JP2019206631A - 潜熱蓄熱材組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う無機塩水和物として、第1の無機塩水和物と、該第1の無機塩水和物と混合した化合物を含む潜熱蓄熱材組成物において、前記第1の無機塩水和物は、酢酸塩であること、前記化合物は、前記第1の無機塩水和物と、少なくとも1つの構成成分を異にした別の前記無機塩水和物であり、前記第1の無機塩水和物のカチオンの元素と同族に属した元素のカチオンと、少なくとも硫酸イオン、ヒドロキシメタンスルフィン酸イオン、亜リン酸水素イオン、または酢酸イオンのいずれかのアニオンにより、イオン結晶をなす第2の無機塩水和物であること、前記第1の無機塩水和物と前記第2の無機塩水和物との配合割合は、
前記第1の無機塩水和物 20〜80wt%
前記第2の無機塩水和物 80〜20wt%
であること、当該潜熱蓄熱材組成物は、前記第1の無機塩水和物単体の融点、または前記第2の無機塩水和物単体の融点と、相対的に7〜37℃低い融点に調整された物性であること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記アニオンは、硫酸イオン(SO4 2−)であり、前記第2の無機塩水和物は、硫酸塩であること、を特徴とする。
(4)(3)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記硫酸塩は、硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4・10H2O)であること、を特徴とする。
(5)(4)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、前記酢酸ナトリウム三水和物と前記硫酸ナトリウム十水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 20〜60wt%
前記硫酸ナトリウム十水和物 80〜40wt%
であること、を特徴とする。
(6)(1)または(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記アニオンは、ヒドロキシメタンスルフィン酸イオン(CH3O3S−)であり、前記第2の無機塩水和物は、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩であること、を特徴とする。
(7)(6)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記ヒドロキシメタンスルフィン酸塩は、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物(CH3NaO3S・2H2O)であること、を特徴とする。
(8)(7)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、前記酢酸ナトリウム三水和物と前記ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 30〜70wt%
前記ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物 70〜30wt%
であること、を特徴とする。
(9)(1)または(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記アニオンは、亜リン酸水素イオン(HPO3 2−)であり、前記第2の無機塩水和物は、亜リン酸水素塩であること、を特徴とする。
(10)(9)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記亜リン酸水素塩は、亜リン酸水素二ナトリウム五水和物(Na2HPO3・5H2O)であること、を特徴とする。
(11)(10)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、前記酢酸ナトリウム三水和物と前記亜リン酸水素二ナトリウム五水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 30〜70wt%
前記亜リン酸水素二ナトリウム五水和物 70〜30wt%
であること、を特徴とする。
(12)(1)または(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記アニオンは、酢酸イオン(CH3COO−)であり、前記第2の無機塩水和物は、酢酸塩であること、を特徴とする。
(13)(12)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記酢酸塩は、酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)であること、を特徴とする。
(14)(13)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記第1の無機塩水和物の前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、前記酢酸ナトリウム三水和物と前記酢酸リチウム二水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 30〜50wt%
前記酢酸リチウム二水和物 70〜50wt%
であること、を特徴とする。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う無機塩水和物として、第1の無機塩水和物と、該第1の無機塩水和物と混合した化合物を含む潜熱蓄熱材組成物において、第1の無機塩水和物は、酢酸塩であること、化合物は、第1の無機塩水和物と、少なくとも1つの構成成分を異にした別の無機塩水和物であり、第1の無機塩水和物のカチオンの元素と同族に属した元素のカチオンと、少なくとも硫酸イオン、ヒドロキシメタンスルフィン酸イオン、亜リン酸水素イオン、または酢酸イオンのいずれかのアニオンにより、イオン結晶をなす第2の無機塩水和物であること、第1の無機塩水和物と第2の無機塩水和物との配合割合は、
第1の無機塩水和物 20〜80wt%
第2の無機塩水和物 80〜20wt%
であること、当該潜熱蓄熱材組成物は、第1の無機塩水和物単体の融点、または第2の無機塩水和物単体の融点と、相対的に7〜37℃低い融点に調整された物性であること、を特徴とする。この特徴により、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、例えば、20℃前後〜55℃前後等の温度帯域で相転移を行う物性の蓄熱材になり得るため、融点を、20℃前後〜50℃前後としたパラフィン系の潜熱蓄熱材に代えて、このような温度帯域の融点を必要とする工業用途や民生用途等、様々な幅広い分野で使用することができる。しかも、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、体積当たりの潜熱の蓄熱量について、一般的なパラフィン系の潜熱蓄熱材の蓄熱量175〜185kJ/Lを超え、例えば、200kJ/L超の熱量の潜熱を蓄えることができる。
酢酸ナトリウム三水和物 20〜60wt%
硫酸ナトリウム十水和物 80〜40wt%
であること、を特徴とする。この特徴により、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、このような幅広い配合割合の下で、融点を、例えば、約23〜25℃の温度帯域でほぼ一定に維持できると共に、300kJ/L等を超える高い熱量の潜熱を蓄えることができる。
酢酸ナトリウム三水和物 30〜70wt%
ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物 70〜30wt%
であること、を特徴とする。この特徴により、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、このような幅広い配合割合の下で、融点を、例えば、約46〜47℃の温度帯域でほぼ一定に維持できると共に、300kJ/L等を超える高い熱量の潜熱を蓄えることができる。
酢酸ナトリウム三水和物 30〜70wt%
亜リン酸水素二ナトリウム五水和物 70〜30wt%
であること、を特徴とする。この特徴により、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、このような幅広い配合割合の下で、融点を、例えば、約50〜52℃の温度帯域でほぼ一定に維持できると共に、340kJ/L等を超える高い熱量の潜熱を、蓄えることが可能である。
酢酸ナトリウム三水和物 30〜50wt%
酢酸リチウム二水和物 70〜50wt%
であること、を特徴とする。この特徴により、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、このような幅広い配合割合の下で、融点を、例えば、約36〜37℃の温度帯域でほぼ一定に維持できると共に、300kJ/L等を超える高い熱量の潜熱を蓄えることができる。
以下、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物について、実施形態(実施例1〜4)を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の構成成分を模式的に示す図である。
はじめに、実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物1A(1)の概要について、説明する。実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物1は、第1の潜熱蓄熱材10を、酢酸塩の一種である酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)とし、第2の潜熱蓄熱材20を、硫酸塩の一種である硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4・10H2O)(第2の潜熱蓄熱材20A)として、酢酸ナトリウム三水和物と硫酸ナトリウム十水和物とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Aである。
検証実験では、潜熱蓄熱材組成物1Aから試料約10mgを採取した上で、周知の示差走査熱量測定装置(DSC:Differential scanning calorimetry)により、その試料台に載せた試料約10mgに空気30ml/min.の雰囲気ガスを晒し、密閉した状態にある条件下で、試料の蓄熱量を測定した。具体的には、試料を、30℃から60.5℃になるまで2℃/min.の加熱速度で加熱し、その後、60.5℃の温度で20分間保持することにより、試料に蓄熱を行った。この間に、試料から出入りした熱量を測定し、蓄熱量を求めた。但し、実験1では、試料は、融点約58℃の第1の潜熱蓄熱材10(酢酸ナトリウム三水和物)単体であるため、酢酸ナトリウム三水和物を確実に融解した状態にするために、加熱して保持する温度を80.5℃とした。
・第1の潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)
<実験2〜9の共通条件>
・第2の潜熱蓄熱材20A;硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4・10H2O)
<実験3〜9の共通条件>
・潜熱蓄熱材組成物1A;酢酸ナトリウム三水和物と硫酸ナトリウム十水和物との混合物
・第2の潜熱蓄熱材20A;配合せず
・第1の潜熱蓄熱材10の配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20A=100:0)
<実験2の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10;配合せず
・第2の潜熱蓄熱材20Aの配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20A=0:100)
<実験3〜9の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10と第2の潜熱蓄熱材20Aとの配合割合
70wt%:30wt%(実験3)、60wt%:40wt%(実験4)、50wt%:50wt%(実験5)、40wt%:60wt%(実験6)、30wt%:70wt%(実験7)、20wt%:80wt%(実験8)、10wt%:90wt%(実験9)
比較例1の実験1に係る第1の潜熱蓄熱材10単体では、図3に示すように、融解ピークの時刻taに対応する温度Taは60.3℃で、蓄熱量Saは400kJ/Lであった。比較例1の実験2に係る第2の潜熱蓄熱材20A単体では、図4に示すように、融解ピークの時刻tbに対応する温度Tbは35.0℃で、蓄熱量Sbは355kJ/Lであった。比較例1の実験3に係る潜熱蓄熱材組成物1Aでは、図5に示すように、20〜60℃の幅広い範囲にわたり、比較的小さな融解ピークが分散して発現し、吸熱の挙動も融解ピーク毎に生じたが、融解ピークの最大値は明確に現れず、融点として定義できなかった。なお、発現した融解ピーク全体の蓄熱量Scは342kJ/Lであった。
比較例1に係る実験1の結果は、一般的に知られている酢酸ナトリウム三水和物(第1の潜熱蓄熱材10)の融点58℃(実験1の測定値は60.3℃)と概ね一致し、実験2の結果は、一般的に知られている硫酸ナトリウム十水和物(第2の潜熱蓄熱材20A)の融点約33℃(実験2の測定値は35.0℃)と概ね一致している。比較例1に係る実験3では、第1の潜熱蓄熱材10と第2の潜熱蓄熱材20Aとが7:3の配合割合になると、比較的小さな融解ピークが分散する結果となった。その理由については、実施例1の実験9に係る考察内容と同じであると考えられるため、ここでの説明を省いて、後述する実施例1の考察欄でまとめて説明する。
次に、実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物1B(1)の概要について、説明する。実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物1は、第1の潜熱蓄熱材10を、酢酸塩の一種である酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)とし、第2の潜熱蓄熱材20を、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩の一種であるヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物(CH3NaO3S・2H2O)(第2の潜熱蓄熱材20B)として、酢酸ナトリウム三水和物とヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Bである。
検証実験では、潜熱蓄熱材組成物1Bから試料約10mgを採取した上で、示差走査熱量測定装置により、その試料台に載せた試料約10mgに空気30ml/min.の雰囲気ガスを晒し、密閉した状態にある条件下で、試料の蓄熱量を測定した。具体的には、試料を、30℃から80.5℃になるまで2℃/min.の加熱速度で加熱し、その後、80.5℃の温度で20分間保持することにより、試料に蓄熱を行った。この間に、試料から出入りした熱量を測定し、蓄熱量を求めた。但し、実験10では、試料は、融点約65℃の第2の潜熱蓄熱材20B(ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物)単体であるため、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物を確実に融解した状態にするために、加熱して保持する温度を90.5℃とした。
・第1の潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)
<実験10〜13の共通条件>
・第2の潜熱蓄熱材20B;ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物(CH3NaO3S・2H2O)
<実験10〜13の共通条件>
・潜熱蓄熱材組成物1B;酢酸ナトリウム三水和物とヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物との混合物
・第2の潜熱蓄熱材20B;配合せず
・第1の潜熱蓄熱材10の配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20B=100:0)
<実験10の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10;配合せず
・第2の潜熱蓄熱材20Bの配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20B=0:100)
<実験11〜13の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10と第2の潜熱蓄熱材20Bとの配合割合
70wt%:30wt%(実験11)、50wt%:50wt%(実験12)、30wt%:70wt%(実験13)
実施例1でも前述した通り、比較例2の実験1に係る第1の潜熱蓄熱材10単体では、図3に示すように、融解ピークの時刻taに対応する温度Taは60.3℃で、蓄熱量Saは400kJ/Lであった。比較例2の実験10に係る第2の潜熱蓄熱材20B単体では、図13に示すように、融解ピークの時刻tkに対応する温度Tkは66.3℃で、蓄熱量Skは263kJ/Lであった。
比較例2に係る実験1の結果は、一般的に知られている酢酸ナトリウム三水和物(第1の潜熱蓄熱材10)の融点58℃(実験1の測定値は60.3℃)と概ね一致し、実験10の結果は、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物(第2の潜熱蓄熱材20B)の融点65℃(実験10の測定値は66.3℃)と概ね一致している。
次に、実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物1C(1)の概要について、説明する。実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物1は、第1の潜熱蓄熱材10を、酢酸塩の一種である酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)とし、第2の潜熱蓄熱材20を、亜リン酸水素塩の一種である亜リン酸水素二ナトリウム五水和物(Na2HPO3・5H2O)(第2の潜熱蓄熱材20C)として、酢酸ナトリウム三水和物と亜リン酸水素二ナトリウム五水和物とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Cである。
検証実験では、潜熱蓄熱材組成物1Cから試料約10mgを採取した上で、示差走査熱量測定装置により、その試料台に載せた試料約10mgに空気30ml/min.の雰囲気ガスを晒し、密閉した状態にある条件下で、試料の蓄熱量を測定した。具体的には、試料を、30℃から80.5℃になるまで2℃/min.の加熱速度で加熱し、その後、80.5℃の温度で20分間保持することにより、試料に蓄熱を行った。この間に、試料から出入りした熱量を測定し、蓄熱量を求めた。但し、実験14では、試料は、融点53〜58℃の第2の潜熱蓄熱材20C(亜リン酸水素二ナトリウム五水和物)単体であるため、亜リン酸水素二ナトリウム五水和物を確実に融解した状態にするために、加熱して保持する温度を90.5℃とした。
・第1の潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)
<実験14〜17の共通条件>
・第2の潜熱蓄熱材20C;亜リン酸水素二ナトリウム五水和物(Na2HPO3・5H2O)
<実験15〜17の共通条件>
・潜熱蓄熱材組成物1C;酢酸ナトリウム三水和物と亜リン酸水素二ナトリウム五水和物との混合物
・第2の潜熱蓄熱材20C;配合せず
・第1の潜熱蓄熱材10の配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20C=100:0)
<実験14の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10;配合せず
・第2の潜熱蓄熱材20Cの配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20C=0:100)
<実験15〜17の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10と第2の潜熱蓄熱材20Cとの配合割合
70wt%:30wt%(実験15)、50wt%:50wt%(実験16)、30wt%:70wt%(実験17)
実施例1でも前述した通り、比較例3の実験1に係る第1の潜熱蓄熱材10単体では、図3に示すように、融解ピークの時刻taに対応する温度Taは60.3℃で、蓄熱量Saは400kJ/Lであった。比較例3の実験14に係る第2の潜熱蓄熱材20C単体では、図18に示すように、融解ピークの時刻tqに対応する温度Tqは59.3℃で、蓄熱量Sqは359kJ/Lであった。
比較例3に係る実験1の結果は、一般的に知られている酢酸ナトリウム三水和物(第1の潜熱蓄熱材10)の融点(約58℃)と概ね一致し、実験14の結果は、亜リン酸水素二ナトリウム五水和物(第2の潜熱蓄熱材20C)の融点53〜58℃(実験14の測定値は59.3℃)と概ね一致している。
次に、実施例4に係る潜熱蓄熱材組成物1D(1)の概要について、説明する。実施例4では、第1の潜熱蓄熱材10は、酢酸塩の一種である酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、第2の潜熱蓄熱材20は、第1の潜熱蓄熱材10と同じ酢酸塩でも、第1の潜熱蓄熱材10の構成成分と異なる酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)(第2の潜熱蓄熱材20D)である。すなわち、実施例4に係る潜熱蓄熱材組成物1は、酢酸ナトリウム三水和物と酢酸リチウム二水和物とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Dである。
検証実験では、潜熱蓄熱材組成物1Dから試料約10mgを採取した上で、示差走査熱量測定装置により、その試料台に載せた試料約10mgに空気30ml/min.の雰囲気ガスを晒し、密閉した状態にある条件下で、試料の蓄熱量を測定した。具体的には、試料を、30℃から70.5℃になるまで2℃/min.の加熱速度で加熱し、その後、70.5℃の温度で20分間保持することにより、試料に蓄熱を行った。この間に、試料から出入りした熱量を測定し、蓄熱量を求めた。
・第1の潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)
<実験18〜23の共通条件>
・第2の潜熱蓄熱材20D;酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)
<実験19〜23の共通条件>
・潜熱蓄熱材組成物1D;酢酸ナトリウム三水和物と酢酸リチウム二水和物との混合物
・第2の潜熱蓄熱材20D;配合せず
・第1の潜熱蓄熱材10の配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20D=100:0)
<実験18の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10;配合せず
・第2の潜熱蓄熱材20Dの配合割合;100wt%
(第1の潜熱蓄熱材10:第2の潜熱蓄熱材20D=0:100)
<実験19〜23の条件>
・第1の潜熱蓄熱材10と第2の潜熱蓄熱材20Dとの配合割合
80wt%:20wt%(実験19)、70wt%:30wt%(実験20)、50wt%:50wt%(実験21)、30wt%:70wt%(実験22)、20wt%:80wt%(実験23)
実施例1でも前述した通り、比較例4の実験1に係る第1の潜熱蓄熱材10単体では、図3に示すように、融解ピークの時刻taに対応する温度Taは60.3℃で、蓄熱量Saは400kJ/Lであった。比較例4の実験18に係る第2の潜熱蓄熱材20D単体では、図23に示すように、融解ピークの時刻tuに対応する温度Tuは56.1℃で、蓄熱量Suは304kJ/Lであった。
比較例4に係る実験1の結果は、一般的に知られている酢酸ナトリウム三水和物(第1の潜熱蓄熱材10)の融点(約58℃)と概ね一致し、実験18の結果は、酢酸リチウム二水和物(第2の潜熱蓄熱材20D)の融点53〜56℃(実験18の測定値は56.1℃)と一致している。
10 第1の潜熱蓄熱材(第1の無機塩水和物)
20,20A,20B,20C,20D 第2の潜熱蓄熱材(化合物、第2の無機塩水和物)
Claims (14)
- 相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う無機塩水和物として、第1の無機塩水和物と、該第1の無機塩水和物と混合した化合物を含む潜熱蓄熱材組成物において、
前記第1の無機塩水和物は、酢酸塩であること、
前記化合物は、前記第1の無機塩水和物と、少なくとも1つの構成成分を異にした別の前記無機塩水和物であり、前記第1の無機塩水和物のカチオンの元素と同族に属した元素のカチオンと、少なくとも硫酸イオン、ヒドロキシメタンスルフィン酸イオン、亜リン酸水素イオン、または酢酸イオンのいずれかのアニオンにより、イオン結晶をなす第2の無機塩水和物であること、
前記第1の無機塩水和物と前記第2の無機塩水和物との配合割合は、
前記第1の無機塩水和物 20〜80wt%
前記第2の無機塩水和物 80〜20wt%
であること、
当該潜熱蓄熱材組成物は、前記第1の無機塩水和物単体の融点、または前記第2の無機塩水和物単体の融点と、相対的に7〜37℃低い融点に調整された物性であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項1に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項1または請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記アニオンは、硫酸イオン(SO4 2−)であり、
前記第2の無機塩水和物は、硫酸塩であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項3に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記硫酸塩は、硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4・10H2O)であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項4に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、
前記酢酸ナトリウム三水和物と前記硫酸ナトリウム十水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 20〜60wt%
前記硫酸ナトリウム十水和物 80〜40wt%
であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項1または請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記アニオンは、ヒドロキシメタンスルフィン酸イオン(CH3O3S−)であり、
前記第2の無機塩水和物は、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項6に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記ヒドロキシメタンスルフィン酸塩は、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物(CH3NaO3S・2H2O)であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項7に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、
前記酢酸ナトリウム三水和物と前記ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 30〜70wt%
前記ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物 70〜30wt%
であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項1または請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記アニオンは、亜リン酸水素イオン(HPO3 2−)であり、
前記第2の無機塩水和物は、亜リン酸水素塩であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項9に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記亜リン酸水素塩は、亜リン酸水素二ナトリウム五水和物(Na2HPO3・5H2O)であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項10に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、
前記酢酸ナトリウム三水和物と前記亜リン酸水素二ナトリウム五水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 30〜70wt%
前記亜リン酸水素二ナトリウム五水和物 70〜30wt%
であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項1または請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記アニオンは、酢酸イオン(CH3COO−)であり、
前記第2の無機塩水和物は、酢酸塩であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項12に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記酢酸塩は、酢酸リチウム二水和物(CH3COOLi・2H2O)であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 請求項13に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
前記第1の無機塩水和物の前記酢酸塩は、酢酸ナトリウム三水和物(CH3COONa・3H2O)であり、
前記酢酸ナトリウム三水和物と前記酢酸リチウム二水和物との配合割合は、
前記酢酸ナトリウム三水和物 30〜50wt%
前記酢酸リチウム二水和物 70〜50wt%
であること、
を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
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