JP2019187311A - テストステロン産生促進剤、テストステロン産生促進用飲食品添加剤及びテストステロン産生促進用飲食品 - Google Patents
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Abstract
Description
不妊症に関連する問題として、最近では、シフト勤務等の働き方の多様化、長時間労働等の過酷な労働状況により寝る時間を十分に確保することができないような不規則な生活や、食生活の乱れ等による低栄養状態などにより、男性の精子量が減少するという問題がある。
これまでに、プロペニルシステイン又はグルタミル−プロペニルシステインを有効成分とするテストステロン産生促進剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記提案の有効成分は、プロペニル基を有することを必須とする化合物であり、ニンニクなどの植物に由来のものである。
しかしながら、前記提案の有効成分は、煩雑な製造工程を経る必要があり、容易に入手できるとは言えないという問題がある。
<1> 含硫アミノ酸及び含硫アミノ酸の水硫基により生成するジスルフィド結合を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするテストステロン産生促進剤である。
<2> 前記含硫アミノ酸及び含硫アミノ酸の水硫基により生成するジスルフィド結合を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種が、システイン、メチオニン及びシスチンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>に記載のテストステロン産生促進剤である。
<3> 精子形成促進作用、精巣へのコレステロールの取込み促進作用、細胞膜におけるリポ蛋白受容体の活性亢進作用及びテストステロン産生系遺伝子群の発現増強作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のテストステロン産生促進剤である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のテストステロン産生促進剤を含有することを特徴とするテストステロン産生促進用飲食品添加剤である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のテストステロン産生促進剤を含有することを特徴とするテストステロン産生促進用飲食品である。
本発明のテストステロン産生促進剤は、有効成分として含硫アミノ酸及び含硫アミノ酸の水硫基により生成するジスルフィド結合を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記含硫アミノ酸は、硫黄原子を有するアミノ酸である。
前記含硫アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチオニン、システインなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、剤型などに応じて適宜選択することができ、例えば、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、植物抽出エキス類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、アルコール、多価アルコール、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等の添加剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の前記テストステロン産生促進剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記テストステロン産生促進剤は、単独で使用してもよいし、他の成分を有効成分とする医薬等と併せて使用してもよい。また、前記テストステロン産生促進剤は、他の成分を有効成分とする医薬等に配合された状態で使用してもよい。
前記テストステロン産生促進剤の製造方法としては、特に制限はなく、剤型などに応じて公知の方法を適宜選択することができる。
例えば、使用態様が経口の場合は、有効成分である前記含硫アミノ酸等の量として、体重60kgの個体1日あたり、0.000001g〜100gが好ましく、0.00001g〜100gがより好ましく、0.001g〜100gが更に好ましく、1g〜100gが特に好ましい。
また、前記個体は、テストステロンの産生を促進することが求められる個体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、不規則な生活や低栄養状態などにより精子量が減少した個体が好適に挙げられる。
したがって、本発明は、前記含硫アミノ酸等を含有する精子形成促進剤、精巣へのレステロールの取込み促進剤、細胞膜におけるリポ蛋白受容体の活性亢進剤、テストステロン産生系遺伝子群の発現増強剤にも関する。
前記リポ蛋白受容体は、精巣へのコレステロールの取込みに関与する受容体であり、例えば、LDL受容体、スカベンジャー受容体クラスBタイプ1などが挙げられる。
前記テストステロン産生系遺伝子群は、テストステロンの産生に関与する遺伝子群であり、例えば、上記リポ蛋白受容体などが挙げられる。
本発明のテストステロン産生促進用飲食品添加剤は、本発明のテストステロン産生促進剤を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記テストステロン産生促進剤は、上記した本発明のテストステロン産生促進剤である。
前記テストステロン産生促進剤のテストステロン産生促進用飲食品添加剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(テストステロン産生促進剤)の<使用>の項目に記載した使用量などに応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、通常の飲食品添加剤に用いられる成分を目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分のテストステロン産生促進用飲食品添加剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記テストステロン産生促進用飲食品添加剤は、前記テストステロン産生促進剤のみからなるものであってもよい。
本発明のテストステロン産生促進用飲食品は、本発明のテストステロン産生促進剤を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記テストステロン産生促進剤は、上記した本発明のテストステロン産生促進剤である。
前記テストステロン産生促進剤のテストステロン産生促進用飲食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(テストステロン産生促進剤)の<使用>の項目に記載した使用量などに応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、通常の飲食品に用いられる成分を目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分のテストステロン産生促進用飲食品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記テストステロン産生促進用飲食品は、前記テストステロン産生促進剤のみからなるものであってもよい。
前記飲食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品などが挙げられる。
前記飲食品の具体例としては、パン類、麺類等の主菜;チーズ、ハム、ウインナー、魚介加工品等の副菜;果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;クッキー、ケーキ、ゼリー、アイス、プリン、キャンディー、ヨーグルト等の嗜好品;錠剤、顆粒、粉剤、カプセル、ソフトカプセル、栄養ドリンク等のサプリメントなどが挙げられる。
前記テストステロン産生促進用飼料は、本発明のテストステロン産生促進剤を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記テストステロン産生促進剤は、上記した本発明のテストステロン産生促進剤である。
前記テストステロン産生促進剤のテストステロン産生促進用飼料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(テストステロン産生促進剤)の<使用>の項目に記載した使用量などに応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、通常の飼料に用いられる成分を目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分のテストステロン産生促進用飼料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記テストステロン産生促進用飼料は、前記テストステロン産生促進剤のみからなるものであってもよい。
前記飼料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペットフード、家畜飼料などが挙げられる。
前記テストステロン産生促進用化粧品は、本発明のテストステロン産生促進剤を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記テストステロン産生促進剤は、上記した本発明のテストステロン産生促進剤である。
前記テストステロン産生促進剤のテストステロン産生促進用化粧料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、皮膚外用剤とする場合、化粧料の形態等に応じて異なるが、例えば、前記含硫アミノ酸等の量として、0.0000001質量%〜10質量%とするなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、通常の化粧品に用いられる成分を目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分のテストステロン産生促進用化粧品における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記テストステロン産生促進用化粧品は、前記テストステロン産生促進剤のみからなるものであってもよい。
前記化粧品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳液、クリーム、化粧水(ローション)、パック、美容液、洗浄剤、メーキャップ化粧品などが挙げられる。
本発明のテストステロン産生促進剤の有効成分の一例であるシスチンのテストステロン産生促進作用を以下のようにして検証した。
・ 群1 : 飼料を、低たんぱく質食とした群(以下、「D9%」と称することがある。)
・ 群2 : 飼料を、前記低たんぱく質食にシスチンを添加したものとした群(以下、「DCys」と称することがある。)
図1に示されるように、低たんぱく質食にシスチンを添加した飼料で飼育したDCysでは、低たんぱく質食で飼育したD9%と比較して、テストステロン量が有意に増加することが確認された。なお、図1中の「*」は、p=0.012を表す。
試験例1と同様の方法によりラットを飼育した後、解剖した。精巣を10%中性ホルマリンで固定後、パラフィン切片を作製し、次いで過ヨウ素酸シッフ(Periodic Acid Schiff:PAS)で染色し観察した。精巣曲精細管中の精子の観察結果を図2A(D9%)及びB(DCys)に示す。
試験例2のPAS染色切片において、精巣曲精細管中に精子を形成した割合を計測した。結果を図3A(D9%)及びB(DCys)に示す。
図3A及びBでは、横軸にラット体重で補正した精巣重量を示し、縦軸に精子形成の見られた精巣曲精細管が計測した精巣曲精細管全体に占める割合を示し、ラット個体ごとの値を描画した。また、正常な精子形成を行う条件で飼育した群において、すべてのラットが含まれる精子形成陽性の精巣曲精細管の割合から、閾値を77.6%とし、図3A及びB中の黒線で示した。
テストステロン合成の基質となるコレステロールの血中から精巣への取り込みを評価するために、試験例1と同様の方法によりラットを飼育した後、解剖し、以下のようにして遺伝子の発現量を測定するための試料を調製した。
<試料の調製>
採取した精巣の一部はRNAレーター(RNAlaterTM Soln. Invitrogen社製)に浸漬後、−80℃に保存した。保存した精巣から総RNAを抽出(NucleoSpin RNA、マッハライ・ナーゲル社製)し、相補的DNA(cDNA)を調製(PrimScriptTMRTreagent Kit、タカラバイオ株式会社製)した。
図4A〜Dでは、横軸に血清テストステロン濃度、縦軸に精巣中のリポ蛋白受容体遺伝子のmRNAの発現量を示し、これらの相関係数をPearsonの積率相関係数rで表し、その有意差を検定した(p<0.05で相関は有意であるとした)。
一方、低たんぱく質食にシスチンを添加した飼料で飼育したDCysでは、これらの間に有意な正の相関が認められた(T対LDLR:p=0.00002(図4C)、T対SR−BI:p=0.0355(図4D))
以上のことから、低たんぱく質食にシスチンを添加した飼料で飼育したDCysでは、テストステロン合成の材料となるコレステロールを血中から精巣に取り込むためのリポ蛋白受容体遺伝子の発現が高まることで、コレステロールの取り込みが進み、テストステロン合成が促進されることが推察された。
Claims (5)
- 含硫アミノ酸及び含硫アミノ酸の水硫基により生成するジスルフィド結合を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするテストステロン産生促進剤。
- 前記含硫アミノ酸及び含硫アミノ酸の水硫基により生成するジスルフィド結合を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種が、システイン、メチオニン及びシスチンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載のテストステロン産生促進剤。
- 精子形成促進作用、精巣へのコレステロールの取込み促進作用、細胞膜におけるリポ蛋白受容体の活性亢進作用及びテストステロン産生系遺伝子群の発現増強作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有する請求項1から2のいずれかに記載のテストステロン産生促進剤。
- 請求項1から3のいずれかに記載のテストステロン産生促進剤を含有することを特徴とするテストステロン産生促進用飲食品添加剤。
- 請求項1から3のいずれかに記載のテストステロン産生促進剤を含有することを特徴とするテストステロン産生促進用飲食品。
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