以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態は、当該技術分野で通常の知識を持った者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施形態は、色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されるものではない。かえって、それらの実施形態は、本開示をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
また、以下の図面において、各層の厚さやサイズは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものであり、図面上で、同じ符号は同じ要素を指す。本明細書で使われたように、用語“及び/または”は、当該列挙された項目のうちいずれか一つ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。
本明細書で使われた用語は、特定の実施形態を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われたように、単数の形態は、文脈上明確に取り立てて指摘するものでなければ、複数の形態を含む。また、本明細書で使われる場合、“含む(comprise)”及び/または“含んだ(comprising)”は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/またはそれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/またはそれらのグループの存在または付加を排除するものではない。
本明細書において、第1、第2などの用語は、様々な部材、部品、領域、層及び/または部分を説明するために使われるが、それらの部材、部品、領域、層及び/または部分は、それらの用語によって限定されてはならない。それらの用語は、一つの部材、部品、領域、層または部分を、他の領域、層または部分と区別するためにのみ使われる。したがって、後述する第1部材、部品、領域、層または部分は、本発明の思想から逸脱しない範囲内で、第2部材、部品、領域、層または部分を指す。
図1は、本発明の一実施形態による人工骨組織の製造システム100を示すものである。
図1を参照すれば、本発明による人工骨組織の製造システム100は、撮像部111と、クライアントコンピュータ112と、サーバーコンピュータ121と、加工部122とを含む。例えば、撮像部111及びクライアントコンピュータ112は、病院システム110内の手術室または診断室に設けられ、サーバーコンピュータ121及び加工部122は、手術室または診断室とは区別される別の場所に配置される人工骨組織の加工及び製造システム120に設けられている。各構成要素は、必要な場合、図1に示したように、ネットワーク130を介して、互いに遠隔地間接続を許容している。このために、クライアントコンピュータ112またはサーバーコンピュータ121は、ネットワーク130に接続するための通信インターフェース(図示せず)を含むこともできる。
一実施形態において、病院システム110は複数であり、これによって、クライアントコンピュータ112及び撮像部111も複数であり、人工骨組織の加工及び製造システム120は単一である。この場合、複数の病院システム110と、一つの人工骨組織の加工及び製造システム120との間に、多対一の関係が成立される。複数のクライアントコンピュータと、一つのサーバーコンピュータとは、有無線通信網を含むネットワーク130を介して、相互間に通信可能に連結される。
クライアントコンピュータ112またはサーバーコンピュータ121は、応用ソフトウェア及び資料の保存のための永久保存装置または臨時保存装置と、前記永久保存装置または臨時保存装置に保存された少なくとも一つ以上のデータベースと、これらを制御するための中央処理装置とを含む。前記データベースは、サーバーコンピュータ121側に設けられた第1及び第2データベース123、124が例示されている。また、クライアントコンピュータ112またはサーバーコンピュータ121は、マウス、キーボード、またはタッチパネルのような入力部と、モニター、プロジェクションディスプレイ、及びヘッドアップディスプレイのような出力部とを含むユーザーインターフェースを有している。前記ユーザーインターフェースは、後述するシミュレーションのリアリティーと情報伝達効率の向上のために、増強現実を具現することもできる。参照符号113は、クライアントコンピュータ112に結合された前記ユーザーインターフェースを示している。
一実施形態において、クライアントコンピュータ112のユーザーインターフェース113は、サーバーコンピュータ121により遠隔地間に共有することができる。例えば、ユーザーインターフェース113がディスプレイである場合、クライアントコンピュータ112側のユーザーが動作させる内容は、サーバーコンピュータ121側のユーザーへ伝送され、サーバーコンピュータ121側のディスプレイを介して、ユーザーインターフェース113に具現された同一な画像内容が示現される。同様に、サーバーコンピュータ121側のユーザーが動作させる内容が、ユーザーインターフェース113に具現されることも可能である。その具現方式は、インターネットを利用したマルチメディア情報のストリーミング、または制御情報の送受信により実現可能であり、本発明がこれに限定されるものではない。
クライアントコンピュータ112またはサーバーコンピュータ121、第1及び第2データベース123、124の上述の構成要素は、単一のコンピュータに具現されるものに限定されず、分散化またはクラウド方式により具現されてもよい。一実施形態において、クライアントコンピュータ112の主なデータ及び実行プログラムは、サーバーコンピュータ121に設けられ、クライアントコンピュータ112は、これをダウンロードして使用できる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
病院システム110内に設けられる撮像部111は、患者の手術対象骨組織を撮影し、これを電気的信号に変換して、クライアントコンピュータ112へ伝送する。前記手術対象骨組織は、人工骨組織により、非制限的な例として、口腔顎顔面骨、脊椎骨、頭蓋骨または四肢長骨のような骨組織を再建するために、その一部または全部が代替、補綴、再建されたり、既存または代替骨組織と隣接骨組織との癒合のような外科的手術が求められる骨組織である。
撮像部111は、前記手術対象骨組織の大きさ、形状、位置または疾患についての情報を含む任意の三次元映像情報を生成するイメージング装置である。撮像部111は、非制限的な例として、X線装置、CT(computed tomography)装置、MRI(magnetic resonance imaging)装置、及びPET(positron emission tomography)装置のうち少なくともいずれか一つを含む。しかし、前記三次元映像情報は、複数の二次元情報から三次元レンダリングが行われて生成されるので、撮像部111は、三次元レンダリングが可能な二次元映像情報を生成するイメージング装置を含む。
前記三次元映像情報は、前記手術対象骨組織の治療のために、代替、補綴、再建、または癒合のための前記手術対象骨組織の三次元映像情報を含む。選択的には、骨組織の創面環境調整(wound bed preparation)についての三次元映像情報と、手術方法による隣接骨組織、筋肉組織、神経組織または血管組織についての映像情報とをさらに含む。本明細書では、これらを手術対象骨組織の三次元映像情報と総称する。
クライアントコンピュータ112は、撮像部111から、前記手術対象骨組織の前記映像情報を獲得する。クライアントコンピュータ112は、獲得された手術対象骨組織の三次元映像情報を、ネットワーク130を介して、他のコンピュータへ伝送する。一部の実施形態において、クライアントコンピュータ112は、前記手術対象骨組織の前記映像情報と共に、前記手術対象骨組織の解剖学的名称と対応する識別情報、疾患名称、及び代替、補綴、再建または癒合のような手術方法のうち少なくとも一つ以上の情報を、ネットワーク130を介して、他のコンピュータへ伝送する。前記手術対象骨組織の識別情報、疾患名称または手術方法についての情報は、診断または手術と関連した医療陣により、ユーザーインターフェース113を介して入力されることもある。
サーバーコンピュータ121は、有線通信網62のようなネットワーク130を介して、クライアントコンピュータ112から伝送される前記手術対象骨組織の前記映像情報を受信する。伝送された映像情報は暗号化可能であり、情報の機密性維持のために、永久的に公開されたり、一定の期間だけ確認が可能な保安情報をさらに含んでもよい。
選択的には、サーバーコンピュータ121は、前記映像情報と共に、前記骨組織の解剖学的名称と対応する識別情報、身体情報(例えば、非制限的な例として、年、年齢、性別、身長、体重、骨密度、既往歴)、疾患名称、及び/または手術方法をさらに受信する。
サーバーコンピュータ121は、前記手術対象骨組織の前記三次元映像情報を利用した映像認識、及び選択的には、前記識別情報、前記身体情報、前記疾患名称、及び前記手術方法のうち少なくともいずれか一つの情報を参照して、前記手術対象骨組織を識別し、前記手術対象骨組織に対応する治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成する。前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報は、単一であってもよいし、複数であってもよい。ユーザーは、生成された複数の治療用骨組織モデルの三次元映像情報から、好適ないずれか一つを選択することも可能である。サーバーコンピュータ121が生成する前記治療用骨組織モデルの前記映像情報は、手術対象骨組織の治療方法によって、人工骨組織により、非制限的な例として、口腔顎顔面骨、脊椎骨、頭蓋骨または四肢長骨などを再建するために、その一部または全部が代替、補綴、再建されたり、既存または代替骨組織と隣接骨組織との癒合に好適ないかなる形状、大きさ、位置についての情報を含むことができる。
選択的には、サーバーコンピュータ121により、前記治療用骨組織モデルの前記映像情報に、識別情報、疾患名称、及び手術方法についての情報のうち少なくともいずれか一つの追加的情報がさらに生成される。このようなサーバーコンピュータ121による識別情報、疾患名称、及び手術方法についての情報のうち少なくともいずれか一つは、サーバーコンピュータ121のユーザー(または、医療陣)による診断、処置または手術をガイドする推薦のためのものであり、ユーザーが入力して、クライアントコンピュータ110から伝送された識別情報、疾患名称または手術方法についての情報と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。前記情報が一致している場合には、前記ユーザーの判断に確信を付与でき、前記情報が一致していない場合には、システムが提供する提案的情報として使用できるので、前記ユーザーの判断を補完する効果を有している。
サーバーコンピュータ121は、資料の保存のための永久保存装置または臨時保存装置、及びこれらの保存装置に記録される第1データベース123に、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報と、選択的には、前記追加的情報を生成するための基礎映像情報とが保存される。前記基礎映像情報は、年令別、性別、身長別、体重別、または人種別の人体から収集された正常骨組織の映像データを含み、選択的には、前記正常骨組織の識別情報、関連疾患名称または手術方法についての情報をさらに含む。
サーバーコンピュータ121は、クライアントコンピュータ112から受信された手術対象骨組織の三次元映像情報によって、前記基礎映像情報から、前記手術対象骨組織の三次元映像情報に対応する正常骨組織の映像情報を検出する。なお、サーバーコンピュータ121は、前記検出された正常骨組織の映像情報と共に、前記正常骨組織の識別情報、関連疾患名称または手術方法についての追加的出力情報を検出することも可能である。このように検出された前記正常骨組織の三次元映像情報と、選択的には、追加的出力情報とを、前記正常骨組織の三次元映像情報に結合し、サーバーコンピュータ121は、治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成できる。
一部の実施形態において、クライアントコンピュータ112から受信された手術対象骨組織の手術方法についての追加的情報として、補綴、再建、癒合または創面環境調整の以前または以後の段階についての映像情報がある場合、サーバーコンピュータ121は、前記追加的情報を参照して、前記正常骨組織の映像情報に、前記追加的情報を反映し、前記追加的情報による正常骨組織の形状、大きさ、位置による修正を行う。このように修正された正常骨組織の映像情報に基づいて、治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成することも可能である。例えば、クライアントコンピュータ112から受信された手術対象骨組織の手術方法が補綴または癒合である場合、正常骨組織を人工骨組織に完全に代替して、手術が進められるものではないので、正常骨組織の映像情報の一部または全体の修正が求められ、前記修正された正常骨組織の映像情報に基づいて、治療用骨組織モデルの三次元映像情報が生成できる。
他の実施形態において、前記正常骨組織の三次元映像情報は、患者自身の過去の手術対象骨組織についての映像情報、または当該骨組織に対する左右対称の関係にある他方の正常骨組織についての映像情報をさらに含む。患者自身の前記正常骨組織の映像情報は、サーバーコンピュータ121が手術対象骨組織を識別し、治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成するのに活用できる。例えば、サーバーコンピュータ121が、手術対象骨組織の三次元映像情報と対応する正常骨組織の前記映像情報の検出が失敗している場合、または独立的な別の参照の目的として、患者自身の過去の正常骨組織の映像、または左右を反転させて、代案的な治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成し、これをクライアントコンピュータ112へ伝送する。これにより、クライアントコンピュータ112が、手術対象骨組織の映像と、治療用骨組織モデルの三次元映像情報とを容易に比較及び修正が可能にする。
前記正常骨組織についての映像情報、追加的出力情報、または修正された正常骨組織の映像情報に基づいた治療用骨組織モデルの三次元映像情報と共に、サーバーコンピュータ121は、治療用骨組織モデルが実質的に同じ形状の人工骨組織で具現される場合、人工骨組織の形状、材料、微細組織、強度、手術方法、及び手術成功率のうち少なくともいずれか一つの人工骨組織についての情報を生成することも可能である。人工骨組織の材料、微細組織、強度または手術成功率のような人工骨組織の基礎情報は、第2データベース124に保存管理され、生成された治療用骨組織モデルについての情報も、第2データベース124に保存管理される。第2データベース124に保存管理される人工骨組織の材料、微細組織、強度または手術成功率は、ユーザーにより修正されたり、選好度についての追加的情報がさらに反映される。
上述の実施形態においては、治療用骨組織モデルの導出のための正常骨組織についての情報が記録された第1データベース123と、生成された治療用骨組織モデル及び/または人工骨組織についての情報が記録された第2データベース124とが、図1に示したように、別のデータベースとしてそれぞれ具現されている。しかし、これは例示に過ぎず、一つのデータベースとして具現されてもよいし、分散またはクラウドシステムにより多重化されてもよい。しかし、本発明がこれらの具現方法に限定されるものではない。
サーバーコンピュータ121により生成された骨組織モデルの三次元映像情報と、選択的には、人工骨組織の形状、材料、微細組織、強度、手術方法、及び手術成功率のうち少なくともいずれか一つの情報は、有線通信網62のようなネットワーク130を介して、クライアントコンピュータ112へ伝送される。クライアントコンピュータ112は、これを受信して、ユーザーインターフェース113、例えば、ディスプレイ装置のようなグラフィックインターフェースを介して、ユーザー(例えば、医者)に、サーバーコンピュータ121から受信された情報を提供及び推薦することができる。
前記ユーザーは、クライアントコンピュータ112のユーザーインターフェース113を介して、前記提供及び推薦された治療用骨組織モデルの三次元映像情報と、関連した追加的情報とを確認できる。クライアントコンピュータ112は、上述のように、撮像部111からの手術対象骨組織の三次元映像情報と、サーバーコンピュータ121から受信された治療用骨組織モデルとをもって、前記ユーザーが、ユーザーインターフェース113を介して、代替、補綴、再建または癒合のような手術方法によってシミュレーションすることが可能なグラフィック客体の三次元的移動、回転、対称、切り出し、部分生成、拡大/縮小のような編集道具、グラフィック客体間の比較道具、または寸法測定道具のような専用プログラム、あるいはソフトウェアモジュールを含む。前記専用プログラムまたはソフトウェアを介して、ユーザーは、手術対象骨組織の三次元映像情報、及び/またはサーバーコンピュータ121から受信された治療用骨組織モデルの三次元映像情報を修正して保存することができる。
ユーザーは、上述のシミュレーション結果によって、サーバーコンピュータ120から提供及び推薦された治療用骨組織モデルの三次元映像情報が、患者の治療に好適であると判断される場合、クライアントコンピュータ112のユーザーインターフェースを介して、これを収容できる。または、上述のように、シミュレーションによって、サーバーコンピュータ120から提供及び推薦された治療用骨組織モデルの三次元映像情報が、患者の治療のために修正される必要がある場合、前記シミュレーション過程の中で、ユーザーにより決定された修正情報を反映して、修正された治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成する。
上述のように、前記ユーザーが、サーバーコンピュータ120から提供及び推薦された治療用骨組織モデルの三次元映像情報をそのまま収容したり、これを修正して、修正された治療用骨組織モデルの三次元映像情報が生成された場合、前記ユーザーの生成された情報の収容によって、前記手術対象骨組織の治療のための治療用骨組織モデルの三次元映像情報が確定され、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報は、製造される人工骨組織の三次元映像情報に変換される。選択的には、前記人工骨組織の前記映像情報と共に、前記人工骨組織の材料、微細組織、強度及び手術方法のような少なくとも一つ以上の追加的情報も確定される。
サーバーコンピュータ121は、第1データベース123に予め保存された正常骨組織の前記映像情報と関連して、ユーザーによりそのまま収容されたり、修正された情報を学習し、これに基づいて、サーバーコンピュータ120から提供及び推薦された治療用骨組織モデルの前記映像情報の正確度及び信頼度をさらに向上させることができる。このような学習のためのアルゴリズムは、非制限的な例として、神経回路網またはベクトル量子化器のコードブックに基づいている。前記学習のためのアルゴリズムは、ユーザー別に個人化されるか、共有可能である。これによって、次回の治療用骨組織モデルの三次元映像情報の検出の正確度を向上させ、所要時間を短縮させることができる。
確定された人工骨組織の三次元映像情報は、後述する加工部122でデコーディング可能な任意のデジタルフォーマットにより保存されるか、非制限的な例として、Autocad?、Catia?、Solidworks?、MIMICS?、または3DMAX−?のような常用ソフトウェアでサポート可能な三次元イメージ情報のデジタルフォーマットによりデータベース124に保存される。
加工部122は、サーバーコンピュータ121の第2データベース124に保存された人工骨組織の映像情報と、選択的には、人工骨組織の材料及び強度のような追加的情報とを受信し、これに基づいて、三次元形状の人工骨組織125を加工することができる。加工部122は、例えば、前記映像情報または追加的情報に基づいて、加工ツールとテーブルとを三次元的に相対運動させ、人工骨組織125を加工することができる。人工骨組織125の加工は、常用のミーリング機械を利用したミーリング方法により行われる。必要に応じて、人工骨組織125の様々な曲面を活用するために、多軸加工が可能な4軸あるいは5軸のミーリング機械または歯科補綴物加工機が活用できる。
一実施形態において、加工部122は、加工ツール及びセラミック素材を利用して、人工骨組織125を直接的に形成することも可能であり、選択的には、予備人工骨組織を形成し、これを加工した後、主焼結工程を行い、人工骨組織125を形成することも可能である。前記予備人工骨組織の強度は、人工骨組織125に比べて弱く、以後、主焼結工程により、実際の人体に使用可能である程度の強度を有する人工骨組織125が形成される。
前記予備人工骨組織を利用して、人工骨組織125を形成する場合、サーバーコンピュータ121の第2データベース124は、本焼結工程において、焼結体の収縮率についての情報をさらに含み、加工部122はこれを利用できる。前記収縮率についての情報は、素材の特性によって多様に考慮できる。例えば、前記予備人工骨組織がヒドロキシアパタイト(HA)である場合、前記収縮率は、前記予備人工骨組織の四方にわたって5ないし30%である。
また、人工骨組織125の複雑な形状の具現のために、様々な三次元プリンターが使用できる。三次元プリンターを利用して、人工骨組織125を直接的にプリンティングすることも可能である。一実施形態において、人工骨組織125を形成するためのモールド部(図示せず)を三次元プリンティングし、プリンティングされたモールド部の内部に硬化可能な化合物を充填して、人工骨組織125を形成する。上述の方法によって、人工骨組織125が形成された後、前記モールド部は、人工骨組織125の外部の表面から除去できる。この場合、サーバーコンピュータ121の第2データベース124は、前記モールド部の三次元形状及び厚さ情報をさらに含む。
一実施形態において、前記硬化可能な化合物は、リン酸カルシウム系化合物である。前記リン酸カルシウム系化合物は、液相、並びにカルシウム及び/またはリン酸塩の一つ以上の固体化合物を含有する粉末状固体相を含む。前記液相及び固体相が適正の割合で混合している場合、一つ以上の他の固体化合物を沈殿させ、室温や体温で硬化するペーストを形成するためのものであり、この時、前記固体化合物のうち少なくとも一つはリン酸カルシウムである。
前記固体相のリン酸カルシウム系化合物は、ヒドロキシアパタイト(HA)、Ca10(PO4)6(OH)2;無定形リン酸カルシウム(ACP)、Cax(PO4)y・H2O;モノカルシウムホスフェート1水和物(MCPH)、CaH4(PO4)2H2O;ジカルシウムホスフェート2水和物(DCPD)あるいはブルシャイト、CaHPO4・2H2O;ジカルシウムホスフェート無水物(DCPA)、CaHPO4;沈殿型あるいはカルシウム欠乏型アパタイト(CDA);αまたはβ−トリカルシウムホスフェート(α−TCP、β−TCP)、Ca3(PO4)2;テトラカルシウムホスフェート(TTCP)、Ca4P2O9;及び炭酸カルシウム(CaCO3)などを含む。また、一実施形態において、粉末状固体相のリン酸カルシウム系化合物は、カルシウム及び/またはヒドロキシアパタイト(HA)、α−TCP、β−TCP、ACP、MCPH、DCPA、CDA、CaCO3及びこれらの混合物からなる群から選択されるリン酸塩化合物のうち一つ以上を含む。
他の実施形態において、前記粉末状固体相は、少なくとも一つの合成高分子や、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のような生体高分子をさらに含んでもよい。α−TCPを含む粉末状固体相がさらに好ましい。前記α−TCPは、水溶液でカルシウム欠乏型ヒドロキシアパタイト(CDA)に容易に切り替えられ、このような性質を利用して、アパタイトCPCsを形成できる。
人工骨組織125は、非制限的な例として、ヒドロキシアパタイト、生体活性ガラス、β−トリカルシウムホスフェート、ジカルシウムホスフェート二水和物、チタンまたはその合金物質(Ti6Al4V Extra Low Interstitial)、 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、あるいはPEEK/リン酸カルシウム系セラミック複合体のような、生体適合性を有しているポリマー系、金属系、セラミック系材料、またはこれらのうち二つ以上の複合材料で製造され、当該材料は、ユーザーにより指定されたものである。例えば、人工骨組織125は、必要な人体特性によって異なる様々な材料及び微細組織を有することができる。
他の実施形態において、加工部122は、鋳型を利用して、人工骨組織125を製造することも可能である。必要に応じて、加工部122は、人工骨組織125に加圧または加熱のような追加的エネルギーの供給や、酸化または還元のような化学的処理工程をさらに行ってもよい。なお、加工部122により製造された人工骨組織125は、滅菌または抗菌処理が行われ、配送のために好適な方式により包装されることもある。
包装された人工骨組織125は、人工骨組織125の好適な保管状態を維持できる配送システム140により、該当の患者の手術のために病院システム110に運搬される。配送システム140は、例えば、ネットワークに接続可能な非制限的な例として、無線通信網63を介して、病院システム110と人工骨組織の製造システム120に接続でき、通常の陸上、航空または海上運送装置と結合して、人工骨組織の製造システム120で製造された人工骨組織を迅速かつ正確に病院システム110に運搬することができる。
図2及び図3は、本発明の一実施形態による人工骨組織の製造方法を示すフローチャートである。
図2を参照すれば、X線装置、CT装置、MRI装置、及びPET装置のような三次元イメージング装置により、患者の手術対象骨組織を撮影して、前記手術対象骨組織の三次元映像情報が生成される(S10)。前記手術対象骨組織の三次元映像情報は、三次元グラフィックデータであり、識別、編集または測定のような一連の資料化及び/または編集が容易な、好適なデジタルフォーマットのデータに変換可能である。
次いで、前記手術対象骨組織を識別し、前記手術対象骨組織に対応する治療用骨組織モデルの三次元映像情報が生成される(S20)。前記手術対象骨組織の識別は、正常骨組織の三次元映像情報との対比による映像認識を通じて行われる。他の実施形態において、前記映像認識を代替するか、またはこれと共に、当該骨組織の解剖学的名称についての識別情報、身体情報、疾患名称、及び手術方法のうち少なくともいずれか一つの情報を参照して、前記手術対象骨組織を識別することも可能である。
前記手術対象骨組織が識別されると、前記手術対象骨組織に対応する少なくとも一つ以上の治療用骨組織モデルの三次元映像情報が生成される(S20)。図1を参照して説明したように、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報は、年令別、性別、身長別、体重別または人種別の人体から収集された正常骨組織の映像情報を含む基礎映像情報が保存されたデータベースから検出される。他の実施形態において、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報は、患者の過去の手術対象骨組織についての映像情報、または前記手術対象骨組織の左右対称の関係にある人体の他方の正常骨組織についての映像情報を含むデータベースから検出されることも可能である。
次いで、生成された治療用骨組織モデルが、前記手術対象骨組織の代替、補綴、再建または癒合のような手術方法によって、前記手術対象骨組織の治療に適しているか否かを判断する検証が行われる(S30)。前記検証のために、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報と、前記手術対象骨組織の三次元映像情報とを互いに比較して、これら間の同一性または適合性の判断が行われる。
他の実施形態において、前記検証は、前記手術対象骨組織の三次元映像情報に、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報を、前記手術方法によって適用するシミュレーションによって行われる。上述の検証のために、前記手術対象骨組織の三次元映像情報と、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報とで具現されたグラフィック客体の三次元的移動、回転、対称、切り出し、部分生成、拡大/縮小のような編集道具、グラフィック客体間の比較道具、または寸法測定道具のような専用プログラム、あるいはソフトウェアモジュールが提供される。ユーザーは、これらのモジュールを利用して、好適なユーザーインターフェースを介してシミュレーションを行い、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報についての好適な修正情報が生成される。
前記検証する段階(S30)において、前記生成された治療用骨組織モデルに対して、修正事項がある場合、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報に、修正情報を反映する(S45)。これにより、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報が確定される(S50)。前記生成された治療用骨組織モデルに対して、修正事項がない場合、提案された治療用骨組織モデルの三次元映像情報がそのまま確定されるであろう(S50)。一部の実施形態において、前記修正情報によって、前記データベースに保存された正常骨組織の三次元映像を修正し、前記代替骨組織の映像を通じて学習アルゴリズムが行われることもある。
上述のように、治療用骨組織モデルの三次元映像情報が確定されると、製造される人工骨組織の三次元映像情報が生成され、これに基づいて、人工骨組織が製造される(S60)。前記人工骨組織は、非制限的な例として、ヒドロキシアパタイト、生体活性ガラス、β−トリカルシウムホスフェート、ジカルシウムホスフェート二水和物、チタンまたはその合金物質(Ti6Al4V Extra Low Interstitial)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、あるいはPEEK/リン酸カルシウム系セラミック複合体のような、生体適合性を有するポリマー系、金属系、セラミック系材料またはこれらのうち二つ以上の複合材料により製造される。例えば、人工ディスクの場合には、ポリウレタン核を含む中央部と、前記中央部の上部及び下部に、チタンのような生体適合性金属をコーティングして製造される。前記人工骨組織は、人体の骨組織の特徴によって、様々な材料で製造可能である。
前記人工骨組織は、製造後に滅菌処理が行われる。また、前記人工骨組織が遠隔地で製造された場合、好適な配送システムにより、患者の治療のために病院に配送される(S70)。配送された前記人工骨組織(例えば、人工ディスク)は、ユーザー(医者)により患者の首や腰に位置する手術対象骨組織に移植されたり補綴したりすることができる。
本発明の実施形態によれば、骨折したり、遺伝的欠損または炎症のような疾患により、治療が必要な手術対象骨組織の一部または全部を、代替、補綴、再建、または骨組織と骨組織との癒合のような手術方法に対応して、その形状、大きさ及び/または位置に好適な人工骨組織が迅速かつ安価に製造できる。また、人工骨組織が迅速かつ安価に製造されることにより、手術時間が短縮でき、好適なシミュレーションを活用して、最小侵襲による治療結果が達成できる。また、上述の製造方法は、クライアントコンピュータが設けられる病院システムと、サーバーコンピュータが設けられる製造システムとを多大一で構成することにより、治療用骨組織モデルを生成するためのコンピュータリソースを共有し、その治療成果を累積させることにより、これによる成功率と、提案的機能の信頼性とをさらに向上させるという利点がある。
本発明の他の実施形態において、図1を参照して説明したように、人工骨組織を形成するために、まず、予備人工骨組織を形成し、これを加工して、人工骨組織を形成できる。
図3を参照すれば、治療用骨組織モデルの三次元映像情報が確定されると(S50)、前記三次元映像情報を利用して、前記予備人工骨組織の形成のための三次元映像情報を確定する段階(S51)をさらに含む。前記予備人工骨組織の形成のための三次元映像情報は、治療用骨組織モデルの三次元映像情報から、前記予備人工骨組織の材料及び追加工程での収縮率に鑑みて決定できる。前記収縮率は、前記予備人工骨組織の焼結条件及び材料に鑑みて決定されなければならない。
確定された治療用骨組織モデルの三次元映像情報と、前記予備人工骨組織の形成のための三次元映像情報とを利用して、予備人工骨組織が製造される(S61)。予備人工骨組織は、比較的低い温度で一次熱処理を行って焼結させるので、治療用人工骨組織よりも弱い強度を有している。したがって、成形時に骨組織の損傷を減少させ、所望の形状への加工が容易である。
前記一次熱処理及び成形段階を経て形成された前記予備人工骨組織は、主焼結工程により治療用人工骨組織として製造される(S62)。一次加工が行われた予備人工骨組織は、主焼結工程による収縮率に鑑みた三次元映像情報によってモデリングされているので、主焼結工程により形成された治療用人工骨組織は、前記三次元映像情報を確定する段階(S50)で確定された三次元映像情報に対応するように成形される。前記主焼結工程は、前記一次熱処理温度よりも高い温度を有する二次熱処理段階と、前記二次熱処理が行われた人工骨組織の温度を徐々に低くしながら焼結させる徐冷段階とを含む。
一実施形態において、前記一次熱処理段階は、摂氏400度ないし800度で行われ、前記二次熱処理段階は、摂氏700度ないし1,300度で行われる。摂氏700度で一次熱処理を行い、摂氏1,000度で二次熱処理を行った後、予備人工骨組織の各辺の収縮率を調査した結果は次の通りである。
表1によれば、予備人工骨組織は、二次熱処理を行う際に全方向で均一に収縮され、約18%の収縮率を表していることを確認できる。前記収縮率は、予備人工骨組織を形成するための三次元映像情報に含まれ、前記予備人工骨組織の形成時に考慮されなければならない。
図4は、本発明の一実施形態による人工骨組織を利用したコンピュータ基盤の外科的手術のガイドシステム200を示すブロック図である。
図4を参照すれば、ガイドシステム200は、治療用骨組織モデルの生成部221と、シミュレーション遂行部212と、加工部222とを含む。これらの構成部221、212、222は、単一のコンピュータまたは複数のコンピュータから構成される。四角形の点線は、治療用骨組織モデルの生成部221と、シミュレーション遂行部212とが単一のコンピュータで具現されたものを例示している。
これらの構成部が前記複数のコンピュータから構成された場合、前記複数のコンピュータの間は、図1を参照して説明したように、クライアントとサーバーの関係が成立されることもある。前記コンピュータと共に、少なくとも一つ以上のデータベース223、224がさらに提供される。これらの構成部は、一つの病院内に存在してもよいし、病院と人工骨組織の製造企業に分散設置されてもよい。本発明がこれに限定されるものではない。
治療用骨組織モデルの生成部221は、撮像部211から、手術対象骨組織の三次元映像情報を獲得し、前記手術対象骨組織の三次元映像情報に基づいて、前記手術対象骨組織を識別し、前記手術対象骨組織に対応する治療用骨組織モデルの三次元映像情報を生成できる。治療用骨組織モデルの生成部221は、サーバーコンピュータとしての役割を行う。この場合、前記撮像部と、治療用骨組織モデルの生成部221との間の撮像部211に接続して獲得された手術対象骨組織の三次元映像情報を、治療用骨組織モデルの生成部221へ伝送するクライアントコンピュータが配置されることもある。
治療用骨組織モデルの生成部221は、年令別、性別、身長別、体重別または人種別の人体から収集された正常骨組織の映像情報を含む基礎映像情報が保存された第1データベース223に接続して、前記基礎映像情報から、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報を検出し、検出された前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報を、シミュレーション遂行部212に伝達できる。
前記治療用骨組織モデルが、実質的に同じ形状の人工骨組織で具現される場合、人工骨組織の形状、材料、微細組織、強度、手術方法、及び手術成功率のうち少なくともいずれか一つの人工骨組織についての情報を生成することも可能である。人工骨組織の材料、微細組織、強度または手術成功率のような人工骨組織の基礎情報は、第2データベース224に保存管理され、生成された治療用骨組織モデルについての情報も、第2データベース224に保存管理される。第2データベース224に保存管理される人工骨組織の材料、微細組織、強度または手術成功率は、ユーザーにより修正されたり、選好度についての追加的情報がさらに反映される。
シミュレーション遂行部212は、治療用骨組織モデルの生成部221に接続して、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報を受信し、前記治療用骨組織モデルの検証を行う。前記検証は、前記手術対象骨組織の三次元映像情報に、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報を適用するシミュレーションによって行われる。このために、前記検証は、ユーザーの入力または情報の出力のためのユーザーインターフェースを介してのユーザーの入力や、治療用骨組織モデルの生成部221の提案に基づいて行われる。前記検証が完了すると、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報が確定される。一部の実施形態において、前記検証する段階で、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報に、修正事項がある場合、その結果はデータベースに保存記録され、学習アルゴリズムにより追後の提案に反映できる。
前記ユーザーの入力は、手術方法によって、前記治療用骨組織モデルの三次元映像情報を修正できるように、グラフィック客体の編集道具、比較道具または寸法測定道具のうち少なくともいずれか一つを利用して、ユーザーから受信される命令語を含む。前記治療用骨組織モデルの提案は、補綴、再建、癒合及び創面環境調整の以前または以後の段階についての映像情報のうち少なくともいずれか一つの手術方法についての情報を反映して行われる。
加工部222は、前記確定された治療用骨組織モデルの三次元映像情報から、人工骨組織225を製造する。製造された人工骨組織225は、滅菌及び包装の過程を経て、患者の治療のために病院に配送される。
図5は、本発明の一実施形態による製造方法によって製造された脊椎形状の予備人工骨組織(左)及び最終の人工骨組織(右)のイメージである。図2及び図3を参照して説明したように、一次熱処理温度で予備焼結段階を経た後、加工して製造された予備人工骨組織と、二次熱処理温度で主焼結段階を経て焼結された人工骨組織とを比較すると、全方向に均一に収縮されることを確認できる。したがって、本発明の一実施形態による人工骨組織の製造システム及び製造方法を利用して、人工骨組織のあつらえ型大量生産が可能であることが分かる。
以上で説明した本発明は、前述した実施形態及び添付された図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、色々な置換、変形及び変更が可能であるということは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者にとって明らかである。