JP2005246648A - 加圧式塗布具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加圧機構を安定に位置させることで、部品のばらつきによる加圧力のばらつきなどを極力抑制した加圧式塗布具を提供する。
【解決手段】 加圧機構であるシリンダ部材を、シリンダ部材と外装体との間に配置した反撥弾性部材であるコイルスプリングによって後方付勢することによって、前進操作解除時のシリンダ部材の後方移動をなし、シリンダ室内を外気と連通する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、外装体内に、塗布液タンクの先端に直接又は接続部材を介して塗布先を接続してなる塗布具本体と、塗布液タンクに対する相対的な前進移動によって塗布液タンク内の空気を圧縮して塗布液を押圧し塗布先よりの塗布液の吐出支援となす加圧機構とを少なくとも収容する加圧式塗布具に関するものである。
塗布液として、酸化チタンのような比重の重たい顔料を使用したインキを収容した塗布具では、顔料が沈降して目詰まりとなったり、好ましい筆記線が得られないことがあるので、筆記前に容器をよく振って、インキを攪拌させてから使用する修正液などが知られているが、このようなユーザーの攪拌作業が必要ないインキとして、インキ自体の流動性を低くし、高粘度として顔料の沈降を極力抑制したものが知られている。しかし、このような高粘度のインキは、ペン先のような微細なインキ通路を通過し難いものとなり、筆記や特に誤字上に面塗りするような修正液など、必要な吐出量が得られ難い場合があり、インキ吐出を圧力によって支援するものが知られている。またこれは、比重の重たい配合物を使用しないインキであっても、盛り上がったような筆跡を得たい場合や、高粘度の糊液のようなものを塗布液とする場合など、高粘度の塗布液を使用するものにも適用できる。
インキ吐出支援の加圧構造を備えた筆記具として特開2004−009645公報(特許文献1)には、筆記具の後端の操作部を操作することによるペン先の出没機構と、ペン先を被筆記面に押し付けることによってペン先と接続されたインキタンクを後退させてインキタンク内を加圧する手段とを備えた加圧式筆記具が開示されている。
また、特開2000−335173公報(特許文献2)にはリフィル後端部に加圧ポンピング機構を固定してリフィルユニットとし、ノック操作によって加圧ポンピング機構を作動させてリフィル内部を加圧してリフィル内のインキ吐出支援をなす加圧式筆記具が開示されている。
特開2004−009645公報 特開2000−335173公報
上述の従来技術では、いずれも、加圧部材の前進操作によって、外気と連通する空気室の容積を、外気との連通を閉塞した状態で圧縮して塗布液の吐出支援となし、加圧部材の前進操作の解除に伴って、空気室を再び大気開放すると共に、塗布液タンクとの間に介在させたコイルスプリングの反撥弾性力によって加圧部材を後退させて初期状態に回復させるものである。
しかし、加圧部材を塗布液タンクに抗して後退させるものでは、外装体に対する加圧部材の位置を厳密に管理しなくては、外装体を把持しての加圧操作が安定せず、特に大量生産における製品ごとのばらつきが懸念されるものであった。上述の特許文献に記載されているような出没式筆記具とした場合には、塗布液タンクを有するリフィルが、このリフィルと外装体との間に挟んだコイルスプリングと、リフィルと加圧機構との間に挟んだコイルスプリングとで吊られた状態となり、それぞれのコイルスプリングの反撥力のバランスを厳密に調節する必要があり、特に、リフィルの後端をコイルスプルングと衝接しているものでは、筆記時にペン先が後退する可能性が拭えないものであった。
即ち、本発明は、外装体内に、塗布液タンクの先端に直接又は接続部材を介して塗布先を接続してなる塗布具本体と、塗布液タンクに対する相対的な前進移動によって塗布液タンク内の空気を圧縮して塗布液を押圧し塗布先よりの塗布液の吐出支援となす加圧機構とを少なくとも収容する加圧式塗布具において、前記加圧機構が、塗布液タンクの外壁に対して周状当接しながら前後摺動可能なシリンダ部材又は塗布液タンクの内壁に対して周状当接しながら前後摺動可能なピストン部材であると共に、このシリンダ部材又はピストン部材を反撥コイルスプリングにより外装体に対して後方付勢して、塗布液タンク内の空気を圧縮するシリンダ部材又はピストン部材の前進動作の解除時にシリンダ部材又はピストン部材を後方移動させる加圧式塗布具を要旨とする。
本発明の加圧式筆記具は、加圧部材を外装体に対して抗するので外装体に対する位置が安定するものであり、大量生産においても安定した加圧力のものを供給することができるし、出没式の塗布具とした場合でも、塗布具本体やリフィルの位置も安定したものとなり、安定した加圧力が得られるほかにペン先の突出長さや、塗布時のペン先の後退の可能性を完全に排除することが可能なもの足りえる。
外装体は、塗布具を使用する際に手に把持する部分となるものであると共に、加圧操作やペン先の出没操作の拠所となるものであるので、基本的には変形を予定しない容器であることが好ましく、合成樹脂の射出成型品や金属製などが好適に使用できる。特に、内部構造や塗布液を視認可能としたい場合には、透明性を備えた合成樹脂にて作られることになる。また、前軸と後軸といった複数の構成部品からなるものとしてもよいし、把持をする部分にエラストマーを配置してソフトな把持感としたものでもよい。出没式の筆記具とする場合には、塗布具本体の係止部が、直接もしくは間接的に設けられることになるが、操作によって摺動する回転子の回転により前後位置の係止を繰り返し行う、所謂回転カム構造のものでは、外装体の内壁に直接回転子の係止摺動溝を形成したものであってもよい。
塗布具本体は、塗布液を収容する塗布液タンクの先端に、塗布先部材を接続したものであるが、塗布先としては、筆記部材としてのボールを回転自在に抱持したボールホルダーとから少なくともなる所謂ボールペンチップ構造を有するものが好適に使用できる。即ち、ボールペンチップは、ボールとボールホルダーとの接触によって、塗布液の吐出と非吐出を管理可能なものであり、特にボールホルダーの内部にボールを前方付勢するコイルスプリングを内挿したものとすることで、非使用時にはボールをボールホルダーの開口部内縁に押し当て、塗布液の吐出・漏れだしを制限したものとすることができる。塗布液タンクは、ポリプロピレンなどの合成樹脂の押し出し成型品を適宜長さに切断したものを好適に使用することができるが、金属製のパイプなどとしてもよい。塗布液タンク内にはインキや修正液、糊液などの塗布液と共に、加圧力を効率的に塗布液に付与しえるよう、塗布液の後端界面に、ゲル状物質や固体などのスライド栓を配置することができる。
加圧機構は、塗布液タンク内の空間にさらに空気を導入させて加圧状態を形成するものであるが、加圧機構の前進操作時には塗布液タンク内の空間を密閉しながら圧力を付与し、加圧機構が前進位置を維持している状態では塗布液が消費されない限り圧力を付与した状態維持し、前進位置係止を解除して、外装体との間に介在したコイルスプリングによって後方付勢されて前進操作する前の状態に戻る際に、塗布液タンクに対して大気と連通する通気路を形成するものとする。加圧機構の前進加圧動作は、前述の出没式の筆記具とした場合の、塗布先突出操作と連動したものとすることもできるし、塗布具本体を外装体と固定して外装体の外に加圧機構の操作部が露出したものとすることもできる。
図面に基づき一例について説明する。
図1〜図3の一例は、操作によって摺動する回転子の回転により前後位置の係止を繰り返し行う、所謂回転カム機構を利用した出没式筆記具とした場合の一例である。外装体は、基本的に先軸1、中軸2、後軸3との三部材から構成されており、ペン先突出孔1aを有する先軸1は、ペン先4を有するリフィル5のペン先ホルダー6との間に第1のコイルスプリング7を介在させリフィル5を後方付勢している。中軸2は先軸1内に挿入される前側小径部2aを有すると共に、外部に把持部となるエラストマーからなる弾性帯2bを装着している。この前側小径部2aは、先端をペン先ホルダー6と衝接させており、リフィル5の後退規制をなしている。この中軸2の後端も後軸3に挿入される後側小径部2cとなっており、この後端部と加圧機構との間に第2のコイルスプリング8を介在させて、加圧機構を後方付勢している。リフィル5は、先端にボールペンチップであるペン先4とペン先ホルダー6とインキタンク9とを備え、インキタンク9の内部には高粘度の顔料インキ10とインキ界面に接触して層状に配置されたゲル状のスライド栓11が収容されている。また、インキタンク9の後部は後軸3内に位置している。これらの先軸1、中軸2、後軸3は、それぞれまたは全てを一体に形成しても良いし、また、リフィル5の視認性を向上させてインキタンク9内のインキ10の残量が視認できるように透明性の材質で形成することもできる。
要部拡大図である図2に示すように、インキタンク9の後部には、加圧機構であるシリンダ部材12が覆い被さっている。シリンダ部材12は、環状のバネ受け12bとシリンダ本体12cとこれらに挟まれて固定されているパッキン12dとからなっており、パッキン12dはインキタンク外壁に対して気密に周状当接して摺接可能な内径としてある。シリンダ本体12cは、外壁に係止突起12eを有しており、後軸3の後端に固定したクリップ14aを有するカム筒14の内壁に形成したカム溝14bに摺動可能に嵌っている状態となっている。また、シリンダ本体12cの後端は、後軸3の後端から突出している操作部材13の先端と互いの傾斜状凹凸部12f、13aが噛み合うように衝接しており、シリンダ部材12、操作部材13、カム筒14が、それぞれ回転カム機構の回転子、摺動子、カム筒に該当するものとなっている。
図1の要部拡大図である図2と、動作説明図である図3にて操作の説明をする。
ペン先4が先軸1内に没入している状態である図1、図2に示した状態では、パッキン12dはインキタンク9と非接触の状態となっており、シリンダ室12aは矢印にて示す通路にて外気との空気流通が可能な状態となっている。この状態では回転子でもあるシリンダ部材12の係止突起12eはカム筒14の長溝に位置している。操作部材13を操作して前進させると、これに連動してシリンダ部材12も前進し、パッキン12dがインキタンク9と周状に当接し、シリンダ室12aを閉塞する。更に操作部材13を前進させるとパッキン12dがインキタンク9を把持した状態となってリフィル5も前進する。パッキン12dの把持力が第1のコイルスプリング7の反撥力に負けるか、第1のコイルスプリング7が縮みきった状態で、先軸1のペン先吐突出孔1aからペン先4を突出してリフィル5の前進は止まるが、パッキン12dはインキタンク9の外壁に周状に摺接しながら前進し、相対的にシリンダ部材12がインキタンク9に近接していくことになるので、シリンダ室12aの容積が縮小され、シリンダ室12a内の空気がインキタンク9内に押し込まれてスライド栓11を前方に付勢する圧力となる。
尚、リフィル5の前進規制は、先軸1の内周面にペン先ホルダー6かインキタンク9の一部が当接することにより行われるものであってもよい。
その後、シリンダ部材12の係止突起12eが長溝の先端に来た時点で第2のコイルスプリング8による反撥力で案内されて隣の短溝に移動し、シリンダ部材12前進位置で係止されるが、このときインキタンク9の後端はシリンダ室12aの底部に当接した状態となって、リフィル5の後退を規制した状態となっている。
この状態で、リフィル5のペン先4が先軸1のペン先突出孔1aから突出した状態を維持しつつ、インキタンク9内のインキ10は加圧された状態となっており、ペン先4を被筆記面につけると圧力にてインキが吐出することとなる。
操作部材13を再度前進させると、シリンダ部材12の係止突起12eが、カム筒14の短溝の更に隣の長溝に案内され、第2のコイルスプリングの反撥力にてシリンダ部材12が後方に移動され、リフィル5は中軸2の先端と当接するまで後方移動してペン先4を没入され、シリンダ部材12は更に移動してシリンダ部材12とインキタンク9との接続も解除され、シリンダ室12aが再度大気と連通される。
図4、図5に他の一例を示す。上述の図2、図3に相当する図として示してある。
上述の一例と異なる点は、シリンダ部材12’を回転子を兼ねた部材とせずに、インキタンク9と摺動する部材とし、回転子15を別に備えてシリンダ部材12’の前後位置を決める部材としたものである。
本例のシリンダ部材12’はパッキンがインキタンク9から離れることによってシリンダ室12a’内を大気連通するものではなく、シリンダ部材12’の前後移動範囲内では常に第1のパッキン12d’はインキタンク9の外壁と気密に摺接している。このシリンダ部材12’の後端部分には、回転子受けの凹部16とこれに連通する通気孔17が形成されている。そして、シリンダ部材12’と回転子15との間には、シリンダ部材12’と回転子15とを離隔する方向に反撥する第3のコイルスプリング18が介在されている。また、回転子15は前端にシリンダ部材12’と衝接する凸部15aを有していると共に、その周囲にシリンダ部材12’と気密当接する第2のパッキン19が配置されている。
操作部材13の前進操作によって、回転子15がカム溝に沿って前進し、凸部15a及び第2のパッキン19がシリンダ部材12’に当接することによってシリンダ部材を前進させる。第2のパッキン19がシリンダ部材12’と当接することによってシリンダ室12a’は密閉され、更にシリンダ室12’が前進することによって、第1のパッキン12d’がインキタンク9の外壁を摺接しながら前進し、シリンダ室12a’の容積を縮小してインキタンク9の内部に圧力を付与する。ペン先が突出した状態で、回転子15の突起が隣の短いカム溝に移動してペン先の突出係止がなされ、加圧されたインキが筆記に使用されえる状態を形成する。
再び操作部材13を操作して回転子15の突起が長いカム溝に移動すると、第3のコイルスプリング18によってリフィル5に先んじて回転子15が後退し、シリンダ部材12’の通気孔17が開放され、シリンダ室12a’が再び大気に連通される。次いでシリンダ部材12’が第2のコイルスプリング8によって後方に移動され、リフィル5も後退してペン先4の没入状態に戻ることになる。
一例を示す縦断面図。 図1のI部拡大縦断面図。 図2の動作説明する拡大断面図。 他の一例を示す図2に相当する図。 図4の動作説明する拡大断面図。
符号の説明
1 先軸
1a ペン先突出孔
2 中軸
2a 前側小径部
2b 弾性帯
2c 後側小径部
3 後軸
4 ペン先
5 リフィル
6 ペン先ホルダー
7 第1のコイルスプリング
8 第2のコイルスプリング
9 インキタンク
10 インキ
11 スライド栓
12 シリンダ部材
12a シリンダ室
12b 環状のバネ受け
12c シリンダ本体
12d パッキン
12e 係止突起
12f 傾斜状凹凸部
13 操作部材
13a 傾斜状凹凸部
14 カム筒
14a クリップ
14b カム溝
12’ シリンダ部材
12a’ シリンダ室
12d’ 第1のパッキン
15a 凸部
15 回転子
16 凹部
17 通気孔
18 第3のコイルスプリング
19 第2のパッキン

Claims (4)

  1. 外装体内に、塗布液タンクの先端に直接又は接続部材を介して塗布先を接続してなる塗布具本体と、塗布液タンクに対する相対的な前進移動によって塗布液タンク内の空気を圧縮して塗布液を押圧し塗布先よりの塗布液の吐出支援となす加圧機構とを少なくとも収容する加圧式塗布具において、前記加圧機構が、塗布液タンクの外壁に対して周状当接しながら前後摺動可能なシリンダ部材又は塗布液タンクの内壁に対して周状当接しながら前後摺動可能なピストン部材であると共に、このシリンダ部材又はピストン部材を反撥コイルスプリングにより外装体に対して後方付勢して、塗布液タンク内の空気を圧縮するシリンダ部材又はピストン部材の前進動作の解除時にシリンダ部材又はピストン部材を後方移動させる加圧式塗布具。
  2. 前記塗布具本体を連動可能な摺動部材の前進により外装体又は外装体に固定された部材の係止部に、摺動部材、塗布具本体又はこれらに接続された部材のいずれかが係止することにより、塗布具本体の塗布先が外装体から突出した状態である前進位置係止状態を形成する請求項1に記載の加圧式塗布具。
  3. 前記摺動部材の前進により外装体又は外装体に固定された部材の係止部に係止される部材が前記シリンダ部材又はピストン部材か、これらのいずれかに固定された部材である請求項2に記載の加圧式塗布具。
  4. 前記塗布具本体を連動可能な摺動部材の前進により外装体又は外装体に固定された部材の係止部に、摺動部材、塗布具本体又はこれらに接続された部材のいずれかが係止した状態で、前記シリンダ部材又はピストン部材が、塗布具本体と直接又は間接的に非弾性的に衝接して塗布具本体の後退規制をなす請求項2又は請求項3に記載の加圧式塗布具。
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