JP2019203924A - 焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
液体レンズシステムは、圧電材料で形成された円筒状の振動部材を、透明な液体に浸漬して形成される。液体レンズシステムにおいて、振動部材の内周面と外周面とに交流電圧を印加すると、振動部材が厚み方向に伸縮し、振動部材の内側の液体を振動させる。液体の固有振動数に応じて印加電圧の周波数を調整すると、液体に同心円状の定在波が形成され、振動部材の中心軸線を中心として屈折率が異なる同心円状の領域が形成される。この状態で、振動部材の中心軸線に沿って光を通すと、この光は同心円状の領域ごとの屈折率に従って発散または収束する経路を辿ることになる。
通常の対物レンズに平行光を入射させると、レンズを通過した光は所定の焦点距離にある焦点位置に焦点を結ぶ。これに対し、対物レンズと同軸に配置されたレンズシステムに平行光を入射させると、この光はレンズシステムで発散または収束され、対物レンズを通過した光は元の(レンズシステムがなかった状態の)焦点位置よりも遠くまたは近くにずれた位置に焦点を結ぶ。
従って、焦点距離可変レンズ装置においては、レンズシステムに入力される駆動信号(内部の液体に定在波を発生させる周波数の交流電圧)を印加し、この駆動信号の振幅を増減させることで、焦点距離可変レンズ装置としての焦点位置を一定の範囲内(対物レンズの焦点距離を基準としてレンズシステムにより増減できる所定の変化幅)で任意に制御することができる。
このような焦点距離可変レンズ装置を用いて画像を取得する際には、駆動信号の正弦波の位相に同期して発光信号を出力してパルス照明を行う。これにより、正弦波状に変化する焦点距離のうち、所定の焦点距離に合焦した状態でパルス照明を行うことで、この焦点距離にある対象物の画像が検出される。一周期のうち複数の位相でパルス照明を行い、各位相に対応して画像検出を行えば、同時に複数の焦点距離の画像を得ることもできる。
シングルプレーン画像検出動作では、対象物の表面のうち合焦面にある部位は合焦した鮮明な状態で撮像される。ただし、合焦面から外れた部位(焦点距離が遠いまたは近い部位)は焦点がずれた(ぼけた)状態で撮像される。
ただし、マルチプレーン画像検出動作では、対象物の一部がいずれかの合焦面で鮮明に撮像されても、他の合焦面ではぼけた状態で撮像される。このような各合焦面での画像情報が重畳されることで、例えば鮮明なエッジの周辺が滲んだような画像となるなど、鮮明な画像品質が保てないという問題があった。
すなわち、指定された複数の焦点距離に対して、先ず第1の焦点距離についてシングルプレーン画像検出動作を行い、続いて第2の焦点距離についてシングルプレーン画像検出動作を行い、これらを指定された焦点距離の数だけ繰り返す。
このようなフレームバイフレーム画像検出動作では、各々の焦点距離に対する画像検出がシングルプレーン画像検出動作であるため、それぞれ合焦状態で鮮明な画像が得られる。
しかし、フレームバイフレーム画像検出動作では、指定する焦点距離の数だけのシングルプレーン画像検出動作を行うため、指定する焦点距離の数が増えた場合には、画像検出時間が長大化するという問題があった。
この際、画像検出条件としてコンバインドモードを設定すると、画像検出部は、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作とを含む画像検出ループを繰り返し実行する。
このようなコンバインドモードで検出される画像は、マルチプレーン画像検出動作により、全ての焦点距離に合焦した画像情報を含むが、他の焦点距離の画像情報も含まれて必ずしも鮮明ではない。一方、シングルプレーン画像検出動作により、2つの焦点距離については鮮明な画像となる。
従って、マルチプレーン画像検出動作により、従来のマルチプレーン画像検出と同様な結果が得られるとともに、シングルプレーン画像検出動作により、従来のマルチプレーン画像検出動作では得られなかった高い画像品質を得ることができる。
以上により、本発明の焦点距離可変レンズ装置によれば、複数の焦点距離に対して十分な画像品質が得られるとともに画像検出時間を短縮することができる。
本発明では、本発明の焦点距離可変レンズ装置で説明した通りの効果を得ることができる。
〔焦点距離可変レンズ装置1〕
図1において、焦点距離可変レンズ装置1は、焦点距離を可変しつつ測定対象物9の表面の画像を検出するものである。
このために、焦点距離可変レンズ装置1は、当該表面に交差する同じ光軸A上に配置された対物レンズ2および液体レンズユニット3と、対物レンズ2および液体レンズユニット3を通して得られる測定対象物9の画像を検出する画像検出部4と、測定対象物9の表面をパルス照明するパルス照明部5と、を備えている。
焦点距離可変レンズ装置1においては、対物レンズ2および液体レンズユニット3により焦点距離可変レンズが構成される。
制御用PC7は、既存のパーソナルコンピュータにより構成され、所定の制御用ソフトウェアを実行することで所期の機能が実現される。制御用PC7には、画像検出部4から画像を取り込んで処理する機能も含まれている。
画像検出部4は、既存のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサあるいは他の形式のカメラ等で構成され、入射される画像Lgを所定の信号形式の検出画像Imとして制御用PC7へ出力することができる。
パルス照明部5は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子で構成され、レンズ制御部6から発光信号Ciが入力された際に、所定時間だけ照明光Liを発光させ、測定対象物9の表面に対するパルス照明を行うことができる。照明光Liは測定対象物9の表面で反射され、測定対象物9の表面からの反射光Lrが対物レンズ2および液体レンズユニット3を通して画像Lgを形成する。
焦点距離可変レンズ装置1において、焦点位置Pfまでの焦点距離Dfは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、液体レンズユニット3の屈折率を変化させることで、任意に変化させることができる。
図2において、液体レンズユニット3は、円筒形のケース31を有し、ケース31の内部には円筒状の振動部材32が設置されている。振動部材32は、その外周面33とケース31の内周面との間に介装されたエラストマ製のスペーサ39で支持されている。
振動部材32は、圧電材料を円筒状に形成したものであり、外周面33と内周面34との間に駆動信号Cfの交流電圧が印加されることで、厚み方向に振動する。
ケース31の内部には、透過性の高い液体35が充填されており、振動部材32は全体を液体35に浸漬され、円筒状の振動部材32の内側は液体35で満たされている。駆動信号Cfの交流電圧は、振動部材32の内側にある液体35に定在波を発生させる周波数(例えば70KHz)に調整されている。
このとき、液体レンズユニット3の中心軸線からの距離(半径)と液体35の屈折率との関係は、図3(C)部に示す屈折率分布Wのようになる。
図4(A)の状態では、屈折率分布Wの振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を収束させ、焦点位置Pfは近く、焦点距離Dfは最短となっている。
図4(B)の状態では、屈折率分布Wが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図4(C)の状態では、屈折率分布Wが図4(A)と逆極性で振れ幅が最大となり、液体レンズユニット3は通過する光を拡散させ、焦点位置Pfは遠く、焦点距離Dfは最大となっている。
図4(D)の状態では、再び屈折率分布Wが平坦となり、液体レンズユニット3は通過する光をそのまま通過させ、焦点位置Pfおよび焦点距離Dfは標準的な値となっている。
図4(E)の状態では、再び図4(A)の状態に戻っており、以下同様の変動を繰り返すことになる。
この際、焦点変動波形Mfの任意の時点で焦点位置Pfにある測定対象物9をパルス照明し、その時点で照明された画像を検出すれば、任意の照明時点での焦点距離Dfにある焦点位置Pfの画像が得られることになる。
図5に示すように、焦点距離可変レンズ装置1において、液体レンズユニット3の振動、パルス照明部5の発光および画像検出部4の画像検出は、レンズ制御部6からの駆動信号Cfおよび発光信号Ciおよび画像検出信号Ccにより制御される。この際、レンズ制御部6には、液体レンズユニット3の振動状態Vfとして、液体レンズユニット3に加えられる有効電力あるいは駆動電流などが返される。
レンズ制御部6は、液体レンズユニット3に駆動信号Cfを出力する駆動制御部61と、パルス照明部5に発光信号Ciを出力する発光制御部62と、画像検出部4に画像検出信号Ccを出力する画像検出制御部63とを有する。
レンズ制御部6の設定などの画像検出条件を操作するために、制御用PC7が接続されている。
制御用PC7は、画像検出条件の設定などのレンズ制御部6に対する操作を行うレンズ操作部71と、画像検出部4から検出画像Imを取り込んで処理する画像処理部72と、焦点距離可変レンズ装置1に対するユーザの操作を受け付ける操作インターフェイス73と、を有する。
レンズ操作部71は、本発明に基づく画像検出条件設定部711を有する。
シングルプレーンモードでは、レンズ制御部6に、焦点距離Dfが1つ指定されたシングルプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させる。
マルチプレーンモードでは、レンズ制御部6に、焦点距離Dfが複数指定されたマルチプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させる。
フレームバイフレームモードでは、レンズ制御部6に、焦点距離Dfが互いに異なる複数のシングルプレーン画像検出動作を含む画像検出ループを繰り返し実行させる。フレームバイフレームモードにおいて、シングルプレーン画像検出動作の数(1ループで検出される画像の数)および各々における焦点距離Dfは、ユーザが選択することができる。
コンバインドモードにおけるマルチプレーン画像検出動作では、液体レンズユニット3の焦点距離Dfが変化する1周期(駆動信号Cfとされる正弦波状の焦点変動波形Mfの1周期)の間に、画像検出を行う焦点距離Dfを複数設定可能である。
コンバインドモードにおけるシングルプレーン画像検出動作では、液体レンズユニット3の焦点距離Dfが変化する1周期の間に、画像検出を行う焦点距離Dfを1つ設定可能である。コンバインドモードに複数のシングルプレーン画像検出動作がある場合、それぞれ異なる焦点距離Dfが設定可能である。
画像検出条件を設定されたレンズ制御部6が、液体レンズユニット3、画像検出部4およびパルス照明部5を制御することで、指定された画像検出モードの画像検出ループを繰り返して焦点距離可変レンズ装置1に所望の画像検出を実行させることができる。
図6には、画像検出条件設定部711による設定操作および同設定に基づくレンズ制御部6の制御動作の手順が示されている。
画像検出条件設定部711では、先ず画像検出モードの指定を受け付ける(処理S1)。画像検出モードの指定は、ユーザが操作インターフェイス73(図5参照)を操作することで行われる。
ユーザの操作に基づいて、画像検出条件設定部711は、画像検出モードとして、シングルプレーンモードの設定(処理S11)、マルチプレーンモードの設定(処理S21)、フレームバイフレームモードの設定(処理S31)、コンバインドモードの設定(処理S41)のいずれかを行う。
シングルプレーンモードが設定(処理S11)されている場合、画像検出動作の間繰り返し実行される画像検出ループがシングルプレーン画像検出動作だけで構成されるため、このシングルプレーン画像検出動作における1つの焦点距離Df(焦点距離D1)だけを設定する(処理S12)。
フレームバイフレームモードが設定(処理S31)されている場合、画像検出動作の間繰り返し実行される画像検出ループが複数のシングルプレーン画像検出動作で構成されるため、シングルプレーン画像検出動作で検出する画面(フレーム)の数(画面数nf)と、各画面の焦点距離Df(焦点距離Df1〜Dnf)とを設定する(処理S32)。
これらの処理S42と処理S43とは、順番が逆でもよく同時並行でもよい。
マルチプレーンモードが設定(処理S21)されている場合、レンズ制御部6は、焦点距離D1〜Dnpのマルチプレーン画像検出動作だけで構成される画像検出ループを繰り返し実行させる(処理S23)。
フレームバイフレームモードが設定(処理S31)されている場合、レンズ制御部6は、画面数nfのシングルプレーン画像検出動作(それぞれ焦点距離Df1〜Dnf)が連続する画像検出ループを繰り返し実行させる(処理S33)。
コンバインドモードが設定(処理S41)されている場合、レンズ制御部6は、焦点距離D1〜Dnpのマルチプレーン画像検出動作(処理S44)と、画面数nfのシングルプレーン画像検出動作(それぞれ焦点距離Df1〜Dnf,処理S45)とが連続する画像検出ループを繰り返し実行させる。
図7から図9は本実施形態におけるシングルプレーンモードの動作を示す。
図7において、シングルプレーンモードでは、シングルプレーン画像検出動作Cmsのみを含む画像検出ループLPsを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、駆動信号Cfは、液体レンズユニット3(図1参照)を駆動するためにレンズ制御部6から与えられる正弦波状の焦点変動波形Mf(図4参照)である。駆動信号Cfが最大値のとき、液体レンズユニット3および対物レンズ2(図1参照)の焦点距離Dfが最近の焦点距離Dtとなり、駆動信号Cfが最小値のとき焦点距離Dfが最遠の焦点距離Dbとなる。
シングルプレーンモードの画像検出ループLPsでは、駆動信号Cfの一周期のうち、指定された焦点距離D1に対応する位相θ1の位置でレンズ制御部6からパルス照明部5(図1参照)への発光信号Ciが送られることで、画像検出部4(図1参照)により、焦点距離D1に合焦したシングルプレーン検出画像Ims(図9参照)が得られる。
シングルプレーン画像検出動作Cmsが焦点距離D1に設定されており、焦点距離D1が合焦面P1に対応しているとすると、合焦面P1に一致する部位91は合焦状態で画像検出される。一方、部位92,93(合焦面P2,P3に一致)は合焦面P1から外れており、合焦しない状態で画像検出される。
従って、領域I91についての鮮明な画像が得られれば十分であり、領域I92,I93の画像の鮮明さが必要でない場合、このシングルプレーンモードを利用すればよい。
図10から図12は本実施形態におけるマルチプレーンモードの動作を示す。
図10において、マルチプレーンモードでは、マルチプレーン画像検出動作Cmmのみを含む画像検出ループLPmを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、図10および図11における駆動信号Cf、焦点距離Dt,Db、合焦面Pt,Pbは、図7および図8で説明した通りである。
マルチプレーンモードの画像検出ループLPmでは、焦点数np=2とすると、駆動信号Cfの一周期に2つの焦点距離D1,D2が指定され、各々に対応する位相θ1,θ2の位置でレンズ制御部6から発光信号Ciが送られ、焦点距離D1,D2に合焦したマルチプレーン検出画像Imm(図12参照)が得られる。
ただし、領域I91は、焦点距離D2のとき合焦しない暗く不鮮明な状態で検出され、これが焦点距離D1での鮮明な画像と重畳される結果、やや暗い不鮮明な画像(シングルプレーン検出画像Imsの領域I91に比べて)となる。領域I92についても同様である。
一方、部位93に対応する領域I93は、焦点距離D1,D2のいずれにおいても合焦から外れるため、領域I91,I92と比べて暗く不鮮明な画像として検出される。
ただし、前述のように、比較的鮮明な領域I91,I92であっても、シングルプレーンモードに比べて鮮明さが低下するため、鮮明な画像を得るためには別途シングルプレーンモードの画像検出を行う必要がある。
図13から図15はマルチプレーンモードの異なる設定における動作を示す。
図10から図12で説明したマルチプレーンモードでは、焦点数np=2とされ、マルチプレーン画像検出動作Cmmでは焦点距離D1,D2(合焦面P1,P2)で画像検出が行われ、合焦面P1,P2に一致する部位91,92が合焦状態で検出されていた。
これに対し、図13から図15のマルチプレーンモードでは、焦点数np=3とされ、マルチプレーン画像検出動作Cmmでは焦点距離D1,D2,D3(合焦面P1,P2,P3)で画像検出が行われ、合焦面P1,P2,P3に一致する部位91,92,93が合焦状態で画像検出される。
従って、マルチプレーンモードでは、複数の焦点距離にある領域について、比較的鮮明な画像を同時に得られるものの、焦点数npを増加させるにつれて鮮明さが損なわれる点に注意する必要がある。
図16から図18は本実施形態におけるフレームバイフレームモードの動作を示す。
フレームバイフレームモードでは、複数(画面数nf)のシングルプレーン画像検出動作Cms(焦点距離Df1〜Dnf)を含む画像検出ループLPfを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、図16および図17における駆動信号Cf、焦点距離Dt,Db、合焦面Pt,Pbは、図7および図8で説明した通りである。
また、フレームバイフレームモードにおけるシングルプレーン画像検出動作Cmsは、前述したシングルプレーンモードにおけるものと同様である。
図16の(A)部において、画像検出動作Cm1は焦点距離D1とされ、駆動信号Cfの一周期のうち位相θ1で画像検出が行われる。
図17の(A)部において、画像検出動作Cm1では、焦点距離D1に対応した合焦面P1に合焦され、測定対象物9の部位91が合焦状態で画像検出される。
図18の(A)部において、画像検出動作Cm1による検出画像Im1は、部位91に対応する領域I91が、合焦した状態で検出されるため、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位92,93に対応する領域I92,I93は、合焦から外れた状態で検出されるため、それぞれ合焦面P1からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
そして、図17の(B)部のように、画像検出動作Cm2では、焦点距離D2に対応した合焦面P2に合焦され、測定対象物9の部位92が合焦状態で画像検出される。
その結果、図18の(B)部のように、画像検出動作Cm2による検出画像Im2は、部位92に対応する領域I92が明るく鮮明な画像として検出され、部位91,93に対応する領域I91,I93は暗く不鮮明な画像として検出される。
そして、図17の(C)部のように、画像検出動作Cm3では、焦点距離D3に対応した合焦面P3に合焦され、測定対象物9の部位93が合焦状態で画像検出される。
その結果、図18の(C)部のように、画像検出動作Cm3による検出画像Im3は、部位93に対応する領域I93が明るく鮮明な画像として検出され、部位91,92に対応する領域I91,I92は暗く不鮮明な画像として検出される。
その結果、フレームバイフレームモードにおいては、図18に示す検出画像Im1〜Im3が順次繰り返し得られることになる。
従って、フレームバイフレームモードでは、それぞれ画像検出動作Cm1〜Cm3において、シングルプレーン画像検出動作Cmsに相当する鮮明な検出画像Imsを得ることができる。とくに、マルチプレーンモードでは複数の焦点距離の検出画像の品質低下が避けられないのに対し、フレームバイフレームモードではこのような画像の劣化を避けることができる。
ただし、画像検出ループLPfが画像検出動作Cm1〜Cm3を含むため、一連の処理に要する時間が増大する点に注意する必要がある。
図19から図21は本実施形態におけるコンバインドモードの動作を示す。
コンバインドモードでは、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとを含む画像検出ループLPcを、レンズ制御部6に繰り返し実行させる。
ここで、図19および図20における駆動信号Cf、焦点距離Dt,Db、合焦面Pt,Pbは、図7および図8で説明した通りである。
図19から図21に示すコンバインドモードは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、2つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとで画像検出ループLPcが構成される例である。
画像検出ループLPcを構成するシングルプレーン画像検出動作Cmsおよびマルチプレーン画像検出動作Cmmは、前述したシングルプレーンモードおよびマルチプレーンモードにおけるものと同様である。
画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmは、焦点数np=3とされ、焦点距離D1,D2,D3が設定されている。
画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmに続くシングルプレーン画像検出動作Cmsは、画面数nf=2と指定され、この指定に基づき2つの画像検出動作Cm2,Cm3が設定されている。画像検出動作Cm2には焦点距離D1が設定され、画像検出動作Cm3には焦点距離D2が設定されている。
図20の(A)部において、画像検出動作Cm1のマルチプレーン画像検出動作Cmmでは、焦点距離D1,D2,D3に対応した合焦面P1,P2,P3に合焦され、測定対象物9の部位91,92,93が合焦状態で画像検出される。
図21の(A)部において、画像検出動作Cm1による検出画像Im1は、マルチプレーン画像検出動作Cmmによるマルチプレーン検出画像Immとなり、部位91,92,93に対応する領域I91,I92,I93は、それぞれ焦点距離D1,D2,D3のいずれかで合焦し、明るく鮮明な画像として検出される。
このうち、領域I92は、合焦している合焦面P2に対して他の合焦面P1,P3がそれぞれ近い距離にあるため、重畳される領域I91,I93が比較的暗くならず、結果として領域I91,I93よりも明るい画像として検出される。
これに対し、領域I91,I93では、それぞれ重畳される領域I93,I91が遠く、重畳される領域I91,I93が領域I92よりも暗くなり、結果として領域I92よりも暗い画像として検出される。
このため、検出画像Im1において、暗い領域I91,I93どうしの境界線I94は不明瞭になり、比較的明るい領域I92と暗い領域I93との境界線I95よりも更に判別しにくくなる可能性がある。
図20の(B)部において、画像検出動作Cm2のシングルプレーン画像検出動作Cmsでは、焦点距離D1に対応した合焦面P1に合焦され、測定対象物9の部位91が合焦状態で画像検出される。
図21の(B)部において、画像検出動作Cm2による検出画像Im2は、シングルプレーン画像検出動作Cmsによるシングルプレーン検出画像Imsとなり、部位91に対応する領域I91が、合焦した状態で検出されるため、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位92,93に対応する領域I92,I93は、合焦から外れた状態で検出されるため、合焦面P1からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
検出画像Im2においては、暗い領域I92,I93の境界線I95は不明瞭になるが、明るい領域I91と暗い領域I93との境界線I94は鮮明な画像として検出できる。
そして、図20の(C)部のように、画像検出動作Cm3では、焦点距離D2に対応した合焦面P2に合焦され、測定対象物9の部位92が合焦状態で画像検出される。
その結果、図21の(C)部のように、画像検出動作Cm3による検出画像Im3は、部位92に対応する領域I92が明るく鮮明な画像として検出され、部位91,93に対応する領域I91,I93は暗く不鮮明な画像として検出される。
その結果、コンバインドモードにおいては、図21に示す検出画像Im1〜Im3が順次繰り返し得られることになる。
このうち、画像検出動作Cm1では、他の合焦面に合焦した画像との重畳により検出画像の品質低下が避けられないものの、3つの焦点距離D1,D2,D3に合焦したマルチプレーン検出画像Immが得られる。
一方、画像検出動作Cm2,Cm3では、それぞれ1つの合焦面に合焦した画像しか得られないが、その合焦面にある領域I91または領域I92に合焦する画像は明るく鮮明にできる。
すなわち、図16のフレームバイフレームモードでは、3つの焦点距離D1,D2,D3に対して3つのシングルプレーン画像検出動作Cmsを行うことで、全ての焦点距離D1,D2,D3で高精度の画像検出を行っていた。
すなわち、5つの焦点距離を設定した1つのマルチプレーン検出画像Immと、高精度が必要な2つの焦点距離に設定されたシングルプレーン検出画像Imsとを含む画像検出ループLPcを用いることで、合計3フレーム分の画像検出動作Cm1〜Cm3により必要な検出画像を確保することができる。
このように、コンバインドモードを利用することで、必要な部分の高精度を確保しつつ、処理時間を短縮することができる。
図22から図24はコンバインドモードの異なる設定における動作を示す。
図19から図21で説明したコンバインドモードでは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmm(画像検出動作Cm1、焦点数np=3)と、2つのシングルプレーン画像検出動作Cms(画像検出動作Cm2,Cm3、画面数nf=2)とで画像検出ループLPcを構成していた。
これに対し、図22から図24のコンバインドモードでは、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmm(画像検出動作Cm1、焦点数np=3)と、1つのシングルプレーン画像検出動作Cms(画像検出動作Cm2、画面数nf=1)だけで画像検出ループLPcを構成している。このような画面数nf=1は、コンバインドモードの最小構成に相当する。
すなわち、画像検出動作Cm1による検出画像Im1は、マルチプレーン画像検出動作Cmmによるマルチプレーン検出画像Immとなり、部位91,92,93に対応する領域I91,I92,I93は、それぞれ焦点距離D1,D2,D3のいずれかで合焦し、明るく鮮明な画像として検出される。
図23の(B)部において、画像検出動作Cm2のシングルプレーン画像検出動作Cmsでは、焦点距離D3に対応した合焦面P3に合焦され、測定対象物9の部位93が合焦状態で画像検出される。
図24の(B)部において、画像検出動作Cm2による検出画像Im2は、シングルプレーン画像検出動作Cmsによるシングルプレーン検出画像Imsとなり、部位93に対応する領域I93が合焦した状態で検出され、明るく鮮明な画像として検出される。一方、部位91,92に対応する領域I91,I92は、合焦から外れた状態で検出されるため、各々合焦面P3からの距離に応じて暗く不鮮明な画像として検出される。
検出画像Im2においては、境界線I94も境界線I95が、暗い領域I91と明るい領域I93との境界、および、暗い領域I92と明るい領域I93との境界となるため、それぞれ鮮明な画像として検出できる。
以上に述べた実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態では、画像検出条件設定部711で設定した画像検出条件に基づいて、レンズ制御部6が焦点距離可変レンズ(液体レンズユニット3および対物レンズ2)を制御し、画像検出部4により画像検出を行うことができる。
この際、画像検出条件としてコンバインドモードを設定すると、画像検出部4は、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとを含む画像検出ループLPcを繰り返し実行する。
その結果、コンバインドモードで検出される画像は、マルチプレーン画像検出動作Cmmによるマルチプレーン検出画像Immでは、設定された全ての焦点距離に合焦した画像情報を含む。ただし、他の焦点距離の画像情報も含まれて必ずしも鮮明ではない。
一方、シングルプレーン画像検出動作Cmsによるシングルプレーン検出画像Imsでは、設定された焦点距離について鮮明な画像を得ることができる。
従って、コンバインドモードにおいては、マルチプレーン画像検出動作Cmmにより、従来のマルチプレーンモードと同様な結果が得られるとともに、シングルプレーン画像検出動作Cmsにより、従来のマルチプレーン画像検出動作Cmmでは得られなかった高い画像品質を得ることができる。
このように、本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1によれば、複数の焦点距離に対して十分な画像品質が得られるとともに画像検出時間を短縮することができる。
このため、本発明に基づくコンバインドモードと、従来のシングルプレーンモード、マルチプレーンモード、フレームバイフレームモードとを任意に選択することができ、必要に応じて従来同様な画像検出動作が確保できるとともに、本発明に基づくコンバインドモードの効果を得ることができる。
このため、対物レンズ2で基本的な結像が得られるとともに、液体レンズユニット3により焦点距離を変更可能である。液体レンズユニット3を用いることで、焦点距離を可変とするための機械的な手段が必要なく、装置構成を簡素化できる。また、液体レンズユニット3は、数十キロヘルツに及ぶ高速で焦点距離を周期的に変化させることができ、複数の焦点距離での画像を重畳したマルチプレーン検出画像Immも容易に得ることができ、本発明における焦点距離可変レンズとして最適である。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前述した実施形態では、コンバインドモードとして、1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、2つまたは1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとの組み合わせを用いた。ただし、本発明のコンバインドモードとしては、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作Cmmと、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作Cmsとが含まれていればよく、各々の数は任意に設定することができる。
Claims (4)
- 周期的に焦点距離が変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを通して測定対象物の画像検出を実行可能な画像検出部と、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離に関する画像検出条件に基づいて前記画像検出部に前記画像検出を実行させるレンズ制御部と、前記レンズ制御部に前記画像検出条件を設定する画像検出条件設定部と、を有する焦点距離可変レンズ装置であって、
前記画像検出条件設定部は、前記画像検出条件として、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返すコンバインドモードを設定可能であり、
前記マルチプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を複数設定可能であり、
前記シングルプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を1つ設定可能であることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 請求項1に記載した焦点距離可変レンズ装置において、
前記画像検出条件設定部は、複数の画像検出モードのいずれかを選択して前記レンズ制御部に設定可能であり、
前記画像検出モードは、前記コンバインドモードを含むとともに、シングルプレーンモードと、マルチプレーンモードと、フレームバイフレームモードとを含み、
前記シングルプレーンモードでは、前記焦点距離が1つ指定された前記シングルプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させ、
前記マルチプレーンモードでは、前記焦点距離が複数指定された前記マルチプレーン画像検出動作のみを含む画像検出ループを繰り返し実行させ、
前記フレームバイフレームモードでは、前記焦点距離が互いに異なる複数の前記シングルプレーン画像検出動作を含む画像検出ループを繰り返し実行させることを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 請求項1または請求項2に記載した焦点距離可変レンズ装置において、
前記焦点距離可変レンズが、入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体レンズユニットと、前記液体レンズユニットと同じ光軸上に配置された対物レンズと、を有することを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 周期的に焦点距離が変化する焦点距離可変レンズと、前記焦点距離可変レンズを通して測定対象物の画像検出を実行可能な画像検出部と、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離に関する画像検出条件に基づいて前記画像検出部に前記画像検出を実行させるレンズ制御部と、前記レンズ制御部に前記画像検出条件を設定する画像検出条件設定部と、を有する焦点距離可変レンズ装置を用い、
前記画像検出条件として、少なくとも1つのマルチプレーン画像検出動作と、少なくとも1つのシングルプレーン画像検出動作と、を含む画像検出ループを繰り返すコンバインドモードを設定し、
前記マルチプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を複数設定し、
前記シングルプレーン画像検出動作では、前記焦点距離可変レンズの前記焦点距離が変化する1周期の間に、前記画像検出を行う前記焦点距離を1つ設定することを特徴とする焦点距離可変レンズ制御方法。
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