JP2019218432A - ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019218432A
JP2019218432A JP2018114830A JP2018114830A JP2019218432A JP 2019218432 A JP2019218432 A JP 2019218432A JP 2018114830 A JP2018114830 A JP 2018114830A JP 2018114830 A JP2018114830 A JP 2018114830A JP 2019218432 A JP2019218432 A JP 2019218432A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamic acid
electrodeposition coating
composition
repeating unit
article
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018114830A
Other languages
English (en)
Inventor
昌幸 山下
Masayuki Yamashita
昌幸 山下
翔平 藤本
Shohei Fujimoto
翔平 藤本
俊 山下
Takashi Yamashita
俊 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd filed Critical Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority to JP2018114830A priority Critical patent/JP2019218432A/ja
Publication of JP2019218432A publication Critical patent/JP2019218432A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

【課題】保存安定性に優れたポリアミド酸を提供する。【解決手段】ポリアミド酸は、テトラカルボン酸ジ無水物と、芳香族ジアミンとを反応させた、下記一般式で表される繰り返し単位と、下記一般式で、ピロメリット酸ジ無水物のCOOHがCOOR1に変更され、ジフェニルテトラカルボン酸ジ無水物のCOOHがCOOR2に変更された繰り返し単位とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法に関する。
近年、電子機器分野等で小型化、薄膜化、高機能化に伴い絶縁性、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性、難燃性、寸法安定性等に優れた、高機能な材料が求められている。特に、電気電子分野等の材料については、製品の安全性や信頼性を保証するために絶縁性に加え耐熱性の高い材料が求められている。
電気電子分野において、電気伝導体としての金属製品には、通常、絶縁膜の被覆が必要となる。金属製品の表面に絶縁膜を形成する有用な手法として、電着塗装が挙げられる。電着塗装は、電着塗料を用いて通電によって金属製品等の被塗装物表面に塗料や樹脂の塗装膜を形成する方法であり、複雑な形状であっても均一に塗装できることから、電気電子機器分野等で多用されている。
電着塗装には、カチオン電着塗装と、アニオン電着塗装とがある。カチオン電着塗装は、陰極とした被塗装物を、カチオン電着塗料組成物中に浸漬し、電圧を印加することにより、プラスに帯電した樹脂を被塗装物に付着させることで、塗装する手法である。一方、アニオン電着塗装は、陽極とした被塗装物を、アニオン電着塗料組成物中に浸漬し、電圧を印加することにより、マイナスに帯電した樹脂を被塗装物に付着させることで、塗装する手法である。
電着塗装には、水性樹脂が用いられ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が一般的に用いられているが、これらの樹脂は、耐熱性に劣るという問題を有する。そこで、電着塗装に用いる水性樹脂として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることが試みられている。
例えば、特許文献1には、芳香族テトラカルボン酸ジ無水物と芳香族ジアミンとの反応生成物であるポリアミド酸の中和塩、前記ポリアミド酸を溶解する極性溶媒、水、およびフェニル基、フルフリル基またはナフチル基を有するアルコールからなる電着塗料組成物が開示されている。また、特許文献2には、ポリイミド前駆体溶液組成物を用い、電着塗装法によってポリイミド前駆体被膜を形成後、これをイミド化するポリイミド被膜の製造方法が開示されている。しかしながら、これらのポリアミド酸(ポリアミック酸)を用いた電着用水分散液は、ポリアミド酸が容易に分解するため、保存安定性の向上が求められる。
特開平9−124978号公報 特開2014−031445号公報
本発明は、保存安定性に優れたポリアミド酸を提供することを主な目的とする。また、本発明は、当該ポリアミド酸を用いた塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、下記一般式(A)で表される繰り返し単位と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位と、下記一般式(C)で表される繰り返し単位と、下記一般式(D)で表される繰り返し単位とを含むポリアミド酸は、保存安定性に優れることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、完成した発明である。
Figure 2019218432
[一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、Aは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルフィニル基、又はスルホニル基である。R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基である。]
すなわち、本発明は、下記の構成を備える発明を提供する。
項1. 下記一般式(A)で表される繰り返し単位と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位と、下記一般式(C)で表される繰り返し単位と、下記一般式(D)で表される繰り返し単位とを含む、ポリアミド酸。
Figure 2019218432
[一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、Aは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルフィニル基、又はスルホニル基である。R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基である。]
項2. 前記一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、Aが酸素原子である、項1に記載のポリアミド酸。
項3. 前記一般式(A)、(B)、(C)及び(D)で示される繰り返し単位が、それぞれ、下記式(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)で表される繰り返し単位である、項1又は2に記載のポリアミド酸。
Figure 2019218432
項4. 前記一般式(A)及び(B)で表される繰り返し単位の合計数と、前記一般式(C)及び(D)で表される繰り返し単位の合計数との比率が、5:5〜1:9である、項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド酸。
項5. 項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸と、溶媒とを含む、塗料用組成物。
項6. 項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸と、中和化合物と、溶媒とを含む、電着塗料用組成物。
項7. 項6に記載の電着塗料用組成物の存在下に、物品の表面に前記ポリアミド酸を電着させる工程と、
前記電着したポリアミド酸を加熱して、物品の表面にポリイミド樹脂被膜を形成する工程と、
を含む、ポリイミド樹脂被膜を有する物品の製造方法。
項8. 項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸をイミド化してなるポリイミド樹脂被膜を有する物品。
本発明によれば、保存安定性に優れたポリアミド酸を提供することができる。また、本発明は、当該ポリアミド酸を用いた塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法を提供することもできる。
以下、本発明のポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法について、詳述する。
なお、本明細書において、「〜」で結ばれた数値は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「〜」で結ぶことができるものとする。
1.ポリアミド酸
本発明のポリアミド酸は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位と、下記一般式(C)で表される繰り返し単位と、下記一般式(D)で表される繰り返し単位とを含むことを特徴としている。本発明のポリアミド酸は、このような構成を備えていることにより、高い保存安定性を発揮する。
Figure 2019218432
本発明のポリアミド酸は、一般式(A)で表される繰り返し単位と、一般式(B)で表される繰り返し単位と、一般式(C)で表される繰り返し単位と、一般式(D)で表される繰り返し単位とを含んでいればよいが、特に好ましくは、実質的にこれらの繰り返し単位のみで構成されている。なお、実質的にこれらの繰り返し単位のみで構成されているとは、本発明のポリイミド樹脂を構成する繰り返し単位のうち、95モル%以上がこれらの繰り返し単位のみで構成されていることを意味しており、さらには、99モル%以上がこれらの繰り返し単位のみで構成されていることが好ましい。
一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、Aは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルフィニル基、又はスルホニル基である。これらの中でも、ポリアミド酸の溶媒(特に、有機極性溶媒)への溶解性を高めつつ、優れた保存安定性を発揮させる観点から、Aは、それぞれ独立して、酸素原子、メチレン基、又はカルボニル基であることが好ましく、酸素原子であることがさらに好ましい。
また、一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基である。これらの中でも、ポリアミド酸の溶媒(特に、有機極性溶媒)への溶解性を高めつつ、優れた保存安定性を発揮させる観点から、メチル基であることが好ましい。
ポリアミド酸の溶媒(特に、有機極性溶媒)への溶解性を高めつつ、優れた保存安定性を発揮させ、さらには、ポリアミド酸を電池塗料用組成物に用いる場合に、アニオン電着塗装において良好なゼータ電位を得る観点から、本発明のポリアミド酸において、一般式(A)、(B)、(C)及び(D)で示される繰り返し単位が、それぞれ、下記式(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)で表される繰り返し単位であることが特に好ましい。
Figure 2019218432
同様の観点から、一般式(A)及び(B)で表される繰り返し単位の合計数と、一般式(C)及び(D)で表される繰り返し単位の合計数との比率は、5:5〜1:9であることが好ましく、3:7〜2:8であることがより好ましい。
本発明のポリアミド酸は、それぞれ、一般式(A)〜(D)で表される繰り返し単位を構成する原料(すなわち、少なくとも1種類のテトラカルボン酸ジ無水物と、少なくとも1種類の芳香族ジアミン)を用い、公知のポリアミド酸の製造方法によって製造することができる。
以下、本発明のポリアミド酸の製造方法について、具体例を用いて説明するが、以下の方法に限定されない。まず、例えば0〜60℃の温度で、テトラカルボン酸ジ無水物と、芳香族ジアミンとを、溶媒中で撹拌反応させてポリアミド酸(一般式(A)、(B)で表される繰り返し単位を含むポリアミド酸)を得る。なお、得られたポリアミド酸の固形分濃度は、例えば5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%である。続いて、このポリアミド酸をN−メチルピロリドンなどの有機溶媒で希釈し、ヨードメタン、アセトンジメチルアセタール、オルトギ酸エステルなどのアルキル化剤と反応させる(R1,R2となる炭素数1〜5のアルキル基を導入する)ことで、一般式(A)〜(D)で表される繰り返し単位を含む本発明のポリアミド酸が得られる。
原料として用いられるテトラカルボン酸ジ無水物としては、一般式(A)〜(D)で表される繰り返し単位を構成することができれば特に制限されず、例えば、保存安定性の観点から、ピロメリット酸ジ無水物および3,4,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸ジ無水物が用いられる。
また、原料として用いられる芳香族ジアミンとしては、一般式(A)〜(D)で表される繰り返し単位を構成することができれば特に制限されず、例えば、保存安定性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィドなどを用いることができる。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノンが好ましい。
なお、ポリアミド酸の製造においては、公知のポリアミド酸の製造方法と同様、ポリマー末端の封止のために、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などの末端封止剤を使用することができる。
本発明のポリアミド酸の製造に用いられる溶媒としては、有機溶媒が好ましく、特に有機極性溶媒が好ましい。有機極性溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、ジメチルホルムアルデヒドおよびジメチルサルフォキサイド(DMSO)などが挙げられる。溶媒は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
1,R2となる炭素数1〜5のアルキル基を導入するためのアルキル化剤としては、ヨードメタン、ヨードエタン、ブロモメタンなどのハロゲン化アルキル化合物、アセトンジメチルアセタール、オルトギ酸エステル、オルト酢酸エステルなどが挙げられる。必要に応じて、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの塩基を併用してもよい。
本発明のポリアミド酸の数平均分子量Mnとしては、特に制限されないが、高い保存安定性を発揮させ、さらには後述の電着塗装によって好適にポリアミド酸被膜、さらにはポリイミド樹脂被膜を形成する観点から、下限については、好ましくは20000以上、より好ましくは40000以上が挙げられ、上限については、好ましくは80000以下、より好ましくは60000以下が挙げられる。なお、数平均分子量Mnは、GPC分析による標準ポリエチレングリコール換算の分子量である。
2.塗料用組成物
本発明の塗料用組成物は、本発明のポリアミド酸と、溶媒とを含むことを特徴としている。本発明の塗料用組成物は、本発明のポリアミド酸を含んでおり、物品などの被塗装物の表面に塗布、乾燥させることによって、ポリアミド酸被膜を形成することができる。さらに、ポリアミド酸被膜に含まれるポリアミド酸は、公知の手法、例えば、熱脱水閉環することにより、ポリイミド樹脂となるため、ポリアミド酸被膜からポリイミド樹脂被膜を形成することができる。
ポリアミド酸を加熱脱水閉環する場合、例えば100〜400℃、好ましくは150〜350℃にて加熱することにより、ポリイミド樹脂を得ることができる。
前述の通り、本発明のポリアミド酸は、高い保存安定性を備えているため、長時間保管した本発明の塗料用組成物を用いて、ポリアミド酸被膜、さらにはポリイミド樹脂被膜を形成することができる。
本発明のポリアミド酸の詳細については、前述の通りである。また、本発明の塗料用組成物に含まれる溶媒としては、ポリアミド酸を溶解又は分散させることができるものであれば特に制限されず、例えば、前述の有機極性溶媒が好適である。
さらに、本発明の塗料用組成物には、必要に応じて、フィラー、顔料などの各種添加剤が含まれていてもよい。
フィラーとしては、例えば、シリカ化合物、シリカアルミナ化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、層状ケイ酸塩鉱物、及び窒化物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、シリカ化合物、シリカアルミナ化合物や、層状ケイ酸塩鉱物であることが好ましい。前記層状ケイ酸塩鉱物としては、例えば、天然物または合成物の雲母、タルク、カオリン、パイロフィライト、セリサイト、バーミキュライト、スメクタイト、ベントナイト、スチーブンサイト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ノントロナイトなどが挙げられる。シリカアルミナ化合物としては、ゼオライト、ムライトなどが挙げられる。シリカ化合物としては、ワラステナイト、ガラスビーズなどが挙げられる。アルミニウム化合物としては、例えば、スピネル、水酸化アルミニウム、アルミナ水和物、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムなどが挙げられる。カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウムなどが挙げられる。窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素などが挙げられる。これらフィラーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。フィラーを用いることによって、被塗装物の表面に形成されるポリイミド樹脂被膜の絶縁寿命の向上、ガスバリア性の向上、熱伝導性の向上などが期待できる。
本発明の塗料用組成物に含まれるポリアミド酸の濃度としては、好適にポリアミド酸被膜、さらにはポリイミド樹脂被膜を形成する観点から、下限については、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上が挙げられ、上限については、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下が挙げられる。
また、本発明の塗料用組成物を用いて形成するポリアミド酸被膜の厚みとしては、特に制限されないが、下限については、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上が挙げられ、上限については、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下が挙げられる。
本発明の塗料用組成物は、本発明のポリアミド酸、前記溶媒、必要に応じて前記の各種添加剤を混合することによって製造することができる。
3.電着塗料用組成物
本発明の電着塗料用組成物は、本発明のポリアミド酸と、中和化合物と、溶媒とを含むことを特徴としている。本発明のポリアミド酸は、中和化合物によってアニオン化させることができ、電着塗料用組成物(具体的には、アニオン電着塗料用組成物)に好適に用いることができる。本発明の電着塗料用組成物は、本発明のポリアミド酸を含んでおり、物品などの被塗装物の表面にポリアミド酸を電着塗装させることによって、ポリアミド酸被膜を形成することができる。さらに、前述の通り、ポリアミド酸被膜に含まれるポリアミド酸は、公知の手法、例えば、熱脱水閉環することにより、ポリイミド樹脂となるため、ポリアミド酸被膜からポリイミド樹脂被膜を形成することができる。熱脱水閉環の加熱温度は、前述の通りである。
すなわち、電着塗料用組成物の存在下に、物品の表面に前記ポリアミド酸を電着させる工程と、電着したポリアミド酸を加熱して、物品の表面にポリイミド樹脂被膜を形成する工程とを含む製造方法によって、ポリイミド樹脂被膜を有する物品を製造することができる。
本発明のポリアミド酸の詳細については、前述の通りである。
本発明の電着塗料用組成物に含まれるポリアミド酸の濃度としては、電着塗装によって好適にポリアミド酸被膜を形成する観点から、下限については、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上が挙げられ、上限については、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下が挙げられる。
また、本発明の電着塗料用組成物には、アニオン化部位(カルボキシ基)をアニオン化する中和化合物が含まれている。中和化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中和化合物としては、ポリアミド酸のアニオン化部位(カルボキシ基)をアニオン化することができるものであればよく、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリエタノールアミンN−メチルモルホリンなどが挙げられる。これらの中でも、入手容易性およびコストの観点から、トリエチルアミン、ピリジン、トリエタノールアミンが好ましい。
本発明の電着塗料用組成物に含まれる中和化合物の濃度としては、電着塗装によって好適にポリアミド酸被膜を形成する観点から、下限については、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上が挙げられ、上限については、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下が挙げられる。
本発明の電着塗料用組成物に含まれる溶媒としては、ポリアミド酸の電着塗装に使用されるものであれば特に制限されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、水、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、メトキシプロパノールなどの極性溶媒が挙げられる。溶媒は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明の電着塗料用組成物には、必要に応じて、電気泳動助剤、前記のフィラー、顔料などの各種添加剤が含まれていてもよい。
また、本発明の電着塗料用組成物を用いて形成するポリアミド酸被膜の厚み(さらには、ポリイミド樹脂被膜の厚み)としては、特に制限されないが、高い耐熱性を付与する観点からは、下限については、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上が挙げられ、上限については、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下が挙げられる。
本発明の電着塗料用組成物を用いた電着塗装方法としては、公知の電着塗装方法を適用することができる。具体的には、本発明の電着塗料用組成物をアニオン電着塗料用組成物として使用してアニオン電着塗装をする場合、電着塗料用組成物に被塗装物を浸漬する工程と、被塗装物を陰極とし、陽極との間に電圧を印加して、被塗装物の表面にポリアミド酸被膜を電着させる工程とを含む方法によって、アニオン電着塗装を行うことができる。
被塗装物としては、被塗装部分が導電性を有する物品等であって、例えば、銅、鉄、鋼、アルミニウムなどの金属により構成された被塗装部分を有するものが挙げられる。被塗装物の形状については、本発明の電着塗料用組成物を接触させることができれば、特に制限されない。
アニオン電着塗装では、例えば、被塗装物を陽極とし、陰極との間に、通常、1V以上500V以下の電圧を印加して行うことができる。印加電圧が1V以上であれば十分な電着塗装が可能であり、500V以下であれば、消費電力を抑制し得、経済的である。
本発明の電着塗料用組成物を用いてアニオン電着塗装する場合、電着塗料用組成物の温度は、例えば10〜60℃である。
本発明の電着塗料用組成物は、本発明のポリアミド酸と、前記中和化合物と、前記溶媒と、必要に応じて前記の各種添加剤を混合することによって製造することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<ポリアミド酸の合成>
撹拌機と温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル73.2gとNMP761.2gを仕込み、撹拌しながら50℃に昇温して溶解させた。次に、溶解物に、ピロメリット酸ジ無水物42.0gと3,4,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸ジ無水物51.1gを徐々に添加した。添加終了後1時間撹拌し、最後に無水フタル酸0.2gを添加して30分攪拌した。以上より、NMPに下記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸が18.0質量%の濃度で溶解されてなるポリアミド酸(I)927.5gを得た。
Figure 2019218432
続いて、撹拌機と温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、ポリアミド酸(I)12.7g、NMP15.2gを加えて攪拌し、炭酸カリウム1.4gを添加した。さらにヨードメタン2.8gを添加した後、45℃に昇温し、7時間攪拌した。その後室温まで冷却し、ろ過操作を行って、ポリアミド酸(I)のカルボキシ基の一部がメチルエステル化したポリアミド酸(II)30.4gを得た(前記の式(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)で表される繰り返し単位を備えるポリアミド酸である)。なお、このポリアミド酸(II)のメチル化率は80%であることを、IR測定およびNMR測定で確認(IR測定によってメチル化されたことを確認し、NMR測定でメチル化率を確認)した。また、数平均分子量が約42000(標準ポリエチレングリコール換算の分子量)であることをGPC分析で確認した。
<電着塗料用組成物の調製>
ポリアミド酸(II)3.0gをNMP18.4gに溶解し、貧溶媒となるベンジルアルコール3.3gを滴下することで、ポリアミド酸微粒子液を得た。そこに1.0gのトリエチルアミンを加え、純水20.2gを滴下し、アニオン電着塗料用組成物(1)とした。
<電着塗装>
陰極としてステンレス鋼板、陽極として銅板(被塗装物)を使用し、アニオン電着塗料用組成物(1)に浸して100Vの電圧を印加して銅板の表面に電着塗装を行い、ポリアミド酸塗装物(1)を得た。
[比較例1]
<ポリアミド酸の合成>
実施例1と同様にして、ポリアミド酸(I)を得た。
<電着塗料用組成物の調製>
ポリアミド酸(II)の代わりにポリアミド酸(I)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アニオン電着塗料用組成物(2)とした。
<電着塗装>
陰極としてステンレス鋼板、陽極として銅板(被塗装物)を使用し、アニオン電着塗料用組成物(2)に浸して100Vの電圧を印加して銅板の表面に電着塗装を行い、ポリアミド酸塗装物(2)を得た。
[比較例2]
<ポリアミド酸の合成>
ピロメリット酸ジ無水物21.81g(0.1モル)とビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)をNMP260gに溶かし、室温でイカリ型撹拌機を用いて、200r.p.mに撹拌しながら10時間反応させ、20質量%ポリアミド酸溶液(3)を得た。
<電着塗料用組成物の調製>
20質量%ポリアミド酸溶液(3)34gにNMP0.8g、テトラヒドロチオフェン−1、1−ジオキシド16g、ベンジルアルコール14g、N−メチルモルホリン1.0g、純水34.2gを加えて、アニオン電着塗料用組成物(3)とした。
<電着塗装>
陰極としてステンレス鋼板、陽極として銅板(被塗装物)を使用し、アニオン電着塗料用組成物(3)に浸して100Vの電圧を印加して銅板の表面に電着塗装を行い、ポリアミド酸塗装物(3)を得た。
[比較例3]
<ポリアミド酸の合成>
3,4,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸ジ無水物29.42g(0.1モル)とビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン43.25g(0.1モル)をNMP291gに溶かし、室温でイカリ型撹拌機を用いて、200r.p.mに撹拌しながら10時間反応させ、20質量%ポリアミド酸溶液(4)を得た。
<電着塗料用組成物の調製>
20質量%ポリアミド酸溶液(4)34gにNMP15.8g、ベンジルアルコール16g、N−メチルモルホリン1.3g、純水32.9gを加えて、アニオン電着塗料用組成物(4)とした。
<電着塗装>
陰極としてステンレス鋼板、陽極として銅板(被塗装物)を使用し、アニオン電着塗料用組成物(4)に浸して100Vの電圧を印加して銅板の表面に電着塗装を行い、ポリアミド酸塗装物(4)を得た。
<保存安定性の評価>
実施例1及び比較例1〜3で得られた各アニオン電着塗料用組成物(1)〜(4)を25℃で5日間保管し、保管後の数平均分子量Mnを測定した。保管前後の数平均分子量Mnを表1に示す。
Figure 2019218432
実施例1のポリアミド酸を用いたアニオン電着塗料用組成物は、ポリアミド酸の分解が抑制され、保存安定性に優れていた。また、実施例1のアニオン電着塗料用組成物を用い、電着塗装によって、好適にポリアミド酸塗装物が得られた。さらに、ポリアミド酸塗装物を100℃、200℃、300℃の各温度で順に0.5時間ずつ加熱することで、好適にポリイミド樹脂塗装物が得られた。

Claims (8)

  1. 下記一般式(A)で表される繰り返し単位と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位と、下記一般式(C)で表される繰り返し単位と、下記一般式(D)で表される繰り返し単位とを含む、ポリアミド酸。
    Figure 2019218432
    [一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、Aは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、カルボニル基、スルフィニル基、又はスルホニル基である。R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキル基である。]
  2. 前記一般式(A)、(B)、(C)及び(D)において、Aが酸素原子である、請求項1に記載のポリアミド酸。
  3. 前記一般式(A)、(B)、(C)及び(D)で示される繰り返し単位が、それぞれ、下記式(A1)、(B1)、(C1)及び(D1)で表される繰り返し単位である、請求項1又は2に記載のポリアミド酸。
    Figure 2019218432
  4. 前記一般式(A)及び(B)で表される繰り返し単位の合計数と、前記一般式(C)及び(D)で表される繰り返し単位の合計数との比率が、5:5〜1:9である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド酸。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸と、溶媒とを含む、塗料用組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸と、中和化合物と、溶媒とを含む、電着塗料用組成物。
  7. 請求項6に記載の電着塗料用組成物の存在下に、物品の表面に前記ポリアミド酸を電着させる工程と、
    前記電着したポリアミド酸を加熱して、物品の表面にポリイミド樹脂被膜を形成する工程と、
    を含む、ポリイミド樹脂被膜を有する物品の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド酸をイミド化してなるポリイミド樹脂被膜を有する物品。
JP2018114830A 2018-06-15 2018-06-15 ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法 Pending JP2019218432A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018114830A JP2019218432A (ja) 2018-06-15 2018-06-15 ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018114830A JP2019218432A (ja) 2018-06-15 2018-06-15 ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019218432A true JP2019218432A (ja) 2019-12-26

Family

ID=69095954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018114830A Pending JP2019218432A (ja) 2018-06-15 2018-06-15 ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019218432A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114702897A (zh) * 2022-06-01 2022-07-05 浙江先登绿能新材有限公司 一种高附着、高耐候漆包线漆的制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10195194A (ja) * 1996-12-31 1998-07-28 Korea Res Inst Chem Technol 安定したポリイミド前駆体及びその製造方法
JP2010106340A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Mitsubishi Cable Ind Ltd 絶縁部材の製造方法
JP2014082083A (ja) * 2012-10-16 2014-05-08 Hitachi Metals Ltd 絶縁電線及びコイル

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10195194A (ja) * 1996-12-31 1998-07-28 Korea Res Inst Chem Technol 安定したポリイミド前駆体及びその製造方法
JP2010106340A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Mitsubishi Cable Ind Ltd 絶縁部材の製造方法
JP2014082083A (ja) * 2012-10-16 2014-05-08 Hitachi Metals Ltd 絶縁電線及びコイル

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114702897A (zh) * 2022-06-01 2022-07-05 浙江先登绿能新材有限公司 一种高附着、高耐候漆包线漆的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6665862B2 (ja) ポリイミド前駆体、架橋構造を有するポリイミドおよびその製造方法
JP6476469B2 (ja) ポリアミド酸組成物およびポリイミド組成物
JPS62116631A (ja) ポリ(エ−テルイミド)及びそれを含む組成物
JP6750146B2 (ja) 電着用ポリイミド及びそれを含む電着塗料組成物
US5854380A (en) Polyimide precursor solution process for the production thereof coating or film obtained therefrom and process for producing the film
JP2019218432A (ja) ポリアミド酸、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法
JP4428491B2 (ja) 電着用ポリイミド樹脂組成物、その製造方法、電着成形体及びその製造方法
JP2017078095A (ja) ポリイミド前駆体溶液およびそれを用いたポリイミド膜ならびにポリイミド膜の製造方法
JP4589471B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP7169784B2 (ja) ポリイミド樹脂、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法
JP4475711B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液
JP2005162954A (ja) 電着塗料組成物及びそれを用いた電着方法
JP2013234257A (ja) 電着塗料組成物および電着方法、ならびに絶縁部材
JP5144427B2 (ja) ポリイミド系樹脂水系分散体の製造方法
JP2018080315A (ja) ポリイミド、ポリイミド前駆体、及びポリイミドフィルム
JP6913346B2 (ja) ポリアミドイミド前駆体溶液
JP2000319389A (ja) ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP7068938B2 (ja) ポリイミド樹脂、塗料用組成物、電着塗料用組成物、ポリイミド樹脂被膜を有する物品及びその製造方法
JP2000297152A (ja) ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP4215452B2 (ja) 電着用ブロック共重合ポリイミド組成物
JP3262514B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜又はポリイミドフィルム、及びそれらの製造方法
JP2000319391A (ja) ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP2000234023A (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP2008291265A (ja) 電着用ポリイミド樹脂組成物、電着成形体及びその製造方法
JPH01201335A (ja) ポリアミド−ポリイミドブロックコポリマー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210518

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220419

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220617

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20221018