JP2019199643A - 無方向性電磁鋼板、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、エアコンのコンプレッサー、家電製品に使用される各種モータ、自動車においては駆動モータ、電動ターボ、電動コンプレッサー用途で小型化及び高効率化のために高速回転及び高周波励磁が行われるようになり、高磁束密度かつ異方性の小さい無方向性電磁鋼板の要請が高まっている。
また、需要家においては、昨今のコスト低減に対する要求の高まりとともに、金型コストの削減のために、打ち抜き性の優れた無方向性電磁鋼板の需要が高まっていた。
Si:0.1%〜3.8%、
Mn:0.1%〜2.5%、
Al:0%〜2.5%、を含有し、
板厚0.15mm以上0.65mm以下の無方向性電磁鋼板であって、
圧延方向と板面に垂直な方向とを含む観察断面において、
鋼板の両面それぞれから板面に垂直な方向に100μmの範囲である表層における結晶粒の円相当直径の平均値が10μm以上80μm以下であり、
板面に垂直な方向における中心から鋼板の両面それぞれに向かって50μmずつで合わせて100μmの範囲である中心層における結晶粒の円相当直径の平均値が50μm以上150μm以下であり、
前記中心層における結晶粒の円相当直径の平均値と、前記表層における結晶粒の円相当直径の平均値の差、(中心層円相当直径)−(表層円相当直径)が20μm以上100μm以下であり、
かつ、
前記表層における、MnS、CuSおよびこれらの複合析出物からなる析出物について、析出物外径の最も長い方向の長さをそれと直交するより短い方向の長さで除して算出されるアスペクト比が1.1以上8.0以下であり、
かつ、
前記表層の前記析出物を50個以上測定した場合の前記析出物の長手方向と前記板面に垂直な方向とのなす角が35°以下0.2°以上で、
かつ、
そのなす角度の標準偏差が25°以下0.1°以上であることを特徴とする。
鋳造により得られたスラブを、熱間圧延において900℃以上1200℃以下の温度で仕上げ、最終スタンドを通過した後、0.1秒以上5秒以内に、90℃/秒以上500℃/秒以下の冷却速度での冷却を開始し、鋼板を970℃以下750℃以上まで冷却して、コイルに巻き取り、
このコイルを3分以上2時間以下の時間保持し、その後、当該コイルを冷却し、冷間圧延の後、仕上焼鈍を施すことを特徴とする。
Si:0.1%〜3.8%、
Mn:0.1%〜2.5%、
Al:0%〜2.5%、を含有し、
残部がFe及び不純物からなる組成であることが好ましい。
なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、特に断りの無い限り、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明では、仕上げ熱延において最終スタンド通過後速やかに急冷することにより表層で異方性を持つ析出物が得られ、該析出物での応力集中により打ち抜き性が改善される。これを一定範囲の高温で仕上げることにより、中心層の結晶組織を粗大化し、成品の磁束密度を向上させる。本発明では、無方向性電磁鋼板の形態を以下の様に定める。
得られた写真をJIS−G0552(1998年)に定められた方法に従い結晶粒度を測定し、結晶粒の平均断面積を求め、これを円と仮定して円相当直径を求める。または、画像処理により計算機で円相当直径を求めてもよい。
アスペクト比の下限は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上である。アスペクト比の上限は、好ましくは7.5以下、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは6.5以下である。下限は、打ち抜き性改善の観点から必要な値として定められる。上限は、鉄損の増大を防止するために定められる。
当該角度の上限は、好ましくは30°以下、より好ましくは25°以下、さらに好ましくは20°以下である。上限は、本発明の無方向性電磁鋼板における打ち抜き性改善効果を得るため定まる。当該角度の下限は、仕上焼鈍ラインの通板性を安定させる観点から0.2°以上に定まる。下限は、好ましくは0.5°以上、より好ましくは1.0°以上である。
当該標準偏差の上限は、本発明の打ち抜き性改善効果を得るために25°以下に定まる。上限は、好ましくは25°以下、より好ましくは23°以下、さらに好ましくは21°以下である。当該標準偏差の下限は、冷間圧延安定性確保のために0.1°以上に定まる。下限は好ましくは0.5°以上、さらに好ましくは1.0°以上である。
析出物がMnS、CuSであることは電子顕微鏡で当該析出物を観察し、X線回折格子測定などによって同定する。本発明では、MnS、CuSの複合析出物である事は、その他の手段によって同定しても構わない。たとえば、抽出残さを化学分析することによって行ってもよい。
析出物の外径の最も長い方向の長さは、0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.02μm以上9μm以下がより好ましく、0.05μm以上5μm以下がさらに好ましい。析出物の外径の最も長い方向の長さが、好ましい上限を超えると、通板安定性に課題が生じるのでこの範囲が好ましい。下限未満であると、鉄損を増大させるためこの範囲が好ましい。
また、発明者らは、この析出物は、鋼板表層で多数微細に板厚方向に長辺を同じくして生成し、鋼板中心層では塊状のより粗大な析出物が生成すると推察している。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、圧延方向での磁界強度5000A/mにおける磁束密度BB50(0°)及び圧延方向に対して直角となる方向での磁界強度5000A/mにおける磁束密度BB50(90°)の算術平均である平均磁束密度B50(LC)は、高い方が好ましく、例えば1.64T以上が好ましい。平均磁束密度B50(LC)が1.64T以上であることにより、無方向性電磁鋼板の高い磁束密度が実現され、モータ等の回転機に適用した場合であれば高速回転や高周波励磁を実現でき、高効率化が図れる。
平均磁束密度B50(LC)は、より好ましくは1.66T以上であり、さらに好ましくは1.68T以上である。また、平均磁束密度B50(LC)の上限値は、特に限定されるものではないが、製造安定性の観点では、1.90T以下が好ましく、1.80T以下がより好ましい。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、その鉄損(W10/400)は、低い方が好ましい。例えばその範囲としては、板厚0.20mm材においては、7.5W/kg以上11.0W/kg以下であることが好ましく、板厚0.25mm材においては、8.0W/kg以上12.5W/kg以下が好ましく、板厚0.30mm材においては、11.0W/kg以上15.0W/kg以下であることが好ましく、板厚0.35mm材においては、14.0W/kg以上20.0W/kg以下であることが好ましい。板厚がさらに増す場合はそれに応じて適切な鉄損の範囲が定まる。鉄損の下限は、冷間圧延安定性および安定した特性を得るなどの製造安定性の観点から定まる。鉄損の上限は、高効率鉄心に求められる板厚ごとに定まる特性から定められる。
鉄損としては、エプスタイン試料に切断し、インバータ励磁をエプスタイン法で測定した時に生じる鉄損を用いる。具体的には、磁束密度1.0T、周波数400Hzで磁化した際の鉄損W10/400(W/kg)を用いる。
以下、本実施形態に係る、無方向性電磁鋼板の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態の無方向性電磁鋼板の製造方法によれば、打ち抜き性に優れ、さらに磁束密度の高い無方向性電磁鋼板が得られる。
本発明では、熱間圧延において、圧延直後の鋼板を特定の条件で冷却し巻き取ることにより、析出物が表層から中心層に向かって板面方向に垂直に近い方向に微細かつ配向して成長することで、打ち抜きの応力を受けた際に、析出物端部に応力集中が発生し、打ち抜き性を改善すると発明者らは推察している。
同時に、表層付近の析出物が微細化することにより、冷延および仕上焼鈍後の鋼板表層の結晶組織が中心層よりも細粒となることも、表層の亀裂伝播を滑らかにし、打ち抜き性を改善すると発明者らは推察している。
また、磁束密度が向上する理由は、熱延の仕上温度を高温とし、急速に冷却して高温で巻き取ることにより、表層と内層の温度差が大きくなり、中心層の結晶組織が優先的に粗大化したことが原因ではないかと推察している。
これらの機構は、以下に説明する熱間圧延工程の条件の限定範囲の規定理由とも整合するものとなっている。
本実施形態の製造方法では、まずスラブに熱間圧延(熱延)が施される。なお、本実施形態に用い得るスラブの化学組成等については、後に詳述する。
スラブは、公知の方法、例えば公知の連続鋳造により得られる。また、熱間圧延は、鋳造後の高温のスラブをそのまま圧延(鋳造後直接圧延)してもよいし、一旦低温まで冷却した後、再加熱したうえで圧延してもよい。直接圧延する場合の圧延開始温度、または再加熱する場合の加熱温度は限定しないが、本実施形態の製造方法のポイントの一つである仕上温度を確保できるよう設定すれば良い。直接圧延する場合の圧延開始温度、またはスラブを再加熱する場合の温度としては、例えば、1000℃以上1250℃以下の範囲が挙げられる。
粗圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、一般的な条件に従って施せばよい。粗圧延の温度は、特に限定されるものではないが、例えば900℃以上1250℃以下とすることが好ましく、950℃以上1200℃以下とすることがより好ましく、1000℃以上1150℃以下とすることがさらに好ましい。
粗圧延の圧下率は、本実施形態の作用効果を得ることができれば特に限定されるものではないが、55%以上92%以下とすることが好ましく、70%以上90%以下とすることがより好ましく、75%以上88%以下とすることがさらに好ましい。粗圧延圧下率の下限は、シートバーの温度が低下し過ぎ、続く仕上圧延工程での圧延温度の確保が困難になることを防止する観点から定まり、上限は、粗圧延機の圧延反力の上昇を抑え、粗圧延機の負荷を軽減する観点から定まる。
なお、スラブが厚さ10〜50mm程度のいわゆる薄スラブとして鋳造された場合、上記の粗圧延が省略され、薄スラブに直接、以下の仕上圧延を施すことも可能である。
仕上圧延後の圧延板の板厚としては、特に限定されるものではないが、例えば1mm以上3mm以下に設定することができる。仕上圧延における最終スタンドの圧延速度は、特に限定されるものではないが、例えば毎分500m以上1600m以下に設定することができる。
最終スタンド通過後の90℃/秒以上500℃/秒以下の冷却速度での冷却開始は、好ましくは0.2秒以上4.5秒以内、より好ましくは0.3秒以上4秒以内、さらに好ましくは0.5秒以上3.5秒以内である。冷却開始時間の下限は、90℃/秒以上の冷却を行う設備の設置制約から定まり、上限は本発明において鋼板の表層の析出物制御と結晶組織制御を発現させる限界から定まる。
ここでの冷却速度は、好ましくは100℃/秒以上450℃/秒以下、より好ましくは110℃/秒以上400℃/秒以下、さらに好ましくは130℃/秒以上350℃/秒以下である。冷却速度の下限は、本発明の意図する鋼板表層の析出物制御と板厚方向の結晶組織制御を適切に行うために定まる。上限は、本発明の意図する鋼板表層の析出物と板厚方向の結晶組織を安定的に実現し、冷却速度の制御性を向上させるために定められる。
上記の冷却は、鋼板温度が、好ましくは960℃以下770℃以上、より好ましくは950℃以下775℃以上、さらに好ましくは930℃以下780℃以上まで行う。この鋼板温度の上限は、制御冷却の効果を有効に発現させ、本発明の意図する鋼板表層の析出物と板厚方向の結晶組織を得るため、さらにコイルの巻き取りを安定化するために定められ、下限は、コイル巻き取り後の中心層の結晶組織を本発明の意図する範囲に制御するために定められる。
上記の冷却終了から巻取りまでの温度は、極力一定に保つことが好ましい。上記冷却終了後からコイル巻取りまでの鋼板温度低下は、20℃以下、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは5℃以下である。
巻き取り後のコイルは3分以上2時間以下、好ましくは5分以上90分以下、より好ましくは7分以上1時間以下、さらに好ましくは10分以上30分以下の時間、巻き取ったままの状態で保持を行う。その後、必要に応じて水槽に浸漬するなどの公知の方法で冷却を行う。
保定時間の上限は、コイル保定による中心層の結晶組織成長効果が飽和するとともに鋼板表面に酸化物が過度に形成されるのを防止する観点から定められる。保定時間の下限は、保定効果による鋼板の中心層の粒成長が得られる限度の時間として定められる。
仕上焼鈍工程の前に冷間圧延工程を設けてもよい。
冷間圧延工程としては、本実施形態の作用効果を得ることができれば特に限定されるものではない。
なお、冷間圧延に先立って、熱間圧延工程後の圧延板に酸洗を施してもよい。
仕上焼鈍工程においては、冷間圧延工程後の圧延板に仕上焼鈍を施す。
また、その際の保持時間としては、0.1秒以上120秒以下保持することが好ましく、1秒以上90秒以下保持することがより好ましく、5秒以上60秒以下保持することがさらに好ましい。仕上焼鈍の保持時間の下限は、再結晶を進行させるために必要かつ、鉄損を低減させるために定まる。上限は、仕上焼鈍の効果が飽和するとともに鋼板表面に酸化物が生じ鉄損を増大させることを防止するために定まる。
なお、仕上焼鈍での温度域とは、仕上焼鈍時の圧延板の表面温度を表す。
本実施形態の無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記仕上焼鈍工程後に、上記仕上焼鈍工程により得られた鋼板表面にコーティング液を塗布し、焼き付けることによって、絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成工程を有していてもよい。絶縁被膜形成条件及びコーティング液は、通常用いられる材料により公知の方法によって行われる。
次いで、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板製造方法に用いられるスラブ、及び該製造方法によって得られる成品(無方向性電磁鋼板)、並びに本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の化学組成について説明する。
スラブの化学組成としては、本実施形態の作用効果を得ることができれば特に限定されるものではなく、例えば、一般的な無方向性電磁鋼板における母鋼板の化学組成を用いることができる。また、本実施形態に係る製造方法によって得られる成品や本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の化学組成についても、スラブと同様である
上記化学組成としては、質量%でSi:0.1%以上3.8%以下、Mn:0.1%以上2.5%以下、及びAl:0%以上2.5%以下、を含有し、残部がFe及び不純物からなるものが好ましい。
以下、各成分の好ましい含有量を説明する。以下において、各成分の含有量は質量%での値である。
Si含有量は、0.1%以上3.8%以下とすることが好ましい。
Mn含有量は、0.1%以上2.5%以下とすることが好ましい。
本実施形態におけるスラブ、及び本実施形態によって得られる成品は、Alを意図的に含有させていないものでもよいし、Alを意図的に含有させたものでもよい。Al含有量は、0%以上2.5%以下とすることが好ましい。
残部は、Fe及び不純物である。
本実施形態の製造方法におけるスラブ、及び本実施形態によって得られる成品、並びに本実施形態に係る無方向性電磁鋼板における各元素の含有量は、元素の種類に応じて、一般的な方法を用いて、一般的な測定条件により測定することができる。
ここで、実施例及び比較例において評価に用いる各種の特性について説明する。
無方向性電磁鋼板の鉄損としては、エプスタイン試料に切断し、インバータ励磁時に生じる鉄損を用いる。具体的には、磁束密度1.0T、周波数400Hzで磁化した際の鉄損W10/400(W/kg)を用いる。測定はJISのC2550−1に定められたエプスタイン法で行う。
磁界強度5000A/mにおける磁束密度の測定は、以下の方法によって行う。エプスタイン試料を切断し、JISのC2550−1に定められたエプスタイン法に従って、その試料を用いて磁気測定を行う。
表1に示した鋼種Aのスラブを、加熱温度を1150℃として粗熱延を行い、次いで仕上温度1030℃で仕上熱延を行い、2.0mmに仕上げ、最終スタンド通過後0.5秒後に平均冷却速度150℃/sで800℃までROT上で冷却し、コイラに巻き取った。
冷却は800℃に到達した時点で注水を停止し、温度低下を防止してコイルに巻き取った。
巻き取ったコイルは、15分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、900℃30秒の仕上げ焼鈍を施し、成品とした。
また、成品の圧延方向と板面垂直方向を含む断面を電子顕微鏡により観察し、表層部及び中心層の結晶粒の円相当直径ならびにMnS、CuSおよびその複合析出物観察を行った。
実施例と比較例の観察結果(析出物及び金属組織観察結果と打ち抜き試験結果)を表2に示す。
実施例と比較例の磁気測定結果を表3に示す。
以上の様に、本実施例によれば、高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造が可能である。また、鉄損の値W10/400も9.53W/kgと低く優れている。
表4に示した鋼種Bのスラブを、加熱温度を1150℃として粗熱延を行い、次いで仕上温度を変化させて仕上熱延を行い、圧延板を2.0mm厚で仕上温度を変化させ、最終スタンド通過後0.5秒後に平均冷却速度150℃/sでROT上で800℃まで冷却し、コイラに巻取った。
巻き取ったコイルは、10分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
冷却は各温度に到達した時点で注水を停止し、温度低下を防止してコイルに巻取った。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、970℃20秒の仕上げ焼鈍を施し、成品とした。
巻き取ったコイルは、10分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、970℃20秒の仕上げ焼鈍を施し、以下同じ工程で成品とした。
実施例と比較例の磁気測定結果を表5に示す。
また、成品の圧延方向と板面垂直方向を含む断面を電子顕微鏡により観察し、表層部及び中心層の結晶粒の円相当直径ならびにMnS、CuSおよびその複合析出物観察を行った。
実施例と比較例の観察結果(析出物及び金属組織観察結果と打ち抜き試験結果)を表6に示す。
また、鉄損の値W10/400も9.67W/kg以下と低く優れている。
表7に示した鋼種Cのスラブを、加熱温度を1150℃として粗熱延を行い、次いで仕上温度1040℃で仕上熱延を行い、圧延板を2.0mm厚に仕上げ、最終スタンド通過後の冷却開始時間を変更して平均冷却速度150℃/sでROT上で冷却し、815℃まで冷却してコイラに巻き取った。
冷却は各温度に到達した時点で注水を停止し、温度低下を防止してコイルに巻き取った。
巻き取ったコイルは、10分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、970℃30秒の仕上げ焼鈍を施し、成品とした。
巻き取ったコイルは、10分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、970℃30秒の仕上げ焼鈍を施し、以下同じ工程で成品とした。
実施例と比較例の磁気測定結果を表8に示す。
また、成品の圧延方向と板面垂直方向を含む断面を電子顕微鏡により観察し、表層部及び中心層の結晶粒の円相当直径ならびにMnS、CuSおよびその複合析出物観察を行った。
実施例と比較例の観察結果(析出物及び金属組織観察結果と打ち抜き試験結果)を表9に示す。
また、鉄損の値W10/400も9.52W/kg以下と低く優れている。
表10に示した鋼種Dのスラブを、加熱温度を1160℃として粗熱延を行い、次いで仕上温度1080℃で仕上熱延を行い、圧延板を2.0mm厚に仕上げ、最終スタンド通過後、ROT上で1.5秒後から冷却速度を変化させて810℃まで冷却しコイラに巻き取った。
810℃に鋼板温度が到達した後は、注水を停止し、コイルの巻取温度が低下しないように巻き取った。
巻き取ったコイルは、15分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、970℃30秒の仕上げ焼鈍を施し、成品とした。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、970℃30秒の仕上げ焼鈍を施し、以下同じ工程で成品とした。
実施例と比較例の磁気測定結果を表11に示す。
また、成品の圧延方向と板面垂直方向を含む断面を電子顕微鏡により観察し、表層部及び中心層の結晶粒の円相当直径ならびにMnS、CuSおよびその複合析出物観察を行った。
実施例と比較例の観察結果(析出物及び金属組織観察結果と打ち抜き試験結果)を表12に示す。
また、鉄損の値W10/400も9.58W/kg以下と低く優れている。
表13に示した鋼種Eのスラブを、加熱温度を1200℃として粗熱延を行い、次いで仕上温度1150℃で仕上熱延を行い、圧延板を2.0mm厚に仕上げ、最終スタンド通過後、ROT上で2.5秒後から冷却速度200℃/sで冷却停止温度を変化させてコイラに巻き取った。
冷却停止温度に鋼板温度が到達した後は、注水を停止し、コイルの巻取温度が低下しないように巻き取った。
巻き取ったコイルは、15分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、900℃30秒の仕上げ焼鈍を施し成品とした。
巻き取ったコイルは、15分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、900℃30秒の仕上げ焼鈍を施し、以下同じ工程で成品とした。
実施例と比較例の磁気測定結果を表14に示す。
また、成品の圧延方向と板面垂直方向を含む断面を電子顕微鏡により観察し、表層部及び中心層の結晶粒の円相当直径ならびにMnS、CuSおよびその複合析出物観察を行った。
実施例と比較例の観察結果(析出物及び金属組織観察結果と打ち抜き試験結果)を表15に示す。
また、鉄損の値W10/400も9.76W/kg以下と低く優れている。
表16に示した鋼種Fのスラブを、表面温度1300℃の厚み40mmの薄スラブに鋳造し、これを引き続き薄スラブの表面温度を1150℃まで冷却し、引き続き均熱化処理をコイルボックスに巻取り1150℃で3分施した後、均熱化処理温度1150℃で仕上熱延を開始し、次いで仕上温度1025℃で仕上熱延を行い、2.0mmに仕上げ、最終スタンド通過後0.6秒後に平均冷却速度160℃/sで810℃までROT上で冷却し、コイラに巻き取った。
冷却は810℃に到達した時点で注水を停止し、温度低下を防止してコイルに巻き取った。
巻き取ったコイルは、15分保持した後、水槽に浸漬して冷却した。
この圧延板を酸洗後、冷間圧延を施し0.25mm厚とし、925℃20秒の仕上げ焼鈍を施し、成品とした。
また、成品の圧延方向と板面垂直方向を含む断面を電子顕微鏡により観察し、表層部及び中心層の結晶粒の円相当直径ならびにMnS、CuSおよびその複合析出物観察を行った。
実施例と比較例の観察結果(析出物及び金属組織観察結果と打抜き試験結果)を表17に示す。
実施例と比較例の磁気測定結果を表18に示す。
以上の様に、本実施例によれば、高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造が可能である。また、鉄損の値W10/400も9.46W/kgと低く優れている。
Claims (4)
- 質量%で、
Si:0.1%〜3.8%、
Mn:0.1%〜2.5%、
Al:0%〜2.5%、を含有し、
板厚0.15mm以上0.65mm以下の無方向性電磁鋼板であって、
圧延方向と板面に垂直な方向とを含む観察断面において、
鋼板の両面それぞれから板面に垂直な方向に100μmの範囲である表層における結晶粒の円相当直径の平均値が10μm以上80μm以下であり、
板面に垂直な方向における中心から鋼板の両面それぞれに向かって50μmずつで合わせて100μmの範囲である中心層における結晶粒の円相当直径の平均値が50μm以上150μm以下であり、
前記中心層における結晶粒の円相当直径の平均値と、前記表層における結晶粒の円相当直径の平均値の差、(中心層円相当直径)−(表層円相当直径)が20μm以上100μm以下であり、
かつ、
前記表層における、MnS、CuSおよびこれらの複合析出物からなる析出物について、析出物外径の最も長い方向の長さをそれと直交するより短い方向の長さで除して算出されるアスペクト比が1.1以上8.0以下であり、
かつ、
前記表層の前記析出物を50個以上測定した場合の前記析出物の長手方向と前記板面に垂直な方向とのなす角が35°以下0.2°以上で、
かつ、
そのなす角度の標準偏差が25°以下0.1°以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。 - 圧延方向での磁界強度5000A/mにおける磁束密度B50(0°)と、圧延方向に対して垂直な方向での磁界強度5000A/mにおける磁束密度B50(90°)と、の算術平均である平均磁束密度B50(LC)が、1.64T以上であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
- 請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
鋳造により得られたスラブを、熱間圧延において900℃以上1200℃以下の温度で仕上げ、最終スタンドを通過した後、0.1秒以上5秒以内に、90℃/秒以上500℃/秒以下の冷却速度での冷却を開始し、鋼板を970℃以下750℃以上まで冷却して、コイルに巻き取り、
このコイルを3分以上2時間以下の時間保持し、その後、当該コイルを冷却し、冷間圧延の後、仕上焼鈍を施すことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。 - 前記スラブは、質量%で、
Si:0.1%〜3.8%、
Mn:0.1%〜2.5%、
Al:0%〜2.5%、を含有し、
残部がFe及び不純物からなる組成であることを特徴とする請求項3に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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