JP7107140B2 - 転炉の羽口構造 - Google Patents

転炉の羽口構造 Download PDF

Info

Publication number
JP7107140B2
JP7107140B2 JP2018182946A JP2018182946A JP7107140B2 JP 7107140 B2 JP7107140 B2 JP 7107140B2 JP 2018182946 A JP2018182946 A JP 2018182946A JP 2018182946 A JP2018182946 A JP 2018182946A JP 7107140 B2 JP7107140 B2 JP 7107140B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tuyere
converter
diameter
nozzle
tapered surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018182946A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020050926A (ja
Inventor
泰隆 野口
政樹 宮田
秀平 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018182946A priority Critical patent/JP7107140B2/ja
Publication of JP2020050926A publication Critical patent/JP2020050926A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7107140B2 publication Critical patent/JP7107140B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Furnace Charging Or Discharging (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Description

本発明は、転炉の羽口構造に関する。
転炉は、通常、底吹き羽口構造を有している。羽口構造は、転炉内において鉄皮に設置された羽口煉瓦を含む耐火構造物と、この耐火構造物に挿入された金属製の底吹きノズルと、を有している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の底吹きノズルは、直線管である。上底吹き転炉では、底吹きノズルから不活性ガスが転炉内に吹き込まれる。
特開2013-159801号公報
図1(A)および図1(B)は、従来の転炉100の羽口構造101における課題を説明するための模式図である。図1(A)を参照して、羽口煉瓦102には、耐熱性の高い煉瓦として、MgO-C煉瓦が用いられる。また、底吹きノズル103には、耐熱性の高い金属管が用いられる。この金属管の材料として、例えばオーステナイト系ステンレス鋼が使用される。このような構成において、転炉100内に鉄の溶湯が注入され転炉100の炉底部の温度が上昇すると、羽口煉瓦102と底吹きノズル103はいずれも熱膨張する。
しかしながら、MgO-C煉瓦からなる羽口煉瓦102の線膨張係数よりも、オーステナイト系ステンレス鋼からなる底吹きノズル103の線膨張係数のほうが、大きい。このため、底吹きノズル103の熱膨張量は、羽口煉瓦102の熱膨張量よりも大きくなる。
円筒形状である底吹きノズル103が熱膨張すると、当該底吹きノズル103は、外径が大きくなるとともに、全長が大きくなる。底吹きノズル103の外径が大きくなることで、底吹きノズル103の外周面は、当該底吹きノズル103の周囲の羽口煉瓦102を矢印F11に示すように押し広げるように変形する。この状態で底吹きノズル103が矢印F12に示すように底吹きノズル102の軸方向S1に膨張すると、羽口煉瓦102が軸方向S1に沿って底吹きノズル103によって上方に向けて引っ張られる。その結果、底吹きノズル103と接触する部分の羽口煉瓦102には、軸方向S1の引張応力が発生する。
また、羽口煉瓦102の熱伝導率よりも金属製の底吹きノズル103の熱伝導率のほうが高い。つまり、羽口煉瓦102の温度上昇速度よりも底吹きノズル103の温度上昇速度のほうが高いため、羽口構造101に熱的な衝撃が加わると、底吹きノズル103と羽口煉瓦102の温度差が大きくなる。その結果、底吹きノズル103の熱膨張量と羽口煉瓦102の熱膨張量との差はさらに大きくなる。その結果、羽口煉瓦102に発生する引張応力は、さらに高まる。
ここで、煉瓦(羽口煉瓦102)は、圧縮負荷に対する破壊強度は高いが、引張負荷に対する破壊強度は比較的低い。このため、羽口煉瓦102に底吹きノズル103からの荷重に起因する引張応力が発生すると、羽口煉瓦102に割れ105が発生し,スポーリング発生の原因になる。スポーリングが発生した結果、図1(A)および図1(B)に示すように、羽口煉瓦102のうち羽口上面104の付近のブロック状部分106は、転炉100内の溶湯によって羽口構造101から脱落する。
このブロック状部分106は、羽口上面104からの厚みが例えば数mm~数十mm程度である。その結果、底吹きノズル103のうち羽口上面104の付近における一部分107は、溶湯に直接曝され、損耗速度が格段に高くなる。このような、羽口煉瓦102にスポーリングが発生→羽口煉瓦102の一部消滅→底吹きノズル103の損耗促進、のサイクルが繰り返される結果、底吹きノズル103の損耗が促進される。その結果、羽口構造101の更新から交換までの期間が短くなり、羽口構造101の更新周期が短くなってしまう。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、羽口煉瓦のスポーリングを抑制することのできる、転炉の羽口構造を提供することを目的としている。
本発明は、下記の転炉の羽口構造を要旨とする。
(1)転炉の炉底部に配置される羽口構造であって、羽口煉瓦を含む羽口耐火物と、前記羽口耐火物に埋設され前記転炉内に開口する埋設部を有し、前記炉底部から前記転炉内にガスを吹き込むための金属製のノズルと、を備え、前記埋設部の外周面は、前記転炉の内側に進むに従い直径が大きくなる拡径テーパ面を含んでいる。
(2)前記(1)に記載の転炉の羽口構造であって、前記拡径テーパ面は、前記羽口構造の使用前における前記羽口構造の上面位置と、所定の交換基準損耗深さ位置と、の間の少なくとも一部に配置されている。
(3)前記(1)または(2)に記載の転炉の羽口構造であって、前記拡径テーパ面は、前記埋設部の前記外周面の全域に亘って配置されている。
(4)前記(1)または(2)に記載の転炉の羽口構造であって、前記埋設部の前記外周面は、直径が一定の円筒面をさらに含み、前記拡径テーパ面は、前記円筒面から前記羽口構造の上面まで延びている。
(5)前記(1)または(2)に記載の転炉の羽口構造であって、前記埋設部の前記外周面は、前記拡径テーパ面の下方に配置され前記拡径テーパ面側に進むに従い直径が小さくなる縮径テーパ面をさらに含む。
本発明によれば、羽口煉瓦のスポーリングを抑制できる。
図1(A)および図1(B)は、従来の転炉の羽口構造における課題を説明するための模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る羽口構造を備える転炉の模式的な断面図である。 図3は、転炉の炉底部における羽口構造の周囲を拡大して示す図である。 図4は、羽口構造における作用を説明するための図である。 図5は、第1変形例の主要部を示す図である。 図6は、第2変形例の主要部を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る羽口構造4を備える転炉1の模式的な断面図である。図3は、転炉1の炉底部11における羽口構造4の周囲を拡大して示す図である。図2および図3を参照して、転炉1は、鉄を含む溶湯に処理を施すために用いられ、例えば、高炉から取り出された溶銑を脱炭するために用いられる。なお、転炉1は、電気エネルギーによって鉄スクラップを溶解させる電気炉として用いられてもよい。
本実施形態では、特に説明なき場合、転炉1の全体が新品の状態、または、羽口構造4が新品に更新された状態の転炉1を基準に説明する。また、本実施形態では、特に説明なき場合、転炉1が起立姿勢(精錬時の姿勢)にあるときを基準に説明する。また、羽口構造4は、転炉1の底部外側から鉄皮2に着脱される構成であってもよいし、転炉1の炉口部8を通して転炉1内に対して搬出入され鉄皮2に着脱される構成であってもよい。
転炉1は、鉄皮2と、鉄皮2に設置された耐火構造3および羽口構造4と、を有している。
鉄皮2は、中空の容器状に形成されている。鉄皮2においては、上端部は開口している。また、鉄皮2は、下方に進むに従い直径が大きくなるテーパ状部分、および、略円筒状部分を有している。鉄皮2の下端部は、中空部分を塞ぐようにして配置された鉄皮底部2aを含んでいる。鉄皮2の内側面の略全域に、耐火構造3が設けられている。
耐火構造3は、溶湯を受けるために設けられており、鉄皮2に隣接配置されたパーマ煉瓦6と、パーマ煉瓦6に対して転炉1の内側に配置されたウェア煉瓦7と、を有している。
パーマ煉瓦6は、例えば、MgO煉瓦であり、ブロック状に形成されている。多数のパーマ煉瓦6が、鉄皮2の内側面に設置されている。
ウェア煉瓦7は、溶湯に直接曝される煉瓦であり、例えば、MgO-C煉瓦であり、ブロック状に形成されている。
上記の構成により、転炉1は、鉄皮2の上端部側に位置する炉口部8と、炉口部8から下方に向けて延びる傾斜部9と、傾斜部9の下方に配置された直胴部10と、直胴部10の下方に配置された炉底部11と、を有している。そして、炉底部11は、鉄皮底部2aと、耐火構造3のうち炉の底部に設置された部分と、羽口構造4と、を有している。
羽口構造4は、上底吹き転炉においては、炉底部11から溶湯に向けて不活性ガスを供給するために設けられる。このような不活性ガスとして、窒素ガス、および、アルゴンガス等を例示できる。羽口構造4は、炉底部11に複数配置されている。各羽口構造4は、互いに同じ構成を有している。
羽口構造4は、羽口煉瓦12を含む羽口耐火物13と、炉底部11から転炉1の溶湯貯留空間14内にガスを吹き込むための金属製のノズル15と、を有している。
羽口耐火物13は、炉底部11において、パーマ煉瓦6およびウェア煉瓦7に取り囲まれている。本実施形態では、羽口耐火物13の全体が、単一の羽口煉瓦12によって形成されている。なお、羽口耐火物13は、ブロック状の煉瓦を積み上げこれらの煉瓦をセラミック粉末等の不定形耐火物で固めることで形成されていてもよい。
羽口煉瓦12は、MgO-C煉瓦であり、本実施形態では、ウェア煉瓦7と同一の材質である。羽口煉瓦12は、本実施形態では、上下に細長い円錐台形状に形成されている。羽口煉瓦12の上面12aおよび下面12bは、それぞれ平坦な面である。本実施形態では、これら上面12aおよび下面12bは、互いに平行である。
羽口煉瓦12の寸法は、転炉1の大きさに応じた値である。本実施形態では、羽口煉瓦12の高さH1は、約1200mmである。羽口煉瓦12の上面12aの直径は、約300mmである。羽口煉瓦12の下面12bの直径は、約400mmである。
羽口煉瓦12の上面12aは、炉底部11におけるウェア煉瓦7の上面と連続した面を形成している。羽口煉瓦12の下面12bは、鉄皮底部2aの内側面に受けられている。
羽口煉瓦12の外周面12cは、パーマ煉瓦6のうち外周面12cに対向する対向面に押さえられているとともに、ウェア煉瓦7のうち外周面12cに対向する対向面に押さえられている。パーマ煉瓦6およびウェア煉瓦7のうち外周面12cに対向する対向面は、外周面12cの形状に沿った形状に形成されている。このように、羽口煉瓦12は、外周面12cの全域および下面12bが、対応するパーマ煉瓦6、ウェア煉瓦7、および、鉄皮底部2aによって拘束されている。一方、羽口煉瓦12の上面12aには、羽口煉瓦12を拘束する部材は配置されていない。
羽口煉瓦12に形成された埋設孔部12dに、ノズル15の一部が挿入されている。ノズル15は、鉄皮底部2aに形成された貫通孔部2bを通して転炉1の内側から転炉1の外側に延びている。ノズル15は、耐熱性の高い金属管で形成されることが好ましい。このような金属管の材料として、オーステナイト系ステンレス鋼を例示できる。オーステナイト系ステンレス鋼として、JIS(日本工業規格)のSUS304等を例示できる。このように、ノズル15が金属管であるため、ノズル15の線膨張係数は、羽口煉瓦12の線膨張係数よりも大きい。
ノズル15は、例えば、細長い鋼板を曲げ加工することで管状に成形し、この管状の鋼板の突き合わせ部を溶接することによって形成されている。本実施形態では、ノズル15の各部の肉厚t1は一定であり、約4mmである。
ノズル15は、羽口煉瓦12と同軸に配置されており、羽口煉瓦12の下面12bから羽口煉瓦12の埋設孔部12d内に進入し、羽口煉瓦12の上面12aまで到達している。換言すれば、ノズル15の上面(埋設部16の上面16e)は、羽口煉瓦12の上面12aと面一に配置されている。ノズル15の内径および外径は、ノズル15から転炉1内に供給される不活性ガスの流量に応じて設定される。
ノズル15は、羽口煉瓦12の埋設孔部12dに埋設されている埋設部16と、埋設部16から羽口煉瓦12の下方に延びる延伸部17と、を有している。
埋設部16は、羽口煉瓦12内に埋設され転炉1の溶湯貯留空間14に開口している。埋設部16は、例えば、埋設部16の周囲で煉瓦を焼結して羽口煉瓦12を成形することで羽口煉瓦12に埋設されてもよいし、羽口煉瓦12に埋設孔部12dを予め形成し、この埋設孔部12に埋設部16を差し込むことで羽口煉瓦12に埋設されてもよい。本実施形態では、ノズル15の軸方向S1に沿った埋設部16の長さは、羽口煉瓦12の高さH1と同じである。埋設部16の外周面16aは、羽口煉瓦12の埋設孔部12dの内周面と対向している。埋設部16の外周面16aは、羽口煉瓦12の上面12aと下面12bとの間に亘って延びる筒状の面である。常温時、軸方向S1の各部において、埋設部16の外周面16aの直径は、埋設孔部12dの直径よりも僅かに(例えば、約1mm)小さい。
埋設部16の外周面16aは、転炉1の内側(溶湯貯留空間14側)に進むに従い直径が大きくなる拡径テーパ面16bを含んでいる。
拡径テーパ面16bは、本実施形態では、埋設部16の外周面16aの全域に亘って配置されている。拡径テーパ面16bは、例えば、前述した細長い鋼板のうちの台形部分を円錐台形状になるように巻いた状態で鋼板の突き合わせ部を溶接すること等によって形成されている。
拡径テーパ面16bは、軸方向S1(鉛直面)に対する傾斜角度θ1が、例えば1度未満(ゼロを除く)に設定されている。図面では、傾斜角度θ1を誇張して示している。傾斜角度θ1として、約0.5度、約0.2度の場合を例示できる。傾斜角度θ1の上限値は、埋設部16の上面16eが羽口煉瓦12の上面12aに配置され、且つ、埋設部16の下端16fが羽口煉瓦12の下面12bに配置される限り、限定されない。
傾斜角度θ1が約0.2度の場合、高さH1を約1200mmとすると、羽口煉瓦12の上面12aにおける埋設部16の上面16eの直径D1と、羽口煉瓦12の下面12bにおける埋設部16の下端16fの直径D2の組み合わせの一例は、以下の通りである。
直径D1は約40mmで直径D2は約35mm
直径D1は約45mmで直径D2は約40mm
また、傾斜角度θ1が約0.5度の場合、高さH1を約1200mmとすると、羽口煉瓦12の上面12aにおける埋設部16の上面16eの直径D1と、羽口煉瓦12の下面12bにおける埋設部16の下端16fの直径D2の組み合わせの一例は、以下の通りである。
直径D1は約40mmで直径D2は約30mm
直径D1は約50mmで直径D2は約40mm
ここで、精錬対象となる高温の鉄の溶湯が転炉1に繰り返し供給されることで、耐火構造3および羽口構造4は、溶湯によって徐々に溶融され損耗していく。そして、この損耗度合が一定の値に達すると、転炉1内のウェア煉瓦7および羽口構造4が新品のものに更新される。この更新の基準として、交換基準損耗深さ位置P2が設定されている。耐火構造3および羽口構造4が交換基準損耗深さ位置P2まで損耗すると、転炉1内のウェア煉瓦7および羽口構造4が新品のものに更新される。
交換基準損耗深さ位置P2は、羽口構造4の使用前(新品時)における羽口構造4の上面位置P1から、羽口耐火物13の高さH1の例えば1/2~3/4の位置(本実施形態では、1/2の位置)に設定されている。上面位置P1は、羽口構造4の使用前における羽口煉瓦12の上面12aの位置である。拡径テーパ面16bは、上面位置P1と、交換基準損耗深さ位置P2との間の少なくとも一部(本実施形態では、全域)に配置されている。
埋設部16の下端16fから、延伸部17が延びている。延伸部17の外周面17aは、直径が一定の円筒面である。この外周面17aは、埋設部16の下端16fにおける拡径テーパ面16bの直径D2と同じ直径を有している。延伸部17は、図示しないガス供給源に接続されている。延伸部17は、例えば、細長い鋼板のうちの矩形部分を円筒状に巻いた状態で鋼板の突き合わせ部を溶接すること等によって形成されている。
以上の構成を有する転炉1において、転炉1内に鋼等の合金の溶湯が溜められると、炉底部11の温度は極めて高い値となる。例えば、羽口煉瓦12の上面12aの温度が約1500度、羽口煉瓦12の下面12bの温度が約400度にまで達する。これにより、羽口煉瓦12と底吹きノズル15は、いずれも熱膨張する。
しかしながら、前述したように、羽口煉瓦12の線膨張係数よりも、オーステナイト系ステンレス鋼によって形成されたノズル15の線膨張係数のほうが大きい。このため、ノズル15の熱膨張量は、羽口煉瓦12の熱膨張量よりも大きくなる。
図4は、羽口構造4における作用を説明するための図である。図4を参照して、円錐台形状であるノズル15の埋設部16が熱膨張すると、当該埋設部16は、羽口煉瓦12からの拘束力が弱い領域である上方領域に向けて伸びるように熱膨張する。これにより、ノズル15の埋設部16は、熱膨張前における羽口煉瓦12との接触位置よりも上方の位置で羽口煉瓦12と接触する。すなわち、埋設部16の外周面16aの各部は、羽口煉瓦12の埋設孔部12dの内周面のうち、直径がより広い箇所で接触することとなる。
その結果、埋設部16の外周面16aが羽口煉瓦12の埋設孔部12dの内周面を加圧する垂直抗力F1は、小さくて済む。この状態で埋設部16がノズル15の軸方向S1に膨張すると、埋設部16が羽口煉瓦12の埋設孔部12dを引っ張る引張荷重F2は、小さくて済む。その結果、羽口煉瓦12に生じる引張応力は小さくて済む。
また、転炉1内に溶湯が注がれることで羽口構造4の上面に熱的な衝撃が加わると、羽口構造4の上面の温度が急上昇する。この場合、羽口構造4において、羽口煉瓦12の温度上昇速度よりも金属製のノズル15の温度上昇速度のほうが高い。このため、羽口構造4に熱的な衝撃が加わると、ノズル15と羽口煉瓦12との温度差が大きくなり、ノズル15の熱膨張量と羽口煉瓦12の熱膨張量との差は大きくなる。しかしながら、前述したように、ノズル15から羽口煉瓦12に作用する引張荷重F2が小さくて済むので、羽口煉瓦12に発生する引張応力は、大きくならずに済む。
以上の次第で、本実施形態によると、ノズル15の埋設部16の外周面16aは、転炉1の内側に進むに従い直径が大きくなる拡径テーパ面16bを含んでいる。この構成により、引張荷重に対する破壊強度が低い羽口煉瓦12における割れ(スポーリング)発生をより確実に抑制できる。その結果、スポーリング発生によって羽口煉瓦12の上面12aの付近が部分的に欠けることによる羽口煉瓦12の損耗と、羽口煉瓦12の欠けに伴うノズル15の早期損耗と、を抑制できる。その結果、羽口構造4の更新から交換までの期間をより長くでき、羽口構造4の更新周期をより長くできる。
また、本実施形態によると、拡径テーパ面16bは、羽口構造4の使用前における羽口構造4の上面位置P1と、交換基準損耗深さ位置P2と、の間の少なくとも一部に配置されている。これにより、ノズル15のうち高温になる箇所を、より確実に転炉1の内側に熱伸びさせることができる。
また、本実施形態によると、拡径テーパ面16bは、埋設部16の外周面16aの全域に亘って配置されている。この構成によると、ノズル15のうち高温になる箇所を、より一層確実に転炉1の内側に熱伸びさせることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。なお、以下では、上述の実施形態と異なる構成について主に説明し、上述の実施形態と同様の構成については図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
(1)上述の実施形態では、埋設部16の外周面16aの全域に拡径テーパ面16bが形成された構成を説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。図5は、第1変形例の主要部を示す図である。図5を参照して、埋設部16の外周面16aのうちの一部にのみ、拡径テーパ面16bが設けられていてもよい、
より具体的には、ノズル15の埋設部16の外周面16aは、拡径テーパ面16bと、直径が一定の円筒面16cと、を有している。
拡径テーパ面16bは、交換基準損耗深さ位置P2よりも深い基端位置P3から、羽口構造4の上面位置P1まで延びている。基端位置P3は、例えば、羽口構造4の上面位置P1から、高さH1の3/4まで進んだ位置である。一方、円筒面16cは、羽口構造4の下部に配置されており、基端位置P3から羽口煉瓦12の下面12bまで延びている。円筒面16cの直径は、延伸部17の外周面17aの直径と同じである。
第1変形例によると、埋設部16の外周面16aのうち比較的高温にならずに済む箇所は、円筒面16cであり、テーパ形状でなくてもよい。これにより、ノズル15のうちテーパ形状に成形される必要のある箇所を少なくできる。
(2)上述の第1変形例では、埋設部16の外周面16aに円筒面16cが形成された構成を説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。図6は、第2変形例の主要部を示す図である。図6を参照して、第2変形例では、ノズル15において、円筒面16cに代えて縮径テーパ面16dが設けられている。
より具体的には、ノズル15の埋設部16の外周面16aは、拡径テーパ面16bと、拡径テーパ面16bの下方に配置された縮径テーパ面16dと、を有している。
縮径テーパ面16dは、羽口構造4の下部に配置されており、拡径テーパ面16b側に進むに従い直径が小さくなるテーパ状に形成されている。縮径テーパ面16dは、基端位置P3から羽口煉瓦12の下面12bまで延びている。軸方向S1に関して、縮径テーパ面16dの長さは、拡径テーパ面16bの長さよりも短い。また、軸方向S1(鉛直面)に対する縮径テーパ面16dの傾斜角度θ2は、拡径テーパ面16bの傾斜角度θ1と同じでもよいし、異なっていてもよい。ノズル15の埋設部16は、このように拡径テーパ面16bと縮径テーパ面16dとが連続する構成を有していることで、鉛直断面で略X字形状を有している。換言すれば、第2変形例の埋設部16は、拡径テーパ面16bと縮径テーパ面16dとの接続部の周囲がくびれた形状のくびれ部18を有している。
第2変形例によると、埋設部16の外周面16aのうち比較的高温にならずに済む箇所は、縮径テーパ面16dである。この構成であれば、ノズル15の熱膨張量が羽口煉瓦12の熱膨張量よりも大きくなるときにおいて、埋設部16からノズル15が抜けることを抑制できる。
ノズル15に拡径テーパ面16bを設けた場合の効果を検証するために、有限要素法(FEM:Finite Element Method)解析を実施した。具体的には、羽口構造4をコンピューター上でモデル化した。
モデル化された羽口構造4の詳細な構成は、以下の通りである。
(羽口煉瓦の材質および形状)
材質:MgO-C煉瓦であり、MgOを75質量%含有し、Cを21質量%有する。
形状:円錐台
上面12aの直径:300mm
下面12bの直径:400mm
高さH1:1200mm
(ノズルの形状および材質)
羽口煉瓦12の中心軸線と同軸に形成された埋設孔部12dに、ノズル15の埋設部16が埋設されている。ノズル15の軸方向S1の各部において、埋設孔部12dの直径は、埋設部16の外径よりも1mm大きい。
ノズル15の全長:1200mmとし、ノズル15の全体が埋設部16とした。
ノズル15の肉厚:4mm
材質:SUS304(オーステナイト系ステンレス鋼)
(ノズルの外径および埋設部の傾斜角度)
比較例は、直線管である。比較例においては、ノズル(埋設部)における外周面の上端の直径と下端の直径を、ともに40mmとした。
実施例1~4は、ノズル15の埋設部16における拡径テーパ面16bの上面16eの直径D1と、下端16fの直径D2とを、表1に示すように変化させた。
Figure 0007107140000001
比較例の最大引張応力を1.000とした場合の比
実施例1,2は、拡径テーパ面16bの上面16eの直径D1を比較例と同じ40mmとし、拡径テーパ面16bの下端16fの直径D2をそれぞれ35mm、30mmとすることで、テーパ状の外形を有している。
実施例3,4は、拡径テーパ面16bの下端16fの直径D2を比較例と同じ40mmとし、拡径テーパ面16bの上面16eの直径D1をそれぞれ45mm、50mmとすることで、テーパ状の外形を有している。
上記の構成により、円錐台形状の羽口煉瓦12の中心軸線(軸方向S1)に対する拡径テーパ面16bの傾斜角度θ1は、実施例1,3が0.239度であり、実施例2,4が0.477度である。なお、比較例のノズルは、直線管であるため、外周面の傾斜角度はゼロである。
(羽口構造の物性値)
羽口煉瓦12の物性値は、以下の通りである。
線膨張係数:11.2×10-6/℃
ヤング率:2820MPa
ポアソン比:0.25
(ノズルの物性値)
ノズル15(SUS304)の物性値は、以下の通りである。
線膨張係数:19.7×10-6/℃
ヤング率:89000MPa
ポアソン比:0.3
(羽口煉瓦とノズル間の摩擦係数)
羽口煉瓦とノズル間の摩擦係数は0.3とした。
(羽口構造に対する温度・拘束条件)
FEM解析では、羽口煉瓦12およびノズル15の上面温度を1500℃、下面温度を400℃に設定した。また、炉底部11に配置される羽口煉瓦12は、当該羽口煉瓦12の周囲のパーマ煉瓦6およびウェア煉瓦7によって熱伸びを拘束される。このため、FEM解析では、羽口煉瓦12の外周部は当該羽口煉瓦12の半径方向に膨張しないように境界条件を与えた。この条件は、比較例および実施例1~4において共通である。
(解析結果)
FEM解析で求めた、羽口煉瓦12のうち埋設孔部12dの周囲に発生する、煉瓦高さ方向(軸方向S1)の引張応力の最大値を表1に示す。解析結果は、比較例における、軸方向S1の引張応力の最大値を1としたときの、実施例1~4のそれぞれにおける、軸方向S1における引張応力の最大値の割合を算出した。
表1から明らかなように、実施例1~4は、比較例と比べて、明らかに引張応力の最大値が低下した。これにより、ノズル15の埋設部16の外周面16aに拡径テーパ面16bを設けることによって、羽口煉瓦12に発生する引張応力を低減できた。すなわち、羽口煉瓦12の割れ(スポーリング)を抑制することが実証された。
本発明は、転炉の羽口構造として広く適用することができる。
1 転炉
4 羽口構造
11 炉底部
12 羽口煉瓦
13 羽口耐火物
15 ノズル
16 埋設部
16a 埋設部の外周面
16b 拡径テーパ面
16c 円筒面
16d 縮径テーパ面
P1 羽口構造の上面位置
P2 交換基準損耗深さ位置

Claims (5)

  1. 転炉の炉底部に配置される羽口構造であって、
    羽口煉瓦を含む羽口耐火物と、
    前記羽口耐火物に埋設され前記転炉内に開口する埋設部を有し、前記炉底部から前記転炉内にガスを吹き込むための金属製のノズルと、を備え、
    前記埋設部の外周面は、前記転炉の内側に進むに従い直径が大きくなる拡径テーパ面を含み、
    前記拡径テーパ面の上端における前記ノズルの開口断面積を前記拡径テーパ面の下端における前記ノズルの開口断面積で除した値が1.8以下である、転炉の羽口構造。
  2. 請求項1に記載の転炉の羽口構造であって、
    前記拡径テーパ面は、前記羽口構造の使用前における前記羽口構造の上面位置と、所定の交換基準損耗深さ位置と、の間の少なくとも一部に配置されている、転炉の羽口構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の転炉の羽口構造であって、
    前記拡径テーパ面は、前記埋設部の前記外周面の全域に亘って配置されている、転炉の羽口構造。
  4. 請求項1または請求項2に記載の転炉の羽口構造であって、
    前記埋設部の前記外周面は、直径が一定の円筒面をさらに含み、
    前記拡径テーパ面は、前記円筒面から前記羽口構造の上面まで延びている、転炉の羽口構造。
  5. 請求項1または請求項2に記載の転炉の羽口構造であって、
    前記埋設部の前記外周面は、前記拡径テーパ面の下方に配置され前記拡径テーパ面側に進むに従い直径が小さくなる縮径テーパ面をさらに含む、転炉の羽口構造。
JP2018182946A 2018-09-27 2018-09-27 転炉の羽口構造 Active JP7107140B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018182946A JP7107140B2 (ja) 2018-09-27 2018-09-27 転炉の羽口構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018182946A JP7107140B2 (ja) 2018-09-27 2018-09-27 転炉の羽口構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020050926A JP2020050926A (ja) 2020-04-02
JP7107140B2 true JP7107140B2 (ja) 2022-07-27

Family

ID=69995994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018182946A Active JP7107140B2 (ja) 2018-09-27 2018-09-27 転炉の羽口構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7107140B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57114604A (en) * 1980-12-30 1982-07-16 Kawasaki Steel Corp Detector for erosion of bottom blowing tuyere in converter
JPS57180754U (ja) * 1981-05-13 1982-11-16
JPS6045359U (ja) * 1983-09-05 1985-03-30 新日本製鐵株式会社 溶融金属容器の精錬剤吹込装置
JPH0372014A (ja) * 1989-08-09 1991-03-27 Nkk Corp 転炉底吹きノズルの切替え方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020050926A (ja) 2020-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7107140B2 (ja) 転炉の羽口構造
AU730381B2 (en) Furnace body structural member for metallurgical shaft furnace
JP7107141B2 (ja) 転炉の羽口構造
JP6640461B2 (ja) マルチホールプラグ
CN107130080A (zh) 一种转炉出钢口外口砖破损的修补方法
JPS6324008A (ja) ガス吹込みプラグ
JP5849562B2 (ja) 製鉄用容器の耐火物ライニング構造
JP6790952B2 (ja) 転炉炉底耐火物の内張り方法
JPH0740035A (ja) 溶融金属用取鍋
JP6691643B1 (ja) 転炉用一体型羽口
JP2000313915A (ja) Rh脱ガス装置の浸漬管及びその製作方法
JP2000313914A (ja) ガス吹き込み用ノズル、その製造方法及びガス吹き込み構造
JP2011191043A (ja) 電気炉タップホールの寿命延長法
JP7108209B2 (ja) 溶融金属精錬炉ガス吹き羽口
JP2009068099A (ja) 精錬容器のガス吹き込み羽口構造
KR200216580Y1 (ko) 전로 저취용 송풍구 내화물
JPS6028680Y2 (ja) 溶融金属処理用ガス吹込みランス
JP5391810B2 (ja) 溶融金属容器のガス吹き込み部構造
KR20180055874A (ko) 가스 취입 노즐
US20170240983A1 (en) Access port arrangement and method of forming thereof
JP2007191737A (ja) 溶鋼浸漬管のスロート部耐火物の損耗防止方法
JP2005068446A (ja) 転炉の出鋼孔の補修方法及びそれに使用する補修用耐火物
JP2019123897A (ja) 羽口ユニットおよびその設置方法
KR200396197Y1 (ko) 전기로의 ebt 내화구조물
KR200316238Y1 (ko) 용선예비처리시 불순물 제거를 위한 버블링 파이프

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210514

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220518

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220627

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7107140

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151