JP7302624B2 - 耐火物ライニング構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属を製錬もしくは搬送する容器における耐火物ライニング構造体に関する。
溶銑容器や溶鋼容器などの窯炉は、耐火物ライニング構造体を備えている。この耐火物ライニング構造体は、鉄皮側から鉄皮及び耐火物を有している。耐火物は、高温溶融物に接する内張り耐火物と鉄皮側の外張り耐火物に分けられる。内張り耐火物は、溶銑、溶鋼及びスラグとの接触による化学的な溶損や、熱負荷に起因する亀裂の発生及び剥離によって損傷するため、完全に消失する前に新しい耐火物と交換する。内張り耐火物の損傷状況は、目視による内張り稼働面の監視や耐火物ライニング構造体に埋め込んだ熱電対や赤外線サーモグラフィーを用いた鉄皮温度監視に加え、光ファイバー測温を用いた鉄皮温度を監視することにより把握される。
光ファイバー測温は、光ファイバーにパルス光を入射し、後方散乱光の到達時間から位置を測定し、ラマン効果によって生じるストークス光とアンチストークス光の強度比を予め校正した値と比較することで温度を測定する技術であり、測定者が設定する時間で統計処理して測定結果を算出する。
ここで、測温用の光ファイバーは、良好な施工性と耐熱温度の両立を目的として、クラッドの表面をポリイミド等の樹脂で被覆している。また、光ファイバーが外部からの応力によって折損するのを防止するために、光ファイバーを金属製保護管に挿入する方法がある。これらに加えて、さらに高温の環境下で使用するために、金属製保護管の表面をセラミックスファイバーで覆う技術がある。
例えば、特許文献1では、樹脂にてコーティングした光ファイバー芯線を金属管で保護し、この金属管の表面を長繊維セラミックスファイバー製耐熱クロスで密着して被覆した測温センサが開示されている。
特許第4264301号公報
しかしながら、特許文献1に記載された測温センサは、実炉に敷設した場合において、昇温した耐火物が熱膨張し、金属製保護管を圧迫し、光ファイバー芯線を曲げる方向に応力がかかり、これにより光ファイバー内を通光する光が減衰してしまい、数十m程度しか測温することができないという問題がある。
溶融金属を製錬もしくは搬送する容器における耐火物ライニング構造体の耐火物の異常を検知するためには、容器の広範囲にわたって光ファイバーを敷設することが望ましい。例えば直径5mで高さ5mの容器の側面を取り巻くように幅0.1m間隔で螺旋状に光ファイバーを施工する場合は、約800mの光ファイバーを敷設する必要がある。
このため、特許文献1に記載された測温センサなどの従来の技術においては、一つの容器の側面全体をカバーしようとすると、光ファイバーを用いた測温センサや測温ユニットを複数設置する必要があり、設備の設置場所を確保することが難しく、また、操作も複雑となり、コスト的にも問題があった。
本発明はこれら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、溶融金属を製錬または搬送する容器における耐火物ライニング構造体の耐火物の損耗状況を光ファイバーを用いた測温によって監視するに際し、耐火物の熱膨張による光の減衰を抑制することでより長い距離の光ファイバーを使用することを可能とした耐火物ライニング構造体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る耐火物ライニング構造体は、溶融金属を製錬または搬送する容器における鉄皮側から順に鉄皮、緩衝材としての断熱材及び耐火物を有する耐火物ライニング構造体であって、前記鉄皮と前記耐火物との間に、前記緩衝材としての断熱材とともに、保護被覆で被覆された光ファイバーが金属製保護管に挿入されている温度センサを設け、前記断熱材は、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及び厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の1種または2種以上であることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る耐火物ライニング構造体は、溶融金属を製錬または搬送する容器における鉄皮側から順に鉄皮、緩衝材としてのモルタル及び耐火物を有する耐火物ライニング構造体であって、前記鉄皮と前記耐火物との間に、前記緩衝材としてのモルタルとともに、保護被覆で被覆された光ファイバーが金属製保護管に挿入されている温度センサを設け、前記モルタルは、厚みが3mm以上15mm以下で、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%以上であることを要旨とする。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサの金属製保護管内の雰囲気が不活性ガスであることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサの金属製保護管内に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備を備えていることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが700℃以下であることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが800℃以下であることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサの長さが100mを超えることが好ましい。
また、前述の耐火物ライニング構造体において、前記温度センサが、波状に配置されることが好ましい。
本発明に係る耐火物ライニング構造体によれば、溶融金属を製錬または搬送する容器における耐火物ライニング構造体の耐火物の損耗状況を光ファイバーを用いた測温によって監視するに際し、耐火物の熱膨張による光の減衰を抑制することでより長い距離の光ファイバーを使用することを可能とした耐火物ライニング構造体を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体を備える溶鋼容器を模式的に示す断面図である。 図1における矢印Aで示す部分の部分断面拡大図である。 図1に示す耐火物ライニング構造体を構成する温度センサの断面図である。 温度センサの金属製保護管内に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備を説明するための図である。 鉄皮と耐火物(外張り耐火物)との間に、温度センサが波状に配置される状態を説明するための溶鋼容器を周方向に展開した展開図である。 図1示す耐火物ライニング構造体の変形例を説明するための図2と同様の部分断面拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体を説明するための図2と同様の部分断面拡大図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。ここで、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体を備える溶鋼容器の例として取鍋が模式的に示されている。
溶鋼容器1は、耐火物ライニング構造体2を備えている。本発明の対象となる耐火物ライニング構造体は、溶鋼容器1のみならず、溶融金属を製錬もしくは搬送する容器全般に使用される。そして、対象となる容器は、転炉、取鍋、真空脱ガス、電気炉、高炉鍋、トピードカーなど、特に限定しない。
図1に示す溶鋼容器1の耐火物ライニング構造体2は、鉄皮3側から順に、鉄皮3、緩衝材としての断熱材4及び耐火物5を備えている。また、溶鋼容器1の耐火物ライニング構造体2の底部には、内部と外部とが連通するように開口された開口部1aが形成されるとともに、この開口部1aを開閉するスライディングノズル10が設置されている。
そして、図2に示すように、鉄皮3と耐火物5との間には、緩衝材としての断熱材4とともに温度センサ6が設けられている。温度センサ6は、断熱材4の外周側(鉄皮3側)に設けられている。耐火物5は、内張り耐火物5aと内張り耐火物5aに対して鉄皮3側に設けられた外張り耐火物5bとから構成されている。断熱材4は、外張り耐火物5bの外周側に設置される。外張り耐火物5bは、1層でも2層以上でもよく、また、使用しない構造であってもよい。外張り耐火物5bを使用しない場合、断熱材4は内張り耐火物5aに接触することになる。
ここで、断熱材4は、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、シート材、ブランケット材、及び断熱レンガの内の1種または2種以上が、容器に応じて適宜選定できる。
断熱材4として断熱レンガを使用する場合は、温度センサ6の後述する金属製保護管9への耐火物5からの熱応力を低減するために、圧縮強度が2MPa以下のものとする、溶鋼容器1内の溶融金属によって耐火物5が高温になり熱膨張を起こすため、耐火物5側から鉄皮3側へ熱応力がかかる。その際に、温度センサ6の後述する光ファイバー7へ外部から応力がかかり、光ファイバー7のコア7a内を通光する光が減衰してしまう。このとき、断熱材4としての断熱レンガの圧縮強度が2MPa以下であれば、耐火物5からの応力に対し断熱材4が変形し、断熱材4の外周側(鉄皮3側)に設けられている温度センサ6へかかる応力を緩和することができる。
一方、断熱材4を施工する際の断熱材4の破損を防止するため、断熱材4としての断熱レンガの圧縮強度は0.5MPa以上である必要がある。
なお、断熱材4の断熱レンガの圧縮強度は、JISR2615-1995により測定することができる。
断熱材4にシート材、ブランケット材を使用する場合は、これらシート材、ブランケット材はもともと弾性力を有しているので、耐火物5が膨張した際にシート材、ブランケット材が収縮、変形して、耐火物5からの応力を吸収する効果があり、温度センサ6へかかる応力を緩和することができる。
断熱材4は、断熱材厚みを後述する金属製保護管9の外径で割った値を0.9以上とする必要がある。この計算に用いる断熱材厚みは耐火物ライニング構造体に施工する前の外力が掛かっていないときの厚みである。断熱材厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9よりも小さいと、断熱材4が変形できる範囲が狭くなり、緩衝材としての効果が弱くなる。つまり耐火物5からの応力に対し断熱材4が変形しても、断熱材4の外周側(鉄皮3側)に設けられている温度センサ6へかかる応力を適切に緩和することができなくなる。一方、断熱材4の厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9以上の場合、緩衝材としての機能には問題がなく、本発明の効果を奏することができる。ただし、温度センサ6の変位量は耐火物ライニング構造体を構成する容器の大きさ、形状や耐火物の性状、使用温度により自ずと上限があるので、断熱材4を必要以上に厚くする必要はない。断熱材4を厚くすることで、耐火物ライニング構造体2を有する容器の内容量が小さくなることもあり、本発明を適用する容器に応じて、使用中の耐火物5の熱膨張を計算し、温度センサ6の変位の大きさを予測してこれを吸収できる程度に断熱材4の厚みを決定すればよい。本発明で対象とする工業的に使用される溶融金属を数十tから数百t程度を収容する容器の場合、断熱材4の厚みは30mm程度であれば十分であると考えられる。
次に、温度センサ6は、図3に示すように、鉄皮3の温度を測温する光ファイバー7と、この光ファイバー7が挿入される金属製保護管9とを備えている。
金属製保護管9は、外径が2mm~6mm、肉厚が0.2mm~2mmの中空管状の金属製管部材であり、その中に光ファイバー7が挿入され、外部から光ファイバー7を保護する。
光ファイバー7は、コア7aと、コア7a外周に設けられるクラッド7bと、クラッド7bの外周に被覆された保護被覆7cとを備えている。コア7a及びクラッド7bの材質は石英ガラスであり、光ファイバー7は石英ガラスファイバーを構成する。保護被覆7cの材質は、高温用のポリイミド樹脂であることが望ましい。また、保護被覆7cは、金や銅に微量のニッケルを添加した合金を使用することもできる。光ファイバー7は、測温用光ファイバーに用いられるマルチモードファイバーで、ITU-TG.651に準拠するファイバーを用いることができる。
金属製保護管9内の光ファイバー7との間の空間8には、通常、光ファイバー7を金属製保護管9内に挿入した際に入った空気が雰囲気として存在している。光ファイバー7の保護被覆7cがポリイミド樹脂の場合、温度センサ6の温度が700℃よりも高温になると、空間8中の空気中の酸素により酸化したポリイミド樹脂が石英ガラスで構成されるクラッド7b及びコア7a内に侵入し、組織を破壊するため、温度センサ6の温度は700℃以下であることが望ましい。
ここで、本実施形態の耐火物ライニング構造体2を備える溶鋼容器1を使用する間に、耐火物5は受容する溶鋼、スラグ等の接触により、溶損や摩耗、剥離といった損耗を受けるため、耐火物5はその内面から消耗していく。耐火物5が消耗していくと、鉄皮3の温度が上昇して溶損や変形が生じ容器としての機能を果たせないため、耐火物5がある程度消耗した段階で、耐火物5の補修を行う。ここで、本実施形態では、耐火物5として内張り耐火物5aと外張り耐火物5bとを備えている。
内張り耐火物5aとして溶融物である溶鋼やスラグの温度や組成、流動などによる損耗に強い緻密な耐火物を使用し、その外側の鉄皮3側に外張り耐火物5bとして断熱性の高い耐火物を使用することが行われている。この場合、内張り耐火物5aが損耗して消失する前に容器の使用を中断し、内張り耐火物5aの補修を行って、改めて容器の使用を再開する、という方法が採られる。このとき、内張り耐火物5aが消失した状態で、溶鋼容器1の内壁面の温度が、溶鋼容器1を使用する溶融物としての溶鋼の温度となったと仮定すると、残存する外張り耐火物5bと断熱材4、鉄皮3の温度分布を計算することができるが、このときに、温度センサ6が設置されている位置での温度が700℃以下となるように耐火物ライニング構造体2を設計する。これにより、保護被覆7cを構成するポリイミド樹脂が温度センサ6内の空間8中の空気中の酸素により酸化することなく、石英ガラスで構成されるクラッド7b及びコア7aを劣化させることを防止することができる。
なお、温度センサ6として、金属製保護管9内の光ファイバー7との間の空間8中の雰囲気を不活性ガスとした温度センサを使用しても良い。このような温度センサを使用すると、内張り耐火物5aが損耗し消失した状態で、温度センサ6が設置されている位置での温度が800℃以下となるように耐火物ライニング構造体2を設計することができる。800℃を超える温度となると、温度センサ6の金属製保護管9と光ファイバー7との熱膨張率の相違により、光ファイバー7に張力が働き、光ファイバー7が断線する確率が高くなる。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、窒素等、保護被覆7cとの反応性が低いガスを使用することができる。
空間8中の雰囲気を不活性ガスとするために、光ファイバー7を金属製保護管9に挿入する際に空間8に不活性ガスを封入するようにしてもよいし、あるいは図4(A),(B)に示すような温度センサ6の空間8内に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備13を用いて、空間8内に不活性ガスを常に流通させるようにしてもよい。図4(A),(B)に示すような場合、不活性ガス送気設備13に接続されたチューブ12にヘッダ11を接続し、溶鋼容器1の鉄皮3の外周面にヘッダ11を配置する。そして、温度センサ6の両端を開放しておき、ヘッダ11から温度センサ6の一端側の入口開放端から不活性ガスを送気し、他端側の出口開放端から排出するようにする。これを常時続けることで、温度センサ6の空間8内を不活性ガスで充満させることができる。
なお、光ファイバー7を利用した温度センサ6は、温度センサ6の両端にパルス光の発受信装置を設置して、両端から温度測定を行う方式としてもよい。温度センサ6の両端に発受信装置を設置し、両端から温度測定を行う構成だと、光ファイバー7の一部が損傷した場合に、当該損傷位置から端部までの領域を両端から温度計測することができるため、光ファイバー7が一か所損傷してもほぼ全長に亘る温度測定が継続できる。もちろん、パルス光の発受信装置を一端のみに設置した場合であっても、損傷個所よりも手前の領域での温度測定は支障がなく、本発明の効果を奏することには相違がない。
また、温度センサ6を耐火物5と鉄皮3との間に設置するに際しては、図5に示すように、溶鋼容器1、即ち鉄皮3のほぼ周方向全周にわたって温度センサ6を波状に配置することができる。温度センサ6の一部で温度上昇があったときに、温度センサ6の光ファイバー7と金属製保護管9とはそれぞれ熱膨張する。一般に、金属製保護管9の熱膨張率は2×10-5程度であるのに対して、光ファイバー7の熱膨張率は1×10-6程度であって一桁小さい。このため、金属製保護管9が、鉄皮3に部分的に2か所固定された状態で温度が上がると、固定された2か所で、金属製保護管9と光ファイバー7の熱膨張率の差によって光ファイバー7に引張応力がかかり、それによって光ファイバー7内を通光する光が減衰する。あるいは、この引張応力が大きすぎると、光ファイバー7が折損する可能性がある。このとき、温度センサ6を波状に配置していると、金属製保護管9と光ファイバー7との間にある空間8内で光ファイバー7が軸方向と垂直な方向へ動く余裕があるために、温度センサ6が同じ温度まで上昇したときに光ファイバー7にかかる引張応力が低減し、光の減衰を抑制することができるとともに、折損し難くなる。
このように、第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体2によれば、鉄皮3と耐火物5との間に、緩衝材としての断熱材4とともに、保護被覆7cで被覆された光ファイバー7が金属製保護管9に挿入されている温度センサ6が設けられている。そして、断熱材4は、厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及び厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の1種または2種以上である。
これにより、溶鋼容器1の耐火物5の損耗状況を光ファイバー7を用いた測温によって監視するに際し、耐火物5が熱膨張した際に耐火物5からの応力に対し断熱材4が適切に変形し、断熱材4の外周側(鉄皮3側)に設けられている温度センサ6の金属製保護管9の変形を防止することができ、光ファイバー7の変形を回避することができる。このため、耐火物5の熱膨張による光ファイバー7内を通光する光の減衰を抑制することができ、長い距離の光ファイバー、例えば、100mを超える光ファイバー7を温度センサ6として使用することが可能となる。
また、第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体2によれば、温度センサ6が、波状に配置してもよい。これにより、前述したように、光ファイバー7にかかる引張応力が低減し、光の減衰を抑制することができるとともに、光ファイバー7の折損を生じ難くすることができる。
次に、耐火物ライニング構造体2の変形例を図6を参照して説明する。図6は、耐火物ライニング構造体の変形例を説明するための図2と同様の部分断面拡大図である。
図6に示す耐火物ライニング構造体2は、図2に示す耐火物ライニング構造体2と基本構成は同様で、鉄皮3側から順に、鉄皮3、緩衝材としての断熱材4及び耐火物5を備えている。そして、鉄皮3と耐火物5との間には、緩衝材としての断熱材4とともに温度センサ6が設けられている。
ここで、温度センサ6は、図2に示す温度センサ6と異なり、断熱材4の内周側に設けられ、鉄皮3側から順に、鉄皮3、断熱材4、温度センサ6及び耐火物5が配置されている。耐火物5は、内張り耐火物5aと内張り耐火物5aに対して鉄皮3側に設けられた外張り耐火物5bとから構成されている。温度センサ6は、外張り耐火物5bの外周側に配置され、断熱材4は、鉄皮3の内周側に設置される。
ここで、断熱材4は、図2に示す断熱材4と同様に、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、シート材、ブランケット材、及び断熱レンガの内の1種または2種以上が、容器に応じて適宜選定できる。
図2に示す断熱材4と同様に、断熱材4にシート材、ブランケット材を使用する場合は、これらシート材、ブランケット材はもともと弾性力を有しているので、耐火物5が膨張した際にシート材、ブランケット材が収縮、変形して、耐火物5からの応力を吸収する効果があり、温度センサ6へかかる応力を緩和することができる。
また、断熱材4に断熱レンガを使用する場合は、温度センサ6の金属製保護管9への耐火物5からの熱応力を低減するために、圧縮強度が2MPa以下のものとする。溶鋼容器1内の溶融金属によって耐火物5が高温になり熱膨張を起こすため、耐火物5側から鉄皮3側へ熱応力がかかる。その際に、温度センサ6の光ファイバー7へ外部から応力がかかり、光ファイバー7のコア7a内を通光する光が減衰してしまう。このとき、耐火物5からの応力がその外周側にある温度センサ6に作用して温度センサ6が外側に変位するが、断熱材4の圧縮強度が2MPa以下であれば、温度センサ6の外側への変位を断熱材4が変形して吸収する。これにより、温度センサ6へかかる応力を緩和することができる。
一方、断熱材4を施工する際の断熱材4の破損を防止するため、断熱材4としての断熱レンガの圧縮強度は0.5MPa以上である。
なお、断熱材4の断熱レンガの圧縮強度は、JISR2615-1995により測定することができる。
また、断熱材4は、厚みを金属製保護管9の外径で割った値を0.9以上とする必要がある。断熱材4の厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9よりも小さいと、断熱材4が変形できる範囲が狭くなり、緩衝材としての効果が弱くなる。つまり耐火物5からの応力に対し断熱材4が変形しても、断熱材4の外周側(鉄皮3側)に設けられている温度センサ6へかかる応力を適切に緩和することができなくなる。一方、断熱材4の厚みを金属製保護管9の外径で割った値が0.9以上の場合、緩衝材としての機能には問題がなく、本発明の効果を奏することができる。ただし、温度センサ6の変位量は耐火物ライニング構造体を構成する容器の大きさ、形状や耐火物の性状、使用温度により自ずと上限があるので、断熱材4を必要以上に厚くする必要はない。断熱材4を厚くすることで、耐火物ライニング構造体2を有する容器の内容量が小さくなることもあり、本発明を適用する容器に応じて、使用中の耐火物5の熱膨張を計算し、温度センサ6の変位の大きさを予測してこれを吸収できる程度に断熱材4の厚みを決定すればよい。本発明で対象とする工業的に使用される溶融金属を数十tから数百t程度を収容する容器の場合、断熱材4の厚みは30mm程度であれば十分であると考えられる。
図6に示す変形例に係る耐火物ライニング構造体2は、温度センサ6と断熱材4の配置順以外は、図2に示す耐火物ライニング構造体2と同様であり、温度センサ6の構造及び温度センサ6の温度(700℃以下)については同様である。また、温度センサ6の空間8の雰囲気を不活性ガスとしてもよく、その場合、温度センサ6の温度を800℃以下とすることができる。また、温度センサ6を溶鋼容器1のほぼ周方向全周にわたって波状に配置することもできる。
そして、変形例に係る耐火物ライニング構造体2によれば、鉄皮3と耐火物5との間に、緩衝材としての断熱材4とともに、保護被覆7cで被覆された光ファイバー7が金属製保護管9に挿入されている温度センサ6が断熱材4の内周側に設けられている。そして、断熱材4は、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及び厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の1種または2種以上である。
これにより、溶鋼容器1の耐火物5の損耗状況を光ファイバー7を用いた測温によって監視するに際し、耐火物5が熱膨張した際に耐火物5からの応力に対し温度センサ6が外側へ変位するが温度センサ6の外側への変位を断熱材4が適切に変形して吸収する。これにより、断熱材4の内周側に配置されている温度センサ6の金属製保護管9の変形を防止することができ、光ファイバー7の変形を回避することができる。このため、耐火物5の熱膨張による光ファイバー7内を通光する光の減衰を抑制することができ、長い距離の光ファイバー、例えば、100mを超える光ファイバー7を温度センサ6として使用することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体について図7を参照して説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体を説明するための図2と同様の部分断面拡大図である。
図7に示す耐火物ライニング構造体2は、図2に示す耐火物ライニング構造体2と基本構成は同様であるが、図2に示す耐火物ライニング構造体2と異なり、鉄皮3側から順に、鉄皮3、緩衝材としてのモルタル14及び耐火物5を備えている。そして、鉄皮3と耐火物5との間には、緩衝材としてのモルタル14とともに、温度センサ6が設けられている。
耐火物5は、内張り耐火物5aと内張り耐火物5aに対して鉄皮3側に設けられた外張り耐火物5bとから構成されている。温度センサ6は、外張り耐火物5bの外周側に配置され、モルタル14は鉄皮3と外張り耐火物5bとの間に施工される。
モルタル14は、それぞれの容器に合わせて選定される。例えば、取鍋であれば、マグネシアモルタルやハイアルミナモルタルを使用することができる。
モルタル14は、厚みが3mm以上で15mm以下で、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%以上であることが必要である。モルタル14の厚みが15mm以下であれば、温度センサ6の金属製保護管9への耐火物5からの熱応力を低減することができる。これにより、光ファイバー7のコア7a内を通光する光の減衰を抑制することができる。一方、モルタル14の厚みが15mmよりも厚いと、築炉工の技能によって施工後の耐火物特性にばらつきが生じる。また、モルタル14の厚みが3mmよりも薄いと、耐火物5からの応力に対しモルタル14が変形する範囲が小さく、温度センサ6へかかる応力を適切に緩和することができなくなる。
また、モルタル14の0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%以上であれば、緩衝材として容易に変形し、温度センサ6の金属製保護管9への耐火物5からの熱応力を適切に低減することができ、光ファイバー7のコア7a内を通光する光の減衰を抑制することができる。一方、モルタル14の0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%未満であると、緩衝材としての効果が弱く、耐火物5からの応力に対しモルタル14の収縮量が小さく、温度センサ6へかかる応力を適切に緩和することができなくなる。
なお、モルタル14の0.1MPaの荷重下での100℃から800℃までの線収縮率の測定は、JISR2504-1976耐火モルタルの乾燥及び加熱の線変化率試験方法を用いて行うことができる。
また、電気炉や取鍋などの窯炉に施工したれんがなどの定型耐火物やキャスタブルなどの不定形耐火物は、窯炉に使用することで施工した位置から動く現象が知られている。当該定型耐火物や不定形耐火物が施工した位置から動くことによって温度センサ6の金属製保護管9が固定される場合がある。これに対して、第2実施形態のモルタル14を使用することで、温度センサ6の金属製保護管9が自由に動くことができる。
なお、温度センサ6は、耐火物ライニング構造体2の施工中に、設置した位置からずれないように、事前に鉄皮3へ金属テープで固定しても良い。金属テープは300℃を超えると粘着性を失う。
図7に示す第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体2は、緩衝材としてモルタル14を使用する以外は、図2に示す第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体2と同様であり、温度センサ6の構造及び温度センサ6の温度(700℃以下)については同様である。また、温度センサ6の空間8の雰囲気を不活性ガスとしてもよく、その場合、温度センサ6の温度を800℃以下とすることができる。また、温度センサ6を溶鋼容器1のほぼ周方向全周にわたって波状に配置することができる。
そして、第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体2によれば、鉄皮3と耐火物5との間に、緩衝材としてのモルタル14とともに、保護被覆7cで被覆された光ファイバー7が金属製保護管9に挿入されている温度センサ6が設けられている。そして、モルタル14は、厚みが3mm以上15mm以下で、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%以上である。
これにより、溶鋼容器1の耐火物5の損耗状況を光ファイバー7を用いた測温によって監視するに際し、耐火物5が熱膨張した際に耐火物5からの応力に対しモルタル14が適切に変形し、温度センサ6の金属製保護管9の変形を防止することができ、光ファイバー7の変形を回避することができる。このため、耐火物5の熱膨張による光ファイバー7内を通光する光の減衰を抑制することができ、長い距離の光ファイバー、例えば、100mを超える光ファイバー7を温度センサ6として使用することが可能となる。
また、第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体2によれば、温度センサ6を、波状に配置することもできる。これにより、前述したように、光ファイバー7にかかる引張応力が低減し、光の減衰を抑制することができるとともに、光ファイバー7の折損を生じ難くすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、本発明の対象となる耐火物ライニング構造体は、溶鋼容器1のみならず、溶融金属を製錬もしくは搬送する容器全般に使用される。そして、対象となる容器は、転炉、取鍋、真空脱ガス、電気炉、高炉鍋、トピードカーなど、特に限定しない。
また、第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体2(図2及び図6参照)において、断熱材4が1層で構成されているが、断熱材4は2層で構成されていてもよい。この場合、2層の断熱材4間に温度センサ6を設置することができる。2層の断熱材4の材質を互いに異なるものを使用しても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体2において、温度センサ6は波状に配置できる(図5参照)が、必ずしも波状に配置しなくてもよい。
また、第2実施形態に耐火物ライニング構造体2において、モルタル14に発泡性樹脂を入れたものを使用してもよい。これにより、モルタル14のクッション性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る耐火物ライニング構造体の効果を検証すべく、実施例1~実施例26及び比較例1~比較例12を実施した。
実施例1~実施例26及び比較例1~比較例12では、容器として直径8m、高さ4mの精錬用容器である電気炉を選定し、それぞれ、6か月間以上使用することを目標として耐火物ライニング構造体を設計して操業を行った。
温度センサは、保護被覆としてポリイミド樹脂で被覆した光ファイバーを金属製保護管として外径2.0mmで肉厚0.2mm、外径2.6mmで肉厚0.3mm、外径3.2mmで肉厚0.5mm、外径6.0mmで肉厚1.0mmのSUS316に挿入して温度センサとした。温度センサの金属製保護管の内部の雰囲気は実施例1~実施例7、実施例14~実施例19、比較例1、比較例6~比較例8では大気雰囲気とし、実施例8~実施例13、実施例20~実施例26、比較例2~比較例5、比較例9~比較例12では、金属製保護管の内部に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備を用いてArガス雰囲気にした。この温度センサの長さは800mmとした。
また、実施例1~実施例26及び比較例1~比較例12では、外張り耐火物としてMgOれんがを用い、内張り耐火物としてMgO-Cれんがを用いた。ここで、目標の使用期間中に内張り耐火物が損耗して温度センサの設置位置での温度が上昇していくことを想定し、外張り耐火物の外側での温度が、金属製保護管の内部を大気雰囲気にした例では700℃、Arガス雰囲気にした例では800℃を、超えないように外張り耐火物の厚みを変えて耐火物ライニング構造体を設計した。
また、実施例1~実施例13及び比較例2~比較例5、比較例9~比較例12では、断熱材として、アルミナ・シリカ質の断熱レンガを用い、実施例14~実施例26及び比較例6~比較例8では、断熱材として、アルミナ・シリカ質のブランケット材を用いた。
温度センサによる測温は、横河電機製DTSX-2000を用い、測定分解能を0.5m、測定間隔を0.1m、測定サイクルを1分毎とした。
実施例1~実施例13では、図2に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の外側に設置しており、その実施条件及び評価結果を表1に示した。実施例14~実施例26では、図6に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の内側に設置しており、その実施条件及び評価結果を表2に示した。
Figure 0007302624000001
Figure 0007302624000002
温度センサの金属製保護管の内部を大気雰囲気にした実施例1~実施例7、実施例14~実施例19では、使用期間中の温度センサで測温した800mの範囲で最高温度は700℃程度であった。また、温度センサの金属製保護管の内部をArガス雰囲気にした実施例8~実施例13、実施例20~実施例26では、使用期間中の温度センサで測温した800mの範囲で最高温度は800℃程度であった。
いずれも炉の目標使用期間の6か月間を精度良く測温することができた。なお、炉を改修するために測温を6か月間で完了したが、これは6か月が測定期間の上限を意味するものではない。
比較例1では、断熱材を用いずに鉄皮と耐火物との間に温度センサを施工した場合である。この場合、温度センサ(光ファイバー)を800m敷設したが、稼働2日後に光ファイバーを通光する光の減衰が大きくなり、測定可能な温度センサの距離は30mであった。これは、電気炉の使用開始により炉体を形成する耐火物の温度が上昇して膨張したため、鉄皮と外張り耐火物との間に施工した温度センサに外力が掛かり光ファイバーを通光する光の減衰が大きくなったためと考えられる。
比較例2~比較例5では、図2に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の外側に設置しており、その実施条件及び評価結果を表3に示した。
Figure 0007302624000003
比較例6~比較例8及び比較例9~比較例12では、図6に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の内側に設置しており、その実施条件及び評価結果をそれぞれ表4及び表5に示す。比較例6~比較例8では断熱材としてブランケット材を使用し、比較例9~比較例12では断熱材として断熱レンガを使用した。
Figure 0007302624000004
Figure 0007302624000005
比較例6~比較例8は断熱材厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9未満であり、電気炉の使用を開始してから20日~30日程度経過後に温度センサの測定する最高温度が600℃~700℃に上昇した段階で、温度センサで検知する後方散乱光が大きく減衰する状態となって、測定可能な距離も50m~90m程度となってしまい、容器全体の異常を検知するには不十分となった。
比較例2、比較例3、比較例9、及び比較例10は、断熱材の強度が0.2MPaと小さいものを使用しようとしたが、電気炉内に耐火物ライニング構造体を施工する際に、断熱材の搬送、設置に当たって断熱材が崩壊してしまい、工事が困難となったため、使用は中止し、実験できず、温度測定はできなかった。
比較例4、比較例5、比較例11、及び比較例12は断熱材の強度が5MPaと大きいものを使用した。これらの例では、電気炉の使用を開始してから1日~3日程度で温度センサで検知する後方散乱光が大きく減衰する状態となって、測定可能な距離も30m~40m程度となってしまい、容器全体の異常を検知するには不十分となった。
また、実施例27~実施例30は、図2に示す耐火物ライニング構造体のように温度センサを断熱材の外側に設置し、断熱材として断熱レンガを使用した場合であるが、電気炉の使用期間中に炉体の一部で局所的に温度上昇が生じた例を示す。各実施条件及び評価結果を表6に示す。
Figure 0007302624000006
実施例27及び実施例28は、温度センサの金属製保護管の内部雰囲気が大気雰囲気の条件であったが、電気炉の使用期間の末期において、温度センサの一部の領域で750℃と高温になった例を示している。高温となった領域では光ファイバーの保護被覆が空気と反応して光ファイバーを劣化させ、光ファイバーが断線し、断線した位置よりも先の温度センサの設置位置での測温ができなくなった。
また、実施例29及び実施例30は、温度センサの金属製保護管の内部の雰囲気がArガス雰囲気の条件であり、電気炉の使用期間の末期において、温度センサの一部の領域で850℃と高温になった例を示している。高温となった領域では、温度センサの金属製保護管と光ファイバーとの熱膨張率の相違により、光ファイバーに張力が働き、光ファイバーが断線し、断線した位置よりも先の温度センサの設置位置での測温ができなかった。
しかしながら、実施例27~実施例30のいずれの場合においても、局所的に温度が上昇して断線した位置よりも手前の領域では、100m以上に亘り6か月間安定して温度測定ができた。
また、本発明の第2実施形態に係る耐火物ライニング構造体の効果を検証すべく、実施例31~実施例36及び比較例13~比較例16を実施した。実施例31~実施例36の実施条件及び評価結果を表7に、比較例13~比較例16の実施条件及び評価結果を表8に示す。
Figure 0007302624000007
Figure 0007302624000008
実施例31~実施例36及び比較例13~比較例16では、容器として直径5mの取鍋を選定し、それぞれ、6か月間以上使用することを目標として耐火物ライニング構造体を設計して操業を行った。
温度センサは、保護被覆としてポリイミド樹脂で被覆した光ファイバーを、外径3.2mm、肉厚0.5mmのSUS316の金属製保護管内に挿入して構成した。温度センサの金属製保護管の内部の雰囲気は大気雰囲気とした。この温度センサを取鍋の側面の鉄皮に予め金属テープで固定し、モルタルで塗り込めながら外張り耐火物を敷設し、更に内張り耐火物を施工した。温度センサは炉底と並行に、螺旋状に敷設し、その長さは300mであった。
各実施例及び比較例では、実験室で0.1MPaの荷重下で100℃から800℃まで昇温したときの線収縮率及び厚さがそれぞれ表7及び表8に示すモルタルを施工した。
表7に示すように、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃まで昇温したときの線収縮率が30%以上かつ厚みが3mm以上15mm以下のモルタルを使用した実施例31~実施例36においては、6か月間の間で最高温度が700℃程度であったが、温度センサ全長に亘り問題なく測定が可能であった。
一方、表8の比較例13に示すように、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃まで昇温したときの線収縮率が30%以上であるが厚みが3mmよりも薄いモルタルを使用した場合、耐火物の膨張をモルタルで収縮しきれずに、温度センサに応力が掛かり、20日程度で減衰が大きくなり、測定可能な距離が80mと低下した。さらに、比較例14に示すように、厚みが15mmよりも厚いモルタルを使用した場合、モルタル塗布時に一部が剥落し、安定した築炉ができなかった。
また、表8の比較例15及び比較例16に示すように、厚みが15mm以下であるにもかかわらず、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃まで昇温したときの線収縮率が30%未満であるモルタルを使用した場合においては、耐火物の膨張をモルタルの収縮で吸収しきれずに、温度センサに応力が掛かり、20日程度で減衰が大きくなり、測定可能な距離が短くなった。
1 溶鋼容器(容器)
2 耐火物ライニング構造体
3 鉄皮
4 断熱材
5 耐火物
5a 内張り耐火物
5b 外張り耐火物
6 温度センサ
7 光ファイバー
7a コア
7b クラッド
7c 保護被覆
8 空間
9 金属製保護管
10 スライディングノズル
11 ヘッダ
12 チューブ
13 不活性ガス送気設備

Claims (8)

  1. 溶融金属を製錬または搬送する容器における鉄皮側から順に鉄皮、緩衝材としての断熱材及び耐火物を有する耐火物ライニング構造体であって、
    前記鉄皮と前記耐火物との間に、前記緩衝材としての断熱材と、該断熱材の前記鉄皮側又は前記断熱材の前記耐火物側に設置された、保護被覆で被覆された光ファイバーが金属製保護管に挿入されている温度センサを設け、
    前記断熱材は、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及び厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の1種、または、各層の合計の厚みを金属製保護管の外径で割った値が0.9以上で、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のブランケット材、アルミナ質またはアルミナ・シリカ質のシート材、及びアルミナ質またはアルミナ・シリカ質の、圧縮強度が0.5MPa~2MPaの断熱レンガの内の2種以上であることを特徴とする耐火物ライニング構造体。
  2. 溶融金属を製錬または搬送する容器における鉄皮側から順に鉄皮、緩衝材としてのモルタル及び耐火物を有する耐火物ライニング構造体であって、
    前記鉄皮と前記耐火物との間に、前記緩衝材としてのモルタルと、該モルタルに埋め込まれた、保護被覆で被覆された光ファイバーが金属製保護管に挿入されている温度センサを設け、
    前記モルタルは、厚みが3mm以上15mm以下で、0.1MPaの荷重下で100℃から800℃までの線収縮率が30%以上であることを特徴とする耐火物ライニング構造体。
  3. 前記温度センサの金属製保護管内の雰囲気が不活性ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火物ライニング構造体。
  4. 前記温度センサの金属製保護管内に不活性ガスを送気する不活性ガス送気設備を備えていることを特徴とする請求項3に記載の耐火物ライニング構造体。
  5. 前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが700℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火物ライニング構造体。
  6. 前記耐火物が、内張り耐火物と該内張り耐火物に対して前記鉄皮側に設けられた外張り耐火物とから構成され、前記内張り耐火物が消失したときに前記温度センサが800℃以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の耐火物ライニング構造体。
  7. 前記温度センサの長さが100mを超えることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の耐火物ライニング構造体。
  8. 前記温度センサが、波状に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の耐火物ライニング構造体。
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