JP7302624B2 - 耐火物ライニング構造体 - Google Patents
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Description
ここで、測温用の光ファイバーは、良好な施工性と耐熱温度の両立を目的として、クラッドの表面をポリイミド等の樹脂で被覆している。また、光ファイバーが外部からの応力によって折損するのを防止するために、光ファイバーを金属製保護管に挿入する方法がある。これらに加えて、さらに高温の環境下で使用するために、金属製保護管の表面をセラミックスファイバーで覆う技術がある。
溶融金属を製錬もしくは搬送する容器における耐火物ライニング構造体の耐火物の異常を検知するためには、容器の広範囲にわたって光ファイバーを敷設することが望ましい。例えば直径5mで高さ5mの容器の側面を取り巻くように幅0.1m間隔で螺旋状に光ファイバーを施工する場合は、約800mの光ファイバーを敷設する必要がある。
本発明はこれら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、溶融金属を製錬または搬送する容器における耐火物ライニング構造体の耐火物の損耗状況を光ファイバーを用いた測温によって監視するに際し、耐火物の熱膨張による光の減衰を抑制することでより長い距離の光ファイバーを使用することを可能とした耐火物ライニング構造体を提供することにある。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサの金属製保護管内に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備を備えていることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが700℃以下であることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサの長さが100mを超えることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサが、波状に配置されることが好ましい。
図1には、本発明の第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体を備える溶鋼容器の例として取鍋が模式的に示されている。
溶鋼容器1は、耐火物ライニング構造体2を備えている。本発明の対象となる耐火物ライニング構造体は、溶鋼容器1のみならず、溶融金属を製錬もしくは搬送する容器全般に使用される。そして、対象となる容器は、転炉、取鍋、真空脱ガス、電気炉、高炉鍋、トピードカーなど、特に限定しない。
図1に示す溶鋼容器1の耐火物ライニング構造体2は、鉄皮3側から順に、鉄皮3、緩衝材としての断熱材4及び耐火物5を備えている。また、溶鋼容器1の耐火物ライニング構造体2の底部には、内部と外部とが連通するように開口された開口部1aが形成されるとともに、この開口部1aを開閉するスライディングノズル10が設置されている。
ここで、断熱材4は、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、シート材、ブランケット材、及び断熱レンガの内の1種または2種以上が、容器に応じて適宜選定できる。
なお、断熱材4の断熱レンガの圧縮強度は、JISR2615-1995により測定することができる。
断熱材4にシート材、ブランケット材を使用する場合は、これらシート材、ブランケット材はもともと弾性力を有しているので、耐火物5が膨張した際にシート材、ブランケット材が収縮、変形して、耐火物5からの応力を吸収する効果があり、温度センサ6へかかる応力を緩和することができる。
金属製保護管9は、外径が2mm~6mm、肉厚が0.2mm~2mmの中空管状の金属製管部材であり、その中に光ファイバー7が挿入され、外部から光ファイバー7を保護する。
また、第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体2によれば、温度センサ6が、波状に配置してもよい。これにより、前述したように、光ファイバー7にかかる引張応力が低減し、光の減衰を抑制することができるとともに、光ファイバー7の折損を生じ難くすることができる。
図6に示す耐火物ライニング構造体2は、図2に示す耐火物ライニング構造体2と基本構成は同様で、鉄皮3側から順に、鉄皮3、緩衝材としての断熱材4及び耐火物5を備えている。そして、鉄皮3と耐火物5との間には、緩衝材としての断熱材4とともに温度センサ6が設けられている。
ここで、温度センサ6は、図2に示す温度センサ6と異なり、断熱材4の内周側に設けられ、鉄皮3側から順に、鉄皮3、断熱材4、温度センサ6及び耐火物5が配置されている。耐火物5は、内張り耐火物5aと内張り耐火物5aに対して鉄皮3側に設けられた外張り耐火物5bとから構成されている。温度センサ6は、外張り耐火物5bの外周側に配置され、断熱材4は、鉄皮3の内周側に設置される。
図2に示す断熱材4と同様に、断熱材4にシート材、ブランケット材を使用する場合は、これらシート材、ブランケット材はもともと弾性力を有しているので、耐火物5が膨張した際にシート材、ブランケット材が収縮、変形して、耐火物5からの応力を吸収する効果があり、温度センサ6へかかる応力を緩和することができる。
一方、断熱材4を施工する際の断熱材4の破損を防止するため、断熱材4としての断熱レンガの圧縮強度は0.5MPa以上である。
なお、断熱材4の断熱レンガの圧縮強度は、JISR2615-1995により測定することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体について図7を参照して説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体を説明するための図2と同様の部分断面拡大図である。
図7に示す耐火物ライニング構造体2は、図2に示す耐火物ライニング構造体2と基本構成は同様であるが、図2に示す耐火物ライニング構造体2と異なり、鉄皮3側から順に、鉄皮3、緩衝材としてのモルタル14及び耐火物5を備えている。そして、鉄皮3と耐火物5との間には、緩衝材としてのモルタル14とともに、温度センサ6が設けられている。
モルタル14は、それぞれの容器に合わせて選定される。例えば、取鍋であれば、マグネシアモルタルやハイアルミナモルタルを使用することができる。
なお、モルタル14の0.1MPaの荷重下での100℃から800℃までの線収縮率の測定は、JISR2504-1976耐火モルタルの乾燥及び加熱の線変化率試験方法を用いて行うことができる。
なお、温度センサ6は、耐火物ライニング構造体2の施工中に、設置した位置からずれないように、事前に鉄皮3へ金属テープで固定しても良い。金属テープは300℃を超えると粘着性を失う。
また、第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体2によれば、温度センサ6を、波状に配置することもできる。これにより、前述したように、光ファイバー7にかかる引張応力が低減し、光の減衰を抑制することができるとともに、光ファイバー7の折損を生じ難くすることができる。
例えば、本発明の対象となる耐火物ライニング構造体は、溶鋼容器1のみならず、溶融金属を製錬もしくは搬送する容器全般に使用される。そして、対象となる容器は、転炉、取鍋、真空脱ガス、電気炉、高炉鍋、トピードカーなど、特に限定しない。
また、第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体2(図2及び図6参照)において、断熱材4が1層で構成されているが、断熱材4は2層で構成されていてもよい。この場合、2層の断熱材4間に温度センサ6を設置することができる。2層の断熱材4の材質を互いに異なるものを使用しても良い。
また、第2実施形態に耐火物ライニング構造体2において、モルタル14に発泡性樹脂を入れたものを使用してもよい。これにより、モルタル14のクッション性を向上させることができる。
実施例1~実施例26及び比較例1~比較例12では、容器として直径8m、高さ4mの精錬用容器である電気炉を選定し、それぞれ、6か月間以上使用することを目標として耐火物ライニング構造体を設計して操業を行った。
温度センサによる測温は、横河電機製DTSX-2000を用い、測定分解能を0.5m、測定間隔を0.1m、測定サイクルを1分毎とした。
実施例1~実施例13では、図2に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の外側に設置しており、その実施条件及び評価結果を表1に示した。実施例14~実施例26では、図6に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の内側に設置しており、その実施条件及び評価結果を表2に示した。
いずれも炉の目標使用期間の6か月間を精度良く測温することができた。なお、炉を改修するために測温を6か月間で完了したが、これは6か月が測定期間の上限を意味するものではない。
比較例2~比較例5では、図2に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の外側に設置しており、その実施条件及び評価結果を表3に示した。
比較例2、比較例3、比較例9、及び比較例10は、断熱材の強度が0.2MPaと小さいものを使用しようとしたが、電気炉内に耐火物ライニング構造体を施工する際に、断熱材の搬送、設置に当たって断熱材が崩壊してしまい、工事が困難となったため、使用は中止し、実験できず、温度測定はできなかった。
また、実施例27~実施例30は、図2に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の外側に設置し、断熱材として断熱レンガを使用した場合であるが、電気炉の使用期間中に炉体の一部で局所的に温度上昇が生じた例を示す。各実施条件及び評価結果を表6に示す。
また、本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体の効果を検証すべく、実施例31~実施例36及び比較例13~比較例16を実施した。実施例31~実施例36の実施条件及び評価結果を表7に、比較例13~比較例16の実施条件及び評価結果を表8に示す。
温度センサは、保護被覆としてポリイミド樹脂で被覆した光ファイバーを、外径3.2mm、肉厚0.5mmのSUS316の金属製保護管内に挿入して構成した。温度センサの金属製保護管の内部の雰囲気は大気雰囲気とした。この温度センサを取鍋の側面の鉄皮に予め金属テープで固定し、モルタルで塗り込めながら外張り耐火物を敷設し、更に内張り耐火物を施工した。温度センサは炉底と並行に、螺旋状に敷設し、その長さは300mであった。
表7に示すように、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃まで昇温したときの線収縮率が30%以上かつ厚みが3mm以上15mm以下のモルタルを使用した実施例31~実施例36においては、6か月間の間で最高温度が700℃程度であったが、温度センサ全長に亘り問題なく測定が可能であった。
また、表8の比較例15及び比較例16に示すように、厚みが15mm以下であるにもかかわらず、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃まで昇温したときの線収縮率が30%未満であるモルタルを使用した場合においては、耐火物の膨張をモルタルの収縮で吸収しきれずに、温度センサに応力が掛かり、20日程度で減衰が大きくなり、測定可能な距離が短くなった。
2 耐火物ライニング構造体
3 鉄皮
4 断熱材
5 耐火物
5a 内張り耐火物
5b 外張り耐火物
6 温度センサ
7 光ファイバー
7a コア
7b クラッド
7c 保護被覆
8 空間
9 金属製保護管
10 スライディングノズル
11 ヘッダ
12 チューブ
13 不活性ガス送気設備
Claims (8)
- 溶融金属を製錬または搬送する容器における鉄皮側から順に鉄皮、緩衝材としての断熱材及び耐火物を有する耐火物ライニング構造体であって、
前記鉄皮と前記耐火物との間に、前記緩衝材としての断熱材と、該断熱材の前記鉄皮側又は前記断熱材の前記耐火物側に設置された、保護被覆で被覆された光ファイバーが金属製保護管に挿入されている温度センサとを設け、
前記断熱材は、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及び厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の1種、または、各層の合計の厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及びアルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の2種以上であることを特徴とする耐火物ライニング構造体。 - 溶融金属を製錬または搬送する容器における鉄皮側から順に鉄皮、緩衝材としてのモルタル及び耐火物を有する耐火物ライニング構造体であって、
前記鉄皮と前記耐火物との間に、前記緩衝材としてのモルタルと、該モルタルに埋め込まれた、保護被覆で被覆された光ファイバーが金属製保護管に挿入されている温度センサとを設け、
前記モルタルは、厚みが3mm以上15mm以下で、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%以上であることを特徴とする耐火物ライニング構造体。 - 前記温度センサの金属製保護管内の雰囲気が不活性ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火物ライニング構造体。
- 前記温度センサの金属製保護管内に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備を備えていることを特徴とする請求項3に記載の耐火物ライニング構造体。
- 前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが700℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火物ライニング構造体。
- 前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが800℃以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の耐火物ライニング構造体。
- 前記温度センサの長さが100mを超えることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の耐火物ライニング構造体。
- 前記温度センサが、波状に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の耐火物ライニング構造体。
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