JP2019188781A - 中空板及び中空板の製造方法 - Google Patents

中空板及び中空板の製造方法 Download PDF

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宏佳 松沼
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善康 石川
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Takashi Sato
貴史 佐藤
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Yuji Oyama
裕二 大山
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Abstract

【課題】樹脂発泡体を材質として、軽量性に優れると共に、適度な光透過性を有する中空板及び該中空板の製造方法を提供する。【解決手段】離間した一対の板状部材と、該一対の板状部材の間の空間を仕切るリブと、を備える中空板であって、波長600nmにおける厚さ方向の光透過率が、1.5%以上であり、前記板状部材及びリブが、熱可塑性樹脂を含む発泡体から構成される中空板、及びその製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、中空板及び中空板の製造方法に関する。
内部に複数の空気層を有する樹脂製の中空板は、軽量性、断熱性及び機械強度に優れるため、例えば、壁材、天井材、窓材、室内扉、仕切り等の建築材料;梱包材、緩衝材等の包装材料;自動車、電車等の車両用内装材など、幅広い分野に使用されている。
上記のような中空板の機能をより高めるために、種々の検討がなされている。
特許文献1には、軽量で、断熱性に優れた中空板として、平行に配置された一対の熱可塑性樹脂製薄板の間に複数のリブを介在させた熱可塑性樹脂製中空板において、熱可塑性樹脂が発泡していることを特徴とする発泡熱可塑性樹脂製中空板が開示されている。
特開平10−29257号公報
特許文献1に開示される中空板は、その材質を発泡体とすることで、従来の中空板の目付け(単位面積当たりの重量)を増加させることなく、断熱性及び軽量性を向上させることを目的としている。しかしながら、特許文献1に開示される中空板は、気泡によって光透過性が悪化し、光透過性を要しない用途にしか使用することができないという制約が生じている。
本発明は、このような現状に鑑み、樹脂発泡体を材質として、軽量性に優れると共に、適度な光透過性を有する中空板及び該中空板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す構成を採用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は[1]〜[8]に関する。
[1]離間した一対の板状部材と、該一対の板状部材の間の空間を仕切るリブと、を備える中空板であって、
波長600nmにおける厚さ方向の光透過率が、1.5%以上であり、
前記板状部材及びリブが、熱可塑性樹脂を含む発泡体から構成される、中空板。
[2]前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネートである、上記[1]に記載の中空板。
[3]前記発泡体の軽量化倍率が、1.5倍以上である、上記[1]又は[2]に記載の中空板。
[4]前記発泡体の平均気泡径が、10〜600μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の中空板。
[5]前記発泡体が、前記熱可塑性樹脂、化学発泡剤及び気泡調整剤を含有する発泡性樹脂組成物を発泡してなるものである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の中空板。
[6]前記化学発泡剤が、炭酸亜鉛である、上記[5]に記載の中空板。
[7]前記気泡調整剤が、ポリテトラフルオロエチレンを含むものである、上記[5]又は[6]に記載の中空板。
[8]上記[5]〜[7]のいずれかに記載の中空板を製造する方法であって、
前記発泡性樹脂組成物を押出機で溶融混練し、
該溶融混練された溶融混練物を、押出発泡させて、前記一対の板状部材と前記リブとを形成する、中空板の製造方法。
本発明によれば、樹脂発泡体を材質として、軽量性に優れると共に、適度な光透過性を有する中空板及び該中空板の製造方法を提供することができる。
本実施形態の中空板を示す模式図である。 本実施形態の中空板を示す模式図である。 本実施形態の中空板を示す模式図である。 本実施形態の中空板を示す模式図である。 平均気泡径の測定方法を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[中空板]
本実施形態の中空板は、離間した一対の板状部材と、該一対の板状部材の間の空間を仕切るリブと、を備えるものである。前記板状部材及びリブは、熱可塑性樹脂を含む発泡体で構成される。また、本実施形態の中空板は、波長600nmにおける厚さ方向の光透過率が、1.5%以上である。
図1には、本実施形態の中空板1Aの斜視図が示されている。図1に示す通り、中空板1Aは、一対の板状部材2、2’と、該一対の板状部材2、2’の間の空間を仕切る複数のリブ3とを有している。
なお、本実施形態において、「板状」とは、実質的に板状であればよく、部分的又は全体的に曲がっていてもよく、表面に凹凸を有していてもよい。
また、本実施形態において、「リブ」とは、板状部材2、2’の間の空間を2以上に仕切る構造を有するものであればよく、その形状は特に限定されるものではない。
以下、リブによって仕切られた板状部材2、2’の間の空間を「中空部」ともいう。
<光透過率>
本実施形態の中空板は、波長600nmにおける厚さ方向の光透過率が、1.5%以上である。
厚さ方向の光透過率が、1.5%以上であると、適度な光透過性が得られるため、例えば、窓材、室内扉、仕切り等の一定の採光性が要求される用途に好適となる。
波長600nmにおける厚さ方向の光透過率は、中空板の用途に応じて適宜調整すればよいが、光透過性を向上させる観点からは、1.5%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。一方、外部からの視認性を制御する観点からは、厚さ方向の光透過率は、40%以下であってもよく、20%以下であってもよい。
上記の通り、本実施形態の中空板は、良好な採光性を有しつつも、外部からの視認性を制御することが可能であるため、例えば、従来、建材として使用されてきた擦りガラス等に代えて使用することが好適である。
なお、本実施形態の厚さ方向の光透過率とは、中空板のリブとリブとの間を測定箇所とした光透過率測定における波長600nmの測定値を意味し、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
中空板の光透過率は、熱可塑性樹脂の種類、発泡体の発泡倍率等によって調整することができる。
<発泡体>
本実施形態の中空板は、板状部材及びリブが、熱可塑性樹脂を含む発泡体により構成されるものである。本実施形態の中空板が備える板状部材及びリブが発泡体であると、省スペース性等を良好に保ったまま、断熱性及び軽量性が優れるものとなる。
以下、発泡体の好適な態様について詳細に説明する。
(熱可塑性樹脂)
発泡体が含有する熱可塑性樹脂は、発泡体としたときに上記光透過率を充足するものであれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの中でも、発泡時においても優れた機械強度及び光透過性が得られる観点から、ポリカーボネートが好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートとしては、主鎖にカーボネート結合を有するものであれば特に限定されず、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリカーボネートは、例えば、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換する方法、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとをアルカリ触媒存在下に界面重縮合させる方法で得られるものである。
ジヒドロキシ化合物としては、分子内にヒドロキシ基を2つ有する化合物であればよく、ビスフェノールA、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。
これらのジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリカーボネートはジヒドロキシ化合物以外にも、モノヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ化合物等に由来する構造単位を含有していてもよい。
ポリカーボネートの重量平均分子量は、成形性及び発泡性の観点から、10,000〜50,000が好ましく、20,000〜30,000がより好ましく、22,000〜25,000がさらに好ましい。なお、本明細書中における重量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(標準ポリスチレン換算)で測定された値である。
ポリカーボネートのメルトボリュームフローレート(MVR)(測定300℃、荷重11.8N)は、成形性及び発泡性の観点から、3〜15cm/10minが好ましく、4〜10cm/10minがより好ましく、5〜9cm/10minがさらに好ましい。なお、ポリカーボネートのメルトボリュームフローレートは、ISO 1133に準拠して測定される値である。
ポリカーボネートの軟化点は、成形性及び発泡性の観点から、100〜153℃が好ましく、140〜152℃がより好ましく、145〜150℃がさらに好ましい。なお、ポリカーボネートの軟化点は、ISO306/B50に準拠して測定される値である。
発泡体に含まれる熱可塑性樹脂中におけるポリカーボネートの含有量は、成形性及び発泡性の観点から、熱可塑性樹脂の総量中、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。また、ポリカーボネートの含有量は、熱可塑性樹脂の総量中、100質量%以下であってもよい。
(軽量化倍率)
本実施形態の中空板の軽量化倍率は、1.5〜4.0倍が好ましく、1.7〜3.0倍がより好ましく、1.8〜2.5倍がさらに好ましい。中空板の軽量化倍率が上記下限値以上であると、軽量性及び断熱性に優れるものとなり、上記上限値以下であると、機械強度及び光透過性に優れるものとなる。
なお、中空板の軽量化倍率とは、発泡体を形成する樹脂の密度を中空板の見掛け密度で割った値を意味する。中空板の見掛け密度とは、中空板の質量を中空部も含む中空板の体積で除して得られる値である。
(独立気泡率)
発泡体の独立気泡率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。発泡体の独立気泡率が上記下限値以上であると、断熱性に優れるものとなる。発泡体の独立気泡率は、100%以下であってもよく、製造容易性等の観点から、99%以下であってもよい。
なお、独立気泡率は、以下の測定方法によって得られる。
≪独立気泡率の測定方法≫
中空板(幅21mm×高さ5mm×長さ30mm)を試験片とし、該試験片の見掛け体積V及び重量Wを測定する。次いで、下記式から気泡の総体積Vを計算する。
気泡の総体積V=V−W/ρ(ρは樹脂の密度である。)
続いて、試験片を23℃の水中に沈めて、耐圧容器に入れ、水中で空気泡が出なくなるまで、−0.1MPaの減圧処理を行い、試験片に吸水させた。
水中から取り出した試験片の表面(中空部も含む)に付着した水分を除去した後、重量Wを測定し、下記式に基づいて連続気泡率及び独立気泡率を算出する。
連続気泡率P(%)=100×{(W−W)/(23℃における水の密度)}/V
独立気泡率P(%)=100−P
(平均気泡径)
発泡体の平均気泡径は、例えば、10〜600μmであり、光透過性と強度の観点から、50〜500μmが好ましく、100〜400μmがより好ましい。発泡体の平均気泡径が上記下限値以上であると、光透過性が向上し、上記上限値以下であると、強度の維持に効果的となる。
なお、発泡体の平均気泡径は実施例に記載の方法により測定された値である。
<発泡体の作製方法>
発泡体は、上記熱可塑性樹脂及び発泡剤を含有する発泡性樹脂組成物を発泡してなるものが好ましく、熱可塑性樹脂、化学発泡剤及び気泡調整剤を含有する発泡性樹脂組成物を発泡してなるものがより好ましい。
発泡性樹脂組成物中における熱可塑性樹脂の含有量は、発泡性樹脂組成物の総量100質量部に対して、80〜99.9質量部が好ましく、95〜99.9質量部がより好ましく、97〜99.9質量部がさらに好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤等が挙げられるが、生産性の観点から、化学発泡剤が好ましい。
化学発泡剤としては、有機系化学発泡剤、無機系化学発泡剤等が挙げられる。
有機系化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム塩、ジニトロソペンタエチレンテトラミン、ニトロソグアニジン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、トリヒドラジンシンメトリックトリアジン、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、トルエンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
無機系化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸亜鉛、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等が挙げられる。
これらの発泡剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類、所望する発泡倍率等を考慮して適宜選択すればよいが、耐熱性の高い熱可塑性樹脂と組み合わせることが可能であり、かつ良好な発泡性が得られる観点からは、無機系化学発泡剤が好ましく、炭酸亜鉛がより好ましい。
物理発泡剤としては、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレン、水、石油エーテル、塩化メチル、塩化エチル、モノクロルトリフルオルメタン、ジクロルジフルオルメタン、ジクロテトラフルオロエタン等が挙げられる。
発泡剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性樹脂組成物中における発泡剤の含有量は、使用する発泡剤の種類、所望する発泡倍率等に応じて適宜決定すればよいが、良好な発泡性を得る観点からは、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.15〜1質量部がさらに好ましい。特に、本実施形態の中空板の製造においては、炭酸亜鉛を上記含有量の範囲で使用することで、良好な軽量化倍率を有しつつ、光透過率にも優れる中空板が得られる。
(気泡調整剤)
気泡調整剤としては、無機系気泡調整剤、有機系気泡調整剤等が挙げられる。
有機系気泡調整剤としては、リン酸系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。
無機系気泡調整剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、酸化チタン、ゼオライト、石膏、ホウ砂、水酸化アルミニウム、カーボン等が挙げられる。
気泡調整剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類、所望する発泡倍率等を考慮して適宜選択すればよいが、良好な気泡が得られる観点からは、有機系気泡調整剤が好ましく、ポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。
気泡調整剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性樹脂組成物中における気泡調整剤の含有量は、使用する気泡調整剤の種類、所望する発泡倍率等に応じて適宜決定すればよいが、良好な気泡を形成する観点からは、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.15〜1質量部がさらに好ましい。特に、本実施形態の中空板の製造においては、ポリテトラフルオロエチレンを上記含有量の範囲で使用することで、良好な発泡倍率を有しつつ、光透過性にも優れる中空板が得られる。
(その他の成分)
発泡性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、滑剤、収縮防止剤、充填材、難燃剤、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、補強剤、収縮防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、表面処理剤、架橋剤等が挙げられる。
<中空板の製造方法>
本実施形態の中空板の製造方法は、目的とする構成が得られる方法であれば特に限定されないが、上記発泡性樹脂組成物を、押出機を用いて発泡成形(以下、「押出発泡成形」ともいう)する製造方法が好ましい。
押出発泡成形は、公知の方法によって実施できるが、その一例は以下の通りである。
まず、必要に応じて予め混合した発泡性樹脂組成物を、一軸スクリュー、二軸スクリュー等を備える押出機に投入する。なお、押出機は単体で使用してもよく、第1段押出機と第2段押出機とを直列に繋げた所謂タンデム式押出機を使用してもよい。
次に、投入された発泡性樹脂組成物は、加熱下において、押出機が備えるスクリューによって、加熱混練されながら、スクリューの先端方向に押出し力が加えられる。なお、ここでの混練条件は、使用する熱可塑性樹脂、発泡剤等の種類によっても異なるが、加熱条件は、例えば、220〜300℃、好ましくは240〜270℃であり、スクリュー回転数は、例えば、30〜120min−1、好ましくは60〜90min−1であり、吐出速度は、例えば、0.7〜3kg/h、好ましくは0.7〜1.4kg/hである。
なお、この加熱混練時には発泡性樹脂組成物は加圧されることで、発泡が抑制されている。
続いて、溶融混練された発泡性樹脂組成物は、所定形状を有するダイスから低圧領域に押し出され、発泡剤又は発泡剤の分解成分を気化させて、発泡性樹脂組成物を発泡させつつ、所定形状に成形される。なお、ダイスの温度は、使用する熱可塑性樹脂、発泡剤等の種類によっても異なるが、例えば、190〜240℃であり、好ましくは210〜230℃である。
次いで、押し出された発泡成形体は、冷却エア、冷却ロール等の冷却機構により冷却され、本実施形態の中空板が得られる。
本実施形態の中空板を上記押出発泡成形によって製造することで、連続的に大きなサイズの成形品を得ることができるため、本実施形態の中空板の製造方法は生産性及び経済性に優れるものとなる。
<中空板の形態>
次に、図面を参照しながら、本実施形態の中空板の好ましい形態について詳細に説明する。
図2には、図1で表される中空板1Aの平面透視図が示されている。
図2に示す通り、複数のリブ3は、中空板1Aの面内方向(厚さ方向と直交する方向)に、略平行且つ等間隔に配列している。複数のリブ3の透視形状は、略長方形状を有している。
図3には、図1で表される中空板1AのX−X’線の断面図が示されている。なお、図3及び図4において、一対の板状部材2、2’と複数のリブ3は、いずれも上記した発泡体から構成されるものであるが、識別を容易にするため、異なるハッチングを付している。
図3に示す通り、一対の板状部材2、2’の断面は、いずれも中空板の面内方向を長手とする略長方形状を有している。また、一対の板状部材である板状部材2と板状部材2’とは、中空板の面内方向に略平行に配置されている。
複数のリブ3の断面は、いずれも中空板の厚さ方向を長手とする略長方形状を有している。複数のリブ3は、中空板1Aの厚さ方向に、略平行且つ等間隔に配列している。
(板状部材2、2’)
一対の板状部材2、2’の間隔は特に限定されないが、光透過性及び強度の観点から、通常、1〜100mmであり、2〜30mmが好ましく、3〜10mmがより好ましく、3〜5mmがさらに好ましい。なお、一対の板状部材2、2’の間隔とは、図3に示されるx1に相当する距離であり、一対の板状部材2、2’のリブ3が形成されていない領域における、一方の板状部材2の中空部側の表面2aと、他方の板状部材2’の中空部側の表面2bとの最短距離である。
板状部材2、2’の厚さは、光透過性及び強度の観点から、通常、0.1〜20mmであり、0.3〜10mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましく、0.7〜2mmがさらに好ましい。なお、板状部材2、2’の厚さとは、図3に示されるx2に相当する距離であり、例えば、板状部材2のリブ3が形成されていない領域における、一方の表面2aと他方の表面2a’との最短距離である。
一対の板状部材2、2’の断面形状は、その表面に、気泡等に由来する凹凸があってもよく、部分的又は全体的に曲がっていてもよい。また、本実施形態の中空板は、一対の板状部材を有するものであればよく、板状部材を3枚以上有するものであってもよい。
なお、複数の板状部材の形状、厚さ等は、同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
(リブ3)
リブ3の厚さは、光透過度及び強度の観点から、通常、0.1〜20mmであり、0.3〜10mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましく、0.7〜2mmがさらに好ましい。なお、リブ3の厚さとは、図3に示されるx3に相当する距離であり、リブ3が仕切ることで形成された2つの中空部同士(図3中のV1及びV2)の最短距離である。
リブ3が、中空板の厚み方向に略平行に設けられている場合、複数のリブ3同士の間隔は特に限定されないが、光透過度及び強度の観点から、通常、1〜100mmであり、2〜30mmが好ましく、2.5〜10mmがより好ましく、2.5〜5mmがさらに好ましい。なお、リブ3同士の間隔とは、図3に示されるx4に相当する距離であり、隣接する2つのリブ3の、近接する面同士の最短距離である。
リブ3が、一対の板状部材2、2’の間の空間を占める体積割合としては、軽量化と強度の観点から、通常、1〜80体積%であり、3〜50体積%が好ましく、5〜30体積%がより好ましい。
図2の平面透視図において、複数のリブ3は略平行且つ等間隔に配置されているが、隣接するリブ3同士が異なる角度で配置されていてもよいし、複数のリブ3同士の間隔は2種以上の間隔を含むものであってもよい。
図2の平面透視図において複数のリブ3は、略長方形状を有しているが、部分的又は全体的に曲がった形状を有していてもよく、分岐していてもよい。
図3の断面図において、複数のリブ3は、略長方形状を有しているが、部分的又は全体的に曲がった形状を有していてもよく、分岐していてもよい。
図4(a)には、本実施形態の中空板の別の実施形態である中空板1Bの断面図が示されている。中空板1Bは、複数のリブ3が、断面視において、中空板1Bの厚み方向に対して角度を有するように配置されており、隣接するリブ3同士が、反転した角度を有している。
図4(b)には、本実施形態の中空板の別の実施形態である中空板1Cの断面図が示されている。中空板1Cは、複数のリブ3は、断面視において、波型の形状を有している。
なお、複数のリブ3の形態は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の中空板の厚さは、用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、2〜100mmであり、3〜30mmが好ましく、4〜10mmがより好ましく、5〜7mmがさらに好ましい。
<中空板の用途>
本実施形態の中空板は、軽量性に優れると共に、適度な光透過性を有するものであり、樹脂発泡体を材質とすることで断熱性、機械強度にも優れるものである。
そのため、本実施形態の中空板は、壁材、天井材、窓材、室内扉、仕切り等の建築材料;梱包材、緩衝材等の包装材料;自動車、電車等の車両用内装材などへの使用に好適である。これらの中でも、適度な採光性が必要とされる、窓材、室内扉、仕切り等への使用により好適である。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[光透過率の測定]
光透過率は、各例で得られた中空板の厚み方向について測定し、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、分光光度計U−3900Hを使用して測定された波長200〜900nm(スキャン速度120nm/min)の光透過率測定において、波長600nmの測定値で比較した。なお、測定箇所は、試験片のリブとリブとの間とした。
[見掛け密度の測定]
中空板の見掛け密度は、アルファミラージュ株式会社製の水中置換式密度比重測定器「MDS−300」を使用して測定した。測定の際、中空部に水が入らないよう、中空板の両端を極薄フィルムでシールしたものを、測定サンプルとした。
[軽量化倍率の測定]
中空板の軽量化倍率は、発泡体を形成する樹脂の密度を、上記で測定した中空板の見掛け密度で割って算出した。
[独立気泡率の測定]
独立気泡率は、上記した方法により測定した。
[曲げ強度の測定]
中空板を幅16〜23mm×長さ200mm(厚み3〜7mm)の押出成形品として作製した試験片を用いて下記条件により3点曲げ試験を行った。試験サイズは実測し、試験力から曲げ強度を算出した。なお、試験は各水準について3回行い、その平均値を曲げ強度とした。測定条件は以下の通りである。
・測定装置:株式会社島津製作所製 オートグラフ、AGS−H
・ヘッド速度:3mm/min
・支点間距離:100mm
・測定温度:室温(25℃)
[平均気泡径の測定]
中空板の平均気泡径は、以下の方法により測定した。
図5に、平均気泡径の測定法を表す模式図を示す。中空板の厚み方向の断面を光学顕微鏡(50倍)によって観察して、水平方向と垂直方向に直線を引く(図5の直線a及びb)。直線a及びbが横切る気泡の最大径(図5の距離c)をa,b方向で各20サンプル測定し、平均値を算出する。気泡の個数が20個に満たない場合は、気泡の数が20個以上含まれるように複数の箇所に直線を引いて同様の操作を行う。なお、測定位置は、中空板の表面から50μm以上離れた場所とした。
[中空板の作製]
実施例1、2、比較例1及び2
下記表1に示す組成となるように、各成分を配合した。なお、各成分の詳細は以下に示す通りである。表1に示す各成分の詳細は以下の通りである。
[熱可塑性樹脂]
ポリカーボネート:帝人株式会社製、商品名「L−1250Y」、密度=1.20g/cm、MVR(測定300℃、荷重11.8N)=8.00cm/10min、ビカット軟化温度=149℃
ポリプロピレン(住友化学株式会社製、商品名「D101」)
[発泡剤]
粉末炭酸亜鉛:和光純薬工業株式会社製、商品名「塩基性炭酸亜鉛」
[気泡調整剤]
ポリテトラフルオロエチレン:三菱レイヨン株式会社製、商品名「メタブレンA3000」、アクリル変性したポリテトラフルオロエチレン
次に、配合した各成分を、押出機(株式会社東洋精機製作所製、商品名「ラボプラストミル4C150型、2D25−S型二軸押出機」)に投入して、表1に示す押出成形条件で押出発泡し中空板を成形した。得られた中空板の評価結果を表1に示す。
表1から、実施例1及び2で得られた本実施形態の中空板は、軽量性に優れると共に、適度な光透過性を有していることが分かる。一方、比較例1の中空体は、発泡体ではないにも関わらず光透過率が低かった。また、比較例2の中空体は、発泡体から構成されるものではあるが、光透過率が低いものであった。

Claims (8)

  1. 離間した一対の板状部材と、該一対の板状部材の間の空間を仕切るリブと、を備える中空板であって、
    波長600nmにおける厚さ方向の光透過率が、1.5%以上であり、
    前記板状部材及びリブが、熱可塑性樹脂を含む発泡体から構成される、中空板。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネートである、請求項1に記載の中空板。
  3. 前記発泡体の軽量化倍率が、1.5倍以上である、請求項1又は2に記載の中空板。
  4. 前記発泡体の平均気泡径が、10〜600μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空板。
  5. 前記発泡体が、前記熱可塑性樹脂、化学発泡剤及び気泡調整剤を含有する発泡性樹脂組成物を発泡してなるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空板。
  6. 前記化学発泡剤が、炭酸亜鉛である、請求項5に記載の中空板。
  7. 前記気泡調整剤が、ポリテトラフルオロエチレンを含むものである、請求項5又は6に記載の中空板。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の中空板を製造する方法であって、
    前記発泡性樹脂組成物を押出機で溶融混練し、
    該溶融混練された溶融混練物を、押出発泡させて、前記一対の板状部材と前記リブとを形成する、中空板の製造方法。
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