実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の機能を示すブロック図である。図中、矢印X方向は加熱調理器100の幅方向を表し、矢印Y方向は加熱調理器100の奥行き方向を表し、矢印Z方向は加熱調理器100の高さ方向を表している。図1〜図3に基づき、加熱調理器100の構成について説明する。
加熱調理器100は、テーブルユニット1と、加熱コイル22を有する本体ユニット2と、天板3と、電極4と、操作ユニット5とを備える。テーブルユニット1は、台部11と、台部11から下方に延びた複数の脚部12とを有する。台部11は、複数の脚部12によって支持されている。台部11の上面には収容凹部11aが形成されており、収容凹部11aには本体ユニット2が収容される。収容凹部11aは、本体ユニット2の外形に合うように設けられ、例えば直方体に形成されている。
本体ユニット2は、本体外郭部21と、加熱コイル22と、インバータ23(図3参照)と、制御装置6と、静電容量検出部7とを有している。本体外郭部21は、金属板等から成り、例えば、上面が開口した箱体である。本体外郭部21内に、加熱コイル22、インバータ23、制御装置6及び静電容量検出部7が配置される。
図2に示される例では、3つの加熱コイル22と、2つの制御装置6と、2つの静電容量検出部7とが、1つの本体外郭部21内に設置されている。3つの加熱コイル22は、加熱調理器100において幅方向(矢印X方向)に配置される。制御装置6と静電容量検出部7とは接続されて、2組の制御装置6と静電容量検出部7とはそれぞれ、3つの加熱コイル22より手前側と奥側とに配置される。本体ユニット2は、テーブルユニット1の配線穴(図示しない)を介して商用電源に接続され、商用電源から本体ユニット2に電力が供給されている。
加熱コイル22は、例えば、銅線又はアルミ線等の導線が巻回してなる円形のコイルである。3つの加熱コイル22それぞれに対して、インバータ23が設けられている。インバータ23は、制御装置6からの制御信号に基づいて加熱コイル22を駆動する駆動回路である。インバータ23は、商用電源の交流電源を高周波電流に変換して加熱コイル22へ供給する。加熱コイル22は、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生し、天板3上に載置された調理容器101(図3参照)を加熱する。ここで、加熱コイル22は、加熱源の一例である。加熱源は、通電により調理容器101を加熱できればよく、例えば抵抗加熱ヒータで構成されてもよい。
静電容量検出部7は、電極4に生じる静電容量の値を検出するものである。電極4は、天板3に複数設けられており、図2には、8つの電極4a〜4hが示される。静電容量検出部7は、各電極4に対応して、電極4との接点となる本体側接続部71と、本体側接続部71と制御装置6とを電気的に接続する接続線部72とを有している。なお、静電容量検出部7の一部は、制御装置6の制御基板等で形成されてもよい。また静電容量検出部7は、電極4と電気的につながり、電極4の静電容量の値を検出して信号を出力できれば、どのように構成されてもよい。例えば、静電容量検出部7は、静電容量の値を電圧値に変換する回路を実装し、検出結果を電圧値として制御装置6へ出力してもよい。
図2において、手前側に配置された静電容量検出部7は、幅方向(矢印X方向)において、中央の加熱コイル22の中心O1より右側に、幅方向に配置された4つの本体側接続部71を有している。手前側の各本体側接続部71は接続線部72により個別に、手前側に配置された制御装置6に接続されている。一方、奥側に配置された静電容量検出部7は、幅方向(矢印X方向)において、中央の加熱コイル22の中心O1より左側に、幅方向に並んで配置された4つの本体側接続部71を有している。奥側の各本体側接続部71は接続線部72により個別に、奥側に配置された制御装置6に接続されている。
また加熱調理器100は、図3に示されるように、赤外線センサ25と、例えばサーミスタ等から成る温度センサ26とを有している。赤外線センサ25は、本体ユニット2の本体外郭部21内に設けられ、天板3に載置された調理容器101の底部101aから放射される赤外線を検出する。温度センサ26は、天板3の下面3bに設置され、天板3の温度を検出する。
制御装置6は、本体ユニット2の制御を行うものであり、例えば、制御基板と、制御基板に実装されたマイクロコンピュータ等とにより構成される。マイクロコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、各種メモリ及びタイマ等を有している。
制御装置6には、静電容量検出部7の検出値Vc(静電容量検出値)と、赤外線センサ25の検出値Vi(赤外線検出値)と、温度センサ26の検出値Vt(温度検出値)が入力される。また図2に示されるように、制御装置6と電気的につながった配線28が、本体外郭部21から引き出されてテーブルユニット1内部で操作ユニット5に接続されており、操作ユニット5を介して制御装置6に指令が入力される。制御装置6は、入力される各検出値Vc、Vi、Vt及び指令に基づいてインバータ23に制御信号を出力し、制御信号に応じて加熱コイル22への通電が制御される。
制御装置6が複数設けられる場合、各制御装置6は、個別に割り当てられた一又は複数の加熱コイル22を制御する。また複数の制御装置6は、信号線等により互いに接続され、入力された各検出値Vc、Vi、Vt及び指令、並びに加熱コイル22の制御情報を、相互に送受信する。なお、制御装置6の数及び配置はこれに限定されない。例えば、加熱コイル22が1つしか設けられない場合、複数の本体側接続部71を1箇所に集約して配置し、集約して配置された複数の本体側接続部71付近に1つの制御装置6が設置されていてもよい。
天板3は、例えば耐熱性のガラス板等で形成され、本体ユニット2が収容されたテーブルユニット1の上面すなわち台部11の上面全体を覆う。天板3には、加熱コイル22の上方に加熱領域31が複数設けられている。図2に示される例では、円形の加熱領域31が3つ、幅方向(矢印X方向)に並んで設けられている。加熱領域31には、鍋又はフライパン等の調理容器101(図3参照)が載置される。各加熱領域31の位置は、天板3の上面3a又は下面3bに印刷等により表示されている。なお、加熱領域31の形状は、加熱コイル22の形状によって決まり、円形に限定されるものではない。
天板3は、加熱調理器100の平面視で、下方に本体ユニット2が配置される加熱ゾーンZhと、加熱ゾーンZhの外側の非加熱ゾーンZwとが設けられている。加熱ゾーンZhと非加熱ゾーンZwとの境界部91の位置は、天板3の上面3a又は下面3bに、印刷等により表示されている。図2には、四角形の境界部91が示されている。加熱ゾーンZhでは、利用者は天板3に調理容器101を載置して調理を行うことができ、非加熱ゾーンZwでは、利用者は食材の下ごしらえ等の作業及び食事をすることができる。ここで、天板3の加熱ゾーンZhと非加熱ゾーンZwとの境界部91には、加熱ゾーンZh及び非加熱ゾーンZwに対し、いずれかの一方から他方に液体が乗り越えて侵入することを抑制する、上下方向(矢印Z方向)の段差は設けられていない。したがって、天板3の上面3aの清掃が容易にできる。
天板3の下面3bには、加熱領域31の外周の外側に電極4が複数設けられている。電極4は、導電性材料から成り、天板3の下面3bに線状に設けられている。電極4は、天板3の下面3bに印刷により形成されたものでもよい。各電極4は、線状電極部42と、線状電極部42の一端に設けられ、本体側接続部71との接点となる天板側接続部41と、を有する。天板側接続部41は、本体ユニット2の静電容量検出部7と電気的に接続する。具体的には、天板側接続部41は、本体側接続部71と対向する位置に配置され接触する。天板側接続部41は、線状電極部42の線幅よりも太く形成されており、本体側接続部71との接触面を一定以上に確保して通電し易くなっている。本体側接続部71は、例えば、導電性の高い銀(Ag)及び銅(Cu)等の金属を板バネ構造にすることで構成されてもよい。このような本体側接続部71を天板3側の天板側接続部41と接触させることで、両者を電気的に導通させている。あるいは、コイルばねを用いて、本体側接続部71を天板側接続部41に押し当てるように構成してもよい。
図2に示される例では、8つの電極4a〜4hが、3つの加熱領域31の外側であって且つ加熱ゾーンZh内に配置されている。4つの電極4a〜4dの天板側接続部41は、手前側に集約して設けられ、中央の加熱領域31の中心O2よりも右側に、幅方向(矢印X方向)に並んで配置されている。残りの4つの電極4e〜4hの天板側接続部41は、奥側に集約して設けられ、中央の加熱領域31の中心O2よりも左側に、幅方向に並んで配置されている。
電極4aの線状電極部42は、右側の加熱領域31の手前側に沿うように円弧状に配置される。電極4bの線状電極部42は、天板側接続部41から奥側へ直線状に延び、右側の加熱領域31と中央の加熱領域31との間に配置される。電極4cの線状電極部42は、中央の加熱領域31の手前側に沿うように円弧状に配置される。電極4dの線状電極部42は、電極4cの線状電極部42の手前側に直線状に配置されるとともに、左側の加熱領域31の手前側に沿うように円弧状に配置される。すなわち、電極4dの線状電極部42は、中央の加熱領域31及び左側の加熱領域31に渡って設けられている。
電極4eの線状電極部42は、左側の加熱領域31の奥側に沿うように円弧状に配置される。電極4fの線状電極部42は、天板側接続部41から手前側へ直線状に延び、左側の加熱領域31と中央の加熱領域31との間に配置される。電極4gの線状電極部42は、中央の加熱領域31の奥側に沿うように円弧状に配置される。電極4hの線状電極部42は、電極4gの線状電極部42の奥側に直線状に配置されるとともに、右側の加熱領域31の奥側に沿うように円弧状に配置される。すなわち、電極4hの線状電極部42は、中央の加熱領域31及び右側の加熱領域31に渡って設けられている。
天板3には、各電極4と天板3を介して、例えば、加熱調理器100が接地される基準電位となる物体(例えば、地表面)との間で、コンデンサが形成される。一方、天板3上に調理容器101、利用者の指、水又は被調理物等があるとき、天板3上に配置されたものが導電体となる。上述したように、平面視において、各加熱コイル22の外周は、複数の電極4によって囲われるので、例えばスープ等の液体が加熱ゾーンZhへ侵入すると、コンデンサの静電容量が変化する。なお、図2では、加熱ゾーンZhのうち使用頻度が高い手前側と奥側とに電極4が配置されているが、さらに右側の加熱領域31の右側と、左側の加熱領域31の左側とに電極4を配置し、3つの加熱領域31の全周を複数の電極4により囲う構成であってもよい。
操作ユニット5は、利用者が指令を入力する際に操作される。操作ユニット5は、本体ユニット2の電源をON/OFFするための電源スイッチ51と、複数の加熱コイル22の加熱を個別に操作するための複数のスイッチ53を有している。各加熱コイル22に対応して操作エリア52が設けられており、各操作エリア52には、例えば、加熱を開始/停止するためのスイッチ、出力を調節するためのスイッチ、及び調理メニューを選択するスイッチ等が設置される。
各スイッチ53は、例えば、押しボタン又は静電容量式のタッチセンサで構成される。タッチセンサは、利用者が指等でタッチすることにより静電容量が変化する。静電容量の変化は、制御装置6の制御基板に伝わってマイクロコンピュータにより検知される。また操作ユニット5には、例えばスピーカ等から成る報知部8(図3参照)が設けられる。報知部8は、調理が終了したこと、及び制御装置6により異常が検知されたこと等を、音により利用者に報知するものである。なお、図示していないが、各操作エリア52に表示部を設け、表示部に、出力情報、調理メニューの選択表示、調理容器101の温度及び警告情報等が表示されるように構成されてもよい。また、報知部8をLED(Light Emitting Diode)等で構成し、光により報知がなされてもよい。
操作ユニット5は、天板3すなわち加熱ゾーンZh及び非加熱ゾーンZwが設けられる面とは異なる面に設けられる。図1では、操作ユニット5は、複数のスイッチ53等が設けられた操作面5aが上側を向くように、台部11の手前側の側面に設置されている。操作面5aと天板3の上面3aとは、高さ方向(矢印Z方向)で異なる位置に設けられており、操作面5aの高さH1が、天板3の上面3aの高さH2よりも低くなるように配置されている。これにより、利用者が天板3上で調理又は作業を行う際に、手指又は食材が操作面5aに触れて誤操作されるのを抑制でき、天板3の上面3aを有効に活用できる。また操作面5aは、水平面に対して傾斜しており、台部11から離れるほど高さ位置が低くなる。したがって、操作面5aに液体がこぼれた場合でも、液体が操作面5aにとどまるのを防止できる。
図3に基づき、制御装置6の機能について説明する。制御装置6は、各種データが記憶された記憶部61と、各機器の動作を制御する制御部62とを有している。記憶部61には、各種プログラム及び制御値、並びに操作ユニット5等を介して設定された各種設定値等が記憶されている。また記憶部61には、静電容量検出部7、赤外線センサ25及び温度センサ26等から入力された各検出値Vc、Vi、Vtが記憶される。
制御部62は、操作ユニット5を介して入力された指令に応じて、記憶部61に記憶されたプログラムを読み出して実行する。制御部62は、調理容器101を加熱する加熱モードの実行中、設定時間ごとに、静電容量検出部7、赤外線センサ25及び温度センサ26の各検出値を取得し、記憶部61に記憶する。制御部62は、加熱モードの実行中、赤外線センサ25及び温度センサ26から取得した各検出値Vc、Vi、Vtに基づいてインバータ23を制御することで、加熱コイル22の出力を制御する。例えば、温度センサ26により検出された天板3の温度が、設定温度Vt1より高いときに加熱コイル22の出力を低減又は停止させる。
また制御部62は、加熱モードの実行中、静電容量検出部7から取得した静電容量検出値Vcに基づき、報知部8及び加熱コイル22の出力を制御する。例えば、制御部62は、加熱モードの実行中、設定周期(例えば0.1秒)で、静電容量の変化に基づいて天板3上の液体の有無を判定し、液体が検知された場合に、報知、加熱コイル22の出力の低減又は停止等の予め決められた制御を行う。
具体的には、制御部62は、静電容量検出部7の最新の検出値と、記憶部61に記憶された検出値との差を算出し、算出した差が、予め設定された閾値以上である場合に、液体があると判定する。なお、加熱コイル22の出力制御に代わって、あるいは出力制御にともなって、報知部8を動作させる制御が行われてもよい。
図1〜図3に基づき、加熱調理器100の動作について説明する。調理容器101が左側の加熱領域31に載置され、利用者により加熱開始のスイッチ53がタッチされると、制御装置6に加熱開始の指令が入力される。制御装置6は入力された指令に基づきインバータ23を動作させ、加熱コイル22による調理容器101の加熱が開始される。
このとき、例えば、天板3の奥側の非加熱ゾーンZwで食事をしていた別の利用者が飲み物をこぼすと、こぼした飲み物は、境界部91を通過して加熱ゾーンZhに流れ込む。加熱ゾーンZhでは、各加熱領域31を囲むように複数の電極4が配置されているため、加熱ゾーンZhに流れ込んだ飲み物は、加熱領域31に到達する前に電極4の上方を通過する。例えば、こぼれた飲み物が、使用中の左側の加熱領域31へ流れる場合、調理容器101の底部101aに到達する前に電極4eを通過する。このとき、電極4eの上方の空気が飲み物に置き換わるため、静電容量が増加する。電極4eの静電容量の変化は、天板側接続部41と本体側接続部71とに通電されることにより本体ユニット2の静電容量検出部7により検出される。
制御部62は、静電容量検出部7から検出値Vcを取得し、取得した検出値Vcと記憶部61に記憶された前回の検出値とを比較して、静電容量の変化に基づき天板3の液体の有無を判定する。制御部62は、天板3に液体がこぼれたことが検知されると、電極4eに最も近い左側の加熱コイル22の出力を低下させる制御を行う。
左側の加熱コイル22が加熱中である場合について説明したが、上述したように、各加熱領域31は複数の電極4により囲まれているので、中央の加熱コイル22及び右側の加熱コイル22についても、加熱ゾーンZhの状態の変化に対して適切な制御が行われる。
以上のように、実施の形態1の加熱調理器100によれば、境界部91で上面3aが段差なく設けられている天板3の下面3bには電極4が設けられ、且つ、操作ユニット5は、加熱ゾーンZh及び非加熱ゾーンZwとは異なる面に配置される。これにより、操作の誤検知を低減しつつ天板3上の液体を検知でき、天板3上の液体の検知結果によって加熱コイル22を制御することで、誤動作を抑制することができる。
また制御装置6は、操作ユニット5から入力された指令により加熱コイル22の出力を制御しているときに、静電容量の変化が、予め設定された閾値Vc1以上である場合に、報知部8の報知、加熱コイル22の出力の低減又は停止を行うように制御する。これにより、天板3上に液体がこぼれた場合に、利用者に気付かせる、又は加熱を弱めることができる。その結果、報知により利用者にいち早く気付かせ対処させる、あるいは更に吹きこぼれて天板3に液体が拡散するのを抑制することができる。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の分解斜視図である。図5は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の平面図である。実施の形態2は、天板3に設けられた複数の電極204a〜204hのうち一部の電極204a、204c、204d、204e、204g、204hが加熱ゾーンZhと非加熱ゾーンZwとに渡って配置される点で、実施の形態1の場合と異なる。以下、各電極204a〜204hを特に区別する必要がない場合には、単に電極204という。なお、実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べることとする。
天板3に設けられた複数の電極204は、加熱ゾーンZh及び非加熱ゾーンZwに配置される。静電容量検出部207は、本体ユニット202に設けられ、平面視において加熱ゾーンZhに配置される。
図4及び図5に示される例では、手前側に配置された静電容量検出部207は、中央の加熱コイル22の中心O1より右側に幅方向(矢印X方向)に並んだ3つの本体側接続部71と、左側に配置された1つの本体側接続部71とを有している。一方、奥側に配置された静電容量検出部207は、中央の加熱コイル22の中心O1より左側に幅方向に並んだ3つの本体側接続部71と、右側に配置された1つの本体側接続部71を有している。
天板3には電極204が8つ設けられており、各電極204の天板側接続部41は、本体ユニット202の各本体側接続部71と対向して配置される。電極204aの線状電極部42は、天板側接続部41から境界部91を跨いで非加熱ゾーンZwまで手前側に延び、右側へ曲げられて、境界部91に沿うように直線状に延びる。電極204bの線状電極部42は、天板側接続部41から奥側へ直線状に延び、右側の加熱領域31と中央の加熱領域31との間に配置される。電極204cの線状電極部42は、天板側接続部41から境界部91を跨いで非加熱ゾーンZwまで手前側に延び、左側へ曲げられて、境界部91に沿うように直線状に延びる。電極204dの線状電極部42は、天板側接続部41から境界部91を跨いで非加熱ゾーンZwまで手前側に延び、左側へ曲げられて、境界部91に沿うように直線状に延びる。つまり、平面視において、電極204a、電極204c及び電極204dの各線状電極部42は、一部が非加熱ゾーンZwに配置されて境界部91の手前側の辺を覆う。
一方、電極204eの線状電極部42は、天板側接続部41から境界部91を跨いで非加熱ゾーンZwまで奥側に延び、左側へ曲げられて、境界部91に沿うように直線状に延びる。電極204fの線状電極部42は、天板側接続部41から手前側へ直線状に延び、左側の加熱領域31と中央の加熱領域31との間に配置される。電極204gの線状電極部42は、天板側接続部41から境界部91を跨いで非加熱ゾーンZwまで奥側に延び、右側へ曲げられて、境界部91に沿うように直線状に延びる。電極204hの線状電極部42は、天板側接続部41から境界部91を跨いで非加熱ゾーンZwまで奥側に延び、右側へ曲げられて、境界部91に沿うように直線状に延びる。つまり、平面視において、電極204e、電極204g及び電極204hの各線状電極部42は、一部が非加熱ゾーンZwに配置されて境界部91の奥側の辺を覆う。
このように、実施の形態2においても複数の電極204により天板3の上面3aにこぼれた液体を検知することができる。特に、非加熱ゾーンZwに、電極204a、204c、204d、204e、204g、204hの一部が配置されるので、非加熱ゾーンZwから加熱ゾーンZhへの液体の侵入を迅速に検知することができる。非加熱ゾーンZwと加熱ゾーンZhとに渡って配置される各電極204は、好ましくは、天板3の下面3bと接触する面積が、非加熱ゾーンZwにおいて加熱ゾーンZhよりも大きくなるように配置されるとよい。また、各電極204の天板側接続部41を、加熱ゾーンZhにおける境界部91に隣接する位置に設けた場合、非加熱ゾーンZwへ引き出すまでの長さに対して、非加熱ゾーンZwに配置する長さを増やすことができる。
ところで、テーブルユニット1に本体ユニット202が組み付けられる一体型の加熱調理器200では、利用者に近い場所ほど、外部からの衝撃を受ける可能性が高い。このため、外部に露出したテーブルユニット1には電極204との接点となる本体側接続部71を設けず、テーブルユニット1より装置内部に配置される本体ユニット202に、各本体側接続部71を配置している。また、本体ユニット202内に静電容量検出部207が設置される場合、静電容量検出部207を含む本体ユニット202を製造し、加熱調理器200を設置する際に、テーブルユニット1と本体ユニット202とを組み付ければよく、製造性が良い。
図6は、図5に示される加熱調理器のA−A断面図である。図6は、境界部91の手前側の辺を通る加熱調理器200の縦断面を例示する。各電極204は、天板3の下面3bに、例えばカーボン及び銀を主材料とする印刷を施して形成される。実施の形態2において、図5に示されるように各電極204a、204c、204d、204e、204g、204hの一部は、境界部91と交差している。このため、本体ユニット202の本体外郭部221において、電極204と対向し、電極204と境界部91とが交差する位置には、図6に示されるように本体凹部221aが形成され、印刷された電極204を保護している。具体的には、本体凹部221aは、本体外郭部221の側面の上端に形成された切り欠きである。
本体凹部221aは、各電極204に対し個別に設けられてもよい。あるいは、複数の電極204(例えば、電極204a及び電極204c)が集約して配置される場合には、集約して配置された電極204a、204cに対して1つの本体凹部221aが設けられてもよい。
なお、本体凹部221aにより電極204を保護する場合について説明したが、電極204と本体外郭部221との間に絶縁性を有する弾性体を設けることで、電極204へ伝わる衝撃を緩和してもよい。
以上のように、実施の形態2の加熱調理器200において、電極204は、非加熱ゾーンZwに配置される部分の面積の方が、加熱ゾーンZhに配置される部分の面積よりも大きくなるように設けられている。これにより、液体が加熱ゾーンZhに侵入する前に検知できる。また、静電容量の変化を検出できる範囲を非加熱ゾーンZwに広く確保できるため、非加熱ゾーンZwから加熱ゾーンZhへの液体の侵入を迅速に検知することができる。
また本体外郭部221には、電極204と境界部91とが交差する位置で、電極204と対向する位置に、電極204が収容される本体凹部221aが形成される。これにより、天板3の下面3bに印刷されている電極204と、本体外郭部221との間には隙間が形成されるので、電極204に本体外郭部221が当たって電極204が天板3から剥がれるのを防止できる。また電極204が剥がれるのを防止することにより、境界部91を越えた液体の侵入を正確に検知することができる。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の分解斜視図である。実施の形態3は、各加熱コイル22が複数の電極304a〜304nにより、二重に囲われる点で、実施の形態1の場合と異なる。以下、各電極304a〜304nを特に区別する必要がない場合には、単に電極304という。なお、実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能及び構成については同一の符号を用いて述べることとする。
電極304a、電極304c及び電極304dは、3つの加熱領域31の手前側にそれぞれ配置される。電極304bは、天板側接続部41から奥側へ直線状に延び、右側の加熱領域31と中央の加熱領域31との間に配置される。電極304e、電極304g及び電極304hは、3つの加熱領域31の奥側にそれぞれ配置される。電極304fは、天板側接続部41から手前側へ直線状に延び、左側の加熱領域31と中央の加熱領域31との間に配置される。以下、8つの電極304a〜304hのそれぞれを内側電極という。
一方、電極304i〜304nは、実施の形態2で説明した複数の電極204のように、線状電極部42の一部が非加熱ゾーンZwに延びるように設けられる。具体的には、加熱ゾーンZhより手前側の非加熱ゾーンZwに、3つの電極304i、304j、304kの線状電極部42が、境界部91に沿うように配置される。また加熱ゾーンZhより奥側の非加熱ゾーンZwに、3つの電極304l、304m、304nの線状電極部42が、境界部91に沿うように配置される。以下、6つの電極304i〜304nのそれぞれを外側電極という。
各電極304の天板側接続部41は、平面視で加熱ゾーンZh内に設けられる。図7に示される例では、複数の電極304は、3つ又は4つずつ集約して4つの領域に配置されている。そして、各領域の下方には、静電容量検出部307と制御装置6とが接続されて4組配置されている。
このように、電極304は内側電極(電極304a〜304h)と外側電極(電極304i〜304n)とを含む。平面視で、内側電極と外側電極とは加熱コイル22の外側に設けられ、内側電極は外側電極より内側に配置される。静電容量検出部307は、内側電極の静電容量の値と外側電極の静電容量の値とを個別に検出する。したがって、制御装置6は、外側電極の静電容量の変化により、非加熱ゾーンZwから加熱ゾーンZhへの液体の侵入を迅速に検知することができ、且つ、内側電極の静電容量の変化により、調理容器101からの吹きこぼれを迅速に検知することができる。
図8は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の加熱モード時の制御を示すフローチャートである。図9は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の第1判定時の制御を示すフローチャートである。図10は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の第2判定時の制御を示すフローチャートである。図8〜図10に基づき、加熱調理器300の加熱モード時に制御装置6が行う制御について説明する。
操作ユニット5から制御装置6に加熱開始の指令が入力されると、加熱モードが実行され、加熱コイル22による調理容器101の加熱が開始される。加熱モードの実行中、制御装置6は、図8に示される適正制御を行う。適正制御では、内側電極及び外側電極の各位置で、天板3の上面3aの液体の有無が設定周期で繰り返し判定され、判定結果に応じて加熱コイル22の出力及び報知部8の動作が制御される。
制御装置6は、適正制御が開始するとまず初期設定を行う。具体的には、第1検知フラグと第2検知フラグと第3検知フラグとがそれぞれ0に設定される(ステップST101)。ここで、第1検知フラグ及び第2検知フラグは、外側電極及び内側電極に対する判定結果をそれぞれ表すものであり、フラグが0であるとき、液体が検知されていないことを表す。第3検知フラグは、外側電極に対する判定結果と内側電極に対する判定結果の双方を含むものであり、第1検知フラグと第2検知フラグとの和で表される。第3検知フラグが0であるとき、外側電極及び内側電極のいずれの位置においても液体が検知されていないことを表す。
次に、制御装置6は、図9に示される第1判定を行う(ステップST102)。第1判定が開始すると、制御装置6は、外側電極(電極304i〜304n)の静電容量の変化に基づいて天板3上の液体の有無を判定する(ステップST201)。ここで判定方法は、例えば、実施の形態1の場合と同様に、静電容量検出部307の最新の検出値Vcと、記憶部61に記憶されている検出値との差が、閾値Vc1以上である場合に液体が有るものと判定すればよい。
複数の電極304の静電容量検出値Vcは、電極304ごとに関連付けて記憶部61に記憶されている。また記憶部61には、各電極304に対して、天板3での位置情報が記憶されている。位置情報とは、最も近くに配置される加熱コイル22の識別情報、及び、内側電極であるか外側電極であるかを示す情報等である。
外側電極の位置で天板3上の液体が検知された場合(ステップST201;YES)、制御装置6は、第1検知フラグを1に設定し(ステップST203)、第1判定を終了する。一方、外側電極の位置で天板3上に液体が無いと判定された場合(ステップST201;NO)、制御装置6は、第1検知フラグを0に設定し(ステップST204)、第1判定を終了する。
その後、制御装置6は、図10に示される第2判定を行う(ステップST103)。第2判定が開始すると、制御装置6は、内側電極(電極304a〜304h)の静電容量の変化に基づいて天板3上の液体の有無を判定する(ステップST301)。内側電極の位置で天板3上に液体が無いと判定された場合(ステップST301;NO)、第2検知フラグを0に設定し(ステップST304)、第2判定を終了する。
内側電極の位置で天板3上の液体が検知された場合(ステップST301;YES)、制御装置6はさらに、温度センサ26により検出された検出値Vtが設定温度Vt1を超えるか否かを判定する(ステップST302)。検出値Vtが設定温度Vt1を超える場合(ステップST302;YES)、第2検知フラグを2に設定して第2判定を終了する。一方、検出値Vtが設定温度Vt1以下である場合(ステップST302;NO)、第2検知フラグを0に設定して第2判定を終了する。
そして、制御装置6は、第1検知フラグ及び第2検知フラグより第3検知フラグを設定し(ステップST104)、設定された第3フラグに応じて、予め設定された制御を行う(ステップST105)。具体的には、制御装置6は、第3検知フラグが0のときには実行中の制御を継続し、第3検知フラグが1のときには報知部8を動作させる。また制御装置6は、第3検知フラグが2のときには、報知部8を動作させるとともに、加熱コイル22の出力を低下させるように制御し、第3検知フラグが3のときには、加熱コイル22の出力を停止させるように制御する。このような制御により、例えば、外側電極の位置にスープがこぼれ、加熱領域31に到達していないときには、加熱コイル22の出力が維持されるので調理を続けることができ、また利用者は、報知によりスープがこぼれたことに気付くことができる。
その後、制御装置6は、加熱が終了したか否かを判定する(ステップST106)。そして、制御装置6は、例えば、操作ユニット5から加熱終了の指令が入力されたとき、あるいは選択されていた調理メニューが完了したときに、加熱が終了したと判定し(ステップST106;YES)、適正制御を終了する。一方、加熱が終了していない場合には(ステップST106;NO)、制御装置6は適正制御を続行し、設定周期で、ステップST102〜ステップST106の処理が繰り返される。
このような制御により、例えば、天板3の上面3aにこぼしたスープが拭き取られずに外側電極の上方を通過して加熱領域31付近に到達し、スープが加熱されて天板3の温度が高温になると、加熱が停止される。その結果、加熱ゾーンZhに流入したスープによる天板3の上面3a及び調理容器101の底部101aの焦げ付きを防止することができる。また加熱モードの実行中に適正制御により加熱が停止された後、利用者がスープに気付いて拭き取った場合には、次回の第1判定及び第2判定において第1検知フラグ及び第2検知フラグはそれぞれ0に更新される。そして、ステップST104で第3検知フラグが0に更新され、ステップST105で加熱が再開される。なお、加熱が再開されるとき、利用者の操作を要求する構成としてもよい。
なお、適正制御は、図8のフローに限定されない。例えば、第2判定において温度判定(ステップST302)は省略されてもよい。また例えば、第1判定(ステップST102)と第2判定(ステップST103)との順番を入れ替えてもよい。
また、外側電極と内側電極とについて液体が検知された順番によって、液体が拡散する方向を特定できる。したがって、非加熱ゾーンZwから加熱ゾーンZhへの液体の侵入と、調理容器101からの吹きこぼれと、を判別できるため、判別結果に応じて異なる制御が実行されてもよい。具体的には、内側電極の位置で外側電極の位置より先に液体が検知された場合、制御装置6は、吹きこぼれが生じたと判定し、加熱コイル22の出力を低下させるように制御する。一方、外側電極の位置で内側電極の位置より先に液体が検知された場合、制御装置6は、液体の侵入があったと判定し、まず報知を行い、その後に双方の位置で液体が検知された場合に加熱コイル22の出力を低減させる制御を行う。この場合、図8の適正制御において、第3検知フラグを設定する際に(ステップST104)に、設定前と後のフラグを比較することにより、順番を判定することができる。例えば、第3検知フラグが1から3へ変更された場合には、液体の侵入と判別でき、第3検知フラグが2から3へ変更された場合には、吹きこぼれと判別できる。以上のように、液体が検知される順番に応じて制御することで、誤動作を抑制し、天板3の上面3aの状態に対して適正な制御が実施できる。このように、制御装置6は、操作ユニット5から入力された指令により加熱コイル22の出力を制御しているときに、内側電極の静電容量の変化及び外側電極の静電容量の変化に基づいて、報知部8及び加熱コイル22の出力を制御する。
なお、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、内側電極と外側電極とはどのように配置されてもよく、例えば、内側電極と外側電極とは、ともに加熱ゾーンZh内に配置されてもよい。加熱領域31の外側に少なくとも二重に電極304が配置されていれば、吹きこぼれと液体の侵入とを区別できる。また電極4、204、304の数は、特に上記の数に限定されず、例えば単数でもよい