JP2019190142A - トンネル覆工施工管理システム、トンネル覆工施工管理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
移動型枠には、複数台の型枠バイブレータが装着されており、作業員は、自身の経験に基づいて、操作盤に設けられたON/OFFボタンを操作することで、型枠バイブレータを不規則に稼働させて、フレッシュコンクリートの締固めを行っている。この締固めは、実際に締固めされた状態を直接確認できているわけではなく、作業員の経験に基づいて行われている。
なお、覆工コンクリートの施工方法として、例えば特許文献1のような施工方法も提案されている。
また、箱抜きや余掘りがある場合には、移動型枠の左右において所定単位(例えば2m3単位)の打込み締固めの切り替えの判断に多大な時間を要することとなり、連続打込みに制約を受けることがあり、そうすると、施工時間が多くなり、仕上がり品質が低下する。
図1は、この発明の一実施形態によるトンネル覆工施工管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。トンネル覆工施工管理システム1は、防水シートと覆工型枠(セントル)の間にコンクリートを打込んでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するシステムである。コンクリートとしては、例えば、中流動覆工コンクリートを用いることができる。このトンネル覆工施工管理システム1において、移動型枠10は、切羽側10a(妻側ともいう)と坑口側10b(既設覆工側、ラップ側ともいう)とがある。移動型枠10は、覆工型枠の一例である。移動型枠10は、トンネルの長手方向に沿った軸であるトンネル軸の方向から見た形状は、アーチ状である。センサ20は、防水シート表面と移動型枠10に複数に設けられ、打込まれるコンクリートの打込み状況を、自センサ20が設けられた位置において測定する。打込み状況としては、コンクリートの表面高さ、移動型枠10の側面における側圧、移動型枠10の各部における温度と圧力、加速度等がある。この複数のセンサ20は、移動型枠10における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられる。センサ20は、コンクリートに接触したか否かを検出する充填センサのコンクリートセンサ、加速度センサ、圧力温度センサのそれぞれが複数設けられる。
型枠バイブレータ(以下、加振器と称する)30は、移動型枠10に複数設けられ、稼働することにより移動型枠10を介してコンクリートに振動を与える。加振器30は、移動型枠10の内周面側(移動型枠10の防水シートに向く面とは反対側の面)に設けられる。加振器30は、移動型枠10における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられる。また、加振器30は、移動型枠10の坑口側と切羽側との間においてトンネル軸に沿って複数設けられるとともに、移動型枠10においてトンネル軸を基準とした周方向に沿って複数設けられる。
端末装置80は、ネットワーク70を介してコンピュータ60と通信することで、操作盤40の表示パネル41の表示内容を、端末装置80の画面上に表示する。また、端末装置80のタッチパネルやキーボードなどの入力デバイスを介して作業員からの操作に応じて操作入力データの入力を受け付けることで、作業者が操作盤40から離れた場所に操作可能である。端末装置80は、コンピュータやタブレット端末、スマートフォン等であってもよい。
図2Aは、移動型枠10を上方側から見た図であり、図2Bは、移動型枠10を正面側(例えば坑口側)から見た図である。
段R1、段R2、段R3、段R4、段R5、段R6、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、段L6は、移動型枠10の高さ方向の位置を表している。段R1、段R2、段R3、段R4、段R5、段R6は、切羽側10aから見て右側の移動型枠10の下端部から天端部(クラウン部)の間でお互いに異なる高さの位置であり、段R1から段L6に向かうほど高い位置となる関係である。また、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、段L6は、切羽側10aから見て左側の移動型枠10の下端部から天端部(クラウン部)の間でお互いに異なる高さの位置である。段R1と段L1、段R2と段L2、段R3と段L3、段R4と段L4、段R5と段L5、段R6と段L6がそれぞれ同じ高さである。
コンクリートセンサ21は、例えば、列S3の位置における加振器30の所定の高さだけ上方の位置にそれぞれ1つずつ設けられる。ここでは列S3の位置であって、段L1、段L2、段L3、段L4、段L5の加振器30よりも上方(例えば30cm程度)の位置にそれぞれ設けられ、段R1、段R2、段R3、段R4、段R5の加振器30よりも上方(例えば30cm程度)の位置にそれぞれ設けられる。このコンクリートセンサ21は、例えば、打込みされたコンクリートに接触したか否かを検出する。これにより、いずれのコンクリートセンサ21によってコンクリートに接触したかの検出結果を操作盤40を介して制御装置50が取得し、これら検出結果に基づいて、コンクリートが打込みされた高さを判定することで、打込みされたコンクリートの表面位置を検出することができる。また、制御装置50は、このコンクリートセンサ21の検出結果を参照することで、加振器30を稼働させる稼働パターンを決定することができる。稼働パターンは、複数の加振器30のうち、稼働させる対象の加振器30を特定する情報、加振器30の稼働を開始するタイミング、加振器30の稼働を停止させるタイミング、加振器30の稼働時間を表す情報、加振器30を稼働させる順序を規定する情報、等を用いることができる。
これらコンクリートセンサ21、22は、移動型枠10に取り付けられる。
圧力温度センサ23は、地山200に対して設けられるトンネル支保構造の内空表面に張り付けられた防水シート201の内空側表面に張り付けられる。
加速度センサMf1、Mf2、Mf3は、列S5と移動型枠10の切羽側10aとの間であって、段L5、天端部C1、段R5のそれぞれの位置に1つずつ設けられる。これら加速度センサMf1、Mf2、Mf3は、打込まれたコンクリートを介して伝搬する加振器30の振動を検出する。特に、加速度センサMf1、Mf2、Mf3によって加速度が検出されている時間を計測することで、加振器30を駆動させて締固めを行った時間を把握することができる。
これにより、中流動覆工コンクリートの打込み締固めのパターン化施工を可能とし、覆工コンクリート仕上がり品質の均質化、打込み締固め作業の機械制御システムによる自動化を可能にする。
制御装置50は、リアルタイムに、各種センサからの検出結果を取得することで、打込み締固め状態を検出し、その打込み締固め状態を、操作盤40の表示パネル41に表示させ、また、コンピュータ60、ネットワーク70を介して端末装置80に配信する。これにより、作業員は、表示パネル41あるいは、端末装置80の表示画面に表示される画面を視認することで、打込み締固め状態を確認することができる。また、制御装置50は、覆工コンクリート施工時の加振器の稼働時間と締固めエネルギー、最大側圧、打止め圧力、脱型枠強度などの施工管理データを取得し、記憶部53に記憶する。これにより、メンテナンスに役立てることができる。
制御装置50は、例えば次のような条件に従ってトンネル覆工施工管理システム1における各部の制御を行う。
(1)移動型枠10の側部におけるコンクリートの打込みは、列S2と列S3の間にある左右の側部にある2箇所の打込み口から行う。落下高は、例えば最大1.5mとする。肩部と天端部は、吹上げ口(打込み口11a、打込み口11b、打込み口11c)から行う。
(2)側部におけるコンクリートの打込み速度は、例えば、14〜16m3/h、吹上げは連続打込みとする。
(3)コンクリートの打込み締固めの施工単位は、高さ50cmを基本とし、その都度、加振器30を駆動させて締固める。天端部の吹上げは4m3ずつの打込みとし、その都度、加振器30を駆動させて締固める。なお、吹上げコンクリートが、妻側(切羽側10a)において天端まで達していない場合は、妻側の列S5の天端部近傍にある2つのバイブレータ(段L6における加振器30、段R6における加振器30)を5〜10秒間、同時加振することで、吹上げ口周辺のコンクリートを妻側に移動させる。
(4)加振器30は、自身の約30cm程度上方までのコンクリートの締固めを行うようにし、コンクリート表面位置に応じて、駆動させる対象の加振器30を、上方側にある加振器30に切り替える。ここで、打込みコンクリートの表面高さが、加振器稼働段(稼働段)に達した場合、制御装置50は、この段の列S2,列S3,列S4のバイブレータを例えば5秒間稼働させ、コンクリート表面高さが均一になるように均す。均すことによって、コンクリート表面高さが稼働段を下回った場合は、下方側の稼働段の加振器30を稼働させる。
(6)移動型枠10の側部の締固めは、同時5台(列S1、列S2、列S3、列S4、列S5)の15秒稼働とする。
(8)加振器30の1台当たり最大5回の稼働(15sec×5=75sec)とし、作動時間は、最大1時間とする。
(9)加振器30の稼働と停止の制御は、作業員による制御盤での操作に応じて行われてもよく、制御装置50が各センサ20からの検出結果に応じて行うようにしてもよい。
制御装置50は、圧力温度センサ27、圧力温度センサ28によって検出された圧力の測定結果を参照し、妻側(圧力温度センサ28の検出結果)において基準圧力(例えば0.02N/mm2)を越えたか否かを判定し、この基準圧力を上回った時点で、天端部の加振器30(例えば列S5における段L5、段R5、段L6、段R6)を左右交互に10sec単位で稼働させ、コンクリート圧力が圧力温度センサ27、圧力温度センサ28の検出結果において均等に分布することが検出された場合(圧力温度センサ27、圧力温度センサ28の検出結果の差が一定値以内となった場合)、密充填されたと判定(確認)し、打止め・脱型枠管理システムに打止めを指示して、打込み、締固めを完了する。なお、打止め圧力の管理値は、施工の初期に見直す。
(a)制御装置50は、締固めエネルギーを、締固めの都度、加速度センサMp、加速度センサM1の2点、3測線18点(ML1、ML2、ML3、ML4、ML5、ML6、MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、Me1、Me2、Me3、Mf1、Mf2、Mf3)の最大加速度を測定した測定結果に基づいて、所定の演算式に従って計算することで、コンクリート表面下の加振段について計算し、締固めエネルギーとして表示パネル41(または端末装置80の画面)に出力する。
(b)制御装置50は、締固め時間を、締固めの都度、累積し、締固めエネルギーとともに表示パネル41(または端末装置80の画面)に出力する。
図3は、コンクリートを打込みしている打込み口の位置、各加振器30の稼働状況、締固め時間、締固めエネルギー等を含む打込み締固め状態を表示する表示画面の一例を示す図である。この図において、加振器30の稼働状況は、列方向(符号A,列S1、列S2、列S3、列S4、列S5)と段方向(符号B,段L1、段L2、段L3、段L4、段L5、及び、符号C,段R1、段R2、段R3、段R4、段R5)に並べられたアイコンであって、加振器30が配列された位置に対応するアイコンに対し、稼働しているか否かについて異なる色で表示される。また、コンクリートの打込みをしている打込み口については、その打込み口の名称を表示したり、画面上の対応する位置にマッピングされて表示される。
締固め時間、締固めエネルギーについては、制御装置50において演算された結果が、画面上の所定の位置(例えば、画面の上端部側)に表示されるようになっている。
また、各センサ20の測定結果が、画面上の対応する位置にマッピングして表示されてもよい。
また、制御装置50は、各センサ20の検出結果に応じた施工データを読み出して、コンクリートの打込みや締固めを行うこともできるが、過去の施工データと同じコンクリートの打込み状況となったことをセンサ20からの検出結果に基づいて判断し、過去の施工データと同じコンクリートの打込み状況となった段階毎に、その段階において加振器30を稼働させた稼働履歴に従って、加振器30を稼働させるようにしてもよい。
このように、過去の施工データを利用することで、過去に実施した施工データに沿って、同様の品質でコンクリートの打込み及び締固めを行うことができるため、作業員の技量や経験の差による品質のむらを低減することができる。
また、制御装置50は、記憶部53に、覆工コンクリート締固め状態のデータを記憶するようにしたので、仕上がり品質と打込み締固めの施工法との関係を把握することが可能となり、これらのデータに基づく品質向上の検討を行うことが可能となる。また、メンテナンスのための施工状態の記録を行うことができる。
また、制御装置50は、施工時に記憶した施工データと、仕上がり品質を測定した品質データとの対応関係について比較することで、締固めパターンの適合性を評価・確認し、また、施工データと品質データとの関係を学習モデルに従って学習することで、品質を向上させるためのパターンを学習し、見直しすることもできる。
なお、上述した実施形態における制御盤40、制御装置50の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
11 打込み口 20 センサ
30 加振器 40 操作盤
41 表示パネル 50 制御装置
51 稼働制御部 52 選択部
53 記憶部 60 コンピュータ
70 ネットワーク 80 端末装置
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g 打込み口
21、22 コンクリートセンサ
23、27、28 圧力温度センサ
MR1、MR2、MR3、MR4、MR5、MR6、ML1、ML2、ML3、ML4、ML5、ML6、Me1、Me2、Me3、Mf1、Mf2、Mf3、M1、Mp 加速度センサ
Claims (8)
- 防水シートと覆工型枠の間にコンクリートを打込んでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するトンネル覆工施工管理システムであって、
前記防水シート表面と前記覆工型枠に複数設けられ、前記打込まれるコンクリートの打込み状況を前記設けられた位置において測定するセンサと、
前記覆工型枠に複数設けられ前記コンクリートに振動を与える加振器と、
前記センサが設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、前記加振器が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示する表示部と
を有するトンネル覆工施工管理システム。 - 前記複数のセンサの測定結果に基づく打込み状況に応じて、前記複数の加振器のうち稼働させる加振器を選択し、選択された加振器を稼働させる稼働制御部
を有する請求項1に記載のトンネル覆工施工管理システム。 - 前記複数のセンサは、前記覆工型枠における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられ、
前記複数の加振器は、前記覆工型枠における高さ方向においてそれぞれ異なる位置に設けられ、
前記稼働制御部は、前記複数のセンサの測定結果に基づいて、打込まれたコンクリートの高さ方向の位置がいずれであるかを判定し、打込まれたコンクリートの高さ方向の位置に対応した加振器を稼働させる
請求項2に記載のトンネル覆工施工管理システム。 - 前記打込み状況に基づいて、前記覆工型枠に複数設けられコンクリートを打込むための打込み口のうちコンクリートを打込む打込口を選択し、選択結果を外部に出力する選択部
を有する請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。 - 前記複数のセンサの測定結果及び前記複数の加振器の稼働結果を記憶する記憶部を有する請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。
- 前記複数のセンサは、コンクリートに接触したか否かを検出する充填センサ、加速度センサ、圧力温度センサのそれぞれが複数設けられる
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。 - 前記加振器は、前記覆工型枠の坑口側と切羽側との間においてトンネル軸に沿って複数設けられるとともに、前記覆工型枠において前記トンネル軸を基準とした周方向に沿って複数設けられる
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載のトンネル覆工施工管理システム。 - 防水シートと覆工型枠の間にコンクリートを打込んでトンネルの覆工を構築する施工管理を支援するトンネル覆工施工管理システムにおけるトンネル覆工施工管理方法であって、
センサが、前記防水シート表面と前記覆工型枠に複数設けられ、前記打込まれるコンクリートの打込み状況を前記設けられた位置において測定し、
加振器が、前記覆工型枠に複数設けられ前記コンクリートに振動を与え、
表示部が、前記センサが設けられた位置における当該センサの測定結果に基づく打込み状況と、前記加振器が設けられた位置における加振器の稼働状況を表示する
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