JP2019195070A - ボンド磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボンド磁石を使用しつつも磁束密度を高めたボンド磁石を提供する。
【解決手段】ボンド磁石は、第一非作用面11と空間的に交差する第一作用面12を備え、第一非作用面から第一作用面に向かうように内部で折曲された第一磁力線群21が配向されてなる第一ボンド磁石片10Aと、第二非作用面13と空間的に交差する第二作用面14を備え、第二作用面から第二非作用面に向かうように内部でカーブされた第二磁力線群22が配向されてなる第二ボンド磁石片10Bとを有する。第一非作用面は、第一作用面よりも面積が広く、第一作用面の磁束密度が第一非作用面よりも高い。第二非作用面は、第二作用面よりも面積が広く、第二作用面の磁束密度が第二非作用面よりも高い。第一非作用面の磁極と第二非作用面の磁極とは異なる極性であり、第一非作用面と第二非作用面とが連結されて、第二磁力線群22と第一磁力線群21とが連続される。
【選択図】図3

Description

本発明は、ボンド磁石、及びこれを構成するボンド磁石片、並びにボンド磁石の製造方法に関する。
従来より永久磁石は、モータやスピーカ等、様々な用途で利用されている。例えば小型のモータでは、外型に界磁用コイルを配置し、内側にロータを配置すると共に、ロータの表面(SPM)や内部(IPM)に永久磁石を配置する。例えばSPM型の小型のモータにおいて、同一の磁極数、同一のサイズでより大きなトルクを得るには、ロータ表面の永久磁石の磁束密度を高める必要がある。このような永久磁石としては、例えばNd2Fe14B等の希土類元素を用いた焼結磁石が従来より利用されてきた。
一方で従来より、磁石粉末をプラスチックに分散させて成形したボンド磁石が利用されている。このようなボンド磁石は、圧縮成形や射出成形など金型を用いて成形可能であることから、焼結磁石に比べて寸法精度を向上させやすく、また他部材との一体化も可能で、さらに軽量なことから、各分野で利用されている。しかしながらボンド磁石は、バインダとなる樹脂が必須である構成上、磁石粉末を混入する限度が体積比で最大70%程度であり、計算上30%の磁気特性の低下を逃れ得ず、焼結磁石に比して磁力が劣るという点があった。例えば焼結NdFeB磁石に比べて、エネルギー積は1/3程度しか得られない。したがって従来より、トルクを重視するモータにはボンド磁石は一般に利用されていなかった。このため、モータ等にも利用可能な磁束密度の高いボンド磁石が求められていた。
また、特許文献1〜4には、磁束密度を高めるように工夫した各種の永久磁石が開示されている。しかしながらこれらの永久磁石では、成型時又は配向時に使用する磁気回路が単一の磁気回路であった。すなわち、閉じた磁気回路(閉回路)を形成して、その磁界内で磁束を曲げたり拡げたりしている。この方法によれば、配向のコントロールが困難であり、磁場の弱いところが一部でも存在すると、その部分の配向が完全でなくなり、例えば円筒状ボンド磁石をモータのロータ用として使用する際には表面磁束が焼結磁石に比べて極度に低くなってしまう。このため、ボンド磁石でもって焼結磁石を代替する用途に対応するために、さらなる改良が求められていた。
特公平6−105644号公報 国際公開WO2012/090841号 米国特許第5019796号明細書 特開平10−308308号公報
本発明は、従来のこのような背景に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、ボンド磁石を使用しつつも磁束密度を高めたボンド磁石を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の一側面に係るボンド磁石によれば、第一面と、前記第一面と接合部分を介して接する第二面と、前記第二面と接合部分を介して接すると共に、前記第一面と接合部分を介して接する第五面とを備え、前記第一面と第五面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第一面と第五面と第二面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、前記第一面から第二面に向かう第一磁力線群と、前記第五面から第二面に向かう第三磁力線群とを有する第一ボンド磁石片と、第三面と、前記第三面と接合部分を介して接する第四面と、前記第四面と接合部分を介して接すると共に、前記第三面と接合部分を介して接する第六面とを備え、前記第三面と第六面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第三面と第六面と第四面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、前記第四面から第三面に向かう第二磁力線群と、前記第四面から第六面に向かう第四磁力線群とを有する第二ボンド磁石片とを有し、前記第二面の磁束密度が前記第一面の磁束密度よりも高く、前記第四面の磁束密度が第三面の磁束密度よりも高く、前記第一面の磁極と、前記第三面の磁極とが異なる極性であり、前記第一面と、前記第三面とが連結されて、第二磁力線群と第一磁力線群とが連続されるように構成され、前記第二面と、前記第四面とで異なる磁極が外部に表出されており、前記第一ボンド磁石片の扇形の、半径に相当する長さAと、円弧に相当する部分のうち、磁化された部分の長さBとの比率A/Bが、n=磁極数とするとき、
12極以下の場合(中心角θ0≧30)、
0.3184n≦(A/B)<−0.04n3+1.47n2−14.03n+43
12極より大きい場合(θ0<30)、
0.3184n≦(A/B)
とすることができる。上記構成により、第一ボンド磁石片の第一面の磁束を第二面で収束させ、かつ第二ボンド磁石片の第三面の磁束を第四面で収束させて、作用面において高い磁束密度を実現できる。
また本発明の他の側面に係るボンド磁石によれば、第一面と、前記第一面と接合部分を介して接する第二面とを備え、前記第一面から第二面に向かう第一磁力線群を有する第一ボンド磁石片と、第三面と、前記第三面と接合部分を介して接する第四面とを備え、前記第四面から第三面に向かう第二磁力線群を有する第二ボンド磁石片とを有し、前記第一面の面積は、前記第二面の面積よりも広く、前記第二面の磁束密度が前記第一面の磁束密度よりも高く、前記第三面の面積は、前記第四面の面積よりも広く、前記第四面の磁束密度が第三面の磁束密度よりも高く、前記第一面の磁極と、前記第三面の磁極とが異なる極性であり、前記第一面と、前記第三面とが連結されて、第二磁力線群と第一磁力線群とが連続されるように構成され、前記第二面と、前記第四面とで異なる磁極を外部に表出させてなり、前記第一ボンド磁石片は、外形を平板状とし、該平板状の主面を前記第一面とし、該平板状の厚さ方向の側面を前記第二面とし、前記第一ボンド磁石片の内部において、前記第一面から第二面側に向かって対称に磁力線が折曲されたものとすることができる。上記構成により、第一ボンド磁石片の第一非作用面の磁束を第一作用面で収束させ、かつ第二ボンド磁石片の第二非作用面の磁束を第二作用面で収束させて、作用面において高い磁束密度を実現できる。
さらにまた本発明の他の側面に係るボンド磁石の製造方法によれば、第一非作用面と、前記第一非作用面と接合部分を介して接する第一作用面と、前記第一作用面と接合部分を介して接すると共に、前記第一非作用面と接合部分を介して接する第三非作用面とを備え、前記第一非作用面と第三非作用面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第一非作用面と第三非作用面と第一作用面で囲まれた断面視における外形を扇形とするボンド磁石の製造方法であって、磁性材料と樹脂を含むボンド磁石組成物を、成形用金型のキャビティに充填する工程と、前記キャビティに配向用磁場を印加してボンド磁石を成形する工程とを有し、前記配向用磁場は、永久磁石により形成されており、前記キャビティのうち、ボンド磁石の前記第一非作用面に対応する部位に第一非作用面配向用磁石、前記第三非作用面に対応する部位に第三非作用面配向用磁石、前記第一作用面に対応する部位に第一作用面配向用磁石、をそれぞれ対向して配置し、前記第一非作用面配向用磁石及び第三非作用面配向用磁石の、前記対応する部位は同じ磁極であり、前記第一作用面配向用磁石の、前記対応する部位は、前記第一非作用面配向用磁石及び第三非作用面配向用磁石と異なる磁極とできる。
さらにまた本発明の他の側面に係るボンド磁石の製造方法によれば、第一非作用面と、前記第一非作用面と接合部分を介して接する第一作用面とを備える平板状のボンド磁石の製造方法であって、磁性材料と樹脂を含むボンド磁石組成物が充填される成形金型のキャビティを用意する工程と、溶融されたボンド磁石組成物を前記キャビティに充填し、磁界を印加して前記磁性材料を配向させてボンド磁石を成形する工程とを含み、前記磁界は、同極同士が向かい合うように印加された、第1及び第2の磁界を有して構成されており、前記キャビティは前記磁界の向かい合う方向において、前記第1及び第2の磁界に挟まれるように、前記第1の磁界側に偏って配置されており、前記磁界の向かい合う方向における前記キャビティの長さと略同じ距離をあけて前記第2の磁界が形成されている状態とできる。
さらにまた本発明の他の側面に係るボンド磁石の製造方法によれば、第一非作用面と、前記第一非作用面と接合部分を介して接する第一作用面とを備える平板状のボンド磁石の製造方法であって、磁性材料と樹脂とを含むボンド磁石組成物が充填される成形金型のキャビティを用意する工程と、溶融されたボンド磁石組成物を前記キャビティに充填し、前記キャビティに面するように配置された、前記磁性材料を磁気的に配向させるための配向用磁石でもって磁界を印加して前記磁性材料を配向させてボンド磁石を成形する工程とを含み、前記配向用磁石は、同極同士が向かい合うように配置された第1及び第2の配向用磁石を有して構成されており、前記キャビティは前記配向用磁石の軸方向において、前記第1及び第2の配向用磁石の間に挟まれるように、前記第1の配向用磁石の側に偏って配置されており、前記配向用磁石の軸方向における前記キャビティの長さと略同じ距離をあけて前記第2の配向用磁石が配置されているものとできる。
実施の形態1に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 図1のボンド磁石の分解斜視図である。 図1のボンド磁石を構成するボンド磁石片の組を示す模式断面図である。 図3のボンド磁石片を成形するキャビティと配向用磁石を示す模式断面図である。 図5A〜図5Fは、実施例に係るボンド磁石片製造時の永久磁石を用いた磁気回路装置を示す模式断面図である。 ボンド磁石片の各部分を示す断面図である。 図7A〜図7Fは、図5A〜図5Fの各配置例における磁束密度の分布を示すイメージ図である。 図8A〜図8Fは、図7A〜図7Fにおけるボンド磁石片の一部を拡大したイメージ図である。 図9A〜図9Fは、図5A〜図5Fの各配置例における磁路を示すイメージ図である。 図10A〜図10Fは、図9A〜図9Fにおけるボンド磁石片の一部を拡大したイメージ図である。 図11A〜図11Fは、比較例に係るボンド磁石片製造時の電磁石を用いた磁気回路装置を示す模式断面図である。 図12A〜図12Fは、図11A〜図11Fの各配置例における磁束密度の分布を示すイメージ図である。 図13A〜図13Fは、図12A〜図12Fにおけるボンド磁石片の一部を拡大したイメージ図である。 図14A〜図14Fは、図11A〜図11Fの各配置例における磁路を示すイメージ図である。 図15A〜図15Fは、図9A〜図9Fにおけるボンド磁石片の一部を拡大したイメージ図である。 変形例に係るボンド磁石片製造時の永久磁石を用いた磁気回路装置を示す模式断面図である。 ボンド磁石片と配向磁石の各部分を示す断面図である。 図18Aは角度θ2=36°、図18Bは30°、図18Cは24°、図18Dは18°、図18Eは12°、図18Fは6°で形成したボンド磁石片の、半径方向の位置毎に配向磁場を測定した結果を示すグラフである。 図19Aは12極の円筒ボンド磁石を示す平面図、図19Bは10極の円筒ボンド磁石を示す平面図、図19Cは8極の円筒ボンド磁石を示す平面図、図19Dは6極の円筒ボンド磁石を示す平面図である。 図20Aは中心角30°のボンド磁石片において面積比と表面磁束密度ピーク値の関係を示すグラフ、図20Bは中心角36°のボンド磁石片において面積比と表面磁束密度ピーク値の関係を示すグラフ、図20Cは中心角45°のボンド磁石片において面積比と表面磁束密度ピーク値の関係を示すグラフ、図20Dは中心角60°のボンド磁石片において面積比と表面磁束密度ピーク値の関係を示すグラフである。 図21Aは中心角30°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図21Bは中心角36°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図21Cは中心角45°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図21Dは中心角60°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフである。 図22Aは中心角6°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図22Bは中心角9°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図22Cは中心角12°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図22Dは中心角18°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図22Eは中心角20°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフ、図22Fは中心角22.5°のボンド磁石片において面積比と磁束の関係を示すグラフである。 図21A〜図21Dにおいて高い磁束となる面積比の下限値における磁極数と面積比の関係を示すグラフである。 図21A〜図21Dにおいて高い磁束となる面積比の上限値における磁極数と面積比の関係を示すグラフである。 図22A〜図22Fにおいて高い磁束となる面積比の下限値における磁極数と面積比の関係を示すグラフである。 永久磁石を用いた配向の状態を示す模式図である。 永久磁石を用いた従来の極配向の状態を示す模式図である。 中心角30°のボンド磁石片を用いて構成した円柱状ボンド磁石の角度毎の表面磁束密度を示すグラフである。 図28のグラフの0°〜72°の部分を拡大したグラフである 実施例1、比較例1〜3の磁石の表面磁束密度を測定した結果を示す表である。 実施の形態2に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 変形例に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 他の変形例に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 他の変形例に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 他の変形例に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 実施の形態3に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 実施の形態4に係るボンド磁石を示す模式断面図である。 実施の形態5に係るボンド磁石片の組を示す模式断面図である。 図38のボンド磁石片の組を複数組み合わせたボンド磁石を示す模式断面図である。 図38のボンド磁石片を成形するキャビティと配向用磁石を示す模式断面図である。 変形例に係るボンド磁石片の組を示す模式断面図である。 実施の形態6に係るボンド磁石片の組の分解斜視図である。 ボンド磁石片の組の斜視図である。 図43のVIC−VIC線断面における磁粉粒子の磁化容易軸の配向状態を示す断面図である。 図44の磁力線を示す断面図である。 他のボンド磁石片の組の磁力線を示す断面図である。 実施の形態6に係るボンド磁石片の製造時の磁気回路装置を示す図である。 実施の形態6に係るボンド磁石片の製造時の磁気回路装置を示す図である。 磁気配向としてラジアル配向させたボンド磁石を示す模式断面図である。 収束配向させたボンド磁石を示す模式断面図である。 図50の収束配向させたボンド磁石を得るため配向用磁石を配置した状態を示す模式断面図である。 極配向させたボンド磁石を示す模式断面図である。 図52の極配向させたボンド磁石を得るため配向用磁石を配置した状態を示す模式断面図である。 極配向させるように配向用磁石で円弧状の磁場を形成する状態を示す模式断面図である。 図54からさらに磁路を延長させようとする状態を示す模式断面図である。 ボンド磁石のBH曲線を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一面の面積を、前記第二面の面積よりも広く、前記第三面の面積を、前記第四面の面積よりも広くすることができる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一面と第五面の面積の和を、前記第二面の面積よりも広く、前記第三面と第六面の面積の和を、前記第四面の面積よりも広くすることができる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一面と第二面とが交差する角度を90°以下とできる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第二ボンド磁石片は、外形を平板状とし、該平板状の主面を前記第三面とし、該平板状の厚さ方向の側面を前記第四面とし、前記第二ボンド磁石片の内部において、前記第四面から第三面側に向かって対称に磁力線を折曲させることができる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一ボンド磁石片と前記第二ボンド磁石片のそれぞれの内部における磁力線の分布を略対称とできる。上記構成により、各ボンド磁石片の扇形状の半径部分に相当する面に磁極面を表出させることで、この磁極面同士を、互いに異極同士となるように接合することで、円形状のボンド磁石を構成できる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一ボンド磁石片と前記第二ボンド磁石片の接合面を接着することができる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第二面を作用面とし、該第二面と反対側の前記第一ボンド磁石片の表面からは磁束を外部に表出させない構成とできる。上記構成により、磁力線は片面からのみ出力させて、ボンド磁石片同士の接合を容易にしている。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一面と第二面との接合部分、前記第一面と第五面との接合部分、前記第三面と第四面との接合部分、又は前記第三面と第六面との接合部分の少なくともいずれかを、直線状とできる。
本発明の他の実施の形態に係るボンド磁石によれば、前記第一面と第二面との接合部分、前記第一面と第五面との接合部分、前記第三面と第四面との接合部分、又は前記第三面と第六面との接合部分の少なくともいずれかを、凹状に形成することができる。
昨今、資源問題を背景にした焼結磁石の高騰や、このような焼結磁石を使用する際の組み立て工法の困難さを避けるため、高トルクモータのロータに用いる永久磁石として、焼結磁石からボンド磁石への置き換えることが考えられる。この場合において、ボンド磁石に混入する磁石粉末として用いる異方性材料、例えばSmFeN粒子の磁気配向を最適化して、表面磁束密度を高めることが考えられる。
ボンド磁石内における磁気配向としては、従来、図49に示すようなラジアル配向が知られているが、この配向では磁路が短いため、磁束密度が弱くなる。そこで、磁束密度を向上させる方法として、磁路を長くするように磁気配向させる極配向や、磁束を収束させて磁束密度を向上させる収束配向が考えられる。
(収束配向)
収束配向は、図50に示すように、磁束を収束させることで、一方の磁極(図50において上面側)の磁束密度を高めるものである。収束配向を行うには、図51の断面図に示すように、配向磁場を形成する際の配向用磁石を、N極とS極とで大きさを異ならせることで、これを転写させたボンド磁石成形体の一方の作用面の磁束密度を高める。しかしながらこの方法では、磁束密度の高い領域を強制的に生成するという性質上、磁束密度の分布がアンバランスとなることを避けられず、例えばモータ用のロータ表面において磁束密度の高い領域を得るといった用途には適しない。
(極配向)
一方、極配向は、図52に示すように配向磁場のN極からS極に向かう磁力線を略円弧状にして、得られたボンド磁石の減磁曲線状の動作点を上げるものである。例えば、モータのロータに使用する円柱状のボンド磁石に極配向を行う製造工程を考える。ここでは図53に示すように、成形用金型のキャビティである円筒空洞部の周囲に、配向用の磁石を配置する。これによって図54の平面図に示すように、円筒内部に円弧状の磁場を形成し、この磁場に沿って、磁石粒子を配向させる。
この方法では、円柱状のボンド磁石の表面に相当する、円筒空洞部の外側に配向用磁石を配置して、外部から磁場を作用させる。この結果、図54に示すように円筒空洞部から配向磁場を与えても、円筒空洞部内部にできる磁場は円弧状となる。得られるボンド磁石の内部においては、円弧状の磁路が、ボンド磁石の作用面の近傍に形成されることになる。この方法では、磁力線が円弧状に形成されるため、大きく折曲させることができず、配向の大幅な制御ができないという問題があった。いいかえると、図55に示すようにボンド磁石の内面深くにまで磁路を侵入させようとすれば、円弧状でなく、内部を抉るようにU字状に大きく折曲させた磁路とする必要があるところ、このような磁路をキャビティの表面から配向磁石で形成することは物理的に困難であった。すなわち、図56に示すように、BH曲線上の動作点を上げるという目標を達成させるには、図55に示すように円柱状ボンド磁石の中心部に向かって磁力線を入り込ませるように配向させる必要があるところ、キャビティの外側から配向用の磁場を作用させる構成では配向用磁石の磁力の限界があり、例えば円柱状ボンド磁石の直径が大きくなった場合に、内部まで磁路を侵入させることができず、結果として強い磁力を生じさせることができないという問題があった。
(実施の形態1)
そこで本発明の実施形態1に係るボンド磁石においては、ボンド磁石を分割して、ボンド磁石片を個別に成形した上で、得られたボンド磁石片を連結してボンド磁石を構成する手法を採用した。例えばモータのロータ用に使用する、底面を略円形とする円柱状のボンド磁石を構成する場合、図1の断面図に示すように、磁粉粒子の磁化容易軸を極配向として磁路を形成し、さらに中心軸を通る切断面(接合面)で切断した断面視扇形のボンド磁石片10に分割する。図1に示すボンド磁石100の例では、図2の分解斜視図に示すように外形をほぼ等しくし、底面の扇形の中心角を45°とした柱状のボンド磁石片10を8つ組み合わせて、円柱状のボンド磁石を得ている。さらに各ボンド磁石片10の磁力線は図1に示される磁路に沿って発生し、図3の断面図に示すように、隣接するボンド磁石片10同士を連結する連結面を、断面扇形の半径部分とし、さらにこの連結面を非作用面として、なおかつ磁力線が連続するように、隣接するボンド磁石片10の連結面で磁極が異極同士となるように構成している。
図1の例では、ボンド磁石片10を8つ組み合わせて、円柱状のボンド磁石100を構成する例を説明した。この場合、ボンド磁石100の円周状側面には、S極、N極の磁極が8極表れる。また各ボンド磁石片10の中心角θ0は、それぞれ360°÷8=45°となる。ただ、本発明はこの構成に限られず、磁極が円周状側面に6極あるいは10極表れるように構成してもよい。この場合の各ボンド磁石片10の中心角θ0は、それぞれ60°、36°となる。また、任意の数の磁極やボンド磁石片の数を採用することもできる。
図1の例では、S極及びN極の作用面からボンド磁石内部に連なる磁路群が、ボンド磁石の内部に向かって放物線状に突出するよう折曲された極配向としている。このように磁路が円弧状でなく、放物線状あるいは二次曲線状に折曲されたことで、放物線状の磁路群を、円柱状ボンド磁石の側面から、円柱の中心軸に向かって突出させて、磁路をより長くすることができる。また、この放物線状の磁路群の対称面を接合面として分割されたボンド磁石片同士を、この接合面で接合して構成している。さらにまたボンド磁石片同士の接合面は非作用面とし、作用面における磁化容易軸の密度を、非作用面における磁化容易軸の密度よりも高くしている。これにより、作用面における表面磁束密度を高めたボンド磁石が実現される。
なお本明細書中において放物線状とは、厳密な放物線を意味するのでなく、一方向に山形に延長された楕円状の曲線を意味する。この楕円状は、その長辺が扇形の中心に向かう形状としている。また、「ボンド磁石の内部に向かって突出する」とは、図3に示すように、放物線状に形成された複数の磁路の内、最も長い磁路の頂部APが、扇形の半径の1/2の位置HPよりも中心側に位置された状態を意味する。
図3に示すボンド磁石は、第一ボンド磁石片10Aと、第二ボンド磁石片10Bとで構成される。第一ボンド磁石片10Aは、第一面11と、この第一面11と接合部分を介して接する第二面12と、この第二面12と接合部分を介して接すると共に、第一面11とと接合部分を介して接する第五面15ととを備える。この第一ボンド磁石片10Aは、第一面11と第五面15とが一定の中心角θoでもって傾斜され、この第一面11と第五面15と第二面12で囲まれた断面視における外形を扇形としている。また第一ボンド磁石片10Aの内部において、第一面11から第二面12に向かうように第一磁力線群21が内部でカーブされている。同様に、第五面15から第二面12に向かうように第三磁力線群23が内部でカーブされている。第五面15は、図示しない他のボンド磁石片、具体的には第二ボンド磁石片10Bと同様の配向を有する他のボンド磁石片と接合する際の接合面となる。この際、第五面15は第三非作用面となる。
ここで、第一ボンド磁石片10Aの第一面11と第五面15の物理的な面積の和を、第二面12の物理的な面積よりも広く形成している。いいかえると、断面視扇形の第一ボンド磁石片10Aの高さが一定の場合、図3において第一面11と対応する線分OA3と第二面12と対応する線分OA1との和を、円弧A13よりも長くしている。これにより、第一面11や第五面15に表れる表面磁束密度よりも、第二面12の表面磁束密度を高くすることができる。好ましくは、第一面11を、第二面12より広くする。いいかえると、図3において第一面11と対応する線分OA3を、円弧A13よりも長くする。これにより、第二面12の表面磁束密度を一層高くすることができる。
また好ましくは、第一磁力線21と第三磁力線23とは、断面視扇形の第一ボンド磁石片10Aの傾斜角θ0を二分する線(図3において線OA2)に対して略対称に分布させる。なお第一面11は、第二ボンド磁石片10Bと接合するための接合面を構成し、このため外部に表出しない第一非作用面となる。一方、第二面12は外部に表出する磁極として作用し、第一作用面となる。
一方第二ボンド磁石片10Bは、第三面13と、この第三面13と接合部分を介して接する第四面14と、この第四面14と接合部分を介して接すると共に、第三面13と接合部分を介して接する第六面16とを備える。この第二ボンド磁石片10Bは、第三面13と第六面16とが一定の中心角θ0でもって傾斜され、この第三面13と第六面16と第四面14で囲まれた断面視における外形を扇形としている。また第二ボンド磁石片10Bの内部において、第四面14から第三面13に向かうように第二磁力線群22が内部でカーブされている。同様に、第四面14から第六面16に向かうように第四磁力線群24が内部でカーブされている。第六面16は、図示しない他のボンド磁石片、具体的には第一ボンド磁石片10Aと同様の配向を有する他のボンド磁石片と接合する際の接合面となる。この際、第六面16は第四非作用面となる。
ここで第二ボンド磁石片10Bの第三面13と第六面16の物理的な面積の和を、第四面14の物理的な面積よりも広く形成している。いいかえると、断面視扇形の第二ボンド磁石片10Bの高さが一定の場合、図3において第三面13と対応する線分OA3と第六面16と対応する線分OA5との和を、円弧A35よりも長くしている。これにより、第三面13や第六面16に表れる表面磁束密度よりも、第四面14の表面磁束密度を高くすることができる。好ましくは、第三面13を、第四面14より広くする。いいかえると、図3において第三面13と対応する線分OA3を、円弧A35よりも長くする。これにより、第四面14の表面磁束密度を一層高くすることができる。
また好ましくは、第二磁力線22と第四磁力線24とは、断面視扇形の第二ボンド磁石片10Bの傾斜角θ0を二分する線(図3において線OA4)に対して略対称に分布させる。なお第三面13は、第一ボンド磁石片10Aと接合するための接合面を構成し、このため外部に表出しない第二非作用面となる。一方、第四面14は外部に表出する磁極として作用し、第二作用面となる。
第一ボンド磁石片10Aの第一面11の磁極と、第二ボンド磁石片10Bの第三面13の磁極とは異なる極性である。この例では、第一面11をS極とし、第三面13をN極とすることで、接合面同士を接合できる。また、接合面を接着してもよい。そして第一ボンド磁石片10Aの第一面11と、第二ボンド磁石片10Bの第三面13とが連結されて、第二磁力線群22と第一磁力線群21とが連続されるように構成される。
このようにして第一ボンド磁石片10Aと第二ボンド磁石片10Bとを組み合わせて、得られたボンド磁石片の組、すなわちボンド磁石は、側面が作用面となる。作用面においては、第一ボンド磁石片10Aの第二面12と、第二ボンド磁石片10Bの第四面14とで異なる磁極が外部に表出される。図3の例では、第二面12がN極となり、第四面14がS極となる。これにより、内部で磁路を折曲させた極配向を実現しつつ、さらに第一ボンド磁石片10Aの第一面11の磁束と第五面15の磁束とを第二面12で収束させ、かつ第二ボンド磁石片10Bの第三面13の磁束と第六面16の磁束とを第四面14で収束させて、作用面において高い磁束密度を実現できる。
このようにして、各ボンド磁石片の扇形状の半径部分に相当する面に磁極面を表出させることで、この磁極面同士を、互いに異極同士となるように接合することで、円形状のボンド磁石を構成できる。
なお図3の例では、第一ボンド磁石片10Aと第二ボンド磁石片10Bの形状を同じとしている。ただ、本発明はこの構成に限らず、第一ボンド磁石片と第二ボンド磁石片の形状を異ならせてもよい。
このようにボンド磁石を分割して成形させることで、図4に示すようにボンド磁石片の成形時において、円柱状ボンド磁石の構成時に中心側となる部位、すなわち非作用面の中心側にも、配向用磁石を配置することが可能となり、結果的に円柱状ボンド磁石の中心近傍に磁力線を入り込ませるように配向させることが可能となる。これにより、図1の断面図に示したように、円柱状ボンド磁石100に組み上げた際、従来は困難であった、中心近傍の方向にまで磁路を延伸させた配向を実現することが可能となり、磁路を延長したことで作用面における表面磁束密度を向上できる。このように磁路を延長したことによる極配向での表面磁束密度向上の効果に加えて、上記構成によれば作用面を断面視扇形の円弧状部分として、図3等に示すように、非作用面よりも作用面の面積を小さく絞って、ここに磁束を集中させることで磁束密度を高めることができるので、極配向に加えて収束配向も実現され、一層高い磁束密度が得られる。
いいかえると、磁束をボンド磁石内でU字状に折曲させた極配向とすることに加え、非作用面の磁極を作用面の磁極よりも広く採ることで、広い磁極面から狭い磁極面に磁束が狭窄される状態を作り出し、作用面において表面磁束密度を高めた収束配向が実現される。
(ボンド磁石の製造方法)
次に、ボンド磁石100の製造装置及び製造方法について、図4を参照しながら説明する。なお図4の例では、第一ボンド磁石片10Aの製造方法について示しているが、配向用磁石の磁極を入れ替えることで、第二ボンド磁石片10Bを形成できる。
ここでは、ボンド磁石片に対して収束配向を行い、広い磁極面を非作用面とし、狭い磁極面を作用面とすることで、作用面における磁束密度を高めている。これを実現するため、成形用金型のキャビティの内、作用面と非作用面に対応する部位にそれぞれ、配向用磁石を配置する。図4の例では、第一ボンド磁石を得るために、第一作用面12に第一作用面配向用磁石62を配置し、第一非作用面11に第一非作用面配向用磁石61を配置する。ここで、非作用面の面積を作用面の面積よりも大きくすることで、収束配向を実現できる。さらに第三非作用面15に、第三非作用面配向用磁石65を配置する。第一非作用面配向用磁石61及び第三非作用面配向用磁石65は、同じ磁極(図4の例ではN極)とすることで、キャビティ内において磁界を反発させて、磁力線が第一作用面配向用磁石62(図4の例ではS極)に向かうように配向させることができ、より強い収束配向を実現できる。
さらに非作用面と作用面の、磁化された面積の面積比を調整することで、収束配向の度合いも調整できる。具体的には、第一作用面に配置する第一作用面配向用磁石62の面積と、第一非作用面に配置する第一非作用面配向用磁石61の面積を、要求される仕様に応じて設計する。例えば、モータ用のロータなどに求められる仕様として、最大表面磁束密度や磁束密度の分布等に応じて、面積比を調整し最適な仕様のボンド磁石を得ることができる。また面積比は、ボンド磁石片の平面視扇形の、半径に相当する長さAの領域の面積と、円弧に相当する部分のうち、磁化された部分Bの領域の面積との比率A/Bであり、このボンド磁石片の円柱高さを一定とする場合、面積比A/Bは、長さA/Bの比率としても表現できる。
(配向用磁石)
図4に示すボンド磁石片の成形時に用いる配向用磁石には、永久磁石が使用される。このような永久磁石の材料は、Brが1T以上のものが好ましく、例えばNd−Fe−B焼結磁石を用いることができる。磁力の大きい磁石を使うと、配向磁場が強くなり、ボンド磁石の表面磁束密度も高くできる。
成形用金型には、ボンド磁石を構成するボンド磁石組成物が充填される。成形には、射出成形や圧縮成形が利用できる。またボンド磁石組成物は、少なくとも磁性材料と樹脂とを含む。
(磁性材料)
磁性材料には、異方性材料を採用する。異方性の磁性材料としては、フェライト系、Sm−Co系、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系などが挙げられる。異方化により所定の磁気性能が得られる素材であり、等方性材料と比べてBHmaxが大きく、界磁ユニットとして使用した際でも、その空隙に有効な磁束密度を提供することができる。
フェライト系は、歴史が古く安価であることから最も普及しているが、希土類系よりも磁力が弱く、成形品が小さくなると磁力が不足するため、磁力の強いボンド磁石を作製する必要がある場合には、Sm−Co系、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系の希土類系磁性粉末を用いることが好ましい。上記の磁性材料は1種類単独でも、2種類以上を混合物としても使用可能である。また必要に応じて、耐酸化処理やカップリング処理を施しても良い。
(樹脂)
本実施形態で用いられる樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂や、エステル系、ポリアミド系、などの熱可塑性エラストマー、又はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、アリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。
図4に示された第一作用面配向用磁石62、第一非作用面配向用磁石61及び第三非作用面配向用磁石65によって、第一磁力線群21及び第三磁力線群23と略同じ磁力線群が生じている。樹脂硬化前の磁粉粒子の磁化容易軸は、配向用磁石によって生じた該磁力線群によって配向され、その後樹脂が硬化されることにより、それぞれの磁力線群に略対応する経路を有する二つの磁路群が形成されるボンド磁石10Aが作成される。また、配向用磁石の極性をそれぞれ反転して、同様に第二磁力線群22及び第4磁力線群24に略対応する経路を有する二つの磁路群が生成されるボンド磁石10Bが作成される。
ボンド磁石片10Aとボンド磁石片10Bを交互に円弧側をそろえるように非作用面を接して配置することで、図1に示されるボンド磁石100が作成される。ボンド磁石100には、図1に示されるように、各ボンド磁石片の内部で非作用面から伸びた磁路が、放物線状に折曲されて作用面に集束する。隣り合うそれぞれのボンド磁石片10Aと10Bが接する非作用面で、該非作用面から延びる磁路が連なり、作用面から内部方向に突出する放物線状の磁路群が形成される。図1を、図3に示す2つのボンド磁石片の集合体で捉え直し、第一ボンド磁石片10Aの一つの磁路群と連なる第二ボンド磁石片10Bの磁路群を合わせて第一磁路群とし、第一ボンド磁石片10A及び第二ボンド磁石片10Bに分割する分割面あるいは接合面は、第一磁路群の対称面である第一接合面とする。また、第一ボンド磁石片10Aの別の磁路群と連なる第二ボンド磁石片10Bの磁路群を合わせて第二磁路群とし、第二磁路群の対称面である第二接合面となる。このように各ボンド磁石片は、第一接合面や第二接合面で分割されている。また第一接合面と第二接合面とは、円柱状の中心軸で交差されている。
(比較試験1)
ここで、ボンド磁石又はボンド磁石片の製造に用いる製造装置の一として、永久磁石と電磁石をそれぞれ使用した配向用磁気回路装置を用いた場合の、各ボンド磁石で得られる磁束密度のシミュレーション結果を図5A〜図5Fに示す。これらの図において、図5Aのような第一非作用面配向用磁石61、第一作用面配向用磁石62、第三非作用面配向用磁石65と、これらを磁気的に接続して磁気回路を構成するヨーク66とを配置し、ボンド磁石を構成するボンド磁石組成物を充填するための成形金型のキャビティを形成した。ここで、第一非作用面配向用磁石61の第一非作用面11の面積(円柱状の半径)と、扇形の中心角θ0を固定し、第一作用面配向用磁石62の幅WDを変化させた。ここで第一作用面配向用磁石62の幅WDは、図6に示すように、第一作用面配向用磁石62の端面がボンド磁石片の第一作用面12と接する円弧の長さに相当する角度θ2で表している。この例では、円柱状の半径A=20mm、扇形の中心角θ0=36°とし、第一作用面配向用磁石62の角度θ2を、6°刻みで36°、30°、24°、18°、12°、6°に変化させた。各配向用磁石の配置例を、図5A〜図5Fに示す。さらに各配置例における磁束密度の分布を、図7A〜図7Fにそれぞれ示す。また各図におけるボンド磁石片の部分(下半分)を拡大した図を、図8A〜図8Fに、それぞれ示す。さらに、磁路を示した結果を図9A〜図9Fに、各図におけるボンド磁石片の部分(下半分)を拡大した図を図10A〜図10Fに、それぞれ示す。
一方比較例として、配向用磁石に永久磁石に代えて電磁石を用いた例を、図11A〜図11Fに示す。ここでも上述した図5A〜図5Fと同様、第一非作用面配向用電磁石61’、第一作用面配向用電磁石62’、第三非作用面配向用電磁石65’と、これらを磁気的に接続して磁気回路を構成するヨーク66’とを配置し、ボンド磁石を構成するボンド磁石組成物を充填するための成形金型のキャビティを形成した。また、第一非作用面配向用電磁石61’の第一非作用面11の面積と、扇形の中心角θ0を固定し、第一作用面配向用電磁石62’の幅WDを、角度θ2を変化させることで図11A〜図11Fに示すように変更した。これによって得られた磁束密度の分布を、図12A〜図12Fにそれぞれ示す。また各図におけるボンド磁石片の部分(下半分)を拡大した図を、同様に図13A〜図13Fに、それぞれ示す。さらに磁路を示した結果を図14A〜図14Fに、各図におけるボンド磁石片の部分(下半分)を拡大した図を図15A〜図15Fに、それぞれ示す。
なお、図5A〜図5F及び図11A〜図11Fの例では、金型に第一ボンド磁石片及び第二ボンド磁石片の2つを形成できるキャビティを形成しつつ、第一ボンド磁石片のみを形成するよう、第二ボンド磁石片が占める空間には、非磁性鋼(例えばステンレス等)を充填している。このことを示すため、第一ボンド磁石片の外形に相当するキャビティを各図において示している。ただ、この構成に限らず、第一ボンド磁石片及び第二ボンド磁石片の2つを同時に形成することもできる。このような例を図16に示す。
以上のようにして永久磁石、電磁石を配向用磁石として用い、それぞれ得られたボンド磁石片の各面積比における、半径方向の位置毎(図17のA=20mmの内、中心側から0mm〜20mmの各位置)に配向磁場[T]を測定した結果を、図18A〜図18Fにそれぞれ示す。ここで面積比は、図17に示すように、ボンド磁石片の円柱状の半径Aの部分がなす面積と、円弧の部分の内、上端から磁化された領域までの長さBとの比率A/Bである。なお、A/Bの比率は、ボンド磁石片の円柱状高さが同じ場合は、面積比と等しくなるので、以下ではA/Bを面積比と呼ぶことがある。
図17においては、平面視扇形のボンド磁石片においてほぼ線対称(図17において中心を通る水平線の上下)に、第一面から第二面に向かうように内部でカーブされた第一磁力線群と、第五面から第二面に向かうように内部でカーブされた第三磁力線群が配向されている。よって第二面の磁化された領域の内、第一磁力線群と対応する領域Bと、第三磁力線群と対応する領域B’とは、ほぼ等しいと見なせるので、ここでは一方(第一磁力線群)の磁力線群と対応する領域Bでもって、磁化された領域の集束の度合いを判定する。この面積比A/Bの値が大きいほど磁束を集束させていることになる。各図において、図18Aは角度θ2=36°に相当し、面積比は3.18である。図18Bは角度θ2=30°に相当し、面積比は3.82である。図18Cは角度θ2=24°に相当し、面積比は4.77である。図18Dは角度θ2=18°に相当し、面積比は6.37である。図18Eは角度θ2=12°に相当し、面積比は9.55である。図18Fは角度θ2=6°に相当し、面積比は19.10である。これらの図から明らかなとおり、電磁石は円弧に近い側でのみ高い配向磁場を示すが、これはヨークからヨークに磁束がショートカットするためである。言い換えると、作用面近傍でしか配向できておらず、円柱状の中心に向かうほど磁束が弱くなる、すなわち中心に向かって磁路を放物線状に延長できていない、曲率半径に近い磁路のパターンをなすことを示している。この様子は、図15A〜図15Fからも確認できる。
一方の永久磁石を用いたボンド磁石片の場合は、キャビティの全体に配向し易いため、リニアリティよく作用面に向かう程配向磁場が強くなる傾向を示すと共に、円柱状の中心近傍でも一定量の配向磁場を示していること、いいかえると円柱状の中心部分にまで磁路が達していることを示している。この様子は、配向磁場を示す図10A〜図10Fからも確認できる。したがって、配向用磁石には、電磁石よりも永久磁石の方が優れていることが確認できる。
特に永久磁石を用いた配向方法では、Smのような希土類を用いたボンド磁石の配向に際して、好適となる。例えば特許文献4に示すような、フェライトを用いたボンド磁石では、弱い配向磁場でも配向の制御が可能であるが、希土類ボンド磁石の場合は、強い配向磁場が求められ、特許文献4のような方法では円柱状の内部まで配向させることは困難となり、図15A〜図15Fで示したような、作用面の表面近傍でのみ曲率半径に沿った配向が得られるに過ぎない。これに対して上述した実施例に係る永久磁石を用いて、ボンド磁石を個片化したボンド磁石片毎に成型する方法であれば、円柱状の奥の領域まで配向させた配向パターンの制御が実現できる。
(磁極数の変更)
次に、配向磁石の幅、すなわちボンド磁石片における磁化された領域の面積について検討する。上述した例では、ボンド磁石片の扇形の中心角を36°とし、同形のボンド磁石片を複数組み合わせて円柱状のボンド磁石を構成する場合、図19Bの平面図に示すように10個のボンド磁石片でもって磁極数を円周に沿って10個設ける構成について説明した。ここでは、中心角を36°のみならず、30°〜60°まで変化させたボンド磁石片のそれぞれについて、磁化された領域の面積比A/Bを変化させた場合の、表面磁束密度のピーク値[T]を、図20A〜図20Dに、それぞれ示す。また、平均磁束密度に面積を乗算して磁束[Wb]を求めたグラフを、図21A〜図21Dに、それぞれ示す。各図において、図20A、図21Aはボンド磁石片の中心角θ0を30°(π/6[rad])として、図19Aに示すような磁極数12となる円柱状ボンド磁石を構成可能としたボンド磁石片の、面積比A/Bを変化させた場合の表面磁束密度及び磁束を示している。また同様に、図20B、図21Bは中心角θ0を36°(π/5[rad]、図19Bに示すように磁極数10)、図20C、図21Cは中心角θ0を45°(π/4[rad]、図19Cに示すように磁極数8)に、図20D、図21Dは中心角θ0を60°(π/3[rad]、図19Dに示すように磁極数6)に、それぞれ設定した場合の表面磁束密度及び磁束を、それぞれ示している。さらに、以上は中心角θ0を30°〜60°まで変化させたボンド磁石片の面積比A/Bと磁束の関係を示したが、中心角θ0をさらに小さくして、磁極数を増やすこともできる。ここで、磁極数を16極〜60極まで変化させた場合の、各ボンド磁石片の面積比A/Bと磁束の関係を図22A〜図22Fのグラフに示す。これらの図において、図22Aは中心角θ0を6°(磁極数60)、図22Bは中心角θ0を9°(磁極数40)、図22Cは中心角θ0を12°(磁極数30)、図22Dは中心角θ0を18°(磁極数20)、図22Eは中心角θ0を20°(磁極数18)、図22Fは中心角θ0を22.5°(磁極数16)としている。
これらの図に示すように、面積比A/Bが大きくなるほど、すなわち第一作用面配向用磁石62の幅WDを狭くするほど、いずれも表面磁束密度が上昇する傾向を示した。一方磁束については、面積比A/Bの低い領域でピーク値を示し、例えば中心角が30°の場合は面積比A/Bが5〜8、36°の場合は4〜7、45°の場合は3〜4、60°の場合は2〜3の範囲で、高い値を示した。以上の結果から、中心角θ0が30°〜60°の範囲では面積比A/Bは2.0〜8.0の範囲が好ましいといえる。
このように、扇形の中心角が大きくなるほど、面積比A/Bが小さい範囲で磁束が高くなることが確認された。ここで、好ましい面積比A/Bの範囲を検討する。まず、磁極数nが12以下の場合における面積比A/Bの下限値を確認するため、図21A〜図21Dにおいて、面積比A/Bの下限となる最小値を、磁極数毎にプロットし、直線で近似したグラフを図23に示す。また、面積比A/Bの上限値を確認するため、図21A〜図21Dにおいて、面積比A/Bの下限値における磁束を達成する限界値を磁極数毎にプロットし、二次曲線で近似したグラフを図24に示す。同様に、磁極数nが12より大きい場合における面積比A/Bの下限値を確認するため、図22A〜図22Dにおいて、面積比A/Bの下限となる最小値を磁極数毎にプロットし、直線で近似したグラフを図25に示す。この結果、磁極数nが12以下の場合(θ0≧30)、面積比A/Bは0.3184n≦(A/B)<−0.04n3+1.47n2−14.03n+43の範囲とすることが好ましい。また磁極数nが12より大きい場合(θ0<30)の面積比A/Bは、0.3184n≦(A/B)の範囲とすることが好ましい。
(配向率)
本発明の実施の形態に係る永久磁石を用いた配向と、図54に示す永久磁石を用いた従来の極配向とでそれぞれ測定した配向率を、図26及び図27に示す。ここで配向率の測定には、まずサンプルを1mm〜2mm厚にスライスし、さらに1mm角の切断片に切断し、重量を測定する。次に、VSMにて切断片毎に配向方向を測定する。各切断片で得られた配向方向を、図26、図27に示している。さらに、得られた配向方向に着磁し、着磁後のサンプルに対してさらにVSMで磁化を測定する。そしてサンプルに用いた磁粉の磁化を100%として、各サンプルの配向率を計算する。
従来の極配向では、図27に示すように中心部分が配向しておらず、平均配向率62.5%であった。これに対し、永久磁石を用いた配向では、図26に示すように、中心部分まで配向され、平均配向率85%を達成している。この様子は、上述した各面積比について半径方向の位置毎に配向磁場を測定した図18A〜図18Fのグラフからも確認できる。なお、中心部分(図18A〜図18Fのグラフにおいて半径0〜4又は0〜5の領域)では逆向きの配向を示している。これは、配向磁場の強度を絶対値で測定しているためであり、配向用磁石へショートカットが生じて逆向きの配向が形成されている。例えばモータ等に使用する際は、この部分を削除して使用する。特にモータの中心部分は回転軸を挿入するため、中心部分を削除することは差し支えなく、寧ろ好適である。
(表面磁束)
なお、得られたボンド磁石から磁束の集束の程度を確認するには、表面磁束を測定する。例えば、図5Bに示す30°ピッチで作成したボンド磁石片を用いて構成した円柱状のボンド磁石と、図5Fに示す6°ピッチで作成したボンド磁石片を用いて構成して円柱状ボンド磁石とで、それぞれ円周方向(0°〜360°)に沿って表面磁束密度[T]を、図28に示す。この一部を拡大した図29に示すように、配向用磁石の幅WDを狭くすると、磁束がより集中して表面磁束密度も高くなり、シャープなプロファイルを示すことが判る。一方、相対的に配向用磁石の幅WDを広くすると、表面磁束密度のピーク値は低下するが、なだらかな上昇と下降のプロファイルを示す。このように、表面磁束密度のプロファイル波形から、ボンド磁石片のピッチを推定できる。
(比較試験2)
次に比較試験2として、モータのロータ等に使用する丸棒状(円柱状又は円筒状)の永久磁石に適用する場合の、各種態様のボンド磁石と焼結磁石の表面密度を演算したシミュレーション試験結果を、図30に示す。ここでは、比較例1として従来の焼結磁石(サンプル1)、比較例2としてラジアル配向のボンド磁石(サンプル2)、比較例3として極配向のボンド磁石(サンプル3)、及び実施例1として上記実施の形態1に係る円柱状ボンド磁石(サンプル4)で試作した場合の表面磁束密度を演算した。ここでは、磁性体としてNdFeBを焼結磁石やボンド磁石の磁性粉末として用いる。この図に示すように、サンプル1〜4の表面磁束密度は、それぞれ4000G、2000G、3000G、4000Gとなった。このように本実施の形態1によれば、従来より最も強力とされた焼結磁石と同等の表面磁束密度を、ボンド磁石にて実現しており、ボンド磁石を用いつつも、焼結磁石と同レベルの極めて高い磁束密度を達成できることが確認された。また、従来磁性材料として最も強力とされてきたネオジムを使用せずとも、サマリウムを用いた磁性材料でも十分な磁束密度を発揮でき、限られた天然資源の有効利用及びカントリーリスクの低減といった面でも、極めて実用性の高い技術となる。
また、このようにモータのロータに使用する場合は、従来のSPMのようにロータの表面に永久磁石を貼付したりせずとも、円柱状ボンド磁石として一体化した状態で利用できる。
(実施の形態2)
以上の例では円柱状のボンド磁石を構成する例について説明したが、本発明は円柱状に限らず、他の形態のボンド磁石にも適用できる。例えば、図31の断面図に示す実施の形態2に係る円筒状のボンド磁石200とすることもできる。この場合でも、実施の形態1と同様の製造方法で各ボンド磁石片を製造できる。特に円柱状の中心部分まで磁路を延長させなくとも、十分な磁束密度を得られる場合は、この構成によって必要な磁性材料や樹脂等のボンド磁石組成物の使用量を低減でき、また重量の軽量化にも資する。
また図1等の例では、第一面11と第二面12との接合部分、第一面11と第五面15との接合部分、第三面13と第四面14との接合部分、第三面13と第六面16との接合部分を、いずれも直線状としている。一方、図31の円筒状のボンド磁石200の例では、第一面11と第二面12との接合部分、第二面12と第五面15との接合部分、第三面13と第四面14との接合部分、第四面14と第六面16との接合部分をいずれも直線状とする一方、第一面11と第五面15との接合部分、及び第三面13と第六面16との接合部分を、凹状の湾曲面としている。
(変形例)
また以上の例では、円柱状のボンド磁石の中心軸を円筒状にくり抜いた構成を示したが、中心軸をくり抜く断面形状は、円形に限らず、任意の形状が利用できる。例えば図32の断面図に示すように断面を星形にしてもよい。星形を形成する突起部分は、各磁路群の放物線同士の間に入り込むようにすることで、磁路への影響を低減しつつ、ボンド磁石の容積や重量、ボンド磁石組成物の使用量を軽減できる。この場合、第一面11と第二面12との接合部分、第二面12と第五面15との接合部分、第三面13と第四面14との接合部分、第四面14と第六面16との接合部分をいずれも直線状とする一方、第一面11と第五面15との接合部分、及び第三面13と第六面16との接合部分を、断面視V字状に傾斜させた2つの平面としている。
また図33の断面図に示すように、円形にさらに一定間隔で半径の小さい半円又は楕円、あるいはトラック形状を突出させたような断面形状としたり、あるいは図34の断面図に示すように、磁路の放物線状の曲線に沿うようにテーパー状に突出させた断面形状としたり、あるいはまた図35の断面図に示すように、花丸状の断面形状としてもよい。このように、磁路を極力妨げない任意の断面形状を適宜採用できる。いずれの場合も、第一面11と第二面12との接合部分、第二面12と第五面15との接合部分、第三面13と第四面14との接合部分、第四面14と第六面16との接合部分を直線状とする一方、第一面11と第五面15との接合部分、及び第三面13と第六面16との接合部分を、それぞれ傾斜させた面同士を直線状に接合させた三角柱状から部分的に該当領域を切除した面としている。
(実施の形態3)
さらに、上述した実施の形態2では、隣接するボンド磁石片同士を接合させる界面となる非作用面の内、円柱の中心軸側で切除する構成を説明したが、本発明はこの構成に限らず、逆に作用面側、すなわち円柱の円弧側で切除する構成とすることもできる。このような例を実施の形態3として、図36に示す。この図に示すボンド磁石300は円柱状の側面の内、ボンド磁石片同士の接合界面を凹状に窪ませている。この例では、円柱状の高さ方向あるいは長手方向に沿って、スリット状に窪みを一定間隔、すなわち各ボンド磁石片の円弧の長さに対応する間隔で形成している。特に円柱状ボンド磁石をモータのロータに使用する場合は、永久磁石を円周状に渡って全周に配置するのでなく、一定間隔に配置する構成が採られるため、実施の形態3のようなボンド磁石300はこのような構成に適合する。また、ボンド磁石の体積削減による原材料コストの削減や軽量化にも資する。
この場合、第一面11と第五面15との接合部分、及び第三面13と第六面16との接合部分を、いずれも直線状とする一方で、第一面11と第二面12との接合部分、第二面12と第五面15との接合部分、第三面13と第四面14との接合部分、第四面14と第六面16との接合部分を、凹状の湾曲面としている。
(実施の形態4)
加えて、以上の実施の形態2、3では隣接するボンド磁石片同士を接合させる界面となる非作用面のいずれか一方の隅部を削除する例を説明したが、本発明はこの構成に限らず、両方を削除してもよい。このような例を実施の形態4に係るボンド磁石400として図37の断面図に示す。この構成でも、上述した作用面における磁束密度の向上や軽量化、低コスト化といった効果が得られる。
以上のように、非作用面の一部を切削する構成を適宜利用できる。また非作用面は平面状とする構成に限らず、例えば緩やかな曲面としたり、凹凸を部分的に設けるなどの構成も適宜採用できる。特に凹状や凸状を接合させる構成は、ボンド磁石片同士の係合に際して位置決めの役目も果たし、組み立て時の作業性の向上にも繋がる。
(実施の形態5)
さらにまた、以上の例では各ボンド磁石片の端面を扇形とした例を説明したが、本発明はボンド磁石片の端面形状を扇形に限定せず、他の形状とすることもできる。例えば実施の形態5として図38に示すボンド磁石片の組では、第一ボンド磁石片510Aが、断面図において第一面511と第二面512とを連結する、第七面517及び第八面518を有する。この第一ボンド磁石片510Aは、断面における形状を、第一面511、第七面517、第二面512及び第八面518でもって囲まれた末広がりとなるテーパ状としている。同様に第二ボンド磁石片510Bは、断面図において第三面513と第四面514とを連結する、第九面519及び第十面520を有する。この第二ボンド磁石片510Bも、断面における形状を第三面513、第九面519、第四面514及び第十面520でもって囲まれた、外形を平面視において末広がりとなるテーパ状としている。さらに第一ボンド磁石片510Aと第二ボンド磁石片510Bを接合した状態で、第二面512及び第四面514を同じ側に向けたU字状に形成している。このような構成により、各ボンド磁石片の扇形状の半径部分に相当する面に磁極面を表出させることで、この磁極面同士を、互いに異極同士となるように接合することで、円形状のボンド磁石を構成できる。
例えば、図39に示すように複数のボンド磁石片510の組を同心円状に配置したボンド磁石500とすることで、モータのロータ用にも利用できる。この図に示すボンド磁石500は、隣接するボンド磁石片510の組同士の間を埋めるための、透磁率の高い材質で構成された構造体を備えている。この構造体に、複数のボンド磁石片510の組を埋め込んで、外形を円柱状としたボンド磁石500を構成している。
また各ボンド磁石片は、図40に示すように配向用磁石63、64を配置することで形成できる。
さらに変形例として、ボンド磁石片610A、610Bを図41に示すようなU字状あるいはトラック形状に構成してもよい。
(実施の形態6)
さらに、一のボンド磁石片内において、磁束群を一つとした上記実施の形態5や、二つの磁束群を共通の作用面上に厚さ方向に並べて配置する実施の形態1等の構成に限られず、他の構成、例えば断面視において磁路群を水平方向に並べて配置することもできる。このような例を実施の形態6として、図42〜図46に示す。このボンド磁石片の組は、図42、図43に示すように、2つのボンド磁石片710A、710Bを組み合わせてボンド磁石700を構成している。ボンド磁石片710Bの上面とボンド磁石片710Aの下面とを連結することで、図44、図45に示すように、その側面に2極の異なる磁極を有するボンド磁石となる。組み合わせるボンド磁石は、互いに配向が逆になるように形成されている。つまり、図45に示すように、一方の磁石(第一ボンド磁石710A)は下面12にS極、側面13にN極が出るように内部の第一磁力線群21を形成した場合、他方の磁石(第二ボンド磁石710B)は上面11にN極、側面13にS極が出るように内部の第二磁力線群22を形成する。そして、第一ボンド磁石710Aの下面のS極と、第二ボンド磁石710Bの上面のN極を吸引力によって連結させる。これによって、第一磁力線群21と第二磁力線群22とが結合されて、互いの磁路が連続し、結果としてボンド磁石700の内部の磁路を延長させて磁束を向上できる。
それぞれのボンド磁石710A、710Bは、個別に形成することができる。第一ボンド磁石710Aは、図47、図48に示す磁気回路装置120、130を用いて製造できる。一方、各磁気回路装置において配向用磁石の極性を逆にすることで、配向を逆にすることができる。つまり、配向用磁石のN極同士が向かい合うようにして形成したものと、S極同士が向かい合うようにして形成したものを用いれば、第2のボンド磁石710Bを製造できる。
図47は、ボンド磁石を製造するための製造装置を構成する磁気回路装置120である。磁気回路装置120は、磁性材料と樹脂とを含むボンド磁石組成物が充填されるキャビティ1220を備えており、キャビティ1220を上下方向に挟むように配向用磁石1214a、1214bが配置されている。配向用磁石1214a、1214bは磁性材料を磁気的に配向させるために、ボンド磁石の成形中にキャビティ1220に磁場を印加するものである。配向用磁石1214a、1214bは、成形品のボンド磁石の非作用面に対して垂直に磁力が出る向きに配向された永久磁石である。また配向用磁石1214a、1214bは、同極同士(ここではN極同士)が向かい合うように配置された第1の配向用磁石1214a及び第2の配向用磁石1214bを有して構成されており、これにより、同極同士が向かい合うように印加された、第1及び第2の磁界を有して構成されている。ここで、配向用磁石1214a、1214bの軸方向をZ方向としたとき、キャビティ1220はZ方向において、第1及び第2の配向用磁石1214a、1214bの間に挟まれるように、第1の配向用磁石1214aの側に偏って配置されている。
ここで第1の配向用磁石1214aは、非磁性鋼材の隔壁を挟んでキャビティ1220であって成形品の非作用面と対向するように配置されている。一方第2の配向用磁石1214bは、z方向においてキャビティ1220の長さ(T2)と略同じ距離(T1)をあけて配置されている。このキャビティが存在しない領域には、非磁性鋼1218が配置されている。またキャビティ1220の内、成形品の作用面となる側面と対向する面側には、比透磁率が100〜1000000のヨーク1216を設置する。このように配向用磁石1214a、1214bを配置することで、キャビティ1220内部には、図中の曲線で示すように、N−Sの磁力線が形成される。また、キャビティ1220の内、成形品の作用面となる側面と対向する面側に、さらに配向用磁石を追加して配置することも好ましい。このように配置されたキャビティ1220に、溶融した磁性材料と樹脂とからなるボンド磁石組成物を充填する。ボンド磁石組成物が流動状態にある内に、印加した磁場配向により配向させ、配向後は直ちに空冷若しくは水冷により冷却固化することにより磁性粉末の配向状態を保つことが好ましい。
本実施形態においては、2つの配向用磁石1214a、1214bを反発させて放射状の強力な磁場を取り出している。第2の配向用磁石1214bをキャビティ1220から離して形成しているため、ボンド磁石片の上面側には磁力線が出ないように、下面から側面に向かって磁力線を形成することができる。上面に磁力線が出にくくなるため、作用面である側面に磁力線が集束し、単位面積当たりの磁束線が増える。
またボンド磁石片又はボンド磁石の製造装置として、図47の磁気回路装置120に代えて、図48に示す磁気回路装置130を用いることもできる。この図に示す配向用磁石1315a、1315bは、円柱状に形成されており、径方向に45度ずつ8等分に分割され、円柱状の下面の一点に向かって磁力が出るように配向されている。つまり、配向用磁石1315a、1315bの磁化方向は、配向用磁石の軸方向に対して内側方向に傾斜されている。このとき、各磁石の軸方向に対する配向方向θは配向用磁石の軸に対して34度とされている。このように形成された配向用磁石1315a、1315bを、キャビティ1320の方向に向かって磁力が集中するように、同極が向かい合せになるように鏡面状に配置する。また図47の例と同様に、第2の配向用磁石1315bは、z方向においてキャビティ20の長さ(T2)と略同じ距離(T1)をあけて配置されている。このように配向用磁石1315a、1315bを配置することで、キャビティ1320内部には、図中の曲線に示すように、N−Sの磁力線が形成される。なお磁気回路装置130において、ヨーク1316や非磁性鋼1318の構成、及び側面と対向する面側に配向用磁石を追加する構成等は、図47と同様の構成が利用できるので、その詳細説明を省略する。
ここで、図42等に示した円板状のボンド磁石700のVIC−VIC線断面における磁粉粒子の磁化容易軸の配向状態を図44に示す。側面の作用面(Sa)に隣接する面(上面及び下面:Sb)を組み合わせることにより、作用面(Sa)に2極の磁極を持つ磁石が得られる。また、Sb面においては磁極の異なる成形品同士を組み合わせるだけなので容易に組み合わせることができる。このように組み合わせることにより、2つの磁石の間で磁路が伸び、表面磁束密度が大幅に向上することに加え、作用面以外からの漏れ磁束密度も小さくすることができる。
さらに、図46に示すように、2つのボンド磁石片710A、710Bを結合させたボンド磁石700’の磁束線の方向を、図45とは逆向きに構成することもできる。この例では、図45のボンド磁石700の上下を反転させて、上側に第二ボンド磁石片710Bを、下側に第一ボンド磁石片710Aを配置し、第二ボンド磁石片710Bの結合面であるN極面と、第一ボンド磁石710Aの結合面であるS極面とが向かい合うように配置することで、結合面において互いの磁路を結合して延長し、その結果側面側に表出された磁極の表面磁束密度を向上できる。さらにこのような円板状の第一ボンド磁石710Aと第二ボンド磁石700B磁石の組を交互に積層することで円柱状の側面に磁極を交互に表出させたボンド磁石を得ることができる。この際、ボンド磁石片同士の各接合面は、互いに平行となる。
特に、以上のような結合面を平板状とし、側面を磁極面とする構成では、面積の相対的に大きい平面状の結合面の磁束を、面積の相対的に小さい側面側の磁極に集中させることで、磁束を収束させた収束配向を実現し、磁極の磁束密度を効果的に向上できる。すなわち図45に示すように、作用面における磁力線同士の間隔a’を、非作用面における同じ磁力線同士の間隔b’よりも狭くすることで、収束配向が実現される。ここでa’<b’は、磁束密度の大小にも繋がり、磁路を直線状から折曲させることで長くして磁力を向上させる放物線状の配向を採用したことと相俟って、高い表面磁束密度を実現できる。
以上のように、本発明の実施の形態に係るボンド磁石によれば、極配向を実現しつつも、その磁路が、ボンド磁石の円柱状の中心に向かって深く抉れた配向がなされている。また、ボンド磁石表面(作用面)から深い部分では、磁路同士の間隔を広く配向された状態となった磁極(非作用面)が形成され、かつ隣接するボンド磁石片の非作用面同士で異なる磁極となるように接合することで、この接合界面で磁路が連続され、磁路を長くしている。このように、円柱状ボンド磁石の表面から内部に向かって磁路が深く抉れるように配向させたことで、図56に示したBH曲線の動作点を上げることが可能となる。さらに、非作用面の磁極を広くして、作用面の磁極を狭くすることで、広い磁極から狭い磁極に収束配向ことが同時に実現され、このような極配向と収束配向を同時に実現したことで、極めて高い表面磁束密度を実現し、ボンド磁石でありながら焼結磁石と同程度の磁束を発揮させることが可能となる。
また、以上のようにして作製されたボンド磁石を、透磁率の高い物質、例えば珪素鋼などに埋設することもできる。例えば図39の例では、図38のボンド磁石片の組を、回転軸を中心に周囲に並べ、その隙間に高透磁率物質を配置することで、ボンド磁石成形品を構成できる。
また以上の構成によれば、作用面以外からの漏れ磁束の少ない側面配向型ボンド磁石や、これを用いた界磁ユニットを実現できる。またボンド磁石の薄型化に対応し、十分な配向磁場が得られるボンド磁石の製造方法を実現できる。
また以上の構成によれば、ボンド磁石の作用面以外からの漏れ磁束を少なくできる。この結果、扁平状の側面配向型ボンド磁石やこれを用いた界磁ユニットが実現される。
また以上の例では、ボンド磁石に用いる磁石粉末にはサマリウム鉄窒素磁石を用いたが、本発明はこれに限らず、例えばサマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、プラセオジム磁石等の希土類磁石を利用することもできる。
本発明のボンド磁石は、永久磁石を使用する小型モータで使用される焼結磁石の代替として好適に利用できる。また、表面磁束密度及び界磁磁場が必要とされる用途に適用できる。例えば、種々の形状に応用することによって、精密モータ用セグメント磁石、HDD用VCM磁石、紙幣センサー用など磁気信号を利用する各種センサー用磁石、健康器具用磁石、異物除去用装置やリニアモータ用磁石、とりわけ薄型TVなどに使用するスピーカー用磁石に代表される薄型アクチュエータ用の磁石として好適に利用できる。
100、200、300、400、500、700、700’…ボンド磁石
10、510、610A、610B、710A、710B…ボンド磁石片
10A、510A…第一ボンド磁石片
10B、510B…第二ボンド磁石片
11、511…第一面(第一非作用面)
12、512…第二面(第一作用面)
13、513…第三面(第二非作用面)
14、514…第四面(第二作用面)
15…第五面(第三非作用面)
16…第六面(第四非作用面)
517…第七面
518…第八面
519…第九面
520…第十面
21…第一磁力線群
22…第二磁力線群
23…第三磁力線群
24…第四磁力線群
530…構造体
61…第一非作用面配向用磁石
62…第一作用面配向用磁石
63…配向用磁石
64…配向用磁石
66…ヨーク
65…第三非作用面配向用磁石
61’…第一非作用面配向用電磁石
62’…第一作用面配向用電磁石
65’…第三非作用面配向用電磁石
66’…ヨーク
120、130…磁気回路装置
1214a、1214b、1315a、1315b…配向用磁石
1216、1316…ヨーク
1218、1318…非磁性鋼
1220、1320…キャビティ
本発明は、ボンド磁に関する。
本発明の一側面に係るボンド磁石によれば、第一面と、前記第一面と接合部分を介して接する第二面と、前記第二面と接合部分を介して接すると共に、前記第一面と接合部分を介して接する第五面とを備え、前記第一面と第五面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第一面と第五面と第二面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、前記第一面から第二面に向かう第一磁力線群と、前記第五面から第二面に向かう第三磁力線群とを有する第一ボンド磁石片と、第三面と、前記第三面と接合部分を介して接する第四面と、前記第四面と接合部分を介して接すると共に、前記第三面と接合部分を介して接する第六面とを備え、前記第三面と第六面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第三面と第六面と第四面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、前記第四面から第三面に向かう第二磁力線群と、前記第四面から第六面に向かう第四磁力線群とを有する第二ボンド磁石片とを有し、前記第二面の磁束密度が前記第一面の磁束密度よりも高く、前記第四面の磁束密度が第三面の磁束密度よりも高く、前記第一面の磁極と、前記第三面の磁極とが異なる極性であり、前記第一面と、前記第三面とが連結されて、第二磁力線群と第一磁力線群とが連続されるように構成され、前記第二面と、前記第四面とで異なる磁極が外部に表出されており、前記磁力線群に含まれる磁力線は放物線状であり、前記第一ボンド磁石片に含まれる最も長い磁力線は、前記第一面の半径方向における中点より前記第一面と第五面の接合部分に近い位置まで達している。上記構成により、第一ボンド磁石片の第一面の磁束を第二面で収束させ、かつ第二ボンド磁石片の第三面の磁束を第四面で収束させて、作用面において高い磁束密度を実現できる。
また本発明の他の側面に係るボンド磁石によれば、第一面と、前記第一面と接合部分を介して接する第二面と、前記第二面と接合部分を介して接すると共に、前記第一面と接合部分を介して接する第五面とを備え、前記第一面と第五面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第一面と第五面と第二面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、前記第一面から第二面に向かう第一磁力線群と、前記第五面から第二面に向かう第三磁力線群と
を有する第一ボンド磁石片と、第三面と、前記第三面と接合部分を介して接する第四面と、前記第四面と接合部分を介して接すると共に、前記第三面と接合部分を介して接する第六面とを備え、前記第三面と第六面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第三面と第六面と第四面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、前記第四面から第三面に向かう第二磁力線群と、前記第四面から第六面に向かう第四磁力線群とを有する第二ボンド磁石片とを有し、前記第二面の磁束密度が前記第一面の磁束密度よりも高く、前記第四面の磁束密度が第三面の磁束密度よりも高く、前記第一面の磁極と、前記第三面の磁極とが異なる極性であり、前記第一面と、前記第三面とが連結されて、第二磁力線群と第一磁力線群とが連続されるように構成され、前記第二面と、前記第四面とで異なる磁極が外部に表出されてなり、前記磁力線群に含まれる磁力線が放物線状であり、前記第一ボンド磁石片の第一面における配向磁場について、半径方向における中点での配向磁場が、円弧部分での配向磁場に比べて0.1倍以上1.0倍未満である。

Claims (4)

  1. 第一面と、
    前記第一面と接合部分を介して接する第二面と、
    前記第二面と接合部分を介して接すると共に、前記第一面と接合部分を介して接する第五面と
    を備え、
    前記第一面と第五面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第一面と第五面と第二面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、
    前記第一面から第二面に向かう第一磁力線群と、
    前記第五面から第二面に向かう第三磁力線群と
    を有する第一ボンド磁石片と、
    第三面と、
    前記第三面と接合部分を介して接する第四面と、
    前記第四面と接合部分を介して接すると共に、前記第三面と接合部分を介して接する第六面と
    を備え、
    前記第三面と第六面とが一定の中心角でもって傾斜され、該第三面と第六面と第四面で囲まれた断面視における外形を扇形とし、
    前記第四面から第三面に向かう第二磁力線群と、
    前記第四面から第六面に向かう第四磁力線群と
    を有する第二ボンド磁石片と
    を有し、
    前記第二面の磁束密度が前記第一面の磁束密度よりも高く、
    前記第四面の磁束密度が第三面の磁束密度よりも高く、
    前記第一面の磁極と、前記第三面の磁極とが異なる極性であり、
    前記第一面と、前記第三面とが連結されて、第二磁力線群と第一磁力線群とが連続されるように構成され、
    前記第二面と、前記第四面とで異なる磁極が外部に表出されてなるボンド磁石。
  2. 請求項1に記載のボンド磁石であって、
    前記第一面の面積を、前記第二面の面積よりも広く、
    前記第三面の面積を、前記第四面の面積よりも広くしてなるボンド磁石。
  3. 請求項1又は2に記載のボンド磁石であって、
    前記第一面と第五面の面積の和を、前記第二面の面積よりも広く、
    前記第三面と第六面の面積の和を、前記第四面の面積よりも広くしてなるボンド磁石。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のボンド磁石であって、
    前記第一面と第二面とが交差する角度が90°以下であるボンド磁石。
JP2019105114A 2014-09-30 2019-06-05 ボンド磁石 Active JP6901692B2 (ja)

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