JP5662640B2 - 鋼中介在物の検出評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼中介在物の検出評価方法に関し、特に、迅速な探傷を実現可能とし、√AREAが100μm級またはそれ以上のサイズのマクロ介在物の検出評価が可能な水浸超音波探傷による鋼中介在物の検出評価方法に関するものである。
鋼材中の介在物は、鋼材の使用中の不良原因となるものであり、特に、軸受用鋼、機械構造用鋼および同合金鋼などの鋼材においては金属疲労の原因になり易い。介在物は金属疲労の原因となる可能性があるため、製品を検査し、介在物の評価を行うことにより鋼材の清浄度等を明らかにしておく必要がある。特に、√AREAが100μm級またはそれ以上のサイズのマクロ介在物は、軸受製品などのアクシデンタルな短寿命(計算寿命未満で早期破損する寿命)に影響する。なお、√AREAとは、観察方向からみた場合の、一般には介在物の観察断面(特にL断面)における介在物の面積の平方根であって、検知された介在物の長辺をA、短辺をBとした場合において、√AREA=√(A×B)とするのが一般的である。ここで、短辺(B)方向は長辺(A)方向と直交するようにとる。√AREAとは、介在物を等価の長方形に見立てて平均径を求める方法である。
鋼材の介在物の評価方法としては、超音波を発信する探触子を用いて検査を行い、介在物を検出するいわゆる超音波探傷法による評価が、一般に行われている。超音波探傷法による評価は、特に、マクロ介在物の検出評価法として有効である。
マクロ介在物の検出に用いられる超音波ビームは、一般には点集束のビームが用いられる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、点集束とすることは、焦点近傍の音圧を高め、鋼中欠陥に対する検出能を向上せしめるのに有効な手段ではあるが、超音波ビーム径に応じて探触子の移動幅を細かく制御する必要があり、被検材探傷面の全面探傷をするにも、探傷速度を上げにくい。
そこで、探傷速度を上げるためにラインフォーカスを使用することが考えられる。ラインフォーカスを採用する従来の技術には、例えば、圧延金属板を挟んで対向配置したラインフォーカス超音波送信子および受信子を、ビームのライン方向が圧延方向に平行になるようにし、走査方向は圧延方向と直交する方向とする技術がある(例えば、特許文献2参照)。
特開平4-256852号公報 特開平11-51911号公報
特許文献2に記載の技術は、アレイ探触子による幾何フォーカスを意識している。幾何フォーカスとは、超音波発信子の振動子面(音響レンズ)に曲率をもたせて、超音波のフォーカス効果を得るフォーカス方式のことをいう。振動子面が一方向に対してのみ曲率を有していればラインフォーカス、球面になっていればポイントフォーカスをねらったものとなる。
また、特許文献2に記載のラインフォーカス超音波送信子および受信子は、リニアアレイプローブであることが好適とあるとされている。
しかしながら、特許文献2に記載のラインフォーカス超音波送信子および受信子は、幾何フォーカスを採用しているため、リニアアレイプローブの幾何フォーカスは、そもそも1つ1つのエレメントが狭幅であることに起因して、効果的な超音波ビームの集束効果を得ることができない。
さらに、特許文献2は、圧延金属板(実施例では厚さ2mm)の超音波探傷方法に言及したもので、この制約の範囲において、30μm程度以上の内部欠陥を検出できる旨が記載されている。しかしながら、出現頻度が例えば10kgに数個と極めて小さいマクロ介在物の検出評価のために、ビレットの切出材など厚みのある試験片で大体積探傷を行うことを想定する場合には、鋼中での超音波の減衰の問題もある。
これらの理由により、単純に特許文献2の方法を拡大応用するだけでは、ビレットなどの鋼材中の√AREAが100μm以上のサイズのマクロ介在物が検出できるとすることはできない。
また、幾何フォーカスでは、一つの振動子がもちうる曲率(フォーカス)の条件は1つのみとなるため、探触子ごとに用途が限定的となる短所がある。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、迅速な探傷を実現可能とし、√AREAが100μm級またはそれ以上のサイズのマクロ介在物の検出評価が可能な水浸超音波探傷による鋼中介在物検査を可能とする方法を提供することである。
本発明は、鋼材より試験片を作製し、複数の振動子が探触子面に配列し、電子フォーカスにより振動子の配列方向に集束し、当該配列方向と直交する方向には集束しない複数のラインフォーカスからなる略平行四辺形状のラインフォーカス群を生成する一次元線形アレイ探触子を移動し、一次元線形アレイ探触子の機械走査方向と鋼材の圧延方向とをほぼ平行として、試験片の探傷面上を、略平行四辺形状の前記ラインフォーカス群が隣接する、若しくは、一部重複するように機械走査して、水浸超音波探傷を行うことを特徴とする。

本発明の超音波探傷による鋼中介在物検査方法によれば、電子フォーカスにより複数のラインフォーカスを生成する一次元線形アレイ探触子を使用しているため、幾何フォーカスに比べて、より大きな欠陥エコーのS/N比を得ることが可能となり、√AREAが100μm級またはそれ以上のサイズのマクロ介在物の迅速な探傷を実現することが可能となる。
以下、本発明の実施形態である水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法について、図を参照して詳細に説明をする。
図1は、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子及び生成されるラインフォーカスの水中での態様を示す概略図である。
図1(a)は本実施形態の一次元線形アレイ探触子の正面図であり、図1(b)は側面図であり、図1(c)は振動子面を示す図である。また、図1(d)は、本実施形態の一次元線形アレイ探触子が生成するラインフォーカス群を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子1は、その振動子面に複数の振動子(以下、単にエレメントともいう)e1〜e(nは3以上の整数である)が一列に配列して構成される。
また、複数の振動子e1〜eの隣接する振動子により複数の同時制御振動子群E1〜E(kは2以上の整数である)が構成される。なお、1つの同時制御振動子群Eを構成する振動子の数は、一般には16、32、64などの振動子数が用いられる。
同時制御振動子群E1〜Eは、同時制御振動子群E1〜E内の各振動子から発する超音波ビームを合成することにより、電子フォーカスであるラインフォーカスf1〜fを各々生成する。
そして、一次元線形アレイ探触子1は、複数の同時制御振動子群E1〜EをE1からEの方向に電子走査することにより、図1(d)に示すラインフォーカスf1〜fからなるラインフォーカス群Fを生成する。
なお、ラインフォーカスf〜fの隙間(すなわち、f〜fの間、f2〜fの間、・・・、fk-1〜fの間)を補完したり、多少なりとも、fの左側やfkの右側に拡張する電子走査によるラインフォーカスの制御方法が採用できる場合は、それを活用してもよい。
上述したように、本実施形態に用いられる一次元線形アレイ探触子1は、電子フォーカスを使用している。そして、超音波ビームの一部(フォーカス近傍)を鋼試料の内部に入れて、鋼試料内部の探傷を行う。
図2は、鋼中のフォーカス深さ20mmで、本実施形態のごとく電子フォーカスのみを使用した場合、幾何フォーカスのみを使用した場合、及び、電子フォーカスと幾何フォーカスを同時に使用した場合の同一のマクロ介在物からの欠陥エコーのS/N比(指数)を比較したデータである。
ここで、電子フォーカスと幾何フォーカスを同時に使用した場合とは、図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施形態の電子フォーカスを使用した一次元線形アレイ探触子と同様に複数の振動子が探触子面に一列に配列された探触子であって、図1(b)に相当する方向からみたときには、図7(b)に示すような曲率を有する探触子面を有しているアレイ探触子を、電子フォーカス制御しながら使用する場合をいう。
また、幾何フォーカスのみを使用した場合とは、図7(c)及び図7(d)に示すように、超音波発信子の振動子面(音響レンズ)に図7(d)中の20aに示すような曲率をもたせて、超音波のフォーカス効果を得るフォーカス方式を使用する場合をいう。そして、振動子面が一方向に対してのみ曲率を有していれば図7(c)に示すようなラインフォーカスとなる。
図2に示すデータは、事前に超音波探傷法により探索しておいた深さ20mmの鋼中マクロ介在物について、以下の(A)〜(C)に示す探傷条件により探傷実験を行った結果を示している。
(A)本実施形態の電子フォーカスを使用した一次元線形アレイ探触子
図1に示す本実施形態の一次元線形アレイ探触子1の鋼中の電子フォーカス深さを20mmに制御し、電子フォーカスで想定されるフォーカスラインの方向(すなわち、振動子eの配列方向と垂直な方向)とマクロ介在物の延伸方向とをほぼ一致させた状態でデータを取得した。
(B)電子フォーカスと幾何フォーカスを使用したアレイ探触子
図7(a)及び図7(b)に示すアレイ探触子10の鋼中の電子フォーカス深さを20mmに制御し、鋼中の幾何フォーカス深さを20mmとし、電子フォーカスで想定されるフォーカスラインの方向(すなわち、振動子eの配列方向と垂直な方向)とマクロ介在物の延伸方向とをほぼ一致させた状態でデータを取得した。
(C)幾何フォーカスのみを使用した探触子
図7(c)及び図7(d)に示す一次元線形アレイ探触子20の鋼中の幾何フォーカス深さを20mmとし、電子フォーカスなしで、幾何フォーカスで想定されるフォーカスラインflの方向(すなわち、振動子eの配列方向)とマクロ介在物の延伸方向とをほぼ一致させた状態でデータを取得した。
また、(A)から(C)の共通の条件として、振動子eの配列方向と垂直な方向の振動子eの幅を16mmのものとし、同時制御振動子群Eの振動子eの配列方向の寸法を16mmとし、水距離20mmとし、探傷周波数10MHzとした。
図2からわかるように、(A)の本実施形態の電子フォーカスを使用した一次元線形アレイ探触子を使用した場合と、(B)の電子フォーカスと幾何フォーカスを使用したアレイ探触子を使用した場合とを比較した場合には、(B)の電子フォーカスと幾何フォーカスを使用した一次元線形アレイ探触子した場合の方が若干良好であるものの、ほぼ同等の欠陥エコーのS/N比を得ることが可能である。
一方、(A)の本実施形態の電子フォーカスを使用した一次元線形アレイ探触子を使用した場合と、(C)の幾何フォーカスのみを使用した探触子とを比較した場合には、(A)の本実施形態の電子フォーカスを使用した一次元線形アレイ探触子を使用した場合の方が、良好な欠陥エコーのS/N比を得ることが可能であることがわかる。したがって、一次元線形アレイ探触子やこれに類した探触子では、幾何フォーカスよりも電子フォーカスを使用した方がよいことがわかる。
このような、電子フォーカスの集束効果は、同時制御振動子群Eの振動子eの配列方向の寸法と、振動子eの配列方向と垂直な方向の振動子eの幅とが近いときに、いいかえれば、見かけ上の同時制御振動子群Eの振動子面形状がほぼ正方形の場合に確認しやすい現象である。
ここで、同時制御振動子群Eの振動子eの配列方向の寸法を6mm以上25mm以下とすることが好ましい。これは、6mm未満の場合には電子フォーカスの集束効果が不十分となり、25mmを超える場合には表面不感帯が大きくなりすぎるからである。
このように、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子1は電子フォーカスであるため、幾何フォーカスより超音波ビームの集束効果が大きく、欠陥エコー(マクロ介在物のエコー)において、高S/N比を得やすい。
図3は、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子の動作の一例を示す図である。
本実施形態の一次元線形アレイ探触子1において、複数の同時制御振動子群E1〜Eは、図中のA方向に電子走査される。また、図中のB方向は、試験片2の元となった鋼材の圧延方向であり、図中のCは一次元線形アレイ探触子1が生成する任意のラインフォーカスfの方向である。また、図中のD〜D3は、本実施形態の一次元線形アレイ探触子1が試験片2の探傷面上を機械走査される方向を示す。なお、本実施形態では、方向Cと方向D〜D3とを平行とする。
図に示すように、一次元線形アレイ探触子1は、A方向に電子走査を行いつつ試験片2の探傷面上を機械走査にてD方向へ移動するため、ラインフォーカス群Fは図に示すような、ほぼ平行四辺形状となり、超音波探傷を実施する。一次元線形アレイ探触子1は鋼材の圧延方向Bとほぼ同一の図中のD1方向に機械走査されることにより、ラインフォーカス群FはF´の位置へ移動し、試験片2の超音波探傷を実施する。探傷面のD方向の探傷が完了した後、一次元線形アレイ探触子1を図中の下方へ移動させ、続いてD2方向、及びD3方向の超音波探傷を実施する。
なお、探傷エリアを極力長方形にとりたい等の理由により移動幅を小さくして例えばFとF´が1/2幅重なるような格好で探傷したり、電子走査中は機械走査しないで探傷したり、等の対策をとってもよい。
このように、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法では、ラインフォーカスを使用することにより、Fの位置から図中のF´の位置への移動に要する移動幅を、ポイントフォーカス(点焦点)を用いた超音波探傷と比較して大きくすることが可能となるため、走査速度を大きくすることが可能となり、ひいては、超音波探傷の迅速性を確保することが可能となる。
さらに、本実施形態においては圧延方向Bとラインフォーカスfの方向Cとをほぼ平行とするのがよく、例えば、圧延方向Bとラインフォーカスfの方向Cとがなす角度のうち鋭角の角度αを0°以上20°以下とし、さらに好ましくは0°以上3°以下とすることがよい。
図4は、圧延方向Bとラインフォーカスfの方向Cとがなす角度αを変化させ、超音波探傷を実施した場合の角度αと欠陥エコー強度との関係を示す図である。
図からわかるように、圧延方向Bとラインフォーカスfの方向Cとがなす角度αを、0°以上20°以下とし、さらに好ましくは0°以上3°以下とすることで、マクロ介在物からの欠陥エコーの強度の低下が小さくて済むので、マクロ介在物検査におけるエコーの検出漏れをミニマム化できる。
このように、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法では電子フォーカスによるフォーカスラインの向きと試験片の圧延方向とのなす角度を0°以上20°以下とし、さらに好ましくは0°以上3°以下としているので、マクロ介在物からのエコー強度の低下を最小限とすることが可能となる。
なお、電子フォーカスのラインフォーカスfの方向Cは、実際的には、機械走査の方向D〜D3と平行とすべきであり、その場合には、機械走査方向D〜D3と圧延方向Bの関係を考慮して、試験片2をセットすればよい。
特許文献2に例示される従来技術では、機械走査の方向は圧延方向と直交する方向となるが、本実施形態のごとく電子フォーカスを使用する場合には、機械走査の方向は圧延方向とほぼ平行となる。
本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子1では、探傷周波数7〜25MHzとすることが好ましい。7MHz未満では検出漏れが発生しやすく、25MHzを超える場合には、超音波の減衰が大きくなってきて、検査体積を大きくできず、例えば10kgに数個、といった出現頻度の低いマクロ介在物の検出評価に不利になるからである。探傷周波数7〜25MHzとすることにより、√AREAがほぼ100μm以上のマクロ介在物の大体積評価を可能とする。
図5は、電子フォーカス深さおよび水距離決定のための目安を示す図である。ここで、電子フォーカス深さの目安としてパラメータPを導入する。パラメータPは、P=(鋼中の電子フォーカス深さ[mm]×(鋼中縦波音速[m/sec]/水中縦波音速[m/sec])+水距離[mm])なる式で表すものとする。
ここで、鋼中の電子フォーカス深さとは、試験片2の探傷面を基準(0mm)とした、試料中での電子フォーカスの深さのことをいい、水距離とは、水浸超音波探傷時における一次元線形アレイ探触子1の探触子面と試験片2の探傷面との間の距離を示す。
パラメータPは、垂直探傷の場合には、鋼中縦波音速は約5900m/secであり、水中縦波音速は約1480m/secであるため、簡易的には、パラメータP=(鋼中の電子フォーカス深さ[mm]×4+水距離[mm])とすることができる。
本発明者は、探傷周波数とパラメータPとで、電子フォーカスの効果の有無に関する評価を行った結果、一次元アレイ探触子における探傷周波数7〜25MHzの水浸垂直探傷では、パラメータPを図5に示す曲線「y=819×(探傷周波数)-0.86」の下側の領域の数値範囲とする、すなわち、P≦(819×探傷周波数[MHz]-0.86)とすることで、より高度の電子フォーカスの集束効果を得ることができ、√AREAが100μm級またはそれ以上の大きさのマクロ介在物を検出できることを見出した。
表1は、パラメータPとマクロ介在物の検知(電子フォーカスの集束効果)との関係を評価した結果を示す図である。実験例1〜8の探傷周波数は7MHzであり、実験例9〜16の探傷周波数は10MHzであり、実験例17〜21の探傷周波数は17MHzであり、実験例22〜23の探傷周波数は25MHzである。また、実験例1〜23のエレメント配列方向の振動子群Ekの寸法は6〜25mmである。マクロ介在物の検知は、S/N比が1.5以上での検知を○、S/N比が1.5未満の場合を×とした。
また、本評価は、下記実施例と同様に、測定対象となる試験片について所定の熱処理や研磨を行い、超音波探傷を行って、試験片の中心部に存在するポロシティゾーンを除外して評価を行った結果である。
Figure 0005662640

表1からわかるように、パラメータPが曲線yの下側の領域の数値範囲にある場合には、電子フォーカスの集束効果を得ることができ(例えば、実験例1, 2, 4, 5, 7, 9, 10, 12, 13, 15, 17, 18, 20, 22)、曲線yの上側の領域の数値範囲にある場合には、電子フォーカスの集束効果を得ることが難しいことがわかる(例えば、実験例3, 6, 8, 11, 14, 16, 19, 21, 23)。
このように、曲線「y=819×(探傷周波数)-0.86」の上側の領域の数値範囲となる場合には、十分な集束効果が得られず、電子フォーカス制御する意味が低下する。本実施形態のごとく、下側の領域の数値範囲とすると、電子フォーカスの集束効果が十分に得られ、介在物エコーに対する高S/N比を確保することが可能となる。
但し、本実施形態の垂直探傷では表面不感帯が7mm程度となるので、表面不感帯の範囲を考慮して、鋼中の電子フォーカス深さを好ましくは7mm以上、さらに好ましくは10mm以上とすることがよい。
このように、パラメータPを採用することにより、使用したい探傷周波数から電子フォーカス制御の適正範囲および水距離の目安が決まるので、探傷装置および方法の設計指針とできる。
以下、本発明の実施例について説明をする。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図6は、本発明の実施例における測定対象となる試験片の探傷評価領域Zを説明する図である。まず、ビレットの端部から小片3を採取し、切出・切削加工により、圧延方向長さ80mm、厚さ46mm(中心±23mm)のブロックに粗加工する。そして、亜共析鋼では焼ならし、過共析鋼では焼なまし、共析鋼では焼ならしまたは焼なましを実施する。そして、上下面を研磨加工して、上下面スケール除去した圧延方向長さ80mm、厚さ45mmのほぼ直方体の平滑試験片2に仕上げる。これにより、ビレットなどからの切出試験片のマクロ介在物評価を可能とする。
本実施例では、超音波探傷を行う際の探傷周波数10MHzとする。一次元アレイ探触子における振動子eの配列方向の同時制御振動子群Eの寸法を16mmとする。また、振動子配列と直交方向の同時制御振動子群Eの寸法は16mmである。したがって、同時制御振動子群Eの見かけ上の寸法は16mm×16mmとなる。
超音波探傷は、水浸超音波探傷であり、水距離を20mm、電子フォーカスを深さ16mmとする。なお、電子フォーカス深さは、表面不感帯の範囲を考慮して、10mmより大きい16mmとしている。
この場合のパラメータPは、パラメータP=16×4+20=84mmとなる。また、図5の曲線yは探傷周波数10MHzのときy=819×10-0.86=113mmで表すことができ、したがって、パラメータPは、図5の曲線yの下側の領域の数値範囲となる。したがって、電子フォーカス条件として好適であるため、探傷条件(ラインフォーカスの条件)として採用する。
探傷面側からみたラインフォーカスfの方向Cと圧延方向Bとのなす角度αが2°の状態で垂直探傷を行う。試験片2の周辺部の表面不感帯4は、ノイズが多い等の理由により欠陥の正確な検出が困難であるため、走査範囲または探傷評価領域Zから除外される。
試験片2の中心に存在するポロシティゾーン5を除外した探傷評価領域Zについての超音波探傷結果より、マクロ介在物の個数やエコー強度などの情報を取得し、マクロ介在物を評価する。ポロシティゾーン5は、圧鍛比6以上の鋼材では、小片3の中心部の直径の30%の範囲が目安となる。
試験片2は圧鍛処理されているため、試験片2内のポロシティの多くは圧着されて、ポロシティの存在する範囲は狭められている。しかしながら、試験片2の中心から所定の範囲におけるポロシティは、圧着されることなく依然として存在する。したがって、試験片2の中心から所定の範囲5を除外して欠陥の評価を行うことにより、超音波探傷時のポロシティ等の影響を低減することができる。
鋼中の電子フォーカス深さの近傍の-2dBの範囲(すなわち、距離振幅特性の観点で、最大エコー強度-2dB分以上のエコー強度(最大エコー強度を100%とすれば約80%以上のエコー強度)が得られる深さ範囲)でS/N比1.5以上で検知された欠陥10個につき、削り込みにより実体を確認したところ、いずれも√AREAが100μm級またはそれ以上のマクロ介在物が見出された。よって、本発明の妥当性が証明された。
以上説明したように、本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法によれば、電子フォーカスにより複数のラインフォーカスを生成する一次元線形アレイ探触子を使用しているため、幾何フォーカスに比べて、より大きな欠陥エコーのS/N比を得ることが可能となり、√AREAが100μm級またはそれ以上のサイズのマクロ介在物の迅速な探傷を実現することが可能となる。また、一次元線形アレイ探触子をラインフォーカスの方向と鋼材の圧延方向とをほぼ平行として試験片の探傷面上を走査して超音波探傷を行うことにより、マクロ介在物検査におけるエコーの検出漏れをミニマム化することが可能となる。
本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子及び生成されるラインフォーカスの水中での態様を示す図である。 電子フォーカスのみを使用した場合、幾何フォーカスのみを使用した場合、及び、電子フォーカスと幾何フォーカスを同時に使用した場合の欠陥エコーのS/N比を比較したデータである。 本実施形態の水浸超音波探傷による鋼中介在物検査方法に用いられる一次元線形アレイ探触子の動作の一例を示す図である。 圧延方向Bとラインフォーカスfの方向Cとがなす角度αを変化させ、超音波探傷を実施した場合の欠陥エコー強度との関係を示す図である。 電子フォーカス深さおよび水距離決定のための目安を示す図である。 本実施例において、測定対象となる試験片内の探傷し評価する領域を説明する図である。 電子フォーカスと幾何フォーカスとにより生成されるフォーカス及び幾何フォーカスのみにより生成されるフォーカスラインの水中での態様を説明する図である。

Claims (8)

  1. 鋼材より試験片を作製し、
    複数の振動子が探触子面に一列に配列しており、電子フォーカスにより前記振動子の配列方向に集束し、当該配列方向と直交する方向には集束しない複数のラインフォーカスからなる略平行四辺形状のラインフォーカス群を生成する一次元線形アレイ探触子を移動し、前記一次元線形アレイ探触子の機械走査方向と前記鋼材の圧延方向とをほぼ平行として前記試験片の探傷面上を、前記略平行四辺形状の前記ラインフォーカス群が隣接する、若しくは、一部重複するように機械走査して水浸超音波探傷を行う、
    ことを特徴とする鋼中介在物の検出評価方法。
  2. 前記ラインフォーカスの方向と前記鋼材の圧延方向とがなす角度のうち鋭角の角度を0°以上20°以下とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼中介在物の検出評価方法。
  3. 前記一次元線形アレイ探触子の探傷周波数を、7MHz以上25MHz以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼中介在物の検出評価方法。
  4. 前記試験片には、前記鋼材の材質が亜共析鋼の場合には焼ならしを行い、過共析鋼の場合には焼なましを行い、共析鋼の場合には焼ならしまたは焼なましを行う事前熱処理がなされることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鋼中介在物の検出評価方法。
  5. 前記試験片の探傷面を研磨加工して平滑試験片に仕上げることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鋼中介在物の検出評価方法。
  6. 前記試験片中のポロシティ領域を除外して評価を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鋼中介在物の検出評価方法。
  7. 前記一次元線形アレイ探触子は、前記振動子の配列方向の同時制御エレメントの範囲を、6mm以上25mm以下として電子走査を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の鋼中介在物の検出評価方法。
  8. 前記水浸超音波探傷は探傷条件として、P=(鋼中の電子フォーカス深さ[mm]×(鋼中縦波音速[m/sec]/水中縦波音速[m/sec])+水距離[mm])なる式でパラメータPを表した場合に、P≦(819×探傷周波数[MHz]-0.86)となるように、前記水距離と前記鋼中の電子フォーカス深さを設定し、垂直探傷をすることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の鋼中介在物の検出評価方法。
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