JP2019207983A - 熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも低い熱伝導率を有しうるMg3(Sb,Bi)2系熱電変換材料を提供する。【解決手段】本開示の熱電変換材料は、複数の結晶粒から構成される多結晶体であり、各々の結晶粒はLa2O3型の結晶構造を有し、少なくとも1つの結晶粒はナノ粒子及び/又はナノ空孔を含有し、ナノ粒子及びナノ空孔は200nm以下のサイズを有し、熱電変換材料は、式Mg3+m-aAaB2-c-eCcEeにより表される組成を有する。Aは、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb及びAlから選ばれる少なくとも1種であり、Bは、Sb及び/又はBiであり、Cは、Mn、Si及びCrから選ばれる少なくとも1種であり、Eは、Se及び/又はTeであり、mは−0.1以上0.4以下であり、aは0以上0.1以下であり、cは0以上0.1以下であり、eは0.001以上0.06以下である。【選択図】図1
Description
本開示は、熱電変換材料及びこれを用いた熱電変換素子に関する。
熱電変換材料を用いた熱電変換素子が知られている。熱電変換素子によれば、熱エネルギーの流入により生じた温度差に基づく発電が可能となる。
特許文献1、及び非特許文献1から3は、Mg3(Sb,Bi)2系熱電変換材料を開示している。
H. Tamaki et al., "Isotropic Conduction Network and Defect Chemistry in Mg3+δSb2-Based Layered Zintl Compounds with High Thermoelectric Performance", Advanced Materials, Vol. 28, Issue 46, pp. 10182-10187 (2016) [DOI:10.1002/adma.201603955].
T. Kanno et al., "Enhancement of average thermoelectric figure of merit by increasing the grain-size of Mg3.2Sb1.5Bi0.49Te0.01", Appl. Phys. Lett. Vol. 112, Article number 033903 (2018). [DOI: 10.1063/1.5016488]
J. Shuai et al., "Significant Role of Mg Stoichiometry in Designing High Thermoelectric Performance for Mg3(Sb,Bi)2-Based n-Type Zintls", J. Am. Chem. Soc. Vol. 140, pp. 1910-1915 (2018). [DOI:10.1021/jacs.7b12767]
熱電変換材料の熱伝導率が低いほど、熱電変換素子の高温部と低温部との間の温度差をより大きい状態で保つことができる。このため、熱電変換材料の熱伝導率の低減によって、高められた熱電変換性能を有する熱電変換素子が達成可能となる。また、高められた熱電変換性能を有する熱電変換素子によって、例えば、高効率の熱電発電モジュールが構築可能となる。
本開示は、従来よりも低い熱伝導率を有しうるMg3(Sb,Bi)2系熱電変換材料を提供する。
本開示は、以下の熱電変換材料を提供する。
熱電変換材料であって、
前記熱電変換材料は、複数の結晶粒から構成される多結晶体であり、
各々の前記結晶粒は、La2O3型の結晶構造を有し、
少なくとも1つの前記結晶粒は、ナノ粒子及びナノ空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記ナノ粒子及び前記ナノ空孔は、200nm以下のサイズを有し、かつ、
前記熱電変換材料が、式(I):Mg3+m-aAaB2-c-eCcEeにより表される組成を有する。
ここで、
前記式(I)におけるAは、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Bは、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Cは、Mn、Si、及びCrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Eは、Se、及びTeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
前記式(I)におけるmの値は、−0.1以上0.4以下の範囲にあり、
aの値は、0以上0.1以下の範囲にあり、
cの値は、0以上0.1以下の範囲にあり、かつ、
eの値は、0.001以上0.06以下の範囲にある。
熱電変換材料であって、
前記熱電変換材料は、複数の結晶粒から構成される多結晶体であり、
各々の前記結晶粒は、La2O3型の結晶構造を有し、
少なくとも1つの前記結晶粒は、ナノ粒子及びナノ空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記ナノ粒子及び前記ナノ空孔は、200nm以下のサイズを有し、かつ、
前記熱電変換材料が、式(I):Mg3+m-aAaB2-c-eCcEeにより表される組成を有する。
ここで、
前記式(I)におけるAは、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Bは、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Cは、Mn、Si、及びCrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Eは、Se、及びTeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
前記式(I)におけるmの値は、−0.1以上0.4以下の範囲にあり、
aの値は、0以上0.1以下の範囲にあり、
cの値は、0以上0.1以下の範囲にあり、かつ、
eの値は、0.001以上0.06以下の範囲にある。
本開示によれば、従来よりも低い熱伝導率を有しうるMg3(Sb,Bi)2系熱電変換材料が達成可能となる。
(参照による援用)
特許第6127281号公報、及びこれに対応する米国公開特許第2017/0117453号、並びに米国特許出願15/838106は、本願に参照により援用される。
特許第6127281号公報、及びこれに対応する米国公開特許第2017/0117453号、並びに米国特許出願15/838106は、本願に参照により援用される。
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らの検討によれば、Mg3(Sb,Bi)2系熱電変換材料の構造及び組成の制御によって低い熱伝導率を達成しうることが判明した。
本発明者らの検討によれば、Mg3(Sb,Bi)2系熱電変換材料の構造及び組成の制御によって低い熱伝導率を達成しうることが判明した。
(本開示の実施形態)
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[熱電変換材料]
本開示の熱電変換材料は、多結晶体である。多結晶体は、複数の結晶粒から構成される。本開示の熱電変換材料を構成する各々の結晶粒は、La2O3型の結晶構造を有する。また、少なくとも1つの結晶粒は、ナノ粒子及びナノ空孔から選ばれる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。
本開示の熱電変換材料は、多結晶体である。多結晶体は、複数の結晶粒から構成される。本開示の熱電変換材料を構成する各々の結晶粒は、La2O3型の結晶構造を有する。また、少なくとも1つの結晶粒は、ナノ粒子及びナノ空孔から選ばれる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。
本開示の熱電変換材料は、式(I):Mg3+m-aAaB2-c-eCcEeにより表される組成を有する。式(I)のAは、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Bは、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Cは、Mn、Si、及びCrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Eは、Se、及びTeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。mの値は、−0.1以上0.4以下の範囲にある。aの値は、0以上0.1以下の範囲にある。cの値は、0以上0.1以下の範囲にある。eの値は、0.001以上0.06以下の範囲にある。
式(I)において、mの値は、0以上0.2以下であってもよい。このとき、aの値は0であってもよい。
式(I)において、eの値は、0.008以上0.025以下であってもよい。このとき、cの値は0であってもよい。
式(I)において、Bは、Sb及びBiであってもよい。このとき、Sb及びBiの組成比は、モル比であるSb:Biにより表して、1.495:0.48から1.005:0.97の範囲にあってもよく、1.512:0.48から1.002:0.97の範囲にあってもよく、1.52:0.48から1.03:0.97の範囲にあってもよい。
式(I)において、aの値、及びcの値からなる群より選ばれる少なくとも1つが0であってもよい。また、式(I)において、aの値、及びcの値が0であってもよい。
本開示の熱電変換材料は、式(II):Mg3+mSb2-x-eBixTeeにより表される組成を有していてもよい。式(II)におけるmの値は、0以上0.2以下の範囲にある。xの値は、0.48以上0.97以下の範囲にある。eの値は、0.008以上0.025以下の範囲にある。この態様の熱電変換材料は、更に低減された熱伝導率を有しうる。
本開示の熱電変換材料は、Mg、Sb、Bi、及びTeを必ず含有する。本開示の熱電変換材料は、上述したその他の元素、即ち、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、Al、Mn、Si、Cr、及びSeからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有しなくてもよく、全てを含有しなくてもよい。
本開示の熱電変換材料を構成する各々の結晶粒が有するLa2O3型結晶構造が、図1に示される。本開示の熱電変換材料を構成する結晶粒では、La2O3型結晶構造を構成するサイトC1にMgが、サイトC2にSb、Bi、及びTeが、それぞれ位置している。サイトC1に位置するMgは、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素によって、上述した組成の範囲内で置換されていてもよい。また、サイトC2に位置するSb、Bi、及びTeからなる群より選ばれる少なくとも1種は、Mn、Si、Cr、及びSeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素によって、上述した組成の範囲内で置換されていてもよい。
本開示の熱電変換材料を構成する少なくとも1つの結晶粒は、ナノ粒子及びナノ空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。ナノ粒子及びナノ空孔は、200nm以下のサイズを有する。ナノ粒子及びナノ空孔のサイズは、熱電変換材料の表面の拡大観察像に対する画像解析により求めることができる。表面は、例えば、切断面である。拡大観察像は、例えば、SEM又はTEMによる観察像である。必要に応じて、SEM及びTEMの両者の併用が可能である。拡大観察像を得る前に、表面の研磨が実施されてもよい。ナノ粒子及びナノ空孔のサイズは、これらの長径である。長径は、拡大観察像上のナノ粒子及びナノ空孔に外接する仮想の円の直径として定められる。結晶粒が複数のナノ粒子又は複数のナノ空孔を含有する場合、結晶粒に含まれる複数のナノ粒子又は複数のナノ空孔の長径の平均値が200nm以下であってもよい。長径の平均値を求めるナノ粒子及びナノ空孔の数は、例えば、10以上であってもよい。
表面の拡大観察像において、同様のコントラストで表現されるが故に、ナノ粒子とナノ空孔とを区別できないことがある。この場合は、例えば、熱電変換材料の破面を拡大観察することにより、両者の区別が可能となる。破面の拡大観察には、例えば、SEMが使用可能である。
ナノ粒子及びナノ空孔は、100nm以下のサイズを有していてもよい。この態様の熱電変換材料は、更に低減された熱伝導率を有しうる。結晶粒が複数のナノ粒子又は複数のナノ空孔を含有する場合、結晶粒に含まれる複数のナノ粒子又は複数のナノ空孔の長径の平均値が100nm以下であってもよい。
ナノ粒子は、例えば、Mg、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。この態様の熱電変換材料は、更に低減された熱伝導率を有しうる。ナノ粒子は、Mgから構成されていても、Sbから構成されていても、Biから構成されていてもよい。また、ナノ粒子は、Mg、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも2種の元素の合金から構成されていてもよい。
ナノ粒子は、例えば、酸化マグネシウムから構成される。この態様の熱電変換材料は、特に低減された熱伝導率を有しうる。ナノ粒子を構成する酸化マグネシウムにおけるマグネシウム及び酸素の組成比は限定されない。ナノ粒子を構成する酸化マグネシウムの組成は、例えば、MgO、又はMgOyである。ただし、yは、1未満である。
ナノ粒子は、例えば、カーボンから構成されていてもよい。本明細書において、カーボンは、炭素原子から構成される物質を意味する。当該物質における炭素原子間の結合の状態は限定されない。
ナノ粒子は、結晶粒の内部に位置する。
ナノ空孔は、結晶粒の内部に位置する閉空間である。ナノ空孔の内部は、真空であるか、又は気体で満たされている。気体は、例えば、空気である。
本開示の熱電変換材料は、ナノ粒子及びナノ空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を結晶粒の粒界に更に有していてもよい。熱電変換材料の製造条件によっては、結晶粒の粒界に位置するナノ粒子及びナノ空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種の更なる含有が避けられないことがある。
本開示の熱電変換材料を構成する結晶粒は、200nmを超えるサイズを有する粒子、及び200nmを超えるサイズを有する空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有していてもよい。また、本開示の熱電変換材料は、200nmを超えるサイズを有する粒子、及び200nmを超えるサイズを有する空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を、結晶粒の粒界に更に有していてもよい。熱電変換材料の製造条件によっては、これらの粒子及び空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種の更なる含有が避けられないことがある。
本開示の熱電変換材料を構成する結晶粒は、200nmを超えるサイズを有する粒子、及び200nmを超えるサイズを有する空孔を含有しなくてもよい。
本開示の熱電変換材料は、結晶粒の粒界に位置するナノ粒子及びナノ空孔を含有しなくてもよい。本開示の熱電変換材料は、200nmを超えるサイズを有する粒子、及び200nmを超えるサイズを有する空孔を結晶粒の粒界に含有しなくてもよい。
本開示の熱電変換材料を構成する結晶粒の平均グレインサイズは、例えば、3μm以上50μm以下である。この態様の熱電変換材料は、広い温度域において高い熱電特性を有しうる。
本開示の熱電変換材料を構成する結晶粒の平均グレインサイズは、熱電変換材料の表面の拡大観察像に対する画像解析により求めることができる。表面は、例えば、切断面である。拡大観察像は、例えば、SEM又はTEMによる観察像である。必要に応じて、SEM及びTEMの両者の併用が可能である。拡大観察像を得る前に、表面の研磨が実施されてもよい。平均グレインサイズ(AGS)は、拡大観察像に含まれる結晶粒の数N、拡大観察像の視野の面積A、及び円周率πを用いて、式:AGS={4×A/(π×N)}1/2により与えられる。ただし、拡大観察像の端部において部分的に観察される結晶粒の数Nは、便宜的に0.5とする。また、統計誤差を抑制するために、含まれる結晶粒の数Nが、例えば、合計で20以上となるように、拡大観察像の倍率が選択される。平均グレインサイズは、同一の熱電変換材料における複数の表面に対して各々求めた値の平均値であってもよい。この場合、統計誤差の更なる抑制が可能である。
なお、AGSを算出する上記式は、結晶粒の形状が真球であると共に、拡大観察像により示された表面が結晶粒の中心を通過することを前提としている。だが、実際の結晶粒の形状は必ずしも真球ではなく、また、拡大観察像により示された表面が結晶粒の中心を通るとは限らない。したがって、上記式により算出されるAGSは便宜的な値である。しかし、当該値による熱電変換材料間の対比が十分に可能であることから、本明細書では、上記式により算出される値を結晶粒の平均グレインサイズとする。
本開示の熱電変換材料は、特に、高温において低い熱伝導率を有しうる。本開示の熱電変換材料は、例えば、400℃における0.86Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する。また、本開示の熱電変換材料は、例えば、450℃における0.81Wm-1K-1以下の熱伝導率を有する。
本開示の熱電変換材料の用途は限定されない。用途は、例えば、熱電変換素子である。
(製造方法)
本開示の熱電変換材料を製造する方法の一例を、以下に示す。ただし、本開示の熱電変換材料を製造する方法は、以下の例に限定されない。
本開示の熱電変換材料を製造する方法の一例を、以下に示す。ただし、本開示の熱電変換材料を製造する方法は、以下の例に限定されない。
最初に、Sb及びBiの熔解により、SbBi合金が得られる。熔解には、例えば、アーク熔解法が採用可能である。熔解温度は、例えば、1000℃以上1500℃以下である。
次に、SbBi合金、Mg粉末、及びTe粉末が、坩堝に投入される。坩堝は、例えば、800℃以上1500℃以下の温度に加熱される。坩堝の加熱には、例えば、電気炉が使用可能である。加熱雰囲気は、例えば、不活性ガス雰囲気である。これにより、原料の酸化が抑制可能である。不活性ガスは、例えば、アルゴン及びヘリウムである。この工程により、塊状のMgSbBiTe前駆体合金が得られる。なお、坩堝の加熱時に、原料に含まれる原子の一部が揮散することがある。このため、得られた前駆体合金における各元素のモル比が、原料のモル比から算出される各元素の仕込み比に一致しないことがある。
電気炉での加熱には、例えば、抵抗加熱、赤外ランプによる加熱、又は高周波による誘導加熱が利用可能である。複数の手段により加熱が実施されてもよい。赤外ランプによる加熱では、坩堝を構成する材料として、吸収した赤外線を効率よく熱に変換できる材料が選択可能である。誘導加熱では、坩堝を構成する材料として、吸収した高周波を効率よく熱に変換できる材料が選択可能である。これらの材料は、例えば、カーボン及びSiCである。ただし、坩堝を構成する材料は上記例に限定されない。比較的安価な材料、例えばアルミナ、から構成される坩堝も使用可能である。
次に、MgSbBiTe前駆体合金が粉砕され、更に焼結に供されて、MgSbBiTeの多結晶体が得られる。焼結には、例えば、スパークプラズマ焼結法、又はホットプレス法が採用可能である。得られた多結晶体は、そのまま熱電変換材料として使用してもよい。また、得られた多結晶体に対して熱処理が実施されてもよい。この場合、熱処理後の多結晶体が熱電変換材料として使用可能である。
例えば、以下の方法によって、焼結により得たMgSbBiTe多結晶体を構成する結晶粒、及び最終的に得られた熱電変換材料を構成する結晶粒にナノ粒子を析出させることが可能である。ただし、ナノ粒子を析出させる方法は、以下の方法に限定されない。
(I)前駆体合金の形成時に過剰に原料を加えることでナノ粒子を析出させる方法。より具体的な例として、Mg、Sb又はBiを含む原料を過剰に加えることで、Mg、Sb又はBiから構成されるナノ粒子の析出が可能である。
(II)前駆体合金の形成時に、酸化した表面を有するMg粉末をMgの原料として加えることでナノ粒子を析出させる方法。この場合、酸化マグネシウムから構成されるナノ粒子の析出が可能である。
(III)前駆体合金の形成時にカーボン材料を加えることで、ナノ粒子を析出させる方法。カーボン材料は、例えば、グラッシーカーボン粉末、カーボンナノチューブ、及びフラーレンである。この場合、カーボンから構成されるナノ粒子の析出が可能である。
(I)前駆体合金の形成時に過剰に原料を加えることでナノ粒子を析出させる方法。より具体的な例として、Mg、Sb又はBiを含む原料を過剰に加えることで、Mg、Sb又はBiから構成されるナノ粒子の析出が可能である。
(II)前駆体合金の形成時に、酸化した表面を有するMg粉末をMgの原料として加えることでナノ粒子を析出させる方法。この場合、酸化マグネシウムから構成されるナノ粒子の析出が可能である。
(III)前駆体合金の形成時にカーボン材料を加えることで、ナノ粒子を析出させる方法。カーボン材料は、例えば、グラッシーカーボン粉末、カーボンナノチューブ、及びフラーレンである。この場合、カーボンから構成されるナノ粒子の析出が可能である。
例えば、以下の方法によって、焼結により得たMgSbBiTe多結晶体を構成する結晶粒、及び最終的に得られた熱電変換材料を構成する結晶粒にナノ空孔を形成することが可能である。ただし、ナノ空孔を形成する方法は、以下の方法に限定されない。
(i)前駆体合金の形成時に添加物を導入することでナノ空孔を形成する方法。添加物は、例えば、焼結時に蒸発又は熱分解する物質である。焼結時における添加物の蒸発又は熱分解によって、ナノ空孔が形成される。添加物の具体例は、ステアリン酸といった有機物、及び鉱物油といった油脂である。なお、この方法では、添加物の残渣としてカーボン粒子が結晶粒に析出することがある。
(i)前駆体合金の形成時に添加物を導入することでナノ空孔を形成する方法。添加物は、例えば、焼結時に蒸発又は熱分解する物質である。焼結時における添加物の蒸発又は熱分解によって、ナノ空孔が形成される。添加物の具体例は、ステアリン酸といった有機物、及び鉱物油といった油脂である。なお、この方法では、添加物の残渣としてカーボン粒子が結晶粒に析出することがある。
焼結後に熱処理を行う場合、熱処理によるナノ空孔の形成も可能である。例えば、焼結体を不活性ガス雰囲気、又は真空雰囲気で熱処理することにより、ナノ空孔の形成が可能である。不活性ガスは、例えば、アルゴン及びヘリウムである。ナノ空孔の形成が可能となる熱処理の条件は、例えば、400℃以上800℃以下の熱処理温度、及び1時間以上数日以下の熱処理時間である。典型的な熱処理条件の一例は、600℃の熱処理温度、及び10時間の熱処理時間である。
Mg、Sb、Bi及びTe以外の他の元素を含む本開示の熱電変換材料も、上記方法による製造が可能である。他の元素は、例えば、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、Al、Cr、Mn、Si及びCrからなる群より選ばれる少なくとも1種である。他の元素は、Cであってもよい。例えば、これらの元素を含む原料を前駆体合金の形成時に更に加えることで、上記他の元素を含む本開示の熱電変換材料の製造が可能である。原料は、例えば、粉末として供給可能である。
上記例示の方法において、SbBi合金の形成は省略されうる。SbBi合金の形成を省略する場合、例えば、Sb粉末、Bi粉末、Mg粉末、及びTe粉末を上述のように坩堝で加熱して、MgSbBiTe前駆体合金が形成される。
また、不活性ガス雰囲気下でのボールミルによるMgSbBiTe前駆体合金の形成も可能である。この方法では、前駆体合金の形成と粉砕とが同時に実施可能である。
結晶粒の平均グレインサイズは、例えば、焼結温度及び焼結時間からなる群より選ばれる少なくとも1つにより制御できる。一般に、焼結温度が高くなるほど、結晶粒の成長が促進され、平均グレインサイズが大きくなる。また、一般に、焼結時間が長くなるほど、結晶粒の成長が促進され、平均グレインサイズが大きくなる。分級処理した前駆体合金の使用により、所望の平均グレインサイズを有する熱電変換材料を得ることも可能である。
[熱電変換素子]
本開示の熱電変換素子の一例が、図2に示される。図2の熱電変換素子10は、p形熱電変換部1、n形熱電変換部2、第1電極3、第2電極4、及び第3電極5を備える。p形熱電変換部1の一方の端部、及びn形熱電変換部2の一方の端部は、第1電極3を介して互いに電気的に接続されている。p形熱電変換部1の他方の端部は、第2電極4と電気的に接続されている。n形熱電変換部2の他方の端部は、第3電極5と電気的に接続されている。n形熱電変換部2は、本開示の熱電変換材料により構成される。熱電変換素子10では、n形熱電変換部2の低い熱伝導率に基づいて、例えば、変換効率が向上する。
本開示の熱電変換素子の一例が、図2に示される。図2の熱電変換素子10は、p形熱電変換部1、n形熱電変換部2、第1電極3、第2電極4、及び第3電極5を備える。p形熱電変換部1の一方の端部、及びn形熱電変換部2の一方の端部は、第1電極3を介して互いに電気的に接続されている。p形熱電変換部1の他方の端部は、第2電極4と電気的に接続されている。n形熱電変換部2の他方の端部は、第3電極5と電気的に接続されている。n形熱電変換部2は、本開示の熱電変換材料により構成される。熱電変換素子10では、n形熱電変換部2の低い熱伝導率に基づいて、例えば、変換効率が向上する。
熱電変換素子10の使用の一形態が、図3に示される。図3には、熱電変換素子10の第2電極4に第1配線6が電気的に接続されている。また、第3電極5に第2配線7が電気的に接続されている。第1配線6及び第2配線7は、熱電変換素子10に生じた電力を外部に取り出す役割を担っている。
熱電変換素子10は、公知の方法により製造できる。
本開示の熱電変換素子の用途は限定されない。本開示の熱電変換素子は、例えば、従来の熱電変換素子の用途を含む種々の用途に使用できる。
以下、実施例を参照しながら、本開示の熱電変換材料がより詳細に説明される。ただし、本開示の熱電変換材料は、以下の実施例に示される各態様に限定されない。
(実施例1)
2.00gのMg粉末、4.67gのSb粉末、2.63gのBi粉末、0.033gのTe粉末、及び0.040gのステアリン酸粉末が、原料として、グローブボックス中で秤量された。グローブボックスの内部は、熱電変換材料を得るまでの間、アルゴン雰囲気に制御されていた。次に、秤量された各粉末が、グローブボックス中において、30個のステンレスボールとともにボールミル容器に投入された。ステンレスボールの直径は10mmであった。ボールミル容器はステンレス製であり、80mLの内容積を有していた。次に、ボールミル容器の開口が、グローブボックス中で封止された。
2.00gのMg粉末、4.67gのSb粉末、2.63gのBi粉末、0.033gのTe粉末、及び0.040gのステアリン酸粉末が、原料として、グローブボックス中で秤量された。グローブボックスの内部は、熱電変換材料を得るまでの間、アルゴン雰囲気に制御されていた。次に、秤量された各粉末が、グローブボックス中において、30個のステンレスボールとともにボールミル容器に投入された。ステンレスボールの直径は10mmであった。ボールミル容器はステンレス製であり、80mLの内容積を有していた。次に、ボールミル容器の開口が、グローブボックス中で封止された。
次に、ボールミル容器がグローブボックスから取り出された後、遊星ボールミル装置に設置された。遊星ボールミル装置として、フリッチュ製Pulverisette6が選択された。遊星ボールミル装置の稼働により、回転速度400rpmの条件下、4時間の粉砕処理が実施された。この粉砕処理により、MgSbBiTe前駆体合金の粉末が形成された。
次に、グローブボックスの内部にボールミル容器が移された。グローブボックス中において、ボールミル容器から粉末が取り出された。取り出された粉末は、グローブボックス中において、カーボン製のダイ(焼結型)の焼結空間に充填された。ダイの焼結空間は、直径10mmの円筒形であった。ダイに充填された粉末の量は、約2gであった。
次に、スパークプラズマ焼結装置のチャンバーにダイを収容した。チャンバーはアルゴン雰囲気に制御されていた。次に、ダイに充填された粉末に50MPaの圧力が印加されながら、焼結装置によってダイに電流が印加された。電流の印加により、50℃/分の昇温速度が達成された。ダイの温度が焼結温度である850℃に到達した後、当該温度が5分間維持された。次に、電流の停止により、ダイの加熱が停止された。ダイの温度が室温にまで低下した後、緻密な焼結体がダイから取り出された。
次に、600℃で10時間、焼結体が熱処理された。熱処理には、内部がアルゴン雰囲気にある電気炉が使用された。このようにして、実施例1の熱電変換材料が作製された。
(比較例1)
焼結体に対する熱処理が実施されなかった以外、実施例1と同様にして、比較例1の熱電変換材料が作製された。
焼結体に対する熱処理が実施されなかった以外、実施例1と同様にして、比較例1の熱電変換材料が作製された。
(実施例2)
焼結温度が600℃に変更された以外、実施例1と同様にして、実施例2の熱電変換材料が作製された。
焼結温度が600℃に変更された以外、実施例1と同様にして、実施例2の熱電変換材料が作製された。
(比較例2)
焼結温度が600℃に変更された以外、比較例1と同様にして、比較例2の熱電変換材料が作製された。
焼結温度が600℃に変更された以外、比較例1と同様にして、比較例2の熱電変換材料が作製された。
(実施例3)
4.00gのMg粉末、6.57gのSb粉末、11.05gのBi粉末、0.14gのTe粉末が、原料として、グローブボックス中で秤量された。グローブボックスの内部は、熱電変換材料を得るまでの間、アルゴン雰囲気に制御されていた。次に、秤量された各粉末が、グローブボックス中において、カーボン製の坩堝に投入された。次に、高周波を用いた加熱により、坩堝の内部の粉末が熔解された。加熱温度は800℃以上1000℃以下とした。加熱はグローブボックス中で実施した。加熱後、坩堝が室温まで冷却された。冷却された坩堝から、塊状のMgSbBiTe前駆体合金が取り出された。
4.00gのMg粉末、6.57gのSb粉末、11.05gのBi粉末、0.14gのTe粉末が、原料として、グローブボックス中で秤量された。グローブボックスの内部は、熱電変換材料を得るまでの間、アルゴン雰囲気に制御されていた。次に、秤量された各粉末が、グローブボックス中において、カーボン製の坩堝に投入された。次に、高周波を用いた加熱により、坩堝の内部の粉末が熔解された。加熱温度は800℃以上1000℃以下とした。加熱はグローブボックス中で実施した。加熱後、坩堝が室温まで冷却された。冷却された坩堝から、塊状のMgSbBiTe前駆体合金が取り出された。
次に、引き続きグローブボックス中において、乳鉢により前駆体合金が粉砕された。粉砕により、MgSbBiTe前駆体合金の粉末が得られた。次に、実施例1と同様にして、MgSbBiTe焼結体が作製された。次に、600℃で10時間、焼結体が熱処理された。熱処理には、内部がアルゴン雰囲気にある電気炉が使用された。このようにして、実施例3の熱電変換材料が作製された。
(比較例3)
焼結体に対する熱処理が実施されなかった以外、実施例3と同様にして、比較例3の熱電変換材料が作製された。
焼結体に対する熱処理が実施されなかった以外、実施例3と同様にして、比較例3の熱電変換材料が作製された。
(組成比の特定)
作製された各熱電変換材料の組成が、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により評価された。評価結果が以下の表1に示される。表1に示されるように、各熱電変換材料の組成は、原料の仕込み組成とほぼ同じであった。
作製された各熱電変換材料の組成が、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により評価された。評価結果が以下の表1に示される。表1に示されるように、各熱電変換材料の組成は、原料の仕込み組成とほぼ同じであった。
(結晶構造の分析)
X線回折測定に基づく評価により、各実施例及び比較例において作製した熱電変換材料はLa2O3型の結晶構造を有することが確認された。確認された結晶構造の格子定数は、次のとおりである:a=b=0.458nm;及びc=0.727nm。
X線回折測定に基づく評価により、各実施例及び比較例において作製した熱電変換材料はLa2O3型の結晶構造を有することが確認された。確認された結晶構造の格子定数は、次のとおりである:a=b=0.458nm;及びc=0.727nm。
X線回折測定により得た、実施例1の熱電変換材料のX線回折プロファイルが図4に示される。また、実施例1の熱電変換材料と同じ組成を有するLa2O3型の結晶構造について、シミュレーションによるX線回折プロファイルが図5に示される。図4のプロファイルと図5のプロファイルとは、ほぼ一致していた。なお、X線回折測定には、CuKα線が使用された。
(微細組織の観察)
実施例1の熱電変換材料が、SEMによる分析に供された。実施例1の熱電変換材料の表面に対するSEM観察像が図6に示される。図6の観察像は、反射電子像である。SEMによる観察の前に、観察の対象である表面は研磨紙及びアルゴンビームにより研磨された。図6には、粒界により互いに隔てられたグレイン構造が明瞭に示されている。即ち、実施例1の熱電変換材料は複数の結晶粒から構成される多結晶体であることが確認された。また、図6における各々の結晶粒の内部には、無数の黒い点が分散して存在している。ほとんどの黒点のサイズは、それぞれ、30nmから150nm程度のサイズを有していた。結晶の粒界にもこれらの黒点が確認された。
実施例1の熱電変換材料が、SEMによる分析に供された。実施例1の熱電変換材料の表面に対するSEM観察像が図6に示される。図6の観察像は、反射電子像である。SEMによる観察の前に、観察の対象である表面は研磨紙及びアルゴンビームにより研磨された。図6には、粒界により互いに隔てられたグレイン構造が明瞭に示されている。即ち、実施例1の熱電変換材料は複数の結晶粒から構成される多結晶体であることが確認された。また、図6における各々の結晶粒の内部には、無数の黒い点が分散して存在している。ほとんどの黒点のサイズは、それぞれ、30nmから150nm程度のサイズを有していた。結晶の粒界にもこれらの黒点が確認された。
反射電子像では、一般に、結晶の面方位の相違に基づくコントラストが表現されやすい。このため、図6では、グレイン構造が明瞭に確認される。一方、黒い点として観察された箇所が粒子であるか空孔であるかの判別は、反射電子像では困難である。また、粒子である場合にも、Mg粒子であるかカーボン粒子であるかの判別は、反射電子像では困難である。反射電子像において、Mg及びカーボンといった原子番号の小さな物質は、ほぼ区別なく暗く示されるためである。このため、実施例1の熱電変換材料を乳棒で割って得た破面に対して、SEMによる分析が実施された。
実施例1の熱電変換材料の破面に対するSEM観察像が図7Aに示される。図7Aの観察像は、二次電子像である。また、図7Aに示される観察像の一部を拡大した観察像が図7Bに示される。図7A及び図7Bに示されるように、グレインサイズ5μm以上の大きな結晶粒に埋め込まれるように、30nmから150nmのサイズのナノ粒子が分散して多数存在していることが確認された。また、ナノ粒子が存在することなく窪みになっている箇所も、多数確認された。窪みになっている箇所は、閉じたナノ空孔であったと推察される。
次に、実施例2の熱電変換材料が、TEMによる分析に供された。実施例2の熱電変換材料の表面に対するTEM観察像が図8に示される。図8に示すように、TEMによる分析によって、1μm程度のグレインサイズを有する結晶粒の内部に、30nmから150nmのサイズのナノ粒子が埋め込まれていることが確認された。また、数百nmのサイズを有する比較的大きな析出物が結晶の粒界に確認された。確認されたナノ粒子の化学組成をエネルギー分散X線分析(EDS)により分析したところ、Mgから構成される粒子、酸化マグネシウムから構成される粒子、Biから構成される粒子、Sbから構成される粒子、及びカーボンから構成される粒子の各ナノ粒子が確認された。あるナノ粒子に対するEDSの分析結果が、図9に示される。図9には、Mg及び酸素の特性X線ピークが示されている。即ち、この粒子は、酸化マグネシウムから構成されていた。
一方、比較例1から3の熱電変換材料をSEMで観察したところ、1μm以上のサイズを有する粗大な析出物、及び1μm以上のサイズを有する空孔からなる群より選ばれる少なくとも1つが結晶の粒界に確認されたが、結晶粒の内部に位置するナノ粒子及びナノ空孔は確認できなかった。
(熱伝導率の評価)
実施例及び比較例の各熱電変換材料の熱伝導率が、レーザーフラッシュ法により評価された。評価された熱伝導率が、以下の表2に示される。また、比較例1の熱電変換材料の熱伝導率に対する実施例1の熱電変換材料の熱伝導率の比率が、図10に示される。
実施例及び比較例の各熱電変換材料の熱伝導率が、レーザーフラッシュ法により評価された。評価された熱伝導率が、以下の表2に示される。また、比較例1の熱電変換材料の熱伝導率に対する実施例1の熱電変換材料の熱伝導率の比率が、図10に示される。
表2及び図10に示されるように、実施例1の熱電変換材料は、室温から約450℃の範囲において、比較例1の熱電変換材料に比べて14%から20%低い熱伝導率を示した。実施例2の熱電変換材料は、上記温度範囲において、比較例2の熱電変換材料に比べて15%から18%低い熱伝導率を示した。実施例3の熱電変換材料は、上記温度範囲において、比較例3の熱電変換材料に比べて12%から17%低い熱伝導率を示した。
本開示の熱電変換材料は、従来の熱電変換材料の用途を含む種々の用途に使用できる。
1 p形熱電変換部
2 n形熱電変換部
3 第1電極
4 第2電極
5 第3電極
6 第1配線
7 第2配線
2 n形熱電変換部
3 第1電極
4 第2電極
5 第3電極
6 第1配線
7 第2配線
Claims (8)
- 熱電変換材料であって、
前記熱電変換材料は、複数の結晶粒から構成される多結晶体であり、
各々の前記結晶粒は、La2O3型の結晶構造を有し、
少なくとも1つの前記結晶粒は、ナノ粒子及びナノ空孔からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記ナノ粒子及び前記ナノ空孔は、200nm以下のサイズを有し、かつ、
前記熱電変換材料が、式(I):Mg3+m-aAaB2-c-eCcEeにより表される組成を有する。
ここで、
前記式(I)におけるAは、Ca、Sr、Ba、Nb、Zn、Yb、及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Bは、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Cは、Mn、Si、及びCrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
Eは、Se、及びTeからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
前記式(I)におけるmの値は、−0.1以上0.4以下の範囲にあり、
aの値は、0以上0.1以下の範囲にあり、
cの値は、0以上0.1以下の範囲にあり、かつ、
eの値は、0.001以上0.06以下の範囲にある。 - 請求項1に記載の熱電変換材料であって、
前記熱電変換材料が、式(II):Mg3+mSb2-x-eBixTeeにより表される組成を有する。
ここで、前記式(II)におけるmの値は、0以上0.2以下の範囲にあり、
xの値は、0.48以上0.97以下の範囲にあり、かつ、
eの値は、0.008以上0.025以下の範囲にある。 - 請求項1又は2に記載の熱電変換材料であって、
前記ナノ粒子及び前記ナノ空孔が100nm以下のサイズを有する。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱電変換材料であって、
前記ナノ粒子は、Mg、Sb、及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱電変換材料であって、
前記ナノ粒子は、酸化マグネシウムから構成される。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の熱電変換材料であって、
前記ナノ粒子は、カーボンから構成される。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の熱電変換材料であって、
400℃における熱伝導率が、0.86Wm-1K-1以下である。 - 熱電変換素子であって、以下を具備する:
p形熱電変換部;
n形熱電変換部;
第1電極;
第2電極;及び、
第3電極、
ここで、
前記p形熱電変換部の一方の端部、及び前記n形熱電変換部の一方の端部は、前記第1電極を介して互いに電気的に接続されており、
前記p形熱電変換部の他方の端部は、前記第2電極と電気的に接続されており、
前記n形熱電変換部の他方の端部は、前記第3電極と電気的に接続されており、かつ、
前記n形熱電変換部は、請求項1から7のいずれか1項に記載の熱電変換材料により構成される。
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-
2018
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