JP2019188463A - クラッド鋼板の製造方法およびクラッド鋼板の製造設備 - Google Patents

クラッド鋼板の製造方法およびクラッド鋼板の製造設備 Download PDF

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Abstract

【課題】高い接合性を有するクラッド鋼板を、熱間圧延時における反りの発生を抑制して製造することが可能なクラッド鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のクラッド鋼板の製造方法は、炭素鋼からなる母材板10と、前記母材板とは異なる材料からなる合せ材板12とが圧着されてなるクラッド鋼板の製造方法であって、前記合せ材板の表面にめっき処理を施して、前記表面上にめっき層14を形成する第1工程と、その後、前記めっき層を介して、前記母材板と前記合せ材板とを重ね合わせて、圧延用組立スラブ20を作製する第2工程と、その後、前記圧延用組立スラブを加熱炉内で加熱する第3工程と、その後、前記加熱炉から搬出された前記圧延用組立スラブのうち前記合せ材板側の表層を加熱する第4工程と、その後、前記圧延用組立スラブを熱間圧延してクラッド鋼板とする第5工程と、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、クラッド鋼板の製造方法およびクラッド鋼板の製造設備に関する。
クラッド鋼板は、炭素鋼などの母材板と、母材板とは異なる材料であるニッケル基合金やステンレス鋼などの合せ材板とが圧着してなる鋼板である。クラッド鋼板では、このように異なる材料を組み合わせることにより、母材板と合せ材板がそれぞれ有する特性を活かし、優れた耐食性や耐摩耗性を発揮することができる。
このようなクラッド鋼板の製造方法としては、母材板と合せ材板とを重ね合わせて作製した圧延用組立スラブを加熱し、次いで熱間圧延により圧着してクラッド鋼板とする方法が一般的である。
特許文献1には、クラッド鋼板の製造方法として、以下の技術が開示されている。すなわち、まず、チタンを材料とする合せ材板の表面の薄い酸化膜を除去して、当該表面を活性化させる。次いで、当該表面上にニッケルめっき層を形成する。次いで、当該ニッケルめっき層を介して、母材板と合せ材板を重ね合せることにより圧延用組立スラブを作製する。次いで、圧延用組立スラブを600〜850℃に加熱して圧延圧着してクラッド鋼板とする。
特開昭62-9788号公報
特許文献1では、ニッケルめっき層を介して、母材板と合せ材板とを重ね合わせることで、熱間圧延時における合せ材板の酸化と、母材板中の炭素がチタンの合せ材板に拡散することにより誘発されるチタン炭化物の形成を抑制して、母材板と合せ材板との接合性を高めている。しかしながら、このような方法でクラッド鋼板を製造すると、母材板と合せ材板との接合性は高くなるものの、熱間圧延時に反りが発生し、これに起因して通板不良が生じるという問題がある。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、高い接合性を有するクラッド鋼板を、熱間圧延時における反りの発生を抑制して製造することが可能なクラッド鋼板の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高い接合性を有するクラッド鋼板を、熱間圧延時における反りの発生を抑制して製造することが可能なクラッド鋼板の製造設備を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討したところ、熱間圧延時における反りは、熱間圧延に供する圧延用組立スラブにおいて、合せ材板の表層における変形抵抗と、母材板と合せ材板との接合面近傍における変形抵抗との差が大きくなることに起因して生じることが判明した。そして、さらなる検討を進めたところ、合せ材板の表層を加熱することによって、これらの変形抵抗の差を小さくした状態で熱間圧延を行うと、熱間圧延時における反りの発生を抑制することができることを知見した。
本発明は、上記知見に基づくものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
(1)炭素鋼からなる母材板と、前記母材板とは異なる材料からなる合せ材板とが圧着されてなるクラッド鋼板の製造方法において、
前記合せ材板の表面にめっき処理を施して、前記表面上にめっき層を形成する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記めっき層を介して、前記母材板と前記合せ材板とを重ね合わせて、圧延用組立スラブを作製する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記圧延用組立スラブを加熱炉内で加熱する第3工程と、
前記第3工程の後に、前記加熱炉から搬出された前記圧延用組立スラブの合せ材板側の表層を加熱する第4工程と、
前記第4工程の後に、前記圧延用組立スラブを熱間圧延してクラッド鋼板とする第5工程と、
を有することを特徴とするクラッド鋼板の製造方法。
(2)前記第4工程では、前記合せ材板の板厚方向の変形抵抗の平均値が前記母材板の板厚方向の変形抵抗の平均値の0.9倍以上1.1倍以下となるように、前記合せ材板の表層を加熱する、上記(1)に記載のクラッド鋼板の製造方法。
(3)前記第3工程の後であって、前記第4工程の前に、前記圧延用組立スラブに対して、圧下率が5%以下の熱間圧延を1回行う、上記(1)または(2)に記載のクラッド鋼板の製造方法。
(4)前記合せ材板の材料をニッケル基合金とし、前記めっき層をニッケルめっき層とする、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のクラッド鋼板の製造方法。
(5)めっき層を介して、炭素鋼からなる母材板と、前記母材板とは異なる材料からなる合せ材板とを重ね合わせて作製された圧延用組立スラブを加熱する加熱炉と、
前記加熱炉の下流に配置され、前記圧延用組立スラブの合せ材板側の表層を加熱する表層加熱装置と、
前記表層加熱装置の下流に配置され、前記圧延用組立スラブを熱間圧延してクラッド鋼板とする熱間圧延機と、
を備えることを特徴とするクラッド鋼板の製造設備。
(6)前記加熱炉と前記表層加熱装置との間に、さらなる熱間圧延機を備える、上記(5)に記載のクラッド鋼板の製造設備。
(7)前記合せ材板の材料はニッケル基合金であり、前記めっき層はニッケルめっき層である、上記(5)または(6)に記載のクラッド鋼板の製造設備。
本発明によれば、高い接合性を有するクラッド鋼板を、熱間圧延時における反りの発生を抑制して製造することができる。
本発明の一実施形態におけるクラッド鋼板の製造方法において作製される圧延用組立スラブ20の概略断面図である。 本発明の一実施形態におけるクラッド鋼板の製造設備の概略図である。
以下、図面を適宜参照して、本発明によるクラッド鋼板の製造方法およびその製造設備の一実施形態を説明する。
図1を参照して、本発明の一実施形態によるクラッド鋼板100の製造方法は、炭素鋼からなる母材板10と、母材板10とは異なる材料からなる合せ材板12とが圧着されてなるクラッド鋼板100を製造するに際して、以下の工程を有する。すなわち、まず、合せ材板12の表面にめっき処理を施して、合せ材板12の表面上にめっき層14を形成する(第1工程)。次に、めっき層14を介して、母材板10と合せ材板12とを重ね合わせて圧延用組立スラブ20を作製する(第2工程)。次に、圧延用組立スラブ20を加熱炉内で加熱する(第3工程)。次に、該加熱炉から搬出された圧延用組立スラブ20に対して、圧下率が5%以下の熱間圧延を1回行う。次に、圧延用組立スラブ20の合せ材板12側の表層を加熱する(第4工程)。次に、圧延用組立スラブ20を熱間圧延してクラッド鋼板100とする(第5工程)。
ここで、母材板10として用いる炭素鋼は、特に限定されず、クラッド鋼板100の適用先に応じた規格および機械的特性を有する炭素鋼を適宜選択することができる。また、母材板10とは異なる材料からなる合せ材板12は、例えばAlloy625やAlloy825などのニッケル基合金、単体のニッケル(NW2200やNW2201など)、単体のチタン(工業用純チタン1種:TP270Hや工業用純チタン2種:TP35Hなど)、SUS316Lなどのステンレス鋼を用いることができる。
上述した第1〜第5工程は、例えば図2に示すクラッド鋼板の製造設備により行うことができる。図2において、矢印はクラッド鋼板100の搬送方向である。クラッド鋼板の製造設備では、クラッド鋼板の搬送方向の上流側から、スラブ組立装置(不図示)と、加熱炉1と、第1圧延スタンド2と、表層加熱装置3と、第2圧延スタンド4と、がこの順で配置されている。以下では、図1,2を参照して、本実施形態における各工程を詳細に説明する。
[第1工程:めっき処理]
図1を参照して、第1工程では、合せ材板12の表面にめっき処理を施して、合せ材板12の表面上にめっき層14を形成する。第1工程において形成されるめっき層14の種類は、合せ材板12の材料に応じて適宜選択することができる。合せ材板12をニッケル基合金、単体のニッケルやチタン、あるいはステンレス鋼とする場合は、めっき層14は、金属間化合物を形成しないようにニッケルめっき層とすることが好ましい。この場合、めっき層14は、公知のワット浴やクエン酸浴などを用いて電界めっき法により形成することができる。また、合せ材板12をチタンとする場合は、めっき層14は、金属間化合物を形成しないようにアルミめっき層または鉄めっき層としてもよい。この場合、めっき層14は、溶融アルミニウム液や塩化物浴などを用いて電界めっき法により形成することができる。なお、めっき処理の方法は、電界めっき法に限定されず、公知の無電解めっき法を好適に用いてもよい。
このように合せ材板12の表面上にめっき層14を形成しておくことで、熱間圧延時などに、母材板10と、めっき層14が形成された合せ材板12との接合面が酸化されるのが抑制される。また、母材板10中の炭素が合せ材板12に拡散することにより誘発される金属炭化物の形成が抑制される。これにより、母材板10と合せ材板12との接合性が高まる。
めっき層14の厚さは20μm以上100μm以下とすることが好ましい。20μm以上であれば、接合面の酸化や金属炭化物の形成をより抑制することができ、100μm以下であれば、めっき層の割れや欠けが生じるおそれもないからである。
なお、第1工程に先立って、合せ材板12の表面のうちめっき処理に供する表面を任意又は公知の方法で研磨して、当該表面に形成された薄い酸化膜を除去することが好ましい。これにより、合せ材板12の表面に対するめっき層14の密着性が向上するからである。
[第2工程:圧延用スラブの組み立て]
図1を参照して、第2工程では、スラブ組立装置内で、めっき層14を介して、母材板10と合せ材板12とを重ね合わせて、圧延用組立スラブ20を作製する。第2工程は、例えば公知のオープンサンドイッチ方式を用いて、スラブ組立装置内で、めっき層14を介して、母材板10と合せ材板12とを重ね合わせた状態で、母材板10とめっき層14を形成した合せ材板12との接合面の周囲を溶接することによって行うことができる。
ここで、母材板10とめっき層14との間に酸素が存在すると、接合面が酸化するおそれがある。そこで、スラブ組立装置としては、例えば真空チャンバと、真空チャンバ内で接合面の周囲を溶接することが可能な電子ビームと、を有する装置を用いることが好ましい。真空チャンバ内で真空引きしながら、接合面の周囲を溶接することで、接合面の酸化を抑制することができるからである。
[第3工程:圧延用スラブの加熱]
図1,2を参照して、第3工程では、加熱炉1内で圧延用組立スラブ20を加熱する。ここで、加熱温度(スラブ加熱温度)は、合せ材板12の材料に応じて以下の観点から設定することが好ましい。すなわち、加熱温度の下限は、合せ材板12を十分に溶体化する観点から設定することが好ましい。また、加熱温度の上限は、熱間圧延時における合せ材板12の表面疵の原因となるスケールの生成を抑制する観点から設定することが好ましい。例えば、合せ材板12の材料がニッケル基合金やニッケルの場合は1100℃以上1200℃以下とすることが好ましく、合せ材板12の材料がチタンの場合は600℃以上850℃以下とすることが好ましく、合せ材板12の材料がステンレス鋼の場合は1100℃以上1300℃以下とすることが好ましい。
なお、第3工程では、一般に圧延用組立スラブ20は均一に加熱される。ここで、本明細書において、特に断らない限り、温度や冷却速度の条件は、圧延用組立スラブやクラッド鋼板の板厚方向の平均温度で規定する。これらの平均温度は、板厚や表面温度などから、差分法を用いて板厚方向の温度分布を計算することが可能なシミュレーションを用いて判断することができる。そして、圧延用組立スラブ20が均一に加熱されたか否かは、このようにして計算した温度分布に基づいて判断することができる。
[1パス目の熱間圧延]
図1,2を参照して、加熱炉1から搬出された圧延用組立スラブ20に対して、第1圧延スタンド2を用いて、圧下率が5%以下の熱間圧延を1回行う。これにより、以下の効果を得ることができる。
加熱炉1から搬出された圧延用組立スラブ20の接合面近傍には微小な空隙が生じているので、1パス目の熱間圧延によりこの空隙を減少させる。なぜならば、この空隙を減少させた状態で、圧延用組立スラブ20の合せ材板側の表層加熱(第4工程)を行うと、表層加熱時および表層加熱後の熱間圧延時に、接合面において、合せ材板12中のクロム原子やニッケル原子、あるいは母材板10中の鉄原子の拡散がより促進される。これにより、母材板10と合せ材板12との接合性がさらに向上するからである。このような効果を得る観点から、本工程における圧下率は1%以上とすることが好ましい。なお、圧下率が5%以下であれば、表層加熱(第4工程)前に熱間圧延を1回行ったとしても、通板不良につながるような反りは発生しない。
なお、第1圧延スタンド2は、L1が20m以上30m以下となるように、加熱炉1と表層加熱装置3との間に配置することが好ましい。L1が20m以上であれば、先行材と後続材の干渉を防止することができ、30m以下であれば、搬送中の圧延用組立スラブ20の温度の低下を抑制することができるからである。
[第4工程:表層加熱]
図1,2を参照して、第4工程では、表層加熱装置3を用いて、圧延用組立スラブ20の合せ材板12側の表層を加熱する。本実施形態では、1パス目の熱間圧延の後であって、2パス目の熱間圧延の前に、圧延用組立スラブ20の合せ材板側12の表層を加熱することが重要である。以下では、この技術的意義を説明する。
圧延用組立スラブ20が加熱炉1から搬出されると、合せ材板12の表層の温度は、大気との接触により急速に低下する。一方で、母材板10と合せ材板12との接合面近傍の温度は、合せ材板12の表層の温度に比べてなだらかに低下する。そのため、合せ材板12の表層における変形抵抗と、母材板10と合せ材板12との接合面近傍における変形抵抗との差が大きくなる。このように変形抵抗の差が大きくなった圧延用組立スラブ20に対して熱間圧延を施すと、熱間圧延中に反りが発生し、これに起因して通板不良が発生することがある。そこで、本実施形態では、1パス目の熱間圧延の後であって、2パス目の熱間圧延の前に、圧延用組立スラブ20の合せ材板12側の表層のみを加熱する。これによって、2パス目以降の熱間圧延(第5工程)に供する圧延用組立スラブ20において、合せ材板12の表層における変形抵抗と、母材板10と合せ材板12との接合面近傍における変形抵抗との差が小さくなる。その結果、熱間圧延時における反りの発生が抑制され、通板不良の発生率が低下する。
また、合せ材板12側の表層を加熱することによって、表層加熱時および表層加熱後の熱間圧延時に、接合面において、合せ材板12中のクロム原子やニッケル原子、あるいは母材板10中の鉄原子の拡散が促進される。その結果、母材板10と合せ材板12との接合性がさらに向上する。
反りを十分に抑制する観点からは、母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値と合せ材板12の板厚方向の変形抵抗の平均値との差の絶対値が、母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値の1割以下となるように、圧延用組立スラブの合せ材板12側の表層を加熱することが好ましい。すなわち、合せ材板12の板厚方向の変形抵抗の平均値を母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値の0.9倍以上1.1倍以下とすることが好ましい。なお、母材板10の変形抵抗と合せ材板12の変形抵抗の温度依存性は、以下の方法により予め求めておくことができる。すなわち、本実施形態におけるクラッド鋼板の製造方法に供する母材板10および合せ材板12と同一の材料の母材板および合せ材板を、例えば600〜1300℃の温度範囲の中から材質に応じて適宜選択した温度範囲でそれぞれ単独で熱間圧延する。その際の圧延荷重、圧延温度、および板厚などから、母材板および合せ材板の変形抵抗の温度依存性を求めることができる。
例えば、炭素鋼からなる母材板10とニッケル基合金の合せ材板12を用いて、めっき層14をニッケルめっき層とする場合、1100℃以上1200℃以下の温度範囲で均一に加熱された圧延用組立スラブ20は、加熱炉1から搬出されると、合せ材板12側の表層の温度が1000℃程度に急速に低下する。すると、母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値と合せ材板12の板厚方向の変形抵抗の平均値との差の絶対値が、母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値の1割を超えてしまう。そこで、この差の絶対値が母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値の1割以下となるように、合せ材板12側の表層(表面から板厚方向に15〜20mmの深さ位置までの領域)を35℃〜75℃程度上昇させることが好ましい。
図2を参照して、表層加熱装置3は、L2が15m以上20m以下、L3が15m以上20m以下となるように配置することが好ましい。L2が15m以上であれば、先行材と後続材との干渉を防止することができ、20m以下であれば、搬送中の圧延用組立スラブ20の温度の低下を抑制することができるからである。また、L3が15m以上であれば、先行材と後続材との干渉を防止することができ、20m以下であれば、搬送中の圧延用組立スラブ20の温度の低下を抑制することができるからである。さらに、表層加熱装置3は、合せ材板12の表層を効率よく加熱する観点から、圧延用組立スラブ20の合せ材板12側の表面との距離が50cm以上150cm以下となるように配置することが好ましい。
なお、表層加熱装置3は、合せ材板12の表層を加熱することができるものであれば特に限定されず、例えば還元バーナーやセラミックファイバーバーナーなどを好適に用いることができる。そして、合せ材板12の板厚方向の変形抵抗の平均値を母材板10の板厚方向の変形抵抗の平均値の0.9倍以上1.1倍以下とするのに必要な、圧延用組立スラブの合せ材板12側の表層の上昇温度に応じて、バーナーに供給するガス容量、バーナーの数、表層加熱装置3での通板速度や通板回数などを適宜設定すればよい。
[第5工程:2パス目以降の熱間圧延]
図1,2を参照して、第5工程では、第2圧延スタンド4などを用いて、圧延用組立スラブ20を熱間圧延してクラッド鋼板100とする。第5工程では、仕上げ圧延温度や圧下率を以下の範囲で制御することが好ましい。
圧延仕上げ温度は、500℃以上900℃以下とすることが好ましい。500℃以上であれば、クラッド鋼板100の接合性を十分に確保することができ、900℃以下であれば、母材板10の強度や靱性を確保することができるからである。
圧下率は、クラッド鋼板100の接合性を向上させる観点から、全圧延パスの合計で70%以上とすることが好ましい。圧下率の上限は、特に限定されないが、製造コストの観点から全圧延パスの合計で95%以下とすることが好ましい。なお、本実施形態において、圧下率の合計がこの範囲であれば、圧延パスの回数は特に限定されるものではない。
以上、本実施形態を例に、本発明のクラッド鋼板の製造方法およびクラッド鋼板の製造設備を説明したが、本発明はこれに限定されない。
上記実施形態では、圧延用組立スラブの合せ材側の表層の加熱を、第1圧延スタンド2を用いた1パス目の熱間圧延の後であって、第2圧延スタンド4を用いた2パス目の熱間圧延の前に行う場合を説明した。しかし、第1圧延スタンド2を用いた1パス目の熱間圧延は、加熱炉1から搬出された圧延用組立スラブ20の合せ材板12側の表層を加熱した後に行ってもよい。この場合も本発明の作用効果を得ることができる。
また、本発明は、母材板の両側を合せ材板で挟んだ構造を有するクラッド鋼板にも適用することができる。この場合、熱間圧延時における反りの発生を抑制する観点から、表層加熱は両方の合せ材板に対して行うことが好ましい。
各発明例および比較例について、C:0.04質量%、Si:0.3質量%、Mn:1.3質量%、P:0.005質量%、S:0.0004質量%の成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物である板厚:220mmの母材板を用意した。また、Ni:59.2質量%、C:0.03質量%、Cr:21.8質量%、Mo:8.9質量%、Fe:5.0質量%、Nb:4.0質量%、Co:1.0質量%の成分組成を有し、残部が不可避的不純物である板厚:30mmの合せ材板を用意した。これらの母材板および合せ材板を用いて、表2に示す製造条件でクラッド鋼板を作製した。合せ材板の表面上にめっき層を形成した発明例1〜5および比較例2では、公知のワット浴を用いてめっき処理を行った。ここで、発明例2〜5では、図2に示す製造設備を用いて、L1は30m、L2は15m、L3は15mとし、表層加熱装置としての還元バーナーのガス噴射口と圧延用組立スラブの合せ材板側の表面との距離を100cmとした。発明例1では、第1圧延スタンドを備えない以外は、発明例2〜5と同様の製造設備を用いた。一方、比較例1,2では、第1圧延スタンドおよび表層加熱装置を備えない以外は、図2に示す製造設備と同様の製造設備を用いた。比較例3では、第1圧延スタンドを備えない以外は、図2に示す製造設備と同様の製造設備を用いた。なお、表1における「変形抵抗比」とは、発明例1〜5および比較例3については、表層加熱装置から搬出された直後の圧延用組立スラブにおける母材板の板厚方向の変形抵抗の平均値に対する合せ材板の板厚方向の変形抵抗の平均値の比率を意味する。一方、比較例1,2については、「変形抵抗比」とは、第2圧延スタンドからL3(=15m)の位置での圧延用組立スラブにおける母材板の板厚方向の変形抵抗の平均値に対する合せ材板の板厚方向の変形抵抗の平均値の比率を意味する。
Figure 2019188463
(評価方法)
各発明例および比較例について、以下の方法により接合性と反りを評価した。
<接合性>
各発明例および比較例について、上述したクラッド鋼板の製造を210回行って得た500枚のクラッド鋼板に対して、接合面における剥離を目視観察により調査し、剥離の発生率を求めた。評価結果を表2に示す。なお、剥離の発生率が1.0%以下であれば、接合性が高いと評価することができる。また、これらのクラッド鋼板に対して、JIS G0601:2012に規定のせん断強さ試験を行うことにより、最大せん断強度の平均値を求めた。すなわち、各発明例および比較例において、各クラッド鋼板の尾端から接合面を含むように3mm×7mm×5mmの試験片を採取した。そして、この試験片において、合せ材板を母材板から接合面と平行になるように剥離し、その時に要した最大せん断強度を測定し、その平均値を求めた。評価結果を表2に示す。なお、表2では、各発明例および比較例における最大せん断強度の平均値を比較例1における最大せん断強度の平均値で規格化した。
<反り>
各発明例および比較例について、上述したクラッド鋼板の製造を100回行い、熱間圧延中に生じた通板不良の発生率を求めることにより、反りを評価した。評価結果を表2に示す。なお、通板不良の発生率が1.0%以下であれば、歩留りが低下することはない。
(評価結果の説明)
表1に示すように、比較例1では、めっき処理と表層加熱を行わなかったので、剥離の発生率と通板不良の発生率が高く、接合性を高めることも反りを抑制することもできなかった。比較例2では、めっき処理を行ったので、比較例1よりも最大せん断強度の平均値が高くなり、剥離の発生率を抑制することができたものの、十分な接合性を得ることはできなかった。また、表層加熱を行わなかったので、比較例1と比べて通板不良の発生率をほとんど抑制することができなかった。比較例3では、表層加熱を行ったが、比較例1と比べて通板不良の発生率をほとんど抑制することができなかった。
これに対して、発明例1〜5では、めっき処理に加えて表層加熱を行ったので、通板不良の発生率を抑制することができた。さらに驚くべきことに、発明例1〜5では、めっき処理のみを行った比較例2に比べて、最大せん断強度の平均値も向上しており、剥離の発生率を抑制することができた。すなわち、めっき処理と表層加熱を組み合わせることによって、反りを抑制することができるだけではなく、接合性も高めることができることがわかった。これは、表層加熱によって、合せ材板中のCr,Niや母材板中のFeが接合面において拡散したことに起因すると考えられる。また、発明例1,2,4では、変形抵抗比が0.9以上1.1以下となるように表層加熱を行ったので、通板不良の発生率が0.0%になり、反りの発生をさらに抑制することができた。加えて、最大せん断強度の平均値もさらに向上し、剥離の発生率が0.0%になり、接合性もさらに高めることができた。
本発明によれば、高い接合性を有するクラッド鋼板を、熱間圧延時における反りの発生を抑制して製造することができる。
1 加熱炉
2 第1圧延スタンド
3 表層加熱装置
4 第2圧延スタンド
10 母材板
12 合せ材板
14 めっき層
20 圧延用組立スラブ
100 クラッド鋼板

Claims (7)

  1. 炭素鋼からなる母材板と、前記母材板とは異なる材料からなる合せ材板とが圧着されてなるクラッド鋼板の製造方法において、
    前記合せ材板の表面にめっき処理を施して、前記表面上にめっき層を形成する第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記めっき層を介して、前記母材板と前記合せ材板とを重ね合わせて、圧延用組立スラブを作製する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記圧延用組立スラブを加熱炉内で加熱する第3工程と、
    前記第3工程の後に、前記加熱炉から搬出された前記圧延用組立スラブの合せ材板側の表層を加熱する第4工程と、
    前記第4工程の後に、前記圧延用組立スラブを熱間圧延してクラッド鋼板とする第5工程と、
    を有することを特徴とするクラッド鋼板の製造方法。
  2. 前記第4工程では、前記合せ材板の板厚方向の変形抵抗の平均値が前記母材板の板厚方向の変形抵抗の平均値の0.9倍以上1.1倍以下となるように、前記合せ材板の表層を加熱する、請求項1に記載のクラッド鋼板の製造方法。
  3. 前記第3工程の後であって、前記第4工程の前に、前記圧延用組立スラブに対して、圧下率が5%以下の熱間圧延を1回行う、請求項1または2に記載のクラッド鋼板の製造方法。
  4. 前記合せ材板の材料をニッケル基合金とし、前記めっき層をニッケルめっき層とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッド鋼板の製造方法。
  5. めっき層を介して、炭素鋼からなる母材板と、前記母材板とは異なる材料からなる合せ材板とを重ね合わせて作製された圧延用組立スラブを加熱する加熱炉と、
    前記加熱炉の下流に配置され、前記圧延用組立スラブの合せ材板側の表層を加熱する表層加熱装置と、
    前記表層加熱装置の下流に配置され、前記圧延用組立スラブを熱間圧延してクラッド鋼板とする熱間圧延機と、
    を備えることを特徴とするクラッド鋼板の製造設備。
  6. 前記加熱炉と前記表層加熱装置との間に、さらなる熱間圧延機を備える、請求項5に記載のクラッド鋼板の製造設備。
  7. 前記合せ材板の材料はニッケル基合金であり、前記めっき層はニッケルめっき層である、請求項5または6に記載のクラッド鋼板の製造設備。
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