JP2019218314A - 害虫防除用液状組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに、有効成分の香りが強く残存せず、十分な防除効果を示しながらも、対象物において汎用されている素材を変性させることがない害虫防除用液状組成物の提供。【解決手段】メントール5〜15重量%と、炭素数1〜3の低級アルコール10〜55重量%と、水30〜85重量%を含有する害虫防除用液状組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、家庭内や建物内などの屋内でダニなどの害虫が生息している敷物、寝具、衣類、玩具などの物品に噴霧などして付着させることにより忌避又は駆除する害虫防除用の液状組成物に関する。
従来、ダニなどの害虫が、適度な湿度及び温度が保たれている屋内に置かれている絨毯、カーペットなどの敷物や、布団、毛布、枕などの寝具、或いはセーター、コートなどの衣服や、ぬいぐるみなどの玩具などにおいて生息している。これらのダニなどの害虫は生きている状態でアレルギーを引き起こすのではなく、その死骸やフンが粉砕されて生じた微粒子が空気中を舞って、人が吸い込んだり人に付着したりすることにより、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎などの種々のアレルギー反応を示すようになると言われている。
このようなダニなどの害虫に起因しアレルギー反応を引き起こすアレルゲンを発生させないために、ダニなどの害虫を敷物、寝具、衣服、玩具などに近づけないようにしたり、すでに生息しているダニなどの害虫をそれ以上増殖しないように駆除したりすることが好ましい。このため、これまで種々のダニなどの害虫を防除するための組成物が知られている。
例えば、特許文献1において、o−アニソールアルデヒド、ベンズアルデヒド、シトロネラール、クミンアルデヒド、ペリルアルデヒド、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、メチルベンゾエイト、ベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、エチルベンゾエイト、シネオール、リナロール、d−リモネン、α−ピランドレン、β−ピネン、1−メントール、d−カルボン、1−カルボン、メントン、酢酸メンチル、エムペントリン、α−ターピネオール、メンタジエン、メンテン、ピノカルベオール、ピノカルボン、ピペリトン、ピペリテノン、ミルテナール、プレゴン、ベルベノン、ジヒドロカルボン、α−ピネンオキサイド、リナロールオキサイド、パラクロロメタキシレノール、α−ブロモシンナムアルデヒド、カンファー、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、α−ピネン、サリチル酸フェニル、フタル酸ジエチル、サルチル酸ブチル、ベンジルプロピオネート、イソオイゲノール、ベンジルアセテイト、エチルインバネレイト、ゲラニルアセテイト、シトラール、イソサルフォール、β−フェネチルアセテイトなどからなる群から選んだ1種又は2種以上を有効成分として配合されたダニ類の防除組成物が開示されている。
特開平5−39203号公報
しかしながら、特許文献1の発明では、有効成分の種類によっては付着させた対象物に香りが強く残存し使用者に不快感を与え、また有効成分の配合量によっては十分な効力が発現しないという課題があった。
また、特許文献1の発明では、対象物へ付着させるために、含浸、滴下、噴霧、練合などの方法が用いられ、そのとき有効成分は溶剤例えばキシレン、トルエン、アセトン、ヘキサン、エタノール、メタノールなどに溶解してそのまま塗布できる旨が記載されているが、付着させる対象物の素材によってはその対象物の品質が変性するという課題があった。
そこで、本発明では、ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに、有効成分の香りが強く残存せず、十分な防除効果を示しながらも、対象物において汎用されている素材を変性させることがない害虫防除用液状組成物を提供することを目的とする。
〔1〕すなわち、本発明は、メントール5〜15重量%と、炭素数1〜3の低級アルコール10〜55重量%と、水30〜85重量%を含有することを特徴とする害虫防除用液状組成物である。
〔2〕そして、炭素数1〜3の低級アルコールが、エタノール又はイソプロパノールの少なくとも1種であることを特徴とする前記〔1〕に記載の害虫防除用液状組成物である。
〔3〕そして、防除する害虫がダニ類であることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕のいずれかに記載の害虫防除用液状組成物である。
本発明によれば、ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに、有効成分の香りが強く残存せず、十分な防除効果を示しながらも、対象物において汎用されている素材を変性させることがないという効果を奏する。
以下、本発明の害虫防除用液状組成物に関する実施形態について詳しく説明する。なお、説明中における範囲を示す表記のある場合は、上限と下限を含有するものである。
本発明の害虫防除用液状組成物に用いられるメントールは、環状モノテルペンの一種であり、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノールとのIUPAC名を有し、水に難溶性の有機化合物である。本発明において、メントールは、ダニなどの害虫を防除するための薬効成分である。
メントールとしては、ハッカ油などから抽出される天然物を使用することもできるし、有機合成の手法により得られた合成物を使用することもできる。
メントールは、いつくかのジアステレオマー、エナンチオマーを有するため、特定の立体異性体に限定されるものでないが、l−メントールが含有されていることが好ましく、90%ee以上のl−メントールが含有されていることがさらに好ましい。
メントールの配合割合は、5〜15重量%であることが好ましい。メントールの配合割合がこの範囲であると、ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに、有効成分の香りが強く残存せず、十分な防除効果を示すことができる。また、炭素数1〜3の低級アルコール、水との配合量とのバランスにより、析出して組成物が白濁などすることなく、組成物中に溶解した状態を保持することができる。
本発明の害虫防除用液状組成物に用いられる炭素数1〜3の低級アルコールは、炭素数を1〜3個と水酸基を有する有機化合物である。本発明において、炭素数1〜3の低級アルコールは、メントールを溶解させるための水溶性溶剤として作用している。
炭素数1〜3の低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、n−プロパノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリンなどが好ましい。このうち、メントールとの溶解性及び水との溶解性から、メントールが析出しないメントールの配合量の範囲を広く得ることができるため、エタノール、イソプロパノールであることが好ましい。また、上記の低級アルコールは1種類のみ、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
炭素数1〜3の低級アルコールの配合割合は、10〜55重量%であることが好ましい。炭素数1〜3の低級アルコールの配合割合がこの範囲であると、組成物中でメントールを析出させずに均一に溶解させられるとともに、ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに、その対象物において汎用されている素材を変性させることがないという効果を奏する。
本発明の害虫防除用液状組成物に用いられる水は、組成物における溶媒であり、噴霧器などの容器に入れて拡散させやすくするために組成物の粘度を下げる効果を奏するとともに、ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに対象物の品質の変性を生じさせないという効果も奏する。
水としては、日本薬局方規格の水が好ましく、例えば、水道水、井戸水などである常水、そして、蒸留、イオン交換膜によるイオン交換処理、限外ろ過膜による限外ろ過処理のいずれか、またはそれらの組み合わせにより常水を処理した精製水、そして、加熱等により精製水を滅菌処理した滅菌精製水などが好ましい。
水の含有割合は、30〜85重量%であることが好ましい。水の含有割合がこの範囲であると、組成物中のメントールを析出させず均一な溶解状態を維持できるとともに、組成物を付着させた対象物において汎用されている素材を変性させることがない。
本発明では、薬効成分であるメントールを溶解させることが困難である水を配合しているために、課題のすべてを解決するとともに、メントールを組成物中で均一に溶解させて安定的な効力を発現させるために、薬効成分としてメントールの選定及び構成要件である炭素数1〜3の低級アルコール、水の配合割合に関する試行錯誤が必要となる。
本発明において、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤は、組成物を付着させた対象物において残存し、その対象物の品質の変性を生じさせるおそれがあるために配合されないことが好ましい。
さらに本発明の害虫防除用液状組成物の酸化による劣化などの腐食を防止するため、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(α−トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤を添加することができる。また、防腐を目的に、パラオキシ安息香酸エステルを添加することもできる。
〔実施例1〕
メントール5gをエタノール10gに溶解させたエタノール溶液を撹拌しながら、精製水85gを徐々に添加させることにより、液状の組成物を作製した。
〔実施例2〕
メントールを5g、エタノールを30g、精製水を65g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔実施例3〕
メントールを15g、エタノールを20g、精製水を65g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔実施例4〕
メントールを5g、エタノールを55g、精製水を40g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔実施例5〕
メントールを5g、イソプロパノールを30g、精製水を65g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔実施例6〕
メントールを5g、イソプロパノールを55g、精製水を40g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔実施例7〕
メントールを15g、イソプロパノールを20g、精製水を65g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔実施例8〕
メントールを15g、イソプロパノールを55g、精製水を30g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例1〕
メントールを2.5g、エタノールを0g、精製水を97.5g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例2〕
メントールを2.5g、エタノールを10g、精製水を87.5g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例3〕
メントールを2.5g、エタノールを30g、精製水を67.5g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例4〕
メントールを2.5g、エタノールを40g、精製水を57.5g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例5〕
メントールを5g、エタノールを0g、精製水を95g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例6〕
メントールを20g、エタノールを20g、精製水を60g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例7〕
メントールを20g、エタノールを30g、精製水を50g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例8〕
メントールを20g、エタノールを40g、精製水を40g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例9〕
メントールを2.5g、エタノールを60g、精製水を37.5g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例10〕
メントールを5g、エタノールを60g、精製水を35g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例11〕
メントールを2.5g、イソプロパノールを60g、精製水を37.5g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔比較例12〕
メントールを15g、イソプロパノールを60g、精製水を25g用いた以外は、実施例1と同様にして液状の組成物を作製した。
〔香りの強さ〕
各実施例及び比較例で作製した組成物を用いて、スプレー容器から布へ所定量だけ当該組成物噴霧したときの布におけるメントールの香りの強さを官能評価した。具体的には、15人の被験者に対して、無臭を0点、やや香るレベルを1点、香るレベルを2点、強く香るレベルを3点、不快臭として感じるレベルを4点として、組成物を噴霧した布の香りの強さを評価してもらい、その加算平均値を算出した。その結果、加算平均値が、3点未満を日常生活で不快と感じないレベルとして良好と判断し(○評価)、3点以上を日常生活で不快と感じるレベルとして不良と判断した(×評価)。
〔可溶化〕
各実施例及び比較例で作製した組成物を用いて、透明容器において当該組成物を視覚観察して評価した。具体的には、無色透明な円筒状容器に組成物を50mlほど入れて静置し、無色透明の状態を良好と判断し(○評価)、沈殿物が発生したりくすみが発生したりした状態を不良と判断した(×評価)。
〔効力試験〕
各実施例及び比較例で作製した組成物を用いて、ダニに対する防除の性能を評価した。具体的には、以下の方法により評価した。すなわち、まず、シャーレなど蓋をすることができる容器に布を載置し、その布に組成物を所定量だけ噴霧した。そして、その組成物が噴霧された布の上に、コナヒョウヒダニ20匹を放して蓋を閉め、室温で48時間静置した後に、供したコナヒョウヒダニの生死を計数した。なお、まったく動かなくなっているコナヒョウヒダニを死亡していると判断した。このとき、放したコナヒョウヒダニ20匹に対する死亡しているコナヒョウヒダニの数の割合を百分率で示したものを死虫率として、死虫率が80%以上であることを良好と判断し(○評価)、死虫率が80%未満であることを不良と判断した(×評価)。
〔布への影響〕
各実施例及び比較例で作製した組成物を用いて、布への影響を評価した。具体的には、以下の方法により評価した。すなわち、まず、布として、綿、毛、絹、レーヨン、キュプラ、アセテート、ポリウレタン、ナイロン6、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニルを用意し、各布を5cm四方に裁断して、組成物に浸漬する。そして、組成物に浸漬した布を取り出しておおよそ乾燥させた後に、40℃の恒温槽の中で24時間静置する。恒温槽から取り出した布を、未処理の布と視覚観察にて比較して、まったく変化がない状態を優良と判断し(○評価)、少し変化がある状態を良と判断し(△評価)、明らかに変化がある状態を不良と判断した(×評価)。この評価に基づいて、いずれの種類の布においても、優良と判断した組成物について、総合的に良好と判断し(○評価)、良及び不良と判断した組成物について、総合的に不良と判断した(×評価)。
実施例1〜8及び比較例1〜12について、組成物の配合割合及び性能評価の結果を、表1に示す。表1における布への影響については、総合評価の結果である。また、実施例1〜8及び比較例1〜12について、各布への影響については、表2に示す。
Figure 2019218314
Figure 2019218314
表1、表2に示すように、実施例1〜8の組成物において、香りの強さ、可溶化、効力、布への影響に関する評価にていずれも良好であり、無色透明の状態を維持するので常に一定の組成割合で使用でき、そして、組成物の布に付着させたときに、有効成分であるメントールの香りが強く残存せず、ダニを十分に死亡させる防除効果を示すとともに、各種の素材からなる布に対しても変性させないことから使用する対象を限定されずに広範に使用できることが分かった。しかし、比較例1〜12の組成物では、香りの強さ、可溶化、効力、布への影響に関する評価にて少なくとも一つは不良となり、課題を解決するには至らないことが分かった。
以上の結果より、実施例1〜8の組成物は、常に一定の組成割合で使用することができ、ダニなどの害虫を防除することを所望する対象物に付着させたときに、有効成分の香りが強く残存せず、十分な防除効果を示しながらも、対象物において汎用されている素材を変性させることがないという効果を奏する。

Claims (3)

  1. メントール5〜15重量%と、
    炭素数1〜3の低級アルコール10〜55重量%と、
    水30〜85重量%を含有することを特徴とする害虫防除用液状組成物。
  2. 炭素数1〜3の低級アルコールが、エタノール又はイソプロパノールの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の害虫防除用液状組成物。
  3. 防除する害虫がダニ類であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の害虫防除用液状組成物。
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