JP2019218510A - 導電性高分子分散液、導電性積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性に優れる導電性高分子分散液を提供する。【解決手段】本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、ケイ素原子を1分子内に2つ以上有するシリケートと、有機溶剤とを含有し、前記ポリアニオンの一部のアニオン基にアミン化合物が付加している。【選択図】なし

Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有する導電性高分子分散液、導電性積層体の製造方法に関する。
近年、タブレット型コンピュータ、スマートフォン及び携帯ゲーム機等の携帯電子機器においては、入力装置として静電容量式タッチパネルが広く使用されている。
携帯電子機器は持ち運びやすさの点から薄型化が求められることが多く、その要求に応えるため、入力装置としてインセル型静電容量式タッチパネルが使用されることがある。インセル型静電容量式タッチパネルは、静電容量式タッチパネルがディスプレイの内部に組み込まれたものであり、ディスプレイの電極とタッチパネルの電極が共用されることで薄型化されている(例えば特許文献1)。
インセル型静電容量式タッチパネルは、基材の表面に導電層が形成された導電性積層体を備えている。この導電性積層体における導電層は、導電性が低すぎると、液晶分子帯電による表示不具合が生じることがある。一方、導電層の導電性が高すぎると、タッチパネルの静電容量変化の検知に悪影響を及ぼすことがある。そのため、導電層においては、適度な導電性、例えば1×10Ω/□以上1×1012Ω/□以下程度の表面抵抗が求められる(本明細書中、Ω/□はΩ/sq.を意味する)。
このような表面抵抗を得るための導電材として、導電性高分子を使用することがある。導電性高分子を含む導電層の形成方法としては、例えば、π共役系導電性高分子とポリアニオンの導電性複合体を含む導電性高分子分散液を基材表面に塗工する方法が知られている。
国際公開第2014/042248号
導電層においては、液晶表示ユニット組み立て工程時の傷付き防止のために、高い硬度が求められる。導電層の硬度を向上させる方法としては、オルトケイ酸テトラエチル等のシリケートを導電性高分子分散液に含有させて導電層にSiOを含ませる方法が考えられる。しかし、導電性複合体とシリケートと有機溶剤とを含有する導電性高分子分散液は、保存安定性が低くなることがあった。導電性高分子分散液の保存安定性が低くなると、保存後の導電性高分子分散液を用いて形成した導電層の導電性が、保存前の導電性高分子分散液を用いて形成した導電層の導電性に対して大きく変化することがある。
本発明は、導電性複合体とシリケートと有機溶剤とを含有し、保存安定性に優れた導電性高分子分散液を提供することを目的とする。また、本発明は、長期保存された導電性高分子分散液が使用されて導電層が形成された場合でも導電層の導電性が変わりにくい導電性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、ケイ素原子を1分子内に2つ以上有するシリケートと、有機溶剤とを含有し、前記ポリアニオンの一部のアニオン基にアミン化合物が結合している、導電性高分子分散液。
[2]前記シリケートはケイ素原子を1分子内に4つ以上有する、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3]前記シリケートにおけるSiO単位の含有量が前記シリケートの総質量に対して40質量%以上70質量%以下である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4]前記シリケートは、下記化学式(I)で示される化合物及び下記化学式(II)で示される化合物の少なくとも一方である、[1]〜[3]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
Sin−1(OCH2n+2 (nは2以上100以下である。) (I)
Sim−1(OCHCH2m+2 (mは2以上100以下である。)(II)
[5]芳香環の2つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された化合物、芳香環の2つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物、及び、芳香環の1つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換され且つ1つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物よりなる群から選ばれる1種以上である芳香族化合物をさらに含有する、[1]〜[4]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[6]前記芳香族化合物が、下記化学式(III)で示される化合物である、[5]に記載の導電性高分子分散液。
(化学式(III)におけるR,R,R,R,及びRのうち少なくとも一つがヒドロキシ基であり、残りは、各々独立して、水素原子又は任意の置換基である。)。
Figure 2019218510
[7]前記芳香族化合物が、ガリック酸及びガリック酸のカルボキシ基のエステルからなる群から選ばれる1種以上の化合物である、[6]に記載の導電性高分子分散液。
[8]前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[7]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[9]前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[8]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[10]ガラス基材塗工用である、[1]〜[9]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液。
[11][1]〜[10]のいずれか一に記載の導電性高分子分散液を基材に塗工することを含む、導電性積層体の製造方法。
[12]前記基材がガラス基材である、[11]に記載の導電性積層体の製造方法。
[13]前記ガラス基材が無アルカリガラス基材である、[12]に記載の導電性積層体の製造方法。
[14]前記基材が液晶セルである、[11]〜[13]のいずれか一に記載の導電性積層体の製造方法。
本発明の導電性高分子分散液は、導電性複合体に加えてシリケート及び有機溶剤を含有するにもかかわらず、保存安定性に優れる。
本発明の導電性積層体の製造方法によれば、長期保存された導電性高分子分散液が使用されて導電層が形成された場合でも導電層の導電性が変わりにくい導電性積層体を容易に製造できる。
<導電性高分子分散液>
本発明の一態様の導電性高分子分散液は、導電性複合体とシリケートと有機溶剤とを含有する。
本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む。前記ポリアニオンは前記π共役系導電性高分子に配位し、ポリアニオンのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープするため、導電性を有する導電性複合体を形成する。
ポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープせず、余剰のアニオン基を有している。本態様においては、前記の余剰のアニオン基の少なくとも一部にアミン化合物が結合している。これにより、導電性複合体が疎水化されている。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリピロール系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
[ポリアニオン]
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、又はカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。ポリアニオンの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた質量基準の分子量のことである。
本態様においては、ポリアニオンのアニオン基の一部にアミン化合物を付加して結合させることにより、疎水性置換基を形成している。アミン化合物によってポリアニオンに疎水性置換基を形成することにより、導電性複合体の親油性が高くなり、水に対する導電性複合体の分散性が低下し、有機溶剤に対する導電性複合体の分散性が向上する。
なお、導電性複合体の詳細な分析は必ずしも容易ではないが、ポリアニオンのアニオン基とアミン化合物との反応によって、−HNRで示される疎水性置換基が形成されると推測される。前記R,R,Rは、後述するアミン化合物に由来する置換基である。例えば、R,R,Rの少なくとも1つは炭化水素基(但し、その炭化水素基の水素原子の少なくとも一つがアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基等で置換されていてもよい。)である。R,R,Rのうち炭化水素基でないものは水素原子である。
前記疎水性置換基は、アニオン基の酸素原子に結合する。
アミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。アミン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第一級アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
第二級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物のうち、本態様の導電性高分子分散液を容易に製造できることから、第三級アミンが好ましく、トリブチルアミン及びトリオクチルアミンの少なくとも一方がより好ましい。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるから、充分な導電性を確保できる。
導電性高分子分散液の総質量に対する、前記導電性複合体の含有量は、例えば、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下がさらに好ましい。
(シリケート)
本態様で使用されるシリケートは、1分子内にケイ素原子を2つ以上有するケイ酸エステルである。本態様におけるシリケートが1分子内に有するケイ素原子の数は、該導電性高分子分散液から形成される導電層の硬度がより高くなることから、4つ以上であることが好ましく、6つ以上であることがより好ましく、8つ以上であることがさらに好ましい。また、シリケートは、1分子内にケイ素原子を40個以下有することが好ましく、38個以下有することがより好ましい。
また、本態様におけるシリケートのSiO単位の含有量はシリケートの総質量に対して40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、50質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。シリケートのSiO単位の含有量が前記下限値以上であれば、該導電性高分子分散液から形成される導電層の硬度がより高くなり、前記上限値以下であれば、該導電性高分子分散液から形成される導電層の導電性低下を防ぐことができる。
ここで、シリケートのSiO単位の含有量は、シリケートの分子量100質量%に対する、シリケートに含まれるSiO単位(−O−Si−O−単位)の質量の割合のことであり、元素分析により測定できる。シリケートを2種以上使用する場合のSiO単位の含有量は各シリケートのSiO単位含有量の平均値である。
シリケートは、下記化学式(IV)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019218510
式(IV)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、sは、2〜100の整数である。
炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
sは2〜50が好ましく、2〜25がより好ましく、4〜10がさらに好ましい。
また、シリケートは、入手が容易であることから、下記化学式(I)で示される化合物及び下記化学式(II)で示される化合物の少なくとも一方であることがより好ましい。
Sin−1(OCH2n+2 (nは2以上100以下である。) (I)
Sim−1(OCHCH2m+2 (mは2以上100以下である。)(II)
シリケートは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性高分子分散液におけるシリケートの好ましい含有量は、シリケートのSiO単位の含有量に応じて適宜選択される。シリケートのSiO単位の含有量が前記好ましい範囲である場合には、シリケートの含有量は、導電性複合体100質量部に対し、SiO単位含有量に換算して1質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上10000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。シリケートの含有量が前記下限値以上であれば、該導電性高分子分散液から形成される導電層の硬度を充分に高くでき、前記上限値以下であれば、該導電性高分子分散液から形成される導電層の導電性低下を防ぐことができる。
(芳香族化合物)
本態様の導電性高分子分散液は、芳香族化合物を含有してもよい。
本態様で使用される芳香族化合物は、芳香環の2つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された化合物、芳香環の2つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物、及び、芳香環の1つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換され且つ1つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物である。以下、本態様で使用される前記芳香族化合物のことを「芳香族化合物(A)」という。芳香族化合物(A)は、酸化防止機能を有し、大気中での導電性複合体の酸化劣化を防いで導電性低下を防止できる。
本態様の導電性高分子分散液をガラス基材に塗工して得た導電性積層体においては、使用の際に高温に加熱されて酸化劣化しやすい状況になることがある。本態様の導電性高分子分散液が芳香族化合物(A)を含むと、高温で使用される場合でも、導電性複合体の劣化を防ぐことができ、導電層の導電性低下を抑制できる。したがって、芳香族化合物(A)を含む導電性高分子分散液はガラス基材塗工用としてより好ましいものとなる。
芳香族化合物(A)における芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フラン、チオフェン、ピロール等が挙げられ、酸化防止性向上効果がより高くなる点では、ベンゼン環が好ましい。
芳香環の2つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された化合物、芳香環の2つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物、及び、芳香環の2つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物は、各々異なる化合物である。
芳香環の2つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された化合物としては、例えば、レゾルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、カテコール(1,2−ヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ヒドロキシベンゼン)、ピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)等が挙げられる。
芳香環の2つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
芳香環の1つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換され且つ1つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物としては、後述する化学式(III)で示される化合物が挙げられる。
芳香環上のカルボニル基を含む基は、−COH、−CO10,−CHO、−C(=O)R11、又は−CONH等の基を形成していることが好ましい。ここで、R10、及びR11はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基である。
炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
芳香族化合物(A)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Figure 2019218510
芳香族化合物(A)は、酸化防止性向上効果がより高いことから、上記化学式(III)で示される化合物であることが好ましい。
化学式(III)におけるR,R,R,R,及びRのうち少なくとも一つがヒドロキシ基であり、残りは、各々独立して、水素原子又は任意の置換基である。任意の置換基としては特に制限されず、例えば、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等)、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、フェノキシ基、アミノ基等が挙げられる。
化学式(III)で示される芳香族化合物(A)の具体例としては、例えば、ガリック酸、ガリック酸のカルボキシ基のエステル(例えば、ガリック酸メチル、ガリック酸プロピル、ガリック酸ブチル等)、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンズアミド、4−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−カルボキシピロガロール、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
芳香族化合物(A)のなかでも、ガリック酸及びガリック酸のカルボキシ基のエステルの少なくとも一方が好ましい。ガリック酸及びガリック酸のエステルは、酸化防止性の向上効果がより高く、該導電性高分子分散液から形成される導電層の硬度をより高める効果も有し、しかも入手容易である。なお、「ガリック酸のカルボキシ基のエステル」とは、ガリック酸のカルボキシ基がエステルを形成した化合物を意味する。
本態様の導電性高分子分散液において、芳香族化合物(A)の含有量は導電性複合体100質量部に対して10質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがより好ましい。芳香族化合物(A)の含有量が前記下限値以上であれば、該導電性高分子分散液から形成される導電層の酸化防止性がより高くなり、前記上限値以下であれば、該導電性高分子分散液から形成される導電層の導電性低下を防ぐことができる。
(有機溶剤)
本態様で使用される有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、窒素原子含有化合物系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。但し、有機溶剤は、前記芳香族化合物(A)以外の化合物である。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
窒素原子含有化合物系溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本態様では、導電性複合体及びシリケートの両方を容易に分散できることから、有機溶剤として、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤を用いることが好ましく、アルコール系溶剤を用いることがより好ましい。
本態様の導電性高分子分散液において、有機溶剤の含有割合は、導電性高分子分散液の総質量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、本態様の導電性高分子分散液には水が含まれてもよい。有機溶剤と水の合計に対する水の含有量は60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。導電性高分子分散液が水を全く含まなくてもよい。水の含有量が少なければ、導電性高分子分散液中でのシリケートの加水分解を抑制できる。本態様の導電性高分子分散液が水を含む場合、有機溶剤と水の合計に対する水の含有量は0質量%超が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
(高導電化剤)
導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
ここで、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、アミン化合物、シリケート及び芳香族化合物(A)は、高導電化剤に分類されない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
導電性高分子分散液に含有される高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
(その他の添加剤)
導電性高分子分散液には、公知のその他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、アミン化合物、シリケート、芳香族化合物(A)、有機溶剤及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、芳香族化合物(A)以外のフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
本態様の導電性高分子分散液において、各成分の含有量の合計は、導電性高分子分散液の総質量に対して100質量%を超えない。
本態様の導電性高分子分散液においては、ケイ素原子が1分子内に1つのシリケート(例えば、アルコキシシラン、クロロシラン等)の含有量が少ないことが好ましく、ケイ素原子が1分子内に1つのシリケートを含まないことがより好ましい。ケイ素原子が1つのシリケートを用いると、該導電性高分子分散液から形成される導電層の硬度、保存安定性及び耐熱性が不充分になることがある。具体的に、導電性高分子分散液において、ケイ素原子が1つのシリケートの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
(導電性高分子分散液の製造方法)
本態様の導電性高分子分散液を製造する方法としては、析出と回収と分散とシリケート添加とを含む第1の製造方法と、乾燥と分散とシリケート添加とを含む第2の製造方法が挙げられる。
[第1の製造方法]
・析出
第1の製造方法における析出は、導電性複合体を含む導電性高分子水分散液にアミン化合物を添加し、前記導電性複合体を析出させて析出物を形成させることである。
前記水分散液にアミン化合物を添加した場合には、前記導電性複合体を構成するポリアニオンの一部のアニオン基、具体的にはπ共役系導電性高分子へのドープに関与しないアニオン基にアミン化合物が付加し、結合してアニオン基が消失する。これにより、導電性複合体が疎水化される。
但し、π共役系導電性高分子へのドープに関与しないアニオン基の全てにアミン化合物が付加しなくてもよく、ドープに関与しないアニオン基が一部残留してもよい。
疎水化された導電性複合体(以下、「疎水化導電性複合体」ということがある。)は、水系分散媒中で分散することができないため、析出して析出物となる。
導電性高分子水分散液に添加するアミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
アミン化合物の添加量は、導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50000質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上10000質量部以下であることがさらに好ましい。アミン化合物の添加量が前記下限値以上であれば、導電性複合体の疎水性を充分に向上させることができる。アミン化合物の添加量が前記上限値以下であれば、導電性高分子分散液から形成される導電層の導電性低下を防止できる。
前記析出において、アミン化合物が添加される前記導電性高分子水分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる分散液である。ここで、水系分散媒は、水を含有し、水溶性有機溶剤を含んでもよい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水系分散媒における水の含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
導電性高分子水分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、導電性高分子水分散液は市販のものを使用しても構わない。
前記化学酸化重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、触媒及び酸化剤を用いることができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。酸化剤は、還元された触媒を元の酸化状態に戻すことができる。
導電性高分子水分散液に含まれる導電性複合体の含有量としては、導電性高分子分散液の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましい。
導電性高分子水分散液にアミン化合物を添加する前、添加と同時又は添加した後には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤を含む場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子水分散液にアミン化合物を添加する前、添加している最中、又は添加した後には、加熱してもよい。
・回収
第1の製造方法における回収は、疎水化導電性複合体からなる前記析出物を回収することである。
析出物を、水系分散媒から分取して回収する方法としては、例えば、ろ過、沈殿、抽出等の公知の分取方法を適用できる。これらの分取方法のなかでも、ろ過が好ましく、導電性複合体の形成に用いたポリアニオンがろ液とともに通過する程度に粗い目のフィルターを用いてろ過することが好ましい。このろ過方法によれば、析出物を分取するとともに、導電性複合体を形成していない余剰のポリアニオンをろ液側に残して、析出物と余剰のポリアニオンとを分離することができる。余剰のポリアニオンを除くことにより、析出物の導電性を高めることができる。
ろ過に使用するフィルターとしては、化学分析分野で用いられるろ紙が好ましい。このろ紙としては、例えば、アドバンテック社製ろ紙、保留粒子径7μm等が挙げられる。ここで、ろ紙の保留粒子径は目の粗さの目安であり、JIS P 3801〔ろ紙(化学分析用)〕で規定された硫酸バリウムなどを自然ろ過したときの漏えい粒子径により求められる。ろ紙の保留粒子径は、例えば2μm以上20μm以下とすることができる。この保留粒子径は、余剰のポリアニオンを透過させて容易に分離できることから、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
・分散
第1の製造方法における分散は、回収した前記析出物を有機溶剤に分散させることである。この分散によって、シリケート未含有の導電性高分子分散液を得る。シリケート未含有の導電性高分子分散液は、疎水化導電性複合体を有機溶剤に分散した分散液である。
析出物を分散させる有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、窒素原子含有化合物系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。有機溶剤のなかでも、後で添加するシリケートの分散性が高くなる点では、前記のアルコール系溶剤が好ましい。
析出物を有機溶剤に分散させる際には、析出物を含む有機溶剤に分散処理を施すことが好ましい。分散処理としては、有機溶剤への析出物の分散性を高くできる点では、加圧可能な高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
・シリケート添加
第1の製造方法におけるシリケート添加は、導電性高分子水分散液、析出物、又は、前記分散によって得られたシリケート未含有の導電性高分子分散液に、シリケートを添加することである。
導電性高分子分散液中にシリケートの安定に分散させるためには、前記分散によって得られたシリケート未含有の導電性高分子分散液にシリケートを添加することが好ましい。
・芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤の添加
第1の製造方法において、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤等を導電性高分子分散液に添加する場合、その添加方法としては、例えば、下記(i)〜(iii)の方法が挙げられる。
(i)析出する前の導電性高分子水分散液に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を添加する方法。
(ii)析出物に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を添加する方法。
(iii)前記分散によって得られたシリケート未含有の導電性高分子分散液に、シリケートと共に又はシリケートとは個別に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を添加する方法。
これらの方法のなかでも、導電性高分子分散液中に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を安定に分散できる点では、(iii)の方法が好ましい。
[第2の製造方法]
・乾燥
第2の製造方法における乾燥は、導電性高分子水分散液から水を除去し、乾燥して、乾燥体を得ることである。第2の製造方法において使用する導電性高分子水分散液は、第1の製造方法において使用する導電性高分子水分散液と同様である。
導電性高分子水分散液の乾燥方法としては、例えば、導電性高分子水分散液を凍結乾燥する方法、導電性高分子水分散液を加熱乾燥する方法、導電性高分子水分散液を真空乾燥する方法、導電性高分子水分散液を加熱真空乾燥する方法、膜分離により水を除去する方法等が挙げられる。前記の水の除去方法のなかでも、導電性複合体を劣化させることなく導電性高分子水分散液の水を充分に除去できることから、導電性高分子水分散液を凍結乾燥する方法が好ましい。
凍結乾燥では、前記導電性高分子水分散液中の水分を凍結させ、真空乾燥する。凍結乾燥の際の温度は、0℃以下とすることが好ましい。凍結乾燥温度が前記上限値以下であれば、水分を凍結させやすい。また、凍結乾燥温度は−60℃以上とすることが好ましく、−40℃以上とすることがより好ましい。凍結乾燥温度が前記下限値以上であれば、温度を容易に調整できる。
この乾燥では、得られる乾燥体における水の含有量が好ましくは0質量%以上50質量%以下、より好ましくは0質量%以上10質量%になるまで水を除去する。乾燥体における水の含有量を前記上限値以下にすれば、本態様の導電性高分子分散液における水の含有量を容易に1.0質量%以下にできる。
・分散
第2の製造方法における分散は、前記乾燥により得た乾燥体にアミン化合物を加え、有機溶剤を混合して、導電性複合体を含む乾燥体を有機溶剤に分散させることである。この分散によって、シリケート未含有の導電性高分子分散液を得る。
この分散においては、乾燥体にアミン化合物を加えることによって、乾燥体に含まれるポリアニオンの一部のアニオン基にアミン化合物を付加させて、導電性複合体を疎水化する。疎水化した導電性複合体を有機溶剤に分散させる。
有機溶剤の添加は、アミン化合物の添加と同時でもよいし、アミン化合物の添加の前でもよいし、アミン化合物の後でもよい。
疎水化した導電性複合体を有機溶剤に分散させる際には、導電性複合体を含む有機溶剤に分散処理を施すことが好ましい。第1の製造方法と同様に、分散処理においては、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
乾燥体に加えるアミン化合物は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
アミン化合物の添加量は、第1の製造方法と同様に、導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50000質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上10000質量部以下であることがさらに好ましい。
有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、窒素原子含有化合物系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。有機溶剤のなかでも、後で添加するシリケートの分散性が高くなる点では、アルコール系溶剤が好ましい。
・シリケート添加
第2の製造方法におけるシリケート添加は、シリケート未含有の導電性高分子分散液に、シリケートを添加することである。
シリケートを添加すると同時に、有機溶剤をさらに添加してもよい。シリケートと共に添加する有機溶剤としては、前記の分散の際に添加する有機溶剤が挙げられる。シリケートと共に添加する有機溶剤は1種を単独でもよいし、2種以上でもよい。
シリケートと共に添加する有機溶剤は、分散の際に添加する有機溶剤と同一の溶剤でもよいし、異なる溶剤でもよい。
・芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤の添加
第2の製造方法において、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤等を導電性高分子分散液に添加する場合、その添加方法としては、例えば、下記(iv)〜(vi)の方法が挙げられる。
(iv)乾燥する前の導電性高分子水分散液に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を添加する方法。
(v)乾燥体に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を添加する方法。
(vi)シリケート未含有の導電性高分子分散液に、シリケートと共に又はシリケートとは個別に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を添加する方法。
これらの方法のなかでも、導電性高分子分散液中に、芳香族化合物(A)、高導電化剤、添加剤よりなる群から選ばれる1種を安定に分散できる点では、(vi)の方法が好ましい。
(作用効果)
本態様の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体を含むため、該導電性高分子分散液から形成された導電層は適度な導電性を有する。例えば、導電層の表面抵抗を、1×10Ω/□以上1×1012Ω/□以下程度にできる。
本態様の導電性高分子分散液は、分散媒に有機溶剤が含まれるため、基材、特にガラス基材に対する導電性高分子分散液の濡れ性が高くなり、導電層の形成が容易になる。また、導電性高分子分散液に含まれるシリケートは加水分解してシラノール基を生成し、ガラス基材の表面ヒドロキシ基と結合できるため、本態様の導電性高分子分散液によれば、ガラス基材に容易に導電層を形成できる。したがって、本態様の導電性高分子分散液は、ガラス基材に塗工するのに好適である。
本態様の導電性高分子分散液に含まれるシリケートはSiOを含み、導電性高分子分散液から導電層を形成する際にはシリカを形成できる。そのため、該導電性高分子分散液から形成された導電層はシリカを含有し、そのシリカによって導電層の硬度を高めることができる。特に、シリケートとしてケイ素原子が1分子内に2つ以上のものを使用するため、シリカの分子量が大きくなり、導電層の硬度を充分に高くできる。したがって、本態様の導電性高分子分散液を基材に塗工することにより、基材の表面の硬度を充分に高めて傷付き防止性を向上させることができる。
また、本態様においては、導電性複合体を構成するポリアニオンの一部のアニオン基にアミン化合物が結合しているため、導電性複合体が疎水化されている。そのため、有機溶剤に対する導電性複合体の分散性が高くなっており、本態様の導電性高分子分散液を長期にわたって保存しても凝集物等が生じにくく、保存安定性に優れる。
保存安定性に優れる導電性高分子分散液によれば、長期保存後に塗工して導電層を形成した場合でも、導電層の導電性を、保存前の導電性高分子分散液を用いて形成した導電層の導電性とほぼ同等にできる。したがって、保存した導電性高分子分散液を使用しやすくなる。
<導電性積層体及びその製造方法>
以下、本発明の導電性積層体の製造方法の一態様について説明する。
本態様における導電性積層体は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に形成された導電層とを備える。
基材としては、ガラス基材及びプラスチック基材のいずれであってもよいが、上記の本態様の導電性高分子分散液はガラス基材に好適に使用できる。ガラス基材としては、例えば、無アルカリガラス基材、ソーダ石灰ガラス基材、ホウケイ酸ガラス基材、石英ガラス基材等が挙げられる。基材にアルカリ成分が含まれると、導電層の導電性が低下する傾向にあるため、前記ガラス基材のなかでも、無アルカリガラスが好ましい。ここで、無アルカリガラスとは、アルカリ酸化物の含有量がガラス組成物の総質量に対し、0.1質量%以下のガラス組成物のことである。
ガラス基材の平均厚さとしては、100μm以上3000μm以下であることが好ましく、100μm以上1000μm以下であることがより好ましい。ガラス基材の平均厚さが前記下限値以上であれば、破損しにくくなり、前記上限値以下であれば、導電性積層体を使用する部材の薄型化に充分に寄与できる。
本明細書における平均厚さは、マイクロメーターを用いて、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
基材は液晶セルであってもよい。ここで、液晶セルは、一対のガラス板と、該一対のガラス板の間に設けられた一対の電極層と、該一対の電極層の間に設けられた液晶層とを備えるものが好ましい。液晶層は、一対の配向層の間に液晶分子が封入された層であるものが好ましい。
導電層は、上記導電性高分子分散液が硬化した塗膜であり、導電性複合体とシリケート由来のシリカとを含む。導電層がシリカを含むことにより、硬度を向上させることができる。ここでシリカとは、導電性高分子分散液が硬化する際に、シリケートが加水分解して生成する化合物である。一般にシリカはシラノール基を有する。
また、本態様においては、長期保存した導電性高分子分散液から形成した導電層であっても、その導電性を、保存前の導電性高分子分散液を用いて形成した導電層の導電性とほぼ同等にできる。
導電層の平均厚さとしては、10nm以上2μm以下であることが好ましく、20nm以上500nm以下であることがより好ましく、20nm以上200nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性と充分に高い硬度を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
本態様の導電性積層体の製造方法は、基材の少なくとも一方の面に本態様の導電性高分子分散液を塗工することを含んで、導電性積層体を製造する方法である。
塗工においては、基材の片面のみに前記導電性高分子分散液を塗工して基材の片面のみに導電層を形成してもよいし、基材の両面に前記導電性高分子分散液を塗工して基材の両面に導電層を形成してもよい。
前記導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、スリットコーター、スプレーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、ディップ等の浸漬方法等を適用できる。基材としてガラス基材を用い且つ大規模に導電性積層体を製造する場合には、上記塗工方法のなかでも、リットコーター又はスプレーコーターが好ましい。
本態様の導電性積層体の製造方法においては、塗工の後に、塗工した導電性高分子分散液を乾燥することを含むことが好ましい。塗工した導電性高分子分散液を乾燥すれば、導電性高分子分散液を硬化して導電層を形成することが容易になる。
乾燥方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は50℃以上150℃以下の範囲であり、好ましくは100℃以上150℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
また、充分に分散媒を除去する点で、乾燥時間は5分以上であることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃にて攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、その溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の1000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去し、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、製造例1で得た36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。これにより得られた混合溶液を20℃に保ち攪拌を行いながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくりと添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。次に、得られた溶液に、200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶媒を除去し、ポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)を水洗した。この操作を8回繰り返して、固形分濃度1.2質量%のPEDOT−PSS水分散液を得た。なお、PEDOT−PSS固形分に対するPSSの含有量は75質量%である。
(製造例3)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液1000gを凍結乾燥して、12gの凍結乾燥体を得た。
(製造例4)
イソプロパノール1000gに、製造例3で得た4.0gの凍結乾燥体と、3.5gのトリオクチルアミンとを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して、シリケート未含有の導電性高分子分散液を得た。
(製造例5)
イソプロパノール1000gに、製造例3で得た4.0gの凍結乾燥体と、1.8gのトリブチルアミンとを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散処理して、シリケート未含有の導電性高分子分散液を得た。
(実施例1)
製造例4で得たシリケート未含有の導電性高分子分散液30g(PEDOT−PSSの量は0.12g)に、シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51、前記化学式(I)で示されるシリケート、ケイ素原子の数が4から6までの混合物、SiO単位の含有量52±1質量%)1.84gとイソプロパノール58.12gとガリック酸メチル0.04gとプロピレングリコールモノメチルエーテル10gとを混合してシリケート含有導電性高分子分散液を得た。
得られたシリケート含有導電性高分子分散液を、No.4のバーコーター(塗工膜厚9.16μm)を用いて無アルカリガラス基材に塗工して、塗工膜を形成した。その塗工膜を、乾燥温度110℃、乾燥時間10分間加熱乾燥し、厚さ0.177μmの導電層を形成して、導電性積層体を得た。
また、得られたシリケート含有導電性高分子分散液を、温度25℃且つ相対湿度50%の大気中で10日間保存した後、No.4のバーコーターを用いて無アルカリガラス基材に塗工して、塗工膜を形成した。その塗工膜を、乾燥温度110℃、乾燥時間10分間加熱乾燥し、導電層を形成して、導電性積層体を得た。
以下、10日間保存する前のシリケート含有導電性高分子分散液を用いて形成した導電性積層体のことを「導電性積層体A」と表記し、大気中10日間保存した後のシリケート含有導電性高分子分散液を用いて形成した導電性積層体のことを「導電性積層体B」と表記する。
(実施例2)
製造例4で得たシリケート未含有の導電性高分子分散液の量を40g(PEDOT−PSSの量は0.16g)に、イソプロパノールの量を48.12gに変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(実施例3)
シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)をシリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS56、ケイ素原子の数が15から38までの混合物、SiO単位の含有量56±1質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(実施例4)
シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)をシリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS56S、ケイ素原子の数が4以上の混合物、SiO単位の含有量59±1質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(実施例5)
シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)をシリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS57、ケイ素原子の数が4以上の混合物、SiO単位の含有量58±1質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(実施例6)
製造例5で得たシリケート未含有の導電性高分子分散液88.12g(PEDOT−PSSの量は0.35g)に、シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51、前記化学式(I)で示されるシリケート、ケイ素原子の数が4から6までの混合物、SiO単位の含有量52±1質量%、)1.84gとガリック酸メチル0.04gとプロピレングリコールモノメチルエーテル10gとを混合してシリケート含有導電性高分子分散液を得た。このシリケート含有導電性高分子分散液を無アルカリガラス基材に塗工したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(比較例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液16.36g(PEDOT−PSSの量は0.196g)に、シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)1.84gとエタノール35.88gとガリック酸メチル0.04gと水35.88gとプロピレングリコールモノメチルエーテル10gとを混合してシリケート含有導電性高分子分散液を得た。
得られたシリケート含有導電性高分子分散液を使用し、実施例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(比較例2)
No.4のバーコーターをNo.2のバーコーター(塗工膜厚4.58μm)に変更したこと以外は比較例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(比較例3)
シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)をシリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS56)に変更したこと以外は比較例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(比較例4)
シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)をシリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS56S)に変更したこと以外は比較例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
(比較例5)
シリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS51)をシリケート(三菱ケミカル社製、MKCシリケートMS57)に変更したこと以外は比較例1と同様にして導電性積層体A,Bを得た。
Figure 2019218510
<評価>
導電性積層体A,Bの導電層の表面抵抗を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製ハイレスタ)を用い、印加電圧10V、印加時間10秒の条件で測定した。測定結果を表1に示す。また、導電性積層体Aの表面抵抗に対する導電性積層体Bの表面抵抗の変化比(導電性積層体Bの表面抵抗/導電性積層体Aの表面抵抗)を求めた。その値を表1に示す。表面抵抗の変化比が1に近い程、導電性高分子分散液の保存安定性が高い。
なお、表中に「1.0×1012<」がある場合は、1.0×1012より大きいことを意味する。
<結果>
各実施例のシリケート含有導電性高分子分散液は、導電性複合体のポリアニオンがアミン化合物によって疎水化されている。各実施例では、10日間保存した導電性高分子分散液を用いてガラス基材に形成した導電層は、10日間保存する前の導電性高分子分散液を用いてガラス基材に形成した導電層に対し、表面抵抗値の変化が小さかった。この結果は、各実施例のシリケート含有導電性高分子分散液は保存安定性に優れていることを示している。
これに対し、比較例1〜5のシリケート含有導電性高分子分散液は、導電性複合体のポリアニオンが疎水化されていない。比較例1,2では、10日間保存した導電性高分子分散液を用いてガラス基材に形成した導電層は、10日間保存する前の導電性高分子分散液を用いてガラス基材に形成した導電層に対し、表面抵抗値が大きく低下した。この結果は、比較例1〜5のシリケート含有導電性高分子分散液は保存安定性が低いことを示している。
(実施例7)
実施例1と同様にして導電性積層体Aを得た。
(実施例8)
ガリック酸メチルを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体Aを得た。
<評価>
導電性積層体Aの導電層の表面抵抗を、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製ハイレスタ)を用い、印加電圧10V、印加時間10秒の条件で測定した。その導電性積層体を、温度25℃且つ相対湿度50%の大気中に3日間放置した。その後、再度、前記と同条件で且つ同じ位置で導電層の表面抵抗を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2019218510
<結果>
実施例7〜8の結果は、ガリック酸メチル(化学式(III)で示される芳香族化合物)の含有量が増えると、大気中での導電層の酸化をより防止できることを示している。

Claims (14)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、ケイ素原子を1分子内に2つ以上有するシリケートと、有機溶剤とを含有し、
    前記ポリアニオンの一部のアニオン基にアミン化合物が結合している、導電性高分子分散液。
  2. 前記シリケートは1分子内にケイ素原子を4つ以上有する、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
  3. 前記シリケートにおけるSiO単位の含有量が前記シリケートの総質量に対して40質量%以上70質量%以下である、請求項1又は2に記載の導電性高分子分散液。
  4. 前記シリケートは、下記化学式(I)で示される化合物及び下記化学式(II)で示される化合物の少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
    Sin−1(OCH2n+2 (nは2以上100以下である。) (I)
    Sim−1(OCHCH2m+2 (mは2以上100以下である。)(II)
  5. 芳香環の2つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換された化合物、芳香環の2つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物、及び、芳香環の1つ以上の水素原子がヒドロキシ基に置換され且つ1つ以上の水素原子がカルボニル基を含む基に置換された化合物よりなる群から選ばれる1種以上である芳香族化合物をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  6. 前記芳香族化合物が、下記化学式(III)で示される化合物である、請求項5に記載の導電性高分子分散液。
    Figure 2019218510
    (化学式(III)におけるR,R,R,R,及びRのうち少なくとも一つがヒドロキシ基であり、残りは、各々独立して、水素原子又は任意の置換基である。)
  7. 前記芳香族化合物が、ガリック酸及びガリック酸のカルボキシ基のエステルからなる群から選ばれる1種以上の化合物である、請求項6に記載の導電性高分子分散液。
  8. 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  9. 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  10. ガラス基材塗工用である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を基材に塗工することを含む、導電性積層体の製造方法。
  12. 前記基材がガラス基材である、請求項11に記載の導電性積層体の製造方法。
  13. 前記ガラス基材が無アルカリガラス基材である、請求項12に記載の導電性積層体の製造方法。
  14. 前記基材が液晶セルである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の導電性積層体の製造方法。
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