JP2019188675A - 管状体の曲げ加工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
樹脂製の管状体を曲げ加工する方法としては、次のように行うことが一般的である。まず、原管となる管状体を曲げ変形が可能となる温度まで加熱し、次いで潰れを防止するための中芯材を管状体内に挿入し、そして所望の形状に倣ったキャビティを備えた型によって管状体を型締めして変形させる。変形後は、型の内部で管状体を冷却してから、型開きし、管状体から中芯材を抜き取る。これにより、所望の曲げ角に曲げられた管状体が得られる。
このような管状体の加工方法については、例えば特許文献1〜3に記載されている。
しかしながら、芯材を挿入しないで曲げた場合は、管状体の曲げ部の内側に座屈が生じたり、あるいは、曲げ部の外側の肉厚が減肉したり、という問題があった。
そこで、本発明は、芯材を挿入しなくても、曲げ部に座屈や減肉を生じさせない、管状体の加工方法を提供することを課題とする。
引張加重F(kgf)は、曲げ加工工程中、一定であってもよいし、あるいは、上記F/Sの最大値を満たす範囲内で変化してもよい。
曲げ部を挟んだ両端部とは、必ずしも厳密な意味での管状体の両端部である必要はなく、曲げ部を挟んだ位置であればよい。
本発明の管状体の曲げ加工方法は、合成樹脂からなる管状体の曲げ加工方法であって、該管状体の曲げ部に対して所定の引張加重F(kgf)を付与しつつ、曲げ加工する工程を備える。
本発明における管状体は、合成樹脂からなる管状体であれば、特に限定されないが、加熱によって軟化する(軟化点を有する)樹脂からなる管状体であることが好ましい。ここで、軟化点とは、熱可塑性樹脂の場合は融点より低い温度で変形し始める温度のことであり、熱可塑性樹脂以外の合成樹脂(熱硬化性樹脂や架橋樹脂など)の場合は、加熱により貯蔵弾性率E’が減少し始める温度のことをいう。例えば、分子中に架橋を持たないポリエチレン管(低密度、または、高密度)、あるいは、分子中に架橋を持つポリエチレン管(低密度、または、高密度)、ポリプロピレン管などに適用することができる。
架橋を有するポリエチレン管は、耐熱性が高い利点がある反面加工し難いのであるが、本発明の加工方法によれば、架橋ポリエチレン管であっても良好な曲げ加工を施すことが可能である。
架橋ポリエチレンにおける架橋方法は特に限定されない、シランによる架橋であってもよいし、放射線による架橋、有機過酸化物を用いた化学架橋等であってもよい。
本発明の加工方法では、管状体を、例えば、クランプにより固定しつつ、該固定した箇所の間において、例えば、内側R型に押し当てつつ曲げ加工を行う。よって、管状体の曲げ部とは、例えばクランプにより固定した箇所の間となる。
本発明の加工方法においては、管状体の曲げ部に対して、引張加重F(kgf)を付与しつつ、曲げ加工を行う。引張加重F(kgf)は、管状体の長手方向に沿って、曲げ部分から離れる方向に付与する。F(kgf)は一定であってもよいし、あるいは、後に示すF/Sの最大値が所定の範囲を満たすのであれば、変化してもよい。
曲げ加工は、例えば、管状体の曲げ部を挟んだ箇所をクランプにより固定し、クランプで固定した位置の間の管状体の曲げ部に内側R型を押し当てつつ、いずれかのクランプを管径方向(管の長手方向に略直交する方向)で、該内側R型に近づく方向に移動させることにより、行うことができる。また、両方のクランプを管径方向で、該内側R型に近づく方向に移動させることにより曲げ加工することもできる。
なお、作業効率、装置設計の容易さの点からすると、一方のクランプを固定させつつ、他方のクランプを移動させて曲げ加工する方法が好ましい。
F/Sの最大値の下限は0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。また、上限は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
また、曲げ終わり時におけるF/Sの下限は0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。また、上限は2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
F(kgf)=Wcos(90−θ) (1)
式(1)において、Wは、クランプの自重(kg)であり、θは曲げ角度(°)である。
上記のようにクランプの自重によるFを付与する場合、未だ曲げていない状態では、Fが付与されず、曲げ部の余計な減肉を防止することができる。
扁平率=(最大外径−最小外径)/平均外径(基準外径)×100 (2)
平均外径(基準外径)とは、曲げ前の管状体の外形である。
管状体の曲げ部の上記の扁平率が、40%以上の場合を座屈と判断する。該扁平率は、好ましくは40%未満であり、より好ましくは30%未満であり、さらに好ましくは20%未満である。
曲げ加工時に曲げ部に座屈が生じると、管状体の内径に狭窄部が生じ、内部に流体を流す際の抵抗となるため、防止する必要がある。また、たとえ、曲げ加工時に一度座屈が生じたとしても、後に管状体の内部を加圧することで、座屈を解消できる場合があるが、その場合であっても、一度座屈が生じるとその箇所に痕跡が残り、外観不良となる場合がある。よって、その観点からも、曲げ加工時に座屈が生じるのを防止する必要がある。
本発明の曲げ加工方法の具体的な工程は以下の通りである。なお、以下に示す工程はあくまで一例であり、本発明を限定する意味ではない。
図1に工程図を示す。また、図2〜9に各工程における装置構成の模式図を示す。
図1に示すように、本発明の曲げ加工方法は、例えば、加熱工程S1、型設置工程S2、内圧負荷工程S3、冷却工程S4、および、取出工程S5を備えている。
図3に加熱工程S1の装置構成を示す。加熱工程S1においては、管状体1の曲げ部を加熱ヒーター7により上下から挟み、曲げ部を加熱する。加熱温度は管状体1を曲げ易くできる温度であれば特に限定されず、管状体1を構成する材料により適宜設定される。
図4〜図6に型設置工程S2の装置構成を示す。まず、図4に示すように、賦形型(内側)8bを管状体1に接触させる。賦形型(内側)8bは、管状体1の曲げ角度に応じたRを備えている。賦形型(内側)8bのRは、冷却後の曲げ戻りを考慮して、管状体1に施す曲げよりも10%程度きつく設定することが好ましい。
なお、クランプの自重によってFを付与する場合は、Fの値は、クランプ自重の管状体の長手方向成分であり、曲げの程度により変化するが、そのような場合であっても、F/Sの最大値が本発明の所定の範囲を満たす限り、本発明に含まれる。
図7に、内圧負荷工程S3および冷却工程S4の装置構成を示す。内圧負荷工程S3では、一端の管端封止具2から管状体1の内径側に圧力媒体を送り込むことにより、管状体1の内部を加圧する。他端の管端封止具2は密閉されている。これにより、管状体1が内側から押されて、管状体の曲げ部が賦形型に沿った形状に賦形される。圧力媒体は、気体であっても、液体であってもよく、気体として空気を用いることが好ましい。付加する内圧は、賦形型に沿った賦形形状の点から、0.05MPa以上、型閉め圧力の省力・小型化の点から、0.20MPa以下とすることが好ましい。
内圧負荷工程S3では、所定の内圧が維持されれば、圧力媒体を他端の管端封止具2から排出し通過させてもよい。これにより内圧による内径側からの賦形型への密着賦形と同時に、内径側からの圧力媒体の通過による冷却効果を発揮でき、型内での冷却工程終了までの時間短縮が図れる。
ここで、「形状保持温度」とは、合成樹脂が、賦形型からの取出、取扱いなどで負荷を加えられた場合に変形し難い状態の温度であり、合成樹脂の軟化温度と工程における負荷を考慮して定めたものである。合成樹脂が例えば、架橋ポリエチレン、架橋されていないポリエチレン、ポリプロピレン等である場合、上記形状保持温度は少なくとも50℃以下であることが好ましい。
図8〜図9に取り出し工程S5の装置構成を示す。賦形型(外側)8aが管状体1から離れ、賦形型(内側)8bとの間で型開きがされる。その後、図9に示すように、賦形型(内側)8bから管状体1を取り外すことで、曲げ加工された管状体1が得られる。
長さ500mm、外径14.6mm、断面積S0.92cm2の高密度架橋ポリエチレン製の管状体を用い、図2〜9に示した装置を用いて曲げ試験を行った。加熱温度は225℃、加熱時間は2分とした。内圧負荷工程の内圧は、0.15MPaとし、内圧負荷時間は6分、冷却時間は4分とした。
所定の引張加重F(kgf)をかけて曲げ加工を行うとともに(実施例1〜6)、引っ張り加重Fをかけずに曲げ加工を行った(比較例1〜3)。曲げ状態および管状体外側の肉厚を以下の基準により評価した。
結果を表1に示す。
曲げ加工した管状体の曲がり部の状態を以下の基準により評価した。
◎:曲がり部偏平20%未満、
○:曲がり部偏平20%以上30%未満、
△:曲がり部偏平30%以上40%未満、
×:曲がり部偏平40%以上(座屈)、
曲げ加工した管状体の曲がり部の外側肉厚を以下の基準により評価した。
◎:減肉割合が30%未満、
○:減肉割合が30%以上35%未満、
△:減肉割合が35%以上45%未満、
×:減肉割合が45%以上、
2 管端封止具
3 クランプ(固定側)
4 クランプ(曲げ側)
5 曲げアーム
6 曲げ側スライド部
7 加熱ヒーター
8a 賦形型(外側)
8b 賦形型(内側)
Claims (8)
- 合成樹脂からなる管状体の曲げ加工方法であって、
該管状体の曲げ部に対して引張加重F(kgf)を付与しつつ、曲げ加工する工程を備え、
該管状体の断面積をS(cm2)としたとき、F/Sの最大値が0.2以上2.5以下である、
管状体の曲げ加工方法。 - 前記合成樹脂が、架橋ポリエチレンである、請求項1に記載の曲げ加工方法。
- 前記管状体の前記曲げ部を挟んだ両端部をクランプに固定する工程、該クランプを介して前記管状体に外力を加えることで曲げ加工する工程を有する、請求項1または2に記載の曲げ加工方法。
- 前記クランプの一方を固定し、他方を管状体の長手方向に移動させることで前記引張加重F(kgf)を付与する、請求項1〜3のいずれかに記載の曲げ加工方法。
- 前記引張加重F(kgf)が、クランプの自重によるものである、請求項4に記載の曲げ加工方法。
- 前記曲げ加工する工程において、少なくとも曲げ終わり時におけるF/Sが、0.2以上2.5以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の曲げ加工方法。
- 前記曲げ加工する工程の後に、管状体の内部に内圧を負荷する内圧負荷工程をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の曲げ加工方法。
- 前記曲げ加工する工程の前に、管状体の曲げ部を加熱する加熱工程をさらに備える、請求項1〜7のいずれかに記載の曲げ加工方法。
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---|---|---|---|---|
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