JP2019201015A - レーザー装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、ロッド状のレーザー材料の周囲に冷媒の流路を形成するとともに、その上流側に羽根車を設けることによって、レーザー材料の側面に均一の流れを生じさせ、レーザー材料の温度分布の不均一を抑制する技術を開示している。
特許文献2は、ディスク状のレーザー材料の裏面に液体金属を収納した冷却器を配置した冷却機構を開示している。
特許文献3は、スラブ形状のレーザー材料の外周に冷媒の流路を形成した冷却機構を開示している。
本発明は、かかる課題に鑑み、液体金属を冷媒として用い、レーザー装置の冷却効率の向上を図ることを目的とする。
レーザー光を射出するレーザー材料と、
前記レーザー材料を励起するための励起用レーザーを、前記レーザー光が射出される軸方向から前記レーザー材料に照射する励起機構と、
液体金属を冷媒として前記レーザー材料の端面以外の部分を冷却する冷却機構と、
前記レーザー材料および冷却機構の少なくとも一方が、冷却に伴って前記レーザー材料に生じる温度分布の偏りによる影響を抑制するための温度分布抑制構造を有するレーザー装置として構成することができる。
また、本発明には、温度分布抑制構造が設けられている。レーザー材料に温度分布の偏りが生じると、これによって射出されるレーザー光の品質が低下したり、発振できなくなったり、レーザー材料が損傷したり、といった悪影響が生じることがある。レーザー材料の冷却効率が低下すれば、かかる悪影響は、より顕著となるおそれがある。温度分布抑制構造は、こうした温度分布の偏りに起因する影響を抑制するための構造である。本発明では、このように温度分布抑制構造を設けることにより、かかる悪影響を緩和しながら、冷却効率を向上させることが可能となるのである。液体金属を利用することにより、熱伝達率の差違によって、冷却水を用いる場合よりも10倍程度の冷却効率向上が見込まれることになる。
液体金属としては、室温で液体となる種々の金属、即ち融点が室温以下である金属を利用可能であり、ガリウム、インジウム、水銀、すず、鉛、亜鉛、ビスマスなどから選択することができる。
<第1の態様>
第1の態様として、本発明のレーザー装置においては、
前記温度分布抑制構造は、前記レーザー材料を軸方向に長い形状とするとともに、レーザー材料内でレーザー光が側面に反射しながら進む構造とし、
前記冷却機構は、液体金属を前記レーザー材料の外周側面に直接、または該レーザー材料の外周側面に施されたコーティングを介して接触させる機構であるものとしてもよい。
このようにレーザー材料内をレーザー光が反射しながら進む構造とすることにより、レーザー材料内に温度分布の偏りが生じたとしても、レーザー光は種々の温度分布の領域を通過することになるから、温度分布の偏りによる影響を平均化し、緩和することができる。その上で、第1の態様によれば、レーザー材料を直接またはコーティングを介して液体金属に接触させることができるため、冷却効率の向上を図ることができる。
前記冷却機構は、前記液体金属を貯留する冷却槽を備え、
前記レーザー材料は、側面のみが前記液体金属に接触するよう端面を前記冷却槽外に出した状態で、前記冷却槽内に収容されているものとしてもよい。
この態様においては、冷却槽に液体金属の供給口、排出口を設け、冷却槽内の液体金属が入れ替わるようにすることが好ましいが、必須ではない。例えば、液体金属が入れ替わらない構造であっても、レーザー材料で生じる熱に対して冷却槽が十分な容量をもたせることにより、レーザー装置の使用中は冷却効果を維持することは可能である。
前記冷却槽に前記液体金属を供給するための供給口は前記レーザー材料の一方の端面近傍に形成され、
前記液体金属を前記冷却槽から排出するための排出口は前記レーザー材料の他方の端面近傍に形成されているものとしてもよい。
第2の態様として、本発明のレーザー装置においては、
前記温度分布抑制構造は、前記レーザー材料を、励起用レーザーによって励起される薄板状のホスト材料と、透光性を有するディスク状の放熱部材とを交互に積層したDFC(Distributed Face Cooling)構造であり、
前記冷却機構は、前記放熱部材を前記液体金属で冷却する機構であるものとしてもよい。
第2の態様においても、ホスト材料としては、先に説明したYAGなどを用いることができる。放熱部材としては、サファイア、ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、他元素を添加していないYAG、SiC(シリコンカーバイド)などを用いることができる。
前記ホスト材料の側面を断熱素材でコーティングしてもよい。
断熱素材は、テフロン(登録商標)、ガラス、真空などとすることができる。真空を断熱素材として用いる場合には、ホスト材料の側面に、真空の空間を形成すればよい。
前記冷却機構は、前記レーザー材料の端面以外の部分に沿って前記液体金属を流す流路を有し、該流路内に前記放熱部材の外周部分を突出させた機構であるものとしてもよい。
前記流路に前記液体金属を供給するための供給口は前記レーザー材料の一方の端面側に前記軸方向に開口して形成され、
前記液体金属を前記流路から排出するための排出口は前記レーザー材料の他方の端面側に前記軸方向に開口して形成され、
前記供給口と排出口は、該レーザー材料の光軸周りに回転させた位置関係にあるものとしてもよい。
供給口と排出口は、360度の周内に均一に配置することがより好ましい。例えば、供給口と排出口とをそれぞれ1つずつ設ける場合には、相互に180度ずらした位置に設ければよい。2つずつ設ける場合には、90度ずつずらした位置に設ければよい。
前記冷却機構は、前記液体金属を循環させる循環流路を有しており、
該循環流路の内面は、該循環流路を形成する素材よりも前記液体金属の濡れ性を低減させるためのコーティングが施されているものとしてもよい。
しかも、上記態様では、循環流路に、濡れ性を低減させるためのコーティングが施されている。液体金属は、一般に濡れ性が非常に高いため、循環する過程で圧力損失が生じやすいが、かかるコーティングを施すことにより圧力損失を抑制できる利点がある。コーティングには、例えば、テフロン(登録商標)、グラファイトなどを用いることができる。
また、循環流路を金属で形成する場合、液体金属によって、流路が金属脆性を誘発することがあるが、コーティングを施すことにより金属脆性を抑制することができる効果もある。
また、本発明は、レーザー装置としての態様の他、レーザー装置の冷却機構、若しくはレーザー装置の冷却方法など、種々の態様で構成することも可能である。
図1は、実施例としてのレーザー装置の構成を模式的に示す説明図である。このレーザー装置において、レーザー材料・冷却機構20には、励起されてレーザー光を発振するレーザー材料が組み込まれている。このレーザー材料と、高反射ミラーとしてのダイクロイックミラー3、および出力ミラー5が共振器を構成する。
レーザー装置は、レーザー材料を励起するための励起用レーザーとして、半導体レーザー6を有する。半導体レーザー6から射出されたレーザー光は、光ファイバーによって導かれ、照射器7から励起用レーザー光L1として照射される。励起用レーザー光L1は、コリメートレンズ1、集光レンズ2を介して集光されながら、ダイクロイックミラー3を透過し、レーザー材料に照射される。こうすることによって、レーザー材料が励起され、レーザー光L2が発振される。本実施例では、出力されるレーザー光は連続光となるが、レーザー材料後段にQスイッチレーザーを設けることで、パルス光とすることもできる。
テフロン(登録商標)によるコーティングは、必ずしも循環流路11の全体に施されている必要はなく、一部にのみ施されていても良い。また、ポンプ内などに施しても良い。
冷却機構21は、内部が中空の直方体であり、液体金属を貯留することができる。上面には、液体金属を供給するための供給口22が設けられ、下面には、液体金属を排出するための排出口23が設けられている。供給口22および排出口23は、図1に示した循環流路11に接続されている。
冷却機構21内の液体金属もレーザー光を反射させる効果を奏することができるから、上述のコーティングを施すことなくレーザー材料24を液体金属に浸すようにしてもよい。こうすることにより、レーザー材料24を直接液体金属に接触させることができるから、より冷却効果を向上させることができる。
図2の例では、レーザー材料24の両端が冷却機構21の側面から突出している状態を示したが、レーザー材料24の全体を冷却するという観点から、突出長さは短い方が好ましく、端面24b、24cが側面に面一とすることがより好ましい。
供給口22、排出口23は、図2に示した他、種々の位置に設けることができる。もっとも、供給口22、排出口23のいずれもレーザー材料24の端面24b、24cの付近に液体金属の淀みが生じない程度の位置に設けることが好ましい。
ホスト材料46の側面には、断熱材としてのテフロン(登録商標)のコーティング47が施されている。
放熱部材45が液体金属に接触するのに対し、ホスト材料46は、テフロン(登録商標)のコーティング47が流路の一部を形成しており、液体金属に直接接触してはいない。テフロン(登録商標)は断熱効果を有するため、かかる構造は、ホスト材料46が側面から冷却されることを抑制する効果を生じ、ホスト材料46に温度分布の偏りが生じることを抑制している。テフロン(登録商標)に代えて断熱性を有する他の素材を用いてもよいし、ホスト材料46と流路44との間に空隙を形成し、この部分を真空にしてもよい。
また、積層したDFC構造において放熱部材45の外周部分を流路44に突出させることによって、流路44には、放熱部材45による凹凸が形成されることとなり、液体金属に乱流f1を生じさせることができる。かかる効果によっても、冷却効率を向上させることができる。
2 集光レンズ
3 ダイクロイックミラー
5 出力ミラー
6 半導体レーザー
7 照射器
10 循環機構
11 循環流路
12 ポンプ
13 熱交換器
13a 外管
13b 内管
20 レーザー材料・冷却機構
Claims (9)
- レーザー装置であって、
レーザー光を射出するレーザー材料と、
前記レーザー材料を励起するための励起用レーザーを、前記レーザー光が射出される軸方向から前記レーザー材料に照射する励起機構と、
液体金属を冷媒として前記レーザー材料の端面以外の部分を冷却する冷却機構と、
前記レーザー材料および冷却機構の少なくとも一方が、冷却に伴って前記レーザー材料に生じる温度分布の偏りによる影響を抑制するための温度分布抑制構造を有するレーザー装置。 - 請求項1記載のレーザー装置であって、
前記温度分布抑制構造は、前記レーザー材料を軸方向に長い形状とするとともに、レーザー材料内でレーザー光が側面に反射しながら進む構造とし、
前記冷却機構は、液体金属を前記レーザー材料の外周側面に直接、または該レーザー材料の外周側面に施されたコーティングを介して接触させる機構であるレーザー装置。 - 請求項2記載のレーザー装置であって、
前記冷却機構は、前記液体金属を貯留する冷却槽を備え、
前記レーザー材料は、側面のみが前記液体金属に接触するよう端面を前記冷却槽外に出した状態で、前記冷却槽内に収容されているレーザー装置。 - 請求項2または3記載のレーザー装置であって、
前記冷却槽に前記液体金属を供給するための供給口は前記レーザー材料の一方の端面近傍に形成され、
前記液体金属を前記冷却槽から排出するための排出口は前記レーザー材料の他方の端面近傍に形成されているレーザー装置。 - 請求項1記載のレーザー装置であって、
前記温度分布抑制構造は、前記レーザー材料を、励起用レーザーによって励起される薄板状のホスト材料と、透光性を有するディスク状の放熱部材とを交互に積層したDFC構造であり、
前記冷却機構は、前記放熱部材を前記液体金属で冷却する機構であるレーザー装置。 - 請求項5記載のレーザー装置であって、
前記ホスト材料の側面を断熱素材でコーティングしたレーザー装置。 - 請求項5または6記載のレーザー装置であって、
前記冷却機構は、前記レーザー材料の端面以外の部分に沿って前記液体金属を流す流路を有し、該流路内に前記放熱部材の外周部分を突出させた機構であるレーザー装置。 - 請求項7のレーザー装置であって、
前記流路に前記液体金属を供給するための供給口は前記レーザー材料の一方の端面側に前記軸方向に開口して形成され、
前記液体金属を前記流路から排出するための排出口は前記レーザー材料の他方の端面側に前記軸方向に開口して形成され、
前記供給口と排出口は、該レーザー材料の光軸周りに回転させた位置関係にあるレーザー装置。 - 請求項1〜8いずれか記載のレーザー装置であって、
前記冷却機構は、前記液体金属を循環させる循環流路を有しており、
該循環流路の内面は、該循環流路を形成する素材よりも前記液体金属の濡れ性を低減させるためのコーティングが施されているレーザー装置。
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