JP2019186206A - 導電性ペーストおよびその製造方法 - Google Patents

導電性ペーストおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極として十分な導電性を確保しつつ、コストを削減し、電極の耐久性を向上することができる導電性ペーストおよびその製造方法を提供する。【解決手段】硝酸銀水溶液と炭素粒子とを水溶液中で撹拌しながら銀鏡反応を進行させる工程(S105)と、銀鏡反応の結果得られた導電性粒子を有機ビヒクル中に銀粒子が分散したペースト材料に混合する工程(S110)と、を含む。これにより、銀粒子が炭素粒子に強固にイオン結合した導電性粒子を生成できる。その結果、電子部品の電極として十分な導電性を確保し、電極の耐久性を向上できる。また、銀のみからなる導電性粒子を用いた導電性ペーストに比べ炭素粒子の含有量が多くなる分、銀の含有率を低減でき、コスト削減および省資源化を図ることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、電極に用いられる導電性ペーストおよびその製造方法に関する。
太陽光発電セルのような電子部品では、焼結した金属粒子により電極が構成される。焼成前の電極パターンは、スクリーン印刷等で導電性ペーストを塗布すれば形成できる。導電性ペーストは、樹脂中に金属フィラーが分散したものであり、金属フィラーの材料には銀粒子が採用されることが多い。太陽光発電セルの市場は、世界規模で急速に成長しており、太陽電池の電極材料の約90%占める銀は世界規模で約2000t/年の使用が推定される。
このような状況において、近年、太陽光発電セルのような電子部品に用いられる導電性ペーストの開発が進められている。例えば、特許文献1には、優れた導電性及び熱伝導性を兼ね備えた導電膜を形成できる導電性ペーストが開示されている。この導電性ペーストは、銀粉と黒鉛粉を含むフィラー、ポリマー、および溶剤を含有している。そして、黒鉛粉としてグラフェンを添加する例が挙げられている。
特開2017−069175号公報
銀は、高い導電性を有するものの高価な貴金属であり、銀地金の低減、コスト削減および省資源化の要請から電極材料への使用はなるべく控えることが好ましい。コストや耐久性の面で銀に勝る金属の候補も挙げられるが、導電性の面までも含めて銀に代わる材料はこれまでに見つかっていない。上記の特許文献1には、黒鉛やグラフェンが銀とともに用いられているが、形成される電極の導電性や耐久性は、必ずしも優れているとは言えない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電極として十分な導電性を確保しつつ、コストを削減し、電極の耐久性を向上することができる導電性ペーストおよびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の導電性ペーストの製造方法は、硝酸銀水溶液と炭素粒子とを水溶液中で撹拌しながら銀鏡反応を進行させる工程と、前記銀鏡反応の結果得られた導電性粒子を有機ビヒクル中に銀粒子が分散したペースト材料に混合する工程と、を含むことを特徴としている。
これにより、銀粒子が炭素粒子に強固にイオン結合した導電性粒子を生成できる。その結果、電子部品の電極として十分な導電性を確保し、電極の耐久性を向上できる。また、銀のみからなる導電性粒子を用いた導電性ペーストに比べ炭素粒子の含有量が多くなる分、銀の含有率を低減でき、コスト削減および省資源化を図ることができる。
(2)また、本発明の製造方法は、前記撹拌は、100r/min以上の速度で前記銀鏡反応が完了するまで行うことを特徴としている。これにより、炭素粒子を溶液中に分散させながら銀鏡反応を進行させることができ、各炭素粒子に銀をイオン結合させることが可能である。
(3)また、本発明の製造方法は、前記銀鏡反応の工程は、前記炭素粒子に対して、アンモニア水およびブドウ糖液を加えて混合溶液を作製する工程と、前記混合溶液を50℃以上60℃以下の湯浴で反応させる工程と、前記反応後の混合溶液をろ過する工程と、を含むことを特徴としている。これにより、効率よく銀粒子が炭素粒子に結合した導電性粒子を生成できる。
(4)また、本発明の製造方法は、前記銀鏡反応の工程は、前記ろ過により分離された粒子を乾燥させる工程と、前記乾燥された粒子を解す工程と、をさらに含むことを特徴としている。これにより、電極に適した粒度分布の導電性ペーストを生成できる。
(5)また、本発明の製造方法は、前記混合工程の結果、前記ペースト材料100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下の炭素粒子が含まれる導電性ペーストを作製することを特徴としている。このように炭素粒子の含有率を所定の範囲にすることで導電性を確保しつつ、銀の含有率を低減できる。
(6)また、本発明の導電性ペーストは、電子部品の電極に用いられる導電性ペーストであって、流動性を有する有機ビヒクルと、前記有機ビヒクル中に分散され、銀粒子と炭素粒子とがAg3dの結合エネルギーによりイオン結合した導電性粒子と、を備えることを特徴としている。このように銀粒子と炭素粒子とが強固に結合した導電性粒子を用いることにより、電子部品の電極として十分な導電性を確保し、電極の耐久性を向上できる。また、銀のみからなる導電性粒子を用いた導電性ペーストに比べ炭素粒子の含有量が多くなる分、銀の含有率を低減でき、コスト削減および省資源化を図ることができる。
(7)また、本発明の導電性ペーストは、0.01wt%以上含まれる金属がケイ素または銀のみであることを特徴としている。このように、所定の安定な金属のみを用いることで導電性ペーストを電極に用いたとき酸化による劣化が防止される。また、作業者が導電性ペーストを取り扱う場合の安全性を高めることができる。
(8)また、本発明の導電性ペーストは、前記炭素粒子は、グラフェン粒子であり、500nm以上10μm以下の粒径を有し、鱗片状であることを特徴としている。これにより、グラフェン粒子の優れた導電性を電極に活かすことができる。
本発明によれば、電極として十分な導電性を確保しつつ、コストを削減し、電極の耐久性を向上することができる。
(a)、(b)それぞれ導電性ペーストに含有される導電性粒子の構造および電子部品の一例を示す図である。 導電性ペーストの製造方法を示すフローチャートである。 (a)、(b)それぞれ導電性ペーストの製造工程を示す模式図である。 (a)〜(c)それぞれグラフェン粒子の幅および層数の分布を示すグラフである。 グラフェン粒子のSEM写真である。 (a)〜(c)それぞれ原料のグラフェン粒子、導電性粒子およびSiN基板上の電極のXPS結果を示すグラフである。 (a)、(b)それぞれ銀鏡反応後のグラフェンおよび未反応のグラフェンを示すSEM写真である。 (a)、(b)それぞれ電極の表面および断面のSEM写真である。 電極の構造を示す模式図である。 (a)、(b)それぞれ実験に用いた電極パターンおよび抵抗値の測定システムを示す模式図である。
[第1の実施形態]
(導電性ペーストの構成)
本発明の導電性ペーストは、流動性を有する有機ビヒクルおよび有機ビヒクルに分散された導電性粒子を含んで構成されている。導電性ペーストが所望の領域に塗布され、焼成されることで、有機ビヒクルが揮発、燃焼し導電性粒子が焼結して、電極が形成される。
有機ビヒクルは、溶媒を含み、常温で流動性を有し、導電性粒子を分散させペースト状の流動体を形成する。有機ビヒクルは、スクリーン印刷等の導電性ペーストの塗布を容易にするもので構成されることが好ましく、上記の成分以外に、バインダおよび界面活性剤、種々の添加剤を含んでいてもよい。有機ビヒクルには公知の有機原料を用いることができる。例えば、既存の銀ペーストに用いられる有機ビヒクルを流用でき、溶剤として、エチレングリコール系のDiethylene Glycol Mono-n-butyl Ether Acetateを用いて粘度を調整できる。
導電性粒子は、銀粒子と炭素粒子とが結合して形成されている。結合は、後述のように銀鏡反応によるものであり、イオン結合である。炭素粒子は、原子の結合方向の電子のモビリティが高いことや製造時の扱い易さからグラフェン粒子であることが好ましい。ただし、後述のように活性炭粒子等のであってもよい。図1(a)は、導電性ペーストに含有される導電性粒子100の構造の一例を示す図である。図1(a)に示す例では、導電性粒子100は、グラフェン粒子110の六角形格子構造の末端基に銀粒子120が結合して構成されている。グラフェン粒子110は、天然の黒鉛をマイクロ波または濃い酸で分解し、特定のサイズを集めることで得られる。なお、導電性粒子100に炭素粒子を用いることから環境問題を低減できる。
グラフェン粒子110は、500nm以上10μm以下の粒径を有し、鱗片状であることが好ましい。このような形状により、鱗片が重なった層構造で電極を形成でき、層表面に平行な方向に高い導電性が得られる。
なお、導電性粒子100は、グラフェン粒子110の官能基を銀粒子120で装飾したものであり、その銀粒子120を介して導電性ペースト210中の銀との接合による導電性を確保している。したがって、上記のような分子構造を有する導電性粒子100が集合した粒子やさらにはそのような粒子に銀の粒子が結合したものも導電性粒子100に含まれる。例えば、粒径10μm以下のグラフェン粒子110に粒径2μm以上5μm以下の銀粒子120が結合したものであってもよい。
このような導電性粒子100を用いることにより、電子部品の電極として十分な導電性を与えることができる。また、銀粒子のみを用いた導電性ペーストに比べ炭素粒子の含有量が多くなる分、銀の含有率を低減でき、コスト削減および省資源化を図ることができる。
グラフェン粒子110に代表される炭素粒子の好適な含有比率としては、有機ビヒクルおよび銀粒子を含むペースト100重量部に対し、炭素粒子が10重量部以上50重量部以下で含まれていることが好ましい。このように炭素粒子の含有率を所定の範囲にすることで導電性を確保しつつ、銀の含有率を低減できる。なお、ペーストにはガラス粒子を含んでもよい。
従来の太陽光発電セルの電極向けの導電性ペーストには、ガラス粒子が添加される。太陽光発電セルの基板となるシリコンウエハの表面には、太陽光の反射防止と光半導体をなす機能を保持するためパッシベーション層が形成されている。このパッシベーション層は、シリコンウエハの表面を被覆する窒化膜(数μm(10μm未満)のSiN膜)で形成され、シリコンウエハを保護している。
電極形成時には、この膜をブレークスルーして電極がシリコン基板上に形成される必要があり、シリコン基板のバルク面とのオーミックコンタクトをとるために硬いガラス粒子が導電性ペーストに添加される。
図1(b)は、導電性ペースト210の塗布の一例を示す断面図である。本発明の導電性ペースト210における導電性粒子100は、Ag化された硬いグラフェン粒子であり、上記のガラス粒子の代替ともなりうると考えられる。すなわち、焼成時には、一部の導電性粒子がパッシべーション層である窒化膜230(SiN層)をブレークスルーしてシリコン基板220と合金を形成する。その場合には、導電性ペースト210にガラス粒子の添加が不要となる。
(電子部品)
上記の導電性ペーストは、特定の分野に限定されず種々の電子部品の電極に用いられる。電子部品としては、電子回路および電極を備え、電子回路は電極により接続されているものであれば適用可能であり、例えば太陽光発電セルであることが好ましい。太陽光発電セルは、太陽光発電要素を含む電子回路を有しており、半導体基板の一方の主面(受光側のフロント面)に発生電力を集めるために所定パターンで形成された電極を有している。これにより、電極が大きな面積比率を占める太陽光発電セルで、炭素粒子を用いた電極を構成でき、コスト削減および省資源化の効果を高めることができる。なお、電子部品には、ICカードの回路基板も含まれる。
このような電極構造を有することで十分な導電性が得られる。また、電極が銀のみからなる場合に比べ炭素粒子の含有量が多くなる分、銀の含有率を低減でき、コスト削減および省資源化を図ることができる。
太陽光発電セルの電極は、導電性ペーストを使用して以下のように形成される。すなわち、シリコンウエハのような半導体基板上に形成されたパッシべーション層の表面に導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電膜を形成する。次いで、シリコンと銀の合金の形成可能温度内として850℃以下の温度で導電性ペーストを焼成する。焼成過程でガラスフリットを溶融させ、導電膜下層のパッシべーション層を分解貫通し、これにより導電膜が焼結されて電極が形成される。このようにして電極と半導体基板との間で銀とシリコンとを合金化させ、両者を導通させている。
電極は、銀粒子と炭素粒子とが結合した導電性粒子の焼結により形成されている。炭素粒子は、グラフェン粒子または活性炭粒子のいずれであっても500nm以上10μm以下の粒径を有することが好ましい。
(導電性ペーストの製造方法)
一例として炭素粒子としてグラフェン粒子を用いて導電性ペーストを製造する方法を説明する。図2は、導電性ペーストの製造方法を示すフローチャートである。図3(a)、(b)は、それぞれ導電性ペーストの製造工程を示す模式図である。図2に示すように、まず、純水に硝酸銀を投入し、硝酸銀溶液(例えばAgNO2%水溶液)を準備する(ステップS101)。
一方で、炭素粒子(一例としてグラフェン粒子)を秤量し、上記の硝酸銀溶液に投入し、アンモニア水を滴下し(ステップS102)、図3(a)に示すように、マグネチックスタラー等で撹拌を開始する(ステップS103)。撹拌により、粒子が分散し、効率よく銀粒子がグラフェン粒子に結合した導電性粒子を生成できる。撹拌は、マグネチックスタラーのチョッパーを100r/min以上の速度で銀鏡反応が完了するまで行うことが好ましい。撹拌には、先端に撹拌翼を有する撹拌棒を回転させる撹拌機を用いてもよい。
このようにして得られた溶液に、ブドウ糖液を投入し(ステップS104)、還元による銀鏡反応により銀を官能基に析出させる(ステップS105)。このようにして、銀鏡反応を進行させ、銀粒子がグラフェン粒子に結合した導電性粒子を生成できる。
このような銀鏡反応は、50℃以上60℃以下の湯浴320(ウオーターバス)で反応させることが好ましい。銀鏡反応が完了したら撹拌を終了する(ステップS106)。次に、図3(b)に示すように、反応後の混合溶液をろ過する(ステップS107)。そして、ろ過により分離された導電性粒子100を乾燥させ(ステップS108)、乾燥された粒子を解砕し(ステップS109)、そのままさらに乾燥炉で乾燥する。得られた導電性粒子100を銀粒子および有機ビヒクルからなるペーストと混合し(ステップS110)、溶剤を添加して粘度を調整する(ステップS111)。ペースト材料として、例えば銀90%ガラス粒子8%、溶剤2%のものを用いることができる。このようにして、電極に適した粒度分布の導電性ペーストを生成できる。
上記のように銀鏡反応で銀を炭素粒子にイオン結合させることで、銀と炭素粒子とが結合した微細な導電性粒子が得られる。特に、撹拌により炭素粒子を溶液中に分散させながら銀鏡反応を進行させるため、分散された状態の炭素粒子に隈なく銀をイオン結合させることが可能である。また、混合溶液を50℃以上60℃以下の湯浴で反応させることで、高い効率で炭素粒子と銀の結合を進行させることができる。
また、銀鏡反応は直接に対象物に銀を化学結合させる手法であり、センシタイジング法のように間接的に銀を対象物に結合させるものとは異なる。直接の結合によるため、銀の結合力も大きい。また、銀鏡反応であれば、銀への置換の工程がないため生産性の面で有利である。銀鏡反応以外に無電解メッキ法の応用も考えられるものの、このような方法はCu粒子のような金属粒子を対象とするものであり、炭素粒子への応用は不向きである。
[第2の実施形態]
(導電性ペーストの構成)
上記の実施形態では、炭素粒子がグラフェン粒子であるが、炭素粒子は活性炭粒子であってもよい。これにより、グラフェン粒子を用いる場合よりさらにコスト削減を図ることができる。
活性炭粒子を用いる場合には、平均粒子径が500nm以上10μm以下であることが好ましい。また、グラフェン粒子の場合と同様に有機ビヒクルおよび銀粒子の100重量部に対し、炭素粒子が10重量部以上50重量部以下で含まれていることが好ましい。製造方法等は、グラフェン粒子を活性炭粒子に置き換えれば上記の実施形態と同様である。なお、炭素粒子として、上記以外に、黒鉛を分解した粒子であってグラフェン粒子を含むものであっても、上記の実施形態と同様の製造方法を適用でき、銀粒子を黒鉛分解粒子に結合させることができる。そして、導電性粒子として用いることができる。
[実施例]
(グラフェン粒子)
まず、導電性粒子の作製に用いるグラフェン粒子の粒度分布を測定した。グラフェン粒子として、鱗片状で幅方向の粒径が0.5μm以上10μ以下の範囲のものを用いた。図4(a)〜(c)は、それぞれグラフェン粒子の幅および層数の分布を示すグラフである。
まず、図4(a)に示すように、SEM写真からサンプル数34のグラフェン粒子について幅の度数分布を測定した。また、図4(b)に示すように、レーザ回折式の液中粒度測定を行なったところ、平均粒径0.6μmの散乱強度分布が得られた。図4(c)に示すように、TEM写真からサンプル数51のグラフェン粒子の層数を測定した。その結果、グラフェン粒子の厚さ(層数)が、0.3〜3nm(1〜10層)の分布が70%以上であり、10nm以上(30層以上)が5%以下であった。
また、グラフェン粒子のSEM写真を観察した。図5は、グラフェン粒子のSEM写真である。図5に示すSEM写真は、3000倍像である。粒子の形状はSEM写真に示されているように、鱗片状である。
(導電性粒子の作製)
以下の手順で導電性ペーストの試料を作製した。まず、純水50ccを入れたビーカーに硝酸銀1.0317gを投入し、硝酸銀2%溶液を準備した。一方で、グラフェン5.0617gを秤量し、上記の硝酸銀溶液に投入し、10%アンモニア水を20μLずつ10回ピペットで滴下し、マグネチックスタラー310で撹拌した。このようにして得られた溶液に、10%ブドウ糖液を20μLずつピペットで10回滴下し、還元による銀鏡反応により銀をグラフェン粒子の官能基に析出させた。
次に、ビーカーを温度50〜60℃の湯浴320(ウオーターバス)に浸し、沈殿する導電性粒子(銀装飾されたグラフェン粒子)を確認した。さらに、ロート330にろ紙を引き回転ポンプ340で導電性粒子を真空ろ過した。ろ紙上の導電性粒子を100℃の乾燥器で60分乾燥し、乾燥後板状の導電性粒子を乳鉢上にてスプーンで粉砕して、そのまま更に100℃の乾燥炉で30分乾燥した。
(導電性粒子の構造)
原料のグラフェン粒子と上記のようにして作製された導電性粒子とで銀の含有率を蛍光X線分析(日本電子製JEOL−3201)およびXPSにより測定した。表1、2は、それぞれ蛍光X線分析およびXPSにより検出したグラフェン粒子と導電性粒子の銀の含有率を示している。
表1、2に示すように、銀鏡反応が未処理である原料のグラフェン粒子からは銀の原子は検出されず、銀鏡反応後の導電性粒子からは1.4429〜5.0864%の銀が検出された。このように、銀の含有率1〜5%の導電性粒子が利用可能であることを確認できた。
また、上記の結果により、導電性粒子には、SiおよびAgのみの安定な金属のみが含有されており、導電性ペーストを電極に用いたとき酸化による劣化が防止されることも確認できた。また、安定な金属のみが含有されていることから作業者が導電性ペーストを取り扱う場合の安全性も高められる。また、上記の結果から、銀粒子と炭素粒子とがAg3dの結合エネルギーによりイオン結合していることも確認できた。
図6(a)〜(c)は、それぞれ原料のグラフェン粒子、導電性粒子およびSiN基板上の電極のXPS結果を示すグラフである。特に円で指定した範囲内のAgの検出の有無に注目したところ、原料のグラフェン粒子からはAgのピークは検出されなかった。また、導電性粒子からはAgのピークが検出された。SiN基板上の電極からは多数のAgのピークが検出された。
図7(a)、(b)は、それぞれ原料のグラフェン粒子および導電性粒子を示すSEM写真である。SEM写真によれば、原料のグラフェン粒子と導電性粒子との相違は識別し難いことが分かる。このように外観上に相違は現れていないが、上記のようにXPS分析では、導電性粒子においてグラフェン粒子に結合した銀粒子の存在が確認された。
(電極の構造)
上記のようにして得られた導電性粒子を市販の銀ペースト100重量部に対して10重量部混合し、溶剤を追加して粘度を調整することで導電性ペーストを得た。市販の銀ペーストには、銀90%ガラス粒子8%、溶剤2%のものを用いた。そして、導電性ペーストをシリコン基板上に塗布し、800℃で焼成して電極を形成した。図8(a)、(b)は、それぞれ電極の表面および断面のSEM写真である。図8(a)に示すように、電極が導電性粒子100で構成され、その表面P1に銀粒子が結合して塊400が形成されていることを確認できた。また、図8(b)に示すように電極の断面C1を観察すると、導電性粒子100が重なって層を形成していることを確認できた。
このようなSEM観察により、導電性粒子が焼結した電極の構造が推定できる。図9は、電極の構造を示す模式図である。導電性粒子が一面に配置され、グラフェン粒子110と銀粒子120が交互に結合することで高い導電性が確保されていると考えられる。
(電極の抵抗値)
導電性ペーストを焼成して得られた電極の抵抗値を測定した。図10(a)、(b)は、それぞれ実験に用いた電極パターンおよび抵抗値の測定システムを示す模式図である。
まず、銀鏡反応で得られた導電性粒子100を市販の銀ペースト100重量部に対し10〜50重量部を混合し、溶剤(Diethylene Glycol Mono-n-butyl Ether Acetate)で市販の銀ペーストと同レベルの粘度となるように調整し、導電性ペーストを生成した。市販の銀ペーストには、銀90%ガラス粒子8%、溶剤2%のものを用いた。そして、太陽光発電セルのシリコンウエハにメタルマスクを介して導電性ペーストを塗布した。このとき導電性の評価用として市販の銀ペーストも同時に塗布した。
図10(a)に示すように、シリコンウエハ上に塗布された導電性の評価用の試料を形成した。厚さ100μm、幅5mm、長さ40mmの穴を有するステンレス製のメタルマスクを用いて各ペーストを塗布した。市販の銀ペーストおよび導電性ペーストを塗布されたシリコンウエハを100℃の乾燥器で5分の乾燥を行ない、700〜800℃で焼成した。焼成の際には、ピーク温度800℃で60秒にセットして焼成を行なった。
そして、得られたシリコンウエハを図10(b)に示すような測定系で市販の銀ペーストに由来する電極との抵抗値を測定した。デジタル抵抗測定器として、SANWA;DIGITAL MULTMETER PC5000を用い、一対の銅電極間の抵抗を測定した。銅電極は、純銅製で厚さ0.5mm、幅10mm、長さ40mmに形成されており、互いに10mm間隔を空けて設置した。
(1)10重量部添加
まず市販の銀ペースト、市販の銀ペースト100重量部にグラフェンを10重量部添加して得たペーストおよび導電性粒子を10重量部添加して得たペーストを2つずつ準備した。そして、それぞれのペーストに由来する電極を形成して、抵抗値(Ω)を測定した。表3は、添加粒子が10重量部の場合の導電性ペーストに対する電極の抵抗値を示す表である。表3に示すように導電性粒子を添加して形成した電極の抵抗値が最も低かった。また、グラフェンを添加して形成した電極の抵抗値も市販の銀ペースト由来の電極の抵抗値と同等であった。
(2)30重量部添加
まず市販の銀ペースト、市販の銀ペースト100重量部にグラフェンを30重量部添加して得たペーストおよび導電性粒子を30重量部添加して得たペーストを2つずつ準備した。そして、それぞれのペーストに由来する電極を形成して、抵抗値(Ω)を測定した。表4は、添加粒子が30重量部の場合の導電性ペーストに対する電極の抵抗値を示す表である。表4に示すように導電性粒子を添加して形成した電極の抵抗値が最も低かった。また、グラフェンを添加して形成した電極の抵抗値も市販の銀ペースト由来の電極の抵抗値と同等かやや低かった。
(3)50重量部添加
まず市販の銀ペースト、市販の銀ペースト100重量部にグラフェンを50重量部添加して得たペーストおよび導電性粒子を50重量部添加して得たペーストを2つずつ準備した。そして、それぞれのペーストに由来する電極を形成して、抵抗値(Ω)を測定した。表5は、添加粒子が50重量部の場合の導電性ペーストに対する電極の抵抗値を示す表である。表5に示すようにグラフェンを添加して形成した電極の抵抗値は市販の銀ペースト由来の電極の抵抗値より高くなった。導電性粒子を添加して形成した電極の抵抗値も市販の銀ペースト由来の電極の抵抗値より高いものの同等レベルであった。
(活性炭の抵抗値)
同様に、活性炭に銀鏡反応で銀を結合させて作製した導電性粒子(10重量部)を市販の銀ペースト(100重量部)に添加した場合も検討した。表6は、それぞれ活性炭由来の導電性粒子を添加して得た電極の抵抗値を示す表である。表6に示すように、グラフェン由来の導電性粒子を40重量部添加した場合、活性炭由来の導電性粒子を10重量部添加した場合のいずれの抵抗値も、市販の銀ペーストを用いた電極の抵抗値より低くなった。
以上のように、グラフェン由来の導電性粒子の10〜50重量部添加の場合および活性炭由来の導電性粒子の10重量部添加の場合のいずれについても、本発明の導電性ペーストを用いた電極では、十分な導電性が得られることを確認できた。活性炭粒子については、10重量部添加の実験結果のみを提示しているが、10〜50重量部添加でもグラフェン粒子と同様の結果が得られることが見込まれる。
100 導電性粒子
110 グラフェン粒子
120 銀粒子
210 導電性ペースト
220 シリコン基板
230 窒化膜
310 マグネチックスタラー
320 湯浴(ウオーターバス)
330 ロート
340 引き回転ポンプ
400 銀粒子の塊

Claims (8)

  1. 硝酸銀水溶液と炭素粒子とを水溶液中で撹拌しながら銀鏡反応を進行させる工程と、
    前記銀鏡反応の結果得られた導電性粒子を有機ビヒクル中に銀粒子が分散したペースト材料に混合する工程と、を含むことを特徴とする導電性ペーストの製造方法。
  2. 前記撹拌は、100r/min以上の速度で前記銀鏡反応が完了するまで行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記銀鏡反応の工程は、
    前記炭素粒子に対して、アンモニア水およびブドウ糖液を加えて混合溶液を作製する工程と、
    前記混合溶液を50℃以上60℃以下の温浴で反応させる工程と、
    前記反応後の混合溶液をろ過する工程と、を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の製造方法。
  4. 前記銀鏡反応の工程は、
    前記ろ過により分離された粒子を乾燥させる工程と、
    前記乾燥された粒子を解す工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 前記混合工程の結果、前記ペースト材料100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下の炭素粒子が含まれる導電性ペーストを作製することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 電子部品の電極に用いられる導電性ペーストであって、
    流動性を有する有機ビヒクルと、
    前記有機ビヒクル中に分散され、銀粒子と炭素粒子とがAg3dの結合エネルギーによりイオン結合した導電性粒子と、を備えることを特徴とする導電性ペースト。
  7. 0.01wt%以上含まれる金属がケイ素または銀のみであることを特徴とする請求項6記載の導電性ペースト。
  8. 前記炭素粒子は、グラフェン粒子であり、500nm以上10μm以下の粒径を有し、鱗片状であることを特徴とする請求項6または請求項7記載の導電性ペースト。
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