JP2012057369A - 熱画像を利用したコンクリートの施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明の課題は、コンクリート施工中に未充填部分を検出してこれを除去するとともに、サーモグラフィで表示される画像と型枠表面上の位置との対応が可能で、検出された未充填部分の位置を型枠表面上で的確に特定することのできる「熱画像を利用したコンクリートの施工方法」を提供することにある。
【解決手段】本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、コンクリート施工範囲を複数の検査区画に分割しコンクリート施工中に検査区画単位で型枠に給熱する給熱工程と、給熱工程後にコンクリート打設用の型枠の外側表面温度をサーモグラフィによって検査区画ごとに撮像する撮像工程と、撮像工程で得られた型枠外側表面の温度分布画像に基づいて検査区画ごとにコンクリート未充填部分を検出する検出工程と、検出工程で検出されたコンクリート未充填部分を、振動機の締め固めによって除去する除去工程と、を備えた方法である。
【選択図】図1

Description

本願発明は、コンクリートの施工方法に関するものであり、具体的には、サーモグラフィで撮像した熱画像を確認しながらコンクリートの充填状況を把握するコンクリート施工方法に関するものである。
橋梁の上部工や下部工、トンネルの覆工、ダム、擁壁、あるいはビルをはじめとする建築物、など様々な構造物がコンクリートによって築造されている。これらコンクリート構造物は、通常、次のような工程を踏んで施工される。すなわち、鉄筋を組んで型枠を設置し、次に型枠内にコンクリートを投入し、打設完了後は所定期間コンクリートを養生し、十分養生した後に型枠を外して(脱型して)完成させる。
コンクリートを型枠内に投入するには、トラックミキサーからシュートを介して流し込んだり、コンクリートポンプ車によってホースから落下させたり、場合によっては作業者がスコップではねるなど、種々の方法が用いられている。コンクリートは、セメント、水、骨材など複数の材料からなり、型枠内に投入されただけでは材料分離(特に骨材の分離)を生じるおそれがある。そこで、材料分離を防ぐために、型枠内に投入されたコンクリートに対して振動機(バイブレータ)による攪拌(混錬)を行っている。また、一般的に使用されるコンクリートには自己流動性がないので、コンクリートを型枠の隅々に行き渡らせるためにも振動機は利用されている。
しかしながら、コンクリートを型枠内に投入して振動機で締め固める作業(以下、この一連の作業を「打設」という。)を行っている間は、型枠内のコンクリートの状態や充填状況が確認できないため、型枠脱型後に、コンクリート表面に材料が分離した状態(通称、ジャンカ)や未充填による凹み箇所が表れることが少なくない。
コンクリートの未充填部分が生じた場合、そこが断面欠損となり設計上期待していた剛性が発揮されず、荷重によるたわみの増加やひび割れ、あるいは滞水による変状が表れるおそれがある。このコンクリート未充填部分を防止するため、従来では、コンクリート打設中にプラスチックハンマーや木槌で型枠を叩いて、コンクリート振動を兼ねた未充填部分の検出を行っていた。しかしながら、全ての型枠範囲を漏れなく叩くことは難しく、打音に頼って判断するためやや正確性に劣る点は否めない。
また、型枠脱型後にコンクリート未充填部分を発見できれば、補修や補強などの対策を講ずることはできるが、鋼板を型枠として利用し完成後も部材の一部として利用する場合(例えば合成鋼床版など)、完成後にコンクリート表面を確認することができないのでコンクリート未充填部分を発見することは極めて困難である。また、対策を講ずる場合には、多大な費用と時間を要する。
補強板によって補強されたコンクリートの未充填部分を発見するための技術が、特許文献1によって開示されている。これは、補強板である鋼板に熱負荷を与えた後、鋼板表面の温度変化を波形として表し、さらにこの波形と参照波形との位相差を算出し、算出された位相差に基づいて健全部か欠陥部(未充填部分)かを判断するものである。
特許文献1で開示された技術は、完成後(硬化後)のコンクリートの未充填部分を発見する技術であるが、コンクリート施工中(打設中)に型枠背後の未充填部分を検知する技術についても特許文献2で開示されている。これは、型枠表面を赤外線で加熱し、コンクリート充填部と未充填部との温度差をサーモグラフィによって検知するものである。
特開2005−291743号公報 特開平11−183415号公報
特許文献1で開示された技術は、完成後(硬化後)のコンクリートの未充填部分を発見する技術であり、有害な未充填部分が確認された場合、完成状態で補修や補強を施さなければならない。特に、コンクリートが鋼板で覆われている場合、その補修工や補強工は煩雑となり、付帯工事(例えば供用停止期間の代替構造物構築など)を含めると大規模なものとなってしまう。
一方、特許文献2では、コンクリート施工中に未充填部分を検知することができるため、完成後にはじめて有害な未充填部分を発見するという事態は避けられ、すなわち煩雑で大規模な補修工や補強工を回避することができる。しかしながら特許文献2の技術は、単に型枠表面の温度(赤外線量)を検知するものであり、例えば、長大橋の床版など広い打設範囲を対象とする場合、サーモビュアーで表示される色彩画像と型枠表面上の位置とを対比することができず、実際にどの位置でコンクリート未充填部分が発生しているかを特定することができない。さらに、コンクリート未充填部分を発見した場合、コンクリートが硬化する前に再度その箇所で振動機による締め固めを行うことが望ましいが、未充填部分を検知する者と振動機で締め固めを行う者は型枠を挟んで配置されているため、検知した未充填部分の位置を適切に伝えることは極めて困難である。
本願発明の課題は、特許文献1と特許文献2が抱える問題を解消するものであり、コンクリート施工中に未充填部分を検出しこれを除去するとともに、サーモグラフィで表示される画像と型枠表面上の位置との対応が可能で、検出された未充填部分の位置を型枠表面上で的確に特定することのできる「熱画像を利用したコンクリートの施工方法」を提供することにある。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、コンクリート施工範囲を複数の検査区画に分割し、コンクリート施工中に、前記検査区画単位で型枠に給熱する給熱工程と、前記給熱工程後に、コンクリート打設用の型枠の外側表面温度を、サーモグラフィによって前記検査区画ごとに撮像する撮像工程と、前記撮像工程で得られた型枠外側表面の温度分布画像に基づいて、前記検査区画ごとにコンクリート未充填部分を検出する検出工程と、前記検出工程で検出されたコンクリート未充填部分を、振動機の締め固めによって除去する除去工程と、を備えた方法である。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、型枠のコンクリート施工側にコンクリートの施工を行うコンクリート施工者を配置するとともに、型枠の外側にサーモグラフィによって撮像を行う検査者を配置し、コンクリート施工者は、一の検査区画におけるコンクリートの締め固めを終えると、通信手段によって検査者に当該検査区画を報告し、通信手段によって前記作業終了報告を受けた検査者は、給熱工程を開始して、検出工程を実施するとともに、通信手段によってコンクリート未充填部分のある検査区画をコンクリート施工者に通知し、コンクリート未充填部分のある検査区画の通知を受けたコンクリート施工者は、当該検査区画に対して除去工程を実施する方法とすることもできる。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、型枠とは異なる赤外線反射率の材質からなる反射体を、型枠の外側表面であって検査区画を構成する格子点に配置し、検査者が、型枠外側表面の温度分布画像上で前記反射体の位置を確認することによって、撮像対象としている検査区画を特定し得る方法とすることもできる。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、コンクリート未充填部分を検出する検出工程が、型枠外側表面の温度分布画像のうち相対的に高温を示す範囲を未充填候補範囲として抽出する候補抽出工程と、この未充填候補範囲の面積が閾値を超えるものをコンクリート未充填部分とする判別工程と、に分けられ、前記判別工程では、前記閾値に相当する面積を示しかつ型枠とは異なる赤外線反射率の材料によって形成された寸法表示器を、型枠の外側表面であって前記候補抽出工程で抽出された未充填候補範囲に当て、温度分布画像上で未充填候補範囲と寸法表示器の大きさを比較することによってコンクリート未充填部分を判別する方法とすることもできる。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、型枠として鋼板を用い、この鋼板に対して給熱工程及び撮像工程を実施し、コンクリート硬化後も前記鋼板を脱型することなく構造部材として使用する方法とすることもできる。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法には、次のような効果がある。
(1)コンクリート施工中に未充填部分を検出して除去することができるので、完成後(型枠脱型後)、コンクリート表面に発生する未充填部分が著しく軽減される。従って、完成後の煩雑かつ大規模な補修工や補強工を回避することができる。
(2)サーモグラフィで表示される画像と型枠表面上の位置との対応が容易であり、サーモグラフィ画像上で検出された未充填部分の位置を型枠表面上で容易に特定できるので、未充填部分の除去作業(振動機による締め固めなど)を的確に行うことができる。
(3)型枠のコンクリート施工側にコンクリート施工者を配置した場合、未充填部分の位置について、型枠の外側に配置されたサーモグラフィ撮像者から通知されたとしても、その位置を容易に特定できるので、迷うことなく迅速に未充填部分の除去作業を行うことができる。
(4)型枠とは異なる赤外線反射率の材質からなる反射体を、検査区画を構成する格子点に配置すると、サーモグラフィ画像上で反射体の位置を把握できるので、サーモグラフィ画像と型枠表面上の位置との対応がさらに容易となり、すなわち検出された未充填部分の位置を型枠表面上で特定するという作業がさらに迅速化できる。
(5)高温を示す範囲が所定の面積(閾値)を下回る場合にこれを排除する(未充填部分として採用しない)とした場合、閾値に相当する面積を示す寸法表示器を用いて高温範囲の面積が閾値を下回るか否かを判断し、さらにこの寸法表示器を型枠とは異なる赤外線反射率の材料によって形成されたものとすれば、サーモグラフィ画像上で容易かつ明瞭に閾値を上回る高温範囲(すなわち未充填部分)を抽出できるので、未充填部分の除去作業が短縮され、ひいてはコンクリート施工の全体工程が短縮される。
本願発明の「熱画像を利用したコンクリートの施工方法」によって、橋梁の合成鋼床版を構築する説明図。 型枠背後のコンクリート未充填部分を説明する断面図。 合成鋼床版の上面におけるコンクリート打設範囲を、複数の検査区画に分割した状態を説明する斜視図。 合成鋼床版の下面における検査区画を、検査者が認識する状態を説明する斜視図。 本願発明の一連の流れを示すフローチャート。 部分的にコンクリート未充填箇所(模擬剥離)を設けた鋼板型枠に対して給熱した結果を示すグラフ。 寸法表示器の詳細を示す平面図。 (a)は閾値面積を超える「未充填候補範囲」に寸法表示器を当てた状態を示す説明図、(b)は閾値面積を超えない「未充填候補範囲」に寸法表示器を当てた状態を示す説明図。
[実施形態]
本願発明の「熱画像を利用したコンクリートの施工方法」の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は、橋梁の合成鋼床版を構築するために本願発明の「熱画像を利用したコンクリートの施工方法」を実施する説明図である。合成鋼床版は、床版コンクリートの底に鋼板を備えた合成構造であり、コンクリート打設時にはこの鋼板が型枠としても利用できるため極めて合理的な構造である。本実施形態では橋梁の合成鋼床版を例に説明を行っているが、通常のコンクリート施工で行われているように型枠を設置した後に脱型する場合(以下、「型枠脱型方式」という。)であっても、本願発明の「熱画像を利用したコンクリートの施工方法」を実施することはできる。なお、後に説明するように本願発明では型枠表面に給熱することから、型枠脱型方式の場合であっても型枠を鋼板とするなど熱伝導率の高い材質の型枠を使用することが望ましい。また、図1に示す床版のように、型枠を水平姿勢に設置する場合に限らず、橋脚やタテ壁など型枠を鉛直姿勢で設置する場合であっても本願発明を実施することができる。
(全体構成)
図1に示すように合成鋼床版1は、コンクリート打設用の型枠2(以下、単に「型枠2」という。)となる鋼板の上にコンクリートを打設することによって構築される。なお、本実施形態では便宜上、型枠内へのコンクリート投入とコンクリートの締め固めを、「コンクリートの打設」とし、コンクリート打設を含め後に説明する給熱工程、撮像工程、検出工程、除去工程を加えたものを「コンクリートの施工」とする。また型枠2を挟んで、コンクリートが施工される(打設される)側を「型枠2の内側(あるいは型枠2内)」といい、逆にコンクリートが打設されない側を「型枠2の外側」という。つまり図1では、鋼板(型枠2)の上側が「型枠2の内側」であり、鋼板の下側が「型枠2の外側」である。
型枠2の内側にコンクリートを投入する場合、図1に示すようにコンクリートポンプ車を使用してホース3から落下させることが多いが、コンクリートの打設量によっては、事前に設置された配管から投入する配管打ちや、トラックミキサーからシュートを通じて直接流し込むシュート打ち、トラックの荷台に積載されたコンクリートを人力によってスコップではねる手段なども適宜採用され、本願発明の実施に当たってはいずれの方法を用いても構わない。
コンクリートは、セメント、水、骨材など複数の材料からなるため、型枠2内に投入されると材料分離が生じるおそれがあり、特にホース3から落下させる場合には骨材の分離が懸念される。そこで通常は、材料分離を防ぐため投入されたコンクリートに対して振動機4(バイブレータ)による攪拌を行っている。また、一般的に使用されるコンクリートには自己流動性(自己充填性)がないので、コンクリートの流動(充填)を促進させるため、つまりコンクリートを型枠2の隅々に行き渡らせるためにも振動機4は利用されている。ここでは、これら振動機4による「コンクリートの攪拌」と「コンクリートの流動(充填)促進」を合わせて、コンクリートの「締め固め」という。なお、このコンクリートの締め固め作業は、当然のことながらコンクリートが硬化する前に行う必要がある。本願発明では、コンクリート施工中にコンクリートの未充填部分を除去することから、本願発明の対象とするコンクリートは「まだ固まらないコンクリート(以下、「フレッシュコンクリート」という。)である。従って、本実施形態で記載する「コンクリート」は、特に説明がない限り「フレッシュコンクリート」のことを意味する。さらに、骨材のうち粗骨材を含まないモルタルや、骨材を含まないセメントペーストは、通常、コンクリートとは異なる材料として取り扱われるものの、本願発明を実施する上ではモルタルやセメントペーストもコンクリートと同様の作用と効果を生ずることから、ここではモルタルやセメントペーストも含んだ概念をコンクリートと呼ぶこととする。
コンクリートの締め固めが十分に行われないと、図2に示すように型枠2背後(型枠2とコンクリートが接する部分)には空隙部(以下、「コンクリート未充填部分5」という。)が発生する。このコンクリート未充填部分5は部材の断面欠損であり、これによって設計上期待していた剛性が発揮されず荷重によるたわみの増加やひび割れを起こし、さらには滞水による変状を来たすおそれさえある。特に、本実施形態のように合成鋼床版1では型枠2(鋼板)が脱型されることがないので、このコンクリート未充填部分5を発見する機会がなく、その結果、補修や補強が施されることなくそのまま供用されることとなる。これに対して、本願発明によれば、コンクリート施工中にコンクリート未充填部分5を除去することができるため、設計上期待する剛性を発揮する健全な構造物を提供することができる。
コンクリート施工中、おもに型枠2背後に生ずるコンクリート未充填部分5を目視で確認することはできない。本願発明では、従来から用いられているサーモグラフィ6(図1)を利用して、コンクリート施工中におけるコンクリート未充填部分5を検出することができる。サーモグラフィ6は、物体が放射する赤外線エネルギーを非接触で計測する装置であり、この赤外線エネルギーを見かけの温度に変換することによって物体の表面温度を把握することができる。また通常使用されるサーモグラフィ6は、赤外線エネルギーを計測するとともに、これを温度に変換して画面(モニター)に表示することができる。画面上に表示される温度は、所定の温度帯(レンジ)ごとに色彩(或いは濃淡)を分けた温度分布として表現される。ここでは、サーモグラフィ6によって表示される温度分布の画像を「熱画像」といい、サーモグラフィ6が赤外線エネルギーを計測して熱画像を表示することを「撮像」という。
コンクリート施工中におけるコンクリート未充填部分5を検出するため、図1に示すように打設中の型枠外側表面7(型枠表面のうち型枠2の外側面)の温度をサーモグラフィ6で撮像する。型枠背後にコンクリート未充填部分5があると型枠2からコンクリートに熱が伝わり難く、健全な箇所(コンクリート充填部分)に比べ型枠外側表面7が高温となることから、熱画像のうち高温を示す範囲が未充填部分と考えることができる。
コンクリート未充填部分5と健全部(コンクリート充填部分)との温度表示の相違を顕著に表すため、型枠外側表面7は給熱器8によって給熱される。その後、温度分布のムラがなくなるまで待機し、サーモグラフィ6で型枠外側表面7の温度が撮像される。なお、検査者(すなわち、給熱器8で給熱する給熱者9や、サーモグラフィ6で撮像するサーモグラフィ撮像者10、等)は、型枠2の外側(図1では鋼板の下側)に配置され、通常は仮設足場11の上で作業を行う。ここで確認されたコンクリート未充填部分5の位置を、コンクリート施工者(例えば、振動機4による締め固め作業を行う締め固め作業者12、等)に報告(通知)すれば、当該個所を再度入念に締め固めることによってコンクリート未充填部分5が除去できる。この場合、振動機4として型枠振動機を用いて締め固めを行うこともできる。
一方、一度にコンクリートを打設する範囲(以下、「コンクリート打設範囲13」という。)は、通常、橋の全幅(例えば10m程度)×打設長(例えば20m程度)と比較的広い範囲であることから、サーモグラフィで表示した熱画像上のコンクリート未充填部分5の位置を、この広いコンクリート打設範囲13内で特定することは難しい。そこで、図3に示すように、コンクリート打設範囲13をあらかじめ複数の検査区画14に分割しておけば、コンクリート未充填部分5の位置を特定しやすくなる。(なお、図3はコンクリート打設前の状態を示すものであるが、検査区画14を明確に図示する目的から、便宜上、鋼板上のリブや、スタッド、鉄筋等は省略して描いている。)例えば、コンクリート打設範囲13をメッシュ分割することで複数の検査区画14を設け、さらに各々の検査区画14に他の検査区画14と識別できる記号や名称(例えば、「A列の3」など)を付与し、熱画像上のコンクリート未充填部分5と検査区画14の識別記号を関連付けができれば、少なくともコンクリート打設範囲13内のうちどの検査区画14内にコンクリート未充填部分5が存在するかが分かる。つまり、検査区画14単位でコンクリート未充填部分5の位置を特定することができる。なお、コンクリート打設範囲13を複数の検査区画14に分割する手段としては、正方格子のメッシュ分割や三角形メッシュ分割、その他形状のメッシュ分割、あるいはメッシュ分割に限らず任意の分割、など種々の分割方法を用いることができる。
熱画像上のコンクリート未充填部分5と検査区画14の識別記号を関連付けるため、図4に示すように、型枠外側表面7に検査区画14を構成する罫線15を表示しておき、撮像対象の検査区画14とその識別記号を認識したうえでサーモグラフィ6による撮像を行うことができる。あるいは、型枠外側表面7上に検査区画14を構成する格子点(例えば、罫線15の交点)をマークし、この格子点上に反射体16を設置する。この反射体16を、型枠材の赤外線反射率とは異なる赤外線反射率を持つ材質で形成したものとすれば、サーモグラフィ6の熱画像上でも反射体16(つまり格子点)を認識することができるので、熱画像上で検査区画14を把握することができ、この結果、熱画像上のコンクリート未充填部分5と検査区画14の識別記号を関連付けることができる。この場合、前記格子点に代えて(あるいは加えて)型枠材の赤外線反射率とは異なる赤外線反射率を持つ材料で罫線15を表示することもできる。また、それぞれの検査区画14の識別記号を示す表示体(識別記号を形取った物など)を型枠外側表面7に設置しておけば、他の資料を参照することなく直ちに検査区画14の識別記号が認識できて好適である。その表示体を型枠材の赤外線反射率とは異なる赤外線反射率を持つ材料で形成し、該当する検査区画14内に設置しておけば、サーモグラフィ6で表示した熱画像上で検査区画14及びその識別記号が認識できてさらに好適である。
検査区画14の区画割りが任意に設定できるのは前述のとおりであるが、検査区画14の面積(一単位の面積)はサーモグラフィの撮像方法なども踏まえて適切に設定することが望ましい。検査区画14の面積を小さくするほど、コンクリート未充填部分5の位置をコンクリート打設範囲13内で正確に特定できるものの、検査区画14を構成する罫線15や格子点を型枠外側表面7に表示する手間が増える。逆に、検査区画14の面積を大きくするほど、罫線15や格子点を型枠外側表面7に表示する手間は省けるが、コンクリート未充填部分5を特定する位置精度が悪くなる。
一方、サーモグラフィ6は、撮像対象から離れるほど一度に広い範囲を撮像することができるがその計測精度は低くなり、計測対象に近づくほど撮像範囲が狭くなってその計測精度は高くなる。サーモグラフィ6が一度に撮像する範囲(以下、単に「撮像範囲」という。)は、使用するサーモグラフィ6の仕様やサーモグラフィ6を設置する環境等に基づいて設定する。本願発明の場合、機器仕様や施工環境等によっても異なるが、サーモグラフィ6の撮像範囲は50cm×50cm〜2m×2m程度とすることが望ましい。さらに前述した検査区画14の面積をこのサーモグラフィの撮像範囲と同等とすると、熱画像と検査区画14との関連付け作業、あるいは撮像作業そのものが容易となって好適である。
コンクリート未充填部分5を検出しその位置を特定できると、コンクリート施工中にコンクリート未充填部分5を除去することができる。そのためには、締め固め作業者12にコンクリート未充填部分5の位置を的確に伝える必要がある。しかしながら、熱画像を表示するサーモグラフィ6は型枠2の外側に設置されており、一方、締め固め作業者12は型枠2の内側に配置されているためこの熱画像を確認することができない。つまり、型枠2の外側ではコンクリート未充填部分5の存在する検査区画14を特定できたとしても、締め固め作業者12は広いコンクリート打設範囲13内のうちどこに未充填部分があるか把握することができない。そこで、図3に示すように、検査区画14を特定できる識別標識17を型枠2の内側に設けることが望ましい。例えば、橋軸方向に設置された識別標識17aにA、B、C・・・、橋軸直角方向に設置された識別標識17bに1、2、3・・・、と表示しておけば、型枠2の外側で特定したコンクリート未充填部分5のある検査区画14の識別記号(例えば、「B−2」)を無線18によって通知することで、締め固め作業者12は再度締め固め作業を行うべき検査区画14(B−2)を容易に認識することができる。
あるいは、型枠2の内側の締め固め作業者12には通知せずに、コンクリート未充填部分5の除去作業は型枠振動機などを用いて型枠2の外側から締め固めること、とすることもできる。この場合、検査区画14を目視確認できる識別標識17を、型枠2の内側に設ける必要がないので好適である。
図5は、本願発明の一連の流れを示すフローチャートである。図5に示すように、このフローチャートは、コンクリート打設前、打設中、打設後の大きく3段階に分けられ、それぞれの段階でさらに細かい手順(以下、「工程」という。)が設けられている。打設前ではコンクリート施工のための計画や準備が行われ、打設中にはコンクリート打設、サーモグラフィ6による未充填箇所の検出やその除去などが行われ、打設後はコンクリート施工に関する報告書作成などが行われる。以下、図5のフローチャートに示す各工程について詳述する。
(コンクリート打設前)
コンクリート打設前には、検査計画工程(S1)、検査区画の決定と罫書き工程(S2)、検査手順の確認工程(S3)、熱画像誤認要因の検出工程(S4)、などが実施される。
検査計画工程(S1)は、コンクリート施工計画の一環として行われ、使用するサーモグラフィの選定や、サーモグラフィ6による撮像範囲、撮像体制、などおもにサーモグラフィ6の撮像に関することが計画される。また、ここで計画された内容は、通常、検査計画書としてまとめられて関係者に配布される。
検査区画14の決定と罫書き工程(S2)では、サーモグラフィ6による撮像が行われる検査区画14の区画割り(例えば、メッシュの分割方法)が決められ、またこの「区画割り」に基づいて型枠外側表面7に罫線15を表示する作業が行われる。当該実施形態のように合成鋼床版の場合は、型枠2である鋼板がそのまま構造物として残るため、罫線15は施工後に除去されることが望ましい。従って、チョークなどによって型枠外側表面7に罫線15を表示する。一方、型枠脱型方式の場合は、必ずしも施工後に罫線15を除去する必要がないので、水糸による墨うち、ペンキによるマーキング、工場でのインキング、など他の方法を採ることもできる。また、前述したように、型枠材の赤外線反射率とは異なる赤外線反射率を持つ材料を使って罫線15を表示すれば、サーモグラフィ6の熱画像上でも罫線15を確認できるので好適である。
このとき、罫線15同士の交点、すなわち検査区画14を構成する格子点に、反射体16を設置する(図4)。この反射体16は、合成鋼床版の場合、脱着自在のマグネット式のものが望ましく、型枠脱型方式の場合であれば溶接等によって型枠外側表面7に固定することもできる。反射体16は、型枠材の赤外線反射率とは異なる赤外線反射率を持つ材質で形成されたものがよい。これによって、サーモグラフィ6の熱画像上でも反射体16(格子点)を認識することができ、すなわち熱画像上で検査区画14を把握することができるので好適となる。なお、合成鋼床版の場合、工事完成後に罫線15や反射体16は除去されるが、他に用途があれば罫線15や反射体16をそのまま残しておくこともできる。
検査手順の確認工程(S3)では、検査当日の作業を迅速かつ効率良く行う目的で、コンクリート打設前日までに関係者間で検査手順が十分確認される。例えば、事前に撮影現場で検査手順一連のシミュレーションを実施すれば、三脚の据付けに支障がないよう足場が設置されているか、検査路や横桁によって撮影が困難となる箇所はないか、給熱は一様に行えるか等を確認することができて、問題がある場合には事前に解決しておくこともできる。なお、ここでいう「検査」とは、サーモグラフィ6で型枠外側表面7を撮像し、この結果を熱画像として表示し、コンクリート未充填部分5の有無及びその位置を判断することを意味する。
熱画像誤認要因の検出工程(S4)では、検査に先立って熱画像誤認要因が検出され、可能であれば除去する作業が行われる。型枠2からは自身の赤外線エネルギーが放射されるが、そのほか周辺物が放射した赤外線エネルギーを反射する場合があり、この赤外線エネルギー反射による影響が大きいと、正しく熱画像を判断できない。また、型枠2の内側に諸部材が設置されている場合なども、正しい熱画像の判断ができないことがある(例えば、コンクリート未充填部分5が存在しないにもかかわらず、それが存在すると誤認してしまうおそれがある)。そこで、赤外線エネルギーを放射しそうな周辺物を「熱画像誤認要因」としてあらかじめ検出しておく。この熱画像誤認要因としては、鋼板に溶接してあるリブ(図1)やスタッド、著しい汚れや塗装むら、その他発熱する機械や、作業員、日射の反射等が挙げられる。これら熱画像誤認要因はできるだけ除去しておくことが望ましいが、除去できないものあるため、残った熱画像誤認要因については、マップ図等へ記入し、あるいはデジタルカメラ等で撮影し、熱画像誤認要因検出結果として記録しておく。熱画像を確認しながらコンクリート未充填部分5を判断する際、この熱画像誤認要因検出結果もあわせて参考にすることで、より正確に判断することができる。
(コンクリート打設中)
コンクリート打設中には、振動機通過位置の確認工程(S5)、検査区画への給熱工程(S6)、熱画像の撮像工程(S7)、などが実施される。
コンクリート打設は、計画されたコンクリート打設範囲13全体にわたって順次行われていく。コンクリートが所定打設高さに近づくと、締め固め作業者12が振動機4でコンクリートを締め固めながら移動していく。一般的には、締め固め作業者12は橋軸直角方向に進み、端部まで行くと折り返してこれまでとは反対方向に再び進み、このように蛇行しながら徐々に橋軸方向へと進んでいき締め固めを行う。
振動機通過位置の確認工程(S5)では、締め固め作業者12が一つの検査区画14の締め固めを終えてその検査区画14を通過する際、当該検査区画14の識別記号が、型枠2の外側(図1では下側)に配置している給熱者9やサーモグラフィ撮像者10に通知される。通知手段としては、トランシーバー等の無線18(図1)や、携帯電話やPHS等の通信機器など音声による伝達のほか、締め固め作業者12が当該検査区画14に相当するスイッチを押すと型枠2の外側では該当する検査区画14で照明が点灯するなど視覚的に伝達させることもできる。また、締め固め作業者12が通過した検査区画14を特定する(識別番号を認識する)場合、橋軸方向及び橋軸直角方向に設置された識別標識17を目視することで行う。あるいは、測量機器やセンサーを使用して締め固め作業者12の移動を追跡し、検査区画14を通過する都度、給熱者9やサーモグラフィ撮像者10に通知することもできる。
検査区画への給熱工程(S6)では、前記の工程(S5)で通知を受けた検査区画14に対して給熱される。具体的には、給熱者9が給熱器8を用いて当該検査区画14の型枠外側表面7を加熱していく。この給熱器8には近赤外線ヒータ(例えば(株)トーコSIR−812T2)が適しているが、加熱することができれば種々のものを利用することができる。また、温度ムラが生じないよう、適切な給熱距離を保ちながら、適切な時間で給熱することが望ましい。一例をあげれば、型枠2と給熱器8との間隔(給熱距離)は5〜10cmとし、給熱時間は15〜30秒とし、給熱器8を移動させる速度は毎秒10cmとすることがきる。適切にコンクリート未充填部分5を検出するためには、検査区画14全体の温度を一様に上昇させることが効果的である。
熱画像の撮像工程(S7)では、サーモグラフィ6による熱画像の撮像が行われる。なお、赤外線サーモグラフィのピント合わせには、メッシュ格点に設置してある反射体16を利用すると良い。サーモグラフィ6による撮像が開始されると、その画面上には常に熱画像が表示される。この熱画像は、所定の温度帯(レンジ)ごとに色彩(或いは濃淡)を分けた温度分布として表現される温度分布画像であり、このうち相対的に高温を示す範囲がコンクリート未充填部分5と判断することができる。
熱画像の判定工程(S8)は、熱画像を確認しながらコンクリート未充填部分5を検出する工程である。熱画像を判定する場合、給熱器8による給熱後、温度ムラが落ち着くまで一定時間待機するのがよい。ここでいう温度ムラとは、給熱者9が完全に一様な給熱を実施できなかった場合に生じてしまう温度差のことである。
温度分布画像のうち相対的に高温を示す範囲がコンクリート未充填部分5と判断するわけであるが、高温と判断する基準は事前に設けておいた方がよい。図6は、部分的にコンクリート未充填箇所(模擬剥離)を設けた鋼板型枠に対して給熱した実験結果であり、給熱前、給熱から15秒後、給熱から30秒後の3段階に分けて鋼板の一側線の温度分布を表している。この図に示すように、模擬剥離A点では給熱前に比べると5℃度程度上表している。また、給熱後15秒後、30秒後の結果を見てみると、模擬剥離A点では周辺の健全部G点に比べ3℃以上高温である。この結果から、温度分布画像のうちコンクリート未充填部分5と判断する温度条件を、「周辺より約3℃以上高温となる状態を給熱後一定時間(約15〜30秒以上)維持し、かつ給熱前後の温度差が約5℃以上である」とすることができる。
この温度条件によって、直ちにコンクリート未充填部分5と判断し、温度分布画像からコンクリート未充填部分5を検出することもできるが、さらにコンクリート未充填部分5の大きさに閾値を設けてコンクリート未充填部分5を判断することもできる。具体的には、熱画像の判定工程(S8)すなわちコンクリート未充填部分5の検出工程を、未充填候補範囲として抽出する「候補抽出工程」と、コンクリート未充填部分とする「判別工程」と、に分ける。候補抽出工程では、型枠表面の温度分布画像を確認し、前記した温度条件によってコンクリート未充填部分5と判断できる範囲を「未充填候補範囲」として抽出する。次に判別工程で、抽出された「未充填候補範囲」のうち、事前に定めた閾値と照らし合わせこの閾値を超える「未充填候補範囲」をコンクリート未充填部分5と判断して検出する。この閾値はコンクリート未充填部分5の面積とすることができる。つまり比較的小さい(面積が小さい)ものはコンクリート未充填部分5ではない、あるいは有害なコンクリート未充填部分5ではないと判断するのである。これによって、より有効(現実的)なコンクリート未充填部分5のみを検出することができる。
当該工程(検出工程)は、コンクリートが硬化する前にコンクリート未充填部分5を検出すべく迅速に行う必要がある。よって、「未充填候補範囲」が閾値に相当する面積(以下、「閾値面積」という。)を超えるか否の判断も、速やかに行う必要がある。そこで、図7に示す寸法表示器19を使用することができる。この寸法表示器19は閾値面積を示すものであり、外周4辺を形成する定規部19aと、この定規部19aで囲まれた空間部19bと、持ち手19cからなる。この定規部19aの内寸は、閾値面積に相当する寸法であり、例えば閾値面積を16cm×16cm(約250cm)とすると、図7に示すように定規部19aの内寸も16cmが刻まれる。つまり、温度条件によって抽出された「未充填候補範囲」に該当する位置(型枠外側表面7の位置)に、この寸法表示器19を当てて(図4)、大きさを比べれば、「未充填候補範囲」が閾値面積を超えるか否かを直ちに判断できる。図8(a)は、閾値面積を超える「未充填候補範囲」に寸法表示器19を当てた状態を示し、図8(b)は、閾値面積を超えない「未充填候補範囲」に寸法表示器19を当てた状態を示している。これらの図からも、「未充填候補範囲」が閾値面積を超えるか否か、つまりコンクリート未充填部分5と判断できるか否かを明確かつ速やかに判断することができるのが分かる。
また、寸法表示器19のうち定規部19aを型枠材の赤外線反射率とは異なる赤外線反射率を持つ材料で形成すれば、型枠外側表面7に当てた寸法表示器19がサーモグラフィ6の熱画像上でもはっきり把握できる。つまり、サーモグラフィ6のモニタ上で、図8(a)や図8(b)に示す状態が確認できるので、コンクリート未充填部分5の判断がさらに迅速に行える。
熱画像の判定工程(S8)で、コンクリート未充填部分5が存在すると判断された場合、打設管理者や締め固め作業者12に報告される(S9)。この報告を行う通知手段は、振動機通過位置の確認工程(S5)で説明したように、トランシーバー等の無線18や、携帯電話やPHS等の通信機器など音声による伝達のほか、検査責任者(給熱者9やサーモグラフィ撮像者10、等)がパソコン20(図1)を操作することで、型枠2の内側に設置されたモニタに当該検査区画14の識別記号を表示させるなど視覚的に伝達させることもできる。
コンクリート未充填部分5が存在するとの報告を受けた打設管理者や締め固め作業者12は、当該検査区画14がまだ締め固め可能か否かの判断を行う(S10)。コンクリートの投入から相当時間が経過すると、コンクリートの硬化が始まってしまうので締め固めが困難となる。締め固め不能と判断した場合、コンクリート未充填部分5が残る検査区画14を記録しておき、将来の対策のための参考資料とする(S11)。一方、S10で締め固め可能と判断された場合は、締め固め作業者12が当該検査区画14に移動して、再度締め固めを行い、コンクリート未充填部分5を除去する(S12)。なお、締め固め作業者12が当該検査区画14を特定する方法は、振動機通過位置の確認工程(S5)で述べたとおりである。
締め固め作業者12が、振動機4によって締め固めを行い、コンクリート未充填部分5を除去する除去工程を終えると、再び振動機通過位置の確認工程(S5)に戻り、除去工程を実施した検査区画14の識別記号を、給熱者9やサーモグラフィ撮像者10に通知する。その後、給熱工程(S6)、撮像工程(S7)、判定工程(S8)が行われる。この一連の作業は、当該検査区画14からコンクリート未充填部分5が確認されなくなるか、締め固め不能と判断されるまで繰り返すことができる。以上、確認工程(S5)から除去工程(S12)までの一連の工程は、全ての検査区画14が完了するまで繰り返し実施される(S13、S14)。
なお、コンクリート未充填部分5の除去工程は、型枠振動機などを用いて型枠2の外側から締め固めることとすることもできる。この場合、判定工程(S8)でコンクリート未充填部分5の存在を確認すると、打設管理者や締め固め作業者12には通知せず、型枠2の外側に配置された作業者が型枠振動機を操作しながら、コンクリート未充填部分5が確認されなくなるまで除去作業(型枠振動機による締め固め)を行う。
(コンクリート打設後)
コンクリート打設後は、熱画像の記録確認工程(S15)、熱画像のまとめ工程(S16)、検査報告書の作成工程(S17)などが実施される。
撮像工程(S7)では、適宜、熱画像を記録・保存していくが、この熱画像が正しく記録・保存されていることを熱画像の記録確認工程(S15)で確認する。この確認を経て、記録された熱画像を、時系列さらには検査区画14ごと整理していく(S16)。整理された熱画像や除去されずに残ったコンクリート未充填部分5の記録を含め、検査で行われた種々の内容を記録した報告書を作成する。
本願発明の熱画像を利用したコンクリートの施工方法は、橋梁の合成鋼床版の施工で使用する場合に限らず、鉛直方向姿勢に型枠を組み立てる橋脚や橋台をはじめ、トンネルの覆工コンクリート、ダムコンクリート、ビルなど建築物を構成する壁や床のコンクリート等、様々なコンクリート構造物で応用することができる。
1 合成鋼床版
2 型枠
3 (コンクリートポンプ車の)ホース
4 振動機
5 コンクリート未充填部分
6 サーモグラフィ
7 型枠外側表面
8 給熱器
9 給熱者
10 サーモグラフィ撮像者
11 仮設足場
12 締め固め作業者
13 コンクリート打設範囲
14 検査区画
15 罫線
16 反射体
17 識別標識
17a 橋軸方向に設置された識別標識
17b 橋軸直角方向に設置された識別標識
18 無線
19 寸法表示器
19a (寸法表示器の)定規部
19b (寸法表示器の)空間部
19c (寸法表示器の)持ち手
20 パソコン

Claims (5)

  1. 熱画像を利用したコンクリートの施工方法において、
    コンクリート施工範囲を複数の検査区画に分割し、
    コンクリート施工中に、前記検査区画単位で型枠に給熱する給熱工程と、
    前記給熱工程後に、コンクリート打設用の型枠の外側表面温度を、サーモグラフィによって前記検査区画ごとに撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程で得られた型枠外側表面の温度分布画像に基づいて、前記検査区画ごとにコンクリート未充填部分を検出する検出工程と、
    前記検出工程で検出されたコンクリート未充填部分を、振動機の締め固めによって除去する除去工程と、を備えたことを特徴とする熱画像を利用したコンクリートの施工方法。
  2. 請求項1記載の熱画像を利用したコンクリートの施工方法において、
    型枠のコンクリート施工側にコンクリートの施工を行うコンクリート施工者を配置するとともに、型枠の外側にサーモグラフィによって撮像を行う検査者を配置し、
    コンクリート施工者は、一の検査区画におけるコンクリートの締め固めを終えると、通信手段によって検査者に当該検査区画を報告し、
    通信手段によって前記作業終了報告を受けた検査者は、給熱工程を開始して、検出工程を実施するとともに、通信手段によってコンクリート未充填部分のある検査区画をコンクリート施工者に通知し、
    コンクリート未充填部分のある検査区画の通知を受けたコンクリート施工者は、当該検査区画に対して除去工程を実施することを特徴とする熱画像を利用したコンクリートの施工方法。
  3. 請求項2記載の熱画像を利用したコンクリートの施工方法において、
    型枠とは異なる赤外線反射率の材質からなる反射体を、型枠の外側表面であって検査区画を構成する格子点に配置し、
    検査者が、型枠外側表面の温度分布画像上で前記反射体の位置を確認することによって、撮像対象としている検査区画を特定し得ることを特徴とする熱画像を利用したコンクリートの施工方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱画像を利用したコンクリートの施工方法において、
    コンクリート未充填部分を検出する検出工程が、型枠外側表面の温度分布画像のうち相対的に高温を示す範囲を未充填候補範囲として抽出する候補抽出工程と、この未充填候補範囲の面積が閾値を超えるものをコンクリート未充填部分とする判別工程と、に分けられ、
    前記判別工程では、前記閾値に相当する面積を示しかつ型枠とは異なる赤外線反射率の材料によって形成された寸法表示器を、型枠の外側表面であって前記候補抽出工程で抽出された未充填候補範囲に当て、温度分布画像上で未充填候補範囲と寸法表示器の大きさを比較することによってコンクリート未充填部分を判別することを特徴とする熱画像を利用したコンクリートの施工方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱画像を利用したコンクリートの施工方法において、
    型枠として鋼板を用い、この鋼板に対して給熱工程及び撮像工程を実施し、
    コンクリート硬化後も前記鋼板を脱型することなく構造部材として使用することを特徴とする熱画像を利用したコンクリートの施工方法。
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