JP2021089381A - 焦点距離可変レンズ装置および焦点距離可変レンズ制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図10に示すように、焦点距離可変レンズ装置では、まず、駆動信号の周波数(加振周波数)をスキャン範囲の下限値fminに合わせ(ステップS101)、この状態において、レンズシステムにおける現在の有効電力を最大有効電力として記録し(ステップS102)、現在の加振周波数を共振周波数として記録する(ステップS103)。
その後、加振周波数を所定量増加させ(ステップS104)、レンズシステムにおける現在の有効電力が最大有効電力として記録されている値よりも大きいか否かを判定する(ステップS105)。ステップS105でYesの場合、最大有効電力として記録される値を現在の有効電力に更新すると共に(ステップS106)、共振周波数として記録される値を現在の加振周波数に更新し(ステップS107)、ステップS108に進む。一方、ステップS105でNoの場合、そのままステップS108に進む。
ステップS108では、現在の加振周波数がスキャン範囲の上限値fmaxより大きいか否かを判定し、Yesの場合、周波数スキャン処理を終了し、Noの場合、ステップS104に戻る。
以上の周波数スキャン処理によれば、図11に示すように、有効電力のピーク値ppが最大有効電力として記録され、このピーク値ppが得られる周波数fppが共振周波数として記録される。
このような本発明によれば、従来技術のような広いスキャン範囲での周波数スキャン処理を行わずとも、レンズシステムに定在波を得ることができ、その結果、レンズシステムの起動に要する時間を短縮することができる。
このような本発明では、周波数スキャン処理におけるスキャン範囲を、推定値を含む所定の周囲に限定することができる。すなわち、本発明では、従来技術よりもスキャン範囲を狭い範囲に限定することができるため、周波数スキャン処理を実施しつつ、レンズシステムの起動に要する時間を短縮することができる。
このような本発明では、レンズシステムの再起動時がレンズシステムの停止時刻から所定時間内である場合、レンズシステムの温度状態に大きな変化がなく、レンズシステム3の共振周波数に大きな変化がない、という想定を前提としている。このような場合、共振ロック制御部によりレンズシステムの停止直前に調整されていた駆動信号の周波数を開始周波数に利用することにより、レンズシステムに定在波を得ることができる。これにより、推定値の算出にかかる時間が省略され、レンズシステムの起動に要する時間をより短縮することができる。
このような本発明においても、共振ロック制御部によりレンズシステムの停止直前に調整されていた駆動信号の周波数を開始周波数に利用することができる。これにより推定値の算出にかかる時間が省略され、レンズシステムの起動に要する時間をより短縮することができる。
このような本発明によれば、前述した焦点距離可変レンズ装置の効果と同様の効果を奏する。
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の第1実施形態である焦点距離可変レンズ装置1の全体構成が示されている。焦点距離可変レンズ装置1は、焦点位置Pfまでの焦点距離Dfを周期的に変化させつつ撮像領域におかれた測定対象物9の表面の画像を検出するものである。
図1に示すように、焦点距離可変レンズ装置1は、測定対象物9の表面に交差する同じ光軸A上に配置された対物レンズ2、レンズシステム3および画像検出部4と、測定対象物9の表面をパルス照明するパルス照明部5と、レンズシステム3などの動作を制御するレンズ制御部6と、レンズ制御部6を操作するための制御用PC7と、レンズシステム3の温度を測定する温度センサ8と、を備えている。
レンズシステム3は、液体共振式のレンズシステムであり、レンズ制御部6から入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。駆動信号Cfは、レンズシステム3が有する振動部材を振動させる正弦波状の交流信号である。駆動信号Cfの周波数(加振周波数)がレンズシステム3の共振周波数に調整されると、レンズシステム3の内部の液体に定在波が生じ、当該液体の屈折率が周期的に変化する。
本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1において、焦点位置Pfまでの焦点距離Dfは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、レンズシステム3の屈折率の変化に従って、周期的に変化する。
あるいは、温度センサ8は、レンズシステム3の周囲温度を測定するように設置されてもよい。すなわち、本実施形態では、室内に安置された起動前のレンズシステム3の温度情報Tmを利用するため、レンズシステム3の温度は、周囲温度と同一であると見なすことができる。
温度センサ8は、取得した温度情報Tmをレンズ制御部6に出力し、レンズ制御部6は、入力された温度情報Tmに基づいて、レンズシステム3の起動動作を行う。
レンズ制御部6は、レンズシステム3、画像検出部4およびパルス照明部5の各動作を制御する専用ユニットである。レンズ制御部6は、複数のIC等によってハードウェア的に構成されてもよいし、CPUを備えるコンピュータを中心に構成され、CPUがメモリ64に格納されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
振動状態検出部611は、駆動信号Cfに基づいて振動するレンズシステム3の振動状態Vfを検出する。レンズシステム3の振動状態Vfとしては、例えば、レンズシステム3に加えられる有効電力Rp、電圧、電流または電圧電流位相差などが挙げられる。あるいは、レンズシステム3の振動状態Vfは、レンズシステム3に設置した振動センサで検出され、振動状態検出部611に取得されてもよい。
ここで、レンズシステム3の共振周波数は、レンズシステム3の特性と、当該レンズシステム3の温度情報Tmとによって定まる。そこで、本実施形態では、温度情報Tmとレンズシステム3の共振周波数との関係を示すテーブルまたは演算式を、予めメモリ64に記憶させておく。共振周波数推定部612は、温度センサ8から取得した温度情報Tmを用いて、メモリ64内のテーブルまたは演算式に基づく演算を行うことにより、推定値feを算出することができる。
共振ロック制御部614は、振動状態検出部611により検出されたレンズシステム3の振動状態Vfに基づいて、加振周波数をレンズシステム3の共振周波数に追従させる。なお、共振ロック制御部614の具体的動作については、特開2018−189700号公報を参照可能である。
また、制御用PC7は、焦点距離可変レンズ装置1に対するユーザの操作を受け付ける操作インターフェイス73を備える。
図4は、本実施形態における開始周波数設定処理の手順を示すフローチャートである。例えば、作業者が操作インターフェイス73を操作し、レンズ操作部71がレンズシステム3の起動指令を駆動制御部61に入力すると、図4に示す開始周波数設定処理が開始する。
ステップS4の具体的な処理内容は、従来技術の周波数スキャン処理(図10参照)と同様であり、このステップS4によれば、有効電力Rpのピーク値ppが得られる周波数fppが共振周波数として記録される(図5参照)。ここで、本実施形態のスキャン範囲Rsは、従来技術のスキャン範囲(図11参照)よりも狭い範囲である。
なお、本実施形態では、有効電力Rpがピーク値ppを示す状態が、レンズシステム3の振動の目標状態に相当する。
次に、開始周波数設定部613は、開始周波数をステップS4で共振周波数として記録された周波数fppに設定する(ステップS5)。なお、ステップS3〜S5は、本発明の開始周波数設定ステップに相当する。
本発明の第2実施形態を図6に基づいて説明する。
本実施形態は、前述した第1実施形態の焦点距離可変レンズ装置1と共通の構成を有しつつ、第1実施形態とは異なる方法で開始周波数設定処理を行うものである。
次に、開始周波数設定部613は、開始周波数を、ステップS2で算出された推定値feに設定する(ステップS21;開始周波数設定ステップ)。
以上により、図6に示す開始周波数設定処理が終了する。その後、駆動制御部61は、開始周波数(推定値fe)に調整された駆動信号Cfをレンズシステム3に送る。これにより、レンズシステム3に定在波が形成され、稼働状態となる。
本発明の第3実施形態を図7〜図8に基づいて説明する。
本実施形態は、前述した第1実施形態および第2実施形態とは異なる方法で開始周波数を設定するものである。この本実施形態において、駆動制御部61Aは、第1実施形態の駆動制御部61が有する各機能に加えて、図7に示す判定部615をさらに有する。本実施形態の判定部615は、本発明の「経過時間判定部」に相当し、レンズシステム3の停止後、当該レンズシステム3の起動指令を受けた際、レンズシステム3の直前の停止時刻から所定時間経過しているか否かを判定する。
ここで、直前の加振周波数とは、レンズシステム3の前回の稼働時、共振ロック制御部614の制御によりレンズシステム3の共振周波数に追従していた加振周波数であり、メモリ64に記憶されている。また、ここで設定されるスキャン範囲Rsは、例えば直前の加振周波数を中心に含む範囲であり、従来技術で設定されるスキャン範囲よりも狭い範囲となる。
すなわち、開始周波数設定部613は、加振周波数をスキャン範囲Rsで掃引することで、レンズシステム3の共振周波数を検索し(ステップS4)、開始周波数を共振周波数(周波数fpp)に設定する(ステップS5)。
本発明の第4実施形態を図9に基づいて説明する。
本実施形態は、前述した第3実施形態の焦点距離可変レンズ装置1と共通の構成を有しつつ(図7参照)、第3実施形態とは異なる方法で開始周波数設定処理を行うものである。すなわち、本実施形態の判定部615は、本発明の「温度変化判定部」に相当し、レンズシステム3の現在の温度情報Tmとレンズシステム3の前回稼働の停止時点の温度情報Tmとの差(温度差ΔT)が所定範囲内であるか否かを判定する。
ここで、温度差ΔTに関する所定範囲は、レンズシステム3の共振周波数に大きな変化が現れない範囲で任意に設定される。また、レンズシステム3の稼働停止時点の温度情報Tmはメモリ64に記録されている。
ここで、直前の加振周波数とは、前記実施形態3と同様、レンズシステム3の前回稼働時、共振ロック制御部614の制御によりレンズシステム3の共振周波数に追従していた加振周波数であり、メモリ64に記憶されている。また、ここで設定されるスキャン範囲Rsは、例えば直前の加振周波数を中心に含む範囲であり、従来技術で設定されるスキャン範囲よりも狭い範囲となる。
すなわち、開始周波数設定部613は、加振周波数をスキャン範囲Rsで掃引することで、レンズシステム3の共振周波数を検索し(ステップS4)、開始周波数を共振周波数(周波数fpp)に設定する(ステップS5)。
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
例えば、共振ロック制御部614が前記第1実施形態で説明した方法とは異なるロック制御を行う場合(例えば特開2018−189700号公報を参照)、当該ロック制御における目標周波数を、開始周波数としてスキャン範囲Rsから検出してもよい。具体的には、有効電力Rpがピーク値に対して所定の比率になる2つの周波数のうちのいずれか一方の周波数を開始周波数として検出してもよいし、レンズシステム3に加えられる電流と電圧との位相差である電流電圧位相差がピークになる周波数を開始周波数として検出してもよい。
本発明の焦点距離可変レンズ装置は、前記各実施形態のような画像検出装置に適用されることに限定されず、焦点距離Dfが可変であることを利用した光学変位計などにも適用可能である。
Claims (5)
- 入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体共振式のレンズシステムと、
前記レンズシステムの温度情報を取得する温度センサと、
前記温度情報に基づいて、前記レンズシステムの共振周波数の推定値を算出する共振周波数推定部と、
前記推定値に基づいて、前記レンズシステムの開始周波数を設定する開始周波数設定部と、を備える
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 請求項1に記載の焦点距離可変レンズ装置において、
前記開始周波数設定部は、前記推定値を含むスキャン範囲を設定し、前記レンズシステムの振動を目標状態にさせる前記駆動信号の周波数を前記スキャン範囲内から検出し、当該周波数を前記開始周波数として設定する
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 請求項1または請求項2に記載の焦点距離可変レンズ装置において、
前記レンズシステムの稼働中、前記駆動信号を前記レンズシステムの共振周波数に追従させる共振ロック制御部と、
前記レンズシステムの停止後、前記レンズシステムの停止時刻から所定時間が経過しているか否かを判定する経過時間判定部と、をさらに備え、
前記開始周波数設定部は、
前記所定時間が経過していると判定された場合、前記開始周波数を前記推定値に基づいて設定し、
前記所定時間が経過していないと判定された場合、前記開始周波数を、前記共振ロック制御部によって前記レンズシステムの停止直前に調整された周波数に設定する
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 請求項1または請求項2に記載の焦点距離可変レンズ装置において、
前記レンズシステムの稼働中、前記駆動信号を前記レンズシステムの共振周波数に追従させる共振ロック制御部と、
前記レンズシステムの現在の前記温度情報と前記レンズシステムの前回稼働の停止時点の前記温度情報との差が所定範囲内であるか否かを判定する温度変化判定部と、をさらに備え、
前記開始周波数設定部は、
前記差が所定範囲内であると判定された場合、前記開始周波数を、前記共振ロック制御部によって前記レンズシステムの停止直前に調整された周波数に設定し、
前記差が前記所定範囲外であると判定された場合、前記開始周波数を前記推定値に基づいて設定する
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体共振式のレンズシステムと、前記レンズシステムの温度情報を取得する温度センサと、を有する焦点距離可変レンズ装置を用い、
前記温度情報に基づいて、前記レンズシステムの共振周波数の推定値を算出する共振周波数推定ステップと、
前記推定値に基づいて、前記レンズシステムの開始周波数を設定する開始周波数設定ステップと、を実施する
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ制御方法。
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