7と比較してはるかに効能が低いことは明らかである。この情報により、当業者は、本明細書で開示されているアッセイで同定されているように、Bcl-2及び/又はBcl-XL部位において、望ましい活性を備える一群の追加の化合物を構想できる。
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、R'-R1'位置に、第一級又は第二級置換アミン(例えば、1つ又は複数のアルキル部分で置換されているアミノ部分)を含む置換アミンを含む(式中、R'-R1'部分は、望ましいリポソームローディング特性(例えば、7〜10、8〜10又は9〜10のpKa値を含む7、8又は9超のpKaを有する置換アミノ部分)及び、実施例1で測定した、Bcl-2及びBcl-XLの両方で約100nM未満の阻害活性を得るよう選択される。いくつかの実施形態では、化合物は、式(II)におけるR'-R1'において、1つ又は2つのアルキル置換アミン部分(例えば、1つ又は複数の第三級アルキル置換アミン部分)を有する構造を有し得:
Figure 2019501225
からなる群から選択されるR'-R1'部分を含む。
Figure 2019501225
特に、式(II)の化合物は、化合物5〜8:
Figure 2019501225
を含む。
化合物9a及び化合物10a:
Figure 2019501225
を含む追加の化合物が本明細書で提供され、化合物9a及び化合物10aは、遊離塩基の形態、又は薬学的に許容される塩の形態であってよい。
化合物9及び化合物10:
Figure 2019501225
を含む更なる化合物が本明細書で提供され、化合物9及び化合物10は、遊離塩基の形態、又は薬学的に許容される塩の形態であってよい。
第2の実施形態では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物のリポソーム製剤が提供される。リポソーム製剤は、リポソーム小胞中に、第1の実施形態のBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を被包できる。あるBcl-2/Bcl-XL阻害化合物のリポソーム製剤の代表例は、実施例4で示されている。リポソーム製剤は、リポソーム製剤中に、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物の少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%を被包するリポソームを含み得る。被包されていないBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物がリポソーム内に被包された後で、リポソーム製剤から除去してよい。好ましくは、リポソームを製剤して、血漿中におけるBcl-2/Bcl-XL阻害化合物のリポソームからの放出を抑制する。一態様では、リポソームは、図3及び実施例5に記載されているように、マウス血漿中における、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物の濃度の上昇に有効な条件下で、アルブミン(例えば、BSA)と、少なくとも4時間超、好ましくは少なくとも48時間超接触させる。
リポソーム製剤は、血小板減少の発生率を低下させるように選択できる(例えば、図4、図6A、図6B、図6C、図7A、図7B、図7C及び図23で提示されているデータにおける試験した組成物)。更に、リポソーム製剤は、例えば、図3で示されているデータにおけるマウスモデルで測定されているように、血液循環時間を延長するよう選択できる。リポソームの平均径は、精密濾過によりリポソーム組成物を都合よく滅菌するために、0.2ミクロン(200nm)未満に及ぶよう選択できる。他の実施形態では、リポソーム径は、良好な血液循環性質を得、腫瘍に吸収させるために、170nm未満、150nm未満、好ましくは130nm未満、又はより好ましくは70〜120nmの範囲であってよい。好ましくは、リポソーム製剤は、治療的に関連する期間内(例えば、注入後の任意の時間、化学療法処置サイクルの持続時間内、注入後14〜28日以内)で、通常の、又は医学的に許容できる範囲内のPLT数のレベルを示す。好ましくは、リポソーム製剤は、投与(例えば、静脈内投与)後、血漿半減期が約5時間を超える(例えば、10〜100時間)ことを特徴とするBcl-2/Bcl-XL阻害化合物のクリアランス率を示す。リポソーム製剤におけるBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の血液循環半減期は、好ましくは、約10時間まで、11〜15時間の血液循環半減期を含む、少なくとも約5時間である。図3は、マウスの血漿中における、2つのリポソーム製剤に対するBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の濃度を測定した代表例を示す。好ましくは、リポソーム製剤は、リポソームを投与した後で、血漿中に存在するBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の量を向上させる(例えば、リポソームの投与後約4時間以内の、血漿中のBcl-2/Bcl-XL阻害化合物濃度が低下することを抑制する)のに有効な条件下で、投与する前にアルブミンと接触させる。
リポソームは、典型的には、水性内部を包囲する1つ又は複数の脂質二層膜を含有する小胞を含む。リポソーム組成物は、通常、媒体中のリポソーム、例えばリポソーム外の水性流体を含む。リポソーム脂質は、水性媒体と接触する際に、二層膜を自発的に形成する両親媒性脂質成分、例えばリン脂質、例としてホスファチジルコリンを含み得る。リポソームは、膜を強固にする成分、例えばステロール、例としてコレステロールも含み得る。いくつかのケースでは、リポソームは、リポソームが凝集する傾向を低下させ、他の有益な効果も有することができる親水性ポリマーと複合化した脂質、例えばポリエチレングリコール(PEG)脂質誘導体も含む。
多彩なリポソームの性質又は製剤方法は、安定度、したがって、リポソームの担体からの薬物の放出速度の決定に重要な役割を果たす。高度飽和リン脂質、例えばジステアロイルホスファチジルコリン又は水添ダイズホスファチジルコリンを、両親媒性薬物のリポソーム製剤中に組み込むと、不飽和リン脂質を含有するリポソームと比較した場合、安定性はかなり改善する。コレステロールの包含は、血漿タンパク質との不安定な相互作用を減少させ、リポソーム膜の小分子に対する透過性の調節にも関わる。スフィンゴミエリンをベースとしたリポソームも、隣接するコレステロール分子との分子間水素結合に部分的に由来し得る、ホスファチジルコリンをベースとした製剤と比較して、優れた薬物滞留性及び活性を実証し、リン脂質と比較して、スフィンゴミエリンの加水分解の減少を、実証している。
本発明のリポソーム膜組成物は、当業者により公知の、又は最近発見された、適切な方法のいずれかにより作ることができる。一般に、多彩な脂質成分は、本発明のリポソームを作るために使用できる。脂質成分は、通常、(1)非電荷脂質成分、例えば、コレステロール、セラミド、ジアシルグリセロール、アシル(ポリエーテル)又はアルキルポリ(エーテル);(2)中性リン脂質、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミン、(3)アニオン性脂質、例えば、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチデート、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルイノシトール、ジアシルグリセロールヘミスクシネート、ジアシルグリセロールヘミグルラテート、コレステリルヘミスクシネート、コレステリルヘミグルタレート;(4)ポリマー複合脂質、例えば、N-[メトキシ-(ポリ(エチレングリコール)ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ポリ(エチレングリコール)-ジアシルグリセロール、ポリ(エチレングリコール)-セラミド;及び(5)カチオン性脂質、例えば、1,2,-ジアシル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)及び1,2-ジアシル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリンを含むが、それらに限定されない。これらの脂質のモノアシル置換誘導体、並びにジ及びモノアルキル類似体も用いてよい。
1つ又は複数の望ましい機能を満たす、改変する、又は付与するために、様々な脂質成分が選択され得る。例えば、リン脂質は、主な小胞形成脂質として使用され得る。コレステロールの包含は、膜の強固さの維持に有用であり、薬物漏出を減少させる。ポリマー複合脂質は、リポソーム製剤に使用して、肝臓及び脾臓によるリポソームのクリアランスを低下させることで循環寿命を延長できる、又は循環の延長効果なしで保存中の凝集に対してリポソームの安定性を改善できる。
リポソーム製剤は、1つ又は複数のリポソーム形成脂質(例えば、水添ダイズホスファチジルコリン(HSPC))、コレステロール及び親水性ポリマー複合脂質から形成される単一膜小胞に被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物(例えば、式(II)又は式(I)の化合物)を含むことができる。一実施形態では、脂質と複合化した親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)-1,2-ジステアリル-sn-グリセリル(PEG2000-DSG)である。親水性ポリマー、例えば、分子量が約200から約30,000のPEGが用いられ得る。一実施形態では、PEG-脂質のPEG部分の分子量は、2000である。PEG-脂質は、天然、例えばPEG2000-DSGであってもよく、又はイオン荷電、例えばN-メトキシ-ポリ(エチレングリコール)オキシカルボニル-1,2-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG2000-DSPE)であってもよい。リポソーム形成脂質は、1つ又は複数のリン脂質を含み、リン脂質及びコレステロールの比は、好ましくは、望ましい量のリポソームの膜に強固さを付与しつつ、リポソームから式(I)の化合物が漏出する量の十分な抑制を維持するように選択される。例えば、R1は式-(A)-N(Ra)(Rb)の部分であってよい(式中、Aは、直鎖状又は分岐状アルキル部分であり、Ra及びRbは、独立して、C1〜C4アルキルであり、Ra'若しくはRb'の一方は水素であり、もう一方はC1〜C4アルキルであり、又はRa及びRbは、ヘテロ環式環を一緒に形成する)。
Bcl-2タンパク質阻害剤は、以下の化合物:N-(4-(4-((4'-クロロ(1,1'-ビフェニル)-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)ベンゾイル)-4-(((1R)-3-(ジメチルアミノ)-1-((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)-3-ニトロベンゼンスルホンアミド)(本明細書では「コンパレーターB」と呼ばれる):
Figure 2019501225
及びN-(4-(4-((2-(4-クロロフェニル)-5,5-ジメチル-1-シクロヘキサ-1-エン-1-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)ベンゾイル)-4-(((1R)-3-(モルホリン-4-イル)-1-((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)-3-((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド(本明細書では「コンパレーターA」と呼ばれる)を含む。(Tseら(2008年)、Cancer Research 68:3421〜3428頁)。コンパレーターAは、臨床トライアルで、用量制限血小板減少(血小板数)を示している。この類の化合物は、Bcl-XLの阻害により毒性(血小板減少)、耐性が発生する(Bajwaら(2012年)、Expert Opin. Ther. Patents 22:37〜55頁)。以下の構造を有するBcl-XL特異的阻害剤(本明細書では「コンパレーターD」と呼ばれる):
Figure 2019501225
は、固形腫瘍に対して検証した。Mcl-1の上方調節は、Bcl-2及びBcl-XLを治療標的とする癌細胞の耐性に関与する。いくつかの会社は、Mcl-1阻害剤、例えば、以下の構造の化合物(本明細書では「コンパレーターE」と呼ばれる):
Figure 2019501225
も追求している。
以下の構造のBcl-2特異的阻害剤(本明細書では「コンパレーターC」と呼ばれる):
Figure 2019501225
は、Bcl-XL活性をさほど有さず、臨床トライアルでは、重篤な副作用である用量依存性腫瘍崩壊症候群を示している。
AZD4320は、マウスモデルで観察された血小板数の一時的減少を示し、72時間でベースラインに戻る、デュアルBcl-2/Bcl-XL阻害剤(IV投与用)である。
リポソームは、典型的には、ミクロン又はサブミクロンの範囲の大きさを有し、抗癌薬、例えばイリノテカンを含む医薬物質を保有する能力、及び、様々な有益な手法で医薬品の性質を変化させる能力が十分認識されている。医薬リポソーム組成物を調製及び特徴付ける方法は、当分野で公知である(例えば、Lasic D. Liposomes: From physics to applications、Elsevier、Amsterdam、1993年;G. Greroriadis(編)、Liposome Technology、第3版、第1〜3巻、CRC Press、Boca Raton、2006年;Hongら、米国特許第8,147,867号を参照されたく、いかなる目的でも、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
Bcl-2阻害化合物リポソームは、(a)グラジエントを生じる塩、例えばアンモニウム又は置換アンモニウム塩(例えば、硫酸アンモニウム)を含有するリポソームを調製する工程、及び(b)続いて、イリノテカンをリポソームに入れ、対応量のアンモニアがリポソームから排出される(それにより、硫酸アンモニウムの濃度グラジエントを、生じたリポソーム越しに低下又は抑制する)ことを可能にするのに有効な条件下で、硫酸アンモニウムを含有するリポソームを、Bcl-2阻害化合物(例えば、式(II)又は式(I)の化合物)と接触させる工程を含む方法により調製できる。或いは、本発明のBcl-2阻害剤をロードしたリポソームは、膜貫通イオングラジエントを使用せずに、すなわち、直接封入により、例えば、阻害剤の濃縮水溶液の存在下でリポソームを形成し、それによって、薬液をリポソームの内部水性空間中に隔離することにより;脂質と添加した薬物の混合物からリポソームを形成し、それによって、薬物をリポソーム脂質膜中に封入することにより、又はリポソームと薬物をインキュベーションし、それによって、薬物の一部を、ミセル相からリポソーム膜中に分散させることにより、調製できる。
リポソームは、リポソームを含有する硫酸アンモニウムの形成、続いて、硫酸アンモニウムがリポソームから排出されるにつれ、Bcl-2阻害化合物をリポソーム中へロードすることを含む、複数の工程で調製できる。第1の工程は、リポソーム脂質を、硫酸アンモニウムの溶液中に水和及び分散させることにより、リポソームを含有する硫酸アンモニウムを形成する工程を含み得る。これは、例えば、DSPC及びコレステロールを含む脂質を加熱したエタノール中に溶解すること、及び、リポソーム脂質の転移温度(Tm)を超える温度、例えば、60℃以上にて、硫酸アンモニウム水溶液中に溶解し、加熱した脂質溶液に分散させることにより行われ得る。脂質分散体は、定義されている孔径、例えば100nmを有するトラックエッチングしたポリカーボネート膜を通した押出により、平均径75〜125nm(例えば80〜120nm、又はいくつかの実施形態では、90〜115nm)を有するリポソーム中へと形成できる。硫酸アンモニウム溶液は、約0.25Mの濃度、並びに分散及び押出工程中にリポソームのリン脂質の許容できない分解を防止するよう選択されたpH(例えば、約5.2〜5.3)(pHは、例えば、これらの工程中に、リポソームのリン脂質の分解を最小化するよう選択される)を有し得る。次いで、封入されていない硫酸アンモニウムは、例えば透析、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換又は限外濾過により、イリノテカンの被包前に、リポソーム分散体から除去できる。生じたBcl-2阻害化合物のリポソームは、式(I)又は式(II)のBcl-2阻害化合物の硫酸塩を含有できる。これらのBcl-2阻害剤リポソームは、十分なBcl-2阻害化合物をリポソーム中にロードして、生じたリポソーム組成物中のアンモニウムの量を、例えば、mg/mL/月単位、又は単位時間にわたるPCのlyso-PCへの変換%、例として、mol%lyso-PC/月で測定して、4℃にて180日後に、lyso-PCの形成は、所定の最高レベル未満になり、又は、冷蔵庫で約4℃にて、若しくはより一般的には、5±3℃にて保存中の、lyso-PCの蓄積率は、リポソーム組成物中において所定の最高レベル未満になるレベルまで減少させることにより安定化できる。次に、ロードするプロセス中にリポソームから外部媒体へと交換されたアンモニウムは、典型的には、任意の封入されていないBcl-2阻害化合物とともに、リポソームから、任意の適切な公知の方法により(例えば、ゲルクロマトグラフィー、透析、透析濾過、イオン交換又は限外濾過により)除去される。リポソーム外部媒体は、望ましいpHで緩衝した注入可能な等張流体(例えば塩化ナトリウムの等張液)と交換できる。
本明細書で開示されているBcl-2阻害化合物を被包するリポソームは、好ましくは、アポトーシス促進性タンパク質(Bid、Bim、Bad、Bak、Bax、Noxa等)のタンパク質間相互作用(PPI)を、抗アポトーシスタンパク質(Bcl-2ファミリー:Bcl-2、Bcl-XL、Mcl-1等)で妨害して、細胞アポトーシス(内因性アポトーシス経路)を引き起こし、疎水性が高い柔軟な接触面(タンパク質/タンパク質)に結合し、かつ/又は約1000高い分子量を有する。リポソームは、単剤又は併用療法(化学剤を用いる)として使用できる。
特に、好ましいリポソームは、被包されたBcl-2阻害化合物の遊離(非被包されていない)形態と比較して、(血小板減少の可能性を低下させるために)血小板中への大きな分布を抑制したPEG化リポソーム製剤である。
新規なBcl-2阻害化合物は、Table 3(表10)で一覧表示されている式(I)の化合物を含む、実施例1のアッセイを使用して同定した。あるBcl-2阻害化合物の細胞活性を細胞株に対して測定した。
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を例示する。後続する実施例及び調製物は、当業者に、本発明のこれらの及び他の実施形態をより明確に理解し、実践できるようにするために示される。これらは、本発明の範囲を限定すると考えられるべきではなく、その例示及び代表に過ぎないと考えられるべきである。
以下の構造のBcl-XL特異的阻害剤:
Figure 2019501225
(本明細書では「コンパレーターF」と呼ばれる)は、血小板減少を誘導するための優良なツール化合物として使用した。in vivoでの血小板数は、ターゲットエンゲージメントの目安として使用できる。
実施例及び明細書は、本明細書で開示されている本発明のある実施形態の実例を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている式(I)及び式(II)の化合物を含む、新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物が開示されている。本明細書で示されている式(I)及び(II)の化合物の例により、本明細書の実施例8等に記載されているものに加えて、式(I)又は式(II)の範囲内の、以下を含む多数の追加のBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を同定できるようになる:(a)追加の式(I)の化合物(式中、RはC又はヘテロ原子(例えばN)であり、R1は、Bcl-2及びBcl-XLのそれぞれに対して、100nM未満のIC50値(実施例1のアッセイにより以下で測定されるように)を示すように選択されるアミン(例えば、少なくとも約7.0、好ましくは約8.0〜10.5、最も好ましくは約9.0〜10.0のpKaを有するアルキル置換アミン)を含む部分である);並びに、(b)追加の式(II)の化合物(式中、R'は、C又はヘテロ原子(例えばN)であり、R1'は、Bcl-2及びBcl-XLのそれぞれに対して100nM未満のIC50値(実施例1のアッセイにより以下で測定されるように)を示すように選択されるアミン(例えば、少なくとも約7.0、好ましくは約8.0〜10.5及び最も好ましくは約9.0〜10.0のpKaを有するアルキル置換アミン)を含む部分である)。
他の実施形態では、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物を被包するリポソームが示され、リポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物は、実施例1のアッセイを使用して約<1〜100nMまでのIC50値により測定されるBcl-2及びBcl-XLのそれぞれに対する活性を有する。一部の実施例では、リポソームは、本明細書で開示されている新規なBcl-2/Bcl-XL阻害化合物(例えば、式(I)及び式(II)のBcl-2/Bcl-XL阻害化合物)を被包する。他の実施例では、リポソームは、本明細書で開示されているBcl-2/Bcl-XL阻害コンパレーター化合物を被包する。
Bcl-2/Bcl-XL阻害剤リポソームは、実施例5に記載されているように、被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の放出を延長する。更に、本明細書で開示されているBcl-2/Bcl-XL阻害剤リポソームを調製して、本明細書で開示されているマウスモデルにおいて、癌を処置するためのヒト試験の臨床候補として、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物を進歩させるために、許容できるレベルに血小板減少の発生率を低下させることができる。例えば、本明細書で開示されているように、リポソームに被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害剤をマウスモデルに対して投与すると、投与後3日間にわたりPLTの減少が引き起こされ、この減少は、被包されていないBcl-2/Bcl-XL阻害剤の引き起こすPLT減少より少ない。好ましくは、リポソームに被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害剤は、以下の実施例6及び7に記載されている試験のいずれか1つにおいてマウスに注入した後で、少なくとも約21日間、約400PLT/マイクロリットルを下回るPLTレベルの減少を引き起こさない(好ましくは約500PLT/マイクロリットルを下回らず、最も好ましくは約600PLT/マイクロリットルを下回らない)。
(実施例1)
Bcl-2、Bcl-XL及びMcl-1に対する標的活性の決定
Bcl-2、Bcl-XL及び/又はMcl-1で阻害活性を有する化合物は、実施例1のアッセイを使用して同定できる。Bcl-2、Bcl-XL及びMcl-1を標的とする化合物の活性は、実施例1のアッセイを使用して決定した。別段指示がない限り、Bcl-2、Bcl-XL及びMcl-1に対する化合物の活性は、以下のTR-FRETベースアッセイを使用して決定した。
Bcl-2、Bcl-XL及びMCL-1に特異的な合成ペプチドは、購入してもよく、又は別の方法で、カスタムペプチド合成により得てもよい。GST-タグ付加Bcl-2、Bcl-XL及びMcl-1断片に対する合成遺伝子を得てもよい。タンパク質は、精製してもよく、アッセイの開発に使用してもよい。
材料:
・Bcl-2(aa 1-207)、大腸菌(E. coli)で発現、RBC社カスタム製品
・Bcl-XL(aa 1-209)、大腸菌で発現、RBC社カスタム製品
・Mcl-1(aa 171-327)、大腸菌で発現、RBC社カスタム製品
・カスタムペプチド:すべてTufts University Core facilityにより生成された
・fBak Ac-GQVGRQLAIIGDK(5,6-FAM)-INR-NH2
・fBad Ac-NLWAAQRYGRELRRMSDK(5,6-FAM)-FVD-NH2
・fNoxa(6-FAM)-GELEVEFATQLRRFGDKLNF-NH2
・HTRF試薬:MAb抗GST-Tbクリプテート61GSTTLA(CisBio社)
A.タンパク質生成の要約
Bcl-2、Bcl-XL及びMCL-1タンパク質の断片を、C末端GSTタグで設計した。タンパク質生成及び精製の要約は、以下に示されている。詳述されているプロトコールが、工程のいずれかで必要とされるケースでは、別々に示される。
Figure 2019501225
Figure 2019501225
Figure 2019501225
B.アッセイ緩衝液
このアッセイ開発の主要な目的は、Tao, Z.-F.ら、Apoptosis-inducing agents for the treatment of cancer and immune and autoimmune diseases、2011年、Abbott Laboratoriesに記載されているアッセイの設定を徹底して模倣することであった。特許での実験情報の量は限定されるため、その作業に関連する公報を、緩衝液を選択するための参考文献として使用した。主要緩衝液のチョイスとして緩衝液1を選択し、緩衝液2を似た代用物として使用される。
緩衝液1:100mMリン酸カリウム、pH7.5;50mM NaCl;1mM EDTA;0.01%NP40(Zhang, H.ら、Anal Biochem、2002年、307(1):70〜5頁及びLeverson、J.D.ら、Cell Death Dis、2015年、6:e1590頁を参照されたい)。
緩衝液2:20mMトリス、pH7.5;50mM NaCl;0.01%NP40(Du、Y.ら、Assay Drug Dev. Technol、2011年、9(4):382〜93頁を参照されたい)
C.ペプチド選択
Figure 2019501225
D.固定されたタンパク質濃度でのf-ペプチド滴定
シグナルウインドウを評価するために、f-ペプチド滴定を行い、最適なペプチド濃度を選択し、公表されたペプチド濃度が、社内で生成したタンパク質及びカスタム合成ペプチドを用いた使用のための、望ましい濃度範囲内であるか否かを確認する。Mcl-1/Noxaも緩衝液2中で試験し、同一の挙動(示されていないデータ)を示した。図18A、図18B、図18C及び図18Dは、複数のタンパク質濃度での蛍光性ペプチド滴定を示すグラフである。
E.固定されたペプチド濃度でのタンパク質滴定
ペプチド滴定の結果に基づき、タンパク質を:C1=〜Kd及びC2≧Kd(100nM、公表したアッセイペプチド濃度)のペプチド濃度で滴定した。シグナルウインドウを最大化するために、より高い濃度のペプチドを更なる実験に向けて選択した。すべての例で、選択されたペプチド濃度は、準飽和であった。図19A、図19B、図19C及び図19Dは、2つのf-ペプチド濃度でのタンパク質滴定を示すグラフである。
タンパク質滴定は、正確な親和定数の評価を得るために、ペプチドの範囲を拡大して繰り返した。図20A、図20B、図20C及び図20Dは、単一のf-ペプチド濃度での、タンパク質滴定の拡大した範囲を示すグラフである(タンパク質/ペプチドペア濃度についての以下の表を参照されたい)。
F.時間に対するシグナル安定性
HTRF技術により、シグナルに対する悪影響なしで、複数のプレート読み取りが可能となる。最適なインキュベーション時間を確立するために、プレートを30分ごとに2.5時間スキャンした。時間に応じてのシグナル安定性は、以下に示されている。読み取り前に、アッセイにおいて最大シグナルを達成するために、少なくとも30分のインキュベーションが必要とされる。Bcl-2/fbakは、インキュベーションを延長するとシグナルが最大の低下を示すが、他のペアはさほど影響を受けない。60分のインキュベーションは、すべてのタンパク質/ペプチドペアで許容できると考えられる。図21A、図21B、図21C及び図21Dは、経時的なシグナル安定性を示すグラフである。
G.最終アッセイ条件における対照化合物でのプローブペプチドの置換
対照化合物による蛍光性ペプチドの置換を、緩衝液1で試験した。タンパク質及びペプチド濃度は、Table 2(表2)で示されている通りである。化合物を100%DMSO中で順次希釈し、ECHO(Labcyte社)を使用して各化合物濃度15nLをタンパク質溶液に加えた。15分のプレインキュベーションに続いて、ペプチドをアッセイウェルに添加し、混合物を更に15分インキュベートしてから、抗GST-Tb mAbを添加した。プレートを30分ごとに2.5時間読み取った。約60分のインキュベーションからのデータを、EC50の決定に使用した。EC50プロットは、以下(図22A、図22B、図22C、図22D、図22E及び図22F)に示されている。Mcl-1/fbakペアは、Mcl-1/fNoxaに類似した挙動を示した。Mcl-1/fNoxaに対するEC50プロットを示す。データを、以下に要約する(Table 2B(表7))。
Figure 2019501225
H.最終アッセイ条件
以下の最終アッセイ条件(Table 2C(表8)及びTable 2D(表9)に記載されている)を使用した。
Figure 2019501225
Figure 2019501225
上記実施例1のアッセイを使用して、Table 3(表10)で一覧表示されている化合物に対して、以下の標的活性を測定した:
Figure 2019501225
(実施例2)
選択された細胞株に対する式(I)及び式(II)の化合物の細胞活性
図1Cは、薬物と24時間インキュベートし、続いて洗浄し、更に72時間インキュベートした多発性骨髄腫細胞における細胞の生存能力に対し、化合物で測定したIC50値の表(Table 3A)である。式(I)の化合物に対するIC50値は、図1Aのグラフにプロットする。式(II)の化合物に対するIC50値は、図1Bのグラフにプロットする。
培養/処理条件:
in vitroの有効性研究は、Corning社Cat#3707 384ウェル白色クリアボトムプレートを用いたCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega社)を使用して行った。384ウェルフォーマットに細胞を播種し(細胞1000個/ウェル)、37℃にて24時間インキュベートした。単剤療法薬物を24時間の時点で添加し、次いで、37℃にて24時間インキュベートした。48時間の時点で、又は適切な時点で、培地における薬物を除去し、PBSで洗浄し、新しい培地を添加した。次いで、細胞を37℃にて72時間インキュベートした。組合せを研究するために、細胞をドセタキセルに24時間曝露し、次いで、ドセタキセルを除去し、細胞を第2の化合物(Bcl-2阻害剤)に24時間曝露した。細胞を新しい培地において更に48時間培養した。120時間の時点で、培地を除去し、CellTiter-Glo(CTG)試薬を添加した(PBSと1:1の比)。照度計(Envision Multilabelリーダー)を使用して、プレートを読み取った。
データ分析:
データは、Matlab(Mathworks社、Natick MA)を使用して開発した社内のアルゴリズムを使用して分析した。要約すれば、蛍光値を意味する平均CTGは、4つの同一種類ウェルで算定した。異常値の検出は、変動係数(CV>20%)を算定することにより行い、異常値を平均から除去した。CTG値を対照の非処理ウェルに基づいて標準化した。マイクロモル(μM)単位の薬物濃度は、4つのパラメーターのロジスティック曲線に適合させる前にlog変換した。
Figure 2019501225
(式中、C:薬物濃度、y:標準化したCTG値、a:上部の漸近線(最大細胞殺傷を表す)、b:下部の漸近線(0.8〜1.2に制約される)、IC50、スロープ:ロジスティック曲線のスロープ。)
データ品質のコントロールは、濃度の範囲が以下のルールによれば理想的であることを保証するために行った:(1)最低濃度が、細胞の70%超を殺す場合、濃度範囲は強力すぎるとみなされる、(2)最高濃度が、細胞の30%未満を殺す場合、濃度範囲は低いとみなされる、又は、細胞株の耐性は高すぎる。更に、R2及びR2<0.9を使用して評価される適合の良好さは、良好ではない適合と警告される。JMP(SAS Institute Inc.社、NC)を使用して統計解析を行い、p<0.05は有意とした。
(実施例3)
ドセタキセルと組み合わせた用量応答
図2A〜図2Dは、3つの異なる濃度で、コンパレーターC、化合物6、化合物2又はコンパレーターEと組み合わせた場合の、MDA-MB231乳癌細胞におけるドセタキセル(DTX)の用量応答を示すグラフである。
これは、化合物2又は6の組合せが、ドセタキセルに相乗作用を与えて、それぞれの組合せで抗増殖活性を有意に改善できること、及び、この増強が、いずれの化合物でも、コンパレーターC又はEでの増強よりも強かったことを示す。最終的に、化合物2は、MDA-MB231細胞において、ドセタキセルに対して化合物6よりも高い増強効果を有することが実証されている。
培養/処理条件:
in vitro有効性研究は、Corning社Cat #3707 384ウェル白色クリアボトムプレートを用いて、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega社)を使用して行った。384ウェルフォーマットに細胞を播種し(細胞1000個/ウェル)、37℃にて24時間インキュベートした。単剤療法の薬物を24時間の時点で添加し、次いで、37℃にて24時間インキュベートする。48時間の時点で、又は適切な時点で、培地における薬物を除去し、PBSで洗浄し、新しい培地を添加した。次いで、細胞を37℃にて72時間インキュベートした。組合せを研究するために、細胞をドセタキセルに24時間曝露し、次いで、ドセタキセルを除去し、細胞を第2の化合物(Bcl-2阻害剤)に24時間曝露した。細胞を新しい培地において更に48時間培養した。120時間の時点で、培地を除去し、CellTiter-Glo(CTG)試薬を添加した(PBSと1:1の比)。照度計(Envision Multilabelリーダー)を使用して、プレートを読み取った。
データ分析:
データは、Matlab(Mathworks社、Natick MA)を使用して開発した社内のアルゴリズムを使用して分析した。要約すれば、蛍光値を意味する平均CTGは、4つの同一種類ウェルで算定した。異常値の検出は、変動係数(CV>20%)を算定することにより行い、異常値を平均から除去した。CTG値を対照の非処理ウェルに基づいて標準化した。マイクロモル(μM)単位の薬物濃度は、4つのパラメーターのロジスティック曲線に適合させる前にlog変換した。
Figure 2019501225
(式中、C:薬物濃度、y:標準化したCTG値、a:上部の漸近線(最大細胞殺傷を表す)、b:下部の漸近線(0.8〜1.2に制約される)、IC50、スロープ:ロジスティック曲線のスロープ。)
データ品質のコントロールは、濃度の範囲が以下のルールによれば理想的であることを保証するために行った:(1)最低濃度が、細胞の70%超を殺す場合、濃度範囲は強力すぎるとみなされる(2)最高濃度が、細胞の30%未満を殺す場合、濃度範囲は低いとみなされる、又は、細胞株の耐性は高すぎる。更に、R2及びR2<0.9を使用して評価される適合の良好さは、良好ではない適合と警告される。JMP(SAS Institute Inc.社、NC)を使用して統計解析を行い、p<0.05は有意とした。
(実施例4)
リポソーム調製物
(実施例4-L1)
化合物6ジメシレートの保存水溶液。
粉末形態の遊離塩基化合物6(68.7mg、0.0743mmol)を、0.1485ml(0.1485mmol)の1Nメタンスルホン酸水溶液と完全に混合した。生じたオレンジ色ケーキに、2mlの蒸留水を添加し、65℃の水浴で断続的に1〜2分加熱しながら撹拌し、約32mg/mlの化合物6を有する透明溶液が得られるまで、2サイクルの音波浴処理(5〜10秒)を施した。1.29mlの蒸留水を添加することにより、溶液を20mg/mlの化合物6(遊離塩基として)に調整し、0.45ミクロンのポリフッ化ビニリデン(PVDF)シリンジフィルターを通過させた。溶液は、pH2.80を有していた。
化合物5、化合物7、化合物8、並びに化合物1、化合物2、化合物3及び化合物4のストック溶液(20mg/ml)を、同様の手段で、ジメシレートの形態で得た。体積の調整(薬物の20mg/ml)前に、化合物1は約89mg/mlで、及び化合物5は約75mg/mlで、ジメシレート塩の透明水溶液が形成されたことを観察した。
(実施例4-L2)
「遊離」化合物6の注入溶液。
15ml試験管中で、6.92mlの蒸留水、1.1mlの50%デキストロースUSP、0.33mlの1M 4-ヒドロキシエチルピペラジノエタンスルホネート(HEPES)-Na緩衝液、pH7.0及び1.65mlの20mg/ml化合物6をボルテックスすることにより混合し、0.2ミクロンのポリエーテルスルホン(PES)シリンジフィルターを無菌通過させた。薬物を、70%イソプロパノール水溶液-0.1N HCl(1OD単位-0.0334mg/ml化合物6遊離塩基)中において、分光測光法により308nmでアッセイした。実測3.307±0.056mg/ml(理論100.2%)、pH5.83。
(実施例4-L3)
硫酸アンモニウムグラジエント、52mgスケールを使用する化合物6のPEG化リポソームへの製剤。
ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC;Lipoid GMBH社、Germany;1002.4mg)、コレステロール「高純度」(Chol;Dishman社、China;327.3mg)及びPEG(2000)-ジステアロイルグリセロール(PEGDSG;Sunbright GS-020、NOF社、Japan;334mg)を密閉ガラスバイアル中で、2.5mlの100%エタノール(Sigma社、USA、分子生物学グレード)と合わせ、脂質が完全に溶解するまで70℃の水浴で加熱した。脂質成分の標的モル比は、DSPC:Chol:PEGDSG 3:2:0.3であった。脂質のエタノール溶液を、67.8℃に予熱した22.8gの0.25M硫酸アンモニウム、pH5.27に素早く添加し、激しく撹拌し、70℃の水浴で撹拌し続けて、約50mMリン脂質として多重膜リポソーム(MLV)の懸濁液を形成した。MLV懸濁液は、Lipexサーモバレル押出機(Northern Lipids社、Canada)を使用して、水を70℃にて循環させながら、4×100nm及び1×200nmのトラックエッチングポリカーボネートフィルター(Whatman社Nuclepore、USA)の積層を通して3回押し出した。押し出されたリポソームを室温に到達させ、0.2ミクロンPES無菌フィルターを通過させた。粒径は、Malvern社Zeta-sizer Nanoを使用してDLSにより決定した;平均リポソーム径(Xz、キュムラント法による)は100.2nm、多分散性指数(PdI)0.036であった。
押し出したリポソームは、溶離液として蒸留水中で、Sephadex G-25(GE Healthcare社、USA)カラム上でクロマトグラフにかけた。リポソームを含有する空孔体積分画を収集し、リン脂質濃度を酸分解-ホスホモリブデンブルーの分光光度法により、25.3mMと決定した。50mlガラスフラスコ中で、バーで撹拌しながら、15.7mlのSephadex後のリポソームを、5.06mlの50%デキストロースUSP(最終的に88.4mg/mlデキストロース)、2.38mlの蒸留水(体積調整のため)、0.26mlの1Mモルホリノエタンスルホン酸(MES)-NaOH緩衝液pH5.2(最終的に10mM MES)及び2.6mlの20mg/ml化合物6ビス-メシレート溶液(実施例4-L1に従って調製した)と合わせ、最終的に2mg/mlの薬物及び130.9g/molの薬物/リン脂質比とした。薬物-リポソーム混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で22分加熱し、氷で冷やした。イオン強度(IS)は、0.9mlの3M NaClストック溶液を添加することにより0.1M NaClに調整した。IS-調整したローディング混合物(pH4.86)は、1M HEPES-Na緩衝液、pH7.0、合計0.25ml、最終pH5.62までで滴定し、無菌0.2ミクロンPESシリンジフィルターを通過させた。濾過し、pH及びイオン強度を調整したローディング混合物を、カラムクロマトグラフィーにより、5mM HEPES-Na、144mM NaCl、pH6.5緩衝液(HBS-6.5)を溶出に使用する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)上で、被包されていない薬物から精製した。薬物をロードしたリポソームを含有する空孔体積分画を合わせ、透析濾過により、中空繊維カートリッジ(C02-E500-10-N、Spectrum社、USA)を通して、手作業で約3倍に濃縮した。リポソーム径Xz=108.7nm、PdI 0.028、薬物濃度(実施例4-L2で決定されている)3.34mg/ml;薬物/リン脂質比139.5±2.6g/mol(定量的ローディング)。
(実施例4-L4)
血清アルブミンを用いた化合物6リポソームの処理。
濃縮した化合物6リポソームは、以下のように血清アルブミンで処理した。ウシ血清アルブミン(BSA;A7906、Aldrich社、USA)を、0.85%NaCl水溶液に溶解して、5%(w/w)溶液を得、溶液を0.2ミクロンシリンジ無菌フィルターを通過させた。BSA溶液の1体積部を化合物6リポソームの4体積部に添加して、最終的にBSA 10mg/mlに到達させ、混合物を37℃にて50分撹拌した。リポソームは、Sepharose CL-4Bカラムクロマトグラフィーを使用して、BSAから精製し、被包されていない薬物を除去するために、本質的には上に記載したように中空繊維カートリッジ上で濃縮し、0.2ミクロンPES無菌フィルターを無菌通過させた。アルブミンで処理し、濃縮し、フィルターで滅菌したリポソームは、3.87mg/mlの被包された化合物6、136.7±0.8g/molの薬物/リン脂質比、平均リポソーム径Xz=109.6nm、PdI0.027であった。最後の濃縮工程からの透析濾過液は、分光光度法で、遊離薬物(308nm)及び残留遊離アルブミン(280nm)に対して、アッセイを行った。実測した遊離化合物6 0.0065mg/ml(0.17%)、残留アルブミン0.056mg/mlであった。アルブミンでの処理は、リポソーム関連薬物のごくわずかな損失(2.0%)しか引き起こさず、これは、薬物/リン脂質比アッセイの誤差の範囲内である。
(実施例4-L5)
硫酸アンモニウムグラジエント、2mgスケールを使用した、化合物6のPEG化リポソームへの製剤。
予備的in vivo試験では、実施例4-L3のプロトコールを、約125g/molの薬物/リン脂質比で、濃縮工程を省略して、2mgのスケールの薬物で行った(1mlのリポソームローディング混合物)。ロード後の混合物(pH4.82)を、Sepharose CL-4Bサイズ排除クロマトグラフィーの精製工程の前に、pH5.61に調整した。ローディング工程に続いて、IS-及びpH調整したローディング混合物の1ml部を、10mlのSepharose CL-4Bで満たしたPD-10カラム(GE Healthcare社、USA)上に適用した。リポソーム分画は、3.0から4.5mlの間で収集されたが、遊離薬物分画は、5.5mlの溶出体積で現れる天然のミセルであった(ミセルの体積平均直径約8〜15nm)。合わせたリポソーム分画は、0.2ミクロンのPESシリンジフィルターを通した経路により滅菌し、粒径、薬物及びリン脂質濃度について分析した。実測したキュムラント平均リポソーム径Xz=106.8nm、PdI 0.034、体積平均リポソーム径Dv=101.6nm、薬物濃度1.15mg/ml、リン脂質濃度8.38mM、薬物/リン脂質比137.2g/mol(定量的ローディング)。このリポソーム製剤の一部は、本質的に、実施例4-L4として記載されているようにBSAで処理するが、但し中空繊維による濃縮工程を省略する。
(実施例4-L6)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物1のPEG化リポソームへの製剤。
DSPC、コレステロール及びPEGDSGを、3:2:0.3のモル比で構成し、封入された0.25M硫酸アンモニウムを含有するリポソームは、本質的に、実施例4-L3に記載されているように調製した;Xz=100.3nm、PdI=0.067;Dv=93.2nm。リン脂質(PhL)45.0mM。押し出されたリポソームは、溶離液として蒸留水中で、Sephadex G-25(GE Healthcare社、USA)カラム上でクロマトグラフにかけた。リポソームを含有する空孔体積分画を収集し、リン脂質濃度を27.1mMと決定した。12×75ガラス管で、バーで撹拌しながら、0.295mlのSephadex後のリポソームを、0.097mlの50%デキストロースUSP(最終的に88.4mg/mlデキストロース)、0.052mlの蒸留水(体積調整のため)、0.005mlの1Mモルホリノエタンスルホン酸(MES)-NaOH緩衝液、pH5.2(最終的に10mM MES)及び0.05mlの20mg/ml化合物1ビス-メシレート溶液(実施例4-L1に従って調製した)と合わせ、最終的に2mg/mlの薬物及び125g/molの薬物/リン脂質比とした。薬物-リポソーム混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で20分加熱し、氷で冷やした。イオン強度(IS)を、0.0175mlの3M NaClストック溶液を添加することにより0.1M NaClに調整した。IS-調整したローディング混合物(pH4.30)を、カラムクロマトグラフィーにより、5mM HEPES-Na、144mM NaCl、pH6.5緩衝液(HBS-6.5)を溶出に使用する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)上で、被包されていない薬物から精製した。リポソーム径Xz=121.9nm、PdI=0.086、Dv=118.0nm;薬物濃度0.57mg/ml;薬物/リン脂質比96.1±0.4g/mol(ローディング効率76.9%)。ローディング効率(LE)は、被包され、添加された薬物の百分率と定義され、以下:LE=DL/DL0*100%(式中、DL0は、被包されていない薬物を除去する前の薬物/リン脂質比であり、DLは、被包されていない薬物から精製したリポソーム中の薬物/リン脂質比である)のように計算される。
(実施例4-L7)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物5のPEG化リポソームへの製剤。
実施例4-L6のプロトコールに続いて、化合物5を被包したが、但し、1Mモルホリノエタンスルホン酸(MES)-NaOH緩衝液、pH5.2の量を0.01ml(最終的に20mM MES)に増加させた。IS-調整したローディング混合物(pH3.90)を、カラムクロマトグラフィーにより、5mM HEPES-Na、144mM NaCl、pH6.5緩衝液(HBS-6.5)を溶出に使用する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)上で、被包されていない薬物から精製した。リポソーム径Xz=102.2nm、PdI=0.033、Dv=95.9nm;薬物濃度0.57mg/ml;薬物/リン脂質比109.4±1.2g/mol(ローディング効率87.5%)。
(実施例4-L8)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、PEG化リポソームへの化合物4の製剤。
実施例4-L6のプロトコールに続いて、化合物4を被包したが、但し、1Mモルホリノエタンスルホン酸(MES)-NaOH緩衝液、pH5.2の量を0.01ml(最終的に20mM MES)に増加させた。IS-調整したローディング混合物(pH4.70)を、カラムクロマトグラフィーにより、5mM HEPES-Na、144mM NaCl、pH6.5緩衝液(HBS-6.5)を溶出に使用する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)上で、被包されていない薬物から精製した。リポソーム径Xz=183.4nm、PdI=0.208、Dv=234.2nm;薬物濃度0.51mg/ml;薬物/リン脂質比111.5±0.7g/mol(ローディング効率89.2%)。
(実施例4-L9)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物7のPEG化リポソームへの製剤。
実施例4-L6のプロトコールに続いて、化合物7を被包したが、但し、Sepharose CL-4Bクロマトグラフィーの前に、IS-調整したローディング混合物(pH4.75)を、0.005mlの1M HEPES-Na緩衝液、pH7で、pH5.50に更に調整した。リポソーム径Xz=106.7nm、PdI=0.021、Dv=101.3nm;薬物濃度0.82mg/ml;薬物/リン脂質比131.5±1.1g/mol(定量的ローディング)。
(実施例4-L10)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物8のPEG化リポソームへの製剤。
DSPC、コレステロール、PEGDSG及び蛍光脂質標識DiIC18(3)-DS(Molecular probes社、USA)を、それぞれ3:2:0.3:0.0015のモル比で構成し、封入された0.25M硫酸アンモニウムを含有するリポソームは、本質的に、実施例4-L3に記載されているように調製したが、但し、計算量のDiIC18(3)-DSを、ジメチルアセトアミド中の25mg/mlストック溶液として、他の脂質のエタノール溶液に添加した。Sephadex G-25カラム上で、封入されていない硫酸アンモニウムを除去した後で、リポソームPhL濃度は23.6mMであった。12×75ガラス管で、バーで撹拌しながら、0.678mlのSephadex後のリポソームを、0.195mlの50%デキストロースUSP(最終的に88.4mg/mlデキストロース)、0.017mlの蒸留水(体積調整のため)、0.01mlの1M MES-NaOH緩衝液、pH5.2(最終的に10mM MES)及び0.1mlの20mg/ml化合物8ビス-メシレート溶液(実施例4-L1に従って調製した)と合わせ、最終的に2mg/mlの薬物及び125g/molの薬物/リン脂質比とした。薬物-リポソーム混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で23分加熱し、氷で冷やした。イオン強度(IS)を、0.035mlの3M NaClを添加することにより、0.1M NaClに調整した。IS-調整したローディング混合物(pH4.86)を、カラムクロマトグラフィーにより、HBS-6.5緩衝液を溶出に使用する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)上で、被包されていない薬物から精製した。リポソーム径Xz=104.4nm、PdI=0.022、Dv=98.6nm;薬物濃度1.13mg/ml;薬物/リン脂質比134.5±1.8g/mol(定量的ローディング)。
(実施例4-L11)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物2のPEG化リポソームへの製剤。
DSPC、コレステロール、PEGDSG及び蛍光脂質標識DiIC18(3)-DS(Molecular probes社、USA)を、それぞれ3:2:0.3:0.0015のモル比で構成し、封入された0.25M硫酸アンモニウムを含有するリポソームを、実施例4-L10のように調製した。封入されていない硫酸アンモニウムをSephadex G-25カラム上で除去した後で、リポソームPhL濃度は25.3mMであった。12×75ガラス管で、バーで撹拌しながら、0.316mlのSephadex後のリポソームを、0.097mlの50%デキストロースUSP(最終的に88.4mg/mlデキストロース)、0.031mlの蒸留水(体積調整のため)、0.005mlの1M MES-NaOH緩衝液、pH5.2(最終的に10mM MES)、及び0.05mlの20mg/ml化合物2ビス-メシレート溶液(実施例4-L1に従って調製した)と合わせ、最終的に、2mg/mlの薬物及び125g/molの薬物/リン脂質比とした。薬物-リポソーム混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で20分加熱し、氷で冷やした。イオン強度(IS)を、0.0172mlの3M NaClを添加することにより、0.1M NaClに調整した。IS-調整したローディング混合物を、およそ300mgの乾燥イオン交換樹脂Dowex 1×8-200とCl型で撹拌し、リポソームを、カラムクロマトグラフィーにより、5mM MES-NaOH、140mM NaCl、pH5.26(MBS-5.2緩衝液)で溶出する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)上で、0.2マイクロmポリエーテルスルホンシリンジフィルターを通過させて、被包されていない薬物から精製した。リポソーム径Xz=152.7nm、PdI=0.125、Dv=164.4nm;薬物濃度0.35mg/ml;薬物/リン脂質比70.0±0.3g/mol(ローディング効率56.0%)。
(実施例4-L12)
トリエチルアンモニウムスクロースオクタスルフェートグラジエントを使用した、化合物1のPEG化リポソームへの製剤
カリウムスクロースオクタスルフェートを、水に溶解し、Dowex 50W×8 100〜200メッシュのイオン交換カラム、H+-型を通過させて、スクロースオクタ硫酸の溶液を約1Nの濃度で得る。溶液は、純トリエチルアミンを用いてpH6.5に滴定し、0.43N(0.05375M)スクロースオクタスルフェートに希釈して、トリエチルアンモニウムスクロースオクタスルフェート(TEA-SOS)溶液を作った。水添ダイズホスファチジルコリン(HSPC、Lipoid社、Germany)、コレステロール、PEGDSG及びDiIC18(3)を、HSPC:Chol:PEGDSG:DiIC18(3)-DSを、3:2:0.15:0.003のモル比で、100%エタノール(各1gの合計脂質に対して1.43ml)と合わせ、密閉バイアル中において、70℃の水浴で、完全に溶解するまで加熱した。DiIC18(3)-DSを、25mg/mlストック溶液として、ジメチルアセトアミド中に添加した。脂質溶液は、68℃の水浴で65℃超に予熱した撹拌TEA-SOS溶液に添加して、最終的に約60mMのリン脂質濃度に到達させた。得られた懸濁液の多重膜小胞は、68℃で加熱し、圧力450psiのLipex thermobarrel押出機(Northern Lipids社、Canada)で、4枚の100nm及び2枚の200nmトラックエッチングポリカーボネートフィルター(Whatman社Nuclepore)の積層を通して2回押し出した。押し出されたリポソームを、室温に冷却し、0.2マイクロm Acrodisc HTシリンジフィルター(Pall社)で濾過した;リポソーム径Xz=104.4nm、PdI=0.024、リン脂質濃度47.2mM。リポソームは、水中において、ゲルクロマトグラフィーにより、Sepharose CL-4Bで、封入されていないTEA-SOSから精製した;被包されていないTEA-SOSの排除は、リポソームを含有する空孔体積分画中での伝導率の測定(1マイクロS/cm以下)により立証した。精製した後で、TEA-SOSリポソームは、26.4mMのリン脂質濃度を有していた。体積0.316mlの精製したTEA-SOSリポソームを、0.11mlの50%デキストロースUSP(最終的に50mg/mlデキストロース)、0.324mlの蒸留水(体積調整のため)、0.25mlの20mg/mL化合物1(実施例4-L1)と混合し、最終的に5mg/ml薬物及び薬物/リン脂質比600g/mol及び0.007mlの1M MES-NaOH緩衝液、pH5.2から最終pH3.78とした。混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で30分インキュベートし、氷で冷やした。2分の1mlのインキュベーション後のローディング混合物は、0.0245ml 3M NaClを添加することにより0.14M NaClに調整し、Sepharose CL-4B、溶離液HBS-6.5でクロマトグラフにかけて、被包されていない薬物を除去した。空孔体積分画として得られた薬物ロードリポソームに、0.45マイクロm及び0.2マイクロmポリエーテルスルホンシリンジフィルターを通過させた。リポソーム径Xz=194nm、PdI=0.052、薬物濃度1.84mg/ml;薬物/リン脂質比586.7±8.3g/mol(ローディング効率97.8%)。
(実施例4-L13)
様々な薬物-脂質比で0.25M硫酸トリエチルアンモニウムグラジエントを使用した、化合物8のPEG化リポソームへの製剤。
硫酸トリエチルアンモニウムの溶液は、計算量の2N硫酸(体積基準)を純トリエチルアミンでpH6.0〜6.5に中和することにより調製し、中和溶液を蒸留水で0.25Mの最終硫酸トリエチルアンモニウム濃度に希釈した。0.25M硫酸トリエチルアンモニウムを封入したリポソームは、本質的に、実施例4-L3に記載されているように調製したが、但し、DSPC:Chol:PEGDSGのモル比は3:2:0.18であり、0.25M硫酸アンモニウムの代わりに0.25M硫酸トリエチルアンモニウム溶液を使用し、押出工程が、ポリカーボネートフィルター積層の通過を4回含んでいた。押し出されたリポソームは、水中において、クロマトグラフィーにより、Sephadex G-25で被包されていない硫酸トリエチルアンモニウムから精製され、24.1mMのリン脂質を有していた。様々な量の硫酸トリエチルアンモニウムリポソームを、88.4mg/mlデキストロース及び10mM MES-NaOH緩衝液(1M MESでpH5.2)の存在下で、2mg/mlの最終薬物濃度において、化合物8ジメシレート溶液(実施例4-L1)と合わせて、200、300、400及び600g/molの薬物/リン脂質比を得た。薬物-リポソーム混合物のpHは、1M NaOHでpH5.3〜5.4に慎重に調整し、混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で20分インキュベートし、氷で冷やした、3M NaClを0.1Mの最終NaCl濃度になるまで添加した。リポソームは、Sepharose CL-4Bのカラムクロマトグラフィーにより、溶離液HBS-6.5上で、被包されていない薬物から精製した。得られた化合物8リポソームの特性は、Table 4(表11)に要約されている:
Figure 2019501225
(実施例4-L14)
様々な薬物-脂質比で0.35M硫酸トリエチルアンモニウムグラジエントを使用した、化合物8のPEG化リポソームへの製剤。
硫酸トリエチルアンモニウムの溶液は、計算量の2N硫酸(体積基準)を純トリエチルアミンでpH6.0〜6.5で中和することにより調製され、中和溶液を蒸留水で0.35Mの最終硫酸トリエチルアンモニウム濃度に希釈した。様々な薬物/リン脂質比のリポソームは、実施例4-L13のように調製したが、但し、硫酸トリエチルアンモニウム溶液の濃度は0.35Mであった。精製した薬物ロードリポソームの特性は、Table 4A(表12)に要約されている:
Figure 2019501225
(実施例4-L15)
アンモニウムグラジエントなしでの、化合物8のPEG化リポソームへの製剤。
DSPC、コレステロール及びPEGDSGのリポソームは、実施例4-L13に従って調製したが、但し、0.25M硫酸トリエチルアンモニウムの代わりに、塩化ナトリウムの0.85%溶液を使用した。押し出されたリポソームは、600g/molの薬物/リン脂質比で、実施例4-L13に記載されているのと同じ手法で、化合物8とインキュベートした。Sepharose CL-4Bカラム上でリポソーム外の薬物を除去した後、リポソームは、以下の特性を有していた:Xz=263.7nm、PdI=0.230、薬物濃度0.12mg/ml、薬物/リン脂質比85.7g/mol(被包効率14.3%)。
(実施例4-L16)
化合物8の、イオン性PEG-脂質誘導体及び0.25M硫酸アンモニウムを含有するPEG化リポソームへの製剤
0.25M硫酸アンモニウムを含有する、HSPC、コレステロール及びN-メトキシ-PEG(2000)-オキシカルボニル-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEGDSPE)を、モル比3:2:0.3とする、100nmの押し出されたリポソームを、Sephadex G-25カラム(溶離水)上で、封入されていない硫酸アンモニウムから精製し、88.4mg/mlデキストロース、10mM MES-Na(1M MESでpH5.2)中の2mg/ml化合物8及び100g/molの薬物/リン脂質比、pH4.40の存在下で、68℃の水浴で撹拌しながら24分インキュベートした。生じたリポソームを、氷で冷やし、3M NaClストック溶液を添加することにより0.1M NaClに調整し、クロマトグラフィーにより、Sepharose CL-4Bカラム、溶離液HBS-6.5上で、被包されていない薬物から精製した。精製工程を再度繰り返し、薬物-ロードリポソームを含有する空孔体積分画を、薬物及びリン脂質含有量について分析した。ロードし、精製したリポソームにおける薬物/リン脂質比は、68.5g/mol又は精製前の値の68.5%(被包効率68.5%)であった。
(実施例4-L17)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物コンパレーターBのPEG化リポソームへの製剤。
図23は、遊離及びリポソーム化合物6(製剤1)の10mg/mgでの効果を比較する研究から得られたデータを示し、これにより、リポソーム薬物は、血小板減少効果をさほど有さないことが示される。商業的に得られた化合物コンパレーターB(Selleck Chemicals社)を、2当量の1Mメタンスルホン酸と混合し、蒸留水を添加して、10mg/mlのコンパレーターBに到達させ、懸濁液を、65℃の水浴で断続的に温めながらかき混ぜ、薬物の大半が溶解されるまで超音波浴で短く音波処理した。溶液を0.2ミクロンポリエーテルスルホンフィルターを通過させ、濾液(8.96mg/ml)中の薬物濃度を、分光測光法により決定した(実施例4-L2を参照のこと)、DMSO中の10mg/mlコンパレーターB溶液の希釈物を標準として使用して;308nmで1ODは、0.0308mg/mlのコンパレーターBに相当すると見出した。薬物は、本質的に、実施例4-L5に記載されているように、DSPC、コレステロール及びPEG(2000)DSGをリポソーム中にロードしたが、但し、成分のアリコートを計算して、65℃のインキュベーション工程前に、最終濃度1.9〜2.0mg/mlの薬物、88.2mg/mlのデキストロース、10mM MES-NaOH緩衝液(1M MESでpH5.2)及び125、200又は300g/molの薬物/リン脂質比のリポソームリン脂質に到達させた。インキュベーション後の混合物を、0.1M NaClに調整し、pHを、1M HEPES_Na緩衝液でpH5.4〜5.5に調整した。リポソームを、Sepharoseゲルクロマトグラフィーにより、実施例4-L5のように、被包されていない薬物から精製し、精製したリポソームを、0.45ミクロンPVDFフィルターを通過させた。125g/mol製剤のみが、0.2ミクロンPESフィルターを部分的に通過可能であったが、他の2つはそうではなかった。リポソームは以下の性質を有していた(Table 4B(表13)):
Figure 2019501225
(実施例4-L18)
硫酸アンモニウムグラジエントを使用した、化合物2の、コレステロールを含有せず、酸性リン脂質を用いたPEG化リポソームへの製剤。
DSPC、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG Na-塩、Avanti Polar Lipids社、AL、USA)、PEGDSPE及び蛍光脂質標識DiIC18(3)-DS(Molecular probes社、USA)を、2:1:0.2:0.002のモル比で、クロロホルム-メタノール混合物中に同時に溶解し、溶液を60℃にて真空中で蒸発乾固させる。脂質残渣を、100%エタノール中に溶解し、0.25M硫酸アンモニウムと混合し、加工して、実施例4-L3に記載されているようにリポソームを形成したが、但し、ポリカーボネート積層膜を通過させた回数は5回であった。脱イオン水で溶出するSephadex G-25カラム上で、封入されていない硫酸アンモニウムを除去した後で、リポソーム(12.8mMリン脂質、Xz=96.1nm、PdI=0.066)を、50%デキストロースUSPと合わせて、最終的に50mg/mlデキストロースに到達させ、34.8mg/ml化合物2ビス-メシレートストック溶液(実施例4-L1に記載されているように調製した)と混合して、150、225又は300g/molの薬物/リン脂質比(薬物の遊離塩基含有量について計算した)に到達させた。薬物-リポソーム混合物に、1Mモルホリノエタンスルホン酸(MES)-NaOH緩衝液(pH5.2)を、10mMの最終MES濃度になるまで添加し、混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で30分加熱し、氷で冷やした。ロードしたリポソームを、クロマトグラフィーにより、5%デキストロース水溶液で溶出する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)カラム上で、被包されていない薬物から精製した。リポソーム(カラムの空孔体積で溶出した)のイオン強度(IS)を、3M NaClで0.1M NaClに調整し、pHは、1M HEPES-NaOH緩衝液、pH7.3を10mM HEPESに添加することにより7.0に調整した。pH-及びIS-調整したリポソームは、0.2マイクロmポリエーテルスルホンシリンジフィルターを通過させた。リポソームは、以下の特性を有していた:
Figure 2019501225
とりわけ、また、想定外なことに、コレステロールなしで、酸性リン脂質(DSPG)を用いて調製したリポソームは、硫酸アンモニウムグラジエント方法による、化合物2のきわめて有効なローディング(>90%ローディング)を示した一方、リポソームのPEG化のため、PEGDSGの代わりにイオン性PEG-脂質誘導体(PEGDSGE)を使用したにもかかわらず、225g/molの薬物/リン脂質比まで、小さく(z-平均粒径97〜100nm)、狭いサイズ分散(PdI<0.1)の平均リポソーム径が維持された。これは、実施例4-L11の結果とは対照的に、酸性リン脂質なしでコレステロールを含有するリポソームは、125g/molの薬物/リン脂質比で、化合物2で中等度のローディング効率(56%)、152.7nmのより大きい粒径及びより広いサイズ分散(PdI=0.125)しか示さなかった。
(実施例4-L19)
トリエチルアンモニウムスクロースオクタスルフェートグラジエントを使用した、化合物2のコレステロールを含まず、酸性リン脂質を伴うPEG化リポソームへの製剤。
TEA-SOSの溶液は、実施例4-L12に記載されているように調製したが、但し、TEA-SOSの濃度は0.46N(0.0575M)であった。DSPC、DSPG、PEGDSPE及びDiIC18(3)-DSを、2:1:0.2:0.002のモル比で、クロロホルム-メタノール混合物中に同時に溶解し、溶液を60℃にて真空中で蒸発乾固させる。脂質残渣を、100%エタノール中に溶解し、0.46N TEA-SOSと混合し、加工して、実施例4-L17に記載されているようにリポソームを形成した。封入されていないTEA-SOSを、リポソーム溶出液の伝導率が12マイクロS/cm未満になるまで、Sepharose CL-4Bカラム上で、5%デキストロース水溶液で溶出するクロマトグラフィーを繰り返すことにより除去した。溶出したリポソーム(13.7mMリン脂質、Xz=88.7nm、PdI=0.003)を、34.8mg/ml化合物2ビス-メシレートストック溶液(実施例4-L1に記載されているように調製した)と混合して、150、200、250又は300g/molの薬物/リン脂質比(薬物の遊離塩基含有量について計算した)に到達させた。薬物-リポソーム混合物(pH5.15〜5.23、緩衝液は添加せず)を撹拌しながら、68℃の水浴で30分加熱し、氷で冷やした。ロードしたリポソームを、クロマトグラフィーにより、5%デキストロース水溶液で溶出する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)カラム上で、被包されていない薬物から精製した。リポソーム(カラムの空孔体積で溶出した)のイオン強度(IS)を、3M NaClで0.1M NaClに調整し、pHは、1M HEPES-NaOH緩衝液、pH7.3を、10mM HEPESに添加することにより、7.0に調整した。150及び200g/molの薬物/リン脂質比で調製したpH-及びIS-調整したリポソームは、0.2マイクロmポリエーテルスルホンシリンジフィルターを通過させた。250及び300g/molの薬物/リン脂質比で調製したリポソームは、0.2マイクロmポリエーテルスルホンシリンジフィルターを通過せず、その状態で特徴付けられる。リポソームは以下の特性を有していた:
Figure 2019501225
(実施例4-L20)
様々な濃度のTEA-SOSでトリエチルアンモニウムスクロースオクタスルフェートグラジエントを使用した、化合物2の、酸性リン脂質を伴う、コレステロールを含まないPEG化リポソームへの製剤。
0.43N、0.65N及び1.083Nの濃度を有するTEA-SOSの溶液を、実施例4-L12に記載されているように調製した。DSPC、DSPG、PEGDSPE及びDiIC18(3)-DSを、2:1:0.2:0.003のモル比で、クロロホルム-メタノール混合物中に同時に溶解し、溶液を3部に分け、60℃にて真空中で蒸発乾固した。脂質残渣を100%エタノール中に溶解し、0.43N、0.65N又は1.083NのTEA-SOSと混合し、加工して、実施例4-L17に記載されているようにリポソームを形成した(ポリカーボネート積層膜を4回通過させた)。封入されていないTEA-SOSを、リポソーム溶出液の伝導率が13マイクロS/cm未満になるまで、5.1%、7.8%又は14.0%デキストロース水溶液でそれぞれ溶出するSepharose CL-4Bカラム上で、クロマトグラフィーを繰り返すことにより除去した。溶出したリポソーム(11.7〜14.3mMリン脂質、Xz 87.6-92.4nm、PdI 0.049〜0.076)を、37.4mg/ml化合物2ビスメシレートストック溶液(実施例4-L1に記載されているように調製した)と混合して、150又は300g/molの薬物/リン脂質比(薬物の遊離塩基含有量について計算した)に到達させた。薬物-リポソーム混合物を撹拌しながら、65℃の水浴で30分加熱し、氷で冷やした。ロードしたリポソームを、クロマトグラフィーにより、それぞれ5.1%、7.8%又は14.0%デキストロース水溶液で溶出する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)カラム上で、被包されていない薬物から精製した。150g/molの薬物/リン脂質比で調製したリポソームは、0.2マイクロmポリエーテルスルホンシリンジフィルターを通過させた。300g/molの薬物/リン脂質比で調製したリポソームは、0.2マイクロmポリエーテルスルホン(PES)シリンジフィルターを通過させず、その状態で特徴付けた。リポソームは以下の特性を有していた:
Figure 2019501225
(実施例4-L21)
トリエチルアンモニウムスクロースオクタスルフェートグラジエントを使用した、化合物2の、様々な量の酸性リン脂質を伴う、コレステロールを含まないPEG化リポソームへの製剤。
TEA-SOS(0.43N)の溶液を、実施例4-L12に記載されているように調製した。DSPC、DSPG、PEGDSPE及びDiIC18(3)-DSを、2.4:0.6:0.2:0.003(「20mol.%DSPG」)、2.7:0.3:0.2:0.003(「10mol.%DSPG」)及び2.85:0.15:0.2:0.003(「5mol.%DSPG」)のモル比でクロロホルム-メタノール混合物中に同時に溶解した。また、PEGDSPEの代わりにPEGDSGを同一のモル量で含有する10mol.%DSPGで脂質組成物を調製した。溶液を60℃にて真空中で蒸発乾固させた。脂質残渣を100%エタノール中で溶解し、0.43N TEA-SOSと混合し、加工して、リポソームを、実施例4-L17に記載されているように形成した。封入されていないTEA-SOSは、リポソーム溶出液の伝導率が25マイクロS/cm未満になるまで、5%デキストロース水溶液で溶出するSepharose CL-4Bカラム上で、クロマトグラフィーを繰り返すことにより除去した。溶出したリポソーム(23.5〜25.0mMリン脂質)を、40.3mg/ml化合物2ビス-メシレートストック溶液(実施例4-L1に記載されているように調製した)と混合して、150g/molの薬物/リン脂質比(薬物遊離塩基の含有量に対して計算した)に到達させた。薬物-リポソーム混合物(pH4.5〜5.4、緩衝液を添加せず)を撹拌しながら、65℃の水浴で30分加熱し、氷で冷やした。ロードしたリポソームは、被包されていない薬物から、クロマトグラフィーにより、5%デキストロース水溶液で溶出する10×体積のSepharose CL-4B(GE Healthcare社、USA)のカラム上で精製した。溶出したリポソームは、0.2マイクロmPESシリンジフィルターを通過させた。リポソームは、以下の特性を有していた:
Figure 2019501225
(実施例4-L22)
化合物2の、膜に封入された形態で薬物を含有するリポソームへの製剤。
本発明の化合物は、比較的疎水性であるため、リポソームの二層膜内に含有されるように、すなわち、以下の一般的なプロトコールにより膜に封入された形態で製剤できる。薬物(例えば、化合物2)は、クロロホルム-メタノール混合物(体積に対して1:1)中に、10〜50mg/mlの濃度で溶解し、イソプロパノール(Sigma-Aldrich社、USA)中の計算量の1.25M HCl溶液を添加することによりジヒドロクロリド塩を形成した。溶液を、クロロホルム中に溶解したリポソーム脂質に添加し、任意選択でメタノールを添加し、薬物-脂質溶液を、真空中で40〜60℃にて蒸発乾固させた。乾燥脂質ケーキを、100%エタノール中で溶解して、70〜75℃にてほぼ50%(w/w)溶液を形成し、この温度で、10体積の予熱した5mM HEPES-NaOH緩衝液、144mM NaCl、pH6.5(HBS-6.5緩衝液)と混合した。薬物-脂質懸濁液は、実施例4-L3に記載されているようにポリカーボネート膜を通して押し出した。押し出されたリポソーム懸濁液に、10mM HEPES-NaOH、140mM NaCl緩衝液、pH7.25(HBS-7.25緩衝液)で溶出するSepharose CL-4Bカラムを通過させて、リポソームを、リポソーム(例えばミセル)外の薬物から精製した。精製したリポソームは、0.2マイクロm(例えば、PES)フィルターを通して通過させることにより滅菌した。化合物2を含有する以下のリポソームは、膜に封入された形態で調製した:
Figure 2019501225
すべての脂質組成物は、0.2mol部のPEGDSPE及び0.002mol部のDiIC18(3)-DSも含んでいた。Chol:コレステロール。DL比-薬物/リン脂質比。
(実施例4-L23)
様々なアニオン性脂質の存在下での、化合物2の、膜に封入された形態で薬物を含有するリポソームへの製剤。
化合物2(1mol部)、DSPC(2mol部)、PEG2000DSPE(0.2mol部)、DiIC18(3)-DS(0.002mol部)及び1mol部アニオン性脂質コレステリルヘミスクシネート(CHEMS、Sigma-Aldrich社、USA)、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA Na塩、Avanti Polar Lipids社、USA)、又は硫酸コレステリル(CHSO4、Na塩、Avanti Polar Lipids社、USA)を含有するリポソームを、実施例4-L22に従って調製した。Sepharoseで精製し、0.2マイクロmに濾過したリポソームは、以下の特性を有していた:
Figure 2019501225
(実施例5)
新規なリポソームBcl-2/Bcl-XL阻害剤の血液薬物動態
Bcl-2阻害化合物6のリポソーム製剤(製剤#1、BSA処理なし、及び製剤#2、BSA処理されている)を、実施例4-L5に記載されているように調製した。遊離薬物の注入溶液は、実施例4-L2に従って調製した。リポソーム及び遊離薬物は、3匹の6週齢メスCD-1マウス(Charles River)(体重約25g)に、薬物15mg/kg又は10mg/kgの用量でそれぞれ静脈投与した。血液試料を、伏在静脈からの出血により、0.08、0.25、1.5、4、8、24及び48時間(注入後、p.i.)の時点での、リチウムヘパリン管中に収集した。血漿を、10000rpmで5分の遠心分離により、細胞分画から分離した。薬物は、血漿試料を、200μlのメタノール中の1%酸性酸(1%Ac/MeOH)と、-80℃にて少なくとも2時間インキュベートすることにより抽出した。血漿タンパク質を、15000rpmで20分の遠心分離により沈降させた。次いで75μlの上澄みをHPLCバイアル(Thermo Scientific社、Cat# C4011-LV1)に移し、追加の75μlの1%Ac/MeOHを添加した。薬物含有量を、2回測定した各試料に対してHPLCにより分析した。データは、時間単位の注入後時間に対してプロットした血漿中の薬物濃度として表現した(図3)。PKパラメーターは、薬物動態データ分析パッケージ「PK Solutions」(Summit Research Services社、CO、USA)を使用して、各マウス個体に対して計算され、各処理群に対する平均値がTable 5(表20)において提示されている。
化合物6の2つのリポソーム製剤の薬物動態学的プロファイルを、遊離薬物のものと比較した。図3で示されているように、Bcl-2阻害剤のリポソーム製剤は、遊離(被包されていない)薬物と比較して優れたin vivo循環時間を実証する。血漿半減期は、遊離薬物の0.35時間からリポソームに被包された薬物の11.1時間に改善した(Table 5(表20))。
Figure 2019501225
好ましくは、リポソームは、血液からのBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の血液クリアランス速度を低下させるよう、かつ/又は、血漿中のリポソームからのBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の放出を抑制するように製剤する。一態様では、リポソームは、図3及び実施例5に記載されているように、マウス血漿中において、Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物の濃度の上昇に有効な条件下で、アルブミン(例えば、BSA)と少なくとも4時間、及び好ましくは少なくとも48時間にわたって接触させる。
リポソーム薬物のPK性質の更なる改善は、BSAを用いた薬物ロードリポソーム(製剤#2)の前処理により達成した。図3で示されているように、BSAで処理した化合物6ロードリポソーム(製剤#2)の注入後における血漿中の薬物濃度は、BSA処理なしのリポソーム(製剤#2)と比較して、長期間にわたって有意に高かった。この観察は、注入後約1.5から4時間の間まで続く初期の迅速なクリアランス期に関連していた。製剤#1は、注入後に、最初の15分で、注入した用量の約55%が減少したのに対し、製剤#2では0.1%であった。したがって、BSA前処理は、初期の迅速な血液からのクリアランス、及び/又は初期の迅速なリポソームからの薬物放出に関してBcl-2阻害剤のリポソーム製剤を安定化させ、それによりin vivoでのPK性質を良好にした。
理論に束縛されないが、アルブミンでの処理は、リポソーム二層膜の外葉に結合したままの一部の阻害剤の除去に役立ち得ること、及び、血液と接触すると、リポソーム内部からの薬物漏出を促進し、又は、リポソームのオプソニン化を促進し、リポソームクリアランスを迅速にする膜の欠損を潜在的に生み出すことが示唆される。血清アルブミンによるBcl-2阻害剤の隔離が記録されている(Vogler Mら、Blood、第117巻、7145〜7154頁、2011年)。
(実施例6)
Bcl-2/Bcl-XL阻害剤の血小板減少活性に対するリポソームの被包の効果
血小板数が減ることである血小板減少は、血小板に対する毒性に関連するBcl-2阻害剤を用いた患者の処置の危険な副作用であることが知られている。Bcl-2阻害化合物6をリポソームに被包することによる、マウスにおける血小板減少活性に対する効果を評価した。第1の研究では、5〜6週齢メスCD-1マウス(Charles River)に、遊離又はリポソーム化合物6(製剤#1)を10mg/kgの用量、10mg/kgの単回用量で静脈内注入した。血液試料(50〜100μL)を、伏在静脈からの出血により、注入後0(注入前)、6、24、48及び72時間で、EDTA二カリウム塩(SARSTEDT lot#4072801)とマイクロ採取管中に採った。対照群では、マウスに緩衝生理食塩水の注入を施し、血液を収集し、同様に加工した。血小板は、血液採取直後に、Veterinary Hematology System「Hemavet 950」(The Americas Drew Scientific Inc社、Oxford、CT)を使用して計数した。品質コントロールは、MULTI-TROL対照イヌ血液試料(Drew Scientific社)を使用して行った。図23で示されているように、遊離薬物群において、平均血小板数は、細胞900,00〜1,100,000個/マイクロLの処理前の値から、注入後6時間で細胞約250,000個/マイクロLに下落し、注入後24時間でほぼ同一の値に留まった一方、リポソーム群では、最初の下落は有意に顕著ではなく:6時間で細胞約550,000個/マイクロL(遊離対リポソーム薬物、p=0.015)となり、血小板数は、24時間で細胞約900,000個/マイクロL(遊離対リポソーム薬物、p=0.005)、すなわち、未処理対照の範囲内であった。注入後48及び72時間で、血小板数は、両方の群で、処理前の範囲(細胞約1,000,000個/マイクロL)(図23)であった。したがって、Bcl-2阻害化合物6をリポソームに被包すると、血小板減少活性の有意な低下が引き起こされた。この結果は、血小板によるリポソームの多量のエンドサイトーシスについて、以前に報告されているデータ(Male R.、Vannier W.E、Baldeschwieler J.D.、Proc. Natl Acad. Sci. USA、第89巻、9191〜9195頁、1992年)からの予想に反しており、血小板毒性薬物(thrombocytotoxic drug)をリポソームに被包すると、血小板に対する有害作用を増強させ、低減させないことが示唆されていた;しかし、驚いたことに、本発明のリポソームに関しては当てはまらないことを証明した。
第2の研究では、本発明のリポソーム製剤の血小板減少活性に対する、アルブミン処理の効果を比較した。BSA-処理なし(製剤#1)の、又はBSA-処理した(製剤#2)化合物6リポソームは、マウスに、15mg/kgの用量で、静脈内で注入し、血液を採り、本質的に、(上記)第1の研究と同じように分析した。図4に示されている結果から、アルブミンでの処理により、リポソームのBcl-2阻害剤の血小板減少の効果が更に低下したことが実証された。アルブミン処理により、リポソームBcl-2阻害剤の薬物動態における最初の初期血液クリアランス期もなくなると仮定すると、理論に束縛されないが、アルブミンでの処理により、注入直後における、被包された薬物の一部の迅速な放出が防止され、血小板の遊離(放出された)阻害剤への曝露は更に減少することが示唆される。
第3の研究では、遊離及び本発明のリポソームBcl-2阻害剤の血小板減少の効果を、様々な用量の薬物での複数の注入設定で比較した。メスCD-1マウス3群に、リポソームBcl-2阻害化合物6(製剤#2)又は遊離(被包されていない)化合物6の尾静脈注入を、10、18及び32.5mg薬物/kgの用量で、7日間の間隔で4回施した。血液試料を(上記)第1の研究に記載されているように収集し、加工した。更に、処理に関連した毒性を評価するために、動物を毎日秤量した。結果を、図5A、図5B及び図5C、並びに図6A、図6B及び図6Cで示す。すべての用量レベルで、初期の注入後の血小板数の下落は、遊離薬物群では有意に更に顕著であった(典型的には細胞200,000〜400,000個/マイクロL)が、一方、リポソーム群では、血小板数は、細胞400,000個超/マイクロL、典型的には細胞500,000個/マイクロL以上に留まり、前処理した値では細胞700,000〜800,000個/マイクロLであった。血小板毒性に対して、遊離又はリポソーム阻害剤処理群では、明らかな蓄積効果はなかった。したがって、リポソーム中でのBcl-2阻害剤の製剤は、適用された用量の全範囲(図6A、図6B及び図6C)で、遊離薬物と比較して、血小板の生存率に対する薬物の悪影響を強く改善した。10mg/kg及び32.5mg/kgのリポソーム薬物投与群における動物は、遊離薬物群における動物と比較して増殖の遅れを示し、これにより、リポソームを被包することで、薬物の血小板に関連しているいくつかの生理学的効果が増強され得ることが示唆される;しかし、最高用量のリポソーム薬物を受ける群における単一のデータ点を除いて、体重減少はいずれの群でも観察されず(図5A、図5B及び図5C)、これにより、すべての処理は十分忍容性であったことが指し示される。
(実施例7)
マウスにおける遊離(被包されていない)化合物2及び化合物6の血小板減少性活性の比較。
化合物2又は化合物6は、水中にジメシレート塩(実施例4-L1を参照されたい)として溶解し、更に5%デキストロースUSP中に希釈し、pHを1M HEPES 緩衝液で約pH=6に調整した。薬液を0.2ミクロンNalgene(商標)13mmシリンジフィルターで滅菌した。溶液中の薬物濃度を、HPLCにより決定した。5〜6週齢メスCD-1マウス(Charles River)に、遊離(被包されていない)化合物2又は化合物6を単回ボーラスにより、1、2又は5mg/kgで、尾静脈を経由して静脈内注入した。血液試料(50〜100μL)は、0、6、24、48及び72時間の時点で伏在静脈からの出血により、EDTA二カリウム塩(SARSTEDT社、lot#4072801)で予め満たした管に収集した。血小板は、Veterinary Hematology System「Hemavet 950」(The Americas Drew Scientific Inc社、Oxford、CT)を使用して血液採取の直後に計数した。品質コントロールは、MULTI-TROL対照イヌ血液試料(Drew Scientific Inc社、lot#600066)を使用して行った。
図7A、図7B及び図7Cで示されているように、化合物2は、化合物6と比較して、血小板に対してより活性であり、わずか薬物1〜2mg/kgの用量でさえ、重度の血小板減少を引き起こす。図7A、図7B及び図7Cに言及すると、時間「-1」で得られた第1のデータ点は、それぞれ特定の試験化合物を注入する1日前に採られた血液から得られたバックグラウンド測定であった。各曲線に対する第2のデータ点は、各実験において、試験化合物のマウスへの注入から6時間後に得られた。(これは、図4で得られたデータと異なり、血液のバックグラウンド読み取りを試験製剤1及び2を投与してから6時間後の、注入後最初の血液読み取りと同日に行った)。図4に言及すると、時間0での測定は、試験リポソーム製剤1及び2を注入する前に行った血液のバックグラウンド試験を表す。6時間での測定は、時間0で行われる血液のバックグラウンド読み取りと同日に、試験リポソーム製剤1及び2を注入してから6時間後に行った。(これは、図7A、図7B及び図7Cで示されているデータを得る方法と異なり、バックグラウンド読み取りは、試験化合物を投与する前の日に、各グラフにおいて、時間「-1」として指し示され、各曲線における次のデータ点は、バックグラウンド読み取りが得られた後の日に、試験化合物を投与してから6時間後に得られた。)
(実施例8)
中間体及び化合物の合成
中間体4、13、18、20の合成は、文献(Cheol-Min Parkら、J. Med. Chem. 2008年、第51巻、6902〜6915頁及びその参考文献)に従って達成した。
Figure 2019501225
酢酸エチル(200mL)中の1(30.0g、112.3mmol)の懸濁液に、SOCl2(80mL)を室温にて滴下添加した。添加が完了した後で、混合物を室温にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をエーテル/ヘキサン(100mL/100mL)中に懸濁し、2時間撹拌した。懸濁溶液を濾過し、中間体2(26.1g、93%)を白色固体として得た。
Figure 2019501225
THF(150mL)中のNaBH4(4.76g、125mmol)の混合物に、0℃にて、THF(150mL)中の中間体2(26.0g、104mmol)の懸濁液を、2時間で添加した。次いで、混合物を、0℃にて1時間撹拌し、室温に温め、室温にて3時間撹拌した。混合物をHCl(濃縮)でpH=2〜3に酸性化し、濃縮して、有機溶媒を除去した。水(300mL)を添加し、得られた溶媒をEt2O(150mL×4)で抽出した。有機層を合わせ、濃縮乾固し、これを、更なる精製を一切せずに、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
3の粗製の残渣に、トルエン(150mL)及びp-TsOH(150mg)を添加した。混合物は、ディーンスターク装置を備えて、6時間還流させた。溶媒を真空で除去し、Et2O(200mL)を添加した。混合物を室温にて2時間撹拌し、次いで濾過して、4(2工程で18.9g、77%)を白色固体として得た。
Figure 2019501225
THF(80mL)中の中間体4(4.8g、20.4mmol)の溶液に、a(3.2g、20.4mmol)を添加し、溶液を室温にて終夜撹拌した。反応の完了後、溶媒を真空で除去して、中間体5a(7.2g、100%)を黄色油状物として得、これを、更なる精製を一切せずに、次の反応に使用した。
Figure 2019501225
粗製物5a(6.7g、17.1mmol)をトルエンに溶解し、Bu3P(7.0g、34.2mmol)、PhSSPh(5.6g、25.7mmol)を添加した。混合物溶液を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=5/1で溶出した)して、中間体6a(6.8g、82%)を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
HOAc(21mL)中の中間体6a(6.8g、14.1mmol)の溶液に、HBr(7mL)を添加し、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣7a(4.7g、96%)を、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
THF(25mL)中の7a(3.0g、8.6mmol)の溶液に、BH3/THF(1.0M、17.2mL)を添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。添加が完了した後で、MeOH(5mL)をゆっくり添加して、反応をクエンチし、次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣をMeOH(25mL)及びHCl(3mL)に再溶解した。混合物を4時間還流させた。溶媒を濃縮して、8a(3.9g、100%)を黄色固体として得、これを、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
THF(80mL)中の中間体(7.0g、30.0mmol)の溶液にb(4.7g、30.0mmol)を添加し、溶液を室温にて終夜撹拌した。反応の完了後、溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=2/1)して、中間体5b(7.3g、63%)を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
粗中間体5b(7.0g、17.9mmol)をトルエンに溶解し、Bu3P(7.2g、35.8mmol)、PhSSPh(5.9g、26.9mmol)を添加した。混合物溶液を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=4/1で溶出した)して、中間体6b(6.5g、75%)を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
HOAc(21mL)中の中間体6b(6.5g、13.5mmol)の溶液に、HBr(7mL)を添加し、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣7b(4.5g、96%)を、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
THF(25mL)中の7b(3.0g、8.6mmol)の溶液に、BH3/THF(1.0M、17.2mL)を添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。添加が完了した後で、MeOH(5mL)にゆっくり添加して、反応をクエンチし、次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣をMeOH(25mL)及びHCl(3mL)に再溶解した。混合物を4時間還流した。溶媒を濃縮して、中間体8b(4.0g、100%)を白色固体として得、これを、次の工程に直接使用した。MS(M+H)+336.4
Figure 2019501225
THF(100mL)中の中間体4(6.5g、27.7mmol)の溶液に、中間体c(3.6g、27.7mmol)を添加し、溶液を室温にて終夜撹拌した。反応の完了後、溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=3/1)して、中間体5c(7.2g、72%)を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
粗中間体5c(7.2g、19.8mmol)をトルエンに溶解し、Bu3P(8.0g、39.6mmol)、PhSSPh(6.5g、29.7mmol)を添加した。混合物溶液を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=4/1で溶出した)して、中間体6c(6.7g、74%)を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
HOAc(21mL)中の中間体6c(6.7g、14.7mmol)の溶液に、HBr(7mL)を添加し、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣7c(2.9g、62%)を、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
THF(25mL)中の中間体7c(0.9g、2.8mmol)の溶液に、BH3/THF(1.0M、5.6mL)を添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。添加が完了した後で、MeOH(5mL)をゆっくり添加して、反応をクエンチし、次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣をMeOH(25mL)及びHCl(3mL)中で再度溶解した。混合物を4時間還流させた。溶媒を濃縮して、8c(1.0g、100%)を白色固体として得、これを、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
THF(60mL)中の中間体4(6.5g、27.7mmol)の溶液に、d(5.0g、27.7mmol)を添加し、溶液を室温にて終夜撹拌した。反応の完了後、溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=1/1)して、中間体5d(7.6g、66%)を黄色油状物として得た。MS(M+H)+419.4
Figure 2019501225
粗中間体5d(7.6g、18.2mmol)をトルエンに溶解し、Bu3P(7.4g、36.4mmol)、PhSSPh(6.0g、27.3mmol)を添加した。混合物溶液を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をクロマトグラフィーカラムにより精製(PE/EA=2/1で溶出した)して、中間体6d(7.4g、80%)を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
HOAc(21mL)中の中間体6d(7.4g、14.5mmol)の溶液に、HBr(7mL)を添加し、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。次いで、溶媒を減圧で除去し、中間体7d(4.5g、82%)の残渣を、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
THF(25mL)中の7d(4.5g、12.0mmol)の溶液に、BH3/THF(1.0M、24mL)を添加した、混合物を室温にて終夜撹拌した。添加が完了した後で、MeOH(5mL)をゆっくり添加して、反応をクエンチし、次いで、溶媒を減圧で除去し、残渣をMeOH(25mL)及びHCl(3mL)中で再溶解した。混合物を4時間還流させた。溶媒を濃縮して、中間体8d(2.6g、60%)を白色固体として得、これを、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
DMSO(400mL)中の中間体4(40.0g、238.1mmol)の混合物に、ピペラジン(82.0g、953.5mmol)を添加した。混合物を120℃にて終夜撹拌し、室温に冷却した後で、混合物を水(50mL)中に注いだ。固体を濾過により収集して、中間体10(35.0g、90%)を白色固体として得た。
Figure 2019501225
ジクロロエタン(100mL)中の中間体10(10.0g、54.3mmol)の溶液に、R10-1(12.6g、54.1mmol)及び酢酸(5mL)を添加した。NaBH(OAc)3(45.8g、216.2mmol)を添加し、反応を室温にて終夜撹拌した。反応を飽和NH4Clでクエンチし、EAを添加し、溶液を飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮乾固した。残渣をPE/EA(15/1)のシリカゲルを通してフラッシュして、白色固体、中間体11(17.0g、77%)を得た。
Figure 2019501225
DME/EtOH/H2O(30mL/30mL/30mL)中の中間体11(12.0g、29.9mmol)及びR11-1(7.0g、44.9mmol)の溶液に、Na2CO3(4.0g、38.1mmol)及びPd(PPh3)2Cl2を添加した。混合物をアルゴンで3回フラッシュし、80℃にて3時間撹拌した。混合物を濃縮乾固し、残渣をシリカゲルにより精製(PE/EA=8/1で溶出した)して、中間体12(8.7g、67%)を白色固体として得た。MS(M+H)+435.2
Figure 2019501225
MeOH/THF/H2O(30mL/30mL/30mL)中の中間体12(8.0g、18.4mmol)の溶液にNaOH(2.2g、55mmol)を添加した。次いで、混合物を6時間還流させ、溶媒を真空で除去し、水(60mL)を添加し、pH値をHCl(水溶液2M)で2〜3に調整した。固体を濾過により収集し、次いで、PE(50mL)中に懸濁し、1時間撹拌し、濾過して、中間体13(6.7g、89%)を白色固体として得た。MS(M+H)+407.3
Figure 2019501225
CHCl3(150mL)中のDMF(25ml)の溶液に、0℃にて、PBr3を滴下添加した。添加した後で、混合物を10℃にゆっくり温め、次いで、70℃に加熱した。反応を30分間撹拌し、次いで、室温に冷却した。CHCl3(30mL)中の中間体14の溶液を滴下添加し、混合物を再度70℃に加熱した。90分撹拌した後で、混合物を室温に冷却し、KOAc(4M、150mL)水溶液中に添加した。pH値を、NaOH(水溶液、5M)で7に調整した。次いで、混合物をヘプタン(400mL×5)で抽出した。有機層をブライン(400mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮して、14gの中間体15を赤色油状物として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 9.85 (s, 1H), 2.7 (t, 2H), 2.01 (s, 2H), 1.46(t, 2H), 0.81 (s, 6H).
Figure 2019501225
EtOH(100mL)中のエチル4-(ピペラジン-1-イル)ベンゾエート(15.2g、64.8mmol)及び中間体15(14.0g、64.8mmol)の溶液に、NaCNBH3(4.9g、77.8mmol)を添加した。混合物をHOAcでpH=5に調整した。次いで、生じたものを室温にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲルカラムにより精製して、10.9gの中間体16を無色油状物として得た。MS(M+H)+437.1
Figure 2019501225
DME/MeOH/H2O(70mL/30mL/20mL)中の中間体16(10.9g、25mmol)及び4-クロロフェニルボロン酸(4.7g、30mmol)の溶液に、Na2CO3(3.2g、30mmol)及びPd(PPh3)4を添加した。混合物をN2で3回フラッシュし、80℃にて3時間撹拌した。混合物を濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムにより精製して、9.0gの中間体17を薄黄色油状物として得た。MS(M+H)+467.2
Figure 2019501225
ジオキサン/水(3:1、80mL)中の中間体17(8.0g、17.2mmol)の溶液に、NaOH(2.1g、51.5mmol)を添加した。次いで、混合物を18時間還流させた。溶媒を真空で除去した。水(60mL)を添加し、pH値を、HCl(水溶液、2M)で2〜3に調整した。固体を濾過により収集し、PE(50mL)中で懸濁し、再度濾過して、5.0gの中間体18を白色固体として得た。
Figure 2019501225
ClSO3H(13mL)中の1-フルオロ-2-(トリフルオロメチルスルホニル)ベンゼン19(2.0g)の溶液を、120℃にて終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、氷/水中に注いだ。生じたものをEA(50mL×3)で抽出した。有機層を水(40mL×2)及びブライン(40mL)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮して、2.5gの白色固体を得、これをイソプロパノール(70mL)に再溶解した。溶液を-60℃に冷却した。水酸化アンモニウム(11mL)を滴下添加した。-60℃にて1時間撹拌した後で、HCl(6M、8mL)を添加して、反応をクエンチした。反応混合物を室温に温め、濃縮乾固した。水(50mL)を添加し、混合物をEA(50mL×4)で抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、濃縮して、2.3gの中間体20を白色固体として得た。
Figure 2019501225
DMF(100mL)中の中間体20(2.0g)の溶液に、DIPEA(16mL)及び中間体8a(4.0g)を添加した。溶液を室温にて6時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を逆相カラムにより精製して、900mgの中間体21aを黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
DMF(100mL)中の中間体20(2.0g)の溶液に、8b(1.8g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、逆相カラムにより精製して、850mgの中間体21bを黄色固体として得た。
Figure 2019501225
DMF(100mL)中の中間体20(2.0g)の溶液に、8c(1.7g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、逆相カラムにより精製して、930mgの中間体21cを黄色固体として得た。精密質量:610.16
Figure 2019501225
DMF(100mL)中の中間体20(2.0g)の溶液に、8d(1.9g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、逆相カラムにより精製して、700mgの中間体21dを黄色固体として得た。精密質量:665.20
Figure 2019501225
DCM(30mL)中の中間体18(0.6g、1.1mmol)の溶液に、中間体21a(550mg、1.4mmol)、DMAP(0.4g、3.3mmol)、EDCI(450mg、2.2mmol)及びDIEA(700mg、4.4mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。DCM(150mL)を添加し、有機層を、水(30mL×3)及びブライン(30mL)で洗浄し、次いで濃縮乾固した。残渣を分取HPLCにより精製して、250mgの化合物1を白色固体として得た。MS(M+H)+1043; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.05 (s, 1H), 7.90(d, 1H, J=8.8 Hz), 7.70 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.15-7.5 (m, 7H),7.12 (d, 2H, J=8.0Hz), 6.76-6.85 (dd, 4H), 3.98 (m, 1H), 2.8-3.5 (m, 9H), 2.10-2.80 (m, 18H), 1.0-2.1(m, 16H), 0.98 (s, 6H).
Figure 2019501225
DCM(30mL)中の中間体18(0.6g、1.1mmol)の溶液に、中間体21b(550mg、1.4mmol)、DMAP(0.4g、3.3mmol)、EDCI(450mg、2.2mmol)及びDIEA(700mg、4.4mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。DCM(150mL)を添加し、有機層を、水(30mL×3)及びブライン(30mL)で洗浄し、次いで濃縮乾固した。残渣を分取HPLCにより精製して、350mgの化合物2を白色固体として得た。MS(M+H)+1043; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.02 (s, 1H), 7.91(d, 1H), 7.69 (d, 2H), 7.10-7.5 (m, 9H),6.6-6.9 (m, 4H), 3.98 (m, 1H), 2.8-3.4 (m, 12H), 2.6-2.8( m, 3H), 2.18-2.38 (m, 8H), 1.6-2.1(m, 8H), 1.35-1.60 (m, 4H), 1.05-1.20 (t, 6H), 0.98 (s, 6H).高分解能質量(Thermo Scientific(商標)Q Exactive(商標)ハイブリッド四重極オービトラップ質量分析計):C52H66ClF3N6O5S3+陽子2個(2*1.00728)についての計算値=1044.4041、二重荷電イオンの理論m/z:522.2021;実測:522.2020。
Figure 2019501225
DCM(30mL)中の中間体18(0.6g、1.1mmol)の溶液に、中間体21c(520mg、1.4mmol)、DMAP(0.4g、3.3mmol)、EDCI(450mg、2.2mmol)及びDIEA(700mg、4.4mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。DCM(150mL)を添加し、有機層を、水(30mL×3)及びブライン(30mL)で洗浄し、次いで濃縮乾固した。残渣を分取HPLCにより精製して、280mgの化合物3を白色固体として得た。MS(M+H)+1015; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.04 (s, 1H), 7.93(d, 1H, J=8.8), 7.71 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.20-7.4 (m, 9H),6.6-6.8 (m, 4H), 3.98 (m, 1H), 2.6-3.7 (m, 17H), 2.1-2.4( m, 8H), 1.5-2.0 (m, 8H), 1.2-1.5(m, 4H), 0.98 (s, 6H).
Figure 2019501225
DCM(30mL)中の中間体18(0.6g、1.1mmol)の溶液に、中間体21d(560mg、1.4mmol)、DMAP(0.4g、3.3mmol)、EDCI(450mg、2.2mmol)及びDIEA(700mg、4.4mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。DCM(150mL)を添加し、有機層を、水(30mL×3)及びブライン(30mL)で洗浄し、次いで濃縮乾固した。残渣を分取HPLCにより精製して、320mgの化合物4を白色固体として得た。MS(M+H)+1070; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.03 (s, 1H), 7.95(d, 1H, J=8.8 Hz), 7.68 (d, 2H, J=8.8Hz), 7.16-7.4 (m, 9H),6.7-6.9 (m, 4H), 3.98 (m, 1H), 3.0-3.4 (m, 10H), 2.1-2.9( m, 22H), 2.18-2.38 (m, 8H), 1.3-2.0(m, 10H), 0.98 (s, 6H).
Figure 2019501225
ClSO3H(25mL)中の22(4.0g、28.4mmol)の溶液を120℃にて終夜撹拌し、反応を室温に冷却し、氷水中に注いだ。次いで、生じたものをEA(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、溶媒を減圧で除去し、粗製の残渣をi-PrOHに再溶解した。溶液を-60℃に冷却した。水酸化アンモニウムを滴下添加し、この温度にて1時間撹拌し、HCl(6M、8mL)を添加して、反応をクエンチし、反応を室温に温め、濃縮乾固した。中間体23(5.1g、82%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ8.52 (dd, 1H), 8.20(dq, 1H), 7.84 (dt, 1H), 7.73(s, 2H).
Figure 2019501225
DMF(10mL)溶液に、中間体23(1.0g、4.5mmol)、中間体8a(1.8g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、分取HPLCにより精製し、中間体24a(600mg、25%)を黄色固体として得た。
Figure 2019501225
DMF(10mL)溶液に、中間体23(1.0g、4.5mmol)、中間体8b(1.8g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、分取HPLCにより精製し、中間体24b(810mg、33%)を黄色固体として得た。MS(M+H)+536.3。
Figure 2019501225
DMF(10mL)溶液に、中間体23(1.0g、4.5mmol)、中間体8c(1.7g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、分取HPLCにより精製し、中間体24c(930mg、40%)を黄色固体として得た。
Figure 2019501225
DMF(10mL)溶液に、中間体23(1.0g、4.5mmol)、中間体8d(1.9g、5.4mmol)及びDIEA(1.7g、13.5mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌した。粗生成物を、分取HPLCにより精製し、中間体24d(690mg、27%)を黄色固体として得た。
Figure 2019501225
中間体13(550mg、1.4mmol)及び中間体24a(722mg、1.4mmol)を、DCM(30mL)に溶解し、DMAP(484mg、4.0mmol)、DIEA(700mg、5.4mmol)、EDCI(516mg、2.7mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌し、溶媒を減圧で除去し、残渣を分取HPLCにより精製し、化合物5(70mg、6%)を黄色固体として得た。MS(M+H)+924; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.42 (s, 1H), 7.70-7.76(m, 3H), 7.1-7.6 (m, 14H), 6.92 (d, 1H),6.8 (d, 2H), 4.05 (m, 1H), 3.3-3.8 (m, 5H), 3.3 (m, 4H), 2.8-3.0 ( m, 4H), 2.4(m, 4H), 1.0-2.1 (t, 8H).
Figure 2019501225
中間体13(609mg、1.5mmol)及び中間体24b(500mg、1.5mmol)を、DCM(25mL)に溶解し、DMAP(545mg、4.5mmol)、DIEA(774mg、6.0mmol)及びEDCI(573mg、3.0mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌し、溶媒を減圧で除去し、残渣を分取HPLCにより精製し、化合物6(350mg、26%)を黄色固体として得た。MS(M+H)+924; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.48(s, 1H), 8.40 (d, 1H), 7.70-(dd, 3H), 7.1-7.6 (m, 14H), 6.92 (d, 1H),6.8 (d, 2H), 4.05 (m, 1H), 2.5-3.5 (m, 12H), 1.6-2.4 (m, 14H), 1.0-1.6 ( m, 10H).高分解能質量(Thermo Scientific(商標)Q Exactive(商標)ハイブリッド四重極オービトラップ質量分析計):C49H58ClN7O5S2+陽子2個(2*1.00728)=925.3775に対して計算、二重荷電イオンの理論m/z:462.6887;実測:462.6883。キラルHPLC純度:100%(Chiralcelカラム、OD-3;カラム径4.6*100mm、3μm;メタノール中0.1%DEA/CAN(1:1比)。
Figure 2019501225
中間体13(390mg、1.0mmol)及び中間体24c(514mg、1.0mmol)を、DCM(25mL)に溶解し、DMAP(351mg、2.9mmol)、DIEA(490mg、3.8mmol)及びEDCI(218mg、1.8mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌し、溶媒を減圧で除去し、残渣を分取HPLCにより精製し、化合物7(310mg、36%)を黄色固体として得た。MS(M+H)+896; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.43(s, 1H), 8.36 (d, 1H), 7.70-(dd, 3H), 7.1-7.6 (m, 14H), 6.88 (d, 1H),6.80 (d, 2H), 4.05 (m, 1H), 2.6-3.5 (m, 12H), 2.62 (s, 6H), 2.2-2.5 (m, 7H), 1.0-2.2 ( m, 9H)
Figure 2019501225
中間体13(406mg、1.0mmol)及び中間体24d(562mg、1.0mmol)を、DCM(25mL)に溶解し、DMAP(363mg、3.0mmol)、DIEA(516mg、4.0mmol)及びEDCI(382mg、2.0mmol)を添加し、次いで、混合物溶液を室温にて終夜撹拌し、溶媒を減圧で除去し、残渣を分取HPLCにより精製し、化合物8(405mg、43%)を黄色固体として得た。MS(M+H)+951; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 8.43(s, 1H), 8.36 (d, 1H), 7.70-(dd, 3H), 7.1-7.6 (m, 14H), 6.88 (d, 1H), 6.80 (d, 2H), 4.05 (m, 1H), 3.0-3.6 (m, 10H), 2.2-2.8 (m, 10H), 1.0-2.1 ( m, 7H).
化合物9及び化合物10は、本明細書で開示されている他の化合物と同様の工程により合成できる。
Figure 2019501225
THF(100mL)中の中間体4(12.0g、51mmol)の溶液に、ジエチルアミン(20mL)を添加した。溶液を、封管中で130℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去して、13.0gの無色油状物を得た。トルエン(120mL)中の上記油状物の溶液に、Bu3P(18g、89mmol)及びPhSSPh(14g、64mmol)を連続して添加した。混合物を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣をシリカゲルカラムにより精製して、10gの中間体5eを褐色油状物として得た。
Figure 2019501225
HOAc(50mL)中の中間体5e(8.0g)の溶液に、HOAc中のHBrの溶液(33%、20mL)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を逆相カラムにより精製して、4.5gの褐色油状物を得た。
Figure 2019501225
THF(50mL)中の中間体6e(3.0g、11.3mmol)の溶液に、THF中のBH3の溶液(1M、45mL)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。MeOH(5mL)を添加して、反応をクエンチした。混合物を濃縮乾固した。次いで、MeOH(40mL)及びHCl(濃縮、40mL)を添加した。混合物を4時間還流させ、次いで濃縮乾固して、3.2gの中間体7eを黄色油状物として得、これを、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
DMF(100mL)中の中間体20(2.0g)の溶液に、DIPEA(16mL)及び中間体6b(4.0g)を添加した。溶液を室温にて6時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を逆相カラムにより精製して、900mgの28を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
DCM(30mL)中の中間体28(1.2g、2.2mmol)の溶液に、中間体18(1.1g、2.7mmol)、DMAP(0.8g、6.6mmol)及びEDCI(0.9g、4.4mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。DCM(150mL)を添加し、有機層を、水(30mL×3)及びブライン(30mL)で洗浄し、次いで濃縮乾固した。残渣を分取HPLCにより精製して、1.1gの化合物10を白色固体として得た。MS(M+2H)+961; 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 9.05 (br s, 1H), 8.10 (s, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.72 (d, 2H), 7.29-7.41 (m, 5H), 7.22 (t, 1H), 7.14 (d, 2H), 6.93 (d, 1H), 6.80 (d, 2H), 6.70 (d, 1H), 7.07 (d, 2H), 4.03-4.07 (m, 1H), 2.80-3.15 (m, 9H), 2.78 (s, 2H), 2.23-2.30 (m, 6H), 2.00-2.10 (m, 4H), 1.45 (t, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.00-1.24 (m, 5H), 0.99 (s, 6H).
Figure 2019501225
THF(100mL)中の中間体4(8.5g、36mmol)の溶液に、1-メチルピペラジン(14.5g、145mmol)を添加した。溶液を、封管中で50℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去して、17.0gの無色油状物を得た。トルエン(200mL)中の上記油状物の溶液に、Bu3P(24g、119mmol)及びPhSSPh(18g、82mmol)を連続して添加した。混合物を90℃にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣をシリカゲルカラムにより精製して、11gの中間体5fを褐色油状物として得た。
Figure 2019501225
HOAc(60mL)中の中間体5f(11.0g)の溶液に、HOAc中のHBrの溶液(33%、20mL)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を逆相カラムにより精製して、7.1gの中間体6fを褐色油状物として得た。
Figure 2019501225
THF(50mL)中の中間体6f(3.0g)の溶液に、THF中のBH3の溶液(1M、45mL)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。MeOH(5mL)を添加して、反応をクエンチした。混合物を濃縮乾固した。MeOH(40mL)及びHCl(濃縮、40mL)を、次いで添加した。混合物を4時間還流させ、次いで濃縮乾固して、3.1gの中間体7fを黄色油状物として得、これを、次の工程に直接使用した。
Figure 2019501225
DMF(40mL)中の中間体20(1.5g)の溶液に、DIPEA(6mL)及び中間体7(3.0g)を添加した。溶液を室温にて6時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を逆相カラムにより精製して、1.9gの中間体29を黄色油状物として得た。
Figure 2019501225
DCM(20mL)中の中間体29(0.90g、1.6mmol)の溶液に、中間体18(0.84g、1.9mmol)、DMAP(0.58g、4.77mmol)及びEDCI(0.61g、3.2mmol)を添加した。混合物を室温にて終夜撹拌した。DCM(150mL)を添加し、有機溶媒を水(30mL×3)及びブライン(30mL)で洗浄し、次いで濃縮乾固した。残渣を分取HPLCにより精製して、400mgの化合物9を白色固体として得た。MS(M+H)+987; 1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 8.32 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.24-7.38 (m, 5H), 6.98 (d, 2H), 6.88 (d, 1H), 6.76 (d, 2H), 6.40 (d, 1H), 3.80-3.69 (m, 1H), 3.20-3.28 (m, 4H), 2.87-3.01 (m, 2H), 1.64-2.99 (m, 25H), 1.45 (q, 1H), 1.26 (t, 2H), 0.94 (d, 6H).
本発明は、その具体的な実施形態と共に記載されているが、更に改変することが可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従う本発明のいかなる変形、使用又は翻案も網羅し、本発明に付随し、本明細書で明記されている本質的な特徴に適用され得る、当技術分野内で公知の活動又は慣行の範疇である、本開示からのそのような発展を含むことが理解される。

Claims (34)

  1. 化合物6
    Figure 2019501225
    又はその薬学的に許容できる塩を含み、化合物6又はその薬学的に許容できる塩が、リポソームに被包されている、リポソーム組成物。
  2. 前記リポソームが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)及びコレステロールを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記リポソームが、PEG(2000)-ジステアロイルグリセロール(PEG-DSG)を更に含む、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記リポソームが、DSPC、コレステロール及びPEG-DSGを、約3:2:0.3のモル比で含む、請求項3に記載の組成物。
  5. リポソーム組成物をアルブミンと接触させて、アルブミン処理リポソームを得る工程、続いて、前記アルブミン処理リポソームを、リポソームに付着していないアルブミンから分離する工程を含む方法により得られる、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記アルブミンが、ウシ血清アルブミンであり、前記方法が、リポソームに被包されていない化合物6を除去する工程を更に含む、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記アルブミンが、BSAの5%w/w溶液である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記アルブミンが、約10mg/mL BSAの濃度を有し、前記アルブミン処理リポソームが、リポソーム組成物をアルブミンと約37℃で約50分間接触させる工程により得られる、請求項7に記載の組成物。
  9. 約0.1mg/mL未満の残留遊離アルブミンを含む、請求項5に記載の組成物。
  10. 前記リポソーム組成物中の化合物6の少なくとも約95%が、リポソームに被包されている、請求項9に記載の組成物。
  11. 組成物中の総リン脂質1mol当たり合計で約125gの化合物6を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 約5〜6のpHを有する、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記リポソームが、約100〜110nmの粒径を有する、請求項11又は12に記載の組成物。
  14. a.リン脂質及びコレステロールを含む小胞に被包されている硫酸アンモニウムを被包するリポソームを形成する工程;並びに
    b.化合物6をリポソーム中にロードするのに有効な条件下で、工程(a)からのリポソームを化合物6と接触させる工程
    を含む方法により得られる、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. リポソームを化合物6と接触させる工程の前に、硫酸アンモニウムが、約0.25Mの濃度を有する、請求項14に記載の組成物。
  16. 化合物6のビス-メシル酸塩を、リポソームと接触させて、化合物6をリポソーム中にロードする、請求項15に記載の組成物。
  17. 化合物6、又はその薬学的に許容できる塩を含む組成物。
  18. 化合物6のビス-メシル酸塩。
  19. 式(II)
    Figure 2019501225
    (式中、R'が、N又はCHであり、R1'が、7.0より大きいpKa及び0.32未満のBcl-2に対するIC50活性(実施例1に従って測定される)を有する第三級アルキル置換アミンを含む部分である)
    の化合物、又はその薬学的に許容できる塩。
  20. R1'が、-N(Ra')(Rb')又は-(A')-N(Ra')(Rb')であり、-(A')-が、(C1〜C4)脂肪族部分であり、Ra'及びRb'が、独立して低級アルキルである、請求項19に記載の化合物。
  21. R'がCHであり、R1'が-N(Ra')(Rb')である、請求項19に記載の化合物。
  22. Ra'及びRb'が、独立してエチル及びメチルから選択される、請求項21に記載の化合物。
  23. Ra'及びRb'がそれぞれエチルである、請求項22に記載の化合物。
  24. 式(I)
    Figure 2019501225
    (式中、Rが、N又はCHであり、R1が、7.0より大きいpKa及び2.46nM未満のBcl-2に対するIC50活性(実施例1に従って測定される)を有する第三級アルキル置換アミンを含む部分である)
    の化合物、又はその薬学的に許容できる塩。
  25. R1が、-N(Ra)(Rb)又は-(A)-N(Ra)(Rb)である(式中、-(A)-が、(C1〜C4)脂肪族部分であり、Ra及びRbが、独立して、低級アルキルである)、請求項24に記載の化合物。
  26. RがCHであり、R1が-N(Ra)(Rb)である、請求項25に記載の化合物。
  27. Ra及びRbが、独立してエチル及びメチルから選択される、請求項26に記載の化合物。
  28. Ra及びRbがそれぞれエチルである、請求項27に記載の化合物。
  29. Ra及びRbがそれぞれメチルである、請求項27に記載の化合物。
  30. Figure 2019501225
    から選択される化合物、及びその薬学的に許容できる塩。
  31. 1つ又は複数のリポソーム形成脂質、コレステロール、及び親水性ポリマー複合脂質から形成される単一膜小胞に被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を有するリポソームを含む組成物であって、10mg/kgの用量の、リポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を、実施例6に従ってマウスに注入することにより、リポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の注入24時間後に測定される血小板の減少が約20%未満となる、組成物。
  32. 1つ又は複数のリポソーム形成脂質、コレステロール、及び親水性ポリマー複合脂質から形成される単一膜小胞に被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を有するリポソームを含む組成物であって、10mg/kgの用量のリポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を、実施例6に従ってマウスに注入することにより、リポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の注入72時間後に測定した血小板数が、血液1マイクロリットル当たり約400,000PLT超と測定される、組成物。
  33. Bcl-2/Bcl-XL阻害化合物が、式(I)又は式(II)の化合物である、請求項32に記載の組成物。
  34. 式(II)
    Figure 2019501225
    (式中、R'が、N又はCHであり、R1'が、第三級アルキル置換アミンを含む部分である)のBcl-2/Bcl-XL阻害化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有するリポソームを含む組成物であって、式(II)の化合物が、1つ又は複数のリポソーム形成脂質、コレステロール、及び親水性ポリマー複合脂質から形成される単一膜小胞に被包されており、10mg/kgの用量の、リポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物を、実施例6に従ってマウスに注入することにより、リポソームで被包されているBcl-2/Bcl-XL阻害化合物の注入72時間後に測定した血小板数が、血液1マイクロリットル当たり約400,000PLT超と測定される、組成物。
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