JP2019198871A - ソルダーペースト用フラックス、ソルダーペースト及び電子回路基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソルダーペースト成分の分離を防止し、はんだ付け性に優れ、フラックス残渣の絶縁抵抗の低下を抑制できるソルダーペースト用フラックス及びソルダーペーストを提供する。【解決手段】少なくとも、樹脂と、溶剤と、活性剤と、チクソ剤とを含むはんだ付け用フラックスであって、さらに、平均太さ3〜200nmであり、平均長さ0.1μm以上のセルロースナノファイバー分散液を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器のプリント基板等の回路基板に対して回路部品などをはんだ接続する際に使用するソルダーペースト用フラックスおよびそれを用いたソルダーペースト、さらに、そのソルダーペーストが用いられる電子回路基板に関する。
従来、電子部品を基板に実装する際に使用されるソルダーペーストには、はんだ合金粉末と共に、基板上の金属酸化物の除去やはんだ合金粉末の表面張力の低下による濡れ性の向上を目的としてフラックスが配合される。
そして、このフラックスは、主として、ロジン、変性ロジン、合成樹脂などを主成分として用いた樹脂系フラックスが用いられるが、基板上の金属酸化物の生成を抑制するための活性剤や連続印刷時の形状保持能力とソルダーペースト成分の分離を抑えるために、フラックス中の化合物と分子間結合を共有することのできるチクソ剤を含むことが一般的である。さらに、ソルダーペーストには、その用途に応じて、硬化剤および硬化補助剤、分散安定剤などが添加される場合もある。
ソルダーペースト中ではんだ合金粉末が沈降を起こし、ソルダーペースト成分が分離してしまうのは、フラックスの成分の比重と、はんだ合金粉末の比重との比が7〜8程度あり、両者の比重に大きな隔たりがあるためである。ソルダーペースト成分が自重によって沈降してしまうと、フラックス成分が浮き上がってきてしまい、ソルダーペースト中にフラックスの濃淡が発生し、安定な供給ができなくなってしまう。
また、連続印刷時の形状保持能力が必要となるのは、使用中の粘性(粘度、チキソ比)が変化し、「はんだにじみ」や「かすれ」が発生するからである。前記形状保持能力が不足すると、加熱ダレの発生やはんだ量の減少によるフィレットの形成不足、にじみによるはんだブリッジ等が増加してしまう。
そこで、はんだ合金粉末の沈降を防止する効果を有するソルダーペーストとして、特許文献1に、所定量のはんだ合金粉末と所定量のチクソトロピック剤とを含有し、はんだ合金粉末は脂肪酸で被覆されており、チクソトロピック剤は、少なくとも水添ヒマシ油およびアマイドを含み、水添ヒマシ油とアマイドとの質量比及び粘度比Rが所定の範囲内にあるソルダーペーストが開示されている。
また、チクソ剤を配合し、加熱ダレ防止と印刷時の形状保持能力を両立させた効果を有するソルダーペーストとして、特許文献2に、ヒドロキシステアリン酸ビスアミド等の脂肪族アミド、カスターワックス等のワックス(脂肪族エステル)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等の合成高分子化合物を使用したフラックス組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1におけるソルダーペーストに使用するはんだ合金粉末は、脂肪酸で被覆する必要があり、均一に被膜されたはんだ合金粉末を別途準備する必要がある。また、特許文献2においては、加熱ダレの抑制効果を得るために必要な量のチクソ剤を含むと、フラックス残渣の量が多くなり、フラックス残渣の絶縁抵抗の低下を招き、化学的・電気的信頼性に影響を及ぼすことがあった。
特開2017−196663号公報 特開2013−078799号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ソルダーペースト成分の分離を防止し、かつ、はんだ付け性に優れ、フラックス残渣の絶縁抵抗の低下を抑制することができるソルダーペースト用フラックス及びソルダーペースト、さらに、そのソルダーペーストを用いて得られる電子回路基板を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、セルロースナノファイバー分散液が有する物理的な沈降抑制効果に着目し、これをはんだフラックスに配合し使用する以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
少なくとも、樹脂と、溶剤と、活性剤と、チクソ剤とを含むはんだ付け用フラックスであって、さらに、平均太さ3〜200nmであり、平均長さ0.1μm以上のセルロースナノファイバー分散液を含むことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
本発明により、ソルダーペースト成分の分離を防止し、かつ、はんだ付け性に優れ、フラックス残渣の絶縁抵抗の低下を抑制することができるソルダーペースト用フラックス及びソルダーペースト、さらに、そのソルダーペーストを用いて得られる電子回路基板を提供する。
CNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。 他のCNFの製造(解繊処理)装置の概念図である。
次に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。ただし、以下の実施形態は、発明内容の理解を助けるためのものであり、本発明を限定するものではない。
本発明の一実施形態に係るソルダーペーストは、ソルダーペースト用フラックス(以下、フラックスと称することもある)とはんだ合金粉末とを含有する。
−ソルダーペースト用フラックス及びソルダーペースト
本発明のソルダーペースト用フラックスは、セルロースナノファイバー(以下、CNFと称することもある)とa)溶剤、b)樹脂、c)硬化剤、d)硬化促進剤、e)活性剤、f)界面活性剤、h)酸化防止剤、i)その他の添加剤から選ばれる一又は二以上を組み合わせた化合物とを含有する。
また、本発明のソルダーペーストは、前記ソルダーペースト用フラックスとはんだ合金粉末を含有するものである。
−セルロースナノファイバー−
まず、CNFの調製方法について説明する。本発明において、CNFとしては例えば、木材繊維、広葉樹、針葉樹、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維、葉繊維等の天然の植物を含む多糖由来のCNFが挙げられ、これらCNFは一種を単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。また多糖としてはα−セルロース含有率60%〜99質量%のパルプを用いるのが好ましい。α−セルロース含有率60質量%以上の純度であれば繊維径及び繊維長さが調整しやすくなって繊維同士の絡み合いを抑えることができ、α−セルロース含有率60質量%未満のものを用いた場合に比べ、溶融時の熱安定性が高く、衝撃強度の低下を引き起こすことがないほか、着色抑制効果が良好であり、本発明の効果をより優れたものとすることができる。一方、99質量%以上のものを用いた場合、繊維をナノレベルに解繊することが困難になる。60%質量未満であれば天然結晶によって発現する高強度、高弾性、チキソ性、寸法安定効果などが薄れ、再生セルロースに近い性質のファイバーになってしまう。
本発明におけるCNFは、以下の解繊処理行うことにより得られる。
解繊処理は、図1に示した水中対向衝突法(以下、ACC法と言うこともある。)を用いて行う。これは、水に懸濁したパルプをチャンバー(図1:107)内で相対する二つのノズル(図1:108a,108b)に導入し、これらのノズルから一点に向かって噴射、衝突させる手法である。図1に示される装置は液体循環型となっており、タンク(図1:109)、プランジャ(図1:110)、対向する二つのノズル(図4:108a,108b)、必要に応じて熱交換器(図1:111)を備え、水中に分散させた微粒子を二つのノズルに導入し高圧下で合い対するノズル(図1:108a,108b)から噴射して水中で対向衝突させる。
前記解繊処理を実施する前に、前処理装置を使用して解繊処理を実施してもよい(図2、図3)。また、その他の解繊方法として、かかる前処理装置を使用してもよい。前記前処理装置を使用した解繊処理は、0.5〜10質量%の水混合液にした多糖に対し、50〜400MPa程度の高圧水を衝突させて行う。これは例えば図2に示す製造装置1を用いて行うことができる。製造装置1は、一のチャンバー2に対して多糖スラリを供給可能に配置される第1の液状媒体供給経路であるところの多糖スラリ供給経路3と、例えば水である非多糖スラリを一のチャンバー2を介して循環させる第2の液状媒体供給経路4とよりなる。一のチャンバー2内には第2の液状媒体供給経路4の非多糖スラリを多糖スラリ供給経路3からの多糖スラリ供給方向と交差する方向にオリフィス噴射するオリフィス噴射部5を備える。多糖スラリ供給経路3は、多糖スラリを一のチャンバー2を介して循環可能にされる。
多糖スラリ供給経路3と第2の液状媒体供給経路4とは一のチャンバー2内に相互の交差部6を有する。
多糖スラリ供給経路3は多糖スラリ供給部であり多糖スラリを貯留するタンク7、ポンプ8を循環路9に配置してなり、一方、第2の液状媒体供給経路4はタンク10、ポンプ11、熱交換器12、プランジャ13を循環路である液状媒体供給経路4に配置してなる。
なお非多糖スラリは、例えば水であり、当初タンク10に収納され、その後セルロースナノ繊維の製造装置1の作動に伴い交差部6を通過してタンク10に収納されたナノ微細化された多糖を操業の度合いに応じた濃度で含むことになった状態のものをも、包括的に指称する。
図3に示すようにチャンバー2を貫通する態様で多糖スラリ供給経路3の循環路9が配置され、これと交差する方向に非多糖スラリをオリフィス噴射して循環路9を貫通させることができるように第2の液状媒体供給経路4のプランジャ13に接続されるオリフィス噴射部5のオリフィス噴射口14がチャンバー2内側において開口する。チャンバー2のオリフィス噴射口14と対向する位置にチャンバー2の排出口15が設けられ、このチャンバー2の排出口15に第2の液状媒体供給経路4の循環路が接続されて、第2の液状媒体供給経路4が構成される。
一方、多糖スラリ供給経路3の循環路9は例えばビニルホース、ゴムホース、アルミパイプ等を用いて形成され、その循環路9のチャンバー2への入り側にはチャンバー2方向にのみ開弁される一方向弁16が取りつけられる。さらに循環路9のチャンバー2からの出側にはチャンバー2からの排出方向にのみ開弁される一方向弁17が取りつけられる。加えてチャンバー2と一方向弁17の間の循環路9にはエア吸入弁18が取りつけられ、このエア吸入弁18は外部から循環路9へエアを吸入する方向にのみ開弁される。
以上のセルロースナノ繊維の製造装置によれば以下のようにしてセルロースナノ繊維が製造される。
非多糖スラリーをチャンバー2を介して第2の液状媒体供給経路4を循環させる。具体的にはポンプ11を用いてタンク10内の非多糖スラリを熱交換器12、プランジャ13を通過させて液状媒体供給経路4内を循環させる。一方、多糖スラリーをチャンバー2を介して多糖スラリ供給経路3内を循環させる。具体的にはポンプ8を用いてタンク7内の多糖スラリをビニルホース、ゴムホース等を用いて形成された循環路9内を循環させる。
これにより、多糖スラリ供給経路3内を循環してチャンバー2内を流通する多糖スラリに対して第2の液状媒体供給経路4を循環する非多糖スラリがオリフィス噴射される。具体的にはプランジャ13に接続されるオリフィス噴射口14にプランジャ13から高圧水が供給され、これがオリフィス噴射口14から循環路9に向けて50〜400MPa程度の高圧でオリフィス噴射される。
その結果、例えばビニルホース、ゴムホース、アルミパイプ等を用いて形成された循環路9に予め形成された貫通孔26a、bを通過して、循環路9と交差する方向に循環路9内側を通過した非多糖スラリが循環路9内を循環する多糖スラリを巻き込みながらチャンバー2の排出口15に向けて排出され、第2の液状媒体供給経路4に流入する。これによって、非多糖スラリが第2の液状媒体供給経路4内を再度循環する。
以上のプロセスを反復する過程で多糖スラリ供給経路3内を循環してチャンバー2内を流通する多糖スラリ及び第2の液状媒体供給経路4を循環する非多糖スラリ中の多糖が徐々に解繊されて、用途に応じた解繊度合の均一性の高いCNF分散液が得られる。
パルプ繊維からCNFへの解繊度合は、CNF分散液の粘度値により評価することが出来る。すなわち、解繊度を高めたCNF分散液に含まれるCNFは繊維長さが短いものであるため、粘度値が低いものとなる。したがって、解繊度が高いCNF分散液は、粘度が低いものとなる。一方、これより粘度値が高いCNF分散液は、係るCNF分散液に含まれるCNFは繊維長さが長いものであるため、その粘度値が高いものとなる。したがって、前記CNF分散液と比較して解繊度が低いものとなる。
また、解繊後の繊維径に対する繊維長の比(アスペクト比)がパルプ繊維毎に異なるので、CNF分散液の粘度値はそれぞれ異なるものとなる。
さらに、例えば、異なる種類のパルプ繊維を組み合わせることにより、又は、前記解繊度合を調製することにより、CNF分散液の粘度を概ね300〜10000mPa・sの範囲で調整することができる。
以上のようにして得るセルロースナノファイバーは、天然セルロース繊維間の相互作用のみを解裂させることによってナノ微細化を行うためセルロース分子の構造変化がなく、以下の化学式1に表わされる構造式を有する。換言すると、本願発明で用いるセルロースナノファイバーは、セロビオースユニット内に水酸基6個を有し、化学修飾されていないことを意味する。これは、FT-IRを使用してセルロースのIRスペクトルと本願発明に使用するセルロースナノファイバーとを比較することで確認することができる。 本ACC法により、セルロース繊維の平均粒子長を1/4以下又は10μmにまで粉砕することができ、その結果、平均太さ3〜200nmであり、平均長さ0.1μm以上であるセルロースナノファイバーが得られる。一方で、対向衝突処理においては、加えられるエネルギーが共有結合を切断するエネルギーには、はるかに及ばず(推定1/300以下)、セルロースの重合度の低下は生じない。本ACC法によって得られたセルロースナノファイバーは、親水サイトと疎水サイトが共存し、両親媒性を示す。
また、本願発明に使用するセルロースナノファイバーは他の公知の製造方法によって得られるものをも使用することができる。尚、以下に示す製造方法に限定されることはなく、セルロースの天然結晶を残す製造方法であれば特に限定されるものではない。またセルロースの水酸基が化学修飾などにより例えばカルボキシル基に置換されているようなセルロースに比べ、化学修飾を受けていない繊維の方が、ネットワーク状になってソルダーペースト内部に存在するセルロース繊維とセルロース繊維の接合点における強度が強くより好ましい。具体的には、TEMPO酸化触媒、リン酸由来の基を有する化合物を用いて化学的処理する方法、パルプ等のセルロースファイバー含有材料をリファイナー、グラインダー(石臼式磨砕機)、一軸又は二軸混練機(押出機)、ビーズミル等によって磨砕、叩解等の機械処理をすることによって解繊、微細化して製造されたものを挙げることができる。また、必要に応じて、これらの解繊方法を組み合わせて処理したものであってもよい。
このようにして得られるセルロースナノファイバーをフラックス中に質量分率として0.03〜1.0%の範囲となるように適宜調整する。また、本発明においては、このように得られたセルロースナノファイバーを有機溶媒に置換することにより、エタノール、2−プロパノール等の有機溶媒に分散させたセルロースナノファイバーを使用することもできる。ボイドの発生や、フラックスなどの飛散は、水の存在が原因の1つであると考えられているためこれを防止するためである。有機溶媒への置換方法としては、多量の有機溶媒中に前記CNF分散液を徐々に投入し、共沸させることによって得られる。
−溶剤−
前記溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(ジブチルジグリコール)、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(2エチルヘキシルジグリコール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)などのグリコールエーテル系溶剤;n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族系化合物;酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトンなどのケトン系溶剤;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、オクタンジオールなどのアルコール系溶剤等が挙げられる。
前記溶剤は、単独で用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。前記溶剤の中でも、沸点140℃〜350℃の範囲をもつグリコールエーテル系溶剤を用いることが最適な連続印刷性を確保できる観点から好ましい。また、溶剤の使用量としては、特に限定されるものではなく、例えば、ソルダーペースト用フラックスに対して20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
−樹脂−
本実施形態のソルダーペースト用フラックスに使用する樹脂成分としては、ソルダーペースト用フラックス用のベース樹脂であれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、ロジン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素系樹脂又はABS樹脂、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム及びナイロンゴム等が挙げられる。
ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン及びトール油ロジン等の原料ロジン又はその精製物(精製ロジン);水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン及びα,β不飽和カルボン酸変性ロジン(アクリル化ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン等)、ロジンエステル等のロジン誘導体等が挙げられ、二種以上を併用できる。該ロジンエステルのポリオールとしては、グリセリン、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,4−ブタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールグリセリン等のトリオールや、ペンタエリスリトール、ジグリセリン及びジトリメチロールプロパン等のテトラオールが挙げられる。アルコールの水酸基はモノ体、ジオール体、トリオール体など特に限定されることなく利用することができる。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂があり、ビスフェノール型としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAP型、ビスフェノールAF型、ビスフェノールB型、ビスフェノールBP型、ビスフェノールC型、ビスフェノールE型、ビスフェノールF型、ビスフェノールG型、ビスフェノールM型、ビスフェノールS型、ビスフェノールP型、ビスフェノールPH型、ビスフェノールTMC型、ビスフェノールZ型などが挙げられる。
−硬化剤−
樹脂成分としてエポキシ樹脂を選択した場合には、硬化剤を使用するとよい。硬化剤としては、エポキシ基と反応する硬化剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機酸、アミン化合物、有機酸ジヒドラジド、リン系化合物、フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾール系硬化剤などが挙げられる。
前記酸無水物は、水を吸収して開環し、酸としての活性力を有する。したがって、フラックス中に酸無水物が存在すると、この酸無水物が水を吸収するため、ボイドの発生や、フラックスなどの飛散を抑制することができる。酸無水物としては、カルボン酸無水物やベンゼンスルホン酸無水物、硫酸、リン酸などの無機酸の無水物も挙げられる。
カルボン酸無水物としては、分子間脱水によって生成されたモノカルボン酸の無水物、分子内脱水によって生成されたジカルボン酸の無水物や分子内脱水によって生成されたトリカルボン酸の無水物のような多価カルボン酸の無水物などが挙げられる。これらのカルボン酸無水物の中でも、炭素数が4〜8のカルボン酸無水物が好ましく、ジカルボン酸やトリカルボン酸などの多価カルボン酸の無水物がより好ましい。モノカルボン酸の無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水乳酸などが挙げられる。また、ジカルボン酸の無水物としては、例えば、無水安息香酸、無水イサト酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
酸無水物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、硬化剤は、フラックス中に好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜5質量%の割合で含有される。酸無水物が0.5〜15質量%の割合で含有されると、ボイドの発生や、フラックスなどの飛散をより効果的に抑制することができ、さらに残渣の洗浄性をより向上させることができる。また、イミダゾール系硬化剤は、一液性とはんだ溶融性の両立に優れている。
−硬化促進剤−
硬化促進剤としては、3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5などの環状アミン類およびそれらのテトラフェニルボレート塩、トリブチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類、トリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートやテトラ(n−ブチル)ホスホニウムテトラフェニルボレートなどの4級ホスホニウム塩、Feアセチルアセトナートなどの金属錯体およびそれらのアダクト化合物を用いることができる。これらの硬化促進剤の配合量は、ゲル化時間や保存安定性を考慮して適宜設定される。
−活性剤−
本実施形態のソルダーペースト用フラックスには、ボイドの発生抑制およびフラックスなどの飛散抑制の効果を阻害せずに、耐腐食性や絶縁性、はんだ付け性を向上させる目的として活性剤を配合することができる。このような活性剤としては、各種公知の物を使用することができ、具体的には、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピペラジン及びアミノエチルピペラジンなどのエチレンアミン類、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン及びトリフェニルグアニジン等のアミン化合物、バリン、フェニルグリシン、ジフェニルグリシン等のアミノ酸化合物、飽和又は不飽和の脂肪族一塩基酸、飽和又は不飽和の脂肪族二塩基酸、ヘテロ原子含有複素環型カルボン酸等の非ハロゲン系活性剤、ブロモアルコール、アミン系ハロゲン化合物、ブロモヒドロキシカルボン酸、活性水素非含有ブロモ化合物等のハロゲン系活性剤等が挙げられる。これらは単独でまたは複数を組合せて使用することができる。
−界面活性剤−
本実施形態のソルダーペースト用フラックスには、ロジン等の樹脂や活性剤の溶解性も向上させる目的で界面活性剤を配合することができる。このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系等の各種公知の物を、特に制限されることなく、使用することができる。具体的には、高級脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、アルキルカルボキシベタイン等の両面界面活性剤、ポリメチレングリコールメチルエステル、ポリエチレングリコールメチルエステル、ポリプロピレングリコールメチルエステル等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
−酸化防止剤−
本実施形態のソルダーペースト用フラックスには、はんだ合金粉末の酸化を抑える目的で酸化防止剤を配合することができる。このような酸化防止剤としては、各種公知の物を特に制限されることなく、使用することができる。具体的には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、グアニジン系酸化防止剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリマー型酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
−その他の添加剤−
本願発明においては、上記成分以外に、防腐剤、着色剤、着色防止剤、高分子化合物、シランカップリング剤等を適宜使用することができる。
−はんだ合金粉末−
本実施形態のはんだ合金粉末としては、例えばSn、Ag、Cu、Bi、Zn、In、Ga、Sb、Au、Pd、Ge、Ni、Cr、Al、P、In、Pb等を複数組合せたものが挙げられる。なお、前記はんだ合金粉末の合金組成は特に限定されず、本実施形態に係るソルダーペーストの効果を阻害するものでなければいずれも使用することができる。
なお、代表的なはんだ合金粉末としては、Sn−Cu,Sn−Pb,Sn−Bi,Sn−Ag−Cu、Sn−Pb−Ag,Sn−Pb,Sn−Cu−Ni,Pb−Bi及びSn−Ag−Cu−In、といった鉛フリーはんだ合金粉末が用いられるが、鉛含有のはんだ合金粉末を用いてもよい。これらの合金粉末は成分の多い順に記述しているのではなく、後ろに記入したものの方が多い場合も含む。
前記はんだ合金粉末の配合量は、ソルダーペースト全量に対して65重量%から95重量%であることが好ましい。より好ましいその配合量は85重量%から93重量%である。
前記はんだ合金粉末の配合量が65重量%未満のソルダーペーストは、はんだ付け時に充分なはんだ接合が形成され難くなる傾向にある。他方はんだ合金粉末の配合量が95重量%を超えるソルダーペーストは、バインダとしてのはんだ付け用フラックスが足りないため、はんだ付け用フラックスとはんだ合金粉末とが混合され難くなる傾向にある。係る方法により得られる本発明のソルダーペーストは、はんだ付性を損なうことなく、またメタルマスクの形状にかかわらず良好な印刷性を確保し、更にフラックス残さの信頼性(残さの粘着性及び絶縁抵抗)を両立させることができる。
また、本発明は、上記のソルダーペーストによってはんだ付けされているはんだ接合部を備える電子回路基板を含んでいる。以下、詳細に説明する。
−はんだ接合部−
本実施形態のはんだ接合部は、前記ソルダーペーストを基板上の所定位置に印刷し、これを例えば150℃から260℃の温度でリフローを行うことにより形成される。なお、このリフローにより基板上にははんだ接合部とフラックス組成物を由来としたフラックス残さが形成される。
またこのようなはんだ接合部を有する電子回路基板は、一実施形態として、前記基板上の所定の位置に電極及びソルダレジスト膜を形成し、所定のパターンを有するマスクを用いて本実施形態のソルダーペーストを印刷し、当該パターンに適合する電子部品を所定の位置に搭載し、これをリフローすることにより作製される。
このようにして作製された電子回路基板は、前記電極上にはんだ接合部が形成され、当該はんだ接合部は当該電極と電子部品とを電気的に接合する。
また、ソルダーペーストを印刷する前記基板は、例えば、シリコンウエハー、ガラス類、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、金属板、金属面を有する基板(例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、紙フェノール樹脂基板、セラミック基板、ポリイミド系のフレキシブル基板、Si基板等)の金属面等、これらの基板に回路の構成材料が配置されたものから選択できるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリイミド樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。
また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
本発明に係る電子回路基板を組み込むことにより、信頼性の高い電子制御装置が作製される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ソルダーぺーストの種類及び品質分類、はんだ付用ソルダーペーストのはんだ粉末の形状,表面状態判定試験及び粒度分布測定試験、はんだ付用ソルダーペーストのソルダーぺースト印刷特性試験,粘度特性試験,印刷時のだれ試験,加熱時のだれ試験及び粘着性試験等の試験は、JIS Z 3284-1〜Z-3284-4及びJIS Z 3285 に従って行う。
−ソルダーペースト用フラックスの調製−
(実施例1〜実施例4、比較例1)
表1に記載の各成分を表1に記載の割合で混合し、フラックス全量に対し、0.05wt%となるようにセルロースナノファイバーを加え、フラックスとした。次いで、はんだ合金粉末(Sn3.0Ag0.5Cu)とフラックスとを重量比が88:12となるように調製し、ソルダーペースト用フラックスとした。
Figure 2019198871
得られたソルダーペーストを、リフロー法によりはんだ付けを実施した。ソルダーペーストの印刷膜厚は、厚さ150μmのメタルマスクを用いて調整した。リフロー条件は、プリヒートを170〜190℃、ピーク温度を245℃、220℃以上である時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの降温時の冷却速度を3〜8℃/秒に設定した。
−硬化処理後の残渣割れ―
はんだ付け後の基板をチェッカーピンで検査し、検査後のフラックス残渣の残渣割れの状態を観察し、以下のように評価した。
○:残渣割れ無し
×:残渣割れ有り
−絶縁抵抗の測定―
はんだ付け後の基板について、JIS Z 3197(8.5.3)に規定の条件に従い、その抵抗値を測定し、以下のように評価した。
○:測定初期値が1.0×10Ω以上
×:測定初期値が1.0×10Ω未満
−銅板腐食−
JISZ−3197(8.4.2)に準拠し各試験基板を作製および銅板腐食試験を行い、以下のように評価した。
○:腐食なし
△:やや腐食あり
×:腐食あり
−マイグレーション試験−
JIS−Z−3284に準拠し各試験基板を作成しマイグレーション試験を行い、マイグレーションの有無を評価した。
これらの測定結果を表2に示す。
Figure 2019198871

Claims (6)

  1. 少なくとも、樹脂と、溶剤と、活性剤と、チクソ剤とを含むソルダーペースト用フラックスであって、
    さらに、平均太さ3〜200nmであり、平均長さ0.1μm以上のセルロースナノファイバー分散液を含むことを特徴とするはんだ付け用フラックス。
  2. 少なくとも、樹脂と、溶剤と、活性剤と、チクソ剤とを含むソルダーペースト用フラックスであって、
    前記チクソ剤は、平均太さ3〜200nmであり、平均長さ0.1μm以上のセルロースナノファイバー分散液であることを特徴とするはんだ付け用フラックス。
  3. 前記セルロースナノファイバー分散液は、有機溶媒置換された分散液であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のはんだ付け用フラックス。
  4. 前記樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載のはんだ付け用フラックス。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のソルダーペースト用フラックスと、はんだ合金粉末とを含むことを特徴とするソルダーペースト。
  6. 請求項5記載のソルダーペーストによる接合部を備えることを特徴とする、電子回路基板。
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