JP2019183601A - 壁状改良体造成方法 - Google Patents

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志朗 中嶋
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Abstract

【課題】それぞれ設定された壁厚や壁幅を有する複雑な形状の壁状改良体の造成を安全かつ容易に可能にすると共に、壁状改良体の形状バリエーションを豊富にすることで、都市部の地下埋設物や障害物の多い地盤への壁状改良体の適用を可能にし、周辺地盤への影響を低減できる壁状改良体造成方法を提供する。【解決手段】ロッド1の先に、装着部11を起点として先端側を所定方向に揺動往復できる揺動噴射管2を装着し、施工マシン21でロッド1を把持して地中の所定深度まで挿入した後、揺動噴射管2の揺動方向に対して直角方向に向けて複数設けた硬化材液噴射ノズルから硬化材液を噴射しながら揺動噴射管2を所定角度揺動往復する動作とロッド1を所定のステップ長引上げる動作を交互に所定回数繰り返すことで所定の壁厚と造成長を有する壁状改良体を造成する方法であって、かつ造成中の揺動噴射管の揺動往復角度と揺動往復速度をそれぞれ設定して管理する。【選択図】図1

Description

本発明は、軟弱地盤の安定、地山支保、トンネル支保工、構築物の基礎、構築物の基礎補強、液状化防止、遮水用地中壁、地下水湧水防止などを目的として用いられる地盤改良工法のうち、ノズルから硬化材液を高圧で噴射して壁状改良体を造成する方法に関する。
軟弱地盤の安定、地山支保、トンネル支保工、構築物の基礎、構築物の基礎補強、液状化防止、遮水用地中壁、地下水湧水防止などを目的とした地盤改良工法は従来よく知られている。この地盤改良工法には、ロッドを地中に挿入して、ロッドに設けられた噴射ノズルから硬化材液を高圧で噴射して改良体を造成する改良体造成方法があるが、構築物の基礎や液状化防止や遮水用地中壁を目的とした場合は、壁状改良体形状が無駄なく有効と考えられるが、多く場合は円形改良体を端部相互に重複させて並列配置で造成しているが重複部で造成量が増大して非経済的であるだけでなく、本来改良が不要な周囲地盤まで円形改良体を造成するため、自然環境に対する負荷を増加している。そのため所定の壁厚と造成長を有する壁状改良体を造成できる高圧噴射工法に関する技術開発も行われており、その造成方法は、例えば下記文献に開示されている。
特許第3219372号公報(段落番号0008〜0010、図2)
特許文献1に開示される従来の壁状改良体造成方法は、注入管(ロッド)の下端に噴射管を揺動自在に接続し、噴射管先端に噴射ノズルを設け、注入管を地盤に挿入し、噴射ノズルが噴射管と注入管の接続箇所より下方に位置する噴射管が下向き状態で噴射管を左右に揺動させて、噴射ノズル位置を移動または停止させながら硬化材を噴射ノズルから高圧で噴射させ、硬化材を地盤に混入させて、注入管を引抜くことで壁状改良体を造成している。この壁状改良体の長所は、従来の地盤改良候補に用いられている平面視での改良体断面が円形の改良体に比べて、無駄な改良部や重複部なく壁状や四角状範囲の地盤改良を行えることから、止水壁や地中壁の造成にも適している上、環境的にも優れていることである。またこれら壁状改良体を複数連結造成することで格子状改良域も容易に形成できる。しかしながら従来の壁状改良体造成方法では、1本の壁状改良体の造成における形状は、壁厚(壁状改良体を平面視した際の短辺の長さ)は噴射管の揺動開閉角度に基づいた一定数値であり、壁幅(壁状改良体を平面視した際の長辺の長さ)も硬化材液の噴射圧力と硬化材液噴射ノズルの吐出口の口径に基づく硬化材により一定数値に設定されるので単純形状の壁状体となる。特に壁幅(壁状改良体を平面視した際の長辺の長さ)を1本の壁状改良体の造成中に変えるには、造成深度に応じて硬化材液の噴射圧力を変えるか、造成しながら造成深度に応じて硬化材液噴射ノズルの口径を変更しなくてはならないが、どちらも困難であり実現は難しい。また従来の技術では、実際に造成される壁状改良体は下端部分と天端部分が弧状の傾斜を有して造成されるため、特許文献1の図2のような水平状に造成することは出来なかった。
そこで本発明は、上述した事情に鑑み発案されたもので、それぞれ設定された壁厚や壁幅を有する複雑な形状の壁状改良体の造成を安全かつ容易に可能にすると共に、かつ壁状改良体の形状バリエーションを豊富にすることで、都市部の地下埋設物や障害物の多い地盤への壁状改良体の適用を可能にすると共に、周辺地盤への影響を低減できる環境に配慮した新しい壁状改良体造成方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述した目的を達成するため、ロッドの先に、装着部を起点として先端側を所定方向に揺動往復できる揺動噴射管を装着し、マシンでロッドを把持して地中の所定深度まで挿入した後、揺動噴射管の揺動方向に対して直角方向に向けて複数設けた硬化材液噴射ノズルから硬化材液を噴射しながら揺動噴射管を所定角度揺動往復する動作とロッドを所定のステップ長引上げる動作を交互に所定回数繰り返すことで所定の壁厚と造成長を有する壁状改良体を造成する方法であって、かつ造成中の揺動噴射管の揺動往復角度と揺動往復速度を設定して管理することを特徴とする。
さらに本発明は、壁状改良体の天端部分の造成時に、揺動噴射管の揺動往復角度を漸減させる特徴を有している。
本発明は、造成中に揺動噴射管の揺動往復角度と揺動往復速度をそれぞれ設定して管理することができるので、連続して造成される壁状改良体において、造成深度によって異なる壁厚や壁幅を有する複雑な形状でも造成できるので、壁状改良体の形状バリエーションが豊富になるので、地下埋設物の多い都市部や深度の深い地盤や複雑な地層でも適用しやすい。また豊富な形状バリエーションによって、不必要な改良部を減少できるので、周辺環境への負荷を軽減できる。
また本発明は、造成中に噴射揺動管の揺動往復速角度と揺動往復速度のそれぞれを設定して管理することができるので、リアルタイムで噴射揺動管の揺動往復速角度と揺動往復速度を管理して把握することで、高精度造成が可能であり、施工管理の品質が向上する。
また本発明は、壁状改良体の天端部分の造成時に、揺動噴射管の揺動往復角度を漸減させることにより、壁状改良体の天端部分を略水平状に造成することができるので、壁状改良体の形状バリエーションが増加し、設計の自由度が向上する。
本発明を実行する装置の概略構成図である。 本発明における揺動噴射管の正面図である。 本発明における壁状改良体の斜視図である。 本発明における揺動噴射管の正面図である。 本発明における揺動噴射管の斜視図である。 本発明における壁状改良体の斜視図である。 本発明における壁状改良体の斜視図である。 本発明における壁状改良体の斜視図である。 本発明における壁状改良体の斜視図である。 本発明における壁状改良体の斜視図である。
以下に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本発明に用いる施工マシン21は、ロッド1の所定位置を把持して、所定挿入速度および所定引上げ速度でロッド1を所定速度で所定距離挿入または引上げる挿入引上げ手段と、ロッド1の方向を変更できる回転手段とを有している。施工マシン21で先端に揺動噴射管2を装着したロッド1を対象地盤31の所定深度に挿入した状態の例を図1に示す。ロッド1の挿入にあたっては、事前にケーシング削孔した孔に揺動噴射管2を装着したロッド1を挿入してもよいし、揺動噴射管2の先端から高圧水を挿入方向に出しながらロッド1を回転することで地盤を削孔して直接挿入してもよい。尚、ロッド1の地上側最上部にはスイベルが接続され、地上のプラントから硬化材液、圧縮空気、水、動力機構などが専用のホースを介してスイベルからロッド1と揺動噴射管2の内部へと送られている。また揺動噴射管2の挿入位置、揺動往復角度、揺動往復速度等は管理盤22で設定して管理する。硬化材液噴射ノズル3から噴射される硬化材液の噴射圧力と流量もしくはロッド周面ノズル5から噴射される水又は硬化材液の噴射圧力と流量については、それぞれ個別の計器と共に管理盤22でも確認及び管理してもよい。また施工マシン21の操作や確認や管理、その他機材の操作や確認や管理も管理盤22で合わせて行ってもよい。
本発明に用いるロッド1と揺動噴射管2を図2に示す。ロッド1の先に揺動噴射管2を装着しており、地上からの操作で装着部11を起点として揺動噴射管2の先端側を向かって右方向に所定の揺動往復速度で所定角度揺動往復する動力機構を有している。揺動噴射管2の周面には揺動噴射管2の揺動方向に対して直角方向となる左右両側に各1個、計2個の硬化材液噴射ノズル3が配置さ
れている(図2に図示されているのは右側の1個)。また、ロッド1の先端に内蔵された計測器4は揺動噴射管2の揺動往復角度と揺動往復速度を計測するものであり、計測されたデータは図1のようにロッド1内部の有線ケーブルを通じて地上の管理盤22に送信してもよいし、ロッド1もしくは揺動噴射管2の内部に無線送信器を内蔵して地上の管理盤22に送信してもよい。またロッド1の周面にはロッド周面ノズル5が揺動噴射管2の揺動方向である向かって右側に向けて水平方向に配置されており、水又は硬化材液又はその他の液材を所定の圧力と吐出量で噴射できる。
尚、本発明に用いるロッド1及び揺動噴射管2の断面形状は円形または四角形または六角形等いずれでもよく、内部に硬化材液、圧縮空気、水、動力機構、送信ケーブル、受信ケーブル等の通路をそれぞれ必要数有しており、多重管または多孔管いずれの構造でもよい。また内部にはその他に排泥用通路や電源を適宜設けることもある。硬化材液噴射ノズル3とロッド周面ノズル5は図2では一方向についてそれぞれ1個ずつ配置しているが、一方向について複数個配置してもよい。また、図2では揺動噴射管2の先端部を向かって右方向に所定の揺動往復速度で所定角度揺動往復する動力機構としたが、揺動噴射管2の先端部を向かって左右両方向に所定の揺動往復速度で所定角度揺動往復できる動力機構を有することもできる。その際には、揺動噴射管2の先端部の揺動往復角度は右方向のみ揺動往復する場合と比べて2倍まで可能となり、造成できる壁状改良体の壁厚も2倍まで可能となる。また計測部4は図2ではロッド1に内蔵しているが、揺動噴射管2に内蔵してもよく、またその位置は図2にあるようなロッド1や揺動噴射管2の中央部分でなくてもよい。
本発明で説明に用いる壁状改良体の各部名称を図3に示す。本発明では壁状改良体32を平面視した際の短辺方向の長さを壁厚Dと称し、長辺方向の長さを壁幅Wと称する。尚、壁状改良体32が地中の造成最深部から地上方向へ造成された長さは造成長Lと称する。
ロッド1と揺動噴射管2に内蔵された油圧動力装置もしくは水圧動力装置もしくは電動モーター等の動力装置を用いて図2の揺動噴射管2の先端部を向かって右方向に45°揺動している状態を図4に示す。硬化材液噴射ノズル3の位置は45°の揺動によって図4に示すように右方向に弧状の軌跡をたどって移動する。本発明では造成したい壁状改良体の壁厚に基づいて揺動噴射管2の揺動開閉角度が設定される。つまり造成する壁状改良体の壁厚を大きくしたい時は揺動往復角度を大きく設定すればよいし、壁厚を小さくしたい時は揺動往復角度を小さく設定すればよい。図4におけるこの硬化材液噴射ノズル3の水平移動距離が造成される壁状改良体の壁厚とほぼ同等となる。尚、本発明では揺動噴射管2の揺動往復角度と揺動往復速度の設定と管理は管理盤22で行われており、かつ造成中は計測部4で揺動噴射管2の動作状況を測定して地上の管理盤22に計測データを送信して表示できるので、施工管理が容易でかつ確実な造成が可能である。
図4の揺動噴射管2の硬化材液噴射ノズル3から硬化材液を、図4のロッド1のロッド周面ノズル5から地盤切削用の水をそれぞれ所定の圧力で噴射している状態を図5に示す。硬化材液噴射ノズル3から所定の圧力と噴射量で噴射される硬化材液噴流7は、揺動噴射管2の揺動方向に対して直角方向にあたる両側の地盤を切削攪拌するが、この硬化材液噴流7の到達距離が本発明で造成される壁状改良体の壁幅となる。そして硬化材液噴射ノズル3から噴射される硬化材液が同じ圧力と噴射量で噴射される場合、揺動噴射管2の揺動往復速度が速い程硬化材液噴流7の到達距離は短くなり、揺動噴射管2の揺動往復速度が遅い程硬化材液噴流7の到達距離は長くなる。つまり壁状改良体の壁幅を大きくしたい時は揺動噴射管2の揺動往復速度を遅くすればよいし、壁幅を小さくしたい時は揺動噴射管2の揺動往復速度を速くすればよい。尚、硬化剤液噴射ノズル3から噴射される硬化材液は、通常は圧縮空気を伴って噴射されるが、硬化材液単独で噴射してもよい。
また、図5のロッド周面ノズル5から噴射される水噴流6は、揺動噴射管2が所定角度揺動往復する範囲の地盤を事前に切削して揺動噴射管2が所定の揺動往復速度で所定の揺動往復角度を円滑に動作できるよう補助をしているが、硬化材液噴射ノズル3の噴射を阻害することはない。但し水噴流6は、壁状改良体の造成中常時噴射する必要はなく、揺動噴射管2の揺動往復がスムーズな軟弱地盤や広範囲に先行削孔をした場合などには噴射する必要はない。必要に応じて利用すればよい。また逆に対象地盤が固い場合等は、図5ではロッド周面ノズル5から水噴流6を噴射しているが、ロッド周面ノズル5から硬化材液や他の液材を噴射してもよい。硬化材液を用いる場合、水より比重が大きいため地盤切削の効果は大きくなる上、造成される壁状改良体の強度を低下させる心配もない。尚、ロッド周面ノズル5から噴射される水もしくは硬化材液は、通常は水もしくは硬化剤液単独で噴射されるが、圧縮空気を伴って噴射してもよい。
本発明を用いて壁状改良体を造成する際の基本造成手順を説明する。まず図1のように揺動噴射管2を装着したロッドをこれから造成する壁状改良体の造成最深部付近まで挿入し、硬化材液噴射ノズル3から所定の圧力と流量で硬化材液を、ロッド周面ノズル5から所定の圧力と流量で水を噴射しながら、揺動噴射管2の先端側を所定の揺動往復速度で所定角度揺動往復した後にロッド1を所定のステップ長だけ引抜き、続けてまた同様に揺動噴射管2の先端側を所定の揺動往復速度で所定角度揺動往復した後にロッド1を所定のステップ長だけ引抜く。この操作を造成長に合わせて所定の回数繰り返すことで、図3に示したような所定の壁厚Dと壁幅Wと造成長Lを有する壁状改良体32が造成できる。壁状改良体32の造成終了後は、揺動噴射管2の揺動往復を停止して揺動噴射管2を垂直位置に戻すと共に硬化材液噴射ノズル3からの硬化材液の噴射とロッド周面ノズル5からの水の噴射を停止し、マシン21でロッド1を地上まで引抜く。尚、本発明においては、造成する壁状改良体の形状に関わらず、壁状改良体の造成中は管理盤22で揺動噴射管2の揺動往復角度と揺動往復速度を設定して管理している。またここで硬化材液噴射ノズル3
Figure 2019183601
の揺動往復速度は、5cm/秒〜20cm/秒程度が標準的であるが、それ以外で設定してもよい。またロッド1の引抜きステップ長は2cm/1ステップ〜5cm/1ステップが標準的であるが、それ以外で設定してもよい。ロッド周面ノズル5から噴射される水の
Figure 2019183601
が、それ以外で設定してもよい。
また本発明を用いて壁状改良体の天端部分を水平状に造成する際の天端部分造成手順を説明する。前記造成手順を行い所定長の壁状改良体32を造成していき、造成が天端部分に到達したら、引き続いてロッド1の1ステップあたりのステップ長を短くすると共に、ステップ毎に揺動噴射管2の先端側を揺動往復する角度を漸減しながら造成する動作を複数回続けて行い、天端部分がほぼ水平状になるところで造成を終了することにより図6にあるような所定の壁厚Dと壁幅Wと造成長Lを有する壁状改良体32を造成する。壁状改良体32の造成終了後は、前項と同様に揺動噴射管2の揺動往復を停止して揺動噴射管2を垂直位置に戻すと共に硬化材液噴射ノズル3からの硬化材液の噴射とロッド周面ノズル5からの水の噴射を停止し、マシン21でロッド1を地上まで引抜く。尚、天端部分を造成する際のロッド1の引抜きステップ長は0.5cm/1ステップ〜2cm/1ステップが標準的であるが、それ以外で設定してもよい。
次に本発明の実施例を説明する。図7は造成長Lの壁状改良体であって、図2のロッド1と揺動噴射管2を用いて造成されている。壁幅は壁状改良体32の造成長Lの下部半分と上部半分は同じ壁幅W1あるが、壁厚は壁状改良体32の造成長Lの下部半分は壁厚D1で上部半分は壁厚D2と異なる壁厚である。造成手順は前述の基本造成手順及び天端部分造成手順の通りであるが、本実施例では、造成中の揺動噴射管2の揺動開閉角度を壁状改良体32の造成長Lの下部半分の造成においては壁厚D1となるような揺動開閉角度D1dで造成し、続けて壁状改良体32の造成長Lの上部半分は壁厚D2となるような揺動開閉角度D2dで造成する。この時、揺動噴射管2の揺動開閉角度D1dは揺動開閉角度D2dより大きい角度で設定されている。また揺動噴射管2の先端側の揺動開閉速度は、壁状改良体32の下部半分と上部半分が同じ壁幅W1であるため、造成長Lの下部半分と上部半分は共に揺動開閉速度W1sに設定して造成する。
次に本発明の別の実施例を説明する。図8は造成長Lの壁状改良体32であって、図2のロッド1と揺動噴射管2を用いて造成されている。壁厚は壁状改良体32の造成長Lの下部半分も上部半分も同一の壁厚D1であるが、壁幅は壁状改良体32の下部半分は壁幅W1であり造成長Lの上部半分は壁幅W2と異なる壁幅を有している。造成手順は前述の基本造成手順及び天端部分造成手順の通りであるが、本実施例では造成中の揺動噴射管2の揺動開閉速度を壁状改良体32の造成長Lの下部半分においては壁幅W1となるような揺動噴射管2の揺動開閉速度W1sで造成し、続けて壁状改良体32の造成長Lの上部半分は壁幅W2となるような揺動開閉速度W2sで造成する。この時、揺動噴射管2の揺動開閉速度W2sは揺動開閉速度W1sより速い速度で設定されている。また揺動噴射管2の揺動開閉角度は、壁状改良体32の壁厚D1が造成長Lの下部半分と上部半分で同一であるため、造成長Lの下部半分と上部半分共に同じ揺動開閉角度D1dに設定して造成する。
次に本発明のさらに別の実施例を説明する。図9は造成長Lの壁状改良体32であって、図2のロッド1と揺動噴射管2を用いて造成されている。造成長Lの下部半分と上部半分でそれぞれ異なる壁厚と壁幅を有している。造成手順は前述の基本造成手順及び天端部分造成手順の通りであるが、壁状改良体32の造成長Lの下部半分は揺動噴射管2を壁厚がD1となる揺動開閉角度D1sでかつ壁幅がW1となるような揺動開閉速度W1sに設定して造成し、続けて造成長Lの上部半分は揺動噴射管2を壁厚がD2となる揺動開閉角度D2dでかつ壁幅がW2となるような揺動開閉速度W2sに設定して造成する。この時、揺動噴射管2の揺動開閉角度D1dは揺動開閉角度D2dより大きい角度で設定され、揺動噴射管2の揺動開閉速度W2sは揺動開閉速度W1sより速い速度で設定されている。
前述の実施例では、いずれも揺動噴射管2の先端部を向かって右方向に所定の揺動開閉速度で所定角度揺動開閉して壁状改良体を造成する例を説明したが、いずれの実施例においても揺動噴射管2の先端部を向かって左右両方向にも所定の揺動開閉速度で所定角度揺動開閉できる揺動噴射管2を用いて壁状改良体を造成してもよい。またさらに揺動噴射管2の先端部を向かって左右両方向に所定の揺動開閉速度で所定角度揺動開閉する造成部分と揺動噴射管2の先端部を向かって右方向に所定の揺動開閉速度で所定角度揺動開閉する造成部分を連続して造成してもよい。その場合の実施例を図10に示す。
図10の壁状改良体32は、造成長Lの壁状改良体32であって、先端部を向かって左右両方向にも所定片側方向だけにも所定の揺動開閉速度で所定角度揺動開閉できる動力機構を有している揺動噴射管2を用いて造成している。壁状改良体32の壁厚は造成長L1部分が壁厚D1で造成長L2部分が壁厚D2で造成長L3部分が壁厚D3でそれぞれ異なっている。また壁幅は造成長L1部分が壁幅W1で造成長L2部分が壁幅W2で造成長L3部分も壁幅W2で、造成長L1部分は造成長L2部分及び造成長L3部分と異なっている。造成手順は前述の基本造成手順及び天端部分造成手順の通りであるが、造成長L1部分と造成長L2部分は揺動噴射管2の先端部を向かって左右両方向に所定角度揺動開閉して造成するが、造成長L3部分は揺動噴射管2の先端部を向かって右方向にだけ所定角度揺動開閉して造成する。壁状改良体32の造成長L1部分は揺動噴射管2を壁厚がD1となる揺動開閉角度D1sでかつ壁幅がW1となるような揺動開閉速度W1sに設定して造成し、続けて壁状改良体32の造成長L2部分は揺動噴射管2を壁厚がD2となる揺動開閉角度D2dでかつ壁幅がW2となるような揺動開閉速度W2sに設定して造成し、続けて造成長L3部分は揺動噴射管2を壁厚がD3となる揺動開閉角度D3dでかつ壁幅がW2となるような揺動開閉速度W2sに設定して造成する。この時、揺動噴射管2の揺動開閉角度D1dは揺動開閉角度D2dより大きい角度で設定され、揺動開閉角度D2dは揺動開閉角度D3dの2倍の角度で設定されている。また揺動噴射管2の揺動開閉速度W2sは揺動開閉速度W1sより速い速度で設定されている。
本発明の各実施例においては、硬化剤液を噴射する場合について説明したが、土壌改良剤や骨材や特殊繊維を混入した硬化剤液や、アスファルト液であってもよい。
また、地盤に対してロッド1を所望する方向に挿入することにより、垂直方向の他、水平方向あるいは斜め方向などの任意の方向に壁状改良体を造成してもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は、図示した実施例のものに限定さ
れない。図示された実施例に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1…ロッド、2…揺動噴射管、3…硬化材液噴射ノズル、4…計測部、5…ロッド周面ノズル、6…水噴流、7…硬化材液噴流、11…装着部、21…施工マシン、22…管理盤、31…対象地盤、32…壁状改良体

Claims (2)

  1. ロッドの先に、装着部を起点として先端側を所定方向に揺動往復できる揺動噴射管を装着し、マシンでロッドを把持して地中の所定深度まで挿入した後、揺動噴射管の揺動方向に対して直角方向に向けて複数設けた硬化材液噴射ノズルから硬化材液を噴射しながら揺動噴射管を所定角度揺動往復する動作とロッドを所定のステップ長引上げる動作を交互に所定回数繰り返すことで所定の壁厚と造成長を有する壁状改良体を造成する方法であって、
    かつ造成中の揺動噴射管の揺動往復角度と揺動往復速度をそれぞれ設定して管理することを特徴とする壁状改良体造成方法。
  2. 壁状改良体の天端部分の造成時に、揺動噴射管の揺動往復角度を漸減させることを特徴とする請求項1記載の壁状改良体造成方法。
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