JP2016527337A - 改善型相変化組成物 - Google Patents

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Abstract

本明細書では、酢酸ナトリウム三水和物を含む、均一性を改善した相変化材料、前記材料の調製方法および相変化システムにおけるその効用を記載する。特に、本明細書は、酢酸ナトリウム三水和物、相変化材料を含む酢酸ナトリウム三水和物において無水酢酸ナトリウム結晶の形成を抑制するための少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマー、少なくとも1つの酢酸ナトリウム三水和物核生成促進剤、および、より低い相変化温度が必要である場合は、少なくとも1つの融点降下剤を含む相変化組成物の使用に関する。

Description

本発明は、酢酸ナトリウム三水和物を含む、均一性を改善した相変化材料、前記材料の調製方法および相変化システムにおけるその効用に関する。特に、本発明は、酢酸ナトリウム三水和物、相変化材料を含む酢酸ナトリウム三水和物において無水酢酸ナトリウム結晶の形成を抑制するための少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマー、および、少なくとも1つの酢酸ナトリウム三水和物核生成促進剤を含む、相変化組成物の使用に関する。
市場には多くの加熱冷却システムがあり、その多くが化石燃料に依存する。より環境に配慮したシステムへの需要が高まり続けていることを受け、例えば光起電力、太陽熱発電機、水力電気、波力およびバイオ燃料等の、太陽光または水に基づく種々の代替システムが提案されてきた。
全ての太陽熱駆動型再生可能エネルギー変換装置、一部の水力電気駆動型装置、および、風車に共通する問題点は、それが「オンデマンドで」作動することができないということである。これは、太陽は必ずしも照るとは限らず、波は必ずしも高いとは限らず、風は必ずしも吹くとは限らないことによる。これは、このいわゆる不連続な再生可能資源が、時としてそれが対応する現地の電気配電網に容易に取り込まれない電気を生成することを意味する。そのため、蓄電に関する多くの解決法が提案されてきた。
国際公開2009/138771号で提案された熱エネルギー貯蔵システムは、余剰電気エネルギーを、利用可能であれば不連続な再生可能資源から熱または冷気に変換し、そうして変換した熱または冷気を熱貯蔵庫で貯蔵し、その後、それを相変化材料(PCM)を使用してその生来の固形―液体相変化特性によりエネルギー変換を生じさせ、オンデマンドで有益な熱または冷気として利用できるようにする。
家庭内の状況で実際に適用するには、加熱した水を必要とする個人にとって快適なレベルの温度をわずかに上回る、温かいまたは熱くすらある水を供給することが可能な相変化材料が必要である。加えて、そのような実用性に適する相変化材料は、家庭内使用にふさわしいと同様に、許容可能レベルの熱力学的安定性(効率)を実現する、相変化を出入りする熱移動の比率を達成するべきである。
酢酸ナトリウム三水和物、つまり(SAT)は、家庭内効用にとって望ましい温度範囲内で固形−液体の相変化をする。しかしながら、SATを相変化材料(PCM)としての実際に適用することは、SATが設定温度、つまり58℃で融解し、固形SATから液体SATと固形物(酢酸ナトリウム/SA)との混合物へ変化するという、特有で不適当な方法により制限される。この、58℃で完全に液体の溶液を提供できないということは、初期加熱時の水溶液の熱力学的安定性と同様に、相変化システムにおいて標準的な加熱/冷却サイクルに従って冷却した後、続いて再加熱したことで得られる再形成水溶液の熱力学的安定性にも反映される問題点である。
この、融解する際の固形物形成は、SATをPCMとして使用する際に問題となる。これは、この固形SAはいったん形成されると、通常、相変化システムにおけるPCMの耐用期間を通して維持されるためである。
この問題点を、固形物補助物として機能する、セルロース系ポリマーおよび高吸水性ポリマー等の三次元架橋ポリマーの効用によって克服しようとした以前の試みは成功しなかった。これは、初期の固形物形成の明らかな減少とは無関係に、固形酢酸ナトリウムの形成という根源的な問題が未解決であり、時が経つにつれ固形酢酸ナトリウムは溶液より依然として沈殿し、PCM貯蔵容器の底面に集積するためである。PCMとしての効用に関し、耐用期間が有限の溶液は許容されない。
国際公開2009/138771号
本発明の少なくとも1つの態様の目的は、少なくとも1つ以上の、水性相変化システムで使用する潜在PCMとしての酢酸ナトリウム三水和物の効用に関する前述の問題を、未然に防ぐまたは軽減することである。
本発明の少なくとも1つの態様の目的は、相変化システムでの使用に適する、望ましい均一性と;SA形成に対し抵抗性を示す酢酸ナトリウム三水和物を含む、改善型相変化材料を提供することである。
本発明の少なくとも一つの態様の目的は、酢酸ナトリウム三水和物を含み、熱力学的安定性を維持しながら反復サイクルで加熱、冷却および再加熱が可能な改善型相変化材料を提供することである。
出願人は、酢酸ナトリウム三水和物;相変化材料を含む酢酸ナトリウム三水和物において無水酢酸ナトリウム結晶の形成を抑制するための、少なくとも1つのアルカリ可溶性ポリマー;および、少なくとも1つの酢酸ナトリウム三水和物核生成促進剤を含む、相変化材料として使用する新規で発明性のある水性組成物を開発した。出願人はまた、前記改善型相変化材料の調製方法も開発した。
出願人は、酢酸ナトリウム三水和物を含む、相変化材料として、新規で発明性のある相変化組成物を開発した。
従って、本発明は、相変化材料としての、酢酸ナトリウム三水和物を含む組成物を提供し、該組成物は、
(a)酢酸ナトリウム三水和物または無水酢酸ナトリウム;
(b)少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー;
(c)少なくとも1つの適切な核生成促進剤;および、
(d)水
を含む。
下記の実施例で実証するように、出願人は、驚くべきことに、相変化材料としての酢酸ナトリウム三水和物を含む本発明の組成物は、均一性と熱力学的安定性において、酢酸ナトリウム三水和物をPCMとして使用してこれまで達成可能だった場合に比べ、前例のない改善を示すことを発見した。特に出願人は、相変化材料としての酢酸ナトリウム三水和物を含む本発明の組成物は、加熱および冷却の際に結晶酢酸ナトリウムの核生成に対し抵抗力があることを発見した。
さらなる態様によると、本発明は、相変化システムでの使用に適する相変化材料として、本発明に係る組成物の使用を提供する。
出願人はまた、本発明に係る組成物を調製する新規方法を開発した。さらなる態様によると、本発明は、相変化材料として酢酸ナトリウム三水和物を含む組成物の調製方法を提供し、該方法は、
(a)無水酢酸ナトリウムを含む水溶液を、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマーおよび少なくとも1つの核生成促進剤と混ぜるステップと;
(b)得られた混合物を加熱して、酢酸ナトリウム三水和物を含む58℃の相変化材料を提供するステップと、を含む。
酢酸ナトリウム三水和物を使用する場合、次の、
(a)酢酸ナトリウム三水和物を、58℃を超える温度まで加熱するステップと;
(b)酢酸ナトリウム三水和物を、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマーおよび少なくとも1つの核生成促進剤と混ぜるステップが続く。
本発明の実施形態を、ここで、単なる例示として、添付図面を参照して説明する。
酢酸ナトリウムおよび水の相図であって、該相図は約58℃における水に対する酢酸ナトリウムの溶解限界が約58.0%であることを示し、一方、58℃で溶解する対応する酢酸ナトリウム三水和物は60.28%のSAおよび39.72%の水からなり、これは、ポイント2で示すように、58℃での溶解限界を著しく上回る数値であることを示す図である。 ポリマーが酢酸ナトリウム分子の高度準安定亜臨界クラスタの表面と相互作用して、結晶子、やがて沈殿材料へとさらに成長するのを防止メカニズムによって防ぐ、または、阻止する、提案メカニズムを示す図である。 濃度を変化させたアセトアミドを加えることで得られる、結晶化温度を示す図である。
本発明に係る新規組成物は、SATとしても知られる酢酸ナトリウム三水和物、つまりNaOAc・3H2Oを相変化材料として含む水性組成物である。本発明に基づくと、SAとしても知られる無水酢酸ナトリウムはいずれの形態であっても、PCMとしてSATを含む新規組成物の調製に使用することができる。疑義を避けるために記すと、これは、NaOAcの固形形態はすべて結晶であるため、いずれの結晶形も使用できることを意味する。
本発明に係る水性組成物の調製に使用する無水酢酸ナトリウムの濃度は、組成物全体の約40重量%〜約60重量%の間である。これは、本発明の水性組成物中の酢酸ナトリウム三水和物の約66%〜約100%の相対量に相当する。疑義を避けるために記すと、本発明に係る組成物は固形無水酢酸ナトリウムを実質的に含まず、より好適には含まない。
疑義を避けるために記すと、本明細書に記載の、本発明に係る特定の組成物中の水の実際量または相対量が明記されていない場合、必要とされる水の実際量または相対量は、重量または相対体積のいずれかで組成物の100%に到達するのに十分な量であると理解すべきである。水は、精製形態または蒸留形態で使用することも、または、通常の供給品より使用することもできる。
上記で示したように、家庭内を暖房する目的にとって望ましい温度範囲内で相変化があるにも関わらず、潜在PCMとしての酢酸ナトリウム三水和物の効用は固有の融解分解によりこれまで妨げられてきた。融解プロセスの間、酢酸ナトリウム三水和物は、設定温度58℃で固形SATから液体SATおよび固形SATの混合物へと変化する。これは、無水酢酸ナトリウム、つまりNaOAc、つまりSAの形成によるものである。疑義を避けるために記すと、用語酢酸ナトリウム、つまりSAを本明細書で利用する場合、それは、水和物、特に三水和物、つまりSATとは対照的な、無水酢酸ナトリウムを意味する。図1、つまり酢酸ナトリウムおよび水の相図のポイント1で示すように、約58℃での水に対する酢酸ナトリウムの溶解限界は約58.0%であり、一方、58℃で融解する対応する酢酸ナトリウム三水和物は60.28%の酢酸ナトリウムおよび39.72%の水からなり、これは、図1のポイント2で示すように、58℃での溶解限界を顕著に上回る数値である。水性SATの融解中にSAが形成される場合、より多くの水を加えることで完全な液状に回復させ、組成物を58%のSAと可溶化無水SAを含む組成物に変え、それにより58℃で完全に液体の材料を提供することができる。そうして生成した溶液は熱力学的に安定しており、つまり、準安定ゾーンにも過飽和ゾーンにもなく、従って、固形材料(SA)がさらに結晶化するはずはない。
上記で説明したように、水および酢酸ナトリウム三水和物を含む回復した該溶液は、相変化剤として使用するには適さない。これは、冷却および再加熱して熱力学的に安定した均一の液体を生成することができないためである。下記の実施例で実証するように、出願人は、該溶液を冷却し、いくらかの酢酸ナトリウム三水和物を添加すると、酢酸ナトリウム三水和物の固形試料が形成されることを発見した。出願人はまた、冷却した該溶液を58℃まで再び加熱すると、固形無水酢酸ナトリウム、つまりSAを含む溶液が形成され、つまり、該溶液は事実上、熱力学的に均衡状態にないことを発見した。
混合および/または攪拌により、組成物は熱力学的に均衡した均一の溶液に戻るだろう。しかしながら、そのようなメカニズムがなければ、本発明のように、均一な溶液は優勢ではない。
図1に示すように、結晶酢酸ナトリウム三水和物は、融解して固形無水酢酸ナトリウムおよび水性酢酸ナトリウムの濃縮溶液を形成する。簡潔に、および、一般的な化学の実務に沿って述べると、より多くの水を加えることでこの追加酢酸ナトリウム(無水固形物)を溶解すると予想される。より正確には、この余分な水は、無水酢酸ナトリウムおよび水を含む濃縮溶液を希釈し、結果として、固形無水酢酸ナトリウムがそれに溶解できるようにすると予想される。最も驚くべきことに、出願人は、これが実際には起きないこと、さらには、無水固形物の溶解に対する抵抗力が、実際には、追加する水の量により変化することはないことを実証した。
特定の理論通りであることを望まずに、本明細書では、融解プロセスの間、酢酸ナトリウム三水和物の分子は分解解離し、また、液相の酢酸ナトリウムと固相の酢酸ナトリウムとの間で急速な交換が起きると仮定する。無水酢酸ナトリウムの固形分子は、はじめ、小さいクラスタで存在すると考えられる。そのような小さいクラスタは、数百個のSA分子を含むことができると考えられ、結晶になるとは考えられない。本明細書では、このクラスタのいずれか1つのサイズが増大し、結晶子になるのに必要な臨界クラスタサイズ、つまり、閾値サイズに実際になることをさらに提案する。本明細書では、集団になっているそのような結晶子が、上述の実施例において、望ましくない固形沈殿材料として観察される高密度の酢酸ナトリウム結晶を形成することをさらに提案する。出願人は、融解プロセスの間、固形沈殿物の形成が急すぎて、追加した水の溶解は大きな影響を与えないことを観測した。
出願人は、酢酸ナトリウム三水和物を含む水性相変化材料における非均一な液体形成に関するこの問題を、1つ以上の特定のアルカリ可溶性ポリマーの効用によりNaOAc結晶子の形成に対し抵抗力をもつ、NaOAc・3H2Oを含むPCMを供給することにより解決した。
特定の理論に縛られなければ、本発明の組成物に係る、酢酸ナトリウム三水和物を含むPCMで利用する特定のポリマーは、粘性効果;晶癖改質;3D格子効果等を含む効果の組合せにより、水性NaOAc・3H20溶液における沈殿NaOAcの形成に対し抵抗力をもたらすと考えられる。このように、本明細書での使用に適する1つ以上のアルカリ可溶性ポリマーはまた、SA結晶化抑制因子、つまり、水溶液からの結晶SA形成の抑制因子と呼ぶことができる。
この特定のポリマーの機能を利用して溶液の粘性を高めた一濃度では、融解プロセス中に形成された無水酢酸ナトリウムの少なくとも一部が、溶解するのに十分なほど長く浮遊を続け、それによりSAが溶液から沈殿する可能性、および、それに続いて、使用中に相変化システム機器内で集合する可能性を低減すると考えられる。また、本明細書では、この特定のポリマーの使用は、固形物が底面に集結し、この固形層の上面のみが溶液と接触する、(SAのみの水性システムに関する)従来の可能性に比べ、溶液中の実行表面積が著しく増大した固形酢酸ナトリウムを提供することを提案する。さらに、本明細書では、このより粘度のある溶液に長期間固形酢酸ナトリウムを分散させても、溶解比率は増加し、それにより無水形態の酢酸ナトリウムが形成され得る比率は低減し、全体的な形成を潜在的に防げることを、さらに提案する。
本明細書で詳述する本発明の第1またはさらなる態様に基づく、PCMとしてSATを含む本明細書に記載の新規組成物での使用に適するポリマーは、水性アルカリ溶液に可溶である。本明細書で定義するように、本明細書での使用に適するポリマーは、約pH8を超えるpHを有する水性アルカリ溶液に可溶である。特に、本明細書での使用に適するポリマーは、水性酢酸ナトリウム溶液等の、約pH9のpHを有する高アルカリ水溶液に可溶である。本明細書の組成物は、本明細書で定義するような1つ以上のポリマーを含み、ここにおいて各ポリマーは、約0.1%〜約10%、約0.2%〜約4%、約0.5%〜約2%の濃度で個別に存在することができ、該組成物は本明細書に係る水性組成物で利用する。
加えて、本明細書での使用に適するポリマーは、1つ以上のカルボン酸基を有し、酸、または酸塩として利用することができる。疑義を避けるために記すと、本明細書で使用する用語ポリマーには、繰り返し特異モノマー単位のポリマーと、可変繰り返しパターンを有する混合モノマー単位を含むコポリマーの両方が含まれる。
本明細書での使用に適する好適なポリマーの群は、一般式Iの繰り返し単位を有するポリマーおよびその塩である。
ここにおいて、zは10〜1000;
n=1〜10〜1000;および、ここにおいて、m=0〜1000
ここにおいて、n:mの比率は約X:Y〜の範囲にあり、ここにおいて、ポリマーの分子量は、約P〜約Qの範囲にあり、
Xは、次のモノマー:エチレン、アクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、メタクリル酸エチル、エタクリル酸、エチレンオキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、N−イソプロピルアクリルアミド、スチレン、マレイン酸、およびその混合物に基づく群より個別に選択され、
Yは、次のモノマー:エチレン、アクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリルアミド、メタクリル酸エチル、エタクリル酸、エチレンオキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルピロリドン、N−イソプロピルアクリルアミド、スチレン、マレイン酸、およびその混合物に基づく群より個別に選択される。
本明細書で使用する、一般式Iによる好適なポリマーの群は、一般式IIの単量体繰り返し単位およびその塩である。
ここにおいて、n、mおよびzは上記で定義した通りであり、
ここにおいて、n:mの比率は約1:2、ここにおいて、分子量は約1000〜1000000の範囲にある。
本明細書で使用する、一般式IIの好適なポリマーは、酸または酸塩のいずれかで、より好適には酸または金属酸塩、特に、酸、または、ナトリウム酸塩、カリウム酸塩もしくは亜鉛酸塩である。メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、約500000〜約1000000の分子量を有するポリ(メタクリル酸コ−メチルメタクリレート)、ならびにそのナトリウム塩、カリウム塩または亜鉛塩が一般式I、II、IIIに含まれるポリマーで、本明細書での使用に特に適する。
一般式Iによる、本明細書での使用に好適なポリマーの別の群は、一般式IIIの繰り返し単位、およびそのナトリウムまたはカリウムより選別した金属塩であり、ここにおいてzおよびnは本明細書の上記で定義したものである。
本明細書で使用する、一般式IIIの好適なポリマーは、ポリ(メタクリル酸)、特にナトリウム塩、好適には30%または40%の水溶液中にあり、ここにおいて、ポリマーは約10000または4−6000の平均分子量を有する。
従って、本発明は上記で定義した組成物を提供する。ここにおいて、1つ以上アルカリ可溶性ポリマーは、一般式IIまたはIII、およびその混合物より選択し、各々個別に、約0.1%〜約10%、約0.2%〜約4%、約0.5%〜約2%の濃度で存在する。加えて、上記で定義した組成物を提供する。ここにおいてポリマーは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、約500000〜約1000000の分子量を有するポリ(メタクリル酸コ−メチルメタクリレート)、もしくは、そのナトリウム塩、カリウム塩もしくは亜鉛塩;約10000の平均分子量を有するポリ(メタクリル酸)もしくはナトリウム塩であり、いずれのポリマーも、約0.1%〜約10%、約0.2%〜約4%、約0.5%〜約2%の濃度で個別に存在することができる。さらなる態様によると、本発明は、上記で定義した濃度で1つまたは上記2つのポリマーのいずれかを有する組成物を提供する。
SATをPCMとして含む本発明に係る改善型PCM組成物は、余剰追加水を加える必要なく均一な液体を形成することを実証したが、これは、ポリマーなしで観測される沈殿システムとは対照的である。しかしながら、それは、ポリマーなしの酢酸ナトリウム三水和物が示す挙動と比較した場合の、ポリマーありの本発明のSATを含むPCMシステム間で見られる、冷却および再加熱後の均一性および熱力学的安定性の両方での改善を実証するもので、これは実に画期的である。
特定の理論に縛られなければ、本明細書では、水性酢酸ナトリウム三水和物システムにおいて、到達前例のない核生成抑制をテストした種々の異なるSAT/ポリマーシステムについて観測される現象機能は、それ全てに共通する、不変で潜在的な技術効果によることを提案する。このシステムにおける結晶核生成抑制の正確なメカニズムは知られていないが、本明細書では、ポリマーは酢酸ナトリウム分子の高準安定亜臨界クラスタの表面と相互作用して、結晶子、やがて沈殿材料へとさらに成長するのを、防止メカニズムによって防ぐ、または、阻止することを提案する。図2はこのメカニズムの図案を示す。
出願人は、本明細書のポリマーシステムにSAを添加し、実際に、固形材料を形成させる場合でも、そうして形成される固形材料は、非ポリマーシステムで形成される、対応する固形材料で観測される外観および挙動の両方において、大変異なることを発見した。それは、合成固形物の挙動に与える影響に含まれ、これは、固形物が異なる構造習性で存在できることと、ポリマーは晶癖改質剤として作用することを示唆する。
この、酢酸ナトリウム水溶液を含む改質ポリマーは、最も驚くことに、そして、好適に、SAの形成に対し抵抗力を持つが、PCMとしての効用には適さない。これは、本明細書で論じる実験および結果の両方によって最も明示するように、そして、図1のSA相図のように、酢酸ナトリウム三水和物は、過飽和溶液であっても容易に核生成しないためである。これは核生成剤が水溶液から酢酸ナトリウム三水和物の核生成を促進するのに必要であることを意味する。
核生成剤は、本明細書で定義するように核剤、つまり核生成促進剤としても知られる。場合によっては、特定の材料と特定の核生成剤との効果的な組み合わせは、核剤と塩水和物との間で、結晶形がイソ構造的に類似した結果になることもあり、これは実際に多くの既知の組合せがある事例である。例えば、塩化ストロンチウム六水和物は塩化カルシウム六水和物に対し核剤として作用し、四ホウ酸ナトリウム十水和物は硫酸ナトリウム十水和物に対し核剤として作用し、各組み合わせにおいて、それらは、各々の結晶形において非常に類似した分子パッキングを有する。
酢酸ナトリウム三水和物に対し、適した核剤を同定することはより困難なことである。リン酸水素二ナトリウム(DSP)およびピロリン酸四ナトリウム(TSPP)はSATの核剤候補として同定されているが、その作用のメカニズムは知られていない。(T Wada and R Yamamoto "Studies on salt hydrates for latent heat storage. 1. Crystal nucleation of sodium acetate trihydrate catalyzed by tetrasodium pyrophosphate decahydrate, Bulletin of the Chemical Society of Japan. Volume 55, page 3603, 1982; T Wada, R Yamamoto and Y Matsuo "Heat storage capacity of sodium acetate trihydrate during thermal cycling", Solar Energy. Volume 33, pages 373 to 375, 1984; and H Kimura, "Nucleating agents for sodium acetate trihydrate", Journal of the Japanese Association of Crystal Growth. Volume 9, issue 3, page 73, 1982.)
さらに、この核剤は高温でいわゆる非活性化することが知られており、これは、相変化システムで使用するSAT PCMに対する潜在ペアとして考慮するにあたり、その可能性を弱らせる。これは、性質上、PCMは長期間の使用を目的としており、加熱/冷却/再加熱という予期されるサイクルを通して、オンデマンドの、信頼性の高い活性化を必要とするためである。
驚くべきことに、出願人は、リン酸水素二ナトリウムの特定の水和物、つまり二水和物がSATの活性成核種であると同定し、また、上記で詳述したSATを含む水性ポリマー溶液でこの水和物を使用することで、相変化システムにおいてPCMとして使用するのに非常に適した組成物を提供できることも実証した。本明細書に係る組成物は、典型的に1つ以上の核生成促進剤を含み、各々個別に、約0.1%〜約5%、約0.2%〜約3%、約0.5%〜約2%の濃度で存在する。
従って、本発明は、追加で、相変化材料として酢酸ナトリウム三水和物を含む組成物を提供し、該組成物は、
(a)約48〜約60%の無水酢酸ナトリウム;
(b)約0.1%〜約10%の、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー;
(c)約0.1%〜約5%の、少なくとも1つの適切な核生成促進剤、および;
(d)残部が水
を含む。
あるいは、酢酸ナトリウム三水和物を使用する場合、上記組成は、
(a)約80%〜約100%の酢酸ナトリウム三水和物;
(b)約0.1%〜約10%の、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー、;
(c)約0.1%〜約5%の、少なくとも1つの適切な核生成促進剤;および、
(d)残部が水
に変化する。
SATを成核可能な材料はいずれも本明細書での使用に適するが、SATを成核し、高温での効果も維持する好適な材料が、特に、本発明に係るPCMとして使用する組成物で用いるのに適する。該組成物には、リン酸水素二ナトリウム(DSP);ピロリン酸四ナトリウム(TSPP);およびその水和物が含まれる。本明細書での使用に適する特定の材料は、リン酸水素二ナトリウム二水和物およびピロリン酸四ナトリウム十水和物である。従って、本発明は上記で定義した組成物を提供し、ここにおいて、核生成促進剤はリン酸水素二ナトリウム(DSP);ピロリン酸四ナトリウム(TSPP);およびその水和物であり、各々個別に約0.1%〜約5%、約0.2%〜約3%、約0.5%〜約2%の濃度で存在する。加えて、上記で定義した組成物であって、ここにおいて、核生成促進剤はリン酸水素二ナトリウム二水和物およびピロリン酸四ナトリウム十水和物であって、ここにおいて、これらの促進剤の総濃度は約0.5%〜約5%、約0.2%〜約2.5%、約0.5%〜約2%である組成物を提供する。
ポリマーおよび核生成促進剤に加え、本発明に係る組成物は、追加的に、更なる薬剤を含み、PCMとして使用する場合のSATの融点を修正することができる。望ましい融点修正を提供できる適切な薬剤はいずれも使用することが可能だが、疑義を避けるために記すと、融点修正は融点および結晶点の低下を意味する。そのような修正剤は、総質量に対し約1%〜約25%、5%〜約25%、約10%〜約20%、約2%から約10%の相対濃度レベルで利用することができる。本明細書の組成物において、SATの融点を低下させる薬剤例には、酢酸リチウム二水和物等の金属;ならびに、アセトアミドおよびトリメチロールエタン等の有機化合物が含まれ、これには非金属塩、例えば酢酸アンモニウムも含まれ得る。
従って、本発明は、相変化材料として酢酸ナトリウム三水和物を含む組成物であって、該組成物は、
(a)約35%〜約60%の無水酢酸ナトリウム、
(b)約0.1%〜約10%の、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー、
(c)約0.1%〜約5%の、少なくとも1つの適切な核生成促進剤、および
(d)約1%〜約95%の、任意の融点降下剤、および、
(e)残部が水
を含む、組成物を追加的に提供する。
酢酸リチウム二水和物を、約1%〜約25%、約5%〜約25%、約10%〜約20%の濃度で融点降下剤として利用する組成物が、本明細書では好適である。
酢酸リチウム二水和物は、64.67%のLiOAcおよび35.33%の水であり、下記の数値は上記に倣ったものであるが、xは64、67である。
無水酢酸リチウムを、約0.65%〜約16.17%、約3.23%〜約16.17%、約6.47%〜約12.93%の濃度で融点降下剤として利用する組成剤が、本明細書では好適である。
融点は、また、アセトアミドおよびトリメチロールエタンを加えることでも降下させることができる。
PCMとしてSATを含む本発明の組成物は、
(a)無水酢酸ナトリウムを含む水溶液を、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー;少なくとも1つの核生成促進剤;および、少なくとも1つの融点降下剤と混ぜるステップと、
(b)得られた混合物を加熱して、酢酸ナトリウム三水和物を含む58℃の相変化材料を提供するステップと、を含む方法により作製することが可能である。
本明細書で好適な方法によると、35%〜約60%の無水酢酸ナトリウム、総計で約0.1%〜約10%の適切なアルカリ可溶性ポリマー、総計で約0.1%〜約5%の一つ以上の核生成促進剤を利用し、任意で、約1%〜約25%の融点降下剤を混ぜる段階で含めることができる。この方法の例は、下記の実施例3に示す。
本発明書で好適な方法によると、約35%〜約60%の無水酢酸ナトリウム、総計で約0.1%〜約10%の適切なアルカリ可溶性ポリマー、総計で約0.1%〜約5%の1つ以上の核生成促進剤を利用し、任意で、約1%〜約95%の融点降下剤を混ぜる段階で含めることができる。
代わりに、ポリマーは、融解(加熱)水性SAT混合物内でその場で形成することができる。この場合、該当するモノマーを水溶液に加えると、重合が始まる。そのため、PCMは熱交換器を入れて封止する前の熱電池エンクロージャで作製することも可能であるし、または、PCMは外部容器で作成し、その後熱交換器を入れたエンクロージャに注ぐことも可能である。
下記の実験結果で提供する次の非限定例は、本発明に係るPCM組成物の代表およびその調製方法である。
〔実験結果〕
実施例1:ポリマー1を水性酢酸ナトリウムに加え、沈殿を防止
分子量が500000〜1000000のポリ(メタクリル酸メタクリル酸コ−メチル)2:1コポリマー(Flukaより、ポリアクリル酸、cas 25086-15-1として入手可能(ラベルされた中間粘度、mr〜500000-1000000、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマーと標識))を1%(2g)を攪拌しながら、濃度58.24%(17.002mol dm−3)のよく混ざった198gの酢酸ナトリウム水溶液(VWR International Ltd.(UK)より、99%無水酢酸ナトリウムとして入手可能)に、約60〜約70℃で加え、その後室温(RT)まで冷却した。
室温で、均一の液体が観測された。これは、酢酸ナトリウムの著しい沈殿が観測された、同様の、ただしポリマーなしの溶液とは対照的だった。さらに、循環実験を約25〜約80℃の温度範囲で実行し、ポリマー補助溶液で観測された有益な効果が、テストした範囲にわたって不変であることを確認した。加えて、さらなる実験により、酢酸ナトリウムは室温での添加でようやく形成され始めることを確認した。
実施例2:ポリマー2を水性酢酸ナトリウムに加え、沈殿を防止
分子量9500のポリ(メタクリル酸、ナトリウム塩)の30%水溶液(Sigma Adrich、UKより、GPCによる平均Mが〜5400、平均Mが〜9500、H2O中に30重量%のポリ(メタクリル酸、ナトリウム塩)溶液、cas 54193-36-1として入手可能)を22.6g(ポリマーのみに関しては、0.66%)、実施例1の方法に従って、酢酸ナトリウム水溶液(1000g)の59.16%(17.66mol dm−3)水溶液に加え、その後室温(RT)まで冷却した。
実施例3:ポリマーシステムが58℃で均一の液体を提供する条件
種々の濃度のポリマー1および2を含み、酢酸ナトリウムの初期水中濃度を変化させたテスト試料を、RTで数週間放置した。酢酸ナトリウムは観測されたが、それは白い大きな塊のように見え、試料容器全体を占めた。この塊は酢酸ナトリウムおよび水の複雑な混合物であると考えられるが、外観は固形物であった。試料容器を押しつぶすと、塊は非常に柔らかいことが観測された。注意深く攪拌するとこの塊は細い針状の結晶のように見え、さらに、該試料を58℃まで加熱すると均一の液体になった。これは、上記で論じたように、図1の相図、ポイント2と一致する。
加えて、酢酸ナトリウムを注意深く添加したテスト試料も放置した。得られた固形酢酸ナトリウムは大きな白い塊のように見え、試料容器全体を占めた。この塊は酢酸ナトリウムおよび水の複雑な混合物であると考えられるが、外観は固形物であった。試料容器を押しつぶすと、塊は非常に柔らかいことが観測された。注意深く攪拌するとこの塊も細い針状の結晶のように見え、さらに、58℃まで加熱すると、この試料はまた、均一の液体になった。これは、図1の相図、ポイント2と一致する。
余剰の水を加える必要なく、均一な液体を形成できるこの機能は、ポリマーなしで観測される沈殿システムとは対照的である。しかしながら、ポリマーなしの酢酸ナトリウム三水和物と比較した場合の、ポリマーありの本発明のシステム間で、冷却および再加熱後の均一性および熱力学的安定性の両方で観測される改善は、実に画期的である。
実施例4:DSPにおけるSAT用活性核剤の同定
温度可変粉体X線解析を利用して、リン酸水素二ナトリウムの二水和物を活性核剤として同定した。リン酸水素二ナトリウム二水和物を有する酢酸ナトリウム三水和物の試料を冷却すると、酢酸ナトリウム三水和物の結晶化が起きた。試料を90℃まで加熱すると、二水和物から無水リン酸水素二ナトリウムへの転換が起きた。SATと無水DSPを含むこの試料を続いて25℃まで冷却すると、無水DSPはDSP二水和物には戻らず、酢酸ナトリウム三水和物の結晶化は起きなかった。
追加の実験を実行し、このシステムの非活性化は、PCMとして使用する組成物での効用に必要な温度では、酢酸ナトリウム三水和物または活性核剤を添加しても起きないことを確認した。この実験の結果により、そのように添加すると、核剤の「再活性化」は起きることと、その効力は完全に回復することを確認した。これは、先の観測と一致するが、出願人は初めて、今まで説明されなかった現象を理解しその特徴を記述した。
実施例5:SATを含むPCM配合物の調製
配合物1は、次のように、無水酢酸ナトリウム(134.1kg、1634.77mol)、水(94.6kg、5251.18mol)、30%水溶液としてのポリメタクリル酸ポリマー(分子量9500)(5.3kg)、DSP(2.3kg、16.20mol)、および、TSPP(2.3kg、8.65mol)を混ぜ合わせ、約70℃まで加熱して調製した。この方法によって製造される、この58℃の合成PCMは、無水酢酸ナトリウム配合物を含まない。
配合物2は、配合物1と同様に調製した。製造された50PCMもまた、無水酢酸ナトリウム配合物を含まなかった。
従って、本発明に係るPCMは、肉眼およびX線粉体解析等の実験技術で検査する場合、SAを含まない。
実施例6:アセトアミドを酢酸ナトリウム三水和物に添加し、融解を抑制
混合に必要な、アセトアミドに対するSATの比率
a)酢酸ナトリウムの三水和物より開始
2.17重量%の水および2.30重量%のポリ(メタクリル酸、ナトリウム塩)(Sigma Aldrich UKより入手可能、CAS 54193-36-1)の水溶液と95.53重量%の酢酸ナトリウム三水和物(CAS 6131-90-4)を作製し、攪拌しながら60〜70℃まで加熱し、均一の混合物を作成した。
b)無水酢酸ナトリウムより開始
39.84%の水および2.31重量%のポリ(メタクリル酸、ナトリウム塩)の水溶液と、57.85重量%の酢酸ナトリウム(VWR International Ltd.より、無水酢酸ナトリウム99%として入手可能、CAS 127-09-3)を攪拌しながら60〜70℃まで加熱する一方攪拌し、均一の混合物を作製した。
融解温度および凍結温度を降下させるため、この溶液を上記の表に示したように種々の量でアセトアミドと合わせた。(種結晶で核生成した)試料が融解および凍結する温度を記録した。降下の範囲は下記に示す。アセトアミドを70モル%まで加えると58℃〜28.5℃の結晶化温度が得られ、混合物は共晶点に近づく。この点を過ぎると凍結温度は上昇する。これは図3に示す。
実施例7:融点を降下させるための、トリメチロールエタンの酢酸ナトリウム三水和物への添加
酢酸ナトリウム三水和物溶液を実施例1に記載の方法で作製した。混合物試料を作製するため、SAT溶液を下記の表に記載するようにTMEに加えた。
混合物は、種結晶を用いても、2重量%の核剤、つまりリン酸水素二ナトリウム二水和物を用いても、手動で成核することが可能である。トリメチロールエタンの含有量を0から40モル%まで増大することで、材料の凍結点は42℃〜58℃の範囲を有する。

Claims (15)

  1. 相変化材料として酢酸ナトリウム三水和物を含む組成物であって、該組成物は:
    (a)酢酸ナトリウム三水和物または無水酢酸ナトリウム;
    (b)1つ以上の適切なアルカリ可溶性ポリマー;
    (c)1つ以上の適切な核生成促進剤;および
    (d)水
    を含むことを特徴とする、組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物であって、前記酢酸ナトリウム三水和物は組成物の約80重量%〜約100重量%の濃度で存在することを特徴とする、組成物。
  3. 請求項1に記載の組成物であって、前記無水酢酸ナトリウムは組成物の約45重量%〜約60重量%の濃度で存在することを特徴とする、組成物。
  4. 請求項1または3に記載の組成物であって、前記1つ以上のアルカリ可溶性ポリマーは、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の濃度で個別に存在することを特徴とする、組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物であって、前記1つ以上のアルカリ可溶性ポリマーは一般式1を有するポリマーであることを特徴とする、組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物であって、前記1つ以上のアルカリ可溶性ポリマーは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、約500000〜約1000000の分子量を有するポリ(メタクリル酸コ−メチルメタクリレート)、もしくはそのナトリウム塩、カリウム塩もしくは亜鉛塩;約10000の平均分子量を有するポリ(メタクリル酸)、もしくは、そのナトリウム塩;またはその混合物から個別に選択されることを特徴とする、組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物であって、前記1つ以上の適切な核生成促進剤は、組成物の約0.1重量%〜約5重量%の濃度で各々個別に存在することを特徴とする、組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物であって、前記1つ以上の適切な核生成促進剤は、リン酸水素二ナトリウム(DSP)およびその水和物;ピロリン酸四ナトリウム(TSPP)およびその水和物;ならびにその混合物から個別に選択されることを特徴とする、組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物であって、前記核生成促進剤は、組成物の約0.5重量%〜約5重量%の総濃度で存在するリン酸水素二ナトリウム二水和物およびピロリン酸四ナトリウム十水和物であることを特徴とする、組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物であって、組成物の約1重量%〜約95重量%の濃度の酢酸ナトリウム三水和物の融点を調整するための薬剤をさらに含む、組成物。
  11. 請求項10に記載の組成物であって、前記薬剤は酢酸リチウム二水和物であることを特徴とする、組成物。
  12. 請求項10に記載の組成物であって、前記薬剤は無水酢酸リチウムであることを特徴とする、組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の、相変化材料として酢酸ナトリウム三水和物を含む組成物の製造方法であって、該方法は:
    (a)無水酢酸ナトリウムを含む水溶液を、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー;および少なくとも1つの核生成促進剤と混ぜるステップと;
    (b)得られた混合物を加熱して、酢酸ナトリウム三水和物を含む58℃の相変化材料を提供するステップと;を含み、
    前記水溶液は酢酸ナトリウムの融点を調整する薬剤を任意で含むことを特徴とする、方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、前記水溶液は:約40%〜約60%の無水酢酸ナトリウム:約0.1%〜約10%の、少なくとも1つの適切なアルカリ可溶性ポリマー;約0.1%〜約5%の、少なくとも1つの適切な核生成促進剤;約1%〜約25%の、任意の融点降下剤;および残部が水;を含むことを特徴とする、方法。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物、または、請求項11または12の方法によって得られる組成物の、相変化材料としての使用。
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