JP2019205215A - アクチュエータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサの残留電荷による、起動時における故障誤検知を防止できるアクチュエータ駆動装置を提供する。【解決手段】 電磁アクチュエータ2に接続されるアクチュエータ駆動回路(18、11)と、電源4から供給される電源電圧VIGSOLを昇圧し、昇圧された電圧VBOOSTをアクチュエータ駆動回路18に出力すると共に、電源電圧が入力される入力ラインL1にコンデンサCHが接続された昇圧回路12と、アクチュエータ駆動回路(18、11)及び昇圧回路12の動作を制御する制御装置(CPU)20と、を有し、制御装置20は、昇圧回路12の入力ラインL1への電源電圧の供給が開始される前に、昇圧回路12に対して昇圧許可信号を出力し、コンデンサCHの残留電荷を抜く処理を実行させる。【選択図】図2

Description

本発明は、アクチュエータ駆動装置等に関する。
例えば自動車等の車両に搭載されたエンジン(特に、可変シリンダ機構を備えたエンジン)の振動を抑制する技術として、クランクパルス信号及びTDCパルス信号を基にエンジン振動を推定し、そのエンジン振動に対して同位相且つ同周期でエンジンマウントの下部に設けられたソレノイドアクチュエータを開放、吸引動作させることによりエンジン振動を抑制するアクティブコントロールエンジンマウント(ACM)が知られている。
例えば、特許文献1には、前回の運転サイクル時に、昇圧回路の出力コンデンサ(昇圧回路の出力ラインに接続される出力コンデンサ)が、電磁アクチュエータのソレノイドコイルの逆起電圧に起因する回生電流によって充電されて電荷が蓄積された状態となり、その状態のまま今回の運転サイクルを開始した場合であっても、アクチュエータ駆動回路の制御を開始する前に昇圧回路の出力電圧を測定し、電圧測定値が上限値以上であったときには昇圧コンデンサの放電処理を実行し、昇圧コンデンサの残留電荷を抜くことによって、昇圧回路の後段の回路の故障(過電圧による素子の破損等)を未然に防止する技術が開示されている。
特開2013−102646号公報
上記の特許文献1では、前回の運転サイクルでの、電磁アクチュエータを構成するソレノイドコイルの回生電流による出力コンデンサに蓄積される残留電荷による問題点に着目しているが、本発明者の検討によると、昇圧コンデンサの入力ライン(言い換えれば、入力線、又は入力端、又は電源ライン、又は電源入力ライン等)に設けられるコンデンサ(例えば、昇圧回路の入力ラインに接続される電圧の揺れを抑制する安定化コンデンサ等)においても、前回の運転サイクル時に電荷が蓄積され、その残留電荷によって、新たな問題が生じ得ることが明らかとなった。
言い換えれば、安定化コンデンサの残留電荷によって、昇圧回路の入力ライン(例えば外部電源からの電源が供給される電源ライン(電源入力ライン))の電圧が、例えば電源電圧が供給されていないにもかかわらず、高い電圧となり、今回の運転サイクルにおける起動時の故障診断処理において、故障が発生したと誤検知(誤検出)される可能性があることが、本発明者によって明らかとされた。
残留電荷に起因する高電圧の状態は、今回の運転サイクルを開始してから、ある程度の時間が経過すると電荷が抜けて解消されるものであるが、一旦、故障が誤検知(誤検出)されると、例えば、昇圧回路の動作が禁止され、回路動作が中断される、といった事態が生じ得る。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の1つの目的は、昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサの蓄積電荷(残留電荷)による、例えば起動時における故障誤検知(誤検出)を防止できるアクチュエータ駆動装置を提供することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
本発明のアクチュエータ駆動装置の第1の態様では、電磁アクチュエータに接続されるアクチュエータ駆動回路と、電源から供給される電源電圧を昇圧し、昇圧された電圧を前記アクチュエータ駆動回路に出力すると共に、前記電源電圧が入力される入力ラインにコンデンサが接続された昇圧回路と、前記アクチュエータ駆動回路、及び前記昇圧回路の動作を制御する制御装置と、を有し、前記昇圧回路は、前記入力ラインに、回路動作に必要な電圧が発生している状態で、前記制御装置からの昇圧許可信号を受けると昇圧動作を開始し、前記制御装置は、前記昇圧回路の前記入力ラインへの前記電源電圧の供給が開始される前に、前記昇圧回路に対して前記昇圧許可信号を出力する。
また、第1の態様に従属する第2の態様では、前記昇圧回路の出力ラインに出力コンデンサが接続されており、前記出力コンデンサの容量は、前記入力ラインに接続される前記コンデンサの容量よりも大きくしてもよい。
また、第2の態様に従属する第3の態様では、前記電磁アクチュエータにて発生する逆起電圧により流れる電流を、回生電流として前記昇圧回路の前記出力ラインへと戻す回生経路を有し、前記制御装置は、前記昇圧回路に対する前記昇圧許可信号の出力の後、かつ前記アクチュエータ駆動回路の制御を開始する前に、前記昇圧回路による昇圧動作を禁止した状態で前記昇圧回路の出力電圧を測定し、その電圧測定値が上限値より低い場合、前記昇圧回路に対して前記昇圧許可信号を出力し、前記電圧測定値が上限値以上の場合、前記昇圧回路による昇圧動作を禁止した状態で前記アクチュエータ駆動回路を制御して、前記電磁アクチュエータに駆動電流を流すことで、前記昇圧回路の前記出力コンデンサに蓄積されている電荷を放電させてもよい。
また、第2又は第3の態様に従属する第4の態様では、前記昇圧回路は、前記入力ラインに一端が接続されるチョークコイルと、前記チョークコイルを流れる電流のチョッピング用のスイッチング素子と、前記昇圧回路の出力ラインに接続される前記出力コンデンサと、を含む昇圧本体部と、前記スイッチング素子のオン/オフを制御する昇圧制御部と、前記昇圧回路の前記入力ラインに接続された前記コンデンサを含み、前記入力ラインの電圧に基づいて前記昇圧制御部用の電源電圧を生成する昇圧制御用電源部と、を有する昇圧チョッパ回路であってもよい。
また、第1乃至第4の何れか1つの態様に従属する第5の態様では、前記制御装置は、前記昇圧回路の前記入力ラインへの前記電源電圧の供給が開始される前に、前記入力ラインに接続される前記コンデンサにおける蓄積電荷の有無を判定し、蓄積電荷有りと判定される場合に、前記昇圧回路に対して前記昇圧許可信号を出力するようにしてもよい。
本発明のアクチュエータ駆動装置の第1の態様によれば、アクチュエータ駆動装置の起動時において、昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサ(例えば電圧安定化用の電解コンデンサ)に電荷が蓄積されている場合(例えば、先の運転サイクルでコンデンサに電荷が蓄積され、その状態のまま、アクチュエータ駆動装置の電源がオフされて制御装置(例えばCPUやMPU等)がリセットされ、その後、電源が再投入されて起動状態となり、そのとき、そのコンデンサに電荷が残留している場合等)であっても、制御装置は、例えば、起動時のシーケンスにおいて、昇圧許可信号を発出するコマンドをセットするだけで、特別な放電回路を用いることなく、コンデンサの蓄積電荷(残留電荷)を抜くことができる。言い換えれば、昇圧回路の入力ラインに電源電圧が供給されていない状態で、所定期間のみ、昇圧許可信号を発出することで、仮に、その入力ラインに、昇圧回路が動作可能な電圧が発生していた場合は、昇圧回路を短期間においては動作させることが可能であり、その動作によって、そのコンデンサの蓄積電荷(残留電荷)が消費され、あるいは、一部の電荷が回路の後段へと移動して、そのコンデンサの電荷が正常値(例えばゼロ、又はその近傍値)に戻る。従って、起動時の故障診断処理時において、昇圧回路の入力ラインに電源電圧が実際には供給されていない(言い換えれば、正常な状態である)にもかかわらず、コンデンサの残留電荷に起因して、電源関連の異常の誤判定(誤検出)がなされることが確実に防止される。
また、第1の態様に従属する第2の態様によれば、前記昇圧回路の出力ラインに接続される出力コンデンサの容量は、入力ラインに接続されるコンデンサの容量よりも大きい(好ましくは十分に大きい)ことから、仮に、入力ラインに接続されるコンデンサの蓄積電荷(残留電荷)の一部が、後段の出力コンデンサに移ったとしても、その出力コンデンサに生じる電圧変動は、例えば無視できるほど小さく、よって回路の安全上の問題は生じない。
また、第2の態様に従属する第3の態様によれば、アクチュエータ駆動装置において、電磁アクチュエータ(例えば、ソレノイドコイル)の逆起電圧に起因する電流を、回生電流として昇圧回路(の出力ライン)へと戻す回生経路が設けられている場合に、前回の運転サイクルでの回生電流によって、昇圧回路の出力ラインに接続される出力コンデンサが充電されて残留電荷が発生している場合があり、この状態で、上記の入力ラインに接続されるコンデンサの電荷抜きが行われ、残留電荷の一部が、出力コンデンサに移されるような場合が仮に生じ、その結果として、万一、出力コンデンサの電圧が、後段の回路の故障原因となり得るレベルに到達するような事態が生じた場合であっても、アクチュエータ駆動回路の制御を開始する前に、電磁アクチュエータを例外的に駆動させて駆動電流を流し、昇圧回路の出力コンデンサの残留電荷を放電させて消滅させる(最終的にアースへと流す)放電処理が実行されることから、回路上の安全は確実に担保される。言い換えれば、アクチュエータ駆動装置において、上記の、電源供給前の昇圧回路に例外的に昇圧を許可することは、安全が確実に保証されているシステム上で安全に行われるものであり、特に問題は生じない。
また、第2又は第3の態様に従属する第4の態様によれば、昇圧チョッパ(本来、部品点数が少なくシンプルな構成の昇圧回路である)に、特別な放電回路(例えば、コンデンサの電荷を引き抜くためのプルダウン回路等)を設けることなく、入力ラインのコンデンサの電荷の引き抜きが可能となる。
また、第1乃至第4の何れか1つの態様に従属する第5の態様によれば、上記の、電源供給前の昇圧回路に例外的に昇圧を許可する処理は、入力ラインに接続されるコンデンサにおいて、蓄積電荷が有る、と判定された場合のみに行われることから、蓄積電荷が無いと判断される場合に、シーケンス上、無駄な昇圧許可信号の発出コマンドが生成されることがなく、例えばソフトウエア上の負担が軽減される。
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
図1は、アクチュエータ駆動装置の回路の全体構成例を示す回路図である。 図2は、図1のアクチュエータ駆動装置の回路の要部の、より詳細な構成を示す回路である。 図3(A)は、図1のアクチュエータ駆動装置の起動シーケンス(制御手順)を示すフローチャート、図3(B)は、昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサの電荷抜き処理の手順例を示すフローチャート、図3(C)は、起動時昇圧故障診断処理(昇圧回路の出力ラインに接続される出力コンデンサにおける残留電荷の放電処理を含む)の手順例を示すフローチャートである。 図1のアクチュエータ駆動装置における、制御装置(CPU)の動作手順、及び、各部の時間軸上での電圧レベルの変化を示す図である。
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、アクチュエータ駆動装置の回路の全体構成例を示す回路図である。本実施形態に係るアクチュエータ駆動装置1は、不図示の、例えば自動車等の車両(広義には、乗り物)用のエンジン制御装置から入力されるクランクパルス信号PCLK及びTDCパルス信号PTDCを基にエンジン振動を推定し、そのエンジン振動が抑制されるようにACMのソレノイドアクチュエータ(電磁アクチュエータ)を駆動する(詳細にはソレノイドコイル2に流れる駆動電流を制御する)ものである。
このアクチュエータ駆動装置1は、図1に示すように、ハーフブリッジ回路11、昇圧回路12、電源回路13、ドライバ電源回路14、抵抗分圧回路15、第1のAND回路16、第2のAND回路17、ハーフブリッジドライバ18、リレー出力回路19及びCPU(Central Processing Unit:制御装置)20、ソレノイド接続端子21、22、IG電源端子23、ソレノイド電源端子24、リレー出力端子25、クランクパルス入力端子26及びTDCパルス入力端子27を備えている。
ハーフブリッジドライバ18(及びハーフブリッジ回路11)は、アクチュエータ駆動回路を構成する。
なお、ソレノイド接続端子21、22は、ソレノイドアクチュエータに組み込まれたソレノイドコイル2の両端に接続されている。IG電源端子23は、イグニションスイッチ3を介してバッテリ4の正極端子に接続されている。ソレノイド電源端子24は、ソレノイド電源リレー5のスイッチ部を介してバッテリ4の正極端子に接続されている。リレー出力端子25は、ソレノイド電源リレー5のコイル部を介してIG電源端子23に接続されている。また、クランクパルス入力端子26及びTDCパルス入力端子27は、前述のように、エンジン制御装置からクランクパルス信号PCLK及びTDCパルス信号PTDCを入力するための端子である。
ハーフブリッジ回路11は、CPU20による制御の下、昇圧回路12からソレノイド駆動電圧VBOOSTの供給を受けてソレノイドコイル2に駆動電流を出力するアクチュエータ駆動回路であり、例えばn型MOS−FETである第1のスイッチング素子11a、第2のスイッチング素子11b及び第3のスイッチング素子11cと、ソレノイドコイル2にて発生した逆起電流を昇圧回路12に回生させるための回生ダイオード11dとから構成されている。
第1のスイッチング素子11aは、ドレイン端子が昇圧回路12の出力端子(出力コンデンサ12cの高圧側端子)に接続され、ソース端子がソレノイド接続端子21を介してソレノイドコイル2の一端に接続され、ゲート端子がハーフブリッジドライバ18に接続されている。この第1のスイッチング素子11aは、ハーフブリッジドライバ18からゲート端子に入力される第1の制御信号(パルス幅変調された信号)SOL1に応じてオン/オフ状態が切替わる。
第2のスイッチング素子11bは、ドレイン端子がソレノイド接続端子22を介してソレノイドコイル2の他端に接続され、ソース端子がアースに接続され、ゲート端子がハーフブリッジドライバ18に接続されている。この第2のスイッチング素子11bは、ハーフブリッジドライバ18からゲート端子に入力される第2の制御信号SOL2に応じてオン/オフ状態が切替わる。
第3のスイッチング素子11cは、第1のスイッチング素子11aに対してオンオフ状態が反転するように制御されるスイッチング素子であり、ドレイン端子がソレノイド接続端子21を介してソレノイドコイル2の一端に接続され、ソース端子がアースに接続され、ゲート端子がハーフブリッジドライバ18に接続されている。この第3のスイッチング素子11cは、ハーフブリッジドライバ18からゲート端子に入力される第3の制御信号SOL3(第1の制御信号SOL1に対してレベルが反転する信号)に応じてオン/オフ状態が切替わる。
回生ダイオード11dは、アノード端子がソレノイド接続端子22を介してソレノイドコイル2の他端に接続され、カソード端子が昇圧回路12の出力端子に接続されている。この回生ダイオード11dは、第1及び第2のスイッチング素子11a、11bの両方がオフの時にソレノイドコイル2に逆起電圧が誘起されると、順バイアス時にオンして回生回路として機能し、ソレノイドコイル2の他端から出力される逆起電流(逆起電圧による電流)を、回生経路(回生ダイオード11dが介在する配線経路)を介して、昇圧回路12(の入力ラインL2)に回生させる(言い換えれば、回生電流を、昇圧回路12の、コンデンサ12cが接続されている入力ラインL2へと戻す)。
昇圧回路12は、チョッパ方式のブーストコンバータ(昇圧チョッパ回路)であり、ソレノイド電源端子24を介して入力される外部電源電圧、つまりソレノイド電源リレー5がオンの時にバッテリ4から入力される電圧(例えば12V)をソレノイド駆動電圧VBOOST(例えば30V)まで昇圧して上記のハーフブリッジ回路11に出力する回路であり、昇圧用コイル(チョークコイル)12a、ダイオード(逆流阻止ダイオード)12b、出力コンデンサ12c、チョッピング素子として機能するスイッチング素子12d、抵抗素子(フィードバック用分圧抵抗素子)12e、12f、昇圧制御用電源回路(昇圧制御用電源部と称することもある)12g及び昇圧制御回路(昇圧制御部と称することもある)12hから構成されている。
昇圧制御用電源回路(昇圧制御用電源部)12gには、昇圧回路12の入力ライン(入力線、電源供給ライン、電源入力ライン等と称されることもある)L1に接続される、例えば、外部電源であるバッテリ4から供給される外部電源電圧を安定化させる機能をもつ安定化コンデンサ(電解コンデンサ等)が含まれる(この点については、後述する)。
なお、以下の説明では、ソレノイド電源端子24を介して入力されるバッテリ4の出力電圧をソレノイド電源電圧VIGSOLと称する。
昇圧用コイル(チョークコイル)12aは、一端がソレノイド電源端子24に接続され、他端がダイオード12bのアノード端子に接続されている。ダイオード12bは、アノード端子が昇圧用コイル12aの他端に接続され、カソード端子が出力コンデンサ12cの高圧側端子(昇圧回路12の出力端子)に接続されている。出力コンデンサ12cは、高圧側端子がハーフブリッジ回路11(第1のスイッチング素子11aのドレイン端子及び回生ダイオード11dのカソード端子)に接続され、低圧側端子がアースに接続されている。
チョッピング素子として機能するスイッチング素子12dは、例えばn型MOS−FETであり、ドレイン端子がダイオード12bのアノード端子に接続され、ソース端子がアースに接続され、ゲート端子が昇圧制御回路12hに接続されている。このスイッチング素子12dは、昇圧制御回路12hからゲート端子に入力される昇圧制御信号cntに応じてオンオフ状態が切替わる。
抵抗素子12eは、一端が出力コンデンサ12cの高圧側端子に接続され、他端が抵抗素子12fの一端に接続されている。抵抗素子12fは、一端が昇圧制御回路12h及びCPU20に接続され、他端がアースに接続されている。これら抵抗素子12e、12fは、ソレノイド駆動電圧VBOOSTを5V以下に分圧して昇圧制御回路12h及びCPU20に出力する抵抗分圧回路を構成している。
なお、昇圧用コイル(チョークコイル)12a、チョッピング素子としてのスイッチング素子12d、逆流阻止機能を有するダイオード12b、平滑及び電圧保持機能を有する出力コンデンサ12cで構成される部分を、便宜上、昇圧チョッパ回路の昇圧本体部と称する場合がある。
昇圧制御用電源回路(昇圧制御用電源部)12gは、入力端子がソレノイド電源端子24に接続され、出力端子が昇圧制御回路(昇圧制御部)12h、ドライバ電源回路14及びCPU20に接続されており、ソレノイド電源端子24から入力されるソレノイド電源電圧VIGSOLを降圧して昇圧制御用電源電圧VCC−BO(例えば5V)を生成し、その昇圧制御用電源電圧VCC−BOを昇圧制御回路12h、ドライバ電源回路14及びCPU20に出力する。
昇圧制御回路12hは、昇圧制御用電源回路(昇圧制御用電源部)12gから供給される昇圧制御用電源電圧VCC−BOによって動作する制御ICであり、抵抗素子12e、12fによって構成された抵抗分圧回路の出力電圧(ソレノイド駆動電圧VBOOSTの抵抗分圧値)に基づいてソレノイド駆動電圧VBOOSTの現在値を求め、その現在値が目標値(例えば30V)と一致するようにスイッチング素子12dをPWM制御する(昇圧制御信号cntのデューティ比を制御する)。
また、この昇圧制御回路(昇圧制御部)12hは、CPU20から入力される昇圧イネーブル信号VCHG−ENがON(例えばハイレベル)の場合に、スイッチング素子12dのPWM制御を実施する一方、昇圧イネーブル信号VCHG−ENがOFF(例えばローレベル)の場合に、スイッチング素子12dのPWM制御を停止する(昇圧制御信号cntの出力を停止する)機能を有している。
電源回路13は、入力端子がIG電源端子23に接続され、出力端子がCPU20に接続されており、IG電源端子23を介して入力される外部電源電圧、つまりイグニションスイッチ3がオンの時にバッテリ4から入力される電圧(以下、この電圧をイグニション電源電圧VIGと呼ぶ)を降圧して低電圧回路用電源電圧VCC(例えば5V)を生成し、その低電圧回路用電源電圧VCCをCPU20やその他の低電圧回路(第1のAND回路16、第2のAND回路17も含む)に出力する。
ドライバ電源回路14は、一方の入力端子が昇圧回路12の出力端子に接続され、他方の入力端子が昇圧制御用電源回路12gの出力端子に接続され、出力端子がハーフブリッジドライバ18に接続されたチャージポンプ回路であり、昇圧回路12から入力されるソレノイド駆動電圧VBOOSTと、昇圧制御用電源回路12gから入力される昇圧制御用電源電圧VCC−BOとを利用してドライバ電源電圧VCHP(例えばVBOOST+Vcc−BO*2=40V)を生成し、そのドライバ電源電圧VCHPをハーフブリッジドライバ18に出力する。
抵抗分圧回路15は、ドライバ電源回路14から出力されるドライバ電源電圧VCHPを5V以下に分圧してCPU20に出力する回路であり、ドライバ電源回路14の出力端子とアースとの間に直列接続された2つの抵抗素子15a、15bから構成されている。
第1のAND回路16は、CPU20から入力されるソレノイド出力イネーブル信号SOL−ENと第1のタイミング信号T1との論理積を演算し、その演算結果に応じた信号をハーフブリッジドライバ18に出力する。第2のAND回路17は、CPU20から入力されるソレノイド出力イネーブル信号SOL−ENと第2のタイミング信号T2との論理積を演算し、その演算結果に応じた信号をハーフブリッジドライバ18に出力する。
ハーフブリッジドライバ18は、ソレノイド電源電圧VIGSOLとドライバ電源回路14から供給されるドライバ電源電圧VCHPとによって動作するドライバICであり、第1のAND回路16及び第2のAND回路17から入力される信号のタイミング調整及びレベル調整等を行うことにより、第1のスイッチング素子11aに出力する第1の制御信号SOL1と、第2のスイッチング素子11bに出力する第2の制御信号SOL2と、第3のスイッチング素子11cに出力する第3の制御信号SOL3(第1の制御信号SOL1に対してレベルが反転した信号)を生成する。
リレー出力回路19は、リレー出力端子25を介してソレノイド電源リレー5のコイル部に接続されており、CPU20から入力されるリレー制御信号SOLRLYに応じてソレノイド電源リレー5のオンオフ状態を切替える回路である。このリレー出力回路19は、リレー制御信号SOLRLYがOFF(例えばローレベル)からON(例えばハイレベル)に遷移した時に、ソレノイド電源リレー5のコイル部を通電させてソレノイド電源リレー5をオンに切替える。
CPU20は、クランクパルス入力端子26を介して入力されるクランクパルス信号PCLKと、TDCパルス入力端子27を介して入力されるTDCパルス信号PTDCを基にエンジン振動を推定し、そのエンジン振動が抑制されるようにACMのソレノイドアクチュエータを駆動する(ソレノイドコイル2に流れる駆動電流を制御する)プロセッサである。
具体的には、CPU20は、不図示の駆動電流検出回路から入力される駆動電流検出値が目標値と一致するように、第1、第2及び第3のスイッチング素子11a、11b、11cをPWM制御する(第1のAND回路16に出力する第1のタイミング信号T1と第2のAND回路17に出力する第2のタイミング信号T2のデューティ比を制御する)。
また、詳細は後述するが、このCPU20は、電源回路13から低電圧回路用電源電圧VCCの供給を受けて起動した後、ハーフブリッジ回路11の制御を開始する前(ソレノイド出力イネーブル信号SOL−ENをOFF(例えばローレベル)からON(例えばハイレベル)にセットする前)に、昇圧回路12による昇圧動作を禁止した状態(昇圧イネーブル信号VCHG−ENをOFF(例えばローレベル)にセットした状態)で昇圧回路12の出力電圧(つまりソレノイド駆動電圧VBOOST)を測定し、その電圧測定値が上限値より低い場合、昇圧回路12による昇圧動作を許可し(昇圧イネーブル信号VCHG−ENをON(例えばハイレベル)にセットし)、上記電圧測定値が上限値以上の場合、昇圧回路12に設けられた出力コンデンサ12cの放電処理を実行する機能を有している。
次に、図2を参照する。図2は、図1のアクチュエータ駆動装置の回路の要部の、より詳細な構成を示す回路である。図2において、図1と共通する部分には同じ参照符号を示している(この点は、以下の図面においても同様である)。
図2において、昇圧制御用電源回路(昇圧制御用電源部)12gは、昇圧回路12の入力ラインL1に接続された、電圧安定化の機能を有するコンデンサ(例えば、電圧安定化電解コンデンサ)CHと、レギュレータ(REG)12i(但し、省略される場合も有り得る)と、を有している。なお、レギュレータ12iとしては、例えば、少数の部品からなる三端子レギュレータ(リニアレギュレータ)を使用することができ、また、少なくとも1つのダイオードからなるレベルシフト機能を有する回路も、広義のレギュレータとして使用することが可能である。
また、CPU(制御装置(又は制御部))20は、ソレノイド電源電圧VIGSOLをA/D変換器28によってA/D変換してデジタルデータ(測定値)として取得することができ、また、同様に、イグニション電源電VIGをA/D変換器29によってA/D変換してデジタルデータ(測定値)として取得することができる。
また、イグニションスイッチ3がオンされると、外部電源であるバッテリ4の電源電圧(外部電源電圧)が、IG電源端子23、ダイオードD1(逆流阻止機能を有する)を介して、イグニション電源電圧VIGとして電源回路13へと供給され、これによって、電源回路13は、CPU20等の電源電圧である低電圧回路用電源電圧VCCを生成する。
また、イグニションスイッチ3がオフした後、CPU20がリレー制御信号SOLRLYをオンする(アクティブレベルとする)ことで、ソレノイド電源リレー5がオンし、この場合は、外部電源であるバッテリ4の電源電圧(外部電源電圧)は、ソレノイド電源リレー5、ソレノイド電源端子24、ダイオードD2を経由して、イグニション電源電圧VIGとして電源回路13に供給される。
また、昇圧回路12の入力ラインL1に接続されるコンデンサであるコンデンサCHは、上述したように、前回の運転サイクル時に充電され、その結果として、今回の運転サイクルの起動時においても電荷が残留していることがある。
言い換えれば、例えば、前回の運転サイクルが終了して、その後、今回の運転サイクルが開始される(CPU20がリセットされたことになる)と、アクチュエータ駆動装置1の起動時に、コンデンサCHの残留電荷(蓄積電荷)によって、ソレノイド電源電圧VIGSOLが供給されていないにもかかわらず、昇圧回路12の入力ラインL1に、ある程度の電圧が発生しているようにみえてしまうことが有り得る。従って、例えば、イグニションスイッチ3のオン毎に実施される起動時の故障診断の際に、電源関連の異常として誤検知される場合が有り得る。
なお、上記のCPU20のリセットは、電源の再投入の場合の他、ECU等からリセットコマンドが入力された場合、あるいは、プログラムの書き換えが終了した場合、あるいは、CPU20に異常が発生した場合等においても生じ得る。
本実施形態では、上記の誤検知(誤検出)を防止するために、制御装置としてのCPU20は、昇圧回路12の入力ラインL1へのソレノイド電源電圧VIGSOLの供給が開始される前に、昇圧許可コマンドを発出して、好ましくは所定時間のみ、昇圧回路12に対して昇圧許可信号を出力する、という動作を実行する。図2に示されるように、本実施形態におけるCPU20は、機能ブロックとして、電源供給前昇圧許可部30と、ソレノイド駆動制御開始前放電処理部32と、を有している。これらは、昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサの残留電荷(蓄積電荷)を抜く経路を構築するという機能を有する。
ここで、ソレノイド電源電圧VIGSOLの供給がなされていない状態では、昇圧制御用電源電圧VCC−BOが発生しないことから、昇圧回路12を構成する昇圧制御回路(昇圧制御部)12hは動作できない。但し、図2の回路図から明らかなように、VCC−BOは、昇圧回路12の入力ラインL1の電圧に基づいて生成されるものであり、上記のコンデンサCHの残留電荷によって、入力ラインL1に、昇圧制御回路(昇圧制御部)12hが動作可能な電圧(最小動作電圧以上の電圧)が発生している場合は、見かけ上、その電圧がVCC−BOとなり、短い期間ではあるが、昇圧制御回路12hは動作可能である。
従って、その状態で、CPU20から昇圧許可信号が出力され、昇圧制御回路(昇圧制御部)12hが、その昇圧許可信号を受けると、昇圧制御回路(昇圧制御部)12hは、スイッチング素子12dをオンオフさせてチョッピング動作を行う。このとき、コンデンサCHに蓄積(残留)していた電荷の一部は、スイッチング素子12d(のドレイン・ソース)を経由してアースへと放電され(この場合は、スイッチング素子12dが、電荷引き抜き用のアクティブプルダウン素子として機能していることになる)、また、他の電荷は、チョークコイル12aに蓄えられたエネルギーが、出力コンデンサ12cへと放出されることに伴って、コンデンサCHから、後段の出力コンデンサ12cへと移動する(移される)ことになる。なお、図2において、このような動作による残留電荷の放電、及び移動は、破線の矢印で示されている。
このように、制御装置としてのCPU20は、起動時のシーケンスにおいて、昇圧許可信号を発出するコマンドをセットするだけで(言い換えれば、ソフトウエア的な処理のみで)、特別な放電回路を用いることなく、コンデンサCHの蓄積電荷(残留電荷)を抜くことができる。
言い換えれば、昇圧回路12の入力ラインL1に電源電圧(ソレノイド電源電圧VIGSOL)が供給されていない状態で、好ましくは所定期間のみ、昇圧許可信号を発出することで、残留電荷によって、その入力ラインL1に、昇圧回路12が動作可能な電圧が発生していた場合は、昇圧回路12を例えば瞬時的に動作させることが可能であり、その動作によって、コンデンサCHの蓄積電荷(残留電荷)が消費され、あるいは、一部の電荷が回路の後段へと移動して、そのコンデンサCHの電荷が正常値(例えばゼロ、又はその近傍値)に戻る。
従って、起動時の故障診断処理時において、昇圧回路12の入力ラインL1に電源電圧(ソレノイド電源電圧VIGSOL)が実際には供給されていない(言い換えれば、正常な状態である)にもかかわらず、コンデンサCHの残留電荷に起因して、電源関連の異常の誤判定(誤検出)がなされることが確実に防止される。
また、図2のアクチュエータ駆動装置1において、昇圧回路12の出力ラインL2に接続される出力コンデンサ12cの容量は、入力ラインL1に接続されるコンデンサCHの容量よりも大きく設定する(好ましくは、十分に大きく設定する:具体的には少なくとも2倍以上の容量とする)ことが好ましい。
上記のとおり、電荷抜き処理が実行されると、入力ラインL1に接続されるコンデンサCHの蓄積電荷(残留電荷)の一部は、後段の出力コンデンサ12hへと移動することが想定されるが、例えば、出力コンデンサ12hの容量が十分に大きければ、その電荷の移動に伴って出力コンデンサ12hに生じる電圧変動は、例えば無視できるほど小さくなり、よって回路の安全上の問題は生じない。
また、図1にて説明したとおり、電磁アクチュエータ(例えば、ソレノイドコイル2)の逆起電圧に起因する電流を、回生電流として昇圧回路12(の出力ラインL2)へと戻す回生経路が設けられている場合に、前回の運転サイクルでの回生電流によって、昇圧回路12の出力ラインL2に接続される出力コンデンサ12cが充電されて残留電荷が発生している場合があり、この状態で、上記の入力ラインL1に接続されるコンデンサCHの電荷抜きが行われ、残留電荷の一部が、出力コンデンサCHに移されるような場合が仮に生じ、その結果として、万一、出力コンデンサ12cの電圧が、後段の回路の故障原因となり得るレベルに到達するような事態が生じる場合であっても、アクチュエータ駆動回路(ハーフブリッジドライバ18及びハーフブリッジ回路11)の制御を開始する前に、電磁アクチュエータ(ソレノイドコイル2)を好ましくは短期間のみ、例外的に駆動させて駆動電流を流し、昇圧回路12の出力コンデンサ12cの残留電荷を放電させて消滅させる(最終的にアースへと流す)放電処理が実行される(この点は後述する)ことから、回路上の安全は確実に担保される。言い換えれば、アクチュエータ駆動装置1において、上記の、電源供給前の昇圧回路12に例外的に昇圧を許可することは、安全が確実に保証(担保)されているシステム上で安全に行われるものであり、特に問題は生じない。
図2において、上記の放電処理による電荷の移動は、一点鎖線の矢印で示されている。図2から明らかなように、本実施形態では、昇圧回路12の入力段のコンデンサCHの蓄積電荷(残留電荷)の一部を、昇圧回路12を動作させて、チョッピング素子12dを経由してアース(安定した直流電位)へと逃がす放電経路と、他の電荷を後段の出力コンデンサ12cに移動させて引き抜く経路と、さらに、必要に応じて、出力コンデンサCHに移動された電荷を、例えば回生電流によって蓄積された電荷と共に、ソレノイド2の駆動電流として最終的にアースへと流す経路、という、従来にない新規な「電荷引き抜き経路」が構築されており、これらの経路は、特別なハードウエアの追加なく実現されるものであって実現が容易である。
また、上記のとおり、電源電圧が無い状態では、本来、昇圧回路12は動作できないが、入力ラインL1に最小動作電圧以上の電圧が発生している場合は、その電圧に基づいて、昇圧制御回路(昇圧制御部)12hを動作させることができる、という新規な知見に基づき、制御装置としてのCPU20が、昇圧制御回路(昇圧制御部)12hに、昇圧許可信号を発出させるコマンドをセットするだけで、上記のような電荷抜き処理を実現するものであり、制御シーケンスの若干の変更のみで、アクチュエータ駆動装置1の信頼性や使い勝手を格段に高めることができる、という効果を得ることができる。
また、図2に示されるように、昇圧チョッパ(本来、部品点数が少なくシンプルな構成の昇圧回路である)に本発明を適用することで、特別な放電回路(例えば、コンデンサの電荷を引き抜くためのプルダウン回路等)を設けることなく、入力ラインL1に接続されるコンデンサCHの電荷の引き抜きが可能となる。
また、上記の、電源供給前の昇圧回路12に例外的に昇圧を許可する処理は、入力ラインL1に接続されるコンデンサCHにおいて、蓄積電荷(残留電荷)が有る、と判定された場合のみに行うこともできる。この場合、CPU20は、昇圧許可処理の前に、ソレノイド電源電圧VIGSOLをA/D変換器28でA/D変換して得られるデジタルデータ(測定値)を取り込み、電荷抜きが必要となる蓄積電荷(残留電荷)が有るか否かを判定することになる。
蓄積電荷の有無を事前にチェックすることから、蓄積電荷が無いと判断される場合に、シーケンス上、無駄な昇圧許可信号の発出コマンドが生成されることがなく、例えばソフトウエア上の負担が軽減される。
次に、図3を参照する。図3(A)は、図1のアクチュエータ駆動装置の起動シーケンス(制御手順)を示すフローチャート、図3(B)は、昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサの電荷抜き処理の手順例を示すフローチャート、図3(C)は、起動時昇圧故障診断処理(昇圧回路12の出力ラインL1に接続される出力コンデンサCHにおける残留電荷の放電処理を含む)の手順例を示すフローチャートである。
図3(A)において、まず、イニシャル処理が実施され(ステップS1)、続いて、先に説明した、コンデンサCHについての電荷抜き処理(ここでは、VIGSOL電荷抜き処理と称する)が実施される(ステップS2)。次に、リレー制御信号SOLRLYをオンする処理(SOLRLY ON処理)が実施される(ステップS3)。これによって、SOLRLYがオンし、また、ソレノイド電源電圧VIGSOLの供給が開始される。
次に、昇圧許可処理が実施される(ステップS4)。昇圧許可処理では、例えば、SOLRLYのハイレベル判定処理(ステップS5)、昇圧制御用電源電圧VCC−BOの正常/異常判定(ステップS6)、先に説明した出力コンデンサ12cの放電処理を含む起動時昇圧故障診断処理(ステップS7)、昇圧イネーブル信号VCHG−ENオを、例えばハイレベルとする昇圧許可処理(ステップS8)等が実施される。
次に、図3(B)を参照する。図3(B)に示されるVIGSOL電荷抜き処理の処理手順では、まず、ソレノイド電源電圧VIGSOLが、閾値(残留電荷判定用の閾値電圧)を超えているかが判定され(ステップS21)、Yの場合(残留電荷有りと判定される場合)は、好ましくは所定時間(短時間)のみ、昇圧イネーブル信号VCHG−ENをオンして、昇圧動作可能状態とした上で、昇圧動作を実行させて残留電荷の放電、移動を行わせる(ステップS22)。
ステップS21でNの場合(残留電荷無しと判定される場合)は、昇圧イネーブル信号VCHG−ENのオフ状態を維持する(ステップS23)。
次に、図3(C)を参照する。起動時昇圧故障診断処理において、まず、昇圧禁止状態であることが確認される(ステップS61)。続いて、ソレノイド駆動電圧VBOOST、及びドライバ電源電圧VCHPの各電圧レベルが測定される(ステップS62)。
次に、ドライバ電源電圧VCHPが正常の範囲内にあるか否かの判定が行われ(ステップS63)、続いて、ソレノイド駆動電圧VBOOSTが上限値を超えているかが判定される(ステップS64)。
ステップS64で、Yの場合は、昇圧イネーブル信号VCHC−ENをオフした状態で、ソレノイド出力イネーブル信号SOL−ENをオンし、スイッチング素子T1〜T3をPWM制御して、電磁アクチュエータであるソレノイドコイル2に駆動電流を流して、電荷の放電を行う(ステップS65)。
ステップS64で、Nの場合は、昇圧イネーブル信号VCHC−EN、及びソレノイド出力イネーブル信号SOL−ENのオフ状態が維持される(ステップS66)。
次に、図4を参照する。図4は、図1のアクチュエータ駆動装置における、制御装置(CPU)の動作手順、及び、各部の時間軸上での電圧レベルの変化を示す図である。
時刻t1では、CPU20は動作停止状態である。時刻t2に、イグニションスイッチがオンされる。これに伴い、イグニション電源電圧VIGが立ち上がり(例えば12V)、少し遅れて、低電圧回路用電源電圧VCCが立ち上がる(例えば5V)。
時刻t3において、CPU20によるIGSOL電荷抜き処理が開始される。例えば、時刻t3〜t4の期間において、コンデンサC3の残留電荷の有無が判定される。(但し、これは省略される場合もあり得る)。
図4のシーケンスにおいては、ソレノイド電源電圧VIGSOLは、電源の供給前であるにもかかわらず、時刻t1からH(ここでは12V)となっており、コンデンサCHの残留電荷の影響により、見かけ上、電源電圧が発生したようにみえる状態となっている。この状態で、故障診断が実施されると、電源関連の異常有りと誤検知(誤検出)される可能性があることから、これを防止するために、時刻t4〜t5の、ごく短い期間のみにおいて、昇圧イネーブル信号VCHG−ENがオンされる(LからHへと変化する)。
すると、昇圧回路12内の昇圧制御回路(昇圧制御部)12hが動作し、これによって、コンデンサCHの残留電荷(蓄積電荷)が放電、移動されて電荷が抜かれる。これによって、時刻t5以降は、コンデンサCHは、電荷が無い状態(ほぼ0Vの状態)となり、正常な状態となる。
時刻t6に、CPU20は、リレー制御信号SOLRLYをオンするためのSOLRLY ON処理(例えば、VBOOSTオン故障診断等が含まれる)を開始する。
時刻t7から、CPU20は、SOLRLY ON処理、及びVIGSOLの供給を開始し、これと併行して、昇圧許可処理を実施する。
これによって、時刻t7に、リレー制御信号SOLRLYがオンされる(ここでは、LからHへと変化する)。これによって、時刻t8に、ソレノイド電源リレー5がオンし、外部電源電圧の供給が開始されて、ソレノイド電源電圧VIGSOLが立ち上がる(例えば、12V)。時刻t9において、昇圧イネーブル信号VCHG−ENがオンして、昇圧回路12は昇圧可能状態となる。
以上説明したように、本発明によれば、昇圧回路の入力ラインに接続されるコンデンサの蓄積電荷(残留電荷)による、例えば起動時における故障誤検知(誤検出)を防止できるアクチュエータ駆動装置を提供することができる。上記のとおり、本発明は、特別な回路を設ける必要がなく、ソフトウエア的な変更で実現が可能であり、実現が容易である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々、変形、応用が可能である。例えば、本発明は、直流チョッパを備える電力変換回路等にも適用可能である。
また、アクチュエータ駆動装置は、電動車両や、いわゆるハイブリッド車両に搭載される他、船舶用や一般産業用に供することもできる。
本発明は、例えば、車両に搭載されるアクチュエータ駆動装置として好適である。
1・・・アクチュエータ駆動装置、2・・・ソレノイドコイル(電磁アクチュエータ)、3・・・イグニションスイッチ、4・・・外部電源(バッテリ)、5・・・ソレノイド電源リレー、11・・・ハーフブリッジ回路、12・・・昇圧回路、12a・・・昇圧用コイル(チョークコイル)、12b・・・逆流阻止ダイオード、12c・・・出力コンデンサ(昇圧回路の出力ラインに接続されるコンデンサ)、12g・・・昇圧制御回路(昇圧制御部)、12h・・・昇圧制御回路(昇圧制御部)、13・・・電源回路(低電圧回路用電源電圧の発生回路)、14・・・ドライバ電源回路、15・抵抗分圧回路、16・・・第1のAND回路、17・・・第2のAND回路、18・・・ハーフブリッジドライバ、19・・・リレー出力回路、20・・・CPU(制御装置)。

Claims (5)

  1. 電磁アクチュエータに接続されるアクチュエータ駆動回路と、
    電源から供給される電源電圧を昇圧し、昇圧された電圧を前記アクチュエータ駆動回路に出力すると共に、前記電源電圧が入力される入力ラインにコンデンサが接続された昇圧回路と、
    前記アクチュエータ駆動回路、及び前記昇圧回路の動作を制御する制御装置と、
    を有し、
    前記昇圧回路は、前記入力ラインに、回路動作に必要な電圧が発生している状態で、
    前記制御装置からの昇圧許可信号を受けると昇圧動作を開始し、
    前記制御装置は、前記昇圧回路の前記入力ラインへの前記電源電圧の供給が開始される前に、前記昇圧回路に対して前記昇圧許可信号を出力することを特徴とするアクチュエータ駆動装置。
  2. 前記昇圧回路の出力ラインに出力コンデンサが接続されており、
    前記出力コンデンサの容量は、前記入力ラインに接続される前記コンデンサの容量よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ駆動装置。
  3. 前記電磁アクチュエータにて発生する逆起電圧により流れる電流を、回生電流として前記昇圧回路の前記出力ラインへと戻す回生経路を有し、
    前記制御装置は、前記昇圧回路に対する前記昇圧許可信号の出力の後、かつ前記アクチュエータ駆動回路の制御を開始する前に、前記昇圧回路による昇圧動作を禁止した状態で前記昇圧回路の出力電圧を測定し、その電圧測定値が上限値より低い場合、前記昇圧回路に対して前記昇圧許可信号を出力し、前記電圧測定値が上限値以上の場合、前記昇圧回路による昇圧動作を禁止した状態で前記アクチュエータ駆動回路を制御して、前記電磁アクチュエータに駆動電流を流すことで、前記昇圧回路の前記出力コンデンサに蓄積されている電荷を放電させることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ駆動装置。
  4. 前記昇圧回路は、
    前記入力ラインに一端が接続されるチョークコイルと、前記チョークコイルを流れる電流のチョッピング用のスイッチング素子と、前記昇圧回路の出力ラインに接続される前記出力コンデンサと、を含む昇圧本体部と、
    前記スイッチング素子のオン/オフを制御する昇圧制御部と、
    前記昇圧回路の前記入力ラインに接続された前記コンデンサを含み、前記入力ラインの電圧に基づいて前記昇圧制御部用の電源電圧を生成する昇圧制御用電源部と、
    を有する昇圧チョッパ回路であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のアクチュエータ駆動装置。
  5. 前記制御装置は、前記昇圧回路の前記入力ラインへの前記電源電圧の供給が開始される前に、前記入力ラインに接続される前記コンデンサにおける蓄積電荷の有無を判定し、蓄積電荷有りと判定される場合に、前記昇圧回路に対して前記昇圧許可信号を出力することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載のアクチュエータ駆動装置。
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