JP2019188676A - 管状体の曲げ加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
樹脂製の管状体を曲げ加工する方法としては、次のように行うことが一般的である。まず、原管となる管状体を曲げ変形が可能となる温度まで加熱し、次いで潰れを防止するための中芯材を管状体内に挿入し、そして所望の形状に倣ったキャビティを備えた型によって管状体を型締めして変形させる。変形後は、型の内部で管状体を冷却してから、型開きし、管状体から中芯材を抜き取る。これにより、所望の曲げ角に曲げられた管状体が得られる。
このような管状体の加工方法については、例えば特許文献1〜3に記載されている。
しかしながら、芯材を挿入しないで曲げた場合は、管状体の曲げ部の内側に座屈が生じたり、あるいは、曲げ部の外側の肉厚が減肉したり、という問題があった。
そこで、本発明は、芯材を挿入しなくても、曲げ部に座屈や減肉を生じさせない、管状体の加工装置を提供することを課題とする。
前記管状体(1)の曲げ部を挟んで管状体(1)を把持する2以上のクランプ(3,4)、前記管状体(1)の曲げ形状に対応する賦形型、を備え、前記管状体(1)を把持する一方のクランプ(3)が固定されており、前記管状体(1)を把持する他方のクランプ(4)が管状体(1)の長手方向に移動可能に構成されている、管状体の曲げ加工装置である。
他方のクランプ(4)は、管状体(1)の長手方向に略直交する方向に移動可能にも構成されている。他方のクランプ(4)が管状体(1)の長手方向に略直交する方向に移動することにより、管状体(1)に曲げ加工が施される。
本発明の管状体1の曲げ加工装置100は、合成樹脂からなる管状体1の曲げ加工装置であって、前記管状体1の曲げ部を挟んで管状体1を把持するクランプ3,4、前記管状体1の曲げ形状に対応する賦形型8a、8b、を備える。図2に本発明の曲げ加工装置100の装置構成の概要を示す。
本発明における管状体1は、合成樹脂からなる管状体であれば、特に限定されないが、加熱によって軟化する(軟化点を有する)樹脂からなる管状体であることが好ましい。ここで、軟化点とは、熱可塑性樹脂の場合は融点より低い温度で変形し始める温度のことであり、熱可塑性樹脂以外の合成樹脂(熱硬化性樹脂や架橋樹脂など)の場合は、加熱により貯蔵弾性率E’が減少し始める温度のことをいう。例えば、分子中に架橋を持たないポリエチレン管(低密度、または、高密度)、あるいは、分子中に架橋を持つポリエチレン管(低密度、または、高密度)、ポリプロピレン管などに適用することができる。
架橋を有するポリエチレン管は、耐熱性が高い利点がある反面加工し難いのであるが、本発明の加工装置によれば、架橋ポリエチレン管であっても良好な曲げ加工を施すことが可能である。
架橋ポリエチレンにおける架橋方法は特に限定されない、シランによる架橋であってもよいし、放射線による架橋、有機過酸化物を用いた化学架橋等であってもよい。
本発明の加工装置100は、少なくとも2つのクランプ3、4を備え、該クランプ3、4により、管状体1の曲げ部を挟んで管状体1を把持する。クランプ3、4は、曲げ部を挟んで管状体を把持するために、少なくとも2つ必要であるが、より強固に固定すべく、3つ以上のクランプを備えていてもよい。管状体1の曲げ部とは、管状体に曲げ加工しようとしている箇所を意味し、上記の曲げ部を挟んで管状体を把持しているクランプ3、4の間に位置する。クランプ3、4が管状体1を把持する機構は特に限定されず、従来公知の機構を採用でき、例えば、管状体1の一部を挟んでネジで挟み込みの締め付けを行う方法や、管状体1の一端を蝶番で繋ぎ、もう一端をクリップ錠で挟み込む方法などにより担持することができる。また、このとき管状体1は予めクランプ3,4に担持させておいてから、加工装置100にセットすることができ、曲げ加工された管状体1は管状体1が担持された状態のままクランプ3、4を外すことによって、取り出すことができる。このことにより、加工装置100による管状体1の曲げ加工と、クランプ3,4に管状体1を担持させる作業とを並行して行うことができるため、加工時間を短縮させることができる。
また、クランプ4は、管状体1の長手方向に略直交する方向にも移動可能に構成されており、これにより管状体1に曲げが施される。
スライド部6を移動クランプ4が移動する動力は、例えば、移動クランプ4およびその周辺部材の自重とすることができるが、それ以外に、バネ等により動力を付与してもよい。
本発明の加工装置100は、賦形型を備えている。賦形型は、管状体1の曲げ部に所望の曲げ形状を付与するための型であり、曲げ形状に対応するRが形成されている。なお、賦形型に形成されたRは、冷却後の管状体1の曲げ戻りを考慮して、管状体1に施す所望のRよりも10%程度きつく設定されていることが好ましい。
本発明の曲げ加工装置100は、さらに、曲げ部を加熱する加熱手段7を有していることが好ましい。加熱手段7は、管状体1の曲げ部を所定の温度まで加熱することができれば特に限定されない。例えば、図2に示したように、管状体1の曲げ部を上下から挟んで加熱する加熱手段7とすることができる。
本発明の曲げ加工装置100は、さらに、不図示の内圧負荷手段および管端封止具2を備えていることが好ましい。管状体1の両端部には管端封止具2が設置される。内圧を負荷する際には、一端側の管端封止具2は密封され、他端側の管端封止具2に内圧負荷手段が接続され、該他端側の管端封止具2を介して管状体1の内部に圧力媒体が送り込まれ、管状体1の内部に圧力が付与される。
内圧負荷手段は、管状体1の内部に圧力媒体を送り込むことができれば特に限定されず、例えば、ポンプ、コンプレッサー等が挙げられる。
本発明の加工装置100では、管状体1を、クランプ3、4により固定しつつ、該固定した箇所の間において、例えば、内側賦形型8bに押し当てつつ曲げ加工を行う。よって、管状体1の曲げ部とは、例えばクランプ3、4により固定した箇所の間となる。
本発明の加工装置100においては、管状体1を把持する他方のクランプ(移動クランプ4)が管状体1の長手方向に移動することにより、管状体1の曲げ部に対して、引張加重F(kgf)を付与しつつ、曲げ加工が行われる。引張加重F(kgf)は、管状体1の長手方向に沿って、曲げ部分から離れる方向に付与する。F(kgf)は一定であってもよいし、変化してもよい。
曲げ加工は、管状体1の曲げ部を挟んだ箇所を固定クランプ3および移動クランプ4により固定し、これらクランプ3、4で固定した位置の間の管状体1の曲げ部に内側賦形型8bを押し当てつつ、移動クランプ4を管径方向(管状体1の長手方向に略直交する方向)で、該内側賦形型8bに近づく方向に移動させることにより、行うことができる。
F/Sの最大値の下限は0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。また、上限は2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
また、曲げ終わり時におけるF/Sの下限は0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。また、上限は2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
F(kgf)=Wcos(90−θ) (1)
式(1)において、Wは、移動クランプ4の自重(kg)であり、θは曲げ角度(°)である。
上記のように移動クランプ4の自重によるFを付与する場合、未だ曲げていない状態では、Fが付与されず、曲げ部の余計な減肉を防止することができる。
扁平率=(最大外径−最小外径)/平均外径(基準外径)×100 (2)
平均外径(基準外径)とは、曲げ前の管状体1の外形である。
管状体1の曲げ部の上記の扁平率が、40%以上の場合を座屈と判断する。該扁平率は、好ましくは40%未満であり、より好ましくは30%未満であり、さらに好ましくは20%未満である。
曲げ加工時に曲げ部に座屈が生じると、管状体1の内径に狭窄部が生じ、内部に流体を流す際の抵抗となるため、防止する必要がある。また、たとえ、曲げ加工時に一度座屈が生じたとしても、後に管状体1の内部を加圧することで、座屈を解消できる場合があるが、その場合であっても、一度座屈が生じるとその箇所に痕跡が残り、外観不良となる場合がある。よって、その観点からも、曲げ加工時に座屈が生じるのを防止する必要がある。
本発明の曲げ加工装置100の具体的な使用方法は以下の通りである。なお、以下に示す使用方法はあくまで一例であり、本発明の装置を限定する意味ではない。
図1に工程図を示す。また、図2〜9に各工程における装置構成の模式図を示す。
図1に示すように、本発明の装置の具体的な使用方法は、例えば、加熱工程S1、型設置工程S2、内圧負荷工程S3、冷却工程S4、および、取出工程S5を備えている。
図3に加熱工程S1の装置構成を示す。加熱工程S1においては、管状体1の曲げ部を加熱ヒーター7により上下から挟み、曲げ部を加熱する。加熱温度は管状体1を曲げ易くできる温度であれば特に限定されず、管状体1を構成する材料により適宜設定される。
図4〜図6に型設置工程S2の装置構成を示す。まず、図4に示すように、内側賦形型8bを管状体1に接触させる。その後、図5に示すように、曲げアーム5を回転軸Xを中心に図示反時計回りに回動させることで、内側賦形型8bに沿って管状体1を曲げ加工する。この際に、移動クランプ4が管状体1の長手方向における曲げ部から離れる方向に曲げ側スライド部6を移動することで、管状体1の曲げ部に引張加重F(kgf)が付与される。曲げ側スライド部6の機構は特に限定されず、移動クランプ4およびその周辺部材の自重により引張加重F(kgf)を付与する形態であってもよいし、Fの大きさを制御できる引張機構によるものでもよい。
なお、移動クランプ4およびその周辺部材の自重によってFを付与する場合は、Fの値は、移動クランプ4およびその周辺部材の自重の管状体1の長手方向成分であり、曲げの程度により変化する。
図7に、内圧負荷工程S3および冷却工程S4の装置構成を示す。内圧負荷工程S3では、一端の管端封止具2から管状体1の内径側に圧力媒体を送り込むことにより、管状体1の内部を加圧する。他端の管端封止具2は密閉されている。これにより、管状体1が内側から押されて、管状体の曲げ部が賦形型に沿った形状に賦形される。圧力媒体は、気体であっても、液体であってもよく、気体として空気を用いることが好ましい。付加する内圧は、賦形型に沿った賦形形状の点から、0.05MPa以上、型閉め圧力の省力・小型化の点から、0.20MPa以下とすることが好ましい。
内圧負荷工程S3では、所定の内圧が維持されれば、圧力媒体を他端の管端封止具2から排出し通過させてもよい。これにより内圧による内径側からの賦形型への密着賦形と同時に、内径側からの圧力媒体の通過による冷却効果を発揮でき、型内での冷却工程終了までの時間短縮が図れる。
ここで、「形状保持温度」とは、合成樹脂が、賦形型からの取出、取扱いなどで負荷を加えられた場合に変形し難い状態の温度であり、合成樹脂の軟化温度と工程における負荷を考慮して定めたものである。合成樹脂が例えば、架橋ポリエチレン、架橋されていないポリエチレン、ポリプロピレン等である場合、上記形状保持温度は少なくとも50℃以下であることが好ましい。
図8〜図9に取り出し工程S5の装置構成を示す。外側賦形型8aが管状体1から離れ、内側賦形型8bとの間で型開きがされる。その後、図9に示すように、内側賦形型8bから管状体1を取り外すことで、曲げ加工された管状体1が得られる。
長さ500mm、外径14.6mm、断面積S0.92cm2の高密度架橋ポリエチレン製の管状体を用い、図2〜9に示した装置を用いて曲げ試験を行った。加熱温度は225℃、加熱時間は2分とした。内圧負荷工程の内圧は、0.15MPaとし、内圧負荷時間は6分、冷却時間は4分とした。
固定クランプおよび移動クランプを備えた本発明の装置を用いて、曲げ部に所定の引張加重F(kgf)をかけて曲げ加工を行うとともに(実施例1〜6)、固定クランプのみ備えた装置を用いて、引張加重Fをかけずに曲げ加工を行った(比較例1〜3)。曲げ状態および管状体外側の肉厚を以下の基準により評価した。
結果を表1に示す。
曲げ加工した管状体の曲がり部の状態を以下の基準により評価した。
◎:曲がり部偏平20%未満、
○:曲がり部偏平20%以上30%未満、
△:曲がり部偏平30%以上40%未満、
×:曲がり部偏平40%以上(座屈)、
曲げ加工した管状体の曲がり部の外側肉厚を以下の基準により評価した。
◎:減肉割合が30%未満、
○:減肉割合が30%以上35%未満、
△:減肉割合が35%以上45%未満、
×:減肉割合が45%以上、
2 管端封止具
3 固定クランプ
4 移動クランプ
5 曲げアーム
6 スライド部
7 加熱手段
8a 外側賦形型
8b 内側賦形型
100 曲げ加工装置
Claims (5)
- 合成樹脂からなる管状体の曲げ加工装置であって、
前記管状体の曲げ部を挟んで管状体を把持する2以上のクランプ、
前記管状体の曲げ形状に対応する賦形型、を備え、
前記管状体を把持する一方のクランプが固定されており、前記管状体を把持する他方のクランプが管状体の長手方向に移動可能に構成されている、管状体の曲げ加工装置。 - さらに、回動可能な曲げアームおよび曲げ側スライド部を有し、
前記管状体を把持する他方のクランプが、前記曲げ側スライド部を介して前記曲げアームに接続されている、請求項1に記載の管状体の曲げ加工装置。 - さらに、前記曲げ部を加熱する加熱手段を有している、請求項1または2に記載の曲げ加工装置。
- 前記賦形型が、内側賦形型および外側賦形型を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の曲げ加工装置。
- さらに、管端封止具および内圧負荷手段を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の曲げ加工装置。
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