JP2019215094A - 耐火物ライニング構造体、および温度センサ - Google Patents

耐火物ライニング構造体、および温度センサ Download PDF

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Abstract

【課題】漏銑や漏鋼に至るような局所的な耐火物損耗を適切に検出でき、耐火物寿命を低下させることなく、耐火物異常を検知できる耐火物ライニング構造体を提供すること。【解決手段】本発明に係る耐火物ライニング構造体は、鉄皮6側から順に、外張り耐火物4、内張り耐火物を有する溶融金属容器の耐火物ライニング構造体であって、鉄皮6と外張り耐火物4との間に、樹脂12で被覆された石英ガラスファイバ11が金属管13に挿入されている温度センサ10を設け、温度センサ10は、金属管13内に酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m3以下であるガスが、充填または常温における流速が0〜75m/sの流速で通気されていることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、耐火物ライニングが施工された窯炉などの耐火物ライニング構造体、および温度センサに関する。
溶銑容器や溶鋼容器などの窯炉は、耐火物構造体を備える。耐火物構造体を構成する耐火物は、高温溶融物に接する内張り耐火物と、内張り耐火物が消耗した時のバックアップや断熱を目的とした外張り耐火物とに分けられる。内張り耐火物は、溶銑やスラグと接して高温にさらされることによって使用中に損耗する。損耗状況は、目視による内張り耐火物の稼働面の監視、耐火物構造体に熱電対を設置しての温度監視、および鉄皮の外面の温度の赤外線サーモグラフィーを用いての測定により把捉していた。
しかし、目視監視は、多くの場合、耐火物表面に付着物が存在するため充分に機能しない。また、熱電対による温度監視は、埋設できる熱電対に限りがあるため、測定範囲が限定されてしまう。赤外線サーモグラフィーによる温度監視は、鉄皮の外に設置された各種装置や支持部材、周辺設備などにより視野が妨げられるため、測定範囲が限定されてしまう。
これらの欠点を克服する損耗監視技術として、光ファイバセンサを用いた測温技術がある。光ファイバセンサは屈折率の高いコアと屈折率の低いクラッドとからなり、光をコアとクラッドの間で全反射させることで損失を低減し、長距離の伝達を可能とする。パルス光を光ファイバに入射し、光ファイバ内でラマン散乱によって生じるストークス光とアンチストークス光の強度比を予め校正した値との比較を行うことで温度を導出し、後方散乱光の到達時間から位置を測定することで、光ファイバの長さ方向の各位置での温度を計測することができる。
ここで、光ファイバのうち、高温に耐える石英ガラスで構成される石英ガラスファイバは、そのままではわずかな曲げで折損するために直線敷設できる場所でないと対応できない。その欠点を補う方法として、ポリイミド等の樹脂被覆を光ファイバに施すことにより曲げ外周側の引っ張り応力による亀裂を軽減する方法がある。また、外部からの応力による折損を防ぐ方法として、金属製保護管の内部に光ファイバを挿入する方法がある。例えば、特許文献1には、ポリイミド樹脂で被覆された石英ガラスファイバを高ニッケル耐熱合金の内管に挿入し、さらにその内管の外側を高ニッケル耐熱合金又はステンレス鋼の外管で保護し、かつ内管内の空間に不活性ガスを流通させ、出銑樋の鉄皮内側に設けられた内張り耐火物の断熱層より内側に敷設し、樋内面の耐火物の損耗状況を推定する技術が提案されている。
特許第3006417号公報
しかしながら、特許文献1に記載された出銑樋の耐火物損耗検出方法は、センサの設置箇所が内張り耐火物の中であるために、内張り耐火物の損耗を敏感に検出できる一方で、内張り耐火物に亀裂が入り溶融金属が差し込む局所的な耐火物損耗に対しては過敏であり、外張り耐火物や鉄皮近傍まで溶融金属が差し込んで漏鋼の危険がある場合と、内張り耐火物の途中までしか溶融金属が差し込んでおらず漏鋼には至らない場合の区別ができない。そのため、内張り耐火物の途中までしか溶融金属が差し込んでおらず漏鋼には至らない場合でも溶銑容器や溶鋼容器の運用を停止して耐火物の点検が必要になる、誤報が多発するという問題があった。また、センサの設置箇所が内張り耐火物の断熱層より内側で高温であるために石英ガラスファイバの被覆樹脂が昇華消失し、曲げや引っ張りへの耐性が低下し、運用中の温度変化による金属製保護管の熱膨張や耐火物解体時の衝撃によって石英ガラスファイバが折損し、十分な寿命が得られない。また、内張り耐火物の内部に石英ガラスファイバを敷設するので弾性率や熱膨張率の違いによる応力が内張り耐火物の内部に発生し、内張り耐火物に亀裂が生じる原因となるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、漏銑や漏鋼に至るような局所的な耐火物損耗を適切に検出でき、耐火物寿命を低下させることなく、耐火物異常を検知できる耐火物ライニング構造体を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、センサの設置個所が高温であっても光ファイバを被覆する樹脂が昇華消失することを抑制できる温度センサを提供することにある。
本発明に係る耐火物ライニング構造体は、鉄皮側から順に、外張り耐火物、内張り耐火物を有する溶融金属容器の耐火物ライニング構造体であって、前記鉄皮と前記外張り耐火物との間に、樹脂で被覆された石英ガラスファイバが金属管に挿入されている温度センサを設け、前記温度センサは、前記金属管内に酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下であるガスが、充填または常温における流速が0〜75m/sの流速で通気されていることを特徴とする。
本発明に係る耐火物ライニング構造体は、上記発明において、前記金属管は内径が1.8mm以上でありかつ外径が5.0mm以下であることを特徴とする。
本発明に係る耐火物ライニング構造体は、上記発明において、前記金属管内に充填または通気されている前記ガスの圧力を測定する圧力測定装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る温度センサは、樹脂で被覆された石英ガラスファイバが金属管に挿入された構造を有するとともに、前記金属管内には、酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下であるガスが、充填または常温における流速が0〜75m/sの流速で通気されていることを特徴とする。
本発明に係る温度センサは、上記発明において、前記金属管内に充填または通気されている前記ガスの圧力を測定する圧力測定装置を備えることを特徴とする。
本発明に係る耐火物ライニング構造体によれば、鉄皮と外張り耐火物との間に温度センサを設けたことによって、耐火物の亀裂などの局所的欠陥からの漏銑や漏鋼に至るような溶融金属の侵入を検知することができる。これにより、漏銑や漏鋼を未然に防ぐために必要な措置を取ることができる。また、本発明に係る温度センサによれば、センサの設置箇所が高温であっても石英ガラスファイバの被覆樹脂を所定温度以下に保持できるので、樹脂が昇華消失することを抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態における溶鋼容器に適用された耐火物ライニング構造体を模式的に示す図である。 図2は、図1に示す溶鋼容器の部分拡大図である。 図3は、図2に示す温度センサの拡大図である。 図4は、温度センサの敷設例を説明するための図である。 図5は、温度測定結果を示す図である。 図6は、温度センサに設けられた接続箱および端末箱を示す図である。 図7は、接続箱の一例を模式的に示す図である。 図8は、端末箱の一例を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態における耐火物ライニング構造体および温度センサについて説明する。この実施形態では、溶融金属を収容する溶融金属容器として、溶鋼を収容する溶鋼容器に適用された耐火物ライニング構造体について説明する。
[耐火物ライニング構造体]
図1は、本発明の一実施形態における溶鋼容器1に適用された耐火物ライニング構造体を模式的に示す図である。図2は、図1に示す溶鋼容器1の部分拡大図である。
図1に示すように、溶鋼容器1は、耐火物ライニングが施工された耐火物構造体2を備える。耐火物構造体2は、内側から外側へ順に、内張り耐火物3、外張り耐火物4、モルタル5、鉄皮6を有する。内張り耐火物3は溶鋼に接する耐火物である。外張り耐火物4は、内張り耐火物3が消耗した時のバックアップや断熱を目的とした耐火物である。モルタル5は、外張り耐火物4と鉄皮6との間に施工されている。鉄皮6の外側には、スライディングノズル7と、スライディングノズル駆動機構8と、パワーシリンダ9とが設置されている。図1に破線Cで示された範囲を拡大した図を図2に示す。
図2に示すように、モルタル5の内部には、温度センサ10が埋め込まれている。溶鋼容器1では、鉄皮6と外張り耐火物4の間に温度センサ10が設けられており、この温度センサ10によって外張り耐火物4と鉄皮6の温度を測定する。図2に破線Dで示された範囲を拡大した図を図3に示す。
[温度センサ]
図3は、図2に示す温度センサ10の拡大図である。図3に示すように、温度センサ10は、石英ガラスファイバ11からなる光ファイバセンサであり、樹脂12で被覆された石英ガラスファイバ11が金属管13に挿入されている。石英ガラスファイバ11は、屈折率の高い光ファイバ素線であるコア11aと、屈折率の低い光ファイバ素線であるクラッド11bとからなる。樹脂12は光ファイバの被覆樹脂であり、例えばポリイミド樹脂からなる。そして、金属管13内の空間14には、酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下であるガスが充填または通気されている。
[温度センサの設置箇所]
本実施形態では、溶鋼容器1の鉄皮6と外張り耐火物4との間に温度センサ10を設けたことにより、外張り耐火物4と鉄皮6の温度をより直接的に測定することができる。これにより、内張り耐火物3の亀裂への溶融金属の差し込みが、外張り耐火物4や鉄皮6近傍まで達して漏鋼の危険があるかどうかを適切に判別できる。溶融金属には、溶鋼に限らず、溶銑が含まれる。本発明に係る耐火物ライニング構造体には、溶鋼容器1に限らず、溶銑を収容する溶銑容器を対象とする耐火物ライニング構造も含まれる。
また、耐火物ライニング構造では内張り耐火物3が損耗した場合、鉄皮6と外張り耐火物4はそのまま残した状態で内張り耐火物3のみを解体し再施工することが一般的である。そのため、仮に温度センサを内張り耐火物3に設けた構造の場合は内張り耐火物3の解体再施工の都度温度センサも再施工する必要があったのに対して、本実施形態の構造では複数回の内張り耐火物3の解体再施工にわたって、鉄皮6および外張り耐火物4とともに温度センサ10もそのまま残して再使用する事ができる。
さらに、実施形態の温度センサ10では、樹脂12で被覆された石英ガラスファイバ11を、鉄皮6と外張り耐火物4との間に施工(敷設)するにあたっては、鉄皮6および外張り耐火物4との接触による石英ガラスファイバ11の破損を防ぐために、樹脂12で被覆された石英ガラスファイバ11が金属管13に挿入されている。これは、耐火物は一般に数十μm〜数mmの耐火素材粒子を成形したものであり、耐火物内または耐火物表面に石英ガラスファイバ11を施工した場合、耐火素材粒子と接した石英ガラスファイバ11の表面には耐火素材粒子による局部的な力がかかり、石英ガラスファイバ11の折損の危険があるためである。本実施形態の温度センサ10によれば、金属管13の内部に挿入された石英ガラスファイバ11が樹脂12で被覆されているため、樹脂12によって石英ガラスファイバ11の折損を抑制できる。
[金属管内部のガス]
溶銑容器や溶鋼容器1においては、溶銑や溶鋼と接している内張り耐火物3の内面3aは1300〜1700℃の高温となり、外気と接する鉄皮6の外面6aの温度は常温〜600℃である。耐火物構造体2の内部の温度は、内張り耐火物3の内面3aから鉄皮6の外面6aにかけて単調に下がり、外張り耐火物4の外面の温度は鉄皮6の外面6aの温度とほぼ等しくなる。内張り耐火物3の外面の温度および外張り耐火物4の内面の温度は、内張り耐火物3の残厚によって変化し、残厚が厚い時は200℃程度であり、内張り耐火物3の損耗が進んで残厚が薄くなると800℃程度まで上昇する。すなわち、内張り耐火物3の内部の温度は内張り耐火物3の損耗が進んで残厚が薄くなると800℃以上となる。800℃以上の温度では石英ガラスファイバ11を被覆する樹脂12は昇華消失する。
樹脂12が昇華し発生するガスによって石英ガラスファイバ11を劣化させてしまう事に対しては、金属管13内に不活性ガスを流通させて、発生したガスを金属管13内から追い出すことで劣化を抑制する技術はあったが、運用中の温度変化による金属管13の熱膨張や耐火物解体時の衝撃によって石英ガラスファイバ11が折損する事は避けられなかった。熱膨張については、一般に石英ガラスファイバ11の熱膨張率に対して金属管13の方が熱膨張率は大きい。このような熱膨張差を有することにより、温度が上昇すると金属管13内の石英ガラスファイバ11には引っ張り力が作用する。石英ガラスファイバ11の弾性変形は小さく、塑性変形とクリープ変形は極めて遅いため、温度変化が急激な場所では、金属管13の高速な熱膨張に石英ガラスファイバ11の低速な塑性変形とクリープ変形が追従できず、石英ガラスファイバ11が破断することがあった。
そこで、本発明者らは金属管13に挿入した石英ガラスファイバ11を、常温〜600℃の温度である鉄皮6と外張り耐火物4との間に施工する構造とした。これにより、石英ガラスファイバ11を被覆する樹脂12の昇華消失を抑制して石英ガラスファイバ11の折損を防ぎ、かつ内張り耐火物3の内部に発生する応力による内張り耐火物3の亀裂損傷を抑制する。すなわち、本実施形態では、石英ガラスファイバ11を被覆する樹脂12の昇華消失に伴う石英ガラスファイバ11の折損を防止し、同時に、内張り耐火物3の内部に、弾性率や熱膨張率が異なる温度センサ10を埋設することによる内張り耐火物3の亀裂の発生も回避することができる。また、放熱低減を目的として、鉄皮6と外張り耐火物4との間、外張り耐火物4と内張り耐火物3の間、外張り耐火物4を2層にしてその2層の間、のいずれかに断熱層(図示せず)を設ける場合がある。その場合は、外張り耐火物4と断熱層のいずれか鉄皮6に近い方と、鉄皮6との間に石英ガラスファイバ11を施工すればよい。
また、常温〜600℃の温度では石英ガラスファイバ11を被覆する樹脂12の昇華消失は進行しないにもかかわらず、温度センサ10の使用中に樹脂12が徐々に減肉していく事が観察された。そこで、本発明者らは、種々のガスを用いて樹脂12の減肉速度を調査した結果、樹脂12が減肉する速度は金属管13内のガス中の酸素濃度に依存することを明らかにした。そして、金属管13内のガスを酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下とすれば石英ガラスファイバ11を被覆する樹脂12の減肉の速度は10分の1以下に低減し、測定対象であるところの溶銑容器や溶鋼容器1の耐火物更新サイクルよりも長い耐用を得られることが確認できた。ここで、ガスの条件として、酸素濃度に加えて水蒸気濃度(水蒸気量)も規定したのは、水蒸気は高温では酸化作用を持つことと、水蒸気が石英ガラスと反応し石英ガラスファイバ11の損失を増加させるためである。また、水蒸気濃度10g/mの空気の露点は10℃であり、低温部での水の凝縮によるガス通気抵抗の増大を避けるためにも水蒸気濃度は10g/m以下とする必要がある。さらに、酸素濃度については、金属管13内のガスの酸素濃度が低下すると樹脂12の減肉の速度は低減する。例えば、酸素濃度を21%(大気)から2%へと約10分の1に低下させた時には樹脂12の減肉の速度は10分の1以下に低減し、酸素の低下率に対して減肉の低減率がほぼ同等であった。これに対し、酸素濃度を2%から1ppmへと20000分の1に低下させた時には樹脂12の減肉の速度は1000分の1程度への低減が観察され、酸素の低下率ほどには減肉の低減率が低減しなかった。
そして、石英ガラスファイバ11を保護する金属管13の内部にガスを通気すると、金属管13内の温度分布が影響を受け、石英ガラスファイバ11による測温結果がガスの下流側に変位し、周辺の温度との平準化により位置解像度が低下するため、測温の位置精度が低下してしまう。そこで、本実施形態では、石英ガラスファイバ11を内張り耐火物3ではなく、鉄皮6と外張り耐火物4との間に設けるので、鉄皮6の温度と外張り耐火物4の温度とは位置精度良く測定できるものの、内張り耐火物3の温度の位置精度は低下した。漏鋼に直結する鉄皮6や外張り耐火物4の異常な温度の監視に加えて、内張り耐火物3が正常に損耗していく過程での内張り耐火物3の残厚の推定ができれば操業指標としてより有益である。内張り耐火物3が広い範囲で均等に損耗していれば精度に不足は無いが、位置精度を高める事ができれば内張り耐火物3の比較的狭い範囲での残厚較差の把握も可能になる。そこで、本発明者らは測温における位置精度の向上を試みた。具体的には、位置精度の目標を一般的なレンガ1枚分に相当する100mmとし、金属管13内に流通させるガスの流量を変化させて、測温結果のずれと位置解像度の低下を調査した。その結果、金属管13内に通気されているガスの常温における流速を75m/s以下とすることにより、測温結果のずれを100mm以下とし、平準化の影響範囲も1000mm以内とすることができた。金属管13内に通気されているガスの常温における流速が低いほど測温の位置精度は向上するものの、流速が10m/s以下の範囲では位置精度はほぼ一定となった。これは、常温における流速が10m/sを下回るとガスの流れが乱流から層流に遷移し、対流伝熱よりも輻射伝熱が支配的になったためと考えられる。このように、温度センサ10を鉄皮6と外張り耐火物4との間に設けたことによる内張り耐火物3に関しての温度測定の位置解像度の低下への対策としては、測温における位置精度を高めて、100mm程度のレンガ1枚分に相当する位置解像度を得るために、金属管13内に充填または通気されているガスの常温における流速を75m/s以下とする。
その一方で、本実施形態で対象とする常温〜600℃の温度範囲では樹脂12の昇華は進行しないので、昇華により発生したガスを追い出す必要は無い。したがって、金属管13内に酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下であるガスを一旦充填しさえすれば、その後は必ずしも当該ガスの流通を継続する必要はない。そのため、金属管13の管面に欠陥が無く、かつ金属管13の端部にガスケットなどのシール材を用いての管内の気密性が確保できる場合にはガスの流通を停止して充填状態としてもよい。
また、ガスの流通を停止して充填状態とする場合と、ガスの流通を継続する場合の双方において、ガスの圧力は特に規定しない。ガスの圧力を大気圧よりも高める場合は、圧力が測温の温度や位置の精度ならびに応答時間へ及ぼす影響は観察されなかったので、気密構造の耐圧などの要因から決定することができた。これは、ガスの熱伝導率は圧力の影響をほとんど受けないためと考えられた。ガスの圧力を大気圧よりも低めた場合も、ガスの圧力が10Paよりも高い範囲では圧力が測温の温度や位置の精度ならびに応答時間へ及ぼす影響はほとんど無かった。一方、ガスの圧力が10Paよりも低い範囲では、圧力の低下に応じて応答時間の延長が認められた。これは、ガスの平均自由行程が金属管13の径に匹敵し、気体分子間の熱伝達が低下するためと考えられる。ガスの圧力が10Paよりも低い範囲でも圧力の低下に応じてガスの熱伝導率は低下するものの、輻射伝熱は影響を受けないので応答時間への影響は1秒以下であり、耐火物異常監視の用途では問題にならない。ただし、溶融金属の異常侵入などの高い温度域の監視の他に、冷却水漏れなどの100℃以下の低温域の変化を監視したい場合には、低温域での輻射伝熱の低下を考慮すると10Paよりも高い圧力でガスを充填保持することが望ましい。
[金属管の内径と外径]
温度変化が急激な場所では、石英ガラスファイバ11を保護する金属管13の熱膨張によって石英ガラスファイバ11が破断することがあった。そこで、温度変化に伴う金属管13の熱膨張による石英ガラスファイバ11の破断を抑制するために、金属管13の内径を1.6mmから1.8mmへと大きくした。金属管13の内径が1.8mmの場合、例えば直径4.2mの有底円筒状に形成された溶鋼容器1の円筒部側面の円周方向に沿って石英ガラスファイバ11を敷設しても、石英ガラスファイバ11が破断することを回避できた。これは、金属管13の内径を大きくして空間14を広くしたことによって、太さが0.1mm程度と金属管13の内径よりもはるかに細い石英ガラスファイバ11を空間14内により冗長に蛇行させておくことが可能となり、金属管13の熱膨張で発生する引っ張り応力を低減できたと考えられる。このように、金属管13の内径は1.8mm以上であることが望ましい。また、石英ガラスファイバ11を保護する金属管13の内径が大きいほど、より大きな設備へ温度センサ10を敷設しても石英ガラスファイバ11が破断することを回避できると考えられる。
ところが、金属管13の厚さを変えずに金属管13の内径を大きくすると、必然的に金属管13の外径も大きくなる。そして、耐火物構造体2では、金属管13の外径が大きいほど、鉄皮6と外張り耐火物4との間にモルタル5で埋め込んで施工する際に外張り耐火物4が傾きやすく、モルタル5の施工厚さを増すこととなりモルタル施工部に空隙ができやすいため、モルタル施工に熟練度と時間が必要となる。そこで、本発明者らは金属管13の外径を変えてモルタル5で埋め込んだ際のモルタル5の施工の健全性を評価した。その結果、金属管13の外径が5.0mmを超えると、築炉工の経験年数によっては外張り耐火物4が傾いたりモルタル施工部に空隙が発生したりすることを確認した。さらに、金属管13の外径が9.0mmを超えると、築炉工の経験年数にかかわらずモルタル施工した外張り耐火物4の隣の、直前に施工した外張り耐火物4が動くため、外張り耐火物4を1枚施工するたびに10秒程度の静置が必要となり、施工時間が大幅に延長した。このように、金属管13の外径は5.0mm以下であることが望ましい。すなわち、金属管13は内径が1.8mm以上でありかつ外径が5.0mm以下であることが望ましい。金属管13の内径を1.8mm以上とすることによって、温度変化に伴う熱膨張による石英ガラスファイバ11の破断を抑制することができる。加えて、金属管13の外径を5.0mm以下とすることによって、鉄皮6と外張り耐火物4の間にモルタル5で埋め込む施工性を向上することができる。
さらに、内径1.8mm以上の金属管13内を石英ガラスファイバ11が蛇行しているため、金属管13の長さ方向の位置と、石英ガラスファイバ11の長さ方向の位置は厳密には一致しない。そこで、温度センサ10を敷設施工した時に特定の箇所を加熱または冷却して温度信号を記録し、実際に温度を変化させた位置と変化が測定された位置とを対応させておけば、測定結果から正確な位置を求めることができる。また、溶鋼容器1や溶銑容器の鉄皮6の外面に、補強リブなどの放熱効果により周囲よりも温度が低くなる場所、あるいは表面を被覆するように設置された部材により周囲よりも温度が高くなる場所がある場合には、その場所と測定位置を対応させることによって測定結果から正確な位置を求めることができる。
また、金属管13で保護された石英ガラスファイバ11を有する温度センサ10の敷設にあたっては、温度センサ10を交差させると金属管13の外径の二倍よりも大きいモルタル5の施工厚さが必要になるため望ましくない。つまり、温度センサ10は、金属管13が交差しないように敷設されることが望ましい。その敷設の一例を図4に示す。
図4に示すように、温度センサ10は、溶鋼容器1の内部で鉄皮6の内面沿いにらせん状に敷設され、かつ金属管13が重ならないように敷設されている。温度センサ10の敷設後、溶鋼容器1を使用開始する前に、図4に破線の囲みで示す加熱位置、すなわち溶鋼容器1の鉄皮6の外側であって特定方向の縦直線上の範囲を、溶接バーナーで加熱して、その際の温度を温度センサ10で測定した。この測定結果を図5に示す。図5に示すように、この測定結果から、溶鋼容器1の位置と温度センサ10上の位置との対応が正確に把握できるようになり、金属管13内の空間14を石英ガラスファイバ11が蛇行することによる測温位置のずれを良好に修正できた。
また、石英ガラスファイバ11からなるパルス光の経路には、融着またはメカニカルスプライスで他の光ファイバと接続した箇所があってもよい。ただし、金属管13内にガスを充填または流通させるために、他の光ファイバとの接続部は600℃に耐える耐熱性と気密性を持ち、かつ前後の金属管13同士の間に通気性を有する必要がある。この条件を満たすために、接続部の構造は2種類を採用した。1つ目の構造は、図6および図7に示すように、接続部が内寸10×20×3mmで板厚1mmの鋼板で作成された箱(以下、接続箱)20であり、接続箇所21で石英ガラスファイバ11を融着した上で金属管13を端部同士が密着しない状態で接続箱20内にろう付けし、金属管13の端部同士の間を鋼製の半割管からなる覆い材22で覆い、ろう材23を筐体24内に充填して蓋25で閉じて固定密封した。ろう材23の溶融温度で接続箱20の耐熱性が決まるため、ろう材23の選定は重要である。融点が580℃のAl−11.7Si、融点が680℃のAu−7.4Ge、融点が760℃のAu−2Siを用いたが、Au−2Siは融点が高いために石英ガラスファイバ11の耐熱温度を超えないように、接続箱20を予熱するなどして必要最低限の低温でろう付けすることが必要であった。接続箱20は温度センサ10の延長用として機能し、長距離の測定で必要となり、石英ガラスファイバ11の破断部を部分更新する際に用いることもできる。接続部の構造の2つ目は、金属管13とともに石英ガラスファイバ11を鉄皮6の外に貫通させ、鉄皮6の外で接続する方法である。この方法は、1つ目の方法に比べ、より低温の場所で接続できることと、接続部をモルタル5の厚さに収める必要が無いことから、より低温のろう材を用いることが可能となる。そのため、ろう付け時に石英ガラスファイバ11が破損する危険性が低く、使用できる接続部の寸法が大きくできるために、作業性が良いうえに、ろう材を用いずに機械的なガスケット材を用いての外気に対しての気密性と金属管13同士の通気性の確保が可能となる。
[金属管の気密性]
上述したように、温度センサ10の設置箇所、金属管13内部のガス、ならびに金属管13の内径と外径を工夫しても、何らかの変形や衝撃によって、温度センサ10の石英ガラスファイバ11が破断することはまれにある。また、内張り耐火物3と外張り耐火物4との境界まで溶鋼が差し込んで石英ガラスファイバ11が900℃以上にさらされて結晶化などの変質をして測温が困難になっても、内張り耐火物3の損耗部位が狭い範囲であれば吹き付けなどの熱間補修を施したうえで耐火物を解体再施工することなく使用を継続する場合がある。このような場合には、次の外張り耐火物4の更新で石英ガラスファイバ11を再施工するまでの間、石英ガラスファイバ11の測温による異常損耗検知ができない状態で使用を継続することになり、予防的な熱間補修や使用を中断しての点検を余儀なくされる。
このように、石英ガラスファイバ11が破断したり変質したりして測温ができなくなっても、石英ガラスファイバ11よりも弾塑性変形能の高い金属管13は破断せずに気密性を保っていることが多い。そこで、石英ガラスファイバ11が機能を失った後も、気密性を保っている金属管13を活用して、耐火物の異常損耗による漏鋼事故を未然に検知する方法を模索した。本発明者らは、鉄皮6と外張り耐火物4との間で石英ガラスファイバ11を埋設しているモルタル5の特性に着目した。モルタル5は、施工直後は通気性が無いものの、溶鋼容器1の使用を開始して温度が上昇すると付着水や結晶水の蒸散により通気性が生じ始める。特に、内張り耐火物3が損耗して漏鋼の危険が生じるような時期においては、モルタル5中の付着水や結晶水の蒸散はほぼ完了し、高い通気性を有している。また、上述したように、本発明者らは、金属管13内に充填または流通されているガスの圧力が10Pa以下でありかつ100℃以下の低温域の変化を監視したい場合を除いては、金属管13内に充填または流通されているガスの圧力は測温の温度や位置の精度ならびに応答時間へ及ぼす影響はほとんど無いことを明らかにした。これらの知見から、本発明者らは、金属管13内に充填または流通されているガスの圧力を監視することによって、金属管13が溶鋼の差し込みにより高温に達して破断したことを検知することを着想した。例えば、金属管13の材質に炭素鋼やステンレス鋼を用いた場合、これらの材質の融点はおよそ1500℃であり、1500℃以上の溶融金属が金属管13近傍にまで到達しない限り金属管13は溶融しない。ところが、炭素鋼やステンレス鋼の強度は、融点よりもはるかに低い500℃でおよそ半減し、1000℃では10分の1以下にまで低下するため、1500℃以上の溶融金属が金属管13に直接到達しなくても金属管13の破断に至ることが観察された。そのため、金属管13内に充填または流通されているガスの圧力を大気圧とは異なる圧力として測定しておけば、ガスの圧力が大気圧に近付く方向に変化することを観察することによって、金属管13の破断を検知することができる。金属管13の破断は1500℃以上の溶融金属が金属管13に直接到達する前に起こるので、漏鋼を事前に検知して、溶鋼容器1の使用を中断して耐火物構造体2を補修するなどの必要な対応を施すことができる。このようにガスの圧力を監視する方法として、金属管13の内部に充填または通気されているガスの圧力を測定する圧力測定装置(圧力計)を用いる例を図6および図8に示す。
図6および図8に示すように、温度センサ10は、両端側に接続された端末箱30を有する。端末箱30には金属管13の他にガス出入口40が接続されている。端末箱30は、鋼板からなる筐体31および蓋32により形成された気密性を有するガス供給構造の箱であり、その内部空間にガス出入口40および金属管13が連通している。金属管13はシール材33によって端末箱30と気密状態で固定されている。シール材33は、シリコーンシーラント、ろう材などである。このシール材33に加えてクランプやエポキシ樹脂などの固定材により金属管13が端末箱30に固定されてもよい。また、ガス出入口40はガス供給配管41に連通している。ガス供給配管41には流量調整弁や調圧弁などが接続されていてもよい。この端末箱30には、金属管13内のガスの圧力を測定する圧力計50が設けられている。図8に示す例では、圧力計50はガス出入口40に接続されている。また、圧力計50により測定した圧力が異常値である場合に警報を発する警報機器51が設けられている。さらに、端末箱30の内部では接続箇所34で石英ガラスファイバ11が融着されている。石英ガラスファイバ11は、端末箱30の外部に延長されており、ラマン散乱光を測定するラマン散乱測定機器60に接続されている。端末箱30とラマン散乱測定機器60との間を接続する光ファイバは常温環境であるため保護用の金属管が不要である。ラマン散乱測定機器60は、石英ガラスファイバ11で生じるラマン散乱光を測定することにより温度を導出することができる装置である。このように、高温の測温部(温度センサ10)と常温のラマン散乱測定機器60との間に端末箱30を設置し、その端末箱30にガス供給配管41を接続し、端末箱30近傍の配管の圧力を圧力計50で測定するように構成されている。そして、金属管13内に充填または通気されているガスの圧力を圧力計50で測定することによって、異常な高温や衝撃で石英ガラスファイバ11が破断した後も温度センサ10を用いて漏鋼などの事故を未然に検知することができる。なお、図8に示す圧力計50は一例であって、ガス出入口40に接続された構造の圧力測定装置に限定されず、金属管13内のガスの圧力を測定できる圧力測定装置であればよい。
さらに、金属管13内に充填または流通されているガスの圧力と大気圧との差が大きいほど、金属管13の破断検知には有利である。例えば、金属管13内部のガスの圧力を大気圧よりも加圧する場合は、ガスの圧力を200kPa以上とすれば大気圧に対して100kPa以上の差を確保することができるので、圧力変化の検出精度の観点から望ましい。ただし、ガスを金属管13内に充填する場合は、金属管13の温度変化によっても金属管13内のガスの圧力が変化する。例えば、温度が常温から550℃に上昇すると、圧力は3倍に上昇する。これを考慮すると、耐圧900kPaのガス設備を温度センサ10に接続する場合は、ガスの圧力は常温で300kPa以下の圧力としておく必要がある。
また、石英ガラスファイバ11からなる測温センサは全長数km以上にわたる測定も可能であるので、ガスを金属管13内に流通させる場合は配管の圧損が無視できない。そのため、ガスの上流側から下流側にかけて圧力が低下することから、ガスの下流側端部においても通気抵抗を持たせて圧力を高めることが望ましい。
次に、耐火物の測温方法の実施例および比較例について説明する。
[実施例1]
実施例1では、上述したライニング施工を施した実施形態の溶鋼容器1において、溶鋼容器1の外径を4m、鉄皮6の厚さを38mm、外張り耐火物4を厚さ60mmの高アルミナ質とした。温度センサ10については、石英ガラスファイバ11の外径を0.15mmとして、ポリイミド樹脂からなる樹脂12を被覆した。また、金属管13は内径2.2mm,外径3.2mmのステンレス製とした。この金属管13に挿入された石英ガラスファイバ11を有する温度センサ10は、鉄皮6と外張り耐火物4との間の位置にモルタル5を用いて敷設されている。モルタル5の厚さは金属管13の外径よりもやや大きい4mmとした。
そして、実施例1では、石英ガラスファイバ11を挿入した金属管13の中に、酸素濃度が2%であり水蒸気濃度10g/mのアルゴンを常温で15リットル/minの流量で通気した。この場合、金属管13内のガスの流速は常温で75m/sに相当する。
その結果、実施例1では、溶鋼容器1を使用開始して12か月経過しても石英ガラスファイバ11による温度測定は可能であり、複数回の内張り耐火物3の解体再施工にわたって石英ガラスファイバ11は再施工することなく継続的に使用できた。
[比較例1]
比較例1では、上記実施例1と同様のライニング施工を施した溶鋼容器1を対象として、金属管13内にガスを充填または通気させることはせず、大気雰囲気のままで温度センサ10を敷設して使用した。その結果、溶鋼容器1の使用開始初日に石英ガラスファイバ11による温度測定が不能となった。温度センサ10を回収して調査したところ、石英ガラスファイバ11を被覆していたポリイミド樹脂が消失しており、石英ガラスファイバ11が破断していた。
石英ガラスファイバ11が破断しても、温度センサ10の両端から破断部までの間の測定は可能であるが、両端の間で送受信する測定(ループ測定と呼ばれ、後方散乱と透過光の双方を受信する)が片端から送受信する測定(シングルエンド測定と呼ばれ、後方散乱光のみを受信する)となり測定精度が低下すること、高温の部位ほど破断しやすいので最も監視が必要な部位の測定ができなくなること、複数箇所で破断した場合は破断箇所間の範囲の測定ができなくなること、の3点から漏鋼検知の目的には使用できなくなった。
[比較例2]
比較例2では、温度センサ10の設置位置を、上記実施例1での鉄皮6と外張り耐火物4との間から、外張り耐火物4と内張り耐火物3との間に変更してモルタル5を用いて施工した。その結果、比較例2では、溶鋼容器1の使用開始後1週間程度で石英ガラスファイバ11による温度測定が不能となった。温度センサ10を回収して調査したところ、石英ガラスファイバ11を被覆していたポリイミド樹脂が消失しており、石英ガラスファイバ11が破断していた。
[比較例3]
比較例3では、上記比較例2と同様のライニング施工を施した溶鋼容器1において、石英ガラスファイバ11を挿入した金属管13の中に通気するガスを、市販の純度99.9999%のアルゴンに変更した。その結果、溶鋼容器1の使用開始後1週間程度で石英ガラスファイバ11による温度測定が不能となった。温度センサ10を回収して調査したところ、石英ガラスファイバ11を被覆していたポリイミド樹脂が消失しており、石英ガラスファイバ11が破断していた。
[実施例2]
実施例2では、上記実施例1の温度センサ10から、金属管13の外径を6.0mm、内径を4.6mmに変更して実施した。その他、溶鋼容器1の施工は、実施例1と同様である。その結果、溶鋼容器1を使用開始して12か月経過しても石英ガラスファイバ11による温度測定は可能であり、複数回の内張り耐火物3の解体再施工にわたって石英ガラスファイバ11は再施工することなく継続的に使用できた。しかし、金属管13の外径が大きくなったためにモルタル5の施工厚さが増加し、モルタル層内に空隙などの欠陥が見られたため、施工を熟練工に限定する必要があった。
[実施例3]
実施例3では、上記実施例1の施工を、金属管13の外径を2.6mm,内径を1.6mmに変更し、かつ、溶銑容器に施した。溶鋼容器1に対して溶銑容器は、保持する内容物が1600℃前後の溶鋼に対して1400℃前後の溶銑であることと、溶融金属を受けてから空になって次に溶融金属を受けるまでの使用サイクルが6時間に対して12時間であることから、使用する温度域が低く温度変動も緩やかであるという違いがある。その結果、溶銑容器を使用開始して12か月経過しても石英ガラスファイバ11による温度測定は可能であり、複数回の内張り耐火物3の解体再施工にわたって石英ガラスファイバ11は再施工することなく継続的に使用できた。この実施例3の結果から、本発明は溶鋼容器に限らず溶銑容器にも適用可能、すなわち溶融金属を内容物として収容する溶融金属容器に適用可能であることが分かった。
[比較例4]
比較例4では、上記実施例3と同様に金属管13の外径を2.6mm,内径を1.6mmとし、上記実施例3の施工を、溶鋼容器1に施した。その結果、溶鋼容器1の使用開始の3日目に石英ガラスファイバ11による温度測定が不能となった。温度センサ10を回収して調査したところ、石英ガラスファイバ11を被覆するポリイミド樹脂は残存していたものの、石英ガラスファイバ11が破断していた。
[比較例5]
比較例5では、上記実施例1の施工を、金属管13に通気するアルゴンを常温で25リットル/minの流量に変更して実施した。その結果、測温の位置がガスの下流側に100mm以上ずれ、かつ前後に平滑化されて位置解像度が低下したことに加えて、測定温度が低下した。
[実施例4]
実施例4では、上記実施例1の施工を、金属管13にアルゴンを常温で15リットル/minで1時間通気した後に停止し、圧力300kPaで充填した状態で気密保持するように変更して実施した。さらに、溶鋼容器1の使用開始後も金属管13内のアルゴンの圧力を監視した。その結果、溶鋼容器1を使用開始して6か月経過しても石英ガラスファイバ11による温度測定は可能であり、複数回の内張り耐火物3の解体再施工にわたって石英ガラスファイバ11は再施工することなく継続的に使用できた。そして、7か月目に石英ガラスファイバ11の測定温度が900℃の異常高温を示したので、溶鋼容器1の使用を中断して耐火物を点検した。点検の結果、内張り耐火物3が局部的に剥離消失し、当該部位の外張り耐火物4が一部損耗していたが、狭い範囲であったので吹き付け熱間補修を行い、溶鋼容器1の使用を再開した。900℃の異常高温を示した部分の石英ガラスファイバ11は温度の測定が不可能となっていたが、金属管13の気密性は損なわれておらず、常温で圧力300kPaで充填し、気密保持することは継続できた。溶鋼容器1の使用を再開した2週間後に、金属管13内のガスの圧力が大気圧であるところの100kPaに降下したので溶鋼容器1の使用を中断して、内張り耐火物3を点検した。点検の結果、前回局部的に損耗して吹き付け熱間補修をおこなった部位が再度損耗しており、外張り耐火物4の目地まで溶鋼が侵入していたので解体再施工を実施することとした。
1 溶鋼容器
2 耐火物構造体
3 内張り耐火物
4 外張り耐火物
5 モルタル
6 鉄皮
7 スライディングノズル
8 スライディングノズル駆動機構
9 パワーシリンダ
10 温度センサ
11 石英ガラスファイバ
11a コア
11b クラッド
12 樹脂
13 金属管
14 空間
20 接続箱
30 端末箱
40 ガス出入口
41 ガス供給配管
50 圧力計
60 ラマン散乱測定機器

Claims (5)

  1. 鉄皮側から順に、外張り耐火物、内張り耐火物を有する溶融金属容器の耐火物ライニング構造体であって、
    前記鉄皮と前記外張り耐火物との間に、樹脂で被覆された石英ガラスファイバが金属管に挿入されている温度センサを設け、
    前記温度センサは、前記金属管内に酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下であるガスが、充填または常温における流速が0〜75m/sの流速で通気されている
    ことを特徴とする耐火物ライニング構造体。
  2. 前記金属管は内径が1.8mm以上でありかつ外径が5.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐火物ライニング構造体。
  3. 前記金属管内に充填または通気されている前記ガスの圧力を測定する圧力測定装置を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の耐火物ライニング構造体。
  4. 樹脂で被覆された石英ガラスファイバが金属管に挿入された構造を有するとともに、前記金属管内には、酸素濃度2%以下でありかつ水蒸気濃度10g/m以下であるガスが、充填または常温における流速が0〜75m/sの流速で通気されていることを特徴とする温度センサ。
  5. 前記金属管内に充填または通気されている前記ガスの圧力を測定する圧力測定装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の温度センサ。
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