JP2019199556A - リグニン誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
−OPO3M2 (1)
(式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、又は、有機アミン基を表す。)で表される基であることが好ましい。
上記一価金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。三価金属原子としては、アルミニウム、鉄等が挙げられる。有機アミン基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン及びフェニルアミン等の第一級アミン由来の基;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン及びジフェニルアミン等の第二級アミン由来の基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン及びトリフェニルアミン等の第三級アミン由来の基;およびエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の基が挙げられる。
上記Mとして好ましくは水素原子、一価金属原子であり、より好ましくは水素原子である。
上記Zの1価の官能基としては、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性官能基;アミノ基等のカチオン性官能基のいずれかが好ましい。より好ましくは、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基のいずれかである。
上記リグニン誘導体は、上記式(2)で表される構造を複数有するが、それら複数の構造におけるR1、X及びYは、同一でも異なっていてもよい。
すなわち本発明のリグニン誘導体は、リグニンとリン酸(塩)基とが2価の連結基を介して結合した構造であることが好ましい。
上記2価の連結基は、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。炭素、水素以外の原子としては硫黄原子、窒素原子、酸素原子等のヘテロ原子が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の2価の炭化水素基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1の2価の炭化水素基、すなわち、メチレン基である。
炭素、水素以外の原子を含む基としては、窒素原子含有基等が好ましい。
本発明のリグニン誘導体における2価の連結基としては、2価の窒素原子含有基であることが好ましい。
2価の窒素原子含有基としては、下記式(3);
W1、W2における2価の連結基としては、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。
W1、W2における2価の連結基として好ましくは炭素数1〜18の炭化水素基である。
上記炭化水素基の炭素数として好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1〜2である。
上記炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アリール基等から水素原子を1つ引き抜いて得られる2価の基等が挙げられる。
上記炭化水素基の中でも好ましくはアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基であり、更に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
W1として特に好ましくはメチレン基であり、W2として特に好ましくはエチレン基である。
R2における炭素数1〜5の1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基等が挙げられる。上記R2における炭化水素基の炭素数として好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である
R2における炭化水素基として好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基である。
R2として好ましくは水素原子である。
上記リン酸(塩)基の含有割合は、消費された原料のリン酸化合物が全てリグニンへ付加するものとして、リン酸化合物の消費率に基づき算出することができる。リン酸化合物の消費率は、反応原料として用いたリン酸化合物の残存量から求めることができ、リン酸化合物の残存量は、後述する実施例に記載のLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
リグニン誘導体の重量平均分子量は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
本発明はまた、リン酸(塩)基を有するリグニン誘導体を製造する方法であって、上記製造方法は、リン酸化合物とリグニンとを含む原料を用いて反応を行う工程を含むリグニン誘導体の製造方法でもある。
重量平均分子量は、GPC分析法を用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
上記Mは、式(1)におけるMと同様である。
R3における炭素数1〜8の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、特に制限されないが、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、チオール基等が挙げられる。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。中でも好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基である。
R3として好ましくは水素原子である。すなわち、上記リン酸化合物は第1級アミノ基を有するものであることが好ましい。
2価の連結基として好ましくは、上記W2と同様の炭素数1〜18の炭化水素基である。
上記アルデヒド化合物としては、下記式(5);
R4−CHO (5)
(式中、R4は水素原子又は1価の炭化水素基を表す。)で表されることが好ましい。アルデヒド化合物としてこのような構造の化合物を用いると、リグニン又はリン酸化合物に下記式(6);
この場合、リグニンとリン酸化合物由来の基とがR4より炭素数が1多い2価の炭化水素基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体となる。
式(5)のR4が水素原子である場合、式(5)のアルデヒド化合物はホルムアルデヒドとなる。式(5)のR4が炭素数1〜3の炭化水素基である場合、式(5)のアルデヒド化合物は、それぞれアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナールとなる。
上記(2)の方法の中でも、予めアルデヒド化合物とリン酸化合物とを反応させた後に、該反応生成物とリグニンとを反応させる方法が好ましい。上記反応工程において好ましくは上記(1)の方法である。
上記リン酸化合物が酸性の化合物である場合には、塩基性物質を用いてpHを調節することができる。
例えば上記リン酸化合物が塩基性の化合物である場合、リン酸化合物を添加することにより反応溶液のpHを塩基性領域とすることができるが、リン酸化合物以外の塩基性物質を用いてpHを調節してもよい。上記リン酸化合物以外の塩基性物質としては、特に制限されないが、例えばナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。反応溶液のpHは、pHメーター(pHメーターD−51:堀場製作所製)により測定することができる。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
反応溶液のpH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウムである。
上記セメント混和剤とセメントとを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
反応原料として用いたリン酸化合物の残存量は、以下の測定法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル(Waters社製)
カラム:CAPCELL PAK SCX UG80 5μm(内径4.6mm×長さ2
50mm、資生堂社製)
カラム温度:40℃
溶媒:水11207g、アセトニトリル7680gの混合溶媒にリン酸132.8g、リン酸二水素ナトリウム二水和物179.7gを溶解させた溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)
リグニン誘導体の重量平均分子量は、以下の測定方法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル+GPCオプション(Waters社製)
カラム:TSKgel ガードカラムα(内径6.0×40mm)+α5000+α4000+α3000(各内径7.8×長さ300mm)(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:100mMホウ酸水溶液15170gに水酸化ナトリウム30.4gとアセトニトリル3800gを混合した溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
試料濃度:0.5質量%
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
較正曲線:標準物質として東ソー社製ポリエチレングリコール(Mp=300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470、1010、400)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成
温度:20℃±1℃
相対湿度:60±10%
モルタル配合:C/S/W=500g/1350g/250g
水/セメント比:0.5
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:試料と消泡剤のイオン交換水溶液
とし、Wについては消泡剤MA−404(BASFジャパン社製)を各試料の固形分に対して40質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。モルタルの調製はJIS−R5201−1997に準拠して次のように行った。ホバート型ミキサー(型番N−50;ホバート社製)を用い、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。S投入終了後、2速で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に2速で60秒間混練を行い、モルタルを調製した。得られたモルタルを混練容器からポリエチレン製1L容器に移し、スパチュラで左右各10回かき混ぜた後、直ちにフロー測定板(30cm×30cm)に置かれたミニスランプコーン(JISマイクロコンクリートスランプコーン、上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に半量詰めて15回突き棒で突き、更にモルタルをミニスランプコーンのすりきりいっぱいまで詰めて15回突き棒で突き、最後に不足分を補い、ミニスランプコーンの表面をならした。その後、最初にミキサーを始動させてから5分30秒後にミニスランプコーンを垂直に引き上げ、広がったモルタルの直径(最も長い部分の直径(長径)及び前記長径に対して90度をなす部分の直径)を2箇所測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。重合体の添加量を適宜変えて以上の操作を繰り返し、フロー値が200mmとなる添加量(標準添加量)を求めた。なお、重合体の添加量は、セメント質量に対する重合体固形分の質量%である。
測定する重合体水溶液をイオン交換水で希釈し、固形分濃度で1質量%溶液とした。この溶液100質量部をふたができる容器に量り採り、マグネチックスターラーで強く撹拌した状態にしてからセメント100質量部を追加し、ふたを閉めてそのまま撹拌を継続した。10分後に混合液の一部を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液およびセメント添加前の上記1質量%重合体水溶液を1質量%HClで10〜20倍程度に希釈し、全有機体炭素濃度計(TOC)で炭素濃度を分析した。吸着率は次のように計算した。
C0:セメント添加前の1質量%重合体水溶液の炭素濃度(ppm)
C10:セメント添加10分後の上澄み液の炭素濃度(ppm)
吸着率(%)=[(C0−C10)/C0]×100
温度:20℃±1℃
相対湿度:60±10%
モルタル配合:C/S/W=500g/1350g/250g
水/セメント比:0.5
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:試料と消泡剤のイオン交換水溶液
とし、Wについては消泡剤MA−404(BASFジャパン社製)を各試料の固形分に対して40質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。
モルタルの調製はJIS−R5201−1997に準拠して次のように行った。ホバート型ミキサー(型番N−50;ホバート社製)を用い、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。S投入終了後、2速で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に2速で60秒間混練を行い、モルタルを調製した。得られたモルタルを混練容器からポリエチレン製1L容器に移した。
スパチュラで左右各10回かき混ぜた後、直ちにフロー測定板(30cm×30cm)に置かれたミニスランプコーン(JISマイクロコンクリートスランプコーン、上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に半量詰めて15回突き棒で突き、更にモルタルをミニスランプコーンのすりきりいっぱいまで詰めて15回突き棒で突き、最後に不足分を補い、ミニスランプコーンの表面をならした。その後、最初にミキサーを始動させてから5分30秒後にミニスランプコーンを垂直に引き上げ、広がったモルタルの直径(最も長い部分の直径(長径)及び前記長径に対して90度をなす部分の直径)を2箇所測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。このフロー値が180±10mmとなるように試料の添加量を調整した。
モルタル1200gをポリプロピレン製900cc容器に充填し、フタをして密閉状態で静置した。静置した時刻から1時間ごとに、モルタル上面に浸み出した水をピペットで吸い取り、吸い取った水の重量(ブリーディング水量)を測定した。測定は、ブリーディングが認められなくなるまで実施した。水を吸い取るのを容易にするため、その1分前に厚さ約1cmのブロックを容器の底部片側に挟んで容器を傾け、水を吸い取った後、静かに水平の位置に戻した。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16,000、ALDRICH製)5.63g、脱イオン水26.92g、30%NaOH水溶液2.00g、37%ホルムアルデヒド水溶液0.28g及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.17gをスクリュー管へ仕込み、スクリュー管を70℃に昇温し、18時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体1を得た。得られた生成物(リグニン誘導体1)の重量平均分子量は23,500であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16,000、ALDRICH製)5.63g、脱イオン水25.49g、30%NaOH水溶液2.36g、37%ホルムアルデヒド水溶液0.95g及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.58gをスクリュー管へ仕込み、スクリュー管を70℃に昇温し、18時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体2を得た。得られた生成物(リグニン誘導体2)の重量平均分子量は24,700であった。
Claims (9)
- 構造中にリン酸(塩)基を有するリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体は、リグニンとリン酸(塩)基とが2価の連結基を介して結合した構造であることを特徴とする請求項1に記載のリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体におけるリン酸(塩)基の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体は、重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリグニン誘導体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のリグニン誘導体を含むことを特徴とするセメント混和剤。
- 請求項5に記載のセメント混和剤とセメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
- リン酸(塩)基を有するリグニン誘導体を製造する方法であって、
該製造方法は、リン酸化合物とリグニンとを含む原料を用いて反応を行う工程を含むことを特徴とするリグニン誘導体の製造方法。 - 前記リン酸化合物は、アミノ基を有するものであることを特徴とする請求項7に記載のリグニン誘導体の製造方法。
- 前記原料は、更にアルデヒド化合物を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載のリグニン誘導体の製造方法。
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