JP2019209839A - 車両用温度調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に抑制できる車両用温度調整装置を提供する。【解決手段】温風ヒータと、内装の表面温度Twを調整する内装昇温ヒータと、内装表面温度Twを検出する内装表面温度検出センサと、ユーザ設定温度Tcntを設定するための設定温度入力スイッチと、前記ユーザ設定温度Tcntと前記内装表面温度Twとの差分を算出して該差分が所定値B1,B2以上であると判断したときには、内装昇温ヒータ及び温風ヒータを制御して、該差分が所定値未満である場合に比べて、内装昇温ヒータによる加温を温風ヒータによる加温よりも優先する電子制御ユニットとが備えられている【選択図】図7

Description

本発明は、車両用温度調整装置に関する。
車両用温度調整装置には、特許文献1、特許文献2に示すようなものが提案されている。特許文献1には、熱負荷に対応した空調制御を向上させるべく、外気温度の影響を受けて変化する部位の車室内表面温度、日射の影響を受けて変化する部位の表面温度、乗員により設定される車室内設定温度、及び実際の車室内温度を利用することにより、熱負荷を精度よく推定するものが開示され、特許文献2には、エアコン作動中にシートヒータを作動させることによって消費電力が増大することを抑制するべく、通電されているシートヒータの数が多いときほどエアコンの送風量を低減したものが開示されている。
ところで、一般に、車室内において乗員が寒さを感じるとき、乗員が空調装置の車室内設定温度を上げれば、車室内の実際の温度は、空調風をもって車室内設定温度まで上昇され、乗員は、温熱快適性を確保できる。
特開2001−191779号公報 特開2010−143468号公報
しかし、車室外の外気温度が低く、これに伴い、車室内の内装の表面温度も低くなっているときには、前述の如く、空調風をもって車室内を暖めても、直ちに暖かさを実感できないことがある。
本発明者は、このような現象に対して研究を行ったところ、内装が乗員の着衣から熱(輻射熱)を奪う場合(内装表面温度<乗員着衣温度)、乗員の着衣温度が低下し、それに基づき、車室内空間への移動熱量の放熱(対流)が促進されることを見出した。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に抑制できる車両用温度調整装置を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)〜(9)とした構成とされている。
(1)空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
車室内設定温度を設定するための設定温度入力手段と、
前記設定温度入力手段により入力された車室内設定温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を算出して該差分が所定値以上であると判断したときには、前記内装昇温手段及び前記空調手段を制御して、該差分が所定値未満である場合に比べて、前記内装昇温手段による加温を前記空調手段による加温よりも優先する制御手段と、
が備えられている構成とされている。
この構成によれば、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱(輻射熱)が、乗員が設定する車室内設定温度と内装表面温度(車室内設定温度>内装表面温度)との差分が大きいほど大きくなる実情に着目し、その差分が所定値以上のときには、内装昇温手段による加温を空調手段による加温よりも優先することにより、内装表面温度を迅速且つ適切に高め、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱に基づく乗員の着衣放射損失を速やかに抑えることができる。これにより、乗員の着衣温度が低下することを早期に抑制することができ、乗員の皮膚から着衣に移動する移動熱量に基づく乗員の着衣熱伝導損失を迅速に減少させることができる。この結果、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に抑制できる。
しかも、温度検出手段として、内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段だけを設け、乗員の着衣温度検出手段や皮膚温度検出手段を設けなくても、上記状態を実現することができ、簡素な構成をもって乗員の温熱快適性を向上させることができる。
(2)前記(1)の構成の下で、
前記制御手段は、前記差分を加温目標として設定すると共に、該加温目標に対する前記内装昇温手段の加温目標負担値を該加温目標とするように設定されている構成とされている。
この構成によれば、車室内設定温度と内装表面温度との差分を加温目標とし、その加温目標が所定値以上であるときには、その加温目標自体が内装昇温手段の加温目標負担値となり、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱に基づく乗員の着衣放射損失が、乗員が感じる寒さに関して最も影響力のあるものとみなして、それを集中してなくすことができる。このため、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に解消できる。
(3)前記(1)又は(2)の構成の下で、
電気自動車用として用いられ、
バッテリの残量を検出するバッテリ残量検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記所定値として、前記バッテリ残量検出手段が検出するバッテリ残量が少ない方向に向かうほど小さいものを設定するようにされている構成とされている。
この構成によれば、電気自動車において、バッテリ残量が少なくなるほど、エネルギー消費が少ない内装昇温手段による加温が、空調手段による加温よりも優先されることになり、電気自動車において、バッテリ残量が少ない状況の下でも、その走行電力を極力、確保しつつ、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に抑制できる。
(4)前記(1)又は(2)の構成の下で、
車室外の外気温度を検出する外気温度検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記所定値として、前記外気温度検出手段が検出する外気温度が低い方向に向かうほど小さいものを設定するようにされている構成とされている。
この構成によれば、外気温度が低いほど、内装昇温手段による加温が空調手段による加温よりも優先されることになり、車室外の外気温度の低下に伴い内装が低下される状況にあっても、その内装の低下を、内装昇温手段による加温により的確に抑制できる。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかの構成の下で、
前記制御手段は、前記設定温度入力手段による入力により車室内設定温度が該入力前の車室内設定温度よりも増大されたと判断したときには、該増大分に相当する熱量を前記空調手段により供給するように設定されている構成とされている。
この構成によれば、乗員の入力操作により車室内設定温度が増大されたときには、空調手段による熱量供給に基づき、乗員は、車室内空間の温度上昇を応答性良く感ずることができ、乗員は、車室内設定温度の入力操作が車室内空間の温度上昇に反映されたことを的確に実感、確認することができる。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかの構成の下で、
前記制御手段は、前記差分を加温目標として設定して、該加温目標が所定値未満であると判断したときには、該加温目標に対する前記空調手段の加温目標負担値を該加温目標とするように設定されている構成とされている。
この構成によれば、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを問題にする必要がないとして、加温に関する全能力が、空調手段の作動だけに向けられることになり、内装昇温手段と空調手段とが併存する下で、空調手段を的確に利用して、乗員が暖かさを感じるまでの時間を極力、短縮することができる。
(7)前記(1)〜(6)のいずれかの構成の下で、
前記内装昇温手段が、前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分に設けられている構成とされている。
この構成によれば、車室外の外気温度が低いことに伴い内装が低い温度状態である場合であっても、いわゆる頭寒足熱の要請に基づき、乗員下肢に対する寒さを迅速且つ的確に解消することができる。
(8)前記(7)の構成の下で、
前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分が、コンソールの側壁領域、ステアリングハンドルの背後に位置されるインストルメントパネルの下面領域、サイドドアのドアパネル領域、シートにおける座部の前面領域の少なくともいずれかである構成とされている。
この構成によれば、内装のうち、乗員下肢に対する寒さを迅速且つ的確に解消する観点から最良の具体的位置に内装昇温手段が設けられることになり、乗員下肢に対する寒さを迅速且つ的確に解消することを具体的に実現できる。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかの構成の下で、
前記制御手段は、前記所定値を40度近傍として設定している構成とされている。
この構成によれば、具体的な所定値を基準として、内装の低温状態に対する内装昇温手段の加温による対処を決めることができ、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを具体的且つ的確に抑制できる。
本発明によれば、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に抑制できる車両用温度調整装置を提供できる。
第1実施形態に係る車室内を説明する説明図。 第1実施形態に係る車室内において、温風ヒータから送り出される温風の吹出し口の配置位置及び吹出し方向を説明する説明図。 第1実施形態に係る内装構造を説明する説明図。 第1実施形態に係る制御系統例を示す図。 乗員から内装へ放射熱(輻射熱)が放射されると共に、乗員から車室内空間へ放熱が行われる状況を説明する説明図。 内装の表面温度が、種々の車室内温度の下で、乗員の熱エネルギ消費にどのように影響を及ぼすかを示す図。 第1実施形態に係る制御例を示すフローチャート。 第2実施形態に係る制御系統例を示す図。 第2実施形態に係る制御例を示すフローチャート。 第3実施形態に係る制御系統例を示す図。 第3実施形態に係る制御例を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図7は第1実施形態を示す。その図1、図2において、符号1は、車両としての自動車を示す。この自動車1の車室2は、前席側においては、車幅方向全長に亘って伸びるインストルメントパネル3と、そのインストルメントパネル3の左右両側から車体後方に伸びるようにして配置される左右のドア4(左側ドアについては図示略)とにより区画されている。この車室2内には、車幅方向中央においてコンソール5が車体前後方向に延びるようにして設けられており、そのコンソール5の前端はインストルメントパネル3に至っている。このため、車室2は、コンソール5を中心として右左に運転手席空間6と助手席空間7とに区画され、運転手席空間6には、運転手席シート8が配置されると共に、その運転手席シート8の車体前方であってインストルメントパネル3の車体後方側においてステアリングハンドル9が配置され、助手席空間7には、助手席シート(図示略)が配置されている。勿論この場合、運転手席シート8及び助手席シートは、シート座部11(座部)と、そのシート座部11の後部から起立するシート背部12とにより構成されている。
自動車1には、図4に示すように、車両用温度調整装置13が組み込まれている。その車両用温度調整装置13には、それを構成すべく、内装昇温手段としての内装昇温ヒータ14と空調手段としての温風ヒータ15とが備えられており、この内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15は、運転手席及び助手席において同様の構成をもって設けられている。このため、以下の説明では、重複した説明を避けるために、運転手席側の構成についてだけ行う。
前記内装昇温ヒータ14は、図3に示すように、車室2内の内装16(内装表皮21)の表面温度を高めるために、バッテリ(図示略)からの電力を得てその内装16に熱を供給するものである。その内装昇温ヒータ14としては、種々のものを用いることができ、本実施形態においては、内装昇温ヒータ14として、図3に示すように、フィルムヒータ14Aを内装表皮21と遮熱材22とで積層挟持した構造のものが用いられ、それが、配置すべき内装16の構造母材23に取付けられる。この場合、内装表皮21としては、入熱に対して高応答で温度変化して熱放射を制御できるようにすべく、厚みが十分に薄い低熱容量表皮が用いられ、遮熱材22としては、表皮の高応答温度変化をサポートすべく、高遮熱材が用いられる。
このような構造の内装昇温ヒータ14は、前記運転手席空間6(車室2)を区画する内装16のうち、前記運転手席シート8に着座する運転手の下肢に臨む領域に組み込まれている。具体的には、内装16のうち、内装昇温ヒータ14が組み込まれる領域は、図1に示すように、コンソール5の側壁領域17、ステアリングハンドル9背後(車体前方側)におけるインストルメントパネル3の下面領域18、ドア4のドアパネル領域19、シート座部11の前面領域20において設定されており、これらは、運転手の下肢周辺を囲んでいる。
尚、図1においては、内装16の各領域17〜20が他の領域と区別して図示されているが、それは、その内装16の各領域17〜20の存在域を明確に把握するために便宜上、行われているのであり、内装16の各領域17〜20とその各周囲域とは、外観上、区別がつかなくなっている。
前記温風ヒータ15は、空気の温度と風量とを調整することにより、温風を生成して、その温風を、車室2内に開口する吹出し口24に送り出すものである。本実施形態においては、この温風ヒータ15として、電気式のものが用いられている。温風の吹出し口24は、図2に示すように、前記コンソール5の側壁前部に設けられており、その吹出し口24により、温風ヒータ15から送り出された温風は、図2の矢印に示すように、運転手席シート8に着座する運転手に向けて吹出されるように設定されている。
前記車両用温度調整装置13には、図4に示すように、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15を制御すべく、マイクロコンピュータを利用して構成された制御手段としての電子制御ユニットECUが備えられている。このため、電子制御ユニットECUから内装昇温ヒータ14(駆動回路)及び温風ヒータ15(駆動回路)に制御信号がそれぞれ出力される一方、この電子制御ユニットECUには、センサD2、機器類D4からの信号が入力される。D2は、サーミスタ等を用いて内装16の表面温度を検出する内装表面温度検出センサであり、この内装表面温度検出センサD2は、図1に示すように、前記内装16の各領域17〜20にそれぞれ配置されて(図1においては一部を図示)、その各領域17〜20の表面温度を検出する。D4は、乗員(ユーザ)の入力操作により車室2内の温度を設定する車室内設定温度入力スイッチであり、この車室内設定温度入力スイッチは、コンソール5の前部上壁に設けられている。
前記電子制御ユニットECUには、図4に示すように、コンピュータとしての機能を確保すべく、記憶部38と、出力設定部39とが備えられている。
記憶部38は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子をもって構成されており、その記憶部38には、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15の作動制御に必要な各種プログラム、後述の係数α1、β1、α2、β2(図7参照)、第1所定値(40度)、第2所定値(20度)等の設定情報が格納されている。これら各種プログラム等は、必要に応じて、出力設定部39により読み出され、また、必要な情報が記憶部38に適宜、記憶される。
出力設定部39は、CPU(Central Processing Unit)をもって構成されており、その出力設定部39は、記憶部38から読み出されたプログラムの下で、各内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15に対して所定の制御信号を出力する。
前記電子制御ユニットECUが行う制御には、本発明者が見出した知見等が反映されている。このため、先ず、その知見等について説明し、その後、その知見等が反映された制御の概要について説明する。
(1)本発明者が見出した知見等
一般に、車室外の外気温度が低い場合には、車室2内を空調風により暖房しても、迅速に暖かさを感じないことを経験する。本発明者は、この現象に関して、図5に示すように、外気温度の低下に伴い内装16(図5では、乗員Pに対向したインストルメントパネル3)の表面温度が低下すると、乗員Pの着衣Pclの温度(乗員Pの着衣温度>内装16の表面温度)と内装16の表面温度との差分が大きくなるため、乗員Pの着衣Pclと内装16との間の熱移動に基づく着衣放射損失が大きくなって、その着衣放射損失により乗員の着衣温度が低下し、その結果として、乗員Pの人体(スキン)Pskから着衣Pclへの熱移動が促進されると考えている。
図6は、そのことを裏付けるものである。その図6には、本発明者が、人の温熱メカニズムに基づく車室内温熱制御を行うために、温熱快適性を人体エクセルギー損失によって評価した結果が示されている。この図6において、人体エクセルギー損失とは、人体が摂取した食物を消費する過程で産出した人体深部の熱エネルギーが、人体深部から人体表面、ひいては人体周辺へと熱移動することで生じるエネルギー損失のことであり、その人体エクセルギー損失は、熱移動の過程を考慮し、コア損失と、スキン損失と、着衣熱伝導損失と、着衣放射損失の4要素からなる定義付けをもって特定することができる。
ここで、コア損失とは、代謝熱や呼気・吸気や血流循環といった人体内部での熱移動に伴う人体エクセルギー損失である。スキン損失とは、人体深部から皮膚への熱伝導や血流循環や汗の蒸発によって生じる、着衣と皮膚表面との間での熱移動に伴う人体エクセルギー損失である。着衣熱伝導損失とは、人体周辺の空気と着衣との間の熱移動(熱伝導)に伴う人体エクセルギー損失である。着衣放射損失とは、前記空気の周辺にある内装と着衣との間での熱移動(放射)に伴う人体エクセルギー損失である。
図6について具体的に説明する。
(i)図6によれば、内装16が低温(低温壁10℃)である場合には、乗員の着衣放射損失が、内装16が高温(高温壁20℃)である場合に比して大きくなることを示す(図6中、左図における放射損失大の領域において、上下長さ参照)と共に、乗員Pの着衣熱伝導損失が大きくなることを示した(図6中、左図における熱伝導損失大の領域において、上下長さを参照)。これは、上述の通り、内装16の表面温度が低いほど(内装16表面温度<乗員着衣温度)、乗員Pの着衣放射損失が大きくなって、乗員Pの着衣温度が低下し、これに伴い、乗員Pの皮膚温度(人体温度)とその乗員Pの着衣温度との差分が大きくなることで、皮膚表面と着衣Pclとの間の熱移動に基づくスキン損失が大きくなったためと考えられる。
(ii)これに対して、内装16を高温(高温壁20℃)とした場合には、乗員Pの着衣放射損失がかなり小さくなることを示す(図6中、右図における放射損失小を領域参照)と共に、乗員Pの着衣熱伝導損失が小さくなることを示した(図6中、右図における熱伝導損失小の領域を参照)。これは、前記説明とは逆に、内装16の表面温度が高くなればなるほど、乗員Pの着衣放射損失が小さくなるため、乗員Pの着衣温度の低下が抑えられ、これに伴い、乗員Pの皮膚温度(人体温度)とその乗員Pの着衣温度との差分が小さくなることで、スキン損失が小さくなったためであると考えられる。この場合、内装16が低温及び高温のいずれの状態においても、内装16と乗員Pとの間の車室内空気温度の温度状況は、上記基本的関係にほとんど影響を及ぼさなかった(図6における放射損失及ぶ熱伝導損失の上下長さを横軸全体に亘って参照)。
(iii)このことから、次のことが知見等として得ることができる。
(iii-1)内装16の表面温度が低い場合には、内装16の表面温度を高めることにより、内装16が乗員の着衣から放射熱(輻射熱)を奪うことをなくして乗員の着衣温度の低下を抑制することが、乗員が寒さを感じないようにするために有効である。
(iii-2)またこの場合、内装16が、その低温状態に基づいて乗員Pに寒さを感じさせる領域は、その内装のうち、乗員着衣Pclに臨む領域であり、その乗員着衣Pclに臨む内装16の一部の領域(該当領域)だけを局部的にしかも直接的に加温して、その内装表面温度を乗員着衣温度以上にすれば、内装16による乗員着衣Pclからの放射熱の吸収を抑制又は防止できる。このため、内装16の一部自体を直接的に加温する場合の方が、空調風をもって車室2内全体の加温を経て内装16の表面温度を高める場合に比して、内装16の該当領域の表面温度を迅速に所望の温度に至らせて、内装16の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを速やかに解消できる。
(iii-3)しかも、空調風による加温を併せて行えば、内装16の該当領域の加温により乗員着衣温度の低下が迅速に抑制されることから、空調風によって乗員が暖かさを感じるまでの供給熱量を、当初から空調風だけをもって乗員に暖かさを感じさせるまでの場合に比して少なくでき、これに伴い、乗員が暖かさを感じる時間を短縮することができる。
(2)電子制御ユニットECUの制御の概要
(i)電子制御ユニットECUは、車室2内の温度調整を行うに当たって、先ず、乗員の寒さに及ぼす内装各領域17〜20の影響力を判断する。この判断は、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱(輻射熱)に基づく乗員の着衣放射損失が、乗員が設定する車室内設定温度Tcntと内装表面温度Tw(車室内設定温度Tcnt>内装表面温度Tw)との差分が大きいほど大きくなる実情に着目し、その車室内設定温度Tcnと内装表面温度Twとの差分を加温目標Hとし、その加温目標Hが所定値B(第1、第2所定値B1,B2)に対してどの程度の大きさになっているかにより、その加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値、その加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値が決定される。
(ii)具体的には、電子制御ユニットECUは、加温目標Hが第1所定値B1(所定値B)以上であると判断したときには、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱が、乗員が感じる寒さに対して最も影響力があり、それを集中してなくすべきであるとして、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値を加温目標Hの全部とし、それに相当する熱量を内装昇温ヒータ14により内装各領域17〜20に供給させる。その一方で、電子制御ユニットECUは、温風ヒータ15の加温目標負担値を0とし、温風ヒータ15を作動させない。このとき、第1所定値B1としては、実験結果から40度近傍のものを用いることが好ましく、本実施形態においては、40度が用いられる。
(iii)電子制御ユニットECUは、加温目標Hが第2所定値B2(所定値B(B1>B2))以上であると判断したときには、その加温目標Hが、第1所定値B1の場合ほど大きくないものの、乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱が、乗員が感じる寒さに影響力を与えているとして、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値を、加温目標H×係数α1とし、温風ヒータ15の加温目標負担値を、加温目標H×係数β1とする。この場合、α1、β1には、α1>β1、α1+β1=1の関係があることから、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値H×α1が温風ヒータ15の加温目標負担値H×β1よりも大きくなり、その各加温目標負担値に相当する熱量が、内装昇温ヒータ14、温風ヒータ15によりそれぞれ供給される。このとき、第2所定値B2としては、実験結果から20度近傍のものを用いることが好ましく、本実施形態においては、20度が用いられる。
(iv)電子制御ユニットECUは、加温目標が第2所定値B2未満であると判断したときには、乗員の温熱快適性の観点から、温風ヒータ15による加温の方を内装昇温ヒータ14による加温よりも優先すべきとして、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値を、加温目標H×係数α2とし、温風ヒータ15の加温目標負担値を、加温目標H×係数β2とする。この場合、α2、β2には、α2<β2、α2+β2=1の関係があることから、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値H×α2が温風ヒータ15の加温目標負担値H×β2よりも小さくなり、その各加温目標負担値に相当する熱量が、内装昇温ヒータ14、温風ヒータ15によりそれぞれ供給される。
(v)また、電子制御ユニットECUは、乗員が設定温度入力スイッチD4により車室内設定温度をΔTだけ上げた場合には、その増大温度ΔTに相当する熱量を温風ヒータ15により供給させ、乗員が操作を行ったことを、温度上昇をもって実感、確認させる。
上記電子制御ユニットECUの制御内容を、図7に示すフローチャートに基づいて具体的に説明する。尚、Qはステップを示す。また、フローチャートにおいては、ユーザ設定温度(車室内設定温度)Tcntが増大操作により増大された状態にあるか否かを示すフラグFが用いられており、F=1が、ユーザ設定温度Tcntが増大操作により増大された状態にあることを示し、F=0が、ユーザ設定温度Tcntが増大操作により増大された状態でない状態にあることを示す。さらに、内装各領域17〜20が各内装昇温ヒータ14により個別に加温制御されるが、説明の便宜上、内装該当域16Aが内装各領域17〜20を代表するものとして用い、その内装該当域16Aが内装昇温ヒータ14により加温制御されるものとして説明する。
電子制御ユニットECUが起動されると、先ず、Q1において、初期設定が行われる。この初期設定として、第1所定値B1(=40度)、第2所定値B2(=20度)、係数α1、β1(α1>β1、α1+β1=1)、係数α2、β2(α2<β2、α2+β2=1)、後述のQ7、Q9,Q10において用いられるΔTがΔT=0であること、フラグFがF=0であること等が、設定情報として設定される。次のQ2においては、各種情報が読み込まれる。具体的には、乗員(ユーザ)の入力操作により入力されたユーザ設定温度Tcnt、内装該当域16Aの内装表面温度Twが読み込まれる。
各種情報が読み込まれると、Q3において、上記Q2の情報に基づき、加温目標Hが算出される。この加温目標Hは、ユーザ設定温度Tcntと内装表面温度Twとの差分(Tcnt−Tw)により求められ、内装の低温状態が、乗員が感じる寒さにどの程度、影響を与えるかが判断される。
加温目標Hが算出されると、Q4において、フラグFがF=0か否かが判別される。ユーザ設定温度Tcntが増大操作により増大された状態でない状態にあるか否かを判別するためである。当初は、F=0に初期設定されていることから、Q4の判別がYESとなって、Q5に進むことになり、そのQ5においては、ユーザ設定温度Tcntが乗員により増大操作されたか否かが判別される。ユーザ設定温度Tcntの増大操作が行われた場合には、それに応じた制御を行うためである。
Q5がNOのときには、Q6において、加温目標Hが第1所定値B1としての40度以上であるか否かが判別される。乗員の着衣から内装に向けて放射される放射熱(輻射熱)に基づく着衣放射損失が、ユーザ設定温度Tcntと内装表面温度Tw(Tcnt>Tw)との差分が大きいほど大きくなる実情に着目し、その差分を加温目標Hとして、その加温目標Hが第1所定値B1(=40度)よりも大きいか否かを判別することにより、内装昇温ヒータ14の加温を温風ヒータ15の加温に対して優先するか否か、さらには、仮に内装昇温ヒータ14の加温を優先するならば、どの程度優先するかを判別するためである。このため、Q6がYESのときは、加温目標Hがかなり大きい状態にあり、乗員の着衣放射損失を極力抑えることが、乗員が感ずる寒さを抑制する観点から有効であることから、Q7において、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が加温目標Hの全部とされ、それに相当する熱量がその内装昇温ヒータ14により内装該当域16Aに供給される。他方、温風ヒータ15については、その加温目標負担値が0+ΔT(=0)=0とされ、この場合には、温風ヒータ15により空調風を通じて熱量の供給は行われない。ここで、ΔTは、乗員がユーザ設定温度を増大させたときにおける増大温度であり(後述のQ13参照)、当初は、このΔTはΔT=0に初期設定されている。
前記Q6がNOのときには、Q8において、加温目標Hが第2所定値B2(=20度)以上であるか否かが判別される。加温目標Hが、第1所定値B1の場合ほど大きくないものの、乗員の着衣放射損失が、乗員が感じる寒さに影響力を与える状況にあるか否かを判別するためである。このため、Q8がYESのときには、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値を、加温目標H×係数α1とし、温風ヒータ15の加温目標負担値を、加温目標H×係数β1+ΔT(=0)とする。この場合、α1、β1には、α1>β1、α1+β1=1の関係があることから、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値H×α1が温風ヒータ15の加温目標負担値H×β1よりも大きくなり、その各加温目標負担値に相当する熱量が、内装昇温ヒータ14、温風ヒータ15によりそれぞれ供給される。
これに対して、Q8がNOのときには、乗員の温熱快適性の観点から、温風ヒータ15による加温の方を内装昇温ヒータ14による加温よりも優先すべきとして、Q10において、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値を、加温目標H×係数α2とし、温風ヒータ15の加温目標負担値を、加温目標H×係数β2+ΔT(=0)とする。この場合、α2、β2には、α2<β2、α2+β2=1の関係があることから、温風ヒータ15の加温目標負担値H×β2が内装昇温ヒータ14の加温目標負担値H×α2よりも大きくなり、その各加温目標負担値に相当する熱量が、温風ヒータ15、内装昇温ヒータ14によりそれぞれ供給される。
前記Q5がYESのときは、ユーザ設定温度を途中で増大操作したときであり、このときには、Q11において、フラグFがF=1に設定される。そして、次のQ12において、現時点のユーザ設定温度Tcnt−nが読み込まれ、続くQ13おいて、Q11における現時点のユーザ設定温度Tcnt−nとQ2におけるユーザ設定温度Tcntとの差分が増大温度ΔTとして求められる。
Q13において、増大温度ΔTが求められると、前記Q6に進み、以下、加温目標Hの状況に応じて(Q6,Q8)、Q7,Q9,Q10の処理を受ける。
すなわち、Q6がYESのときには、Q7において、前述同様、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が加温目標Hの全部とされ、それに相当する熱量が内装昇温ヒータ14により内装該当域16Aに供給される。しかし、Q13を経てきたものにおいては、前述の場合とは異なり、温風ヒータ15の加温目標負担値が、0とされずにQ13の増大温度ΔTとされ、その増大温度ΔTに相当する熱量が温風ヒータ15により供給される。これにより、乗員がユーザ設定温度Tcntの増大操作を行ったことを、空調風の温度上昇をもって速やかに実感、確認することができる。
同様に、Q6がNOとされて、Q8がYESのときには、Q9において、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値がH×α1とされ、Q8がNOのときには、Q10において、内装昇温ヒータ14の加温目標負担値がH×α2とされるものの、このQ9,Q10においては、温風ヒータ15の加温目標負担値に関しては、Q13の内容が反映されることになり、Q9では、温風ヒータ15の加温目標負担値がH×β1+ΔTとされ、Q10では、温風ヒータ15の加温目標負担値がH×β2+ΔTとされる。これにより、このQ9,Q10においても、温風ヒータ15の加温目標負担値は、Q13を経ない場合よりも増大温度ΔT分が増大されることになり、乗員がユーザ設定温度Tcntの増大操作を行ったことを、空調風の温度上昇をもって速やかに実感、確認することができる。
前記Q4がNOのときは、ユーザ設定温度Tcntが増大操作により増大された状態にあるときであり、この状態は、Q11において、F=1に設定された後、Q2にリターンされてきた場合である。このときには、Q14に進んで、Q14において、ユーザ設定温度Tcntの低下操作が行われたか否かが判別される。このQ14がNOのときには、Q6に進み、加温目標Hの状況に応じて、Q7,Q9,Q10において、前記同様、温風ヒータ15の加温目標負担値にQ13の内容を反映させた処理が継続実行される。
これに対して、Q14がYESのときは、ユーザ設定温度を低下させたときであり、このときには、Q15において、ΔTがΔT=0とされ、Q16において、フラグFがF=0とされた後、Q6に進み、Q13の内容が反映されない処理に戻る。
図8、図9は第2実施形態、図10、図11は第3実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図8、図9に示す第2実施形態は、自動車1として電気自動車が用いられ、その電気自動車1の下で、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15による加温制御が行われ、その制御においてバッテリの残量が考慮されているものが示されている。
この第2実施形態においては、図8に示すように、内装昇温ヒータ14、温風ヒータ15を制御すべく、電子制御ユニットECUには、内装表面温度検出センサD2、車室内設定温度入力スイッチD4からの各情報の他に、バッテリ残量検出センサD6からのバッテリ残量情報が入力される。
電子制御ユニットECUは、バッテリ残量を、前記所定値Bに相当する閾値に反映させており、バッテリ残量が少なくなるほど閾値(所定値)が小さくなるように設定している。これにより、電子制御ユニットECUは、前記加温目標Hと閾値との比較により、バッテリ残量が少なくなるほど、加温目標Hが閾値よりも大きいと判断する傾向を高めることになり、内装昇温ヒータ14による加温は、温風ヒータ15による加温よりも優先させられる。この結果、バッテリ残量が少なくなれば、エネルギ消費が少ない内装昇温ヒータ14による加温が温風ヒータ15による加温よりも優先されることになり、バッテリ残量が少ない状況下において、電気自動車の走行電力を極力、確保しつつ、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることが迅速に抑制される。
第2実施形態に係る電子制御ユニットECUの制御内容を、図9に示すフローチャートに基づいて具体的に説明する。尚、Rはステップを示す。
電子制御ユニットECUが起動されると、先ず、R1において、先ず、R1において、初期設定が行われる。この初期設定として、バッテリ残量判別値(10%)、第1閾値T1(例えば30度)、第3閾値T3(例えば0度)、係数α1、β1(α1>β1、α1+β1=1)、係数α2、β2(α2<β2、α2+β2=1)等が、設定情報として設定される。次のR2においては、各種情報が読み込まれる。具体的には、乗員(ユーザ)の入力操作により入力されるユーザ設定温度Tcnt、内装該当域16Aの表面温度Tw、バッテリ残量情報等が読み込まれる。
各種情報が読み込まれると、R3において、上記R2の情報に基づき、加温目標Hが算出される。加温目標Hは、ユーザ設定温度Tcntと内装表面温度Twとの差分(Tcnt−Tw)により求められ、内装の低温状態が、乗員が感じる寒さにどの程度、影響を与えるかが判断される。
加温目標Hが算出されると、R4において、バッテリ残量が10%未満か否かが判別される。電気自動車において、走行電力を確保する必要性があるか否かを判断するためである。この場合、バッテリ残量判別値「10%」は、バッテリ残量が少なくなったか否かを判別するための一例である。このため、R4がNOのときには、バッテリ残量が少ない状態とは言えないとして、R5において、後述の第3閾値T3(例えば0度)よりも大きい第1閾値T1(例えば30度)が設定される。
次のR6では、R3の加温目標Hがこの第1閾値T1以上であるかが判別される。この場合のR6の判別は、バッテリ残量が少ない状態とは言えない状態の下での内装16の低温状態の影響力を判別しようとするものであり、R6がYESのときには、バッテリ残量が問題ではなく、乗員に対する内装16の低温状態の影響力が大きいことに問題があるとして、R7に進む。
このため、R7においては、係数α1がβ1よりも大きくされた状態の下で、加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が、H×α1として求められると共に、加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値が、H×β1として求められて、内装昇温ヒータ14による加温が温風ヒータ15による加温よりも優先される。これにより、乗員に対する内装16の低温状態の大きな影響力が解消される。
これに対して、R6において、第1閾値T1が用いられる場合において、そのR6がNOのときには、乗員に対する内装16の低温状態の影響力が問題にならず、しかも、バッテリ残量についても考慮する必要がないとして、R8に進む。
このため、R8においては、係数α2がβ2よりも小さくされた状態の下で、加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が、H×α2として求められると共に、加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値が、H×β2として求められ、それに基づき、温風ヒータ15による加温が内装昇温ヒータ14による加温よりも優先される。
前記R4がYESのときには、バッテリ残量が少なくなったとして、R9に進み、そのR9において、前記第1閾値T1よりも小さい第3閾値T3が設定される。このため、R6の判別は、YESとなる傾向を高めることになり、エネルギ消費が少ない内装昇温ヒータ14による加温が温風ヒータ15による加温よりも優先されるR7に進むことになる。このため、バッテリ残量が少ない状況下において、電気自動車の走行電力を極力、確保しつつ、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることを迅速に抑制できることになる。
他方、R6において、第3閾値T3が用いられる場合において、そのR6がNOと判断されたときには、バッテリ残量について多少考慮する必要があるものの、乗員に対する内装16の低温状態の影響力が問題にならないとして、前記R8に進む。
図10、図11に示す第3実施形態には、内装昇温ヒータ14及び温風ヒータ15による加温制御に車室外の外気温度を考慮したものが示されている。
この第3実施形態においては、内装昇温14、温風ヒータ15を制御すべく、電子制御ユニットECUには、内装表面温度検出センサD2、車室内設定温度入力スイッチD4からの各情報の他に、外気温度検出センサD7からの外気温度情報が入力される。
電子制御ユニットECUは、外気温度Toutを、加温目標Hと比較する第1、第2閾値T1,T2(所定値)に反映させており、外気温度Toutが低くなるほど閾値が小さくなるように設定されている(第2閾値T2)。このため、前記加温目標Hとその閾値との比較により、外気温度が低くなるほど、内装昇温ヒータ14による加温を温風ヒータによる加温よりも優先させることができ、車室外の外気温度の低下に伴い内装16が低下される状況にあっても、その内装該当域16Aの低下を、内装昇温ヒータ14による加温により的確に抑制できる。
第3実施形態に係る電子制御ユニットECUの制御内容を、図11に示すフローチャートに基づいて具体的に説明する。尚、Uはステップを示す。
電子制御ユニットECUが起動されると、先ず、U1において、初期設定が行われる。この初期設定として、外気温度の低温基準値(0度)、第1閾値T1(例えば30度)、第2閾値T2(例えば20度)、係数α1、β1(α1>β1、α1+β1=1)、係数α2、β2(α2<β2、α2+β2=1)等が、設定情報として設定される。次のU2においては、各種情報が読み込まれる。具体的には、乗員(ユーザ)の入力操作により入力されるユーザ設定温度Tcnt、内装該当域16Aの内装表面温度Tw、外気温度Tout等が読み込まれる。
各種情報が読み込まれると、U3において、上記U2の情報に基づき、加温目標Hが算出される。加温目標Hは、ユーザ設定温度Tcntと内装表面温度Twとの差分(Tcnt−Tw)により求められ、内装の低温状態が、乗員が感じる寒さにどの程度、影響を与えるかが判断される。
加温目標Hが算出されると、U4において、外気温度が0度を超えているか否かが判別される。外気温度によって内装16の内装表面温度Twが低温化することに対して対処する必要がないか否かを判断するためである。この場合、外気温度の低温基準値「0度」は、外気温度が、乗員に寒さを感じさせるほど内装16の温度を低下させるか否かを判別するための一例である。このため、U4がYESのときには、外気温度Toutが内装16の低温化にあまり影響を与えないとして、後述の第2閾値T2(例えば20度)よりも大きい第1閾値T1(例えば30度)が設定される。
次のU6では、U3の加温目標Hがこの第1閾値T1以上であるか否かが判別される。この場合のU6の判別は、外気温度が低いとは言えない状態の下での内装16の低温状態の影響力を判別しようとするものであり、U6がYESのときには、外気温度による内装の低温化が問題ではなく、現状の内装16の低温状態が乗員に大きな影響力を及ぼしているとして、U7に進む。
このため、U7においては、係数α1がβ1よりも大きくされた状態の下で、加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が、H×α1として求められると共に、加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値が、H×β1として求められて、内装昇温ヒータ14による加温が温風ヒータ15による加温よりも優先される。これにより、乗員に対する内装16の低温状態の大きな影響力が解消される。
これに対して、U6において、第1閾値T1が用いられる場合において、そのU6がNOのときには、乗員に対する内装16の低温状態の影響力が問題にならないとして、U8に進む。
このため、U8においては、係数α2がβ2よりも小さくされた状態の下で、加温目標Hに対する内装昇温ヒータ14の加温目標負担値が、H×α2として求められると共に、加温目標Hに対する温風ヒータ15の加温目標負担値が、H×β2として求められ、それに基づき、温風ヒータ15による加温が内装昇温ヒータ14による加温よりも優先される。
前記U4がNOのときには、外気温度が内装16の低温化に影響を及ぼすほど低くなったとして、R9に進み、そのR9において、前記閾値T1よりも小さい閾値T2が設定される。このため、U6の判別は、YESとなる傾向を高めることになり、そのときには、内装昇温ヒータ14による加温が温風ヒータ15による加温よりも優先された状態で、内装該当域16A自体が加温される。このため、外気温度が内装表面温度Twの低温下に影響を与える状況下にあっても、内装該当域16Aの低温化の進行を抑えて、内装の低温状態に基づいて乗員が寒さを感じることが迅速に抑制される。
他方、U6において、第2閾値T2が用いられる場合において、そのU6がNOと判断されたときには、外気温度について多少考慮する必要があるものの、乗員に対する内装16の低温状態の影響力が問題にならないとして、前記U8に進む。
以上実施形態について説明したが本発明にあっては次の態様を包含する。
(1)空調手段として、エンジン冷却水を温風の熱源として利用すること。
(2)内装各領域17〜20における各内装昇温ヒータ14の制御を一律に行うこと(例えば、内装各領域17〜20のうち、最も低い温度のものを基準として加温制御すること)。
(3)内装昇温ヒータ14により内装各領域17〜20の表面温度を、乗員着衣温度とその内装表面温度との差分が小さくなるように制御すること(差分が、0又は負の状態を含む)。
本発明は、車室2内における乗員の温熱快適性を向上させるために利用できる。
1 自動車
3 インストルメントパネル(内装16)
4 ドア(内装16)
5 コンソール(内装16)
8 運転手席シート(内装16)
13 車両用温度調整装置
14 内装昇温ヒータ(内装昇温手段)
14A フィルムヒータ(内装昇温手段)
15 温風ヒータ(空調手段)
16 内装
16A 内装該当域
17 コンソール5の側壁領域
18 ステアリングハンドル背後におけるインストルメントパネルの下面領域
D2 内装表面温度検出センサ(内装表面温度検出手段)
D4 車室内設定温度入力スイッチ(設定温度入力手段)
D6 バッテリ残量検出センサ(バッテリ残量検出手段)
D7 外気温度検出センサ(外気温度検出センサ)
ECU 電子制御ユニット(制御手段)
B 所定値
B1 第1所定値(所定値B)
B2 第1所定値(所定値B)
T1 第1閾値(所定値B)
T2 第2閾値(所定値B)
T3 第3閾値(所定値B)
Tw 内装表面温度
Tcnt ユーザ設定温度(車室内設定温度)
ΔT 増大温度
H 加温目標

Claims (9)

  1. 空調風を用いて車室内温度を調整する空調手段が備えられている車両用温度調整装置において、
    車室内における所定部位の内装の表面温度を調整する内装昇温手段と、
    前記内装の表面温度を検出する内装表面温度検出手段と、
    車室内設定温度を設定するための設定温度入力手段と、
    前記設定温度入力手段により入力された車室内設定温度と前記内装表面温度検出手段が検出した内装表面温度との差分を算出して該差分が所定値以上であると判断したときには、前記内装昇温手段及び前記空調手段を制御して、該差分が所定値未満である場合に比べて、前記内装昇温手段による加温を前記空調手段による加温よりも優先する制御手段と、
    が備えられている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  2. 請求項1において、
    前記制御手段は、前記差分を加温目標として設定すると共に、該加温目標に対する前記内装昇温手段の加温目標負担値を該加温目標とするように設定されている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  3. 請求項1又は2において、
    電気自動車用として用いられ、
    バッテリの残量を検出するバッテリ残量検出手段が備えられ、
    前記制御手段が、前記所定値として、前記バッテリ残量検出手段が検出するバッテリ残量が少ない方向に向かうほど小さいものを設定するようにされている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  4. 請求項1又は2において、
    車室外の外気温度を検出する外気温度検出手段が備えられ、
    前記制御手段が、前記所定値として、前記外気温度検出手段が検出する外気温度が低い方向に向かうほど小さいものを設定するようにされている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記制御手段は、前記設定温度入力手段による入力により車室内設定温度が該入力前の車室内設定温度よりも増大されたと判断したときには、該増大分に相当する熱量を前記空調手段により供給するように設定されている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記制御手段は、前記差分を加温目標として設定して、該加温目標が所定値未満であると判断したときには、該加温目標に対する前記空調手段の加温目標負担値を該加温目標とするように設定されている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、
    前記内装昇温手段が、前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分に設けられている、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  8. 請求項7において、
    前記内装のうち、乗員下肢に対向した状態で近接する部分が、コンソールの側壁領域、ステアリングハンドルの背後に位置されるインストルメントパネルの下面領域、サイドドアのドアパネル領域、シートにおける座部の前面領域の少なくともいずれかである、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、
    前記制御手段は、前記所定値を40度近傍として設定している、
    ことを特徴とする車両用温度調整装置。
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