JP2019204660A - 全固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池要素とラミネートフィルムの間に樹脂を介在させた状態で電池要素が膨張・収縮を繰り返す場合であっても、樹脂で覆ったラミネートフィルムの破損、破断を抑制することができる全固体電池を提供する。【解決手段】ここに開示される全固体電池10は、正極、固体電解質および負極が重ね合わされている電池要素20と、電池要素20を収容するラミネートフィルムからなる外装材40と、電池要素20と外装材40との間に配置される樹脂シート30と、を備えている。この樹脂シート30は、圧縮強さが12MPa以上20MPa以下のフッ素樹脂により構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、全固体電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、パソコン、携帯端末等の小型ポータブル電源や、航空機や衛星、工場等の設備用大型電源、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられていた。リチウムイオン電池では、電解質イオンであるリチウムイオンが正負極間を行き来することで充放電が行われ、負極活物質からリチウムイオンが放出されて正極活物質に吸蔵されたときの電気化学反応に基き外部回路に電流を取り出すことができる。
従来のリチウムイオン電池では、電解質として液体状の非水電解液が主として用いられている。非水電解液は活物質と濡れることによって良好な反応界面を形成し得る半面、可燃性であることから安全性の面での課題を残している。そのため近年、無機固体状の固体電解質を用いた全固体電池の実用化が精力的に進められている。この全固体電池は、大量生産を行う場合については、電池要素を粉体材料を用いて作製する。粉体材料からなる電池要素は界面抵抗が高いことが課題であり、界面抵抗を低下させるためには従来の液系の二次電池よりも一層大きな圧力で電池を拘束することが好ましい。とりわけ、上記の車両駆動用電源用途の全固体電池においては、高出力特性が求められることから、さらに高い拘束圧の印加が望まれる。
特開2008−103288号公報 特開2004−103415号公報
ところで、二次電池の外装材として、軽量で小型化が可能なラミネートフィルム製の外装材が汎用されている。ラミネートフィルムは変形自由度が高いことから、拘束圧を高効率で電池要素に伝えられる点においても好ましい。このラミネートフィルムは、一般に、外側から高強度な保護層、耐熱久のための金属層、および熱溶着のためのヒートシール層が積層されて構成されている。ヒートシール層は、一般に無延伸ポリプロピレンにより形成されている。しかしながら、高い拘束圧で拘束した電池については、電池要素とラミネートフィルムとが緊密に当接することから、充放電に伴い電池要素が膨張したときにヒートシール層が積層方向で強く押圧され、ヒートシール層の面方向に大きな引張応力が発生し得る。この引張応力は、繰り返しの充放電によって、ヒートシール層を、さらにはラミネートフィルムの全体を損傷したり破断したりする場合があった。ラミネートフィルムの破断は外装材内に外気の流入を許し、長期の使用に際して電池要素と外気に含まれる水分との反応の可能性を高めるために避けるべき事態である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえ電池要素が大きく膨張・収縮を繰り返す場合であっても、ラミネートフィルムの破損、破断を抑制することができる全固体電池を提供することである。
ここに開示される全固体電池は、正極、固体電解質および負極が重ね合わされている電池要素と、上記電池要素を収容するラミネートフィルムからなる外装材と、上記電池要素と上記外装材との間に配置される樹脂シートと、を備える。そして上記樹脂シートは、圧縮強さが12MPa以上20MPa以下のフッ素樹脂により構成されている。
このような構成によれば、たとえ当該全固体電池を従来よりも高い拘束圧により拘束した場合であっても、電池要素の膨張により発生する圧縮応力を、樹脂シートが面方向に低摩擦で延伸することにより好適に開放することができる。その結果、ラミネートフィルムの損傷および破損を抑制することができる。なお、上記の圧縮強さは、ASTM D695に規定される硬質プラスチックの圧縮特性の基本試験方法に準じて測定され得る。
なお、特許文献1には、正極、負極および固体電解質からなる電池要素を、吸着材及び/又はアルカリ性物質を含有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で覆って封止したのち、さらにその外側を防湿性のラミネートフィルムで覆う構成が開示されている。これにより、固体電解質として硫黄を含有する化合物を用いた場合に、電池内で硫黄が水分と反応して有毒な硫化水素ガスを発生しても、かかる硫化水素ガスを捕捉して無害化できることが記載されている。また、特許文献2には、電池要素の積層方向に弾発力を付与する弾性体を配置して、ラミネートフィルムで真空包装する構成が開示されている。これにより、電池要素が熱膨張しても弾性体によって均一に押さえられ、シート状の集電体およびセパレータの波状変形を抑えられることが記載されている。これらの先行技術に開示された電池は、電池要素とラミネートフィルムとの間に樹脂材料が存在する点において、ここに開示される技術と類似する。しかしながら、これらの先行技術は、ラミネートフィルムの損傷および破損を十分に抑制し得る樹脂の選択および電池構成については何ら開示していない。かかる点において、ここに開示される技術は、新たな効果を発現する全固体電池を提供するものであり得る。
一実施形態に係る全固体電池の構造を模式的に示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。 電池要素が膨張したときのラミネートフィルムの様子を、(A)従来の樹脂シートと(B)ここに開示される樹脂シートとを用いた場合について説明する断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない全固体電池の一般的な構成および製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。そして範囲を示す「X〜Y」との表記は、「X以上Y以下」を意味する。
図1は、一実施形態に係る全固体電池(以下、単に「電池」等という場合がある)10の構造を模式的に示す平面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。全固体電池10は、繰り返し充放電可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン電池である。ここに開示される全固体電池10は、具体的には図示しないが、正極、固体電解質層および負極を備え、これら正極、固体電解質層および負極は積層状にこの順に重ね合わされている。そしてこれら正極、固体電解質層および負極により電池要素20が構成され、電池要素20はラミネートフィルムからなる外装材40に収容されて密閉されている。そしてこの全固体電池10は、電池要素20と外装材40との間に、樹脂シート30を供えている。以下、各構成要素について説明する。
固体電解質層は、固体電解質材料を主体として含む。固体電解質層は、必要に応じて結着剤(バインダ)を含むことができる。例えば、固体電解質材料が粉体であるとき、固体電解質層は、粉体状の固体電解質材料と結着剤とを適当な分散媒中で混練してなる固体電解質ペーストを基材の表面に塗布し、乾燥することによって簡便に作製することができる。ここでいう基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のキャリアシートであってもよいし、後述する負極および正極の活物質層の表面であってもよい。
また、本明細書において、「主体とする」とは、特にことわりのない限り、当該成分が50質量%以上含まれることを意味する。好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、例えば80質量%以上を含む態様であり得る。
固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有するが、電子伝導性は示さない。固体電解質材料としては、例えば、リチウムイオン伝導性を有するが、電子伝導性は示さない各種の化合物を好適に用いることができる。このような固体電解質材料としては、具体的には、例えば、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43、La0.51Li0.34TiO2.94、Li7La3Zr212等の結晶質酸化物、Li2O−SiO2、Li2O−B23、50Li4SiO4−50Li3BO3、Li2O−B23−(P25,ZnO)、Li3.6Si0.60.44、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO43、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43等の非晶質酸化物、Li2.9PO3.30.46等の非晶質酸窒化物、Li3N等の結晶質窒化物、Li10GeP212、Li3.25Ge0.250.754等の結晶質硫化物、Li2S−SiS2、Li2S−P25、Li2S−B23、Li2S−P25−GeS2、Li3PO4−Li2S−SiS2、Li3PO4−Li2S−SiS、Li3PO4−Li2S−Si2S等や、これらにハロゲン化リチウムを加えたLiI−Li2S−SiS2、LiI−Li2S−P25、LiI−Li2S−B23、LiI−Li2S−P25、LiI−Li3PO4−P25、Li3PS4−LiI−LiBr、およびLi2S−P25−LiI−LiBr等の非晶質硫化物、ならびに、LiI、LiI−Al23、およびLi3N−LiI−LiOH等のヨウ化物等が例示される。中でも優れたリチウムイオン伝導性を有する点で、硫化物系の固体電解質材料を好ましく用いることができ、特に非晶質硫化物を好ましく用いることができる。なおここでいう非晶質は、ガラスのみならず、ガラスセラミックスをも含む。
なお、固体電解質としては、リチウム塩を含むポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、またはポリアクリロニトリル等の半固体のポリマー電解質も使用することができる。
固体電解質層の厚みは特に制限されない。固体電解質層の厚みは、例えば、20μm以上であって、200μm以下、典型的には100μm以下、例えば100μm以下とすることが例示される。
またバインダとしては、この種の電池のバルク層(すなわち、粉体材料から形成される固体電解質層、後述の負極活物質層、正極活物質層)の形成に使用されるバインダと同様のものを適宜採用することができる。例えば、酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリエチレン等のエチレン系樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド、エチルセルロース等のセルロース樹脂、アクリル樹脂、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、多硫化ゴム、フッ素ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等のゴム類等のポリマー材料を好ましく採用し得る。この種の電池のバルク層におけるバインダの割合は厳密には制限されず、例えば、層構成材料を100質量%として、10質量%以下が適切であり、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
負極は、負極集電体と、負極集電体の表面に固定される負極活物質層と、を備えている。負極集電体としては、電子導電性の良好な金属製のシートを好適に用いることができ、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)、鉄(Fe)、およびこれらと他の元素との合金(例えばSUS鋼)等の金属箔が好適である。負極集電体は、集電用のタブ22を含んでいてもよい。負極活物質層は、負極活物質を主体として含み、さらに固体電解質材料を含んでいる。これに限定されるものではないが、負極活物質層は、必要に応じて結着剤をさらに含むことができ、例えば、粉体状の負極活物質材料および硫化物系固体電解質材料と結着剤とを適当な分散媒中で混練してなる負極ペーストを負極集電体の表面(典型的には両面)に塗布し、乾燥することによって簡便に作製することができる。結着剤およびその割合は、上述の固体電解質層の欄に記載したのと同様であってよい。
負極活物質は、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な材料であればよい。このような負極活物質は、後述する正極活物質との間に明確な制限はなく、2種類の活物質材料の充放電電位を比較して、充放電電位が相対的に貴な電位を示すものを正極活物質として、相対的に卑な電位を示すものを負極活物質として用いることができる。このような負極活物質材料としては、典型的には、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等の炭素材料、チタン酸リチウム、リン酸金属リチウム、酸化バナジウムおよび酸化モリブデン等の酸化物、硫化チタン、リチウムコバルト窒化物、リチウムシリコン酸化物、リチウム金属(Li)、シリコン(Si)およびスズ(Sn)ならびにこれらの酸化物(例えば、SiO、SnO)、リチウム合金(例えば、LiM、Mは、C、Sn、Si、Al、Ge、Sb、またはP)、リチウム貯蔵性金属間化合物(例えば、MgxやM Sb、MはSn、Ge、またはSb、MはIn、Cu、またはMn)、ならびに、これらの誘導体や複合体が挙げられる。また、ここに開示される全固体電池は、充放電に伴う体積変化の大きい電池要素に対して特に好ましく適用できることから、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料、シリコン(Si)およびスズ(Sn)ならびにこれらの化合物等を好ましく用いることができる。なかでも、エネルギー密度の観点から、黒鉛系材料の使用が好ましい。黒鉛系材料は、少なくとも一部の表面に非晶質炭素が配置されているものをさらに好ましく用いることができる。より好ましくは、粒状炭素の表面のほぼ全てを非晶質炭素の膜で被覆された形態である。
負極活物質層の層内でのリチウムイオン伝導性を高めるために、換言すると、リチウムイオンの伝導パスを増大させる目的で、負極活物質層は、硫化物からなる固体電解質材料を好ましく含むことができる。硫化物からなる硫化物系固体電解質材料は、上記の固体電解質層の欄に記載した非晶質硫化物や結晶質硫化物からなる固体電解質材料であってよい。固体電解質層が硫化物系固体電解質材料によって構成される場合、負極活物質層は、当該固体電解質層を構成する硫化物系固体電解質材料と同種または同一の固体電解質材料を含むことが好ましい。負極活物質層に含有させる固体電解質材料の割合は、活物質材料と固体電解質材料の合計を100質量%としたとき、例えば、60質量%以下とすることができ、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。また、固体電解質材料の割合は、10質量%以上が適切であり、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。なお、負極活物質と固体電解質との界面に高抵抗の反応層が形成されて、界面抵抗が高くなる虞がある。したがって、このような事象を抑制するために、負極活物質材料を構成する粒子は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性酸化物で被覆しておいてもよい。
負極活物質層の厚みは特に制限されない。大電流を瞬時に供給する用途の全固体電池においては、負極活物質層の厚みは電気抵抗が高くなり過ぎない範囲で厚いほうが好ましい。例えば、負極活物質層の厚みは、例えば、50μm以上であって、300μm以下、典型的には200μm以下、例えば100μm以下とすることができる。
正極は、正極集電体と、正極集電体の上に固着された正極活物質層と、を備えている。正極集電体としては、導電性の良好な金属製のシートを好適に用いることができ、例えばアルミニウムや、鉄合金(例えば各種SUS鋼等)等の金属箔が好適である。正極集電体は、集電用のタブ22を含んでいてもよい。正極活物質層は、正極活物質を主体として含み、さらに固体電解質材料を含むことができる。これに限定されるものではないが、正極活物質層は、必要に応じて結着剤をさらに含むことができ、例えば、粉体状の正極活物質材料および固体電解質材料と結着剤とを適当な分散媒中で混練してなる正極ペーストを、正極集電体の表面(典型的には両面)に塗布し、乾燥することによって簡便に作製することができる。結着剤およびその割合は、上述の固体電解質層の欄に記載したのと同様であってよい。
正極活物質は、電荷担体を可逆的に吸蔵及び放出可能な材料であればよい。全固体リチウム二次電池の正極活物質の好適例としては、リチウムニッケル含有複合酸化物、リチウムコバルト含有複合酸化物、リチウムニッケルコバルト含有複合酸化物、リチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。高耐久の観点からは、通常使用時の作動電位が金属リチウム基準で4.2V以下である、層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物等の、いわゆる4V級の正極活物質が好ましい。また、一度に高い出力を実現するとの観点からは、作動電位が金属リチウム基準で4.2Vを越えて約5.2V以下である、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン酸化物等のいわゆる5V級の正極活物質が好ましい。
正極活物質層の層内でのリチウムイオン伝導性を高めるために、正極活物質層は、上述のとおり固体電解質材料を好ましく含むことができる。この場合、正極活物質層に含有させる固体電解質材料は、固体電解質層を構成する固体電解質材料と同種または同一の材料であることが好ましい。正極活物質層に含有させる固体電解質材料の割合は、活物質材料と固体電解質材料の合計を100質量%としたとき、例えば、60質量%以下とすることができ、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。また、固体電解質材料の割合は、10質量%以上が適切であり、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。なお、正極活物質と固体電解質との界面に高抵抗の反応層が形成されて、界面抵抗が高くなる虞がある。したがって、このような事象を抑制するために、正極活物質材料を構成する粒子は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性酸化物で被覆しておいてもよい。
正極活物質層の厚みは特に制限されない。大電流を瞬時に供給する用途の全固体電池においては、負極活物質層の厚みは電気抵抗が高くなり過ぎない範囲で厚いほうが好ましい。例えば、正極活物質層の厚みは、例えば、50μm以上であって、300μm以下、典型的には200μm以下、例えば100μm以下とすることができる。
以上の正極、負極および固体電解質層は、正極の正極活物質層と、負極の負極活物質層とが、固体電解質層によって絶縁されるように互いに重ね合わされて電池要素20を構成する。各層を重ね合わせてゆく方向を、以下、「積層方向」という。図1の構成では、集電用の正極と負極のタブ22が、外装材40の一つの辺において離間して配置されるよう、正極および負極の積層の向きが調整されている。一つの電池要素20は、上記正極、固体電解質層および負極の積層単位を一つのみ供えていてもよいし、二つ以上(例えば3つ〜6つ)がスタックされて備えられていてもよい。そしてこの電池要素20は、外装材40としてのラミネートフィルムによって密閉されれている。
外装材40は、電池要素20を収容して封止することで、意図しない水分の含有や酸化等による電池要素、とりわけ固体電解質材料の分解・劣化等を抑制することができる。外装材40は、この種の二次電池の外装材として使用し得るラミネートフィルムから構成されるものであれば、その外形や材質等は特に限定されない。ラミネートフィルム外装材40を用いることで、金属缶とは異なり、電池の薄型化や軽量化を図ることができる。また、ラミネートフィルム外装材40は形状の自由度が高いため、例えば電池を高い拘束圧で拘束した場合等に、電池要素に拘束圧を高効率で伝達することができる。ラミネートフィルムは、一般に、箔状の金属と樹脂シートが張り合わされることで構成されている。一例として、典型的には、熱溶着のための無延伸(CPP)ポリプロピレンフィルムの表面に、耐熱性、シール強度、耐衝撃性等を付与する目的で、アルミ箔又はアルミ蒸着層と、ポリエチレンテレフタタート(PET)やナイロン製フィルムと、を貼り合わせた三層構造のラミネートフィルムを好適に用いることができる。ラミネートフィルム製の外装材40は、例えば、予め袋型に成形したものであってもよいし、2枚のラミネートフィルム間に電池要素20を配置して全周を溶着するタイプのものであってもよい。
なお、ここに開示される全固体電池10においては、電池要素20と外装材40との間に樹脂シート30を介在させるようにしている。そしてこの樹脂シート30は、圧縮強さが12MPa以上20MPa以下のフッ素樹脂により構成されることにより特徴付けられる。フッ素樹脂は、炭素骨格の主鎖および側鎖の末端の少なくとも一部が、フッ素(F)で終端されている有機高分子フッ素化合物である。フッ素樹脂は、一般に、他の樹脂と比較して、耐熱性、耐薬品性、電気特性(高周波特性)等の他に、非粘着性、自己潤滑性等に優れるという特長がある。また、厚み方向で圧縮強さが20MPa以下のフッ素樹脂は、例えば他の樹脂と比較して、圧縮応力によって変形しやすいという特長がある。フッ素樹脂の圧縮強さは、18MPa以下がより好ましく、16MPa以下がより好ましく、14MPa以下が特に好ましい。しかしながら、電池要素20による圧縮によって破断しない程度の強度を備えるために、圧縮強さは12MPa以上であるとよい。かかる特徴に基づき、この樹脂シート30は、電池要素が充放電で膨張することにより発生する積層方向の圧縮応力を、シート自体が変形することで緩和することができる。また、樹脂シート30が積層方向の圧縮応力によって面方向に伸張したとき、圧縮方向から面方向に変換された引張応力を、自体の低い摩擦係数によって外装材40に伝播するのを抑制することができる。
すなわち、例えば図3(A)に示すように、樹脂シート30として上記のフッ素樹脂以外の樹脂シートを電池要素20と外装材40との間に配置すると、樹脂シート30と外装材40との間には比較的大きな摩擦が生じるために、樹脂シート30の面方向の伸張に対応して外装材40にも面方向に引張応力が発生する。これに対し、図3(B)に示すように、電池要素20と外装材40との間に樹脂シート30として上記のフッ素樹脂からなるシートを配置すると、樹脂シート30と外装材40との間の摩擦が格段に低減されて、樹脂シート30は面方向に伸張したときに外装材40の表面で滑り、外装材40に面方向の引張応力が発生するのを抑制する。このような作用効果は、特に、車両駆動用途の全固体電池10が、これまでにない高い拘束圧で定寸拘束されている場合等において、特に効果的に発現され得る。
このような樹脂シート30を構成するフッ素樹脂としては、例えば、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等に代表される高分子フッ素化合物が例示される。フッ素樹脂は、上記の圧縮強度を満たす範囲において、重合度や、共重合体における具体的なモノマー単位の割合、側鎖の炭素数等は特に制限されない。これらのフッ素樹脂は、圧縮強さが12MPa以上20MPa以下であり得る。また、これらのフッ素樹脂は、炭素骨格の主鎖および側鎖の末端の全てあるいは大半にフッ素原子を含む。したがって、炭化水素単位(−CH−)をほぼ含まないために、圧縮強度は上記のとおりやや低めとなり、摩擦係数が飛躍的に低くなるという特性がある。
例えば、これらのフッ素樹脂の摩擦係数は、(静摩擦係数/動摩擦係数)として典型的には、PTFE(0.08〜0.12/0.03〜0.08)であり、PFA(0.08〜0.12/0.04〜0.08)、FEP(0.10〜0.14/0.05〜0.10)と極めて小さい。これらのフッ素樹脂の摩擦係数は、静摩擦係数で概ね0.15以下、動摩擦係数で0.1以下である。
なお、同じフッ素樹脂であっても、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)や、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等においては、主鎖・側鎖中にフッ化炭素単位(−CF−)とともに炭化水素単位(−CH−)を多く有する。そのため、圧縮強度は約30MPa以上と高くなり、摩擦係数は、フッ素化されていない他の樹脂よりは低いものの、上記のフッ素樹脂よりは飛躍的に高くなる。参考までに、一例として、摩擦係数(静摩擦係数/動摩擦係数)は、ETFE(0.23〜0.29/0.21〜0.23)、ETFE(0.23〜0.29/0.21〜0.23)、ECTFE(0.38〜0.42/0.34〜0.38)である。
樹脂シート30の厚みは特に制限されない。樹脂シート30の圧縮強度の緩和効果を考慮すると、樹脂シート30はできるだけ厚い方が好ましく、電池の嵩の増大を考慮すると、樹脂シート30はできるだけ薄い方が好ましく、例えば、両者のバランスで最適化できる。例えば、樹脂シート30の厚み(平均厚みである。以下同じ。)は、50μm以上であって、300μm以下、典型的には200μm以下、例えば100μm以下とすることができる。樹脂シート30は、電池要素20が積層方向に圧縮され、充放電により膨張した場合において、電池要素20とともに変形して、電池要素20と外装材40との直接的な接触を防止できるように配置されていればよい。例えば、樹脂シート30は、積層方向から見て電池要素20の外形と同等の大きさおよび形状の2枚のシートであって、積層方向の両端から電池要素20を挟むように、電池要素20と外装材40との間に配置されていてもよい。また一方で、固体電解質層は、液系二次電池におけるセパレータと電解液との役割を兼ねている。しかしながら、固体電解質層は、セパレータと異なり面方向で連続相を有しないことから、強度にもとない。かかる観点から、樹脂シート30は長尺であって、電池要素20の全体を捲回した状態で、電池要素20と外装材40との間に配置されていてもよい。
また、全固体電池10は、上記の各層が粉体材料から構成されるバルクタイプの全固体電池である場合、粉体材料を構成する粒子間での界面抵抗を低減する目的や、高エネルギー密度を実現する目的等で、各層の積層方向(集電体に直交する方向)に圧縮応力を印加する場合がある。この圧縮応力は、例えば、図示しない拘束機構を用いて好適に印加することができる。かかる観点において、ここに開示される全固体電池10は、一対のエンドプレートと、拘束部材とを含む拘束機構を備えていてもよい。エンドプレートは、一つ又は二つ以上の全固体電池10を電池要素20の積層方向で挟むように、全固体電池10の積層方向の両端に配置される板状部材である。拘束部材は、この一対のエンドプレートの間の距離を一定の小ささに保つために、一対のエンドプレートに渡し架けられる棒状部材(例えば、断面視で略コの字状の部材)である。拘束部材は、エンドプレートによって全固体電池10を積層方向で挟み、積層方向で所定の拘束圧が生じるようにエンドプレート間の距離を縮小(圧縮)させた後、かかるエンドプレート間距離を一定に維持するために、一対のエンドプレートに渡し架けられて固定される。エンドプレートと拘束部材とは、例えばボルト・ナット等の固定部材によって固定してもよい。拘束部材は、全固体電池10に加わる圧縮応力が均一となるように、複数の拘束部材がエンドプレートの外周にバランスよく配置されるとよい。エンドプレートおよび拘束部材は、拘束圧と、電池要素20が膨張収縮した場合に発生される圧縮応力とにより変形されない程度の機械的強度を有する材料(例えば、ステンレス鋼の金属、繊維強化プラスチック等の複合材料等)により構成される。
全固体電池10に印加される拘束圧は、例えば、0.1MPa以上程度であってよく、1MPa以上が好ましく、2MPa以上がより好ましく、5MPa以上が特に好ましく、例えば10MPa以上であってよい。圧縮応力の上限は特に限定されず、例えば、使用する圧縮応力印加装置等が全固体電池10に印加することができる最大応力に応じて適宜設定することができる。このような平均拘束圧としては、例えば、50MPa以下程度、例えば20MPa以下等とすることができる。このような高い圧縮応力は、非水電解液を使用する液系二次電池の圧縮応力の約5〜10倍以上であり得る。
以上の構成によると、ここに開示される全固体電池10の電池要素20とラミネートフィルムからなる外装材40との間には、所定の構成のフッ素樹脂からなる樹脂シート30が配置されている。また、樹脂シート30は、圧縮強さが12MPa以上20MPa以下のフッ素樹脂により構成されている。このことにより、充放電に伴い電池要素20が繰り返し膨張収縮したときでも、電池要素20による外装材40の損傷や破断を抑制することができる。とりわけ、全固体電池10の積層方向に高い拘束圧が印加されている様な場合であっても、電池要素20による圧縮応力を樹脂シート30の圧縮変形によって緩和するとともに、樹脂シート30の滑り特性によって外装材40への伝達を抑制して開放することができる。このことは、全固体電池10が瞬時に大電流を充電又は放電するハイレート充放電を行うなどして、電池要素20が大きく膨張収縮したときでも、同様の効果が発揮され得る。
上記実施形態では、外装材40を構成するラミネートフィルムは、CPP/Al/ナイロンからなる三層ラミネート構造であった。しかしながら、ラミネートフィルムの層数、材質はこれに限定されない。例えば、ラミネートフィルムは、ヒートシール層として、CPPに代えて、例えば、熱融着可能なポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂や、エチレンビニルアセテート(EVA)、各種アイオノマー樹脂、その他の樹脂を用いることができる。金属層としては、アルミニウムに代えて、例えば、ニッケル(Ni)やステンレス鋼、銅(Cu)、チタン(Ti)、鉄(Fe)等を採用し得る。保護層としては、ナイロンに代えて、PTFE、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)およびこれらの変性体等を用いることができる。また、ラミネートフィルムは、ヒートシール層と金属層との二層構造であってもよいし、付加的に他の層が備えられていてもよい。しかしながら、ここに開示される技術によると、外装材40を構成するラミネートフィルムの強度を特に高める必要なく、その損傷や破損を抑制できる。
なお、外装材40であるラミネートフィルムの破損の原因は、電池要素20の膨張収縮によって顕著に見られることから、上記効果は、電池要素20が大きくおよび/または急峻に膨張収縮する可能性のある用途の全固体電池10において求められやすい。また、全固体電池10の電解液レス構造に伴う安全性は、一般の消費者が長期にわたって使用することが期待される用途の全固体電池において特に求められる。したがって、ここに開示される非水電解液二次電池は、例えば、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載されるモータ駆動用の主電池等として特に好適に利用することができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<評価用リチウムイオン二次電池の作製>
正極活物質としての1〜10μmに粒度調整されたLiNi1/3Mn1/3Co1/3(LNMC)と、固体電解質としての硫化物固体電解質粉末と、導電助材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのPVdFとを用い、活物質:固体電解質=75:25(質量比)、活物質100質量部に対して、導電助材2質量部、バインダ1.5質量部の割合で秤量し、これらの材料を超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いて酪酸に分散させることで固形分重量50質量%の正極ペーストを調製した。このペーストを、正極集電体としてのタブ付アルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥させることにより正極活物質層を形成し、正極とした。
負極活物質粉末としての天然黒鉛(C)と、固体電解質としての硫化物固体電解質粉末と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、活物質:固体電解質=60:40(質量比)、活物質100質量部に対して、バインダ1.1質量部の割合で秤量し、これらの材料を超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いて分散媒としての酪酸と混練し、負極ペーストを調製した。このペーストを負極集電体としてのタブ付銅箔の両面に塗布し、乾燥させることにより、負極活物質層を形成し、負極とした。
固体電解質としての硫化物固体電解質粉末と、バインダとしてのPVdFとを、固体電解質:バインダ=95:5の質量比で用い、超音波ホモジナイザー(SMT社製、UH−50)を用いてヘプタンに分散させることで固形分重量50質量%の固体電解質ペーストを調製した。このペーストを、上記で用意した複数の正極および負極の一方の活物質層の表面に塗布し、乾燥させることにより固体電解質層を形成した。
そして用意した固体電解質層付きの正極および負極を、各電極の活物質層間を固体電解質層で絶縁するように、また、電極ごとに集電用のタブが同じ位置に配置されるように重ねることで、電池要素とした。
用意した電池要素を、下記の表1に示すポリマーシートを介して2枚のラミネートフィルムで挟み込み、全周縁部を熱溶着することで、例1〜7の全固体電池を作製した。ポリマーシートは、全て厚みが0.1mmのものを用いた。また、ラミネートフィルムは、ナイロンからなる表面層と、アルミ蒸着層と、ポリプロピレンからなるヒートシール層とを備え、2枚のラミネートフィルムをヒートシール層が対向するように重ねて加熱することにより、加熱部分で互いに熱溶着して接合される構成のものである。このように用意した全固体電池は、2枚のSUS鋼製のエンドプレート(拘束板)と拘束部材(ボルト・ナット)からなる拘束治具とを用いて、拘束圧が10MPaとなるように定寸拘束した。
そして拘束した状態の例1〜7の全固体電池を80℃の恒温槽内に配置し、1Cの電流で、電池電圧3V〜4Vの範囲で1000回の充放電を行うサイクル試験を行った。80℃の温度は、電池特性に劣化をもたらすとともに、ポリマーシートおよびラミネートフィルムのヒートシール層の軟化を誘起して、電池要素の膨張収縮などをトリガーとしてラミネートフィルムのヒートシール層の破損を促進的に発生させるための条件である。そしてサイクル試験後の電池を解体し、電池要素に対向するラミネートフィルムの表面を観察し、裂けや、切れ等の損傷の有無を確認した。その結果を、表1に示した。
なお、参考までに、各例のポリマーシートの圧縮強さと、動摩擦係数とを表1に併せて示した。圧縮強さは、ASTM D695に規定される硬質プラスチックの圧縮特性の基本試験方法に準じて測定した結果である。また、動摩擦係数は、R. C. Bowers, Journal of Applied Physics 42, 4961(1971)に開示された値であり、FEPについては上述の例示とやや異なる値である。
Figure 2019204660
[評価]
表1の例4に示したように、電池要素とラミネートフィルムとの間に何も介在させなかった場合は、1000回の充放電後にラミネートフィルムの内面に損傷が発生していることが確認された。ラミネートフィルムの電池要素の角部に対向する位置では、ヒートシール層のみならず、アルミ蒸着層にまで裂けが発生していることが確認された。
これに対し、電池要素とラミネートフィルムとの間に例1〜3のポリマーシートを挿入した場合は、ラミネートフィルムのシート樹脂部に裂けなどの損傷がなかったことを確認した。一方で、例5,6のポリマーシートを挿入した場合は、サイクル試験後にラミネートシートのヒートシール層に損傷があることが確認できた。また、フッ素系樹脂である例7のポリマーシートを挿入した場合も、サイクル試験後にラミネートシートのヒートシール層に損傷が発生することが確認された。
以上の結果は、電池要素とラミネートフィルムとの間に、例1〜3の圧縮強さが20MPa以下のフッ素系ポリマーシート(PTFE、FEP、PFA)を介在させたことで、充放電に伴う電池要素の膨張収縮によってポリマーシートが優先的に圧縮されて、ラミネートフィルムのヒートシール層が圧縮変形(面方向では引張変形)することを好適に抑制できたためであると考えられる。また、フッ素樹脂系のポリマーシートは、摩擦係数が低いことから、圧縮変形されたときに面方向に発生する引張伸び変形を、隣接するラミネートフィルムのヒートシール層に伝えることなく発散できる構成が構築されたものと考えられる。
しかしながら、例1〜3のポリマーシートと圧縮強さが同程度である、例5のポリ塩化ビニリデンおよび例6のポリエチレンからなるポリマーシートでは、たとえシート自体が圧縮されても、圧縮によって面方向に発生する伸び変形がラミネートフィルムにダイレクトに伝わってしまい、ラミネートフィルムに損傷を与えたものと考えられる。
また、たとえフッ素樹脂からなるポリマーシートであっても、圧縮強度の高いETFEからなる例7のポリマーシートでは、電池要素の膨張収縮時にポリマーシートが圧縮されることなく、ラミネートフィルムが大きく変形されてしまうことから、ラミネートフィルムのヒートシール層が損傷してしまうものと考えられる。
以上のことから、本実施形態に係る全固体電池によれば、電池要素とラミネートフィルムの間に樹脂を介在させた状態で電池要素が膨張・収縮を繰り返す場合であっても、樹脂で覆ったラミネートフィルムの破損、破断を抑制することができる。また、このような効果は、高い拘束荷重で拘束した状態で大電流を繰り返し充放電する用途の全固体電池であっても十分に得られることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 全固体電池
20 電池要素
30 樹脂シート
40 外装材

Claims (1)

  1. 正極、固体電解質および負極が重ね合わされている電池要素と、
    前記電池要素を収容するラミネートフィルムからなる外装材と、
    前記電池要素と前記外装材との間に配置される樹脂シートと、
    を備え、
    前記樹脂シートは、圧縮強さが12MPa以上20MPa以下のフッ素樹脂により構成されている、全固体電池。
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