JP2019193013A - 電子部品の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トレイと電子部品の取り出す際の損傷を低減する。【解決手段】蓋部材20とベース部材30と蓋部材20とベース部材30とを接合する接合材40とを備える水晶振動子1の製造方法であって、蓋部材20及びベース部材30よりも熱膨張係数の大きいトレイ110の凹部110aに、蓋部材20、ベース部材30、及び、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40を挿入する工程と、蓋部材20がベース部材30を押圧するように蓋部材20及びベース部材30を加圧するとともに、接合材40の融点以上の温度でトレイ110を加熱する工程と、トレイ110の温度が接合材40の融点より100℃低い温度以上かつ接合材40の融点以下である間に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を凹部110aから取り出す工程と、を含む。【選択図】図4
Description
本発明は、電子部品の製造方法及び製造装置に関する。
一般に電子部品の一つとして、発振装置や帯域フィルタ等に用いられる基準信号の信号源に用いられる圧電振動子が知られている。圧電振動子は、例えば、圧電振動素子と、圧電振動素子が収容される筐体を構成する蓋部材及びベース部材と、蓋部材及びベース部材を接合する接合材と、を備える。
引用文献1には、蓋体とキャビティ内に圧電振動片を搭載するパッケージを封着治具の凹部に落し込んで位置決めする工程と、封止機内に設けられた加熱手段により封着材を溶融させて蓋体とパッケージを密着固定させる工程と、パッケージ内を気密に封止する工程と、を具備する圧電デバイスの製造方法が開示されている。この製造方法は、密着固定させる工程と気密封止する工程が同一の封止機内で連続的に処理されるので、生産性が向上する。
ところで、蓋部材とベース部材と接合材とを備える電子部品を製造する場合、当該電子部材をトレイの凹部に挿入し、トレイを加熱して接合材を溶融させた後、トレイを冷却して接合材を固化させ、凹部から電子部品を取り出す方法が採用されていた。また、電子部品の出し入れが容易になるように、電子部品とトレイの凹部と間には隙間が設けられていた。
一般に、トレイの熱膨張率は、蓋部材及びベース部材の熱膨張率より大きい。このため、トレイを加熱することで電子部品と凹部との隙間は大きくなるので、蓋部材とベース部材との接合位置がずれるおそれがあった。そして、トレイが冷却されるとトレイが収縮して前述した隙間は小さくなるので、電子部品がトレイに噛み込む、トレイと干渉することがあった。その結果、トレイまたは電子部品に損傷が発生する課題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的はトレイまたは電子部品の損傷を低減できる電子部品の製造方法及び製造装置を提供することである。
本発明の一側面に係る電子部品の製造方法は、蓋部材とベース部材と蓋部材とベース部材とを接合する接合材とを備える電子部品の製造方法であって、蓋部材及びベース部材よりも熱膨張係数の大きいトレイの凹部に、蓋部材、ベース部材、及び、蓋部材とベース部材との間に配置される接合材を挿入する工程と、蓋部材がベース部材を押圧するように蓋部材及びベース部材を加圧するとともに、接合材の融点以上の温度で前記トレイを加熱する工程と、トレイの温度が接合材の融点より100℃低い温度以上かつ接合材の融点以下である間に、蓋部材、ベース部材、及び接合材を凹部から取り出す工程と、を含む。
本発明の他の一側面に係る電子部品の製造装置は、蓋部材とベース部材と蓋部材とベース部材とを接合する接合材とを備える電子部品の製造装置であって、蓋部材、ベース部材、及び、蓋部材とベース部材との間に配置される接合材が挿入される凹部を含み、蓋部材及びベース部材よりも熱膨張係数の大きいトレイと、凹部に挿入された蓋部材がベース部材を押圧するように蓋部材及びベース部材を加圧するとともに、接合材の融点以上の温度でトレイを加熱する加熱部と、トレイの温度が接合材の融点より100℃低い温度以上かつ接合材の融点以下である間に、蓋部材、ベース部材、及び接合材を凹部から取り出す取り出し部と、を備える。
本発明によれば、トレイまたは電子部品の損傷を低減できる。
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
<第1実施形態>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法を用いて製造される水晶振動子1について説明する。図1は、第1実施形態に係る水晶振動子1の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、図1に示した水晶振動子1のII−II線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法を用いて製造される水晶振動子1について説明する。図1は、第1実施形態に係る水晶振動子1の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、図1に示した水晶振動子1のII−II線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
以下の説明において、水晶振動素子を備えた水晶振動子を圧電振動子の一例に挙げて説明する。水晶振動素子は、印加電圧に応じて振動する圧電体として水晶片を利用するものである。但し、本発明の第1実施形態は、水晶振動子等の圧電振動子への適用に限定されるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る水晶振動子1は、水晶振動素子10と、蓋部材20と、ベース部材30と、接合材40と、を備える。蓋部材20及びベース部材30は、水晶振動素子10を収容するための保持器の構成の一部である。
水晶振動素子10は、ATカット型の水晶片11を含む。水晶片11は、互いに対向するXZ’面である第1主面12a及び第2主面12bを有する。
ATカット水晶片である水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z’軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y’軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向を有する。また、水晶片11は、XZ’面において矩形状を有する。
本実施形態では、水晶片11は平坦な板形状を有している。水晶片11の第1主面12a及び第2主面12bは、それぞれ平坦面である。
水晶振動素子10は、一組の電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bを含む。第1励振電極14aは、第1主面12aに設けられている。また、第2励振電極14bは、第2主面12bに設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、各主面の中央を含む領域で水晶片11を挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極14aと第2励振電極14bは、XZ’面において略全体が重なり合うように配置されている。
水晶振動素子10は、引出電極15a,15bと、接続電極16a,16bと、を含む。接続電極16aは、引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、接続電極16bは、引出電極15bを介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。接続電極16a及び接続電極16bは、それぞれベース部材30に電気的に接続するための端子である。接続電極16a及び接続電極16bは、それぞれ水晶片11の第2主面12bに設けられている。
引出電極15aは、第1励振電極14aと接続電極16aとを電気的に接続している。一方、引出電極15bは、第2励振電極14bと接続電極16bとを電気的に接続する。
接続電極16a,16bは、導電性保持部材36a,36bを介してベース部材30の電極に電気的に接続される。導電性保持部材36a,36bは、導電性を有する接着剤を熱固化させて形成したものである。
第1励振電極14a及び第2励振電極14b、引出電極15a,15b、並びに、接続電極16a,16bの各電極の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、下地としてクロム(Cr)層を有し、クロム層の表面にさらに金(Au)層を有する。
本実施形態では、水晶振動素子10は、平坦な板形状の水晶片11を含む構成を説明したが、これに限定されるものではない。水晶振動素子は、所定の角度で切り出された水晶板を基材として、基部と、 基部から延びている少なくとも1本の振動腕とを有する水晶片と、屈曲振動させるように振動腕に設けられた励振電極とを備える音叉型水晶振動素子であってもよい。
蓋部材20及びベース部材30は、水晶振動素子10を収容する内部空間26を形成する。蓋部材20及びベース部材30は、後述する接合材40によって接合される。
蓋部材20は、凹形状、具体的には開口を含む箱形状を有し、内面24及び外面25を有する。蓋部材20は、ベース部材30の第1主面32aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており、かつ天面部21の主面に対して法線方向に延在する側壁部22と、を含む。また、蓋部材20は、凹形状の開口縁においてベース部材30の第1主面32aに対向する対向面23を有する。対向面23は、枠形状を有しており、水晶振動素子10の周囲を囲むように延在している。
蓋部材20は、例えば金属製の部材である。具体的には、蓋部材20は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む合金である42アロイ、又は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)を含む合金であるコバールから構成される。42アロイ及びコバールは、ともに熱膨張率の低い金属として知られている。
ベース部材30は、水晶振動素子10を励振可能に支持するものである。具体的には、水晶振動素子10は、導電性保持部材36a,36bを介してベース部材30の第1主面32aに励振可能に保持されている。
ベース部材30は平坦な板形状を有している。ベース部材30は基体31を含んでいる。基体31は、互いに対向するXZ’面である第1主面32a及び第2主面32bを有する。基体31は、絶縁性セラミック等の焼結材であり、具体的には、アルミナを主材料とする。基体31は耐熱性材料から構成されることが好ましい。
ベース部材30は、第1主面32aに設けられた電極パッド33a,33bと、第2主面32bに設けられた外部電極35a,35b,35c,35dと、を含む。電極パッド33a,33bは、水晶振動素子10と電気的に接続するための端子である。また、外部電極35a,35b,35c,35dは、図示しない回路基板と電気的に接続するための端子である。電極パッド33aは、Y’軸方向に延在するビア電極34aを介して外部電極35aに電気的に接続され、電極パッド33bは、Y’軸方向に延在するビア電極34bを介して外部電極35bに電気的に接続されている。ビア電極34a,34bは基体31をY’軸方向に貫通するビアホール内に形成される。電極パッド33aは、導電性保持部材36aを介して水晶振動素子10の接続電極16aが接続されている。また、電極パッド33bは、導電性保持部材36bを介して水晶振動素子10の接続電極16bが接続されている。
基体31の第1主面32aには、封止枠37が設けられている。封止枠37は、ベース部材30の第1主面32aを平面視したときに、枠形状を有している。封止枠37の内側には電極パッド33a,33bがそれぞれ配置されており、水晶振動素子10を囲むように設けられている。
ベース部材30の電極パッド33a,33b、外部電極35a〜35d、及び封止枠37は、いずれも金属膜から構成されている。例えば、電極パッド33a,33b、外部電極35a〜35d、及び封止枠37は、それぞれ、下層から上層にかけて、モリブデン(Mo)層、ニッケル(Ni)層及び金(Au)層が積層されて構成されている。また、ビア電極34a,34bは、基体31のビアホール内にモリブデン(Mo)等の金属材料を充填して形成することができる。
蓋部材20及びベース部材30の両者が接合材40を介して接合されることによって、水晶振動素子10は、蓋部材20とベース部材30とによって囲まれた内部空間26に封止される。この場合、内部空間26の圧力は、大気圧よりも低圧な真空状態であることが好ましい。これにより、第1励振電極14a,第2励振電極14bの酸化による経時変化等を低減できる。
接合材40は、蓋部材20及びベース部材30の各全周に亘って設けられている。具体的には、接合材40は、封止枠37の上に設けられている。封止枠37及び接合材40が、蓋部材20の側壁部22の対向面23と、ベース部材30の第1主面32aとの間に介在することによって、水晶振動素子10が蓋部材20及びベース部材30に封止される。
接合材40は、金属材料から構成されている。接合材40は、複数の金属によって構成される合金、例えば、金(Au)−錫(Sn)共晶合金から構成されている。
本構成例の水晶振動子1においては、ベース部材30の外部電極35a,35bを介して、水晶振動素子10における一組の第1励振電極14a及び第2励振電極14bの間に交番電界が印加される。これにより、厚みすべり振動モード等の所定の振動モードによって水晶片11の振動部が振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
次に、図3を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法において用いられる製造装置100について説明する。図3は、第1実施形態に係る水晶振動子1の製造装置100の構成を概略的に示す構成図である。
図3に示すように、製造装置100は、トレイ110と、封止装置120と、を備える。トレイ110は平坦な板形状を有している。トレイ110は、蓋部材20及びベース部材30より熱膨張係数が大きい金属、例えばチタン(Ti)、ステンレスから構成されている。例えば、ベース部材30がアルミナである場合、その熱膨張率は7ppm/℃程度であるのに対し、チタン(Ti)及びステンレスの熱膨張率は8ppm/℃から17ppm/℃程度である。チタン製のトレイ110とアルミナを主体とするベース材料30との熱膨張率の差は、約1ppm/℃である。
トレイ110は、一方の主面(図3において上面)に、複数の凹部110aが形成されている。各凹部110aは、開口を含む箱形状を有している。各凹部110aは、例えば、底面と4つの側面(以下「側壁」ともいう)を有する直方体の形状を有する。また、各凹部110aは、前述した水晶振動子1がスムーズに挿入されるように、水晶振動子1の寸法に対して0.005mm以上から0.05mm以下程度の隙間(クリアランス)を持った寸法に形成されている。また、トレイ110には、他方の主面(図3において下面)に、複数の貫通孔110bが形成されている。各貫通孔110bは、トレイ110の他方の面から各凹部110aの底面まで貫通している。
封止装置120は、内部にチャンバ121を備える。チャンバ121は、例えば負圧源によって、その内部の空間が大気圧より減圧された圧力になるように構成されている。チャンバ121内には、第1加熱プレート122と、第2加熱プレート124と、複数の取り出しピン130とが設けられている。なお、第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124は本発明の「加熱部」の一例に相当し、複数の取り出しピン130は本発明の「取り出し部」の一例に相当する。
第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124は、チャンバ121内に公知の搬送装置(図示しない)によって投入されたトレイ110を加熱するように構成されている。具体的には、第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124は、Z軸方向にトレイ110を挟持してトレイ110に接触するように構成されている。第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124は、それぞれ、例えばヒータ、熱風源、赤外放射源、誘導加熱装置等の熱源を含んで構成される。
所定温度以上に加熱された第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124がトレイ110に接触することで、接触面からの熱伝導によってトレイ110が加熱される。また、このトレイ110と、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一部とが接触することで、熱伝導によって蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40も加熱される。なお、蓋部材20はベース部材30に比べ、熱伝導率が高い。
所定温度以上に加熱された第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124がトレイ110に接触することで、接触面からの熱伝導によってトレイ110が加熱される。また、このトレイ110と、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一部とが接触することで、熱伝導によって蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40も加熱される。なお、蓋部材20はベース部材30に比べ、熱伝導率が高い。
第1加熱プレート122は、その内部に複数の加圧ピン123を含んでいる。各加圧ピン123は、棒状の形状を有している。各加圧ピン123は、蓋部材20がベース部材30を押圧するように、トレイ110の凹部110aに挿入された蓋部材20及びベース部材30を加圧する。各加圧ピン123は、アクチュエータ等の駆動源が制御器によって所定の動作で駆動され、詳細にはトレイ110が第1加熱プレート122の下方の所定の位置に配置されたときに、第1加熱プレート122から突出するように駆動される。
各取り出しピン130は、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の各凹部110aから出すように構成されている。各取り出しピン130は、棒状の形状を有している。各取り出しピン130は、アクチュエータ等の駆動源が制御器によって所定の動作で駆動され、トレイ110が取り出しピン130の上方の所定の位置に配置されたときに、トレイ110の各貫通孔110bを通って凹部110aの底面から突出するように駆動される。
次に、図4から図10を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る電子部品の製造方法について説明する。図4は、第1実施形態に係る水晶振動子1の製造方法を示すフローチャートである。図5及び図6は、図4に示した挿入する工程S301を示す断面図である。図7は、図4に示した加熱する工程S302を示す断面図である。図8は、図4に示した加圧する工程S303を示す断面図である。図9及び図10は、図4に示した取り出す工程S304を示す断面図である。なお、図5から図10では、便宜上、製造方法によって製造される複数の水晶振動子1のうち1つの水晶振動子1を示して説明する。
図4に示すように、蓋部材20、ベース部材30、及び、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40を、トレイ110の凹部110aに挿入する(S301)。具体的には、図5に示すように、まず、蓋部材20の開口が上を向いた状態で、トレイ110の凹部110aに挿入する。このとき、蓋部材20の側壁部22の対向面23には、全周にわたって接合材40が設けられている。次いで、図6に示すように、水晶振動素子10を保持する第1主面32aを下にむけた状態でベース部材30をトレイ110の凹部110aに挿入する。このとき、ベース部材30は、第1主面32aの封止枠37が蓋部材20に設けられた接合材40の位置に合うように、挿入される。
図4に戻り、次に、接合材40の融点以上の温度でトレイ110を加熱する(S302)。具体的には、凹部110aに水晶振動子1が挿入されたトレイ110を、図3に示した封止装置120のチャンバ121内に投入する。トレイ110を投入後、チャンバ121内は、大気圧より低い気圧に減圧される。次いで、図7に示すように、第1加熱プレート122をトレイ110の上面に接触させるとともに、第2加熱プレート124をトレイ110の下面に接触させ、トレイ110を所定の温度と時間で加熱する。トレイ110との接触前に、あらかじめ接合材40の融点以上の所定の温度に、第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124をそれぞれ加熱しておく。例えば、接合材40が金(Au)−錫(Sn)共晶合金である場合、その融点の約280℃に対し、第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124を300℃程度まで加熱する。これにより、トレイ110の凹部110aに接触する蓋部材20及びベース部材30が先に加熱され、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40の溶融を遅らせることができる。トレイ110を温度制御は、温度検知器を取り付けたトレイ110を用意しておく、次に加熱温度、加熱時間、トレイ110の温度を測定することにより、トレイ110の所定の温度プロファイルを得る。温度プロファイルを得た後には、温度検知器が取り付けられないトレイ110を用いてもよい。なお、温度検知器として非接触のサーモグラフィーを用いることもできる。
図4に戻り、次に、トレイ110を加熱したまま、蓋部材20がベース部材30を押圧するように蓋部材20及びベース部材30を加圧する(S303)。具体的には、図8に示すように、加圧ピン123を第1加熱プレート122から突出させてベース部材30に接触させ、図8に示す矢印の方向にベース部材30に圧力を加える。このとき、ベース部材30は凹部110aの底面から逆方向の圧力が加わるので、蓋部材20及びベース部材30は、圧縮されるように加圧される。また、第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124と同様に、ベース部材30との接触前にあらかじめ接合材40の融点以上の温度に加圧ピン123を加熱しておく。これにより、加圧ピン123によってベース部材30が先に加熱され、接合材40が接合面に濡れ易くなる。
また、熱膨張係数の大きいトレイ110を加熱することで、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と、凹部110aとの隙間は大きくなっている。
前述したように、加熱する工程S302は、チャンバ121内、つまり、大気より減圧された空間内で行われる。これにより、これにより、対流による熱移動を低減させることができ、温度制御が容易になる。また、蓋部材20及びベース部材30によって形成される内部空間26の真空封止が容易になる。さらに、接合材40による蓋部材20とベース部材30との接合部分の酸化を抑制することができる。
本実施形態では、加熱する工程S302を先に行い、次に加圧する工程S303を行う例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、加圧する工程を先に行い、蓋部材20及びベース部材30を圧縮するように加圧したまま、加熱する工程を行ってもよいし、加圧する工程及び加圧する工程を同時に行ってもよい。
図4に戻り、次に、トレイ110が所定温度である間に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の凹部110aから取り出す(S304)。具体的には、まず、図9に示すように、トレイ110に接触していた第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124を取り除き、加熱及び加圧を停止する。次いで、図10に示すように、トレイ110の温度が接合材40の融点より100℃低い温度以上、かつ、接合材40の融点以下の温度範囲内に、貫通孔110bを通って蓋部材20に接触するよう取り出しピン130を突出させる。なお、接合材40の融点より100℃低い温度以上、かつ、接合材40の融点より10℃低い温度以下の温度範囲内がより好ましい。そして、取り出しピン130が図10に示す矢印の方向に移動して蓋部材20に圧力を加える。これにより、トレイ110の凹部110aから蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を取り出しピン130により押し出す。具体的には、接合材40が金(Au)−錫(Sn)共晶合金で、その融点が約280℃である場合、トレイ110の温度が200℃程度のときに、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の凹部110aから取り出す。
ここで、図9に示すように加熱及び加圧を停止した後、自然冷却による収縮によって、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間は狭まり始める。しかしながら、トレイ110の温度が接合材40の融点の近傍にある間は、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間は、トレイの温度が室温程度に冷却された状態の隙間と比較して大きいので、相対的に小さい力で凹部110aから蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を取り出すことができる。従って、トレイ110の凹部110aから、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を備える水晶振動子1を容易に取り出すことができるとともに、水晶振動子1と凹部110aとの噛み込み等によって水晶振動子1及びトレイ110に与える損傷を低減することができる。
本実施形態では、図10において、取り出しピン130によってトレイ110の凹部110aから水晶振動子1を押し出す例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、トレイ110の一方の主面(図10の上面)と他方の主面(図10の下面)とを反転させ、重力によって水晶振動子1をトレイ110の凹部110aから取り出すようにしてもよいし、吸引によって水晶振動子1をトレイ110の凹部110aから取り出すようにしてもよい。
図4に戻り、次に、接合材40を固化させる(S305)。具体的には、封止装置120のチャンバ121内で、凹部110aから取り出した蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と、トレイ110とを室温程度まで冷却する。これにより、接合材40が固化されて蓋部材20とベース部材30とを接合する。
このようにして、前述した水晶振動子1が製造される。その後、水晶振動子1及びトレイ110は、それぞれ、封止装置120から取り出される。
<第2実施形態>
次に、図11から図15を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る水晶振動子について説明する。なお、第1実施形態と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
次に、図11から図15を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る水晶振動子について説明する。なお、第1実施形態と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
まず、図11を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る電子部品の製造方法において用いられる製造装置101について説明する。図11は、第2実施形態に係る水晶振動子1の製造装置101の構成を概略的に示す構成図である。
図11に示すように、本発明の第2実施形態に係る水晶振動子1の製造装置101は、第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126と、再加熱プレート140とを備える点で、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子1の製造装置100と相違している。また、複数の取り出しピン130が封止装置120の外に配置される点においても、本発明の第1実施形態に係る水晶振動子1の製造装置100と相違している。
具体的には、封止装置120のチャンバ121内に、第1冷却プレート125と、第2冷却プレート126と、が設けられている。なお、第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126は、本発明の「冷却部」の一例に相当する。
第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126は、チャンバ121内に投入されたトレイ110を冷却するように構成されている。具体的には、第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126は、Z軸方向にトレイ110を挟持してトレイ110に接触するように構成されている。第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126は、それぞれ、例えば水等の流体が流れるパイプ等を含んで構成される。所定温度以下に冷却された第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126がトレイ110に接触することで、接触面からの熱伝導によってトレイ110が冷却される。また、このトレイ110の凹部110aと、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一部とが接触することで、熱伝導によって蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40が冷却される。
再加熱プレート140は、封止装置120の外、例えば大気圧で、トレイ110を加熱するように構成されている。具体的には、再加熱プレート140は、Z軸方向にトレイ110を支持してトレイ110に接触するように構成されている。再加熱プレート140は、例えばヒータ、熱風源、赤外放射源、誘導加熱装置等の熱源を含んで構成される。所定温度以上に加熱された再加熱プレート140がトレイ110に接触することで、接触面からの熱伝導によってトレイ110が加熱される。また、このトレイ110の凹部110aと、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一部とが接触することで、熱伝導によって蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40が加熱される。
また、再加熱プレート140には、複数の貫通孔140aが形成されている。各貫通孔140aは、再加熱プレート140の一方の面(図11における上面)からから他方の面(図11における下面)まで貫通している。
各取り出しピン130は、再加熱プレート140に対して、Z軸方向の負側に配置されている。各取り出しピン130は、再加熱プレート140がトレイ110に接触しているときに、再加熱プレート140の各貫通孔140aを通って再加熱プレート140の上面から突出するように、制御される。
次に、図12から図15を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る電子部品の製造方法について説明する。図12は、第2実施形態に係る水晶振動子1の製造方法を示すフローチャートである。図13は、図12に示した固化させる工程S311を示す断面図である。図14は、図12に示した加熱する工程S312を示す断面図である。図15は、図12に示した取り出す工程S313を示す断面図である。なお、図13から図15では、便宜上、製造方法によって製造される複数の水晶振動子1のうち1つの水晶振動子1を示して説明する。
図12に示すように、加熱する工程S302及び加圧する工程S303の後、接合材40を固化させる(S311)。具体的には、まず、前述した第1実施形態の図9に示したように、トレイ110に接触していた第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124を取り除き、加熱及び加圧を停止する。次いで、図13に示すように、接合材40が溶融した状態で、第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126をトレイ110に接触させて冷却する。トレイ110は、封止装置120のチャンバ121内で室温程度まで冷却される。このとき、室温程度まで冷却されたトレイ110の凹部110a内の接合材40も冷却されて固化している。これにより、接合材40によって、蓋部材20とベース部材とが接合される。
このように、接合材40が溶融した状態でトレイ110を冷却することにより、凹部110aを形成する側壁が収縮し、凹部110aと蓋部材20及びベース部材30との隙間は小さくなる。一方、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40が溶融した状態において、蓋部材20及びベース部材30は、力が加わることによって相対的に移動可能となっている。よって、加熱及び加圧によって蓋部材20とベース部材30との位置がずれていた場合に、収縮する凹部110aの側壁から押されることで、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一方が移動し、位置ずれを低減することができる。
また、第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126をトレイ110に接触させて冷却することにより、凹部110aに接触する蓋部材20及びベース部材30が先に冷却され、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40の固化を遅らせることができる。
前述したように、固化させる工程S311は、封止装置120のチャンバ121内、つまり、大気より減圧された空間内で行われる。これにより、対流による熱移動を低減させることができ、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を選択的に冷却することが可能となる。また、蓋部材20及びベース部材30によって形成される内部空間26の真空度を維持し易くなる。
本実施形態では、固化させる工程S311を大気より減圧された空間内で行う例を示したが、これに限定されるものではない。固化させる工程S311は、例えば、チャンバ121内の減圧を解除してから行ってよいし、第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126を封止装置120の外部に配置してチャンバ121外で行ってもよい。この場合、固化させる工程S311をチャンバ121内の空間の圧力より高い圧力で行うことにより、大気より減圧された空間の内外の気圧差によって、蓋部材20とベース部材との位置決め状態を維持することができる。
図12に戻り、次に、接合材40の融点以下の温度でトレイ110を加熱する(S312)。具体的には、トレイ110を封止装置120から取り出した後、図14に示すように、再加熱プレート140をトレイ110の下面に接触させ、トレイ110を加熱する。トレイ110との接触前に、あらかじめ接合材40の融点以下の温度に再加熱プレート140を加熱しておく。例えば、接合材40が金(Au)−錫(Sn)共晶合金である場合、その融点の約280℃以下の温度まで再加熱プレート140を加熱する。これにより、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の凹部110aから出す前に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間を拡大させることができる。
なお、接合材40は、加熱する工程S302及び加圧する工程S302によって溶融した後、固化させる工程S311によって固化しているので、その組織は粗大化しており、融点が上昇している。よって、再加熱プレート140による加熱によって、接合材40が当初の融点程度の温度になっても、この接合材40は溶融しない。よって、接合材40の融点以下の温度に加熱された再加熱プレート140をトレイ110に接触させてトレイ110を加熱することにより、トレイ110の凹部110aに接触する蓋部材20及びベース部材30が加熱される一方、組織の粗大化した接合材40の溶融を防止することができる。
より好ましくは、接合材40の融点より100℃低い温度以上、かつ、接合材40の融点以下の温度で、トレイ110を加熱することが好ましい。この場合、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間を、適切な範囲に拡大させることができる。
図12に戻り、次に、トレイ110が所定温度である間に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の凹部110aから取り出す(S313)。具体的には、トレイ110の温度が接合材40の融点より100℃低い温度以上、かつ、接合材40の融点以下、より好ましくは接合材40の融点より100℃低い温度以上、かつ、接合材40の融点より10℃低い温度以下である間に、図15に示すように、貫通孔140a及び貫通孔110bを通って蓋部材20に接触するように、取り出しピン130を突出させる。そして、取り出しピン130が図15に示す矢印の方向に蓋部材20に圧力を加えることで、トレイ110の凹部110aから蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を押し出す。例えば、接合材40が金(Au)−錫(Sn)共晶合金である場合、その融点の約280℃に対し、トレイ110の温度が200℃程度のときに、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の凹部110aから取り出す。
この方法において、前述した水晶振動子1を製造することができる。
(変形例)
次に、図16を参照しつつ、水晶振動子1の変形例について説明する。なお、図1及び図2に示した水晶振動子1と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付し、その説明を適宜省略する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
次に、図16を参照しつつ、水晶振動子1の変形例について説明する。なお、図1及び図2に示した水晶振動子1と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付し、その説明を適宜省略する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
図16は、図1及び図2に示した水晶振動子1の変形例の構成を概略的に示す断面図である。図16は、図2と同一断面視の図である。
図16に示すように、水晶振動子201は、蓋部材220が平坦な板状の部材であり、ベース部材230が開口を含む箱形状を有する点で、図1及び図2に示した水晶振動子1と相違する。
ベース部材230は、蓋部材220側に、内底面238a、対向面238b、及び内側面238cを有する。内底面238a及び対向面238bは、蓋部材220の第1主面222aに対向している。内底面238aは、蓋部材220側の中央部に位置する。内底面238aには、水晶振動素子210が搭載されている。内側面238cは、内底面238a及び対向面238bを繋ぐ面である。対向面238bは、内底面238aを平面視したときに内底面238aの外側に位置し、枠形状を有している。対向面238bの上には、全周に亘って封止枠237が設けられている。
蓋部材220は、互いに対向する第1主面222a及び第2主面222bを有する。第2主面222bの外周部に、全周に亘って接合材240が設けられている。封止枠237及び接合材240によって、ベース部材230及び蓋部材220が接合され、内部空間226が封止される。内部空間226には、水晶振動素子210が収容される。
以上のような水晶振動子201を製造する場合に、前述した実施形態に係る製造方法を利用することで、トレイ110の凹部110aから、蓋部材220、ベース部材230、及び接合材240を備える水晶振動子201を容易に取り出すことができる。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造方法では、蓋部材20とベース部材30と蓋部材20とベース部材30とを接合する接合材40とを備える水晶振動子1の製造方法であって、蓋部材20及びベース部材30よりも熱膨張係数の大きいトレイ110の凹部110aに、蓋部材20、ベース部材30、及び、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40を挿入する工程と、蓋部材20がベース部材30を押圧するように蓋部材20及びベース部材30を加圧するとともに、接合材40の融点以上の温度でトレイ110を加熱する工程と、トレイ110の温度が接合材40の融点より100℃低い温度以上かつ接合材40の融点以下である間に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を凹部110aから取り出す工程と、を含む。ここで、図9に示すように加熱及び加圧を停止した後、自然冷却による収縮によって、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間は狭まり始める。しかしながら、トレイ110の温度が接合材40の融点の近傍にある間は、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間は、トレイの温度が室温程度に冷却された状態の隙間と比較して大きいので、相対的に小さい力で凹部110aから蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を取り出すことができる。従って、トレイ110の凹部110aから、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を備える水晶振動子1を容易に取り出すことができるとともに、水晶振動子1と凹部110aとの噛み込み等によって水晶振動子1及びトレイ110に与える損傷を低減することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱する工程は、接合材40の融点以上の温度に加熱された第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124をトレイ110に接触させてトレイ110を加熱することを含む。これにより、トレイ110の凹部110aに接触する蓋部材20及びベース部材30が先に加熱され、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40の溶融を遅らせることができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱する工程は、接合材40の融点以上の温度に加熱された加圧ピン123によって、蓋部材20がベース部材30を押圧するように蓋部材20及びベース部材30を加圧する工程を含む。これにより、加圧ピン123によってベース部材30が接合材40より先に加熱され、接合材40が接合面に濡れやすくなる。その結果、接合材40と接合面との接合強度が高くなる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱する工程は、大気圧より減圧された空間内で行われる。これにより、対流による熱移動を低減させることができ、温度制御が容易になる。また、蓋部材20及びベース部材30によって形成される内部空間26の真空封止が容易になる。さらに、接合材40による蓋部材20とベース部材30との接合部分の酸化を抑制することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱する工程と取り出す工程との間に、接合材40を固化させる工程をさらに含み、固化させる工程は、接合材40が溶融した状態でトレイ110を冷却することを含む。これにより、凹部110aを形成する側壁が収縮し、凹部110aと蓋部材20及びベース部材30との隙間は小さくなる。一方、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40が溶融した状態において、蓋部材20及びベース部材30は、力が加わることによって相対的に移動可能となっている。よって、加熱及び加圧によって蓋部材20とベース部材30との位置がずれていた場合に、収縮する凹部110aの側壁から押されることで、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一方が移動し、位置ずれを低減することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、固化させる工程は、前述した空間の圧力より高い圧力で行わる。これにより、大気より減圧された空間の内外の気圧差によって、蓋部材20とベース部材との位置決め状態を維持することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱する工程と取り出す工程との間に、接合材40を固化させる工程をさらに含み、固化させる工程は、接合材40が溶融した状態でトレイ110を冷却することを含む。これにより、凹部110aを形成する側壁が収縮し、凹部110aと蓋部材20及びベース部材30との隙間は小さくなる。一方、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40が溶融した状態において、蓋部材20及びベース部材30は、力が加わることによって相対的に移動可能となっている。よって、加熱する工程S302及び加圧する工程S303において蓋部材20とベース部材30との位置がずれていた場合に、収縮する凹部110aの側壁から押されることで、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一方が移動して位置ずれを低減することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、冷却することは、大気圧より減圧された空間内で行われる。これにより、対流による熱移動を低減させることができ、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を選択的に冷却することが可能となる。また、蓋部材20及びベース部材30によって形成される内部空間26の真空度を維持し易くなる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、冷却することは、接合材40が溶融した状態で第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126をトレイ110に接触させて前記トレイを冷却することを含む。これにより、凹部110aに接触する蓋部材20及びベース部材30が先に冷却され、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40の固化を遅らせることができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、取り出す工程は、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を凹部110aから取り出す前に、接合材40の融点以下の温度でトレイ110を加熱することを含む。これにより、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40をトレイ110の凹部110aから出す前に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間を拡大させることができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱することは、接合材40の融点以下の温度に加熱された再加熱プレート140をトレイ110に接触させてトレイ110を加熱することを含む。これにより、トレイ110の凹部110aに接触する蓋部材20及びベース部材30が加熱される一方、組織の粗大化した接合材40の溶融を防止することができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、加熱することは、接合材40の融点より100℃低い温度以上かつ接合材40の融点以下の温度でトレイ110を加熱することを含む。これにより、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間を、適切な範囲に拡大させることができる。
また、前述した水晶振動素子の製造方法において、ベース部材30とトレイ110との熱膨張係数の差が、1ppm/℃以上である。これにより、トレイ110を加熱したときに、ベース部材30と凹部110aとの隙間を大きくすることができる。
また、本発明の実施形態に係る水晶振動子の製造装置では、蓋部材20とベース部材30と蓋部材20とベース部材30とを接合する接合材40とを備える水晶振動子1の製造装置100,101であって、蓋部材20、ベース部材30、及び、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40が挿入される凹部110aを含み、蓋部材20及びベース部材30よりも熱膨張係数の大きいトレイ110と、凹部110aに挿入された蓋部材20がベース部材30を押圧するように蓋部材20及びベース部材30を加圧するとともに、接合材40の融点以上の温度でトレイ110を加熱する第1加熱プレート122及び第2加熱プレート124と、トレイ110の温度が接合材40の融点より100℃低い温度以上かつ接合材40の融点以下である間に、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を凹部110aから取り出す取り出しピン130と、を備える。ここで、図9に示すように加熱及び加圧を停止した後、自然冷却による収縮によって、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間は狭まり始める。しかしながら、トレイ110の温度が接合材40の融点の近傍にある間は、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40と凹部110aとの隙間は、トレイの温度が室温程度に冷却された状態の隙間と比較して大きいので、相対的に小さい力で凹部110aから蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を取り出すことができる。従って、トレイ110の凹部110aから、蓋部材20、ベース部材30、及び接合材40を備える水晶振動子1を容易に取り出すことができるとともに、水晶振動子1と凹部110aとの噛み込み等によって水晶振動子1及びトレイ110に与える損傷を低減することができる。
また、前述した水晶振動子の製造装置において、凹部110aに挿入された溶融した状態の接合材40を冷却して固化させる第1冷却プレート125及び第2冷却プレート126をさらに備える。これにより、凹部110aを形成する側壁が収縮し、凹部110aと蓋部材20及びベース部材30との隙間は小さくなる。一方、蓋部材20とベース部材30との間に配置される接合材40が溶融した状態において、蓋部材20及びベース部材30は、力が加わることによって相対的に移動可能となっている。よって、加熱及び加圧によって蓋部材20とベース部材30との位置がずれていた場合に、収縮する凹部110aの側壁から押されることで、蓋部材20及びベース部材30の少なくとも一方が移動し、位置ずれを低減することができる。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1…水晶振動子、10…水晶振動素子、20…蓋部材、30…ベース部材、40…接合材、100,101…製造装置、110…トレイ、110a…凹部、110b…貫通孔、120…封止装置、121…チャンバ、122…第1加熱プレート、123…加圧ピン、124…第2加熱プレート、125…第1冷却プレート、126…第2冷却プレート、130…取り出しピン、140…再加熱プレート、140a…貫通孔、201…水晶振動子、210…水晶振動素子、220…蓋部材、230…ベース部材、240…接合材
Claims (15)
- 蓋部材とベース部材と前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合材とを備える電子部品の製造方法であって、
前記蓋部材及び前記ベース部材よりも熱膨張係数の大きいトレイの凹部に、前記蓋部材、前記ベース部材、及び、前記蓋部材と前記ベース部材との間に配置される前記接合材を挿入する工程と、
前記蓋部材が前記ベース部材を押圧するように前記蓋部材及び前記ベース部材を加圧するとともに、前記接合材の融点以上の温度で前記トレイを加熱する工程と、
前記トレイの温度が前記接合材の融点より100℃低い温度以上かつ前記接合材の融点以下である間に、前記蓋部材、前記ベース部材、及び前記接合材を前記凹部から取り出す工程と、を含む、
電子部品の製造方法。 - 前記加熱する工程は、前記接合材の融点以上の温度に加熱された加熱プレートを前記トレイに接触させて前記トレイを加熱することを含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。 - 前記加熱する工程は、前記接合材の融点以上の温度に加熱された加圧ピンによって、前記蓋部材が前記ベース部材を押圧するように前記蓋部材及び前記ベース部材を加圧することを含む、
請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。 - 前記加熱する工程は、大気圧より減圧された空間内で行われる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。 - 前記加熱する工程と前記取り出す工程との間に、前記接合材を固化させる工程をさらに含み、
前記固化させる工程は、前記接合材が溶融した状態で前記トレイを冷却することを含む、
請求項4に記載の電子部品の製造方法。 - 前記固化させる工程は、前記空間の圧力より高い圧力で行わる、
請求項5に記載の電子部品の製造方法。 - 前記加熱する工程と前記取り出す工程との間に、前記接合材を固化させる工程をさらに含み、
前記固化させる工程は、前記接合材が溶融した状態で前記トレイを前記接合材の融点未満に冷却することを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。 - 前記冷却することは、大気圧より減圧された空間内で行われる、
請求項7に記載の電子部品の製造方法。 - 前記冷却することは、前記接合材が溶融した状態で冷却プレートを前記トレイに接触させて前記トレイを冷却することを含む、
請求項7又は8に記載の電子部品の製造方法。 - 前記取り出す工程は、前記蓋部材、前記ベース部材、及び前記接合材を前記凹部から取り出す前に、前記接合材の融点以下の温度で前記トレイを加熱することを含む、
請求項7から9のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。 - 前記加熱することは、前記接合材の融点以下の温度に加熱された再加熱プレートを前記トレイに接触させて前記トレイを加熱することを含む、
請求項10に記載の電子部品の製造方法。 - 前記加熱することは、前記接合材の融点より100℃低い温度以上かつ前記接合材の融点以下の温度で前記トレイを加熱することを含む、
請求項10又は11に記載の電子部品の製造方法。 - 前記蓋部材と前記トレイとの熱膨張係数の差が、1ppm/℃以上である、
請求項1から12のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。 - 蓋部材とベース部材と前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合材とを備える電子部品の製造装置であって、
前記蓋部材、前記ベース部材、及び、前記蓋部材と前記ベース部材との間に配置される前記接合材が挿入される凹部を含み、前記蓋部材及び前記ベース部材よりも熱膨張係数の大きいトレイと、
前記凹部に挿入された前記蓋部材が前記ベース部材を押圧するように前記蓋部材及び前記ベース部材を加圧するとともに、前記接合材の融点以上の温度で前記トレイを加熱する加熱部と、
前記トレイの温度が前記接合材の融点より100℃低い温度以上かつ前記接合材の融点以下である間に、前記蓋部材、前記ベース部材、及び前記接合材を前記凹部から取り出す取り出し部と、を備える、
電子部品の製造装置。 - 前記凹部に挿入された溶融した状態の前記接合材を冷却して固化させる冷却部をさらに備える、
請求項14に記載の電子部品の製造装置。
Priority Applications (1)
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