JP2019202546A - プラスチック製エンジンカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチック製エンジンカバーの製造方法及びプラスチック製エンジンカバーの提供。【解決手段】エンジンカバーが作られるプラスチック材料は、熱可塑性ポリマー材料であって、(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含むジカルボン酸から誘導される単位、(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含むジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位を含む半結晶性熱可塑性ポリアミドポリマーと、(b)熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料とを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、プラスチック製エンジンカバー、プラスチック製エンジンカバーの製造方法およびプラスチック製エンジンカバーを含むエンジンに関する。
本発明は、金属製エンジンカバーをプラスチック製エンジンカバーに置き換えようとするものである。このエンジンカバーは、特に、自家用車のエンジンで使用するためのものである。
エンジンカバーは、プラスチック製オイルパン、タイミングチェーンカバー、フロントエンジンカバー(すなわち、エンジンの縦置きまたは横置きにかかわらず、クランクシャフトとは反対側のカバー)、シリンダーヘッドカバー、タイミングチェーンカバー、または、出力クランクシャフトもしくはリアクランクシャフトカバーとも呼ばれるクランクケースカバーなど、様々な形状、および様々な機能を有するものであり得る。
問題点の1つは、エンジンカバーが多要素のモジュール組立体の一部であり、多くの部品またはモジュールに機械的に固定されていることである。この場合、エンジンカバーは、エンジン内の、嵌合部品およびモジュールの不規則表面と適切に一致しなければならない。そのような多要素のモジュール組立体において金属カバーをプラスチック材料に置き換えることには、いくつかの問題がある。
エンジンカバーは、オイル、水、水/グリコール混合物、メタノール、エタノール、ガソリンベースの燃料、潤滑剤、グリース、ブレーキ液、オーチマチックトランスミッション液、ステアリング液、道路用の塩、バイオ燃料、ディーゼル燃料などの、多くの流体と接触するか、または接触し得る。カバーは、これらの流体をエンジンから漏洩させないために、これらをエンジンから隔離しておくために、またはそのような液体と接触することによるカバーの劣化を避けるために密閉しなければならない。密閉機能は、機械的な締め付けによる直接接触によって、または密閉要素を追加することによって達成し得る。密閉要素は、例えば、現場成型、現場硬化、または予備硬化させた、シリコーンRTV(室温硬化性)、フルオロエラストマ(FKM)、プリフォームゴム、プレスインプレイス型(press in place)ゴム、または合成ゴムであり得る。さらに、エンジンの作動により、エンジンカバーの作動環境は、−60〜230℃の温度サイクルを含む。装架には異なるシステムが適用され得る。例えば、モジュール装架要素では、1800N以上の荷重が加わり得るが、締め付け荷重は60kNであり得る。内部圧力も変化し得、例えば、冷却システムのウォーターポンプの圧力は500kNであり得るが、クランクケースの内部圧力は30MPaになり得る。エンジンカバーは、そのような高圧に耐えなければならない。
したがって、エンジンカバーに重要な要件は、広い温度範囲および広い圧力範囲にわたって適切な密閉性を提供すること、およびそのような密閉機能が長い寿命期間にわたって各種流体と接触しながら維持されることである。
機械的な負荷をほとんど受けないトップカバーなどの要求の厳しくない用途では、プラスチック製エンジンカバーが既に実際に使用されているが、タイミングチェーンカバー、クランクケースカバーまたは(リア)クランクシャフトカバーなどの、要求のより厳しいエンジンカバーでは、プラスチック製エンジンカバーは、要求される機能を提供できていない。具体的に重要な問題点は、プラスチック部分で繋がっている多数の金属部品間の不適合によって生じる大きな応力を緩和できず、これらの部品間の密閉性を維持できないことであり、これにより密閉性が不十分となる。
様々な種類のエンジンカバーに対する他の問題点は、エンジンカバーの穴に通さなければならない要素を含む、エンジン内の嵌合部品およびモジュールと一致整列させることである。そのようなエンジンカバーは、複雑な形状を有するのみならず、寸法的形状および密閉機能がより一層重要である。このことは、タイミングチェーンカバー、タイミングベルトカバーおよびクランクシャフトカバーなどのエンジンカバーの場合に特にあてはまる。
本発明の目的は、広い温度範囲および広い圧力範囲にわたって良好な密閉性を有し、かつその密閉機能が各種エンジン流体と接触しながら長い寿命期間にわたって維持される、プラスチック製エンジンカバーおよびその製造方法を提供することである。
この目的は、本発明の方法および本発明のプラスチック製エンジンカバーにより達成された。
一実施形態では、本発明は、プラスチック製エンジンカバーの製造方法であって、
(A)射出成型機と、エンジンカバーの形状のキャビティを有する型とを含む射出成形装置を準備する工程、
(B)射出成型用熱可塑性ポリマー材料であって、
(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含む、ジカルボン酸から誘導される単位、
(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含む、ジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、
(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)
および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位
を含む半結晶性熱可塑性ポリアミドポリマーと、
(b)熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料と
を含む材料を準備する工程、ならびに
(C)射出成型装置内で射出成型用熱可塑性ポリマー材料を溶融処理し、射出成型用熱可塑性材料をキャビティに射出し、射出された射出成型用熱可塑性材料を固化して固体成型品とし、固体成型品を型から取り出す工程
を含む、方法を提供する。
(A)射出成型機と、エンジンカバーの形状のキャビティを有する型とを含む射出成形装置を準備する工程、
(B)射出成型用熱可塑性ポリマー材料であって、
(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含む、ジカルボン酸から誘導される単位、
(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含む、ジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、
(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)
および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位
を含む半結晶性熱可塑性ポリアミドポリマーと、
(b)熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料と
を含む材料を準備する工程、ならびに
(C)射出成型装置内で射出成型用熱可塑性ポリマー材料を溶融処理し、射出成型用熱可塑性材料をキャビティに射出し、射出された射出成型用熱可塑性材料を固化して固体成型品とし、固体成型品を型から取り出す工程
を含む、方法を提供する。
他の実施形態では、本発明は、プラスチック材料で作られたエンジンカバーであって、エンジンカバーが作られるプラスチック材料は、
(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含むジカルボン酸から誘導される単位、
(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含むジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、
(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)
および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位
を含む半結晶熱可塑性ポリアミドポリマーと
(b)熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料と
を含む熱可塑性ポリマー材料である、エンジンカバーを提供する。
(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含むジカルボン酸から誘導される単位、
(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含むジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、
(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)
および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位
を含む半結晶熱可塑性ポリアミドポリマーと
(b)熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料と
を含む熱可塑性ポリマー材料である、エンジンカバーを提供する。
上記材料および上記方法でそれぞれ作られた、本発明のプラスチック製エンジンカバーの効果は、プラスチック製エンジンカバーが、広い温度範囲にわたって良好な密閉性を提供することである。さらに、プラスチック製エンジンカバーは、グリコール/水混合物に対して良好な耐性を有し、バイオ燃料浸透性が非常に低く、かつLoctite 5904 RTV(Henkel、ドイツ(Germany)より)などの従来のガスケット材料と良好に適合する。
テレフタル酸から誘導される単位およびジアミノブタンから誘導される単位を含むポリアミドと、ガラス繊維強化材とを組み合わせた材料から作られた、本発明のプラスチック製エンジンカバーが、多くのアルミニウム部品を有するエンジンにおいて、他のポリアミド材料より、密閉性に関してより良好な性能を発揮することが観察された。この性能の差は、そのような他の材料が、例えば、アルミニウムにより近い熱膨張率を有しているにもかかわらず生じている。
本発明の好ましい実施形態では、プラスチック製エンジンカバーに使用する熱可塑性ポリマー材料は、ジカルボン酸から誘導される単位(a.i)が、単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも80モル%、好ましくは85〜95モル%のテレフタル酸から誘導される単位からなり、かつ/またはジアミンから誘導される単位(a.ii)が、単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも30モル%、好ましくは40〜75モル%のジアミノブタンから誘導される単位からなるポリアミドを含む。
他の好ましい実施形態では、熱可塑性ポリマー材料は、(a)30〜75重量%の半結晶性熱可塑性ポリアミドポリマーと、(b)25〜60重量%のガラス繊維強化材料を含む。ここでは、重量%は熱可塑性ポリマー材料の全重量に対するものである。ガラス繊維強化材料は、熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、例えば、約30重量%、約40重量%または約50重量%の量で含まれることが適切である。
本発明のプラスチック製エンジンカバーに使用する熱可塑性ポリマー材料は、(a)および(b)以外の、1種以上の成分(c)を含むことが適切である。これらの他の成分は、射出成型用熱可塑性ポリマー材料で使用される任意の補助成分であり得る。その材料は、例えば、安定剤、加工助剤、フィラー、顔料、難燃剤、衝撃改質剤などから選択される1種以上の成分を含むことが適切である。
(c)の量は広い範囲で、例えば、熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して0.01〜50重量%の範囲で変わり得る。(c)の量は、熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、0.1〜30重量%の範囲であることが適切であり、特に(c)は、全量で、多くとも20重量%含まれることが適切である。特定の成分の量は、それらが密閉性、ならびに耐オイル性および耐水/グリコール性などの特性を補強しないように選択されるであろう。
本発明のプラスチック製エンジンカバーの良好な密閉性は、エンジン部品の要素を受ける少なくとも1つの穴を含むエンジンカバーに特に有利に適用される。ここでは、エンジンカバーは、タイミングチェーンカバー、タイミングベルトカバーまたはクランクシャフトカバーが適している。
半結晶熱可塑性ポリアミドポリマーは、少なくとも1.8の相対粘度を有することが適切である。相対粘度は、例えば、少なくとも2.0、または少なくとも2.2のように、より高くてもよい。例えば、1.8〜2.0の範囲のような低い相対粘度は、より低いCLTE値を得るのに好都合であり、例えば、2.0〜3.0の範囲のようなより高い相対粘度は、許容できるCLTEを与え、同時に耐水/グリコール性が改善されることが観察された。2.0〜2.6の範囲の相対粘度で、CLTEと耐水/グリコール性の最適なバランスが得られる。本明細書では、相対粘度(RV)は、ISO 307、第4版の方法にしたがい、96%硫酸中、25℃で測定される。
上述のように、熱可塑性ポリマー材料は、必ずしも特定の低いプラスチック線熱膨張係数(CLTE)を有さなくてもよい。CLTEは、他のポリアミドベースの熱可塑性ポリマー材料より高くてもよく、アルミニウムからさらに離れていてもよく、それでも依然として良好な密閉性を示す。熱可塑性ポリマー材料は、ISO 11359−2の方法により20℃で測定される平行方向の線熱膨張係数(CLTE)が、2.6〜3.5×10−5/℃の範囲、特に2.8〜3.3×10−5/℃の範囲であることが適切である。
本発明はまた、金属から作られたエンジンブロックおよび他の部品、ならびに、エンジンブロック上に組み立てられ固定されたプラスチック製エンジンカバーを含むエンジンであって、エンジンカバーが、上述のような、本発明の、あるいは任意の特定のもしくは好ましい実施形態の、またはこれらの組み合わせからなるプラスチック製エンジンカバーである、エンジンに関する。
前記エンジンの好ましい実施形態では、プラスチック製エンジンカバーは、1つ以上の穴を含み、エンジンはその穴を通って突き出る1要素、またはそれぞれが1つの穴を通って突き出る2以上の要素を含み、その要素群はエンジンカバーとともに密閉機能に携わる。ここでは、要素は、1つ以上のクランクシャフトまたは水ポンプの部品であることが適切である。
エンジンの特定の実施形態では、エンジンカバーは、タイミングチェーンカバー、タイミングベルトカバーまたはクランクシャフトカバーである。
以下の実施例と比較実験により、本発明をさらに説明する。
[方法]
[線熱膨張係数(CLTE)]
ISO 11359−2 1999の方法により、20℃において、30×10×4mmの寸法の多目的試験標本(ISO 3167にしたがい、射出成型により成型した)について、平行または流れ方向のCLTEを測定した。測定は10個の試料について行い、その平均値を算出した。
[線熱膨張係数(CLTE)]
ISO 11359−2 1999の方法により、20℃において、30×10×4mmの寸法の多目的試験標本(ISO 3167にしたがい、射出成型により成型した)について、平行または流れ方向のCLTEを測定した。測定は10個の試料について行い、その平均値を算出した。
[材料]
PA−1 90モル%のテレフタル酸単位および50mol%のジアミノブタン単位を含む半芳香族ポリアミドと、ガラス繊維30重量%を含む射出成型用熱可塑性ポリアミド組成物;CLTE 3.0×10−5/℃(オランダ(The Netherlands)、DSM Engineering Plastics B.V.より)。ここでは、半芳香族ポリアミドの相対粘度は2.3であった。測定は、高真空(すなわち、50mbar未満)下、80℃で24時間予備乾燥させたポリマー1gを100mlの硫酸に溶解した濃度のポリマー溶液について行った。SchottのDIN−Ubbelohde(ref.no.53020)を使用して、25℃で、溶液のフロー時間(t)および溶媒のフロー時間(to)を測定した。相対粘度はt/t0で定義される。
PA−1 90モル%のテレフタル酸単位および50mol%のジアミノブタン単位を含む半芳香族ポリアミドと、ガラス繊維30重量%を含む射出成型用熱可塑性ポリアミド組成物;CLTE 3.0×10−5/℃(オランダ(The Netherlands)、DSM Engineering Plastics B.V.より)。ここでは、半芳香族ポリアミドの相対粘度は2.3であった。測定は、高真空(すなわち、50mbar未満)下、80℃で24時間予備乾燥させたポリマー1gを100mlの硫酸に溶解した濃度のポリマー溶液について行った。SchottのDIN−Ubbelohde(ref.no.53020)を使用して、25℃で、溶液のフロー時間(t)および溶媒のフロー時間(to)を測定した。相対粘度はt/t0で定義される。
PA−2 Stanyl TW200F6、すなわち、ポリアミド−4,6と、ガラス繊維30重量%を含む射出成型用熱可塑性ポリアミド組成物、CLTE 2.5×10−5/℃(オランダ、DSM Engineering Plastics B.V.より)。
PA−3 Zytel HTN 52 G35、すなわち、テレフタル酸単位およびジアミノヘキサンをベースとする半芳香族ポリアミドと、ガラス繊維35重量%を含む射出成型熱可塑性ポリアミド組成物、CLTE 2.1×10−5/℃(米国(USA)、DuPont Companyより)。
[タイミングチェーンカバーにおける密閉性]
アルミニウム製エンジンブロックとともに組立てられるタイミングチェーンカバー用に設計された型で、−40〜150℃の範囲にわたって温度を変化させることにより、3種のポリアミド材料を評価した。PA−2およびPA−3のCLTEの方が、アルミニウムの2.3×10−5/℃(ロンドン(London)SE18HN、Boundery Row 2−6のChapman & Hallにより1993年に刊行された、Gere and Timoshenko著、Mechanics of Materials,Third SI Edition,782ページからの値)に、より大幅に近いにもかかわらず、PA−1の密閉性能は、それら両材料よりはるかに優れているようであった。
アルミニウム製エンジンブロックとともに組立てられるタイミングチェーンカバー用に設計された型で、−40〜150℃の範囲にわたって温度を変化させることにより、3種のポリアミド材料を評価した。PA−2およびPA−3のCLTEの方が、アルミニウムの2.3×10−5/℃(ロンドン(London)SE18HN、Boundery Row 2−6のChapman & Hallにより1993年に刊行された、Gere and Timoshenko著、Mechanics of Materials,Third SI Edition,782ページからの値)に、より大幅に近いにもかかわらず、PA−1の密閉性能は、それら両材料よりはるかに優れているようであった。
[接着試験]
ASTM D1002、「Apparent Shear strength of single Lap Joint Adhesively Bonded Metal Specimens by tension Loading」にしたがって、接着試験を行った。使用した材料は、PA−1、両者ともHenkelのRTVシリコーン製品である接着剤、Loctite 5904(ADH−1)およびLoctite 5999(ADH−2)、Dexos(登録商標)−1エンジンオイル、ならびに2024Aluminum Lap Shear材料である。PA−1を板に成型し、切断して、25.4mm×101.6mmの試料を得た。研磨により新たな表面を露出させた、1.5×25.4×101.6mmのAluminum Lap Shear片を試料に接着させた。そのようにして得た試験試料を、150℃のエンジンオイルに浸漬し、168時間および504時間保持した。その後、オイルから試験試料を取出し、室温にまで冷却し、残留オイルを除去した。ラップ剪断強度(LSS)および接合部変位量を測定し、破壊様相を検査した。凝集破壊(CF)の割合を報告した。結果を、オイルに浸漬させなかった対照用試料と比較した。各条件に対して、5個の試料を試験し、平均値を算出した。結果を表1に示す。
ASTM D1002、「Apparent Shear strength of single Lap Joint Adhesively Bonded Metal Specimens by tension Loading」にしたがって、接着試験を行った。使用した材料は、PA−1、両者ともHenkelのRTVシリコーン製品である接着剤、Loctite 5904(ADH−1)およびLoctite 5999(ADH−2)、Dexos(登録商標)−1エンジンオイル、ならびに2024Aluminum Lap Shear材料である。PA−1を板に成型し、切断して、25.4mm×101.6mmの試料を得た。研磨により新たな表面を露出させた、1.5×25.4×101.6mmのAluminum Lap Shear片を試料に接着させた。そのようにして得た試験試料を、150℃のエンジンオイルに浸漬し、168時間および504時間保持した。その後、オイルから試験試料を取出し、室温にまで冷却し、残留オイルを除去した。ラップ剪断強度(LSS)および接合部変位量を測定し、破壊様相を検査した。凝集破壊(CF)の割合を報告した。結果を、オイルに浸漬させなかった対照用試料と比較した。各条件に対して、5個の試料を試験し、平均値を算出した。結果を表1に示す。
結果は、PA−1材料が試験したRTVシリコーンに対して良好な接着性を有し、またアルミニウム片との結合が高温オイルでの処理後も十分に維持されていることを示しており、同様に良好なオイル耐性を説明している。
[耐水/グリコール性]
ポリアミド材料、PA−1、PA−2およびPA−3を、射出成型機により型で成型し、ISO 527/1Aの多目的試料に合うテストバーを形成した。テストバーの厚さは4mmであった。射出成型機内の溶融物の温度をポリアミドの融点より約20℃高く設定し、型の温度をポリアミドのガラス転移点より約20℃低く設定した。
ポリアミド材料、PA−1、PA−2およびPA−3を、射出成型機により型で成型し、ISO 527/1Aの多目的試料に合うテストバーを形成した。テストバーの厚さは4mmであった。射出成型機内の溶融物の温度をポリアミドの融点より約20℃高く設定し、型の温度をポリアミドのガラス転移点より約20℃低く設定した。
テストバーを使用して、高温での耐水/グリコール性を測定した。加圧容器内で、テストバーを水/エチレングリコール混合物(重量で50/50)中に浸漬し、様々な時間、120℃に維持した。種々の時間間隔でテストバーを取出し、室温にまで冷却し、ティッシュペーパーで乾燥させた。23℃で、ISO 527に規定の引張試験を行い、機械特性(引張弾性率[MPa]、引張強さ[MPa]、破断伸び[%])を測定した。各測定で、4本のテストバーを試験し、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
表2の結果は、本発明の範囲内の材料であるPA−1が、高温の水/グリコール混合物に長時間曝露された後も、極めて良好にその機械特性を維持していることから、PA−2およびPA−3よりはるかに良好な耐水/グリコール性を有していることを示している。特に、PA−1の引張強さおよび伸びが、4000時間後も非常に良好に保持されているが、PA−2およびPA−3では、これらの特性は大きく減少している。
Claims (13)
- プラスチック製エンジンカバーの製造方法であって、
(A)射出成型機と、前記エンジンカバーの形状のキャビティを有する型とを含む射出成形装置を準備する工程、
(B)射出成型用熱可塑性ポリマー材料であって、
(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含む、ジカルボン酸から誘導される単位、
(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含む、ジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、
(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)
および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位
を含む半結晶性熱可塑性ポリアミドポリマーと、
(b)前記熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料と
を含む材料を準備する工程、ならびに
(C)前記射出成型装置内で前記射出成型用熱可塑性材料を溶融処理し、前記射出成型用熱可塑性材料を前記キャビティに射出し、前記射出された射出成型用熱可塑性材料を固化して固体成型品とし、前記固体成型品を前記型から取り出す工程
を含む方法。 - プラスチック材料で作られたエンジンカバーであって、前記エンジンカバーが作られる前記プラスチック材料は、熱可塑性ポリマー材料であって、
(a)(a.i)単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも75モル%のテレフタル酸から誘導される単位を含むジカルボン酸から誘導される単位、
(a.ii)単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも20モル%のジアミノブタンから誘導される単位を含むジアミンから誘導される単位、および、任意選択により、
(a.iii)その他の単位であって、存在するとすれば、(a.i)、(a.ii)
および(a.iii)の全モル量に対して、多くとも10モル%のモル量で存在する単位
を含む半結晶熱可塑性ポリアミドポリマーと
(b)前記熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、少なくとも20重量%のガラス繊維強化材料と
を含む材料であるエンジンカバー。 - 前記ジカルボン酸から誘導される単位(a.i)が、単位(a.i)の全モル量に対して、少なくとも80モル%、好ましくは85〜95モル%のテレフタル酸から誘導される単位からなり、かつ/または前記ジアミンから誘導される単位(a.ii)が、単位(a.ii)の全モル量に対して、少なくとも30モル%、好ましくは40〜75モル%のジアミノブタンから誘導される単位からなる請求項2に記載のエンジンカバー。
- 前記熱可塑性ポリマー材料が、(a)30〜75重量%の前記半結晶性熱可塑性ポリアミドポリマーと、(b)25〜60重量%の前記ガラス繊維強化材料とを含む(ここで、前記重量%は前記熱可塑性ポリマー材料の全重量に対するものである)請求項2または3に記載のエンジンカバー。
- 前記熱可塑性ポリマー材料が、(c)1種以上の他の成分を含む請求項2〜4のいずれか一項に記載のエンジンカバー。
- (c)が、前記熱可塑性ポリマー材料の全重量に対して、全量で、0.1〜30重量%の範囲で含まれる請求項2〜5のいずれか一項に記載のエンジンカバー。
- 前記エンジン部品の要素を受ける少なくとも1つの穴を含む請求項2〜6のいずれか一項に記載のエンジンカバー。
- 前記熱可塑性ポリマー材料は、ISO 11359−2、1999の方法により20℃で測定される平行方向の線熱膨張係数(CLTE)が、2.6〜3.5×10−5/℃の範囲である請求項2〜7のいずれか一項に記載のエンジンカバー。
- 前記半結晶熱可塑性ポリアミドポリマーは、少なくとも2.0の相対粘度を有する請求項2〜8のいずれか一項に記載のエンジンカバー。
- 金属から作られたエンジンブロックと、前記エンジンブロック上に組み立てられ固定されたプラスチック製エンジンカバーとを含むエンジンであって、前記エンジンカバーが、請求項2〜8のいずれか一項に記載のプラスチック製エンジンカバーであるエンジン。
- 前記エンジンカバーは、1つ以上の穴を含み、前記エンジンは前記穴を通って突き出る単数の要素、またはそれぞれが1つの穴を通って突き出る複数の要素を含み、前記要素は前記エンジンカバーとともに密閉機能に携わる請求項10に記載のエンジン。
- 前記要素は、1つ以上のクランクシャフトまたは水ポンプの部品である請求項10に記載のエンジン。
- 前記エンジンカバーは、タイミングチェーンカバー、タイミングベルトカバーまたはクランクシャフトカバーである請求項10に記載のエンジン。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US201261644596P | 2012-05-09 | 2012-05-09 | |
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JP2019132947A Pending JP2019202546A (ja) | 2012-05-09 | 2019-07-18 | プラスチック製エンジンカバー |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019202546A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61278561A (ja) * | 1985-06-04 | 1986-12-09 | Ube Ind Ltd | ガラス短繊維入りポリアミド組成物およびメツキ成形体 |
JPH0755015A (ja) * | 1993-05-05 | 1995-03-03 | Freudenberg Nok General Partnership | ハウジングカバーおよびシール組立体 |
JP2002028934A (ja) * | 2000-04-07 | 2002-01-29 | Pacific Ind Co Ltd | エンジンカバーおよびその製造方法 |
JP2004306486A (ja) * | 2003-04-09 | 2004-11-04 | Kuraray Co Ltd | ポリアミドからなる成形品の製造方法 |
JP2006348057A (ja) * | 2004-05-21 | 2006-12-28 | Mitsubishi Chemicals Corp | ポリアミド樹脂 |
JP2007031484A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-02-08 | Unitika Ltd | エンジンカバー用ポリアミド樹脂組成物および該組成物を用いて製造されたエンジンカバー |
-
2019
- 2019-07-18 JP JP2019132947A patent/JP2019202546A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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