JP2019215227A - 超音波探傷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、事前準備の手間や時間を低減できる超音波探傷方法を提供する。【解決手段】本発明の超音波探傷方法は、断面において加工前よりも扁平に加工された状態の被検査物WKにおける短辺の側面SSから超音波探傷するように、超音波探傷探触子PbをセットするA工程と、前記A工程でセットした状態で超音波探傷を実行するB工程とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、超音波探傷装置に用いて被検査物の欠陥を超音波で検出する超音波探傷方法に関する。
従来、被検査物における例えば傷、亀裂、接合不良および介在物等の欠陥を非破壊で検査する際に、超音波探傷装置が利用されている。特に、鉄鋼業において、超音波探傷装置は、製造ラインでの品質管理に用いられている。この超音波探傷装置は、被検査物へ第1超音波を送信し、前記送信した第1超音波に基づいて前記被検査物から来た第2超音波を受信する超音波探傷用探触子(超音波探傷用プローブ)を備え、前記受信した第2超音波を解析することで、前記欠陥の有無、その位置およびその大きさ(サイズ)等を検出する。
例えば、非特許文献1には、具体的な手法が開示されており、50〜125MHzの高い周波数で超音波探傷することによって20μm以上の鋼中介在部を検出できることが開示されている。
加藤恵之他、「高周波超音波探傷による鋼中介在物の評価技術の開発」、Sanyo Technical Report Vol.7 (2000) No.1
ところで、このような超音波探傷では、通常、事前に被検査物が熱処理され、表面を平坦に研磨する等の事前準備が必要になる。この事前準備で適切に熱処理することで結晶粒を適切な状態に整え、組織ノイズを低減することが可能となる。このように熱処理や表面研磨等の事前準備に手間や時間がかかり、連続的にかつ自動的に被検査物を検査することが難しく、多くの被検査物を検査することも難しい。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、事前準備の手間や時間を低減できる超音波探傷方法を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる超音波探傷方法は、断面において加工前よりも扁平に加工された状態の被検査物における短辺の側面から超音波探傷するように、超音波探傷探触子をセットするA工程と、前記A工程でセットした状態で超音波探傷を実行するB工程とを備える。好ましくは、上述の超音波探傷方法において、前記被検査物を、ローラを用いる冷間圧延法、または、矩形断面の伸線用ダイスを用いるダイス伸線法によって、断面において加工前よりも扁平に前記被検査物を加工する工程をさらに備える。
超音波探傷方法では、通常、超音波は、欠陥だけで反射するわけではなく、結晶粒界でも反射する。この結晶粒界による反射超音波は、欠陥による反射超音波に対して、いわゆる組織ノイズや林状ノイズと呼ばれるノイズとなる。上記超音波探傷方法では、被検査物は、断面において加工前よりも扁平に加工されている。このため、被検査物中の結晶粒も扁平となり、被検査物中の前記結晶粒は、長辺方向に沿って配向していると考えられる。特に、ローラを用いる冷間圧延や、矩形断面の伸線用ダイスを用いるダイス伸線法では、結晶粒は、長軸方法(長辺方向)に配向する特性を持つ。したがって、扁平形状の被検査物における短辺の側面から超音波を入射した方が、その長辺の側面から超音波を入射する場合より前記ノイズが低減すると考えられる。上記超音波探傷方法は、前記短辺の側面から超音波を入射するので、前記ノイズを低減でき、上述の熱処理や表面研磨等の事前準備を実施しなくても超音波探傷できる。したがって、上記超音波探傷方法は、事前準備が必要なく、前記事前準備の手間や時間を低減できる。この結果、上記超音波探傷方法は、製造ラインで連続的かつ自動的に被検査物を検査でき、より多くの被検査物を検査できる。
他の一態様では、上述の超音波探傷方法において、前記被検査物の断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比が2以上となるように(長辺の長さ/短辺の長さ≧2)、前記被検査物を加工するC工程をさらに備える。好ましくは、上述の超音波探傷方法において、前記C工程は、前記被検査物の断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比が2.3以上となるように(長辺の長さ/短辺の長さ≧2.3)、前記被検査物を加工する。
このような超音波探傷方法は、前記被検査物の断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比が2以上であるので、結晶粒を充分な扁平組織で配向でき、前記ノイズを低減できる。
他の一態様では、上述の超音波探傷方法において、前記A工程は、高周波垂直法で前記超音波探傷探触子をセットする。
上述したように扁平な結晶粒が長辺方向に沿って配向していると考えられる。上記超音波探傷方法は、高周波垂直法(垂直探傷法)を用いるので、適切な音響レンズを用いて適切な距離から入射することで、被検査物中に高精度に超音波を集束させることができ、被検査物中の欠陥からの反射超音波を得ることができる。
他の一態様では、上述の超音波探傷方法において、前記短辺に沿った短辺方向において、被検査物中における超音波の波長の3倍以上の長さで平坦となるように、前記短辺の側面を加工するD工程をさらに備える。
このような超音波探傷方法は、前記短辺に沿った短辺方向において、被検査物中における超音波の波長の3倍以上の長さで平坦面を持つので、高周波垂直法をより容易に実現できる。
本発明にかかる超音波探傷方法は、事前準備の手間や時間を低減できる。
実施形態における超音波探傷方法を用いるダイス伸線装置の概略構成を示す図である。 前記ダイス伸線装置における第1ないし第7パス後の鋼線断面を説明するため図である。 本実施形態における超音波探傷方法を説明するための図である。 一例として、鋼線を扁平加工後におけるサンプルおよびその探傷結果を説明するための図である。 一例として、扁平加工前の円形断面の鋼線におけるサンプルおよびその探傷結果を説明するための図である。 実施形態における超音波探傷方法の作用効果を説明するための図である。 欠陥を含むサンプルに対する一実施例の超音波探傷の結果を示す図である。 変形形態を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における超音波探傷方法を用いるダイス伸線装置の概略構成を示す図である。図2は、前記ダイス伸線装置における第1ないし第7パス後の鋼線断面を説明するため図である。図2Aないし図2Gの各図は、鋼線の研磨後における断面の顕微鏡写真であり、図2Aは、第1パス後(第1伸線用ダイス#1による伸線後)を示し、図2Bは、第2パス後(第2伸線用ダイス#2による伸線後)を示し、図2Cは、第3パス後(第3伸線用ダイス#3による伸線後)を示し、図2Dは、第4パス後(第4伸線用ダイス#4による伸線後)を示し、図2Eは、第5パス後(第5伸線用ダイス#5による伸線後)を示し、図2Fは、第6パス後(第6伸線用ダイス#6による伸線後)を示し、図2Gは、第7パス後(第7伸線用ダイス#7による伸線後)を示す。図3は、本実施形態における超音波探傷方法を説明するための図である。
本実施形態における超音波探傷方法は、例えば、ローラを用いる冷間圧延法、または、矩形断面の伸線用ダイスを用いるダイス伸線法によって、断面において加工前よりも扁平に加工された状態であって線状の被検査物WKを、製造ラインで超音波探傷装置を用いて探傷検査する方法である。ここでは、鋼線をダイス伸線法によって扁平に伸線加工する場合について説明するが、鋼線を冷間圧延法によって扁平に圧延加工する場合についても同様に説明できる。また、被検査物は、鋼線に限定されるものではなく、他の金属(合金を含む)であって良い。
ダイス伸線法による伸線加工装置Sは、複数の伸線用ダイスDS(DS−1〜DS−7)と、複数対の駆動ローラRL(RL−1〜RL−7)とを備える。
複数の伸線用ダイスDSは、それぞれ、所定の間隔を空けて基台BSの平坦面上に配設されている。本実施形態では、7回のパスで線引きにより、断面円形の鋼線WKを、断面扁平な形状の鋼線WKに加工するために、複数の伸線用ダイスDSは、7個の第1ないし第7伸線用ダイスDS−1(#1)〜DS−7(#7)を備える。これら第1ないし第7伸線用ダイスDS−1(#1)〜DS−7(#7)は、それぞれ、所定の間隔を空けてこの順で基台BSに配設されており、表1に示すように、上流側から下流側に向かって徐々に(パス順に徐々に)、ダイスの開口断面が円形形状から扁平形状になるように、かつ、サイズ(断面積)が小さくなるように、形成されている。これら第1ないし第7伸線用ダイスDS−1(#1)〜DS−7(#7)の諸元は、一例では、表1の通りである。
Figure 2019215227
複数対の駆動ローラRLは、それぞれ、一対のローラを備え、これら一対のローラで鋼線WKを狭持し、これら一対のローラが回転することで、鋼線WKを線引きする装置である。本実施形態では、複数対の駆動ローラRLは、複数の伸線用ダイスDSに応じた個数であり、複数の伸線用ダイスDSそれぞれの各後段に配設されている。図1に示す例では、複数対の駆動ローラRLは、7個の対の第1ないし第7駆動ローラRL−1〜RL−7を備える。これら第1ないし第7駆動ローラRL−1〜RL−7それぞれは、第1ないし第7伸線用ダイスDS−1〜DS−7それぞれの各後段(各下流側)に配設されている。なお、伸線用ダイスDSの個数は、7個に限定されず、任意であって良く、1対の駆動ローラRLの個数も、7個に限定されず、任意であって良い。1対の駆動ローラRLの個数は、伸線用ダイスDSの個数と同数であっても、異なっても良い。
なお、図1では、第2ないし第6伸線用ダイスDS−2(#2)〜DS−6(#6)および1対の第2ないし第6駆動ローラRL−2〜RL−6の図示が省略されている。
このような構成の伸線加工装置Sでは、加工対象の鋼線WKを巻回した巻出しリール(不図示)より、鋼線WKが巻出され、第1伸線用ダイスDS−1(#1)に挿通され、1対の第1駆動ローラRL−1を介して次パス(次段)の第2伸線用ダイスDS−2(#2)に挿通され、1対の第2駆動ローラRL−1を介して次パス(次段)の第3伸線用ダイスDS−3(#3)に挿通される。以後、同様に、順次に、前段の1対の駆動ローラRLを介して次段の伸線用ダイスDSに挿通され、最後に、1対の第7駆動ローラRL−7を介して加工後の鋼線WKが引き出される。鋼線WKは、例えば図2Aないし図2Gに示すように、第1ないし第7伸線用ダイスDS−1(#1)〜DS−7(#7)を通過するごとに、各伸線用ダイスDS−1(#1)〜DS−7(#7)によって、断面が円形形状から扁平形状になるように、かつ、サイズ(断面積)が小さくなるように、加工される。そして、加工後の鋼線WKは、巻取りリール(不図示)に巻き取られる。
そして、本実施形態では、このような加工後、最終ダイスDS−7(#7)と駆動ローラRL−7の間における所定の位置PSで、一般的に用いられる公知の超音波探傷装置によって加工後の鋼線WKが超音波探傷される。一般にダイス伸線されている被検査材(本実施形態では鋼線WK)は、多少なりとも振動または回転している。超音波探傷では被検査材と超音波探傷探触子PBの相対位置が変化することは、望ましくなく、被検査材の振動や回転は、相対位置を変動させる原因となる。最終ダイスDS−7と駆動ローラRL−7との間では、被検査材の鋼線WKに大きな張力が働いており、この工程内でもっとも振動が少なく、超音波探傷には最適な場所になる。
より具体的には、本実施形態では、図3に示すように、まず、断面において加工前よりも扁平に加工された状態の被検査物WK(本実施形態では鋼線WK)における短辺の側面SSから超音波探傷するように、高周波の超音波探傷探触子Pbが垂直探傷法の配置で被検査物の鋼線WKの表面から適切な距離を隔ててセットされる。
一例では、高周波の超音波探触子PBは、その軸が被検査材の線WKにおける短辺の側面SSに常に垂直方向になり、かつ、その表面から一定の距離になるように、被検査材の鋼線WKに自動追従する倣い機構にて保持されている。より具体的には、被検査材の鋼線WKにおける短辺の側面SSにバネ機構にて押し当てて常に被検査材の鋼線WKと摺動接触しているテフロン(登録商標)等の動摩擦係数の小さい材料で構成された滑り面を有した接触部材と、この接触部材と同じに追従稼働して被検査材の鋼線WKに垂直を維持しながら一定距離を保つ自動倣い機構にて超音波探触子Pbは、保持されている。
超音波探傷探触子(超音波探傷プローブ)Pbは、超音波探傷本体(不図示)にケーブルを介して接続され、被検査物WKに対し超音波を接触触媒WCを介して入出力する超音波探傷探触子本体11と、超音波探傷探触子本体11の先端に装着され、前記接触触媒WCを、超音波探傷探触子本体11と被検査物WKとの間で柱状に形成する略円筒形状のノズル12とを備える。接触触媒WCは、適宜に選択されて良く、本実施形態では、例えば水である。前記超音波探傷本体は、超音波探傷探触子Pbと前記ケーブルを介して接続され、超音波探傷探触子Pbへ前記ケーブルを介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探傷探触子Pbに被検査物WKに対して第1超音波信号(送信超音波信号)を送信させると共に、超音波探傷探触子Pbで受信された被検査物WKから来た第2超音波信号(受信超音波信号)に応じて超音波探傷探触子Pbで生成された電気信号の受信信号に基づいて被検査物WKの欠陥を超音波画像として画像化する装置である。
高周波垂直法(垂直探傷法)は、被検査物WKの探傷面(本実施形態では短辺の側面SS)に対し垂直に超音波を入射させる方法である。
そして、この超音波探傷探触子Pbをセットしたセット状態で、ノズル12を用いて接触触媒WCの水を流しながら超音波探傷が実行される。このような超音波探傷方法による超音波探傷の結果が一例として図4に示されている。
図4は、一例として、鋼線を扁平加工後におけるサンプルおよびその探傷結果を説明するための図である。図4Aは、断面扁平な第1鋼線WK−1における長辺の側面から超音波探傷した結果を示し、図4Bは、前記第1鋼線WK−1における短辺の側面から超音波探傷した結果を示し、図4Cは、前記第1鋼線WK−1から切り出される第1サンプルSP−1を説明するための図であり、図4Dは、超音波探傷するために、前記第1サンプルSP−1に対して入射される超音波の入射方向(探傷方向)を説明するための図である。図5は、一例として、扁平加工前の円形断面の鋼線におけるサンプルおよびその探傷結果を説明するための図である。図5Aは、前記断面扁平な第1鋼線WK−1に加工する前の断面が円形な第2鋼線WK−2における互いに直交する2面のうちの一方面から超音波探傷した結果を示し、図5Bは、前記2面のうちの他方面から超音波探傷した結果を示し、図5Cは、前記第2鋼線WK−2から切り出される第2サンプルSP−2を説明するための図であり、図5Dは、超音波探傷するために、前記第2サンプルSP−2に対して入射される超音波の入射方向(探傷方向)を説明するための図である。図6は、実施形態における超音波探傷方法の作用効果を説明するための図である。図6Aは、本実施形態のように、扁平な被検査物における短辺の側面から高周波垂直法(垂直探傷法)で超音波探傷する場合を示し、図6Bは、対比として、扁平な被検査物における長辺の側面から高周波垂直法(垂直探傷法)で超音波探傷する場合を示す。図7は、欠陥を含むサンプルに対する一実施例の超音波探傷の結果を示す図である。図7Aは、1mm×1mmの範囲での超音波探傷の結果を示し、図7Bは、欠陥が存在する箇所での受信信号の信号波形を示す。図7Bの横軸は、入射面からの距離(深さ)であり、その縦軸は、受信信号の信号レベル(受信強度)である。
扁平加工による変化を説明するために、まず、扁平加工前の断面円形な鋼線WKについて試験が実施された。一例として、図5Cに示すように、扁平加工前における直径φ5.5mmの断面円形な第2鋼線WK−2から、2.5mm×2.5mmの直方体の第2サンプルSP−2が切り出され、各面が研磨され、表面凹凸の影響が排除されている。そして、図5Dに示すように、この第2サンプルSP−2に対し、一方の第1B側面SF−1BをXY平面とするとともに前記第1B側面SF−1Bに直交する他方の第2B側面SF−2BをZX平面とするXYZ直交座標系を設定した場合に、第2サンプルSP−2の第1B側面SF−1Bに、Z方向DR1から垂直探傷法で超音波探傷が実施され、その結果が図5Aに示され、そして、第2サンプルSP−2の第2B側面SF−2Bに、Y方向DR2から垂直探傷法で超音波探傷が実施され、その結果が図5Bに示されている。なお、図4Aおよび図4Bならびに図5Aおよび図5Bでは、基準とする人工欠陥である直径50μmの平底穴からのエコーレベル(反射波強度)が80%となるように感度調整された超音波探傷装置において20%以下の信号レベルの信号は、カットされ、表示されていない。図5Aおよび図5Bそれぞれに示す超音波探傷の各結果を相互に比較すると分かるように、これら前記各結果は、大差なく、略同等であり、したがって、第2鋼線WK−2の結晶粒は、全体として等方的であり、このため、周方向のいずれの方向から垂直探傷法で超音波探傷が実施されても、いわゆる組織ノイズは、大差なく、略同等である。
次に、このような断面円形の鋼線を扁平に加工した断面扁平な鋼線について試験が実施された。この試験に当たって、まず、被検査物としての鋼線WKの断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比が2以上となるように(長辺の長さ/短辺の長さ≧2)、一例では前記比が2.3以上となるように(長辺の長さ/短辺の長さ≧2.3)、前記鋼線WKが加工され、長辺約6mmであって短辺約2.6mmの断面扁平な第1鋼線WK−1が作成された(6/2.6=約2.3)。この第1鋼線WK−1から、図4Cに示すように、2.5mm×3.0mmの直方体の第1サンプルSP−1が切り出され、各面が研磨され、表面凹凸の影響が排除されている。そして、図4Dに示すように、この第1サンプルSP−1に対し、直方体に切り出される前に長辺の側面であった第1A側面SF−1AをXY平面とするとともに短辺の側面であった第2A側面SF−2AをZX平面とするXYZ直交座標系を設定した場合に、第1サンプルSP−1の第1A側面に、Z方向DR1から垂直探傷法で超音波探傷が実施され、その結果が図4Aに示され、そして、第1サンプルSP−1の第2A側面SF−2Aに、Y方向DR2から垂直探傷法で超音波探傷が実施され、その結果が図4Bに示されている。図4Aから分かるように、断面扁平な第1鋼線WK−1に対し、長辺の側面(第1A側面SF−1Aに相当)から垂直探傷法で超音波探傷すると、いわゆる組織ノイズが高いが、図4Bから分かるように、断面扁平な第1鋼線WK−1に対し、短辺の側面(第2A側面SF−2Aに相当)から垂直探傷法で超音波探傷すると、このような組織ノイズが低減できている。また、図4Bに示す超音波探傷の結果と図5Aおよび図5Bに示す超音波探傷の各結果とを比較すると、図4Bに示す超音波探傷の結果における組織ノイズは、図5Aおよび図5Bに示す超音波探傷の各結果における組織ノイズの1/2以下に低減している。
模式図で説明すると、断面円形の鋼線WKを扁平に加工すると、図6Aおよび図6Bに模式的に示すように、鋼線WK内の結晶粒CGは、扁平に変形し、結晶粒CGにおける長辺の側面(結晶粒長辺側面)が鋼線WKにおける長辺の側面(鋼線長辺側面)に平行となるように、扁平な形状が揃って配向すると考えられる。特に、ローラを用いる冷間圧延や、矩形断面の伸線用ダイスを用いるダイス伸線法では、結晶粒CGは、長軸方法(長辺方向)に配向する特性を持つ。この結果、図6Bに示すように、鋼線WKにおける長辺の側面から結晶粒CGを見ると、相対的にサイズ(超音波の入射方向を法線に持つ面の断面積)が大きく見える一方、図6Aに示すように、鋼線WKにおける短辺の側面から結晶粒CGを見ると、相対的にサイズが小さく見える。したがって、上述の図4に示すように、鋼線WKにおける長辺の側面から超音波探傷すると、いわゆる組織ノイズが高くなる一方、鋼線WKにおける短辺の側面から超音波探傷すると、このような組織ノイズが低減できる。特に、図4に示す例では、被検査物としての鋼線WKの断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比が2以上であるので、結晶粒を充分な扁平組織で配向でき、前記組織ノイズが低減できる。
このため、図6に示すように、鋼線WK内に介在物Obが存在した場合、鋼線WKにおける長辺の側面から超音波探傷探触子Pbで垂直探傷法で超音波探傷すると、いわゆる組織ノイズが高いため、前記介在物Obが検出され難いが、鋼線WKにおける短辺の側面から超音波探傷探触子Pbで垂直探傷法で超音波探傷すると、いわゆる組織ノイズが低減できるため、前記介在物Obが検出し易くなる。
一実施例のサンプルに対し、その短辺の側面から超音波探傷探触子Pbで垂直探傷法で超音波探傷した結果が図7に示されており、図7Aには、介在物Obの像が良好に見て取れる。このサンプルを研磨し顕微鏡観察すると、図7Aに示す介在物Obの像の位置で介在物Obの存在が確認できた。なお、図7Aの画像を作成する際の一例として、図7Bには、超音波探傷探触子Pbの走査中における介在物Obを検出した位置での受信信号が示されており、図7Bの紙面左側のピークCHfは、超音波の入射面で反射された超音波による信号であり、図7Bの紙面右側のピークCHbは、前記入射面に対向する裏面で反射された超音波による信号であり、その間のピークCHsが介在物Obで反射された超音波による信号である。
また、他の一実施例では、直径φ5.5mm鋼線WKを30m/分で連続伸線しながら、点集束型の75MHzの超音波探傷探触子を用いて、50μm平底穴からのエコーが80%になる感度で、連続探傷が実施された。この場合の繰り返し周波数は、10kHzであり、前記点集束型の超音波探傷探触子の半値巾から算出した1パルス当たりの探傷領域から計算すると、1時間当たり約3.0kgの高速探傷が可能となった。
以上説明したように、超音波探傷方法では、通常、超音波は、欠陥だけで反射するわけではなく、結晶粒界でも反射する。この結晶粒界による反射超音波は、欠陥による反射超音波に対して、いわゆる組織ノイズや林状ノイズと呼ばれるノイズとなる。実施形態における超音波探傷方法では、被検査物WKは、断面において加工前よりも扁平に加工されている。このため、被検査物WK中の結晶粒CGも扁平となり、被検査物WK中の前記結晶粒CGは、長辺方向に沿って配向していると考えられる。したがって、扁平形状の被検査物WKにおける短辺の側面から超音波を入射した方が、その長辺の側面から超音波を入射する場合より前記ノイズが低減すると考えられる。上記超音波探傷方法は、前記短辺の側面から超音波を入射するので、前記ノイズを低減でき、上述の熱処理や表面研磨等の事前準備を実施しなくても超音波探傷できる。したがって、上記超音波探傷方法は、事前準備が必要なく、前記事前準備の手間や時間を低減できる。この結果、上記超音波探傷方法は、製造ラインで連続的かつ自動的に被検査物WKを検査でき、より多くの被検査物WKを検査できる。
上述したように扁平な結晶粒CGが長辺方向に沿って配向していると考えられる。上記超音波探傷方法は、高周波垂直法(垂直探傷法)を用いるので、適切な音響レンズを用いて適切な距離から入射することで、鋼中に高精度に超音波を集束させることができ、鋼中の欠陥からの反射超音波を得ることができる。
なお、上述の実施形態において、扁平加工後、超音波探傷前に、前記短辺に沿った短辺方向において、被検査物WK中における超音波の波長の3倍以上の長さで平坦となるように、前記短辺の側面SSが加工されても良い。
図8は、変形形態を説明するための図である。図8は、超音波探傷探触子の集音特性を示した一例であり、その横軸は、音軸の位置を基準0とした各位置であり、その縦軸は、S/Nである。図8での前記超音波探傷探触子は、最大周波数が75MHzであり、主要周波数が約50MHzであり、振動子径がφ3mmであり、焦点位置が12.7mmである。鋼中の波長は、約0.1mmである。図8に示すように、超音波探傷探触子の集音特性は、鋼中の波長、すなわち、被検査物WK中の波長の約3倍程度の拡がりを持つ。このため、被検査物WK中における超音波の波長の3倍以上の長さで平坦となるように、前記短辺の側面SSが加工されると、高周波垂直法(垂直探傷法)で超音波探傷探触子から射出された超音波は、ほとんど全て、この平坦面からより確実に入射できる。したがって、このような超音波探傷方法は、高周波垂直法をより容易に実現できる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
Pb 超音波探傷探触子
WK 被検査物
SS 短辺の側面
CG 結晶粒
Ob 介在物
S ダイス伸線装置
DS(DS−1〜DS−7) 伸線用ダイス
RL(RL−1〜RL−7) 一対の駆動ローラ
BS 基台

Claims (4)

  1. 断面において加工前よりも扁平に加工された状態の被検査物における短辺の側面から超音波探傷するように、超音波探傷探触子をセットするA工程と、
    前記A工程でセットした状態で超音波探傷を実行するB工程とを備える、
    超音波探傷方法。
  2. 前記被検査物の断面における短辺の長さに対する長辺の長さの比が2以上となるように、前記被検査物を加工するC工程をさらに備える、
    請求項1に記載の超音波探傷方法。
  3. 前記A工程は、高周波垂直法で前記超音波探傷探触子をセットする
    請求項1または請求項2に記載の超音波探傷方法。
  4. 前記短辺に沿った短辺方向において、被検査物中における超音波の波長の3倍以上の長さで平坦となるように、前記短辺の側面を加工するD工程をさらに備える、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超音波探傷方法。

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