JP2019206141A - 液体吐出具 - Google Patents
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例えば筆記具では、特許文献1(特開2000−335173号公報)のように、インキ収容管の後方に加圧機構を設けて、ノック体の押圧操作に連動させてインキタンク内を加圧する構造や、特許文献2(特開2017−119406号公報)のように、筆記時における筆圧を利用してインキタンク内を加圧する構造を用いて、ペン先からのインキの流出量を多くして、筆跡を太くあるいは濃くすることが考えられている。
また、特許文献3(特開2011−235612号公報)では、筆記時の筆圧でペン先を後退させる力によりコイルスプリングなど弾発体で前方へ弾発されたレフィルを後退させ、レフィル内の空気を加圧する構造が考えられている。
また、前記特許文献3の筆記具は、先端チップに筆圧が掛かる筆記時にのみ加圧されることから、上記マーカーでも、筆記時以外にインキが不要に吐出されることはないが、筆圧により先端チップが変形してしまうような、例えば先端が軟らかいフェルトのマーカーあるいは筆ペンには適さない。
「1.先端チップから吐出具本体の内部に収容した液体を吐出させる液体吐出具であって、
前記吐出具本体の内方に、前記液体を収容する収容管を配し、
該収容管の前方に、前記吐出具本体の前端より液体を吐出する前記先端チップを設け、
前記収容管の外側に、前記塗布具本体内で前後動する有底の移動管を該収容管の後端部と該移動管の底部との間に間隙部を設けて覆設し、
前記吐出具本体に、前記移動管を後方へ弾発する弾発体を配設し、
前記吐出具本体の側面に窓部が形成され、該窓部に前記移動管と当接する押動体を装着し、
前記押動体または前記移動管に、前記吐出具本体の内方における前記窓部側に前端を有し該窓部の反対側に後端を有するよう形成した斜面を設け、
前記収容管と前記移動管との間に、該移動管が前進する際には該収容管の外面と当該移動管の内面とを気密状態とし、当該移動管が後退する際には前記気密状態が開放される気密部材を設け、
前記押動体を前記吐出具本体の軸線方向と直交する方向へ押動することにより、前記斜面で前記移動管を押進させると共に、前記収容管の後端部と該移動管の底部との間の間隙部の空間を減少させて該間隙部内の空気を圧縮し、該収容管内の空気を介して前記液体が加圧される構造の液体吐出具。
2.前記収容管の外周面と前記移動管の内周面との間に、後方が前記間隙部と連通する隙間部を設け、該隙間部の前方に前記気密部材を設けた構造の前記1項に記載の液体吐出具。」である。
このことから、本発明構造における液体吐出具は、先端チップの内部と外部との連通状態を、コイルスプリングなどの弾発力で開閉することが可能な弁機構を有したボールペンや修正ペン、その反対に前記のような弁機構が存在しないボールペンや修正ペン、あるいは前記のような弁機構が存在せずに内部と外部とが常時連通されたマーカー、さらには筆ペンや化粧具など種々の液体塗布具に採用することが可能である。
さらに、本発明における液体吐出具は、前記押動体を前記吐出具本体の軸線方向と直交する方向へ押動して移動管に当接させることにより、当該移動管を、押動体または移動管に形成した斜面で前進させる構造であることから、押動体が移動管を効率よく押動できるように、吐出具本体の窓部の反対側の内側面に移動管を摺動されるようにするとよい。
またさらに、押動体や移動管あるいは吐出具本体に段部や突部などを複数設け、押動体を押動した際に、前記段部や突部により段階的に抵抗を感じながら押動体が移動できる構造とすることで、押動体のストローク量が把握し易くなり、加圧状態を調整し易いものとなる。
尚、押動体を吐出具本体の側面に配置することで、吐出具本体を大きく持ち替えることなく押動操作できるものとなるが、特に吐出具本体の把持部に押動体を配置することで、把持具本体を把持した状態で持ち替えることなく押動操作を行うことが可能となり、操作性がさらに向上する。
粘度が高い液体を用いる場合には、押動体を押動することで粘度の高い液体を前方に押動できる加圧力が必要なことから、押動体を押動できるストローク量を大きくするなど、空気を圧縮し易い構造とすることが好ましい。
この気密部材は、押動体を押動して移動管を前進させる際には、収容管の外面と移動管の内面とを気密状態にして空気を圧縮できるようにし、移動管が後退する際には、収容管の外面と移動管の内面との間に形成される空気流路を介して加圧された空気が開放されるようにする。これは一例として、収容管にOリングを装着し、移動管の内面に前記Oリングの外径より大きな前方大径部と該Oリングの外径より小径の後方小径部とを形成することで実現できる。当該構造を採用することで、押動体を押動して移動管が前進した際には、収容管に装着したOリングが移動管の前方大径部から後方小径部に移動して該Oリングの外面が移動管の内面に密着して気密状態となり、押動体の押動を開放して吐出具本体と移動管との間に配設されたコイルスプリングなどの弾発体の弾発力で移動管が後退した際には、収容管に装着したOリングが移動管の後方小径部から前方大径部に移動し、Oリングと移動管との間に空気流路が生じて気密状態を解除できる。
大気圧を1000hPaとした場合、例えば粘度が低い筆記具用インキ(一例として20℃の環境下における粘度が1mPa・s〜2000mPa・sの筆記具用インキ)では、前記密閉された空間の空気の気圧を前記大気圧である1000hPaを越え1500hPaの範囲となる加圧状態にすることで筆記具用インキを吐出し易くすることができるようになり、例えば粘度が高い液体(一例として20℃の環境下における粘度が3000mPa・s〜50000mPa・sの筆記具用インキ)では、前記密閉された空間の空気の気圧を1100hPa〜5000hPaの範囲となる加圧状態にすることで筆記用インキを吐出し易くすることができるようになる。しかしながら加圧する数値は特に限定されるものではなく、前述の通り液体の粘度などの特性や先端チップの構造により適宜設定すればよい。
また、熱変色材料を含有したマイクロカプセル顔料を着色剤として用いた熱変色性インキは、カプセル内に色材を含有することから、一般的に筆跡濃度を高くし難い傾向にあるが、本発明構造の液体吐出具を用いることで、加圧によるインキ流出量の増加で筆跡濃度を高くすることが可能となる。
尚、マイクロカプセル顔料を含有した熱変色性インキの筆跡濃度を高くする方法としては、着色剤となるマイクロカプセル顔料の量を多くする場合や、マイクロカプセル顔料の粒径を大きくする場合もあるが、前記マイクロカプセル顔料の量を多くした場合にはインキの粘度が高くなって流出し難くなり、前記マイクロカプセル顔料の粒径を大きくした場合には当該顔料がインキ流路を通り難くなり、インキの流出がし難くなる虞がある。しかしながらこの様なインキでも、本発明構造の液体吐出具は、インキを加圧することで強制的に当該インキを吐出させることができることから使用可能である。
また、液中に酸化チタンや光輝性顔料などの比重が比較的大きい固形分を含み、その固形分が液中で沈降しないように静置時の粘度を高くしたインキでも、本発明構造の液体吐出具は、前記マイクロカプセル顔料を含有した熱変色性インキと同様に、インキを加圧することで強制的に当該インキを吐出させることができる。
また、修正液や液体糊のように、乾燥した液体が先端チップに付着してしまうような場合でも、液体を加圧して吐出し易くすることができる。
この様に本発明の液体吐出具は様々な液体の吐出具として適した構造である。
尚、収容管の外周面と移動管の内周面との間に設ける隙間部の大きさは適宜設定すればよく、使用開始から使用終了までの間に収容管内の液体が減少する量が多い場合には、空間部を大きく形成して、全体的に加圧される空気の量を多くすることで加圧状態の変化が少ないものとした方がよい。
本実施形態においては、ペン先がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。説明を分かり易くするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
軸筒2の内部には、内部にインキ7が充填された収容管8aと、該収容管8aの前方に挿着されたコネクタ8bと、該コネクタ8bの前方に挿着されたボールペンチップである先端チップ8cとを有するボールペンレフィル8を、前記先口4の前端開口4aから当該先端チップ8cの前方を突出させて収容してある。
前方部材91の前端部は、軸体3の前方内方に形成した小径部3bに対して前後動可能で軸線方向に直交する方向には移動不能に係止される。また移動管9は、軸体3の窓部3aの反対側の内側面に摺動できるようにしてある。これにより、押動体6を押動した際には、押動体6が移動管9を効率よく押動することができ、押動体6の前端角部61aで前方部材91の前方斜面91aを前方へ押動し、押動体6の斜面62aで前方部材91の後方斜面91bを前方へ押動する。
図1、図2及び図4で示される状態のOリング11は、移動管9の後方部材92の前方内方に形成した大径部92aの内方に位置しており、Oリング11の外面と大径部92aの内面との間には空気流路Rが形成され、外気と収容管8aの内方の空気とが、前記空気流路Rを介して連通される。この状態で先端チップ8cを紙面に接触させて筆記を行った場合、インキ7を加圧することなく先端チップ8cから吐出させることができる。
図3に示すボールペン1は、押動体6の押動部6aを軸筒2の軸線方向と直交する方向へ押動することにより、図1に示す押動体6の前端角部61aで、前方部材91の前方斜面91aを前方へ押進すると共に、押動体6の斜面62aで、前方部材91の後方斜面91bを前方へ押進させ、移動管9をコイルスプリング10の弾発力に抗して前進した状態である。この時、Oリング11は、移動管9の後方部材92の後方内方に形成した小径部92bの内面に密着し、外気とボールペンレフィル8の収容管8aの内方との連通状態を遮断して気密状態を生じさせる。
この様に本実施形態のボールペン1は、使用者が必要に応じて押動体6を押動することで、インキ7を加圧して吐出させることができ、押動体6を押動しないことで、インキ7を加圧しないで吐出させることもできる。
本実施形態のボールペン1では、大気圧を1000hPaとした場合、インキ7を未使用な状態で押動体6を押動することで、空間V内の空気の気圧を1028hPaに加圧することができ、収容管8a内のインキ7が僅かな状態で押動体6を押動することで、空間V内の空気の気圧を1021hPaに加圧することができる。尚、本実施形態では、前方部材91の前方斜面91aに、微細な凹部(不図示)を複数斜面に沿って等間隔で設けており、押動体6を押動する際に、前端角部61aが前記凹部の抵抗を受けながら通過することで、摺動体6のストローク量が把握できるようになり、加圧力の調整ができるようになる。
尚、10m当たりのインキ消費量は、JIS規格S6054に準じて測定(20℃、筆記角度70度、筆記速度4m/min、自公転、筆記荷重100gf、下敷きステンレス板)測定したものであり、10m筆記後にインキ残量を測定して計算によって求めたものである。また、こうした試験を連続して5回(計50m)、計5本行い、その平均値によって求められるものである。
また、筆跡幅及び筆跡濃度は、前記筆記によって得られた筆跡をISO13660に準じて、筆跡幅(mm)は、反射率の60%以下の領域、筆跡濃度は、反射率75%以下の範囲内の平均値を測定したもので、本願発明における筆跡幅及び筆跡濃度は、パーソナル画質評価装置(QEA(Quality Engineering Associates)社製、PIAS−II)によって求めることができる。尚、本発明においては、15箇所を測定し、その平均値によって求めたものである。
インキ粘度は、ブルックフィールド社製DV−II粘度計(コーンローター CPE整42)を用いて20℃の環境下で、剪断速度3.84sec−1(10rpm)、剪断速度384sec−1(100rpm)の条件にてインキ粘度を測定する。
2…軸筒(吐出具本体)、2a…内鍔、2b…雄螺子、
3…軸体、3a…窓部、3b…小径部、
4…先口、4a…前端開口、4b…内底面、4c…雌螺子、
5…尾冠、5a…内鍔、
6…押動体、6a…押動部、6b…平地面、61…前方脚部、61a…前端角部、61b…突部、62…後方脚部、62a…斜面、
7…インキ、7a…インキ追従体、
8…ボールペンレフィル、8a…収容管、8b…コネクタ、8c…先端チップ、8d…ボール、8e…大径部、
9…移動管、9a…底部、91…前方部材、91a…前方斜面、91b…後方斜面、91c…段部、91d…平地面、92…後方部材、92a…大径部、92b…小径部、93…後端部材、93a…膨出部、
10…コイルスプリング、
11…Oリング、
12…摩擦体、
K…間隙部、R…空気流路、S…隙間部、V1…空間、V2…空間、V3…空間、V…空間。
Claims (2)
- 先端チップから吐出具本体の内部に収容した液体を吐出させる液体吐出具であって、
前記吐出具本体の内方に、前記液体を収容する収容管を配し、
該収容管の前方に、前記吐出具本体の前端より液体を吐出する前記先端チップを設け、
前記収容管の外側に、前記塗布具本体内で前後動する有底の移動管を該収容管の後端部と該移動管の底部との間に間隙部を設けて覆設し、
前記吐出具本体に、前記移動管を後方へ弾発する弾発体を配設し、
前記吐出具本体の側面に窓部が形成され、該窓部に前記移動管と当接する押動体を装着し、
前記押動体または前記移動管に、前記吐出具本体の内方における前記窓部側に前端を有し該窓部の反対側に後端を有するよう形成した斜面を設け、
前記収容管と前記移動管との間に、該移動管が前進する際には該収容管の外面と当該移動管の内面とを気密状態とし、当該移動管が後退する際には前記気密状態が開放される気密部材を設け、
前記押動体を前記吐出具本体の軸線方向と直交する方向へ押動することにより、前記斜面で前記移動管を押進させると共に、前記収容管の後端部と該移動管の底部との間の間隙部の空間を減少させて該間隙部内の空気を圧縮し、該収容管内の空気を介して前記液体が加圧される構造の液体吐出具。 - 前記収容管の外周面と前記移動管の内周面との間に、後方が前記間隙部と連通する隙間部を設け、該隙間部の前方に前記気密部材を設けた構造の請求項1に記載の液体吐出具。
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