JP2019196512A - 黒色めっきが施された接合部材および接合部材用黒色めっき鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗装することなく黒色外観が得られ、加工後の黒色外観の保持性に優れる高耐食性の黒色めっきが施された接合部材、および接合部材用黒色めっき鋼板を提供する。【解決手段】基材鋼材の表面に、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつZnの黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層を有し、前記溶融Al、Mg含有めっき層の表面の明度はL*値で60以下である黒色外観を呈する黒色めっき層が形成されているめっき鋼板を素材とした接合部材に用いられる。【選択図】なし
Description
本発明は、基材鋼材の表面に、黒色の外観を呈するめっきが施された接合部材および接合部材用黒色めっき鋼板に関する。
鉄鋼製の機械接合などによる接合部材は普通鋼、構造用鋼、高張力鋼などの鋼材にめっきや塗装を施したものが用いられる。しかし、鋼材に塗装したものは塗膜が薄い部分や塗膜の疵付き部で鋼材が腐食しやすく、腐食した場合、鋼材の強度に影響を及ぼす懸念があるため、近年では長寿命化の観点から高耐食性を有するめっきを施したものが主に使用されている。
ただし、外観の色調が求められる場合は、めっきを施したものにさらに塗装を施したり、塗装鋼板を用いるケースがある。中でも黒色の外観は、強度が高いという印象を与えることができることや、物陰等では目立ちにくいことから、とくに機械接合品部材やその周辺金物等に使用される。
しかし、めっきを施したものに塗装する場合、高コストになりやすい。さらに、下地のめっきは銀白色をしているため、黒色の外観を得るためには塗膜を厚くして下地色を隠蔽する必要があり、塗装コストが高くなってしまう。また、塗装後は塗膜が厚いため溶接等ができないという問題もある。塗装鋼板の場合は、加工等による塗膜のクラックや疵付き部で下地が見えて、白色を呈する場合もある。
しかし、めっきを施したものに塗装する場合、高コストになりやすい。さらに、下地のめっきは銀白色をしているため、黒色の外観を得るためには塗膜を厚くして下地色を隠蔽する必要があり、塗装コストが高くなってしまう。また、塗装後は塗膜が厚いため溶接等ができないという問題もある。塗装鋼板の場合は、加工等による塗膜のクラックや疵付き部で下地が見えて、白色を呈する場合もある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、塗装することなく黒色の外観が得られ、加工後においても黒色の外観の保持性に優れる高耐食性の黒色めっきが施された接合部材および接合部材用黒色めっき鋼板を提供することを目的とする。
上記の目的は、基材鋼材と、基材鋼材の表面に、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつZnの黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層を有し、溶融Al、Mg含有Znめっき層の表面の明度はL*値で60以下である、黒色めっきが施された接合部材によって達成することができる。ここで、前記Znめっきの黒色酸化物は、Zn2Mg相に由来するZnの酸化物であってもよい。ここで、めっき層中とは、めっき層の表面とめっき層内部の両方を含む。また、「酸化物」とは、酸化物、水酸化物、あるいはその両方を総称している。
そして、本発明の接合部材は、機械接合、接着接合および溶接接合の少なくとも一種の接合部を有している。
また、本発明の接合部材用鋼板は、基材鋼材と、前記基材鋼材の表面に、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつZnの黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層を有し、前記溶融Al、Mg含有Znめっき層表面の明度はL*値で60以下である接合部材用黒色めっき鋼板である。
本発明によれば、塗装することなく意匠性に優れた黒色の外観を有し、かつ加工後の黒色外観の保持性に優れる高耐食性の黒色めっきが施された接合部材および接合部材用黒色めっき鋼板を提供することができる。
〔黒色めっきが施された接合部材〕
本発明の黒色めっきが施された接合部材は、基材鋼材と、溶融Al、Mg含有Znめっき層(以下、「めっき層」ともいう)とを有する。本発明の黒色めっきの上層に、さらに無機系、有機系あるいは無機有機複合のクロム含有あるいはクロムフリーの皮膜を有していてもよい。
本発明の黒色めっきが施された接合部材は、基材鋼材と、溶融Al、Mg含有Znめっき層(以下、「めっき層」ともいう)とを有する。本発明の黒色めっきの上層に、さらに無機系、有機系あるいは無機有機複合のクロム含有あるいはクロムフリーの皮膜を有していてもよい。
本発明の黒色めっきが施された機械接合品部材は、1)めっき層中にZnの黒色酸化物が分布していること、および2)めっき層の表面の明度がL*値で60以下(好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下)であることを特徴とする。めっき層の表面の明度(L*値)は、分光型色差計を用いて、JIS K 5600に準拠した分光反射測定法で測定される。さらに、前記Znの黒色酸化物は、Zn2Mg相に由来するZnの酸化物であってもよい。
〔基材鋼材〕
基材鋼材の種類は、特に限定されない。例えば、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などの鋼材を使用することができる。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などからなる加工性の優れた鋼材が好ましい。また、P、Si、Mnなどを添加した高強度鋼を用いてもよい。基材鋼材の形状は限定されず、熱延鋼板や冷延鋼板などの帯鋼であってもよいし、H型鋼、C型鋼などの形鋼やプレス成形等を実施した後の加工後の鋼材であってもよいし、鋼管であってもよい。
基材鋼材の種類は、特に限定されない。例えば、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、合金鋼などの鋼材を使用することができる。良好なプレス成形性が必要とされる場合は、低炭素Ti添加鋼、低炭素Nb添加鋼などからなる加工性の優れた鋼材が好ましい。また、P、Si、Mnなどを添加した高強度鋼を用いてもよい。基材鋼材の形状は限定されず、熱延鋼板や冷延鋼板などの帯鋼であってもよいし、H型鋼、C型鋼などの形鋼やプレス成形等を実施した後の加工後の鋼材であってもよいし、鋼管であってもよい。
〔溶融Al、Mg含有Znめっき層〕
本発明のめっき層は、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつ黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層である。Al含有量またはMg含有量が上記範囲の下限値より小さい場合、十分な耐食性が得られない。一方、上限値より大きい場合は、めっき工程におけるめっき浴の表面に酸化物(ドロス)の発生が過多となり、美麗なめっき層が得られない。
本発明のめっき層は、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつ黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層である。Al含有量またはMg含有量が上記範囲の下限値より小さい場合、十分な耐食性が得られない。一方、上限値より大きい場合は、めっき工程におけるめっき浴の表面に酸化物(ドロス)の発生が過多となり、美麗なめっき層が得られない。
また、めっき層中には、めっき層と基材鋼材との密着性を向上させるため、0.005〜2.0質量%の範囲のSiを添加しても良い。また、Ti、B、Ti−B合金、Ti含有化合物またはB含有化合物をめっき層に添加しても良い。これらの化合物の添加量は、Tiが0.001〜0.1質量%の範囲内になるように、Bが0.0005〜0.045質量%の範囲内となるように設定することが望ましい。
めっき層の厚みは特に限定されないが、3〜100μmの範囲内が好ましい。めっき層の厚みが3μm未満の場合、取扱い時に基材鋼材に達する疵が入り易くなるため、黒色外観の保持性および耐食性が低下するおそれがある。一方、めっき層の厚みが100μm越でめっき後に加工する場合、圧縮を受けた際のめっき層と基材鋼材との延性が異なるため、加工部においてめっき層と基材鋼材とが剥離してしまうおそれがある。
〔黒色酸化物〕
本発明の黒色めっき層には、そのめっき層中に分布しているZnの黒色酸化物を含有する。ここで、めっき層中とは、めっき層の表面とめっき層内部の両方を含む。また、本明細書における「酸化物」とは、酸化物、水酸化物、あるいはその両方とを総称している。
本発明の黒色めっき層には、そのめっき層中に分布しているZnの黒色酸化物を含有する。ここで、めっき層中とは、めっき層の表面とめっき層内部の両方を含む。また、本明細書における「酸化物」とは、酸化物、水酸化物、あるいはその両方とを総称している。
黒色めっき層中の黒色酸化物の分布はめっき層の断面を光学顕微鏡で観察することにより確認できる。また、Znの酸化物の存在は断面からの電子線マイクロアナライザ(EPMA)や表面からのX線回折等により確認できる。
本発明の黒色めっき鋼板が施された接合部材のめっき層には、黒色の色調を付与する黒色酸化物がめっき層の表面だけでなく内部にも存在する。したがって、本発明の黒色めっきを施した接合部材は、めっき層の表面が削れても黒色外観を維持することができ、黒色外観の保持性に優れている。
また、本発明の黒色めっきを施された接合部材は、塗膜を形成していないため、スポット溶接等の溶接も可能である。
本発明の黒色めっきを施された接合部材は、形状を問わず、ボルト、ナットやねじ、リベットなどの接合用副部材を用いたり、カシメたりする機械接合、接着剤や接着テープによる接着接合、また、スポット溶接(抵抗溶接)、アーク溶接、プロジェクション溶接、レーザー溶接や超音波溶接による溶接接合で接合すればよい。
具体的には、構造材、二次部材、外装材、内装材、建築金物、架台用部材、配管用部材などであり、さらに具体的には、柱、梁、大引、杭、屋根、内外壁、デッキ部材、階段部材、天井部材、ダクト部材、太陽光架台、エントランス枠、ウッドデッキ、根太、軽量溝形鋼、H形鋼、C形鋼、丸鋼管、角鋼管、異形管、照明ポール等で黒色外観が要求されるものに適している。
具体的には、構造材、二次部材、外装材、内装材、建築金物、架台用部材、配管用部材などであり、さらに具体的には、柱、梁、大引、杭、屋根、内外壁、デッキ部材、階段部材、天井部材、ダクト部材、太陽光架台、エントランス枠、ウッドデッキ、根太、軽量溝形鋼、H形鋼、C形鋼、丸鋼管、角鋼管、異形管、照明ポール等で黒色外観が要求されるものに適している。
〔黒色めっきを施した接合部材の製造方法〕
本発明の黒色めっきを施した接合部材の製造方法は、1)溶融Al、Mg含有Znめっきを施すステップと、2)溶融Al、Mg含有Znめっきを施した鋼材を密閉容器内で水蒸気に接触させるステップとを有する。また、接合部材への加工は、めっきを施すステップの前でもよいし、めっきを施した後でもよいし、水蒸気に接触させるステップの後でも良い。さらに無機系、有機系あるいは無機有機複合のクロム含有あるいはクロムフリーの皮膜を施すステップを有していてもよく、その実施はめっきを施した後であればよく、水蒸気に接触させた後でもよいし、加工前でもよいし、加工後でもよい。
本発明の黒色めっきを施した接合部材の製造方法は、1)溶融Al、Mg含有Znめっきを施すステップと、2)溶融Al、Mg含有Znめっきを施した鋼材を密閉容器内で水蒸気に接触させるステップとを有する。また、接合部材への加工は、めっきを施すステップの前でもよいし、めっきを施した後でもよいし、水蒸気に接触させるステップの後でも良い。さらに無機系、有機系あるいは無機有機複合のクロム含有あるいはクロムフリーの皮膜を施すステップを有していてもよく、その実施はめっきを施した後であればよく、水蒸気に接触させた後でもよいし、加工前でもよいし、加工後でもよい。
(めっきを施すステップ)
本発明の黒色めっきを施した接合部材は、基材鋼材に対し、Alが0.1〜22.0質量%、Mgが0.1〜10.0質量%を含むZnの合金めっき浴を用いた溶融めっきを行うことにより製造される。このようにすることで、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含むZnの合金めっき浴を用いた溶融めっきを行うことにより製造される。このようにすることで、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含有するZnからなり、かつZn2Mg相がめっき層中に分布しているめっき層を形成することができる。また、合金めっき浴には、Si、Ti、B、Ti−B合金、Ti含有化合物、B含有化合物を添加してもよい。また、溶融めっき法は一般的な連続式の溶融めっき鋼板製造方法でもよいし、ドブ漬けと呼ばれるバッチ式の浸せき法でもよい。たとえば、連続式の溶融めっき鋼板製造方法の場合、めっき浴温を430℃とし、めっき後の冷却は空冷方式とし、めっき浴温からめっき層凝固までの平均冷却速度を11℃/秒とすることで、溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板を製造することができる。 なお、めっき方法によっては冷却速度が十分に確保できない場合やめっき組成などにより、めっき層中に金属間化合物であるZn11Mg2が析出する場合がある。このZn11Mg2が析出しためっき層でも黒色めっきが得られるため、本発明の範疇であり、その性能は変化するものではない。
本発明の黒色めっきを施した接合部材は、基材鋼材に対し、Alが0.1〜22.0質量%、Mgが0.1〜10.0質量%を含むZnの合金めっき浴を用いた溶融めっきを行うことにより製造される。このようにすることで、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含むZnの合金めっき浴を用いた溶融めっきを行うことにより製造される。このようにすることで、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含有するZnからなり、かつZn2Mg相がめっき層中に分布しているめっき層を形成することができる。また、合金めっき浴には、Si、Ti、B、Ti−B合金、Ti含有化合物、B含有化合物を添加してもよい。また、溶融めっき法は一般的な連続式の溶融めっき鋼板製造方法でもよいし、ドブ漬けと呼ばれるバッチ式の浸せき法でもよい。たとえば、連続式の溶融めっき鋼板製造方法の場合、めっき浴温を430℃とし、めっき後の冷却は空冷方式とし、めっき浴温からめっき層凝固までの平均冷却速度を11℃/秒とすることで、溶融Al、Mg含有Znめっき鋼板を製造することができる。 なお、めっき方法によっては冷却速度が十分に確保できない場合やめっき組成などにより、めっき層中に金属間化合物であるZn11Mg2が析出する場合がある。このZn11Mg2が析出しためっき層でも黒色めっきが得られるため、本発明の範疇であり、その性能は変化するものではない。
また、めっき層中の各成分の含有量の値は、めっき層に含まれる各金属成分の質量をめっき層中の含まれる全金属の質量で除したものを百分率で表したものである。すなわち、酸化物に含まれる酸素および水、水素の質量は、めっき層中の成分として含まれない。従って、水蒸気に接触させて黒色化させる黒色化処理の際に金属成分の溶出が起こらない場合、黒色化処理の前後においてめっき層中の各成分の含有量の値は変化しない。
〔水蒸気に接触させるステップ〕
本ステップはめっき層を密閉容器内で水蒸気と接触さえることにより、めっき層の表面の明度(L*値)を60以下(好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下)にまで低下させて黒色化するステップである。以下、このステップを黒色化処理ともいう。めっき層の表面の明度(L*値)は、分光型色差計を用いて測定される。
本ステップはめっき層を密閉容器内で水蒸気と接触さえることにより、めっき層の表面の明度(L*値)を60以下(好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下)にまで低下させて黒色化するステップである。以下、このステップを黒色化処理ともいう。めっき層の表面の明度(L*値)は、分光型色差計を用いて測定される。
当該めっき層を密閉容器内で水蒸気と接触させることで、めっき層中にZnの黒色酸化物が生成し、黒色の外観が得られる。そのメカニズムは明らかになっていないが、発明者らは以下のように考えている。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
めっき層を密閉容器内で水蒸気と接触させることにより、めっき層中の各金属成分が酸化あるいは水酸化する。以下、酸化(物)および水酸化(物)を総称して「酸化(物)」とする。このとき、めっき層中の成分のうち、比較的酸化されやすいAlやMgはZnの酸化物から酸素を奪う。酸素を奪われたZnの酸化物は不定比となり、例えばZnO1−xのような酸素欠乏型の酸化物となる。このように不定比な酸化物が生成すると、その欠陥準位に光がトラップされるため、酸化物が黒色外観を呈することとなり、黒色めっきが得られる。
また、AlやMgは酸化しやすいために、めっき層の内部に存在しているAlやMgも酸化し、これがめっき層の内部への酸素の侵入経路となることでめっき層内部のZnも酸化し、前述したような不定比の酸化物が生成する。このため、めっき層の表面だけでなく、めっき層内部にも黒色を呈する不定比の酸化物が分布することになるため、めっき層の表面に疵等が付いたとしても黒色外観の保持性が確保できる。
また、AlやMgは酸化しやすいために、めっき層の内部に存在しているAlやMgも酸化し、これがめっき層の内部への酸素の侵入経路となることでめっき層内部のZnも酸化し、前述したような不定比の酸化物が生成する。このため、めっき層の表面だけでなく、めっき層内部にも黒色を呈する不定比の酸化物が分布することになるため、めっき層の表面に疵等が付いたとしても黒色外観の保持性が確保できる。
また、めっき層の中でも、Zn2Mgは特に酸化しやすく、さらにZnとMgが近接しているため、Znの不定比酸化物の生成を促進させる。また、前述したようにZn11Mg2でも同様の効果が得られる。
水蒸気との接触による黒色化処理において、水蒸気がない場合は黒色化が起こらない。また、黒色化処理を行う雰囲気中の酸素が多いと黒色化が起こらず、安定的に処理するための酸素濃度は13%以下であることが好ましい。このため、黒色化処理は密閉容器内で行うことが好ましい。
黒色化処理の温度は50〜350℃以下の範囲が好ましい。温度が50℃未満の場合、黒色化速度が遅く、生産性が低下する。一方、350℃超の場合、黒色化速度が非常に速くなりその制御が困難となる。また、めっき層が融解したり、鋼材とめっき層の合金化が生じるため、美麗な黒色めっき層が得られにくい。
黒色化処理の相対湿度は30〜100%RHの範囲内が好ましい。水蒸気の相対湿度が30%RH未満の場合、黒色化速度が非常に遅く、生産性が低下してしまう。黒色化処理の処理時間は、温度や相対湿度、圧力、酸素濃度やめっき層の組成(AlやMgの濃度)、必要とする明度などに応じて適宜設定される。
〔黒色めっきが施された接合部材の製造方法〕
黒色めっきが施された基材鋼材を機械接合部品へ加工、形成する方法は特に限定されない。例えば、コイル状の鋼板をスリットしてロールフォーミングにより加工する方法、打ち抜いてからプレス成型機により成形する方法、シャーリング等により切板状に切断してからプレスブレーキ等により曲げ加工する方法等を適宜用いることができる。
黒色めっきが施された基材鋼材を機械接合部品へ加工、形成する方法は特に限定されない。例えば、コイル状の鋼板をスリットしてロールフォーミングにより加工する方法、打ち抜いてからプレス成型機により成形する方法、シャーリング等により切板状に切断してからプレスブレーキ等により曲げ加工する方法等を適宜用いることができる。
これらを接合部材とする接合手段は、ボルト、ナットやねじ、リベットなどの接合用副部材を用いたり、かしめることにより機械接合してもよいし、接着剤や接着テープを用いて接着接合してもよい。また、ボルト、ナットやねじ、リベットなどの接合用部材を用いる場合は、黒色塗装や黒色めっきなどの処理を施したものを用いることもできる。
特に、かしめによる機械接合は、基材鋼材に対して加工度の大きい接合であるが、本発明が用いる基材鋼材の黒色めっきは、前述のとおり、めっき層内部にも黒色を呈する不定比の酸化物が分布しているため、黒色外観や耐食性を保持することができる。
特に、かしめによる機械接合は、基材鋼材に対して加工度の大きい接合であるが、本発明が用いる基材鋼材の黒色めっきは、前述のとおり、めっき層内部にも黒色を呈する不定比の酸化物が分布しているため、黒色外観や耐食性を保持することができる。
また、黒色めっきが施された基材鋼材は表面に塗装が施されていないため、これらを接合するために溶接を用いることができる。そのために、スポット溶接機、アーク溶接機、プロジェクション溶接機やレーザー溶接機などを用いることができる。溶接を用いた場合は、溶接部およびその近傍は、めっき金属が溶融したものが黒色めっき層の表面に付着して白色を呈したり、黒色酸化物が消失したり、基材鋼材が露出したりする場合がある。その場合は、黒色塗料などによるタッチアップ(補修)を実施してもよい。
〔接合部材用黒色めっき鋼板〕
本発明の接合部材用黒色めっき鋼板は、実施形態1において説明した〔基材鋼材〕に対し、実施形態2において説明した〔めっきを施すステップ〕を行い、次に〔水蒸気に接触させるステップ〕をこの順に行うことで製造することができる。このようにして製造された接合部材用黒色めっき鋼板は、めっき層の中に〔黒色酸化物〕が分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層であり、前記めっき層の表面の明度は、L*値で60以下であることから黒色の外観を呈する。
本発明の接合部材用黒色めっき鋼板は、実施形態1において説明した〔基材鋼材〕に対し、実施形態2において説明した〔めっきを施すステップ〕を行い、次に〔水蒸気に接触させるステップ〕をこの順に行うことで製造することができる。このようにして製造された接合部材用黒色めっき鋼板は、めっき層の中に〔黒色酸化物〕が分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層であり、前記めっき層の表面の明度は、L*値で60以下であることから黒色の外観を呈する。
Claims (5)
- 基材鋼材と、前記基材鋼材の表面に、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつZnの黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層を有し、前記溶融Al、Mg含有Znめっき層表面の明度はL*値で60以下である黒色めっきが施された接合部材。
- 前記Znの黒色酸化物は、Zn2Mg相に由来するZnの酸化物である、請求項1に記
載の黒色めっきが施された接合部材。 - 前記接合部材は、機械接合、接着接合および溶接接合の少なくとも一種の接合部を有する請求項1または2に記載の黒色めっきが施された接合部材。
- 前記接合部材は、機械接合による接合部を有する管状部材である請求項1〜3のいずれかに記載の黒色めっきが施された接合部材。
- 基材鋼材と、前記基材鋼材の表面に、Al:0.1〜22.0質量%、Mg:0.1〜10.0質量%を含み、かつZnの黒色酸化物がめっき層中に分布している溶融Al、Mg含有Znめっき層を有し、前記溶融Al、Mg含有Znめっき層表面の明度はL*値で60以下である接合部材用黒色めっき鋼板。
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