以下、図面を参照しながら一実施の形態について説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
また、以下の実施の形態において、「X方向」とは、運搬用台車の長手方向に平行かつ運搬用台車が配置される床面に平行な方向であり、「Y方向」とは、X方向に垂直かつ運搬用台車が配置される床面に平行な方向である。「Z方向」とは、鉛直方向に平行な方向である。また、「正面」とは、床面に垂直な面であって、ネスティングする際に他の運搬用台車が進入してくる方向を向く面をいい、「背面」とは、床面に垂直な面であって、正面に対向する面をいう。「天面」とは、床面に平行な面であって、運搬用台車の上方側の面をいい、「底面」とは、床面に平行な面であって、運搬用台車の下方側の面をいう。「側面」とは、床面に垂直な面であって、運搬用台車の長手方向端部側の面をいう。
(運搬用台車の構成)
本実施の形態による運搬用台車の構成について、図1乃至図7を用いて説明する。図1は、本実施の形態による運搬用台車が展開状態となっている斜視図である。図2は、本実施の形態による運搬用台車を示す斜視図であって、正面パネルのみが折り畳み状態となっている図である。図3は、本実施の形態による運搬用台車が折り畳み状態となっている斜視図である。図4は、台車本体の斜視図である。図5は、台車本体の第1側枠側を示す側面図である。図6は、台車本体の断熱性中継部を示す斜視図である。図7は、台車本体の部分拡大正面図である。なお、運搬用台車が「展開状態となっている」とは、運搬用台車の各パネルが広げられており、各パネルが箱状に組み立てられ、複数のパネル間に断熱空間が形成されている状態をいう。また、運搬用台車が「折り畳み状態となっている」とは、運搬用台車の各パネルが折り畳まれて、複数のパネル内に断熱空間が形成されていない状態をいう。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態による運搬用台車10は、台車本体(台車)50と、台車本体50に対してそれぞれ展開および折り畳み自在に設けられた複数(この場合は6枚)のパネル11〜16とを備えている。このうち複数のパネル11〜16は、展開して箱状に組立てられた展開状態(図1参照)と、複数のパネル11〜16を折り畳むことにより他の運搬用台車とネスティング可能となる折り畳み状態(図3参照)をとることができる。
運搬用台車10は、例えば店舗、工場、物流過程等において、保冷または保温が必要な積載物を保管したり搬送したりする際に使用される。このような運搬用台車10は、積載物を収納することが可能な収容空間20が6つのパネル11〜16によって取り囲まれていることにより、運搬用台車10の内部の温度変化が極力抑制されるように構成されている。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、他の同一の運搬用台車10とネスティングする(横方向に隣接する他の運搬用台車10に当該運搬用台車10の一部を重ねる)ことにより、複数の運搬用台車10をコンパクトに収納しておくことが可能である。
次に、図4を参照して、本実施の形態による台車本体(台車)50の構成について説明する。図4に示すように、台車本体50は、第1側枠51と、第2側枠52と、第1側枠51と第2側枠52とを互いに連結する連結部材53とを有している。この場合、台車本体50は、6輪の車輪61〜66を有し、車輪61〜66は、それぞれ連結部材53から下方に向けて取り付けられている。
第1側枠51は、台車本体50の長手方向一端部(X方向マイナス側端部)に設けられており、連結部材53から上方(Z方向プラス側)に向かって突設されている。第1側枠51は、梯子状に形成されており、上下方向(Z方向)に延びる一対の縦杆55と、一対の縦杆55の間でそれぞれ水平方向(Y方向)に延びる複数の横桟56とを有している。複数の横桟56は、上下方向(Z方向)に沿って互いに等しい間隔を空けて配置されている。また第1側枠51の下方には、2輪の車輪61、62が設けられている。
一対の縦杆55は、車輪取付フレーム67(後述)には直接連結されず、車輪取付フレーム67から離間している。これにより、ネスティング時に他の運搬用台車10の中央フレーム57が縦杆55と干渉しないようになっている。また一方(Y方向プラス側)の縦杆55の下部には、湾曲部55aが形成されている。これに対して他方(Y方向マイナス側)の縦杆55は、最も下方に位置する横桟56と直交している。また、最も下方に位置する横桟56は、四角筒状の中央連結杆54によって車輪取付フレーム67に連結されている。なお、これに限らず、一方(Y方向マイナス側)の縦杆55が車輪取付フレーム67には直接連結されていても良い。
本実施の形態において、第1側枠51は、第1側面パネル14(図1乃至図3参照)側(上方)に位置する第1金属部60Aと、連結部材53側(下方)に位置する第2金属部60Bと、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間に設けられた断熱性中継部70とを有している。
このうち第1金属部60Aは、第1側枠51の上側(Z方向プラス側)部分に位置している。この第1金属部60Aは、鉄等の金属を主たる材料として作製されており、高い熱伝導性及び高い強度を有している。この場合、第1金属部60Aは、一対の縦杆55と、複数の横桟56と、中央連結杆54の上側部分54aとを含んでいる。
第2金属部60Bは、第1側枠51の下側(Z方向マイナス側)部分に位置している。第2金属部60Bは、鉄等の金属を主たる材料として作製されており、高い熱伝導性及び高い強度を有している。この場合、第2金属部60Bは、中央連結杆54の下側部分54bを含んでいる。また、第2金属部60Bは、車輪取付フレーム67に対して溶接等により直接連結されている。
断熱性中継部70は、上下方向(Z方向)において第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間に介在されている。断熱性中継部70は、第1金属部60Aと第2金属部60Bとに着脱自在に取り付けられていても良く、第1金属部60Aと第2金属部60Bとに着脱できないように固定されていても良い。また、断熱性中継部70は、ナイロンやポリプロピレン等の樹脂を主たる材料として作製されている。このため断熱性中継部70は、高い断熱性を有しており、その熱伝導性は、少なくとも第1金属部60Aおよび第2金属部60Bの熱伝導性よりも低い。このように、第1金属部60Aと第2金属部60Bとは、直接連結されることなく、断熱性中継部70を介して互いに連結されている。断熱性中継部70を介在させることにより、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間で熱伝導が生じにくくなっている。
断熱性中継部70は、パネル11〜16を展開状態としたとき、断熱空間(収容空間20)の内部と外部との境界となる位置に設けることが好ましい。具体的には、パネル11〜16を展開状態としたとき、断熱性中継部70が、底面パネル16の側方(X方向に隣接する位置)に位置することが好ましい(図7参照)。これにより、断熱空間(収容空間20)の内部と外部との熱の伝達をより効果的に遮断することができる。
図5および図6に示すように、断熱性中継部70は、第1金属部60Aと第2金属部60Bとを連結する樹脂製棒状体から構成されている。この棒状の断熱性中継部70は、四角柱状の第1連結部71aと、四角柱状の第2連結部71bと、第1連結部71aと第2連結部71bとの間に位置する中継凸部71cとを有している。第1連結部71a、中継凸部71c及び第2連結部71bは、樹脂により一体成形されている。
第1連結部71aは、第1金属部60A(上側部分54a)に挿入されている。また、第2連結部71bは、第2金属部60B(下側部分54b)に挿入されている。さらに、中継凸部71cは、全周にわたって第1連結部71aおよび第2連結部71bよりも側方に突出している。このため、中継凸部71cは、中央連結杆54の上側部分54aの下端と中央連結杆54の下側部分54bの上端とによって挟持される。この中継凸部71cによって、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの熱伝導が遮断される。
本実施の形態において、断熱性中継部70は、第1金属部60Aと第2金属部60Bとを連結しているが、これに限られるものではない。断熱性中継部70は、少なくとも第1金属部60Aと連結部材53との間に設けられていれば良い。例えば、下側部分54bを設けず、断熱性中継部70が、第1金属部60Aと第1車輪取付フレーム67とを直接連結していても良い。
再度図4を参照すると、第2側枠52は、台車本体50の長手方向他端部(X方向プラス側端部)に設けられており、連結部材53から上方(Z方向プラス側)に向かって突設されている。第2側枠52の構成は、上述した第1側枠51の構成と略同一であり、第1側枠51と平面視で点対称となるように構成及び配置されている。第2側枠52の下方には、2輪の車輪65、66が設けられている。第2側枠52は、第1側枠51と略同様に、第2側面パネル15(図1乃至図3参照)側に位置する第1金属部60Aと、連結部材53側に位置する第2金属部60Bと、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間に設けられた断熱性中継部70とを有している。第2側枠52の第1金属部60A、第2金属部60B及び断熱性中継部70の構成は、第1側枠51の場合と略同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
連結部材53は、平面視略王字状(2つの「E」の字を背中合わせにした形状)であり、台車本体50の長手方向(X方向)に延びる中央フレーム57と、中央フレーム57にそれぞれ連結された3つの車輪取付フレーム67〜69とを有している。
中央フレーム57は、台車本体50の幅方向(Y方向)略中央部に位置している。この中央フレーム57は、運搬用台車10およびその積載物の荷重を保持するのに十分な強度を有する一方、運搬用台車10同士をネスティングする際の妨げにならない程度の細い幅を有している。なお、ネスティング時に他の運搬用台車10の車輪取付フレーム67〜69と干渉しないように、中央フレーム57は、車輪取付フレーム67〜69よりも高い位置に設けられている。
3つの車輪取付フレーム67〜69は、それぞれ中央フレーム57に直交する方向(Y方向)に延びている。この車輪取付フレーム67〜69は、第1側枠51側に位置する第1車輪取付フレーム67と、第1側枠51と第2側枠52との間に位置する第2車輪取付フレーム68と、第2側枠52側に位置する第3車輪取付フレーム69とからなる。
第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68とは、台車本体50の長手方向(X方向)に間隔を空けて配置されている。また、第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69とは、台車本体50の長手方向(X方向)に間隔を空けて配置されている。この場合、第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68との間隔は、第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69との間隔と等しくても良く、異なっていても良い。
第1車輪取付フレーム67は、中央フレーム57の長手方向一端部(X方向マイナス側端部)に設けられている。第1車輪取付フレーム67の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第1車輪61および第2車輪62が取り付けられている。
第2車輪取付フレーム68は、中央フレーム57の長手方向中央部(X方向中央部)に設けられている。第2車輪取付フレーム68の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第3車輪63および第4車輪64が取り付けられている。第2車輪取付フレーム68の幅(X方向の長さ)は、運搬用台車10同士をネスティングする際の妨げにならない程度に細くなっている。
第3車輪取付フレーム69は、中央フレーム57の長手方向他端部(X方向プラス側端部)に設けられている。第3車輪取付フレーム69の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第5車輪65および第6車輪66が取り付けられている。
車輪61〜66は、上述したように、第1車輪61、第2車輪62、第3車輪63、第4車輪64、第5車輪65および第6車輪66から構成されている。このうち第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66は、自在輪となっており、それぞれ水平な車軸に沿って回転するとともに、鉛直方向(Z方向)に延びる旋回軸によって旋回可能となっている。一方、第3車輪63および第4車輪64は、固定輪となっており、それぞれ水平な車軸に沿って回転する一方、鉛直方向(Z方向)軸周りには旋回不可能となっている。
なお、車輪61〜66は、運搬用台車10に積載物を載せて走行する際には、安定して直進走行できるように、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)と前後いずれか一方の自在輪(第1車輪61と第2車輪62、または、第5車輪65と第6車輪66)の2輪を組み合わせて、接地するようにしても良い。また、運搬用台車10に積載物を載せない場合には、切り回しやネスティングをしやすくし、小回りが利きやすくするため、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)を接地させずに、前後両方の自在輪(第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66)のみを接地させるようにしても良い。なお、これに限らず、台車本体50は、4輪の車輪61、62、65、66を有し、第2車輪取付フレーム68と第3車輪63および第4車輪64とを有していなくても良い。
また、連結部材53上には、折り畳み可能な底板58が設けられている。この底板58は、略直方体状であり、長手方向(X方向)において第1側枠51と第2側枠52との間に延び、短手方向(Y方向)において第1側枠51および第2側枠52と略同一の長さを有している。また、底板58は、運搬用台車10の積載物の荷重を保持するのに十分な強度を有している。
底板58は、連結部材53に対して移動可能であり、連結部材53上に配置される展開状態(図1、図2および図4参照)と、連結部材53に対して持ち上げられて第2側枠52の周囲に折り畳まれた折り畳み状態(図3参照)とをとることができる。すなわち、パネル11〜16が展開して箱状に組立てられた展開状態(図1、図2および図4参照)をとる場合、底板58は、水平な展開状態に配置される。一方、複数のパネル11〜16を折り畳んで折り畳み状態(図3参照)をとる場合、底板58は、垂直に持ち上げられて折り畳み状態に配置される。
図7に示すように、底板58は、中央連結杆54および縦杆55の内側(X方向マイナス側)に設けられた支点部58aを中心として回動自在となっている。この支点部58aは、底面パネル16(後述)よりも下方(Z方向マイナス側)に位置している。この場合、底板58と中央連結杆54または縦杆55とを連結する連結部(支点部58a)の全体が、パネル11〜16の外方に位置している。これにより、後述するように周囲が断熱材で囲まれている場合は、連結部が収容空間20(後述)と外気とに跨がって配置されることがなく、連結部がヒートブリッジとなって収容空間20の断熱性が低下してしまうことを防止することができる。また、底板58を折り畳み状態と展開状態との間で移動する間に、連結部(支点部58a)がパネル11〜16に干渉してしまうおそれもない。
(パネルの構成)
次に、図1乃至図3を参照して、パネル11〜16の構成について説明する。
パネル11〜16は、全体として台車本体50に対して展開および折り畳み自在に設けられており、上述したように、展開して箱状に組立てられた展開状態(図1)と、ネスティング可能となる折り畳み状態(図3)とをとることができる。また、図2は、パネル11〜16のうち正面パネル12のみが折り畳み状態にある場合を示している。
図1に示すように、パネル11〜16は、展開状態において略直方体形状となるものであり、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とを含んでいる。天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とは、その主たる面(各パネルを構成する6つの面のうち、最も広い互いに反対側を向く一対の面)がそれぞれ略長方形形状となっている。また、正面パネル12と背面パネル13とは、その主たる面が互いに略同一の大きさを有しており、第1側面パネル14と第2側面パネル15とは、その主たる面が互いに略同一の大きさを有している。各パネル11〜16は、それぞれ剛性をもつ板状の部材からなり、使用時に柔軟に変形しないようになっている。
展開状態において、6つのパネル11〜16に取り囲まれることにより、積載物を収容する収容空間20を形成することが可能である。これら各パネル11〜16を展開状態にすると、各パネル11〜16の間に略直方体形状の収容空間20が形成される。収容空間20は、後述するように周囲が断熱材で囲まれている場合は、外部との熱の流入や流出が制限され、断熱性を維持することができる。また、6つのパネル11〜16の少なくとも一部は、それぞれ隣接する他のパネル11〜16に対して移動可能に設けられている。これにより、運搬用台車10は、収容空間20が形成されている展開状態から、収容空間20が形成されない折り畳み状態に変更すること、および折り畳み状態から展開状態に変更することが可能である。このため、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11〜16を折り畳み状態とすることにより、他の運搬用台車10とネスティングすることが可能となる。また展開状態において、6つのパネル11〜16は、それぞれその周縁が他のいずれかのパネル11〜16と密着するようになっており、これにより収容空間20の密閉性が確保されている。
6つのパネル11〜16は、後述するように、それぞれ真空断熱材41を含む断熱部40を有する断熱パネルを含んでいる(図8参照)。なお、本実施の形態では、6つのパネル11〜16は、それぞれ真空断熱材41を含んでいるが、これに限定されるものではない。一部または全部のパネル11〜16は、例えば発泡断熱材等の断熱材を含んでいてもよい。
次に、各パネル11〜16それぞれの構成について更に説明する。なお、以下において、「パネル11〜16(部分パネル)が所定の面に対して平行(垂直)である」とは、「パネル11〜16(部分パネル)の主たる面が所定の面に対して平行(垂直)である」ことを意味する。
(天面パネル)
天面パネル11は、展開状態(図1)において、天面側(Z方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、天面パネル11は、台車本体50の第1側枠51および第2側枠52と、第1側面パネル14と、正面パネル12との上方に配置される。また天面パネル11は、背面パネル13よりも正面側(Y方向マイナス側)に配置され、第2側面パネル15よりも第1側面側(X方向マイナス側)に配置される。
この天面パネル11は、部分的に開閉可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1天面部分パネル11aと、第2側枠52側に位置するとともに、第1天面部分パネル11aよりも大きい第2天面部分パネル11bと、を有している。このうち第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21c(図11(a)−(c)参照)を介して第1側面パネル14に対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21d(図11(a)−(c)参照)を介して第1天面部分パネル11aに対して折り畳み自在に取り付けられている。
第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとは、展開状態(図1)において、ともに水平(XY平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第1天面部分パネル11aは水平に配置される一方、第2天面部分パネル11bは、下方に向けて折り畳まれ、第1天面部分パネル11aから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第1側枠51の内側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
天面パネル11は、隣接する背面パネル13に対して図示しない着脱部材(面ファスナー)によって着脱自在に連結されている。具体的には、第1天面部分パネル11aは、第1背面部分パネル13a(後述)に対して着脱自在に連結され、第2天面部分パネル11bは、第1背面部分パネル13aおよび第2背面部分パネル13b(後述)に対して着脱自在に連結されている。また、第2天面部分パネル11bは、隣接する第2側面パネル15に対して着脱自在に連結されている。
(正面パネル)
正面パネル12は、展開状態(図1)において、天面パネル11よりも下方かつ底面パネル16よりも上方であって、背面パネル13よりも正面側(Y方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、展開状態において、正面パネル12は、第1側面パネル14と第2側面パネル15との間に配置される。
この正面パネル12は、折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1正面部分パネル12aと、中間に位置する第2正面部分パネル12bと、第2側枠52側に位置する第3正面部分パネル12cとを有している。このうち第1正面部分パネル12aは、第1正面ヒンジ部材22a(図10(a)−(c)参照)を介して第1側面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。また、第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22b(図10(a)−(c)参照)を介して第1正面部分パネル12aに対して折り畳み自在に取り付けられている。さらに、第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22c(図10(a)−(c)参照)を介して第2正面部分パネル12bに折り畳み自在に取り付けられている。
第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、展開状態(図1)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第1正面部分パネル12aは、第1側面パネル14の正面側(Y方向マイナス側)に位置する。また、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、互いに重なるように折り畳まれ、さらに鉛直軸(Z方向軸)周りに回転して、第1側面パネル14の外側(X方向マイナス側)に配置される。このとき、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、折り重なって第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
このように、折り畳み状態で、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cを第1側枠51よりも外側(X方向マイナス側)に配置することにより、積載物を収容する収容空間20を広く確保することができる。また、底板58を第2側枠52側に持ち上げる際に、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cが移動中の底板58に干渉することを防止している。なお、第1正面部分パネル12aの幅(X方向の長さ)は、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅(X方向の長さ)よりも短く、第2正面部分パネル12bの幅(X方向の長さ)は、第3正面部分パネル12cの幅(X方向の長さ)と略同一である。また、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅は、第1側枠51の幅(Y方向の長さ)と略同一、あるいは第1側枠51の幅よりも長くなっている。
正面パネル12は、隣接する天面パネル11に対して図示しない着脱部材(面ファスナー)によって着脱自在に連結されている。具体的には、第1正面部分パネル12aは、第1天面部分パネル11aに対して着脱自在に連結され、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cは、第2天面部分パネル11bに対してそれぞれ着脱自在に連結されている。また、正面パネル12は、隣接する底面パネル16に対して図示しない着脱部材(面ファスナー)よって着脱自在に連結されている。具体的には、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cは、底面パネル16に対してそれぞれ着脱自在に連結されている。さらに、正面パネル12の第3正面部分パネル12cは、隣接する第2側面パネル15に対して着脱自在に連結されている。
(背面パネル)
背面パネル13は、展開状態(図1)において、天面パネル11、正面パネル12、第1側面パネル14、第2側面パネル15および底面パネル16よりも背面側(Y方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。
この背面パネル13は、折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1背面部分パネル13aと、第2側枠52側に位置する第2背面部分パネル13bとを有している。このうち第2背面部分パネル13bは、第1背面ヒンジ部材23a(図12(a)(b)参照)を介して第1背面部分パネル13aに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第1背面部分パネル13aは、第1側面パネル14に固定されている。
第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとは、展開状態(図1)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aよりも外側(Y方向プラス側)に配置される。このとき、第1背面部分パネル13aは、折り畳まれることなく背面側に残る。すなわち第1背面部分パネル13aは、折り畳み状態においても、展開状態と同様の位置にあり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとは、折り重なって第1側枠51に対して垂直に配置され、ZX平面に平行となる。このように、折り畳み状態において、第2背面部分パネル13bが取り除かれることにより、背面パネル13は開放される。この背面パネル13が開放された部分は、水平方向(X方向)に所定の幅を有する(図3)。なお、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとの折り畳み方によっては、背面パネル13が水平方向(X方向)全域にわたって開放されても良い。
また、背面パネル13の第2背面部分パネル13bは、隣接する第2側面パネル15に対して図示しない着脱部材(面ファスナー)によって着脱自在に連結されている。さらに、背面パネル13は、隣接する底面パネル16に対して図示しない着脱部材(面ファスナー)によって着脱自在に連結されている。
(第1側面パネル)
第1側面パネル14は、展開状態(図1)および折り畳み状態(図3)の両方において第1側枠51側(X方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第1側面パネル14は、一枚の板状の部材から構成される。また、第1側面パネル14は、展開状態(図1)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車本体50の第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となっている。第1側面パネル14は、第1側枠51の外側全体を覆う程度の大きさとなっている。
なお、第1側面パネル14の構成は、後述する第2側面パネル15の構成と略同様であり、第1側面パネル14は、後述する取付部材81と略同様の取付部材(図示せず)によって第1側枠51に対して着脱自在に取り付けられている。
(第2側面パネル)
第2側面パネル15は、展開状態(図1)および折り畳み状態(図3)の両方において第2側枠52側(X方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第2側面パネル15は、一枚の板状の部材から構成される。また、第2側面パネル15は、展開状態(図1)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車本体50の第2側枠52の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となっている。第2側面パネル15は、第2側枠52の外側全体を覆う程度の大きさとなっている。
この第2側面パネル15は、第2側枠52の外側(X方向プラス側)に固定されており、取付部材81によって第2側枠52に取り付けられている。この取付部材81は、第2側面パネル15に複数(4つ)取り付けられており、第2側面パネル15の上部(Z方向プラス側)に2つ、第2側面パネル15の下部(Z方向マイナス側)に2つ配置されている。具体的には、2つの取付部材81が、第2側枠52の最も上部の横桟56に対して着脱自在に取り付けられ、2つの取付部材81が、第2側枠52の最も下部の横桟56に対して着脱自在に取り付けられている。
取付部材81は、柔軟な紐状の部材から構成される。具体的には、取付部材81は、第2側面パネル15のX方向マイナス側の主面にそれぞれ縫合等により固定された一対の布片と、一対の布片にそれぞれ取り付けられた一対の面ファスナーとを含んでいる。取付部材81の一対の面ファスナーにより、第2側面パネル15が第2側枠52の横桟56に着脱自在に取り付けられている。なお、取付部材81は、第2側枠52の一部に取り付けられれば良い。すなわち取付部材81は、横桟56に限らず、縦杆55または中央連結杆54に対して着脱自在に取り付けられても良い。また、取付部材81は、第2側面パネル15に対して必ずしも固定(固着)されていなくても良く、例えば面ファスナーにより第2側面パネル15に対して着脱自在に取り付けられていても良い。
(底面パネル)
底面パネル16は、展開状態(図1)において、底面側(Z方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、底面パネル16は、台車本体50の底板58上であって、第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。底面パネル16は、一枚の板状の部材から構成され、持ち上げることにより折り畳み可能な構造を有する。この底面パネル16は、底面ヒンジ部材(図示せず)を介して第1側枠51に対して折り畳み自在に取り付けられている。
底面パネル16は、展開状態(図1)において、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。一方、折り畳み状態(図3)において、底面パネル16は、第1側枠51の内側(X方向プラス側)に重なるように折り畳まれ、第1側枠51の内側周囲に位置する。すなわち折り畳み状態において、底面パネル16は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。このとき、底面パネル16は、例えば図示しない面ファスナーを介して第1側枠51に着脱可能に取り付けられる。
なお、上述した天面ヒンジ部材21a、第1正面ヒンジ部材22a、第2正面ヒンジ部材22b、第3正面ヒンジ部材22c、第1背面ヒンジ部材23a、第2背面ヒンジ部材23bおよび底面ヒンジ部材(図示せず)は、それぞれ例えば折曲自在な接続布(接続部材)から構成されても良い。このように、各ヒンジ部材21a、22a、22b、22c、23a、23a、23b、26aを接続布から構成することにより、各パネル(部分パネル)を容易に展開したり折り畳んだりすることができる。
図3は、上述したように、パネル11〜16が折り畳み状態にある場合を示している。図3に示すように、折り畳み状態において、各パネル11〜16の少なくとも一部がそれぞれ第1側枠51または第2側枠52の周囲に折り畳まれている。
すなわち、第1側枠51の周囲には、外側(X方向マイナス側)から順に、第2正面部分パネル12bと、第3正面部分パネル12cと、第1側面パネル14と、底面パネル16と、第2天面部分パネル11bとが重なっている。なお、第1側枠51は、第1側面パネル14と底面パネル16との間に位置する。また、第2側枠52の周囲には、外側(X方向プラス側)から順に、第2側面パネル15と、底板58とが重なっている。なお、第2側枠52は、第2側面パネル15と底板58との間に位置する。
この場合、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成されている。このうち第1パネル群G1は、第2正面部分パネル12bと、第3正面部分パネル12cと、第1側面パネル14と、第1側枠51と、底面パネル16と、第2天面部分パネル11bとによって構成される。また、第2パネル群G2は、第2側面パネル15と、第2側枠52と、底板58とによって構成される。なお、本実施の形態において、第1パネル群G1(第2パネル群G2)には、各パネル11〜16の全部または一部だけでなく、第1側枠51(第2側枠52)や底板58も含まれる。
各パネル11〜16の厚みは、それぞれ例えば5mm以上50mm以下とすることが好ましい。本実施の形態において、各パネル11〜16の厚みが互いに同一である場合を例にとって説明するが、各パネル11〜16の厚みが互いに異なっていても良い。また、第1側枠51および第2側枠52の厚み(X方向の長さ)は、例えば10mm以上50mm以下である。
(パネルの内部構造)
次に、各パネル11〜16の構造について説明する。図8は、各パネル11〜16の断熱部40を示す断面図である。図9(a)(b)は、断熱部40に含まれる真空断熱材41を示す断面図である。
図8に示すように、各パネル11〜16の断熱部40は、真空断熱材41と、発泡断熱材42と、断熱外囲部43と、断熱材保護部材44と、遮熱シート45とを有している。
このうち真空断熱材41は、発泡断熱材42に取り付けられている。この真空断熱材41は、芯材41aと、芯材41aの周囲に設けられた外装材41bとから構成されている。真空断熱材41の収容空間20側(図8の下方側)には、発泡断熱材42が配置されている。これにより、収容空間20に入れた積載物がぶつかったときに真空断熱材41が破損する危険性を低減することができる。
発泡断熱材42は、真空断熱材41の少なくとも収容空間20側に隣接して配置することができる。発泡断熱材42には、公知の発泡性の断熱材を用いることができ、例えばポリウレタン発泡体およびポリスチレン発泡体の一方または両方であってもよい。
断熱外囲部43は、真空断熱材41を取り囲むように形成されている。この断熱外囲部43は、発泡断熱材42上に配置されており、発泡断熱材42に固定されている。断熱外囲部43が真空断熱材41を取り囲むように配置されていることにより、断熱外囲部43が配置されていない場合と比べて、断熱性能が向上する。また、真空断熱材41を発泡断熱材42と略同一面積とし、断熱外囲部43を用いないパネル構成も可能である。この場合、より断熱性能の向上が図れるが、断熱外囲部43が無い分、脇からの鋭利なものの侵入による真空断熱材41の破袋に対しては弱くなる恐れはある。なお、断熱外囲部43と真空断熱材41との間には若干の隙間が形成されており、真空断熱材41の大きさが多少変化した場合であっても、真空断熱材41を断熱外囲部43内に収容できるようになっている。
また、断熱材保護部材44は、断熱外囲部43上に設けられており、主として真空断熱材41を保護する役割を果たす。この断熱材保護部材44としては、例えば有機高分子製の保護材を用いることができる。
遮熱シート45は、真空断熱材41、発泡断熱材42、断熱外囲部43および断熱材保護部材44の外周全体を包むように配置されている。この遮熱シート45は、真空断熱材41と発泡断熱材42との全体を覆って配置することができる。遮熱シート45としては、例えば金属箔を含む多層シートや、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等があげられる。
次に、真空断熱材41について更に説明する。図9(a)に示すように、真空断熱材41は、芯材41aと、ガスバリア性を有する外装材41bとから構成されており、外装材41b内を減圧して得られる断熱材である。図9(b)は、真空断熱材41の他の一例である。図9(a)では、真空断熱材41の内部の両端に空隙が形成されているが、図9(b)では、空隙が形成されていない。空隙は、真空断熱材41の製造方法の違いにより形成されたり形成されなかったりする。
芯材41aは、従来から使用される公知の真空断熱材の芯材に用いられる材料を使用することができ、例えば、シリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体を使用してもよい。
外装材41bは、芯材41aの外周を覆う部材であり、芯材から熱溶着層、ガスバリア層が順に積層された可撓性を有するシートを使用してもよい。ガスバリア層は、金属箔、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等を使用してもよい。金属箔は、例えばアルミニウムを使用することができる。蒸着層は、例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を使用することができる。
(運搬用台車の分解および組立て)
次に、運搬用台車10を分解および組立てする際の作用について説明する。図10乃至図12は、運搬用台車10を順番に分解する工程の一部を説明する図である。
(運搬用台車の分解)
まず、図1に示すように、運搬用台車10の6つのパネル11〜16が展開して箱状に組立てられている場合(展開状態)を想定する。このとき、各パネル11〜16の間には、略直方体形状の収容空間20が形成されている。なお、図示しないが、収容空間20内には、食品等の積載物が収納されていても良い。
次に、図2に示すように、正面パネル12を折り畳むことにより、正面パネル12が展開状態から折り畳み状態に移行する。
この間、まず図10(a)に示すように、第3正面部分パネル12cが第2正面部分パネル12bに重なるように折り畳まれる。具体的には、第3正面部分パネル12cが、第3正面ヒンジ部材22cを中心として第2正面部分パネル12bに対して平面視で時計回りに回転する。
続いて、図10(b)に示すように、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが互いに重なり、この状態で、第2正面ヒンジ部材22bを中心として第1正面部分パネル12aに対して平面視で時計回りに回転する。
その後、図10(c)に示すように、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51の外側周囲に移動する。具体的には、第1正面部分パネル12aが、第1正面ヒンジ部材22aを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。この際、第1正面部分パネル12aが、第1側面パネル14に対して正面側(Y方向マイナス側)に位置し、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51に対して外側(X方向マイナス側)に位置する。このようにして、正面パネル12が折り畳み状態となり、運搬用台車10の正面側が水平方向(X方向)に完全に開放される(図2参照)。なお、収容空間20内に積載物が収納されている場合には、この状態で正面側から積載物を外部に取り出しても良い。
次に、底面パネル16を折り畳むことにより、底面パネル16が展開状態から折り畳み状態に移行する(図3参照)。このとき、底面パネル16を、第1側枠51に対して正面視で反時計回りに回転させる。これにより、底面パネル16は、第1側枠51の内側(X方向プラス側)に重なるように折り畳まれ、第1側枠51の内側周囲に位置する。すなわち底面パネル16は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この場合、底面パネル16は、図示しない面ファスナーによって第1側枠51に取り付けられる。
次いで、底板58を折り畳むことにより、底板58が展開状態から折り畳み状態に移行する(図3参照)。この間、底板58は、第2側枠52に対して正面視で時計回りに回転し、第2側枠52の内側(X方向マイナス側)に重なるように折り畳まれて、第2側枠52の内側周囲に位置する。すなわち底板58は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この場合、底板58は、図示しない固定手段により第2側枠52に取り付けられる。
続いて、図11(a)−(c)に示すように、天面パネル11を折り畳むことにより、天面パネル11が展開状態から折り畳み状態となる。
この間、まず図11(a)(b)に示すように、第1天面部分パネル11aが、第1天面ヒンジ部材21cを中心として第1側面パネル14に対して正面視で反時計回りに回転し、第2天面部分パネル11bが、第2天面ヒンジ部材21dを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で時計回りに回転する。
続いて、図11(c)に示すように、第2天面部分パネル11bが、第1側枠51の内側周囲に移動する。具体的には、第1天面部分パネル11aが、第1天面ヒンジ部材21cを中心として第1側面パネル14に対して正面視で時計回りに回転し、第2天面部分パネル11bが、第2天面ヒンジ部材21dを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で時計回りに回転する。これにより、第2天面部分パネル11bは、下方に向けて折り畳まれ、第1天面部分パネル11aから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第1側枠51の内側周囲であって、底面パネル16に対して内側(X方向プラス側)に配置される。
次に、図12(a)(b)に示すように、背面パネル13を折り畳むことにより、背面パネル13が展開状態から折り畳み状態となる。
この間、まず図12(a)(b)に示すように、第2背面部分パネル13bが、第1背面ヒンジ部材23aを中心として第1背面部分パネル13aに対して平面視で反時計回りに回転する。これにより、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aの外側(Y方向プラス側)に配置される。一方、第1背面部分パネル13aは、折り畳み状態においても展開状態と同一の位置を維持する。
このようにして、運搬用台車10の6つのパネル11〜16が、全て折り畳み状態となる。以上のように、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11〜16を折り畳み、できる限り全体の体積を小さくして保管、輸送することができる。
(運搬用台車の組立)
運搬用台車10の組立方法は、上述した分解方法の逆の順に行うことによってできる。
すなわち、まず、図12(a)(b)の逆作業から開始する。すなわち、背面パネル13を折り畳み状態から展開状態とする。次いで、図11(a)−(c)の逆作業を行う。すなわち、天面パネル11を折り畳み状態から展開状態とする。次に、底板58および底面パネル16を折り畳み状態から展開状態とする。最後に、図10(a)−(c)の逆作業として、正面パネル12を折り畳み状態から展開状態とすることにより、組立作業が完了する。
ところで、このようにして運搬用台車10の6つのパネル11〜16が展開状態となった場合、各パネル11〜16の間には略直方体形状の収容空間20が形成される(図1参照)。とりわけ各パネル11〜16が断熱材で構成されている場合には、収容空間20が断熱空間となって、外気との熱伝達が遮断される。本実施の形態において、第1側面パネル14および第2側面パネル15はそれぞれ、第1側枠51および第2側枠52の外側に位置している。また、第1側枠51および第2側枠52はそれぞれ、第1側面パネル14または第2側面パネル15側に位置する第1金属部60Aと、連結部材53側に位置する第2金属部60Bと、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間に設けられた断熱性中継部70とを有している。このように、断熱性中継部70によって第1金属部60Aと第2金属部60Bとの熱伝達が遮断されるので、第1側枠51および第2側枠52の金属の部分が収容空間20の内外に跨がって配置されることがない。これにより、第1側枠51と第2側枠52のうち、収容空間20の外側に位置する部分と、収容空間20に面する部分との間で生じる熱伝達を抑制することができる。この結果、第1側枠51と第2側枠52がヒートブリッジとなって、収容空間20の断熱性が低下してしまうことを抑え、これにより収容空間20の断熱性を確保することができる。
また、本実施の形態によれば、断熱性中継部70は、第1金属部60Aに挿入される第1連結部71aと、第2金属部60Bに挿入される第2連結部71bと、第1連結部71aと第2連結部71bとの間に位置する中継凸部71cとを有している。この場合、第1側枠51および第2側枠52に棒状の断熱性中継部70を挿入することができるので、第1側枠51および第2側枠52の構造を大きく変更する必要が生じない。具体的には、四角筒状の中央連結杆54を途中で切断し、中央連結杆54の上側部分54aと下側部分54bとに断熱性中継部70を挿入することにより、第1金属部60Aと第2金属部60Bとを簡単に熱的に分離することができる。また、第1側枠51および第2側枠52の全体を、熱伝導性の低い樹脂等の材料で作製する場合と比較して、第1側枠51および第2側枠52の強度低下を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、複数のパネル11〜16は、展開して箱状に組立てられた展開状態と、他の運搬用台車10とネスティング可能となる折り畳み状態とをとることができる。これにより、パネル11〜16を展開状態にすることにより、パネル11〜16の内部に積載物を収納可能かつ気密性の高い収容空間20を形成することができる。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11〜16を折り畳み状態にすることにより、他の同一の運搬用台車10とネスティングしてこれらの運搬用台車10をコンパクトに保管しておくことができる。このように、パネル11〜16の折り畳み作業および組み立て作業を容易に行うことができる。
(変形例)
次に、図13乃至図24を参照して、台車本体(台車)の各種変形例について説明する。図13乃至図24は、台車本体の各種変形例を示す図である。図13乃至図24において、図1乃至図12に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、図13乃至図24に示す各変形例においては、第1側枠51を例にとって説明するが、第2側枠52についても同様に構成することができる。また、図13乃至図24に示す各台車本体50と、上述した複数のパネル11〜16とにより、運搬用台車10が構成される。
(変形例1)
図13は、変形例1による台車本体50の一部を示している。図13において、断熱性中継部70の第1連結部71aと第1金属部60A(上側部分54a)との間に、断熱性部材72aが介在されている。同様に、断熱性中継部70の第2連結部71bと第2金属部60B(下側部分54b)との間に、断熱性部材72bが介在されている。なお、断熱性中継部70の構成は、図6に示す断熱性中継部70の構成と同様である。
断熱性部材72a、72bは、例えば樹脂製フィルムからなっていても良い。この場合、中央連結杆54の上側部分54aおよび下側部分54bを、それぞれ樹脂製フィルムからなる断熱性部材72a、72bによって包むことができる。これにより、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間の熱伝達をより効果的に低減することができる。なお、樹脂製フィルムからなる断熱性部材72a、72bを、上側部分54aおよび下側部分54bにそれぞれ貼着しても良い。あるいは、例えば発泡材からなる断熱性部材72a、72bを、上側部分54aおよび下側部分54bにそれぞれ吹き付けても良い。
(変形例2)
図14は、変形例2による台車本体50の一部を示している。図14において、断熱性中継部70は、第1金属部60Aを収容する第1凹部73aと、第2金属部60Bを収容する第2凹部73bとを有する。この場合、断熱性中継部70は、略直方体状の樹脂からなる。第1凹部73aおよび第2凹部73bは、それぞれ断熱性中継部70に形成された平面視略矩形状の非貫通孔からなる。また、第1凹部73aと第2凹部73bとの間には、中間部73cが設けられており、この中間部73cによって、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの熱伝導が遮断されている。この場合、第1凹部73aおよび第2凹部73bには、それぞれ中央連結杆54の上側部分54aおよび下側部分54bが嵌め込まれる。このため、中央連結杆54が中空状である場合に限らず、中央連結杆54が中実状であっても、断熱性中継部70を中央連結杆54に取り付けることができる。
(変形例3)
図15(a)(b)は、変形例3による台車本体50の一部を示している。図15(a)(b)において、断熱性中継部70には、細長い棒状の補強部材74が埋設されている。補強部材74は、断熱性中継部70の全長よりも短く、第1連結部71aから第2連結部71bまで連続的に延びている。補強部材74は、断熱性中継部70を構成する樹脂材料よりも強度が高い材料、例えば金属から作製されても良い。この場合、補強部材74は、断熱性中継部70を樹脂により作製する際に、この樹脂と一体成形される。なお、補強部材74は、四角柱状であっても良く(図15(a))、円柱状であっても良い(図15(b))。このように、断熱性中継部70に補強部材74を埋設したことにより、第1側枠51の強度低下を抑えることができる。
(変形例4)
図16は、変形例4による台車本体50の一部を示している。図16において、第1金属部60Aと連結部材53とを連結する断熱性補強部75が設けられている。断熱性補強部75は、上下方向(Z方向)に沿って棒状に延びている。また、断熱性補強部75は、ナイロンやポリプロピレン等の樹脂を主たる材料として作製されている。断熱性補強部75は、高い断熱性を有しており、第1金属部60Aと連結部材53との間で熱伝導が生じにくくなっている。この場合、断熱性補強部75は、一対の縦杆55のうち一方(Y方向マイナス側)の側に設けられている。これにより、ネスティング時に、断熱性補強部75が他の運搬用台車10に干渉しないようになっている。
断熱性補強部75の上端は、下方(Z方向マイナス側)から2番目の横桟56に取り付けられている。なお、断熱性補強部75の上端は、第1金属部60Aの任意の位置に取り付けられていれば良く、例えば最も下方の横桟56や縦杆55に取り付けられていても良い。また、断熱性補強部75の下端は、第1車輪取付フレーム67に取り付けられているが、これに限らず、連結部材53の任意の位置に取り付けられていても良い。このように、断熱性補強部75を設けたことにより、断熱空間(収容空間20)の内部と外部との熱の伝達を遮断しつつ、第1側枠51の強度低下を抑えることができる。
(変形例5)
図17乃至図19は、変形例5による台車本体50を示している。図17および図18において、第1金属部60Aと連結部材53とを連結する断熱性補強部76が設けられている。この断熱性補強部76は、YZ平面に平行に配置された、開口のない長方形状の板状部材からなる。断熱性補強部76は、ナイロンやポリプロピレン等の樹脂を主たる材料として作製されている。断熱性補強部76は、高い断熱性を有しており、第1金属部60Aと連結部材53との間で熱伝導が生じにくくなっている。この場合、断熱性補強部76は、中央連結杆54よりもY方向マイナス側に設けられている。これにより、ネスティング時に、断熱性補強部76が他の運搬用台車10に干渉しないようになっている。
断熱性補強部76の上端は、一方(Y方向マイナス側)の縦杆55および最も下方(Z方向マイナス側)の横桟56に取り付けられている。なお、断熱性補強部76の上端は、第1金属部60Aの任意の位置に取り付けられていれば良く、例えば他の横桟56に取り付けられていても良い。また、断熱性補強部76の下端は、第1車輪取付フレーム67に取り付けられているが、これに限らず、連結部材53の任意の位置に取り付けられていれば良い。このように、断熱性補強部76を設けたことにより、断熱空間(収容空間20)の内部と外部との熱の伝達を遮断しつつ、第1側枠51の強度低下を抑えることができる。さらに、断熱性補強部76が板状に延びているので、断熱性補強部76の強度をより高めることができる。
なお、図19に示すように、断熱性補強部76は、厚み方向に貫通する複数の開口76aを有していても良い。複数の開口76aは、規則的に配置されていても良く、不規則に配置されていても良い。各開口76aの平面形状は円形であるが、楕円、多角形等の形状であっても良い。この場合、断熱性補強部76による熱伝達をより効果的に抑えることができる。
(変形例6)
図20および図21は、変形例6による台車本体50を示している。図20および図21において、台車本体50は、第1側面パネル14を外側(X方向マイナス側)から第1側枠51側(X方向プラス側)に向けて押し付ける補強板77が設けられている。この補強板77は、YZ平面に平行に配置され、長方形状の板状部材からなる。また補強板77は、第1側枠51からX方向に離間しており、この隙間に第1側面パネル14が嵌め込まれる。補強板77は、ヒートブリッジとなることがないため、金属等の熱伝導性が高い材料から作製されていても良い。この場合、補強板77は、中央連結杆54よりもY方向マイナス側に設けられている。これにより、ネスティング時に、補強板77が他の運搬用台車10に干渉しないようになっている。
補強板77の上端は、第1側面パネル14を支持することが可能な高さ位置にあれば良い。また、補強板77の下端は、第1車輪取付フレーム67に溶接等により取り付けられている。しかしながら、これに限らず、補強板77の下端は、断熱空間(収容空間20)の外部の任意の位置、例えば中央連結杆54の下側部分54bに取り付けられていても良い。このように、補強板77が、第1側面パネル14を介して間接的に第1側枠51を支えるので、第1側枠51の強度低下を抑えることができる。なお、補強板77には、台車本体50を押すための持ち手を取り付けても良い。
(変形例7)
図22および図23は、変形例7による台車本体50を示している。図22において、断熱性中継部70は、第1金属部60Aおよび第2金属部60Bを連結する樹脂製ブロック78を有している。この場合、第1側枠51には中央連結杆54が設けられておらず、第1車輪取付フレーム67上に、取付板67aが固定されている。
樹脂製ブロック78は、ボルト79aおよびナット79bからなる連結具79によって第1金属部60Aおよび第2金属部60Bにそれぞれ固定されている。すなわち樹脂製ブロック78には、複数のナット79bが埋設固定されている。そして各ボルト79aをナット79bにそれぞれ螺着することにより、樹脂製ブロック78が第1金属部60Aおよび第2金属部60Bに各々固定されている。
樹脂製ブロック78は、直方体状であり、ナイロンやポリプロピレン等の樹脂を主たる材料として作製されている。樹脂製ブロック78は、高い断熱性を有しており、第1金属部60Aと連結部材53との間で熱伝導が生じにくくなっている。この場合、樹脂製ブロック78は、一対の縦杆55のうち一方(Y方向マイナス側)の側に設けられている。
樹脂製ブロック78の上端は、複数の連結具79によって最も下方(Z方向マイナス側)の横桟56に取り付けられている。なお、樹脂製ブロック78の上端は、第1金属部60Aの任意の位置に取り付けられていれば良く、例えば他の横桟56や縦杆55に取り付けられていても良い。また、樹脂製ブロック78の下端は、複数の連結具79によって取付板67aに取り付けられているが、これに限らず、例えば第1車輪取付フレーム67に直接取り付けられていても良い。すなわち、取付板67aを設けることなく、樹脂製ブロック78が、第1金属部60Aと第1車輪取付フレーム67とを直接連結していても良い。このように、第1金属部60Aと第2金属部60Bとの間に樹脂製ブロック78を設けたことにより、断熱空間(収容空間20)の内部と外部との熱の伝達を遮断することができる。また、樹脂製ブロック78を用いることにより、第1金属部60Aと第2金属部60Bとを広い面積で強固に連結することができるので、第1側枠51の強度低下を抑えることができる。
なお、図23に示すように、樹脂製ブロック78は、ネジ79cからなる連結具79によって第1金属部60Aおよび第2金属部60Bにそれぞれ固定されていても良い。また図23において、樹脂製ブロック78には、Y方向プラス側に開口した切欠部78aが形成されている。これにより、樹脂製ブロック78が、第1車輪取り付けフレーム67に直接取り付けられる場合でも、ネスティング時に他の運搬用台車10が樹脂製ブロック78に干渉しないようになっている。
また、図24に示すように、湾曲部55aを設けることなく、両方の縦杆55を最も下方の横桟56と直交させても良い。この場合、樹脂製ブロック78を最も下方の横桟56の長手方向(Y方向)全域にわたって取り付けても良い。この場合、中央フレーム57が樹脂製ブロック78の下方をくぐるようにすることにより、ネスティング時に他の運搬用台車10と干渉しないようになっている。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。