以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、第1実施形態に係るワイパ装置100Aは、例えば乗用車等の車両に備えられたウインドシールドガラス12を払拭する装置であり、一対のワイパ14,16、ワイパモータ18、リンク機構20及びワイパ制御装置10を含んでいる。本実施形態において、ワイパモータ18はブラシ付きのDCモータである。
ワイパ14は、基端部がピボット軸42に固定されたワイパアーム24と、ワイパアーム24の先端部に連結されたワイパブレード28と、を含んでおり、ワイパ16は、基端部がピボット軸44に固定されたワイパアーム26と、ワイパアーム26の先端部に連結されたワイパブレード30と、を含んでいる。ワイパ14,16は、ワイパアーム24,26がピボット軸42,44を中心として回動されると、ワイパブレード28,30がウインドシールドガラス12上を往復移動し、ワイパブレード28,30がウインドシールドガラス12を払拭する。
ワイパモータ18は、主にウォームギアから成る減速機構52により減速された、正逆回転可能な出力軸32を有している。リンク機構20は、クランクアーム34、第1リンクロッド36、一対のピボットレバー38,40、一対のピボット軸42,44及び第2リンクロッド46を含んでいる。
クランクアーム34の一端側はワイパモータ18の出力軸32に固定されており、クランクアーム34の他端側は第1リンクロッド36の一端側に回動可能に連結されている。また、第1リンクロッド36の他端側は、ピボットレバー38の中間部に回動可能に連結されている。第2リンクロッド46は、一方の端部が、ピボットレバー38のうちピボット軸42に固定された端部と反対側の端部に回動可能に連結され、他方の端部が、ピボットレバー40のうちピボット軸に固定された端部と反対側の端部に回動可能に連結されている。
また、ピボット軸42,44は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって回動可能に支持されており、ピボットレバー38,40のうちピボット軸42,44に固定された側の端部は、ピボット軸42,44を介してワイパアーム24,26が各々連結されている。
第1実施形態に係るワイパ装置100Aは、ワイパモータ18の出力軸32が所定の回転角度範囲θ1で正逆回転されると、この出力軸32の回転力がリンク機構20を介してワイパアーム24,26に伝達され、ワイパアーム24,26の往復回動に伴ってワイパブレード28,30がウインドシールドガラス12上における下反転位置P2と上反転位置P1との間で往復移動する。回転角度範囲θ1は、ワイパ装置100Aのリンク機構の構成等によって様々な値をとり得るが、一例としてθ1=140°である。
本実施形態では、下反転位置P2の下方に格納位置P3が設けられている。ワイパブレード28,30が下反転位置P2にある状態から、出力軸32が回転角度θ2だけ回転することにより、ワイパブレード28,30は格納位置P3へ移動する。回転角度θ2は、ワイパ装置100Aのリンク機構の構成等によって様々な値をとり得るが、一例としてθ2=10°である。
第1実施形態では、図1に示すように、ワイパブレード28,30が格納位置P3に位置された場合には、クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状を成す構成とされている。クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状を成すことで、格納位置P3に位置しているワイパブレード28,30には所定の位置保持力が作用し、微小な外力が加わってもワイパブレード28,30が格納位置P3に位置している状態で維持される。なお、回転角度θ2=0°の場合は、下反転位置P2と格納位置P3とは一致し、ワイパブレード28,30は下反転位置P2で停止し、格納される。
一方、ワイパ制御装置10はワイパモータ18の回転を制御するためのワイパ制御部22を含んでおり、ワイパ制御部22はワイパモータ18に接続されている。ワイパ制御部22は、ワイパECU(Electronic Control Unit)58、駆動回路56及び回転角度センサ54を含んでいる。
ワイパECU58はCPU58A、メモリ58B及び不揮発性の記憶部58Cを含んでいる。ワイパECU58は、ワイパモータ18の出力軸32の回転速度及び回転角度を検知する回転角度センサ54の検知結果に基づいて、ワイパブレード28,30のウインドシールドガラス12上での位置及び出力軸32の回転速度を算出し、算出した前記位置に応じて出力軸32の回転速度が変化するように駆動回路56を制御する。回転角度センサ54は、ワイパモータ18の減速機構52内に設けられ、出力軸32に連動して回転するセンサマグネットの磁界(磁力)を電流に変換して検出する。
本実施形態では、ワイパモータ18の出力軸32は減速機構52で減速されるので、出力軸32の回転速度及び回転角度は、ワイパモータ本体の回転速度及び回転角度と同一ではない。しかしながら、本実施形態では、ワイパモータ本体と減速機構52は一体不可分に構成されているので、以下、出力軸32の回転速度及び回転角度を、ワイパモータ18の回転速度及び回転角度とみなすものとする。なお、駆動回路56の制御に係るデータは記憶部58Cに予め記憶されている。
また、ワイパ制御部22のワイパECU58には、車両のエンジンの制御等を行う主ECU92を介してワイパスイッチ50が接続されている。ワイパスイッチ50は、車両のバッテリからワイパモータ18に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。また、ワイパ制御部22のワイパECU58には、主ECU92を介して雨滴検出部としてのレインセンサ90が接続されている。
ワイパスイッチ50は、ワイパブレード28,30を、低速で動作させる低速作動位置(LOW)、高速で動作させる高速作動位置(HIGH)、一定周期で間欠的に動作させる間欠作動位置(INT)、レインセンサ90が雨滴を検出した場合に動作させる自動作動位置(AUTO)、停止位置(OFF)に接点を切替可能である。主ECU92はワイパスイッチ50の接点位置を検知し、検知結果を指令信号として信号入力回路62(図2)を介してワイパECU58へ出力する。
レインセンサ90は、例えば、ウインドシールドガラス12の車室内側に設けられる光学センサの一種であり、ウインドシールドガラス12の表面に存在する水滴等を検知する。レインセンサ90は、一例として、赤外線の発光素子であるLED、受光素子であるフォトダイオード、赤外線の光路を形成するレンズ及び制御回路を含んでいる。LEDによって車室側から車外へ向けて発せられた赤外線は、ウインドシールドガラス12の表面が乾燥している場合にはウインドシールドガラス12で全反射するが、ウインドシールドガラス12の表面に水滴が存在する場合には、赤外線の一部が水滴を透過して外部に放出されるため、ウインドシールドガラス12での反射量が減少する。その結果、受光素子であるフォトダイオードに入射される赤外線の光量が減少する。制御回路は、かかる光量の減少に基づいて、ウインドシールドガラス12の表面に存在する水滴を検知する。なお、本実施形態では、雨滴検出部として赤外線を用いるレインセンサ90を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、赤外線を用いるレインセンサ90とは別に車載カメラを設けてもよい。
ワイパECU58は、指令信号として入力されたワイパスイッチ50の接点位置が高速作動位置の場合にはワイパモータ18を高速で回転させ、指令信号として入力されたワイパスイッチ50の接点位置が低速作動位置の場合にはワイパモータ18を低速で回転させる。また、ワイパECU58は、指令信号として入力されたワイパスイッチ50の接点位置が間欠作動位置の場合、ワイパブレード28,30が上反転位置P1と下反転位置P2との間を往復払拭し、かつ下反転位置P2で所定時間停止するように、ワイパモータ18を間欠的に回転させる。また、ワイパECU58は、指令信号として入力されたワイパスイッチ50の接点位置が自動作動位置の場合、レインセンサ90が検知した水滴の量に応じて出力される信号によりワイパモータ18の回転速度を制御する。
図2に示すように、ワイパECU58には、ダイオード68を介してバッテリ80の電力が供給されると共に、バッテリ80から供給される電力の電圧は、ダイオード68とワイパECU58との間に設けられた電圧検出回路60によって検知され、検知結果はワイパECU58に出力される。
また、ダイオード68とワイパECU58との間には電解コンデンサC1の一端(+端子)が接続されており、電解コンデンサC1の他端(−端子)は接地されている。電解コンデンサC1は、ワイパECU58の電源を安定化するためのコンデンサである。電解コンデンサC1は、例えば、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することでワイパECU58を保護する。
また、ワイパECU58には、出力軸32の回転に応じて変化するセンサマグネット70の磁界を検知する回転角度センサ54が接続されている。ワイパECU58は、回転角度センサ54が出力した信号に基づいて、出力軸32の回転角度を算出することにより、ワイパブレード28,30のウインドシールドガラス12上での位置を検知する。
更に、ワイパECU58は、記憶部58Cに予め記憶されているワイパブレード28,30の位置に応じて規定されたワイパモータ18の回転速度のデータを参照して、ワイパモータ18の回転が、特定したワイパブレード28,30の位置に応じた回転数になるように駆動回路56を制御する。
駆動回路56は、ワイパECU58から入力された制御信号に基づいて、ドライバ56Bのスイッチング素子をオンオフさせる駆動信号を生成するプリドライバ56Aと、プリドライバ56Aが出力した駆動信号に従ってスイッチング素子をオンオフさせてワイパモータ18のコイルに通電するドライバ56Bと、を含んでいる。ドライバ56Bは、例えば4つのFETで構成されている。
電源であるバッテリ80と駆動回路56との間には逆接続保護回路64及びノイズ防止コイル66が設けられると共に、駆動回路56に対して並列に電解コンデンサC2が接続されている。ノイズ防止コイル66は、駆動回路56のスイッチングによって発生するノイズを抑制する。電解コンデンサC2は、駆動回路56から生じるノイズを緩和すると共に、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することで駆動回路56に過大な電流が入力されることを防止する。
逆接続保護回路64は、バッテリ80の正極と負極が図2とは逆に接続された場合に、ワイパ制御装置10の各素子を保護するための回路である。逆接続保護回路64は、一例として、自身のドレインとゲートを接続した、いわゆるダイオード接続されたFET等で構成される。
ワイパ制御装置10の基板上には、基板の温度を抵抗値として検知するチップサーミスタRTが設けられている。チップサーミスタRTは一種の分圧回路を構成し、チップサーミスタRTが構成する分圧回路の出力端からは、チップサーミスタRTの抵抗値に基づいて変化する電圧が出力される。ワイパECU58は、チップサーミスタRTが構成する分圧回路の出力端から出力された電圧に基づいてワイパ制御装置10の基板の温度を算出し、当該温度が所定の閾値温度を超えた場合は、ワイパ制御装置10の動作を停止させる。
また、ドライバ56Bを構成するスイッチング素子の各々のソースとバッテリ80との間にはワイパモータ18のコイルとドライバ56Bとの電流(モータ電流)を検知するための電流検知部82が設けられている。電流検知部82は、抵抗値が0.2mΩ〜数Ω程度のシャント抵抗82Aと、ドライバ56Bの電流に応じて変化するシャント抵抗82Aの両端の電位差を検知すると共に検知した電位差の信号を増幅するアンプ82Bとを含む。ワイパECU58は、アンプ82Bが出力した信号からモータ電流の電流値を算出する。
次に第1実施形態の作用として、まずワイパスイッチ50の接点が間欠作動位置(INT)に切り替わっており、ワイパブレード28,30を一定周期で間欠的に動作させている状態で行われる位置保持制御について説明する。
ワイパECU58は、ワイパブレード28,30の間欠動作において、ワイパブレード28,30が下反転位置P2で停止する度に、位置保持制御許可フラグに設定されている値を確認する。そして、位置保持制御許可フラグに「許可」を意味する値が設定されている場合には、ワイパブレード28,30が上反転位置P1への移動を開始する迄の間、ワイパブレード28,30を下反転位置P2に保持する位置保持制御を行う。
すなわち、位置保持制御において、ワイパECU58は、回転角度センサ54によって検出されるワイパブレード28,30の位置が下反転位置P2に一致しているか否かを監視する。ワイパブレード28,30の位置が下反転位置P2に一致している場合、ワイパECU58はワイパモータ18を駆動しない。また、ワイパブレード28,30の位置が下反転位置P2から上方向にずれた場合、ワイパECU58は、ワイパブレード28,30が下方向へ下反転位置P2まで移動するようにワイパモータ18を駆動する。また、ワイパブレード28,30の位置が下反転位置P2から下方向にずれた場合、ワイパECU58は、ワイパブレード28,30が上方向へ下反転位置P2まで移動するようにワイパモータ18を駆動する。
この位置保持制御により、間欠動作のうちワイパブレード28,30が下反転位置P2で停止している期間、ワイパブレード28,30は、走行風などの外力が加わったとしても、下反転位置P2に停止している状態で維持される。上述した位置保持制御において、下反転位置P2は第1反転位置の一例である。なお、ワイパブレード28,30が下反転位置P2で停止した際に、位置保持制御許可フラグに「禁止」を意味する値が設定されている場合には、上述した位置保持制御は行われない。このように、ワイパECU58は第1制御部の一例であり、位置保持制御許可フラグは指示情報の一例である。
続いて、ワイパブレード28,30を間欠動作させている間、ワイパECU58によって実行される間欠動作処理について、図3を参照して説明する。ステップ200において、ワイパECU58は、間欠動作中か否か判定する。ワイパスイッチ50の接点が間欠作動位置(INT)以外に切り替わっている場合は、ステップ200の判定が否定されて間欠動作処理を終了する。
また、ワイパスイッチ50の接点が間欠作動位置(INT)になっている場合は、ステップ200の判定が肯定されてステップ202へ移行する。ステップ202において、ワイパECU58は、ワイパ装置100Aの現在の状態が、ワイパブレード28,30を上反転位置P1から下反転位置P2へ移動させる復路動作中か否か判定する。ワイパ装置100Aの現在の状態が、ワイパブレード28,30を下反転位置P2から上反転位置P1へ移動させる往路動作中の場合には、ステップ202の判定が否定されてステップ200に戻る。
また、ステップ202の判定が肯定された場合はステップ204へ移行し、ステップ204において、ワイパECU58は、ワイパブレード28,30の現在位置が、ワイパモータ18の電流上昇を監視するカウント対象エリア内か否か判定する。本実施形態において、カウント対象エリアは、図1に示す上端位置P4(上反転位置P1と下反転位置P2との間の位置)を上端とし、下反転位置P2を下端とする領域である。カウント対象エリアは、当該エリア内に障害物が存在しない場合に、当該エリア内でモータ電流が単調減少するように範囲が設定されている。なお、本実施形態におけるカウント対象エリアは所定領域の一例である。
ワイパブレード28,30の現在位置がカウント対象エリアから外れている場合は、ステップ204の判定が否定されてステップ206へ移行し、ワイパモータ18の電流上昇をカウントするためのカウント値に0を設定してステップ200に戻る。また、ワイパブレード28,30の現在位置がカウント対象エリア内の場合には、ステップ204の判定が肯定されて場合はステップ208へ移行する。ステップ208において、ワイパECU58は、電流検知部82からモータ電流の検知結果を取得してモータ電流の変化を判定し、判定結果に応じて分岐する。
すなわち、今回取得したモータ電流が前回取得したモータ電流よりも増加していた場合には、ステップ208からステップ210へ移行し、ステップ210において、ワイパECU58は、カウント値に所定値(例えば1)を加算し、ステップ214へ移行する。また、今回取得したモータ電流が前回取得したモータ電流よりも減少していた場合には、ステップ208からステップ212へ移行し、ステップ212において、ワイパECU58は、カウント値から所定値(例えば1)を減算し、ステップ214へ移行する。但し、カウント値の最小値は0であり、カウント値から所定値を減算した結果、符号がマイナスであればカウント値に0を設定する。
なお、カウント対象エリア内でモータ電流の検知結果を初めて取得した場合、又は、今回取得したモータ電流の検知結果が前回取得したモータ電流の検知結果と同一であった場合には、カウント値を変更することなくステップ214へ移行する。
ステップ214において、ワイパECU58は、カウント値が閾値N以上になったか否か判定する。ステップ214の判定が肯定された場合はステップ216へ移行し、ステップ216において、ワイパECU58は、位置保持制御許可フラグに「禁止」を意味する値を設定し、ステップ218へ移行する。また、ステップ214の判定が否定された場合はステップ216をスキップしてステップ218へ移行する。
このように、ワイパECU58は、ワイパブレード28,30がカウント対象エリアを下反転位置P2へ移動している間、モータ電流が上昇していることを検出する度にカウント値を増加させ、カウント値が閾値N以上になった場合にモータ電流の所定値以上の上昇を検出したと判定する。これにより、例えばモータ電流の瞬間的な上昇などの影響を受けることなく、ワイパブレード28,30が障害物に当たったことに相当するモータ電流の所定値以上の上昇を精度良く検出することができる。
ステップ218において、ワイパECU58は、ワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達したか否か判定する。ステップ218の判定が否定された場合はステップ200に戻り、ステップ218の判定が肯定される迄、ステップ200〜218を繰り返す。また、ステップ218の判定が肯定された場合はステップ219へ移行し、カウント値に0を設定する。
次のステップ220において、ワイパECU58は、位置保持制御許可フラグに「禁止」を意味する値が設定されているか否か判定する。ステップ220の判定が否定された場合はステップ222へ移行し、ステップ222において、ワイパECU58は、位置保持制御許可フラグに「許可」を意味する値を設定し、ステップ224へ移行する。一方、ステップ220の判定が肯定された場合はステップ222をスキップしてステップ224へ移行する。
上述した処理により、ワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達する前に、カウント値が閾値N以上になった場合には、カウント値が閾値N以上になった時点で位置保持制御許可フラグに「禁止」を意味する値が設定される。一方、ワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達する迄にカウント値が閾値N以上にならなかった場合は、ワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達した時点で、位置保持制御許可フラグに「許可」を意味する値が設定される。そして、位置保持制御許可フラグに「許可」を意味する値が設定された場合は、ワイパECU58によって位置保持制御が行われ、位置保持制御許可フラグに「禁止」を意味する値が設定された場合は、ワイパECU58によって位置保持制御は行われない。
次のステップ224において、ワイパECU58は、ワイパブレード28,30の往路動作が開始されたか否か判定し、判定が否定された場合は判定が肯定される迄ステップ224を繰り返す。ワイパブレード28,30の往路動作が開始されると、ステップ224の判定が肯定された場合はステップ226へ移行し、ステップ226において、ワイパECU58は、位置保持制御許可フラグに「未確定」を意味する値を設定する。従って、位置保持制御許可フラグに一旦「禁止」が設定された場合には、その後往復動作が開始される迄の間、位置保持制御許可フラグは「禁止」が設定された状態を維持する。ステップ226の処理を行うとステップ200に戻る。上述した間欠動作処理を行うワイパECU58は第2制御部の一例である。
上述した間欠動作処理の作用について、図4,5を参照して更に説明する。図4に示すように、ワイパスイッチ50の接点が停止位置(OFF)から間欠作動位置(INT)に切り替わると、まず期間T1でワイパブレード28,30を下反転位置P2から上反転位置P1へ移動させる1回目の往路動作(OPEN動作)が行われる。図4は、続く期間T2でワイパブレード28,30を上反転位置P1から下反転位置P2へ移動させる1回目の復路動作(CLOSE動作)の途中で、ワイパブレード28,30が障害物に当たった場合を示している。
図4に示す例は、図5に詳細を示すように、1回目の復路動作の途中で上昇していたモータ電流が減少に転じ、ワイパブレード28,30がカウント対象エリアに入った後、ワイパブレード28,30が障害物に当たることで、モータ電流が再び上昇している。このモータ電流の上昇に伴ってカウント値は増加し始め、カウント値が閾値N以上になった時点で、位置保持制御フラグに「禁止」が設定される。この場合、ワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達した後の期間T3では位置保持制御は行われない。
復路動作の途中のカウント対象エリア内でワイパブレード28,30が障害物に当たった場合、障害物の影響により、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26、リンク機構20が撓んだ状態で、ワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達することになる。そして、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26、リンク機構20が撓んだ状態で位置保持制御を行うと、ワイパモータ18に過大な負荷が加わって大きな電流が流れ、ワイパモータ18の早期劣化や故障を招く虞がある。また、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26及びリンク機構20に対しても過大な負荷が加わり故障を招く虞がある。
これに対し、本実施形態では、モータ電流の上昇によりカウント値が閾値N以上になった場合に、位置保持制御フラグに「禁止」を設定して位置保持制御を禁止しているので、ワイパモータ18、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26及びリンク機構20に過大な負荷が加わることを抑制することができる。また、図5において、期間T3の最初にワイパブレード28,30が上方向へ若干戻されていることからも明らかなように、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26、リンク機構20の撓みも解放される。
一方、図4に示す例は、期間T5の2回目の復路動作ではワイパブレード28,30が障害物に衝突しない場合を示している。この場合、カウント対象エリア内でモータ電流の再上昇は生じず、カウント値が閾値N以上になることなくワイパブレード28,30が下反転位置P2に到達するので、位置保持制御フラグに「許可」が設定され、以降の期間T6では位置保持制御が行われることになる。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
図6に示すように、第2実施形態に係るワイパ装置100Bは、ワイパ14がワイパモータ18Aの駆動力により動作し、ワイパ16がワイパモータ18Bの駆動力により動作する、ダイレクトドライブによるタンデム式のワイパ装置である。ワイパ14のワイパアーム24はワイパモータ18Aの駆動力が減速機構52Aで減速されて伝達されることで回動され、ワイパ16のワイパアーム26はワイパモータ18Bの駆動力が減速機構52Bで減速されて伝達されることで回動される。ワイパ装置100Bでは、ワイパ14のワイパアーム24と、ワイパ16のワイパアーム26とが各々同一方向に回動するように、ワイパモータ18A,18Bを駆動する。
ワイパモータ18A,18Bは、ワイパモータ18A,18Bの駆動を制御するワイパ制御部22に各々接続されており、ワイパ制御部22は駆動回路56(プリドライバ56A及びドライバ56B)及びワイパECU58を含んでいる。ワイパECU58には、ワイパモータ18Aの出力軸32Aの回転速度及び回転角度を検知する回転角度センサ54Aと、ワイパモータ18Bの出力軸32Bの回転速度及び回転角度を検知する回転角度センサ54Bと、が各々接続されている。
ワイパECU58は、回転角度センサ54A,54Bからの信号に基づいて、ウインドシールドガラス12上でのワイパブレード28,30の位置を各々算出する。また、ワイパECU58は、算出した位置に応じて出力軸32A,32Bの回転速度が変化するように駆動回路56(プリドライバ56A及びドライバ56B)を各々制御する。なお、回転角度センサ54A,54Bは、ワイパモータ18A,18Bの減速機構52A,52B内に各々設けられ、出力軸32A,32Bに連動して回転する励磁コイル又はマグネットの磁界(磁力)を電流に変換して検出する。また、出力軸32A,32Bの回転速度の制御は、記憶部58Aに予め記憶された、ワイパブレード28,30の位置に応じた出力軸32A,32Bの回転速度を規定した速度マップ(図示省略)を参照して行う。
駆動回路56(プリドライバ56A及びドライバ56B)は、第1実施形態で説明した駆動回路56と同一の構成であるので、説明を省略する。ワイパECU58は、ワイパスイッチ50の接点位置に応じた信号が入力されると、ワイパECU58がワイパスイッチ50からの出力信号に対応する制御を行う。具体的には、ワイパECU58は、ワイパスイッチ50からの指令信号と前述の速度マップとに基づいて出力軸32A,32Bの回転速度を算出する。さらにワイパECU58は、算出した回転速度で出力軸32A,32Bが回転するように駆動回路56(プリドライバ56A及びドライバ56B)を制御する。
次に第2実施形態の作用として、第2実施形態に係るワイパECU58が行う雪溜まり検出について説明する。図6,7に示すように、第2実施形態では、下反転位置P2とカウント対象エリアの上端位置P4との間に、雪溜まり検出エリアの上端位置P5が設定されており、雪溜まり検出エリアの上端位置P5と格納位置P3との間が雪溜まり検出エリアに設定されている。ワイパECU58は、ワイパ14,16の復路動作(CLOSE動作)でワイパブレード28,30が雪溜まり検出エリア内を移動している間、及び、ワイパブレード28,30を格納位置P3へ移動させる際、雪溜まりの有無、すなわちワイパブレード28,30が雪溜まり等の障害物に衝突したか否かを監視する雪溜まり検出を行う。
ワイパブレード28,30が雪溜まりの有無の判定については、具体的には様々な判定方法があり、ここでは詳述しないが、一例としては、ワイパブレード28,30を移動させている途中でワイパモータ18A,18Bの出力軸32A,32Bの少なくとも一方の回転が停止した場合に、雪溜まり有り、すなわち雪溜まり等に衝突したと判定する方法が挙げられる。雪溜まり有りと判定される顕著な雪溜まりの一例を、図7に符号「84」を付して示す。そして、ワイパECU58は、雪溜まり有りと判定した場合にワイパブレード28,30の移動を停止させ、ワイパブレード28,30を雪溜まり検出エリア内の停止位置(ワイパモータ18A,18Bの出力軸32A,32Bの少なくとも一方の回転が停止したときの位置)に保持する位置保持制御を行う。
次に図8を参照し、第2実施形態に係る間欠動作処理を説明する。図8に示す間欠動作処理は、ステップ218の判定が否定された場合にステップ230へ移行し、雪溜まり有りと判定されたか否か、すなわちワイパブレード28,30が雪溜まり等の障害物に衝突したと判定されたか否か判定する点で第1実施形態と相違している。ステップ230の判定が否定された場合はステップ200に戻し、ステップ230の判定が肯定された場合はステップ219へ移行する。
上述した間欠動作処理の作用について、図9,10を参照して更に説明する。図9は、続く期間T2でワイパブレード28,30を上反転位置P1から下反転位置P2へ移動させる1回目の復路動作(CLOSE動作)の途中で、ワイパブレード28,30が障害物に衝突し、更に雪溜まり有りと判定された場合を示している。
図9に示す例は、図10に詳細を示すように、1回目の復路動作の途中で上昇していたモータ電流が減少に転じ、ワイパブレード28,30がカウント対象エリアに入った後、ワイパブレード28,30が障害物に衝突することで、モータ電流が再び上昇している。このモータ電流の上昇に伴ってカウント値は増加し始め、カウント値が閾値N以上になった時点で、位置保持制御フラグに「禁止」が設定される。その後、雪溜まり検出エリア内で雪溜まり有りと判定され、ワイパブレード28,30が下反転位置P2よりも上側の位置で停止するが、このときには位置保持制御フラグは既に「禁止」に設定されているので、ワイパブレード28,30が下反転位置P2よりも上側の位置で停止した後の期間T3では位置保持制御は行われない。
復路動作の途中のカウント対象エリアでワイパブレード28,30が障害物に衝突した後に、雪溜まり検出エリアで雪溜まり有りと判定された場合、障害物の影響により、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26、リンク機構20が撓んだ状態で、雪溜まり有りと判定されてワイパブレード28,30の移動が停止されることになる。そして、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26、リンク機構20が撓んだ状態で位置保持制御を行うと、ワイパモータ18に過大な負荷が加わって大きな電流が流れ、ワイパモータ18の早期劣化や故障を招く虞がある。また、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26及びリンク機構20に対しても過大な負荷が加わり故障を招く虞がある。
これに対し、第2実施形態では、モータ電流の上昇によりカウント値が閾値N以上になった場合に、位置保持制御フラグに「禁止」を設定して位置保持制御を禁止しているので、その後、雪溜まり有りと判定されてワイパブレード28,30の移動が下反転位置P2よりも上側の位置で停止された場合にも、ワイパモータ18、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26及びリンク機構20に過大な負荷が加わることを抑制することができる。また、図10において、期間T3の最初にワイパブレード28,30が上方向へ若干戻されていることからも明らかなように、ワイパブレード28,30、ワイパアーム24,26及びリンク機構20の撓みも解放される。
なお、上記では雪溜まり検出を行う態様について、第2実施形態に係るワイパ装置100Bを例に説明したが、第1実施形態に係るワイパ装置100Aにおいても雪溜まり検出を行うことは可能である。
また、ワイパモータ18の一例としてブラシ付きのDCモータを説明したが、これに限定されるものではなく、ワイパモータ18はブラシレスモータなどであってもよい。
また、上記では第1反転位置の一例である下反転位置で位置保持制御を行う態様を説明したが、これに限定されるものではなく、上反転位置で位置保持制御を行うワイパ装置に本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態では、ステップ200で間欠動作中か否かの判定を、ワイパスイッチ50が間欠作動位置にあるか否かに基づいて行っていたが、これに限定されるものではない。間欠動作は、反転位置(下反転位置P2又は上反転位置P1)で所定時間停止する作動であればよい。例えば、ワイパスイッチ50が自動作動位置にあり、レインセンサ90で検出した雨量が少量である場合、反転位置(下反転位置P2又は上反転位置P1)で所定時間停止するため、この作動も間欠動作中と判定してもよい。