開示の詳細な説明
適用の方法
本開示は、治療を必要とする対象において、癌などの増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療する又は改善する方法であり、その対象は代謝機能不全であるが、その対象に、増殖性疾患を治療するため少なくとも一つのMetAP2阻害剤を治療効果のある量で投与することを含む方法を提供する。好ましい態様において、増殖性疾患は癌である。前記癌は、閉経後HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせである。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することに加え、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することも含んでいてもよい。
本開示は、又、治療を必要とする対象において、癌などの増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療する又は改善する方法であり、その対象は代謝機能不全であるが、その対象に、増殖性疾患を治療するため少なくとも一つのフマギリン類似体又は誘導体を治療効果のある量で投与することを含む方法も提供する。好ましい態様において、前記増殖性疾患は癌である。前記癌は、閉経後 HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせである。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することに加え、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することも含んでいてもよい。
本開示は、又、治療を必要とする対象において、増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療する又は改善する方法であり、その対象は代謝機能不全であるが、その対象に、増殖性疾患を治療するため本開示の少なくとも一つの化合物を治療効果のある量で投与することを含む方法も提供する。好ましい態様において、前記増殖性疾患は癌である。前記癌は、閉経後HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせである。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することに加え、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することも含んでいてもよい。
本開示は、又、治療を必要とする対象において、代謝感応性腫瘍を治療する方法であり、その対象は代謝機能不全であるが、その対象に、代謝感応性腫瘍を治療するため少なくとも一つのMetAP2阻害剤を治療効果のある量で投与することを含む方法も提供する。前記代謝感応性腫瘍は閉経後HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせからの結果である。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、代謝感応性腫瘍を治療することに加え、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することも含んでいてもよい。
本開示は、又、治療を必要とする対象において、代謝感応性腫瘍を治療する方法であり、その対象は代謝機能不全であるが、その対象に、代謝感応性腫瘍を治療するため少なくとも一つのフマギリン類似体又は誘導体を治療効果のある量で投与することを含む方法も提供する。前記代謝感応性腫瘍は、閉経後HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせからの結果である。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、代謝感応性腫瘍を治療することに加え、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することも含んでいてもよい。
本開示は、又、治療を必要とする対象において、代謝感応性腫瘍を治療する方法であり、その対象は代謝機能不全であるが、その対象に、代謝感応性腫瘍を治療するため本開示の少なくとも一つの化合物を治療効果のある量で投与することを含む方法も提供する。前記代謝感応性腫瘍は、閉経後HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせからの結果である。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、代謝感応性腫瘍を治療することに加え、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することも含んでいてもよい。
肥満は、閉経期乳がんの危険因子と特定されてきた、又過剰な内臓脂肪組織は、化学療法及び進行の抑制及び/又は無病で長生きすることへの一層悪い反応と関連している(Schaffler A.ら、(2007)Nat Clin Pract Endocrinol Metab 3:345−54、Vona−Davis、L.Rose、DP.(2007)Endocr Relat Cancer 14:189−206)。脂肪組織由来の因子(例えば、レプチン、アディポネクチン、アロマターゼ、IL−6)は、肥満乳癌関連の媒体の可能性のあるものとして提案されてきており、最近のデータは、アディポカインレプチンとアディポネクチンに特別注目を集めている(Cleary、MP.ら、(2009)Front Biosci(School Ed)1:329−57、Cleary、MP.ら、(2010)Vet Pathol 47:202−13)。インスリンやインスリン様成長因子などの、レプチン、アディポネクチン、及びその他のホルモンの分子に基づく役割が、最近述べられている。アディポネクチン循環値は、肥満度指数(BMI)と逆比例の関係にあり、対照的に、血清レプチンは、BMIと正比例の関係である(Ryan、AS.ら、(2003)Diabetes Care 26:2383−8、Wauters、M.ら(2000)Eur J Endocrinol 143:293−311)。肥満の個体において、特に高い内臓脂肪含量の者において、アディポネクチン値は抑えられている(Brochu−Gaudreau K、ら、Endocrine 2010、37(1):11−32)。アディポネクチンはヒト血清中に2−20μg/mlの濃度で見つけられる(Grossmann、ME.ら、(2008)Br J Cancer 98:370−9)。アディポネクチン信号伝達と発がん予防の根本機構は、細胞内シグナルAMPKの活性化及び成長の阻害及び生存経路に関与していると考えられている(Brochu−Gaudreau Kら、Endocrine 2010、37(1):11−32、Pfeiler Gら、Maturitas 2009、63(3):253−256)。更に、アディポネクチンは、異なる成長因子(例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子BB、及びヘパリン結合性上皮細胞成長因子)の選択隔離及びそれらの正常な受容体結合の阻害を通して間接的に生物活性を働かせる。これらの相互作用はアディポネクチンの特定のオリゴマー型にかかわっている(Barb、D.Williams、CJ.Neuwirth、AK.Mantzoros、CS.(2007)Am J Clin Nutr 86:s858−66、Wangら(2005) J Biol Chem 280:18341−7)。
幾つかの疫学調査は、アディポネクチン値と乳癌の危険性との間に逆相関を見出した(Barbら(2007)Am J Clin Nutr 86:s858−66、Miyoshiら(2003)Clin Cancer Res 9:5699−704、Mantzorosら(2004)J Clin Endocrinol Metab 89:1102−7、Chen、DC.ら(2006)Cancer Lett 237:109−14)。乳癌患者において、アディポネクチン値とレプチンに対するアディポネクチン比は、痩せ型の婦人にみられる値と比べて減少する傾向である(Cleary MP.ら(2009)Front Biosci (Schol Ed)1:329−57、Cleary MP.ら(2006)Cancer Lett 237:109−14)。アディポネクチン値の低い乳がん患者はより多くの湿潤性腫瘍を持ち又リンパ節転移の頻度がより高いことが報告されている(Schaffler、A.ら(2007)Nat Clin Pract Endocrinol Metab 3:345−54、Hou、WK.ら(2007)Chin Med J(Engl) 120:1592−6)。
ある態様において、本開示は、閉経後HR+/Her2乳がん、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝臓癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせを含む代謝機能不全により悪化させられる特定のタイプの腫瘍を治療するために少なくとも一つのMetAP2阻害剤、少なくとも一つのフマギリン類似体又は誘導体及び/又は少なくとも一つの本開示の化合物を用いる方法を提供する。好ましい態様において、本方法は、代謝機能不全の癌患者においてMetAP2阻害剤の皮下投与を開示する。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。本方法は、患者を代謝的により中立で安定した状態に回復させ、患者の癌の進行を遅らせるか又は戻らせることができる。
ここに述べられているのは、代謝感応性腫瘍を持つ患者において根本的な代謝機能不全を改善する方法である。代謝感応性腫瘍を治療する前記方法は、アディポネクチン値を増加させること、レプチン値を下げること、アディポネクチンに対するレプチンの比を改善すること、又はそれらの組み合わせである。ここに述べられているMetAP2阻害剤の皮下投与は、がん患者においてこれらの値と比を改善する能力を示し、それによりレプチン感応性の改善とともにアディポネクチンの上向き調節により益を受ける代謝感応性腫瘍の治療に採用することができる。したがって、ある態様において、ここに述べられているMetAP2阻害剤は、閉経後ホルモン受容体陽性(HR+)乳癌、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう、肝細胞癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はこれらの組み合わせを含む癌を治療することができる。上記の癌は、少なくとも部分的に、アディポネクチン欠乏及び/又は耐アディポネクチンと関連している。
本開示は、又、治療を必要とする対象において、癌を治療する方法であり、前記方法が、(i)患者が閉経後ホルモン受容体陽性(HR+)乳癌、去勢抵抗性前立腺癌、食道癌、結腸直腸腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓腺癌、胆のう癌、肝細胞癌、乳頭状腎細胞がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、又はそれらの組み合わせを持っているか特定すること、(ii)前記癌患者が代謝機能不全であるかどうか決定すること、(iii)対象が、工程(i)で癌の一つを持っていると特定され、工程(ii)で代謝機能不全であると特定された場合、少なくとも一つのMetAP2阻害剤、少なくとも一つのフマギリン類似体又は誘導体、又は本開示の少なくとも一つの化合物を治療効果のある量で投与することを含んでいる方法を提供する。好ましくは、前記対象は、本開示の化合物を投与される。好ましくは、前記化合物は、皮下的に投与される。前記代謝機能不全は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる。好ましくは、代謝機能不全は、低アディポネクチン値、高レプチン値、高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせである。本開示の方法は、又、癌の治療に加えて、代謝機能不全の少なくとも一つの症状を治療する又は改善することを更に含んでいてもよい。
その他の態様において、本開示は、腫瘍が代謝感応であるかを決定する方法であり、(1)患者のHOMA数(インスリン感受性値)を決定するために空腹時インスリンとグルコース値を測定すること、(2)前記HOMA数を痩せ型患者のものと比べること、及び(3)もし前記HOMA数が代謝が正常なものの値より高い場合、前記癌は少なくとも一つのMetAP2阻害剤、少なくとも一つのフマギリン類似体又は誘導体、又は本開示の少なくとも一つの化合物による治療に感応的であると決定することを含む方法を提供する。
ここで用いられているように、「それを(治療を)必要とする対象」は細胞増殖性疾患を持つ対象、大多数と比べて細胞増殖性疾患を発症するリスクの高い対象である。治療を必要とする対象は、前癌状態であってもよい。好ましくは、治療を必要とする対象は癌である。好ましくは、細胞増殖性疾患を持つ前記対象は、代謝機能不全でもある。
「対象」は哺乳類を含んでいる。哺乳類は、例えば、全ての哺乳類、例えば、ヒト、霊長類、鳥、マウス、ラット、家禽、犬、猫、牛、馬、ヤギ、ウサギ、ラクダ、羊、又はブタである。好ましくは、哺乳類はヒトである。用語「対象」と「患者」はここでは互換可能に用いられている。
ここで用いられているように、用語「細胞増殖性疾患」は、細胞の制御されていない又は異常な成長あるいはこの両方が、癌になるかならないかもしれないが、望まない状態又は疾患の発症へとつながる状態を言う。本開示の例示的な細胞増殖性疾患は、細胞分裂が無秩序である種々の状態を包含している。例示的な細胞増殖性疾患は、限定はされないが、新生物、良性腫瘍、悪性腫瘍、前癌状態、原位置腫瘍、被ほう性腫瘍、転移性腫瘍、液性腫瘍、固形腫瘍、免疫学的腫瘍、血液腫瘍、癌、癌腫、白血病、リンパ腫、肉腫、及び急速に分裂する細胞を含んでいる。ここで用いられているように、用語「急速に分裂する細胞」は、同一の組織内の隣り合う又は並置されている細胞に比べ過剰又はそれを超える速さで分裂する全ての細胞と定義する。細胞増殖性疾患は前癌又は前癌状態を含んでいる。細胞増殖性疾患は癌を含んでいる。細胞増殖性疾患は非癌状態又は病態を含んでいる。好ましくは、ここで提供されている方法は、癌の症状を治療又は軽減するために採用される。用語「癌」は固形癌並びに血液腫瘍及び/又は悪性腫瘍を含んでいる。「前癌細胞」又は「前癌性細胞」は前癌又は前癌状態である細胞増殖性疾患を明らかにする細胞である。「癌細胞」又は「癌性細胞」は癌又は癌状態である細胞増殖性疾患を明らかにする細胞である。再現性のあるいずれの測定手段でも、癌細胞又は前癌細胞を特定するために採用できる。癌細胞又は前癌細胞は、組織サンプル(例えば、生検サンプル)の組織学的種類分け又は分類によって特定することができる。癌細胞又は前癌細胞は、適切な分子マーカーを用いて特定することができる。
非癌状態又は病態は、限定はされないが、関節リュウマチ、炎症、自己免疫疾患、リンパ増殖状態、先端肥大症、リュウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風、その他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、ない毒性ショック、グラム陰性敗血症、毒素性ショック症候群、喘息、成人呼吸窮迫症症候群、慢性閉塞性肺疾患、慢性肺炎症、炎症性腸疾患、クローン病、皮膚関連過剰増殖性疾患、乾癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、色素沈着過剰障害疾患、目に関連する過剰増殖疾患、加齢黄斑変性症、潰瘍性大腸炎、膵線維症、肝線維症、急性及び慢性腎疾患、過敏性腸症候群、発熱、再狭窄、脳マラリア、発作や虚血性傷害、神経の外傷、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、急性及び慢性疼痛、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、慢性心不全、急性冠症候群、悪液質、マラリア、ハンセン病、リーシュマニア病、ライム病、ライター症候群、急性骨膜炎、筋変性、滑液胞炎、腱炎、腱鞘炎、ヘルニア、裂傷、又は逸脱型椎間板症候群、大理石骨病、血栓症、再狭窄、珪肺、肺サルコイドーシス、骨粗しょう症などの骨吸収疾患、移転片対宿主反応、線維脂肪肥大症、脊髄小脳変性症1型、クローブ症候群、ハーレクイン型魚鱗癬、巨指症症候群、プロテウス症候群(ヴィーデマン症候群)、多発性黒子症候群、全身性硬化症、多発性硬化症、ループス、線維筋痛症、帯状疱疹及び単純ヘルペスI及びII及びインフルエンザ及びサイトメガロウィルスなどのエイズ及び他のウィルス性疾患、糖尿病、片側過形成多発性脂肪腫症症候群、巨脳症、稀な低血糖症、クリッペル−トレーニー症候群、過誤腫、カウデン症候群、又は肥大高血糖症を含んでいる。
例示的な癌は、限定はされないが、副腎皮質癌、エイズ関連癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、肛門直腸癌、肛門管の癌、肛門の扁平上皮癌、血管肉腫、虫垂癌、小児期の小脳星細胞腫、小児期の大脳星細胞腫、基底細胞癌、皮膚がん(非メラノーマ)、胆道癌、肝外胆管癌、肝内胆管癌、膀胱癌、膀胱癌、骨と関節癌、骨肉腫と悪性線維性組織球腫、脳の癌、脳腫瘍、脳幹グリオーマ、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠種、神経節膠種、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視路及び視床下部神経膠種、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、消化器、神経系の癌、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖疾患、結腸癌、大腸がん、皮膚T−細胞リンパ腫、リンパ新生物、菌状息肉腫、セザリー症候群、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、目の癌、目のメラノーマ、網膜芽細胞腫、膀胱癌、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠種、頭頚癌、頭頚扁平上皮癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内メラノーマ、眼の癌、膵島細胞腫瘍(膵臓内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓癌、腎がん、腎臓癌、咽頭癌、急性リンパ芽球性白血病、T細胞リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ白血病、慢性骨髄性白血病、毛髪様細胞白血病、口唇及び口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞 肺癌、小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、B細胞リンパ腫、原発性滲出リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、髄芽腫、メラノーマ、眼内(眼)メラノーマ、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、中皮腫、転移性扁平上皮頸部癌、口腔癌、舌癌、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉症、骨髄異形成症症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖疾患、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口腔癌、口腔咽頭癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵島細胞膵臓癌、膵内分腫瘍、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、胆管癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、下垂体腺腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜胚芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂と尿管の移行性上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非メラノーマ)、皮膚癌(メラノーマ)、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、咽頭癌、胸腺種、胸腺腫と胸腺癌、甲状腺癌、腎盂と尿管とその他の泌尿器の移行性上皮癌、妊娠性絨毛腫瘍、尿道癌、子宮内膜子宮癌、子宮肉腫、子宮体癌、膣癌、外陰癌、及びウィルムス腫瘍を含んでいる。
「血液系の細胞増殖性疾患」は血液系の細胞に関与する細胞増殖性疾患である。血液系の細胞増殖性疾患は、リンパ腫、白血病、骨髄性新生物、肥満細胞新生物、骨髄異形成、良性モノクロナール免疫グロブリン血症、リンパ腫様肉芽腫、リンパ腫様丘疹症、真性多血症、慢性骨髄白血病、特発性骨髄線維症、及び本態性血小板血症が含まれる。血液系の細胞増殖性疾患は、血液系細胞の過形成、異形成、及び仮形成が含まれる。好ましくは、本開示の組成物は、本開示の血液の癌及び本開示の血液の細胞増殖性疾患からなる群から選ばれる癌を治療するために用いる。本開示の血液の癌は、多発性骨髄腫、リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、小児リンパ腫、及びリンパ球及び皮膚起源のリンパ腫を含む)、白血病(小児白血病、有毛状細胞白血病、急性リンパ球白血病、急性骨髄球白血病、慢性リンパ球白血病、慢性骨髄球白血病、慢性骨髄性白血病、及び肥満細胞白血病を含む)、骨髄性新生物、及び肥満細胞新生物を含む。
米国がん合同委員会(AJCC)のTNM分類システムに従い、治療される癌は、段階に分けられる、このシステムでは、腫瘍(T)はステージTX、T1、T1mic、T1a、T1b、T1c、T2、T3、T4、T4a、T4b、T4c、又はT4dとつけられており、所属リンパ節(N)は、ステージNX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3b、又はN3cとつけられており、又遠隔転移(M)は、ステージMX、M0、又はM1とつけることができる。米国がん合同委員会(AJCC)分類に従い、治療される癌は、ステージI、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIA、ステージIIIB、ステージIIIC、又はステージIVに段階分けされる。AJCC分類に従い、治療される癌は、等級GX(例えば、等級がつけられない)として、グレード1、グレード2、グレード3、又はグレード4の等級づけがなされる。AJCC病理学的分類(pN)に従い、治療される癌は、pNX、pN0、PN0(I−)、PN0(I+)、PN0(mol−)、PN0(mol+)、PN1、PN1(mi)、PN1a、PN1b、PN1c、pN2、pN2a、pN2b、pN3、pN3a、pN3b、又はpN3cに段階分けされる。
治療される癌は、およそ2cm以下の直径であると測定された腫瘍を含んでいる。治療される癌は、およそ2cmからおよそ5cmの直径であると測定された腫瘍を含んでいる。治療される癌は、およそ3cm以上の直径であると測定された腫瘍を含んでいる。治療される癌は、5cmより大きい直径であると測定された腫瘍を含んでいる。治療される癌は、顕微鏡像により高分化、中分化、低分化、又は未分化に分類される。治療される癌は、顕微鏡像により、核分裂像の数(例えば、細胞分裂の量)又は核多形性(例えば、細胞の変化)について分類される。治療される癌は、顕微鏡像により壊死領域(例えば、死滅又は変性する細胞の領域)について分類される。治療される癌は、異常核型を持っているか、異常な染色体数であるか、又は見かけが異常である一つ以上の染色体を持っているかによって分類される。治療される癌は、異数体である、三倍体である、四倍体である、又は倍数性に変化があるかによって分類される。治療される癌は、染色体転移があるか、全染色体の欠失又は重複があるか、又は染色体の一部の欠失、重複、又は増幅の領域があるかによって分類される。
治療される癌は、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリー、又はイメージサイトメトリーによって評価される。治療される癌は、細胞分裂の合成段階(例えば、細胞分裂のS期)に10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の細胞があるかによって型分けされる。治療される癌は、低S期又は高S期であるか型分けされる。
ここで用いられているように、「正常細胞」は「細胞増殖性疾患」の一部であると分類されない細胞である。正常細胞は、望まない状態又は疾患の発症へと導く制御されていない成長又は異常な成長あるいはこの両方がないものである。好ましくは、正常細胞は、細胞周期チェックポイント機構を正常に機能させる能力を有するものである。
ここで用いられているように、「細胞に接触する」は、本開示の化合物又はその他の組成物が直接触れる又は細胞に望みの生物学的効果を引き出すのに充分近い状態を言う。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、様々な関連する疾患も治療又は軽減することができる。
特に、一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、過剰な内臓脂肪症、高レプチン値、低アディポネクチン値、アディポネクチンに対する高レプチン比、慢性炎症を伴う高空腹時インスリン値、又はそれらの組み合わせを含んでいる群から選ばれる少なくとも一つの代謝機能不全も治療又は軽減することができる。治療又は改善される代謝機能不全は、好ましくは、低アディポネクチン、上昇したレプチン、上昇した空腹時インスリン、又はこれらの組み合わせである。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、肥満の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することができる。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、体重をへらすことができる。ある態様において、対象は太りすぎ又は肥満である。ある態様において、対象は過剰な脂肪組織を減らす必要のあるものである。
肥満及び体重が重すぎることは、対象において、除脂肪体重の割に、脂肪過剰であることを言う。過剰な脂肪の蓄積は、大きさ(肥大又は脂肪症)同様に脂肪組織細胞の過形成の数の増加に結びついている。肥満は、遺伝的(例えば、プラダ−ウィリー症候群)であれ環境であれ、いずれの原因によっても引き起こされる。肥満は、絶対体重、体重対身長比、過剰な体脂肪の程度、内臓や皮下の脂肪の分布、及び社会的及び審美的規範の観点から様々に測定される。通常の体脂肪の測定は、肥満度指数(BMI)である。BMIは、身長の二乗(メータ表示)に対する体重(キログラム表示)の比のことを言う。肥満度指数は、式SI単位:BMI=体重(kg)/身長2(m2)又はUS単位:BMI=体重(lb)×703)/身長2(in2)を用いて正確に計算できる。
ここに述べられているように、「太りすぎ」は、BMIが25kg/m2から29.9kg/m2であるその他の点では健康な状態を言う。ここに述べられているように、「肥満した」又は「肥満」は、BMIが30kg/m2以上であるその他の点では健康な状態を言う。肥満には幾つかのサブカテゴリーがある。BMIが35kg/m2以上である成人は、「非常に肥満した」又は「非常な肥満」であると言う。BMIが40kg/m2以上から44.9kg/m2である成人又はBMIが35kg/m2以上で少なくとも一つの肥満に関連する健康状態を持つ成人は、「病的に肥満した」又は「病的に肥満」であると言う。BMIが45kg/m2以上である成人は、「超肥満した」又は「超肥満」であると言う。子供については、太りすぎと肥満の定義は、体脂肪への年齢と性別の影響を考慮に入れる。
異なる国では、肥満と太りすぎは異なるBMIによって定義できる。用語「肥満」の意味は、すべての国における定義を包含する。例えば、アジアでは、より低い肥満度指数(BMI)で、肥満と結びつく危険度の上昇が起こる。日本を含む、アジアの国々において、「肥満」は、体重減少が要求される又は体重減少により改善されると思われる、少なくとも一つの肥満に誘発される又は肥満と関連する共存症を持つ対象が、25.0kg/m2以上のBMIである状態を言う。中南米の民族は、欧州や北米よりはアジアにより近く分類されがちである。
過剰な脂肪組織が身体の異なる部分に選択的に起こり得ること、及び脂肪組織の発現が、身体のその他の部分で起こるより身体のある部分で起こることのほうがより健康にとって危険であるという事実は、BMIでは説明できない。例えば、典型的には「リンゴ型」体型と関連する「中心性肥満」は、お腹の脂肪や内臓脂肪を含む、特に腹部における過剰な脂肪症からの結果であり、「周辺肥満」、これは特に臀部における過剰な脂肪症に由来する「梨型」体型と関連するが、より高い共存症の危険をもたらす。ウェスト/ヒップ周囲比(WHR)の測定は、中心肥満の指標として用いることができる。中心性肥満の最少WHR指標は様々に設定されてきており、中心肥満成人は典型的には、女性であればおよそ0.85以上のWHRがあり、男性であればおよそ0.9以上である。
対象が除脂肪体重に対する過剰な脂肪組織の割合を表す重太りすぎ又は肥満であるかの測定方法は、対象の身体組成を得ることを含んでいる。身体組成は、腹部、肩甲部、腕、臀部、及び太ももなどの複数の部位の皮下脂肪の厚みを測定することで得られる。これらの測定は、およそ4%の誤差幅で全身の脂肪を見積もることに用いられる。その他の測定方法は、生体インピダンス分析法(BIA)であるが、これは、体脂肪を見積もるために身体を流れる電流の抵抗値を用いるものである。その他の方法は、身体の浮力を測定するために大きなタンクの水を用いるものである。高い体脂肪はより大きい浮力につながり、より大きい筋肉量は沈みがちの結果につながる。更にその他の方法は、ファンビーム二重エックス線吸収法(DEXA)である。DEXAは、非侵襲的に身体組成、特に全体脂肪及び/又は局所体脂肪、の測定を可能にする。MRIも、非侵襲的に組成を測定するために用いることができる。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、脂肪細胞又は脂肪組織を減らすこともできる。脂肪細胞を減少させることは、脂肪細胞の数を減らす又は大きさ(脂肪含量)を減らすことを意味する。ある態様において、本開示の化合物は、対象の脂肪細胞を縮小させる。脂肪組織は白色脂肪組織又は褐色脂肪組織である。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、食物摂取量を減らすこともできる。食物摂取量の減少は、一日食物摂取量の減少を意味する。一日食物摂取量の減少は、およそ5%の減少からおよそ50%の減少(例えば、およそ5%、およそ10%、およそ20%、およそ30%、およそ40%又はおよそ50%)である。日々の2000kcalの食事に基づくと、減少は、一日当たりおよそ100kcalからおよそ1000kcal(例えば、およそ100kcal、およそ200kcal、およそ400kcal、およそ600kcal、およそ800kcal又はおよそ1000kl)の減少である。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、対象において空腹感を減ずることもできる。対象は、食物摂取を減らすことができる。空腹感は、食欲調査においてよく用いられるが、10ポイント視覚的アナログ尺度(VAS)を用いて空腹状態を評価する。(参照、Flintら、Int. J. Obes. Relat. Metab. Disord. 24(1):38−48、2000.)。具体的には、対象は、先立つ2日間の全体的空腹感を、10は極端に空腹であり、1は全く空腹でなかったというように1から10までの点数で表わすように尋ねられる。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、腹囲を減らすこともできる。腹囲は、腸骨稜の1cm上の腹部周りをテープ測定で評価する。本開示の対象は、およそ1インチからおよそ20インチ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20インチ)腹囲を減らすことができる。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、前記患者において、体脂肪を減らし実質的に筋肉量を保つこともできる。ある態様において、厳しい食事制限だけの患者に比べ、投与によって患者において脂肪酸化が増強される。熱量制限のみのダイエット患者における体脂肪減少に比べ、そのような患者は実質的に多くの筋肉量を保つことができる。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、対象において、インスリン値、レプチン値、又は両方を下げることもできる。ある態様において、対象は太りすぎ又は肥満である。ある態様において、対象は、過剰な脂肪組織を減らす必要がある。
一つ以上の増殖性疾患の少なくとも一つの症状を治療又は軽減することに加え、本開示の化合物は、対象において、手術結果を良くするために手術に先立って、本開示の少なくとも一つの化合物を治療効果のある量で対象に投与することを含む手術の結果を良くすることもできる。ある態様において、投与は、上記患者の肝臓及び/又は腹部の脂肪を減らし上記手術結果を改善する。ある態様において、該手術は非急性手術である。そのような手術は肥満手術、心臓血管手術、腹部手術、又は整形外科手術が含まれる。
ここで用いられているように、「単剤治療」は、本開示の単一の活性な又は治療的な化合物の治療を必要とする対象への投与を言う。例えば、癌治療を必要とする対象に本開示の化合物の一つ又はその医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、類似物又は誘導体によって癌単剤治療を投与することである。単剤治療は、以下に述べるように複数の活性化合物の組み合わせを投与する併用治療と対比するとこができる。一つの態様において、本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物による単剤治療は、望まれる生物学的効果を引き出す点において併用治療よりより効果的である。
ここで用いられているように、「併用療法」又は「共同療法」は、本開示の少なくとも二つの化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の投与を、本開示のこれらの少なくとも二つの化合物の共同作用の有益な効果を与えることを意図する具体的な治療計画の一部として含む。共同の有益な効果は、限定はされないが、本開示のこれらの少なくとも二つの化合物の組み合わせからもたらされる薬学的相互又は薬学的共動的作用を含んでいる。併用療法における、本開示のこれらの少なくとも二つの化合物の投与は、決められた期間(通常、選択された組み合わせにより分、時、日、又は週)にわたって実施される。「併用療法」は、一般的にではないが、本開示の組み合わせに偶然及び任意に帰結する別々の単剤治療計画の一部として、本開示の二つ以上の化合物の投与を包含し得る。
「併用療法」はまた、更に第二の活性薬剤及び/又は非薬剤治療(例えば、手術又は放射線治療)との組み合わせにおける本開示の化合物の投与も含んでいる。非薬剤治療を更に含む併用治療において、非薬剤治療は、治療剤と非薬剤治療の組み合わせの共作用による有利な効果が成し遂げられる如何なる適した時にも実施することができる。例えば、適する場合、該有利な効果は、非薬剤治療が、治療剤の投与から一時的に、恐らく数日又は数週間であっても、除かれた時にもまだ成し遂げられる。第二の活性薬剤は、ポリマーと結合していてもよい。
「併用療法」は、各治療剤を異なる時間に投与する、治療剤の連続的投与を含み、同様にこれらの治療剤又は治療剤の少なくとも二つの実質的な同時投与を含むことを意図している。ここで用いられている実質的に同時の方法は、少なくとも二つの治療剤をそれぞれ1時間以内に投与することである。実質的に同時の投与は、例えば、各治療薬の固定した割合である単一の組成物又は、各治療薬の別々のカプセルを対象に投与することで成すことができる。ここで用いられている連続的方法は、少なくとも二つの治療剤の一つを、少なくとも二つの治療剤の別の一つより1時間以上後の投与のことである。好ましくは、連続投与では、少なくとも二つの治療剤の一つを、少なくとも二つの治療剤の別の一つより少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも又は少なくとも1週間後に投与することである。各治療薬の連続又は実質的に同時の投与は、限定はされないが、経口経路、静脈経路、皮下経路、筋肉内経路、粘膜組織を通した直接吸収を含むいかなる適切な経路によっても実施できる。治療薬は同じ経路又は異なる経路によって投与することができる。例えば、選択された組み合わせの第一の治療薬は、経口的に投与し得るが、一方でその他の組み合わせの治療薬は、経口的に投与し得る。あるいは、例えば、全ての治療薬が経口的に投与でき又は全ての治療薬が皮下注射によって投与できる。治療薬の順番は、厳密に重要ではない。
好ましい態様において、第二の活性薬剤は、化学療法剤である。付加的な化学療法剤(抗新生物剤又は抗増殖剤としても言及びされる)は、www.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.asp.に掲載されている、アルキル化剤、抗生物質、抗代謝物、解毒剤、インターフェロン、ポリクロナール又はモノクロナール抗体、EGFR阻害剤、FGFR阻害剤、HER2阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ホルモン、有糸分裂阻害剤、MTOR阻害剤、多種キナーゼ阻害剤、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、VEGF/VEGFR阻害剤、タキサン又はタキサン誘導体、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的薬物、トポイソメラーゼ毒薬物、分子標的又酵素の阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)、シチジン類似体薬物又は任意の化学療法剤、抗腫瘍又は抗増殖剤である。
例示的なアルキル化剤は、限定はされないが、シクロホスファミド(Cytoxan,Neosar)、クロランブシル(リューケラン)、メルファラン(Alkeran)、カルムスチン(BiCNU)、ブスルファン(Busulfex)、ロムスチン(CeeNU)、ダカルバジン(DTIC−Dome)、オキサリプラチン(Eloxatin)、カルムスチン(Gliadel)、イホスファミド(Ifex)、メクロレタミン(Mustargen)、ブスルファン(Myleran)、カルボプラチン(Paraplatin)、シスプラチン(CDDP、Platinol)、テモゾロミド(Temodar)、チオチパ(Thioplex)、ベンダムスチン(Treanda)、又はストレプトゾシン(Zanosar)が含まれる。
例示的な抗生物質は、限定はされないが、ドギソルビシン(Adriamycin)、ドギソルビシンリポソーマル(Doxil)、ミトキサントロン(Novantrone)、ブレオマイシン(Bleonoxane)、ダウノルビシン(Cerubidine)、ダウノルビシンリポソーマル(DaunoXome)、ダクチノマイシン(Cosmegen)、エピルビシン(Ellence)、イダルビシン(Idamycin)、プリカマイシン(Mithracin)、マイトマイシン(Mutamycin)、ペンとスタチン(Nipent)、又はバルルビシン(Valstar)が含まれる。
例示的な抗代謝物は、限定はされないが、フルオロウラシル(Adrucil)、カペシタビン(Xeloda)、ヒドロキシウレア(Hydrea)、メルカプトプリン(Purinethol)、ペメトレキセド(Alimta)、フルダラビン(Fludara)、ネララビン(Arranon)、クラドリビン(Cladribine Novaplus)、クロファラビン(Clolar)、シタラビン(Cytosar−U)、デシタビン(Dacogen)、シタラビンリポソーマル(DepoCyt)、ヒドロキシウレア(Droxia)、プララトレキサート(Folotyn)、フロクスウリジン(FUDR)、ゲムシタビン(Gemzar)、クラドリビン(Leustatin)、フルダラビン(Oforta)、メトトレキサート(MTX、Rheumatrex)、メトトレキサート(Trexall)、チオグアニン(Tabloid)、TS−1、又はシタラビン(Tarabine PFS)が含まれる。
例示的な解毒剤は、限定はされないが、アミフォスチン(Ethyol)又はメスナ(Mesnex)が含まれる。
例示的なインターフェロンは、限定はされないが、インターフェロンアルファ−2b(IntronA)又はインターフェロンアルファ−2a(Roferon−A)が含まれる。
例示的なポリクロナール又はモノクロナール抗体は、限定はされないが、トラスツズマブ(Herceptin)、オファツムマブ(Arzerra)、ベバシズマブ(Avastin)、リツキシマブ(Rituxan)、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、トシツマブ/ヨウ素131トシツマブ(Bexxar)、アレムツマブ(Campath)、イブリツモマブ(Zevalin、In−111、Y−90Zevalin)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、エクリズマブ(Soliris)、オルデノスマブ、ニボルマブ(Opdivo)、ペンブロリズマブ(Keytruda)、イピリムマブ(Yeroy)、ピディリズマブ、アテゾリズマブが含まれる。
例示的なEGFR阻害剤は、限定はされないが、ゲフィチニブ(Iressa)、ラパチニブ(Tykerb)、セツキシマブ(Erbitux)、エルロチニブ(Tarceva)、パニツムマブ(Vectibix)、PKI−166、カネルチニブ(CI−1033、マツズマブ(Emd7200)又はEKB−569が含まれる。
例示的なHER2阻害剤としては、限定はされないが、トラスツズマブ(Herceptin)、ラパチニブ(Tykerb)又はAC−480が含まれる。
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤としては、限定はされないが、ボリノスタット(Zolinza)が含まれる。
例示的なホルモンとしては、限定はされないが、タモキシフェン(Soltamox、Nolvadex)、ラロキシフェン(Evista)、メゲストロール(Megace)、ロイプロリド(Lupron、Lupron Depot、Eligard、Viadur)、フルベストラント(Faslodex)レトロゾール(Femara)、トリプトレリン(Trelstar LA、Trelstar Depot)、エキセメスタン(Aromasin)、ゴセレリン(Zoladex)、ビカルタミド(Casodex)、アナストロゾール(Arimidex)、フルオキシメステロン(Androxy、Halotestin)、メドロキシプロゲステロン(Provera、Depo−Provera)、エストラムスチン(Emcyt)、フルタミド(Eulexin)、トレミフェン(Fareston)、デガレリックス(Firmagon)、ニルタミド(Nilandron)、アバレリックス(Plenaxis)、又はテストラクトン(Teslac)が含まれる。
例示的な有糸分裂阻害剤は、限定はされないが、パクリタキセル(Taxol、Onxol、Abraxane)、ドセタキセル(Taxotere)、ビンクリスチン(Oncovin、VincasarPFS)、ビンブラスチン(Velban)、エトポシド(Toposar、Etopophos、VePesid)、テニポシド(Vumon)、イキサベピロン(Ixempra)、ノコダゾール、エポチロン、ビノレルビン(Navelbine)、カンプトテシン(CPT)、イリノテカン(Camptosar)、トポテカン(Hycamtin)、アムサクリン又はラメラリンD(LAM−D)が含まれる。
例示的なMTOR阻害剤は、限定はされないが、エベロリムス(Afinitor)、又はテムシロリムス(Torisel)、ラパミューン、リダホロリムス又はAP23573が含まれる。
例示的な多種キナーゼ阻害剤としては、限定はされないが、ソラフェニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、BIBW2992、E7080、Zd6474,PKC−412、モテサニブ、又はAP24534が含まれる。
例示的なセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤は、限定はされないが、ルボキシスタウリン、エリル/ファスジル塩酸塩、フラボピリドール、セリシクリブ(CYC202、Roscovitrine)、SNS−032(BMS−387032)、Pkc412、ブリオスタチン、KAI−9803、SF1126、VX−680、Azd1152、Arry−142886(AZD−6244)、SCIO−469、GW681323、CC−401、CEP−1347又はPD332991が含まれる。
例示的なチロシンキナーゼ阻害剤は、限定はされないが、エルロチニブ(Tarceva)、ゲフィチニブ(Iressa)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフェニブ(Nexavar),スニチニブ(Sutent)、トラスツズマブ(Herceptin)、ベバシズマブ(Avastin)、リツキシマブ(Rituxan)、ラパチニブ(Tykerb)、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、エベロリムス(Afinitor)、アレムツズマブ(Campath)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、テムシロリムス(Torisel)、パゾパニブ(Votrient)、ダサチニブ(Sprycel)、ニロチニブ(Tasigna)、バタラニブ(Ptk787、ZK222584)、CEP−701、SU5614、MLN518、XL999、VX−322、Azd0530、BMS−354825、SKI−606CP−690、AG−490、WHI−P154、WHI−P131、AC−220、又はAMG888が含まれる。
例示的なVEGF/VEGFR阻害剤としては、限定はされないが、ベバシズマブ(Avastin)、ソラフェニブ(Nexavar)スニチニブ(Sutent)ラニビズマブ、ペガプタニブ、又はバンデチニブが含まれる。
例示的な微小管標的薬物としては、限定はされないが、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン及びナベルビンが含まれる。
例示的なトポイソメラーゼ毒薬物は、限定はされないが、テニポシド、エトポシド、アドリアマイシン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エピルビシン及びイダルビシンが含まれる。
例示的なタキサン又はタキサン誘導体としては、限定はされないが、パクリタキセル及びドセタキソールが含まれる。
例示的な一般的な化学療法剤、抗新生物剤、抗増殖剤としては、限定はされないが、アルトレタミン(Hexalen)、イソトレチノイン(Accutane、Amnesteem、Claravis、Sotret)、トレチノイン(Vesanoid)、アザシチジン(Vidaza)、ボルテゾミブ(Velcade)、アスパラギナーゼ(Elspar)、レバミゾール(Ergamisol)、ミトーテン(Lysodren)、プロカルバジン(Matulane)、ペグアスパラガーゼ(Oncaspar)、デニロイキンディフティトックス(Ontak)、ポルフィマー(Photofrin)、アルデスロイキン(Proleukin)、レナリドミド(Revlimid)、ベキサロテン(Targretin)、サリドマイド(Thalomid)テムシロリムス(Torisel)、三酸化ヒ素(Trisenox)、ベルテポルフィン(Visudyne)、ミモシン(Leucenol)、(1Mテガフール−0.4M 5−クロロ−2,4−ジヒドロキシピリミジン−1Mオキソン酸カリウム)又はロバスタチンが含まれる。
他の態様において、さらなる化学療法剤は、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)のようなサイトカインであってもよい。他の様態において、本開示の化合物、又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、又は類似物又は誘導体は、放射線治療と組み合わせて投与してもよい。放射線治療はまた、多剤両方の一部として、本開示の化合物及びここに述べられている他の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。なお別の態様において、本開示の化合物、又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、又は類似物又は誘導体は、限定はされないが、CMF(シクロホスファミド、メトトレキセート及び5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシン及び5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシン及びシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシン、及びシクロホスファミド)、ACT又はATC(アドリアマイシン、シクロホスファミド、及びパクリタキセル)、リツキシマブ、ゼローダ(Xeloda)(カペシタビン)、シスプラチン(Cisplatin)(CDDP)、カルボプラチン(Carboplatin)、TS−1(モル比1:0.4:1のテガフール、ギメスタット、及びオタスタットカリウム)、カンプトテシン−11(Camptothecin−11)(CPT−11、IrinotecanもしくはCamptosar(商標))又はCMFP(シクロホスファミド、メトトレキセート、5−フルオロウラシル及びプレドニゾン)のような標準的な化学療法の組み合わせと組み合わせて投与されうる。
ある態様において、本開示の化合物、又はその医薬的に許容される塩、プロドラッグ、代謝物、多型又は溶媒和物は、受容体キナーゼ又は非受容体キナーゼのような、酵素の阻害剤とともに投与されうる。本発明の受容体キナーゼ及び非受容体キナーゼは、例えば、チロシンキナーゼ又はセリン/スレオニンキナーゼである。本開示のキナーゼ阻害剤は、低分子、ポリ核酸、ポリペプチド、又は抗体である。
例示的なキナーゼ阻害剤としては、限定はされないが、BIBW2992(EGFR及びErb2を標的とする)、セツキシマブ(Cetuximab)/エルビタックス(Erb1を標的とする)、イマチニブ/グリベック(Gleevic)(Bcr−Ablを標的とする)、トラスツズマブ(Erb2を標的とする)、ゲフィチニブ/イレッサ(EGFRを標的とする)、ラニビズマブ(VEGFを標的とする)、ペガプタニブ(VEGFを標的とする)、エルロチニブ/タルセバ(Erb1を標的とする)、ニロチニブ(Bcr−Ablを標的とする)、ラパチニブ(Erb1及びErb2/Her2を標的とする)、GW−572016/ラパチニブジトシレート(HER2/Erb2を標的とする)、パニツムマブ/ベクチビックス(EGFRを標的とする)、バンデチニブ(RET/VEGFRを標的とする)、E7080(RET及びVEGFRを含む複数の標的)、ハーセプチン(HER2/Erb2を標的とする)、PKI−166(EGFRを標的とする)、カネルチニブ/CI−1033(EGFRを標的とする)、スニチニブ/SU−11464/ステント(EGFR及びFLT3を標的とする)、マツズマブ/Emd7200(EGFRを標的とする)、EKB−569(EGFRを標的とする)、Zd6474(EGFR及びVEGFRを標的とする)、PKC−412(VEGR及びFLT3を標的とする)、バタラニブ/Ptk787/ZK222584(VEGRを標的とする)、CEP−701(FLT3を標的とする)、SU5614(FLT3を標的とする)、MLN518(FLT3を標的とする)、XL999(FLT3を標的とする)、VX−322(FLT3を標的とする)、Azd0530(SRCを標的とする)、BMS−354825(SRCを標的とする)、SKI−606(SRCを標的とする)、CP−690(JAKを標的とする)、AG−490(JAKを標的とする)、WHI−P154(JAKを標的とする)、WHI−P131(JAKを標的とする)、ソラフェニブ/ネキサバル(RAFキナーゼ、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、PDGFR−β、KIT、FLT3、及びRETを標的とする)、ダサチニブ/スプリセル(BCR/ABL及びSrc)、AC−220(FLT3を標的とする)、AC−480(全てのHERタンパク質、「panHER」を標的とする)、モテサニブジホスフェート(VEGF1−3、PDGFR及びc−kitを標的とする)、デノスマブ(Denosumab)(RANKLを標的化し、SRCを阻害する)、AMG888(HER3を標的とする)、及びAP24534(FLT3を含む複数の標的)が含まれる。
例示的なセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤としては、限定はされないが、ラパミューン(mTOR/FRAP1を標的化する)、デフォロリムス(Deforolimus)(mTORを標的化する)、セルチカン(Certican)/エベロリムス(mTOR/FRAP1を標的化する)、AP23573(mTOR/FRAP1を標的化する)、エリル/ファスジル塩酸塩(RHOを標的化する)、フラボピリドール(CDKを標的化する)、セリシクリブ/CYC202/ロスコビトリン(CDKを標的化する)、SNS−032/BMS−387032(CDKを標的化する)、ルボキシスタウリン(PKCを標的化する)、Pkc412(PKCを標的化する)、ブリオスタチン(PKCを標的化する)、KAI−9803(PKCを標的化する)、SF1126(PI3Kを標的化する)、VX−680(オーロラキナーゼを標的化する)、Azd1152(オーロラキナーゼを標的化する)、Arry−142886/AZD−6244(MAP/MEKを標的化する)、SCIO−469(MAP/MEKを標的化する)、GW681323(MAP/MEKを標的化する)、CC−401(JNKを標的化する)、CEP−1347(JNKを標的化する)、及びPD 332991(CDKを標的化する)が含まれる。
意図される第二の活性薬剤は、スルホニルウレア(例えば、クロルプロパミド、グリピシド、グリブリド、グリメピリド)、メグリチニド(例えば、レパグリニド及びナテグリニド)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、トログリタゾン、及びピオグリタゾン)、グルカゴン様ペプチド−1模倣物(例えば、エクセナチド及びリラグルチド)、ナトリウム―グルコース共輸送体阻害剤(例えば、ダパグリフロジン)、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤(例えば、グリプチンズ)、ナトリウムーグルコース結合トランスポーター阻害剤、及びα―グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース及びミグリトール)等の2型糖尿病を治療するために投与される薬剤、及び/又は例えば、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、ループ利尿薬(例えば、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、ラシックス、及びトルセミド)、カリウム温存剤(例えば、塩酸アミロリド、スピロノラクトン及びトリアムテレン)、末梢医薬(例えば、レセルピン)、中枢アルファ作動薬(例えば、クロニジン塩酸塩、酢酸グアナベンズ、グアンファシン塩酸塩、及びメチルドーパ)、アルファ遮断薬(例えば、メシル酸ドキサゾシン、塩酸プラゾシン、及び塩酸テラゾシン)、ベータ遮断薬(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ナドロール、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、及びマレイン酸チモロール)、混合α-β遮断薬(例えば、カルベジロール及び塩酸ラベタロール)、直接血管拡張薬(例えば、塩酸ヒドララジン及びミノキシジル)、カルシウム拮抗薬(例えば、塩酸ジルチアゼム及び塩酸ベラパミル)、ジヒドロピリジン系(例えば、ベシル酸アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン及びニソルジピン)、ACE阻害剤(例えば、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、ホシノプリルナトリウム、リシノプリル、モエキシプリル、塩酸キナプリル、ラミプリル及びトランドラプリル、アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、ロサルタンカリウム、バルサルタン及びイルベサルタン(Irbesartan))、及びそれらの組み合わせなど、同様に、典型的には脂血症の治療用のメバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ダルバスタチン、カルバスタチン、クリルバスタチン、ベバスタチン、セフバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン及びグレンバスタチンなどのスタチンなどの高血圧、脂質異常症、虚血性疾患、心筋症、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓症、肺高血圧といった、これらは太りすぎ又は肥満と関連しているが、心臓疾患及び状態を治療するために投与される薬剤が含まれる。
その他共に投与されうる(例えば、続けて又は同時に)第二の活性薬剤は、スタチン、硝酸エステル(例えば、二硝酸イソソルビド(Isosorbide Dinitrate)及び一硝酸イソソルビド(Isosorbide Mononitrate)、ベータ遮断薬、及びカルシウムチャンネル拮抗薬を含む虚血性心疾患を治療するために投与する薬剤、変力薬(例えば、ジゴキシン(Digoxin)、利尿薬(例えば、フロセミド(Furosemide))、ACE阻害剤、カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬(例えば、ソトロール(Sotolol)、アミオダロン(Amidarone)及びジソピラミド(Disopyramide))、及びベータ遮断薬を含む心筋症を治療するために投与する薬剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、直接血管拡張薬、ベータ遮断薬、抗不整脈薬及び血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ(Alteplase)、レタプラーゼ(Retaplase)、テネクテプラーゼ(Tenecteplase)、アニストレプラーゼ(Anistreplase)、及びウロキナーゼ(Urokinase))を含む心筋梗塞を治療するために投与する薬剤、抗血小板薬(例えば、アスピリン(Aspirin)、クロピドグレル(Clopidogrel)、ジピリダモール(Dipyridamole)、及びチクロピジン(Tichlopidine))、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン(Heparin))及び血栓溶解薬を含む心臓発作を治療するために投与する薬剤、抗血小板薬、抗血液凝固剤、及び血栓溶解薬を含む静脈血栓塞栓症を治療するために投与する薬剤、変力薬、抗血液凝固剤、利尿薬、カリウム(例えば、K-dur)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピン(Nifedipine)及びジルチアゼム(Diltiazem))、ボセンタン(Bosentan)、エポプロステノール(Epoprostenol)、シルディナフィル(Sildenafil)を含む肺高血圧症を治療するために投与する薬剤、気管支拡張薬、抗炎症薬、ロイコトリエン阻害薬、及び抗Ige剤を含むぜんそくを治療するために投与する薬剤である。特定のぜんそく薬は、ザフィルルカスト(Zafirlukast)、フルニソリド(Flunisolide)、トリアムシノロン(Triamcinolone)、ベクロメタゾン(Beclomethasone)、テルブタリン(Terbutaline)、フルチカゾン(Fluticasone)、フォルモテロール(Formoterol)、ベクロメタゾン(Bechlomethasone)、サルメテロール(Salmeterol)、テオフィリン(Theophylline)、及びゾペネックス(Xopenex)を含み、睡眠時無呼吸を治療するために投与する薬剤は、モダフィニル(Modafinil)及びアンフェタミンを含み、非アルコール性脂肪肝疾患を治療するために投与する薬剤は酸化防止薬(例えば、ビタミンE及びビタミンC)、インスリン抵抗性改善薬(例えば、メトホルミン(Metformin)、ピオグリタゾン(Pioglitazone)、ロシグリタゾン(Rosiglitazone)及びベタイン(Betaine))、肝臓保護薬、及び脂質低下薬を含み、体重を支える関節の骨関節症を治療するために投与する薬剤は、アセトアミノフェン、非ステロイド抗炎症薬(例えば、イブプロフェン(Ibuprofen)、エトドラク(Etodolac)、オキサプロジン(Oxaprozin)、ナプロキセン(Naproxen)、ジクロフェナク(Diclofenac)、及びナブメトン(Nabumetone))、COX-2阻害剤(例えば、セレコクシブ(Celecoxib))、ステロイド、サプリメント(例えば、グルコサミンとコンドロイチン硫酸)及び人工関節液を含み、プラダーウィリ症候群を治療するために投与する薬剤は、ヒト成長ホルモン(HGH)、ソマトロピン、及び減量治療薬(例えば、オルリスタット(Orlistat)、シブトラミン(Sibutramine)、メタンフェタミン(Methamphetamine)、イオナミン(Ionamin)、フェンテルミン(Phentermine)、ブプロピオン(Bupropion)、ジエチルプロピオン(Diethylpropion)、フェンジメトラジン(Phendimetrazine)、ベンズフェテルミン(benzphetermine)、及びトパマックス(Topamax))を含み、多嚢胞性卵巣症候群を治療するために投与する薬剤は、インスリン抵抗性改善薬、合成エストロゲンとプロゲステロンの混合、スピロノラクトン(Spironolactone)、エフロルニチン(Eflornithine)、及びクロミフェン(Clomiphene)を含み、勃起障害を治療するために投与する薬剤は、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例えば、タダラフィル(Tadalafil)、クエン酸シルディナフィル、及びバルデナフィル(Vardenafil))、プロスタグランジンE類似体(例えば、アルプロスタジル(Alrostadil))、アルカロイド(例えば、ヨヒンビン(Yohimbine))、及びテストステロンを含み、不妊症を治療するために投与する薬剤は、クロミフェン(Clomiphene)、クエン酸クロミフェン、ブロモクリプチン(Bromocriptine)、性腺刺激ホルモン-放出ホルモン(GnRH)、GnRH作動薬、GnRH拮抗薬、タモキシフェン(Tamoxifen)/ノルバデックス(nolvadex)、ゴナドトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヒト閉経ゴナドトロピン(HmG)、プロゲステロン、組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)、尿性卵胞性刺激ホルモン、ヘパリン、ホリトロピンアルファ、及びホリトロピンベータを含み、産科合併症を治療するために投与する薬剤は、塩酸ブピバカイン(Bupivacaine)、ジノプロストン(Dinoprostone) PGE2、メペリジン(Meperidine)HCl、フェロ―フォリック−500(Ferro-folic-500)/イベレット―フォリック−500)iberet-folic-500、メペリジン、メチルエルゴノビン(Methylergonovine)マレイン酸エステル、ロピバカイン(Ropivacaine)HCl、ナルブフィン(Nalbuphine)HCl、オキシモルホン(Oxymorphone)HCl、オキシトシン(Oxytocin)、ジノプロストン(Dinoprostone)、リトドリン(Ritodrine)、臭化水素酸スコポラミン(Scopolamine)、クエン酸スフェンタニル(Sufentanil)、及び分娩促進薬を含み、うつ病を治療するために投与する薬剤は、セロトニンの再取り込み阻害薬(例えば、フルオキセチン(Fluoxetine)、エスシタロプラム(Escitalopram)、シタロプラム(Citalopram)、パロキセチン(Paroxetine)、セルトラリン(Sertraline)、及びベンラファクシン(Venlafaxine)、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン(Amitriptyline)、アモキサピン(Amoxaine)、クロミプラミン(Clomipramine)、デシプラミン(Desipramine)、塩酸ドスレピン(Dosulepine)、ドクサピン(Doxepin)、イミプラミン(Imipramine)、イプリンドール(Iprindole)、ロフェプラミン(Lofepramine)、ノルトリプチリン(Nortriptyline)、オピプラモール(Opipramol)、プロトリプチリン(Protriptyline)、及びトリミプラミン(Trimipramine))、モノアミン酸化酵素阻害薬(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド(Moclobemide)、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリン、ラサギリン(Rasagiline)、ニアラミド、イプロニアジド、イプロクロジド(Iproclozide)、トロキサトン(Toloxatone)、リネゾリド(Linezolid)、Dienolide kavapyrone desmethoxyyangonin、及びデキストロアンフェタミンDextroamphetamine)、精神刺激薬(例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、及びアレコリン)、抗精神病薬(例えば、ブチロフェノン、フェノチアジン、チオキサンテン、クロザピン、オランザピン(Olanzapine)、リスペリドン、クエチアピン(Quetiapine)、ジプラシドン(Ziprasidone)、アミスルプリド(Amisulpride)、パリペリドン(Paliperidone)、シンビアックス(Symbyax)、テトラベナジン、及びカンナビジオール)、及び気分安定剤(例えば、炭酸リチウム、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム(Divalproex sodium)、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オキスカルバゼピン(Oxcarbazepine)、及びトピラマート(Topiramate))を含み、不安神経症を治療するために投与する薬剤は、セロトニンの再取り込み阻害薬、気分安定剤、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、クロナゼパム、ジアゼパム、及びロラゼパム)、三環系抗うつ薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、及びベータ遮断薬を含み、又、セロトニン及びノルアドレナリンの再摂取阻害剤、ノルアドレナリンの再摂取阻害剤、選択的セロトニン再摂取阻害剤、及び腸リパーゼ阻害剤を含むその他の減量薬も含む。特別な減量薬は、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン、及びトパマックスを含んでいる。
ここで用いられているように、「治療すること」又は「治療」は疾病、状態、又は疾患と戦う目的で患者を管理し又は世話をすることを言い、疾病、状態又は疾患の症状又は合併症を緩和するためにあるいは疾病、状態、又は疾患を取り除くために、本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物を投与することを含んでいる。
本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物は、また疾病、状態、又は疾患を防ぐために用いることもできる。ここで用いられているように、「防ぐこと」又は「防ぐ」は、疾病、状態、又は疾患の症状又は合併症の発症を減じる又は除くことを言う。
ここで用いられているように、用語「軽減する」又は「緩和する」は疾患の兆候又は症状の重症度を減ずる工程を述べている。重要なことは、兆候又は症状は、除くことなしに緩和され得ることである。好ましい態様において、本開示の医薬組成物の投与が、兆候又は症状の除去へと導くことであるが、除去は要求されない。有効な用量とは、兆候又は症状の重症度を減ずることが期待される。例えば、複数の場所の少なくとも一つの場所内で癌の重症度が軽減される場合、癌など疾患の兆候又は症状が、これは複数の場所で起こるが、緩和される。
ここで用いられているように、「重症度」は、前癌又は良性の状態から悪性の状態へ移行する癌の可能性を述べている。もしくは、あるいは加えて、例えば、TNMシステム(国際対がん連合(UICC)及び米国がん合同委員会(AJCC)に受け入れられている)、又は他の分野で認知されている方法に依り癌の病期を述べている。癌期とは、原発腫瘍の位置、腫瘍の大きさ、腫瘍の数、及びリンパ節転移(癌のリンパ節への広がり)等の因子に基づき、癌の広がり又は重症度を言う。もしくは、あるいは加えて、重症度は、分野で認知されている方法(参照、国立がん研究所)に依る腫瘍の悪性度を表す。腫瘍の悪性度は、顕微鏡の元で見られる癌細胞が如何に異常に見えるか、いかに早く腫瘍が成長し広がるのかに関して、癌細胞を分類するために用いられるシステムである。細胞の構造及び成長パターンを含む腫瘍の悪性度を決定するとき、多くの因子が考慮される。腫瘍の悪性度を測定するために用いられる特定の因子は、各癌の種類によって多様である。重症度は、分化とも呼ばれる組織学的グレード、これは腫瘍細胞が同じ組織型の正常細胞にどのくらい類似しているかを指しているが、も述べるものである(参照、国立がん研究所)。更に、重症度は、核グレード、これは腫瘍細胞における核の大きさ及び形状及び分裂している腫瘍細胞の百分率を指しているが、を述べるものである(参照、国立がん研究所)。
本開示のその他の態様において、重症度は、腫瘍が成長因子を分泌している、細胞外マトリックスを劣化させている、血管が新生されている、隣り合う組織への接着を失っている、又は転移している程度を言う。更に、重症度は原発腫瘍が転移している場所の数を言う。結局のところ、重症度は、種々の型及び場所の腫瘍の治療の難しさを含んでいる。例えば、手術できない腫瘍、複数の身体組織により多く近づいているこれらの癌、及び伝統的治療に対して最も耐性のあるものが、最も重症であると考えられる。このような状況において、対象の余命を延ばすこと及び/又は痛みを減らすこと、癌性細胞の比を下げること又は一つのシステムに対する細胞を制限すること、及び癌病期/腫瘍の悪性度/組織学的グレード/核グレードを改善することが、癌の兆候又は症状を緩和することであると考えられる。
ここで用いられているように、用語「症状」は疾病、病気、障害、又は身体において何か正しくないことのしるしとして定義できる。症状は、症状を経験している個体により感じる又は気づかれるものであるが、他人では簡単に気付くことはできない。他人は、非医療専門家と定義できる。
ここで用いられているように、用語「兆候」は、身体において何か正しくないことのしるしとして定義できる。しかし、兆候は医師、看護師、又はその他の医療専門家により見つけられるものと定義できる。
癌は、ほとんどあらゆる兆候又は症状を引き起こす一群の疾病である。兆候又は症状は、何処に癌があるのか、癌の大きさ、近くの臓器又は構造にどのくらい影響しているかに依っている。もし癌が広がっている(転移している)場合、その場合症状は身体の異なる部分に現れる。
癌が成長するにつれ、癌は近くの組織、血管及び神経を押し始める。此の圧力が癌の兆候及び症状のいくつかを創り出す。癌が脳のある部分など、重大な場所にある場合、たとえ最も小さい腫瘍であっても早期に症状を引き起こす。
しかし、癌は、癌がかなり大きくなるまで如何なる症状も引き起こさない場所に始まる場合もある。膵臓癌は、例えば、身体の外から感じることができるほど大きくなることは通常ない。膵臓がんのいくつかは、近くの神経の周りに大きくなり始める(これは背中の痛みをひきおこす)まで症状を引き起こさない。胆管周りのその他の成長は、これが胆汁の流れをブロックするが、黄疸として知られている、皮膚の黄変につながる。膵臓癌が、これらの兆候又は症状を引き起こすまでには、癌は通常進んだ段階に来ている。
癌は、又発熱、衰弱、又は体重減少などの症状を引き起こしうる。これは、恐らく癌細胞が多くの身体エネルギー供給を消費し、身体の代謝を変える物質を放出するためである。さもなければ、癌は免疫システムをこれらの症状を生成する様に作用させるのであろう。
時々、癌細胞は、通常癌からとは考えられない症状を引き起こす物質を血流の中に放出する。例えば、膵臓癌のいくつかは、脚の静脈に血栓を発症させる物質を放出し得る。肺癌のいくつかは、血中カルシウム値に影響を及ぼすホルモン様の物質を作り、神経と筋肉に影響し虚弱性とめまいを引き起こす。
癌は、種々の癌細胞の亜型が存在するとき、いくつかの一般的な兆候又は症状を表す。癌を持つ多くの人は、その疾病によりある時期体重減少を起こす。説明のつかない(意図しない)10ポンド以上の体重減少は、癌の、特に膵臓、胃、食道、又は肺がんの、最初の兆候になりえる。
熱は、癌により非常に通常のことであるが、進んだ疾病においてよりしばしば見られる。特に、癌又はその治療が免疫システムに影響し身体が感染と戦うためにより厳しい場合、ほとんどすべての癌患者はある時期熱を出す。白血病又はリンパ腫などに依る、熱が癌の早い兆候となるのはそれほど頻繁ではない。
衰弱は、癌の進行につれ重要な症状となり得る。衰弱は、しかし、白血病などの癌又は大腸や胃癌の場合のように、癌が継続的な失血を引き起こす場合、衰弱は早く起こり得る。
痛みが、骨の癌又は精巣癌などのいくつかの癌による初期の症状になり得る。しかしほとんどの場合、痛みは進行した疾病の症状である。
皮膚の癌とともに、いくつかの内部癌は目につく皮膚の兆候を引き起こす。これらの変化は皮膚の黒ずみ(色素沈着過剰)、黄色(黄疸)、又は赤色(紅斑)に見えること、かゆみ、又は過剰な髪の延びが含まれる。
あるいは又は更に、癌の亜型は特定の兆候又は症状を表す。排便習慣又は膀胱機能における変化が癌を示すことがある。長期の便秘、下痢、又は弁の大きさの変化は、結腸癌の兆候であり得る。排尿痛、血尿、又は膀胱機能の変化(より頻度の高い又はより頻度の低い排尿など)は、膀胱又は前立腺がんに関連し得る。
皮膚の状態における変化又は新しい皮膚の状態の見え方は、癌を示し得る。皮膚癌は、沁み出し癒えないただれのように見える。特に、喫煙、噛みタバコ、又は頻繁に飲酒する患者において、口内に長期間残るただれは、口内癌であり得る。陰茎や膣のただれは感染の兆候又は早期がんである。
異常な出血又は排出は癌を示し得る。異常な出血は、早期又は進んだ癌において起きる。血喀痰(痰)は、肺がんの兆候である。血便(又は暗又は黒便)は、大腸又は直腸がんの兆候であり得る。子宮頸部又は子宮内膜(子宮の内膜)の癌は子宮出血を起こし得る。尿中の血液は、膀胱又は腎臓がんの兆候である。乳首からの血液の沁み出しは、乳癌の兆候である。
胸部又は身体の他の部分における肥厚又は塊は、癌の存在を示し得る。多くの癌は、ほとんどは、胸部、精巣、リンパ節(腺)、及び身体の軟組織において、皮膚を通して触れることができる。塊又は肥厚は、癌の早期又は晩期の兆候であり得る。特に、成形が新しいか又は大きさが成長している場合、いずれの塊又は肥厚も癌のしるしであり得る。
消化不良又は嚥下困難は、癌を示し得る。これらの症状は通常他の原因であるが、消化不良又は嚥下問題は、食道、胃、又は咽頭(喉)の癌の兆候であり得る。
いぼ又は黒子における直近の変化は、癌を示し得る。色、大きさ、又は形におけるいぼ、黒子、又は雀斑の変化、又は明らかな境目がなくなることは、癌の発現の可能性を示している。例えば、皮膚病変はメラノーマかもしれない。
頑固な咳又はかすれ声は、癌を示し得る。なかなか収まらない咳は、肺がんの兆候かもしれない。かすれ声は、喉頭(ボイスボックス)又は甲状腺の癌の兆候であり得る。
上に挙げられた兆候及び症状は、癌とともにより普通に見つけられるものであるが、その他多数の、より普通でなくまた上に挙げられてないものもある。しかしながら、当該分野で認識されている全ての癌の兆候及び症状は、本開示によって考慮されまた包含されている。
癌の治療は、腫瘍の大きさの削減をもたらすことができる。腫瘍の大きさの削減は、「腫瘍退縮」とも言及びされる。好ましくは、治療後、腫瘍の大きさは、治療前の大きさと比べ5%以上の削減であり、より好ましくは、腫瘍の大きさは10%以上の削減であり、より好ましくは、20%以上の削減であり、より好ましくは、30%以上の削減であり、より好ましくは、40%以上の削減であり、更により好ましくは、50%以上の削減であり、また最も好ましくは、75%以上の削減である。腫瘍の大きさは、測定の再現性のある如何なる手段によっても測定してよい。腫瘍の大きさは、腫瘍の直径として測定され得る。
癌の治療は、腫瘍の体積の削減をもたらすことができる。腫瘍の体積の削減は、「腫瘍退縮」とも言及される。好ましくは、治療後、腫瘍の体積は、治療前の体積と比べ5%以上の削減であり、より好ましくは、腫瘍の体積は10%以上の削減であり、より好ましくは、20%以上の削減であり、より好ましくは、30%以上の削減であり、より好ましくは、40%以上の削減であり、更により好ましくは、50%以上の削減であり、また最も好ましくは、75%以上の削減である。腫瘍の体積は、測定の再現性のある如何なる手段によっても測定してよい。
癌の治療は、腫瘍の数の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後、腫瘍の数は、治療前の数と比べ5%以上の減少であり、より好ましくは、腫瘍の数は10%以上の減少であり、より好ましくは、20%以上の減少であり、より好ましくは、30%以上の減少であり、より好ましくは、40%以上の減少であり、更により好ましくは、50%以上の減少であり、また最も好ましくは、75%以上の減少である。腫瘍の数は、測定の再現性のある如何なる手段によっても測定してよい。腫瘍の数は、裸眼又は特定の倍率で可視の腫瘍を数えることによって測定され得る。好ましくは、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又は50倍である。
癌の治療は、原発腫瘍の場所から遠い他の組織又は臓器における転移病巣の数の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後、転移病巣の数の減少は、治療前の数と比べ5%以上の減少であり、より好ましくは、転移病巣の数の減少は10%以上の減少であり、より好ましくは、20%以上の減少であり、より好ましくは、30%以上の減少であり、より好ましくは、40%以上の減少であり、更により好ましくは、50%以上の減少であり、また最も好ましくは、75%以上の減少である。転移病巣の数は、測定の再現性のある如何なる手段によっても測定してよい。転移病巣の数は、裸眼又は特定の倍率で可視の転移病巣の数を数えることによって測定してよい。好ましくは、特定の倍率は、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又は50倍である。
癌の治療は、基剤のみを受けている集団と比べ、治療を受けている集団の平均生存期間の増加をもたらすことができる。好ましくは、平均生存期間は、30日以上の増加であり、より好ましくは60日以上の増加であり、より好ましくは90日以上の増加であり、最も好ましくは120日以上の増加である。集団の平均生存期間の増加は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。集団の平均生存期間の増加は、例えば、集団の、活性化合物による治療の始まりに続く生存の平均長さを計算することによっても測定できる。更に、集団の平均生存期間の増加は、例えば、集団の、活性化合物による治療の初めの回の完了に続く生存の平均長さを計算することによっても測定できる。
癌の治療は、治療を受けていない対象の集団と比べ、治療を受けている対象の集団の平均生存期間の増加をもたらすことができる。好ましくは、平均生存期間は、30日以上の増加であり、より好ましくは60日以上の増加であり、より好ましくは90日以上の増加であり、最も好ましくは120日以上の増加である。集団の平均生存期間の増加は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。集団の平均生存期間の増加は、例えば、集団の、活性化合物による治療の始まりに続く生存の平均長さを計算することによっても測定できる。更に、集団の平均生存期間の増加は、例えば、集団の、活性化合物による治療の初めの回の完了に続く生存の平均長さを計算することによっても測定できる。
癌の治療は、本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、類似体又は誘導体ではない薬剤による単剤治療を受けている集団と比べ、治療を受けている対象の集団の平均生存期間の増加をもたらすことができる。好ましくは、平均生存期間は、30日以上の増加であり、より好ましくは60日以上の増加であり、より好ましくは90日以上の増加であり、最も好ましくは120日以上の増加である。集団の平均生存期間の増加は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。集団の平均生存期間の増加は、例えば、集団の、活性化合物による治療の始まりに続く生存の平均長さを計算することによっても測定できる。更に、集団の平均生存期間の増加は、例えば、集団の、活性化合物による治療の初めの回の完了に続く生存の平均長さを計算することによっても測定できる。
癌の治療は、基剤のみを受けている集団と比べ、治療を受けている対象の集団の死亡率の減少をもたらすことができる。癌の治療は、治療を受けていない集団と比べ、治療を受けている対象の集団の死亡率の減少をもたらすことができる。癌の治療は、本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、類似体又は誘導体ではない薬剤による単剤治療を受けている集団と比べ、治療を受けている対象の集団の死亡率の減少をもたらすことができる。好ましくは、死亡率は、2%以上の減少であり、より好ましくは、5%以上の減少であり、より好ましくは、10%以上の減少であり、また最も好ましくは、25%以上の減少である。集団の死亡率の減少は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。集団の死亡率の減少は、例えば、集団の、活性化合物による治療の始まりに続く単位時間当たりの疾病に関連した死亡の平均値を計算することによって測定できる。集団の死亡率の減少はまた、例えば、集団の、活性化合物による治療の初めの回の完了に続く単位時間当たりの疾病に関連した死亡の平均値を計算することによっても測定できる。
癌の治療は、腫瘍の成長速度の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後、腫瘍の成長速度は、治療の前に対し少なくとも5%減少し、より好ましくは、腫瘍の成長速度は少なくとも10%減少し、より好ましくは、少なくとも20%減少し、より好ましくは、少なくとも30%減少し、より好ましくは、少なくとも40%減少し、より好ましくは、少なくとも50%減少し、更により好ましくは、少なくとも50%減少し、又最も好ましくは、少なくとも75%減少する。腫瘍の成長速度は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。腫瘍の成長速度は、単位時間当たりの腫瘍の直径の変化に従って測定できる。
癌の治療は、腫瘍の再成長の減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後、腫瘍の再成長は、治療後、5%以下であり、より好ましくは、腫瘍の再成長は10%以下であり、より好ましくは、20%以下、より好ましくは、30%以下、より好ましくは、40%以下、より好ましくは、50%以下、更により好ましくは、50%以下、又最も好ましくは、75%以下である。腫瘍の再成長は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。腫瘍の再成長は、例えば、治療に続いて起こった腫瘍の縮小後、腫瘍の直径の増加を測ることによって測定できる。腫瘍の再成長の減少は、治療の中断後腫瘍の再発が起こらないことによって示される。
細胞増殖性疾患の治療又は予防は、細胞の増殖の速さの減少をもたらすことができる。好ましくは、治療後、細胞の増殖の速さは、治療後、少なくとも5%減少され、より好ましくは、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、更により好ましくは、少なくとも50%、又最も好ましくは、少なくとも75%減少される。細胞の増殖の速さは、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。細胞の増殖の速さは、例えば、単位時間当たりの組織サンプルにおける細胞分裂の数を測ることによって測定できる。
細胞増殖性疾患の治療又は予防は増殖細胞の割合の減少をもたらすことができる。増殖細胞の割合は、治療後、少なくとも5%減少され、より好ましくは、少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも30%、より好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも50%、更により好ましくは、少なくとも50%、又最も好ましくは75%減少される。増殖細胞の割合は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。好ましくは、増殖細胞の割合は、例えば、組織サンプルにおいて非分裂細胞の数に対する分裂細胞の数を定量測定することにより測定できる。増殖細胞の割合は、分裂し指数と同等である。
細胞増殖性疾患の治療又は予防は、細胞増殖の場所又は領域の大きさの減少をもたらすことができる。好ましくは、細胞増殖の場所又は領域の大きさは、治療後、治療前の大きさに比べ、少なくとも5%減少され、より好ましくは、少なくとも10%減少され、より好ましくは、少なくとも20%減少され、より好ましくは、少なくとも30%減少され、より好ましくは、少なくとも40%減少され、より好ましくは、少なくとも50%減少され、更により好ましくは、少なくとも50%減少され、又最も好ましくは75%減少される。細胞増殖の場所又は領域の大きさは、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。細胞増殖の場所又は領域の大きさは、細胞増殖の場所又は領域の直径又は幅として測定できる。
細胞増殖性疾患の治療又は予防は、異常な見かけ又は形状を持つ細胞の数又は割合の減少をもたらすことができる。好ましくは、異常な見かけ又は形状を持つ細胞の数は、治療後、治療前の大きさに比べ、少なくとも5%減少され、より好ましくは、少なくとも10%減少され、より好ましくは、少なくとも20%減少され、より好ましくは、少なくとも30%減少され、より好ましくは、少なくとも40%減少され、より好ましくは、少なくとも50%減少され、更により好ましくは、少なくとも50%減少され、又最も好ましくは75%減少される。異常な細胞の見かけ又は形状は、再現性のあるいずれの手段によっても測定できる。異常な細胞の形状は、例えば、倒立組織培養顕微鏡を用いて、顕微鏡観察により測定できる。異常な細胞の形状は、多核形成の形状としてとらえることができる。
癌又は細胞増殖性疾患の治療は、細胞の死をもたらすことができ、好ましくは、細胞の死は、集団における細胞の数で、少なくとも10%の減少をもたらす。より好ましくは、細胞の死は、少なくとも20%の減少、より好ましくは少なくとも30%の減少、より好ましくは少なくとも40%の減少、より好ましくは少なくとも50%の減少、最も好ましくは少なくとも75%の減少を意味する。集団における細胞の数は、蛍光活性化細胞分類(FACS)、免疫蛍光顕微鏡及び光学顕微鏡により測定できる。細胞の死の測定方法は、Liら、Proc Natl Acad Sci USA.100(5): 2674−8、2003に示されている。ある態様において、細胞の死は、アポトーシスによっておこる。
好ましくは、本開示の化合物、又はその医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の効果のある量は、正常細胞に対して著しく細胞毒性がない。化合物の治療効果のある量の投与が、正常細胞の10%より多くの細胞死を引き起こさない場合、化合物の治療効果のある量は正常細胞に対して著しく細胞毒性がない。化合物の治療効果のある量の投与が、正常細胞の10%より多くの細胞死を引き起こさない場合、化合物の治療効果のある量は正常細胞の生存能力に著しく影響しない。ある態様において、細胞の死は、アポトーシスによっておこる。
本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の細胞への接触は、選択的に癌細胞における細胞死を引き起こすか又は活性化させることができる。本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の、治療を必要とする対象への投与は、選択的に癌細胞における細胞死を引き起こすか又は活性化させることができる。本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の細胞への接触は、選択的に細胞増殖性疾患に冒された一つ以上の細胞において、細胞死を引き起こすことができる。好ましくは、本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の治療を必要とする対象への投与は、選択的に細胞増殖性疾患に冒された一つ以上の細胞において、細胞死を引き起こすことができる。
本開示は、本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物を、治療を必要とする対象に、投与することによって癌を治療又は予防する方法であり、該本開示の化合物、その医薬的に許容された塩、プロドラッグ、代謝物、多型、又は溶媒和物の投与は以下の一つ以上の結果をもたらす、すなわち、細胞周期のG1及び/又はS期にある細胞の蓄積、正常細胞における有意な細胞死量を伴わない癌細胞における細胞死を介した細胞毒性、動物にて少なくとも2の治療指数である抗腫瘍活性、及び細胞周期のチェックポイントの活性化。ここで用いられているように、「治療指数」は、有効量で割られた最大耐量である。
化合物の「治療効果のある量」とは、治療への応用に関し、望ましい用法量(哺乳動物へ、好ましくはヒトへ)の一部として投与された時、治療すべき疾患又は状態に対する臨床的許容基準、又は美容目的に従って、例えば任意の医療に適用できる妥当な利点/リスク比で、症状を緩和するか、状態を軽減するか、又は疾病状態の発現を遅らせる又は防止する、調剤の際の化合物の量を意味する。「治療効果のある量」は「効果的用量」と同義である。
ここで用いられているように、薬剤、化合物、又は医薬組成物の「効果的用量」又は「効果のある量」は有益又は望まれる結果を引き起こすのに充分な量である。例えば、予防的使用には、有益又は望まれる結果は、疾患の生化学的、組織学的、及び/又は行動症状、その合併症、及び疾患の発症期に現れる病気学的中間表現型を含む、危険度の削減や減少、疾重篤性の軽減、又は疾患の発現を遅らせるなどの結果を含んでいる。治療的使用には、有益又は望まれる結果は、疾病の強度、期間、発症の頻度の減少、合併症及び疾患の発症期に現れる病気学的中間表現型を含む疾病に起因する一つ以上の症状(生化学的、組織学的、及び/又は行動)の減少、疾病に悩む人々の生活の質の向上、疾病を治療するために必要なその他の医薬品の用量の減少、他の医薬品の効果の強化、及び/又は患者の疾病の進展の遅延などの臨床結果を含んでいる。効果的用量は、一つ以上の投与によって投与することができる。本開示の目的のために、薬剤、化合物、又は医薬組成物の効果的用量は、直接的又は間接的な予防又は治療的処置を成し遂げるために充分な量である。臨床的所見から理解されるように、薬剤、化合物、又は医薬組成物の効果的用量は、その他の薬剤、化合物、又は医薬組成物との組み合わせによりなされてもよいし、そうでなくともよい。このように、「効果的用量」は、投与の所見において、一つ以上の治療薬と考えてよく、また、一つ以上のその他の用剤との組み合わせにおいて、望まれる結果が得られる又は成し遂げられるならば、単独の薬剤が、効果的量で与えられると考えてよい。例えば、増殖性疾患を治療するための本開示の化合物の効果的量は、増殖性疾患と関連する一つ以上の症状を治療又は軽減するために充分な量である。「効果的量」は、次の一つ以上(本開示の種々の態様に対応する)において結果を出すのに充分な量である、すなわち、腫瘍の大きさの減少、腫瘍の体積の減少、腫瘍の数の減少、転移性病巣の減少、生存期間の増加、死亡率の減少、腫瘍成長速度の減少、腫瘍再成長の減少、増殖性細胞の割合の減少、又は増殖性疾患に悩む者の生活の質の改善である。
いずれの化合物についても、治療効果のある量は、始めに、例えば腫瘍細胞など、胞培養分析法、又はふつうはラット、マウス、ウサギ、イヌ、又はブタの動物モデルのいずれかで見積もることができる。動物モデルは、又適切な濃度範囲及び投与経路を決定するためにも採用できる。その様な情報は、ヒトにおいて投与の有用な用量や経路を決定するために採用できる。治療的/防止的効能及び毒性は、例えば、ED50(集団の50%において治療効果のある用量)及びLD50(集団の50%に対し致死量)細胞培養又は実験的動物において標準的な薬学的手順によって測定できる。毒性及び治療的効能の間の用量比は治療指数であり、これはLD50/ED50の比として表せる。高い治療指数を表す医薬組成物が、好ましい。投薬は、採用されている投薬形状、患者の感受性、及び投与の経路によって、この範囲内で様々である。
投薬及び投与は、活性薬剤の充分な値を提供し又は望まれる効果を持続するために調整される。ここで述べられている一つ以上の化合物を対象に提供する際、化合物の投与は、対象の年齢、体重、身長、性別、通常の健康状態、既往歴、疾病の進展、投与の経路、調剤、等の因子によって様々である。
本開示の化合物の投薬は、一つ以上の投与を受けているここにおいて経験的に決められる。本開示の化合物の投薬は個別に、徐々に増やし与えられる。本開示の化合物の有効性を評価するため、疾病の状態のマーカーが観察される。投薬が個々人、疾病の段階(例えば、腫瘍の大きさ、腫瘍の数)及び用いられている過去及び現在進行している治療によって様々であることは、当業者に明らかであろう。
本開示の化合物の毒性及び治療的効能は、実験動物において標準的な薬学的手順によって測定できる。毒性用量は、最大耐用量(MTD)あるいはLD50(集団の50%に対する致死量)として決められる。有効用量はED50(集団の50%に対し治療的に有効)又は動物において変化の平均量を与えるのに必要な用量(例えば、対象群における10mmHgの収縮期血圧の平均減少を与えるのに必要な用量)として決められる。
理想的には、有効及び毒性用量は、同一の種において決められる。しかし、異なる種で決められる場合、相対成長率が、その他の種へ有効及び毒性用量を翻訳するのに用いることができる。毒性及び治療効果の間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。マウスをラットと比較すると、通常受け入れられているスケール因子は2であり、ラット用量は、マウスにおける半分の用量と見積もることができる。このように、ラットにおける毒性用量が100mg/kgでマウスにおける有効用量が1mg/kgの場合、ラットにおける治療指数は、ラットにおける有効用量は1mg/kg/2又は0.5mg/kgに等しいものとして計算でき、又治療指数は200である。FDAは、(a)メジアン致死量とメジアン効果用量の間に2倍以下の違いがある場合又は(b)血液中の最少毒性と最少有効濃度の間に2倍以下の違いがある場合は、薬剤は狭い治療的範囲を持つものと定義できる。
高い治療指数を示す本開示の化合物は好ましい。有毒な副作用を示す本開示の化合物が用いられる一方で、感染していない細胞を害する可能性を最少にし、それによって副作用を低減するため、影響を受けた組織の場所へそのような本開示の化合物を標的にした送達システムを計画するには注意を払うべきである。
動物研究から得られたデータは、ヒト用の投薬範囲を配合する際に採用できる。本開示のその様な化合物の投薬は、ほとんどあるいは全く毒性のない有効用量範囲を含む血中濃度の範囲内であることが望ましい。投薬は、採用された投薬形状及び用いられた投与経路に依ってこの範囲内で様々であってよい。分子量(MW)1000以下の本開示の化合物にとって、治療有効用量は、始めに細胞培養分析により見積もることができる一方、動物モデルは、そのリンカーが活性部分を解放するために分裂を必要とする複合体の用量のよりよい見積もりを提供する。その様な情報は、ヒトへの有用な用量をより正確に決定するために採用することができる。当該分野では、ポリマー複合体が、活性部分の活性を希釈することはよく知られている(ポリマーが希釈剤である)。上記は、次の表に示されている抗がん剤のマウスへの用量モデルに例示されている。
本開示のポリマー複合体及び修飾された化合物は、複合化されない及び/又は修飾されない親薬剤/活性部分に比べ、驚くことに優れた効能を与え又毒性を低減させる。
例えば、本開示のフマギリオール複合体及び修飾されたフマギリオール化合物は、フマギリオール小分子に対し驚くほど優れており、等しいモル用量でDIOマウスにおいて腫瘍減少を増大させる。本開示の化合物は、等しい腫瘍減少をもたらすのに、より低いモル用量で、より頻度の低い投与で用いることができる。より低いモル用量及び投与頻度の低減は、全身薬物暴露及び全身薬物毒性を下げる。
伝統的なポリマー複合体は、活性を希釈し、5〜20倍に用量を増加させ、治療指数(<2倍)はほとんど変化させない。対照的に、本開示のポリマー複合体化合物は、驚くことにまた予想を超えて治療指数を増強し(倍の規模の改善)また少ない用量で活性の増化を示す。
本開示の方法において、本開示のポリマー複合体化合物は、非標的区画において、より少ない頻度の用量の投与(例えば、q4d、毎4日目の服用、q7d、毎7日目の服用、q8d、毎8日目の服用)、少なくとも84モル%のフマギリオール当量を削減した用量、減少したAUCで、驚く効能を示す一方、治療指数は増加する(>10倍)。
その他の態様において、本開示の化合物の有効投薬を提供する。例えば、腫瘍の減少に効果のある本開示の化合物の用量を投与することを含む方法が提供されている。例えば、ここに述べられている方法において、本開示の化合物の企図される投薬は、およそ200mg/日、およそ80mg/日、およそ40mg/日、およそ20mg/日、およそ10mg/日、およそ5mg/日、およそ3mg/日、およそ2mg/日、およそ1mg/日、およそ0.5mg/日、およそ0.2mg/日、およそ0.05mg/日、およそ0.01mg/日、又はおよそ0.001mg/日の体重に依存した用量の投与を含んでいてもよい。
患者の腫瘍減少のために薬剤の有効量は、体重又は体表面に基づいて投与することもでき、一日当たりおよそ0.0001mg/kgからおよそ5mg/kg体重である。例えば、企図される投薬は、単一、分割された又は連続用量で、一日当たりおよそ0.001から5mg/kg体重、一日当たりおよそ0.001mg/kgから1mg/kg体重、一日当たりおよそ0.001mg/kgから0.1mg/kg体重、一日当たりおよそ0.001から0.010mg/kg体重、又は一日当たりおよそ0.007mg/kg体重である。これらの用量は、患者のkg体重、m2体表面積、及び年齢によって調節してよい。例えば、企図される投薬は、およそ1mg/m2からおよそ50mg/m2、およそ5mg/m2からおよそ25mg/m2、およそ5mg/m2からおよそ50mg/m2、およそ5mg/m2からおよそ15mg/m2、又はおよそ5mg/m2からおよそ10mg/m2である。
薬剤の有効量は、臨床医又はその他の資格のある観察者によって気づかれるほど、客観的に確認できる改善を与える量である。例えば、患者の腫瘍の退縮は、腫瘍の直径と関連して測定することができる。腫瘍の直径の減少は縮退を示す。縮退はまた、治療が停止された後に腫瘍が再発しないことで示される。ここで用いられているように、用語「投薬の有効な方法」は、対象又は細胞に、望まれる生物学的効果を起こす活性な化合物の量を言う。
前記化合物を用いる投薬計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別、及び健康状態、治療されるべき状態の重篤性、投与の経路、患者の腎臓と肝臓の機能、及び用いられている特定の化合物又はその塩などを含む様々な因子によって選択できる。当業者の医師又は獣医師ならば、状態の進展を予防、抗する、又は阻むために必要な薬剤の有効量を決定又は処方することができる。
本開示の方法に依る、本開示の化合物の投与は、例えば、レシピエントの生理的状態、投与の目的が治療であるか又は予防であるか、及び熟練した開業医に知られているその他の因子によって、連続又は断続的であってよい。本開示の化合物の投与は基本的には、事前に選択された期間継続する又は一連の間隔をあけた用法である。
数日又はより長い期間の繰り返しの投与の場合、状態によるが、治療は、疾病の症状の望まれる抑え込みが起こるまで又は充分な治療レベルが成し遂げられるまで持続する。例えば、一週間に1回から5回までの服用が企図される。その他の服用計画は、1週間に1から5回、毎3、4日毎、又はより少ない頻度が含まれる。ある態様において、本開示の化合物は、およそ毎4日目、およそ毎7日目、およそ毎10日目、又はおよそ毎14日目で投与される。幾つかの様態において、本開示の化合物は、およそ週に1回、毎に週間に1回、又は毎月およそ1〜4回、薬剤投与への応答の期間に基づいて投与される。交互に2日間〜7日間あるいは14日間もの空きのある断続的な投与計画を採用してもよい。幾つかの態様において、治療間毎日の服用により始め、後に週ごと又は月ごとに変更することもできる。この治療の進展は、従来技術や分析によって、又米国特許6548477号明細書に記載のMetAP2を測定することによって簡単に観察できる。
投与の頻度は、治療の経過によって決定し調節してもよい。例えば、投与の頻度は治療される疾病の種類や重篤性、薬剤が防止又は治療目的で投与されるのか、これまでの治療、患者の病歴や薬剤に対する反応、及び主治医の判断に基づいて決定又は調節することができる。典型的には、臨床医が、本開示の化合物を、投薬が望みの結果を達成するまで投与する。
治療は、望まれるとおり長い又は短い期間続けられる。適した治療期間は、例えば、少なくともおよそ1週間、少なくともおよそ4週間、少なくともおよそ1か月、少なくともおよそ6か月、少なくともおよそ1年、少なくともおよそ2年、又は無期限である。治療期間は、望みの結果、例えば腫瘍減少目標が達成された時に終えることができる。例えば、およそ5%の腫瘍の大きさ、およそ10%の腫瘍の大きさ、およそ20%の腫瘍の大きさ、およそ30%の腫瘍の大きさ、又はそれ以上の消失が達成された時である。治療計画は、本開示の化合物が腫瘍の大きさの減少を提供するのに充分な用量又は投与頻度で投与される矯正相をふくみ、それに続き化合物の腫瘍の再成長を防止するのに充分なより低い用量又は下げられた投与頻度で投与される維持相が続く。
本開示の化合物及び医薬組成物
本開示は、修飾された活性部分、複合体部分、及び切断可能なリンカー、該リンカーの切断は実質的に標的の組織内で起こり、非修飾の活性部分と比べると標的組織からの流失が抑えられる修飾された活性部分を生成する、を含む組成物及び薬剤複合体組成物を提供する。本開示はまた、修飾された活性部分を含む組成物を提供する。
用いられている複合体部分は、例えば、活性部分の薬物動態学的及び薬力学的特性などの生物学的必要条件及び疾患状態の知識に加え、複合体部分と活性部分の両方の物理化学的特性に基づく。当業者は、上述の考慮に基づき適切な複合体部分を選択することができるであろう。該複合体部分は、タンパク、ペプチド、又はオリゴヌクレオチドなど、小分子活性部分又はより大きな分子活性部分を送達するために用いられる。
複合体部分は、活性部分の標的へ送達を改善する。複合体部分は、活性部分の生物学的利用能を最大化させ、活性部分の効果の発現、期間、及び送達速度を最善化させ、有効治療のために要求される限り治療範囲内で標的組織における活性部分の濃度を保つように選択される。複合体部分は、活性部分の逆の副作用を最小化するよう補助もする。このように、複合体部分は、活性部分の薬学的活性を延長させ、不安定な活性部分を化学的及びタンパク質分解的劣化から安定化させ、副作用を最少にし、可溶性を増加させ、活性部分で特定の細胞又は組織を標的にする。
考慮されている複合体部分の他の特性は、複合体部分が最小限であるか又は非免疫原性及び非毒性である。複合体部分の分子量は、腎臓の限外濾過を通した早期の排除を避けるほど充分高く又体内において好ましくない堆積を防ぐほど充分低くあるべきである。ある態様において、複合体部分は、親水性であり又生分解性である。非生分解性の複合体部分も本開示の組成物及び方法に適している。複合体部分は、要求される分量の活性部分を運ぶことができるべきであり、標的組織への輸送中、活性部分の未熟な代謝に対し保護すべきである。
例示的な複合体は、ポリマーの全ての形状、合成ポリマーと同様にペプチド、多糖類、ポリ核酸、抗体、及びアタプマーを含む天然物関係ポリマーが含まれる。本開示のポリマーの例としては、Bockらの米国特許第4997878号明細書、Kopecekらの第5037883号、Kopecekらの第5258453号、Zhangらの第6464850及びBrocchiniらの第6803438号に述べられており、これらの各々の内容の全体は参照としてここに援用される。更に加えられるポリマーの例としては、Subrら、J Controlled Release18、123−132(1992)に述べられている。幾つかの態様において、ポリマーの合成方法は、二つ以上のポリマー鎖の組み合わせへ導き、ポリマー複合体の重量平均分子量を増加させる。もしこの組み合わせが起こるなら、結合は生分解性であることはさらに認識される。
活性部分は、対象において、治療効果をもたらすいずれも化合物又は分子でもよい。ある態様において、該化合物又は分子は、2000ダルトン以下、1500ダルトン以下、1000ダルトン以下、500ダルトン以下、250ダルトン以下、100ダルトン以下、75ダルトン以下、50ダルトン以下、又は25ダルトン以下の分子量を有する。ある態様において、該化合物又は分子は、メチオニンアミノペプチターゼ−2(MetAP2)阻害剤である。ある態様において、該化合物又は分子は、フマギリン、フマギリオール、又は、それらの類似体、誘導体、塩、又はエステルである。選択される化合物又は分子は、治療されるべき状態又は疾病に依る。ある態様において、二つ以上の活性部分が採用される。ある態様において、活性部分と非活性「キャッピング」部分が用いられる。本開示の組成物において、複合体部分は、リンカーを通して活性部分と結合される。当分野で知られている、いずれのリンカー構造でも、修飾された活性部分を複合体部分に結合するために用いてもよい。用いられるリンカーは、標的組織の生理的な状態、最適化されている活性部分の特性、及び切断機構に依る。D’Souzaらは、タンパク分解切断を通して作用するリンカーを含む、種々の種類のリンカーを検証している(“Release from Polymeric Prodrugs:Linkages and Their Degradation“ J. Pharm. Sci、93、1962−1979(2004))。Blencoeらは、種々の自己犠牲的リンカーについて述べている(Self−immolative linkers in polymeric delivery systems“ Polym. Chem. 2、773−790(2011)。Ducryらは、Bioconj. Chem. 21、5−13(2010)“Antibody−Drug Conjugates:Linking Cytotoxic Payloads to Monoclonal Antibodies“でリンカーについて検証している。マトリックスプロテアーゼ(MMPs)による切断に適したペプチドリンカーが、Chauら、“Antitumor efficacy of a novel polymer−peptide−drug conjugate in human tumor xenograft models“ Int. J. Cancer 118、1519−1526(2006)及びChauら、米国特許出願公開第2004/0116348号明細書に記載されている。本開示の組成物に適したその他のリンカー化学物質は、Shioseら、Biol. Pharm. Bull. 30(12) 2365−2370(2007)、Shioseら、Bioconjugate Chem. 20(1) 60−70(2009)、Senter、 米国特許第7553816号明細書、De Groot、米国特許第7223837号明細書、King、米国特許第6759509号明細書、Susaki、米国特許第6835807号明細書、Susaki、米国特許第6436912号明細書、及びGemeihhart、米国特許第7943569号明細書に示されている。
ある態様において、リンカーはペプチドリンカーである。例示的なペプチドリンカーは、Susakiらの米国特許第6835807号明細書、Inoueらの米国特許第6291671号明細書、Inoueらの米国特許第6811996号明細書、Susakiらの米国特許第7041818号明細書、Senterらの米国特許第7091186号明細書、Senterらの米国特許第7553816号明細書に述べられており、これらの各々の内容の全ては参照により本明細書に援用される。更なる例示的なペプチド及びそれらの切断は、Shioseら、Biol. Pharm. Bull. 30(12) 2365−2370(2007)及びShioseら、Bioconjugate Chem. 20(1) 60−70(2009)に述べられている。マトリックスプロテアーゼ(MMPs)による切断に適したペプチドリンカーは、Chauら、“Antitumor efficacy of a novel polymer−peptide−drug conjugate in human tumor xenograft models“ Int. J. Cancer 118、1519−1526(2006)及びChauら、米国特許出願公開第2004/0116348号明細書に記載されている。
リンカーは、当該分野で知られたいずれの機構によっても切断される。例えば、タンパク分解切断用又は細胞内タンパク分解切断用にデザインされている。ある態様において、リンカーは、血漿中でリンカーの切断が起こらないように、又は血漿中で切断が非常に低い速さであるようにデザインされている。例示的なリンカー構造は更に詳細に以下に述べる。
ある態様において、リンカーは、疾病組織において優先的に切断されるような構造を持っている。ほとんどの加水分解酵素は正常及び疾病組織の両方に存在するので、リンカーは、疾病組織においてより活性及び/又は疾病組織においてより広く行き渡っている加水分解酵素に切断されるべきである。例えば、腫瘍は概して、増加された基礎代謝率を持ち、特にカテプシンを含むタンパク分解酵素を過剰に発現する。癌における該増加及びタンパク分解酵素の役割は、Masonら、Trends in Cell Biology 21、228−237(2011)に述べられている。
ある態様において、修飾された活性部分の部類は、不可逆的に標的に結び付く部分である、すなわち、複合体からの放出の後、活性部分は、生化学的標的に共有結合的に結合する部分である。いったん結び付けられると、活性部分は、拡散又は細胞の外へ運ばれることはない。不可逆結合の場合、標的化が起こるためには、小分子の標的に結合する率、Krev1、は小分子の流出率、Ksm-1、に比べ有意でなければならない。もし、流出率が、小分子の結合に比べ高い時、小分子の平衡が、血漿と細胞内区画の間で成り立ち、細胞外送達に対して、細胞内送達の優位性はない。
他の態様において、修飾された活性部分の部類は、可逆的に標的に結び付く部分である。可逆結合の場合、標的化が起こるためには、小分子が標的に結び付くための平衡乗数K=Krev1/Krev-1は高くなければならない又「オン率」、Krev1、は小分子の流出率、Ksm-1、に比べ大きくなければならない。もし、流出率が、小分子の結合に比べ高い時、小分子の平衡が、血漿と細胞内区画の間で成り立ち、細胞外送達に対して、細胞内送達の優位性はない。その様な関係は、模式的に以下に述べる:図中、[PC]=ポリマー複合体の濃度;[SM]=放出された小分子の濃度;plasma=血漿濃度;icell=細胞内濃度;icell−target=細胞内標的に可逆的に結合された小分子;又、inactive=小分子の非活性代謝物。ある態様において、Krev-1=0、活性部分はその標的に非可逆的に結合する。
他の態様において、修飾された活性部分の部類は、非常に高い平衡乗数と流出に比べ高い[オン率]を持つ部分である。他の態様において、修飾された活性部分の部類は、流出に比べ高い率で細胞内代謝を受ける部分である。
ある態様において、活性部分への修飾は、切断に際し、リンカー断片が活性部分に付けられて残るような構造を持つリンカーを用いて成される。その断片は、分子量、疎水性、極性のある表面、又は活性部分の電荷のいずれかを変化させ、それによって、非修飾活性部分に比べ、標的細胞からの流出が減少する修飾された活性部分を生成する。例えば、ここで述べられているリンカーを通した、カップリングMetAP2阻害剤活性部分は、リンカーの切断に際し、(修飾された活性部分に)付いたリンカー断片を持つ活性部分を生成する複合体を提供する。ここで述べられている修飾された活性部分は、非修飾の活性部分に比べ、細胞からの流出が減っており、それにより親小分子に対する優れた効能を持つ修飾された活性部分、親小分子への優れた効果、及び、優れた薬物動態プロファイルをもたらす。
本開示は、下記の構造を持つリンカーを有する複合体を提供する:
構造式中、それぞれ個別に、R4はH又はC1−C6アルキル;R5はH又はC1−C6アルキル;R6はC2−C6ヒドロキシアルキル;Zは -NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−L又は -NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Q−X−Y−C(O)−W;AA1はグリシン、アラニン、又はH2N(CH)2mCO2H、mは2、3、4又は5;AA2は結合又はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;AA3は結合又はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;AA4は結合又はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;AA5は結合又はグリシン、バリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン又はアスパラギンであり;AA6は結合又はアラニン、アスパラギン、シトルリン、グルタミン、グリシン、ロイシ、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン又は、H2N(CH2)mCO2H;mは2、3、4又は5、−OH、−O−スクシンイミド、−O−スルホスクシンイミド、アルコキシ、アリールオキシ、アシロキシ、アロイルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、−NH2、−NH(C2−C6ヒドロキシアルキル)、ハライド又はパーフルオロアルキルオキシ;QはNR、O又はS;XはM−(C(R)2)p−M−J−M−(C(R)2)p−M−V、Mは結合又はC(O);Jは結合又は((CH2)qQ)r、C5−C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、NR、O又はS;YはNR、O又はS;RはH又はアルキル;Vは結合又は
R9はアルキル、アリール、アラルキル又は結合、又はR9はYと結合し複素環を形成する、R10はアミノ又は結合、R11はH又はアルキル、WはMetAP2阻害剤部分又はアルキル部分又はアルキル;xは1〜およそ450の範囲内;yは1〜およそ30の範囲内;nは1〜およそ100の範囲内;pは0〜20;qは2又は3;及びrは1、2、3、4、5、又は6である。幾つかの態様において、nは、およそ1〜およそ90の範囲内;およそ1〜およそ80;およそ1〜およそ70の;およそ1〜およそ60;およそ1〜およそ55;又はおよそ1〜およそ50である。
ある態様において、R4はC1−C6アルキルである。ある態様において、R4はメチルである。ある態様において、R5はC1−C6アルキルである。ある態様において、R5はメチルである。ある態様において、R6は2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル又は3−ヒドロキシプロピルである。ある態様において、R6は2−ヒドロキシプロピルである。
ある態様において、該化合物はおよそ100kDa以上の分子量を持つ。ある態様において、該化合物はおよそ100kDa以下の分子量を持つ。他の態様において、該分子量は95kDa以下である。該分子量は90kDa以下である。他の態様において、該分子量は80kDa以下である。他の態様において、該分子量は70kDa以下である。他の態様において、該分子量は65kDa以下である。他の態様において、該分子量は60kDa以下である。他の態様において、該分子量は45kDa以下である。他の態様において、該分子量は35kDa以下である。
ある態様において、x対yの比はおよそ100:1〜およそ1:1の範囲内である。ある態様において、x対yの比はおよそ30:1〜およそ3:1の範囲内である。他の態様において、x対yの比はおよそ19:2〜およそ7:2の範囲内である。ある態様において、x対yの比はおよそ9:1〜およそ4:1の範囲内である。ある態様において、該x対y比は11:1である。ある態様において、該x対y比は9:1である。ある態様において、該x対y比は4:1である。ある態様において、該x対y比はおよそ12:1である。例えば、ある態様において、該x:y比はおよそ3:1であり、x:y比はおよそ4:1であり、x:y比はおよそ5:1であり、x:y比はおよそ6:1であり、x:y比はおよそ7:1であり、x:y比はおよそ8:1であり、x:y比はおよそ9:1であり、x:y比はおよそ10:1であり、x:y比はおよそ11:1であり、x:y比はおよそ12:1であり、x:y比はおよそ13:1であり、x:y比はおよそ14:1であり、x:y比はおよそ15:1であり、x:y比はおよそ16:1であり、x:y比はおよそ17:1であり、x:y比はおよそ18:1であり、x:y比はおよそ19:1であり、x:y比はおよそ20:1であり、x:y比はおよそ21:1であり、x:y比はおよそ22:1であり、x:y比はおよそ23:1であり、x:y比はおよそ24:1であり、x:y比はおよそ25:1であり、x:y比はおよそ26:1であり、x:y比はおよそ27:1であり、x:y比はおよそ28:1であり、x:y比はおよそ29:1であり又はx:y比はおよそ30:1である。
ある態様において、Zは−NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Lである。ある態様において、Lはメトキシ、エトキシ、ペンタフルオロフェニルオキシ、フェニルオキシ、アセトキシ、フルオライド、クロライド、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、フェニルオキシカルボニルオキシ、4−ニトロフェニルオキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、又はトリフルオロエトキシである。ある態様において、Lは4−ニトロフェニルオキシである。
ある態様において、Zは−NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Q−X−Y−C(O)−Wである。ある態様において、AA1はグリシンである。ある態様において、AA2はグリシンである。ある態様において、AA3はグリシンである。ある態様において、AA4はグリシン又はフェニルアラニンである。ある態様において、AA5はロイシン、フェニルアラニン、バリン又はチロシンである。ある態様において、AA6はアスパラギン、シトルリン、グルタミン、グリシン、ロイシン、メチオニン、スレオニン又はチロシンである。ある態様において、AA5−AA6はLeu−Cit、Leu−Gln、Leu−Gly、Leu−Leu、Leu−Met、Leu−Thr、Phe−Cit、Phe−Gln、Phe−Leu、Phe−Met、Phe−Thr、Val−Asn、Val−Cit、Val−Gln、Val−Leu、Val−Met、Val−Thr、Try−Cit、Try−Leu、又はTry−Metである。ある態様において、AA1、AA3及びAA5はグリシン、バリン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、又はアスパラギンである。ある態様において、AA2、AA4及びAA6はグリシン、アスパラギン、シトルリン、グルタミン、グリシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン又はチロシンである。ある態様において、AA2は結合;及びAA3は結合である。ある態様において、AA1はグリシン;AA4はフェニルアラニン;AA5はロイシン;及びAA6はグリシンである。
ある態様において、Wは、
であり、
式中、R2は−OH又はメトキシ;及びR3はH、−OH又はメトキシである。
ある態様において、Wは、
である。
ある態様において、Wは、
である。
ある態様において、QはNRである。他の態様において、QはSである。
ある態様において、JはNRである。他の態様において、Jは((CH2)qQ)rである。他の態様において、JはC5−C8シクロアルキルである。ある態様において、Jはアリールである。
ある態様において、YはNRである。他の態様において、YはSである。
ある態様において、−Q−X−Y−は、
Vは、
又は結合;R12はH又はMe;又はR12はR14とともにピペリジン環を形成する;R11はH又はMe;及びR13はR12とともにピペリジン環を形成する。
ある態様において、−Q−X−Y−は、
である。
ある態様において、−Q−X−Y−は、
である。
ある態様において、−Q−X−Y−は、
である。
ある態様において−Q−X−Y−は、
である。
ある態様において、−Q−X−Y−は、
であり、ある態様において、−Q−X−Y−は、
である。
ある態様において、R4及びR5は、メチル;R6は2−ヒドロキシプロピル;Zは、−NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Q−X−Y−C(O)−W;AA1はグリシン;AA2は結合;AA3は結合;AA4はフェニルアラニン;AA5はロイシン;AA6はグリシン;-−Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、R4及びR5はメチル;R6は2−ヒドロキシプロピル;Zは−NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Q−X−Y−C(O)−W;AA1はグリシン;AA2は結合;AA3は結合;AA4はフェニルアラニン;AA5はロイシン;AA6はグリシン;−Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、R4及びR5はメチル;R6は2−ヒドロキシプロピル;Zは−NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Q−X−Y−C(O)−W;AA1はグリシン;AA2は結合;AA3は結合;AA4はフェニルアラニン;AA5はロイシン;AA6はグリシン;-−Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、R4及びR5はメチル;R6は2−ヒドロキシプロピル;Zは−NH−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−Q−X−Y−C(O)−W;AA1はグリシン;AA2は結合;AA3は結合;AA4はフェニルアラニン;AA5はロイシン;AA6はグリシン;−Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、−Q−X−Y−は、以下に図示されるカルバメート誘導体の形でMetAP2阻害剤を放出する自己犠牲リンカーである。
本開示のその他の態様は、Z−Q−X−Y−C(O)−Wの構造を持つリンカーとの複合体を提供する:該式中、それぞれ個別に、ZはH2N−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−又はH;AA2は結合又はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン、AA3は結合又はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン、AA4は結合又はアラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン、AA5は結合、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、トリプトファン、又はAA6はアラニン、アスパラギン、シトルリン、グルタミン、グリシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はH2N(CH2)mCO2Hであり、mは2、3、4又は5、QはNR、O又はS、XはM−(C(R)2)p−M−J−M−(C(R)2)p−M−V、Mは結合又はC(O)、Jは結合又は((CH2)qQ)R、C5−C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、NR、O又はS、YはNR、O又はS、RはH又はアルキル、Vは結合又は
R9はアルキル、アリール、アラルキル又は結合、又はR9はYと結合し複素環を形成する、R10はアミノ又は結合、R11はH又はアルキル、WはMetAP2阻害剤部分;pは0から20;qは2又は3;及びrは1、2、3、4、5、又は6である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−である。ある態様において、AA5はアラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン及びAA6はグリシンである。ある態様において、AA5はロイシン及びAA6はグリシンである。ある態様において、AA5はバリン及びAA6はグリシンである。ある態様において、AA5はフェニルアラニン及びAA6はグリシンである。ある態様において、AA5はグリシン及びAA6はグリシンである。ある態様において、AA5はバリンではない。
他の態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−である。ある態様において、AA5はアラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、トリプトファン、又はチロシンであり、またAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシンである。ある態様において、AA5はロイシン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシンである。ある態様において、AA5はバリン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシンである。ある態様において、AA5はフェニルアラニン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシンである。ある態様において、AA3はグリシン、AA4はフェニルアラニン、AA5はロイシン及びAA6はグリシンである。ある態様において、AA3、AA4、AA5及びAA6の各々はグリシンである。ある態様において、AA5はバリンではない。
ある態様において、ZはHである。他の態様において、ZはH2N−AA6−C(O)−である。ある態様において、AA6はグリシンである。
ある態様において、QはNRである。ある態様において、Mは結合である。ある態様において、Jは結合である。ある態様において、YはNRである。
ある態様において、Wは、
であり、
式中R2は−OH又はメトキシ;及びR3はH、−OH又はメトキシである。
ある態様において、Wは、
である。
ある態様において、Wは、
である。
ある態様において−Q−X−Y−は
であり;
Vは、
又は結合;R12はH又はMe;又はR12はR14とともにピペリジン環を形成;R11はH又はMe;及びR13はR12とともにピペリジン環を形成する。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA6はグリシン、Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA6はグリシン;−Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はグリシン及びAA6はグリシン、Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;−Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3はグリシン、AA4はフェニルアラニン、AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3、AA4、AA5及びAA6の各々はグリシン;−Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA6−C(O)−;AA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはHである;Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA6はグリシン;−Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン、AA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はグリシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3はグリシン、AA4はフェニルアラニン、AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3、AA4、AA5及びAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA6−C(O)−;AA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH;Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA6はグリシン;−Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はグリシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3はグリシン、AA4はフェニルアラニン、AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
ある。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3、AA4、AA5及びAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA6−C(O)−;AA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH;Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA6はグリシン;−Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA5−AA6−C(O)−;AA5はグリシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はロイシン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はバリン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA5はフェニルアラニン及びAA3、AA4、又はAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3はグリシン、AA4はフェニルアラニン、AA5はロイシン及びAA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA3−AA4−AA5−AA6−C(O)−;AA3、AA4、AA5及びAA6の各々はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH2N−AA6−C(O)−;AA6はグリシン;Q−X−Y−は
及びWは、
である。
ある態様において、ZはH;Q−X−Y−は、
及びWは、
である。
本開示の複合体において用いられるために修飾されるその他の活性部分は、次の構造を含む:
である。
ある態様において、活性部分は抗腫瘍化合物である。他の態様において、活性部分はフマギリン、フマギリオール、又はそれらの類似体、誘導体、塩、又はエステルなどメチオニンアミノペプチターゼ−2(MetAP2)を阻害する分子である。MetAP2は、阻害剤メチオニンを新生ポリペプチドから切り裂く責任を負う同時翻訳酵素である。MetAP2は、細胞ストレス、低酸素症、の条件下で、細胞が分裂しているとき、活性を増加せられる傾向のある排他的基質を有する。フマギリンは、真菌類Aspergillus Fumigatus Freseniusのバイオマスから派生する天然物である。フマギリン及びその誘導体は、MetAP2のアミノペプチターゼを阻害することで知られている。更なるMetAP2阻害剤の例は、Craigらの米国特許第6242494号明細書、Hongらの米国特許第6063812号明細書、Craigらの米国特許第6887863号明細書、BaMaungらの米国特許第7030262号明細書、Comessらの米国特許第7491718号明細書に述べられており、これらの内容の全ては本明細書に参照として援用される。更にその他のMetAP2阻害剤の例は、Wangら、“Correlation of tumor growth suppression and methionine aminopeptidase−2−activity blockade using an orally active inhibitor“,PNAS105(6) 1838−1843(2008);Leeら“Design,Synthesis, and Antiangiogenic Effects of a Series of Potent Novel Fumagillin Analogues“,Chem. Pharm. Bull. 55(7) 1024−1029(2007);Jeongら“Total Synthesis and antiangiogenic activity of cyclopentane analgues of fumagillol“,Bioorganic and Medicinal Letters15、3580−3583(2005);Arico−Muendelら“Carbamate Analogues of Fumagillin as Potent, Targeted Inhibitors of Methionine Aminopeptidase−2“,J.Med.Chem.52、8047−8056(2009);及びHeinrichらの国際公開第2010/003475号に述べられている。
フマギリンは、抗菌及び抗原虫剤として用いられてきた小分子である。その物理化学的特徴と製造法はよく知られている(参照、米国特許第2803586号明細書及びTumer, J.R.ら、The Stereochemistry of Fumagillin,Proc. Natl. Acad. Sci. 48、733−735(1962))。発酵生成物、フマギリン、は加水分解され、MW325のカルバモイルフマギリオールを含む種々の誘導体へと転換されるアルコールであるフマギリオールを生ずる。カルバモイルフマギリオール及び小分子誘導体の合成と生成は、米国特許第5166172号明細書に述べられている。
フマギリン及び関連する化合物は、MetAP2の阻害を通じて生物学的影響を発揮すると信じられている。この酵素は、新生の細胞タンパクからN−末端メチオニンを取り除く(参照、Tucker、L.A.ら、“Ectopic Expression of Methionine Aminopeptidase−2 Causes Cell Transformtion and Stimulates Proliferation“,Oncogene27、3967(2008))。
カルバモイルフマギリオール及び誘導体並びに、その他のMetAP2の阻害剤は、前臨床及び臨床研究において治療的利点を示している。これらの化合物は、米国特許第5、166172号明細書に述べられているように細胞増殖及び血管新生を阻害する。CKD−732及びPI−2458など、フマギリン類似体又は誘導体は、Bernierら、“Fumagillin class inhibitors of methionine aminopeptidase−2“ Drugs of the Future 30(5):497−508、2005に詳細に述べられているように種々のシステムにおいて研究されている。
フマギリン及びその類似体の抗肥満効果はよく知られている。Rupnickら、“Adipose tissue mass can be regulated through the vasculature“PNAS99、10730−10735、2002に2.5mg/kgから10mg/kgの範囲内のTNP−470の日用量によりob/obマウスにおける体重減少を述べている。Brakenhielmは、“Angiogenesis Inhibitor, TNP−470, Prevents Diet−Induced and Genetic Obesity in Mice“Circulation Research 94:1579−1588、2004に、一日に置きの15又は20mg/kgのTNP−470の用量で肥満の防止を述べている。Kimらは、“Assessment of the anti−obesity effects of the TNP−470− analog, CKD−732“ JMolecular Endocrinology 38、455−465、2007に、5mg/kg/日の用量でC57BL/6Jマウス及びSDラットにおける体重減少を述べている。Lijnenら、“Fumagillin reduces adipose tissue formation in murine models of nutritionally induced obesity“Obesity 12、2241−2246、2010に、日量1mg/kgのフマギリンの経口摂取はC57BL/6マウスの体重減少の結果をもたらせたことを述べている。
これらの誘導体、クロロアセチルカルバモイルフマギリオール(TNP−470)の一つは広く研究されている(参照、H.Mann−Steinbergら、 “TNP−470: The Resurrection of the First Synthetic Angiogenesis Inhibitor”Chapter35、Folkman and Figg、Angiogenesis;An Integrative Approach From Science to Medicine, Springer NY(2008))。TNP−470は、肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌及び結腸癌を含む多くの癌に抗する活性を示している。用量を制限する神経毒性により、TNP−470は、多くの投与計画を用いて試験されてきた、しかしこれらの毒性を制限する企画は失敗であった。このように、TNP−470はヒトへの利用には毒が強すぎることが分かっている。TNP−470は、短い半減期を持ち、治療への応用には、長期の静脈投与を必要とする。TNP−470の代謝物、カルバモイルフマギリオール、はヒトにおいて12分の半減期を持つ(参照、Herbstら”Safety and Pharmacokinetic Effects of TNP−470、an Angiogenesis Inhibitor、Combined with Paclitaxel in Patients with Solid Tumors:Evidence for Acitivity in Non−Small−Cell Lung Cancer”、Journal of Clinical Oncology20(22) 4440−4447(2002))。加えて、フマギリン及びその誘導体は、疎水性であり又調剤することが難しい。
フマギリン誘導体の知られた有用性にもかかわらず、これらの化合物の低い水溶性、短い半減期、及び神経毒性の副作用の問題を乗り越えることができず、治療として用いられることに失敗してきた。パクリタキセルとの組み合わせでTNP−470は、事前に観察された神経性新毒性を制限する用量に基づいて、一週間に3回の60mg/m2のMTD投与される得ることを測定した。Herbstら、”Safety and pharmacokinetic effects on TNP−470、an angiogenesis inhibitor、combined with paclitaxel in patients with solid tumors:evidence for activity in non−small−cell lung Cancer”Journal of Clinical Oncology 20、4440−4447、2002。同様に、Shinら”A Phase 1 pharmakokinetic and pharmacodynamics study of CKD−732、an antiangiogenic agent,in patients with refractory solid cancer” Investigational New Drugs 28、650−658、2010は、CKD−732のMTDは、錯乱と不眠症により、毎4日ごとのスケジュールで、15mg/m2/日投与されることを報告している。したがって、本開示の化合物は、現在知られているフマギリン誘導体より、より高い能力を持ち、毒性の減少(より低い神経毒)、改善された水溶性、よりよい安定性、及び/又はより長い半減期(血清半減期)を持つ。
ここで用いられているように、用語「毒性の減少」は、当業者に理解できる通常の意味合いを持つ。単に例示するにすぎず、いかなる意味においてもその意味を制限するものではないが、フマギリン類似体複合物の投与は、フマギリン類似体のみに比べ、マウスによる実地テストにおいてより低い副作用を引き起こす。
用語「改善された水溶性」は、当業者に理解できる通常の意味合いを持つ。単に例示するにすぎず、いかなる意味においてもその意味を制限するものではないが、次の用語の叙述は有益な情報である、すなわち、水のみに溶解する複合化されていないフマギリン類似体の量に比べ、複合体へ共有結合により取り込まれる結果として増加量のフマギリン類似体が水に溶解する。
用語「より長い半減期」は、当業者に理解できる通常の意味合いを持つ。単に例示するにすぎず、いかなる意味においてもその意味を制限するものではないが、次の用語の叙述は有益な情報である。すなわち、生体内又は試験管内のいずれにおいてもフマギリン類似体のみの半減期に比べ、認識できる時間の増加は、生体内又は試験管内のいずれにおいてもフマギリン複合体の非活性化が必要となる。
いかなる理論にも縛られるものではないが、細胞外シグナル制御キナーゼ1及び2(ERK1/2)の活動を抑制するためのMetAP2の非酵素的作用は、MetAP2による真核生物翻訳開始因子、eIF、の結合と同じくらい重要である。潜在的なERK−関連過程の反映である細胞のMetAP2阻害は、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)活性の抑制を含んでおり、それによって、脂質やコレステロールの生合成の減少につながる。興味深いことに、より長いフマギリン露曝(およそ9か月)の後の肝臓及び脂肪細胞の遺伝子の発現パターン変化は、MetAP2阻害が、炎症と関連する因子の相対存在量も変化させ、ERK−依存性細胞過程とも矛盾がない。身体のエネルギー源としての蓄積脂肪の可動化及び遊離脂肪酸の異化へ導くMetAP2阻害の推定機構は、これまでの研究で観察されている、血漿β−ヒドロキシブチレート、アディポネクチン、レプチン、及びFGF21における変化によって支持されている。ケトン体(β−ヒドロキシブチレート)の表れと組み合わせられている、重要異化ホルモンアディポネクチン及びFGF21値の上昇は、本開示の複合化された又は修飾されたフマギリン、フマギリオール、又はそれらの類似体、誘導体、塩、又はエステル化合物によるMetAP2阻害が、エネルギー消費、脂肪利用、及び脂質の排出を刺激することを示唆している。これまでの研究又ここに提出されている研究で観察されるレプチンの減少もまた、総脂肪組織及び負のエネルギー収支と一致している。本開示の複合化された又は修飾されたフマギリン、フマギリオール、又はそれらの類似体、誘導体、塩、又はエステル化合物はMetAP2と共有結合を形成し、それにより、新たにMetAP2の溜りが標的細胞(例えば、肝臓及び脂肪組織)に生成するまで、存在する酵素を非可逆的に阻害し、抑制させることも可能である。
ある態様において、本開示の複合化された又は修飾されたフマギリン、フマギリオール、又はそれらの類似体、誘導体、塩、又はエステル化合物は、例えば、以下の表1に示されている式を持つ。
*構造式中、Polymerは構造:
である、又は
好ましくは、構造:
である。
幾つかの態様において、該化合物は、
である。
幾つかの態様において、該化合物は、
である。
幾つかの態様において、該化合物は、
である。
幾つかの態様において、該化合物は、
である。
幾つかの態様において、該化合物は、
である。
幾つかの態様において、該化合物は、
である。
一つ以上の態様において,本開示において用いられる化合物は,以下から選ばれる:シス−(3aRS,9bRS)−7−(ベンゼンスルフォニルアミノ)−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;シス―(3aRS,9bRS)−7−[2−(3−ジエチルアミノプロピル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;シス−(3aRS,9bRS)−7−[2−(3−(ピロリジン―1―イル)プロピル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;シス−(3aRS,9bRS)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;シス―(3aR,9bR)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;シス―(3aS,9bS)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;7−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,2−ジヒドロフロ[2,3−c]キノリン−6−カルボン酸ギ酸塩;7−(ベンゼンスルフォニルアミノ))−1,2−ジヒドロフロ[2,3−c]キノリン−6−カルボン酸ギ酸塩;シス−(3aRS,9bRS)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロフロ[2,3−c]キノリン−6−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aS,7bR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−7b−メチル−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((E)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−7b−メチル−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;シス−(3aRS,9bRS)−7−[2−(4−ジメチルアミノ−ブチルアミノ)−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,3a,4,9b−テトラヒドロ−2H−フロ[2,3−c]クロメン−6−カルボン酸;(1 aR,7bS)−5−[2−(3−ジエチルアミノプロピル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1−diフルオロ−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1−ジフルオロ−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aS,7bR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1−ジフルオロ−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2((Z)−3−エチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2((Z)−3−エチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aS,7bR)−5−[2((Z)−3−エチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−(ピロリジン―1―イル)プロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−{2[(Z)−3−(ピロリジン―1―イル)プロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aS,7bR)−5−{2 [(Z)−3−(ピロリジン―1―イル)プロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(3−ジメチルアミノプロピルアミノ)−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aR,7bS)−5−[2−(3−ジメチルアミノプロピルアミノ)ベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aS,7bR)−5−[2−(3−ジメチルアミノプロピル−アミノ)ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(4−ジメチルアミノブチルアミノ)ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2−(4−ジメチルアミノ−ブチルアミノ)ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aS,7bR)−5−[2−(4−ジメチルアミノブチルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(5−ジメチルアミノ−ペンチルアミノ)ベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−(プロパン−2−イル)アミノプロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−((S)−3−ヒドロキシピロリジン―1―イル)アミノプロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−((R)−3−ヒドロキシピロリジン―1―イル)アミノプロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2((Z)−4−ジエチルアミノブテ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2((Z)−4−ジエチルアミノブテ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aS,7bR)−5−[2((Z)−4−ジエチルアミノブテ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−(4−エチルピペラジン−1−イル)−エチル]−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−(アゼピジン−1−イル)プロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−(3−ヒドロキシ−アゼピジン−1−イル)プロプ−1−エニル]−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2[(Z)−3−(アゼピジン−1−イル)プロピル]−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2((Z)−4−ジエチルアミノブチル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[N−(4−ジメチルアミノブチル)−N−メチルアミノ]−ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((S)−1−エチルピロリジン−3−イルカルバモイル)−メチル]−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(1−エチルアゼピジン−3−イル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((R)−1−エチルピロリジン−3−イルカルバモイル)メチル]−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−(ピロリジン―1―イル)−エチル]−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((R)−1−エチルピロリジン−3−イルメチル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aS,7bR)−5−[2−((R)−1−エチルピロリジン−3−イルメチル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aR,7bS)−5−[2−((R)−1−エチルピロリジン−3−イルメチル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{
2−[((S)−1−エチルピロリジン−2−イル)カルボニル−アミノメチル]−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(4−ジメチルアミノブチリルアミノ)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((S)−1−エチル−ピロリジン−3−イルメチル)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(3−ジメチルアミノプロピルカルバモイル)ベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−{[N−((S)−1−エチル−ピロリジン−3−イル)−N−メチルカルバモイル]メチル}−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−{[N−((R)−1−エチル−ピロリジン−3−イル)−N−メチルカルバモイル]メチル}−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−((S)−1−エチルピロリジン−2−イル)エチルアミノ]−ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−((R)−1−エチルピロリジン−2−イル)エチルアミノ]−ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(3−N,N,−ジエチルアミノプロピルアミノ)ベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−{[((R)−1−エチルピロリジン−2−イル)カルボニル−アミノ]メチル}−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[(1−エチルアゼピジン−3−イルメチル)アミノ]ベンゼン−スルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aS,7bR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aR,7bS)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミプロピ−1−エニル)ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−(N−[((R)−1−エチルピロリジン−2−イル)カルボニル]−N−メチル−アミノメチル)−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−{N−[((S)−1−エチルピロリジン−2−イル)カルボニル]−N−メチルアミノ−メチル}−4−フルオロベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(4−ジメチルアミノブチルアミノ)−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((R)−1−エチルピロリジン−3−イルメチル)アミノ]−ベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((S)−1−エチルピロリジン−3−イルメチル)アミノ]−ベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(4−エチル−2−オキソピペラジン−1−イルメチル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−(1−エチルピペラジン−4−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−(1−エチルアゼピジン−3−イル)エチル]−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクチ−3−イル)アミノ]ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((R)−1−アザビシクロ−[2.2.2]オクチ−3−イル)アミノ]ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−{[((S)−1−エチルピロリジン−3−カルボニル)アミノ]メチル}−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−((R)−1−エチルピロリジン−3−イルアミノ)エチル]−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((R)−1−エチルピロリジン−3−イル)アミノ]−ベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[((S)−1−エチルピロリジン−3−イル)アミノ]−ベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−(2−{[((R)−1−エチルピロリジン−3−カルボニル)アミノ]−メチル)}−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ)−1,1a,2,7b−テトラヒドロ−シクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−[2−((Z)−3−ジエチルアミノ−2−メチルプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−((R)−1−エチルピロリジン−3−イル)エチルアミノ]−ベンゼンスルフォニルアミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aRS,7bSR)−5−{2−[2−((S)−1−エチルピロリジン−3−イル)エチルアミノ]−ベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2−((S)−1−エチルピロリジン−3−イルオキシメチル)−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1 aR,7bS)−5−[2−((R)−1−エチルピロリジン−3−イルオキシメチル)−4−フルオロ−ベンゼンスルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−[2−(1−エチルピペラジン−3−イルメチル)−4−フルオロベンゼン−スルフォニルアミノ]−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ[c]クロメン−4−カルボン酸;(1aR,7bS)−5−{2−[2−((R)−1−エチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−フルオロベンゼンスルフォニル−アミノ}−1,1a,2,7b−テトラヒドロシクロプロパ−[c]クロメン−4−カルボン酸;及びこれらの医薬的に許容される塩、ステレオイソマー、エステル、及びプロドラッグである。
一つ以上の態様において、該化合物は以下から選ばれる:
及びこれらの医薬的に許容される塩又はステレオイソマーである。
本開示の目的のため、化学元素は、周期律表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics, 67版、1986−87、表紙裏により特定された。
用語「アルキル」は、特定の炭素数を持つ、あるいは特に指定がない時は30までの炭素数を持つ、完全飽和の分枝又は非分枝炭素鎖を言う。例えば、「低アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、及びオクチル、又これらアルキルの位置異性体など、1から10の炭素数を持つアルキルである。10から30の炭素数を持つアルキルは、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル及びテトラコシルを含む。ある態様において、直鎖又は分岐鎖アルキルは、基幹に30又はそれ以下の炭素原子を持っている(例えば、直鎖の場合C1−C30、分岐鎖の場合C3−C30)、又はより望ましくは、20又はそれより少ない。同様に、ある種の環状アルキルは3〜10の炭素数を環構造に持ち、又環構造に5、6、又は7の炭素を持っていてもよい。
特に炭素数が特定されていない場合、「低アルキル」はここでは、上記のように、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルなど1から10の炭素、あるいは、1から6の炭素を基幹に持つアルキル基を意味する。同様に、「低アルケニル」及び「低アルキニル」は同様に鎖長さを持つ。本出願の全体で、ある種のアルキル基は、低アルキルである。ある態様において、ここでアルキルと指定されている置換基は、低アルキルである。
ここで用いられているように、用語「炭素環」は環の各々原子が炭素である芳香族又は非芳香族環のことを言う。
ここで用いられているように、用語「アリール」は、0〜4のヘテロ原子を含んでいてもよい5−、6−、及び7−員の単式芳香族基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、及びピリミジンなどを含んでいる。これらの環状構造にヘテロ原子を含むアリール基は、また「アリール複素環」又は「ヘテロ芳香族」とも言われる。該芳香族環は一つ以上環の位置で、上に述べた置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、サルフィドリル、イミノ、アミド、フォスフォネート、フォスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルフォニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN、などで置換されていてもよい。用語「アリール」は又、2つ以上の炭素原子を2つの隣り合う環(環は縮合環)に共有する2つ以上の環、そのうち少なくとも一つは芳香族環であり、残りの環は環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル、アリール、及び/又はヘテロシクリルアルキニル、を持つ多環形も含んでいる。
「アルケニル」は、特定された数の炭素原子、又は特に炭素数に制限がない場合は、26個までの炭素原子を持つ、分岐又は非分岐の不飽和のいずれかの炭素鎖ラジカル、及びラジカル中に1つ以上の2重結合を持つ炭素鎖ラジカルである。6から26の炭素数を持つアルケニルの例としては、ヘキセニル、ヘプタニル、オクタニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘンエイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、及びテトラコセニルの種々の異成型の形、ここでは、不飽和結合は、ラジカルのどこにあってもよく、二重結合に関しての立体配置が(Z)又は(E)のいずれであってもよい。
用語「アルキニル」は、該アルケニルの範囲内のヒドロカルビルラジカルであるが、一つ以上の3重結合をラジカル中に持つものを言う。
ここで用いられているように、用語「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、下記に定義されているように、酸素ラジカルが付いているアルキル基を言う。代表的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、等を含む。「エーテル」は、2つの炭化水素が酸素で共有結合されているものである。したがって、アルキルをエーテルにするそのアルキルの置換基が−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2)m−R1、該R1は以下に述べられているが、等に代表されるアルコキシルであるか又はアルコキシルに似ている。
用語「ヘテロシクリル」又は「複素環基」は、一つ以上のヘテロ原子を含む環構造である、3−から10−員環構造、より好ましくは、3−から7−員環を言う。複素環はまた多環であってもよい。ヘテロシクリル基は、例えば、チオフェン、チアンスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンスレン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナンスロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン、アゼチジノンやピロリジノンなどのラクタム、サルタム、サルトン、等を含む。該複素環は、一つ以上環の位置で、上に述べた置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、サルフィドリル、イミノ、アミド、フォスフォネート、フォスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、サルファモイル、サルフィニル、エーテル、アルキルチオ、スルフォニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN、などで置換されていてもよい。
用語「アルキルチオ」は、上に述べられているように、イオウラジカルが付いたアルキル基である。ある態様において、該「アルキルチオ」部分は、−(S)−アルキル、−(S)−アルケニル、−(S)−アルキニル、及び−(S)−(CH2)m−R1、式中m及びR1は以下に定義されているが、の内の一つで代表される。代表的なアルキルチオ基は、メチルチオ、エチルチオ、等のチオ基を含んでいる。
ここで用いられているように、用語「ニトロ」は、−NO2を意味し;用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、又はIを指し;用語「サルフィドリル」は−SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は、−OHを意味し;又用語「サルフォニル」は−SO2−である。
用語「アミン」及び「アミノ」は、当該分野で知られており、非置換及び置換両方のアミンを言い、例えば、次の一般式で表わされる部分である:
式中、R3、R5及びR6は各々独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R1であり、あるいは、R3とR5は結合しているNとともに4から8個の元素を環構造に持つヘテロ環を完成させている;R1は、アルケニル、アリール、環状アルキル、環状アルケニル、ヘテロシクリル 又は多環基を表し;及びmは0又は1から8の範囲の整数である。ある態様において、R3又はR5のうち一つだけは、カルボニルであり、例えば、R3、R5及び窒素は一緒にイミドを形成しない。ある態様において、R3及びR5(任意にR6も)は各々独立してハロゲン、アルキル、アルケニル、又は−(CH2)m−R1を表す。このように、ここで用いられているように、用語「アルキルアミン」は、上に定義している、置換又は非置換のアルキル基が付いたアミン基、すなわち、少なくともR3とR5の一つがアルキル基である。ある態様において、アミノ基又はアルキルアミンは塩基である、すなわちpKa >7.00を有する。プロトン化された形のこれらの機能基は、水に対して、7.00以上のpKaを持つ。
用語「カルボニル」(C(O))は、当該分野で知られており、以下の一般式で表わされるそのような部分を含んでいる:
式中、Xは結合又は酸素又はイオウを表わし、又R7は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R1又は医薬的に許容された塩を表し、R8は、ハロゲン、アルキル、アルケニル又は(CH2)m−R1を表し、ここでmとR1は上に定義した通りである。式中、Xは酸素であり、R7又はR8は水素ではない、該式は、「エステル」である。式中、Xは酸素であり、R7は上に定義の通り、該部分は、ここでの言及した通りカルボキシル基であり、更に、特にR7がハロゲンである場合、該式は、「カルボン酸」を表す。式中、Xは酸素、R8は水素であり、該式は、「蟻酸塩」を表す。一般的に、上記式の酸素原子はイオウで置き換えられ、式は「チオカルボニル」基である。式中、Xはイオウであり、R7又はR8は水素ではなく、該式は、「チオエステル」基をあらわす。式中、Xはイオウであり、又R7は水素であり、該式は「チオカルボン酸」基をあらわす。式中、Xはイオウであり、又R8は水素であり、該式は「チオフォルメート」基を表す。一方、Xは結合であり、又R7は水素ではなく、上記式は、「ケトン」基を表す。式中、Xは結合であり、又R7は水素であり、上記式は、「アルデヒド」基を表す。
ここで用いられているように、用語「置換された」は全ての許される有機化合物を含むことを企図している。広い態様において、許される置換基は、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族置換基である。実例的な置換基は、例えば、上記の述べられたものである。許される置換基は、適した有機化合物用に、一つ以上で、同一の又は異なっていてもよい。本開示の目的のため、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足させる、ここに述べられた有機化合物の水素原子置換基及び/又は許される置換基を持っていてもよい。本開示は、いかなる意味においても有機化合物の許される置換基を限定する意図はない。「置換」又は「〜で置換された」は、そのような置換が、置換された原子及び置換基の許される原子価に従っていること、置換が、安定な化合物、例えば、自然に再配置、環化、削除、等の自発的な転換をこうむることがないことなど暗黙の条件も含んでいる。
用語「サルファモイル」は、当該分野で知られており、以下の一般式で表わされる部分を含んでいる:
式中、R3及びR5は上に定義されたとおりである。
用語「サルフェイト」は、当該分野で知られており、以下の一般式で表わされる部分を含んでいる:
式中、R7は上に定義されたとおりである。
用語「サルファミド」は、当該分野で知られており、以下の一般式で表わされる部分を含んでいる:
式中、R2及びR4は上に定義されたとおりである。
用語「スルフォネート」は、当該分野で知られており、以下の一般式で表わされる部分を含んでいる:
式中、R7は電子対、水素、アルキル、環状アルキル、又はアリールである。
ここで用いられているように、用語「スルホキシド」又は「スルフォニル」は、以下の一般式で表わされる部分いう:
式中、R12は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、環状アルキル、ヘテロシクリル、アルキル、又はアリールからなる群から選ばれる。
類似の置換基がアルケニル及びアルキニル基にもつけられ、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル−置換アルケニル又はアルキニルを形成する。
ここで用いられているように、各表示の定義、例えば、アルキル、m、n、等々、1回以上構造式で現れる場合、同一の構造式のどこであれ独立して定義されていることを意図している。
用語「アミノ酸」は、アミノ感応性及び酸感応性の両方を持つ天然又は合成であるかを問わず含んでいることを意図し、アミノ酸類似体及び誘導体を含んでいる。ある態様において、本開示において考えられているアミノ酸は、タンパク中の天然にあるアミノ酸又は、アミノ及びカルボキシルを含んでいる天然にタンパク同化又は異化によるアミノ酸である。天然にあるアミノ酸は、以下のリストに従って、アミノ酸の慣用名に対応する、従来の3文字及び/又は1文字略語により特定される。略語は、ペプチド分野において受け入れられ、生化学命名法のIUPAC−IUB委員会で推奨されている。
用語「アミノ酸残基」は、アミノ酸を意味する。概して、天然にあるアミノ酸を指定するためにここで用いられている略語は、生化学命名法のIUPAC−IUB委員会の推奨に基づいている(参照、Biochemistry(1972)11:1726−1732)。例えば、Met、Ile、Leu、Ala及びGlyは、それぞれメチオニン、イソロイシン、ロイシン、アラニン及びグリシンの「残基」をあらわす。残基とは、対応するα―アミノ酸からカルボキシル基のOH部分を取り除きα―アミノ基からH部分を取り除くことにより誘導されるラジカルを意味する。
用語「アミノ酸側鎖」は、K.D. Kopple、”Peptides and Amino Acids”、W.A.Benjamin Inc.,New York and Amsterdam、1966、p.2及び33の定義にしたがって、基幹部分を除くアミノ酸残基の部分であり、そのような普通のアミノ酸残基の例は、−CH2CH2SCH3(メチオニンの側鎖)、−CH2(CH3)−CH2CH3(イソロイシンの側鎖)、−CH2CH(CH3)2(ロイシンの側鎖)又はH−(グリシンの側鎖)である。これらの側鎖は、基幹Cα炭素からのペンダント基である。
ここで用いられているように、用語「ペプチド」は、ペプチド結合に結合された又はペプチド結合に修飾されたアミノ酸残基の配列を言う。用語「ペプチド」はペプチド類似体、ペプチド誘導体、ペプチド模倣体、及びペプチド変異体を含むことを意図している。用語「ペプチド」は全ての長さのペプチドを含むと理解されたい。本書に記載のペプチド配列は、一般的に受け入れられている慣用、N−末端アミノ酸が左にC−末端アミノ酸が右にある(例えば、H2N−AA1−AA2−AA3−AA4−AA5−AA6−CO2H)、に従って書かれている。
本開示のある化合物は、特に幾何学的又は立体異性体の形で存在する。本開示は、本開示の範囲内にあるシス―及びトランス−異性体、R−及びS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−イソマー、(L)−イソマー、それらのラセミ混合物、及びその他の混合物を企図している。更に、非対称の炭素原子が、アルキル基などの置換基に在ってもよい。全てのその様な、異性体同様にそれらの混合物は、本開示に含まれることを企図している。特定の異性体の如何なる代表例も、単に例示に過ぎない(例えば、トランス―異性体の例示、又シス―異性体も含む)。
例えば、本開示の化合物の特定のエナンチオマーが望まれる場合、得られるジアステレオマー混合物が分離され補助基が切断されて純粋な望むエナンチオマーを与えることができるそのようなキラル補助剤を用いて非対称合成又は誘導によって生成できる。あるいは、分子がアミノ基のような塩基官能基、又はカルボキシル基のような酸官能基を持つ場合、ジアステレオマー塩が、適した光学活性酸基又は塩基を持って形成され、続いて、このように生成されたジアステレオマーが、当該分野でよく知られている分晶法又はクロマトグラフィーの手段で分割され、結果的に純粋なエナンチオマーを回収する。
ここで用いられているように、用語「置換された」は、指定された原子上のいずれか一つ以上の水素原子を、指定された原子の原子価を超えないことを前提に、示された基からの選択により置き換え、置換によって安定化合物になることを意味する。置換基がケト(すなわち=O)の場合、原子上の2つの水素原子が置き換えられる。ケト置換基は芳香部分には存在しない。環状二重結合は、ここで用いられているように、隣り合う環状原子(例えば、C=C、C=N、又はN=N)の間で形成されている二重結合のことである。「安定化合物」及び「安定構造」は分離に対し又有効な治療剤への調剤に対し充分に確固不動な化合物を示す意味である。
置換基への結合が、環の2つの原子をつなぐ結合を横切る様に示されている場合、そのような置換基は環のどの原子とも結合できる。結合されている原子を示さずその原子を通して式に示された化合物のそれ以外の原子に結合されている置換基が記載されている場合、その置換基はその式のどの原子であれ原子を通して結合してよい。置換基及び/又は可変基の組み合わせは、その組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみ、許される。
いずれかの可変基(例えば、R1)が化合物の構成又は式中で1回以上おこる場合、各場合でその定義は、その他の場合の定義から独立している。このように、例えば、ある基が0〜2R1部分で置換されていると示されている場合、その基は任意に2つまでのR1部分に置換されてもよく、各場合のR1は、R1の定義の中から独立して選択される。また、置換基及び/又は可変基の組み合わせは、その組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみ、許される。
本開示の明細書において、化合物の構造式は、幾つかの場合便宜上、ある異性体を示しているが、本開示は、幾何学的異性体、非対称の炭素に基づく光学的異性体、立体異性体、互変異性体、等の全ての異性体を含んでいる。加えて、式に表わされている化合物の結晶多形が存在する。いずれの結晶形、結晶形混合物、又はそれらの無水物又は水和物が、本開示の範囲内であることを付記する。更に、本化合物の生体内での分解により生成されるいわゆる代謝物は、本開示の範囲内に含まれる。
「異性」は、同一の分子式を持つが、その原子の結合配列が異なる又は空間における原子の配置が異なる化合物を意味する。空間の原子配置が異なる異性体は、立体異性体と名付けられている。互いに鏡像ではない立体異性体は、ジアステレオマーと名付けられており、互いに重ね合わされない鏡像でない立体異性体は、「エナンチオマー」又は場合によっては光学異性体と名付けられている。相反のキラリティーを持つ各エナンチオマー形を同量で含む混合物は「ラセミ混合物」と名付けられている。
4つの同一でない置換基が結合している炭素原子は、「キラル中心」と名付けられている。
「キラル異性体」は少なくとも一つのキラル中心を持つ化合物である。一つ以上のキラル中心を持つ化合物は、それぞれのジアステレオマーとして又はジアステレオマーの混合物として存在する。一つのキラル中心がある場合、立体異性体は、該キラル中心の絶対配置(R又はS)によって特徴づけられる。絶対配置は、キラル中心に付けられている置換基の空間配置に言及している。考慮されたうえで、キラル中心に付けられている置換基は、Cahn, Ingold and Prelog.のSequence Ruleに従い配列されている(Cahnら、Angew. Chem. Inter. Edit. 1966、5、385;errata511;Cahnら、Angew. Chem.1966、78、413;Cahn and Ingold、J. Chem. Soc.1951(London)、612;Cahnら、Experientia 1956、12、81;Cahn、J. Chem. Educ. 1964、41、116)。
幾何学的異性体は、二重結合の制約回転にその存在があることを意味する。これらの配置は、Cahn−Ingold−Pregoldのルールに従って、分子中の二重結合の同じ側あるいは反対側にある基を示しているが、その接頭語シス及びトランス、又はZ及びEと名付けられ区別されている。
更に、本開示で検討されている構造及びその他の化合物は、全てのアトロピック異性体を含んでいる。「アトロピック異性体」は、2つの異性体の原子が空間で異なる様に配置されている立体異性体の種類の一つである。アトロピック異性体は、中心結合の大きな基の回転妨害によってひきおこされる回転抑制にその存在がある。その様なアトロピック異性体は典型的には、混合物として存在するが、その存在は近年のクロマトグラフィー技術の発展によるものであり、選択の場合、2つのアトロピック異性体の混合物を分けることは可能である。
「互変異性体」は、平衡状態で存在する2つ以上の構造異性体の一つであり、一つの異性体から他の異性体に変わりうる。この変換が、隣り合う共役二重結合の切り替えを伴うハロゲン原子のホルマール転移をもたらす。互変異性体は、溶液中で互変異性体の混合物として存在する。個体形では、通常は一つの互変異性体が優位を占めている。溶液中では、互変異性が可能であり、互変異性体の化学的平衡が達せられる。互変異性体の正確な比は、温度、溶媒、及びpHを含むいくつかの因子に依っている。互変異性化により互いに変換できる互変異性体の概念は互変異性と呼ばれる。
可能な様々な種類の互変異性のうち、2つが通常観察される。ケト−エノール互変異性において、電子とハロゲン原子の同時の移動が起こる。環−鎖互変異性は、糖鎖分子にあるアルデヒド基(−CHO)が同一の分子内にあるヒドロキシ基(−OH)と反応する結果起こり、グルコースとして現れる環状(輪状)形を与える。
通常の互変異性の組み合わせは、ケト−エノール、アミド−ニトリル、ラクタム−ラクティム、複素環における(例えば、グアニン、チミン、及びシトシンなどのヌクレオ塩基における)アミド−イミド酸異性体、アミン−エナミン及びエナミン−エナミンである。
本開示の化合物は、異なる互変異生体として表現されてもよい理解されたい。また、化合物が互変異成形を持つ場合、全ての互変異生体形は本開示の範囲内に含まれることを意図していると理解されるべきであり、該化合物の命名はどのような互変異生体形も排除するものではない。
用語「結晶多型」、「多型」又は、「結晶型」は、化合物(又は、その塩又は溶媒和物)が、同一の元素組成を持っている、異なる結晶充填整列で結晶することを意味する。異なる結晶型は、通常異なるx−線回折パターン、赤外線スペクトル、溶解温度、密度硬度、結晶形、光学的及び電気的性質、安定性及び溶解度を持つ。再結晶化溶媒、結晶か速度、保存温度、その他の因子が、一つの結晶型を優性にする。化合物の結晶多型は、異なる条件下で結晶化により生成することができる。
加えて、本開示の化合物、例えば、化合物の塩、は水和化され又は非水和化(無水物)された形で、あるいはその他の溶媒分枝と水和化物として存在できる。限定はしないが、溶媒和物の例としては、一水和物、二水和物などを含む。限定はしないが、溶媒和物の例としては、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などを含む。
「溶媒和物」は、化学量論的に又は非化学量論的分量の溶媒を含んでいる溶媒添加型である。化合物のいくつかは、結晶固体状態で溶媒分子を固定したモル比で閉じ込める傾向を持っており、それによって溶媒和を形成する。溶媒が水の場合は、形成される溶媒和物は水和物であり、又、溶媒がアルコールの場合は、形成される溶媒和物は、アルコレートである。水和物は、内で水を分子状態のH2Oとして保持する物質1分子に一つ以上の水分子が組み合わさって形成される。
ここで用いられているように、用語「類似体」は、構造的には同じであるがわずかに組成が異なる化学化合物を言う(ある原子を異なる元素の原子で置き換わっている、又は特定の官能基の存在下で、ある官能基を別の官能基で置き換わっているなど)。このように、類似体は、機能や見かけが同様又比肩する化合物であるが、参照の化合物とは構造又は由来が同様ではない化合物を言う。
ここで定義されているように、用語「誘導体」は、共通した中心構造を持ちここで述べられた種々の基によって置換されている化合物を言う。
用語「生物学的等価体」は、原子又は原子群を、他の、広い意味で同様の、原子又は原子群で交換することにより得られる化合物を言う。生物学的等価体置き換えの目的は、親化合物に似た生物学的特性を持つ新たな化合物を創造することである。生物学的等価体置き換えは、物理化学的又は位相幾何学的に基づく。カルボン酸生物学的等価体の例としては、限定はされないが、アシルスルフォイミド、テトラゾール、スルフォネート、及びフォスフォネートである。参照、例えば、Patani及びLaVoie、Chem. Rev. 96、3147−3176、1996。
本開示は、本化合物にあるすべての同位体原子を含むことを意図している。同位体は、同一の原子番号を持つが、質量番号が違うこれらの原子を含む。一般的な例示であって限定はしないが、水素の同位体は、トリチウム及びデュテリウムを含んでおり、炭素の同位体は、C−13及びC−14を含む。
本開示の合成過程は、広い範囲の官能基を容認でき、それ故、種々の置換された出発物質を用いることができる。更に該過程は、ある例において化合物はその医薬的に許容された塩、エステル又はプロドラッグに更に変換させることが望ましい場合があるが、概して望みの最終化合物を全体過程の最終又は最終近くで与える。
本開示の化合物は、市場で手に入れられる出発物質、文献で知られている化合物、又はすぐに使えるようにされた中間物質を用いて種々の仕方で、当業者に知られているか、又は本明細書の教示に照らして当業者に明らかとなる標準的な合成方法及び手順を用いては生成することができる。有機分子の生成及び官能基の変換及び操作のための標準的な合成方法及び手順は、関連する科学文献又は当該分野の標準的な教科書から得ることができる。一つあるいは幾つかのもとに限定はしないが、古典的な資料は、例えば、Smith.M.B.,March,J.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms, and Structrue, 5th edition,John Wiley&Sons,New York,2001;及びGreene, T.W.,Wuts, P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley&Sons, New York,1999、これらは参照としてここに援用される、が当業者に知られている、有益で認知されている有機合成の参考著書である。合成方法の次の叙述は、それに限定はしないが、本開示の化合物の生成の一般的な手順を明らかにするように計画されている。
特に、本開示の化合物は、及びそれらの合成は、更にPCT国際公開第2011/150022号明細書及び2011/150088号明細書及び米国特許第9173956号明細書、9320805号明細書、及び9433600号明細書に述べられている。この出版物の各々はその全内容を参照として本明細書に援用される。
本開示はまた、本開示の化合物又は、その医薬的に許容された塩、溶媒和物、ジアステレオマー、多形型及び医薬的に許容された担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
「医薬組成物」は、対象への投与に適した形状で本開示の化合物を含む調剤である。ある態様において、該医薬組成物は、ばらの又は投薬単位の形状である。投薬単位形は、例えば、カプセル、IV袋、錠剤、一つのエアゾール吸入ポンプ、又は瓶を含む種々のいずれの形であってもよい。組成物の単位用量における活性成分(例えば、開示された化合物、又はその塩、水和物、溶媒和物、又は異性体の調剤)の量は有効量であり、関係する特定の治療に従って様々である。当業者は、患者の年齢や状態によって、投薬を日々変化させる必要が時々あることは理解するであろう。投薬量は、また投与経路にもよる。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、口腔、舌下、胸膜内、髄腔内、鼻腔内、等を含む種々の経路が考えられる。本開示の化合物の局所又は経皮投与のための投薬の形状はスプレー、軟膏、ペースト、クリーム、乳液、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入剤である。ある態様において、活性化合物は、医薬的に許容された担体と又必要とされるいずれかの防腐剤、緩衝剤あるいは推進剤と無菌状態の下で混合される。
ここで用いられているように「医薬的に許容された賦形剤」又は「医薬的に許容された担体」はあらゆる全ての溶剤、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張吸収遅延剤など、医薬投与に適したものを含むことを意図している。適した担体は、当該分野で標準的な参考書である、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。その様な担体又は希釈剤の好ましい例は、限定はしないが、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストリン液、及び5%ヒト血清アルブミンである。
医薬的に許容できる担体は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、マグネシウムステアリン酸塩、ステアリン酸、等の固体担体を含んでいる。液体担体の例としては、シロップ、ピーナッツオイル、オリーブオイル、水などがある。同様に、担体又は希釈剤は、そのもののみ又はワックスとともにグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルメタクリレートなど当該分野で知られている遅延材である。当該分野で知られているその他の充填剤、賦形剤、香味剤、及び他の添加剤なども、本開示による医薬組成物に含まれる。不揮発性油等のリポソーム及び非水和性ビヒクルも用いてもよい。医薬的に活性な物質のためのその様な媒体及び薬剤の使用は当該分野でよく知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と相いれない場合を除いて、組成物中にそれらを用いることは企図されている。補足的活性化合物も該組成物に組み込んでもよい。ある態様において、該医薬組成物は、DMSOを含んでいる。
用語「医薬的に許容された塩」は、該化合物の比較的非毒性の、無機及び有機酸付加塩を言う。これらの塩は、該化合物の最終的な分離及び精製の間にその場で生成することができ、又は、遊離塩基形である精製された化合物を、適当な有機又は無機酸に別々に反応させその形成された塩を単離することで生成することができる。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸円、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコへプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルフォン酸塩、等が含まれる。塩基付加塩の生成に役立つ代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチルエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどである(参照、例えば、Bergeら(1977)”Pharmaceutical Salts”,J. Pharm. Sci.66:1−19)。
語句「医薬的に許容された」は、ここで用いられるのは、健全な医薬判断の範囲内の、ヒト及び動物の組織に接する使用に適しており、実質的に非発熱性で、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応、又はその他の問題や合併症がなく、見合った合理的な有益性/リスク比をもつそれらのリガンド、組成物、及び/又は投薬形状のものを言う。
ここで用いられているように、用語「代謝物」は、本開示の化合物、又は本開示の化合物と生体内で同様の活性を示す医薬的に許容された塩、溶媒和物、ジアステレオマー、及び多型の代謝による生成物を意味する。
ここで用いられているように、用語「プロドラッグ」は、本開示の化合物、又はアミノ酸部分や他の水溶性部分など、一つ以上のプロ部分と共有結合的に結合される医薬的に許容された塩、溶媒和物、ジアステレオマー、及び多型を意味する。本開示の化合物、又は医薬的に許容された塩、溶媒和物、ジアステレオマー、及び多型は、加水分解、酸化、及び/又は酵素放出機構を通してプロ部分から放出される。ある態様において、本開示のプロドラッグ組成物は、水溶性の増加、安定性の改善、及び薬物動態プロファイルの改善の更に加わった有益性を示す。プロ部分は、プロドラッグの望まれる特性を得るように選択される。例えば、プロ部分、例えばアミノ酸部分又はR4にあるリン酸などその他の水に溶解する部分は、溶解度、安定性、生体利用能、及び/又は生体内送達又は摂取に基づき選択される。プロドラッグの例としては、限定はされないが、エステル(例えば、酢酸エステル、ジアルキルアミノ酢酸エステル、蟻酸エステル、リン酸エステル、硫酸エステル、及び安息香酸エステル誘導体)及びヒドロキシ官能基のカルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシル官能基のエステル(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、N−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)アミノ官能基のN−マンニッヒ塩基、シッフ塩基及びエナミノン、オキシム、アセタル、ケタル、及び本開示の化合物のケトン及びアルデヒド官能基のエノールエステルなどである。参照、Bundegaard,H.,Design of Prodrug,p1−92.Elesevier, New York−Oxford(1985)。
本開示の化合物、又はその医薬的に許容された塩、エステ、溶媒和物、ジアステレオマー、多形型、又はプロドラッグ(又はその医薬組成物)は、当該分野で知られているいずれかの手段で投与できる。例えば、本開示の化合物又は組成物は、経口、経鼻、経皮、局所的、肺、吸入、口腔、舌下、皮下、筋肉内、静脈、直腸、胸膜内、髄腔、非経口的に投与される。投与は、例えば、静脈投与など全身的であっても局所的であってもよい。ある態様において、投与の経路は、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、腹腔内、髄腔内、胸腔内、子宮内、直腸内、膣内、局所、等である。ある態様において、該化合物は皮下的に投与される。
本開示の医薬組成物は、意図する投与経路に合うように調剤される。投与の経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸引)、経皮(局所)、及び経粘膜投与である。非経口、皮内、又は皮下応用に用いられる溶液又は懸濁液は、以下の成分を含んでいてもよい、すなわち、注入用に水、生理食塩水、不揮発性オイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又はその他の合成溶剤等の無菌の希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化剤、エチレンジアミンテトラアセテート等のキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸などの緩衝剤、及び、塩化ナトリウム又はデキストリンなどの等張性調節のための薬剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基で調節できる。非経口調剤は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、又は他用量バイアルに封止することができる。
本開示の化合物又は医薬組成物は、化学療法治療に現在用いられているよく知られた方法で対象に投与することができる。例えば、癌治療用に、本開示の化合物は直接腫瘍に、血液の流れに、又体腔に注入してよく、皮下的又は経口的に注入してもよく、又はパッチを使って皮膚を通して塗布してもよい。選ばれた用量は、効果的治療を成すために充分であるべきであるが、許容できない副作用を起こすほど高くてはならない。疾患のコンディションの状態(例えば、癌、前癌、等々)及び患者の健康状態は、治療中及び治療後の合理的な期間、注意深く観察すべきであり望ましい。
ある態様において、本開示の化合物、又はその医薬的に許容された塩、エステル、溶媒和物、ジアステレオマー、多形型、又はプロドラッグは、従来の手順(すなわち、本開示の医薬組成物を生成することなど)に従って、本開示の化合物、又はその医薬的に許容された塩、エステル、溶媒和物、ジアステレオマー、多形型、又はプロドラッグの医療効果のある量(例えば、望ましい治療効果を達成するのに充分な有効値)を標準的な医薬担体又は希釈剤と組み合わせることによって準備された適当な投薬型又は調剤として投与される。これらの手順は、成分を混合、顆粒化、圧縮、又は溶解することにより望みの製剤を得るために適したものとして含んでいてもよい。
非経口投薬形状は、当該分野で知られているいかなる手段によっても準備できる。例えば、無菌の注入できる水性又は油性懸濁液は、適した分散又は湿潤化剤及び懸濁剤を用いて、当該分野で知られている技術に従って調剤できる。
カプセル、錠剤、ピル、粉末、顆粒剤などの経口投薬形状は、当該分野で知られているいかなる手段によっても準備できる。本開示の化合物は、腸溶性の材料と混合され、錠剤へと圧縮してもよい。あるいは、本開示の調剤は、噛める錠剤、砕ける錠剤、口内で素早く溶ける錠剤、又はマウスウォシュに組み込むことができる。
肺(例えば、気管支内)への投与用に、微細な粉末又は噴霧可能な液体の形状で吸引組成物を生成するため、本開示の化合物は、従来の賦形剤とともに調剤できる。眼への投与用には、本開示の化合物は、例えば、点眼又眼内インプラントの形状に、従来の賦形剤とともに調剤化される。点眼剤に有用な賦形剤の中には、増粘化又はゲル化剤があり、目の中で流涙により失われるのを最少にし、保持を改善する。
経口又はその他の投与用に液体投薬形状は、限定はされないが、医薬的に許容された乳液、マイクロ乳液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルである。加えて、活性薬剤、液体投薬形は、当該分野で通常用いられている不活性希釈剤を含んでいてもよく、例えば、水又はその他の溶剤、溶解剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタン脂肪酸エステル、及びそれらの混合物等がある。不活性希釈剤のほかに、目、経口、又は他の全身的に行き渡らせる組成物は、湿潤剤や乳化及び懸濁剤などの補助剤も含んでいてもよい。
ジェット噴霧器及び超音波噴霧器を含む液体調剤用に市販され手に入れられる噴霧器は投与に有用である。液体調剤は、直接噴霧でき親油化粉末は再構成後、噴霧できる。本開示の化合物は、フルオロカーボン調剤及び測定された用量の吸入器を用いることによりエアゾール化でき、又は親油化され微粉末化された粉末として吸入することができる。
新規の医薬組成物の局所又は経皮投与用の投薬形状は、軟膏、ペースト、クリーム、乳液、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入器、又はパッチである。該活性薬剤は、無菌状態下で医薬的に許容された担体及び必要に応じていずれの防腐剤又は緩衝剤とともに混合される。例えば、皮膚経路の投与は水溶性液滴、ミスト、乳液又はクリームにより成される。
経皮パッチは、身体へ活性成分の制御された配送を可能にできる更に加わった利点がある。その様な投薬形は、適切な媒体に該化合物を溶解又は配分することで作られる。吸収促進剤も用いることができ、化合物の皮膚を通しての流動性を高める。その速度は、速度制御膜を与えること又は該化合物をポリマーマトリックス又はゲルに分散することにより制御できる。
直腸内又は膣内投与用の組成物は、本開示の化合物を適切で刺激性のない賦形剤又はカカオバター、ポリエチレングリコールなどの担体と混合することにより生成される座薬又は大気温では固体で体温では液体でありそれによって直腸又は膣内腔で融け活性薬剤を放出する座薬である。あるいは、考えられる調剤は、内視鏡を対象の直腸に挿入した後内視鏡のルーメンから放出することで投与できるものである。
当業者は、ここに検討されている既知の技術又は同等の技術の詳細な記述のある一般的な参考書を参考にされたい。これらの参考書は、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley and Sons, Inc.(2005);Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual (第3版.),Cold Spring Harbor Press,New York(2000);Coliganら、Current Protocols in Immunology,John Wiley and Sons, N.Y.;Finglら、The Pharmacological Basis of Therapeutics(1975)、 Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 第18版(1990)である。これらの参考書は、もちろん、本開示の態様の作成又は利用において参照できる。
ここで用いられている全ての百分率及び割合は、特に指定されていなければ、重量に基づく。本開示のその他の特徴及び利点は、異なる実施例から明らかである。挙げられている実施例は、本開示の実施に役立つ異なる成分や方法論を明らかにするものである。実施例は、開示した請求項を制限するものではない。本開示に基づいて、当業者は、本開示の実施に役立つその他の成分や方法論を認識し採用することができるであろう。
以下に挙げる実施例は、さらに本開示の異なる特徴を明らかにするために挙げられている。実施例は、又本開示の実施に役立つ方法論を明らかにするものである。これらの実施例は本開示を制限するものではない。
実施例1−B16F10Melanoma/DIOマウスの生体内試験−体重、腫瘍成長、脂肪組織量、及び白血球数
摂食誘引肥満が腫瘍成長を加速させることを示すために同系マウスモデルを確立させるため生体実験が行われた。実験は、この肥満が進み、メタボになった腫瘍モデルにおける本開示の化合物の効能を示すためのものである。詳細には、肥満動物の腫瘍に対して効能を示すことであり、又対応する痩せ型動物における効能を示すことである。実験は、肥満及び痩せ型動物群の両方の体重変化を比べ、血液学的パラメータの生物学的変化を測定し、及び効能のため本開示の共役分子を関連する小分子と比較することであった。
肥満マウスの平均体重が40g超になるまで、C57BL/6雄マウスに、60%Kcalを脂肪(DIO)から成る、TD.06414、高脂肪食(HFD)を12〜14週間自由に摂らせた。年齢の合ったC57Bl/6雄マウスには、通常のげっ歯類の摂食(10%脂肪、低脂肪食、LFD)を12〜14週間保った。実験は、2×105B16F10メラノーマ細胞を、痩せ型及び肥満型動物の脇腹へ注入することで始められた。
腫瘍が100mm3より大きくなってからは、マウスは5%マンニトール/水(ビヒクル対照)、化合物1、又は化合物4で処置された。処置は、5ml/kgを4日目ごと(化合物1)又は毎2日毎(化合物4)を17日間にわたり表2に示され用量とスケジュールで、皮下を介した包内注入であった。
化合物4はCKD−732(ベロラニブ及びZGN−433としても知られている)であった。化合物4は、1mg/kgの用量で、DIOマウスにおいて減量の誘発に効果があることが事前に示されている(Hughes TEら、”ZGN−201(ZGN)、a methionine aminopepeptidase 2(MetAP2) inhibitor、durably eliminatesexsess body fat in obese mice through regulation of fat metabolism and food intake”European Association for the Study of Diabetes;September 20−24,2010;Stockholm, Sweden. Presentation 244)。化合物4は、ここでは、以下の構造のヘミ酒石酸塩である。
図1Aは、B16F10メラノーマを持つ肥満及び痩せ型マウスの基準体重を示している。図1Bは、期間内の肥満及び痩せ型マウスのB16F10メラノーマ腫瘍成長を示している。データは、多重比較と二元配置分散分析(two−way ANOVA)***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。図1Aの結果は、実験の開始前は、肥満型又は痩せ型集団内で体重の有意な差はなかったが、肥満集団の平均体重は、痩せ型集団の平均体重から有意に異なっていたことを示している。図1Bの結果は、年齢の合った低脂肪食(痩せ型マウス)を消費した動物と比べ、高脂肪食(DIOマウス)の消費により肥満にさせられた動物において腫瘍が有意に早く成長し、有意により大きくなったことを示している。
図2Aは、ビヒクル、又は、本開示の化合物を8mg/kg又は24mg/kgでの処置後の、痩せ型マウスのB16F10メラノーマ腫瘍成長を示す。図2Bは、ビヒクル、又は、本開示の化合物を8mg/kg又は24mg/kgでの処置後の、肥満型マウスのB16F10メラノーマ腫瘍成長を示す。データは多重比較と二元配置分散分析(two−way ANOVA)*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。図2A及び2Bの結果は、用量に依存して、痩せ型及び肥満型動物両方に、化合物1が、腫瘍成長を阻害することを示している。しかしながら、図2Cでは、痩せ型マウス(化合物1の8及び24mg/kgの後、腫瘍の大きさの削減がそれぞれ43%及び55%である)に比べ、阻害の強さは、肥満型マウス(化合物1の8及び24mg/kgの後、腫瘍の大きさの削減がそれぞれ58%及び76%である)のほうが高かった。
図3Aは、ビヒクル又は本開示の化合物8mg/kg又は24mg/kgで処置した後の、B16F10メラノーマを持つ痩せ型マウスの体重を示す。図3Bは、ビヒクル又は本開示の化合物8mg/kg又は24mg/kgで処置した後の、B16F10メラノーマを持つ痩せ型マウスの体重を示す。データは多重比較と二元配置分散分析(two−way ANOVA)、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。図3A及び3Bの結果は、化合物1は、痩せ型及び肥満型マウスの両方に体重減少をもたらすことを示している。しかし、体重減少は、痩せ型マウス(化合物1の8及び24mg/kgの反応として、体重の変化が−11%及び−7%(基準値に対し)である)に比べ、阻害の強さは、肥満型マウス(化合物1の8及び24mg/kgの反応として、体重の変化が−19%及び−27%(基準値に対し)である)のほうが高かった。
図4は、ビヒクル及び化合物1で処置されたDIO及び痩せ型マウスにおいて、体重と腫瘍の大きさの間の関係を示している。図4の結果は、化合物1の腫瘍の大きさを下げる効果は、体重を減らす能力と関係していることを示している。この効果は、肥満型マウスでよりしっかりしており(両方のパラメータにおける変化の大きさ、同様に線形回帰のより大きい傾斜に基づき)、痩せ型マウス(線形回帰分析からのp−値に基づく)に比べ肥満により強く相関している。
図5は、ビヒクル又は本開示の化合物8mg/kg又は24mg/kg又はその他のMetAP2阻害剤(化合物4)2mg/kgでの処置後の肥満型及び痩せ型B16F10メラノーマ/DIOマウスにおける転移性肺の病巣の平均数(+/−SEM)を示している。図5の結果は、痩せ型に比べ、肥満型マウスが肺への転移が数的に多い(それぞれ痩せ型3.6+/−1.4病巣/マウス対肥満型0.4+/−0.24病巣/マウス;統計的に違いがない)を示している。該結果は、また化合物1が用量依存的に肥満型マウスにおいて、違いは統計的に有意ではないが、肺転移の数を減らすことを示している(8及び24mg/kgの後、それぞれ1.38+/−0.73病巣/マウス及び0.5+/−0.22病巣/マウス)。その他のMetAP2阻害剤(化合物4)は、肥満型マウスにおいて、肺転移の数を減らす効果が小さい(2.4+/−0.8病巣/マウス)。痩せ型マウスのグループ間で肺転移の違いは見られなかった(データは示されていない)。
表3は、ビヒクル又は本開示の化合物8mg/kg又は24mg/kg又はその他のMetAP2阻害剤(化合物4)2mg/kgでの処置後のB16F10メラノーマを持つ肥満型マウスにおける脂肪組織質量を示している。データは、多重比較と一元配置分散分析(one−way ANOVA)*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。表3の結果は、肥満で腫瘍を持つマウスが、痩せ型で腫瘍を持つものに比べ、有意に高い脂肪組織質量を持つことを示している。結果はまた、化合物1が、肥満型動物の体脂肪を減らしたことを示している(結果は、精巣上体のみに統計的に有意であった)。対照、ビヒクル処置を受けた動物の脂肪組織質量は、腫瘍を持たないDIOマウスより2〜5倍低い(示さず)。表3はまた、ビヒクル又は本開示の化合物8mg/kg又は24mg/kg又はその他のMetAP2阻害剤(化合物4)2mg/kgでの処置後のB16F10メラノーマを持つ痩せ型マウスにおける脂肪組織質量を示している。データは、多重比較と一元配置分散分析(one−way ANOVA)*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。表3の結果は、痩せ型マウスに着いた脂肪組織のどれも化合物1による処置によって影響を受けないことを示している。
図6はビヒクル又は本開示の化合物8mg/kg又は24mg/kg又はその他のMetAP2阻害剤(化合物4)での処置後の肥満型及び痩せ型B16F10メラノーマ/DIOマウスにおける白血球の数を示している。データは、多重比較と一元配置分散分析(one−way ANOVA)*p< 0.05、**p< 0.01、***p< 0.005及び****p< 0.0001を採用して分析された。図6の結果は、肥満型マウスは白血球増加をしめし(循環する白血球細胞(WBC)値の上昇)、化合物1はWBCを減少させることを示している。図6は、又、痩せ型マウスでは見られなかったが、肥満のマウスでは8mg/kgの化合物1に応答する有意な効果があることから、肥満型マウスがWBCにおいて効果により高い感受性があることを示したことが示される。
図7は、ビヒクル又は2mg/kgの非共役性の小分子MetAP2阻害剤(化合物4)で処理後の、肥満型及び痩せ型マウスにおけるB16F10メラノーマ腫瘍成長を示す。図7の結果は、化合物1で観察されたものより効果の度合いは小さいが(8mg/kgで57%削減)、化合物4は、肥満型マウスにおいて有意に腫瘍の成長を阻害する(28%で)ことを示している。化合物1で見られるものと対照的に、痩せ型マウスにおいて化合物4は腫瘍成長に何の効果も持たない。
8mg/kgの化合物1対2mg/kgの化合物4で送達された、活性MetAP2阻害剤の量を直接比較するために、化合物1における活性量、これはおおよそ20重量%であるか又は8mg/kgの用量で運ばれた活性が1.6mg/kgであるが、を説明しなければならない。加えて、化合物1の投与頻度は毎4日であり、化合物4の頻度の半分である。それ故、化合物1からマウスへ送達された活性MetAP2阻害剤の用量は、化合物4から送達された活性MetAP2阻害剤と比べおおよそ2.5倍以下であった(各用量に対しmg/kgに基づいて)。しかしながら、実験の期間(17日)に送達された活性MetAP2阻害剤の総量を比べるために、投与頻度の違いも考慮に入れなければならない(化合物4は毎2日に投与され、対して、化合物1は毎4日であった。)。総計で、化合物4は9回の投与で、対して、化合物1は5回の投与であった、これは、化合物1に対して、化合物4で活性MetAP2阻害剤は2.25倍以上送達されたことを意味する。化合物4で送達された活性MetAP2の量がより高いにもかかわらず、その効能は化合物1より低く、本開示の化合物が優れて予期せぬ利益を与えることを強調している。
図8は、ビヒクル又は2mg/kgのその他の小分子MetAP2阻害剤(化合物4)で処置後の腫瘍を持つ肥満型及び痩せ型マウスの体重を示している。図8の結果は、実験の過程で(上記のとおり)化合物4のほうがより多い量であるにもかかわらず、化合物1で観察されたものより効果の度合いは(8mg/kgの後で−18.9%)より小さいが、化合物4が肥満型マウスの体重を有意に減らしていることを示している(2mg/kgの後で−7.9%)。化合物1で観察されたものと対照的に、化合物4は、痩せ型マウスにおいて体重には何の効果もなかった。
実施例2−DIOマウスの生体内試験−レプチン及びアディポネクチン
レプチンは、中枢神経系(CNS)の視床下部内のニューロンに位置する受容体を介してシグナル伝達することで熱量摂取を阻害する能力に基づいて発見された脂肪細胞由来のホルモンである。マウス及びヒトにおけるレプチンの遺伝子欠損は、深刻な肥満を引き起こし、これは、組換えレプチンの外因性の送達に続いて逆転される。レプチンの循環値は、宿主における脂肪細胞の質量と正の相関関係があり、肥満動物及びヒトにおいて増加したレプチン値が観察される。正常体重の動物及びヒトとは違い、肥満動物及びヒトは内因的に上昇したレプチン値を感知せず食欲抑制、抗肥満効果に対し抵抗がある。長期及び永続的な時間経過の肥満進行の場合、末梢組織や器官は何年にもわたり高いレプチン値に曝される。今では、レプチンはCNS外の生物学的工程のいくつか(例えば、免疫機能、血管新生、血管内皮の恒常性、肝細胞再生)を制御することが認知されており、異常に高いレプチン値への暴露の逆の結論は、今や認識されつつある。具体的には、レプチンは、癌の幹細胞(例えば、Oct4)の生存経路を活性化することが示されており、このように癌の再発に雇用しているようである(Feldmanら、PNAS、2012、109(3)、829-834)。加えて、腫瘍進展の前臨床モデルは、ヒト脂肪間質細胞に由来するレプチンは、癌細胞増殖を直接に増加させ同様に、転移性疾病に寄与することが示されている。重要なことには、ASC−由来のレプチンの効果は、痩せ型のヒトドナーと反対に、ASCが肥満なヒトのドナーから単離されたものである時有意に高いことである(Strongら、Breast Can. Res.,2015、17:112)。それ故、レプチンは、肥満と癌の間の機械的つながりの成分であると示唆されている。(Parkら、Nat Rev Endocrinol.2014、10(8): 455-465)。
代謝の疾病及び今や癌(機械的、同様に予後の観点から)の両方における、その他の関心のエンドポイントは、脂肪細胞由来ホルモン、アディポネクチン、である。このタンパク質は、脂肪細胞から循環へと放出され、そこで肝臓や筋肉組織に作用し、インスリンの作用を増強することによって、有益な応答を引き出す。更に最近になって、アディポネクチンは、悪性の可能性(細胞増殖、癒着、浸蝕、及びコロニー形成)を制御する経路を直接制御し、マウスMCA38及びヒトHT29の両方において、代謝(AMPK/S6)炎症(STAT3/VEGF)及び細胞周期(P21/p27/p53/サイクリン)を制御し、LKB−1依存した方法でHCT116及びLoVo結腸癌細胞株を制御することで、アディポネクチンは、大腸癌において防御的であることを示唆している(Moonら、Gut、2013、2(4):561−70)。細菌の臨床研究は、乳癌において、増加した値が、疾病を伴わない生存と正の相関があるので、アディポネクチンは、がんの再発に対して防御的であることを示した(Dugganら、J Clin Oncol、2011、29(1):32−9)。代謝疾患と癌における二つのホルモン、レプチン及びアディポネクチン、の可能性のある役割を考慮し、同系B16F10メラノーマである肥満型及び痩せ型マウス、又は腫瘍の無い肥満型マウスの生体内実験から得られたサンプルの血漿レプチン値及びアディポネクチン値を測定した(ELISAを用いて)。
肥満マウスの平均体重が40g超になるまで、C57BL/6雄マウスに、60%Kcalを脂肪(DIO)から成る、TD.06414、高脂肪食(HFD)を16週間自由に摂らせた。
マウスは5%マンニトール水(ビヒクル対照)及び化合物1又は、化合物4で処置された。処置は、5ml/kgを4日目ごと(q4d)皮下を経た注入、また2.0mg/kg又は6.0mg/kgの化合物1の注入によってであった。
図9Aは、ビヒクル、又は本開示の化合物1の2mg/kg又は6mg/kgによる処置の後の、肥満DIOマウスにおける血清レプチン値を示している。図9Bは、ビヒクル、又は本開示の化合物1の2mg/kg又は6mg/kgによる処置の後の、肥満DIOマウスにおける血清アディポネクチンを示している。データは、多重比較と一元配置分散分析(one−way ANOVA)、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。図9A及び図9Bの結果は、各用量試験で、化合物1が血清レプチン値を下げ、血清アディポネクチンを上げたことを示している。特に、化合物1は、血清レプチン値を下げることに有意な効果を持っている。
図9Cは、ビヒクル、又は本開示の化合物1の2mg/kg又は6mg/kgによる処置の後の、肥満DIOマウスにおける血清レプチン:アディポネクチンの比を示している。データは、多重比較と一元配置分散分析(one−way ANOVA)、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。図9Cの結果は、各用量試験で、レプチン:アディポネクチン比の減少を示している。特に、化合物1は、6mg/kg用量で、レプチン:アディポネクチン血清値を下げることに有意な効果を持っている。
図9Dは、ビヒクル、本開示の化合物1の8mg/kg又は24mg/kg、又は化合物4の2mg/kgによる処置の後の、B16F10メラノーマを持つ痩せ型マウスにおける血清アディポネクチン値を示している。図9Eは、ビヒクル、本開示の化合物1の8mg/kg又は24mg/kg、又は化合物4の2mg/kgによる処置の後の、B16F10メラノーマを持つ肥満型DIOマウスにおける血清アディポネクチン値を示している。データは、多重比較と一元配置分散分析(one−way ANOVA)、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を採用して分析された。図9D及び図9Eの結果は、化合物1は、腫瘍を持つ痩せ型及び肥満型の両方のマウスで、血清アディポネクチンを有意に増加させていることを示している。対照的に、化合物2は、腫瘍を持つ痩せ型及び肥満型のどちらのマウスにおいても血清アディポネクチン値に影響はなかった。
実施例3−生体内EO771乳腺腫瘍/DIOマウス試験−腫瘍成長、体重
雌マウスは、外科的に卵巣を摘出し、続いて高脂肪食(60%脂肪)を14週間与え肥満と代謝機能不全を誘発させ、又は、低脂肪食(10%脂肪)を与えた。続いて、同系EO771細胞を第四乳腺に注入(50000/マウス)することにより乳腺腫瘍が誘発された。腫瘍が明瞭になったとき、化合物1(24mg/kgで)又はビヒクル(5%マンニトール/水)が皮下に毎四日に計4回投与された。
図10Aは、ビヒクル又は24mg/kgの本開示の化合物1で処置した後の、痩せ型EO771乳腺腫瘍/DIOマウスにおける、腫瘍成長を示している。図10Bは、ビヒクル又は24mg/kgの本開示の化合物1で処置した後の、肥満型EO771乳腺腫瘍/DIOマウスにおける、腫瘍成長を示している。データは、多重比較と二元配置分散分析(two−way ANOVA)、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001を用いて分析された。図10Aと図10Bの結果は、痩せ型雌マウスより、15日には肥満雌マウスにおけるEO771腫瘍は71%より大きいことを示している。結果はまた、化合物1が痩せ型及び肥満型の雌マウスの両方において、腫瘍の大きさにおける同様な効果の程度で腫瘍成長を減少させることを示している(痩せ型マウスにおける53%の減少に対し、肥満型マウスにおいては52%の減少)。
図11Aは、ビヒクル又は24mg/kgの本開示の化合物1で処置した後の、痩せ型EO771乳腺腫瘍/DIOマウスにおける、体重を示している。図16Bは、ビヒクル又は24mg/kgの本開示の化合物1で処置した後の、痩せ型EO771乳腺腫瘍/DIOマウスにおける、基準値に対する体重変化を示している。図11Cは、ビヒクル又は24mg/kgの本開示の化合物1で処置した後の、肥満型EO771乳腺腫瘍/DIOマウスにおける、体重を示している。図1Dは、ビヒクル又は24mg/kgの本開示の化合物1で処置した後の、肥満型EO771乳腺腫瘍/DIOマウスにおける、体重変化を示している。データは、多重比較と二元配置分散分析(two−way ANOVA)、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005及び****p<0.0001によって分析された。図11A〜11Dの結果は、化合物1の24mg/kgの毎4日毎の投与は、乳腺腫瘍をもつ痩せ型及び肥満型の両方の雌マウスにおける体重を、同様の効果の程度で(それぞれ、痩せ型マウスでは18%減少、肥満型マウスでは21%減少)減少させることを示している。
表4は、化合物1が、2週間にわたり、毎2日の処置の後、肥満マウスにおける、脂肪組織の質量(3つのデポ、子宮傍組織、後腹膜、鼠蹊部で剖検)と有意に減らしたことを示している。それほど有意ではなかったが、化合物1の同様の効果が痩せ型マウスにおいて見られた。
実施例4−高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における安全性及び耐薬性評価のための化合物1のフェーズ1投与量増加実験−実験計画
化合物1のフェーズ1臨床試験は幾つかの目的がある。
第一の目的は:
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、化合物1の安全性及び耐薬性の測定
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、化合物1の最大耐薬性の用量の測定
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、化合物1の推奨するフェーズ2用量(RP2D)の測定
第二の目的は:
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、化合物5、化合物1の活性部分及び代謝物、の薬物動態(PK)の評価
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、化合物1の抗腫瘍活性の証明を記録する。
診査の目的は以下を含む:
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、バイオマーカー分析及びPET走査画像(研究者及び医療観察者に臨床的に妥当であり承認されたもの)による化合物1の効果を評価する。
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、MetAP2分析及びDCEMRI画像(研究者及び医療観察者に臨床的に妥当であり承認されたもの)による化合物1の薬物動態(PD)効果を評価する。
・ 高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における、代謝因子への化合物1の効果を記録する。
・ 選択された患者における、体内筋肉及び脂肪細胞量をMRI又はCT画像で評価する。
研究の説明
これは、高度に難治性又は末期の固形腫瘍を持つ患者における安全性と耐薬性評価するための皮下に投与された化合物1のフェーズ1投与量増加研究である。加速的滴下投与量増加計画は、治療の第一の周期において、該患者が、研究者によって、恐らく、たぶん、又は明らかに研究薬剤に関連していると見なされるグレード2毒性を持つまで、投与値あたり一患者に応用される。一サイクルは、計4週治療から成る28日であり、次の治療周期を始めに先立つ投与前安全試験をふくんでいる。少なくとも恐らく研究薬剤に関連していると見なされるグレード2毒性が患者の第一周期の治療において一旦観察されると、研究の加速フェーズは終わり、非加速フェーズ(3+3投与増強計画)が始まる。投与制限毒性(DLT)が見つかるまでに、非加速計画へ切り替える引き金となる投与及びその後に続く投与レベルで、最低3人の評価可能な患者が生じた。
加速的滴下投与量増加計画フェーズの間、スポンサー、医療モニター、及び安全性評価委員会(SRC)が、患者の第一周期治療において少なくとも恐らく研究薬剤に関連していると見なされるいずれかのグレード2毒性が観察される前に、3+3非加速フェーズへと切り替えるのを決定する。
3+3非加速フェーズにおいて、もし3人の患者のうち一人がDLT(以下に定義する)を持つ場合、群は、最大6人の患者にまで広げられる。もし6人の患者のうちたった一人がDLTを持つ場合、投与増加は続く。もし二人の患者がDLTを持つ場合、この群における治療を受けている患者の数にかかわらず、投与増加は止められる(例えば、患者1及び4がDLTを持つ場合、患者5及び6は治療されない)。6人の患者のうち二人がDLTを持つことになる投与は、MTD以上の少なくとも一投与値であると考えられる。次の、より低い投与で全6人の患者を治療することによって充分に評価される。二人以上の患者がこのより低い投与値でDLTを持つ場合、段階的縮小は、投与値が6人の患者のうち一人或いは零人がDLTを持つと特定されるまで続く。この投与がMTDとして特定される。
一旦MTDが決定されると、6人以上までの患者、合計12人までの患者、が、治療下で発現した有害事象(TEAE)の特徴をさらに調べるためこの投与値で治療される。
研究者により恐らく、たぶん、あるいは明らかに化合物1の投与によるものと見なされるグレード3又はそれ以上の毒性を経験する患者は、14日までの間次の投与を控えることができ(投与される日と決められている日が投与遅延の第1日と見なされる)、患者の毒性がグレード1又は患者の実験前の基準値にまで戻った時、治療は同じ投与値で再開される。14日以上投与が控えられた患者は研究を継続されない。予定された治療開始の第1日目から2週間にまで及ぶ投与の遅延は、患者の臨床的懸念と見なされ、それは、研究者、医療観察者、及び患者の間の同意に基づいて、研究薬剤に関連しないと見なされる。
研究の間、SRCが追加の投与グループを開くべきかどうか決定する。採用されている最も高い投与より高い又は低い新たな投与グループが、研究者、医療観察者、及びSRCの承認により加えられる。
次のより高い群への患者内投与増加が、第一周期において、少なくとも恐らく研究薬剤と関連すると見なされるグレード2を示さない患者に対し、考慮され、Cycle2の後、腫瘍負荷評価(Tumor Burden Assessment)が成功裏に完了する。このタイプの投与漸増は、次のより高い投与群の患者が、少なくとも恐らく研究薬剤と関連すると見なされるグレード2の有害事象を示さずに、一旦Cycle1の安全評価を成功裏に完了した時にのみ許される。投与の増加の決定は、研究者、医療観察者、及びスポンサーの間の検討により、患者の許可を考慮して成される。もし患者が、Cycle4,5、又は7、及びそれ以上次のより高い投与値へと昇る場合、追加の血漿PKサンプルが決められた予定で収集される。
患者は、以下の場合、治療を続けるのを許される:
・ 臨床的応答がある場合、又は
・ C2、C4、C6、及その後の毎3周期後の画像研究に基づく評価で安定した疾病がある場合、又は
・ 研究者及び医療観察者が治療から利益を受けていると同意する場合。
各患者は、週1回、4週間(1、8、15、及び22日)投与を受け、次の治療サイクルの始まる前に安全性のフォローアップを含んでいる。患者はRECIST1.1基準による疾病評価に先立ち2周期を終える。以下は、採用される次の投与値である。
有害事象共通用語基準(CTCAE)v4.02が毒性を測定するのに用いられる。
DLTは臨床的に有意な、以下の有害事象のいずれかとして定義され、最大の医療支持にも拘らず、研究者が、恐らく、たぶん、又は明らかに頑固に続く化合物1の投与に関連すると見なされる。
・ グレード3又はより高い非血液毒性のいずれか;7日間続く、又は
・ グレード3又はより高い3日続く吐き気、下痢及び/又は嘔吐のいずれか、患者は最大の医療介入及び/又は予防的抗嘔吐治療をした場合、又は、
・ グレード3又はより高い血液毒性のいずれか;3日間続く、又は
・ グレード3又はより高い発熱性好中球減少症のいずれか。
研究個体数:およそ30患者
研究薬剤投与:皮下注入による化合物1の投与、各周期の1、8、15、及び22日、及び次の治療周期の初めに先立つ安全性フォローアップを含む。
選択基準:
患者は、書面の告知の同意書を提出し、研究に要求されることを理解し、研究の要求を遵守することに同意できるもの。
21歳以上85歳以下の男性又は女性。
患者は、組織学的又は細胞学的に進んだ、難治性の、末期の固体腫瘍を持ち、標準治療において進展し、その患者に対する有効な抗癌治療の無いもの。
患者は、伝統的なコンピュータ断層撮影走査(CTscannning)技術により1cm以上の最大の大きさの放射線撮影で測定できる病巣を少なくとも一つ持っているもの、(RECIST11基準に基づく)又は、研究者の意見において、評価される疾病が確実に一貫して追跡でき患者が、医療観察者によって適格と認定される場合。
Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG)状態1以下。
平均余命3か月以上
妊娠可能な女性は、授乳中であってはならず、研究の始まる72時間前に血清妊娠試験で陰性でなければならない。もし、女性のパートナーが閉経しておらず又は外科的に不妊でない場合、その時は女性と男性の研究患者は、例えばコンドームあるいは閉塞キャップ(例えば、隔膜又は子宮頸部/内部キャップ)などの二重の出産制限方法、プラス殺精子剤(例えば、泡、ゲル、フィルム、クリーム、坐剤)を、最後の治療の後90日間を含む研究に参加する期間を通して喜んで使用しなければならない。
実験室データは以下の通り
・ 血液学:ANC >1500細胞/mm3、血小板数>100000 細胞/mm3及びヘモグロビン>9g/dL。
・ 検尿:臨床的に有意な異常なし。
・ 凝固:INR及びPTT正常値内。
・ HIV陽性患者は、以下の基準に合っていれば適格である:CD4数≧100/mm3、過去3か月以内のウィルス量が検出限界以下、研究参加前4週間以上、抗レトロウィルス治療を受けている。
画像検査走査に適格な患者は、45分間、平らに横たわることができなければならない。
除外基準
臓器移植手術を受けた患者。
脳の原発性悪性腫瘍、脳転移、又は活性なCNS病理を持つ患者。
A、B、又はC型肝炎の病歴を持ち活性な抗ウィルス治療を受けている患者。
抗凝固薬治療中の患者:ただし、標準のASA、抗血小板剤、用量で、医療観察者に事前に承認されたものは許可される。
胃のバイパス手術やバンディング手順の病歴を持つ患者。
糖尿病の制御のためインスリンが必要な患者。非グルコース依存で作用するインスリン分泌促進物質、グリブリド及びこのクラスのいずれかの薬剤などスルホ煮る尿素を服用しているもの。
例えば、日に5mgのプレドニゾン、0.75mgのデキサメタゾン、20mgのハイドロコルチゾン、0.6mgのベタメタゾン、4mgのメチルプレゾニドロン、25mgのコルチゾン、など生理学的に代替同等のコルチコステロイド以上を服用する患者。点鼻、吸引、あるいは局所コルチコステロイドは許可される。
制御不能な又は難治療的な高血圧である患者:医薬治療にも拘らず、収縮期>180又は拡張期>110、又は血圧低下:収縮期<90又は拡張期<50。
スクリーニングの間に得られた12−リード心電図が、QTc(バゼット補正、補正QT時間)が≧470msを示す患者又は先天性QT延長症候群を持つ患者。孤立右脚ブロック(RBBB)及び不完全右脚ブロック(IRBBB)及び左脚前枝ブロック(LAH)は許容される。いかなる制御されない不整脈(レート制御性心房細動を持つ患者は、排除基準#4に基づいて慢性的抗凝固剤を服用していなければ排除されない)。
腎機能:血清クレアチン、正常値より高いクレアチン値を持つ患者の場合、>1.5X正常上限(ULN)、又は計算されたクレアチンクリアランス<50mL/min/1.732であるもの。
肝機能:総ビリルビン≧1.5X 正常上限(ULN);アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパレートアミノトランスフェラーゼ(AST)≧2.5XULN。肝転移又は肝腫瘍を持っている患者でALT又はASTが5.0X ULN以下のものは許可される。
研究薬剤の最初の投与前30日以内に、他の治験薬の試験の参加者。
事前治療:
・ 研究薬剤の最初の投与前、4週間以下又は5半減期のうちいずれか短い時間、次の薬剤による治療。
・ 細胞障害性又は細胞増殖抑制化学療法、モノクロナール抗体治療、放射線治療、分子標的治療、ホルモン剤、TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)、血管新生及びVEGF阻害剤に依るすべての治療。
・ 研究薬剤の最初の投与前、4週間以内の大きな手術。
・ 研究薬剤の最初の投与前、12週間以内の放射線免疫治療による全ての治療。
研究者の意見にもとづき、本研究への参加を排除又は患者の研究遵守を妨げるすべてのその他の現在の状態又は社会的状況。
患者が研究の手順に従うのを妨げる、又は研究に参加することになった場合患者を許容できない危険に置く、又は研究からのデータを解釈する能力を惑わせる重大な医療状況、実験室の異常、又は精神疾患。
試験材料又は関連する化合物のいずれかに対する過敏症の既往歴がある患者
化合物1の生物学的に活性な小分子部分、化合物5、がCYP3A4&5基剤だと仮定すると、強力なシトクロムP450、ファミリー3、サブファリミーA、ポリペプチド4(CYP3A4/5)誘導物質(例えば、デキサメタゾン、フェニトイン、カルパマゼピン、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、フェノバルビタール、セントジョンズワート)の慢性的、併存治療を必要とする患者。
放射線治療を研究薬剤の最初の投与前4週間以内に受けた、又は局所的放射線治療の場合(例えば、鎮痛目的又は骨折のリスクを覚悟する溶解性病変)研究薬剤の最初の投与前2週間以内に受けた患者、又は放射線治療の毒性から回復していない患者。
研究薬剤の最初の投与前の2か月以内に、処方された又は処方せんの無い食欲促進剤(食欲刺激剤)(すなわち、酢酸メゲストロール、ミルタザピン、ドノナビノール、アナボリックステロイド)の使用。
研究評価
以下は、登録に先立って必要とされる必須事項及び試験の概要であり、このフェーズ1研究における患者の参加の間実施される。
スクリーニング期間(第1日の前、14日まで)
・ 署名された同意説明書
・ 既往歴
・ 身体検査(全身); もし臨床的に示されていない場合、直腸内及び生殖器試験は遅らせてもよい
・ 身長及び体重
・ ECOGパフォーマンスステータス
・ バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、及び呼吸数)
・ 併用薬の評価
・ 12−リード心電図(三つ組)
・ 血清妊娠テスト(妊娠の可能性のある、不妊ではない女性のため)
・ 血液学
・ 臨床化学、血液凝固、脂質、及び尿検査(ディップスティックで陽性ならば、顕微鏡検査)
・ RECIST1.1基準を用いた放射線学的評価に依る腫瘍負荷評価(もし治療第1日目のわずか30日以内に見つかったなら、CTスキャンを用いてよい。)
・ 研究者及び医療観察者によって承認され、臨床的に示された時、PET及びDCE MRIスキャン
・ 身体組成分析のため、研究者及び医療観察者によって承認された選択された患者へのMRI又はCTスキャン、参照画像マニュアル
・ 患者の特定の腫瘍タイプに関連するタンパクバイオマーカーに帰着する利用可能な臨床的に許された分析記録(例えば、PSA、CA−125、AFP、CEA、beta−hCG、Ca19−9、等)
治療期間(PK、PD、バイオマーカー、及び保持を除く投与前の試験は、治療に先立つ72時間以内に実施してもよい。
・ 既往歴
・ 体重(研究薬剤の計算のため毎治療日前投与−前回の訪問からの体重を研究薬剤投与計算のため用いてよい)。
・ 食事習慣、摂食、及び身体活動に関する問診
・ ECOGパフォーマンスステータス(各周期の投与前第1日)
・ バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、及び呼吸数)
・ 併用薬の評価
・ 12−リード心電図(三つ組)
・ 皮下治療注入部の局所耐性
・ 血清妊娠テスト(妊娠の可能性のある、不妊ではない女性のため)(投与前第1日)
・ 血液学
・ 臨床化学、血液凝固、脂質、及び尿検査(ディップスティックで陽性ならば、顕微鏡検査)
・ PK及びPD分析用の血液サンプルの収集
・ 診査用のバイオマーカー及び保持のための血液サンプルの収集
・ 研究者及び医療観察者によって承認され、臨床的に示された時、PET及びDCE MRIスキャン
・ 身体組成分析のため、研究者及び医療観察者によって承認された選択された患者へのMRI又はCTスキャン、参照画像マニュアル
・ RECIST1.1を用いて、一回置きの周期で(すなわち、Cycles2、4,6)行われる腫瘍負荷評価。周期6が完了した後、腫瘍負荷評価は毎3周期で行われる。もし安定した又は積極的な応答が明らかとなった場合は、フォローアップ(4週間)の確証的放射線評価が行われる。
・ 患者の特定の腫瘍タイプに関連するタンパクバイオマーカーに帰着する利用可能な臨床的に許された分析記録(例えば、PSA、CA−125、AFP、CEA、beta−hCG、Ca19−9、等)
・ 有害事象の見直し(症状の見直しを含む)
治療終了(EOT)評価(EOT訪問は、治験調査医師が、試験薬治療がもはや選択肢ではないと決定した後、又は患者が研究から退いた後できるだけ早く予定する。)
・ 体重
・ 摂食、食事習慣、身体活動に関する質問
・ ECOGパフォーマンスステータス(各周期の投与前第1日)
・ バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、及び呼吸数)
・ 併用薬の評価
・ 12−リード心電図(三つ組)
・ 皮下治療注入部の局所耐性
・ 血液学
・ 臨床化学、血液凝固、脂質、及び尿検査(顕微鏡検査)
・ PK及びPD分析用の血液サンプルの収集
・ バイオマーカー及び保持のための血液サンプルの収集
・ RECIST1.1基準を用いた放射線学的評価に依る腫瘍負荷評価
・ 患者の特定の腫瘍タイプに関連するタンパクバイオマーカーに帰着する利用可能な臨床的に許された分析記録(例えば、PSA、CA−125、AFP、CEA、beta−hCG、Ca19−9、等)
・ 有害事象の見直し(症状の見直しを含む)
研究終了(EOS)評価(EOSは、EOT(±3日)訪問後30日)
・ 身体検査
・ 身長及び体重
・ 摂食、食事習慣、身体活動に関する質問
・ ECOGパフォーマンスステータス
・ バイタルサイン(体温、血圧、脈拍、及び呼吸数)
・ 併用薬の評価
・ 12−リード心電図(三つ組)
・ 皮下治療注入部の局所耐性
・ 血清妊娠テスト(妊娠の可能性のある、不妊ではない女性のため)
・ 血液学
・ 臨床化学、血液凝固、脂質、及び尿検査(顕微鏡検査)
・ PK及びPD分析用の血液サンプルの収集
・ バイオマーカー及び保持のための血液サンプルの収集
・ RECIST1.1を用いた腫瘍負荷評価がなされる
・ 患者の特定の腫瘍タイプに関連するタンパクバイオマーカーに帰着する利用可能な臨床的に許された分析記録(例えば、PSA、CA−125、AFP、CEA、beta−hCG、Ca19−9、等)
・ 有害事象の見直し(症状の見直しを含む)
研究終了点
安全性終了点
・ AEの発生率、グレード、及び期間
・ 全体及び限られた場所での容認性評価
・ 実験室での評価
・ 健康診断、バイタルサイン、及びECGパラメータ
薬物動態及び腫瘍負担終了点
・ 患者がもはや研究薬剤を取らなくなるまで、投与1からPKプロファイル
・ 疾病状態の変化、全体的応答の速さ(CR+PR)、及び疾病制御速さ(CR+PR+SD)
診査の終了点
・ PET及びDCE MRI評価
・ 患者がもはや研究薬剤を取らなくなるまで、投与1からPD(MetAP2)プロファイル
・ 身体組成における変化のMRI又はCT評価
・ 患者がもはや研究薬剤を取らなくなるまで、投与1からバイオマーカー評価(TNF−α、IL−6、MCP−1,IGF−1、hsCRP、レプチン、インスリン、SHBG(選択された患者用)VEGF、bFGF、及びアディポネクチン)
・ 患者がもはや研究薬剤を取らなくなるまで、投与1から代謝評価(グルコース、総コレステロール、LDL、HDL、遊離脂肪酸、脂質、トリグリセリド、及びVLDL)、及び食事及び栄養評価
統計的分析
このフェーズ1試験における少しの患者のサンプリングの大きさである場合、記述統計が、全ての安全性、効能、及び薬学動態パラメータにもちいられる。カテゴリー変数は、度数分布(患者の数及び百分率)で要約され、連続変数は、平均、標準偏差、中央値、最小、最大で要約され、事象が起きるまでの時間変数は、Kaplan−Meier法を用い、見込まれる中央値時間の数値を用い要約される。
少なくとも1回のAEを経験する患者の頻度は、対組織及びMedDRA医薬用語集に従った好ましい用語によって表わされる。各AEの詳細な情報は、事象の記述、期間、AEが重大であるかどうか、重篤性、研究薬剤との関係、とられた行動、臨床成果、及び、DLTであるかないかを含んでいる。AEの重篤性は、CTCAEv4.02に従って格付けされる。投与制限として分類されるAEが挙げられている。
要約表は、AEとともに観察された患者の数(投与グループごと)と対応する百分率を表す。発生率を計算するため用いられる分母は、各投与グループで化合物1の少なくとも1回の投与を受けた患者から成る。各表内で、AEはMedDRA体組織及び好ましい用語によって分類される。追加の下位カテゴリーは、事象の重篤性及び研究薬剤との関係に基づく。
治療の中止或いは研究からの撤退に帰結する有害事象、重篤な有害事象、及び研究中の死亡が集計される。全てのDLTが報告され又MTD同定される。
バイタルサイン及びECGは、記述統計を用いて要約される。要約表は、時間をかけて実験室測定の分布を検討するため準備される。シフト表は実験室毒性の分布を検討するために提供される。加えて、患者一覧は、有害事象、バイタルサイン、臨床実験試験、身体検査、及びECG(治療前、治療後)が表示される。
実施例5 −フェーズ1研究−代謝機能不全
インスリン、レプチン、IGF−1などのホルモン値の上昇又はアディポネクチンなどの低いホルモン値又はレプチン:アディポネクチン比の上昇と定義される、代謝機能不全は、典型的に肥満と関係している(肥満度指数>30kg/m2をもつと定義される)。肥満は、最も多くには、過剰な栄養及び体を動かさないこと、長期間のこれらのことが脂肪組織内にトリグリセリドとして栄養の蓄積へと結びつくことの結果である。この筋書きにおいて、より多くのトリグリセリドが堆積するにつれ、脂肪組織内の脂肪細胞は肥大してゆき、肥満が進み、これらの細胞はついにそれ以上拡大しない大きさ以上の危機的大きさにまで達する。肥大した脂肪細胞は増強されたレプチン分泌(これが、脂肪組織量に比例して循環レプチン値の上昇につながる)又アディポネクチン分泌の減少(これが、代謝機能不全の指標である、循環アディポネクチン値の減少につながる)を示す。
加えて、肥大脂肪細胞は、局所的低酸素症を引き起こすが、これが細胞ストレス、細胞死、及び免疫細胞の同時湿潤(マクロファージ及びリンパ球)を起こし過剰なトリグリセリド及び胞残渣を摂取する。次に起きる事象は、脂肪組織内での持続する炎症、脂肪細胞の過形成に寄与する脂肪幹細胞の増殖、血管新生の増加等を含んでいるが、これらの全てが代謝機能不全を起こすことに寄与する。
これらの事象は、皮下脂肪細胞とは反対に、主に内臓(腹部)脂肪組織で起こり、内臓脂肪組織量と(皮下 脂肪組織より低い程度ではあるが)代謝機能不全との関係はよく知られている。しかしながら、BMIの測定は、身体内の脂肪組織分布をとらえておらずあるいは、筋肉量を考慮していないので、上に述べたように代謝機能不全につながる超肥満や脂肪組織における病理学的障害は、BMIが正常値(例えば、20〜25kg/m2)又は過重(例えば、25〜30kg/m2)の範疇に入るすべての患者に起こり得る。患者が代謝機能不全であるかないかを測定するためには、BMIは、上記の理由から正確ではなく、より正確な試験は、インスリン、レプチン、アディポネクチン及びIGF−1等の循環ホルモン値をそくていすることを含んでいる。
本研究において、インスリン、レプチン、アディポネクチン及びIGF−1等の循環ホルモン値が、癌患者(空腹状態)において測定され、投与範囲を用いて、週一回の化合物1の皮下投与に対する応答。カルチノイド、大腸がん、子宮頸がん、子宮内膜癌、乳癌を持つ患者が、種々の程度の代謝機能不全を示しながら、それらのホルモンの基準値を示したことには留意されたい。更に、週刊的な化合物1の投与後のこれらのホルモン値の変化の方向は、代謝機能不全の改善を示している。
図12は、代謝バイオマーカーインスリン、アディポネクチン、レプチン、IGF−1の循環値及びレプチン:アディポネクチン比(LAR)の基準線及びカルチノイド腫瘍を持ち24.5kg/m2(例えば、正常)である男性患者に週に1度の化合物1を投与した後のそれらの値の両方を示している。図12Aは代謝バイオマーカーの絶対値を示し、図12Bは長期の基準値に対する%変化を示している。図12Aと12Bの結果は、基準値にある空腹時インスリンは異常に高いが、化合物1の4週間の週刊投与後89%(基準値との比較)減少している。加えてレプチン同様にレプチン:アディポネクチン比(LAR)もすべて減少しており、化合物1の投与後、代謝機能の改善が見られた。
図13に示されるその他の実施例では、結腸癌をもつ女性患者(BMI=23.5、又は正常)が週に1回、6mg/m2の化合物1を12週間投与され、続いてさらに6週間8.5mg/m2まで投与を増加された。図13Aは代謝バイオマーカーの絶対値を示し、図18Bは長期の%変化を示している。図13A及び13Bは、レプチンは基準値から下がったが、一方アディポネクチンは同じ期間、LARが基準値から増加した値4.7から62%下がる様に増加し、化合物1の投与後、代謝機能不全に改善が見られたことを示している。
図14に示されるその他の実施例では、子宮内膜癌をもつ女性患者(BMI=25.1、又は過体重)が週に1回、8.5mg/m2の化合物1を12週間投与され、続いてさらに5週間11.9mg/m2まで投与を増加された。図14Aは代謝バイオマーカーの絶対値を示し、図14Bは長期の%変化を示している。図14A及び14Bは、レプチンは基準値から下がったが、一方アディポネクチンは同じ期間、LARが基準値から増加した値4.5から85%下がる様に増加し、化合物1の投与後、代謝機能不全に改善が見られたことを示している。インスリンデータは基準値が利用可能ではなかったので、基準値からの%変化は計算されなかった、しかしインスリンは、投与開始後初めの4週間の期間(インスリンのデータが初めて利用可能になった時)から東洋開始後8週間の間に80%減少した。
図15に示されるその他の実施例では、子宮頸癌をもつ女性患者(BMI=22.5、又は正常)が週に1回、11.9mg/m2の化合物1を8週間投与された。図15Aは代謝バイオマーカーの絶対値を示し、図15Bは長期の%変化を示している。図15A及び15Bは、レプチンは基準値から88%下がり、LARが基準値から78%下がり、化合物1の8週間の投与後代謝機能不全に改善が見られたことを示している。インスリンは基準値から投与後8週間までに50%下がり、化合物1の投与後、これも代謝機能不全に改善が見られたことを示している。
図16に示されるその他の実施例では、ホルモン受容体陽性乳がんをもつ女性患者(BMI=27.5、又は過体重)が週に1回、15.3mg/m2の化合物1を8週間投与された。図16Aは代謝バイオマーカーの絶対値を示し、図16Bは長期の%変化を示している。図16A及び16Bは、レプチンは基準値から70%下がり、化合物1の8週間の投与後代謝機能不全に改善が見られたことを示している。