図1は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す平面図である。同図では、鉛直方向に平行なZ方向、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を示す。この部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板B(部品実装基板B)をコンベア12により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。ヘッド支持部材23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がヘッド支持部材23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部25がX方向に並んでおり、各部品供給部25に対してはフィーダー取付台車4が着脱可能に取り付けられている。このフィーダー取付台車4には、X方向に並ぶ複数のテープフィーダー5と、X方向に並ぶ複数のリールホルダー6とが着脱可能に装着されており、1個のテープフィーダー5と1個のリールホルダー6とが互いに対応付けられてY方向に並ぶ。
各リールホルダー6に保持される部品供給リール7は、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品(チップ電子部品)を所定間隔おきに収納した部品供給テープTPを有する。この部品供給テープTPは、等ピッチで一列に配列された複数のポケットのそれぞれに部品を収納するキャリアテープと、キャリアテープに貼り付けられて部品をポケット内の部品を覆うカバーテープとを有する。キャリアテープTPの一辺側には、その縁に沿って一定間隔で配列された複数の係合孔が貫通している。後述するように、各テープフィーダー5に対しては2本のキャリアテープTPを取付可能であり、これに対応して、各リールホルダー6はY方向に並ぶ2個の部品供給リール7を保持する。そして、各テープフィーダー5は、Y方向に隣り合うリールホルダー6内の部品供給リール7から引き出したキャリアテープTPをヘッドユニット3側に間欠的に送り出すことで、キャリアテープTP内の部品を所定の部品供給位置50に供給する(部品供給動作)。
ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド31を有する。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられたノズルによって部品を吸着・保持することができる。つまり、実装ヘッド31はテープフィーダー5の上方へ移動して、テープフィーダー5により供給された部品を吸着する。続いて、実装ヘッド31は作業位置の基板Bの上方に移動して部品の吸着を解除することで、基板Bに部品を実装する。こうして、実装ヘッド31は、テープフィーダー5により部品供給位置50に供給された部品をキャリアテープTPから取り出して基板Bに実装する部品実装を実行する。
図2はテープフィーダーの構成および動作の一例を模式的に示す側面図である。同図および以下の図面では、テープフィーダー5がキャリアテープTPを送り出す順フィード方向Df(Y方向に平行)を適宜示すとともに、順フィード方向Dfの矢印側を順フィード方向Dfの「前」と、順フィード方向Dfの矢印の反対側を順フィード方向Dfの「後ろ」と取り扱う。さらに、順フィード方向Dfの反対を向く逆フィード方向Dbを適宜示す。また、テープフィーダー5に取付可能な2本のキャリアテープTPを区別するために、同図および以下の図では、キャリアテープに対して異なる符号TP1、TP2を適宜用いる。
テープフィーダー5は、機械的構成であるフィーダー本体51と、フィーダー本体51を駆動するフィードモーターMf、Mbとを備える。フィーダー本体51は、X方向に薄くて順フィード方向Dfに長尺な偏平形状のケース52を有する。ケース52の順フィード方向Dfの後端では、Z方向に延設されたテープ挿入口53a(破線で示す)が開口し、ケース52の順フィード方向Dfの前方の上面に上述の部品供給位置50が設けられている。フィーダー本体51内ではテープ挿入口53aから部品供給位置50へ至るテープ搬送路53bが設けられている。このフィーダー本体51は、テープ挿入口53aからテープ搬送路53bに挿入されたキャリアテープTPを、フィードモーターMf、Mbの駆動力を受けて順フィード方向Dfに送り出すことで、部品供給位置50に部品を供給する。
具体的には、フィーダー本体51は、テープ搬送路53bの上方でテープ挿入口53aに隣接して配置されたスプロケット54と、フィードモーターMbの駆動力をスプロケット54に伝達するギヤ55とをケース52内に有し、スプロケット54はフィードモーターMbが発生する駆動力を受けて回転する。さらに、フィーダー本体51は、ケース52に対して着脱可能に取り付けられたテープ支持部材56を有する。このテープ支持部材56はスプロケット54に下方から対向し、スプロケット54との間にキャリアテープTPを挟むことで、キャリアテープTPをスプロケット54に係合させる。これによって、スプロケット54はキャリアテープTPに係合しつつ回転することで、キャリアテープTPを順フィード方向Dfに送り出すことができる。また、フィーダー本体51は、その前端部分に配置されて下方からテープ搬送路53bに隣接するスプロケット57と、フィードモーターMfの駆動力をスプロケット57に伝達するギヤ58とをケース52内に有し、スプロケット57はフィードモーターMfが発生する駆動力を受けて回転する。したがって、スプロケット57は、キャリアテープTPに係合しつつ間欠的に回転することで、キャリアテープTPを順フィード方向Dfに間欠的に搬送することができる。
また、フィーダー本体51は、部品供給位置50の順フィード方向Dfの上流側で部品供給テープTPに接触するカッターを有する。このカッターは、順フィード方向Dfに間欠搬送される部品供給テープTPのカバーテープを中央で切り裂いて両側に捲くることで、部品供給位置50に供給された部品を露出させる。このように部品を露出するための構成は、例えば特開2015−053320号公報に記載のそれと同様である。
ステップS11は、実装ヘッド31による部品実装にテープフィーダー5が使用されている状態に対応する。つまり、フィーダー本体51には、テープ搬送路53bに沿ってキャリアテープTP1が挿入されており、スプロケット57はキャリアテープTP1を順フィード方向Dfへ間欠搬送することで、基板Bに実装される部品を部品供給位置50に供給する。また、ステップS11では、キャリアテープTP1の次に部品実装に使用されるキャリアテープTP2の先端が、スプロケット54とテープ支持部材56との間に取り付けられている。こうして、次に使用されるキャリアテープTP2がフィーダー本体51の後端部分で待機する。
ステップS12に示すように、キャリアテープTP1内の部品が使い切られて、テープフィーダー5がキャリアテープTP1を順フィード方向Dfに排出すると、ステップS13に示すローディングが実行される。具体的には、スプロケット54が回転を開始してキャリアテープTP2を部品供給位置50へ向けて順フィード方向Dfに送り出し、キャリアテープTP2の先端をスプロケット57に係合させる。続いて、ステップS14において、オペレーターがテープ支持部材56をケース52から取り外す作業を実行すると、キャリアテープTP2がスプロケット54から外れてテープ搬送路53bに落下する。これによって、スプロケット57はキャリアテープTP2を順フィード方向Dfへ間欠搬送して、キャリアテープTP2内の部品を部品供給位置50に供給することができる。ちなみに、オペレーターはステップS14の後、テープ支持部材56を再びケース52に取り付けることで、キャリアテープTP2の次に部品実装に使用されるキャリアテープTPをスプロケット54とテープ支持部材56との間に取り付けて待機させることができる。
このようなテープフィーダー5を用いた部品実装機1では、使用中のキャリアテープTPはテープ搬送路53bに沿ってフィーダー本体51に挿入される一方、次に使用されるキャリアテープTPは、テープ搬送路53bの上方で待機する。そして、キャリアテープTPが使い切られる度にステップS12〜S14を行うことで、待機していたキャリアテープTPをテープ搬送路53bに沿ってフィーダー本体51に挿入して(ローディング)、次に使用することができる。
図3は部品供給リールとこれを保持するリールホルダーの一例を模式的に示す図である。図3では、リールホルダー6を透かして、部品供給リール7等を示している。部品供給リール7は、軸心71と、軸心71を両側から挟む2枚の側板72とを有し、軸心71に巻き付けられた部品供給テープTPを側板72により両側から支える。
リールホルダー6は、使用位置Luと、使用位置Luより順フィード方向Dfの後方の待機位置Lwとのそれぞれで部品供給リール7を保持することができる。そして、使用位置Luに保持される部品供給リール7の部品供給テープTPがテープフィーダー5にローディングされて部品実装での部品供給に使用される一方、待機位置Lwに保持される部品供給リール7の部品供給テープTPがテープフィーダー5のスプロケット54とテープ支持部材56との間に取り付けられる。このように、1台のテープフィーダー5に対しては、2個の部品供給リール7を装着することができる。なお、部品供給リール7をテープフィーダー5に装着するとは、リールホルダー6に配置した部品供給リール7から引き出した部品供給テープTPをテープフィーダー5に装着することを示す。
かかる構成では、テープフィーダー5に装着された2個の部品供給リール7のうち、使用位置Luに配置された部品供給リール7の部品供給テープTPの部品が使い切られると、待機位置Lwに配置された部品供給リール7の部品供給テープTPがローディングされて、部品実装に使用される。こうして2個の部品供給リール7のうち一の部品供給リール7が使い切られた後は、オペレーターは、部品保管庫(不図示)から取り出した別の部品供給リール7をテープフィーダー5に装着して、待機させておくことができる。具体的には、オペレーターは、
・部品が切れた部品供給リール7を使用位置Luから取り除く
・部品実装で使用される部品供給リール7を待機位置Lwから使用位置Luへ移動させる
・別の部品供給リール7を待機位置Lwに配置する
・別の部品供給リール7から引き出した部品供給テープTPの先端をスプロケット54とテープ支持部材56との間に装着する
といった手順を実行することで、別の部品供給リール7をテープフィーダー5に装着できる。なお、本明細書では、待機位置Lwに配置した部品供給リール7から引き出した部品供給テープTPをテープフィーダー5に装着することを、部品供給リール7を「プリセット」すると適宜称する。
また、部品実装機1には、使用位置Luに配置された部品供給リール7を所定の巻取方向(図3の反時計回り)に回転させるリール駆動部8が設けられている。リール駆動部8は、リールモーターMrと、リールモーターMrの回転を待機位置Lwの部品供給リール7に伝達するローラー81とを有する。そして、リールモーターMrが回転することで、部品供給リール7が巻取方向に回転する。なお、ワンウェイクラッチ等を用いることで、巻取方向の逆方向への部品供給リール7の回転はリールモーターMrに伝達されないように構成されている。
さらに、部品実装機1は、テープフィーダー5から順フィード方向Dfに排出された部品供給テープTPを廃棄するための廃棄部9が設けられている。この廃棄部9は、テープフィーダー5の前端から垂れ落ちた部品供給テープTPを切断して、廃棄ボックスに廃棄する。
かかる部品実装機1では、2通りの態様(後方排出、前方排出)で部品供給テープTPをテープフィーダー5から排出することができる。後方排出では、フィードモーターMfによってスプロケット57を回転させることで部品供給テープTPを逆フィード方向Dbに搬送して、部品供給テープTPをスプロケット57から外すとともに、リールモーターMrによって部品供給リール7を巻取方向に回転させることで、部品供給テープTPを逆フィード方向Dbに搬送してテープフィーダー5の後端から排出する。この後方排出によって排出された部品供給テープTPは、部品供給リール7に巻き取られる。一方、前方排出では、フィードモーターMfによってスプロケット57を回転させることで部品供給テープTPを順フィード方向Dfに搬送して、部品供給テープTPをテープフィーダー5の前端から排出する。この前方排出によって排出された部品供給テープTPは廃棄部9によって廃棄される。
図4は図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように部品実装機1は、装置全体を統括的に制御する制御部100を備え、この制御部100には、主制御部110、記憶部120、駆動制御部130、ユーザーインターフェース140および通信I/F(インターフェース)150が具備されている。主制御部110はCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)等で構成されたプロセッサーであり、制御部100での演算機能を担う。記憶部120は例えばHDD(Hard Disk Drive)等で構成され、基板Bに部品を実装する手順を示す基板データや各種のプログラム等を記憶する。駆動制御部130は、フィードモーターMb、MfおよびリールモーターMr等の駆動系を、主制御部110からの指令に従って制御することで、上述の後方排出や前方排出等を実行する。ユーザーインターフェース140は、例えばタッチパネルディスプレイ等で構成され、オペレーターへ情報を報知したり、オペレーターからの入力操作を受け付けたりする。また、通信I/F150は、外部装置との通信を担う。
ところで、部品実装機1で基板Bに実装されるLED等の一部の部品(「ランク部品」と適宜称する)は、その特性に応じてランク分けされている。したがって、生産対象である部品実装基板Bに求められる特性に応じたランクのランク部品を実装する必要がある。また、このランク部品の実装態様は、指定実装、調整実装あるいは混成実装等と種々の態様が存在する。これらの実装態様について、LEDがランクRa、ランクRbおよびランクRcの3段階にランク分けされている場合を用いて説明する。
指定実装は、特定の一のランクを指定する実装態様であり、例えば、ランクRbが指定された場合には、ランクRbのLEDが選択的に実装される。この指定実装では、当該指定実装に使用されるテープフィーダー5に対しては、指定ランク(ランクRb)のLEDを収納する部品供給リール7が装着される。
調整実装は、LEDの特性に相関を有する他の部品(「ペア部品」と適宜称する)の特性、具体的には制限抵抗の抵抗値をLEDのランクに応じて調整する実装態様であり、例えば、輝度の高い順にランクRa、Rb、Rcとランク分けされている場合には、制限抵抗の抵抗値をランクRa、Rb、Rcの順に高くする(つまり、輝度の高いLEDほど、低い抵抗値の制限抵抗が取り付けられる)。この調整実装では、当該調整実装に使用されるテープフィーダー5のうち、LEDを供給するテープフィーダー5に対しては、所定ランクのLEDを収納する部品供給リール7が装着され、制限抵抗を供給するテープフィーダー5に対しては、所定ランクに対応する抵抗値の制限抵抗を収納する部品供給リール7が装着される。
混成実装は、異なるランクRa、Rb、Rcを、所定の混成割合で混在させる実装態様である。この混成実装では、当該混成実装で使用される複数のテープフィーダー5の間でLEDのランクが混成割合に応じて振り分けられ、これらのテープフィーダー5のそれぞれには、この振り分けで対応付けられたランクのLEDを収納する部品供給リール7が装着される。
そして、指定実装、調整実装あるいは混成実装といったランク実装に使用される部品(LEDあるいは制限抵抗等)を供給するテープフィーダー5は互いに対応付けられて管理される。このテープフィーダー5の管理は、制御部100により実行される。
なお、基板Bに実装するランク部品のランクは、生産計画の実行途中で切り換えられる場合がある。このようなランク切換に際しては、ランク部品やペア部品(これらを「特性部品」と適宜総称する)の供給にテープフィーダー5が使用する部品供給リール7を変更する特性変更動作を、実行する必要がある。具体的には、制御部100は、特性変更動作後の部品供給で使用する部品供給リール7をオペレーターにプリセットするようにユーザーインターフェース140により予め報知しておく。そして、制御部100は、ランク切換が必要となると、特性変更動作前の部品供給で使用していた部品供給リール7の部品供給テープTPをテープフィーダー5から排出し、特性変更動作後の部品供給で使用する次の部品供給リール7の部品供給テープTPをテープフィーダー5にローディングする。この際、制御部100は、ランク実装に使用する部品を対応付けたランクテーブルRT(図4)を記憶部120に記憶し、このランクテーブルRTを用いてランク切換を管理する。
図5はランクテーブルの一例を示す図である。特に図5では、調整実装に使用されるランクテーブルRTが示されている。このランクテーブルRTは、ランクRa、Rb、RcのLEDに5kΩ、10kΩ、15kΩの抵抗値の制限抵抗をそれぞれ対応付ける。したがって、ランク切換によって調整実装でのLEDのランクがランクRaからランクRbに変更される場合には、ランクRaのLEDを収納する部品供給テープTPがテープフィーダー5から排出されて、ランクRbのLEDを収納する部品供給テープTPがテープフィーダー5にローディングされる。これと並行して、5kΩの抵抗値のLEDを収納する部品供給テープTPがテープフィーダー5から排出されて、10kΩの抵抗値の制限抵抗を収納する部品供給テープTPがテープフィーダー5にローディングされる。
続いては、制御部100の主制御部110が実行する上記制御の詳細を、フローチャートを参照しつつ説明する。図6は部品供給リールのプリセットをオペレーターに報知するために実行されるフローチャートを示す図である。このフローチャートは、部品実装の実行中に主制御部110により実行される。ステップS101では、ランク切換に伴う特性変更動作の対象となるテープフィーダー5で使用中の部品供給リール7が部品切れを起こしたかが確認される。そして、部品切れの発生が確認されると(ステップS102で「YES」)、プリセットされた部品供給リール7が当該テープフィーダー5にローディングされるとともに(ステップS102)、主制御部110は、ローディングされた部品供給リール7に、次のランク切換までに部品切れが発生するか否かを予測する(ステップS103)。
部品切れが発生すると予測した場合(ステップS103で「YES」の場合)には、使用中の部品と同一の特性を有する特性部品を収納する部品供給リール7を、テープフィーダー5に対してプリセットするように、ユーザーインターフェース140がオペレーターに報知する。一方、部品切れが発生しないと予測した場合(ステップS104で「NO」の場合)には、ランク切換後に求められる特性を有する特性部品を収納する部品供給リール7を、テープフィーダー5に対してプリセットするように、ユーザーインターフェース140がオペレーターに報知する。
主制御部110は、部品実装中に図6のフローチャートを繰り返すとともに、部品実装に要する部品を適切に供給するために図7〜図9のフローチャートにより実行する。図7はテープフィーダーにより供給される部品を管理するために実行されるフローチャートを示す図であり、図8は図7のフローチャートで実行される通常管理のフローチャートを示す図であり、図9は図7のフローチャートで実行されるランク切換管理のフローチャートを示す図である。
図7に示すステップS201では、ランク切換を実行するか否かが確認される。そして、ランク切換を実行しない場合(ステップS201で「NO」の場合)にはステップS202の通常管理が実行され、ランク切換を実行する場合(ステップS201で「YES」の場合)にはステップS203のランク切換管理が実行される。そして、ステップS201〜S203は基板生産が終了するまで(ステップS204で「YES」となるまで)繰り返される。
図8に示すように、通常管理では、各テープフィーダー5で使用中の(すなわち、ローディングされている)部品供給リール7に部品切れが発生したかが判断される。部品切れが発生していない場合(ステップS301で「NO」の場合)には、図8の通常管理を終了して、図7の供給部品管理に戻る。一方、部品切れが発生した場合(ステップS301で「YES」の場合)には、該当のテープフィーダー5に対して部品供給リール7がプリセットされているか否かを確認する(ステップS302)。このプリセットの確認は、オペレーターがプリセットを行った旨をユーザーインターフェース140に入力した結果に基づいて実行しても良いし、スプロケット54とテープ支持部材56との間に部品供給テープTPが装着されていることをセンサーにより検知した結果に基づいて実行しても良い。
そして、部品供給リール7がプリセットされていると確認した場合(ステップS302で「YES」の場合)には、プリセットされた部品供給リール7の部品供給テープTPを該当のテープフィーダー5がローディングして(ステップ303)、図7の部品供給管理に戻る。これによって、ローディングされた部品供給テープTPが以後の部品供給に使用される。一方、部品供給リール7がプリセットされていないと確認した場合(ステップS302で「NO」の場合)には、ユーザーインターフェース140がオペレーターにエラーを報知して(ステップS304)、図7の部品供給管理に戻る。このエラー報知によって、オペレーターに部品供給リール7のプリセットを要求する。
図9に示すように、ランク切換管理では、ランク部品(LED)を供給するテープフィーダー5に対して、次のランク部品(すなわち、ランク切換後のランクを有する部品)を部品供給テープTPに収納する部品供給リール7がプリセットされているかが確認される(ステップS401)。部品供給リール7がプリセットされていないと確認した場合(ステップS401で「NO」の場合)には、ユーザーインターフェース140がオペレーターにエラーを報知して(ステップS402)、図7の部品供給管理に戻る。このエラー報知によって、オペレーターに部品供給リール7のプリセットを要求する。
ランク部品の部品供給リール7がプリセットされていると確認した場合(ステップS401「YES」の場合)には、ランク部品に対応付けられているペア部品、すなわち制限抵抗の抵抗値をランク切換に伴って変更する必要があるか否かが確認される(ステップS403)。例えば、異なるランクのLEDに対して同一の抵抗値の制限抵抗を共用するような場合には、ステップS403では変更不要(NO)と判断され、ステップS404に進む。
ステップS404では、制限抵抗を供給するテープフィーダー5で使用中の部品供給リール7の部品供給テープTPに部品(制限抵抗)が残存しているかが確認される。部品が残存していると確認した場合(ステップS404で「YES」の場合)には、ステップS405に進む。ステップS405では、ランク部品を供給するテープフィーダー5にローディングされている部品供給テープTP(すなわち、ランク切換前に使用される部品供給テープTP)がテープフィーダー5から排出される(第1排出動作)。そして、ステップS406で、このテープフィーダー5は、プリセットされている部品供給リール7の部品供給テープTPをローディングして、この部品供給テープTPに収納されたランク部品の部品供給位置50への供給を開始する(第1特性変更動作)。こうして、テープフィーダー5が供給するランク部品のランクが変更されて、図7の供給部品管理に戻る。
ステップS404で、部品が残存していないと確認した場合(「NO」の場合)には、ステップS407において、制限抵抗を供給するテープフィーダー5に対して、当該制限抵抗を収納する部品供給リール7がプリセットされているかが確認される。部品供給リール7がプリセットされていないと確認した場合(ステップS407で「NO」の場合)には、ステップS402でエラーが報知されて、図7の供給部品管理に戻る。一方、部品供給リール7がプリセットされていると確認した場合(ステップS407で「YES」の場合)には、プリセットされた部品供給リール7の部品供給テープTPがテープフィーダー5にローディングされる(ステップS408)。そして、上述と同様に、ステップS405で第1排出動作を実行するとともに、ステップS406で第1特性変更動作を実行してから、図7の供給部品管理に戻る。
また、上述のステップS403で、制限抵抗の抵抗値をランク切換に伴って変更する必要がある(YES)と確認されると、ステップS409に進む。ステップS409では、制限抵抗を供給するテープフィーダー5に対して、次の制限抵抗(すなわち、ランク切換後の抵抗値を有する制限抵抗)を部品供給テープTPに収納する部品供給リール7がプリセットされているかが確認される。部品供給リール7がプリセットされていないと確認した場合(ステップS409で「NO」の場合)には、ステップS402でエラーが報知されて、図7の供給部品管理に戻る。
一方、部品供給リール7がプリセットとされていると確認した場合(ステップS409で「YES」の場合)には、ステップS410、S411に進む。ステップS410では、ランク部品を供給するテープフィーダー5にローディングされている部品供給テープTP(すなわち、ランク切換前に使用される部品供給テープTP)がテープフィーダー5から排出される(第1排出動作)。また、ステップS411では、制限抵抗を供給するテープフィーダー5にローディングされている部品供給テープTP(すなわち、ランク切換前に使用される部品供給テープTP)がテープフィーダー5から排出される(第2排出動作)。なお、ステップS410、S411は並行して実行される。
続いて、ステップS412、S413に進む。ステップS412では、ランク部品を供給するテープフィーダー5は、プリセットされている部品供給リール7の部品供給テープTPをローディングして、この部品供給テープTPに収納されたランク部品の部品供給位置50への供給を開始する(第1特性変更動作)。また、ステップS412では、制限抵抗を供給するテープフィーダー5は、プリセットされている部品供給リール7の部品供給テープTPをローディングして、この部品供給テープTPに収納された制限抵抗の部品供給位置50への供給を開始する(第2特性変更動作)。なお、ステップS412、413は並行して実行される。そして、図7の供給部品管理に戻る。
ところで、ステップS405、S410、S411では、特性部品(LED、制限抵抗)を収納する部品供給テープTPのテープフィーダー5からの排出が実行される。この排出は、上述の後方排出および前方排出のいずれで行っても良い。そこで、次に示すように、部品供給テープTPを排出しても良い。
図10は部品供給テープの排出態様を決定するフローチャートを示す図である。この排出態様決定では、排出対象となる部品供給テープTPに残存する部品の個数(部品残数)が所定の閾個数より多いか否かが判断される(ステップS501)。そして、部品残数が閾個数より多い場合(ステップS501で「YES」の場合)には、後方排出で部品供給テープTPを排出して、この部品供給テープTPを部品供給リール7に巻き取る(ステップS502)。一方、部品残数が閾個数以下である場合(ステップS501で「NO」の場合)には、前方排出で部品供給テープTPを排出して、この部品供給テープTPを廃棄する(ステップS503)。
以上のように構成された実施形態では、各テープフィーダー5に対しては、複数(2本)の部品供給テープTPが装着される。そして、各テープフィーダー5は、これら複数の部品供給テープTPを順番に用いて当該部品供給テープTPに収納された部品を供給する。そして、LEDを供給するテープフィーダー5(第1フィーダー)により供給するLEDの特性を変更する第1特性変更動作の後に供給すべきランクのLEDを収納した部品供給テープTP(第1収納部材)が当該テープフィーダー5に装着されていることが確認されると(ステップS401)、この部品供給テープTPに収納されたLEDの供給を当該テープフィーダー5に開始させることで、第1特性変更動作をテープフィーダー5に実行させる(ステップS406、S412)。つまり、オペレーターの作業を伴わずに、テープフィーダー5によってLEDのランクを変更する動作(第1特性変更動作)を実行できる。その結果、LEDのランクの切り換えを速やかに実行することが可能となっている。
また、主制御部110は、次のランクのLEDを収納する部品供給テープTPがテープフィーダー5に装着されていないことを確認すると(ステップS401)、部品供給テープTPをテープフィーダー5に装着するように、ユーザーインターフェース140により報知する。したがって、次のランクのLEDを収納する部品供給テープTPが未装着のまま放置されて、第1特性変更動作(ステップS406、S412)の実行が長時間待機されるのを抑制できる。
また、主制御部110は、部品供給テープTPをテープフィーダー5から排出する第1排出動作(ステップS405、S410)を行ってから、テープフィーダー5に第1特性変更動作を実行させる(ステップS406、S412)。これによって、第1特性変更動作の前に部品供給に使用されていた部品供給テープTPが、第1特性変更動作の対象となる部品供給テープTPと干渉するのを抑制しつつ、第1特性変更動作をスムーズに実行することができる。
また、主制御部110は、第1排出動作の対象となる部品供給テープTPに収納されるLEDの個数が閾個数(第1閾値)以下の場合には、部品供給テープTPを順フィード方向Dfに搬送して廃棄部9(第1廃棄部)へ排出することで第1排出動作を実行する(ステップS503)。一方、主制御部110は、第1排出動作の対象となる部品供給テープTPに収納されるLEDの個数が閾個数より多い場合には、部品供給テープTPを逆フィード方向Dbに搬送することで第1排出動作を実行する(ステップS502)。かかる構成では、第1排出動作の対象となる部品供給テープTPに収納されるLEDの個数が少ない場合にはこの部品供給テープTPを廃棄する一方、多い場合にはこの部品供給テープTPを廃棄せずに部品供給に再利用することができる。
また、部品実装機1に装着される複数のテープフィーダー5には、LEDの特性に応じた抵抗値を有する制限抵抗を供給するテープフィーダー5が含まれる。そこで、主制御部110は、このテープフィーダー5により供給する制限抵抗の抵抗値を変更する第2特性変更動作が第1特性変更動作に応じて必要となる場合には、第2特性変更動作後に供給すべき抵抗値の制限抵抗を収納した部品供給テープTP(第2収納部材)がこのテープフィーダー5に装着されていることを確認すると(ステップS409)、この部品供給テープTPに収納された制限抵抗の供給をテープフィーダー5に開始させる。これによって、第1特性変更動作に応じて第2特性変更動作を、制限抵抗を供給するテープフィーダー5に実行させる。
また、制限抵抗を供給するテープフィーダー5により供給される制限抵抗の抵抗値を変更する第2変更動作が第1変更動作に応じて必要となる場合には、主制御部110は、第2特性変更動作の後に供給すべき抵抗値の制限抵抗を収納した部品供給テープTP(第2収納部材)がこのテープフィーダー5に装着されていることが確認されると、この部品供給テープTPに収納された制限抵抗の供給をテープフィーダー5に開始させることで、当該第2特性変更動作をテープフィーダー5に実行させる。つまり、オペレーターの作業を伴わずに、テープフィーダー5によって制限抵抗の抵抗値を変更する動作(第2特性変更動作)を実行できる。その結果、制限抵抗の抵抗値の切り換えを速やかに実行することが可能となっている。
また、主制御部110は、次の抵抗値の制限抵抗を収納する部品供給テープTPがテープフィーダー5に装着されていないことを確認すると(ステップS409)、部品供給テープTPをテープフィーダー5に装着するように、ユーザーインターフェース140により報知する。したがって、次の抵抗値の制限抵抗を収納する部品供給テープTPが未装着のまま放置されて、第2特性変更動作(ステップS413)の実行が長時間待機されるのを抑制できる。
また、主制御部110は、部品供給テープTPをテープフィーダー5から排出する第2排出動作(ステップS411)を行ってから、テープフィーダー5に第2特性変更動作を実行させる(ステップS413)。これによって、第2特性変更動作の前に部品供給に使用されていた部品供給テープTPが、第2特性変更動作の対象となる部品供給テープTPと干渉するのを抑制しつつ、第2特性変更動作をスムーズに実行することができる。
また、主制御部110は、第2排出動作の対象となる部品供給テープTPに収納される制限抵抗の個数が閾個数(第2閾値)以下の場合には、部品供給テープTPを順フィード方向Dfに搬送して廃棄部9へ排出することで第2排出動作を実行する。一方、主制御部110は、第2排出動作の対象となる部品供給テープTPに収納される制限抵抗の個数が閾個数より多い場合には、部品供給テープTPを逆フィード方向Dbに搬送することで第2排出動作を実行する。かかる構成では、第2排出動作の対象となる部品供給テープTPに収納される制限抵抗の個数が少ない場合にはこの部品供給テープTPを廃棄する一方、多い場合にはこの部品供給テープTPを廃棄せずに部品供給に再利用することができる。
このように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、テープフィーダー5が本発明の「フィーダー」および「テープフィーダー」の一例に相当し、LEDを供給するテープフィーダー5が本発明の「第1フィーダー」の一例に相当し、制限抵抗を供給するテープフィーダー5が本発明の「第2フィーダー」の一例に相当し、部品供給位置50が本発明の「部品供給位置」の一例に相当し、部品供給テープTPが本発明の「部品収納部材」の一例に相当し、LEDおよび制限抵抗が本発明の「部品」の一例に相当し、主制御部110が本発明の「制御部」の一例に相当し、ユーザーインターフェース140が本発明の「第1報知部」および「第2報知部」の一例に相当し、廃棄部9が本発明の「第1廃棄部」および「第2廃棄部」の一例に相当し、順フィード方向Dfが本発明の「第1順方向」および「第2順方向」の一例に相当し、逆フィード方向Dbが本発明の「第1逆方向」および「第2逆方向」の一例に相当し、ステップS406、S412が本発明の「第1特性変更動作」の一例に相当し、ステップS405、S410が本発明の「第1排出動作」の一例に相当し、ステップS413が本発明の「第2特性変更動作」の一例に相当し、ステップS411が本発明の「第2排出動作」の一例に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の図9では、調整実装を例に挙げて説明を行った。しかしながら、指定実装および混成実装でのランク切換に対しても上述と同様にして、第1特性変更動作や第1排出動作を実行することができる。
また、1台のテープフィーダー5に装着可能な部品供給リール7の個数は2個に限られず、例えば3個以上でも良い。
また、フィーダーの種類はテープフィーダーに限られず、トレイフィーダーあるいはスティックフィーダーでも良い。
また、ランク分けの対象部品はLEDに限られない。例えば、光電素子をその特性に応じてランク分けして用いるような場合に、上記実施形態を同様に適用できる。
また、上記では、特に詳述しなかったが、ランク部品のランクの切換は、種々の態様が存在する。具体的には、所定の特性を有する予定枚数の部品実装基板Bを生産した時点や、部品保管庫に保管の特定ランクのランク部品を使い切った時点などに、ランクを切り換えることができる。
また、ランクを切り換えに際して部品を特定する方法も種々考えられる。具体的には、テープフィーダー5に部品供給リール7を装着する際に、オペレーターが部品供給リール7に収納される部品を識別するID等をリーダーで読み取った結果に基づき、主制御部110は、テープフィーダー5に装着されている部品を認識できる。したがって、ランクの切り換えに際しては、その認識結果に基づき、変更動作の対象となるLEDや制限抵抗を的確に特定することができる。
また、例えば、調整実装の際にLEDのランク切り換えに伴って変更すべき制限抵抗を、LEDおよび抵抗のそれぞれにシルクで付された符号に基づき特定することもできる。つまり、LEDの符号と制限抵抗の符号とを予め対応付けておき、所定の符号のLEDのランクを切り換える際に、当該符号に対応付けられた符号の制限抵抗を変更するようにできる。