JP2019217733A - 昇華性熱転写記録媒体 - Google Patents

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廣介 木下
鈴田 昌由
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Abstract

【課題】昇華性熱転写記録媒体において、印画時の記録性(印画品質)を低下させることなく、保存安定性を向上させ、染料のブリードや析出を抑制し、高濃度の発色(階調)を発現することができる昇華性熱転写記録媒体を提供する。【解決手段】インク層12中のバインダ樹脂として、アセタール化度が70%以上のポリアセタール樹脂を用い、バインダ樹脂のアセタール成分に対して、アゾ系染料のmol比率が117以上234以下であり、アントラキノン系A染料のmol比率が114以上570以下であり、アントラキノン系B染料のmol比率が29以上145以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、サーマルヘッド等を用いて、昇華性インク層を熱印加し、昇華性染料を熱転写することにより、画像を記録するための昇華性熱転写記録媒体に関する。
一般に、昇華性熱転写記録媒体は、昇華性熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の片面に、昇華性の色素を含むインク層を設けたものである。
昇華性熱転写方式は、プリンタのサーマルヘッドに印加した熱によって、インク層中に含まれる昇華性の色素である染料を昇華させて、被転写体の受像層に転写するというものである。
現在、昇華性熱転写方式は、プリンタの高機能化と併せて、各種画像を簡便に形成できることから、身分証明書などのカード類を始め、アミューズメント用出力物などの幅広い領域で利用されている。
このような用途の多様化と共に、得られる印画物への耐久性を求める声が大きくなると共に、近年では印画する画数の増加や、プリンタの高速化に対応すべく、高速印画に対応した昇華性熱転写記録媒体が求められている。
高速化に対応した昇華性熱転写記録媒体として求められる特性として、例えば、高速印画の際でも低エネルギーでの印画が可能であり、かつ高濃度発色(階調)記録ができることが求められ、更には、昇華性熱転写記録媒体の保存安定性なども求められている。
例えば、高濃度での発色(階調)を発現させるための手段としては、インク層中のバインダ樹脂に対する染料の割合を増やすという手法が考えられるが、安易に染料の割合を増やすと、染料の滲出(ブリード)や、結晶化等による染料の析出などが発生する。
この様なブリードや析出などの発生した昇華性熱転写記録媒体と、被転写体の受像層とを重ねて印画工程を実施した場合には、サーマルヘッドによる加熱記録部分以外の領域においても、ブリードあるいは析出した染料が受像層に移行し、地汚れが発生するという問題があった。
この様な問題に対し、例えば、特許文献1では、バインダ成分としてポリビニルアセトアセタール樹脂を含有し、このポリビニルアセトアセタール樹脂のアセタール部分の重量%が、ポリマー全量に対して50%以上であって、かつ、アセタール部分の80重量%以上が、ポリビニルアセトアセタールからなる樹脂を用いることが提案されている。
また、特許文献2では、経時によるカブリ防止の手段として、インク層中にHLB(親水親油バランス)が10以上の界面活性剤を含有することが提案されている。
特許第2515310号公報 特開2005−313359号公報
しかし、これらの手法は、いずれも選定する染料の種類や添加量などによって、その効果は必ずしも十分なものではなく、地汚れなどが発生する場合があった。
本発明は、これらの問題を解決すべくなされたもので、印画時の記録性(印画品質)を低下させることなく、保存安定性を向上させ、染料のブリードや析出を抑制し、高濃度の発色(階調)を発現することができる昇華性熱転写記録媒体を提供しようとするものである。
本発明者らは、昇華性熱転写記録媒体のインク層中におけるバインダ樹脂のアセタール化度と、アセタール化度に対する適切な染料の添加量を見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、基材の片面に、色素を含むインク層が少なくとも1つ以上設けられた昇華性熱転写記録媒体であって、前記インク層が、色素とバインダ樹脂とを含み、前記色素が、少なくともアゾ系、アントラキノン系A、アントラキノン系Bの3種類の染料からなり、前記バインダ樹脂が、アセタール化度が70%以上であるポリビニルアセタール樹脂からなり、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アゾ系染料のmol比率が、117以上234以下であり、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系A染料のmol比率が、114以上570以下であり、前記前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系B染料のmol比率が、29以上145以下であることを特徴とする昇華性熱転写記録媒体である。
第2の発明は、前記色素の有機溶剤に対する溶解性が、2.0質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の昇華性熱転写記録媒体である。
第3の発明は、前記有機溶剤が、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンの混合溶剤からなり、その質量比率が、概ね38:57:5であることを特徴とする請求項2に記載の昇華性熱転写記録媒体である。
第4の発明は、前記樹脂が、アセタール化度が80%以上であるポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の昇華性熱転写記録媒体ある。
第5の発明は、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アゾ系染料のmol比率が、152以上234以下であることを特徴とする請求項4に記載の昇華性熱転写記録媒体である。
第6の発明は、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系A染料のmol比率が、342以上570以下であることを特徴とする請求項4に記載の昇華性熱転写記録媒体である。
第7の発明は、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系B染料のmol比率が、73以上145以下であることを特徴とする請求項4に記載の昇華性熱転写記録媒体である。
本発明によれば、印画時の記録性(印画品質)を低下させることなく、保存安定性を向
上させ、染料のブリードや析出を抑制し、高濃度の発色(階調)を発現することができる昇華性熱転写記録媒体を得ることが可能となる。
本発明の昇華性熱転写記録媒体の例を示す斜視図である。 本発明の昇華性熱転写記録媒体の構成例を示す断面図である。 従来の昇華性熱転写記録媒体の例を示す断面図である。 従来の昇華性熱転写記録媒体を用いた例を示す印画物の平面図である。
本発明の昇華性熱転写記録媒体の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
また、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全て図面を通じて同一の参照符号を附し、重複する説明は省略する。
図1および図2は、本発明の実施形態に係る昇華性熱転写記録媒体の例を示す斜視図、ならびに層構成の例を示す断面図である。
図1には、基材(11)上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色素を有するインク層(12)と保護層(13)と、を面順次に設けた昇華性熱転写記録媒体(10)の例が示されている。
図2は、この様な昇華性熱転写記録媒体(10)のインク層(12)を有する領域の層構成の例を示す断面図が示されており、基材(11)の片面にインク層(12)が設けられ、反対側の面には、バックコート層(14)が設けられている。
(基材)
昇華性熱転写記録媒体(10)に用いられる基材(11)は、サーマルヘッドを用いた熱転写時の熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求される。
そのため、基材(11)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロプレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂からなるフィルムや、コンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独または組み合わされた複合体として、使用することが可能である。
これらの中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
また、基材(11)は、操作性、加工性を考慮し、その厚さが2μm以上、50μm以下の範囲内であることが望ましく、更には転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上、12μm以下のものがより好ましいと言える。
更に基材(11)は、易接着処理が施されていても良く、易接着処理としては、例えば、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理など各種の処理を任意に適用することができる。
また、これらの処理を2種以上併用して、設けられてあっても良い。このような易接着処理が施されたフィルム基材は、各インク層との接着性を付与するための下引き層などが設けられていても良い。
(バックコート層)
基材(11)のインク層(12)が設けられている面とは反対側の面には、バックコート層(14)が設けられている。
バックコート層(14)は、サーマルヘッド印字時のフィルム走行性を高めるために設けるもので、用いられる材料としては、例えば、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレートなどの各種アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂などを挙げる事ができるが、これらに限定されるものではない。またこれらの樹脂に硬化剤や滑剤などが添加されてあっても良い。
硬化剤の例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのイソシアネート類、およびその誘導体などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、滑剤としては、例えば、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪族エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミンおよびアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル等のリン酸エステルなどの界面活性剤などを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
更に、バックコート層(14)には、例えば、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等の充填剤が添加されてあっても良い。
上述のようなバックコート層は、乾燥後の塗布量として、0.1g/m以上2.0g/m以下程度とすることができる。
(下引き層)
インク層(12)と基材(11)との間に下引き層を設ける場合には、基材(11)と各インク層(12)のバインダ樹脂との両方に対して良好な接着性を有する材料で、かつ染料バリア性やインク層を積層するための耐溶剤性等を有することが望ましい。
この様な材料としては、例えば、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体系樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、下引き層には、目的に応じて、コロイド状無機顔料超微粒子、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤などの従来公知の添加剤が加えられてあっても良い。このような下引き層は、昇華性熱転写記録媒体(10)の印字感度等に影響しないことが望ましく、1.0g/m以下程度とすることができる。
(インク層)
以上の様にして得られる基材(11)に対し、各インク層(12)を面順次に設けることとなるが、各色インク層に含まれるバインダ樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂や、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂や、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を例示することが、中でもポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂を好適に用いることができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が70%以上であることが好ましく、更に好ましくは、アセタール化度が80%以上のものを好適に用いることができる。
各色インク層に含まれる色素は、熱により、溶融、拡散、昇華移行する染料であればいずれでも使用することが可能であるが、一般的には、インドアニリン系、アゾ系、アントラキノン系、スチリル系などの各種染料を例示することができる。
しかし、本発明者等は、上述のようにアセタール化度の比較的高いバインダ樹脂を用いると共に、染料として、アゾ系、アントラキノン系A、アントラキノン系Bの3種類の染料を混合して用いることにより、高濃度の発色(階調)を発現することが可能で、印画時の地汚れ等の原因にもなる染料のブリードや析出を抑制することのできる昇華性熱転写記録媒体を提供できることを見出した。
これらの3種類の染料の添加量は、上述のインク層(12)のバインダ樹脂に対して、以下の関係であることが望ましい。
すなわち、前記アゾ系染料の添加量は、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率が、117以上で、234以下であることが好ましく、更に好ましくは、152以上で、234以下である。
また、前記アントラキノン系A染料の添加量は、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対して、mol比率が、114以上で、570以下であることが好ましく、更に好ましくは、342以上で、570以下である。
また、前記アントラキノン系B染料の添加量は、前記バインダ樹脂のアセタール成分に対して、mol比率が、29以上で、145以下であることが好ましく、更に好ましくは、73以上で、145以下である。
各染料の添加量を上述の範囲とすることで、十分な発色濃度を確保することができ、また染料のブリードや析出を抑制することが可能となる。
図3に示すような、従来の昇華性熱転写記録媒体(20)では、昇華性熱転写記録媒体(20)の保存性を考慮しすぎて、染料の添加量を少なくすると、印画時に十分な発色濃度が得られず、逆に添加量が多すぎると、図3のような染料(21)のブリードや析出が生じ易くなり、この結果、図4に示すように、サーマルヘッドを用いて印画を実施し、印
画物(30)を作成する際に、本来の印画部(31)とは異なる領域に、地汚れ(32)が発生してしまうことがあった。
これに対して、本発明では、バインダ樹脂としてアセタール化度が比較的高いバインダ樹脂を用いると共に、適正な染料を添加することにより、バインダ樹脂に対する染料の相溶性が確保され、ブリードや析出を抑制するため、染料の絶対量を増やすことができ、高階調すなわち高濃度の印画が可能になると共に、昇華性熱転写記録媒体(10)の保存時における染料のブリードや析出も抑制することが可能となり、印画時の地汚れなども防ぐことができる。
一般にポリアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールの極性基である水酸基に対して、アルデヒドを縮合反応させることによって、合成される。従って、アセタール化度の高い樹脂は、極性基である水酸基の量が少なく、全体的に非極性が高い性質を有していると言うことができる。
一方、昇華性熱転写記録媒体に用いられる色素は、一般に分散染料と呼ばれる染料が用いられており、分散染料には、1)染料分子内に水溶性基を有しない、2)分子量が他の種属の染料に比べて比較的小さい、などの特徴があるとされている。
このため、染料分子内に水溶性基を有しない、即ち比較的非極性の高い色素に対して、アセタール化度が高く、非極性の高いポリアセタール樹脂をバインダ樹脂として用いることにより、色素とバインダ樹脂の相溶性が高まり、染料のブリードや析出が抑制されると考えられる。
また、上述の3種類の染料は、メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン(質量比率=38/57/5)からなる有機溶剤に対する溶解性が、2.0質量%以上であることが望ましい。
これは、インク層(12)用の塗布液を作製する際に、有機溶剤に対する溶解性の低い染料を用いた場合には、塗布、乾燥後のインク層(12)中に不溶状態の染料が残り、印画時の地汚れ等を引き起こす可能性が高いためであり、2.0質量%以上の溶解性を有する染料を用いることで、不溶状態の染料が存在しない状態で、印画時の高い発色濃度(階調)を得ることが可能となる。
また、インク層(12)には、離型性を有するシリコーンオイルなどの滑剤が添加されてあっても良い。
シリコーンオイルとしては、市販のものをいずれも用いることができ、例えば、側鎖にポリエーテル、酸化エチレン、酸化プロプレンなどを有する変性シリコーンや、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のストレートシリコーンオイル、アミノ変性、エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、フェノール変性、片末端反応性・異種官能変性等の反応性変性シリコーンオイル、アラルキル変性、ポリエーテル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、フェイニル変性等の非反応性変性シリコーンオイルなどを例示することができる。
また、インク層(12)には、性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていても良い。
このようなインク層(12)は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのように、必要に応じて対応する色相の染料を選定し、配合して各色のインク層(12)を形成することができる。
また、ブラック(Bk)インク層は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に用いられる染料を混合してブラック(Bk)としても良いし、黒色の染料を新たに選定する方法や、カーボンブラックなどに代表される顔料を熱溶融性のバインダ樹脂やワックス類中に分散してなる熱溶融型のインク層として形成されてあっても何ら問題ない。
上述のようなインク層(12)は、乾燥後の塗布量が、1.0g/m程度であることが望ましいと言える。
(保護層)
上述の様な昇華性熱転写記録媒体(10)は、印画後の画像を保護するための保護層(13)が、各インク層と共に面順次で剥離可能に設けられてあっても良い。
保護層(13)は、インク層(12)により被転写体上に形成された画像の上に、熱転写法というプロセスにより熱転写され、紫外線等に対する耐久性や機械的耐久性などを付与することを目的としている。
保護層(13)を構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体頭の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類などを例示することができ、これらの材料は単独あるいは2種以上の混合物や積層体などとして用いることができる。
また、保護層(13)には、紫外線等に対する耐久性を付与するために紫外線吸収剤が含まれていて良く、紫外線吸収剤としては、従来公知の材料をいずれも用いることができるが、コストや紫外線吸収範囲、種類の多さ、用途範囲などを考慮して、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系のものなどが、多く使用されてきた経緯がある。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、それを分散しているバインダ樹脂中から昇華して失われる傾向はあるが、トリアジン系の紫外線吸収剤は、ブリードアウトによる紫外線吸収能力の低下を起こし難いと言える。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などを例示することができ、これらは、単独あるいは複数を混合して使用することができる。
また、トリアジン系の紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール、2−〔4−〔(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−〔(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体を例示することができる。
保護層(13)の厚みに関しては、特に制限は無く、必要とされる紫外線吸収能力等を考慮して任意に選択すれば良い。
また、保護層(13)は、単一の層であっても良いが、離型層、剥離層、接着層などを含む積層体として設けられてあっても良い。
更に、保護層(13)には、添加剤として、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、触媒促進剤、光散乱剤、艶調整剤、滑剤、充填剤などを必要に応じて添加することができる。
このようにして得られた昇華性熱転写記録媒体(10)は、被転写体と対向配置し、昇華性熱転写記録媒体(10)のインク層(12)とは反対側の面から、サーマルヘッドを用いて熱を印加することにより、被転写体上に、高い濃度の発色(階調)を有し、地汚れ(32)などの無い良好な画像を形成することができる。
被転写体は、インク層(12)から色素である染料を受容する能力を有するものであれば、いずれでも良く、従来公知の被転写体を任意に用いることができ、例えば、被転写体基材の少なくとも片面に、断熱層や染料受容層等を積層したものなどを例示することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1から実施例9で用いられるインク層用塗布液の配合比率については、表1にまとめて示している。
以下に、各実施例を説明する。
〔実施例1]
基材として厚み4.5μmのポリエステルフィルムを用い、先ず、基材の他方の面に下記組成からなるバックコート層用塗布液を用いて、乾燥後の膜厚が1.3μmとなるようにバックコート層を形成した。
<バックコート層用塗布液>
アクリルポリオール樹脂 15.0部
ステアリン酸亜鉛 1.5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 1.5部
タルク 1.0部
2,6−トリレンジイソシアネート 5.0部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 6.0部
次に、基材の一方の面に、グラビアコート法により、下記組成のインク層用塗布液1を用いて、乾燥後の膜厚が0.8μmとなるようにインク層を形成して昇華性熱転写記録媒体を得た。
<インク層用塗布液1>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
〔実施例2〕
下記組成のインク層用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液2>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 3.06部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.53部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.31部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.06部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.09部
メチルエチルケトン 34.94部
トルエン 52.41部
シクロヘキサノン 0.09部
〔実施例3〕
下記組成のインク層用塗布液3を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液3>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 0.97部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.86部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.19部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.95部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.06部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔実施例4〕
下記組成のインク層用塗布液4を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液4>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.59部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.59部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 1.59部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.19部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.09部
メチルエチルケトン 34.94部
トルエン 52.41部
シクロヘキサノン 4.60部
〔実施例5〕
下記組成のインク層用塗布液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液5>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.89部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
〔実施例6〕
下記組成のインク層用塗布液7を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液6>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
〔実施例7〕
下記組成のインク層用塗布液8を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液7>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
〔実施例8〕
下記組成のインク層用塗布液9を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液8>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
比較例1から比較例10で用いられるインク層用塗布液の配合比率については、表2にまとめて示している。
以下に、比較例1〜比較例10の説明をする。
〔比較例1〕
下記組成のインク層用塗布液9を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液9>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックBL−7(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例2〕
下記組成のインク層用塗布液10を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液10>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.63部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.97部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.79部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例3〕
下記組成のインク層用塗布液11を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液11>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 0.84部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.47部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.89部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.77部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例4〕
下記組成のインク層用塗布液12を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液12>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.58部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.02部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.79部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.80部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例5〕
下記組成のインク層用塗布液14を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液13>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 2.68部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.29部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 1.34部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 2.66部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.08部
メチルエチルケトン 34.94部
トルエン 52.41部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例6〕
下記組成のインク層用塗布液14を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液14>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.59部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.98部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.82部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例7〕
下記組成のインク層用塗布液15を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液15>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.74部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.35部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.15部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.74部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例8〕
下記組成のインク層用塗布液16を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液16>
Oil Red 5302(アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例9〕
下記組成のインク層用塗布液17を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液17>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8340(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔比較例10〕
下記組成のインク層用塗布液18を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
<インク層用塗布液18>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8360(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
〔評価方法〕
実施例1〜実施例9および比較例1〜比較例10で得られた昇華性熱転写記録媒体について、下記の方法で作製した被転写体(熱転写受像シート)を用いて、評価用サーマルプリンタにて印画し、その時の各昇華性熱転写記録媒体による地汚れの有無、発色濃度、印画時の搬送性について評価を実施した。
〔熱転写受像シートの作製〕
被転写体基材として、100μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の染料受容層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が、8.0g/m2となるように、コーティングして染料受容層を設けた。
また、更に、染料受容層を設けた被転写体基材の他方の面に、下記組成の粘着層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が10,0g/m2となるようにコーティングして粘着層を設け、この粘着層側に、離型シートとして、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、ドライラミネート法を用いて、貼り合わせることにより、熱転写受像シートを作製した。
<染料受容層用塗布液>
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<粘着層用塗布液>
アクリル共重合体 49.0部
エポキシ樹脂 0.5部
酢酸エチル 51.5部
〔地汚れ評価〕
得られた昇華性熱転写記録媒体につき、評価用サーマルプリンタを用い、23℃、80%RHの環境下で白ベタ画像(印画工程は実施するが、所謂画像を形成しない部分)を印画し、白色度の評価を実施した。
◎: 白色度93%以上である。
○: 白色度90%以上である。
×: 白色度90%未満である。
なお、○以上であれば、実運用上問題ないレベルである。
〔発色濃度評価〕
得られた昇華性熱転写記録媒体につき、評価用サーマルプリンタを用い、23℃、80%RHの環境下で、255階調画像を印画し、測色評価を実施した。
◎: 反射濃度2.10以上である。
○: 反射濃度1.90以上である。
×: 反射濃度1.90未満である。
なお、○以上であれば、実運用上問題ないレベルである。
〔印画時の搬送性評価〕
得られた昇華性熱転写記録媒体につき、評価用サーマルプリンタを用い、23℃、80%RHの環境下で実画像と、搬送性に対して強制的に不具合を発生させる可能性の高い強制発生画像を用いて印画を行い、目視評価を実施した。
◎: いずれの画像においても、シワ、ジャミングは発生しない。
○: シワが、強制発生画像では発生し、実画像では発生せず、ジャミングはいずれ
の画像でも発生しない。
×: 実画像、強制発生画像共に、ジャミングが発生し、印画工程が止まる。
なお、○以上であれば、実運用上問題ないレベルである。
実施例1〜実施例9ならびに比較例1〜比較例10で作製した各昇華性熱転写記録媒体について、上述の評価を実施した結果を、表3に示す。
表3に示す結果より、印画時の搬送性に対しては、バインダ樹脂のアセタール化度が大きく関与していると思われる。
すなわち、アセタール化度の高いバインダ樹脂(88%)を用いた実施例7、実施例8ならびに比較例2〜比較例10では印画時の搬送性は良好な結果を示しているが、アセタール化度が77%である実施例1〜実施例6では、実運用上問題となるレベルではないものの、強制発生画像ではシワの発生が認められており、アセタール化度が66%の比較例1では、ジャミングが発生し、印画工程が停止している。
これは、アセタール化度の低い樹脂では、分子構造中に水酸基が多く残っていると考えられ、テスト実施環境である23℃、80%RHという高い湿度環境下では、湿度の影響を受け易くなることが原因と思われる。
また、比較例1の結果から、アセタール化度が70%未満のバインダ樹脂を用いた場合には、地汚れが発生しており、実施例7、実施例8の結果より、アセタール化度が80%以上の場合には、地汚れが殆ど発生していないことが判る。
これは、先に述べたように、アセタール化度の高いバインダ樹脂を用いる程、染料との相溶性が増し、染料のブリードや析出を抑制することができるためと思われる。
実施例5、実施例8、比較例2、比較例3の結果より、アゾ系染料の添加量は、バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率で、117以上234以下の範囲が好ましいことが判る。
すなわち、比較例2より、234より多い場合には、地汚れが発生し、比較例3より、117未満の場合には、十分な発色濃度が得られないことが判る。
また、実施例8、比較例4、比較例5の結果より、アントラキノン系A染料の添加量は、バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率で、114以上570以下の範囲が好ましいことが判る。
すなわち、比較例4より、570よりも多い場合には、地汚れが発生し、比較例5より、114未満の場合には、十分な発色濃度が得られないことが判る。
また、実施例6、実施例8、比較例6、比較例7の結果から、アントラキノン系B染料の添加量は、バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率で、29以上145以下の範囲であることが判る。
すなわち、比較例6より、145よりも多い場合には、地汚れが発生し、比較例7より、29未満の場合には、十分な発色濃度が得られないことが判る。
さらに、比較例8〜比較例10より、有機溶剤に対する溶解性が2.0%未満である染料を用いた場合には、十分な発色濃度も得られず、地汚れも発生してしまうことが判る。
以上の結果より、本発明の昇華性熱転写記録媒体を用いることにより、印画時の搬送性も良好で、印画画像においても高い発色濃度(階調)を有し、地汚れを抑制することができるということが判った。
本発明の昇華性熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに適用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、高濃度での印画を可能にしながら地汚れを抑制できるため、身分証明書等のカード類、アミューズメント用出力物、企業配布広告等に広く利用することができる。
10 ・・・ 昇華性熱転写記録媒体
11 ・・・ 基材
12 ・・・ インク層
C ・・・ シアン
M ・・・ マゼンタ
Y ・・・ イエロー
Bk ・・・ ブラック
13 ・・・ 保護層
14 ・・・ バックコート層
20 ・・・ 従来の昇華性熱転写記録媒体
21 ・・・ 染料
30 ・・・ 印画物
31 ・・・ 印画部
32 ・・・ 地汚れ

Claims (7)

  1. 基材の片面に、色素を含むインク層が少なくとも1つ以上設けられた昇華性熱転写記録媒体であって、
    前記インク層が、色素とバインダ樹脂とを含み、
    前記色素が、少なくともアゾ系、アントラキノン系A、アントラキノン系Bの3種類の染料からなり、
    前記バインダ樹脂が、アセタール化度が70%以上であるポリビニルアセタール樹脂からなり、
    前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アゾ系染料のmol比率が、117以上234以下であり、
    前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系A染料のmol比率が、114以上570以下であり、
    前記前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系B染料のmol比率が、29以上145以下であることを特徴とする昇華性熱転写記録媒体。
  2. 前記色素の有機溶剤に対する溶解性が、2.0質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の昇華性熱転写記録媒体。
  3. 前記有機溶剤が、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンの混合溶剤からなり、その質量比率が、概ね38:57:5であることを特徴とする請求項2に記載の昇華性熱転写記録媒体。
  4. 前記バインダ樹脂が、アセタール化度が80%以上であるポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の昇華性熱転写記録媒体。
  5. 前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アゾ系染料のmol比率が、152以上234以下であることを特徴とする請求項4に記載の昇華性熱転写記録媒体。
  6. 前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系A染料のmol比率が、342以上570以下であることを特徴とする請求項4に記載の昇華性熱転写記録媒体。
  7. 前記バインダ樹脂のアセタール成分に対する前記アントラキノン系B染料のmol比率が、73以上145以下であることを特徴とする請求項4に記載の昇華性熱転写記録媒体。
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