JP2019217080A - 不織布ワイパーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで不織布を構成する素材としては、合成繊維やパルプ等の天然繊維を採用したものが知られているが、吸液性を考慮するような場合にはパルプ繊維ウエブを含むものが好ましいことが知られている。
また、例えば特許文献1で開示されるように不織布にエンボス処理を施し、凹凸部を備えた不織布に加工すると拭取り性が向上することも知られている。よって、このような凹凸部を備えるパルプ繊維ウエブと合成繊維ウエブとによる複合型の不織布ワイパーは、強度に優れ更には拭取り性が向上した製品として提供することができる。
また、前記ドットパターンは、円形状、楕円形状、多角形状、星形状、扇形状およびクロス形状の群から少なくとも1つ選択された前記ドット要素に基づいて形成することができる。
そして、前記環形状パターンは互いに離間して配置されているものとしてもよい。
また、前記環形状パターンは互いに接触して配置されているものとしてもよい。
なお、前記環形状パターンの外形形状は、円形状、楕円形状、多角形状、星形状、扇形状およびクロス形状の群から少なくとも1つ選択することができる。
図1は本発明を理解し易くするために示した図であり、図1(a)は本発明の不織布ワイパーの特徴的な構成とエンボス処理に用いるロールのセットについて示している図である。一方、図1(b)と図1(c)とは、比較のため、先に指摘したマッチドスチールとチップツーチップとによるエンボス処理の場合について示した図である。
エンボス装置EAは、パルプ繊維ウエブPFWに接触する上側のエンボスロールa1と下側のプレーンロールa2とを備えている。エンボスロールa1の外周面にはパルプ繊維ウエブPFWに形成する凹凸部パターンが刻設してある。一方、プレーンロールa2は外周面が平坦に形成されている。
下側に位置している合成繊維ウエブSWの表面(不織布ワイパーEWPの裏側)は、プレーンロールa2に接するので平坦状となる。
上記エンボス装置EAにおけるウエブ搬送速度、ウエブの目付(坪量)などを考慮し、線圧や加熱温度を適宜に調整することにより、パルプ繊維ウエブPFW上に凹凸部パターンを確実に形成する。
本発明に係る不織布ワイパーEWPでは、図1(a)に示すように、片面エンボス処理が採用されているので不織布へのダメージを低減できるので強度低下やリント発生を抑制できる。
以下では、好ましい凹凸部パターンの条件について詳細に説明する。
図2で、(a)はドット要素DTを四角形状(多角形状)として点在配置した場合、(b)はドット要素DTを円形状として点在配置した場合について例示している。ドット要素DTとして採用できる形状は、例えば円形状、楕円形状、多角形状、星形状、扇形状、クロス形状などから成る群から少なくとも1つ選択することができる。なお、クロス形状とは直線あるいは曲線が互いに交差するようにして形成した図形であり、例えば直線を直交させた十字架形状が代表的な図形となる。図2(a)、(b)はドット要素を1種類のドットで構成した場合を示すが、2種類以上(例えば、四角形のドットと円形状のドット)によってドット要素を構成し、これによりドットパターン(凹凸部パターン)を形成してもよい。
また、環形状パターンにより凹凸部パターンを設計する場合、図3(a)の様に環形状要素(リング形状)が互いに離間して配置されるパターンとしてもよいし、図3(b)の様に環形状要素(六角形状)が互いに接触して配置されるパターンとしてもよい。
そして、図3で例示している環形状パターンの場合の押込み面積率(線の部分による押込み面積/パルプ繊維ウエブの面積)を10〜33%とするのが好ましい。より好ましくは18〜25%とする。環形状パターンにより凹凸部パターンを形成した場合に、この様な条件で設定すれば、前述した強度低下とリント発生を抑制して、拭取り性の優れた不織布ワイパーとすることができる。
なお、先に説明したドットパターンを採用した場合と比較して、環形状パターンにより凹凸部パターンを形成した場合の方が押込み面積率を相対的に高くすることができる。環形状パターンの方が、エンボス処理した際のダメージが低いという形状効果があると予想される。
このようにドットパターンと環形状パターンとの複合パターンにより、凹凸部パターンを設計してもよい。
図4に示すような複合パターンの場合、前述した押込み面積率(ドット及び線の部分による押込み面積/パルプ繊維ウエブの面積)は5〜17%とするのが好ましい。
ウエブの搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡処理を行うためのウォータジェットを噴射する水流交絡装置5、サクション装置6、乾燥装置7が配置されている。上記乾燥装置7の下流には連続して製造される不織布ワイパーWPを巻き取るための巻取装置8が更に設けてある。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記パルプ繊維ウエブPFWに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
なお、図5では、エアレイドホッパ23とサクション装置本体41とを1つずつ一段での配置として、パルプ繊維ウエブPFWを形成する場合を例示している。しかし、これに限らず、上記パルプ繊維ウエブPFWの目付(坪量)や製造速度に応じて、上記エアレイドホッパ23とサクション装置本体41を2つ以上の多段とする配置に変更してもよい。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んでスパンボンドウエブSW上でのパルプ繊維ウエブPFWの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流交絡装置5の上流側に繊維飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウォータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、パルプ繊維ウエブPFWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
なお、図5では、上記のように水流交絡装置5前にプレウエット装置30を新たな装置として設ける場合を例示しているが、これに限らない。水流交絡装置5に含まれる後述するウォータジェットヘッド51とサクション装置52とからなるセットの複数について、先頭に位置するセットを上記プレウエット装置30として流用するような設計変更をしてもよい。この場合には先頭のウォータジェットヘッド51から低圧のウォータミストが噴霧されるように調整すればよい。
水流交絡処理を行うのに十分な、ウォータジェットヘッド51とサクション装置52とのセット数が確保されている水流交絡装置5の場合、上記のように先頭のウォータジェットヘッド51とサクション装置52をプレウエット装置として活用することは、装置設備コストの抑制に効果的である。
図5で例示的に示している水流交絡装置5は、搬送方向TDに沿って多段(図5では例示しているのは4段)にウォータジェットヘッド51が配置されている。
なお、図5では、搬送方向TDに対して直角な方向(ウエブの幅方向WD)において延在しているウォータジェットヘッド51に設けたノズルの様子は図示していないが、幅方向において複数のウォータジェットノズルが適宜の位置に配置してある。
化が促進される。
よって、搬送ワイヤ55上を搬送される予備的積層体PWebは、搬送方向TDで下流に向かう程に、より多くの水流交絡処理を受けることになり、水流交絡装置5を出るときには上側のパルプ繊維ウエブPFW層と下側のスパンボンドウエブSW層との十分な交絡処理が実現される。
水流交絡装置5を出た直後の不織布にあっては、ウエット状態にあり、パルプ繊維同士などの結合は十分に確立されてはいない。
サクション装置6は、例えばバキューム式で水流交絡後の不織布を脱水する。乾燥装置7は非圧縮型のドライヤ、好適にエアスルードライヤを採用することが好ましい。図5で、エアスルードライヤの回転可能なドライヤ本体71は筒状体であり、その周表面には多数の貫通孔が設けてあり、図示しない熱源で加熱された熱風がドライヤ本体の外周から中心部側に向かって吸い込む構成とするのがよい。
このように連続的に製造される複合型の不織布ワイパーWPは巻取装置8のローラ81に巻取られて一連の工程が完了する。
ここで、図1(a)左側に示したエンボス装置EAを、不織布ワイパーWPに適用すれば、本発明に係る不織布ワイパーEWPを製造することができる。図5の不織布ワイパー製造装置にオンラインで付加する場合は、図示したように、乾燥装置7と巻取装置8との間にエンボス装置EAを付加すればよい。このように不織布ワイパー製造装置に一体的にエンボス装置EAを設けるのが好ましいが、いったん不織布ワイパーWPをローラ81に巻き取り、別に設けたエンボス装置EAでオフラインによりエンボス処理するようにしてもよい。
図1(a)右側に示した本発明に係る不織布ワイパーEWP、即ちパルプ繊維ウエブPFWと合成繊維ウエブSWとが一体に積層され、パルプ繊維ウエブPFW側に片面エンボス処理によって凹凸部パターンPAが形成して不織布ワイパーを製造し、凹凸部パターンを、ドット要素で形成するドットパターンとした場合と、中抜き環形状要素で形成する環形状パターンとした場合とについて評価した。
ここでの評価では、前述した押込み面積率を順次に変更して、不織布ワイパーEWPの強度(低下率)、湿潤テーバ値(低下率)そして拭取り性について確認した。
1)強度:引張強度をJIS P8113に従い測定し、エンボス処理をしない場合を基準として、値の低下率%を求めた。
2)湿潤(Wet)テーバ値:JIS L 1096に規定されたテーバ試験機を用いて、回転する水平円盤に水で湿潤させた試料を取り付けて、砥粒結合体で成形された一対の摩擦輪(H−18)を規定荷重(4.9N)のもとに加えて、耐摩耗性を調べた。これによりワイパー使用中の交絡繊維の脱落の程度を確認した。判定は、摩耗によるシートの穴が13mmとなるまでの円盤の回転数で判定した。エンボス処理をしない場合を基準として、値の低下率%を求めた。低下率は、いずれも0〜5%以下を◎、5%〜15%以下を○、15%より大を×とした。
3)拭取り性:モニターテスト10名により官能評価し、○:良い △:やや悪い ×:悪いとした。
全ての評価が〇以上であるものを総合評価で〇とし、不織布ワイパー製品として適している判断し、他は不可×とした。
上記の結果について、まとめて示したのが下記(表1)である。
また、凹凸部パターンとして中抜き環形状による環形状パターンを採用した場合、押込み面積率が10%のときに総合評価は◎であった。また押込み面積率が32.5%のときに総合評価は〇であるが、その近似値33%の場合も総合評価〇となることが容易に推測できる。
特に、凹凸パターンに採用するパターン形状(ドット、中抜き環形状)とその押込み面積率とについて所定条件を満たすようにエンボス処理を施したものは、より確実に強度低下やリント発生を抑制できる織布ワイパーとして提供できる。
本発明の製造方法によると、不織布ワイパーを確実に製造できる。
2 エアレイド装置
3 スパンボンドウエブ(合成繊維ウエブ)供給装置
4 サクション装置
5 水流交絡装置
6 サクション装置
7 乾燥装置
8 巻取装置
EA エンボス装置
PF パルプ繊維
PFW パルプ繊維ウエブ
PWeb 予備的積層体
SW 合成繊維ウエブ(スパンボンドウエブ)
WP 不織布ワイパー
EWP 本発明に係る不織布ワイパー(エンボス処理された不織布ワイパー)
PA 凹凸部パターン
DT ドット要素
ER 中抜き環形状要素
a1 エンボスロール
a2 プレーンロール
Claims (10)
- 拭取り面となるパルプ繊維ウエブと、前記拭取り面の裏打ち面となる合成繊維ウエブとを積層して一体化してあると共に、エンボス処理による凹凸部パターンが形成してある不織布ワイパーであって、
前記凹凸部パターンは、前記パルプ繊維ウエブ側に片面エンボス処理を施すことにより形成したものである、ことを特徴とする不織布ワイパー。 - 前記凹凸部パターンは、ドット要素を点在させることにより形成したドットパターンであり、前記ドット要素による押込み面積率が5〜17%である、ことを特徴とする請求項1に記載の不織布ワイパー。
- 前記ドットパターンは、円形状、楕円形状、多角形状、星形状、扇形状およびクロス形状の群から少なくとも1つ選択された前記ドット要素に基づいて形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の不織布ワイパー。
- 前記凹凸部パターンは、中抜き環形状要素を点在させることにより形成した環形状パターンであり、前記中抜き環形状要素を確定している線の線幅が0.5mm〜2.0mmであり、前記線による押込み面積率が10〜33%である、ことを特徴とする請求項1に記載の不織布ワイパー。
- 前記環形状パターンは互いに離間して配置されている、ことを特徴とする請求項4に記載の不織布ワイパー。
- 前記環形状パターンは互いに接触して配置されている、ことを特徴とする請求項4に記載の不織布ワイパー。
- 前記環形状パターンの外形形状は、円形状、楕円形状、多角形状、星形状、扇形状およびクロス形状の群から少なくとも1つ選択される、ことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の不織布ワイパー。
- 前記凹凸部パターンは、ドット要素を点在させることにより形成したドットパターンと、中抜き環形状要素を点在させることにより形成した環形状パターンとを含んだ複合パターンとして形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の不織布ワイパー。
- 拭取り面となるパルプ繊維ウエブと、前記拭取り面の裏打ち面となる合成繊維ウエブとを積層して一体化してあると共に、エンボス処理による凹凸部パターンが形成されている不織布ワイパーを製造する方法であって、
前記凹凸部パターンが周表面に刻設されているエンボスロールと、周表面が平坦なプレーンロールとを含み加圧接触されているエンボス処理装置とを用い、前記パルプ繊維ウエブ側を前記エンボスロールに接触させて前記不織布ワイパーを製造する、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造する方法。 - 前記凹凸部パターンが、ドット要素を点在させることにより形成したドットパターン又は中抜き環形状要素を点在させることにより形成した環形状パターンである、ことを特徴とする請求項9に記載の不織布ワイパーの製造する方法。
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