JP2019189702A - フッ素ゴム組成物、その架橋物およびホース - Google Patents
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Abstract
【課題】架橋物のゴム物性が良好であるとともに、架橋物が高温下に長時間置かれてもゴム性能の低下を抑えられるフッ素ゴム組成物、該フッ素ゴム組成物の架橋物、該架橋物からなるホース、およびフッ素ゴム組成物の製造方法の提供。【解決手段】フッ素ゴム、架橋剤及び単層カーボンナノチューブを含有し、フッ素ゴム100質量部に対して架橋剤を0.01〜20質量部、単層カーボンナノチューブを0.1〜100質量部含み、前記フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体であり、前記単層カーボンナノチューブは、その平均直径が2〜10nmであり、前記架橋剤は、有機過酸化物である、フッ素ゴム組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、カーボンナノチューブを含有するフッ素ゴム組成物に関する。
フッ素ゴムは、耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れた架橋物品を提供できる特性を有しているため、自動車、産業機械、OA機器、電気電子機器等の各種分野で使用されている。中でも自動車や産業機械用の高耐熱エアーホースや高耐熱燃料ホースとして用いることが挙げられる。例えば特許文献1には、アクリルゴムとフッ素ゴムの組成物を架橋してなる層とフッ素ゴムを架橋してなる層を有する耐熱エアーゴムホースが記載されている。
特許文献1に記載された耐熱エアーゴムホースは、有機過酸化物を架橋剤とすることにより耐熱性に優れるとともに、カーボンブラックを含むことにより強度の高い架橋ゴム層を形成できる。しかし、過酸化物を含む場合は、高温に長時間放置されると軟化劣化を生じる可能性があるため、高温下に長時間おかれる用途には使う際には注意を要する。
本発明は、架橋物のゴム物性が良好であるとともに、架橋物が高温下に長時間置かれてもゴム性能の低下を抑えられるフッ素ゴム組成物、該フッ素ゴム組成物の架橋物、および該架橋物からなるホースを提供する。
[1]フッ素ゴム、架橋剤及び単層カーボンナノチューブを含有し、フッ素ゴム100質量部に対して架橋剤を0.01〜20質量部、単層カーボンナノチューブを0.1〜10質量部含み、
前記フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体であり、
前記単層カーボンナノチューブは、その平均直径が2〜10nmであり、
前記架橋剤は、有機過酸化物である、フッ素ゴム組成物。
[2]前記単層カーボンナノチューブのG/D比が1〜5である、[1]に記載のフッ素ゴム組成物。
[3]前記単層カーボンナノチューブのBET比表面積が600m2/g以上である、[1]または[2]に記載のフッ素ゴム組成物。
[4]前記フッ素ゴム100質量部に対して架橋剤を0.01〜10質量部含む[1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
[5]前記フッ素ゴム100質量部に対して更に架橋助剤を0.1〜10質量部含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
[6]体積抵抗率が103Ω・cm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物の架橋物。
[8]引張強度の低下率が10%以下、伸びの増大率が30%以下である、[7]に記載の架橋物。
[9][7]または[8]に記載の架橋物からなるホース。
前記フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体であり、
前記単層カーボンナノチューブは、その平均直径が2〜10nmであり、
前記架橋剤は、有機過酸化物である、フッ素ゴム組成物。
[2]前記単層カーボンナノチューブのG/D比が1〜5である、[1]に記載のフッ素ゴム組成物。
[3]前記単層カーボンナノチューブのBET比表面積が600m2/g以上である、[1]または[2]に記載のフッ素ゴム組成物。
[4]前記フッ素ゴム100質量部に対して架橋剤を0.01〜10質量部含む[1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
[5]前記フッ素ゴム100質量部に対して更に架橋助剤を0.1〜10質量部含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
[6]体積抵抗率が103Ω・cm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のフッ素ゴム組成物の架橋物。
[8]引張強度の低下率が10%以下、伸びの増大率が30%以下である、[7]に記載の架橋物。
[9][7]または[8]に記載の架橋物からなるホース。
本発明のフッ素ゴム組成物は、架橋物のゴム物性が良好であり、該架橋物は高温下に長時間置かれても軟化劣化が抑制され、ゴム性能が低下しにくい。このようなフッ素ゴム組成物の架橋物は耐熱ホース用途として好適である。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「単量体」とは、重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。重合性不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合、三重結合等が例示される。
「単量体に基づく単位」とは、単量体1分子が重合することで直接形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換することで得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」を「単量体単位」とも記す。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素−炭素原子間に1個存在する酸素原子である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
「単量体」とは、重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。重合性不飽和結合としては、炭素原子間の二重結合、三重結合等が例示される。
「単量体に基づく単位」とは、単量体1分子が重合することで直接形成される原子団と、該原子団の一部を化学変換することで得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」を「単量体単位」とも記す。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素−炭素原子間に1個存在する酸素原子である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
<フッ素ゴム組成物>
本発明のフッ素ゴム組成物(以下、本発明の組成物とも記す。におけるフッ素ゴムは、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)に基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体、TFE単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとも記す。)に基づく単位を有する共重合体、又はヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPとも記す。)に基づく単位及びフッ化ビニリデン(以下、VdFとも記す。)に基づく単位を有する共重合体であるのが好ましい。
本発明のフッ素ゴム組成物(以下、本発明の組成物とも記す。におけるフッ素ゴムは、テトラフルオロエチレン(以下、TFEとも記す。)に基づく単位及びプロピレンに基づく単位を有する共重合体、TFE単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEとも記す。)に基づく単位を有する共重合体、又はヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPとも記す。)に基づく単位及びフッ化ビニリデン(以下、VdFとも記す。)に基づく単位を有する共重合体であるのが好ましい。
各共重合体は、一般的なラジカル重合法によって得られる。ラジカル重合法として、例えば、ヨウ素単体又はヨウ素化合物存在下にラジカル重合するヨウ素移動重合法などのリビングラジカル重合法が挙げられる。
TFE単位及びプロピレン単位(以下、P単位とも記す。)を有する共重合体として、国際公開第2009/119202号、及び国際公開第2017/057512号に記載の共重合体等が例示される。
HFP単位及びVdF単位を有する共重合体として、特開平06−306180号公報に記載の共重合体等が例示される。
TFE単位及びPAVE単位を有する共重合体として、米国特許第4035565号明細書、及び国際公開第2010/082633号に記載の共重合体等が例示される。
HFP単位及びVdF単位を有する共重合体として、特開平06−306180号公報に記載の共重合体等が例示される。
TFE単位及びPAVE単位を有する共重合体として、米国特許第4035565号明細書、及び国際公開第2010/082633号に記載の共重合体等が例示される。
好ましい共重合体として、以下の(1)〜(3)が例示できる。
(1)TFE単位とP単位を有し、全単位に対して、TFE単位とP単位の合計が65〜100モル%である共重合体(以下、TFE−P系共重合体という)。(2)HFP単位とVdF単位を有し、全単位に対して、HFP単位とVdF単位の合計が50〜100モル%である共重合体(以下、HFP−VdF系共重合体という)。(3)TFE単位とPAVE単位を有し、全単位に対してTFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モル%である共重合体(以下、TFE−PAVE系共重合体という)。
(1)TFE単位とP単位を有し、全単位に対して、TFE単位とP単位の合計が65〜100モル%である共重合体(以下、TFE−P系共重合体という)。(2)HFP単位とVdF単位を有し、全単位に対して、HFP単位とVdF単位の合計が50〜100モル%である共重合体(以下、HFP−VdF系共重合体という)。(3)TFE単位とPAVE単位を有し、全単位に対してTFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モル%である共重合体(以下、TFE−PAVE系共重合体という)。
(1)TFE−P系共重合体としては以下の(1−1)、(1−2)が例示できる。
(1−1)TFE単位とP単位の合計が65〜100モル%であり、TFE単位/P単位のモル比が30/70〜70/30、好ましくは45/55〜65/35、より好ましくは50/50〜60/40である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
TFE単位及びP単位以外の他の単位としては、下記の他の単量体に基づく単位が例示できる。
他の単量体としては、モノフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、ジクロロジフルオロエチレン等のフッ素化オレフィン;エチレン、1−ブテン、イソブチレン等の炭化水素オレフィン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル)、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオロスチレンが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、35モル%以下が好ましく、33モル%以下がより好ましく、31モル%以下がさらに好ましい。
(1−1)TFE単位とP単位の合計が65〜100モル%であり、TFE単位/P単位のモル比が30/70〜70/30、好ましくは45/55〜65/35、より好ましくは50/50〜60/40である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
TFE単位及びP単位以外の他の単位としては、下記の他の単量体に基づく単位が例示できる。
他の単量体としては、モノフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、ジクロロジフルオロエチレン等のフッ素化オレフィン;エチレン、1−ブテン、イソブチレン等の炭化水素オレフィン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル)、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオロスチレンが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、35モル%以下が好ましく、33モル%以下がより好ましく、31モル%以下がさらに好ましい。
(1−2)TFE単位とP単位と下式(I)で表される単量体Iに基づく単位Iの1種以上を含み、TFE単位とP単位と単位Iの合計が98〜100モル%である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
CR1R2=CR3−R4−CR5=CR6R7 ・・・(I)
(式(I)中、R1、R2、R3、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はメチル基であり、R4は、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキレン基又は前記パーフルオロアルキレン基の両末端、片末端もしくは炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基である。)
単量体Iとしては、CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2、CH2=CH(CF2)6CH=CH2が例示できる。
全単位に対する単位Iの含有量は0.1〜1.5モル%が好ましく、0.15〜0.8モル%がより好ましく、0.25〜0.6モル%がさらに好ましい。
TFE単位/P単位のモル比は30/70〜99/1が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
TFE単位、P単位及び単位I以外の他の単位としては、下記の含フッ素系単量体又は非フッ素系単量体に基づく単位が例示できる。
含フッ素系単量体としてはフッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、CH2=CHCF3、CH2=CHCF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF2CF3が例示できる。
非フッ素系単量体としては、イソブチレン、ペンテン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニルが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、2.0モル%以下が好ましく、1.0モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が特に好ましい。
CR1R2=CR3−R4−CR5=CR6R7 ・・・(I)
(式(I)中、R1、R2、R3、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はメチル基であり、R4は、炭素原子数1〜10のパーフルオロアルキレン基又は前記パーフルオロアルキレン基の両末端、片末端もしくは炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基である。)
単量体Iとしては、CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2、CH2=CH(CF2)6CH=CH2が例示できる。
全単位に対する単位Iの含有量は0.1〜1.5モル%が好ましく、0.15〜0.8モル%がより好ましく、0.25〜0.6モル%がさらに好ましい。
TFE単位/P単位のモル比は30/70〜99/1が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
TFE単位、P単位及び単位I以外の他の単位としては、下記の含フッ素系単量体又は非フッ素系単量体に基づく単位が例示できる。
含フッ素系単量体としてはフッ化ビニル、ペンタフルオロプロピレン、パーフルオロシクロブテン、CH2=CHCF3、CH2=CHCF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF2CF3が例示できる。
非フッ素系単量体としては、イソブチレン、ペンテン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニルが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、2.0モル%以下が好ましく、1.0モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が特に好ましい。
TFE−P系共重合体の市販品として、「アフラス100S」、「アフラス100H」、「アフラス150P」、「アフラス150E」、「アフラス150L」、「アフラス150C」、「アフラス150CS」、「アフラス300S」(以上、旭硝子社製)等が例示される。
(2)HFP−VdF系共重合体としては以下の(2−1)、(2−2)が例示できる。
(2−1)HFP単位とVdF単位の合計が50〜100モルであり、VdF単位/HFP単位のモル比が60/40〜95/5、好ましくは70/30〜90/10、より好ましくは75/25〜85/15である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
HFP単位及びVdF単位以外の他の単位としては、下記の他の単量体に基づく単位が例示できる。
他の単量体としては、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、エチレン、エチリデンノルボルネン、クロトン酸ビニルが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
(2−1)HFP単位とVdF単位の合計が50〜100モルであり、VdF単位/HFP単位のモル比が60/40〜95/5、好ましくは70/30〜90/10、より好ましくは75/25〜85/15である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
HFP単位及びVdF単位以外の他の単位としては、下記の他の単量体に基づく単位が例示できる。
他の単量体としては、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、エチレン、エチリデンノルボルネン、クロトン酸ビニルが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
(2−2)HFP単位とVdF単位とTFE単位の合計が50〜100モルであり、且つTFE単位及びHFP単位に対するVdF単位のモル比が50〜65である場合において、TFE単位/HFP単位のモル比が5/45〜30/5、好ましくは15/35〜25/10、より好ましくは20/30〜20/15である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
HFP単位、VdF単位及びTFE単位以外の他の単位としては、前記(2−1)の他の単量体に基づく単位が例示できる。
全単位に対して、他の単位は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
HFP単位、VdF単位及びTFE単位以外の他の単位としては、前記(2−1)の他の単量体に基づく単位が例示できる。
全単位に対して、他の単位は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
HFP−VdF系共重合体の市販品として、「ダイエルG−801」、「ダイエルG−901」、「ダイエルG−902」、「ダイエルG−912」、「ダイエルG−952」、「ダイエルG−9074」、「ダイエルG−9062」(以上、ダイキン工業社製)、「バイトンGF−600S」(ケマーズ社製)、「テクノフロンP959」、「テクノフロンP459」、「テクノフロンP757」、「テクノフロンP457」(以上、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製)等が例示される。
(3)TFE−PAVE系共重合体としては以下の(3−1)、(3−2)、(3−3)が例示できる。
(3−1)TFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モルであり、TFE単位/PAVE単位のモル比が20/80〜80/20、好ましくは50/50〜80/20である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(メトキシエチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロポキシエチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)が例示できる。
TFE単位及びPAVE単位以外の他の単位としては、前記(2−1)の他の単量体に基づく単位、HFP、VdFが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
(3−1)TFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モルであり、TFE単位/PAVE単位のモル比が20/80〜80/20、好ましくは50/50〜80/20である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(メトキシエチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロポキシエチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)が例示できる。
TFE単位及びPAVE単位以外の他の単位としては、前記(2−1)の他の単量体に基づく単位、HFP、VdFが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。
(3−2)TFE単位とPAVE単位と下式(III)で表される単量体IIIに基づく単位IIIの1種以上を含み、TFE単位とPAVE単位と単位IIIの合計が50〜100モル%である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
CR11R12=CF−Q−R13−CO−Z ・・・(III)
(式(III)中、R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子であり、Qは単結合又はエーテル性酸素原子であり、R13はフルオロアルキレン基又は2以上のフルオロアルキレン基の少なくとも片末端もしくは炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基であり、−Zは−OH、−OR14、−NR15R16、−NR17NR18H、又はNR19OR20であり、R14はアルキル基であり、R15、R16、R17、R18、R19、R20はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。)
R13がフルオロアルキレン基である場合、その炭素原子数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。
R13がエーテル性酸素原子を有するフルオロアルキレン基である場合、その炭素原子数は2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。エーテル性酸素原子は、フルオロアルキレン基の片末端、炭素−炭素結合間又はその両方に存在する。
R13がエーテル性酸素原子を有するフルオロアルキレン基である場合、パーフルオロアルキレン基が好ましい。
R14の炭素原子数は1〜6が好ましく、1又は2がより好ましい。
R15、R16、R17、R18、R19、R20は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素原子数1もしくは2のアルキル基がより好ましい。
−Zは−OR14がより好ましい。
単量体IIIとしては、
CF2=CFO(CF2)2COOCH3、
CF2=CFO(CF2)3COOCH3、
CF2=CFO(CF2)4COOCH3、
CF2=CFO(CF2)5COOCH3、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2COOCH3、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)3COOCH3、
CF2=CFO(CF2)2O(CF2)2COOCH3、
CF2=CFO(CF2)3O(CF2)2COOCH3、
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOCH3、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3が例示できる。
単位IIIの−Q−R13−CO−Zは、波長150〜300nmの光の照射により、−CO−Zが脱離する反応が生じ、−Q−R13・ラジカルが生じ、2つの−Q−R13・ラジカルが反応することにより、分子間の架橋構造(−Q−R13−R13−Q−)が形成される。
全単位に対する単位IIIの含有量は0.01〜100モル%が好ましく、0.1〜20モル%がより好ましく、0.1〜5モル%がさらに好ましい。
TFE単位/PAVE単位のモル比は5/95〜95/5が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、50/50〜70/30がさらに好ましい。
TFE単位とPAVE単位と単量体III以外の他の単位としては、国際公開第2015/098773号の段落[0041]に記載されている単位(4)が例示できる。
全単位に対して、他の単位は、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
前記共重合体の1g当たりの、−CO−Zで表される基の含有量は0.1〜4mmol/gが好ましく、0.1〜3mmol/gがより好ましく、0.3〜1mmol/gがさらに好ましい。
CR11R12=CF−Q−R13−CO−Z ・・・(III)
(式(III)中、R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子又はフッ素原子であり、Qは単結合又はエーテル性酸素原子であり、R13はフルオロアルキレン基又は2以上のフルオロアルキレン基の少なくとも片末端もしくは炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基であり、−Zは−OH、−OR14、−NR15R16、−NR17NR18H、又はNR19OR20であり、R14はアルキル基であり、R15、R16、R17、R18、R19、R20はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。)
R13がフルオロアルキレン基である場合、その炭素原子数は1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。
R13がエーテル性酸素原子を有するフルオロアルキレン基である場合、その炭素原子数は2〜10が好ましく、2〜6がより好ましい。エーテル性酸素原子は、フルオロアルキレン基の片末端、炭素−炭素結合間又はその両方に存在する。
R13がエーテル性酸素原子を有するフルオロアルキレン基である場合、パーフルオロアルキレン基が好ましい。
R14の炭素原子数は1〜6が好ましく、1又は2がより好ましい。
R15、R16、R17、R18、R19、R20は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素原子数1もしくは2のアルキル基がより好ましい。
−Zは−OR14がより好ましい。
単量体IIIとしては、
CF2=CFO(CF2)2COOCH3、
CF2=CFO(CF2)3COOCH3、
CF2=CFO(CF2)4COOCH3、
CF2=CFO(CF2)5COOCH3、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2COOCH3、
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)3COOCH3、
CF2=CFO(CF2)2O(CF2)2COOCH3、
CF2=CFO(CF2)3O(CF2)2COOCH3、
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOCH3、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOCH3が例示できる。
単位IIIの−Q−R13−CO−Zは、波長150〜300nmの光の照射により、−CO−Zが脱離する反応が生じ、−Q−R13・ラジカルが生じ、2つの−Q−R13・ラジカルが反応することにより、分子間の架橋構造(−Q−R13−R13−Q−)が形成される。
全単位に対する単位IIIの含有量は0.01〜100モル%が好ましく、0.1〜20モル%がより好ましく、0.1〜5モル%がさらに好ましい。
TFE単位/PAVE単位のモル比は5/95〜95/5が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、50/50〜70/30がさらに好ましい。
TFE単位とPAVE単位と単量体III以外の他の単位としては、国際公開第2015/098773号の段落[0041]に記載されている単位(4)が例示できる。
全単位に対して、他の単位は、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
前記共重合体の1g当たりの、−CO−Zで表される基の含有量は0.1〜4mmol/gが好ましく、0.1〜3mmol/gがより好ましく、0.3〜1mmol/gがさらに好ましい。
(3−3)TFE単位とPAVE単位の合計が50〜100モルであり、TFE単位/PAVE単位のモル比が92/8〜99/1、より好ましくは95/5〜99/1である共重合体。ヨウ素原子を0.01〜5.0質量%含んでもよい。
TFE単位及びPAVE単位以外の他の単位としては、前記(2−1)の他の単量体に基づく単位、HFP、VdFが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
TFE単位及びPAVE単位以外の他の単位としては、前記(2−1)の他の単量体に基づく単位、HFP、VdFが例示できる。
全単位に対して、他の単位は、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
以上で説明した(3)TFE−PAVE系共重合体の市販品として、バイトンGLT、バイトンGFLT(以上、ケマーズ社製)等が例示される。
共重合体の貯蔵せん断弾性率G’は、100kPa〜600kPaが好ましく、200kPa〜500kPaがより好ましく、200kPa〜400kPaがさらに好ましい。貯蔵せん断弾性率G’が大きい方が、重合体の分子量が大きく、分子鎖の絡み合いの密度も高いことを示す。共重合体の貯蔵せん断弾性率G’が前記範囲内であると、架橋ゴムの良好なゴム物性が得られやすい。貯蔵せん断弾性率G’の値は後述の方法により測定された値である。
本発明の組成物には、架橋剤が含まれる。架橋剤が含まれると、組成物中の共重合体同士が架橋してなる架橋物を容易に得ることができる。通常、架橋物はゴム弾性を有する架橋ゴムとなる。
架橋剤としては、耐スチーム性に優れる架橋ゴムが得られやすい点で、有機過酸化物が用いられる。
有機過酸化物としては、半減期が1分間となる温度が130〜220℃であるものが好ましい。具体的には、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ(tert−ブチル)ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン等が例示される。前記組成物に含まれる架橋剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の有機過酸化物の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。前記範囲内の含有量であると、優れた物性を有する架橋ゴムが容易に得られる。
架橋剤としては、耐スチーム性に優れる架橋ゴムが得られやすい点で、有機過酸化物が用いられる。
有機過酸化物としては、半減期が1分間となる温度が130〜220℃であるものが好ましい。具体的には、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ(tert−ブチル)ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン等が例示される。前記組成物に含まれる架橋剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の有機過酸化物の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。前記範囲内の含有量であると、優れた物性を有する架橋ゴムが容易に得られる。
本発明の組成物には、架橋助剤が含まれることが好ましい。架橋助剤が含まれると、組成物中の共重合体同士の架橋が円滑に進み、優れた物性を有する架橋ゴムが得られる。
架橋助剤としては、1分子内に2個以上の不飽和結合を有する化合物が例示される。架橋助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスマレイミド、エチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ジビニルベンゼン等が例示される。これらの中でもトリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが好ましい。前記組成物に含まれる架橋助剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の架橋助剤の含有量は、共重合体の100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましい。前記範囲内の含有量であると、前記組成物の架橋物の硬度、耐熱性等の物性が優れる。
架橋助剤としては、1分子内に2個以上の不飽和結合を有する化合物が例示される。架橋助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスマレイミド、エチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ジビニルベンゼン等が例示される。これらの中でもトリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが好ましい。前記組成物に含まれる架橋助剤は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中の架橋助剤の含有量は、共重合体の100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部がより好ましい。前記範囲内の含有量であると、前記組成物の架橋物の硬度、耐熱性等の物性が優れる。
本発明の組成物には、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、前記共重合体以外の樹脂からなる公知のエラストマー、添加剤等が例示される。
前記公知のエラストマーの含有量は、前記共重合体の100質量部に対して、0〜50質量部が好ましい。
前記公知のエラストマーの含有量は、前記共重合体の100質量部に対して、0〜50質量部が好ましい。
本発明の組成物中の単層カーボンナノチューブ(以下、単層CNTとも記す。)の含有量は本発明の組成物100質量部当たり、0.1質量部以上であり、0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましく、0.4質量部以上であることが特に好ましい。単層CNTの含有量が本発明の組成物100質量部当たり0.1質量部以上であると、高温放置下での軟化劣化が抑制され、ゴム性能の低下を抑えることができる。
また、本発明の組成物中の単層CNTの含有量は、本発明の組成物100質量部当たり、10質量部以下であり、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることが更に好ましく、3.5質量部以下であることが特に好ましい。単層CNTの含有量が本発明の組成物100質量部当たり10質量部以下である場合、適度な柔軟性を十分に維持することができる。
また、本発明の組成物中の単層CNTの含有量は、本発明の組成物100質量部当たり、10質量部以下であり、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることが更に好ましく、3.5質量部以下であることが特に好ましい。単層CNTの含有量が本発明の組成物100質量部当たり10質量部以下である場合、適度な柔軟性を十分に維持することができる。
ここで、単層CNTは、単層CNTを含むものであれば特に限定されることなく、単層CNTのみからなるものであってもよいし、単層CNTと多層CNTとの混合物であってもよいし、少なくとも単層CNTを含むCNTと、CNT以外の繊維状炭素ナノ構造体との混合物であってもよい。
そして、本発明の組成物を用いて形成した架橋物おいて高温放置下でのゴム性能の低下を抑制する観点からは、繊維状炭素ナノ構造体100本中の単層CNTの割合は、50本以上であることが好ましく、70本以上であることがより好ましく、90本以上であることが更に好ましい。
そして、本発明の組成物を用いて形成した架橋物おいて高温放置下でのゴム性能の低下を抑制する観点からは、繊維状炭素ナノ構造体100本中の単層CNTの割合は、50本以上であることが好ましく、70本以上であることがより好ましく、90本以上であることが更に好ましい。
また、単層CNTの平均直径(Av)は、2nm以上であることが好ましく、2.5nm以上であることが更に好ましく、10nm以下であることが好ましく、6nm以下であることが更に好ましい。単層CNTの平均直径(Av)が2nm以上であれば、高温放置下でのゴム物性の低下を抑制することができる。また、単層CNTの平均直径(Av)が10nm以下であれば、適度な柔軟性を十分に維持することができる。
また、単層CNTは、合成時における平均長さが100μm以上であることが好ましい。なお、合成時の長さが長いほど、分散時に単層CNTに破断や切断などの損傷が発生し易いので、合成時の平均長さは5000μm以下であることが好ましい。
そして、単層CNTのアスペクト比(長さ/直径)は、10を超えることが好ましい。なお、単層CNTのアスペクト比は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した単層CNT100本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
そして、単層CNTのアスペクト比(長さ/直径)は、10を超えることが好ましい。なお、単層CNTのアスペクト比は、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した単層CNT100本の直径および長さを測定し、直径と長さとの比(長さ/直径)の平均値を算出することにより求めることができる。
更に、単層CNTのBET比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、800m2/g以上であることが更に好ましく、2500m2/g以下であることが好ましく、1200m2/g以下であることが更に好ましい。単層CNTのBET比表面積が600m2/g以上であれば、高温放置下でのゴム物性の低下を抑制することができる。また、単層CNTのBET比表面積が2500m2/g以下であれば、適度な柔軟性を十分に維持することができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
ここで、単層CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピークの比(G/D比)が1以上5以下であることが好ましい。G/D比が1以上5以下であれば、フッ素ゴム組成物の機械的特性を向上させることができる。
また、単層CNTは、後述のスーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該単層CNTの質量密度は、0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm3以下であれば、単層CNT同士の結びつきが弱くなるので、本発明の組成物中で単層CNTを均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm3以上であれば、単層CNTの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
更に、単層CNTは、複数の微小孔を有することが好ましい。単層CNTは、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。単層CNTが上記のようなマイクロ孔を有することで、柔軟性を更に向上させることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、繊維状炭素ナノ構造体の調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、単層CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP−mini」(日本ベル株式会社製)を使用して求めることができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、単層CNTの液体窒素温度(77K)での窒素吸着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(I):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(I)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cm3である。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP−mini」(日本ベル株式会社製)を使用して求めることができる。
そして、上述した性状を有する単層CNTは、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。
本発明の組成物にカーボンブラックを含有させることも好ましい。カーボンブラックは、架橋ゴムの充填材としてだけでなく、架橋ゴムを補強する補強材としても有用である。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が例示される。これらのうち、補強性の点でファーネスブラックまたはサーマルブラックがより好ましい。具体的には、HAF−LS、HAF、HAF−HS、FEF、GPF、APF、SRF−LM、SRF−HM、MT等が例示される。前記組成物に含まれるカーボンブラックは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が例示される。これらのうち、補強性の点でファーネスブラックまたはサーマルブラックがより好ましい。具体的には、HAF−LS、HAF、HAF−HS、FEF、GPF、APF、SRF−LM、SRF−HM、MT等が例示される。前記組成物に含まれるカーボンブラックは、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記組成物中のカーボンブラックの含有量は、共重合体の100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、架橋ゴムの硬度が良好となり、上限値以下であると、架橋ゴムの伸びが良好となりやすい。
添加剤としては、充填剤、加工助剤、分散助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、接着助剤等が例示される。
親水性シリカ、珪藻土及びカーボンブラック以外の充填剤としては、石英粉末、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アスベスト、グラファイト、ワラストナイト、二硫化モリブデン、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維等が例示される。
加工助剤としては、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド等の脂肪酸誘導体、天然ワックス、合成ワックス、界面活性剤等が例示される。分散助剤としては、高級脂肪酸及びその金属アミン塩等が例示される。可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体が例示される。軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油が例示される。
老化防止剤としては、フェニレンジアミン、ヒンダードアミン、フォスフェート、キノリン、クレゾール、フェノール、ジチオカルバメート金属塩等が例示される。接着助剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が例示される。その他に、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を必要に応じて配合できる。
親水性シリカ、珪藻土及びカーボンブラック以外の充填剤としては、石英粉末、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アスベスト、グラファイト、ワラストナイト、二硫化モリブデン、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維等が例示される。
加工助剤としては、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド等の脂肪酸誘導体、天然ワックス、合成ワックス、界面活性剤等が例示される。分散助剤としては、高級脂肪酸及びその金属アミン塩等が例示される。可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体が例示される。軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油が例示される。
老化防止剤としては、フェニレンジアミン、ヒンダードアミン、フォスフェート、キノリン、クレゾール、フェノール、ジチオカルバメート金属塩等が例示される。接着助剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が例示される。その他に、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、粘着付与剤、滑剤等を必要に応じて配合できる。
フッ素ゴムと単層カーボンナノチューブとの混合物(マスターバッチ)の調整は、フッ素ゴム中に単層カーボンナノチューブを分散させることが可能な任意の混合方法を用いて行うことができる。具体的には、上記混合物(マスターバッチ)は、特に限定されることなく、(i)有機溶媒にフッ素ゴムを溶解させてなるフッ素ゴム溶液または分散媒にフッ素ゴムを分散させてなるフッ素ゴム分散液に対し、単層カーボンナノチューブを添加し、更にホモジナイザーや湿式ジェットミルなどを用いて単層カーボンナノチューブを分散処理してスラリーを調整した(スラリー調整工程)後、得られたスラリーとしての分散処理液から有機溶媒または分散媒を除去すること(除去工程)や、(ii)水に単層カーボンナノチューブを添加し、更にホモジナイザーや湿式ジェットミルなどを用いて単層カーボンナノチューブを分散処理して調整した単層カーボンナノチューブ水分散液に対し、フッ素ゴムラテックスを添加および混合した後(ラテックス分散液調整工程)、得られたスラリーから水を除去すること(除去工程)などにより、調整することができる。ラテックス分散液調整工程には界面活性剤や、分散剤を添加してもよい。なお、溶媒または分散媒の除去には、例えば凝固法、キャスト法または乾燥法を用いることができる。
なお、単層カーボンナノチューブを特に良好に分散させる観点からは、上記(ii)の方法が好ましい。一方、界面活性剤や分散剤がマスターバッチ中に残留すると界面滑り等を起こし、強度や導電性が劣ることがある。物性の観点からは、上記(i)の方法が好ましい。
なお、単層カーボンナノチューブを特に良好に分散させる観点からは、上記(ii)の方法が好ましい。一方、界面活性剤や分散剤がマスターバッチ中に残留すると界面滑り等を起こし、強度や導電性が劣ることがある。物性の観点からは、上記(i)の方法が好ましい。
本発明の組成物は、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機等の混練装置を用いる混練方法によって、前記フッ素ゴムと単層カーボンナノチューブとの混合物(マスターバッチ)に有機過酸化物の架橋剤を加え、さらに、必要に応じて、カーボンブラックやシリカ等の充填材、架橋助剤、加工助剤、受酸剤等の他の成分とを混合することにより調製できる。
フッ素ゴム組成物は、その体積抵抗率が103Ω・cm以下であることが好ましい。
<架橋ゴムの製造方法>
本発明の組成物の組成物を架橋する(加硫する)ことによりフッ素ゴム組成物の架橋物(以下、架橋ゴムとも記す。)が得られる。前記組成物を所望の形状に成形した後で架橋してもよいし、架橋した後で成形してもよい。成形方法及び架橋方法は特に限定されず、公知の方法が適用される。架橋方法としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋、被鉛架橋等が例示される。一次架橋と二次架橋に分けて架橋処理を行ってもよい。二段階に分けて架橋することにより、架橋ゴムのゴム特性等を安定化できる。一次架橋条件としては、100〜200℃で数秒〜24時間加熱する方法が例示される。二次架橋条件としては、100〜300℃で30分〜48時間程度加熱する方法が例示される。
本発明の組成物の組成物を架橋する(加硫する)ことによりフッ素ゴム組成物の架橋物(以下、架橋ゴムとも記す。)が得られる。前記組成物を所望の形状に成形した後で架橋してもよいし、架橋した後で成形してもよい。成形方法及び架橋方法は特に限定されず、公知の方法が適用される。架橋方法としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋、被鉛架橋等が例示される。一次架橋と二次架橋に分けて架橋処理を行ってもよい。二段階に分けて架橋することにより、架橋ゴムのゴム特性等を安定化できる。一次架橋条件としては、100〜200℃で数秒〜24時間加熱する方法が例示される。二次架橋条件としては、100〜300℃で30分〜48時間程度加熱する方法が例示される。
前記組成物からなる架橋ゴムの硬度は、60〜99が好ましく、60〜90がより好ましく、65〜85がさらに好ましい。
前記組成物からなる架橋ゴムの破断伸びは、100%以上が好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常500%以下である。
前記組成物からなる架橋ゴムの引張り強さ(強度)は、8MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましく、15MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常40MPa以下である。
前記組成物からなる架橋ゴムの100%引張応力は、3MPa以上が好ましく、4MPa以上がより好ましく、5MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常15MPa以下である。
前記組成物からなる架橋ゴムの圧縮永久歪は、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。下限は特に限定されないが、通常1%以上である。
前記組成物からなる架橋ゴムの比重は、通常、1.4〜1.8の範囲である。
以上の架橋ゴムの硬度、破断伸び、引張り強さ、引張応力、圧縮永久歪及び比重は、後述の方法で測定される値である。
前記組成物からなる架橋ゴムの破断伸びは、100%以上が好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常500%以下である。
前記組成物からなる架橋ゴムの引張り強さ(強度)は、8MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましく、15MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常40MPa以下である。
前記組成物からなる架橋ゴムの100%引張応力は、3MPa以上が好ましく、4MPa以上がより好ましく、5MPa以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常15MPa以下である。
前記組成物からなる架橋ゴムの圧縮永久歪は、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。下限は特に限定されないが、通常1%以上である。
前記組成物からなる架橋ゴムの比重は、通常、1.4〜1.8の範囲である。
以上の架橋ゴムの硬度、破断伸び、引張り強さ、引張応力、圧縮永久歪及び比重は、後述の方法で測定される値である。
本発明のホースの厚みは特に制限されないが、0.1〜10mmであることが好ましく、コストを抑える点で、0.1〜0.5mmがより好ましい。厚みが小さい場合は、ホースの強度を向上させる為に外層を設けてもよい。外層の材質は特に制限されないが、アクリルゴム、シリコーンゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴム、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が例示される。
なお、本発明のホースは、例えば、真空サイジング法によってストレート形状に成形しても、コルゲーターを用いて蛇腹構造に成形しても差し支えない。
本発明のホースは、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐圧性に優れており、高温高圧耐性が要求される自動車用のエアー系ホース(ターボエアーホース、ブローバイガス用ホース、エミッションコントロールホース等)の用途に特に好ましく用いられる。
なお、本発明のホースは、例えば、真空サイジング法によってストレート形状に成形しても、コルゲーターを用いて蛇腹構造に成形しても差し支えない。
本発明のホースは、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐圧性に優れており、高温高圧耐性が要求される自動車用のエアー系ホース(ターボエアーホース、ブローバイガス用ホース、エミッションコントロールホース等)の用途に特に好ましく用いられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[共重合体の組成]
共重合体の組成(各単位のモル比)は、19F−核磁気共鳴(NMR)分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析により求めた。
[共重合体のヨウ素含有量]
共重合体中のヨウ素含有量は、ダイアインスツルメンツ社製の自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF−100型とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置で定量した。
[共重合体の組成]
共重合体の組成(各単位のモル比)は、19F−核磁気共鳴(NMR)分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析により求めた。
[共重合体のヨウ素含有量]
共重合体中のヨウ素含有量は、ダイアインスツルメンツ社製の自動試料燃焼装置イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF−100型とイオンクロマトグラフを組み合わせた装置で定量した。
<架橋ゴムの物性評価>
[架橋物の初期物性(引張強さ、伸び、硬さ)の測定]
実施例および比較例で得られた組成物を、ホットプレスを用いて、一次架橋(架橋条件:170℃、20分)した後、二次架橋(架橋条件:170℃、4時間)することにより架橋ゴムを得た。得られた架橋ゴムを3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。次に、この試験片を用いて、初期物性を測定した。なお、硬さは、JIS K6253(2006)に従いデュロメーター硬さ試験機(タイプA)を用いて測定した。また、引張強さおよび伸びは、JIS K6251(2010)に従い測定した。
[架橋物の初期物性(引張強さ、伸び、硬さ)の測定]
実施例および比較例で得られた組成物を、ホットプレスを用いて、一次架橋(架橋条件:170℃、20分)した後、二次架橋(架橋条件:170℃、4時間)することにより架橋ゴムを得た。得られた架橋ゴムを3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。次に、この試験片を用いて、初期物性を測定した。なお、硬さは、JIS K6253(2006)に従いデュロメーター硬さ試験機(タイプA)を用いて測定した。また、引張強さおよび伸びは、JIS K6251(2010)に従い測定した。
<耐熱老化試験>
[架橋物の耐熱老化性の測定]
上記初期物性の測定で得られた架橋ゴムについて、耐熱老化性として、空気加熱老化性を測定した。空気加熱老化性は、JIS K6257(2010)に準拠して、250℃で168時間の試験条件、および250℃で504時間の試験条件で行い、引張強さ、伸び及び硬さを測定した。引張強さ及び伸びの評価は、空気加熱老化性の測定で得られた引張強さ及び伸びの、上記初期物性の測定で得られた引張強さ及び伸びに対する変化率をそれぞれ求めることにより行った。また、硬さの評価は、空気加熱老化性の測定で得られた硬さの、上記初期物性の測定で得られた硬さに対する変化量を求めることにより行った。
[架橋物の耐熱老化性の測定]
上記初期物性の測定で得られた架橋ゴムについて、耐熱老化性として、空気加熱老化性を測定した。空気加熱老化性は、JIS K6257(2010)に準拠して、250℃で168時間の試験条件、および250℃で504時間の試験条件で行い、引張強さ、伸び及び硬さを測定した。引張強さ及び伸びの評価は、空気加熱老化性の測定で得られた引張強さ及び伸びの、上記初期物性の測定で得られた引張強さ及び伸びに対する変化率をそれぞれ求めることにより行った。また、硬さの評価は、空気加熱老化性の測定で得られた硬さの、上記初期物性の測定で得られた硬さに対する変化量を求めることにより行った。
[体積抵抗率の測定]
上記初期物性の測定で得られた架橋ゴムについて、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)MCP−T610」)を用い、JIS K7194に準拠した方法で試料の体積抵抗率を測定した。具体的には、測定サンプルを絶縁ボードの上に固定し、試料上の任意の5箇所にプローブを押し当て、最大90Vの電圧をかけて体積抵抗率を測定した。そして、測定値の平均値を求めて、架橋ゴムの体積抵抗率とした。なお、抵抗率計の四端針プローブには、PSPプローブを選択した。
上記初期物性の測定で得られた架橋ゴムについて、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、製品名「ロレスタ(登録商標)MCP−T610」)を用い、JIS K7194に準拠した方法で試料の体積抵抗率を測定した。具体的には、測定サンプルを絶縁ボードの上に固定し、試料上の任意の5箇所にプローブを押し当て、最大90Vの電圧をかけて体積抵抗率を測定した。そして、測定値の平均値を求めて、架橋ゴムの体積抵抗率とした。なお、抵抗率計の四端針プローブには、PSPプローブを選択した。
<フッ素ゴム組成物に含まれる成分>
PM1100(旭硝子社製):TFE−PAVE系共重合体。
ZEONANO SG101(ゼオンナノテクノロジー社製):SWCNT(単層CNT、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m2/g、G/D比:2.1)
MT−C(旭カーボン社製):カーボンブラック。
TAIC WH60(日本化成社製):トリアリルイソシアヌレート。
P−25B:パーヘキサ(登録商標)25B(日油社製):2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン。
St−Ca:ステアリン酸カルシウム。
PM1100(旭硝子社製):TFE−PAVE系共重合体。
ZEONANO SG101(ゼオンナノテクノロジー社製):SWCNT(単層CNT、平均直径:3.5nm、平均長さ:400μm、BET比表面積:1050m2/g、G/D比:2.1)
MT−C(旭カーボン社製):カーボンブラック。
TAIC WH60(日本化成社製):トリアリルイソシアヌレート。
P−25B:パーヘキサ(登録商標)25B(日油社製):2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン。
St−Ca:ステアリン酸カルシウム。
表1に示す組成で実施例1および比較例1を調製した。
実施例1で得られたフッ素ゴム組成物は、その体積抵抗率が2.8×101Ω・cmであった。比較例1で得られたフッ素ゴム組成物は、その体積抵抗率が1.3×1015Ω・cmであった。実施例1および比較例1の初期物性を表2に、250℃で168時間の試験条件での結果を表3に、250℃で504時間の試験条件での結果を表4に、それぞれ示す。
単層カーボンナノチューブのかわりにカーボンブラックを含む比較例1の組成物は、本発明の組成物と比べて、250℃下に長時間置かれることにより各ゴム物性が大幅に低下し、耐熱老化性が低いことが分かった。
Claims (9)
- フッ素ゴム、架橋剤及び単層カーボンナノチューブを含有し、フッ素ゴム100質量部に対して架橋剤を0.01〜20質量部、単層カーボンナノチューブを0.1〜10質量部含み、
前記フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する共重合体であり、
前記単層カーボンナノチューブは、その平均直径が2〜10nmであり、
前記架橋剤は、有機過酸化物である、フッ素ゴム組成物。 - 前記単層カーボンナノチューブのG/D比が1〜5である、請求項1に記載のフッ素ゴム組成物。
- 前記単層カーボンナノチューブのBET比表面積が600m2/g以上である、請求項1または2に記載のフッ素ゴム組成物。
- 前記フッ素ゴム100質量部に対して架橋剤を0.01〜10質量部含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素ゴム組成物。
- 前記フッ素ゴム100質量部に対して更に架橋助剤を0.1〜10質量部含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ素ゴム組成物。
- 体積抵抗率が103Ω・cm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフッ素ゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフッ素ゴム組成物の架橋物。
- 引張強度の低下率が10%以下、伸びの増大率が30%以下である、請求項7に記載の架橋物。
- 請求項7または8に記載の架橋物からなるホース。
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